説明

口腔衛生装置

【課題】衛生部分の殺菌作用および優れた携帯性を有する口腔衛生装置を提供する。
【解決手段】電動歯ブラシ1は、ブラシ体30を有する装置本体10と、装置本体10への取り付けおよび装置本体10からの取り外しが可能かつブラシ体30を保護するキャップ50とを有する。キャップ50は、ブリッスル束40を殺菌する殺菌装置70を有し、キャップ50は、殺菌装置70の紫外線をブリッスル束40に向けて反射する鏡面部分66を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生部分を有する装置本体と、衛生部分を覆うキャップとを有する口腔衛生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の口腔内は、多数の細菌が住み着いている。このため、口腔衛生装置により口腔内をケアしたとき、歯垢および食物滓に加えて多数の細菌が口腔衛生装置の衛生部分に付着する。使用者は、多くの場合、口腔衛生装置の使用後に衛生部分を水洗いする。しかし、水分が付着した状態で長時間にわたり放置された場合、適当な水分および養分が与えられた細菌が繁殖する。
【0003】
特許文献1の携帯用殺菌装置は、細菌の繁殖を抑制するため、口腔衛生装置(歯ブラシ)を収納する本体ケースに殺菌用の光源を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−111034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記携帯用殺菌装置の使用者は、ブリッスル束の殺菌作用が得られる状態で歯ブラシを携帯するためには、本体ケースと歯ブラシと併せて携帯することが必要になる。一方、本体ケースは、歯ブラシを収納するための空間を有するため、歯ブラシよりもサイズが大きい。このため、携帯性の観点からすると改善の余地が残されている。
【0006】
なお、ここでは口腔衛生装置としての歯ブラシの課題について検討したが、殺菌のための光源を有する他の口腔衛生装置(例えばステイン除去装置)においても上記の課題は概ね共通する。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、衛生部分の殺菌作用および優れた携帯性を有する口腔衛生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
・本発明の口腔衛生装置は、衛生部分を有する装置本体と、前記衛生部分を覆うキャップとを有し、前記装置本体および前記キャップの少なくとも一方は前記衛生部分を殺菌する光源を有し、前記装置本体、前記衛生部分、および前記キャップの少なくとも1つは、前記光源の光を前記衛生部分に向けて反射する鏡面部分を有することを特徴としている。
【0009】
・上記口腔衛生装置において、前記光源は、前記キャップのうちの前記衛生部分と対向する部分に位置し、前記キャップは、前記鏡面部分を有することが好ましい。
・上記口腔衛生装置において、前記キャップは、内部に反射部材を有し、前記反射部材は、前記鏡面部分を有することが好ましい。
【0010】
・上記口腔衛生装置において、前記反射部材は、復元力により前記キャップの内面を押すことが好ましい。
・上記口腔衛生装置において、前記装置本体は、前記光源に電力を供給する電源を有し、前記装置本体および前記キャップは、前記電源および前記光源を互いに接続する通電回路を有し、前記鏡面部分は、前記通電回路の一部を構成することが好ましい。
【0011】
・上記口腔衛生装置において、前記衛生部分は、ブリッスル束と、前記ブリッスル束が植毛される植毛台とを有し、前記植毛台は、前記鏡面部分を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、衛生部分の殺菌作用および優れた携帯性を有する口腔衛生装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は部分断面構造を示す断面図、(b)は(a)の殺菌装置およびその周辺の拡大構造を示す断面図、(c)はキャップの上部分の正面構造を示す正面図。
【図2】第1実施形態の電動歯ブラシについて、(a)はキャップおよび導電筒の斜視構造を示す斜視図、(b)はキャップに導電筒を挿入した状態のキャップおよび導電筒の断面構造を示す断面図。
【図3】第1実施形態の電動歯ブラシについて、殺菌装置の斜視構造を示す斜視図。
【図4】第1実施形態の電動歯ブラシについて、図1(c)のA−A平面の断面構造を示す断面図。
【図5】第1実施形態の電動歯ブラシについて、通電経路の構成を示す回路図。
【図6】本発明の第2実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は部分断面構造を示す断面図、(b)は(a)のB−B平面の断面構造を示す断面図、(c)は(a)のC−C平面の断面構造を示す断面図。
【図7】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、(a)は殺菌装置およびその周辺の断面構造を示す断面図、(b)は(a)のD−D平面の断面構造を示す断面図。
【図8】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、殺菌装置およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【図9】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、殺菌装置およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【図10】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、(a)はブラシヘッドおよびその周辺の断面構造を示す断面図、(b)は(a)の一点鎖線の拡大構造を示す断面図。
【図11】本発明のその他の実施形態の電動歯ブラシについて、ブラシ体およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1を参照して、電動歯ブラシ1の構成について説明する。
図1(a)に示されるように、電動歯ブラシ1は、使用者が把持する装置本体10と、歯を清掃する複数のブリッスル束40を有するブラシ体30と、ブラシ体30を保護するキャップ50とを有する。なお、電動歯ブラシ1は「口腔衛生装置」に相当する。また、ブラシ体30は「衛生部分」に相当する。
【0015】
キャップ50は、装置本体10への取り付けおよび装置本体10からの取り外しが可能な構造を有する。キャップ50は、装置本体10に取り付けられた状態において、ブラシ体30の全体を覆う。
【0016】
ここで、電動歯ブラシ1についての各方向を次のように定義する。
(A)電動歯ブラシ1の長手方向を「軸方向ZA」とする。
(B)電動歯ブラシ1の正面視において軸方向ZAと直交する方向を「幅方向ZB」とする。
(C)軸方向ZAおよび幅方向ZBに直交する方向を「奥行方向ZC」とする。
(D)軸方向ZAにおいて装置本体10からブラシ体30に向かう方向を「上方ZA1」とし、軸方向ZAにおいて上方ZA1とは反対方向を「下方ZA2」とする。
(E)幅方向ZBにおいて電動歯ブラシ1の正面視の左側に向かう方向を「左方ZB1」とし、幅方向ZBにおいて左方ZB1とは反対方向を「右方ZB2」とする。
(F)奥行方向ZCにおいて、ブリッスル束40の基端部分から先端部分に向かう方向を「前方ZC1」とし、奥行方向ZCにおいて前方ZC1とは反対方向を「後方ZC2」とする。
【0017】
ブラシ体30は、複数のブリッスル束40と、装置本体10への取り付けおよび装置本体10からの取り外しが可能なブラシ柄31と、複数のブリッスル束40の植毛部分を構成するブラシヘッド32とを有する。またこの他に、各ブリッスル束40が植毛された導電部材33と、導電部材33と電気的に接続された接続ターミナル34とを有する。なお、ブラシヘッド32は「植毛台」に相当する。
【0018】
ブラシ柄31およびブラシヘッド32は、同じ材料により一体の部材として形成されている。導電部材33は、ブラシヘッド32のうちの外面に固定されている。接続ターミナル34は、ブラシ柄31およびブラシヘッド32の内部においてブラシ柄31およびブラシヘッド32に固定されている。
【0019】
ブラシ柄31およびブラシヘッド32の材料としては、非導電性を有する樹脂材料が用いられている。導電部材33の材料としては、導電性を有する樹脂材料が用いられている。接続ターミナル34の材料としては、導電性を有する金属材料が用いられている。各ブリッスル束40の材料としては、非導電性を有する樹脂材料が用いられている。
【0020】
装置本体10は、各種の部品を収容する空間を有する本体ケース11と、電動歯ブラシ1の電源となる2次電池12と、ブラシ体30を振動させる振動発生装置13と、振動発生装置13の動作を制御する制御部20とを有する。またこの他に、2次電池12から制御部20への電力の供給および遮断を切り替える電源スイッチ19を有する。2次電池12、振動発生装置13、および制御部20は、本体ケース11の内部に位置する。なお、2次電池12は「電源」に相当する。
【0021】
本体ケース11は、導電性を有する導電ケース18を有する。導電ケース18は、本体ケース11の上方ZA1の部分に位置する。導電ケース18の上端面は、キャップ50と対向する本体ケース11の上端面を形成している。導電ケース18の材料としては、導電性を有する樹脂材料が用いられている。
【0022】
振動発生装置13は、ブラシ体30に振動を伝達する駆動軸14と、軸方向ZAにおいて駆動軸14を振動させる電動モーター15と、駆動軸14を支持する転がり軸受16と、転がり軸受16を支持する軸受支持体17とを有する。
【0023】
駆動軸14は、電動モーター15の出力軸に固定され、かつブラシ柄31の穴に嵌め込まれている。電動モーター15は、本体ケース11に固定されている。電動モーター15としては、出力軸が軸方向ZAに往復駆動するリニアモータが用いられている。転がり軸受16の外輪は、軸受支持体17に固定されている。軸受支持体17は、本体ケース11に固定されている。駆動軸14の材料、転がり軸受16の外輪および転動体の材料、および軸受支持体17の材料としては、金属材料が用いられている。
【0024】
制御部20は、電子部品が実装される回路基板27と、導電ケース18に接続される第1接続端子21と、軸受支持体17に接続される第2接続端子22と、キャップ50が装置本体10に取り付けられたことを検知する磁気センサー23とを有する。第1接続端子21および第2接続端子22は、回路基板27上に固定されている。磁気センサー23は、リード線(図示略)を介して回路基板27と電気的に接続されている。
【0025】
電源スイッチ19としては、押ボタンスイッチが用いられている。電源スイッチ19は、使用者により押し込み操作が行われる毎にオン信号またはオフ信号を制御部20に送信する。
【0026】
キャップ50は、その本体を構成するキャップ本体51と、ブリッスル束40を殺菌する殺菌装置70と、装置本体10と殺菌装置70とを電気的に接続する導電筒60と、ブラシ体30と殺菌装置70とを電気的に接続する導電板52とを有する。またこの他に、殺菌装置70の外側から同装置70を覆うカバー53と、磁気センサー23の検出対象としての磁石54とを有する。なお、導電筒60は「反射部材」に相当する。
【0027】
図2(a)に示されるように、キャップ本体51は、図1のブラシ体30を左方ZB1から覆う第1側壁51Aと、ブラシ体30を右方ZB2から覆う第2側壁51Bと、ブラシ体30を前方ZC1から覆う第3側壁51Cと、ブラシ体30を後方ZC2から覆う第4側壁51Dとを有する。またこの他に、ブラシ体30を上方ZA1から覆う頂壁51Eを有する。なお、第3側壁は「キャップのうちのブリッスル束の先端部分と対向する部分」に相当する。
【0028】
図2(b)に示されるように、第3側壁51Cは、殺菌装置70を取り付ける取付孔51Fを有する。取付孔51Fは、キャップ50内の空間と外部の空間とを連通している。第1側壁51A〜第4側壁51Dおよび頂壁51Eは、同じ材料により一体の部材として形成されている。キャップ本体51の材料としては、非導電性を有する樹脂材料が用いられている。
【0029】
導電筒60は、金属板を折り曲げることにより形成された断面C形状を有する。また、キャップ本体51の第1側壁51A〜第4側壁51Dの内面に固定されている。また、キャップ本体51の第1側壁51Aに固定される第1側壁61と、キャップ本体51の第2側壁51Bに固定される第2側壁62と、キャップ本体51の第3側壁51Cに固定される第3側壁63と、キャップ本体51の第4側壁51Dに固定される第4側壁64とを有する。
【0030】
第3側壁63は、幅方向ZBの中央部分に隙間65を有する一対の側壁として形成されている。第1側壁61の内面および第2側壁62の内面は、鏡面加工が施された鏡面部分66を有する。鏡面部分66は、導電筒60のうちの鏡面部分66以外の部分よりも光の反射率が高い。
【0031】
導電筒60は、第1側壁61および第2側壁62を互いに接近させるように弾性変形させた状態、すなわち第3側壁63の隙間65の幅方向ZBの寸法を小さくした状態においてキャップ本体51に挿入される。このため、導電筒60の復元力Fにより導電筒60の第1側壁61は、キャップ本体51の第1側壁51Aを押す。導電筒60の第2側壁62は、キャップ本体51の第2側壁51Bを押す。
【0032】
図1に示されるように、カバー53は、キャップ本体51の第3側壁51Cの取付孔51Fに固定されている。カバー53の外面は、キャップ本体51の外面の一部を形成している。カバー53の材料としては、キャップ本体51と同じ樹脂材料が用いられている。
【0033】
磁石54は、キャップ本体51の第3側壁51Cの下端部分の内面に固定されている。磁石54の磁束は、キャップ50が装置本体10に取り付けられた状態において、磁気センサー23に鎖交する。磁気センサー23は、磁石54の磁束に応じた出力を制御部20に出力する。
【0034】
殺菌装置70は、キャップ本体51の取付孔51Fに嵌め込まれている。また、図1(b)に示されるように、奥行方向ZCにおいて空間を介してブリッスル束40と対向している。また、図1(c)に示されるように、ブラシヘッド32の上端部分のブリッスル束40と対向している。
【0035】
図3を参照して、殺菌装置70の詳細な構成について説明する。
殺菌装置70は、殺菌作用を有する紫外線を図1の各ブリッスル束40に照射するLED71と、LED71が実装される回路基板72と、図1の導電板52および図1の導電筒60の第3側壁63と電気的に接続する一対の端子74とを有する。またこの他に、各端子74に回路基板72を固定する固定部材75を有する。LED71としては、チップ型の発光ダイオードが用いられている。なお、LED71は「光源」に相当する。
【0036】
回路基板72は、LED71と各端子74とを電気的に接続する一対の配線部分73と、配線部分73が形成される実装面72Aと、実装面72A上に塗布されたコーティング層とを有する。またこの他に、LED71に過大な電力が供給されることを抑制する保護抵抗76(図5参照)を有する。
【0037】
各端子74は、固定部材75により回路基板72の実装面72Aに固定されている。また、キャップ50内において、導電筒60と接触している。各端子74は、金属板により形成されている。
【0038】
図4を参照して、殺菌装置70がLED71により紫外線を照射したときの紫外線の経路について説明する。以下では、ブリッスル束40に直接的に照射される紫外線を「紫外線LV1」とし、ブリッスル束40から外れた範囲に照射される紫外線を「紫外線LV2」とする。
【0039】
紫外線LV1の一部は、ブリッスル束40を透過する。そして、紫外線LV1は、導電筒60の第1側壁61および第2側壁62において反射し、ブリッスル束40の側面部分に入射する。
【0040】
紫外線LV2は、導電筒60の第1側壁61および第2側壁62に入射する。そして、紫外線LV2は、第1側壁61および第2側壁62において反射し、ブリッスル束40の側面部分に入射する。
【0041】
図5を参照して、制御部20の構成について説明する。
制御部20は、2次電池12への電力の供給状態を制御する充放電回路24と、磁気センサー23の出力に基づいて装置本体10に対するキャップ50の取付状態を検出する磁気検出回路25と、LED71の点灯時間を制御するタイマー回路26とを有する。タイマー回路26は、LED71の点灯時間に相当する時間として、キャップ50が装置本体10に取り付けられてからの経過時間(以下、「取付後時間」)をカウントする。
【0042】
電動歯ブラシ1の各部品は、以下の電気的な接続関係を有する。
(A)2次電池12の陽極は、制御部20の第1接続端子21と接続する。
(B)第1接続端子21は、導電ケース18と接続する。
(C)導電ケース18は、導電筒60と接続する。
(D)導電筒60は、殺菌装置70の一方の端子74と接続する。
(E)2次電池12の陰極は、制御部20の第2接続端子22と接続する。
(F)第2接続端子22は、軸受支持体17と接続する。
(G)軸受支持体17は、転がり軸受16と接続する。
(H)転がり軸受16は、駆動軸14と接続する。
(I)駆動軸14は、接続ターミナル34と接続する。
(J)接続ターミナル34は、導電部材33と接続する。
(K)導電部材33は、導電板52と接続する。
(L)導電板52は、殺菌装置70の他方の端子74に接続する。
【0043】
電動歯ブラシ1の通電回路について説明する。
電動歯ブラシ1は、キャップ50が装置本体10に取り付けられているとき、殺菌装置70に電力を供給するための通電回路、すなわち図5に示される通電回路を形成する。この通電回路は、キャップ50において通電経路を形成するキャップ通電経路と、ブラシ体30において通電経路を形成するブラシ体通電経路と、装置本体10において通電経路を形成する第1本体通電経路および第2本体通電経路とを有する。
【0044】
各通電経路の構成内容を以下に示す。
(A)キャップ通電経路は、キャップ50の導電筒60と、殺菌装置70内の通電経路と、キャップ50の導電板52とにより構成されている。
(B)ブラシ体通電経路は、ブラシ体30の接続ターミナル34および導電部材33により構成されている。
(C)第1本体通電経路は、2次電池12の陽極から制御部20の第1接続端子21までの通電経路と、装置本体10の導電ケース18とにより構成されている。
(D)第2本体通電経路は、2次電池12の陰極から制御部20の第2接続端子22までの通電経路、装置本体10の軸受支持体17、転がり軸受16、および駆動軸14により構成されている。
【0045】
通電回路は、2次電池12、制御部20、第1接続端子21、導電ケース18、導電筒60、殺菌装置70、導電板52、導電部材33、接続ターミナル34、駆動軸14、転がり軸受16、軸受支持体17、第2接続端子22、および制御部20の順に電流を流す。これにより、2次電池12から殺菌装置70に電力が供給される。
【0046】
殺菌装置70の点灯に関する動作を以下に示す。
LED71は、キャップ50が装置本体10に取り付けられたとき、2次電池12から供給された電力により点灯する。また、制御部20により電力の供給が停止されるまで継続して点灯する。
【0047】
制御部20は、磁気センサー23から信号を受信したとき、タイマー回路26により取付後時間のカウントを開始する。そして、取付後時間が所定時間以上のとき、すなわちLED71の点灯時間が所定時間以上のとき、LED71を消灯する。なお、所定時間は、LED71により各ブリッスル束40を十分に殺菌するために必要な時間に相当し、試験等の結果に基づいて予め設定されている。
【0048】
本実施形態の電動歯ブラシ1は以下の効果を奏する。
(1)電動歯ブラシ1のキャップ50は、殺菌装置70と、導電筒60に形成された鏡面部分66とを有する。この構成によれば、歯ブラシを収容するためのケースに殺菌装置を有する構成とは異なり、ケースを携帯しなくともブリッスル束40の殺菌効果を得ることが可能になる。すなわち電動歯ブラシ1は、ブリッスル束40の殺菌作用および優れた携帯性を有する。
【0049】
(2)導電筒60は、キャップ本体51の第1側壁51Aおよび第2側壁51Bを押す。この構成によれば、導電筒60が接着または溶着によりキャップ50に固定される構成よりもキャップ50に導電筒60を簡単に固定できる。
【0050】
(3)導電筒60の鏡面部分66は、キャップ通電経路を構成する。この構成によれば、鏡面部分66と通電回路(キャップ通電回路)とを個別に形成する場合と比較して、キャップ50の構成を簡単化できる。
【0051】
(4)2次電池12は、殺菌装置70の電源を兼ねる。この構成によれば、殺菌装置70の専用の電源を有する構成と比較して、電動歯ブラシ1の部品点数が少なくなる。また、電動歯ブラシ1が軽量化する。
【0052】
(第2実施形態)
図6に示される本実施形態の電動歯ブラシ1は、図1に示される第1実施形態の電動歯ブラシ1との主要な相違点として、次の相違点を有する。すなわち、第1実施形態の電動歯ブラシ1は、キャップ50に位置する殺菌装置70と、振動発生装置13とを有する。一方、本実施形態の電動歯ブラシ1は、装置本体10内に位置する殺菌装置130と、振動発生装置120とを有する。以下では、第1実施形態の電動歯ブラシ1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0053】
本実施形態のキャップ50は、第1実施形態のキャップ50から殺菌装置70、導電筒60、導電板52、および取付孔51Fを省略している。また、キャップ本体51の第1側壁51A、第2側壁51B、第3側壁51C、および頂壁51Eに鏡面部分55を有する。鏡面部分55は、第1側壁51A、第2側壁51B、第3側壁51C、および頂壁51Eの内面に鏡面加工を施すことにより形成されている。
【0054】
本実施形態の制御部20は、第1実施形態の制御部20から第1接続端子21および第2接続端子22を省略している。また装置本体10は、第1実施形態の本体ケース11に代わる本体ケース80と、第1実施形態の電源スイッチ19と同様の機能を有する電源スイッチ(図示略)とを有する。
【0055】
本体ケース80は、ブラシ体90を取り付けるための取付軸81と、紫外線を透過するカバー83とを有する。取付軸81は、筒型の形状を有する。取付軸81のうちの上方ZA1の壁部は、開口部分82を有する。カバー83は、開口部分82に嵌め込まれている。カバー83の材料としては、透明な樹脂材料であるABS樹脂が用いられている。なお、ブラシ体90は「衛生部分」に相当する。
【0056】
ブラシ体90のブラシ柄91は、取付軸81を収容する収容部分92と、ブラシ柄91の外部と収容部分92とを互いに連通する開口部分93と、紫外線を透過する透光部材100と、紫外線を含む光を反射する反射鏡110とを有する。なお、反射鏡110は「鏡面部分」に相当する。
【0057】
透光部材100は、開口部分93に嵌め込まれている。透光部材100の材料としては、透明な樹脂材料であるABS樹脂が用いられている。反射鏡110は、ブラシ柄91のうちの左方ZB1の側壁、後方ZC2の側壁、および右方ZB2の側壁にわたり形成されている。
【0058】
取付軸81は、ブラシ体90に振動を付与する振動発生装置120と、ブリッスル束40を殺菌する殺菌装置130と、振動発生装置120および殺菌装置130を収容する支持ケース140とを有する。取付軸81の外面は、ブラシ柄91の内面と接触している。支持ケース140、振動発生装置120、および殺菌装置130は、取付軸81の内部に位置する。支持ケース140は、取付軸81に固定されている。
【0059】
振動発生装置120は、出力軸122を有する電動モーター121と、出力軸122の回転軸に対して偏心した回転中心を有する偏心鐘123と、電動モーター121の駆動用により生じる振動を本体ケース80に伝達する伝達部材124とを有する。電動モーター121は、支持ケース140に固定されている。偏心鐘123は、電動モーター121の出力軸122に固定されている。伝達部材124は、電動モーター121の外面および取付軸81の内面に接触している。
【0060】
殺菌装置130は、殺菌作用を有する紫外線を各ブリッスル束40に照射するLED131と、LED131と制御部20とを互いに接続する接続部材132とを有する。LED131としては、砲弾型の発光ダイオードが用いられている。なお、LED131は「光源」に相当する。
【0061】
図6を参照して、殺菌装置130がLED131により紫外線を照射したときの紫外線の経路について説明する。以下では、ブリッスル束40に直接的に照射される紫外線を「紫外線LV3」とし、LED131からキャップ50の鏡面部分55に直接的に照射される紫外線を「紫外線LV4」とし、反射鏡110に照射される紫外線を「紫外線LV5」とする。なお、図6(a)においては、紫外線LV3〜LV5の一例を示している。
【0062】
紫外線LV3の一部は、ブリッスル束40を透過する。そして、ブリッスル束40を透過した紫外線LV3は、キャップ本体51の第3側壁51Cの鏡面部分55および頂壁51Eの鏡面部分55において反射し、ブリッスル束40の側面部分または先端部分に入射する。
【0063】
紫外線LV4の一部は、第3側壁51Cの鏡面部分55において反射し、ブリッスル束40の先端部分または側面部分に入射する。また、紫外線LV4の他の一部は、第1側壁51Aの鏡面部分55および第2側壁51Bの鏡面部分55において反射し、ブリッスル束40の側面部分に入射する。
【0064】
紫外線LV5は、反射鏡110において反射し、透光部材100を介して第3側壁51Cに入射する。そして、紫外線LV5は、第3側壁51Cにおいて反射し、ブリッスル束40の先端部分または側面部分に入射する。また、紫外線LV5の一部は、反射鏡110において反射し、透光部材100を介してブリッスル束40の側面部分に入射する。
【0065】
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1が奏する(1)、(2)、および(4)の効果と同様の効果に加え、以下の効果を奏する。
(5)ブラシ柄91は、反射鏡110を有する。この構成によれば、LED131から照射された紫外線は、反射鏡110により反射されて各ブリッスル束40に照射される。このため、LED131から照射された紫外線は、効率よく各ブリッスル束40に照射される。
【0066】
(その他の実施形態)
本発明は、第1および第2実施形態とは別の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての各実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0067】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1は、キャップ50の導電筒60に鏡面部分66を有する。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、以下の(A)〜(C)の少なくとも1つの鏡面部分をさらに有する。または、導電筒60に代えて以下の(D)の鏡面部分を有する。なお、下記(A)〜(D)の鏡面部分は、金属蒸着により形成することができる。また、金属部品の表面を下記(A)〜(D)の鏡面部分として用いることもできる。
(A)第3側壁51Cのうちの導電筒60よりも上方ZA1に形成される鏡面部分。
(B)ブラシヘッド32の前方ZC1側の面に形成される鏡面部分。
(C)導電板52の内面に形成される鏡面部分35(図7参照)。
(D)キャップ本体51の内面に形成される鏡面部分。
【0068】
・第1実施形態のキャップ50は、キャップ本体51および導電筒60を個別に有する。一方、変形例のキャップ50は、キャップ本体51と導電筒60とを一体的に成型する。導電筒60の材料としては、導電性を有する樹脂材料が用いられる。
【0069】
・第2実施形態のキャップ50は、キャップ本体51に鏡面加工を施すことにより鏡面部分55を形成している。一方、変形例のキャップ50は、キャップ本体51とは各別に形成され、かつキャップ本体51に金属板等の紫外線を反射することのできる反射部材を固定する。また、他の変形例のキャップ50は、キャップ本体51の内面に金属蒸着を施すことにより鏡面部分55を形成する。
【0070】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1は、キャップ本体51の第3側壁51Cに殺菌装置70が固定された構成を有する。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、以下の(C1)または(C2)の部分に殺菌装置70が固定された構成を有する。
【0071】
(C1)図8に示されるように、電動歯ブラシ1は、キャップ本体51の第2側壁51Bに殺菌装置70が固定された構成を有する。キャップ本体51の取付孔51Fは、第2側壁51Bに位置する。導電筒60は、第3側壁63の隙間65に代えて、第2側壁62に隙間65を有する。またこの場合、鏡面部分66は、導電筒60の第1側壁61および第3側壁63に形成される。
【0072】
(C2)図9に示されるように、電動歯ブラシ1は、キャップ本体51の頂壁51Eに殺菌装置70が固定された構成を有する。キャップ本体51の取付孔51Fは、頂壁51Eに位置する。導電板52の奥行方向ZCの寸法は、第1実施形態の導電板52の奥行方向ZCの寸法よりも小さい。またこの場合、鏡面部分66は、導電筒60の第1側壁61、第2側壁62、および第3側壁63に形成される。
【0073】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1は、ブラシヘッド32の導電部材33とキャップ50の導電板52とが接触することにより、ブラシ体30およびキャップ50が互いに電気的に接続されている。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、図10に示されるように、ブリッスル束40とキャップ50の導電リング56とが接触することにより、ブラシ体30およびキャップ50が互いに電気的に接続されている。
【0074】
導電筒60は、キャップ本体51のうちのブリッスル束40よりも下方ZA2の部分に固定されている。導電筒60は、殺菌装置70の一方の端子74に接触する。
導電リング56は、キャップ本体51に固定される。導電リング56は、キャップ50のうちのブリッスル束40と奥行方向ZCに対向する部分に位置する。導電リング56は、殺菌装置70の他方の端子74に接触する。導電リング56の内面には、鏡面部分56Aが形成される。
【0075】
各ブリッスル束40は、複数のブリッスル41と、複数のブリッスル41が互いに溶着された溶着部分44とを有する。図10(b)に示されるように、各ブリッスル41は、導電性を有する芯部42と、非導電性を有する鞘部43とを有する。鞘部43は、芯部42の外周面を被覆する。芯部42の先端部分42Aは、鞘部43よりも前方ZC1に突出する。
【0076】
各ブリッスル束40の各先端部分42Aは、図1の装置本体10にキャップ50が取り付けられたとき、導電リング56の内面に接触する。これにより、図1の2次電池12の陰極および殺菌装置70の他方の端子74は、制御部20の第2接続端子22、軸受支持体17、転がり軸受16、駆動軸14、接続ターミナル34、導電部材33、ブリッスル束40の芯部42を介して互いに接続される。
【0077】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1は、第1本体通電経路を2次電池12の陽極に接続し、かつ第2本体通電経路を2次電池12の陰極に接続している。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、第1本体通電経路を2次電池12の陰極に接続し、かつ第2本体通電経路を2次電池12の陽極に接続する。この場合、保護抵抗76はLED71の陽極と導電板52を互いに電気的に接続する。
【0078】
・第1および第2実施形態の電動歯ブラシ1は、2次電池12がLED71,131の電源を兼ねる。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、LED71,131の電源として2次電池12とは別の2次電池を有する。
【0079】
・第1および第2実施形態のブラシ体30,90は、装置本体10から取り外すことが可能な構成を有する。一方、変形例のブラシ体30,90は、装置本体10と一体化している。
【0080】
・第1および第2実施形態のキャップ50は、装置本体10に直接的に取り付けられる構成を有する。一方、変形例のキャップ50は、ブラシ体30,90に取り付けられる構成、すなわちブラシ体30,90を介して間接的に装置本体10に取り付けられる構成を有する。
【0081】
・第1および第2実施形態の殺菌装置70,130は、殺菌作用を有する波長の紫外線を照射するLED71,131を有する。一方、変形例の殺菌装置70,130は、殺菌作用を有する波長の紫外線を照射する蛍光灯を有する。
【0082】
・第1実施形態の殺菌装置70は、LED71がキャップ50の第3側壁51Cの内面よりも前方ZC1側に位置する。一方、変形例の殺菌装置70は、LED71の少なくとも一部がキャップ50の第3側壁51Cの内面よりも後方ZC2側に位置する。
【0083】
・第2実施形態の電動歯ブラシ1は、LED131の紫外線がカバー83を透過してブラシ体90の反射鏡110により反射する。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、図11に示されるように、装置本体10に鏡面部分151を有する。取付軸81は、開口部分82の周縁から上方ZA1に向けて延びる周壁150を有する。鏡面部分151は、周壁150の内面に鏡面加工を施すことにより形成される。周壁150は、LED131を左方ZB1、右方ZB2、および後方ZC2から覆うように取付軸81に形成される。
【0084】
・上記変形例の電動歯ブラシ1は、キャップ50に鏡面部分55を有し、ブラシ体90に反射鏡110を有し、装置本体10に鏡面部分151を有する。一方、上記変形例の電動歯ブラシ1とは別の変形例の電動歯ブラシ1は、上記変形例の電動歯ブラシ1からキャップ50の鏡面部分55および反射鏡110の少なくとも一方を省略する。
【0085】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1のキャップ50は、1つの殺菌装置70を有する。一方、変形例の電動歯ブラシ1のキャップ50は、複数の殺菌装置70を有する。複数の殺菌装置70は、キャップ本体51の第1側壁51A、第2側壁51B、第3側壁51C、および第4側壁51Dの少なくとも2つの側壁に有する。
【0086】
・第1実施形態の電動歯ブラシ1は、キャップ50に殺菌装置70を有する。また、第2実施形態の電動歯ブラシ1は、装置本体10に殺菌装置130を有する。一方、変形例の電動歯ブラシ1は、殺菌装置70および殺菌装置130の両方を有する。また、別の変形例の電動歯ブラシ1は、殺菌装置70および殺菌装置130の少なくとも一方に加えて、ブラシ体90に殺菌装置を有する。
【0087】
・本発明は、第1および第2実施形態に例示される電動歯ブラシ1以外の他の口腔衛生装置に適用することもできる。他の口腔衛生装置としては、例えばステインケア装置が挙げられる。要するに、殺菌装置を有する口腔衛生装置であれば、いずれの口腔衛生装置に対しても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…電動歯ブラシ(口腔衛生装置)、10…装置本体、12…2次電池(電源)、30…ブラシ体(衛生部分)、32…ブラシヘッド(植毛台)、35…鏡面部分、40…ブリッスル束、50…キャップ、55…鏡面部分、56A…鏡面部分、60…導電筒(反射部材)、66…鏡面部分、71…LED(光源)、90…ブラシ体(衛生部分)、110…反射鏡(鏡面部分)、131…LED(光源)、151…鏡面部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生部分を有する装置本体と、前記衛生部分を覆うキャップとを有する口腔衛生装置において、
前記装置本体および前記キャップの少なくとも一方は、前記衛生部分を殺菌する光源を有し、
前記装置本体、前記衛生部分、および前記キャップの少なくとも1つは、前記光源の光を前記衛生部分に向けて反射する鏡面部分を有する。
【請求項2】
請求項1において、
前記光源は、前記キャップのうちの前記衛生部分と対向する部分に位置し、
前記キャップは、前記鏡面部分を有する。
【請求項3】
請求項2において、
前記キャップは、内部に反射部材を有し、
前記反射部材は、前記鏡面部分を有する。
【請求項4】
請求項3において、
前記反射部材は、復元力により前記キャップの内面を押す。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、
前記装置本体は、前記光源に電力を供給する電源を有し、
前記装置本体および前記キャップは、前記電源および前記光源を互いに接続する通電回路を有し、
前記鏡面部分は、前記通電回路の一部を構成する。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記衛生部分は、ブリッスル束と、前記ブリッスル束が植毛される植毛台とを有し、
前記植毛台は、前記鏡面部分を有する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−111129(P2013−111129A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258256(P2011−258256)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】