説明

口臭除去剤

【課題】糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤の提供。
【解決手段】糖アルコールによる揮発性硫黄化合物の産生抑制を特徴とする、糖アルコール、特に、ラクチトールを有効成分とする口臭除去剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖アルコールによる揮発性硫黄化合物の産生抑制を特徴とする口臭除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日本において、約3万人を対象とした厚生省保健福祉動向調査によると、口腔内に何らかの歯科的問題を持つ人が70%認められ、その内の14.5%の人が「口臭が気になる」(複数回答可)と回答しており、歯周疾患やう蝕に関連する訴えに次いで4番目に高く、年々口臭に対する関心が高まっている。口腔から発せられる不快な臭いの成分として、揮発性硫黄化合物(VSC)、揮発性窒素化合物、低級脂肪酸などが報告されている。これらのうち、官能試験の臭い強度と、口腔内から検出される濃度との間で強い相関性を示すことが報告されているのはVSCである。口腔内気体中から検出されるVSCには、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィドの3種類が単独、あるいは混在して認められる。他の物質は呼気中から検出されるが、ヒトのにおい閾値以上の濃度を検出することは稀である。口臭の主原因であるVSCは、口腔内細胞の残骸や食物中の含硫アミノ酸を基質として、口腔内の嫌気性菌の代謝によって産生される。特に、細菌のcystathionine-β-syntase、cystathionine-γ-lyaseの関与により、システインから硫化水素が、L-methionine-γ-lyaseの関与によりメチオニンからメチルメルカプタンが産生される。
【0003】
VSCは悪臭物質としてだけではなく、強力な生体毒性を有する。VSCにより、バリアー機能を持つ粘膜の透過性を亢進し、また繊維芽細胞のコラーゲン合成阻害、および上皮基底膜の損傷を促進し、合成を阻害することが報告されている。特に、硫化水素はヒト白血球を用いた実験で、活性酸素の産生を増加させ、一方で、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)を強く阻害し、VSCが発癌性を有する可能性が示唆されている。そのため、口臭を抑制することが、口腔の健康を維持していく上で重要な意義になってくる。
【0004】
近年、口腔ケア、特に抗う蝕という観点から、糖アルコールの需要は増加しているものの、口臭に及ぼす糖アルコールの影響に関しては未解明のままである。
そこで、現在、シュガーレスガムに使用されている糖アルコールであるキシリトール、マルチトール、エリスリトール、およびラクチトールに関して口臭にどのような影響があるのか、唾液インキュベート試験、菌代謝阻害試験により評価を行った。
【0005】
糖アルコール類と口臭、消臭低減作用に関連する先行技術として、以下の特許文献がある。
特許文献1は、チューインガムの発明に関し、リン酸2水素カルシウム、グリセロリン酸カルシウムを含む組成物を、ガムベースと共に混練し、チューインガムを作製し、これを咀嚼し、口臭効果の即効性と持続性を10名のパネリストが官能評価した。その結果、キシリトール60%配合ガムの場合、即効性を認めたのが10/10人、持続性を認めたのが7/10人であった。これに対し、キシリトールをショ糖60%配合に置き換えた場合、即効性を認めたのが5/10人、持続性を認めたのが3/10人であった。尚、咀嚼時間、或いは即効性・持続性を認める具体的な時間についての記載はない。特許文献1の発明の詳細な説明0017において、チューインガム中にキシリトール、ソルビトール、エリスリトールからなる群から、1種又は2種以上の糖アルコールを含有することで口臭除去効果が向上し、その配合量はチューインガム全体の20〜85質量%、さらに30〜80質量%が望ましいと記載されている。
【0006】
特許文献2は、口腔用組成物に関する。口臭、特にメチオニナーゼに起因する口臭を防止、抑制する口腔用組成物を開示する。請求項1にマンニトール、マルチトール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群より選択される1種、または2種以上を含むことを記載しており、製品、製剤中において、通常0.1質量%以上、好ましくは1〜70質量%の割合で配合している。試料液にPorphyromonas.gingivalisの菌体懸濁液、メチオニンを加え、メチルメルカプタンを測定した結果、マルチトール1質量%を含む試料液では無添加と比較してメチオナーゼ活性を20.0%阻害するとの報告がなされている。
【0007】
特許文献3は、口臭成分洗浄組成物及びそれを含む口腔用組成物、チューインガム及び口中清涼菓子に関する。特に、口腔内のインドール、スカトール、フェノール、p−クレゾール等の匂い成分を洗浄する洗浄組成物、または口腔用組成物に関する。請求項4より炭素数4〜24の糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を含むことを記載しており、請求項5及び発明の詳細な説明0019より、口臭成分洗浄効果の高さから、上記の糖アルコールのうち特にソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、パラチニットが望ましいと報告されている。歯磨き剤を用いた実施例において、エリスリトール、マルチトールを配合したものは、口臭を有する被験者に対する使用30分後の口臭の低減が最も顕著であった(専門パネル3名による官能評価)。
【0008】
特許文献4は、相転移の口臭除去剤を開示し、特に、モノグリセリドを主基剤とし、ポリマー、ポリオール、口臭除去有効成分及び溶剤を含んでなる口臭除去剤を開示している。請求項14より、口臭除去有効成分として非発酵性糖アルコールを含むことを記載し、請求項16より、非発酵性糖アルコールとして、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニトール、パラチノース、オリゴ糖を記載している。特許文献4は、キシリトールを含んだ比較例、実施例を用いて官能評価による口臭除去効果の評価を行っているが、キシリトール含量と官能評価の結果に相関性は確認されていない。
【0009】
以上のように、従来技術においては、キシリトール、エリスリトール、マルチトールについては、実施例も含め、口臭低減効果を示す開示が認められた。しかし、ラクチトールについては、請求項に組成物、有効成分としての記述はあるものの、具体的な消臭効果を示す実施例は全く認められなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−325455号公報
【特許文献2】特開2003−160458号公報
【特許文献3】特開2004−203872号公報
【特許文献4】特表2009−500399
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、糖アルコールによる揮発性硫黄化合物の産生抑制を特徴とする口臭除去剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
口腔から発せられる不快な臭いの成分として、VSC、揮発性窒素化合物、低級脂肪酸などが報告されている。これらのうち、VSCは官能試験の臭い強度と、口腔内から検出される濃度との間で強い相関性を示すことが報告されている。糖アルコールの口臭に対する影響を確認するため、各糖アルコールのVSC発生に対する影響を調べたところ、エリスリトール、ラクチトール、マルチトールがpH非依存的に硫化水素、メチルメルカプタンの発生を抑制することを確認した。また、歯周病の主要な原因菌であるP.gingivalisに対し、ラクチトール、マルチトールが10%の濃度で硫化水素の産生量を約40〜60%まで減少させることを確認した。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、顕著な揮発性硫黄化合物の産生抑制作用を示すことから、含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤などの製剤として、また、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミ・ゼリー、ビスケット、チョコレート等の菓子、シャーベット、飲料等の食品として日常的に利用、摂取することが可能であり、口臭の改善及び予防に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】スクロースのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図2】キシリトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図3】エリスリトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図4−1】ラクチトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図4−2】中性条件下のラクチトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図5−1】マルチトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図5−2】中性条件下のマルチトールのVSC発生に対する影響を示すグラフである。
【図6−1】糖アルコール類の菌代謝阻害効果を示すグラフである。
【図6−2】糖アルコール類の菌代謝阻害効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明の一実施形態は、糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤である。
本発明の更なる一実施形態は、前記糖アルコールが、ラクチトールである上記に記載の口臭除去剤である。
本発明の別の一実施形態は、糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤からなる、含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、およびトローチ剤である。
本発明の更なる別の一実施形態は、糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤からなる食品である。
本発明の更なる別の一実施形態は、糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤を含有するチューインガム、キャンディ、錠菓、グミ・ゼリー、ビスケット、チョコレート等の菓子、シャーベット、飲料等の食品である。
本発明のもう一つの実施形態は、糖アルコールを有効成分とするメチオニンおよびシステイン代謝経路阻害による揮発性硫黄化合物の産生抑制剤である。
本発明の更にもう一つの実施態様は、前記糖アルコールが、ラクチトール、マルチトールである上記に記載の揮発性硫黄化合物の産生抑制剤である。
【0016】
以下、本願発明を具体的実施例により詳細に説明するが、これらにより本願発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
糖アルコール類の唾液インキュベート試験を以下のように行った。
【0018】
1−1. 試料の準備
試料としては、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトール、スクロースを用いた。それぞれ、適当な濃度になるよう脱イオン水に溶解し、試料溶液とした。
【0019】
1−2. 唾液インキュベート試験
健常な成人4名(A,B,C,D, 平均年齢32.0才)を被験者とし、試験は二連で実施した。朝9:00〜9:30の間に、各被験者から無刺激唾液を10ml採取した(採取する日は、朝食を取らず、歯磨きをしない)。採取した唾液は氷上で保存した。無刺激唾液1.0mlに試料溶液0.5mlを加え、37℃で23時間培養した。23時間培養後、サンプルを氷上に置いた。GC分析前にサンプルを37℃で15分間振とうし、ヘッドスペースガスをシリンジにより適当量とり、GC分析を行った。尚、中性条件下での試験は、リン酸カリウムバッファーを最終濃度20mMになるよう加え、反応液を中性領域に維持した。
【0020】
1−3. GC分析
GC分析に関しては、すべてAgilent社製のGC6890を用いた。分析カラムはHP-PLOTQ(30m×0.53mm×40μm)を用い、初期温度:70℃/2.5min、昇温:30℃/min、終温度:190℃/3.5min、注入口温度:200℃、検出器:FPD、検出器温度:200℃、流量:20ml/minの条件で分析した。RTに関しては、硫化水素が1.1min、メチルメルカプタンが4.0min、ジメチルモノスルフィドが5.6min、ジメチルジスルフィドが8.3minである。全てのサンプルは二連で行い、平均値として算出した。
【0021】
1−4. 結果
1. スクロースの効果
上記唾液インキュベート試験において、スクロースを最終濃度0.057、0.114%になるように添加した。その結果、最終濃度が0.057%のときは、pHに変化はなく、VSCの発生にもほとんど変化がなかったが、最終濃度が0.114%のときに、pHが5.5と酸性に傾き、硫化水素・メチルメルカプタンの発生も抑制された。これらの結果を図1に示す。
なお、反応液にリン酸バッファーを加えて培養したところ、スクロースの最終濃度が0.114%でも、反応液のpHは中性付近に保たれ、硫化水素・メチルメルカプタンの発生量は逆に上昇した。
スクロースのVSC抑制効果は、pH依存的なものであることが分かった。中性条件において、スクロースを添加することでVSCの発生量が上昇することについて、スクロースが口腔内細菌の栄養源となり、口臭原因菌が増加したことに起因するのではないかと考えられる。バッファーが無い条件では、スクロースにより、口腔内細菌が増加するが、スクロースが資化されることにより、乳酸などが排出され、pHが低下し、メチオニナーゼ活性、システイン代謝酵素活性が阻害されるため、もしくは口臭原因菌の増殖が抑制されるためにVSCの発生が抑制されると考えられる。
【0022】
2. キシリトールの効果
キシリトールに関して、最終濃度1.43%、5.7%の濃度で上記した唾液インキュベート試験を行った結果を図2に示す。キシリトールを使用した本試験では全パネラーにおいて、硫化水素・メチルメルカプタンの発生量、および反応液のpHに大きな変化はなかった。
【0023】
3. エリスリトールの効果
エリスリトールに関しては、図3に示すように、エリスリトールを添加しても、反応液のpHは変化しないが、硫化水素・メチルメルカプタンの発生量は添加濃度依存的に抑制された。
【0024】
4. ラクチトールの効果
ラクチトールに関しては、図4−1に示すように、ラクチトールの添加により、反応液のpHが変わらない人(2/4名)とpHが低下する人(2/4名)がいた。どちらのパネラーにおいても、硫化水素・メチルメルカプタンの発生量は抑制された。
また、図4−2に示すように、中性条件において、ラクチトールの効果を確認したところ、中性条件においてもメチルメルカプタンの発生を抑制した。
【0025】
5. マルチトールの効果
マルチトールに関しては、マルチトールの添加により、反応液のpHが変わらない人(1/4名)とpHが低下する人(3/4名)がいた。図5−1に示すように、全パネラーにおいて、マルチトールを添加しても硫化水素の発生量にほとんど変化は見られなかった。一方、メチルメルカプタンの発生はマルチトールの添加により抑制された。中性条件下では、図5−2に示すように、硫化水素の発生量は上昇する傾向にあったが、メチルメルカプタンの発生は抑制された。
【0026】
以上の結果から、in vitro試験系において、キシリトールがVSCの発生に悪影響を及ぼすことはないということが分かった。また、ラクチトール・マルチトール・エリスリトールに関してはpH非依存的にVSCの発生を抑制することが分かった。特に、ラクチトールに関してはエリスリトールよりも抑制効果が強かった。
【0027】
(実施例2)
糖アルコール類の菌代謝阻害試験を以下のように行った。
【0028】
2−1. 菌液の準備
菌株としては、F.nucleatumとP.gingivalisを用いた。
F.nucleatumはL-システイン塩酸塩を0.05%含む3%THB培地で嫌気的に1日培養した。1日培養後、550nmにおける吸光度が0.8以上であることを確認し、5000rpmで4分間遠沈し上清を捨てた。菌体を生理食塩水に懸濁させ、再び同様の操作を行い、得られた菌体をもとの菌液の2倍量の生理食塩水に懸濁させ、氷冷しながら試験に供した。
P.gingivalisはTSB培地(3% Tripticase Soy Broth, 0.3% Yeast Extract, 0.0005% hemin, 0.00005% menadione )で嫌気的に1日培養した。1日培養後、550nmにおける吸光度が1.4以上であることを確認し、上記と同様の方法で菌液の調製を行った。
【0029】
2−2. メチオニン代謝経路阻害試験
試験管に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)2.47mlと被験液0.03mlを入れた。ヘッドスペースを混合ガス(窒素:水素:炭酸ガス=8:1:1)で置換後、シリコン栓で密封、攪拌し、37℃の水浴に保温した。5分経過後菌液0.2mlを、ツベルクリン注射器を用いて注入し、攪拌し保温した。5分後にL-メチオニン溶液(0.5%)0.3mlを、ツベルクリン注射器を用いて注入、攪拌し、10分間37℃で保温した。ヘッドスペースガス500μlを抜き取りGC分析でメチルメルカプタン量を測定した。GC分析条件は上記1-3と同様に行った。
【0030】
2−3. システイン代謝経路阻害試験
基質としてL−システインを使用した以外は、上記メチオニン代謝経路阻害試験と同様な方法でシステイン代謝経路阻害試験を行った。
【0031】
2−4.結果
1. メチオニン代謝経路阻害試験
Fusobacterium nucleatum(以下、F.nucleatumと略す)およびPorphyromonas gingivalis(以下、P.gingivalisと略す)メチオニン代謝経路に対する、糖アルコールおよびスクロースの阻害活性を確認した結果を図6−1の(a)、(b)に示す。F.nucleatumメチオニン代謝経路に対しては、ポジティブコントロールである塩化亜鉛はfinal 100ppmでメチルメルカプタンの発生率を40%まで減少させた。一方、どの糖アルコールも、final 10%の濃度ではメチルメルカプタンの発生量を80%程度まで抑制し、非常に弱いながらメチオニン代謝阻害活性が認められた。また、P.gingivalisのメチオニン代謝経路に対しては、ポジティブコントロールの塩化亜鉛がメチルメルカプタンの発生率を60%まで抑制した。また、ラクチトール、マルチトールは弱いながらもメチルメルカプタンの発生量を80〜90%程度まで抑制したが、キシリトール、エリスリトールについては明確な阻害効果が認められなかった。
【0032】
2. システイン代謝経路阻害試験
F.nucleatumおよびP.gingivalisシステイン代謝経路に対する、糖アルコールおよびスクロースの阻害活性を確認した結果を図6−2の(c)、(d)に示す。F.nucleatumシステイン代謝経路に対しては、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトールはfinal 10%の濃度で硫化水素の産生量を約60〜80%近くまで減少させた。スクロースに関しては、硫化水素の発生量を約40%まで抑制した。また、P.gingivalisシステイン代謝経路に対しては、ラクチトール、マルチトール、スクロースがfinal 10%の濃度で硫化水素の産生量を約40〜60%まで減少させた。一方、キシリトール、エリスリトールに関しては、明瞭な効果は認められなかった。
【0033】
以上の結果から、F.nucleatumに対しては、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マルチトールがメチオニン、システインの両代謝経路を弱いながら阻害している。一方、P.gingivalisに対しては、ラクチトールとマルチトールのみが、システイン代謝経路を強く阻害している。したがって、糖アルコールの口臭抑制作用の一機構としてシステイン・メチオニン代謝阻害効果が起因している可能性が示唆された。
【0034】
次に、本発明の口臭除去剤を含有する含そう剤、練り歯磨き、マウススプレー、トローチ、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー、飲料を常法にて製造した。以下にそれらの処方を示した。なお、これらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【0035】
(実施例3)
下記処方に従って含そう剤を製造した。
エタノール 2.0重量%
ラクチトール 10.0
香料 1.0
水 残
100.0
【0036】
(実施例4)
下記処方に従って練り歯磨きを製造した。
炭酸カルシウム 40.0重量%
グリセリン 10.0
マルチトール 20.0
カルボオキシメチルセルロース 2.0
ラルリル硫酸ナトリウム 2.0
香料 1.0
サッカリン 0.1
クロルヘキシジン 0.01
水 残
100.0
【0037】
(実施例5)
下記処方に従ってマウススプレーを製造した。
エタノール 10.0重量%
グリセリン 5.0
ラクチトール 10.0
マルチトール 10.0
香料 0.05
着色料 0.001
水 残
100.0
【0038】
(実施例6)
下記処方に従ってトローチを製造した。
マルチトール 72.3重量%
キシリトール 20.0
アラビアガム 6.0
香料 1.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
100.0
【0039】
(実施例7)
下記処方に従ってチューインガムを製造した。
ガムベース 20.0重量%
マルチトール 45.0
ラクチトール 33.0
香料 2.0
100.0
【0040】
(実施例8)
下記処方に従ってキャンディを製造した。
マルチトール 50.0重量%
還元水あめ 34.0
クエン酸 2.0
香料 0.2
水 残
100.0
【0041】
(実施例9)
下記処方に従って錠菓を製造した。
マルチトール 76.1重量%
ラクチトール 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
水 4.5
100.0
【0042】
(実施例10)
下記処方に従ってグミゼリーを製造した。
ゼラチン 60.0重量%
還元水あめ 21.40
マルチトール 11.5
植物油脂 4.5
リンゴ酸 2.0
香料 0.5
100.0
【0043】
(実施例11)
下記処方に従って飲料を製造した。
オレンジ果汁 30.0重量%
ラクチトール 15.0
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.04
香料 0.1
水 残
100.0
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の糖アルコールを配合した口臭除去剤は、ガム、キャンディ、錠菓等への適用が可能であり、さらに口臭除去特定保健用食品への適用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤
【請求項2】
前記糖アルコールが、ラクチトールである請求項1に記載の口臭除去剤。
【請求項3】
糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤からなる、含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤。
【請求項4】
前記糖アルコールが、ラクチトールである請求項3に記載の含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤。
【請求項5】
糖アルコールを有効成分とする口臭除去剤からなる食品。
【請求項6】
前記糖アルコールが、ラクチトールである請求項5に記載の食品。
【請求項7】
糖アルコールを有効成分とするメチオニンおよびシステイン代謝経路阻害による揮発性硫黄化合物の産生抑制剤。
【請求項8】
前記糖アルコールが、ラクチトール、マルチトールである請求項7に記載の揮発性硫黄化合物の産生抑制剤。
【請求項9】
糖アルコールを有効成分とするメチオニンおよびシステイン代謝経路阻害による揮発性硫黄化合物の産生抑制剤からなる、含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤。
【請求項10】
前記糖アルコールが、ラクチトール、マルチトールである請求項9に記載の含そう剤、練り歯磨き剤、吸入剤、トローチ剤。
【請求項11】
糖アルコールを有効成分とするメチオニンおよびシステイン代謝経路阻害による揮発性硫黄化合物の産生抑制剤からなる食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【公開番号】特開2011−20936(P2011−20936A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165556(P2009−165556)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】