説明

口蹄疫ウイルス(FMDV)コンセンサスタンパク質、そのコード配列およびそれから生成されるワクチン

本明細書で提供されるのは、口蹄疫のFMDVサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、およびSAT3のFMDV VP1〜4コートタンパク質のコンセンサスアミノ酸配列を含む核酸、ならびに該配列を発現するプラスミドおよびワクチンである。同じく本明細書で提供されるのは、先に記載されたワクチンを用いた1種以上のFMDVサブタイプに対する免疫反応を生成する方法、ならびにワクチンを接種されたホ乳類とFMDVに感染したそれらとを判別する方法である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、合成のコンセンサス口蹄疫ウイルス(FMDV)免疫原性タンパク質およびそのようなタンパク質をコードする核酸分子、FMDVのワクチン、FMDVへの免疫反応を誘導する方法、FMDVに感染した個体とFMDVのワクチンを接種された個体とを判別する方法、ならびに個体をFMDVに対して予防的および/または治療的に免疫化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
口蹄疫は、ウシ、ブタ、ヤギおよびシカをはじめとする家畜および野生の偶蹄目動物の高度伝染性疾患であり、宿主内で急速に複製して接触した感受性動物に伝播する。該疾患は、発熱、跛行、ならびに舌、足、鼻、および乳首の水疱性病変を特徴とし、罹患率は高いが、成体動物の死亡率は低い。原因物質は、口蹄疫ウイルス(FMDV)というピコルナウイルス科(Picornaviridae family)アフトウイルス属(Aphthovirus genus)のタイプ種である。FMDVは、4種の構造タンパク質VP1〜4それぞれを60コピー有する正二十面体カプシドによって取り囲まれた、ほぼ8500塩基の一本鎖プラスセンスRNAゲノムであり、A、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、およびSAT3をはじめとする複数のサブタイプを有し、抗原多様性が高い。1997年の台湾、2001年の英国およびオランダをはじめ、過去に疾患が発生しなかった複数の国々で近年になり口蹄疫が集団発生し、また南米の複数の国々で発生したことは、経済的崩壊性のあるウイルスであることを認識させた。更に、テロリストがFMDVの使用により、年間1000億米ドルの畜産業など国家を標的とした攻撃をする可能性があり、世界全体の問題となっている。
【0003】
過去の、FMDVを制御する手段としては、感染動物または接触動物の殺処分、および除染が挙げられる。FMDV発生により家畜を殺処分した国では、最後の発生後3ヶ月間、FMDVの非存在状態を経た場合のみ、畜産業を再開することができる。動物にワクチン接種を行い殺処分を行わなかった国では、FMDの非存在状態を回復するのに丸々一年待たなければならないため、各国では通常、FMDV発生を処理するための動物へのワクチン接種を、最後の手段として用いる。しかし、各国はFMDVの発生前に動物にワクチン接種して、FMDの非存在状態を保持できるように期待している。
【0004】
過去にFMDVワクチンは、化学的に不活化された全ウイルス抗原を、アジュバントと一体化して含んでいたが、これには欠点があり、ワクチン製造に高価な高度密閉施設が必要である。過去25〜30年間にわたり、研究者らは、単回接種後に防御をもたらすワクチンの開発を試みてきた。これらの努力には、ウイルス粒子から精製されたVP1、生物工学的に作られたVP1、VP1ペプチド、化学合成されたVP1ペプチド、VP1エピトープを発現する生ベクターの使用、VP1エピトープをコードするDNAの接種、およびFMDV感染培養物から生成された全カプシドタンパク質VP1〜4の使用または複製欠損ヒトアデノウイルス5型(Ad5)ベクターを介したVP1〜4カプシドの送達が含まれる。これらのアプローチは全て、FMDVウイルスのサブタイプ全てにまたがるエピトープをわずかな数しか接種動物に供与しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって当該技術分野では、FDMVの様々なサブタイプにまたがる複数のFMDVエピトープへの防御をもたらすのに適したワクチン、およびFMDVに感染したホ乳類を診断する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本明細書で提供されるのは、口蹄疫ウイルスサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3、SAT4のVP1〜4のコンセンサスアミノ酸配列をコードする配列、またはその相補配列を含む単離された核酸である。核酸は、(a)配列番号17〜23;(b)24〜30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;(c)(a)の80%変異体;および(a)または(b)の相補配列、からなる群より選択される配列を含んでいてもよい。同じく提供されるのは、先に記載された配列からなる異種配列を含むベクターである。
【0007】
同じく本明細書で提供されるのは、複数の口蹄疫ウイルス(FMDV)サブタイプに対する免疫反応をホ乳類体内で生成することが可能なワクチンであり、ここでワクチンは、1種以上のFMDVサブタイプのカプシドタンパク質VP1〜4を含むコンセンサスFMDV抗原をコードするコード配列に機能的に連結したプロモータを含むDNAプラスミドと、薬学的に許容しうる賦形剤とを含み、ここでDNAプラスミドは、ホ乳類細胞中のコンセンサスFMDV抗原を、ホ乳類体内での免疫反応を誘発するのに効果的な量で発現することが可能である。ワクチンにより、FMDVサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせに対する免疫反応を生成してもよい。ワクチンのプラスミドのコード配列は、配列番号1〜7またはそれらの組み合わせからなる群より選択されるFMDV抗原のものであってもよい。ワクチンのプラスミドのコード配列は、IgGまたはIgEであるN末端リーダー配列を更に含んでいてもよい。ワクチンのプラスミドは、コード配列の3’末端に続くポリアデニル化配列を更に含んでいてもよい。ワクチンのプラスミドは、サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3からのコンセンサスFMDV 3Cプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列を更に含んでいてもよい。FMDV 3Cプロテアーゼのヌクレオチド配列は、配列番号15であってもよく、配列番号16に示されたアミノ酸配列によりコードされていてもよい。ワクチンのプラスミドは、最適化されたコドンであってもよい。FMDV抗原のコード配列は、配列番号7〜14をはじめとするVP1〜4および3Cプロテアーゼを含んでいてもよい。ワクチンの薬学的に許容しうる賦形剤は、アジュバントであってもよく、該アジュバントは、IL−2またはIL−15であってもよい。ワクチンの薬学的に許容しうる賦形剤は、トランスフェクション促進剤であってもよい。トランスフェクション促進剤は、6mg/ml未満の濃度のポリアニオン、ポリカチオンまたは脂質、例えば、ポリ−L−グルタマートであってもよい。ワクチンを、ブタ、反芻動物、ヒトまたは霊長類に投与してもよい。ワクチンにより、体液反応もしくは細胞反応、または体液反応と細胞反応の両方を誘発してもよい。
【0008】
同じく本明細書で提供されるのは、複数の口蹄疫ウイルス(FMDV)サブタイプに対して免疫反応をホ乳類体内で生成することが可能なワクチンであり、ここでワクチンは、サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上のFMDVサブタイプからのカプシドタンパク質VP1〜4を含むコンセンサスFMDV抗原をコードするコード配列に機能的に連結したプロモータを含むDNAプラスミド1種以上と、薬学的に許容しうるその賦形剤とを含み、ここでDNAプラスミドは、ホ乳類細胞中のコンセンサスFMDV抗原を、ホ乳類体内での免疫反応を誘発するのに効果的な量で発現することが可能である。FMDV抗原のコード配列は、配列番号1〜7またはそれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。ワクチンのプラスミドは、サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のためのFMDVのコンセンサス3Cプロテアーゼをコードするヌクレオチド配列を更に含んでいてもよく、配列番号15で示されるヌクレオチド配列を含んでいてもよい。該ワクチンをホ乳類、例えばブタ、反芻動物、ヒトまたは霊長類に投与してもよい。該ワクチンにより、ホ乳類体内における免疫反応、例えば、体液反応、細胞反応、または体液反応と細胞反応の両方を誘発してもよい。
【0009】
同じく本明細書で提供されるのは、複数のFMDVサブタイプに対する免疫反応をホ乳類体内で生成することが可能なワクチンであり、ここでワクチンは、口蹄疫ウイルス(FMDV)サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のカプシドタンパク質VP1〜4をコードするコンセンサスアミノ酸配列を1種以上含む抗原と、薬学的に許容しうるその賦形剤とを含む。FMDV抗原のコードアミノ酸配列は、配列番号24〜30であってもよい。薬学的に許容しうる賦形剤は、IL−2およびIL−15からなる群より選択されるアジュバントであってもよい。ワクチンの薬学的に許容しうる賦形剤は、トランスフェクション促進剤であってもよい。トランスフェクション促進剤は、6mg/ml未満の濃度のポリアニオン、ポリカチオンまたは脂質、例えば、ポリ−L−グルタマートであってもよい。ワクチンをホ乳類、例えばブタ、反芻動物、ヒトまたは霊長類に投与してもよい。ワクチンにより、ホ乳類体内における免疫反応、例えば、体液反応、細胞反応、または体液反応と細胞反応の両方を誘発してもよい。
【0010】
同じく本明細書で提供されるのは、請求項1または21に記載のDNAプラスミドワクチンをホ乳類組織に送達すること、およびDNAプラスミドを細胞に侵入させるのに効果的な定電流のエネルギーパルスで組織の細胞を電気穿孔すること、を含む、ホ乳類体内の複数のFMDVウイルスサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法である。該方法における請求項1記載のDNAプラスミドの送達は、DNAプラスミドワクチンを皮膚間、皮下、または筋肉の組織に注射することを含んでいてもよい。電流およびエネルギーパルスを、既存の電流と等しい定電流でプリセットすることにより、該方法のDNAプラスミドを送達してもよい。該方法の電気穿孔ステップは、電気穿孔された細胞中のインピーダンスを測定すること、エネルギーパルスのエネルギーレベルを測定されたインピーダンスに対して調整して、電気穿孔された細胞中で定電流を保持することを更に含んでいてもよく、ここで測定および調整ステップは、エネルギーパルスの寿命内で行われる。電気穿孔ステップは、エネルギーパルスを分散パターンで送達するパルスシーケンスパターンにより、エネルギーパルスを複数の電極に送達することを更に含んでいてもよい。
【0011】
同じく提供されるのは、ホ乳類から液体試料を単離すること、ホ乳類の液体試料から抗体を単離すること、およびステップbから単離された抗体を、請求項3記載のワクチンを接種された対照ホ乳類と比較すること、を含む、FMDVに感染したホ乳類を診断する方法であり、ここで対照ホ乳類はFMDV VP1〜4タンパク質への抗体のみを有し、感染したFMDVホ乳類はFMDV VP1〜4タンパク質およびFMDV非構造タンパク質への抗体を有する。非構造タンパク質は、FMDV 2C、3A、および3Dポリメラーゼであってもよい。
【0012】
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42のうちの1種以上、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される1種以上の配列を有するタンパク質をコードする配列を含む単離された核酸分子が、提供される。
【0013】
幾つかの実施形態において、核酸配列は、リーダー配列のためのコード配列を有する、または有さない配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、その相補配列、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41に対して80%相同的な核酸分子、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される。
【0014】
そのような核酸分子ならびに/またはリーダー配列を有する、もしくは有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、ならびに少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、からなる群より選択されるタンパク質1種以上を含むワクチンが、提供される。
【0015】
同じく提供されるのは、リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、13、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、ならびに少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、からなる群より選択されるタンパク質を1種以上含む組成物である。
【0016】
ホ乳類体内の1種以上のFMDVウイルスサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法が、提供される。本明細書および幾つかの実施形態に開示されたワクチンの使用を含む方法は、FMDV免疫原性配列を有するタンパク質をコードする核酸分子をホ乳類の組織に投与するステップと、DNAプラスミドを細胞に侵入させるのに効果的な定電流のエネルギーパルスで組織の細胞を電気穿孔するステップとを含んでいてもよい。
【0017】
FMDVに感染したホ乳類を、本明細書に開示された工程によりワクチン接種されたホ乳類体内で診断する方法も、提供される。該方法は、ワクチン接種されたホ乳類から液体試料を単離すること、および前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質および/または前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質に対する抗体の存在を検出すること、を含む。そのようなFMDVタンパク質および/またはそのようなFMDVタンパク質に対する抗体の存在は、ワクチン接種されたホ乳類がFMDVに感染していることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
コンセンサスアミノ酸配列を、多重FMDVタンパク質と様々なセロタイプからの個々のFMDVタンパク質とを含む融合タンパク質に関して生成させた。該タンパク質をコードする核酸分子も、生成させた。
【0019】
本発明の一態様において、コンセンサスFMDVタンパク質VP1、VP2、VP3、VP4および/または3Cと、これらのタンパク質をコードする核酸配列とを含む融合タンパク質が存在し、それを生成させてワクチン中で使用し、A、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、およびSAT3をはじめとするFMDVの1種以上のサブタイプにまたがる口蹄疫に対するホ乳類の防御を提供することができる。
【0020】
本発明の別の態様において、2種の異なるサブタイプからの、コンセンサスFMDVタンパク質VP1と、このタンパク質をコードする核酸配列とを含む融合タンパク質が存在し、それを生成させてワクチン中で使用し、A、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、およびSAT3をはじめとするFMDVの1種以上のサブタイプにまたがる口蹄疫に対するホ乳類の防御を提供することができる。
【0021】
本発明の別の態様において、コンセンサスFMDVタンパク質VP1と、それをコードする核酸配列とが存在し、それを生成させてワクチン中で使用し、A、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、およびSAT3をはじめとするFMDVの1種以上のサブタイプにまたがる口蹄疫に対するホ乳類の防御を提供することができる。
【0022】
科学的理論に束縛されるものではないが、FMDVの1種以上のサブタイプのためのコンセンサスアミノ酸配列VP1、VP2、VP3、および/またはVP4を対象とするワクチンが、FMDVの各サブタイプ内の大部分の種に対して効果的な免疫反応(体液、細胞、またはその両方のいずれか)を誘発するのに効果的となるエピトープの大きなレパートリーを提示する。本発明は、ホ乳類に投与してFMDVへの予防的防御を提供するために、FMDVサブタイプのこれらのコンセンサスアミノ酸VP1、VP2、VP3、および/またはVP4配列を用いて、ワクチン中で用いられる適切なプラスミドおよびタンパク質を生成させることに関する。同じく本発明は、FMDV VP1、VP2、VP3、および/またはVP4抗原のこれらのコンセンサス配列を用いることで、FMDVの非構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼを対象とする抗体の検出を介して、適切にワクチン接種されてFMDVに感染しなかったホ乳類と、感染したホ乳類とを同定および判別する診断方法に関する。
【0023】
科学的理論に束縛されるものではないが、VP1は、VP1のコンセンサスアミノ酸配列を対象とするワクチンにとって、優れた免疫原性ターゲットである。VP1は、卓越した免疫原である。
【0024】
1.定義
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、限定を意図するものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確に示されない限りは、複数の指示対象を包含する。
【0025】
本明細書における数値的範囲の引用では、同程度の正確さを含む、それらの間に介入する各数字が、明白に予期される。例えば、6〜9の範囲では、6および9に加えて、数値7および8が予期され、範囲6.0〜7.0では、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が、明白に予期される。
【0026】
a.アジュバント
本明細書で用いられる「アジュバント」は、本明細書に記載されたDNAプラスミドワクチンに添加されて、DNAプラスミドおよび本明細書の以後に記載されるコード核酸配列によりコードされる口蹄疫ウイルス(FMDV)抗原の抗原性を向上させる任意の分子を意味してもよい。
【0027】
b.抗体
「抗体」は、Fab、F(ab’)2、Fdおよび一本鎖抗体、ジアボディ、二特異性抗体、二機能性抗体およびそれらの誘導体をはじめとする分類IgG、IgM、IgA、IgDもしくはIgE、またはフラグメントの抗体、あるいはそのフラグメントまたは誘導体を意味してもよい。抗体は、所望のエピトープまたはそれから誘導された配列に十分な結合特異性を示すホ乳類の血清試料、ポリクローナル抗体、アフィニティ精製抗体、またはそれらの混合物から単離された抗体であってもよい。
【0028】
c.コード配列
本明細書で用いられる「コード配列」または「コード核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味してもよい。コード配列は、核酸を投与される個体またはホ乳類の細胞中での発現を指導することが可能なプロモータおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に機能的に連結された開始および終結シグナルを更に含んでいてもよい。
【0029】
d.相補配列
本明細書で用いられる「相補配列」または「相補的な」は、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の間のワトソン・クリック型(例えば、A−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン型塩基対を意味する核酸を意味してもよい。
【0030】
e.コンセンサスまたはコンセンサス配列
本明細書で用いられる「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、特定のインフルエンザ抗原の複数のサブタイプのアライメントの分析に基づいて構築され、特定のインフルエンザ抗原の複数のサブタイプまたはセロタイプに対して広範囲の免疫性を誘導するために用いうる、合成核酸配列または対応するポリペプチド配列を意味してもよい。コンセンサスFMDV抗原は、VP1、VP2、VP3、VP4、およびC2プロテアーゼヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含んでいてもよい。同じく合成抗原、例えば融合タンパク質をコンセンサス配列(またはコンセンサス抗原)に操作してもよい。
【0031】
f.定電流
本明細書で用いられる「定電流」は、組織に送達された電気パルスの持続時間にわたり、組織、または前記組織を画定する細胞が受容または経験した電流を定義する。電気パルスは、本明細書に記載された電気穿孔装置から送達される。本明細書で提供された電気穿孔装置は、好ましくは瞬時フィードバックを有する、フィードバック要素を有するため、この電流は、電気パルスの寿命内では前記組織中で一定アンペアを維持する。フィードバック要素は、パルスの持続時間を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置の電気エネルギー出力を変化させる(例えば、電圧を上昇させる)ことができ、それにより同じ組織内の電流は、電気パルスを通して(μ秒の単位)、そしてパルスとパルスの間は一定を維持する。幾つかの実施形態において、フィードバック要素は、制御装置を含む。
【0032】
g.電流フィードバックまたはフィードバック
本明細書で用いられる「電流フィードバック」または「フィードバック」は、互換的に用いられてもよく、電極間で組織内電流を測定すること、および該電流をそれに応じて一定レベルに保持するためにEP装置により送達されるエネルギー出力を変化させること、を含む、提供された電気穿孔装置の活性応答を意味してもよい。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気的処理の開始前にユーザーによりプリセットされる。装置内の電気回路では、電極間の組織内電流を連続してモニタリングして、モニタリングされた電流(または組織内電流)をプリセット電流と比較することができ、そしてエネルギー出力調整を連続して行ってモニタリングされた電流をプリセットレベルに保持することができるため、フィードバックは電気穿孔装置の電気穿孔成分、例えば制御装置により遂行されてもよい。フィードバックループは、類似の閉回路フィードバックであるため、瞬時であってもよい。
【0033】
h.分散された電流
本明細書で用いられる「分散された電流」は、本明細書に記載された電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味してもよく、そのパターンにより、電気穿孔されている組織の任意の領域での電気穿孔関連の熱性ストレスの発生が最小になるか、または好ましくは排除される。
【0034】
i.電気穿孔
本明細書で互換的に用いられる「電気穿孔」、「電気可透過化」、または「電気的運動促進」(「EP」)は、膜貫通電場パルスの使用により生体膜中で顕微鏡的経路(細孔)を誘導することを指してもよく、それらの存在により、生体分子、例えばプラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水が細胞膜の一方の側から他方の側に通過する。
【0035】
j.フィードバック機構
本明細書で用いられる「フィードバック機構」は、所望の組織のインピーダンス(エネルギーパルスの送達前、送達時および/または送達後)を受けて既存の値、好ましくは電流と比較し、送達されたエネルギーパルスを調整してプリセット値を実行する、ソフトウエアまたはハードウエア(またはファームウエア)により実施される工程を指してもよい。フィードバック機構は、類似の閉回路により実施してもよい。
【0036】
k.フラグメント
本明細書で用いられる「フラグメント」は、少なくとも1種のFMDVサブタイプ、例えばA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のための非フラグメントの免疫反応と実質的に類似した、ホ乳類体内での免疫反応を誘発することが可能なポリペプチドをコードする部分または核酸を意味してもよい。該フラグメントは、配列番号1〜7および15〜21をはじめとする、本発明の様々なコードヌクレオチド配列の少なくとも1種から選択されたDNAフラグメントであってもよい。該フラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41の核酸配列の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含んでいてもよい。該フラグメントがアミノ酸21、86、127、129、154、156、182、195、206、218、220、237、249、255、265、271または275のうちの1種以上を含むことを条件とし、該フラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含んでいてもよい。そのようなフラグメントは全て、アミノ酸を任意に除外してもよい。該DNAフラグメントは、30以上のヌクレオチド長、45以上、60以上、75以上、90以上、120以上、150以上、180以上、210以上、240以上、270以上、300以上、360以上、420以上、480以上、540以上、600以上、660以上、720以上、780以上、840以上、900以上、960以上、1020以上、1080以上、1140以上、1200以上、1260以上、1320以上、1380以上、1440以上、1500以上、1560以上、1620以上、1680以上、1740以上、1800以上、1860以上、1820以上、1880以上、1940以上、2000以上、2600以上、2700以上、2800以上、2900以上、2910以上、2920以上、2930以上、2931以上、2932以上、2933以上、2934以上、2935以上、2936以上、2937以上、または2938以上のヌクレオチド長であってもよい。
【0037】
DNAフラグメントは、免疫グロブリンリーダーのためのコード配列、例えばIgEまたはIgG配列を含んでいてもよい。
【0038】
DNAフラグメントは、10未満のヌクレオチド、20未満、30未満、40未満、50未満、60未満、75未満、90未満、120未満、150未満、180未満、210未満、240未満、270未満、300未満、360未満、420未満、480未満、540未満、600未満、660未満、720未満、780未満、840未満、900未満、960未満、1020未満、1080未満、1140未満、1200未満、1260未満、1320未満、1380未満、1440未満、1500未満、1560未満、1620未満、1680未満、1740未満、1800未満、1860未満、1820未満、1880未満、1940未満、2000未満、2600未満、2700未満、2800未満、2900未満、2910未満、2920未満、2930未満、2931未満、2932未満、2933未満、2934未満、2935未満、2936未満、2937未満、または2938未満のヌクレオチドであってもよい。
【0039】
「フラグメント」は、少なくとも1種のFMDVサブタイプ、例えばA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のための非フラグメントの免疫反応と実質的に類似したホ乳類体内での免疫反応を誘発することが可能なポリペプチドフラグメントを意味してもよい。該フラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42をはじめとする本発明の様々なコードポリペプチド配列の少なくとも1種から選択されたポリペプチドフラグメントであってもよい。ポリペプチドフラグメントを分析して、Los Alamos National LaboratoryのFMDV Sequence Databaseなどの公的に入手可能なデータベースによって提供される少なくとも1種の抗原エピトープと接触させでもよい。タンパク質のフラグメントは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を含んでいてもよい。ポリペプチドは、免疫グロブリンリーダーのためのアミノ酸配列、例えばIgEまたはIgGを含んでいてもよい。ポリペプチドフラグメントは、30以上のアミノ酸長、45以上、60以上、75以上、90以上、120以上、150以上、180以上、210以上、240以上、270以上、300以上、360以上、420以上、480以上、540以上、600以上、660以上、または710以上のアミノ酸長であってもよい。ポリペプチドフラグメントは、10未満のアミノ酸、20未満、30未満、40未満、50未満、60未満、75未満、90未満、120未満、150未満、180未満、210未満、240未満、270未満、300未満、360未満、420未満、480未満、540未満、600未満、660未満、700未満、701未満、702未満、703未満、704未満、705未満、706未満、707未満、708未満、709未満、または710未満のアミノ酸長であってもよい。
【0040】
l.相同性
マルチプル配列アラインメントの相同性を、ClustalW (http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw2/index.html)を用いて生成させてもよい。
【0041】
m.同一性のある
2種以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、本明細書で用いられる「同一性のある」または「同一性」は、特定領域で同一となる特定割合の残基をその配列が有することを意味してもよい。割合は、2つの配列を最適にアライニングすること、特定領域で2つの配列を比較すること、同一残基が両方の配列内に生じる位置の数を決定して適合位置の数を得ること、適合位置の数を特定領域の位置の総数で割ること、およびその結果に100を乗じて配列同一性の割合を得ること、により計算してもよい。2つの配列が異なる長さであるか、またはアライメントが1つ以上のねじれ型末端を生成していて、比較される特定領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は、計算の分子ではなく分母中に含まれる。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は同等であると見なしてもよい。同一性は、手動で実施してもよく、またはBLASTもしくはBLAST 2.0などのコンピューター配列アルゴリズムを用いることにより実施してもよい。
【0042】
n.インピーダンス
本明細書で用いられる「インピーダンス」は、フィードバック機構を議論する際に用いてもよく、オームの法則により電流値に変換することができ、こうしてプリセット電流と比較することができる。
【0043】
o.免疫反応
本明細書で用いられる「免疫反応」は、提供されたDNAプラスミドワクチンを介したFMDVコンセンサス抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えばホ乳類の免疫系の活性化を意味してもよい。免疫反応は、細胞反応もしくは体液反応、またはその両方の形態であってもよい。
【0044】
p.核酸
本明細書で用いられる「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合的に連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味してもよい。一本鎖の表示は、相補鎖の配列も定義する。つまり核酸は、表示された一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くの変異体を、所定の核酸と同じ目的で用いてもよい。つまり核酸は、実質的に同一の核酸およびその相補配列も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ターゲット配列にハイブリダイズしうるプローブを提供する。つまり核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0045】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または二本鎖配列と一本鎖配列の両方の部分を含んでいてもよい。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAの両方、RNAまたはハイブリッドであってもよく、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシンおよびイソグアニンをはじめとする塩基の組み合わせを含んでいてもよい。核酸は、化学合成法または組換え法により得られてもよい。
【0046】
核酸は、一般にホスホジエステル結合を含むが、異なる結合、例えば、ホスホラミダート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、またはO−メチルホスホロアミダイト結合と、ペプチド核酸バックボーンおよび結合と、を少なくとも1つ有しうる核酸類似体を含んでいてもよい。他の類似の核酸としては、参照により組み入れられた米国特許第5,235,033号および同第5,034,506号に記載されたものなど、正のバックボーン;非イオン性バックボーン;および非リボースバックボーンを有するものが挙げられる。非天然由来または修飾ヌクレオチドを1つ以上含む核酸も、核酸の一定義に含まれる。修飾ヌクレオチド類似体は、例えば、核酸分子の5’末端および/または3’末端に位置してもよい。ヌクレオチド類似体の代表的な例は、糖−またはバックボーン−修飾リボヌクレオチドから選択してもよい。しかし、5−位で修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば、5−(2−アミノ)プロピルウリジン、5−ブロモウリジン;8−位で修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば7−デアザアデノシン;O−およびN−アルキル化ヌクレオチド、例えばN6−メチルアデノシンなど、ヌクレオ塩基修飾リボヌクレオチド、即ち、天然由来ヌクレオ塩基の代わりに非天然由来ヌクレオ塩基を含むリボヌクレオチドも適していることに、留意しなければならない。2’−OH基が、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH、NHR、NRまたはCN(ここで、Rは、C〜Cアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロは、F、Cl、BrまたはIである)から選択される基により置換されていてもよい。修飾されたヌクレオチドは、例えば参照により本明細書に組み入れられたKrutzfeldt et al., Nature (Oct. 30, 2005)、Soutschek et al., Nature 432:173-178 (2004)および米国特許公開第20050107325号に記載された通り、例えばヒドロキシプロリノール結合を介して、コレステロールと共役したヌクレオチドを包含してもよい。修飾されたヌクレオチドおよび核酸は、参照により本明細書に組み入れられた米国特許第20020115080号に記載された通り、ロックされた核酸(LNA)を包含してもよい。追加の修飾ヌクレオチドおよび核酸は、参照により本明細書に組み入れられた米国特許公開第20050182005号に記載されている。リボース−リン酸バックボーンの修飾を、様々な理由で、例えば、生理学的環境でそのような分子の安定性および半減期を向上させるため、細胞膜を通した拡散を促進するため、またはバイオチップのプローブとして、実行してもよい。天然由来核酸と類似体との混合物を生成してもよく、あるいは異なる核酸類似体の混合物ならびに天然由来核酸と類似体との混合物を、生成してもよい。
【0047】
q.機能的に連結された
本明細書で用いられる「機能的に連結された」は、遺伝子の発現が空間的につながったプロモータの制御下にあることを意味してもよい。プロモータは、その制御下で遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置してもよい。プロモータと遺伝子の間の距離は、プロモータが誘導された遺伝子内では、そのプロモータとプロモータが制御する遺伝子との間の距離と、ほぼ同一であってもよい。当業者に公知の通り、この距離の変動は、プロモータ機能を喪失せずに適合させることができる。
【0048】
r.プロモータ
本明細書で用いられる「プロモータ」は、細胞内の核酸の発現を供与、活性化または促進させることが可能な合成または天然由来の分子を意味してもよい。プロモータは、発現を更に促進し、そして/またはその空間的発現および/もしくは時間的発現を変化させるために、1つ以上の特異的転写調節配列を含んでいてもよい。プロモータは、遠位のエンハンサまたはレプレッサ要素を含んでいてもよく、それは転写開始部位から何千もの塩基対に位置することができる。プロモータは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物をはじめとする供給源から誘導してもよい。プロモータは、遺伝子成分の発現を構成的に調節してもよく、あるいは発現が起こる細胞、組織もしくは臓器に関連して、または発現が起こる発達段階に関連して、または生理学的ストレス、病原、金属イオンもしくは導入剤などの外部刺激に応答して、変動的に調節してもよい。プロモータの代表的な例としては、バクレリオファージT7プロモータ、バクテリオファージT3プロモータ、SP6プロモータ、lacオペレータ−プロモータ、tacプロモータ、SV40後期プロモータ、SV40初期プロモータ、RSV−LTRプロモータ、CMV IEプロモータ、SV40初期プロモータまたはSV40後期プロモータ、およびCMV IEプロモータが挙げられる。
【0049】
s.ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件
本明細書で用いられる「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複合混合物中のように、第一の核酸配列(例えば、プローブ)が、第二の核酸配列(例えば、ターゲット)にハイブリダイズする条件を意味してもよい。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる環境では異なっている。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度、pHで特異的となる配列の熱融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるように選択してもよい。Tmは、ターゲットに相補的なプローブの50%が平衡状態でターゲット配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)であってもよい(ターゲット配列はTmでは過剰に存在するため、平衡状態でプローブの50%が占領される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、例えば、pH7.0〜8.3で0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または他の塩)濃度となり、温度が短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃となり、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチドを超える)では少なくとも約60℃となる条件であってもよい。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加により実現してもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションでは、正のシグナルは、バックグランドハイブリダイゼーションの少なくとも2〜10倍であってもよい。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、以下のものが挙げられる:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDS、42℃でインキュベート、または5×SSC、1%SDS、65℃でインキュベート、0.2×SSCで洗浄、ならびに65℃の0.1%SDS。
【0050】
t.実質的に相補性
本明細書で用いられる「実質的に相補性」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域で、第一の配列が第二の配列の相補配列に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であること、あるいは2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味してもよい。
【0051】
u.実質的に同一の
本明細書で用いられる「実質的に同一の」は、第一の配列が第二の配列の相補配列に実質的に相補性である場合に、第一の配列と第二の配列とが、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域で、あるいは核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であることを意味してもよい。
【0052】
v.サブタイプまたはセロタイプ
本明細書で互換的に、そしてFMDVウイルスに関連して用いられる「サブタイプ」または「セロタイプ」は、FMDVウイルス抗原の遺伝子変異体を意味しており、そのため1つのサブタイプは、異なるサブタイプとは別の免疫系によって認識される。
【0053】
w.変異体
核酸に関して本明細書で用いられる「変異体」は、(i)参照されるヌクレオチド配列の部分もしくはフラグメント;(ii)参照されるヌクレオチド配列もしくはその部分の相補配列;(iii)参照される核酸もしくはその相補配列と実質的に同一である核酸;または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照された核酸、その相補配列、もしくはそれと実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸、を意味してもよい。
【0054】
アミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1種の生物活性を保持している、ペプチドまたはポリペプチドに関する「変異体」。変異体は、少なくとも1種の生物活性を保持するアミノ酸配列を有する参照部分と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味してもよい。アミノ酸の保存的置換、即ち、アミノ酸と、類似の性質(例えば、親水性、帯電領域の程度および分布)を有する異なるアミノ酸との置換は、典型的には軽微な変化を含むことが、当該技術分野で認識されている。これらの軽微な変化は、当該技術分野で理解される通り、アミノ酸のハイドロパシーインデックスを考慮することにより、一部同定することができる。Kyte et al., J. Mol. Biol. 157:105-132 (1982)。アミノ酸のハイドロパシーインデックスは、その疎水性および荷電の考慮に基づく。類似のハイドロパシーインデックスを有するアミノ酸が、置換することができ、タンパク質の機能を依然として保持できることは、当該技術分野で公知である。一態様において、±2のハイドロパシーインデックスを有するアミノ酸が、置換されている。アミノ酸の親水性を利用して、生物学的機能を保持したタンパク質を生じる置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関連してアミノ酸の親水性を考慮することで、そのペプチドの最大の局所的平均親水性、つまり抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告された有用な指標を計算することができる。参照により本明細書に完全に組み入れられた米国特許第4,554,101号。当該技術分野で理解される通り、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換により、生物活性、例えば免疫原性を保持したペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸を用いて実施してもよい。アミノ酸の疎水性インデックスおよび親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖により影響を受ける。その観察と一致して、疎水性、親水性、荷電、寸法、および他の性質により明らにされた通り、生物学的機能に適合性のあるアミノ酸置換が、アミノ酸、特にそれらアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存することは理解されている。
【0055】
x.ベクター
本明細書で用いられる「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味してもよい。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であってもよい。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製する染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに統合されるベクターのいずれかであってもよい。
【0056】
2.FMDVタンパク質
本明細書で提供されるのは、1種以上の口蹄疫ウイルス(FMDV)サブタイプに対してホ乳類体内で免疫反応を誘発することが可能な抗原である。抗原は、カプシドタンパク質VP1、VP2、VP3、VP4、そのコンセンサス、その変異体、そのフラグメントまたはそれらの組み合わせを含むFMDV抗原であってもよい。FMDV抗原は、FMDVサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のものであってもよい。FMDV抗原は、免疫反応を誘導しうる特定のFMDV免疫原に対して効果的となりうる抗原エピトープを少なくとも1つ含んでいてもよい。FMDV抗原のエンプティウイルスカプシドタンパク質VP1〜4は、インタクトFMDVウイルス中に存在する免疫原性部位およびエピトープの全体的レパートリーを提供する。コンセンサスFMDV抗原配列は、1種のFMDVサブタイプの複数のFMDVウイルスのFMDV抗原配列から得てもよい。コンセンサスFMDV抗原は、VP1、VP2、VP3、およびVP4 FMDVサブタイプコンセンサスタンパク質配列を含んでいてもよく、それらがコンセンサスVP1〜4タンパク質であってもよい。コンセンサスVP1〜4タンパク質は、少なくとも1つのFMDVタンパク質3C切断部位を含んでいてもよい。タンパク質3C切断部位は、コンセンサスVP1〜4タンパク質のコンセンサスVP1、VP2、VP3、およびVP4配列それぞれの間に存在してもよい。タンパク質3CでのコンセンサスVP1〜4タンパク質の切断により、コンセンサスVP1〜4タンパク質を切断して、コンセンサスVP1−、コンセンサスVP2−、コンセンサスVP3−、およびコンセンサスVP4−タンパク質を生成してもよい。あるいは本来のタンパク質溶解切断部位が、コンセンサス抗原配列、例えばアミノ酸配列:配列番号45:RGRKRRSのそれぞれの間に存在してもよい。
【0057】
コンセンサスVP1、VP2、VP3およびVP4、ならびにプロテアーゼ3Cのコンセンサスを含む融合タンパク質が、提供される。それは、それぞれサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2およびSAT3のコンセンサス配列である、配列番号2、4、6、8、10、12および14である。
【0058】
配列番号16は、コンセンサス3Cプロテアーゼ配列である。
【0059】
コンセンサスVP1、VP2、VP3、およびVP4を含む融合タンパク質が、提供される。それは、それぞれサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2およびSAT3のコンセンサス配列である、配列番号18、20、22、24、26、28および30である。
【0060】
配列番号32、34、36、および38は、それぞれVP1サブタイプAsia、O、AおよびCのコンセンサス配列である。これらの配列は、IgEリーダー配列である配列番号44を含み、それは各例において、異なるリーダーで置換されているか、または欠失されてメチオニンで置換されていてもよい。
【0061】
配列番号40および42は、VP1のコンセンサス配列2種の融合タンパク質である。配列番号40は、コンセンサスVP1サブタイプAおよびVP1サブタイプCである。配列番号42は、コンセンサスVP1サブタイプAsiaおよびVP1サブタイプOである。これらの配列は、IgEリーダー配列である配列番号44を含み、それは各例において、異なるリーダーで置換されているか、または欠失されてメチオニンで置換されていてもよい。
【0062】
加えて、タンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42のフラグメントであってもよい。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の20%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の20%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の30%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の40%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の50%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の60%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の70%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の80%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の90%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の95%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の96%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の97%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の98%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、コンセンサスタンパク質の99%である。
【0063】
加えて、タンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に相同性であってもよい。幾つかの実施形態において、タンパク質は、80%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、90%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、95%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、96%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、97%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、98%相同性である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、99%相同性である。
【0064】
加えて、タンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に相同的なタンパク質のフラグメントであってもよい。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の20%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の20%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の30%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の40%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の50%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の60%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の70%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の80%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の90%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の95%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の96%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の97%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の98%である。幾つかの実施形態において、タンパク質は、相同タンパク質の99%である。
【0065】
3.コード配列
本明細書で提供されるのは、1種以上の口蹄疫ウイルス(FMDV)サブタイプに対してホ乳類体内で免疫反応を誘発することが可能な抗原のコード配列である。抗原は、カプシドタンパク質VP1、VP2、VP3、VP4、そのコンセンサス、その変異体、そのフラグメントまたはそれらの組み合わせを含むFMDV抗原であってもよい。FMDV抗原は、FMDVサブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3からのものであってもよい。FMDV抗原は、免疫反応を誘導しうる特定のFMDV免疫原に対して効果的となりうる抗原エピトープを少なくとも1つ含んでいてもよい。FMDV抗原のエンプティウイルスカプシドタンパク質VP1〜4は、インタクトFMDVウイルス中に存在する免疫原性部位およびエピトープの全体的レパートリーを提供する。コンセンサスFMDV抗原配列は、1種のFMDVサブタイプの複数のFMDVウイルスからのFMDV抗原配列から得てもよい。コンセンサスFMDV抗原は、VP1、VP2、VP3、およびVP4 FMDVサブタイプコンセンサスタンパク質配列を含んでいてもよく、それらがコンセンサスVP1〜4タンパク質であってもよい。コンセンサスVP1〜4タンパク質は、少なくとも1つのFMDVタンパク質3C切断部位を含んでいてもよい。タンパク質3C切断部位は、コンセンサスVP1〜4タンパク質のコンセンサスVP1、VP2、VP3、およびVP4配列それぞれの間に存在してもよい。タンパク質3CでのコンセンサスVP1〜4タンパク質の切断により、コンセンサスVP1〜4タンパク質を切断して、コンセンサスVP1−、コンセンサスVP2−、コンセンサスVP3−、およびコンセンサスVP4−タンパク質を生成してもよい。あるいは本来のタンパク質溶解切断部位が、コンセンサス抗原配列、例えばアミノ酸配列:配列番号45:RGRKRRSのそれぞれの間に存在してもよい。
【0066】
コンセンサスVP1、VP2、VP3およびVP4、ならびにプロテアーゼ3Cのコンセンサスを含む融合タンパク質のコード配列が、提供される。それは、サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、およびSAT3のコンセンサス配列をそれぞれコードする、配列番号1、3、5、7、9、11および13である。
【0067】
配列番号15は、コンセンサス3Cプロテアーゼ配列をコードする。
【0068】
コンセンサスVP1、VP2、VP3およびVP4を含む融合タンパク質のコード配列が、提供される。それは、サブタイプA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、またはSAT3のコンセンサス配列である、それぞれ配列番号17、19、21、23、25、27および29である。
【0069】
配列番号31、33、35、および37は、それぞれVP1サブタイプAsia、O、AおよびCのコンセンサス配列をコードする。これらの配列は、IgEリーダー配列である配列番号44のコード配列を含み、それは各例において、異なるリーダーのコード配列で置換されているか、または欠失されて開始コドンのみで置換されていてもよい。
【0070】
配列番号40および42は、VP1の2種のコンセンサス配列の融合タンパク質である。配列番号40は、コンセンサスVP1サブタイプAおよびVP1サブタイプCである。配列番号42は、コンセンサスVP1サブタイプAsiaおよびVP1サブタイプOである。これらの配列は、IgEリーダー配列である配列番号44を含み、それは各例において、異なるリーダーのコード配列で置換されているか、または欠失されて開始コドンのみで置換されていてもよい。
【0071】
加えて、コード配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42のフラグメントであってもよい。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサスタンパク質の20%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の30%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の40%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の50%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の60%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の70%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の80%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の90%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の95%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の96%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、コンセンサス配列の97%であるタンパク質をコードする。
【0072】
加えて、コード配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に相同性であるタンパク質をコードしていてもよい。幾つかの実施形態において、コード配列は、80%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、90%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、95%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、96%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、97%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、98%相同性であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、99%相同性であるタンパク質をコードする。
【0073】
加えて、コード配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に相同的なタンパク質のフラグメントであるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の20%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の30%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の40%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の50%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の60%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の70%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の80%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の90%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の95%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の96%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の97%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の98%であるタンパク質をコードする。幾つかの実施形態において、コード配列は、相同タンパク質の99%であるタンパク質をコードする。
【0074】
加えて、コード配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41のフラグメントであってもよい。幾つかの実施形態において、フラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%である。
【0075】
加えて、コード配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41に相同性であってもよい。幾つかの実施形態において、コード配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41に80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相同性である。
【0076】
加えて、コード配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41のフラグメントに相同性であってもよい。幾つかの実施形態において、フラグメントは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、および41の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であり、コード配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41のフラグメントに80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相同性である。
【0077】
4.プラスミド
本明細書で提供されるのは、ホ乳類体内での免疫反応を誘発するのに効果的な量で、ホ乳類細胞中で1種以上のFMDV抗原を発現することが可能なベクターである。該ベクターは、FMDV抗原をコードする異種核酸を含んでいてもよい。該ベクターは、プラスミドであってもよい。該プラスミドは、FMDV抗原をコードする核酸で細胞をトランスフェクトするのに有用であってもよく、トランスフェクトされる宿主細胞は、培養され、FMDV抗原の発現が起こる条件下に保持される。
【0078】
プラスミドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、そのフラグメント、その相当配列、および相同物のフラグメント、からなる群より選択されるFMDV抗原をコードする核酸を含んでいてもよい。プラスミドは、コード配列の上流に存在しうる開始コドンまたはリーダー配列と、コード配列の下流に存在しうる終結コドンとを更に含んでいてもよい。開始コドンおよび終止コドンは、コード配列の枠内に存在してもよい。
【0079】
プラスミドは、コード配列に機能的に連結したプロモータを含んでいてもよい。コード配列に機能的に連結したプロモータは、シミアンウイルス40(SV40)のプロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、ヒト免疫欠損ウイルス(HIV)プロモータ、例えば、ウシ免疫欠損ウイルス(BIV)ロングターミナルリピート(LTR)プロモータ、モロニーウイルスプロモータ、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモータ、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、例えば、CMV前初期プロモータ、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)プロモータ、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモータであってもよい。プロモータは、ヒト遺伝子、例えば、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインからのプロモータであってもよい。プロモータは、天然または合成の組織特異性プロモータ、例えば筋肉または皮膚特異性プロモータであってもよい。そのようなプロモータの例は、その内容が全体として参照により本明細書に組み入れられた、米国特許出願公開US20040175727に記載されている。
【0080】
プラスミドは、ポリアデニル化シグナルを含んでいてもよく、それがコード配列の下流に存在してもよい。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであってもよい。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(カリフォルニア州サンディエゴ、Invitrogen)からのポリアデニル化シグナルであってもよい。
【0081】
プラスミドは、コード配列の上流のエンハンサを含んでいてもよい。エンハンサは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはウイルスエンハンサ、例えば、CMV、FMDV、RSVまたはEBVのものであってもよい。ポリヌクレオチドの機能は、参照により本明細書に完全に組み入れられた、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号およびWO94/016737号に記載されている。
【0082】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で保持して細胞内のプラスミドの複数のコピーを生成するために、ホ乳類の複製起点を含んでいてもよい。プラスミドは、Invitrogen(カリフォルニア州、サンディエゴ)のpVAX1、pCEP4またはpREP4であってもよく、それらは、エプスタイン・バー・ウイルスの複製起点および核抗原EBNA−1コード領域を含んでいてもよく、それを、統合を行わずに高コピー数のエピソーム複製を生成してもよい。プラスミドのバックボーンは、pAV0242であってもよい。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであってもよい。
【0083】
プラスミドは、調節配列を含んでいてもよく、それがプラスミドを投与された細胞中での遺伝子発現に十分に適していてもよい。コード配列は、コドンを含んでいてもよく、それが宿主細胞中でコード配列のより効率的な転写を可能にしてもよい。
【0084】
コード配列は、Igリーダー配列を含んでいてもよい。リーダー配列は、コード配列の5’であってもよい。この配列によりコードされたコンセンサスタンパク質は、N−末端Igリーダーに続いてコンセンサスタンパク質を含んでいてもよい。N−末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであってもよい。
【0085】
プラスミドは、pSE420(カリフォルニア州サンディエゴ、Invitrogen)であってもよく、それを大腸菌(Escherichia coli)(E.Coli)中でのタンパク質産生のために用いてもよい。プラスミドは、pYES2(カリフォルニア州サンディエゴ、Invitrogen)であってもよく、それを酵母のサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株でのタンパク質産生に用いてもよい。プラスミドは、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(カリフォルニア州サンディエゴ、Invitrogen)のものであってもよく、それを昆虫細胞中でのタンパク質産生に用いてもよい。プラスミドは、pcDNA IまたはpcDNA3(カリフォルニア州サンディエゴ、Invitrogen)であってもよく、それをホ乳類細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中でのタンパク質生成に用いてもよい。
【0086】
プラスミドは、1種以上のサブタイプ、例えば、Asia、A、O、C、SAT1、SAT2、およびSAT3のVP1、VP2、VP3、VP4および3Cの1種以上をコードするコード配列を1種以上含んでいてもよい。
【0087】
幾つかの実施形態において、プラスミドは、サブタイプAsia、A、O、C、SAT1、SAT2、またはSAT3の複数の異なるコンセンサスFMDV抗原VP1、VP2、VP3、VP4および3Cのコード配列を含む。
【0088】
幾つかの実施形態において、プラスミドは、サブタイプAsia、A、O、C、SAT1、SAT2、またはSAT3の複数の異なるコンセンサスFMDV抗原VP1、VP2、VP3およびVP4のコード配列を含む。
【0089】
幾つかの実施形態において、プラスミドは、サブタイプAsia、A、OおよびCのうちの2種の異なるコンセンサスFMDV抗原VP1の2種、例えば、サブタイプAsiaからのVP1とサブタイプOからのVP1、またはサブタイプAからのVP1とサブタイプCからのVP1、のコード配列を含む。
【0090】
幾つかの実施形態において、プラスミドは、コンセンサスFMDV抗原VP1、例えば、VP1サブタイプAsia、VP1サブタイプA、VP1サブタイプOまたはVP1サブタイプC、のコード配列を含む。
【0091】
コード配列は、全てが機能的に連結されたプロモータにより調節された異なるDNAプラスミド、例えば、1種以上のプロモータにより調節された、複数のコンセンサスFMDV抗原を含むコード配列を有するDNAプラスミド、によりコードさせることができる。
【0092】
5.ワクチン
科学的理論に束縛されるものではないが、FMDVに対して広範に免疫反応(体液、細胞、またはその両方)を誘発するために用いられうるワクチンが、先に示されたコード配列、即ち、A、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプからなる群より選択されるサブタイプからのタンパク質VP1、VP2、VP3、VP4および3Cの1種以上をコードする核酸配列、を1種以上含んでいてもよい。コード配列は、相同配列、フラグメント、およびフラグメントの相同配列を含むものを挙げることができる。あるいは、または加えて、抗FMDV免疫反応を誘導する組成物が、A、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプからなる群より選択されるタンパク質を1種以上含んでいてもよい。
【0093】
本明細書で提供されるのは、1種以上のFMDVサブタイプに対する免疫反応を、ホ乳類体内で生成することが可能なワクチンである。ワクチンは、先に議論されたプラスミドを含んでいてもよい。ワクチンは、それぞれがA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプ1種以上を対象とするプラスミドを、複数含んでいてもよい。ワクチンは、それ自体がA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプ1種以上を対象とする、FMDV抗原を含んでいてもよい。ワクチンは、世界の特定の領域、例えばアジア、ヨーロッパおよびサブアフリカからのFMDVサブタイプを対象とするプラスミドを含んでいてもよい。あるいは、または加えて、ワクチンは、A、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプ1種以上のタンパク質を含んでいてもよい。ワクチンは、それ自身がA、Asia 1、C、O、SAT1、SAT2、SAT3またはそれらの組み合わせなどのFMDVサブタイプ1種以上を対象とする、FMDV抗原を含んでいてもよい。ワクチンは、世界の特定の領域、例えばアジア、ヨーロッパおよびサブアフリカからのFMDVサブタイプを対象とするプラスミドおよび/またはタンパク質を含んでいてもよい。ワクチンは、治療的または予防的免疫反応を誘導するように提供してもよい。
【0094】
ワクチンは、FMDV C3プロテアーゼをコードする核酸を含んでいてもよく、それはコンセンサスC3プロテアーゼ核酸であってもよい。コンセンサスタンパク質3C核酸は、タンパク質3Cコード配列であってもよい。あるいは、または加えて、ワクチンは、FMDV コンセンサスC3プロテアーゼなどのFMDV 3Cプロテアーゼ、例えばタンパク質3Cを含んでいてもよい。ワクチンは、完全または部分的VP1〜4コード配列と、完全または部分的3Cコード配列とをコードするキメラ遺伝子を含んでいてもよい。あるいは、または加えて、ワクチンは、完全または部分的VP1〜4と、完全または部分的C3とを含む融合タンパク質を含んでいてもよい。
【0095】
本明細書で提供されるのは、DNAを約1ナノグラム〜約10mg含む本発明による医薬組成物である。幾つかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、1)少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100ナノグラム、または少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995もしくは1000マイクログラム、または少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10mg、またはそれ以上から、2)最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100ナノグラムまで(それらの数値を含む)、または最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995もしくは1000マイクログラムまで(それらの数値を含む)、または最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5もしくは10mgまで(それらの数値を含む)を含む。幾つかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、DNAを約5ナノグラム〜約10mg含む。幾つかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、DNAを約25ナノグラム〜約5mg含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約50ナノグラム〜約1mg含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約0.1〜約500マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約1〜約350マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約5〜約250マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約10〜約200マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約15〜約150マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約20〜約100マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約25〜約75マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約30〜約50マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約35〜約40マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約100〜約200マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約10マイクログラム〜約100マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約20マイクログラム〜約80マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約25マイクログラム〜約60マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約30ナノクログラム〜約50マイクログラム含む。幾つかの実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約35ナノクログラム〜約45マイクログラム含む。幾つかの好ましい実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約0.1〜約500マイクログラム含む。幾つかの好ましい実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約1〜約350マイクログラム含む。幾つかの好ましい実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約25〜約250マイクログラム含む。幾つかの好ましい実施形態において、該医薬組成物は、DNAを約100〜約200マイクログラム含む。
【0096】
本発明による医薬組成物は、用いられる投与様式に従って配合される。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、それは滅菌されていて、パイロジェンフリーおよび微粒子フリーである。好ましくは、等張性配合剤が用いられる。一般に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。幾つかの例において、等張性溶液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水が、好ましい。安定化剤としては、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。幾つかの実施形態において、血管収縮剤が、配合剤に添加される。
【0097】
好ましくは該医薬組成物は、ワクチンであり、より好ましくはDNAワクチンである。
【0098】
ワクチンは、DNAワクチンであってもよい。DNAワクチンは、コンセンサス前立腺抗原1種以上の核酸コード配列を含む、複数の同一または異なるプラスミドを含んでいてもよい。DNAワクチンは、コンセンサス前立腺抗原を1種以上コードする核酸配列を1種以上含んでいてもよい。DNAワクチンが、1種を超えるコンセンサス前立腺抗原のコード配列を含む場合、そのような配列は全て、単一プラスミド上に存在してもよく、またはそのような配列のそれぞれが、異なるプラスミド上に存在してもよい。
【0099】
幾つかの実施形態において、ワクチンは、コンセンサス前立腺抗原1種以上と組み合わせたコンセンサス前立腺抗原1種以上をコードする核酸配列を含んでいてもよい。
【0100】
DNAワクチンは、参照により本明細書に完全に組み入れられた、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号に開示されている。DNAワクチンは、染色体に統合されるのを阻害する要素または試薬を更に含むことができる。ワクチンは、前立腺抗原のRNAであってもよい。RNAワクチンを、細胞に導入することができる。
【0101】
ワクチンは、先に記載された遺伝子構築物または抗原を含む組換えワクチンであってもよい。ワクチンは、1種以上のタンパク質サブユニットの形態の1種以上のコンセンサス前立腺抗原、または1種以上のコンセンサス抗原を含む1種以上の弱毒ウイルス粒子を含むこともできる。弱毒ワクチンは、弱毒生ワクチン、死菌ワクチン、ならびに組換えベクターを用いて1種以上のコンセンサス前立腺抗原をコードする外来遺伝子を送達するワクチン、サブユニットワクチンおよびタンパク質ワクチンであってもよい。弱毒生ワクチン、前立腺抗原を送達するのに組換えベクターを用いるもの、サブユニットワクチンおよび糖タンパク質ワクチンの例は、それぞれが参照により本明細書に組み入れられた、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号および同第6,589,529号に記載されている。ワクチンは、他のワクチン成分、例えば、FMDVタンパク質またはタンパク質をコードする発現ベクターと組み合わせたプラスミドを含んでいてもよい。
【0102】
提供されたワクチンを用いて、治療的または予防的免疫反応をはじめとする免疫反応を誘導してもよい。コンセンサス前立腺抗原を対象とする抗体および/またはキラーT細胞を、生成してもよい。そのような抗体および細胞を、単離してもよい。
【0103】
ワクチンは、薬学的に許容しうる賦形剤を更に含んでいてもよい。薬学的に許容しうる賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤としての機能的分子であってもよい。薬学的に許容しうる賦形剤は、界面活性剤を含みうるトランスフェクション促進剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤であってもよい。
【0104】
トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマートであり、より好ましくはポリ−L−グルタマートは、6mg/ml未満の濃度でワクチン中に存在する。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質AをはじめとするLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞を含んでいてもよく、ヒアルロン酸を用いて、遺伝子構築物と一体化させて投与してもよい。幾つかの実施形態において、DNAプラスミドワクチンは、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、WO09324640参照)などの当該技術分野で公知の他のリポソームをはじめとするリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知トランスフェクション促進剤を含んでいてもよい。好ましくはトランスフェクション促進剤は、ポリ−L−グルタマート(LGS)をはじめとするポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0105】
薬学的に許容しうる賦形剤は、アジュバントであってもよい。アジュバントは、代替的なプラスミド中で発現されるか、またはワクチン中で先のプラスミドと組み合わせたタンパク質として送達される他の遺伝子であってもよい。アジュバントは、α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞走化性ケモカイン(CTACK)、胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、欠失したシグナル配列を有するIL−15を含み、そして場合によりIgEからのシグナルペプチドを含むCD86、からなる群より選択してもよい。アジュバントは、IL−12、IL−15、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0106】
有用なアジュバントとなりうる他の遺伝子としては、MCP−1、MIP−1a、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管上皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性化NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびその機能的フラグメントをコードするものが挙げられる。
【0107】
ワクチンは、参照により完全に組み入れられた、1994年4月1日出願の米国特許出願第021,579号に記載された遺伝子ワクチン促進剤を更に含んでいてもよい。
【0108】
ワクチンは、用いられる投与様式に従って配合してもよい。注射可能なワクチン医薬組成物は、滅菌されたパイロジェンフリーおよび微粒子フリーであってもよい。等張性配合剤または溶液が、用いられてもよい。等張性のための添加剤として、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。ワクチンは、血管収縮剤を含んでいてもよい。等張性溶液は、リン酸緩衝生理食塩水を含んでいてもよい。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンをはじめとする安定化剤を更に含んでいてもよい。ワクチン配合剤へのLGSまたはポリカチオンまたはポリアニオンなど、安定化により、配合剤を室温または周囲温度で長時間安定にさせてもよい。
【0109】
6.ワクチンを送達する方法
本明細書で提供されるのは、免疫反応を誘導しうるFMDVの免疫原に対して特に効果的となるエピトープを含むFMDV抗原の遺伝子構築物およびタンパク質を提供するためのワクチンを送達する方法である。ワクチンを送達する方法またはワクチン接種の方法を提供して、治療的および予防的免疫反応を誘導してもよい。ワクチン接種工程により、複数のFMDVサブタイプに対する免疫反応をホ乳類体内で生成してもよい。ワクチンを個体に送達して、ホ乳類の免疫系の活性を調整し、そして免疫反応を促進してもよい。ワクチンの送達は、細胞中で発現され、免疫系が認識した細胞の表面に送達されて、細胞反応、体液反応、または細胞反応と体液反応を誘導する核酸分子としてのFMDV抗原のトランスフェクションであってもよい。先に議論されたワクチンをホ乳類に投与することにより、ワクチンの送達を利用して、複数のFMDVウイルスに対するホ乳類体内での免疫反応を誘導または誘発してもよい。
【0110】
ワクチンおよびプラスミドをホ乳類細胞内に送達する際に、トランスフェクトされた細胞は、ワクチンから注入されたプラスミドそれぞれのコンセンサスカプシドを発現および分泌する。これらの分泌されたカプシドタンパク質は、免疫系により外来物質として認識され、それらに対して抗体が生成される。これらの抗体は、免疫系により保持され、続いてのFMDV感染を急速に浄化させる。
【0111】
ワクチンをホ乳類に投与して、ホ乳類体内の免疫反応を誘発してもよい。ホ乳類は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ、畜牛、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、水牛、バイソン、ウシ属、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、およびニワトリであってもよい。
【0112】
a.併用処置
ワクチンを、α−インターフェロン、γ−インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞走化性ケモカイン(CTACK)、胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−12、IL−15、MHC、CD80、シグナル配列を検出させるIL−15を含み、そして場合によりIgEからのシグナルペプチドを含むCD86、IL−12、IL−15、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM−CSF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MCP−1、MIP−1a、MIP−1p、IL−8、RANTES、L−セレクチン、P−セレクチン、E−セレクチン、CD34、GlyCAM−1、MadCAM−1、LFA−1、VLA−1、Mac−1、pl50.95、PECAM、ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、CD2、LFA−3、M−CSF、G−CSF、IL−4、IL−18の突然変異形態、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL−7、神経成長因子、血管上皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c−jun、Sp−1、Ap−1、Ap−2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性化NIK、SAP K、SAP−1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL−R3、TRAIL−R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2およびその機能的フラグメントまたはその組み合わせをコードする他のタンパク質または遺伝子と併用で投与してもよい。ワクチンを、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質またはそれらの機能的フラグメントと併用で投与してもよい。
【0113】
ワクチンを、経口、非経口、舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻内、髄腔内、および関節内、またはそれらの組み合わせをはじめとする異なる経路で投与してもよい。獣医学的使用では、通常の獣医学的実践に従い、該組成物を適切に許容しうる配合剤として投与してもよい。獣医は、特定の動物に最も適した投与レジメンおよび投与経路を、容易に決定することができる。ワクチンを、伝統的なシリンジ、針なし注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃」、または他の物理的方法、例えば電気穿孔法(EP)、「水力学的方法」、または超音波により投与してもよい。
【0114】
ワクチンのプラスミドは、インビボ電気穿孔を用いる、または用いないDNA注入(DNAワクチン接種とも呼ばれる)、リポソーム介在ベクター、ナノ粒子促進ベクター、組換えベクター、例えば組換えアデノウイルス、組換えアデノ随伴ウイルスおよび組換えワクチンをはじめとする複数の周知テクノロジーによりホ乳類に送達してもよい。FMDV抗原を、インビボ電気穿孔と共にDNA注入を介して送達してもよい。
【0115】
b.電気穿孔
ワクチンのプラスミドの電気穿孔を介したワクチンの投与は、ユーザーによるプリセット電流入力と類似の定電流を生成するエネルギーパルスを、ホ乳類の所望の組織に送達するように構成しうる電気穿孔装置を用いて遂行してもよい。電気穿孔装置は、電気穿孔成分および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含んでいてもよい。電気穿孔成分は、制御装置、電流波形発生器、インピーダンステスタ、波形ロガー、入力要素、ステータス報告要素、コミュニケーションポート、メモリー成分、電源、および電源スイッチをはじめとする電気穿孔装置の1種以上の様々な要素を含み、それらを組み込んでいてもよい。電気穿孔は、VGXP Cellectra(商標)システムを用いて遂行して、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを促進してもよい。
【0116】
電気穿孔成分は、電気穿孔装置の一要素として機能してもよく、他の要素は、電気穿孔成分と連通する別個の要素(または成分)である。電気穿孔成分は、電気穿孔装置の1つを超える要素として機能してもよく、それが電気穿孔成分とは別個の電気穿孔装置の他の要素とも連通していてもよい。1つの電気機械的または機械的装置の一部として存在する電気穿孔装置の要素は、その要素が1つの装置として、または互いに連通する別個の要素として機能しうるように限定しなくてもよい。電気穿孔成分は、所望の組織内で定電流を生成するエネルギーパルスを送達することができてもよく、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置内に複数の電極を有する電極アレイを含んでいてもよく、そこで電極アセンブリは、電気穿孔成分からエネルギーパルスを受け、電極を介して所望の組織にそれを送達する。複数の電極の少なくとも1つは、エネルギーパルスの送達時にはニュートラルであり、所望の組織中のインピーダンスを測定して、そのインピーダンスを電気穿孔成分に連通する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受けてもよく、電気穿孔成分により送達されたエネルギーパルスを調整して定電流を保持することができる。
【0117】
複数の電極が、分散パターンでエネルギーパルスを送達してもよい。複数の電極は、プログラムされたシーケンス下の電極制御を介して、分散パターンでエネルギーパルスを送達してもよく、プログラムされたシーケンスは、ユーザーにより電気穿孔成分に入力される。プログラムされたシーケンスは、順序どおり送達された複数のパルスを含んでいてもよく、そこで複数のパルスの各パルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を含む少なくとも2つの活性電極により送達され、複数のパルスの次のパルスが、インピーダンスを測定する1つのニュートラル電極を含む少なくとも2つの活性電極の異なる1つにより送達される。
【0118】
フィードバック機構は、ハードウエアまたはソフトウエアのいずれかにより実施してもよい。フィードバック機構は、アナログ閉回路により実施してもよい。フィードバックは、50μs、20μs、10μsまたは1μsごとに起こるが、好ましくは実時間フィードバックまたは瞬時(即ち、応答時間を決定するための入手可能な技術により決定すると実質的に瞬時)である。ニュートラル電極で所望の組織中のインピーダンスを測定してもよく、そのインピーダンスをフィードバック機構に連通し、フィードバック機構がインピーダンスに応答してエネルギーパルスを調整し、プリセット電流と類似の値の定電流を保持する。フィードバック機構は、エネルギーパルスの送達時に定電流を連続および瞬時的に保持してもよい。
【0119】
本発明のDNAワクチンの送達を促進しうる電気穿孔装置および電気穿孔法の例としては、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられた、Draghia−Akli他による米国特許第7,245,963号、Smith他により提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されたそれらのものが挙げられる。DNAワクチンの送達を促進するのに用いられうる他の電気穿孔装置および電気穿孔法としては、その全てが全体として参照により本明細書に組み入れられた、2006年10月17日出願の米国特許仮出願第60/852,149号および2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対して35USC 119(e)による利益を主張する、2007年10月17日出願の同時係属中および共有の米国特許出願第11/874072号に提供されたものが挙げられる。
【0120】
Draghia−Akli他による米国特許第7,245,963号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子の導入を促進するためのモジュラー電極システムおよびその使用が記載されている。モジュラー電極は、複数の針電極;皮下注射針;プログラム可能な定電流パルス制御装置から複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクター;および電源を含んでいてもよい。オペレータが、支持構造上に搭載された複数の針電極を把握して、体内または植物内の選択された組織にそれらをしっかりと挿入することができる。その後、皮下注射針を介して、生体分子を選択された組織へ送達する。プログラム可能な定電流パルス制御装置を活性化して、定電流の電気パルスを複数の針電極に印加する。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間での細胞への生体分子導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0121】
Smith他により提出された米国特許公開第2005/0052630号には、体内または植物内の選択された組織の細胞中への生体分子導入を効果的に促進するために用いられうる電気穿孔装置が記載されている。該電気穿孔装置は、操作がソフトウエアまたはファームウエアに特定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、ユーザーの制御に基づく一列の電極とパルスパラメータ入力との間で一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの保存および取得を可能にする。電気穿孔装置は、針電極、注射針用の中央注入チャネル、および取り外し可能なガイドディスクのアレイを有する交換可能な電極ディスクも含む。米国特許公開第2005/0052630号の全体的内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0122】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載された電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または臓器にも深く浸透させるように構成されていてもよい。電極アレイの形態によって、注射針(選択された生体分子を送達する)が、ターゲット臓器にも完全に挿入され、電極によってあらかじめ表示された領域のターゲット組織の周辺に注射により投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に記載された電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0123】
加えて、電気穿孔装置およびその使用を組み込んだ幾つかの実施形態で予期される通り、以下の特許:1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の同第6,261,281号、2005年10月25日発行の同第6,958,060号、および2005年9月6日発行の米国特許第6,939,862号に記載された電気穿孔装置が存在する。更に、様々な装置のいずれかを用いたDNAの送達に関係する2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、およびDNA注入の方法が注目された2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号に提供された主題を含む特許が、本明細書で予期される。先の特許は、全体として参照により組み入れられる。
【0124】
c.ワクチンを調製する方法
本明細書で提供されるのは、ワクチンを調製する方法である。幾つかの実施形態において、該方法は、DNAプラスミドを含むワクチンを調製する方法である。DNAプラスミドを、ホ乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップの後、当該技術分野で公知の方法を用いて、大規模発酵タンクで細胞培養物に接種するのに用いることができる。プラスミドを、適合性宿主細胞にトランスフェクトして培養し、FMDV抗原の発現が起こる条件下に保持する。FMDV抗原を、細胞を溶解することにより培養物から回収するか、または培地から回収して、単離してもよい。単離されたVP1〜4コンセンサスタンパク質を、ワクチン中で抗体の天然供給源として用いてもよい。単離された本質的に純粋なFMDV抗原を生成するのに用いられうる自動合成装置を用いて、FMDV抗原を組換え技術により生成してもよい。これらの技術は、FMDVの特定のサブタイプのFMDV抗原の変異体を導入するのに有用となりうる。
【0125】
本発明のEP装置と共に用いられるDNAプラスミドは、公知の装置および技術の組み合わせを利用して配合または製造することができるが、好ましくはそれらは、2007年3月23日に出願された許諾対象である同時係属中の米国特許仮出願第60/939,792号に記載された最適化プラスミド製造技術を用いて製造される。幾つかの例において、これらの研究に用いられるDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で配合させることができる。その製造技術は、米国特許出願第60/939792号に記載されたものに加えて、2007年7月3日発行の許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されたものをはじめとする、当業者に概ね公知の様々な装置およびプロトコルも含み、組み入れている。先に参照された出願および特許、米国特許出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それぞれ全体が本明細書に組み入れられる。
【0126】
d.VP1〜4発現構築物を調製する方法
最初にサブタイプの少なくとも10種の異なる配列を用いて、FMDVサブタイプAsia、O、A、C、SAT1、SAT2、およびSAT3のうちの1つのVP1、VP2、VP3およびVP4アミノ酸配列を最適化することにより、多重標的FMDV DNAワクチンを構築する。それぞれサブタイプ最適化VP1〜4タンパク質をコードする核酸を生成する。FMDVタンパク質3Cプロテアーゼ切断部位を介入させることにより分離されたVPを用いて、サブタイプ最適化VP1〜4核酸配列を隣接するコード配列としてクローニングする。最適化VP1〜4コード配列を、オペレータの制御下で、pVAXまたはpAV0242のいずれかの発現ベクターに挿入する。IgEリーダー配列を最適化VP1〜4コード配列の上流に配置するため、コードされたタンパク質にはN末端IgEリーダーが含まれる。2つの終止コドンを、VP1〜4コード配列の3’末端に配置する。
【0127】
加えて、サブタイプからの少なくとも10種の異なる配列を用いて、FMDVサブタイプAsia 1、O、A、C、SAT1、SAT2、およびSAT3のうちの1つの3C核酸配列を最適化することにより、FMDVタンパク質3Cをコードする核酸を構築する。サブタイプ最適化3Cタンパク質をコードする核酸を生成し、pVAXまたはpAV0242プラスミドにクローニングする。
【0128】
e.ワクチンをマーカとして用いる方法
同じく本明細書で提供されるのは、ワクチンを接種されたホ乳類とFMDVに感染したホ乳類とを判別する方法である。該方法は、ホ乳類からの試料、および試料からホ乳類抗原を単離することを含んでいてもよい。ワクチンを接種されたホ乳類は、FMDV抗原のエンプティカプシドタンパク質にだけ特異性のある抗体、即ち、FMDVサブタイプA、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、SAT3、またはそれらの組み合わせに対するウイルスコートタンパク質VP1〜4を有していてもよい。FMDVに感染したホ乳類は、特定のFMDVサブタイプ、例えばA、Asia 1、O、C、SAT1、SAT2、またはSAT3のFMDVウイルスコートタンパク質VP1〜4に対する抗体に加え、FMDVの非構造(NS)タンパク質に対する抗体を有する。FMDVのNSタンパク質は、プロテアーゼである3CプロテアーゼならびにFMDVタンパク質2C、3A、3B、および3D(ポリメラーゼ)を含んでいてもよい。該方法は、FMDVのNSタンパク質、例えば高度抗原性3Dタンパク質に対する抗体を同定することを含んでいてもよい。該方法は、ワクチン接種されたホ乳類の血清試料に比較してFMDV NSタンパク質の有無を決定することを更に含む。感染したホ乳類は、FMDVのNSタンパク質に対する抗体を有するが、ワクチン接種されたホ乳類は、FMDV感染に対して十分な免疫を有するため、NSタンパク質に対する抗体を有さない。該方法は、VP1〜4への抗体を有するホ乳類と、FMDVのVP1〜4および3Dポリメラーゼへの抗体を有するホ乳類とを判別することを含んでいてもよい。
【0129】
一般に、薬剤を用いてもよい。該薬剤は、VP1〜4またはNSタンパク質、例えば3Dポリメラーゼであってもよい。ホ乳類の試料をFMDV抗体を用いて単離し、薬剤と競合的に反応させて、FMDV抗体の特異性を同定する。
【0130】
該方法の試料をホ乳類から単離することができ、血液からの血清試料、唾液、涙液、脳脊髄液、水性体液、胸膜液、心膜液、リンパ液、チャイム(chime)、乳び、胆汁、尿、滑液、嘔吐物、腹膜液、便水、精液、羊水、乳、血清、間質液、および膵液を含んでいてもよい。
【0131】
診断検査を実施する方法としては、ホ乳類の[35S]−メチオニン標識細胞溶解物を用いた免疫沈澱、ウェスタンブロット、および特定のFMDVタンパク質、例えばVP1〜4および3Dポリメラーゼへの免疫ブロットを実施することが挙げられる。
【0132】
本明細書に記載された検出方法を、様々な周知検出システムで実行して、検査試料または対照試料中のFMDV VP1〜4または3Dポリメラーゼへの抗体の存在を決定してもよい。検出システムは、特定のFMDVタンパク質、例えばVP1〜4および3Dポリメラーゼに結合する検出標識から発生したシグナルと所定の値とを比較して、検査試料中のVP1〜4または3Dポリメラーゼへの抗体の有無を決定する蛍光または他の手段を含んでいてもよい。所定の値は、対照試料で測定されたシグナルに対する、検査試料で測定されたシグナルの比であってもよい。一般にFMDV 3Dポリメラーゼに陽性で、それゆえ感染したホ乳類と見なしうるFMDV 3Dポリメラーゼ抗体を含まない対照試料で測定された平均シグナルの3標準偏差高いシグナルを発生する検査試料。
【0133】
あるいは、デンシトメータなどの装置を、検出可能標識の数値測定に用いてもよい。予備測定された値は、Sackett et al., Clinical Epidemiology: A Basic Science for Clinical Medicine, p. 106-107 (Little Brown and Co., 1985)の方法を利用し、受信者動作曲線(Receive Operator Cueve)(ROC)を用いて決定してもよい。所定の値が、先に記載された蛍光イメージング装置または他の手段による相対的光単位に基づいていてもよい。簡潔に述べると、所定の値は、診断された検査結果の可能な各値に対応する真陽性率(即ち、感受性)および擬陽性率(即ち、100%特異性)の対のプロットから決定してもよい。上部左側の角に最も近いプロットの所定の値(即ち、最大面積を含む値)は、最も正確な所定の値であり、この方法により決定される所定の値よりも高いシグナルを発生する試料を、陽性と見なしてもよい。あるいは所定の値をプロットに沿って左にシフトさせて、擬陽性率を最小にしてもよい。
【0134】
(a)免疫ブロット
検出方法を免疫ブロット検出システムで用いて、検査試料または対照試料中のFMDV VP1〜4または3Dポリメラーゼへの抗体を検出してもよい。免疫ブロットでは、固形担体を用いて、薬剤を固定してもよい。
【0135】
免疫ブロットで、2つの別個の対照試料(即ち、第一の対照および第二の対照)を用いてもよく、それらが固形担体に固定されていてもよい。免疫ブロットで、3つの別個の分離した対照試料(即ち、第一の対照、第二の対照および第三の対照)を用いてもよい。1つを超える対照試料が存在する場合、対照は互いに同一であっても、または互いに異なっていてもよい。対照試料の2つ(例えば、第一の対照および第二の対照)が同一であってもよい。対照試料の2つが同一である場合、対照試料の1つの濃度(第一の対照もしくは第二の対照のいずれか一方、または3つの対照が存在する場合には、第一の対照もしくは第三の対照もしくは第二の対照もしくは第三の対照のレベル)は、他の対照よりも高くても(または大きくても)よい。対照試料は、他の対照よりも高い濃度であってもよく、「高対照」と呼ばれてもよい。高対照よりも低濃度の、切片、ディスクまたはシートに固定された対照は、「低対照」と呼ばれてもよい。高対照に対する低対照の濃度比は、約1:2〜約1:10、好ましくは約1:5〜約1:6であってもよい。例えば第一の対照が低対照であってもよく、第二の対照が高対照であってもよい。あるいは、第一の対照が高対照であってもよく、第二の対照が低対照であってもよい。別の実施例によれば、対照が3つの検出システムは、低対照および高対照に加えて、第三の対照(例えば、試料の添加を確証するために用いることができる)を含んでいてもよい。低対照および高対照は、ヒト血漿であってもよく(高対照に対する低対照の比は、約1:2〜約1:10であり)、第三の対照は、SDB Chagasまたはヒト血漿であってもよい。貫流形式では、固形担体に固定された薬剤を、検査試料を含む溶液に浸漬してもよい。あるいは固形担体を希釈剤と共に反応トレーに配置し、その後、検査試料を反応トレーに添加してもよい。検査試料および薬剤を、本明細書の先に記載されたものと同じ時間および技術を利用して、十分な時間、インキュベートする。未結合の検査試料を、本明細書の先に記載された技術を用いて除去してもよい。この形式では、検査試料が膜を通過する際に、検査試料中のVP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体を、固定された薬剤(および少なくとも1つの対照)に結合させてもよい。少なくとも1種の検出試薬(例えば、検出可能標識を含む、本明細書の先に記載された検出試薬)を添加してもよい。検出試薬を含む溶液が切片を貫流する際に、少なくとも1種の検出試薬を、形成された薬剤−抗体複合体のそれぞれに結合させてもよい。検査試料中のVP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体の有無を決定するために、先に記載された通りカットオフを用いるか、または以下に詳細に議論される通り1つ以上の対照により発生した1つ以上のシグナルの強度を比較することにより、結合した検出試薬の検出を実施してもよい。
【0136】
先に記載された低対照および高対照を貫流形式で用いてもよい場合、薬剤に関する検査バンド(またはスポットまたはドット)のそれぞれでの検出可能標識のシグナルの存在を同定することにより、検査試料中のVP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体の有無を決定してもよい。シグナルを薬剤の検査バンドで同定する場合、0〜4+のスケールを用いて、この検出されたシグナルの強度を低対照バンド(またはスポットまたはドット)および高対照バンド(またはスポットまたはドット)のシグナルの強度と比較する。バンドが可視でない場合には、読み取りは0である。低対照バンドおよび高対照バンドの強度は、それぞれ1+(低対照)および3+(高対照)である。低対照の強度に相当する強度を有する検査バンドは、1+と評定される。低対照バンドと高対照バンドの間の強度を有するバンドは、2+と評定される。高対照の強度に相当する強度を有するバンドは、3+と評定される。高対照の強度よりも高いバンド強度は、4+と評定される。
【0137】
(b)拮抗アッセイ
検出方法を、拮抗検出システムで用いて、VP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体を有する検査試料を検出してもよい。薬剤は、先に記載された通り固形担体に固定されていてもよい。固定された薬剤を、その後、薬剤と結合することが公知の検出可能に標識された競合抗体に接触させて、検査試料中のVP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体と拮抗させてもよい。固定された薬剤は、検査試料にも接触させる。抗体組の両者が固定された薬剤に関して競合するため、検出可能に標識された抗体のシグナルが、VP1〜4またはNS構造タンパク質、例えば3Dポリメラーゼへの抗FDMV抗体を含む検査試料では低くなっていてもよい。
【0138】
f.診断キット
本明細書で提供されるのは、FMDVに感染したホ乳類に対して、ワクチンを接種されたホ乳類を同定する診断的方法を実施するキットである。該キットは、FMDVに感染したホ乳類を同定し、ワクチン接種したホ乳類のエンピティカプシドタンパク質VP1〜4のみへの抗体に対して、FMDVの3Dポリメラーゼタンパク質をはじめとするFSタンパク質に対する抗体を同定することが可能な材料を提供する。検査キットは、1種以上の試薬、例えば、本発明による免疫アッセイを1種以上実践するのに有用な薬剤を含んでいてもよい。検査キットは一般に、試薬を保持する容器1個以上を含む包装を、1個以上の別個の組成物として、または任意に試薬の適合性が許す限り混和物として含む。検査キットは、ユーザーの立場から望ましくなりうる他の材料、例えば緩衝液、希釈剤、標準物質、および/または試料の処理、洗浄もしくはアッセイの任意の他のステップを実施するのに有用な任意の他の材料を含んでいてもよい。
【0139】
本発明によるキットは、固相と、固形担体に固定された薬剤とを含んでいてもよい。キットをサンドイッチ免疫アッセイを実施するために用いてもよく、標識された検出抗体を含んでいてもよい。標識された検出抗体が、抗ヒトIgG標識抗体であってもよい。キットは、検出可能標識を更に含んでいてもよい。
【0140】
検査キットが、少なくとも1種の直接標識、例えばアクリジニウム−9−カルボキサミドを含んでいてもよい。本発明による検査キットは、少なくとも1種の間接的標識を含んでいてもよい。用いられる標識が、一般に検出可能なシグナルを生成する指示薬を必要とする場合、検査キットは、1種以上の適切な指示薬を含んでいてもよい。
【0141】
検査キットが、本発明の免疫アッセイを1種以上実施するための使用説明書を含んでいてもよい。本発明のキットに含まれる使用説明書は、包装材料に貼付されていてもよく、または添付文書として含まれていてもよい。使用説明書は、典型的には記載または印刷された材料であるが、そのようなものに限定されない。そのような使用説明書を保存してそれらをエンドユーザーに連絡することが可能な任意の媒体が、本発明により予期される。そのような媒体としては、非限定的に、電子保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられる。本明細書で用いられる用語「使用説明書」は、使用説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含んでいてもよい。
【実施例】
【0142】
実施例1
組換えVP1〜4の発現
サブタイプ最適化VP1〜4タンパク質および最適化3Cタンパク質を、先の最適化VP1〜4および3C発現プラスミドを用いてインビトロ翻訳アッセイを実施することにより発現させる。これらのタンパク質の翻訳により、SDS−PAGEゲル上に予測されたバンドが得られる。
【0143】
VP1〜4タンパク質の発現を確認するために、サブタイプ最適化VP1〜4タンパク質およびN末端IgEリーダーをコードする核酸を、HISタグ細菌発現ベクターにクローニングする。サブタイプ最適化3Cタンパク質をコードする核酸も、HISタグ細菌発現ベクターにクローニングする。最適化VP1〜4および3Cタンパク質を、細菌発現システムを用いて発現させ、Niカラム分離を用いてアフィニティ精製する。精製されたタンパク質を、SDS−PAGEゲルを用いて分析する。SDS−PAGEにより、予測されたバンドが明らかとなる。
【0144】
実施例2
ワクチン接種の方法
DNAプラスミドの有効性を検査するために、Balb/Cマウスを最適化VP1〜4および3CコードpVAXプラスミドで免疫化する。エンプティpVAXおよびヒトIL−15コードpVAXベクターを、対照として用いる。0、14、および28日目に、マウスを1日3回免疫化する。最終的な免疫化の3日後に、免疫化マウスを殺処分する。マウスの血清を回収して、抗−VP1、−VP2、−VP3、および−VP4 ELISAについて分析する。実施例1のHISタグ組換えタンパク質を、捕捉抗原として用いる。pVAX対照マウスの血清は、サブタイプ最適化VP1〜4のいずれも認識することができない。これに対して、サブタイプ最適化VP1〜4DNAワクチンで免疫化されたマウスは、サブタイプ最適化VP1、−2、−3、および−4に対する抗体を生成しており、最適化VP1〜4融合ワクチンが、4種のVP全てに対する免疫反応をマウスで開始させていることが示される。
【0145】
実施例3
発現構築物の調製
多重標的FMDV DNAワクチンを構築した。サブタイプAsia 1、O、A、C、SAT1、SAT2、およびSAT3のVP1配列が、各サブタイプの少なくとも10種の異なる配列により最適化された第一のコンセンサスであった。その後、2種のVP1配列を1種のプロモータ下で挿入して、2種の隣接する切断部位で分離した。
【0146】
IgEリーダー配列を第一のORFの前に挿入して、2種の終止コドンを第二のORFの後に挿入した。AsiaおよびO VP1をコードする第一のプラスミドは、1362bpである。
【0147】
AおよびC VP1をコードする第二のプラスミドは、1356bpである。第三および第四のプラスミドは、第一のコードSAT1およびSAT2 VP1と、第二のコードSAT3 VP1とを含むサブアフリカサブタイプをターゲットとする。
【0148】
実施例4
組換えVP1〜4の発現
クローニングされたプラスミドを、その後、インビトロ翻訳アッセイで発現させた。単一VP1構築物−A、Asia、C、およびO−の全ての翻訳により、予測されたバンド[約24.5kDa]が得られ、A+C VP1およびAsia+O VP1構築物により、より高分子量の二量体バンドが得られた。それらの構築物は、免疫沈澱に用いられたFLAG−エピトープを有する。
【0149】
実施例5
ワクチン接種法
FMDに対する免疫反応を確認するために、4種のVP1サブタイプ(A、Asia、C、およびO)全ての組換えFMD VP1タンパク質を生成させた。
組換えコンセンサスFMDV VP1配列(IgEリーダー配列はN末端に下線を付した)
タンパク質を、HISタグ細菌発現ベクターにクローニングして、ベクターを発現した。Ni−カラム分離を介してタンパク質を精製したが、発現されたタンパク質を矢印で示している。
【0150】
次に、DNAプラスミドの有効性を検査するために、Balb/Cマウスを免疫化した。CELLECTRA電気穿孔を用いて、免疫化あたりDNA 15μgでマウスを免疫化した。7種の免疫化群が存在した。
1.pVax
2.pVax−FMDV VP1 A+pVAX1−IL−15
3.pVax−FMDV VP1 Asia+pVAX1−IL−15
4.pVax−FMDV VP1 C+pVAX1−IL−15
5.pVax−FMDV VP1 O+pVAX1−IL−15
6.pVax−FMDV VP1 A−C+pVAX1−IL−15
7.pVax−FMDV VP1 Asia−O+pVAX1−IL−15
【0151】
0、14、および28日目に、マウスを3回免疫化して、最終的な免疫化の3日後に、殺処分した。動物から血清を回収して、抗−VP1 ELISAについて分析した。組換えタンパク質を、捕捉抗原として用いた。pVAX対照マウスの血清は、A、Asia、C、およびO VP1タンパク質を認識することができなかった。これに対して、A、Asia、C、およびO DNAワクチンで免疫化されたマウスは、それぞれA、Asia、C、およびO VP1タンパク質に対する抗体を生成した。より重要なこととして、VP1 A−CまたはAP1 Asia−Oワクチンのいずれかで免疫化されたマウスは、4種のVP1サブタイプ全てに対する抗体を生成しており、コンセンサス−VP1融合ワクチンが4種のアジア−ヨーロッパFMDVサブタイプ全てに対する免疫反応を生成していることが示唆される。
【0152】
(項目1)
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42のうちの1種以上、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される1種以上の配列を有するタンパク質をコードする配列を含む単離された核酸。
(項目2)
配列が、リーダー配列のためのコード配列を有する、または有さない配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、その相補配列、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41に対して80%相同的な核酸分子、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される、項目1記載の核酸。
(項目3)
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42からなる群より選択されるタンパク質をコードする配列を含む、項目1記載の核酸。
(項目4)
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41からなる群より選択される配列を含む、項目1記載の核酸。
(項目5)
リーダー配列が、IgEリーダー配列である、項目1〜4のいずれか記載の核酸。
(項目6)
プラスミドである、項目1〜5のいずれか記載の核酸。
(項目7)
発現ベクターであるプラスミドである、項目1〜6のいずれか記載の核酸。
(項目8)
項目1〜7のいずれか記載の核酸ならびに/またはリーダー配列を有する、もしくは有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択されるタンパク質1種以上を含むワクチン。
(項目9)
アジュバントを更に含む、項目8記載のワクチン。
(項目10)
IL−12および/もしくはIL−15、またはIL−12および/もしくはIL−15をコードする核酸配列、からなる群より選択されるアジュバントを更に含む、項目8記載のワクチン。
(項目11)
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択されるタンパク質を1種以上含む組成物。
(項目12)
項目8記載のワクチンを投与することを含む、ホ乳類における1種以上のFMDVウイルスサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法。
(項目13)
ワクチンが核酸分子を含み、
a)前記核酸分子をホ乳類の組織に投与するステップと、
b)DNAプラスミドを細胞に侵入させるのに効果的な定電流のエネルギーパルスで前記組織の細胞を電気穿孔するステップと、
を含む、項目12記載の方法。
(項目14)
ステップa)が、DNAプラスミドワクチンを皮膚間、皮下、または筋肉の組織に注射することを含む、項目13記載の方法。
(項目15)
電流が組織に送達されるようにプリセットされ、エネルギーパルスがプリセット電流と等しい定電流である、項目13または14記載の方法。
(項目16)
電気穿孔ステップが、
(a)電気穿孔された細胞中でインピーダンスを測定すること、
(b)エネルギーパルスのエネルギーレベルを前記測定されたインピーダンスに対して調整して、前記電気穿孔された細胞中で定電流を保持すること、を更に含み、
ここで測定および調整ステップが、エネルギーパルスの寿命内で行なわれる、項目13〜15のいずれか記載の方法。
(項目17)
電気穿孔ステップが、エネルギーパルスを分散パターンで送達するパルスシーケンスパターンにより、前記エネルギーパルスを複数の電極に送達することを含む、項目13〜16のいずれか記載の方法。
(項目18)
ホ乳類がFMDVに感染しておらず、免疫反応が防御的免疫反応である、項目12〜17のいずれか記載の方法。
(項目19)
ホ乳類がFMDVに感染しており、免疫反応が治療的免疫反応である、項目12〜17のいずれか記載の方法。
(項目20)
項目8記載のワクチンを接種されたホ乳類においてFMDVに感染したホ乳類を診断する方法であって、
a)前記ホ乳類から液体試料を単離すること、および
b)前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質および/または前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質に対する抗体の存在を検出すること、を含み、
前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質および/または前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質に対する抗体の存在が、ホ乳類がFMDVに感染していることを示す、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42のうちの1種以上、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される1種以上の配列を有するタンパク質をコードする配列を含む単離された核酸。
【請求項2】
配列が、リーダー配列のためのコード配列を有する、または有さない配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、その相補配列、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41に対して80%相同的な核酸分子、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸をコードするそのフラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択される、請求項1記載の核酸。
【請求項3】
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42からなる群より選択されるタンパク質をコードする配列を含む、請求項1記載の核酸。
【請求項4】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39および41からなる群より選択される配列を含む、請求項1記載の核酸。
【請求項5】
リーダー配列が、IgEリーダー配列である、請求項1記載の核酸。
【請求項6】
プラスミドである、請求項1記載の核酸。
【請求項7】
発現ベクターであるプラスミドである、請求項1記載の核酸。
【請求項8】
請求項1記載の核酸ならびに/またはリーダー配列を有する、もしくは有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択されるタンパク質1種以上を含むワクチン。
【請求項9】
アジュバントを更に含む、請求項8記載のワクチン。
【請求項10】
IL−12および/もしくはIL−15、またはIL−12および/もしくはIL−15をコードする核酸配列、からなる群より選択されるアジュバントを更に含む、請求項8記載のワクチン。
【請求項11】
リーダー配列を有する、または有さない配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40および42に対して80%以上の相同性を有する変異体、その相補配列、少なくとも20のアミノ酸を含むその免疫原性フラグメント、ならびにその相補配列、からなる群より選択されるタンパク質を1種以上含む組成物。
【請求項12】
請求項8記載のワクチンを投与することを含む、ホ乳類における1種以上のFMDVウイルスサブタイプに対する免疫反応を誘発する方法。
【請求項13】
ワクチンが核酸分子を含み、
a)前記核酸分子をホ乳類の組織に投与するステップと、
b)DNAプラスミドを細胞に侵入させるのに効果的な定電流のエネルギーパルスで前記組織の細胞を電気穿孔するステップと、
を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ステップa)が、DNAプラスミドワクチンを皮膚間、皮下、または筋肉の組織に注射することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
電流が組織に送達されるようにプリセットされ、エネルギーパルスがプリセット電流と等しい定電流である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
電気穿孔ステップが、
(a)電気穿孔された細胞中でインピーダンスを測定すること、
(b)エネルギーパルスのエネルギーレベルを前記測定されたインピーダンスに対して調整して、前記電気穿孔された細胞中で定電流を保持すること、を更に含み、
ここで測定および調整ステップが、エネルギーパルスの寿命内で行なわれる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
電気穿孔ステップが、エネルギーパルスを分散パターンで送達するパルスシーケンスパターンにより、前記エネルギーパルスを複数の電極に送達することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ホ乳類がFMDVに感染しておらず、免疫反応が防御的免疫反応である、請求項12記載の方法。
【請求項19】
ホ乳類がFMDVに感染しており、免疫反応が治療的免疫反応である、請求項12記載の方法。
【請求項20】
請求項8記載のワクチンを接種されたホ乳類においてFMDVに感染したホ乳類を診断する方法であって、
a)前記ホ乳類から液体試料を単離すること、および
b)前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質および/または前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質に対する抗体の存在を検出すること、を含み、
前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質および/または前記ワクチン中に含まれないFMDVタンパク質に対する抗体の存在が、ホ乳類がFMDVに感染していることを示す、方法。

【公表番号】特表2013−509203(P2013−509203A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537203(P2012−537203)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/055187
【国際公開番号】WO2011/054011
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(504074710)ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア (20)
【出願人】(511108301)イノビオ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】