説明

古柔道畳の再生方法及び再生柔道畳

【課題】 古柔道畳を廃棄することなく、それを再生する方法を提供する。
【解決手段】 古柔道畳1の表面1aに緩衝体2を敷くとともに前記古柔道畳1の裏面1bに裏シート3を敷き、前記緩衝体2と前記古柔道畳1と前記裏シート3とを一体に縫い合わせ、その一体物4に対して前記緩衝体2の上から柔道畳用の畳表6を被せ、該畳表6を前記一体物4に縫い付ける。その結果、再生柔道畳10ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古柔道畳の再生方法に関するものである。本発明はまた、再生柔道畳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長年使用して老朽化した古柔道畳は、従来、廃棄処分されるのが通常であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、廃棄物としての処理は環境保全上も好ましくなく、また、廃棄処分には多大なコストもかかる。
【0004】
そこで本発明は、古柔道畳を廃棄することなく、それを再生する方法を提供しようとするものである。
【0005】
本発明はまた、低コストで新品同様の品質を有する再生柔道畳を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の方法は、古柔道畳の表面に緩衝体を敷くとともに前記古柔道畳の裏面に裏シートを敷き、前記緩衝体と前記古柔道畳と前記裏シートとを一体に縫い合わせ、その一体物に対して前記緩衝体の上から柔道畳用の畳表を被せ、該畳表を前記一体物に縫い付けることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
また、本発明による再生柔道畳は、古柔道畳と、該古柔道畳の表面に敷設される緩衝体と、前記古柔道畳の裏面に敷設される裏シートと、前記緩衝体と前記古柔道畳と前記裏シートとを縫い合わせて一体物にするための糸と、前記緩衝体の上から被せて前記一体物に対して縫い付けられる柔道畳用の畳表と、を備えたものである(請求項2)。
【0008】
本発明においては、古柔道畳をそのまま用いて再生柔道畳を作成する。したがって、古柔道畳は廃棄物とされることがない。また、本発明に係る再生柔道畳は、古柔道畳をそのまま含むので、柔道畳を新たに作成するのに比べてコストが大幅に削減できる。
【0009】
本発明においては、前記緩衝体が、再生柔道畳に新品の柔道畳同様の厚みと緩衝性を付与する。また、前記糸で縫い合わせることで、再生柔道畳に新品同様の耐久性が付与される。さらに、前記畳表と前記裏シートとにより、再生柔道畳の外回りが新品同様となる。よって、内外共に新品同様の品質を有し、風合いも良い再生柔道畳を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係る再生柔道畳の製造工程図である。
【0012】
柔道畳は、使用時には大きな押圧力を繰り返し繰り返し受ける。このため、長期間使用しているとヘタリが出る。具体的には、柔道畳を床に敷いてその片隅を持ち上げたとき、新しい柔道畳であれば畳がほぼ板状のままで斜めに持ち上がるが、老朽化した柔道畳の場合、畳が湾曲してしまう。また、新しい柔道畳は60mm程度の厚みがあるが、長期間使用すると圧縮されて薄くなり、55〜50mm程度まで厚みが減少する。本発明は、このような、老朽化し且つ当初の厚みより薄くなった古柔道畳1を再生させる方法と、その方法による再生柔道畳10を提供する。
【0013】
図1の再生柔道畳10は、前記古柔道畳1と、該古柔道畳1の表面1aに敷設される緩衝体2と、前記古柔道畳1の裏面1bに敷設される裏シート3と、前記緩衝体2と前記古柔道畳1と前記裏シート3とを縫い合わせて一体物4にするための糸5と、前記緩衝体2の上から被せて前記一体物4に対して縫い付けられる柔道畳用の畳表6と、を備える。
【0014】
前記古柔道畳1は、部分的に手直しの必要がある場合には適宜手直しするが、通常は、そのままの状態で使用することができる。
【0015】
前記緩衝体2は、前記古柔道畳1の厚みを補完し、再生柔道畳10に新品の柔道畳と同一の厚みと緩衝性を与える。前記緩衝体2としては、柔道畳を作るときに畳表のすぐ内側に敷設されるフェルトを用いることができ、それ以外にも、例えば、ウレタンフォームやポリエチレンフォーム等を用いることもできる。
【0016】
前記裏シート3としては、柔道畳を作るときに裏シートとして使用されるラミネート紙と同一のものを使用することができる。具体的には、限定はされないが、ポリプロピレン織布を用いることができる。
【0017】
前記糸5は、柔道畳を作るときに畳表以外の構成要素を縫い合わせて一体化させるための糸と同一のものである。前記緩衝体2と前記古柔道畳1と前記裏シート3とを重ね合わせた状態で前記糸5により縫い合わせて一体物4にすることで、再生柔道畳10に新品同様の耐久性が付与される。
【0018】
前記畳表6は、柔道畳を作るときに通常使用する畳表と同一のものである。
【0019】
前記古柔道畳1は、次のようにして再生されて前記再生柔道畳10となる。
【0020】
まず、図1の(A)に示すように、前記古柔道畳1の表面1aに前記緩衝体2を敷くとともに、前記古柔道畳1の裏面1bに前記裏シート3を敷く。もちろん、いずれを先に敷いても構わない。
【0021】
次に、図1の(B)に示すように、前記緩衝体2と前記古柔道畳1と前記裏シート3とを前記糸5で一体に縫い合わせる。縫い合わせのために使用する機械及び縫い合わせ方は、新規に柔道畳を製造する場合に畳表以外の構成要素を一体にするためのものと同様である。
【0022】
続いて、図1の(C)に示すように、前記一体物4に対して前記緩衝体2の上から柔道畳用の畳表6を被せ、図1の(D)に示すように、該畳表6を前記一体物4に糸7で縫い付ける。この場合に使用する糸7、機械及び縫い付け方も、新規に柔道畳を製造する場合のものと同様である。
【0023】
前記方法によれば、古柔道畳1は再生柔道畳10の材料となるので、古柔道畳が廃棄物とされることがない。また、再生柔道畳10は、古柔道畳1をそのまま含むので、柔道畳を新たに作成するのに比べてコストが大幅に削減できる。さらにまた、前記緩衝体2を含むことで新品同様の厚みと緩衝性が備えられ、前記糸5で縫い合わせることで新品同様の耐久性が備えられ、前記畳表6と前記裏シート3により外回りも新品同様とされるため、内外共に新品同様の品質を有し、風合いも良い再生柔道畳10が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の一形態に係る再生柔道畳の製造工程図である。
【符号の説明】
【0025】
1 古柔道畳
2 緩衝体
3 裏シート
4 一体物
5 糸
6 畳表
10 再生柔道畳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古柔道畳の表面に緩衝体を敷くとともに前記古柔道畳の裏面に裏シートを敷き、前記緩衝体と前記古柔道畳と前記裏シートとを一体に縫い合わせ、その一体物に対して前記緩衝体の上から柔道畳用の畳表を被せ、該畳表を前記一体物に縫い付けることを特徴とする、古柔道畳の再生方法。
【請求項2】
古柔道畳と、該古柔道畳の表面に敷設される緩衝体と、前記古柔道畳の裏面に敷設される裏シートと、前記緩衝体と前記古柔道畳と前記裏シートとを縫い合わせて一体物にするための糸と、前記緩衝体の上から被せて前記一体物に対して縫い付けられる柔道畳用の畳表と、を備える再生柔道畳。

【図1】
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【公開番号】特開2009−256926(P2009−256926A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105507(P2008−105507)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(592080419)株式会社郁栄商会 (1)
【Fターム(参考)】