説明

古畳を利用した人口土壌

【課題】家屋の取り壊しなどで必ず発生する古畳は嵩張る上に燃え難く、廃材としての処分が困難であり、現状では廃棄処分の費用を払って専門の廃材処理業者に委託せざるを得ず、また廃材として処理する場合の方法の多くは焼却処分であるが、焼却による煙害・温暖化公害などの問題がある。 有効利用の方法としては破砕した上に発酵熟成させて肥料とする提案も成されているが、特殊な工程が必要とされることから費用対効果の点で問題がある。一方、都市部における大気汚染やヒートアイランド現象などの環境問題を解決する手段として屋上緑化が行われるようになり、人口土壌の提案が数多く見られるが、構造的に複雑なものが多くこれらも費用対効果の点では問題がある。
【解決手段】建築廃材として廃棄される古畳を人口土壌の素材として活用するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は古畳を利用した人口土壌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平11−228268号公報
【特許文献2】特開2003−061457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家屋の取り壊しなどで必ず発生する古畳は嵩張る上に燃え難く、廃材としての処分が困難であり、現状では廃棄処分の費用を払って専門の廃材処理業者に委託せざるを得ず、其の委託費用は畳一枚当たり約2000円と言われている。 廃材として処理する場合の方法の多くは焼却処分であるが、焼却による煙害・温暖化公害などの問題があり。 有効利用の方法として、特許文献1のごとく破砕した上に発酵熟成させて肥料とする提案も成されているが、特殊な工程が必要とされることから費用対効果の点で問題がある。
一方、都市部における大気汚染やヒートアイランド現象などの環境問題を解決する手段として屋上緑化が行われるようになり、様々な提案が成されており、例えば特許文献2のごとく人口土壌の提案が数多く見られるが、構造的に複雑なものが多くこれらも費用対効果の点では問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の提案は建築廃材として廃棄される古畳を人口土壌の素材として活用するものである。
【発明の効果】
【0005】
本来は廃材として廃棄される古畳を人口土壌の素材として活用するので、材料費は殆ど発生しない上にきわめて簡便に植栽用の人口土壌を作ることができ、コストや施工の手間の面で、屋上緑化だけでなく荒地の表面を緑化する場合にもきわめて有効である。
【実施例1】
【0006】
以下、図面によりこの発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1による古畳を利用した人口土壌の構造説明の斜視図である。
すなわち、畳表と布縁を取り除いた畳床1の表面に図2のごとく市松状に配列した直径約10センチメートルの穴2を厚さ方向に穿ける、穴の配列を畳目に直角な格子状にすると畳床の藁や綴じ糸を分断してしまい畳床が分解してしまうので、市松状配列のような畳床が分解しない配列は本発明の用件の一つである。 穴を穿けた状態の畳床を下地3の上に、必要な面積に敷き詰める。 下地は屋上緑化の場合は水周りの養生を施した屋上の表面であり、荒地緑化の場合は適宜平坦化した表土であり、用途に応じて任意である。 穴の形状は円形に限らず四角でも良く、また市松状配列の間隔は植栽の種類のより適宜に定められる。 市松状に配設された穴に培養土などの土4を充填し畳全体を人口土壌6とする。このように構成された人口土壌は、畳床の保水性により穴に充填された土の水分蒸散を防ぎ、更に植栽の生育に伴い伸張する根を受け入れ、穴に充填された土と一体化して土壌を構成する。
【実施例2】
【0007】
穴に充填された培養土などの土の流出を防ぐために、図3のごとく必要に応じて穴の底部にネット状の流出防止手段を附設することも有効である、土流出防止手段としては穴の底部に砕石を敷いたり、畳の穴を底部まで貫通させずに若干の厚さ分だけ底部を残した穴を穿ける方法も可能である。
このように本発明によれば極めて簡便な加工と現場施工により人工土壌が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1による人工土壌の斜視図
【図2】本発明の実施例1による人工土壌の平面図
【図3】本発明の実施例2による人工土壌の断面図
【符号の説明】
【0009】
1 畳床
2 穴
3 下地
4 土
5 流失防止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳床の表面に畳床の厚さ方向に向けた穴を穿け、屋上緑化などの下地の上に敷き詰め、前記穴に培養土などの土を充填したことを特徴とする人口土壌。
【請求項2】
表面に穿けられた穴が市松状に配列してなる請求項1の人口土壌。
【請求項3】
培養土を充填する穴の底部に土の流出阻止手段を備えてなる請求項1の人口土壌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105023(P2007−105023A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325318(P2005−325318)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(301037752)株式会社植藤 (5)
【Fターム(参考)】