説明

可動ホッパー制御システム

【課題】複数のターミナル装置が設置されたメダルゲーム機において、ターミナル装置にメダル払い出しのイベントが発生した場合、移動を行うものであって、従来にない払い出しの動きをして演出効果を増加させる可動ホッパー制御システムを提供する。
【解決手段】横一列に配置されているターミナル装置5a,5bに対し払い出すべきメダルを収容する可動式メダル払い出し装置2は払い出しが発生したターミナル装置の位置まで移動する。そして、小払い出しの場合、3つの報酬ランクに対応した払い出しを行う。すなわち報酬ランク1の場合には可動式メダル払い出し装置2の最も左側のホッパー部からメダルが射出される。報酬ランク2の場合、左側および中央のホッパー部が同時に動作しメダルが射出される。報酬ランク3の場合、すべてのホッパー部が同時に動作しメダルが射出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のターミナル装置(メダルゲーム機単体)を横一列に配置したメダルゲーム機の可動ホッパー制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メダルプッシャゲームはプレイヤがメダルを投入することにより、賞などが発生した場合、プレイフィールドに賞に対応したメダル数を払い出し、メダルプッシャー台の前後移動の繰り返しにより、プレイフィールドやメダルプッシャー台に堆積した多数のメダルをプレイフィールドの前方に徐々に押し出し、メダルフィールドの前に設置したメダル払い出し口に落とすことにより、メダルをプレイヤに払い出すゲームである。
このようなメダルゲーム機を多数備えたマルチメダルゲーム装置が実施されている。
【0003】
従来はメダルをプレイフィールドに払い出す場合、メダルをホッパー装置で射出してメダルゲーム機のプレイフィールドに落とす方法が一般的であった(特許文献1)。
特許文献1はこの種のホッパー装置を提案するもので、メダル供給装置により1枚ずつ送出されるメダル14の両側面を1対のローラ外周面でもって挟み付け、この1対のローラをそれぞれ相互に逆方向へ回転させることによりメダルを標的に向けて発射させるものであった。
【特許文献1】特開平11−146977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来におけるメダルの払い出し方法はこのようにメダルがホッパーから排出される方法が一般的である。したがってメダルゲーム機にメダルが落ちるパターンは一定であった。また、複数のメダルゲーム機を備えた大型メダルゲーム機の場合、中央のメダル払い出し部から払い出される払い出し方法も単一であり、変化に乏しいものであった。
【0005】
本件出願人は多数のメダルゲーム機単体に対し、従来にない演出性のあるメダル払い出しを行うことができないかを考えた。
本発明の目的は、複数のターミナル装置が設置されたメダルゲーム機において、ターミナル装置にメダル払い出しのイベントが発生した場合、移動を行うものであって、従来にない払い出しの動きをして演出効果を増加させる可動ホッパー制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1記載の発明は、払い出されるメダルを受けるプレイフィールドを持つメダルゲーム機単体を複数個横一列に配置したメダルゲーム機の間を移動する、ホッパー部を有する可動式メダル払い出し装置であって、前記メダルゲーム機単体にn種類(nは自然数)の報酬ランクのいずれかを指定してメダル払い出し命令を行う報酬ランク別メダル払い出し命令部を有し、前記可動式メダル払い出し装置は、n個のホッパー部と、前記n個のホッパー部のメダル放出を駆動するメダル放出駆動手段と、前記報酬ランク別メダル払い出し命令部から命令を受けたとき、前記メダル放出駆動手段を駆動し、前記n種類の報酬ランク別に1個,2個またはn個のホッパー部を駆動してメダルを放出させることを特徴とする。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において前記可動式メダル払い出し装置は、船筐体と、前記船筐体の上部に設けられ、n個の窓を有する砲台とを備え、前記窓を望む位置にホッパー部をそれぞれ設けたことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において前記nは3であり、第1の報酬ランクは、1個のホッパー部を駆動してメダルを放出し、第2の報酬ランクは、2個のホッパー部を同時に駆動してメダルを放出し、第3の報酬ランクは、3個のホッパー部を同時に駆動してメダルを放出することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明において前記メダルゲーム機は、移動線路を挟んで前部と後部にそれぞれメダルゲーム機単体を複数個横一列に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ホッパー部によるメダル払い出しで、ダイナミックな演出によりプレイヤに対しさらなる興趣性を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明による可動ホッパー制御システムを適用したメダルゲーム機の外観を示す概略図である。
メダルゲーム機1はメダルゲーム機単体であるターミナル装置5aおよび5bがメダルゲーム機1の前面側に横一線で並設されており、後面側にも同様に2つのターミナル装置が設置されている。ターミナル装置5aおよび5bと背面のターミナル装置との間に船の形状をした可動式メダル払い出し装置2が配置されている。可動式メダル払い出し装置2の移動通路(図示されていない)の両端側にメダル補充部3aおよび3bが設置されている。メダル補充部3aおよび3bにメダルを供給するためのメダル案内レール8aおよび8bが設けられている。
【0009】
可動式メダル払い出し装置2の移動通路脇であってターミナル装置5aおよび5bの位置にメダル報酬口4aおよび4bが配置されている。同様に背後のターミナル装置に対してもメダル報酬口が設けられている。可動式メダル払い出し装置2はターミナル装置で賞が発生すると払い出しのため移動通路を動き、賞が発生したターミナル装置の前で停止し、賞対応のメダル数をメダル報酬口に落とす。メダル報酬口に落とされたメダルはターミナル装置のプレイフィールドに払い出される。
可動式メダル払い出し装置2は払い出しパターンを2種類持っており、賞に応じていずれかの払い出しパターンで払い出す。
また、可動式メダル払い出し装置2はメダルの払い出しによりメダル受け皿7のメダルが不足すると、メダル補充部3aまたは3bまで移動してメダルの補充を受ける。
【0010】
図2は、本発明に用いられる可動式メダル払い出し装置の詳細を説明するための斜視図である。
図2(a)において可動式メダル払い出し装置2は船筐体2bとこの船筐体2bの上に砲台2aが設置されていることにより構成されている。船筐体2bの上の砲台2aの上部にメダル受け皿7を有し、メダル受け皿7の側面に第1のホッパー部11aの窓12a,第2のホッパー部11bの窓12bおよび第3のホッパー部11cの窓12cが設けられている。各窓からメダルが1個ずつ賞対応の枚数だけ飛び出すように各ホッパー部は構成されている。可動式メダル払い出し装置2の背後の側面にも同様に3個の窓が設置されている。
図2(b)にメダル受け皿7にメダル6が補充され堆積された状態を示す。
【0011】
図3は、可動式メダル払い出し装置の動作方向を説明するための図である。
可動式メダル払い出し装置の砲台2aにホッパー部11a,11bおよび11cおよび各ホッパーを駆動するホッパー駆動モータ(図示されていない)が内蔵されている。また、船筐体2bに可動式メダル払い出し装置2を傾斜させるための傾斜モータ41および水平方向に回転させる回転モータ46ならびに左右に移動させるための移動モータ50が内蔵されている(各モータは図4A〜図4Cを参照)。
傾斜モータ41を駆動することにより、傾斜モータ41の回転は直線運動に変換され船筐体の一部を押し上げ、傾斜回転軸15に取り付けられた傾斜回転軸嵌合環18を固定軸19に対し回転させ可動式メダル払い出し装置を傾斜させる。メダルの払い出しを終了した後は、傾斜モータ41が逆回転して可動式メダル払い出し装置は元の水平状態に戻される。
つぎに回転モータ46を駆動することにより、回転モータ46の回転出力は回転軸17に伝達され回転軸17を水平方向回転軸嵌合部14とともに回転させ可動式メダル払い出し装置を前または後ろ方向に90度回転させる。メダルの払い出しを終了した後は、回転モータ46が逆回転し可動式メダル払い出し装置は元の角度位置(スライド棒と平行状態)に戻される。
移動モータ50を駆動することにより移動モータ50の回転出力は直線移動に変換され直線移動出力をスライド嵌合環13に伝達しスライド嵌合環13をスライド棒16でスライドさせ目的の位置まで可動式メダル払い出し装置を移動させる。目的位置に達した後は、可動式メダル払い出し装置は元の位置または他の位置に移動する。
【0012】
図4Aは傾斜機構の詳細を説明するための図である。
可動式メダル払い出し装置2の船筐体2b内に保持枠40を有し、この保持枠40内に各機構部およびモータが取り付けられている。傾斜回転軸15の両端は図4A(b)に示すように保持枠40を貫いて船筐体2bに固定されている。船筐体2bは傾斜回転軸15を中心に図4A(a)に示すように傾斜させられる。
保持枠40の内壁に傾斜モータ41が固定され、傾斜モータ41の出力軸は減速ギヤ42を介して円板43に取り付けられている。円板43の円周部付近にピン44が植設され、該ピン44に伝達杆45の一端が回転可能に取り付けられている。伝達杆45の他端は船筐体2bに固定されたピン49に回転可能に取り付けられている。
傾斜モータ41が回転すると、円板43の回転により伝達杆45が突出し船筐体2bは傾斜回転軸15を支点に船の背後が持ち上げられ傾斜するため、メダル受け皿のメダルが払い出される。
【0013】
図4Bは回転機構の詳細を説明するための図である。
水平方向回転軸嵌合部14を取り付けた回転軸17にはギヤ48が固定されている。固定軸19は水平方向回転軸嵌合部14を回転可能に支持している。
保持枠40の内壁に回転モータ46が固定され、回転モータ46の出力軸46aはギヤ47a〜47eよりなる減速ギヤ群47を介してギヤ48に接続されている。
回転モータ46が駆動すると、その出力は減速されてギヤ48に伝達され、回転軸17を回転させるため、船筐体2bは水平方向に前後に向きを変えさせられる。
【0014】
図4Cは移動機構の詳細を説明するための図である。
図4Cはスライド棒付近の平面図であり、各機構はメダルゲーム機筐体側に取り付けられている。
スライド棒16の両端はメダルゲーム機筐体の両側壁にそれぞれ固定されている。
スライド嵌合環13はスライド棒16を案内に左右に移動可能である。スライド嵌合環13の上面に固定軸19が固定されている。また、側面に結合部55が固定され、結合部55の先端はチェーン54に取り付けられている。
歯車52,53はメダルゲーム機筐体に回転可能に取り付けられ、歯車52と53の間にチェーン54が掛け渡されている。
【0015】
移動モータ50はメダルゲーム機筐体に取り付けられ、その出力軸は減速ギヤ51に接続されている。減速ギヤ51の出力軸は歯車52の軸に固定されている。
移動モータ50が駆動すると、その回転速度は減速され歯車52に伝達され、チェーン54が回転するため、スライド嵌合環13はスライド棒16を移動し可動式メダル払い出し装置2を搭載した固定軸19を左右に移動させることができる。
【0016】
図4Dはホッパー部の詳細を説明するための図である。
砲台2aに内蔵されたホッパー部11は補充されるメダルを集積するメダル集積部56を有し、メダル集積部56の下部にモータで回転させられるロータリーディスク57が設置されている。ロータリーディスク57は5個のメダル落とし孔57aを持ち、メダル集積部56に堆積されたメダルはロータリーディスク57の回転によってメダル落とし孔57aに落ち込む。ロータリーディスク57の下面にメダルを押すためのピンが植設されており、このピンによりメダル落とし孔57aに落ちたメダルを円周方向に押していく。
ホッパー部11の底面に誘導ピンが設けられ、押されてきたメダルはこの誘導ピンによりメダル移送部58内に誘導され、メダル移送部58に送り出される。メダル移送部58内ではメダルは数珠つなぎ状態で押されていき、メダル移送部58の先端部よりメダルが射出される。メダルが1枚メダル移送部58内に入れば、1枚のメダルがその先端部より射出される。
【0017】
図5は本発明によるメダルゲーム機の回路の実施の形態を示す回路図である。
この図は、メダルゲーム機全体を制御するための回路例で、可動式メダル払い出し装置の動作に注目して記載したものである。各ターミナル装置の回路はCPU24を代表して記載し、他の部分は省略してある。
ROM29にはメダルゲーム機全体を制御する制御プログラムおよび払い出しを実行するための払い出し起動プログラムおよび必要なデータが格納されている。
メモリ部22はCPU21などで行う演算,処理の作業エリアとして用いられるとともに一時的にデータを保存する。
【0018】
CPU21はROM29から制御プログラムおよび払い出し起動プログラムを読み込むことにより、メダルゲーム機全体の制御およびターミナル装置のCPU24からの指令に基づいた払い出し処理を行う。
CPU21はゲーム開始前の待ち受け時やゲーム中に電飾などの点灯,点滅などの制御を行う。またサウンド出力インターフェース25を介してサウンド出力装置26(図1には図示されていない)により音楽などを出力する。さらに映像出力インターフェース27を介して映像出力装置28によって表示部(図1には図示されていない)に映像を出力する。
【0019】
ターミナル装置のCPU24より、賞が発生し払い出しを行うべき情報が送られてくると、CPU21はI/O制御系23を通じて対応の制御回路を制御する。例えば、ターミナル装置の1つにジャックポットの賞が発生し、メダルを纏めて払う旨のコマンドが送られてきたとする。CPU21は、送られてきた情報に基づきX軸スライド制御回路32にコマンドを送出し移動モータ50を駆動させる。X軸スライド制御回路32は可動式メダル払い出し装置2を賞が発生したターミナル装置の方向に移動させる。賞が発生したターミナル装置の前まで移動すると移動モータ50を停止させる。そして、Y軸回転制御回路33にコマンドを送出し、回転モータ46を駆動して可動式メダル払い出し装置2を水平方向に90度回転させる。その後、Z軸回転制御回路34にコマンドを送出し、傾斜モータ41を駆動して可動式メダル払い出し装置2を手前方向に傾ける。
【0020】
つぎに、ターミナル装置の1つに小さい賞が発生し、メダルをホッパー部で払う旨のコマンドが送られてきたとする。CPU21は、送られてきた情報に基づきX軸スライド制御回路32にコマンドを送出し移動モータ50を駆動させる。X軸スライド制御回路32は可動式メダル払い出し装置2を賞が発生したターミナル装置の方向に移動させる。CPU21は賞が発生したターミナル装置の前まで移動すると移動モータ50を停止させる。このとき、ホッパー部11a,11b,11cがある船筐体2bの側面が賞が発生したターミナル装置側に向いていない場合、Y軸回転制御回路33によって180度回転させホッパー部11a,11b,11cを賞が発生したターミナル装置側に対面させる。
小さい賞の種類は報酬ランク1,2および3の3つのランクに分けられており、報酬ランク1対応のコマンドが送られてくると、内部ホッパー駆動回路(A)31aが駆動し、第1のホッパー部11aのロータリーディスクを回転させて賞が発生したターミナル装置にメダル6を一枚いちまい連続して所定枚数射出する。
【0021】
同様に報酬ランク2対応のコマンドが送られてくると、内部ホッパー駆動回路(A)31aおよび(B)31bが駆動し、第1のホッパー部11aおよび第2のホッパー部11bのロータリーディスクを回転させて賞が発生したターミナル装置に第1のホッパー部11aおよび第2のホッパー部11bから同時にメダル6を一枚いちまい連続して所定枚数射出する。
さらに報酬ランク3対応のコマンドが送られてくると、内部ホッパー駆動回路(A)31a,(B)31bおよび(C)31cが駆動し、第1のホッパー部11a,第2のホッパー部11bおよび第3のホッパー部11cのロータリーディスクを回転させて賞が発生したターミナル装置に第1のホッパー部11a,第2のホッパー部11bおよび第3のホッパー部11cから同時にメダル6を一枚いちまい連続して所定枚数射出する。
【0022】
メダルの払い出しにより可動式メダル払い出し装置2のメダル受け皿7のメダルが不足した場合、CPU21はI/O制御系23を介してX軸スライド制御回路32にコマンドを送出し、移動モータ50を駆動させる。X軸スライド制御回路32は可動式メダル払い出し装置2をメダル補充部3aまたは3bの近くまで移動させる。そして、Y軸回転制御回路33にコマンドを送出し、回転モータ46を駆動して可動式メダル払い出し装置2を水平方向に90度回転させ、この状態でX軸スライド制御回路32は可動式メダル払い出し装置2をメダル補充部3aまたは3bの位置まで寄せる。これによりメダル補充部3aまたは3bの払い出し窓から突出しているメダル案内レール8aまたは8bの先端が可動式メダル払い出し装置2のメダル受け皿7の上部に位置しメダルの補充が可能となる。CPU21は補充ホッパー駆動回路30にコマンドを送出し、図示しないモータを駆動することによりメダルをメダル案内レールに押し出し可動式メダル払い出し装置2のメダル受け皿7にメダルを補充する。メダル受け皿7に受けたメダルの一部は、図示しないメダル受け皿の一部に設けられた孔より、ホッパー部のメダル集積部に送られる。
メダルの補充が終了すると、可動式メダル払い出し装置2はメダル補充部3aまたは3bから離れて90度回転し元の姿勢(移動通路と平行状態)に戻る。
【0023】
図6は可動式メダル払い出し装置のメダル払い出しの流れを説明するためのフローチャートである。
CPU21はいずれかのターミナル装置に払い出し命令が発生したか否かを監視している(ステップ(以下「S」という)001)。この例ではターミナル装置(1)〜(4)のいずれにも払い出し命令が発生していない状態では可動式メダル払い出し装置2はメダル補充部3a,3bの中央位置に待機する。
ターミナル装置(1)〜(4)のうち、一つのターミナル装置から払い出し命令が送られてくると、払い出し命令を出したターミナル装置に移動する(S002)。
【0024】
CPU21は払い出し命令が小払い出しか否かを判定する(S003)。小払い出しでないと判定した場合は、大払い出しであるとし、CPU21は可動式メダル払い出し装置2を水平方向に90度回転させる(S005)。水平方向に90度回転させると、つぎに可動式メダル払い出し装置を傾斜させて砲台2a上のメダル受け皿7のメダルの払い出しを行う(S006)。メダルの払い出しを行った後は、元の姿勢に戻り、初期位置に移動してつぎの払い出しのために待機する(S007)。
S003において、小払い出しであれば、可動式メダル払い出し装置2はそのままの姿勢で、報酬ランク対応の内部ホッパー駆動回路を駆動する。なお、ホッパー部がある船筐体2bの側面が小払い出しすべきターミナル装置に向いていない場合は可動式メダル払い出し装置2を180度回転させて小払い出しすべきターミナル装置に向きを変える。
ホッパー部はそれぞれ独立してホッパー部11a(ホッパーA),ホッパー部11b(ホッパーB)およびホッパー部11c(ホッパーC)のいずれかまたは複数を同時に駆動して各ホッパー部からメダルを1枚いちまい同時に払い出す(S004)。図8に3つのホッパー部の詳細を示す。
【0025】
図7は内部ホッパー部の動作を説明するためのフローチャートである。
このフローチャートは図6のS003,S004の処理の詳細である。CPU21は小払い出しと判定した場合、その報酬ランクの内容を判定する(S201)。報酬ランク1であれば内部ホッパー駆動回路Aが駆動する(S202)。報酬ランク2であれば内部ホッパー駆動回路AおよびBが駆動する(S204)。報酬ランク3であれば内部ホッパー駆動回路A,BおよびCが駆動する(S206)。報酬ランク1の場合、報酬ランク1の枚数のメダル数が払い出されたか否か判定し(S203)、その枚数が払い出された場合は払い出しを終了する。図9(a)にホッパーAが作動している状態を示している。
【0026】
また、報酬ランク2の場合、報酬ランク2の枚数のメダル数が払い出されたか否か判定し(S205)、その枚数が払い出された場合は払い出しを終了する。図9(b)にホッパーAおよびBが同時に作動している状態を示している。
また、報酬ランク3の場合、報酬ランク3の枚数のメダル数が払い出されたか否か判定し(S207)、その枚数が払い出された場合は払い出しを終了する。図9(c)にホッパーA,BおよびCが同時に作動している状態を示している。
【0027】
以上の実施の形態は、可動式メダル払い出し装置の具体的形状として海賊船を模したものを使用したが、可動式メダル払い出し装置の形状はこれに限らず、メダルゲーム機のストーリーに沿った形状のものを用いることができる。例えば、宇宙船,飛行船,潜水艇などの乗り物形状物や他のメダル払い出し物体であってもよい。
また、メダルゲーム機として手前に2台のターミナル装置を、背後に2台のターミナル装置をそれぞれ横一列に配置したものを示したが、前後のターミナル装置はそれぞれ2台に限らず3台,4台・・・と設置することもできる。
【0028】
さらに可動式メダル払い出し装置を左右に移動させる手段,水平方向に回転させる手段および手前に傾斜させる手段として図4A〜図4Cの機構の例を示したが、これらはその機能を実現する一例であり、以下に示すようなものでも本発明の範囲に含まれるものである。例えば図4Aでは、可動式メダル払い出し装置の中央部に回転軸を設け、船筐体の後ろ部分を突き上げることにより傾斜させる例を示したが、ラックピニオン機構を用いて背後を突き上げるようにしてもよい。図4Bでは可動式メダル払い出し装置を支持する回転軸にギヤを固定してモータの回転速度を減速して固定したギヤに回転を伝達することにより可動式メダル払い出し装置を回転させる例を示したが、可動式メダル払い出し装置の先端部または後端部を押したり、引っ張ったりする機構を設けることにより可動式メダル払い出し装置の回転軸を回転させるようにしてもよい。図4Cでは可動式メダル払い出し装置を支持する固定軸に取り付けたスライド嵌合環をチェーンに接続しチェーンを回転させることにより左右の方向に移動させているが、チャーンの代わりにベルトやワイヤを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
ゲームセンタや店舗などに設置されている複数のターミナルよりなる大型メダルゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による可動ホッパー制御システムを適用したメダルゲーム機の外観を示す概略図である。
【図2】本発明に用いられる可動式メダル払い出し装置の詳細を説明するための斜視図である。
【図3】可動式メダル払い出し装置の動作方向を説明するための図である。
【図4A】傾斜機構の詳細を説明するための図である。
【図4B】回転機構の詳細を説明するための図である。
【図4C】移動機構の詳細を説明するための図である。
【図4D】ホッパー部の詳細を説明するための図である。
【図5】メダルゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図6】本発明における可動ホッパー制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】内部ホッパー部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】内部ホッパー部の構成を説明するための図である。
【図9】報酬ランクによる内部ホッパー部の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0031】
1 メダルゲーム機
2 可動式メダル払い出し装置
2a 砲台
2b 船筐体
3a,3b メダル補充部
4a,4b メダル報酬口
5a,5b ターミナル装置
6 メダル
7 メダル受け皿
11,11a〜11c ホッパー部
12,12a〜12c 窓
13 スライド嵌合環
14 水平方向回転軸嵌合部
15 傾斜回転軸
16 スライド棒
17 回転軸
18 傾斜回転軸嵌合環
21 CPU
22 メモリ部
23 I/O制御系
24 ターミナル装置CPU
25 サウンド出力インターフェース
26 サウンド出力装置
27 映像出力インターフェース
28 映像出力装置
29 ROM
30 補充ホッパー駆動回路
31 内部ホッパー駆動回路
32 X軸スライド制御回路
33 Y軸回転制御回路
34 Z軸回転制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払い出されるメダルを受けるプレイフィールドを持つメダルゲーム機単体を複数個横一列に配置したメダルゲーム機の間を移動する、ホッパー部を有する可動式メダル払い出し装置であって、
前記メダルゲーム機単体にn種類(nは自然数)の報酬ランクのいずれかを指定してメダル払い出し命令を行う報酬ランク別メダル払い出し命令部を有し、
前記可動式メダル払い出し装置は、
n個のホッパー部と、
前記n個のホッパー部のメダル放出を駆動するメダル放出駆動手段と、
前記報酬ランク別メダル払い出し命令部から命令を受けたとき、前記メダル放出駆動手段を駆動し、前記n種類の報酬ランク別に1個,2個またはn個のホッパー部を駆動してメダルを放出させることを特徴とする可動ホッパー制御システム。
【請求項2】
前記可動式メダル払い出し装置は、
船筐体と、
前記船筐体の上部に設けられ、n個の窓を有する砲台とを備え、
前記窓を望む位置にホッパー部をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の可動ホッパー制御システム。
【請求項3】
前記nは3であり、
第1の報酬ランクは、1個のホッパー部を駆動してメダルを放出し、
第2の報酬ランクは、2個のホッパー部を同時に駆動してメダルを放出し、
第3の報酬ランクは、3個のホッパー部を同時に駆動してメダルを放出することを特徴とする請求項1または2記載の可動ホッパー制御システム。
【請求項4】
前記メダルゲーム機は、
移動線路を挟んで前部と後部にそれぞれメダルゲーム機単体を複数個横一列に配置したことを特徴とする請求項1,2または3記載の可動ホッパー制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−125278(P2010−125278A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306597(P2008−306597)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)