可動形作業用ボックス装置
【課題】
常設地上機器をなくして地上側のスペース確保、景観保持し、また、地中側の収納ボックスを小型にして狭小幅員歩道等においても設置可能とする可動形作業用ボックス装置を提供する。
【解決手段】
地中に埋設され頂版部16により上面を閉鎖された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤14と、を備える。頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入可能に設ける。地上側に設置される頂版部に入力部を有しており、この入力部を介した入力操作により頂版部自体が昇降移動する。頂版部に連結される基盤を地上側に引き上げた状態で電線類の接続、分岐等諸作業を行なう。
常設地上機器をなくして地上側のスペース確保、景観保持し、また、地中側の収納ボックスを小型にして狭小幅員歩道等においても設置可能とする可動形作業用ボックス装置を提供する。
【解決手段】
地中に埋設され頂版部16により上面を閉鎖された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤14と、を備える。頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入可能に設ける。地上側に設置される頂版部に入力部を有しており、この入力部を介した入力操作により頂版部自体が昇降移動する。頂版部に連結される基盤を地上側に引き上げた状態で電線類の接続、分岐等諸作業を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力、電話線の接続、分岐、分配等の作業用に設置されるマンホールやハンドホール等の作業用ボックス装置に係り、特に、電線地中化対策に好適に適用可能な可動形作業用ボックス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールやハンドホール等は、例えばケーブルの引き込み・引抜き、接続、管路・ケーブルの保守等の目的で設置される。また、電力系統分野では、防災、景観保持、公衆安全の面からくる電線の地中化により、特に市街地地区では架空線路から地下管路に移行して敷設される場合が増加している。電線地中化における布設方式としては、直接埋設式、管路引き入れ式等があるが、安全性、保守点検容易性から管路式が優れている。近時、大都市等の市街地区では、景観や路面の利用面積の確保、通信系の線路の種類の増加等の点から電力線、電話線等を共通の管路内に配置させる布設方法等も提案され、その中には、例えば各種情報通信や信号供給用の伝送線やCATV(cable television)用の信号線等も含まれている。従来、電線類の地中化においては、図13に示すように、車道301と建物302との中間の歩道303部分であって、車道側の側溝304に沿うように複数条の管路305が地中に埋設して布設されている。図中306は、車道部分の地中に埋設されたマンホール、307は電力分岐部、308、309は、高圧、低圧分岐装置用ハンドホール、311,312は、ハンドホール変圧器塔並びにハンドホール開閉器塔である。そして、ハンドホール変圧器塔311並びにハンドホール開閉器塔312の直下となる地下には、打設コンクリートあるいはプレハブブロックにより図12のような、ハンドホールが構築されており、配電線を引き込み、あるいは分岐されて地上側のそれぞれの機器に接続されている。これらの地下側のハンドホールは、室内に人が入ってある程度余裕を持って諸作業ができるように、広く設けられている。従来のこのような電線類の地中化の設備構成において、特に電力線は、車両通行確保、保守・点検工事、緊急工事等の点から歩道側の地中に設置されることになる。そして、この場合、ハンドホール変圧器塔311やハンドホール開閉器塔312については、発熱や湿気を避ける必要があるから地上に設置されるものであった。これらの変圧器塔や開閉器塔の地上機器は、例えば縦、横、高さサイズで2m×1m×1.2m程度の金属製箱に本体部分は収納されており、図に見られるように、鋼管製ガードレール313を車道側や端面側に立設させて保護あるいは立ち入りを規制するようにしている。無電柱、電線類地中化は、歩道の幅員が狭い繁華街、商店街、商店・住宅の密集地帯、飲食店街、歴史的史跡等ほど設置需要が大きいが、これらの歩道部分にこれらの地上機器を設置する場合には、出入り口や商店の正対面が設置場所となるような場合もあり、それらの建物や家屋の住人、利用者にとっては玄関先の景観を損なうばかりでなく、積荷の搬入、搬出等の邪魔になって迷惑を掛けるおそれが高いという欠点があった。また、近時の車椅子利用者のためのバリアフリーやUD(universal design)の考え方の面から、歩道通行上も好ましくなく、散歩者にとっても無用のものであった。また、そのような狭い歩道幅員場所には小さな花壇を含む緑化部や街路灯が設置される場合もあり、地中の大きなハンドホール部分や地上機器設置スペース自体を確保することが困難な場合が多く、地中化工事自体を阻害する場合があった。また、機器から発生する電磁波や、電磁騒音により人体に対して悪影響を与える懸念もあった。さらに、地上に設置した変圧器や開閉器塔はイタズラや不正行為により人為的に損傷あるいは故障させられるおそれもあり、大事故や大損害を招くおそれもあるという課題があった。これらの地上機器の利用について、例えば特許文献1(特開2000−188818号)の装置が提案されている。
【特許文献1】特開2000−188818号(明細書0006〜0009、図1、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の地中配線の地上機器装置では、それらの地上機器側を、単にベンチや花壇の構造体の一部として見掛け上構成するようにしたものであって、もともとそれらのベンチや花壇を設置する場所も確保できにくい狭小幅員歩道等には適用ができず、前記したような課題の根本的な解決には、なり得ないものであった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その1つの目的は、常設地上機器をなくして地上側のスペース確保、景観保持、車椅子利用者の利便を保持しつつ、作業が必要なときだけ地上機器に対応する作業箇所を地上に配置させて円滑に作業をおこなうことのできる可動形作業用ボックス装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、地中側の収納ボックスを小型にして狭小幅員歩道等においても設置可能とし、さらに、低コストで構成することのできる可動形作業用ボックス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、地中Gに埋設され頂版部16により上面を閉鎖された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部22を搭載する基盤14と、を含み、頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入可能に設けたことを特徴とする可動形作業用ボックス装置10から構成される。頂版部の上部は歩道面と面一状にフラットに形成したり、緑化部分、その他の目的に応じた立体的な形状等で構成してもよい。頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入駆動する構成としては、手動入力あるいはモータ駆動としてもよい。基盤は地上側と地中側とで直線状あるいは曲線状に移動するようにしてもよく、あるいは地面を斜めに横切るように移動させてもよい。好ましくは、鉛直方向に沿って上下動するようにすると良い。基盤に搭載される機器部は、特に限定されず装置としてはコンデンサや、開閉器、その他任意の機器構成のものでよい。
【0006】
また、頂版部16と基盤14は連結されており、これらが一体的に収容ボック12内と地上R側とに出入するように設けるとよい。可動部分の嵩が小さくなり、地中側のボックスの小型化、狭小歩道部分での設置を実現する。なお、頂版部と基盤を一体連結しないで離隔して連結したり、あるいは直接の連結ではなく、リンクやアーム等により連係してそれらが地上側と地中側に出入移動するようにしてもよい。基盤14はできる限り板状の基板とし、これに取り付け孔等を設けて電線類その他の機器を設置し得る様にするのが、省スペース化が達成し得て好ましい。
【0007】
また、頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる案内移動手段24が設けられた構成とするとよい。
【0008】
また、頂版部16と基盤14は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられた構成とするとよい。
【0009】
さらに、案内移動手段24は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤14又は頂版部16のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構52を含むようにすると良い。頂版部や基盤等のある程度の重量負荷を伴うものでも、円滑に地中、地上移動を行なう。特に、手動入力構成でも具体的にその駆動を低コストで行なえる。
【0010】
また、頂版部15には、地上R側の操作により頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部70を設けるとよい。地上側に設置される頂版部に入力部を有しており、この入力部を介した入力操作により頂版部自体が昇降移動する。よって、入力駆動構成を極めて簡単にでき、また、駆動装置用のスペース等を不要として、小さなスペースで駆動構成を実現し得る。
【0011】
また、収容ボックス12内を地上外気と換気する換気手段86を設けるとよい。外気の取り込みと、ボックス内空気の排気を行なえるように収容ボックスに換気用ダクトを複数連通形成させて循環系の途中に外気を導入させるようにするのが良い。
【0012】
また、頂版部16は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材(50)を受ける受枠32を含むようにするとよい。
【0013】
さらに、入力操作部70は、案内移動手段(24)に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具(72)を含むようにすると良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の可動形作業用ボックス装置によれば、地中に埋設され頂版部により上面を閉鎖された収容ボックスと、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤と、を含み、頂版部の移動とともに基盤を収容ボックス内と地上側とに出入可能に設けた構成であるから、常設地上機器をなくして地上側のスペースを有効に利用でき、短時間の荷物の積み下ろし等の邪魔になるようなことがない上に、景観保持、車椅子利用者の利便を保持することができる。また、地中側の収納ボックスを小型にでき、狭小幅員歩道等においても設置可能とし、低コストで製造することが可能である。
【0015】
また、頂版部と基盤は連結されており、これらが一体的に収容ボックス内と地上側とに出入するように設けた構成であるから、昇降移動の構成並びに昇降駆動のための構成を簡単にでき、また、地中の収容ボックス部分を小型化し得る。
【0016】
また、頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる案内移動手段が設けられた構成とすることにより、昇降移動の構成を実現し得るとともに、頂版部と基盤とを一体として安定した昇降移動を行なわせ得る。
【0017】
また、頂版部と基盤は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられた構成とすることにより、昇降移動の構成並びに昇降駆動のための構成を簡単にでき、また、地中の収容ボックス部分を小型化し得る。
【0018】
さらに、案内移動手段は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤又は頂版部のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構を含むようにしているので、頂版部や地上側の化粧ブロックなどの重量負荷を受けながら円滑に昇降移動でき、特に、手動入力でも駆動し得るから動力を搬入しにくい狭小幅員歩道部分においても昇降作業を行なえる。
【0019】
また、頂版部には、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部を設けた構成であるから、頂版部及び基盤の駆動のための構成が極めて小さなスベースで実現でき、かつ、地上側からの直接入力により入力駆動のための構成も簡素化し、低コスト化を図れる。
【0020】
また、収容ボックス内を地上外気と換気する換気手段が設けられた構成とすることにより、発熱する変圧構成部分、その他の電線類の接続あるいは分岐部分を放熱させて機器類の誤作動等を生じさせないようにし得る。
【0021】
また、頂版部は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材を受ける受枠を含む構成とすることにより、頂版部の保守、点検等を路面部材の脱着により容易に行うことができる上に、常時には歩道路面に調和した路面を形成し得る。
【0022】
また、入力操作部は、案内移動手段に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具を含む構成とすることにより、昇降駆動構成を簡単かつ低コストに済ませることができる上に、狭小歩道部分において具体的に操作を行なって昇降駆動作業を円滑に行わせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明は、地中化される電力線、電話線、情報用線路等の中途に介在する変圧器、開閉器、分岐装置等を地中と地上に出入移動可能に設け、作業上の必要時にのみ地上側に引き出させて地上側で作業しうるようにした可動形作業用ボックス装置である。
【0024】
図1ないし図9は、本発明の一実施形態について説明しており、図1において、可動形作業用ボックス装置(以下、「作業用ボックス装置」という。)10は、地中Gに埋設された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容される基盤14と、を含み、収容ボックス12の上面を閉鎖する頂版部16の移動とともに基盤14を地中G側と地上R側とで移動させる構成である。
【0025】
収容ボックス12は、例えば図2に示すような歩道303面の地中側に埋設され上面を開口した中空直方体形状のコンクリート製ボックスであり、内外を水密仕上げで箱状に形成し水等が浸入しないようにしている。この収容ボックス12は、例えば縦、横、高さが0.5m×1.5m×1.2mのサイズで構成され、この内部に基盤14が地中側から地上側に向けて進出し、かつ地上側から地中側に入るように、地中側、地上側を出入自在に設けられている。
【0026】
本実施形態において、図1、図2、図5に示すように、収容ボックス12は、その上端が地上面よりやや低い位置となるように設定されている。この収容ボックス12の上面開口は、図3に示すような頂版部16により閉鎖されている。図2において、収容ボックス12のボックス本体の天端面には収容ボックスの中空内部から直状に連通する開口を形成するように四角枠状に形成された断面U字状の取り付け用の蓋受枠32が上面側を受面として固定されている。なお、図3中、19は、アース用コンセントである。
【0027】
基盤14は、地中に埋設される電力線や通信線用の合成樹脂製保護管路18内を通線される図示しない通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する部位であり、実施形態では多数の取り付け孔20を貫通形成したボード板からなる。この基盤14には、例えば幹線用、分岐用、あるいは屋側用等のコンデンサを含む変圧部22Aや、開閉部22Bが取り付けられる。なお、実施形態では、基盤14はボード状構造としているが、各部位間で間隔を開けたり、あるいは曲げたり、ループ状に収束したりする場合の必要等に応じて立体構造としたりあるいは、任意の形状、構造としてもよい。基盤14は、例えば耐熱素材で絶縁性に優れたプラスチックやセラミック、その他適性の金属素材等を選択できる。実施形態において、基盤14の下端部と収容ボックス12の底壁面とには空隙13が設けられており、ケーブルの余長部分23が収容される。
【0028】
本実施形態において、地上側に配置される頂版部16と基盤14とは連結されており、これらが一体的に収容ボックス12内と地上R側とに出入移動する。特に本実施形態では、図2に示すように、これらは直線的に上下に昇降移動するように設けられている。図2に示すように、横方向に面して立てられた基盤14と歩道303面に沿うようにその面を向けた頂版部16とはT字状、あるいは垂直状に連結固定されており、これらが案内移動装置24を介して一体的に昇降移動する。すなわち、図2において、収容ボックス12の短辺側の対向内壁に案内部材26が取り付けられており、この案内部材26に一部を案内されながら面を横に向けた状態で基盤14が上下方向に昇降移動するようになっている。案内部材26は、基盤14の収容ボックス12内と地上R側との出入移動を案内させる案内手段であり、本実施形態では、図4に示すように縦長の凹溝28を有する断面コ字状の直状レール部材から成り、それぞれ収容ボックス12の短辺側の対応する相対向内壁部分であって、中央部からいずれかに偏った位置に固定されている(実施形態では奥行き端寄りに偏った位置に設けられている)。そして、両側の案内部材26の凹溝28に基盤14の両端を係合させつつ基盤14が上下に自在にスライド移動し得るように設置されている。
【0029】
頂版部16は、本体ボックスの開口を上面から開閉する蓋34を含む。この蓋34は、本体ボックスの開口よりやや小さい長四角の外形形状を有した例えばステンレス製の蓋受枠32に受けられて、本体ボックスの開口に連通する開口を開閉する。蓋受枠32は、内側を開口した中空枠体形状で構成されるとともに、蓋34は、内側に閉鎖板36を形成して設けられている。蓋受枠32と蓋34とはそれぞれ長四角形状の四周壁を形成するように立ち上がるリブ枠38、40を備えており、蓋34を蓋受枠32の内側に嵌着するとこれらのリブ枠どうしが密着状に重ねあわされるように一体的に嵌合する。蓋34は、長四角形状の四周外縁から下方にも直角状にリブ枠が突設されている。そして、蓋受枠32の内側突設縁をボックス本体の天端面に固定させ、さらにこの上面から蓋34を嵌着してボルト受部42より図示しないボルトを挿通締着させて固定させる。図6において、蓋受枠32内に蓋34を装着した状態で、蓋34の閉鎖板36は蓋受枠32の内側の受台板33の上面から離隔した上方位置に水平状に配置されている。そして、蓋受枠32の内側の受台板33の上部に硬質ゴム44と、水膨張性の止水パッキン46とが設置され、収容ボックス内を水密状に遮断する。図1,6に示すように、リブ枠38と閉鎖板36とを含む蓋34の内側の厚板状の空隙には、図11にも見られるようなタイルや化粧ブロック、舗装材等の歩道化粧部材48と調和させた路面部材としての例えば化粧ブロック50等が配置され、歩道面を面一状に仕上げて段差が生じないようにしている。なお、この頂版部16の構成は、歩道面と面一のフラットな仕上げとする必要はなく、地上側の状況が許容する範囲において、立体的に構築したり他の構造物等と共用するような構成としても良い。
【0030】
案内移動装置24は、頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる案内移動手段であり、本実施形態においては頂版部16と基盤14とを一体連結させて上下に直線移動させるように、案内部材26と螺合進退機構52とを含む。螺合進退機構52は、螺合進退移動により基盤14及び/又は頂版部16を昇降案内移動させる手段であり、本実施形態において、螺合進退機構52は螺合連結されて相互に螺進退する一対の螺合部材54A、54Bと、いずれかの螺合部材(54B)への回転入力操作により基盤14に連結する頂版部16を連係して昇降駆動させる連係部56と、を含む。
【0031】
本実施形態において、螺合部材54Aは、上下に長い螺子軸からなり、下端を固定用底板58を介して収容ボックスの底面の略中央位置にボルト固定されて垂直方向に立ち上がり形成されている。この螺子軸は例えば耐荷重性の角ねじで構成されており、軸方向からの荷重に対して少ない摩擦力で円滑に螺進退し得るようになっている。螺子軸は基盤14が例えば完全に地上側に露出する程度の上下ストローク幅を確保できる程度の長さであり、収容ボックス12の内のりの深さ程度の長さで設けられている。
【0032】
螺合部材54Bは、螺合部材54Aの螺子軸に螺合する雌の角螺子溝を内孔に有する螺子溝パイプ部材からなり、螺合部材54Aの螺子軸に螺合回転しつつ図2、図5上、上下方向に移動する。すなわち、この実施形態では螺子部材への回転入力による螺合進退を介して直接に上下方向への直線運動に変換し、これによって、頂版部16さらには基盤14を効率よく上昇駆動させるようにしている。螺子溝パイプ部材54Bの外表面にはさらに、図示しない絶縁用の合成樹脂製パイプが一体的に嵌合固定されている。
【0033】
詳細には、図5において、蓋34の閉鎖板36の中央部下面には短円筒状の中空短円筒枠60が下方に突設固定されている。そして、蓋受枠32に蓋34を嵌着した状態で、この蓋34の補強リブ台の中空円筒枠を螺子溝パイプ部材54Bの上端側が上下に貫通しその上端を蓋34の閉鎖板36から上方に突設させている。図に示すように、補強リブ台60を貫通した螺子溝パイプ部材54Bには、このパイプ部材54Bに中心孔を挿通され、かつ、中空短円筒枠60を上下面から挟むようにドーナツ円盤状の上下係止板62,64が配置されている。これらの上下係止板62,64は螺子溝パイプ部材54Bの外面に共通に溶接固定されており、したがって、パイプ部材54と一体回転する。さらに、図において、下係止板64と中空短円筒枠60の下面との間には、スラスト軸受66が介設されており、これによって、係止板64により頂版部16全体を軸支持状態で該パイプ部材54Bのみが螺子軸周りに回転自在となっている。連係部56は、いずれかの螺合部材(54B)への回転入力操作により基盤14に連結する頂版部16を連係して昇降駆動させる連係手段であり、本実施形態において、螺子軸54Aに螺合連結するパイプ部材54Bと、頂版部16の重力方向荷重を受けつつ円滑なスラスト方向回転を確保させるスラスト軸受66と、を含む。
【0034】
図5において、蓋34の閉鎖板36の上面であって、パイプ部材54Bの突設部が入力操作部70とされる。入力操作部70は、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させるための駆動入力操作を行なう部位であり、例えば、図8のような手動回転操作用の脱着式のハンドル72により、そのハンドル軸74をパイプ部材上端の嵌合用角穴に嵌着させて手動回転入力により頂版部16及び基盤14を昇降駆動させる。ハンドル72は、案内移動装置24に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具であり、外部機械動力を不要とし、狭小道路面や密集住宅、商店街等でも周辺住民へ迷惑をかけずに作業を円滑に行える。また、手動による駆動とすることにより、メンテナンスが簡単で動作も確実に行なえる。
【0035】
さらに、蓋34の閉鎖板36の上面であって、パイプ部材54Bの突設部を中心軸とするように中空短円筒状の外ケース76が上方に突設固定されている。この外ケース76の内面には螺子溝78が形成され、これによって、外ケース76を螺子受筒とするように、螺子溝78に螺着される螺子栓体80(図5参照)が着脱可能に取り付けられる。螺子栓体80の上面は例えば歩道面と面一状に形成されて歩行時の安全確保や、収容ボックス内の機器類を保護し、さらに関係者以外の第三者による操作を規制している。特に、本実施形態では、外ケース76と螺子栓体80とを施錠する施錠装置82を設け、専用ロックキー84のみにより解錠可能な構成とすることにより、外部第三者の無断アクセスを厳重に排除して安全性を確保し得る。
【0036】
さらに、図1において、収容ボックス12内を地上外気と換気する換気装置86が設けられている。本実施形態の換気装置86は、収容ボックス内部空間を一部に含む空気の循環経路を設け、その途中に外気を導入させるようにした循環式の換気手段であり、収容ボックス12の内部空間に連通する上部ダクト88と、下部ダクト90と、外気取り込み部92と、を含む。実施形態において、外気取り込み部92は、地上に立設され地面より高位置に外気の吸入口94を有する縦筒部材からなる。特に、本実施形態では、図9に示すような放電ランプ96を取り付けた中空タワー形の街路灯98と共用して適用される。図9において、筒体の中間位置に外気の吸入口94が設けられると共に、上端に排気口100が設けられ、それぞれには雨水侵入防止用の傘部材が施してある。そして、図1において、例えば暖気排出用の上部ダクト88は、収容ボックスの上端寄り壁面に一端が連通接続され他端を街路灯98の筒体内部に連通させる一方、冷気導入用下部ダクト90は、収容ボックスの下端寄り壁面に一端が連通接続されて他端を街路灯98の筒体内部に連通させている。この換気装置では、換気ファン102を取り付けて強制的に外気と換気しているが、換気ファンを設けずに自然換気としても良い。なお、図10は、地上側での基盤の電線類の接続、分岐等の工事の必要のために手動ハンドル72により頂版部16並びに基盤14を上昇駆動させている状態を示しており、図中、150はレールポスト、152はガイドレール、154は工事用コーンである。
【0037】
次に、本実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の作用について説明する。まず、基盤14および頂版部16が収容ボックス12内に完全に収容された状態では、図11に示すように、歩道303上面と面一状に頂版部の化粧ブロック50が配設されており、これによって、歩道面上には何らの立体障害物が存在せず、荷物の搬出入や歩行者の邪魔にならず、景観を維持している。また、このとき、内部を中空として空気の通路を形成する街路灯98は化粧ブロック50の近接位置において地上に立設されている。
【0038】
図1において、例えば収容ボックス12内の換気ファン102により、収容ボックス内の空気は上部ダクト88を経由して外気取り込み部92、すなわち、街路灯98内の縦空気通路を通り、排気口100から外気に放出される。一方、街路灯98の中間吸入口94から外気が負圧吸引され、下部ダクト90を介して収容ボックス12内に導入される。これによって、収容ボックス12、上下部ダクト88,90、並びに外気取り込み部92により空気の循環系が形成され、外気取り込み部92からの新鮮外気を常に収容ボックス内に導入して変圧部22Bや開閉部22A等からの発熱を外部に放出させるとともに、湿度も適宜に調整され、機器の腐食等を防止させることができる。
【0039】
収容ボックス内の電線類の増設、変更、保守点検等における電線類の接続、分岐等の諸作業が必要になった場合、作業者は、図5の螺子栓体80に施された専用ロックキー84を解錠操作し、螺子栓体80を外ケース76から取り外す。そして、現れる螺子溝パイプ部材54Bの嵌合用角穴に作業者は、例えば図8の手動ハンドル72の軸74を嵌着させて手動で回転させる。パイプ部材54Bの回転に伴ってこれに固定された下係止板64と上係止板62とは同期回転するが、その際、螺子溝パイプ部材54Bは自由に上下移動可能に、あるいは遊挿状に蓋34の補強リブ台60を挿通し、かつ、下係止板64と補強リブ台60の下面との間にスラスト軸受66が介装されているから、螺子溝パイプ部材54Bと、螺子軸54Aとの螺合による軸方向の直線移動のみが機能し、これによって、パイプ部材54の強制回転により頂版部16全体が上昇する。その際ケーブル余長部分23から同時にケーブル類は引き上げられる。そして、図10のように頂版部16と基盤14とを一体的に上昇駆動させ、適宜の高さまで引き上げられたら例えば図示しない足場用の板材や枠材を頂版部16引き上げ後の開口部分に渡し掛け、必要な作業を地上で簡易に作業性良く行なうこととなる。そして、作業終了後、再び手動ハンドル72を用い、入力操作部の螺子溝パイプ部材を逆回転させて基盤14並びに相伴部16を一体的に下降駆動させ、化粧ブロック50と歩道面とが面一となる下降端で停止させる。このように、電線類の接続、分岐等の具体的な作業は地上側で行なうから、地中側には単に基盤14に取り付けた開閉部22Aや変圧部22B、その他の機器類の収容スペースを確保するだけでよく、地中側の収容ボックス全体の大きさを小さくできるから、ボックス全体の築造コストを低廉に維持できるとともに、埋設時の掘削領域は小さくでき、狭小幅員の歩道地中部分においても設置がしやすくなる。
【0040】
以上、詳細に説明したように、上面を開口した収容ボックスの蓋部分を頂版部とし、これを歩道面等の路面あるいはそれらの利用部分と共用させ、これに基盤を連結あるいは連係させて上下動させるようにしたので、全体が小型化でき、狭小幅員の歩道部分等に具体的に設置できるうえに、収容ボックス自体を小型化でき、全体の製造あるいは施工コストを大幅に低減させ得る。
【0041】
以上説明した可動形作業用ボックス装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において,任意の改変を行ってもよい。例えば、頂版部と螺子溝パイプ部材の連結支持構造をより強化するために、強化用フレームをパイプ部材と下係止板間に取り付けたり、あるいは連結部分を立体構造として強化してもよい。また、基盤14全体をダンパシリンダで受けて上昇力を補助し、下降時に下方からの持ち上げ支持力を加えながら安全に下降移動させるようにしても良い。また、駆動シリンダを別途設けて上下駆動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の可動形作業用ボックス装置は、電力、電話線の地中化用や、あるいは常時地中側に設置されて地上側での作業が必要なボックス装置全般について有効に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の作用兼縦断面説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の一部切欠斜視説明図である。
【図3】頂版部の分解斜視説明図である。
【図4】収容ボックスの取り付け用金属製受枠を省略した一部平面説明図である。
【図5】図1の一部省略縦断面説明図である。
【図6】図1の装置の収容ボックス隅部の一部省略縦断面説明図である。
【図7】図6の頂版部を収容ボックスから離隔して示した説明図である。
【図8】手動ハンドルの斜視図である。
【図9】換気用筒体兼街路灯の正面図である。
【図10】図1の装置の作用説明図である。
【図11】図1の装置の通常の設置状態での地上面側の状態を示す斜視説明図である。
【図12】従来の地上機器の地中埋設部分を一部切り欠いて示した斜視説明図である。
【図13】従来の狭小歩道等に設置される電線類の設置状態を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10 可動形作業用ボックス装置
12 収容ボックス
14 基盤
16 頂版部
22A 開閉部
22B 変圧部
24 案内移動装置
32 蓋受枠
34 蓋
52 螺合進退機構
54A 螺合部材(螺子軸)
54B 螺合部材(螺子溝パイプ部材)
56 連係部
62 上係止板
64 下係止板
66 スラスト軸受
70 入力操作部
72 ハンドル
82 施錠装置
86 換気装置
92 外気取り込み部
98 街路灯
302 建物
303 歩道
G 地中
R 地上
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力、電話線の接続、分岐、分配等の作業用に設置されるマンホールやハンドホール等の作業用ボックス装置に係り、特に、電線地中化対策に好適に適用可能な可動形作業用ボックス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールやハンドホール等は、例えばケーブルの引き込み・引抜き、接続、管路・ケーブルの保守等の目的で設置される。また、電力系統分野では、防災、景観保持、公衆安全の面からくる電線の地中化により、特に市街地地区では架空線路から地下管路に移行して敷設される場合が増加している。電線地中化における布設方式としては、直接埋設式、管路引き入れ式等があるが、安全性、保守点検容易性から管路式が優れている。近時、大都市等の市街地区では、景観や路面の利用面積の確保、通信系の線路の種類の増加等の点から電力線、電話線等を共通の管路内に配置させる布設方法等も提案され、その中には、例えば各種情報通信や信号供給用の伝送線やCATV(cable television)用の信号線等も含まれている。従来、電線類の地中化においては、図13に示すように、車道301と建物302との中間の歩道303部分であって、車道側の側溝304に沿うように複数条の管路305が地中に埋設して布設されている。図中306は、車道部分の地中に埋設されたマンホール、307は電力分岐部、308、309は、高圧、低圧分岐装置用ハンドホール、311,312は、ハンドホール変圧器塔並びにハンドホール開閉器塔である。そして、ハンドホール変圧器塔311並びにハンドホール開閉器塔312の直下となる地下には、打設コンクリートあるいはプレハブブロックにより図12のような、ハンドホールが構築されており、配電線を引き込み、あるいは分岐されて地上側のそれぞれの機器に接続されている。これらの地下側のハンドホールは、室内に人が入ってある程度余裕を持って諸作業ができるように、広く設けられている。従来のこのような電線類の地中化の設備構成において、特に電力線は、車両通行確保、保守・点検工事、緊急工事等の点から歩道側の地中に設置されることになる。そして、この場合、ハンドホール変圧器塔311やハンドホール開閉器塔312については、発熱や湿気を避ける必要があるから地上に設置されるものであった。これらの変圧器塔や開閉器塔の地上機器は、例えば縦、横、高さサイズで2m×1m×1.2m程度の金属製箱に本体部分は収納されており、図に見られるように、鋼管製ガードレール313を車道側や端面側に立設させて保護あるいは立ち入りを規制するようにしている。無電柱、電線類地中化は、歩道の幅員が狭い繁華街、商店街、商店・住宅の密集地帯、飲食店街、歴史的史跡等ほど設置需要が大きいが、これらの歩道部分にこれらの地上機器を設置する場合には、出入り口や商店の正対面が設置場所となるような場合もあり、それらの建物や家屋の住人、利用者にとっては玄関先の景観を損なうばかりでなく、積荷の搬入、搬出等の邪魔になって迷惑を掛けるおそれが高いという欠点があった。また、近時の車椅子利用者のためのバリアフリーやUD(universal design)の考え方の面から、歩道通行上も好ましくなく、散歩者にとっても無用のものであった。また、そのような狭い歩道幅員場所には小さな花壇を含む緑化部や街路灯が設置される場合もあり、地中の大きなハンドホール部分や地上機器設置スペース自体を確保することが困難な場合が多く、地中化工事自体を阻害する場合があった。また、機器から発生する電磁波や、電磁騒音により人体に対して悪影響を与える懸念もあった。さらに、地上に設置した変圧器や開閉器塔はイタズラや不正行為により人為的に損傷あるいは故障させられるおそれもあり、大事故や大損害を招くおそれもあるという課題があった。これらの地上機器の利用について、例えば特許文献1(特開2000−188818号)の装置が提案されている。
【特許文献1】特開2000−188818号(明細書0006〜0009、図1、図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の地中配線の地上機器装置では、それらの地上機器側を、単にベンチや花壇の構造体の一部として見掛け上構成するようにしたものであって、もともとそれらのベンチや花壇を設置する場所も確保できにくい狭小幅員歩道等には適用ができず、前記したような課題の根本的な解決には、なり得ないものであった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その1つの目的は、常設地上機器をなくして地上側のスペース確保、景観保持、車椅子利用者の利便を保持しつつ、作業が必要なときだけ地上機器に対応する作業箇所を地上に配置させて円滑に作業をおこなうことのできる可動形作業用ボックス装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、地中側の収納ボックスを小型にして狭小幅員歩道等においても設置可能とし、さらに、低コストで構成することのできる可動形作業用ボックス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、地中Gに埋設され頂版部16により上面を閉鎖された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部22を搭載する基盤14と、を含み、頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入可能に設けたことを特徴とする可動形作業用ボックス装置10から構成される。頂版部の上部は歩道面と面一状にフラットに形成したり、緑化部分、その他の目的に応じた立体的な形状等で構成してもよい。頂版部16の移動とともに基盤14を収容ボックス12内と地上R側とに出入駆動する構成としては、手動入力あるいはモータ駆動としてもよい。基盤は地上側と地中側とで直線状あるいは曲線状に移動するようにしてもよく、あるいは地面を斜めに横切るように移動させてもよい。好ましくは、鉛直方向に沿って上下動するようにすると良い。基盤に搭載される機器部は、特に限定されず装置としてはコンデンサや、開閉器、その他任意の機器構成のものでよい。
【0006】
また、頂版部16と基盤14は連結されており、これらが一体的に収容ボック12内と地上R側とに出入するように設けるとよい。可動部分の嵩が小さくなり、地中側のボックスの小型化、狭小歩道部分での設置を実現する。なお、頂版部と基盤を一体連結しないで離隔して連結したり、あるいは直接の連結ではなく、リンクやアーム等により連係してそれらが地上側と地中側に出入移動するようにしてもよい。基盤14はできる限り板状の基板とし、これに取り付け孔等を設けて電線類その他の機器を設置し得る様にするのが、省スペース化が達成し得て好ましい。
【0007】
また、頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる案内移動手段24が設けられた構成とするとよい。
【0008】
また、頂版部16と基盤14は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられた構成とするとよい。
【0009】
さらに、案内移動手段24は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤14又は頂版部16のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構52を含むようにすると良い。頂版部や基盤等のある程度の重量負荷を伴うものでも、円滑に地中、地上移動を行なう。特に、手動入力構成でも具体的にその駆動を低コストで行なえる。
【0010】
また、頂版部15には、地上R側の操作により頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部70を設けるとよい。地上側に設置される頂版部に入力部を有しており、この入力部を介した入力操作により頂版部自体が昇降移動する。よって、入力駆動構成を極めて簡単にでき、また、駆動装置用のスペース等を不要として、小さなスペースで駆動構成を実現し得る。
【0011】
また、収容ボックス12内を地上外気と換気する換気手段86を設けるとよい。外気の取り込みと、ボックス内空気の排気を行なえるように収容ボックスに換気用ダクトを複数連通形成させて循環系の途中に外気を導入させるようにするのが良い。
【0012】
また、頂版部16は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材(50)を受ける受枠32を含むようにするとよい。
【0013】
さらに、入力操作部70は、案内移動手段(24)に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具(72)を含むようにすると良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の可動形作業用ボックス装置によれば、地中に埋設され頂版部により上面を閉鎖された収容ボックスと、収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤と、を含み、頂版部の移動とともに基盤を収容ボックス内と地上側とに出入可能に設けた構成であるから、常設地上機器をなくして地上側のスペースを有効に利用でき、短時間の荷物の積み下ろし等の邪魔になるようなことがない上に、景観保持、車椅子利用者の利便を保持することができる。また、地中側の収納ボックスを小型にでき、狭小幅員歩道等においても設置可能とし、低コストで製造することが可能である。
【0015】
また、頂版部と基盤は連結されており、これらが一体的に収容ボックス内と地上側とに出入するように設けた構成であるから、昇降移動の構成並びに昇降駆動のための構成を簡単にでき、また、地中の収容ボックス部分を小型化し得る。
【0016】
また、頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる案内移動手段が設けられた構成とすることにより、昇降移動の構成を実現し得るとともに、頂版部と基盤とを一体として安定した昇降移動を行なわせ得る。
【0017】
また、頂版部と基盤は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられた構成とすることにより、昇降移動の構成並びに昇降駆動のための構成を簡単にでき、また、地中の収容ボックス部分を小型化し得る。
【0018】
さらに、案内移動手段は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤又は頂版部のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構を含むようにしているので、頂版部や地上側の化粧ブロックなどの重量負荷を受けながら円滑に昇降移動でき、特に、手動入力でも駆動し得るから動力を搬入しにくい狭小幅員歩道部分においても昇降作業を行なえる。
【0019】
また、頂版部には、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部を設けた構成であるから、頂版部及び基盤の駆動のための構成が極めて小さなスベースで実現でき、かつ、地上側からの直接入力により入力駆動のための構成も簡素化し、低コスト化を図れる。
【0020】
また、収容ボックス内を地上外気と換気する換気手段が設けられた構成とすることにより、発熱する変圧構成部分、その他の電線類の接続あるいは分岐部分を放熱させて機器類の誤作動等を生じさせないようにし得る。
【0021】
また、頂版部は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材を受ける受枠を含む構成とすることにより、頂版部の保守、点検等を路面部材の脱着により容易に行うことができる上に、常時には歩道路面に調和した路面を形成し得る。
【0022】
また、入力操作部は、案内移動手段に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具を含む構成とすることにより、昇降駆動構成を簡単かつ低コストに済ませることができる上に、狭小歩道部分において具体的に操作を行なって昇降駆動作業を円滑に行わせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。本発明は、地中化される電力線、電話線、情報用線路等の中途に介在する変圧器、開閉器、分岐装置等を地中と地上に出入移動可能に設け、作業上の必要時にのみ地上側に引き出させて地上側で作業しうるようにした可動形作業用ボックス装置である。
【0024】
図1ないし図9は、本発明の一実施形態について説明しており、図1において、可動形作業用ボックス装置(以下、「作業用ボックス装置」という。)10は、地中Gに埋設された収容ボックス12と、収容ボックス内に収容される基盤14と、を含み、収容ボックス12の上面を閉鎖する頂版部16の移動とともに基盤14を地中G側と地上R側とで移動させる構成である。
【0025】
収容ボックス12は、例えば図2に示すような歩道303面の地中側に埋設され上面を開口した中空直方体形状のコンクリート製ボックスであり、内外を水密仕上げで箱状に形成し水等が浸入しないようにしている。この収容ボックス12は、例えば縦、横、高さが0.5m×1.5m×1.2mのサイズで構成され、この内部に基盤14が地中側から地上側に向けて進出し、かつ地上側から地中側に入るように、地中側、地上側を出入自在に設けられている。
【0026】
本実施形態において、図1、図2、図5に示すように、収容ボックス12は、その上端が地上面よりやや低い位置となるように設定されている。この収容ボックス12の上面開口は、図3に示すような頂版部16により閉鎖されている。図2において、収容ボックス12のボックス本体の天端面には収容ボックスの中空内部から直状に連通する開口を形成するように四角枠状に形成された断面U字状の取り付け用の蓋受枠32が上面側を受面として固定されている。なお、図3中、19は、アース用コンセントである。
【0027】
基盤14は、地中に埋設される電力線や通信線用の合成樹脂製保護管路18内を通線される図示しない通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する部位であり、実施形態では多数の取り付け孔20を貫通形成したボード板からなる。この基盤14には、例えば幹線用、分岐用、あるいは屋側用等のコンデンサを含む変圧部22Aや、開閉部22Bが取り付けられる。なお、実施形態では、基盤14はボード状構造としているが、各部位間で間隔を開けたり、あるいは曲げたり、ループ状に収束したりする場合の必要等に応じて立体構造としたりあるいは、任意の形状、構造としてもよい。基盤14は、例えば耐熱素材で絶縁性に優れたプラスチックやセラミック、その他適性の金属素材等を選択できる。実施形態において、基盤14の下端部と収容ボックス12の底壁面とには空隙13が設けられており、ケーブルの余長部分23が収容される。
【0028】
本実施形態において、地上側に配置される頂版部16と基盤14とは連結されており、これらが一体的に収容ボックス12内と地上R側とに出入移動する。特に本実施形態では、図2に示すように、これらは直線的に上下に昇降移動するように設けられている。図2に示すように、横方向に面して立てられた基盤14と歩道303面に沿うようにその面を向けた頂版部16とはT字状、あるいは垂直状に連結固定されており、これらが案内移動装置24を介して一体的に昇降移動する。すなわち、図2において、収容ボックス12の短辺側の対向内壁に案内部材26が取り付けられており、この案内部材26に一部を案内されながら面を横に向けた状態で基盤14が上下方向に昇降移動するようになっている。案内部材26は、基盤14の収容ボックス12内と地上R側との出入移動を案内させる案内手段であり、本実施形態では、図4に示すように縦長の凹溝28を有する断面コ字状の直状レール部材から成り、それぞれ収容ボックス12の短辺側の対応する相対向内壁部分であって、中央部からいずれかに偏った位置に固定されている(実施形態では奥行き端寄りに偏った位置に設けられている)。そして、両側の案内部材26の凹溝28に基盤14の両端を係合させつつ基盤14が上下に自在にスライド移動し得るように設置されている。
【0029】
頂版部16は、本体ボックスの開口を上面から開閉する蓋34を含む。この蓋34は、本体ボックスの開口よりやや小さい長四角の外形形状を有した例えばステンレス製の蓋受枠32に受けられて、本体ボックスの開口に連通する開口を開閉する。蓋受枠32は、内側を開口した中空枠体形状で構成されるとともに、蓋34は、内側に閉鎖板36を形成して設けられている。蓋受枠32と蓋34とはそれぞれ長四角形状の四周壁を形成するように立ち上がるリブ枠38、40を備えており、蓋34を蓋受枠32の内側に嵌着するとこれらのリブ枠どうしが密着状に重ねあわされるように一体的に嵌合する。蓋34は、長四角形状の四周外縁から下方にも直角状にリブ枠が突設されている。そして、蓋受枠32の内側突設縁をボックス本体の天端面に固定させ、さらにこの上面から蓋34を嵌着してボルト受部42より図示しないボルトを挿通締着させて固定させる。図6において、蓋受枠32内に蓋34を装着した状態で、蓋34の閉鎖板36は蓋受枠32の内側の受台板33の上面から離隔した上方位置に水平状に配置されている。そして、蓋受枠32の内側の受台板33の上部に硬質ゴム44と、水膨張性の止水パッキン46とが設置され、収容ボックス内を水密状に遮断する。図1,6に示すように、リブ枠38と閉鎖板36とを含む蓋34の内側の厚板状の空隙には、図11にも見られるようなタイルや化粧ブロック、舗装材等の歩道化粧部材48と調和させた路面部材としての例えば化粧ブロック50等が配置され、歩道面を面一状に仕上げて段差が生じないようにしている。なお、この頂版部16の構成は、歩道面と面一のフラットな仕上げとする必要はなく、地上側の状況が許容する範囲において、立体的に構築したり他の構造物等と共用するような構成としても良い。
【0030】
案内移動装置24は、頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる案内移動手段であり、本実施形態においては頂版部16と基盤14とを一体連結させて上下に直線移動させるように、案内部材26と螺合進退機構52とを含む。螺合進退機構52は、螺合進退移動により基盤14及び/又は頂版部16を昇降案内移動させる手段であり、本実施形態において、螺合進退機構52は螺合連結されて相互に螺進退する一対の螺合部材54A、54Bと、いずれかの螺合部材(54B)への回転入力操作により基盤14に連結する頂版部16を連係して昇降駆動させる連係部56と、を含む。
【0031】
本実施形態において、螺合部材54Aは、上下に長い螺子軸からなり、下端を固定用底板58を介して収容ボックスの底面の略中央位置にボルト固定されて垂直方向に立ち上がり形成されている。この螺子軸は例えば耐荷重性の角ねじで構成されており、軸方向からの荷重に対して少ない摩擦力で円滑に螺進退し得るようになっている。螺子軸は基盤14が例えば完全に地上側に露出する程度の上下ストローク幅を確保できる程度の長さであり、収容ボックス12の内のりの深さ程度の長さで設けられている。
【0032】
螺合部材54Bは、螺合部材54Aの螺子軸に螺合する雌の角螺子溝を内孔に有する螺子溝パイプ部材からなり、螺合部材54Aの螺子軸に螺合回転しつつ図2、図5上、上下方向に移動する。すなわち、この実施形態では螺子部材への回転入力による螺合進退を介して直接に上下方向への直線運動に変換し、これによって、頂版部16さらには基盤14を効率よく上昇駆動させるようにしている。螺子溝パイプ部材54Bの外表面にはさらに、図示しない絶縁用の合成樹脂製パイプが一体的に嵌合固定されている。
【0033】
詳細には、図5において、蓋34の閉鎖板36の中央部下面には短円筒状の中空短円筒枠60が下方に突設固定されている。そして、蓋受枠32に蓋34を嵌着した状態で、この蓋34の補強リブ台の中空円筒枠を螺子溝パイプ部材54Bの上端側が上下に貫通しその上端を蓋34の閉鎖板36から上方に突設させている。図に示すように、補強リブ台60を貫通した螺子溝パイプ部材54Bには、このパイプ部材54Bに中心孔を挿通され、かつ、中空短円筒枠60を上下面から挟むようにドーナツ円盤状の上下係止板62,64が配置されている。これらの上下係止板62,64は螺子溝パイプ部材54Bの外面に共通に溶接固定されており、したがって、パイプ部材54と一体回転する。さらに、図において、下係止板64と中空短円筒枠60の下面との間には、スラスト軸受66が介設されており、これによって、係止板64により頂版部16全体を軸支持状態で該パイプ部材54Bのみが螺子軸周りに回転自在となっている。連係部56は、いずれかの螺合部材(54B)への回転入力操作により基盤14に連結する頂版部16を連係して昇降駆動させる連係手段であり、本実施形態において、螺子軸54Aに螺合連結するパイプ部材54Bと、頂版部16の重力方向荷重を受けつつ円滑なスラスト方向回転を確保させるスラスト軸受66と、を含む。
【0034】
図5において、蓋34の閉鎖板36の上面であって、パイプ部材54Bの突設部が入力操作部70とされる。入力操作部70は、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させるための駆動入力操作を行なう部位であり、例えば、図8のような手動回転操作用の脱着式のハンドル72により、そのハンドル軸74をパイプ部材上端の嵌合用角穴に嵌着させて手動回転入力により頂版部16及び基盤14を昇降駆動させる。ハンドル72は、案内移動装置24に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部16と基盤14とを収容ボックス12内と地上R側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具であり、外部機械動力を不要とし、狭小道路面や密集住宅、商店街等でも周辺住民へ迷惑をかけずに作業を円滑に行える。また、手動による駆動とすることにより、メンテナンスが簡単で動作も確実に行なえる。
【0035】
さらに、蓋34の閉鎖板36の上面であって、パイプ部材54Bの突設部を中心軸とするように中空短円筒状の外ケース76が上方に突設固定されている。この外ケース76の内面には螺子溝78が形成され、これによって、外ケース76を螺子受筒とするように、螺子溝78に螺着される螺子栓体80(図5参照)が着脱可能に取り付けられる。螺子栓体80の上面は例えば歩道面と面一状に形成されて歩行時の安全確保や、収容ボックス内の機器類を保護し、さらに関係者以外の第三者による操作を規制している。特に、本実施形態では、外ケース76と螺子栓体80とを施錠する施錠装置82を設け、専用ロックキー84のみにより解錠可能な構成とすることにより、外部第三者の無断アクセスを厳重に排除して安全性を確保し得る。
【0036】
さらに、図1において、収容ボックス12内を地上外気と換気する換気装置86が設けられている。本実施形態の換気装置86は、収容ボックス内部空間を一部に含む空気の循環経路を設け、その途中に外気を導入させるようにした循環式の換気手段であり、収容ボックス12の内部空間に連通する上部ダクト88と、下部ダクト90と、外気取り込み部92と、を含む。実施形態において、外気取り込み部92は、地上に立設され地面より高位置に外気の吸入口94を有する縦筒部材からなる。特に、本実施形態では、図9に示すような放電ランプ96を取り付けた中空タワー形の街路灯98と共用して適用される。図9において、筒体の中間位置に外気の吸入口94が設けられると共に、上端に排気口100が設けられ、それぞれには雨水侵入防止用の傘部材が施してある。そして、図1において、例えば暖気排出用の上部ダクト88は、収容ボックスの上端寄り壁面に一端が連通接続され他端を街路灯98の筒体内部に連通させる一方、冷気導入用下部ダクト90は、収容ボックスの下端寄り壁面に一端が連通接続されて他端を街路灯98の筒体内部に連通させている。この換気装置では、換気ファン102を取り付けて強制的に外気と換気しているが、換気ファンを設けずに自然換気としても良い。なお、図10は、地上側での基盤の電線類の接続、分岐等の工事の必要のために手動ハンドル72により頂版部16並びに基盤14を上昇駆動させている状態を示しており、図中、150はレールポスト、152はガイドレール、154は工事用コーンである。
【0037】
次に、本実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の作用について説明する。まず、基盤14および頂版部16が収容ボックス12内に完全に収容された状態では、図11に示すように、歩道303上面と面一状に頂版部の化粧ブロック50が配設されており、これによって、歩道面上には何らの立体障害物が存在せず、荷物の搬出入や歩行者の邪魔にならず、景観を維持している。また、このとき、内部を中空として空気の通路を形成する街路灯98は化粧ブロック50の近接位置において地上に立設されている。
【0038】
図1において、例えば収容ボックス12内の換気ファン102により、収容ボックス内の空気は上部ダクト88を経由して外気取り込み部92、すなわち、街路灯98内の縦空気通路を通り、排気口100から外気に放出される。一方、街路灯98の中間吸入口94から外気が負圧吸引され、下部ダクト90を介して収容ボックス12内に導入される。これによって、収容ボックス12、上下部ダクト88,90、並びに外気取り込み部92により空気の循環系が形成され、外気取り込み部92からの新鮮外気を常に収容ボックス内に導入して変圧部22Bや開閉部22A等からの発熱を外部に放出させるとともに、湿度も適宜に調整され、機器の腐食等を防止させることができる。
【0039】
収容ボックス内の電線類の増設、変更、保守点検等における電線類の接続、分岐等の諸作業が必要になった場合、作業者は、図5の螺子栓体80に施された専用ロックキー84を解錠操作し、螺子栓体80を外ケース76から取り外す。そして、現れる螺子溝パイプ部材54Bの嵌合用角穴に作業者は、例えば図8の手動ハンドル72の軸74を嵌着させて手動で回転させる。パイプ部材54Bの回転に伴ってこれに固定された下係止板64と上係止板62とは同期回転するが、その際、螺子溝パイプ部材54Bは自由に上下移動可能に、あるいは遊挿状に蓋34の補強リブ台60を挿通し、かつ、下係止板64と補強リブ台60の下面との間にスラスト軸受66が介装されているから、螺子溝パイプ部材54Bと、螺子軸54Aとの螺合による軸方向の直線移動のみが機能し、これによって、パイプ部材54の強制回転により頂版部16全体が上昇する。その際ケーブル余長部分23から同時にケーブル類は引き上げられる。そして、図10のように頂版部16と基盤14とを一体的に上昇駆動させ、適宜の高さまで引き上げられたら例えば図示しない足場用の板材や枠材を頂版部16引き上げ後の開口部分に渡し掛け、必要な作業を地上で簡易に作業性良く行なうこととなる。そして、作業終了後、再び手動ハンドル72を用い、入力操作部の螺子溝パイプ部材を逆回転させて基盤14並びに相伴部16を一体的に下降駆動させ、化粧ブロック50と歩道面とが面一となる下降端で停止させる。このように、電線類の接続、分岐等の具体的な作業は地上側で行なうから、地中側には単に基盤14に取り付けた開閉部22Aや変圧部22B、その他の機器類の収容スペースを確保するだけでよく、地中側の収容ボックス全体の大きさを小さくできるから、ボックス全体の築造コストを低廉に維持できるとともに、埋設時の掘削領域は小さくでき、狭小幅員の歩道地中部分においても設置がしやすくなる。
【0040】
以上、詳細に説明したように、上面を開口した収容ボックスの蓋部分を頂版部とし、これを歩道面等の路面あるいはそれらの利用部分と共用させ、これに基盤を連結あるいは連係させて上下動させるようにしたので、全体が小型化でき、狭小幅員の歩道部分等に具体的に設置できるうえに、収容ボックス自体を小型化でき、全体の製造あるいは施工コストを大幅に低減させ得る。
【0041】
以上説明した可動形作業用ボックス装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において,任意の改変を行ってもよい。例えば、頂版部と螺子溝パイプ部材の連結支持構造をより強化するために、強化用フレームをパイプ部材と下係止板間に取り付けたり、あるいは連結部分を立体構造として強化してもよい。また、基盤14全体をダンパシリンダで受けて上昇力を補助し、下降時に下方からの持ち上げ支持力を加えながら安全に下降移動させるようにしても良い。また、駆動シリンダを別途設けて上下駆動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の可動形作業用ボックス装置は、電力、電話線の地中化用や、あるいは常時地中側に設置されて地上側での作業が必要なボックス装置全般について有効に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の作用兼縦断面説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る可動形作業用ボックス装置の一部切欠斜視説明図である。
【図3】頂版部の分解斜視説明図である。
【図4】収容ボックスの取り付け用金属製受枠を省略した一部平面説明図である。
【図5】図1の一部省略縦断面説明図である。
【図6】図1の装置の収容ボックス隅部の一部省略縦断面説明図である。
【図7】図6の頂版部を収容ボックスから離隔して示した説明図である。
【図8】手動ハンドルの斜視図である。
【図9】換気用筒体兼街路灯の正面図である。
【図10】図1の装置の作用説明図である。
【図11】図1の装置の通常の設置状態での地上面側の状態を示す斜視説明図である。
【図12】従来の地上機器の地中埋設部分を一部切り欠いて示した斜視説明図である。
【図13】従来の狭小歩道等に設置される電線類の設置状態を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0044】
10 可動形作業用ボックス装置
12 収容ボックス
14 基盤
16 頂版部
22A 開閉部
22B 変圧部
24 案内移動装置
32 蓋受枠
34 蓋
52 螺合進退機構
54A 螺合部材(螺子軸)
54B 螺合部材(螺子溝パイプ部材)
56 連係部
62 上係止板
64 下係止板
66 スラスト軸受
70 入力操作部
72 ハンドル
82 施錠装置
86 換気装置
92 外気取り込み部
98 街路灯
302 建物
303 歩道
G 地中
R 地上
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設され頂版部により上面を閉鎖された収容ボックスと、
収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤と、を含み、
頂版部の移動とともに基盤を収容ボックス内と地上側とに出入可能に設けたことを特徴とする可動形作業用ボックス装置。
【請求項2】
頂版部と基盤は連結されており、これらが一体的に収容ボックス内と地上側とに出入するように設けたことを特徴とする請求項1記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項3】
頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる案内移動手段が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項4】
頂版部と基盤は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項5】
案内移動手段は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤又は頂版部のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構を含むことを特徴とする請求項3又は4記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項6】
頂版部には、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部を設けたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項7】
収容ボックス内を地上外気と換気する換気手段が設けられたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項8】
頂版部は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材を受ける受枠を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項9】
入力操作部は、案内移動手段に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具を含むことを特徴とする請求項3ないし8のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項1】
地中に埋設され頂版部により上面を閉鎖された収容ボックスと、
収容ボックス内に収容され通信線や電力線等と接続される機器部を搭載する基盤と、を含み、
頂版部の移動とともに基盤を収容ボックス内と地上側とに出入可能に設けたことを特徴とする可動形作業用ボックス装置。
【請求項2】
頂版部と基盤は連結されており、これらが一体的に収容ボックス内と地上側とに出入するように設けたことを特徴とする請求項1記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項3】
頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる案内移動手段が設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項4】
頂版部と基盤は連結されて直線的に昇降移動自在に設けられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項5】
案内移動手段は、縦方向に螺合進退しつつ一部を基盤又は頂版部のいずれか又は両方に接続されて基盤及び頂版部を昇降案内移動させる螺合進退機構を含むことを特徴とする請求項3又は4記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項6】
頂版部には、地上側の操作により頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側との一体的な出入移動の駆動入力用の入力操作部を設けたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項7】
収容ボックス内を地上外気と換気する換気手段が設けられたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項8】
頂版部は、地上路面と面一状となるように着脱自在に路面部材を受ける受枠を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【請求項9】
入力操作部は、案内移動手段に脱着自在に係合し、入力により直接的に頂版部と基盤とを収容ボックス内と地上側とに一体的に出入移動させる手動直接入力具を含むことを特徴とする請求項3ないし8のいずれかに記載の可動形作業用ボックス装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−6020(P2006−6020A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179108(P2004−179108)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(596002424)不二高圧コンクリート株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(596002424)不二高圧コンクリート株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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