可動部のストッパ構造、及び秤
【課題】簡易な構成で可動部の移動を規制できるストッパ構造を提供する。
【解決手段】ロードセルRを支持するフレーム1は、ロードセルRの支持板部2の左右の縁部から下方向に延びる側壁部3,4を備えている。左側の側壁部3は、長さ方向の中央部から前端部にかけての上縁部に3つの段差34a〜36aを備えており、各段差34a〜36aにより中央部から先端側にかけての上縁部の高さがH1ずつ段階的に低くなっている。各段差34a〜36aより前側の段差部34〜36を側壁部3の先端側から順次折り曲げると、各段差部34〜36はロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×1,H12×2,H12×3の何れかだけ下方に位置する各段差部34〜36の上面に設定される。
【解決手段】ロードセルRを支持するフレーム1は、ロードセルRの支持板部2の左右の縁部から下方向に延びる側壁部3,4を備えている。左側の側壁部3は、長さ方向の中央部から前端部にかけての上縁部に3つの段差34a〜36aを備えており、各段差34a〜36aにより中央部から先端側にかけての上縁部の高さがH1ずつ段階的に低くなっている。各段差34a〜36aより前側の段差部34〜36を側壁部3の先端側から順次折り曲げると、各段差部34〜36はロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×1,H12×2,H12×3の何れかだけ下方に位置する各段差部34〜36の上面に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部のストッパ構造、及び該ストッパ構造を備える秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のストッパ構造としては、下記の特許文献1に記載の荷重トランスデューサの取付構造が開示されている。この荷重トランスデューサの取付構造は、荷重トランスデューサの固定部を固定取付部材に固定し、荷重トランスデューサの可動部に計量皿担持部材を固定させている。計量皿担持部材は、計量皿を担持する部材である。
【0003】
計量皿担持部材の両側方に張り出した一対の側方張出部の各々には孔が設けられ、固定取付部材の両側方への張出部分の各々にはボルトが結合されている。計量皿担持部材が備える側方張出部の孔に、固定取付部材が備える張出部分のボルトが挿通され、孔を挿通したボルトの先端部と、孔を挿通していないボルトの中央部には、それぞれナットが締結されている。ボルトに締結された両ナットに側方張出部の上面及び下面が当接することにより、計量皿担持部材の上方及び下方への移動が規制される。
【0004】
【特許文献1】特表2005−527797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の荷重トランスデューサの取付構造では、計量皿担持部材が備える側方張出部に設けられた孔と、固定取付部材が備える張出部分に結合されたボルトと、ボルトに締結される一対のナットとから過荷重防護機構が構成されていることから、部品点数が多くなり、また、側方張出部への孔の形成や、張出部分へのボルトの結合や、ボルトへのナットの締結等の作業に手間がかかった。この結果、荷重トランスデューサを取り付けた秤等の製造コストがその分高くなった。このため、簡易な構成で可動部の移動を規制できるストッパ構造が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決することのできる、可動部のストッパ構造、及び秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この欄の記載は特許請求の範囲の記載に応じて変更されます。
このような課題を解決するために、本発明は、側方に配置されたフレームに沿って移動する可動部の移動方向を向いた移動面を支持して、前記可動部の移動を規制する可動部のストッパ構造であって、前記フレームの一端側から段階的に高さが高くなる複数の段差部を、前記一端側から各前記段差部毎に順次折り曲げて前記移動面に対面させ、前記移動面と前記段差部との距離を前記可動部の移動規制位置に応じた距離にして構成されたことを特徴とする。
また、本発明は、各前記段差部毎に、前記移動面に対面させて折り曲げるための曲げ代を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で可動部の移動を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の秤が備えるロードセルRと、ロードセルRを秤のベースに取り付けるフレーム1との構成の概略を示す図であり、(a)は右側面図,(b)は平面図,(c)は左側面図である。図2は、フレーム1の側壁部3を部分的に拡大して示す左側面図である。図3は、フレーム1の側壁部4を部分的に拡大して示す右側面図である。
【0010】
この秤は、図示しないが、計量対象の物体を載せる載せ皿と、載せ皿を受ける皿受板とを備えており、皿受板に加えられた荷重を図1に示すロードセルRで検知することにより、計量を行う。
【0011】
図1に示すように、ロードセルRを構成する起歪体は棒状を呈しており、長さ方向の一端側の固定部R1をフレーム1に固定されて、他端側の可動部R2で図示しない皿受板に加えられた荷重を受け、固定部R1と可動部R2とに挟まれて位置する起歪部R3の歪み量を検知される。
【0012】
フレーム1は、ロードセルRを支持する支持板部2と、支持板部2の左右の縁部から下方に延びる一対の側壁部3,4と、支持板部2の後縁部から下方に延びる後壁部5とを備えている。
【0013】
図1(b)に示すように、支持板部2は、後端側から前端側にかけて幅Wで延びている。支持板部2には、その両主面間を貫通する図示しない貫通孔が設けられており、この貫通孔を挿通されたネジがロードセルRの固定部R1の備える図示しないネジ孔に螺着されることにより、ロードセルRの固定部R1が支持板部2に固定される。また、後壁部5の下縁部からは、後方に向けて載置板51が延びている。
【0014】
支持板部2の左側に位置する側壁部3は、図1(c)に示すように、後端側から長さ方向の中央部にかけては、高さH1を有している。また、長さ方向の中央部の前端部寄りの下縁部には1つの段差32が設けられており、この段差32より先端側の下縁部は、フレーム1の載置面から高さH11に位置して直線状に延びている。また、段差32の設けられた箇所よりも前側の上縁部には3つの段差34a〜36aが設けられており、各段差34a〜36aよりも前端側に位置する段差部34〜36は、その上縁部の高さが前端側にかけて段階的に低くなっている。
【0015】
本実施形態では、図2に拡大して示すように、各段差34a〜36aは一定の高さH12に設定されており、先端側にかけての側壁部3の高さは、各段差34a〜36aを経る毎に支持板部2の上面に対して高さH12だけ低くなる。これにより、最も先端側に位置する段差部36は、支持板部2の上面からH12×3だけ低い位置に上縁部を位置させている。
【0016】
図1(c)に示すように、最も先端側に位置する段差部36の先端からは、先端側に向けて長さL11の係止突片37が突出しており、その分段差部36は他の段差部34,35よりも長い長さL12を有しているが、他の各段差部34,35はそれぞれ等しい長さL13を有している。各段差部34〜36は、側壁部4側に向けて約90度だけ折り曲げられて、ロードセルRの可動部R2の下方にその上縁部を位置させられる。
【0017】
最も後端側に形成された段差34aよりも後端側に、段差部34,35の長さL13と等しい長さL14だけ後端側に位置した側壁部3には、係止孔6が形成されている。係止孔6は、側壁部3の両主面間を貫通して矩形状を呈しており、係止突片37と同じ水平高さに位置している。図1(b)に示すように、側壁部3の段差32よりも後端側の下縁部からは、左側方に向けて載置板31が延びている。また、各段差部34〜36の下縁部からは、左側方に向けて載置板33が延びている。各段差34a〜36aの下方に位置する載置板33には、切欠部34b〜36bが設けられている。側壁部3は、載置板33の切欠部34b〜36bが設けられた箇所を除き、略L形の断面形状を有しており、切欠部34b〜36bの設けられた箇所から折り曲げ易く構成されている。つまり、載置板33の切欠部34b〜36bは、切欠部34b〜36bの形成位置よりも先端側の段差部34〜36を、ロードセルRの可動部R2の移動面の下方に折り曲げるための曲げ代を構成している。
【0018】
図1(a)に示すように、支持板部2の右側に位置する側壁部4は、後端側から長さ方向の中央部にかけては高さH2を有している。また、長さ方向の中央部の上縁部には1つの段差42が設けられており、この段差42より先端側の上縁部は、フレーム1の載置面から高さH21に位置して直線状に延びている。段差42は、側壁部3が有する係止孔6に向かい合う位置よりもやや後端側に位置している。これにより、側壁部3の備える段差部35及び段差部36が側壁部4側に折り曲げられた後に、段差部34が側壁部4側に折り曲げられる際に、段差部35や段差部36が側壁部4と干渉するのが防止されている。また、図1(b)に示すように、側壁部4の下縁部からは、右側方に向けて載置板41が延びている。
【0019】
図3に示すように、段差42よりも先端側に位置する側壁部4の上縁には、側壁部3が備える段差34a〜36aと同じ数だけの係止爪43が設けられている。係止爪43は、側壁部4の上縁から後方に向けて突出した舌片から構成されている。係止爪43は、側壁部3が備える各段差34a〜36aの形成位置に向かい合う位置よりもやや先端側に1つずつ設けられている。側壁部4の段差42より先端側の上縁部の高さH21は、側壁部3の下縁の高さH11に対して、荷重を加えられて最も撓んだ状態での側壁部4の上縁からの係止爪43の突出量よりもやや高い位置に設定されている。
【0020】
次に、このような構成を有するフレーム1を用いて、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置を設定する方法について説明する。図4は、側壁部3の各段差部34〜36が先端側から折り曲げられていく状態を示す平面図である。また、図5は、折り曲げられた各段差部34〜36と係止爪43との位置関係を説明する側面図である。
【0021】
まず、図4(a)に示すように、後端側から前端側にかけて直線状に延びた側壁部3の最も先端側に位置する段差部36を、図4(b)に示すように、段差36aとこの段差36aの下方に位置する切欠部36bとを結ぶ箇所から側壁部4側に向けて約90度折り曲げる。折り曲げられた段差部36の下面は、図5(a)に示すように側壁部4の上面に向かい合う位置を矢印方向に移動する。そして、図5(b)に示すように、段差36aに向かい合う位置よりもやや先端側の側壁部4にある係止爪43に乗り上げ、更に矢印方向に移動して係止爪43を乗り越え、図5(c)に示すように、係止爪43よりも後端側に位置する側壁部4の上縁まで移動する。
【0022】
係止爪43は、段差部36に乗り上げられている間は、段差部36から加えられる荷重により図5(b)に示すように下方に撓んでおり、段差部36が後端側まで移動すると撓みが解けて再び上方を向いた図5(c)に示す状態に戻る。その後、段差部36を折り曲げる力が解かれた時に、折り曲げの際に生じた弾発力が、段差部36の折り曲げ方向と逆方向(図5(c)中の矢印方向)に働いても、同方向への段差部36の移動は、図5(c)に示すように、段差部36が係止爪43の先端に係止することにより規制され、段差部36が係止爪43に係止した所定の折曲位置で折り曲げられた状態を保つ。
【0023】
このようにして側壁部3と側壁部4との間に掛け渡された段差部36は、図4(b)に示すように、可動部R2の下方に位置しており、荷重を受けたロードセルRの可動部R2が下方に移動して段差部36に当接することにより、可動部R2の更に下方への移動が規制される。これにより、可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×3だけ下方に位置する段差部36の上面に設定される。
【0024】
この移動規制位置を更に高い位置に設定したい場合には、折り曲げられていない段差部34,35の中で最も先端側に位置する段差部35を、図4(c)に示すように、段差部36と同様にして側壁部4側に約90度折り曲げる。折り曲げられた段差部35の下面は、段差部36の折り曲げの際と同様に、図5(a)〜(c)に順に示すように、側壁部4が備える係止爪43を乗り越えて係止爪43よりも後端側に位置する側壁部4の上面まで移動する。
【0025】
この段差部35の移動に伴い、既に折り曲げられていた段差部36は、図4(c)に示すように、段差部35と同方向に段差部35の折り曲げ部分となる段差35aと切欠部35bとを結ぶ箇所を中心として回動する。段差部35の折り曲げが行われた後、段差部35は、折り曲げの際に生じた弾発力により、図5(c)に示すように係止爪43の先端に係止し、所定の折曲位置で折り曲げられた状態を保つ。
【0026】
段差部35は、ロードセルRの可動部R2の下方に位置して、図4(c)に示すように、側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×2だけ下方に位置する段差部35の上面に設定される。
【0027】
移動規制位置を更に高い位置に設定したい場合には、残りの段差部34を側壁部4側に約90度だけ折り曲げる。これにより、段差部34は、図5(c)に示すように係止爪43に係止して、図4(d)に示すように、ロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。また、係止突片37が係止孔6を挿通し、係止孔6に係止した状態となる。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH13×1だけ下方に位置する段差部34の上面に設定される。
【0028】
このように、所望の移動規制位置が得られるまで、側壁部3が備える段差部34〜36を先端側から順次折り曲げて、ロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3,4間に掛け渡すことにより、可動部R2の移動規制位置を、支持板部2の上面からH13×1,H13×2,H13×3の何れかの距離だけ下方に設定することができる。
【0029】
本実施形態による秤によれば、ロードセルRの可動部R2の移動方向である上下方向に直行する左側方に位置した側壁部3で、可動部R2の下面を支持することにより、可動部R2の下方への移動を、別途部品を設けることなく規制することができる。従って、簡易な構成で可動部R2の移動を規制できる。また、可動部R2の下方に折り曲げられた側壁部3と可動部R2との間の距離が所望の移動規制位置に応じた距離となるまで、側壁部3に設けられた段差部34〜36を、一端側から段差34a〜36a毎に可動部R2の下方に折り曲げるという簡単な作業で、可動部R2の下方向への移動を規制できる。
【0030】
また、本実施形態による秤によれば、側壁部3が備える各段差部34〜36毎に、ロードセルRの可動部R2の下方に折り曲げるための、切欠部34b〜36bから構成された曲げ代が設けられていることから、曲げ代に従ってフレーム1を折り曲げるという簡単な作業で、ロードセルRの可動部R2の移動規制を正確に行うことができる。
【0031】
上記実施形態の説明では、各段差部34〜36の下面が側壁部4の上面に載置されるようにして、ロードセルRの可動部R2から加えられる荷重を側壁部3と側壁部4とで受けた場合について説明した。しかしながら、各段差部34〜36の長さを両側壁部3,4間の幅Wよりも短くして、可動部R2から加えられる荷重を側壁部3のみで受ける構成としてもよい。さらに、移動規制用の段差部を側壁部3が3つ以上備える構成とするときには、各段差部の長さが、先端側から徐々に長くなる構成としてもよい。これにより、段差部を先端側から順に側壁部4側に向けて90度折り曲げる操作を行った場合に、段差部の先端がそれよりも後端側の側壁部3に干渉するのを防止することができる。
【0032】
また、各段差34a〜36aの高さは、必ずしも一定の値に設定する必要はなく、各段差34a〜36a毎に異なる値に設定する構成としてもよい。また、例えば、2kg,3kg,5kg等と秤量の異なるロードセルRをフレーム1に取り付ける場合には、各秤量のロードセルRの撓み量に応じて各段差34a〜36aの高さを設定することができる。
【0033】
また、支持板部2の下面にロードセルRの固定部R1が取り付けられた、図6に示すような構成としてもよい。同図に示すフレーム1aは、上記実施形態のフレーム1と同様に、支持板部2と、一対の側壁部3,4と、後壁部5とを備えて構成されているが、支持板部2の下面にロードセルRの固定部R1が取り付けられている。このため、側壁部3,4の後端側から長さ方向中央部の段差32,42が設けられた箇所までの高さH1,H2が、ロードセルRを支持板部2の下方に収容するのに必要なだけ、高くなっている。
【0034】
図6(c)に示すように、各段差34a〜36aの下方には、側壁部3の両主面間を貫通する1つの貫通孔34c〜36cがそれぞれ設けられている。各貫通孔34c〜36cは、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて直線状に延びる長孔から構成されており、側壁部3の高さに応じて異なる長さに設定されている。つまり、段差34a〜36aが設けられた側壁部3の高さが高いほど、貫通孔34c〜36cの長さは長くなっている。貫通孔34c〜36cは、貫通孔34c〜36cの形成位置よりも先端側の段差部34〜36をロードセルRの可動部R2の移動面の下方に折り曲げるための曲げ代を構成している。この曲げ代により、各段差部34〜36は、図1に示すフレーム1に比べて、より折り曲げ易くなっている。
【0035】
この構成によっても、側壁部3で可動部R2を支持することにより、別途部品を設けることなく、簡易な構成で可動部R2の移動を規制できる。また、側壁部3と可動部R2との間の距離が所望の移動規制位置に応じた距離となるまで、段差部34〜36を折り曲げるという簡単な作業で、可動部R2の移動を規制できる。また、曲げ代によりロードセルRの移動規制を簡単な作業で正確に行うことができる。従って、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
なお、曲げ代の構成は任意である。例えば、図7〜図10に示すようにして曲げ代を構成することができる。図7は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す図であり、(a)は左側面図、(b)は上方から見た断面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)の下方に、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて延びる肉薄部34d〜36d(同図では肉薄部35d,36d)を打ち込み等の手段を用いて形成し、この肉薄部34d〜36dを曲げ代としてもよい。なお、肉薄部34d〜36dの形状は任意であり、例えば、側壁部3の両側面ではなく、一側面のみに窪み部を設けて肉薄部を構成してもよい。
【0037】
図8は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す左側面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)に、側壁部3の上縁から下縁側に向けて延びる切り込み34e〜36e(同図では切り込み35e,36e)を設けて縮幅部を形成し、この縮幅部を曲げ代としてもよい。なお、縮幅部の形状は任意であり、例えば、側壁部3の上縁だけでなく、上縁及び下縁からそれぞれ反対側の縁部に向けて延びる切込みを設けたり、下縁から上縁側に向けて延びる切り込みのみを設けたりして、縮幅部を形成してもよい。
【0038】
図9は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す左側面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)の下方に、側壁部3の高さに応じた数の円形の貫通孔34f〜36f(同図では段差35f,36f)を、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて配設し、この貫通孔34f〜36fの配設箇所を曲げ代としてもよい。なお、曲げ代を構成するのは貫通孔には限らず、側壁部3の一側面又は両側面に設けた穴から曲げ代を構成してもよい。
【0039】
図10は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す図であり、(a)は右側面図、(b)は正面図である。同図に示すように、各段差34a〜36aの下方を除く各段差部34〜36の右側面に、下縁に沿って延びる舌片34h〜36h、及び、上縁に沿って延びる舌片34g〜36gを設け、各段差34a〜36aの下方を除く各段差部34〜36をコの字の断面を有する形状に形成し、曲げ代を構成してもよい。また、同図では、舌片34g〜36g及び舌片34h〜36hを各段差部34〜36の右側面に設けた場合について説明したが、左側面に設ける構成としてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、一枚の平板を折り曲げて形成された側壁部3,4及び後壁部5の側面に支持板部2を固定することにより、フレーム1が形成されていた場合について説明した。しかしながら、ロードセルRの可動部R2の下方に段差部を折り曲げることにより、可動部2Rの移動規制を行うことができるのであれば、フレーム1の構成は任意である。例えば、図11に示すように、1枚の平板を支持板部2の左右の両縁部から下方に折り曲げることにより、支持板部2及び側壁部3,4を形成し、後壁部5を備えない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の秤が備えるロードセルと、ロードセルを秤のベースに取り付けるフレームとの構成の概略を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図2】図1に示すフレームの側壁部を部分的に拡大して示す第1の側面図である。
【図3】図1に示すフレームの側壁部を部分的に拡大して示す第2の側面図である。
【図4】図2に示す側壁部の各段差部が先端側から折り曲げられていく状態を示す平面図である。
【図5】折り曲げられた各段差部と係止爪との位置関係を説明する側面図である。
【図6】フレームの変形例を説明する図であり、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図7】フレームの変形例を説明する第1の図であり、(a)は左側面図、(b)は上方から見た断面図である。
【図8】フレームの変形例を説明する第2の図であり、左側面図である。
【図9】フレームの変形例を説明する第3の図であり、左側面図である。
【図10】フレームの変形例を説明する第4の図であり、(a)は右側面図,(b)は正面図である。
【図11】フレームの変形例を説明する第5の図であり、後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
R ロードセル
R1 固定部
R2 可動部
R3 起歪部
1,1a フレーム
2 支持板部
3,4 側壁部
32 段差
34〜36 段差部
34a〜36a 段差
34c〜36c 貫通孔
37 係止突片
42 段差
43 係止爪
6 係止孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部のストッパ構造、及び該ストッパ構造を備える秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のストッパ構造としては、下記の特許文献1に記載の荷重トランスデューサの取付構造が開示されている。この荷重トランスデューサの取付構造は、荷重トランスデューサの固定部を固定取付部材に固定し、荷重トランスデューサの可動部に計量皿担持部材を固定させている。計量皿担持部材は、計量皿を担持する部材である。
【0003】
計量皿担持部材の両側方に張り出した一対の側方張出部の各々には孔が設けられ、固定取付部材の両側方への張出部分の各々にはボルトが結合されている。計量皿担持部材が備える側方張出部の孔に、固定取付部材が備える張出部分のボルトが挿通され、孔を挿通したボルトの先端部と、孔を挿通していないボルトの中央部には、それぞれナットが締結されている。ボルトに締結された両ナットに側方張出部の上面及び下面が当接することにより、計量皿担持部材の上方及び下方への移動が規制される。
【0004】
【特許文献1】特表2005−527797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の荷重トランスデューサの取付構造では、計量皿担持部材が備える側方張出部に設けられた孔と、固定取付部材が備える張出部分に結合されたボルトと、ボルトに締結される一対のナットとから過荷重防護機構が構成されていることから、部品点数が多くなり、また、側方張出部への孔の形成や、張出部分へのボルトの結合や、ボルトへのナットの締結等の作業に手間がかかった。この結果、荷重トランスデューサを取り付けた秤等の製造コストがその分高くなった。このため、簡易な構成で可動部の移動を規制できるストッパ構造が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決することのできる、可動部のストッパ構造、及び秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この欄の記載は特許請求の範囲の記載に応じて変更されます。
このような課題を解決するために、本発明は、側方に配置されたフレームに沿って移動する可動部の移動方向を向いた移動面を支持して、前記可動部の移動を規制する可動部のストッパ構造であって、前記フレームの一端側から段階的に高さが高くなる複数の段差部を、前記一端側から各前記段差部毎に順次折り曲げて前記移動面に対面させ、前記移動面と前記段差部との距離を前記可動部の移動規制位置に応じた距離にして構成されたことを特徴とする。
また、本発明は、各前記段差部毎に、前記移動面に対面させて折り曲げるための曲げ代を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で可動部の移動を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の秤が備えるロードセルRと、ロードセルRを秤のベースに取り付けるフレーム1との構成の概略を示す図であり、(a)は右側面図,(b)は平面図,(c)は左側面図である。図2は、フレーム1の側壁部3を部分的に拡大して示す左側面図である。図3は、フレーム1の側壁部4を部分的に拡大して示す右側面図である。
【0010】
この秤は、図示しないが、計量対象の物体を載せる載せ皿と、載せ皿を受ける皿受板とを備えており、皿受板に加えられた荷重を図1に示すロードセルRで検知することにより、計量を行う。
【0011】
図1に示すように、ロードセルRを構成する起歪体は棒状を呈しており、長さ方向の一端側の固定部R1をフレーム1に固定されて、他端側の可動部R2で図示しない皿受板に加えられた荷重を受け、固定部R1と可動部R2とに挟まれて位置する起歪部R3の歪み量を検知される。
【0012】
フレーム1は、ロードセルRを支持する支持板部2と、支持板部2の左右の縁部から下方に延びる一対の側壁部3,4と、支持板部2の後縁部から下方に延びる後壁部5とを備えている。
【0013】
図1(b)に示すように、支持板部2は、後端側から前端側にかけて幅Wで延びている。支持板部2には、その両主面間を貫通する図示しない貫通孔が設けられており、この貫通孔を挿通されたネジがロードセルRの固定部R1の備える図示しないネジ孔に螺着されることにより、ロードセルRの固定部R1が支持板部2に固定される。また、後壁部5の下縁部からは、後方に向けて載置板51が延びている。
【0014】
支持板部2の左側に位置する側壁部3は、図1(c)に示すように、後端側から長さ方向の中央部にかけては、高さH1を有している。また、長さ方向の中央部の前端部寄りの下縁部には1つの段差32が設けられており、この段差32より先端側の下縁部は、フレーム1の載置面から高さH11に位置して直線状に延びている。また、段差32の設けられた箇所よりも前側の上縁部には3つの段差34a〜36aが設けられており、各段差34a〜36aよりも前端側に位置する段差部34〜36は、その上縁部の高さが前端側にかけて段階的に低くなっている。
【0015】
本実施形態では、図2に拡大して示すように、各段差34a〜36aは一定の高さH12に設定されており、先端側にかけての側壁部3の高さは、各段差34a〜36aを経る毎に支持板部2の上面に対して高さH12だけ低くなる。これにより、最も先端側に位置する段差部36は、支持板部2の上面からH12×3だけ低い位置に上縁部を位置させている。
【0016】
図1(c)に示すように、最も先端側に位置する段差部36の先端からは、先端側に向けて長さL11の係止突片37が突出しており、その分段差部36は他の段差部34,35よりも長い長さL12を有しているが、他の各段差部34,35はそれぞれ等しい長さL13を有している。各段差部34〜36は、側壁部4側に向けて約90度だけ折り曲げられて、ロードセルRの可動部R2の下方にその上縁部を位置させられる。
【0017】
最も後端側に形成された段差34aよりも後端側に、段差部34,35の長さL13と等しい長さL14だけ後端側に位置した側壁部3には、係止孔6が形成されている。係止孔6は、側壁部3の両主面間を貫通して矩形状を呈しており、係止突片37と同じ水平高さに位置している。図1(b)に示すように、側壁部3の段差32よりも後端側の下縁部からは、左側方に向けて載置板31が延びている。また、各段差部34〜36の下縁部からは、左側方に向けて載置板33が延びている。各段差34a〜36aの下方に位置する載置板33には、切欠部34b〜36bが設けられている。側壁部3は、載置板33の切欠部34b〜36bが設けられた箇所を除き、略L形の断面形状を有しており、切欠部34b〜36bの設けられた箇所から折り曲げ易く構成されている。つまり、載置板33の切欠部34b〜36bは、切欠部34b〜36bの形成位置よりも先端側の段差部34〜36を、ロードセルRの可動部R2の移動面の下方に折り曲げるための曲げ代を構成している。
【0018】
図1(a)に示すように、支持板部2の右側に位置する側壁部4は、後端側から長さ方向の中央部にかけては高さH2を有している。また、長さ方向の中央部の上縁部には1つの段差42が設けられており、この段差42より先端側の上縁部は、フレーム1の載置面から高さH21に位置して直線状に延びている。段差42は、側壁部3が有する係止孔6に向かい合う位置よりもやや後端側に位置している。これにより、側壁部3の備える段差部35及び段差部36が側壁部4側に折り曲げられた後に、段差部34が側壁部4側に折り曲げられる際に、段差部35や段差部36が側壁部4と干渉するのが防止されている。また、図1(b)に示すように、側壁部4の下縁部からは、右側方に向けて載置板41が延びている。
【0019】
図3に示すように、段差42よりも先端側に位置する側壁部4の上縁には、側壁部3が備える段差34a〜36aと同じ数だけの係止爪43が設けられている。係止爪43は、側壁部4の上縁から後方に向けて突出した舌片から構成されている。係止爪43は、側壁部3が備える各段差34a〜36aの形成位置に向かい合う位置よりもやや先端側に1つずつ設けられている。側壁部4の段差42より先端側の上縁部の高さH21は、側壁部3の下縁の高さH11に対して、荷重を加えられて最も撓んだ状態での側壁部4の上縁からの係止爪43の突出量よりもやや高い位置に設定されている。
【0020】
次に、このような構成を有するフレーム1を用いて、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置を設定する方法について説明する。図4は、側壁部3の各段差部34〜36が先端側から折り曲げられていく状態を示す平面図である。また、図5は、折り曲げられた各段差部34〜36と係止爪43との位置関係を説明する側面図である。
【0021】
まず、図4(a)に示すように、後端側から前端側にかけて直線状に延びた側壁部3の最も先端側に位置する段差部36を、図4(b)に示すように、段差36aとこの段差36aの下方に位置する切欠部36bとを結ぶ箇所から側壁部4側に向けて約90度折り曲げる。折り曲げられた段差部36の下面は、図5(a)に示すように側壁部4の上面に向かい合う位置を矢印方向に移動する。そして、図5(b)に示すように、段差36aに向かい合う位置よりもやや先端側の側壁部4にある係止爪43に乗り上げ、更に矢印方向に移動して係止爪43を乗り越え、図5(c)に示すように、係止爪43よりも後端側に位置する側壁部4の上縁まで移動する。
【0022】
係止爪43は、段差部36に乗り上げられている間は、段差部36から加えられる荷重により図5(b)に示すように下方に撓んでおり、段差部36が後端側まで移動すると撓みが解けて再び上方を向いた図5(c)に示す状態に戻る。その後、段差部36を折り曲げる力が解かれた時に、折り曲げの際に生じた弾発力が、段差部36の折り曲げ方向と逆方向(図5(c)中の矢印方向)に働いても、同方向への段差部36の移動は、図5(c)に示すように、段差部36が係止爪43の先端に係止することにより規制され、段差部36が係止爪43に係止した所定の折曲位置で折り曲げられた状態を保つ。
【0023】
このようにして側壁部3と側壁部4との間に掛け渡された段差部36は、図4(b)に示すように、可動部R2の下方に位置しており、荷重を受けたロードセルRの可動部R2が下方に移動して段差部36に当接することにより、可動部R2の更に下方への移動が規制される。これにより、可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×3だけ下方に位置する段差部36の上面に設定される。
【0024】
この移動規制位置を更に高い位置に設定したい場合には、折り曲げられていない段差部34,35の中で最も先端側に位置する段差部35を、図4(c)に示すように、段差部36と同様にして側壁部4側に約90度折り曲げる。折り曲げられた段差部35の下面は、段差部36の折り曲げの際と同様に、図5(a)〜(c)に順に示すように、側壁部4が備える係止爪43を乗り越えて係止爪43よりも後端側に位置する側壁部4の上面まで移動する。
【0025】
この段差部35の移動に伴い、既に折り曲げられていた段差部36は、図4(c)に示すように、段差部35と同方向に段差部35の折り曲げ部分となる段差35aと切欠部35bとを結ぶ箇所を中心として回動する。段差部35の折り曲げが行われた後、段差部35は、折り曲げの際に生じた弾発力により、図5(c)に示すように係止爪43の先端に係止し、所定の折曲位置で折り曲げられた状態を保つ。
【0026】
段差部35は、ロードセルRの可動部R2の下方に位置して、図4(c)に示すように、側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH12×2だけ下方に位置する段差部35の上面に設定される。
【0027】
移動規制位置を更に高い位置に設定したい場合には、残りの段差部34を側壁部4側に約90度だけ折り曲げる。これにより、段差部34は、図5(c)に示すように係止爪43に係止して、図4(d)に示すように、ロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3と側壁部4との間に掛け渡される。また、係止突片37が係止孔6を挿通し、係止孔6に係止した状態となる。これにより、ロードセルRの可動部R2の移動規制位置は、支持板部2の上面から高さH13×1だけ下方に位置する段差部34の上面に設定される。
【0028】
このように、所望の移動規制位置が得られるまで、側壁部3が備える段差部34〜36を先端側から順次折り曲げて、ロードセルRの可動部R2の下方で側壁部3,4間に掛け渡すことにより、可動部R2の移動規制位置を、支持板部2の上面からH13×1,H13×2,H13×3の何れかの距離だけ下方に設定することができる。
【0029】
本実施形態による秤によれば、ロードセルRの可動部R2の移動方向である上下方向に直行する左側方に位置した側壁部3で、可動部R2の下面を支持することにより、可動部R2の下方への移動を、別途部品を設けることなく規制することができる。従って、簡易な構成で可動部R2の移動を規制できる。また、可動部R2の下方に折り曲げられた側壁部3と可動部R2との間の距離が所望の移動規制位置に応じた距離となるまで、側壁部3に設けられた段差部34〜36を、一端側から段差34a〜36a毎に可動部R2の下方に折り曲げるという簡単な作業で、可動部R2の下方向への移動を規制できる。
【0030】
また、本実施形態による秤によれば、側壁部3が備える各段差部34〜36毎に、ロードセルRの可動部R2の下方に折り曲げるための、切欠部34b〜36bから構成された曲げ代が設けられていることから、曲げ代に従ってフレーム1を折り曲げるという簡単な作業で、ロードセルRの可動部R2の移動規制を正確に行うことができる。
【0031】
上記実施形態の説明では、各段差部34〜36の下面が側壁部4の上面に載置されるようにして、ロードセルRの可動部R2から加えられる荷重を側壁部3と側壁部4とで受けた場合について説明した。しかしながら、各段差部34〜36の長さを両側壁部3,4間の幅Wよりも短くして、可動部R2から加えられる荷重を側壁部3のみで受ける構成としてもよい。さらに、移動規制用の段差部を側壁部3が3つ以上備える構成とするときには、各段差部の長さが、先端側から徐々に長くなる構成としてもよい。これにより、段差部を先端側から順に側壁部4側に向けて90度折り曲げる操作を行った場合に、段差部の先端がそれよりも後端側の側壁部3に干渉するのを防止することができる。
【0032】
また、各段差34a〜36aの高さは、必ずしも一定の値に設定する必要はなく、各段差34a〜36a毎に異なる値に設定する構成としてもよい。また、例えば、2kg,3kg,5kg等と秤量の異なるロードセルRをフレーム1に取り付ける場合には、各秤量のロードセルRの撓み量に応じて各段差34a〜36aの高さを設定することができる。
【0033】
また、支持板部2の下面にロードセルRの固定部R1が取り付けられた、図6に示すような構成としてもよい。同図に示すフレーム1aは、上記実施形態のフレーム1と同様に、支持板部2と、一対の側壁部3,4と、後壁部5とを備えて構成されているが、支持板部2の下面にロードセルRの固定部R1が取り付けられている。このため、側壁部3,4の後端側から長さ方向中央部の段差32,42が設けられた箇所までの高さH1,H2が、ロードセルRを支持板部2の下方に収容するのに必要なだけ、高くなっている。
【0034】
図6(c)に示すように、各段差34a〜36aの下方には、側壁部3の両主面間を貫通する1つの貫通孔34c〜36cがそれぞれ設けられている。各貫通孔34c〜36cは、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて直線状に延びる長孔から構成されており、側壁部3の高さに応じて異なる長さに設定されている。つまり、段差34a〜36aが設けられた側壁部3の高さが高いほど、貫通孔34c〜36cの長さは長くなっている。貫通孔34c〜36cは、貫通孔34c〜36cの形成位置よりも先端側の段差部34〜36をロードセルRの可動部R2の移動面の下方に折り曲げるための曲げ代を構成している。この曲げ代により、各段差部34〜36は、図1に示すフレーム1に比べて、より折り曲げ易くなっている。
【0035】
この構成によっても、側壁部3で可動部R2を支持することにより、別途部品を設けることなく、簡易な構成で可動部R2の移動を規制できる。また、側壁部3と可動部R2との間の距離が所望の移動規制位置に応じた距離となるまで、段差部34〜36を折り曲げるという簡単な作業で、可動部R2の移動を規制できる。また、曲げ代によりロードセルRの移動規制を簡単な作業で正確に行うことができる。従って、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
なお、曲げ代の構成は任意である。例えば、図7〜図10に示すようにして曲げ代を構成することができる。図7は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す図であり、(a)は左側面図、(b)は上方から見た断面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)の下方に、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて延びる肉薄部34d〜36d(同図では肉薄部35d,36d)を打ち込み等の手段を用いて形成し、この肉薄部34d〜36dを曲げ代としてもよい。なお、肉薄部34d〜36dの形状は任意であり、例えば、側壁部3の両側面ではなく、一側面のみに窪み部を設けて肉薄部を構成してもよい。
【0037】
図8は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す左側面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)に、側壁部3の上縁から下縁側に向けて延びる切り込み34e〜36e(同図では切り込み35e,36e)を設けて縮幅部を形成し、この縮幅部を曲げ代としてもよい。なお、縮幅部の形状は任意であり、例えば、側壁部3の上縁だけでなく、上縁及び下縁からそれぞれ反対側の縁部に向けて延びる切込みを設けたり、下縁から上縁側に向けて延びる切り込みのみを設けたりして、縮幅部を形成してもよい。
【0038】
図9は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す左側面図である。同図に示すように、各段差34a〜36a(同図では段差35a,36a)の下方に、側壁部3の高さに応じた数の円形の貫通孔34f〜36f(同図では段差35f,36f)を、側壁部3の上縁側から下縁側にかけて配設し、この貫通孔34f〜36fの配設箇所を曲げ代としてもよい。なお、曲げ代を構成するのは貫通孔には限らず、側壁部3の一側面又は両側面に設けた穴から曲げ代を構成してもよい。
【0039】
図10は、側壁部3の先端部を部分的に拡大して示す図であり、(a)は右側面図、(b)は正面図である。同図に示すように、各段差34a〜36aの下方を除く各段差部34〜36の右側面に、下縁に沿って延びる舌片34h〜36h、及び、上縁に沿って延びる舌片34g〜36gを設け、各段差34a〜36aの下方を除く各段差部34〜36をコの字の断面を有する形状に形成し、曲げ代を構成してもよい。また、同図では、舌片34g〜36g及び舌片34h〜36hを各段差部34〜36の右側面に設けた場合について説明したが、左側面に設ける構成としてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、一枚の平板を折り曲げて形成された側壁部3,4及び後壁部5の側面に支持板部2を固定することにより、フレーム1が形成されていた場合について説明した。しかしながら、ロードセルRの可動部R2の下方に段差部を折り曲げることにより、可動部2Rの移動規制を行うことができるのであれば、フレーム1の構成は任意である。例えば、図11に示すように、1枚の平板を支持板部2の左右の両縁部から下方に折り曲げることにより、支持板部2及び側壁部3,4を形成し、後壁部5を備えない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の秤が備えるロードセルと、ロードセルを秤のベースに取り付けるフレームとの構成の概略を示す図であり、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図2】図1に示すフレームの側壁部を部分的に拡大して示す第1の側面図である。
【図3】図1に示すフレームの側壁部を部分的に拡大して示す第2の側面図である。
【図4】図2に示す側壁部の各段差部が先端側から折り曲げられていく状態を示す平面図である。
【図5】折り曲げられた各段差部と係止爪との位置関係を説明する側面図である。
【図6】フレームの変形例を説明する図であり、(a)は右側面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図7】フレームの変形例を説明する第1の図であり、(a)は左側面図、(b)は上方から見た断面図である。
【図8】フレームの変形例を説明する第2の図であり、左側面図である。
【図9】フレームの変形例を説明する第3の図であり、左側面図である。
【図10】フレームの変形例を説明する第4の図であり、(a)は右側面図,(b)は正面図である。
【図11】フレームの変形例を説明する第5の図であり、後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
R ロードセル
R1 固定部
R2 可動部
R3 起歪部
1,1a フレーム
2 支持板部
3,4 側壁部
32 段差
34〜36 段差部
34a〜36a 段差
34c〜36c 貫通孔
37 係止突片
42 段差
43 係止爪
6 係止孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方に配置されたフレームに沿って移動する可動部の移動方向を向いた移動面を支持して、前記可動部の移動を規制する可動部のストッパ構造であって、
前記フレームの一端側から段階的に高さが高くなる複数の段差部を、前記一端側から各前記段差部毎に順次折り曲げて前記移動面に対面させ、前記移動面と前記段差部との距離を前記可動部の移動規制位置に応じた距離にして構成されたことを特徴とする可動部のストッパ構造。
【請求項2】
各前記段差部毎に、前記移動面に対面させて折り曲げるための曲げ代を設けたことを特徴とする請求項1に記載の可動部のストッパ構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の可動部のストッパ構造を備えたことを特徴とする秤。
【請求項1】
側方に配置されたフレームに沿って移動する可動部の移動方向を向いた移動面を支持して、前記可動部の移動を規制する可動部のストッパ構造であって、
前記フレームの一端側から段階的に高さが高くなる複数の段差部を、前記一端側から各前記段差部毎に順次折り曲げて前記移動面に対面させ、前記移動面と前記段差部との距離を前記可動部の移動規制位置に応じた距離にして構成されたことを特徴とする可動部のストッパ構造。
【請求項2】
各前記段差部毎に、前記移動面に対面させて折り曲げるための曲げ代を設けたことを特徴とする請求項1に記載の可動部のストッパ構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の可動部のストッパ構造を備えたことを特徴とする秤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−186232(P2009−186232A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24230(P2008−24230)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
[ Back to top ]