説明

可動間仕切

【課題】部品点数が少なく、簡単に設置することのできる安価な可動間仕切を提供する。
【解決手段】部屋を仕切るために、天井Rに設置されるガイドレール2と、このガイドレール2に吊車3を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な複数の引戸4とを有している可動間仕切1であって、ガイドレール2は、吊車3が移動可能な移動路11a、12aを具備する複数のレール体11、12を備え、これらは、天井Rに設置された状態でL字形連結部2aおよびT字形連結部を単独あるいは組み合わせて配置され、かつL字形連結部2aでは移動路11a、12aが直角に接続され、T字形連結部102bでは移動路がT字状に接続されて全体として一体レールとされ、部屋を仕切った間仕切状態で複数のレール体11、12のうちの少なくとも1本には、複数の引戸4を直列に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋を仕切るのに好適な可動間仕切に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、可動間仕切は、建物の中の大きな空間の部屋に設けておき、その部屋を会議や催し事の出席人数に合わせた大きさの空間に仕切ったり、住宅では、来客時に合わせて部屋を仕切ったり、部屋の一部を子供用や納戸などの他の目的のものに仕切ったりする場合に使用されている。
【0003】
このような可動間仕切は、予め仕切るべき位置を想定して、その想定位置で天井にガイドレールを設置し、このガイドレールから吊下げられる複数の引戸を部屋の一箇所に集合あるいは収納させておき、必要に応じてガイドレールに沿って引き出して部屋を仕切る構成とされている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図27は従来の可動間仕切の一例の要部を示す模式的平面図であり、(a)は開放状態、(b)は間仕切状態を示している。
【0005】
図27に示すように、従来の可動間仕切200は、部屋の天井に設置されるガイドレール201と、このガイドレール201に吊車202を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な引戸203とを有している。
【0006】
ガイドレール201は、図27の左右方向に隣接して並設された相互に平行な3本の縦レール201aと、図27の上下方向に隣接して並設された相互に平行な3本の横レール201bとを有しており、縦レール201aと横レール201bとが直角に配置されている。また、3本の縦レール201aは、図27の上方に左右方向に沿って延在する壁面Paに対して直角に配置されており、3本の横レール201bは、図27の左方に上下方向に沿って延在する壁面Pbに対して直角に配置されている。そして、各縦レール201aおよび各横レール201bのそれぞれに1枚の引戸203が吊車202を介して吊り下げられている。また、3本の縦レール201aに取り下げられた3枚の引戸203は、1枚の引戸203を操作すると残りの2枚の引戸203が連動するように形成されており、3本の横レール201bに取り下げられた3枚の引戸203も同様に形成されている。
【0007】
このような構成からなる従来の可動間仕切200によれば、図27(a)に示す部屋の仕切を行わない開放状態(フルオープン状態)においては、3本の縦レール201aに吊り下げられた3枚の引戸203は、壁面Paの一箇所に集合され、3本の横レール201bに取り下げられた3枚の引戸203は、壁面Pbの一箇所に集合されるようになっている。すなわち、部屋の2箇所に引戸203の集合箇所204が設けられている。そして、3本の縦レール201aに取り下げられた3枚の引戸203のうち図27の左側に示す引戸203を図27(a)の矢印yに示す方向に操作するとともに、3本の横レール201bに取り下げられた3枚の引戸203のうち図27の上側に示す引戸203を図27(a)の矢印xに示す方向に操作することにより、図27(b)に示す間仕切状態(フルクローズ状態)とすることができるように形成されている。なお、可動間仕切200を図27(b)に示す仕切状態から図27(a)に示す開放状態にするには、引戸203を逆方向に操作することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−231654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の可動間仕切200においては、引戸203の数と同じ数のガイドレール201を必要とし、部品点数が多く、設置に手間がかかりコストが高いという問題点があった。
【0010】
なお、従来の可動間仕切200においては、引戸203の数と同じ数のガイドレール201を平行に配置する必要があるため、ガイドレール201を設置するための大きな設置スペースをガイドレール201の長さ方向に対して直交する方向にも必要とするという問題点もあった。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、部品点数が少なく、簡単に設置することのできる安価な可動間仕切を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記目的を達成するため、
部屋を仕切るために、天井に設置されるガイドレールと、このガイドレールに吊車を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な複数の引戸とを有している可動間仕切であって、
前記ガイドレールは、吊車が移動可能な移動路を具備する複数の直線状のレール体を有し、かつ、前記複数のレール体は、天井に設置された状態で、L字形連結部およびT字形連結部の一方または両方を有するとともに、前記L字形連結部では前記移動路が直角に接続され、前記T字形連結部では前記移動路がT字状に接続されて、全体として一体レールとされており、
部屋を仕切った間仕切状態で前記複数のレール体のうちの少なくとも1本には、複数の引戸が直列に配置されていることを特徴とする可動間仕切を提供する。
【0013】
本発明において、前記一体レールの形状は、前記一体レールの形状は、平面L字形部分、平面F字形部分、平面T字形部分および平面E字形部分から選ばれる1つ以上を含む形状とすることができる。これにより、天井に設置された状態で上記形状をなす全体として一体レールとされたガイドレールを容易に得ることができる。
【0014】
本発明において、1つの引戸に対して2つの吊車が取り付けられており、これら2つの吊車は、引戸の上面の引戸の移動方向に沿った長手方向の両側に寄せて配置されている構成とすることができる。これにより、2つの吊車がガイドレールのL字形連結部およびT字形連結部を円滑に通過できるので、引戸の可動性および開閉操作性を向上できる。
【0015】
本発明において、前記引戸の移動方向に沿った幅寸法をWmmとし、前記2つの吊車の中心間距離をXmmとし、前記引戸の移動方向に沿った端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの距離をammとしたときに、前記幅寸法は、600≦W≦1000を満足するように形成され、前記中心間距離は、490≦X≦650を満足するように形成され、前記距離は、a≦105を満足するように形成されている構成とすることができる。これにより、2つの吊車がガイドレールのL字形連結部をより円滑に通過できるので、引戸の可動性および開閉操作性をより向上できる。
【0016】
本発明において、前記吊車は、引戸の上端部に取り付けられる取付部と、この取付部の上面にその軸方向を上下方向に向けて立設された支持軸と、この支持軸の先端部に回転自在に取り付けられた第1戸車と、この第1戸車から基端側に所定の間隔をおいて回転自在に取り付けられた第2戸車と有しており、前記ガイドレールは、厚さ方向を上下方向に向けて天井側に配置される平板状の天板部と、この天板部の長手方向に対して直交する幅方向の両端縁のそれぞれから下方に向かって直角に延出された相互に平行な平板状の1対の側板部と、これら1対の側板部の下端縁のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに前記支持軸が挿通される間隔をおいて先端が対峙する平板状の1対のリブ部と、前記1対の側板部の内面のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに前記支持軸が挿通される間隔をおいて先端が対峙する前記1対のリブ部と平行に延在する平板状の1対のガイド板部とを有しており、前記吊車は、前記第1戸車と前記第2戸車との相互間に前記1対のガイド板部を挟み込むように形成されている構成とすることができる。これにより、吊車は、第1戸車および第2戸車が1対のガイド板部を挟むように嵌合された状態で支持軸を中心として回転しながら1対のガイド板部に沿って移動するので、引戸はガイドレールに沿って円滑に移動できるとともに、吊車、ひいては引戸が走行方向に対して直交する方向に傾くのを防止できる。
【0017】
本発明において、前記引戸は、縦長平板状のパネル本体と、このパネル本体の四辺を囲うように取り付けられるパネルフレームとを有しており、前記パネルフレームは、前記パネル本体の上面に取り付けられる上フレームと、前記パネル本体の下面に取り付けられる下フレームと、前記パネル本体の左右の側面に取り付けられる横断面形状が左右対称に形成された左右1対の縦フレームとを有しており、前記縦フレームは、前記パネル本体に取り付けられる取付部、およびこの取付部の前記パネル本体への取り付け側と反対の外側面の中央部に設けられた長手方向に沿って延在する凹溝を有しており、前記凹溝には、凸状先端部を具備する雄部材の基端部、前記凸状先端部があるいは前記凸状先端部に嵌合可能な凹状先端部を具備する雌部材の基端部、前記凹溝の開口を閉塞する栓部材の基端部のいずれかが取り付け可能とされている構成とすることができる。これにより、凹溝に、雄部材、雌部材および栓部材のいずれかを取り付けるという簡便な方法で、雄部材、雌部材および栓部材のいずれかを取り付けた3パターンの縦フレームを容易に得ることができる。また、雄部材の凸状先端部と雌部材の凹状先端部とを嵌合させることにより、嵌合に保持力を持たせることができる。その結果、引戸同士の一体感が向上し、引戸の揺れなどを軽減することができる。
【0018】
本発明において、部屋を仕切った間仕切状態で直列に配置された複数の引戸のうち隣接する2枚の引戸の隣接する一方の縦フレームの凹溝には前記雄部材の基端部が取り付けられ、他方の縦フレームの凹溝には前記雌部材の基端部が取り付けられており、前記雄部材の凸状先端部と前記雌部材の凹状先端部とを嵌合させることにより隣接する2枚の引戸が連接されており、最端に位置する縦フレームの凹溝には前記栓部材の基端部が取り付けられている構成とすることができる。これにより、雄部材の凸状先端部と前記雌部材の凹状先端部とを嵌合させることで隣接する2枚の引戸の間から光が漏れるのを軽減できるし、間仕切状態での外観品質を向上できるし、デザイン性の向上を図ることができる。
【0019】
本発明において、前記ガイドレールは、天井に設置された状態で少なくとも一端部が個別に着脱可能に分割されており、この分割部を天井から取り外すことにより、前記ガイドレールから吊車とともに引戸を取り外し可能に形成されている構成とすることができる。これにより、分割部のみを天井から取り外すという簡単な作業により、引戸をガイドレールから取り外すことができる。その結果、引戸あるいは吊車の交換などのメンテナンスを容易にできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の可動間仕切によれば、天井に複数の直線状のレール体をL字形配置、T字形配置を単独であるいは組み合わせて配置することにより、全体として一体レールとされたガイドレールを設置する構成とされているので、従来より部品点数が少なく、簡単に設置することのできる安価なものを得ることができるし、ガイドレールが全体として一体レールとされているので、ガイドレールを設置するための設置スペースが従来より少なくてすむし、部屋の仕切を行わない開放状態で複数の引戸の集合箇所を部屋の1箇所にすることができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る可動間仕切の第1実施形態の間仕切状態における全体構成の要部を示す模式的平面図
【図2】図1の太矢印A方向から見て示す模式的側面図
【図3】図3は図1の太矢印B方向から見て示す模式的側面図
【図4】図1のガイドレールに対する引戸の吊り下げ状態を示す拡大断面図
【図5】図2の縦フレームの拡大平面図
【図6】図5の縦フレームに雄部材を取り付けた状態を示す拡大平面図
【図7】図5の縦フレームに雌部材を取り付けた状態を示す拡大平面図
【図8】図5の縦フレームに栓部材を取り付けた状態を示す拡大平面図
【図9】図5の縦フレームに取り付ける雄部材および雌部材ならびに栓部材の配置を説明する説明図
【図10】図1の隣接する2枚の引戸を連接した際における隣接部の縦フレームの雄部材の凸状先端部と雌部材の凹状先端部とを嵌合させた状態を示す拡大平面図
【図11】図5の縦フレームにフランス落としを取り付けた一例を示す拡大平面図
【図12】図1のガイドレールのL字形連結部を引戸が移動する際の引戸の移動軌跡を説明する説明図
【図13】本発明に係る可動間仕切の第2実施形態の間仕切状態における全体構成の要部を示す模式的平面図
【図14】図13の可動間仕切の開放状態を示す模式的平面図
【図15】図13の第1引戸の移動軌跡を説明する説明図
【図16】図13の第2引戸の移動軌跡を説明する説明図
【図17】本発明に係る可動間仕切の第3実施形態の開放状態における全体構成の要部を示す模式的平面図
【図18】図17の可動間仕切の間仕切状態の一例を示す図17と同様の図
【図19】図17の可動間仕切の間仕切状態の他例を示す図17と同様の図
【図20】本発明に係る可動間仕切の第4実施形態の開放状態における全体構成の要部を示す模式的平面図
【図21】図20の可動間仕切の間仕切状態の一例を示す図20と同様の図
【図22】図20の可動間仕切の部分的間仕切状態の一例を示す図20と同様の図
【図23】本発明に係る可動間仕切の第5実施形態の開放状態における全体構成の要部を示す模式的平面図
【図24】図23の可動間仕切の間仕切状態の一例を示す図23と同様の図
【図25】図23の可動間仕切の間仕切状態の他例を示す図23と同様の図
【図26】図23の可動間仕切の間仕切状態のさらに他例を示す図23と同様の図
【図27】従来の可動間仕切の一例を示すものであり、(a)は開放状態、(b)は間仕切状態
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1から図11は本発明に係る可動間仕切の第1実施形態を示すものであり、図1は間仕切状態における全体構成の要部を示す模式的平面図、図2は図1の太矢印A方向から見て示す模式的側面図、図3は図1の太矢印B方向から見て示す模式的側面図、図4はガイドレールに対する引戸の吊り下げ状態を示す一部切断拡大側面図、図5は縦フレームの拡大平面図、図6は縦フレームに雄部材を取り付けた状態を示す拡大平面図、図7は縦フレームに雌部材を取り付けた状態を示す拡大平面図、図8は縦フレームに栓部材を取り付けた状態を示す拡大平面図、図9は縦フレームに取り付ける雄部材および雌部材ならびに栓部材の配置を説明する説明図、図10は隣接する2枚の引戸を連接した際における隣接部の縦フレームの雄部材の凸状先端部と雌部材の凹状先端部とを嵌合させた状態を示す拡大平面図、図11は縦フレームにフランス落としを取り付けた一例を示す拡大平面図である。
【0024】
本実施形態の可動間仕切1は、部屋の仕切を行わない開放状態(フルオープン状態)において複数の引戸4を戸袋5に収納するものを例示している。また、本実施形態の可動間仕切1は、ガイドレール2の形状を全体として平面L字形の一体レールとしたものである。
【0025】
すなわち、図1から図3に示すように、本実施形態の可動間仕切1は、部屋を仕切るために、天井Rに設置されるガイドレール2と、このガイドレール2に吊車3を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な複数、本実施形態においては5枚の引戸4と、部屋の仕切を行わない開放状態において5枚の引戸4を収納する戸袋5と有している。
【0026】
本実施形態のガイドレール2は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により形成されており、間仕切りに用いる複数のレール体としての2本のレール体である第1レール11および第2レール12と、引戸4を戸袋5に収納するために用いられる支線レール13とを有している。
【0027】
前記第1レール11は直線状に形成されており、図1の左右方向に配置されている。この第1レール11には、吊車3が移動可能な移動路としての第1移動路11aが設けられている。また、第2レール12は、直線状に形成されており、図1の上下方向に配置されている。この第2レール12には、第1レール11と同様に、吊車3が移動可能な移動路としての第2移動路12aが設けられている。そして、第1レール11と第2レール12とは、天井Rに設置された状態で直角に配置されている。そして、第1レール11と第2レール12との屈曲部であるL字形連結部2aでは、第1レール11の第1移動路11aと第2レール12の第2移動路12aとが直角に接続されており、全体として平面L字形の一体レールとされている。
【0028】
前記L字形連結部2aとしては、第1レール11と第2レール12とを直角に直接接続したり、個別に一体形成した直角レール(L型継)を間において間接接続したりすることができる。
【0029】
図2に示すように、前記ガイドレール2のうちの戸袋5からもっとも離れた端部、本実施形態における第2レール12の自由端部分は、天井Rに設置された状態で個別に着脱可能に分割(直線継)されており、この分割部12bを天井Rから取り外すことにより、ガイドレール2から吊車3とともにすべての引戸4を順に取り外すことができるように形成されている。
【0030】
前記支線レール13は、引戸4を戸袋5に収納するためのものであり、第1レール11の図1の左方に示す他端から直線状に延出するように、戸袋5の開口に沿って配置された直線状の引込レール13Aと、この引込レール13Aから戸袋5の内部に向かって直角に分岐された直線状の1対の分岐レール13Bとを有している。そして、支線レール13には、引戸4を戸袋5に収納するための吊車3が移動可能な移動路としての支線移動路13aが設けられている。この支線移動路13aは、引込レール13Aに設けられた引込移動路13Aaおよび1対の分岐レール13Bのそれぞれに設けられた分岐移動路13Baを備えている。そして、図1の右側に示すガイドレール2に近い分岐移動路13Baは、引込移動路13AaとT字状に接続されており、図1の左側に示すガイドレール2から離れた分岐移動路13Baは、引込移動路13Aaと直角に接続されている。また、支線移動路13a、詳しくは引込移動路13Aaは第1移動路11aと直線状に接続されている。また、支線移動路13a、詳しくは引込移動路13Aaは第1移動路11aと接続されている。
【0031】
前記、引込レール13Aおよび1対の分岐レール13Bの断面形状は、すべて同一に形成されている。
【0032】
本実施形態の引戸4は、部屋を仕切った間仕切状態(フルクローズ状態)において戸袋5側から順に配置されている第1引戸21、第2引戸22、第3引戸23、第4引戸24および第5引戸25の総計5枚の引戸4(符号4は、第1引戸21、第2引戸22、第3引戸23、第4引戸24および第5引戸25を総称する。)を有している。そして、引戸4は、部屋を仕切った間仕切状態において、第1レール11には第1引戸21、第2引戸22および第3引戸23の総計3枚の引戸4が配置されており、第2レール12には第4引戸24および第5引戸25の総計2枚の引戸4が配列されている。また、これら総計5枚の引戸4は、ガイドレール2に沿って直列に配置されている。すなわち、間仕切状態において2本のレール体である第1レール11および第2レール12のそれぞれに複数の引戸4が直列に配置されている。よって、間仕切り状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本には、複数の引戸4が直列に配置されていることになる。なお、図1における符号PAは壁面である。
【0033】
図4に示すように、本実施形態のガイドレール2は、ガイドレール2の下端面が天井R面からごく僅か突出するように、天井Rに凹設されたレール溝RAに取り付けられて設置されており、部屋の仕切を行わない開放状態における外観上の違和感を少なくできるようになっている。なお、レール溝RAは、建物の仕様や設計コンセプトなどの必要に応じて設ければよく、天井Rにガイドレール2を直接設置する場合もある。
【0034】
前記ガイドレール2は、厚さ方向を上下方向に向けて天井R側に配置される平板状の天板部31と、この天板部31の長手方向に対して直交する幅方向の両端縁のそれぞれから下方に向かって直角に延出された相互に平行な平板状の1対の側板部32と、これら1対の側板部32の下端縁のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに後述する吊車3の一部を構成する支持軸42が挿通される間隔をおいて先端が対峙する平板状の1対のリブ部33と、1対の側板部32の内面のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに支持軸42が挿通される間隔をおいて先端が対峙する1対のリブ部33と平行に延在する平板状の1対のガイド板部34とを有している。なお、各部の厚さ寸法は、例えば、2.5mmとされている。
【0035】
図4に示すように、吊車3は、引戸4の上端部、詳しくは後述する上フレーム53に取り付けられる取付部41と、この取付部41の上面にその軸方向を上下方向に向けて立設された支持軸42と、この支持軸42の先端部に回転自在に取り付けられた第1戸車43と、この第1戸車43から取付部41側に所定の間隔をおいて回転自在に取り付けられた第2戸車44と有している。なお、第1戸車43と第2戸車44の相互間の間隔は、1対のガイド板部34を挟むように嵌合できる大きさ、例えば2.5mmより若干大きく形成されている。これにより、第1戸車43と第2戸車44との相互間に1対のガイド板部34を挟み込むことができるようになっており、吊車3が移動する際には、第1戸車43と第2戸車44との相互間に1対のガイド板部34を挟み込んだ状態で、第1戸車43および第2戸車44の両者が回転するようになっている。
【0036】
図2および図3に示すように、本実施形態の可動間仕切1は、1つの引戸4に対して2つの吊車3が取り付けられており、これら2つの吊車3は、引戸4の上面の引戸4の移動方向に沿った長手方向の両側に寄せて配置されている。そして、引戸4の移動方向に沿った幅寸法をWmmとし、2つの吊車3の中心間距離をXmmとし、引戸4の幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車3の中心までの距離をammとしたときに、幅寸法は、600≦W≦1000を満足するように形成され、中心間距離は、490≦X≦650を満足するように形成され、距離は、a≦105を満足するように形成されている。
【0037】
本実施形態においては、間仕切状態において戸袋5から最も離れた位置に配置される第5引戸25は、W=847mm、X=510mm、a=105mm(両方とも同じ)に形成されており、残りの第1引戸21、第2引戸22、第3引戸23および第4引戸24は、ともに、W=665mm、X=391mm、a=137mm(両方とも同じ)に形成されているしたがって、本実施形態のガイドレール2の分割部12bの長さ寸法は、第5引戸25のa寸法より大きく形成されている。なお、すべての引戸4(第1引戸21、第2引戸22、第3引戸23、第4引戸24および第5引戸25)の幅寸法を同じとしてもよい。この場合、分割部12bの長さ寸法を引戸4のa寸法より大きく形成することが肝要である。
【0038】
図2および図3に示すように、本実施形態の引戸4は、縦長平板状のパネル本体51と、このパネル本体51の四辺を囲うように取り付けられるアルミニウム合金の成型材により形成されたパネルフレーム52とを有している。また、パネルフレーム52は、パネル本体51の上面に取り付けられる上フレーム53と、パネル本体51の下面に取り付けられる下フレーム54と、パネル本体51の左右の側面に取り付けられる横断面形状が左右対称に形成された左右1対の縦フレーム55とを有している。なお、本実施形態の縦フレーム55は、上フレーム53および下フレーム54のそれぞれの右端を接続するように、パネル本体51の側面に取り付けられている。なお、パネルフレーム52としては、アルミニウム合金の成型品に限定されるものでなく、ステンレスなどの鉄系材の成型品、木材を加工したもの、FRPなどのプラスチックの成型品などを用いてもよい。また、各種成型品の表面の必要部分に木材の薄膜を接合させるなどのハイブリッド構成としてもよい。
【0039】
図5に示すように、縦フレーム55は、パネル本体51に取り付けられる取付部61、およびこの取付部61のパネル本体51への取り付け側と反対の外側面の中央部に設けられた長手方向に沿って延在する凹溝62を有している。
【0040】
前記凹溝62には、図6に示す外部に露出する凸状先端部65aを具備する雄部材65の基端部65b、図7に示す凸状先端部65aがあるいは凸状先端部65aに嵌合可能な凹溝62の内部に配置される凹状先端部66aを具備する雌部材66の基端部66b、図8に示す凹溝62の開口を閉塞する凹溝62の内部に配置される栓部材67の基端部67bのいずれかが取り付け可能とされている。なお、雄部材65は、例えばアルミニウム合金により形成されており、雌部材66は、例えばウレタン樹脂などの樹脂(プラスチック)により形成されており、栓部材67は、シリコーンゴム、シリコーンスポンジゴム、ウレタンゴム、フェルトなどの緩衝材により形成されている。また、本実施形態における凹溝62に対する各基端部65b、66b、67bの取り付けは、凹溝62の側壁に形成された1対の嵌合凹部63に対して、各基端部65a、66a、67aに設けられた1対の嵌合凸部64を嵌め込むことにより行われるようになっている。さらに、凹溝62に対する雄部材65、雌部材66および栓部材67の取り付けは、縦フレーム55の長手走行の一端側から行われることになる。ここで、本実施形態における雄部材65、雌部材66および栓部材67の配置例を図9に示す。なお図9において、符号Mは雄部材65、符号Fは雌部材66、符号Sは栓部材67を示している。
【0041】
このように、本実施形態の引戸4は、縦フレーム55の凹溝62に、雄部材65、雌部材66および栓部材67のいずれかを取り付けるという簡便な方法で、雄部材65、雌部材66および栓部材67のいずれかを取り付けた縦フレーム55を容易に得ることができる。その結果、一側面に雄部材65および他側面に雌部材66を具備する引戸4、一側面に雌部材66および他側面に栓部材67を具備する引戸4、一側面に雄部材65および他側面に栓部材67を具備する引戸4との少なくとも3パターンの引戸4を容易に得ることができる。そして、隣接する2枚の引戸4の相互間が対向するように配置された雄部材65の凸状先端部65aと雌部材66の凹状先端部66aとを嵌合させることにより連接されている。この雄部材65の凸状先端部65aと雌部材66の凹状先端部66aとを嵌合させることにより、嵌合に保持力を持たせることができる。その結果、引戸4同士の一体感が向上し、引戸の揺れなどを軽減することができる。この雄部材65の凸状先端部65aと雌部材66の凹状先端部66aとを嵌合させた状態を図10に示す。なお、凸状先端部65aを凹状先端部66aに、あるいは凸状先端部65aに凹状先端部66aを嵌合させるには、一方の引戸4を他方に、あるいは一方の引戸4に他方の引戸4押し付ける操作を行うことにより容易にできるように形成されている。
【0042】
なお、縦フレーム55の下端部には、必要に応じて従来公知のフランス落とし68を設けることができる。このフランス落とし68を設けた縦フレーム55の一例を図11に示す。
【0043】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0044】
図12は、ガイドレールのL字形連結部を引戸が移動する際の引戸の移動軌跡を説明する説明図である。
【0045】
本実施形態の可動間仕切1を、図1の実線にて示す部屋を仕切った間仕切状態から図1の2点鎖線にて示す部屋の仕切を行わない開放状態、すなわち、すべての引戸4を戸袋5に収納するには、戸袋5に隣位する第1引戸21を第1レール11および支線レール13に沿って戸袋5に突き当たるまで移動操作する。このとき、第1引戸21と第2引戸22を連接している凸状先端部65aと凹状先端部66aとは分離する。そして、第1引戸21が戸袋5に突き当たった時点で、第1引戸21を分岐レール13Bに沿って戸袋5の奥に突き当たるまで押す操作をする。これにより、第1引戸21を戸袋5に収納する。
【0046】
ついで、第2引戸22および第3引戸23をこの順に第1引戸21と同様に操作することで第2引戸22および第3引戸23を戸袋5に収納する。
【0047】
ついで、第4引戸24を、第2レール12、第1レール11および支線レール13に沿って戸袋5に突き当たるまで移動操作する。このとき、第4引戸24が第1レール11と第2レール12とのL字形連結部2aを通過する際には、第1レール11と第2レール12とにまたがった状態で移動する。このガイドレール2のL字形連結部2aを引戸4が移動する際の引戸4の移動軌跡を図12に示す。そして、第4引戸24が戸袋5に突き当たった時点で、第4引戸24を分岐レール13Bに沿って戸袋5の奥に突き当たるまで押す操作をする。これにより、第4引戸24を戸袋5に収納する。
【0048】
ついで、第5引戸25を第4引戸24と同様に操作する。但し、第5引戸25は戸袋5に突き当たった時点で操作を終了する。これにより、第5引戸25を支線レール13に吊り下げた状態で戸袋5の開口を塞ぐように収納することにより、可動間仕切1を間仕切状態から開放状態にすることができる。なお、可動間仕切1を開放状態から間仕切状態にするには逆操作をする。また、可動間仕切1の開閉操作、詳しくは、間仕切状態から開放状態への操作を行う場合、床に設けた挿入穴からフランス落とし68を上方に離脱させた状態で行うことになる。
【0049】
このように、本実施形態の可動間仕切1によれば、天井Rに第1レール11と第2レール12とを直角に配置することにより全体としてL字形の一体レールとされたガイドレール2を設置することにより、従来より部品点数が少なく、簡単に設置することのできる安価なものを得ることができるし、ガイドレール2が全体としてL字形の一体レールとされているので、ガイドレール2を設置するための設置スペースが従来の引戸103の数と同じ数のガイドレール101が隣接して並設された構成より少なくてすむし、部屋の仕切を行わない開放状態で5枚の引戸4を戸袋5に収納、すなわち、5枚の引戸4の集合箇所を部屋の1箇所にすることができる。また、ガイドレール2が全体として平面L字形の一体レールとされているので、すべての引戸4をガイドレール2に配置することにより、間仕切状態を容易に得ることができるとともに、間仕切状態においては、部屋の隅を予め設定された全体として平面矩形状の1つの空間SAに仕切ることができる。
【0050】
なお、本実施形態の可動間仕切1によれば、部屋を仕切る場合、すべての引戸4をガイドレール2に配置せずに、ガイドレール2に引戸4を部分的に配置することにより、一部の引戸4を用いて部屋を部分的に仕切った部分的間仕切状態(セミクローズ状態)とすることもできる。
【0051】
さらに、本実施形態の可動間仕切1によれば、1つの引戸4に対して2つの吊車3が取り付けられており、これら2つの吊車3は、引戸4の上面の引戸4の移動方向に沿った両側に寄せて配置されているから、2つの吊車3がガイドレール2のL字形連結部2aを円滑に通過できるので、引戸4の可動性および開閉操作性を向上できる。
【0052】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、引戸4の幅寸法が600≦W≦1000を満足するように形成され、2つの吊車3の中心間距離が490≦X≦650を満足するように形成され、引戸4の移動方向に沿った端面とこの端面に隣位する吊車3の中心までの距離がa≦105を満足するように形成されているから、2つの吊車3がガイドレール2のL字形連結部2aをより円滑に通過できるので、引戸4の可動性および開閉操作性をより向上できる。
【0053】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、吊車3の第1戸車43と第2戸車44との相互間に1対のガイド板部34を挟み込むように形成されているから、吊車3は、第1戸車43および第2戸車44が1対のガイド板部34を挟むように嵌合された状態で支持軸42を中心として回転しながら1対のガイド板部34に沿って移動するので、引戸4はガイドレール2に沿って円滑に移動できるとともに、吊車3、ひいては引戸4が走行方向に対して直交する方向に傾くのを防止できる。
【0054】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、アルミニウム合金の成型材により形成された1対の縦フレーム55は、パネル本体51の左右の側面に取り取り付けることができるから、1つの成型金型で形成することができるので、金型コストを低減できる。
【0055】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、アルミニウム合金の成型材により形成された1対の縦フレーム55の凹溝62は、雄部材65、雌部材66および栓部材67のいずれかを取り付けることができるので、凹溝62に雄部材65、雌部材66および栓部材67のいずれかを取り付けるという簡便な方法で、3パターンの縦フレーム55を容易に得ることができる。その結果、一側面に雄部材65および他側面に雌部材66を具備する引戸4、一側面に雌部材66および他側面に栓部材67を具備する引戸4、一側面に雄部材65および他側面に栓部材67を具備する引戸4との少なくとも3パターンの引戸4を容易に得ることができる。
【0056】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、間仕切状態で直列に配置された5枚の引戸4のうち隣接する2枚の引戸4の隣接する一方の縦フレーム55の凹溝62には雄部材65の基端部が取り付けられ、他方の縦フレーム55の凹溝62には雌部材66の基端部が取り付けられており、雄部材65の凸状先端部65aと雌部材66の凹状先端部66aとを嵌合させることにより隣接する2枚の引戸4が連接されており、最端に位置する縦フレーム55の凹溝62には前記栓部材67の基端部が取り付けられているから、雄部材65の凸状先端部65aと雌部材66の凹状先端部66aとを嵌合させることで隣接する2枚の引戸4の間から光が漏れるのを軽減できるし、間仕切状態での外観品質を向上できるし、デザイン性の向上を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態の可動間仕切1によれば、ガイドレール2は、その分割部12bのみを天井Rから取り外すという簡単な作業により、戸袋5に収納されている引戸4をガイドレール2から取り外すことができる。その結果、引戸4あるいは吊車3の交換などのメンテナンスを容易にできる。
【0058】
(第2実施形態)
図13および図14は本発明に係る可動間仕切の第2実施形態を示すものであり、図13は間仕切状態における全体構成の要部を示す模式的平面図、図14は開放状態における全体構成の要部を示す模式的平面図である。
【0059】
本実施形態の可動間仕切71は、4枚の引戸4を戸袋5の代わりに部屋の2つの壁面KA、KBのうちの1箇所である一方の壁面KA側に重なるように集積させる構成のものである。
【0060】
すなわち、図13および図14に示すように、本実施形態の可動間仕切71は、間仕切りに用いる複数のレール体としての2本のレール体である相互に直角に配置された第1レール72および第2レール73を具備するガイドレール74と、ガイドレール74に2つの吊車(図2−図4の符号3参照)を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な複数、本実施形態においては部屋を仕切った間仕切状態において集合箇所側から順に配置されている第1引戸81、第2引戸82、第3引戸83および第4引戸84の総計4枚の引戸85(符号85は、第1引戸81、第2引戸82、第3引戸83および第4引戸84を総称する。)を有している。そして、引戸85は、部屋を仕切った間仕切状態において、第1レール72には第1引戸81、第2引戸82の総計2枚の引戸85が配置されており、第2レール83には第3引戸83および第4引戸84の総計2枚の引戸85が配列されている。また、これら総計4枚の引戸85は、ガイドレール74に沿って直列に配置されている。すなわち、間仕切状態において2本のレール体である第1レール72および第2レール73のそれぞれに複数の引戸84が直列に配置されている。よって、複数のレール体のうちの少なくとも1本には、複数の引戸84が直列に配置されていることになる。
【0061】
本実施形態のガイドレール74は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により形成されており、間仕切りに用いる複数のレール体としての2本のレール体である第1レール72および第2レール73と、引戸4を集合させるための平面ほぼコ字形に形成された支線レール91とを有している。この支線レール91は、第1レール72の図1の左方に示す他端近傍から直角に分岐された直線状の引込レール92と、この引込レール92の両端から第1レール72と平行に延在する直線状の1対の集合レール93とを有している。そして、第1レール72と第2レール73との屈曲部であるL字形連結部74aでは、第1レール72の吊車3が移動可能な移動路としての第1移動路72aと第2レール73の吊車3が移動可能な移動路としての第2移動路73aとが直角に接続されており、全体として平面L字形の一体レールとされている。また、支線レール91には、引戸4を壁面KAに重なるように集合させるための吊車3が移動可能な支線移動路91aが設けられている。この支線移動路91aは、引込レール92に設けられた引込移動路92aおよび集合レール93のそれぞれに設けられた集合移動路93aを備えている。そして、図13の上側に示すガイドレール74に近い集合移動路93aは、引込移動路92aと直角に接続されているとともに、第1移動路72aと直線状に接続されている。すなわち、図13の上側に示すガイドレール74に近い集合移動路93aと引込移動路92aと第1移動路72aとは、T字状に接続されている。また、図13の下側に示すガイドレール74から離れた集合移動路93aは、引込移動路92aと直角に接続されている。さらに、支線移動路91、詳しくは引込移動路92aは第1移動路72aと直角に接続されている。さらに、第2レール73の自由端部分は、天井に設置された状態で個別に着脱可能に分割(直線継)されており、この分割部73bを天井から取り外すことにより、ガイドレール74から吊車3とともにすべての引戸85を順に取り外すことができるように形成されている。
【0062】
前記第1レール72の中心と集合レール93の中心とを結ぶ距離は、2つの吊車3の中心間距離Xと同じにされている。さらに、集合レール93の長さ寸法は、4枚の引戸4を重ねたときの厚さ寸法より若干大きく形成されている。また、4枚の引戸4は、図14に示すように、開放状態における壁面側の第1引戸81の下方の距離ammが最も長く、第4引戸84の距離aが最も短くなるように、引戸4の厚さ分だけ段階的に短くされている。
【0063】
その他の構成は、前述した第1実施形態の可動間仕切1と同様されているので、その詳しい説明については省略する。
【0064】
このような構成からなる本実施形態の可動間仕切71によれば、引戸85を開閉操作することで、図13に示す間仕切状態と、図14に示す開放状態とを容易に得ることができる。
【0065】
なお、ガイドレール74と支線レール91との間を第1引戸81が移動する際の第1引戸81の移動軌跡を図15に示す。また、ガイドレール74と支線レール91との間を第2引戸82が移動する際の第2引戸82の移動軌跡を図16に示す。
【0066】
このように、本実施形態の可動間仕切71によれば、前述した第1実施形態の可動間仕切1と同様の効果を奏するとともに、図14に示すように、4枚の引戸85を1箇所の壁面KAに重ねるように集合させることができる。
【0067】
また、本実施形態の可動間仕切71によれば、すべての引戸85をガイドレール74に配置することにより、間仕切状態を容易に得ることができるとともに、間仕切状態においては、部屋の隅を予め設定された全体として平面矩形状の1つの空間SBに仕切ることができる。
【0068】
さらに、本実施形態の可動間仕切71によれば、部屋を仕切る場合、すべての引戸85をガイドレール74に配置せずに、ガイドレール74に引戸85を部分的に配置することにより、一部の引戸85を用いて部屋を部分的に仕切った部分的間仕切状態(セミクローズ状態)とすることもできる。
【0069】
(第3実施形態)
図17から図19は本発明に係る可動間仕切の第3実施形態を示すものである。
【0070】
本実施形態の可動間仕切101は、全体として平面F字形の一体レールとしたガイドレール102を用いたものである。また、本実施形態の可動間仕切101は、複数の引戸103を戸袋104に収納するようにしたものである。さらに、本実施形態の可動間仕切101は、間仕切状態において平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を全体として平面矩形状に仕切るものである。
【0071】
すなわち、図17から図19に示すように、本実施形態の可動間仕切101は、部屋を仕切るために、天井(図4の符号R参照)に設置されるガイドレール102と、このガイドレール102に2つの吊車(図2−図4の符号3参照)を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な6枚の引戸103と、部屋の仕切を行わない開放状態において6枚の引戸103を収納する戸袋104と有している。
【0072】
なお、本実施形態における6枚の引戸103は、その幅寸法W(図1−図3の符号W参照)が同一に形成されており、後述する分割部112b、113bの長さ寸法は、ガイドレール102の自由端側に位置する引戸103の幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの距離(図2の符号a参照)より大きく形成されている。
【0073】
本実施形態のガイドレール102は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により形成されており、間仕切りに用いる複数のレール体としての3本のレール体である第1レール111、第2レール112および第3レール113と、6枚の引戸103を戸袋104に収納するために用いられる支線レール114とを有している。
【0074】
前記第1レール111は直線状に形成されており、図17の左右方向に配置されている。この第1レール111には、吊車が移動可能な移動路としての第1移動路111aが設けられている。また、第2レール112は、直線状に形成されており、図17の右側において上下方向に配置されている。この第2レール112には、第1レール111と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第2移動路112aが設けられている。さらに、第3レール113は、直線状に形成されており、図17の左右方向のほぼ中央部において上下方向(第1レール111に対して平面直交する方向)に配置されているとともに、第2レール112と平行に配置されている。この第3レール113には、第1レール111および第2レール112と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第3移動路113aが設けられている。なお、第2レール112および第3レール113の長さは同一とされている。
【0075】
前記第1レール111と第2レール112とは、天井に設置された状態で直角に配置されている。そして、第1レール111と第2レール112との屈曲部であるL字形連結部102aでは、第1レール111の第1移動路111aと第2レール112の第2移動路112aとが直角に接続されている。なお、L字形連結部102aとしては、第1レール111と第2レール112とを直角に直接接続したり、個別に一体形成した直角レール(L型継)を間において間接接続したりすることができる。
【0076】
前記第1レール111と第3レール113とは、天井に設置された状態で第1レール111の戸袋104側からほぼ1枚の引戸103の幅寸法Wとほぼ同一長さ位置においてT字状に交差するように配置されている。そして、第1レール111と第3レール113とのT字形連結部102bでは、第1レール111の第1移動路111aと、第3レール113の第3移動路113aとがT字状に接続されている。なお、T字形連結部102bとしては、第1レール111と第2レール112とをT字状に直接接続したり、第1レール111をその長手方向に沿って2分割して、この分割部分の間に、個別に一体形成した平面T字状のT字状レール(T型継)を配置してT字状に間接接続したりすることができる。
【0077】
前記ガイドレール102のうちの戸袋104から離れた端部、本実施形態における第2レール112および第3レール113のそれぞれの自由端部分は、天井に設置された状態で個別に着脱可能に分割(直線継)されており、これらの分割部112b、113bの少なくとも一方(例えば戸袋104に近い分割部113b)を天井から取り外すことにより、戸袋104に収納されている引戸103をガイドレール102から取り外すことができるように形成されている。
【0078】
前記支線レール114は、引戸103を戸袋104に収納するためのものであり、第1レール111の図17の左方に示す端部から直線状に延出するように、戸袋104の開口に沿って配置された直線状の引込レール114Aと、この引込レール114Aから戸袋104の内部に向かって直角に分岐された直線状の1対の分岐レール114Bとを有している。そして、支線レール114には、引戸103を戸袋104に収納するための吊車が移動可能な移動路としての支線移動路114aが設けられている。この支線移動路114aは、引込レール114Aに設けられた引込移動路114Aaおよび1対の分岐レール114Bのそれぞれに設けられた分岐移動路114Baを備えている。そして、図17の右側に示すガイドレール102に近い分岐移動路114Baは、引込移動路114AaとT字状に接続されており、図17の左側に示すガイドレール102から離れた分岐移動路114Baは、引込移動路114Aaと直角に接続されている。また、支線移動路114a、詳しくは引込移動路114Aaは第1移動路111aと直線状に接続されている。
【0079】
前記第1レール111、第2レール112、第3レール113、支線レール114(引込レール114Aおよび1対の分岐レール114B)の断面形状は、すべて同一に形成されている。
【0080】
なお、本実施形態の可動間仕切101においては、開放状態においてすべての引戸103を戸袋104に収納する構成としたが、前述した第2実施形態の可動間仕切71と同様に、すべての引戸103を戸袋104の代わりに部屋の1箇所の壁面KAに重ねるように集合、すなわち集積させる構成としてもよい。
【0081】
その他の構成は、前述した第1実施形態の可動間仕切1と同様されているので、その詳しい説明については省略する。
【0082】
このような構成からなる本実施形態の可動間仕切101によれば、前述した第1実施形態の可動間仕切1における天井に設置された状態で平面L字形の一体レールとされたガイドレール2を容易に得ることができるという効果を除いて、同様の効果を奏することができる。
【0083】
また、本実施形態の可動間仕切101によれば、天井に設置された状態で平面F字形のガイドレール102を容易に得ることができる。
【0084】
さらに、本実施形態の可動間仕切101によれば、ガイドレール102が平面F字形の一体レールとされているので、6枚の引戸103のすべてを戸袋104から引き出して、第1レール111および第2レール112のそれぞれに3枚の引戸103を直列に配置する操作を行うことにより、平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を、図18において斜線領域にて示すように、第1レール111および第2レール112に配置された総計6枚の引戸103で全体として平面矩形状の1つの空間SCに仕切ることができる。
【0085】
すなわち、本実施形態の可動間仕切101の間仕切状態においては、複数のレール体としての3本のレール体である第1レール111、第2レール112および第3レール113のうちの第1レール111および第2レール112のそれぞれに3枚の引戸103を直列配置することにより、空間SCの間仕切りを行うことができる。よって、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第1レール111および第2レール112)には、複数の引戸103が直列に配置されている構成となる。
【0086】
また、本実施形態の可動間仕切101によれば、ガイドレール102が平面F字形の一体レールとされているので、引戸103の配置により、間仕切りに供する部屋の隅を種々に仕切ることができる。
【0087】
例えば、図19に示すように、4枚の引戸103を戸袋104から引き出して、第3レール113に3枚の引戸103を直列に配置するとともに、第1レール111の戸袋104と第3レール113との間に位置する部分に1枚の引戸103を配置する操作を行うことにより、平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を、空間SCより小さい図19の斜線領域にて示す小空間SCaに仕切ることができる。
【0088】
すなわち、本実施形態の可動間仕切101によれば、図19に示す間仕切状態において、複数のレール体としての3本のレール体である第1レール111、第2レール112および第3レール113のうちの第1レール111に1枚の引戸103を配置するとともに、第3レール113に3枚の引戸103を直列配置することにより、小空間SCaによる間仕切りを行うことができる。よって、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第3レール113)には、複数の引戸103が直列に配置されている構成となる。
【0089】
また、本実施形態の可動間仕切101によれば、第1−第3レール111、112、113のそれぞれに引戸103を部分的に配置することにより、部屋を部分的に仕切った(部分的に開放した)部分的間仕切状態(セミクローズ状態)を得ることができる。
【0090】
なお、本実施形態の可動間仕切101における各種の間仕状態は、家族の人数の増減、子供の成長、来客の有無および人数などにより、使用者が選択することができる。
【0091】
このように、本実施形態の可動間仕切101によれば、引戸103の配置により、間仕切りに供する部屋の隅を種々に仕切ることができるので、使用者による使い勝手を向上できる。
【0092】
(第4実施形態)
図20から図22は本発明に係る可動間仕切の第4実施形態を示すものである。
【0093】
本実施形態の可動間仕切121は、全体として平面T字形の一体レールとしたガイドレール122を用いたものである。また、本実施形態の可動間仕切121は、複数の引戸123を戸袋124に収納するようにしたものである。さらに、本実施形態の可動間仕切121は、間仕切り状態において平面コ字状に配置された3つの壁面KA、KB、KCを有する部屋の一辺を全体として平面矩形状に仕切るものである。
【0094】
すなわち、図20から図22に示すように、本実施形態の可動間仕切121は、部屋を仕切るために、天井(図4の符号R参照)に設置されるガイドレール122と、このガイドレール122に吊車(図2−図4の符号3参照)を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な4枚の引戸123と、部屋の仕切を行わない開放状態において4枚の引戸123を収納する戸袋124と有している。
【0095】
なお、本実施形態における4枚の引戸123は、その幅寸法W(図1−図3の符号W参照)が同一に形成されており、後述する分割部131b、132bの長さ寸法は、ガイドレール122の自由端側に位置する引戸123の幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの距離(図2の符号a参照)より大きく形成されている。
【0096】
本実施形態のガイドレール122は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により形成されており、間仕切りに用いる複数のレール体としての2本のレール体である第1レール131および第2レール132と、4枚の引戸123を戸袋124に収納するために用いられる支線レール133とを有している。
【0097】
前記第1レール131は直線状に形成されており、図20の左右方向に配置されている。この第1レール131には、吊車が移動可能な移動路としての第1移動路131aが設けられている。また、第2レール132は、直線状に形成されており、図20の上下方向(第1レール131に対して平面直交する方向)に配置されている。この第2レール132には、第1レール131と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第2移動路132aが設けられている。
【0098】
前記第1レール131と第2レール132とは、天井に設置された状態で第1レール131の長さ方向のほぼ中央部分においてT字状に交差するように配置されている。そして、第1レール131と第2レール132とのT字形連結部122aでは、第1レール131の第1移動路131aと、第2レール132の第2移動路132aとがT字状に接続されている。なお、T字形連結部122aとしては、第1レール131と第2レール132とをT字状に直接接続したり、第1レール131をその長手方向に沿って2分割して、この分割部分の間に個別に一体形成した平面T字状のT字状レール(T型継)を配置してT字状に間接接続したりすることができる。
【0099】
前記ガイドレール122のうちの戸袋124から離れた端部、本実施形態における第1レール131および第2レール132のそれぞれの自由端部分は、天井に設置された状態で個別に着脱可能に分割(直線継)されており、この分割部131b、132bの少なくとも一方(例えば戸袋124に近い分割部131b)を天井から取り外すことにより、戸袋124に収納されている引戸123をガイドレール122から取り外すことができるように形成されている。
【0100】
前記支線レール133は、引戸123を戸袋124に収納するためのものであり、第1レール131の図20の左方に示す端部から直線状に延出するように、戸袋124の開口に沿って配置された直線状の引込レール133Aと、この引込レール133Aから戸袋124の内部に向かって直角に分岐された直線状の1対の分岐レール133Bとを有している。そして、支線レール133には、引戸123を戸袋124に収納するための吊車が移動可能な移動路としての支線移動路133aが設けられている。この支線移動路133aは、引込レール133Aに設けられた引込移動路133Aaおよび1対の分岐レール133Bのそれぞれに設けられた分岐移動路133Baを備えている。そして、図20の右側に示すガイドレール122に近い分岐移動路133Baは、引込移動路133AaとT字状に接続されており、図20の左側に示すガイドレール122から離れた分岐移動路133Baは、引込移動路133Aaと直角に接続されている。また、支線移動路133a、詳しくは引込移動路133Aaは第1移動路131aと直線状に接続されている。
【0101】
前記第1レール131、第2レール132、支線レール133(引込レール133Aおよび1対の分岐レール133B)の断面形状は、すべて同一に形成されている。
【0102】
なお、本実施形態の可動間仕切121においては、開放状態においてすべての引戸123を戸袋124に収納する構成としたが、前述した第2実施形態の可動間仕切71と同様に、すべての引戸123を戸袋124の代わりに部屋の1箇所の壁面KAに重ねるように集合、すなわち集積させる構成としてもよい。
【0103】
また、本実施形態の可動間仕切121は、連結部122aおよび第2レール132を除く構成とすることにより、3つの壁面KA、KB、KCを有する部屋の一辺を全体として平面矩形状に仕切るための全体として平面I字形の一体レールとしたガイドレールを用いたものとなる。
【0104】
その他の構成は、前述した第1実施形態の可動間仕切1と同様されているので、その詳しい説明については省略する。
【0105】
このような構成からなる本実施形態の可動間仕切121によれば、前述した第1実施形態の可動間仕切1における天井に設置された状態で平面L字形の一体レールとされたガイドレール2を容易に得ることができるという効果を除いて、同様の効果を奏することができる。
【0106】
また、本実施形態の可動間仕切121によれば、天井に設置された状態で平面T字形のガイドレール122を容易に得ることができる。
【0107】
さらに、本実施形態の可動間仕切121によれば、ガイドレール122が平面T字形の一体レールとされているので、4枚の引戸123のすべてを戸袋124から引き出して、第1レール131に4枚の引戸123を直列に配置する操作を行うことにより、平面コ字状に配置された3つの壁面KA、KB、KCを有する部屋の一辺を、図21において斜線領域にて示すように、相互に対向する壁面KA、KCの間において第1レール131に配置された4枚の引戸123で全体として平面矩形状の1つの空間SDに仕切ることができる。
【0108】
すなわち、本実施形態の可動間仕切121の間仕切状態においては、複数のレール体としての2本のレール体である第1レール131および第2レール132のうちの第1レール131に4枚の引戸123を直列配置することにより、空間SDの間仕切りを行うことができる。よって、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第1レール131)には、複数の引戸123が直列に配置されている構成となる。
【0109】
さらにまた、本実施形態の可動間仕切121によれば、ガイドレール122が平面T字形の一体レールとされているので、引戸123の配置により、間仕切りに供する部屋の一辺を種々に仕切ることができる。
【0110】
例えば、図22に示すように、4枚の引戸123を戸袋124から引き出して、第2レール132に3枚の引戸123を直列に配置するとともに、第1レール131の連結部122aに1枚の引戸123の幅方向の中央部分を配置する操作を行うことにより、平面コ字状に配置された3つの壁面KA、KB、KCを有する部屋の一辺を、空間SDより小さい図22の斜線領域にて示す第1レール131の配置部分において部分的に開放した壁面KC側に位置する小空間SDaと、空間SDより小さくかつ小空間SDaより大きい図22の交差斜線領域にて示す第1レール131の配置部分において部分的に開放した壁面KA側に位置する小空間SDbとの2つに仕切ることができる。これにより、部屋を部分的に仕切った部分的間仕切状態とすることができる。また、第1および第2レール131、132のそれぞれに引戸103を部分的に配置したり、第2レール132にのみ3枚の引戸123を直列配置したりすることにより、部屋を部分的に仕切った部分的間仕切状態(セミクローズ状態)を得ることができる。
【0111】
なお、本実施形態の可動間仕切121における各種の間仕状態は、家族の人数の増減、子供の成長、来客の有無および人数などにより、使用者が選択することができる。
【0112】
このように、本実施形態の可動間仕切121によれば、引戸123の配置により、間仕切りに供する部屋の一辺を種々に仕切ることができるので、使用者による使い勝手を向上できる。
【0113】
(第5実施形態)
図23から図26は本発明に係る可動間仕切の第5実施形態を示すものである。
【0114】
本実施形態の可動間仕切141は、全体として平面E字形の一体レールとしたガイドレール142を用いたものである。また、本実施形態の可動間仕切141は、複数の引戸143を戸袋144に収納するようにしたものである。さらに、本実施形態の可動間仕切141は、間仕切り状態において平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を全体として平面矩形状に仕切るものである。ここでいう平面E字形とは、1本のレール体に対して3本のレール体が平面直交するように配置されているとともに、平面直交するように配置されている3本のレール体のうちの1本が1本のレール体の一端に接続され、残りの2本が1本のレール体の胴部に接続されている形状をいう。
【0115】
すなわち、図23から図26に示すように、本実施形態の可動間仕切141は、部屋を仕切るために、天井(図4の符号R参照)に設置されるガイドレール142と、このガイドレール142に吊車(図2−図4の符号3参照)を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な6枚の引戸143と、部屋の仕切を行わない開放状態において6枚の引戸143を収納する戸袋144と有している。
【0116】
なお、本実施形態における6枚の引戸143は、その幅寸法W(図1−図3の符号W参照)が同一に形成されており、後述する分割部152b、153b、154bの長さ寸法は、ガイドレール142の自由端側に位置する引戸143の幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの距離(図2の符号a参照)より大きく形成されている。
【0117】
本実施形態のガイドレール142は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により形成されており、間仕切りに用いる複数のレール体としての4本のレール体である第1レール151、第2レール152、第3レール153および第4レール154と、6枚の引戸143を戸袋144に収納するために用いられる支線レール155とを有している。
【0118】
前記第1レール151は直線状に形成されており、図23の左右方向に配置されている。この第1レール151には、吊車が移動可能な移動路としての第1移動路151aが設けられている。また、第2レール152は、直線状に形成されており、図23の右側において上下方向に配置されている。この第2レール152には、第1レール151と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第2移動路152aが設けられている。さらに、第3レール153は、直線状に形成されており、図23の左右方向の中央部より右側において上下方向(第1レール151に対して平面直交する方向)に配置されているとともに、第2レール152と平行に配置されている。この第3レール153には、第1レール151および第2レール152と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第3移動路153aが設けられている。さらにまた、第4レール154は、直線状に形成されており、図23の左右方向のほぼ中央部において上下方向(第1レール151に対して平面直交する方向)に配置されているとともに、第2レール152および第3レール153のそれぞれと平行に配置されている。この第4レール154には、第1レール151、第2レール152および第3レール153と同様に、吊車が移動可能な移動路としての第4移動路154aが設けられている。なお、第レール152、第3レール153および第4レール154の長さは同一とされている。
【0119】
前記第1レール151と第2レール152とは、天井に設置された状態で直角に配置されている。そして、第1レール151と第2レール152との屈曲部であるL字形連結部142aでは、第1レール151の第1移動路151aと第2レール152の第2移動路152aとが直角に接続されている。なお、L字形連結部142aとしては、第1レール151と第2レール152とを直角に直接接続したり、個別に一体形成した直角レール(L型継)を間において間接接続したりすることができる。
【0120】
前記第1レール151と第3レール153とは、天井に設置された状態で第1レール151の戸袋144側からほぼ2枚の引戸143の幅寸法Wとほぼ同一長さ位置においてT字状に交差するように配置されている。そして、第1レール151と第3レール153とのT字形連結部142bでは、第1レール151の第1移動路151aと、第3レール153の第3移動路153aとがT字状に接続されている。なお、T字形連結部142bとしては、第1レール151と第3レール153とをT字状に直接接続したり、第1レール151をその長手方向に沿って2分割して、この分割部分の間に、個別に一体形成した平面T字状のT字状レール(T型継)を配置してT字状に間接接続したりすることができる。
【0121】
前記第1レール151と第4レール154とは、天井に設置された状態で第1レール151の戸袋144側からほぼ1枚の引戸143の幅寸法Wとほぼ同一長さ位置においてT字状に交差するように配置されている。そして、第1レール151と第4レール154とのT字形連結部142cでは、第1レール151の第1移動路151aと、第4レール154の第4移動路154aとがT字状に接続されている。なお、T字形連結部142cとしては、第1レール151と第4レール154とをT字状に直接接続したり、第1レール151をその長手方向に沿って2分割して、この分割部分の間に、個別に一体形成した平面T字状のT字状レール(T型継)を配置してT字状に間接接続したりすることができる。
【0122】
前記ガイドレール142のうちの戸袋144から離れた端部、本実施形態における第2レール152、第3レール153および第4レール154のそれぞれの自由端部分は、天井に設置された状態で個別に着脱可能に分割(直線継)されており、これらの分割部152b、153b、154bの少なくとも一つ(例えば戸袋144に近い分割部154b)を天井から取り外すことにより、戸袋144に収納されている引戸143をガイドレール142から取り外すことができるように形成されている。
【0123】
前記支線レール155は、引戸143を戸袋144に収納するためのものであり、第1レール151の図23の左方に示す端部から直線状に延出するように、戸袋144の開口に沿って配置された直線状の引込レール155Aと、この引込レール155Aから戸袋144の内部に向かって直角に分岐された直線状の1対の分岐レール155Bとを有している。そして、支線レール155には、引戸143を戸袋144に収納するための吊車が移動可能な移動路としての支線移動路155aが設けられている。この支線移動路155aは、引込レール155Aに設けられた引込移動路155Aaおよび1対の分岐レール155Bのそれぞれに設けられた分岐移動路155Baを備えている。そして、図23の右側に示すガイドレール142に近い分岐移動路155Baは、引込移動路155AaとT字状に接続されており、図23の左側に示すガイドレール142から離れた分岐移動路155Baは、引込移動路155Aaと直角に接続されている。また、支線移動路155a、詳しくは引込移動路155Aaは第1移動路151aと直線状に接続されている。
【0124】
前記第1レール151、第2レール152、第3レール153、第4レール154および支線レール155(引込レール155Aおよび1対の分岐レール155B)の断面形状は、すべて同一に形成されている。
【0125】
なお、本実施形態の可動間仕切141においては、開放状態においてすべての引戸143を戸袋144に収納する構成としたが、前述した第2実施形態の可動間仕切71と同様に、すべての引戸143を戸袋144の代わりに部屋の1箇所の壁面KAに重ねるように集合、すなわち集積させる構成としてもよい。
【0126】
その他の構成は、前述した第1実施形態の可動間仕切1と同様されているので、その詳しい説明については省略する。
【0127】
このような構成からなる本実施形態の可動間仕切141によれば、前述した第1実施形態の可動間仕切1における天井に設置された状態で平面L字形の一体レールとされたガイドレール2を容易に得ることができるという効果を除いて、同様の効果を奏することができる。
【0128】
また、本実施形態の可動間仕切141によれば、天井に設置された状態で平面E字形のガイドレール142を容易に得ることができる。
【0129】
さらに、本実施形態の可動間仕切141によれば、ガイドレール142が平面E字形の一体レールとされているので、6枚の引戸143のすべてを戸袋144から引き出して、第1レール151および第2レール152のそれぞれに3枚の引戸143を直列に配置する操作を行うことにより、平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を、図24の斜線領域にて示すように、第1レール151および第2レール152に配置された総計6枚の引戸143で全体として平面矩形状の1つの空間SEに仕切ることができる。
【0130】
すなわち、本実施形態の可動間仕切141の間仕切状態においては、複数のレール体としての4本のレール体である第1レール151、第2レール152、第3レール153および第4レール154のうちの第1レール111および第2レール112のそれぞれに3枚の引戸143を直列配置することにより、空間SEの間仕切りを行うことができる。よって、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第1レール151および第2レール152)には、複数の引戸143が直列に配置されている構成となる。
【0131】
また、本実施形態の可動間仕切141によれば、ガイドレール142が平面E字形の一体レールとされているので、引戸143の配置により、間仕切りに供する部屋の隅を種々に仕切ることができる。
【0132】
例えば、図25に示すように、5枚の引戸143を戸袋144から引き出して、第3レール153に3枚の引戸143を直列に配置するとともに、第1レール151の戸袋144と第3レール153との間に位置する部分に2枚の引戸143を直列に配置する操作を行うことにより、平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を、空間SEより小さい図25の斜線領域にて示す小空間SEaに仕切ることができる。この小空間SEaは、第1レール151に配置された2枚の引戸143と第3レール153に配置された3枚の引戸143との総計5枚の引戸143で仕切られる。すなわち、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第3レール153)には、複数の引戸103が直列に配置されている構成となる。
【0133】
また、図26に示すように、4枚の引戸143を戸袋144から引き出して、第4レール154に3枚の引戸143を直列に配置するとともに、第1レール151の戸袋144と第4レール154との間に位置する部分に1枚の引戸143を配置する操作を行うことにより、平面直角に配置された2つの壁面KA、KBを有する部屋の隅を、小空間SEaより小さい図26の斜線領域にて示す小空間SEbに仕切ることができる。この小空間SEbは、第1レール151に配置された1枚の引戸143と第4レール154に配置された3枚の引戸143との総計4枚の引戸143で仕切られる。すなわち、間仕切状態で複数のレール体のうちの少なくとも1本(第4レール154)には、複数の引戸103が直列に配置されている構成となる。
【0134】
さらにまた、第1−第4レール151、152、153、154のそれぞれに引戸143を部分的に配置したり、第2−第4レール152、153、154のうちの2つにそれぞれ3枚の引戸143を直列配置したりすることにより、部屋を部分的に仕切った部分的間仕切状態(セミクローズ状態)を得ることができる。
【0135】
なお、本実施形態の可動間仕切141における各種の間仕状態は、家族の人数の増減、子供の成長、来客の有無および人数などにより、使用者が選択することができる。
【0136】
このように、本実施形態の可動間仕切141によれば、引戸143の配置により、間仕切りに供する部屋の隅を種々に仕切ることができるので、使用者による使い勝手を向上できる。
【0137】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0138】
1、71、101、121、141 可動間仕切
2、74、102、122、142 ガイドレール
2a、74a、102a、142a L字形連結部
102b、122a、142b T字形連結部
3 吊車
4、85、103、123、143 引戸
5、104、124、144 戸袋
11、72、111、131、151 第1レール
11a、72a、111a、131a、151a 第1移動路
12、73、112、132、152 第2レール
12a、73a、112a、132a、152a 第2移動路
12b、73b、112b、113b、131b、152b、153b、154b 分割部
113、153 第3レール
113a 153a 第3移動路
13、91、114、133、155 支線レール
13a、91a、114a、133a、155a 支線移動路
21、81 第1引戸
22、82 第2引戸
23、83 第3引戸
24、84 第4引戸
25 第5引戸
31 天板部
32 側板部
33 リブ部
34 ガイド板部
41 取付部
72 支持軸
43 第1戸車
44 第2戸車
51 パネル本体
52 パネルフレーム
53 上フレーム
54 下フレーム
55 縦フレーム
62 凹溝
65 雄部材
65a 凸状先端部
65b 基端部
66 雌部材
66a 凹状先端部
66b 基端部
67 栓部材
67b 基端部
R 天井
RA レール溝
PA、KA、KB、KC 壁面
W (引戸の移動方向に沿った)幅寸法
X (2つの吊車の)中心間距離
a (引戸4幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの)距離
SA、SB、SC、SD、SE 空間
SCa、SDa、SDb、SEa、SEb 小空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋を仕切るために、天井に設置されるガイドレールと、このガイドレールに吊車を介して可動に吊り下げられた開閉操作可能な複数の引戸とを有している可動間仕切であって、
前記ガイドレールは、吊車が移動可能な移動路を具備する複数の直線状のレール体を有し、かつ、前記複数のレール体は、天井に設置された状態で、L字形連結部およびT字形連結部の一方または両方を有するとともに、前記L字形連結部では前記移動路が直角に接続され、前記T字形連結部では前記移動路がT字状に接続されて、全体として一体レールとされており、
部屋を仕切った間仕切状態で前記複数のレール体のうちの少なくとも1本には、複数の引戸が直列に配置されていることを特徴とする可動間仕切。
【請求項2】
前記一体レールの形状は、平面L字形部分、平面F字形部分、平面T字形部分および平面E字形部分から選ばれる1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の可動間仕切。
【請求項3】
1つの引戸に対して2つの吊車が取り付けられており、これら2つの吊車は、引戸の上面の引戸の移動方向に沿った長手方向の両側に寄せて配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可動間仕切。
【請求項4】
前記引戸の移動方向に沿った幅寸法をWmmとし、
前記2つの吊車の中心間距離をXmmとし、
前記引戸の幅方向の端面とこの端面に隣位する吊車の中心までの距離をammとしたときに、
前記幅寸法は、600≦W≦1000を満足するように形成され、
前記中心間距離は、490≦X≦650を満足するように形成され、
前記距離は、a≦105を満足するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の可動間仕切。
【請求項5】
前記吊車は、引戸の上端部に取り付けられる取付部と、この取付部の上面にその軸方向を上下方向に向けて立設された支持軸と、この支持軸の先端部に回転自在に取り付けられた第1戸車と、この第1戸車から基端側に所定の間隔をおいて回転自在に取り付けられた第2戸車と有しており、
前記ガイドレールは、厚さ方向を上下方向に向けて天井側に配置される平板状の天板部と、この天板部の長手方向に対して直交する幅方向の両端縁のそれぞれから下方に向かって直角に延出された相互に平行な平板状の1対の側板部と、これら1対の側板部の下端縁のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに前記支持軸が挿通される間隔をおいて先端が対峙する平板状の1対のリブ部と、前記1対の側板部の内面のそれぞれから内側に向かって直角に延出されるとともに前記支持軸が挿通される間隔をおいて先端が対峙する前記1対のリブ部と平行に延在する平板状の1対のガイド板部とを有しており、
前記吊車は、前記第1戸車と前記第2戸車との相互間に前記1対のガイド板部を挟み込むように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の可動間仕切。
【請求項6】
前記引戸は、縦長平板状のパネル本体と、このパネル本体の四辺を囲うように取り付けられるパネルフレームとを有しており、
前記パネルフレームは、前記パネル本体の上面に取り付けられる上フレームと、前記パネル本体の下面に取り付けられる下フレームと、前記パネル本体の左右の側面に取り付けられる横断面形状が左右対称に形成された左右1対の縦フレームとを有しており、
前記縦フレームは、前記パネル本体に取り付けられる取付部、およびこの取付部の前記パネル本体への取り付け側と反対の外側面の中央部に設けられた長手方向に沿って延在する凹溝を有しており、
前記凹溝には、凸状先端部を具備する雄部材の基端部、前記凸状先端部があるいは前記凸状先端部に嵌合可能な凹状先端部を具備する雌部材の基端部、前記凹溝の開口を閉塞する栓部材の基端部のいずれかが取り付け可能とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の可動間仕切。
【請求項7】
部屋を仕切った間仕切状態で直列に配置された複数の引戸のうち隣接する2枚の引戸の隣接する一方の縦フレームの凹溝には前記雄部材の基端部が取り付けられ、他方の縦フレームの凹溝には前記雌部材の基端部が取り付けられており、前記雄部材の凸状先端部と前記雌部材の凹状先端部とを嵌合させることにより隣接する2枚の引戸が連接されており、最端に位置する縦フレームの凹溝には前記栓部材の基端部が取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の可動間仕切。
【請求項8】
前記ガイドレールは、天井に設置された状態で少なくとも一端部が個別に着脱可能に分割されており、この分割部を天井から取り外すことにより、前記ガイドレールから吊車とともに引戸を取り外し可能に形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の可動間仕切。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−67581(P2012−67581A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115782(P2011−115782)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(591059685)南海プライウッド株式会社 (17)