説明

可塑剤としてシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸エステルを有するポリビニルアセタールからなる可塑剤含有のシート

本発明は、74℃未満の軟化温度Tgを有するポリビニルアセタールと、可塑剤として少なくとも1種のシクロヘキサンジカルボン酸エステルとを有する、可塑剤含有のシートに関する。この可塑剤含有のシートは、可塑剤のわずかな滲出傾向を示し、合わせガラス及び光起電力モジュールの製造のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせ安全ガラス中の中間層として適した、可塑剤として水素化されたフタラートエステルを使用した可塑剤含有の、部分アセタール化されたポリビニルアルコールをベースとするシート、並びに合わせガラス及び光起電力モジュール中の中間層の使用に関する。
【0002】
背景技術
合わせ安全ガラスは、一般に2枚のガラス板とそのガラス板と結合する中間シートとからなる。シート材料として、主に可塑剤含有の部分アセタール化されたポリビニルアルコール(ポリビニルアセタール)、特にポリビニルブチラール(PVB)が使用される。合わせ安全ガラス(VSG)は、例えば自動車分野においてフロントガラス又はサイドガラスとして、並びに建築分野において安全ガラスとして使用される。
【0003】
このようなPVBシート用の可塑剤として、その間にトリ−又はテトラエチレングリコールの脂肪族ジエステルが定着している。特に頻繁に、可塑剤として3G7、3G8又は4G7が使用され、その際、最初の数字はエチレングリコール単位の数を表し、最後の数字はこの化合物のカルボン酸部分中の炭素原子の数を表す。このように、3G8は、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノアート)、つまり式C49CH(CH2CH3)CO(OCH2CH232CCH(CH2CH3)C49の化合物を表す。
【0004】
部分アセタール化されたポリビニルアルコール用の可塑剤として、有利に、VSG中間層シート中で、高い透明性、低い湿分吸収、ガラスに対する良好な粘着及びシートの十分な冷間柔軟性を提供する化合物が使用される。さらに、この化合物は、部分アセタール化されたポリビニルアルコールとの十分な相容性を有していなければならない、つまり十分な量で再び滲出することなしにこの部分アセタール化されたポリビニルアルコールと混合可能でなければならない。
【0005】
一般に、可塑剤と部分アセタール化されたポリビニルアルコールとの相容性は、可塑剤の極性特性の低下と共に減少する。比較的高い極性の可塑剤は、比較的低い極性を有する可塑剤よりも、ポリビニルアセタールと相容性がより良好である。それとは別に、比較的低い極性の可塑剤の相容性は、アセタール化度の増加と共に、つまりヒドロキシル基の数の減少と共に、ひいてはポリビニルアセタールの極性の減少と共に向上する。
【0006】
EP 0877 665 B1では、低い極性の3G8がPVBシート用の可塑剤として推奨されている、それというのもこれはシート生成物に改善された耐湿性を付与するためである。湿分は接着シートとガラスとの間の付着を持続的に損ない、極端な場合には、シートのガラスからの明らかな剥離が生じるため、PVBシートを有する合わせ安全ガラス(VSG)の製造の際に、シートのできる限り高い耐湿性が求められる。
【0007】
3G8を用いて可塑化されているPVBシートの改善されたこの耐湿性は、4G7又は3G7のような可塑剤と比較して、この可塑剤の著しく無極性の特徴から生じる、それというのもヘプタン酸エステルの代わりにオクタン酸基がこの可塑剤分子を化学的に形成しているためである。3G8を使用する場合の更なる利点は、その比較的低い揮発性であり、これは一方でVSGの露出した縁部での可塑剤の濃度低下に対抗し、他方でシートをVSGに加工する際に低い臭気的負担が実現されるためである。
【0008】
この理由から、可塑剤の3G8は、短期間でPVBシートの製造元で定着されている。
【0009】
一方で、この生成物の傑出した技術的特徴に対して、しかしながら、他の工業分野で普及している標準可塑剤、例えばPVCの可塑剤に使用されたフタル酸エステルと比較して著しく高い調達コスト又は製造コストが障害となっている。さらに、可塑化されたPVBシートの湿分吸収の更なる低下が望ましい、それというのもそれにより合わせ安全ガラスの貯蔵性はさらに向上するためである。著しく親水性のトリエチレングリコール割合による、3G8の場合のこの湿分吸収の更なる低減には限界がある。
【0010】
EP O 877 665 B1からは、可塑剤の滲出が予想されるため、19.5質量%より高いポリビニルアルコール含有量を有するPVBタイプを、3G8を用いて容易に可塑化することができないことは公知である。他の可塑剤含有のプラスチック製品と同様に、この可塑剤の滲出は、VSG用の中間層シートの場合でも望ましくない、それというのも可塑剤の放出は、特に複合材料の縁部でのPVBの露出したエッジに沿って速すぎる層剥離を引き起こしてしまうためである。この低い相容性又は3G8が滲出する傾向にあるという理由から、EP 0877 665 B1では、3G8の使用を17〜19.5質量%のポリビニルアルコール含有量を有するPVBタイプに限定している。
【0011】
原則として、可塑剤/PVB混合物の不足する相容性は、他の無極性可塑剤、例えばエステルアルコール中で6個より多い炭素原子を有するジアルキルアジパート、エステルアルコール中で4個より多い炭素原子を有するジアルキルセバカート又はフタラート可塑剤、例えばジオクチルフタラート又はジイソノニルフタラートにも該当する。相容性が不足する場合には、特に湿った環境及び/又は寒冷の環境での貯蔵時に可塑剤の滲出も観察される。この両方の環境条件は、実際にPVBシートの使用の際に起こり、従って可塑剤相容性の評価のために重要である。
【0012】
PVB巻きシートは、隣り合うシート層との接着を抑制するために、通常では8℃を下回る温度で貯蔵及び運搬される。この場合、もちろん、貯蔵の間にシートから液状の可塑剤が滲出することは望ましくない。
【0013】
更に、PVBシートを用いて作成された合わせ安全ガラスは組み立てられた状態で、気象的な条件に依存して低温にも、高湿にもさらされ、これは、不十分な相容性の場合に特にPVBシートが露出するVSGのエッジで、可塑剤の慢性的な損失を引き起こし、ひいては気泡又はシートのガラスからの剥離の形で明らかな欠陥が生じてしまう。
【0014】
わずかな相容性を除いて、比較的低い極性の可塑剤は、比較的高い極性の可塑剤、例えば3G7と比較して、適切なPVBとの組合せで、PVBシートの低下する冷間柔軟性を引き起こすという特性を有する。このことは、特に、可塑剤含有量が25%未満に調節されている場合及び/又は使用したポリビニルブチラールがそれ自体低いアセタール化度を有し、ひいてはポリビニルアルコール基の高い残留量を有する場合に生じる。つまりアセタール化度が低くすぎる場合には、PVBの軟化温度(Tg)が高まり、このことは、これにより製造された可塑剤含有のシートの冷間柔軟性に不利な影響を及ぼす。
【0015】
DE 101 16812 A1では、PVC及びPVBの可塑化のために、シクロヘキサンポリカルボン酸エステルの誘導体の使用が提案されている。この場合、遊離ヒドロキシル基の割合は5〜50%の範囲内にあるポリビニルブチラールとの混合が記載されている。環式アセタール基、ヒドロキシル基及びアセタート基の種類及び分布に応じて、このポリビニルブチラールは少なくとも80℃の軟化温度Tgを有する。
【0016】
全混合物に関するポリビニルアセタールの含有量は、5〜95質量%、特に20〜55質量%である。この可塑剤含有量に対して、これは、他の成分が添加されていないことを前提として、5〜95質量%、又は45〜80質量%の数値範囲に相当する。
【0017】
80℃を越える軟化温度を有するPVBの使用下で、高い可塑剤割合の場合に、不相容性が生じる。可塑剤割合が低減される場合には、シートの低い冷間柔軟性が生じる。
【0018】
技術的課題
低コストで調達でき、シート中で3G8と比べて低い湿分吸収を生じさせ、かつ十分に高いアセタール化度の部分アセタール化されたポリビニルアルコールと組み合わせて相容性であり、かつ良好な冷間柔軟性を有するシートを生じさせる可塑剤の使用下で、PVBシートを調製するという必要性が生じる。
【0019】
技術的解決手段
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸のジエステルで軟化させた、低い軟化温度(Tg)を有するポリビニルブチラールを含有するシートは、軟化剤として3G8を有するシートと比較して低い湿分吸収を有することが見出された。この組成のシートは、良好な可塑剤相容性及び良好な冷間柔軟性を有する。
【0020】
発明の説明
従って、本発明の主題は、74℃より低い軟化温度を有するポリビニルアセタールを60〜90%及びエステル基中で4〜17個のC原子を有する少なくとも1種のシクロヘキサンジカルボン酸エステルを10〜40質量%(シートの全配合物に対して)含有する可塑剤含有のシートである。
【0021】
シクロヘキサンジカルボン酸エステルとして、DE 101 16 812に記載された全ての化合物を使用することができる。
【0022】
容易な入手性の理由で、フタル酸の水素化されたジエステル、つまり1,2−シクロヘキサンジカルボン酸の水素化されたジエステルが、本発明の有利な可塑剤である。
【0023】
エステルアルコールとして、特に9〜17個の炭素原子を有するエステルアルコール、特に有利に9、13又は17個の炭素原子を有するエステルアルコール(いわゆるオキソアルコール)が使用される。これらのアルコールは、分枝又は非分枝で使用されていてもよく、この場合、十分に非分枝のエステルアルコールの使用がより良好な可塑化作用を生じさせる。
【0024】
本発明により使用されたシクロヘキサンジカルボン酸エステル可塑剤が、少なくとも1種の他の無極性の又は極性の、添加可塑剤として適した可塑剤と1〜40%の割合で組み合わせて使用することができる。
【0025】
有利に、このシートは、10〜40質量%、14〜32質量%、16〜30質量%、18〜28質量%、特に22〜26質量%の範囲内の、シート中の全可塑剤含有量、つまり全ての可塑剤の割合を有する。本発明により使用されたシクロヘキサンジカルボン酸エステル可塑剤の割合は、この混合物に対して10%を越えて、20%を越えて、30%を越えて、40%を越えて、50%を越えて、60%を越えて、70%を越えて、80%を越えて、又は90%を越えることができる。
【0026】
基本的に、このシートは、前記のシクロヘキサンジカルボン酸エステル可塑剤とPVBのために公知の次の可塑剤の少なくとも1つとからなる可塑剤混合物を含有することができる:
・ 多価の脂肪族又は芳香族の酸のエステル、例えばジアルキルアジパート、例えばジヘキシルアジパート、ジオクチルアジパート、ヘキシルシクロヘキシルアジパート、ヘプチルアジパートとノニルアジパートとの混合物、ヘプチルノニルアジパート並びにアジピン酸と環式脂肪族又はエーテル結合を有するエステルアルコールとのエステル、ジアルキルセバカート、例えばジブチルセバカート並びにセバシン酸と環式脂肪族又はエーテル結合を含有するエステルアルコールとのエステル、フタル酸のエステル、例えばブチルベンジルフタラート又はビス−2−ブトキシエチルフタラート。
・ 多価の脂肪族又は芳香族のアルコールのエステル又はエーテル又は1種又は数種の非分枝又は分枝した脂肪族又は芳香族置換基を有するオリゴエーテルグリコール、例えばジ−、トリ−又はテトラグリコールと線状又は分枝した脂肪族又は環式脂肪族のカルボン酸とのエステル;後者のグループについての例として、ジエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノアート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルヘキサノアート)、トリエチレングリコール−ビス−(2−エチルブタノアート)、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノアート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノアート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノアート、テトラエチレングリコール−ジメチルエーテル及び/又はジプロピレングリコールベンゾアート。
【0027】
比較的高い極性を有するこのグループのために適した添加可塑剤には、例えばジ−(2−ブトキシエチル)−アジパート(DBEA)、ジ−(2−ブトキシエチル)−セバカート(DBES)、ジ−(2−ブトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ブトキシエチル)−グルタラートが挙げられる。ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−アジパート(DBEEA)、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−セバカート(DBEES)、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−アジパート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−セバカート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−アジパート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)セバカート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ブトキシエチル)−フタラート及び/又はジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−フタラート。同様に、非イオン性界面活性剤も使用することができる。
【0028】
このシートの耐湿性を混合物中での極性すぎる可塑剤の使用によって不必要に悪化させないために、特に比較的低い極性の可塑剤を本発明により使用されるシクロヘキサンジカルボン酸エステルと組み合わせることができる。比較的低い極性の可塑剤として、式100×(O原子の数)/(C原子の数+H原子の数)により計算された、9.4以下の極性を有する可塑剤が通用する。比較的低い極性の可塑剤として、有利に6個より多い炭素原子を有するアルキル基を有するジアルキルアジパート及び7個より多い炭素原子を有するカルボン酸基を有するオリゴグリコール酸エステルが使用される。特に、次の化合物が適している:
表1
【表1】

【0029】
更に、本発明によるシートは他の当業者に公知の添加剤、例えば残量の水、UV吸収剤、酸化防止剤、粘着調整剤、蛍光増白剤、安定剤、着色剤、加工助剤、有機又は無機のナノ粒子、熱分解ケイ酸及び/又は表面活性剤を含有することができる。
【0030】
上記の可塑剤又は可塑剤組合せ物の使用下で、特にわずかな可塑剤放出を有するシートを製造することが可能であり、これは更なる加工の際に、低減した臭気的負担又は可塑剤エアゾールの発生確率の利点をもたらし、製造されたVSGにおいて高められた貯蔵性の利点を提供する。
【0031】
有利に、本発明によるシートの可塑剤放出(次に定義されている)は、全体のシートに対してそれぞれ少なくとも4質量%未満、有利に3質量%未満、特に有利に2質量%未満、最も有利に1質量%未満である。
【0032】
有利に、部分アセタール化されたポリビニルアルコールとして、81質量%以上、有利に82質量%以上、特に有利に83質量%以上、特に84質量%以上のポリビニルアセタール含有量(アセタール化度)を有する部分アセタール化された又は部分ブチラール化されたポリビニルアルコール(ポリビニルブチラール)が使用される、それというのもこの部分アセタール化されたポリビニルアルコールは、十分に低い軟化温度及び極性を有し、かつ良好な冷間柔軟性を有するシクロヘキサンジカルボン酸エステル可塑剤と相容性の調製物を生じるためである。しかしながら、87質量%のアセタール化度を越えることは好ましくない、それというのもシートの機械特性は一般にもはや不十分となるためである。本発明の特に有利なバリエーションの場合に、このアセタール化度は約1質量%の残留アセタートで、81〜87、82〜86、83〜85.5質量%である。1質量%を越える比較的高い残留アセタート含有量の場合には、アセタール化度についての前記数値は相応して低下する。
【0033】
アセタール化度及び残留アセタートの合計は、ASTM D 1396により測定されたポリビニルアルコール含有量から100に欠ける割合として、つまりポリビニルアセタールの遊離ヒドロキシル基の割合として計算することができる。このアセタール化度は、高分解能NMR分光分析により直接決定することもできる。
【0034】
本発明によるシートは十分な冷間柔軟性を、高めた温度での十分な機械的強度と同時に有するため、本発明のために使用可能なポリビニルアセタールは基本的に74℃以下の、有利に64〜74℃、有利に65〜73℃、特に有利に66〜72℃、特に67〜71℃の範囲内の軟化温度(Tg)を有する。
【0035】
ポリビニルアセタールの製造のために、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、アルデヒド、例えばブチルアルデヒドを用いて酸触媒の添加下でアセタール化する。この生じたポリビニルアセタールを分離し、中性に洗浄し、場合によりアルカリ性に調節された水性媒体中で懸濁させ、その後で新たに中性に洗浄し、乾燥される。
【0036】
このポリビニルアセタールのポリビニルアルコール含有量は、このアセタール化の際に使用されるアルデヒドの量によって調節することができる。アセタール化を、2〜10個の炭素原子を有する他の又は複数のアルデヒド(例えばバレルアルデヒド)を用いて実施することもできる。
【0037】
可塑剤含有のポリビニルアセタールをベースとするシートは、有利に架橋されていないポリビニルブチラール(PVB)を含有し、これはブチルアルデヒドを用いてポリビニルアルコールのアセタール化により得られる。
【0038】
架橋したポリビニルアセタール、特に架橋したポリビニルブチラール(PVB)の使用も同様に可能である。適当な架橋されたポリビニルアセタールは、例えばEP 1527107 B1及び WO 2004/063231 A1(カルボキシル基含有のポリビニルアセタールの熱による自己架橋)、EP 1606325 A1(ポリアルデヒドで架橋されたポリビニルアセタール)及びWO 03/020776 A1(グリオキシル酸で架橋されたポリビニルアセタール)に記載されている。これらの特許出願の開示内容については、引用を以てその全体が本願に組み込まれるものとする。
【0039】
ポリビニルアルコールとして、本発明の範囲内で、加水分解されたビニルアセタート/エチレン−コポリマーからなるターポリマーも使用することができる。この化合物は、一般に98%以上が加水分解され、エチレンベースの単位を1〜10質量%含有する(例えばKuraray Europe GmbH社のタイプ「Exceval」)。
【0040】
ポリビニルアルコールとして、本発明の範囲内で、更に酢酸ビニルと少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとからなる加水分解されたコポリマーも使用することができる。
【0041】
このポリビニルアルコールは、本発明の範囲内で、純粋なポリビニルアルコール又は多様な重合度又は加水分解度を有するポリビニルアルコールの混合物として使用することができる。
【0042】
ポリビニルアセタールは、アセタール単位の他に、酢酸ビニル及びビニルアルコールから生じる単位を含有する。一般に、使用された部分アセタール化されたポリビニルアルコールのポリビニルアルコール含有量は、12〜18%、有利に13〜16%、大抵は有利に14〜16%の間にある。
【0043】
本発明により使用されたポリビニルアセタールの残留アセタート含有量は、一般に5質量%未満、有利に3質量%未満、特に有利に2質量%未満、特に1.5質量%未満又は1質量%未満である。
【0044】
ポリビニルアセタールをベースとするシートの原則的製造及び組成は、例えばEP 185 863 B1、EP 1 118 258 B1、WO 02/102591 A1、EP 1 118 258 B1又はEP 387 148 B1に記載されている。
【0045】
産業上の利用可能性
本発明によるシートは、特に合わせ安全ガラスの製造のために1枚以上のガラス板と、当業者に公知の方法で貼り合わせることにより使用することができる。この合わせ安全ガラスは、自動車分野において例えばフロントガラスとして、建築分野において透明な部材として又は家具において使用することができる。本発明によるシートのわずかな湿分吸収及び可塑剤放出に基づき、これはガラス/シート/プラスチック積層体の製造のために、例えばPET層を有するガラス板の持続的な接着のため良好に適している。例えばポリカーボネート又はPMMAからなる2つのプラスチック板の接着も、本発明によるシートを用いて実施可能である。
【0046】
本発明によるシートは、光起電力モジュールの接着のために使用することができる。
【0047】
本発明の他の主題は、従って、
a)透明な前面カバーと、
b)1つ又は複数の光敏感性の半導体層と、
c)少なくとも1つの可塑剤含有の、ポリビニルアセタールをベースとするシートと
d)背面のカバーとからなる積層体を有し、その際、この可塑剤含有のシートは74℃未満の軟化温度Tgを有するポリビニルアセタール60〜90%と、可塑剤としてエステル基中に4〜17個のC原子を有する少なくとも1つのシクロヘキサンジカルボン酸エステル10〜40質量%とを含有する光起電力モジュールである。
【0048】
本発明による光起電力モジュールのために、可塑剤含有のシートの記載された全てのバリエーション又はシクロヘキサンジカルボン酸エステルの記載されたバリエーションを使用することができる。
【0049】
有利に、本発明による使用されたシートは、23℃での85%rFの周囲湿度で、少なくとも5E+11ohm・cm又は少なくとも1E+12ohm・cm、特に有利に少なくとも5E+12ohm・cm又は少なくとも1E+13ohm・cm又は特に少なくとも1E+14ohm・cmの比抵抗を有する。この値はシートのそれぞれの箇所で達成されるのが好ましく、特にモジュールの縁部領域でも達成されるのが好ましい。
【0050】
更に、場合によりシートの含水量に依存するイオン移動度及びそれによる比抵抗は、SiO2、特に熱分解性シリカの添加によって影響を及ぼすことができる。有利に、本発明により使用された可塑剤含有のポリビニルアセタールをベースとするシートは、SiO2を0.001〜15質量%、有利に2〜5質量%含有する。
【0051】
シート材料の製造の際の微量の酸を回避することは、光敏感性の半導体層に対する本発明により使用されたシートの腐食の傾向を低減することを可能にする。この種のシートは、一般に、可塑剤含有のポリビニルアセタールを高めた温度で押し出すことにより製造され、それによりポリマーの材料又は可塑剤の熱による分解が生じることがある。更に、拡散侵入した水によりポリビニルアルコールの残留アセタート基の分解が生じ、それにより酢酸が放出される。両方の場合に、光敏感性の半導体層を攻撃することができる微量の酸が生じる。
【0052】
有利に、本発明により使用されたシートは、従って、アルカリタイターとして表して、5又は10を越える、有利に15を超える、特に有利に20、30又は40を超える所定の塩基度を有する。100の最大アルカリタイターを上回らないのが好ましい。
【0053】
このアルカリタイターは、次に記載するように、シートの逆滴定により測定され、かつ塩基性物質、例えば1〜15個の炭素原子を有する有機カルボン酸の金属塩、特にアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えば酢酸マグネシウム又は酢酸カリウムの添加により調節することができる。この塩基性の化合物は、通常では、全体の混合物に対して、0.005〜2質量%、特に0.05〜1質量%の濃度で使用される。
【0054】
光起電力モジュールの積層はこのシートの溶融下で行われるため、シートを用いた光敏感性の半導体層の気泡なしで及び曇りなしでの封入が得られる。
【0055】
本発明による光起電力モジュールのバリエーションにおいて、光敏感性の半導体層はカバーd)上に(例えば蒸着、気相堆積、スパッタリング、湿式堆積により)設けられ、シートc)により透明な前面カバーa)と接着される。
【0056】
他のバリエーションの場合に、この光敏感性の半導体層は透明な前面カバーa)上に設けられ、かつシートc)により背面カバーd)と接着される。
【0057】
これとは別に、光敏感性の半導体層を2つのシートc)の間に埋め込み、カバーa)及びd)と接着することができる。
【0058】
可塑剤含有のポリビニルアセタールをベースとするシートの厚さは、光起電力モジュールのための使用の場合に、主に0.38、0.51、0.76、1.14、1.52又は2.28mmである。
【0059】
本発明により使用されたシートは、積層プロセスの間に、光敏感性の半導体層又はこの電気的接続に存在する中空箇所を満たす。
【0060】
この透明な前面カバーa)は、一般にガラス又はPMMAからなる。本発明による光起電力モジュールの背面のカバーd)(いわゆるバックシート)は、ガラス、プラスチック又は金属又はこれらの複合材料からなることができ、その際、この支持体の1つは透明であることができる。同様に、一方又は両方のカバーを合わせガラスとして(つまり少なくとも2つのガラス板と少なくとも1つのPVBシートとからなる積層体として)又はガス中間空間を有する絶縁ガラスとして構成することも可能である。もちろん、これらの手法の組合せも可能である。
【0061】
このモジュール中で使用された光敏感性の半導体層は、特別な特性を有する必要はない。単結晶系、多結晶系又はアモルファス系を使用することができる。
【0062】
薄層ソーラモジュールの場合には、この光敏感性の半導体層は担体上に直接設けられる。封入はこの場合には不可能である。従って、光敏感性の半導体層を有する担体(例えば背面側のカバー)と、透明な前面カバーとからなる積層体は、可塑剤含有のポリビニルアセタールをベースとする、中間に置かれた少なくとも1つのシートにより統合され、それにより高めた温度で接着される。これとは別に、光敏感性の半導体層を担体としての透明な前面カバー上に設け、背面側のカバーと、可塑剤含有のポリビニルアセタールをベースとする、中間に置かれた少なくとも1つの本発明によるシートにより接着することができる。
【0063】
こうして得られた積層体の積層のために、予備複合体の予備的製造を行うか又は行わない当業者に周知の方法が使用される。
【0064】
このように記載されたオートクレーブプロセスは、約10〜15barの高めた圧力及び130〜145℃の温度で、約2時間にわたり実施される。例えばEP 1 235 683 B1による真空バッグ法又は真空リング法は、約200mbar及び130〜145℃で作業される。
【0065】
有利に、本発明による光起電力モジュールの製造のために真空ラミネータが使用される。この真空ラミネータは、加熱可能でかつ排気可能な室からなり、この室内で合わせガラスを30〜60分内で積層することができる。0.01〜300mbarの減圧及び100〜200℃、特に130〜160℃の温度が実際に有効であることが実証される。
【0066】
これとは別に、上記の統合された積層体を、少なくとも1つのロール対の間で60〜150℃の温度で圧縮して、本発明によるモジュールにすることができる。この種の装置は合わせガラスの製造のために公知であり、通常では、2つのプレス工具を有する装置の場合に最初のプレス工具の前又は後で少なくとも1つの加熱トンネルが用いられる。
【0067】
本発明による光起電力モジュールは、ファッサード部材、屋根平面、サンルームカバー、防音壁、バルコニー又は手すり部材として、もしくは窓面の構成部材として使用することができる。
【0068】
測定方法
アルカリタイターの測定のために、可塑剤含有のポリビニルアセタールフィルムの3〜4gを、エタノール/THF(80:20)の混合物100ml中に一晩中磁気撹拌機で溶かした。これに希塩酸(c=0.01mol/リットル)10mlを添加し、引き続き、2−プロパノール(c=0.01mol/リットル)中のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)の溶液でTitroprozessor を用いてブランクに対して電位差滴定した。このアルカリタイターは、次のように算出される:
アルカリタイター=試料100g当たりのHCl ml=(グラムで示す試料の質量によるTBAHブランク−TBAH試料×100の消費量)。
【0069】
このシートの体積抵抗の測定は、DIN IEC 60093により、定義された温度及び周囲湿度(23℃及び85%rLF)で、このシートを上記の条件下で少なくとも24時間コンディショニングした後に行う。この測定を実施するために、Fetronic GmbH社のTyp 302 132の平板電極並びにAmprobe社のISO-Digi 5kVの抵抗測定装置を使用した。試験電圧は2.5kVであり、試験電圧の印加後から測定値検出までの待機時間は60秒であった。測定電極の平板プレートとシートとの十分な接触を保証するために、その表面粗さRzは、DIN EN ISO 4287により測定した場合に10mmより大きくなるべきではない、つまり、場合により、PVBシートの元の表面は抵抗測定の前に熱的影響により平滑化しなければならない。
【0070】
ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール含有量及びポリビニルアルコールアセタート含有量は、ASTM D 1396-92により測定した。金属イオン含有量の分析は、原子吸光分析(AAS)によって行った。
【0071】
高い湿度でのPVBシートの滲出挙動の測定は、水蒸気で飽和された大気中で試験ストリップを30日間貯蔵する。水の吸収及びそれを伴う極性の増大により、相容性でない系の場合に可塑剤は排除されるので、この可塑剤はよく見えるフィルムの形で又は液滴の形で次第にシートの表面に滲出する。相容性の調製物の場合には、この試験ストリップについて30日後でも可塑剤滲出は確認できず、それに対してこの可塑剤滲出は非相容性の調製物の場合には、24時間後に頻繁に生じる。高い相対湿度(rF)を有する大気の調節のために、密閉した容器中で、例えばガラス乾燥器中で、硫酸銅五水和物から沈殿物を有する飽和水溶液を製造する。この溶液の上方では、23℃で約98%rFの平衡湿度が生じる。
【0072】
冷間の環境でのPVBシートの滲出挙動の測定のために、30×10cmの寸法のシート断片をまず24時間23℃/23rFの気候でコンディショニングし、引き続きロールに巻き付け、水蒸気密のAlu−PEバッグ中に密閉し、1週間5℃の温度で貯蔵する。1週間の経過後に、このシートを取り出し、生じた可塑剤を調査する。
【0073】
滲出挙動を試験するための可塑化されたPVBシートの製造のために、シート材料を、例えばロール装置又は押出機で均質化することができる。
【0074】
PVBシートからの可塑剤放出は、実験により、例えば光起電力モジュールの製造のために使用される真空ラミネータ中でのプロセス実施にならう条件下で測定される。このため、0.76mmの厚さのシート/サンプルから、60mmの直径を有する円形素材を切り出すか又は製造し、65mmの直径を有する計量されたアルミニウムシャーレ(neoLab-アルミニウムシャーレ、平坦、65mm、Art.-Nr. 2-1605、約2.5gの質量)中の底に平らに置く。この試料を、このシャーレ中で一晩中23℃/25%rFの気候中でコンディショニングし、引き続き真空乾燥棚(Heraeus, Modell VTR 5022)中で150℃で1mbarで30分間放置する。再計量の前に、このシャーレを新たに23℃/25%rFで一晩中コンディショニングする。パーセントで示すシートの当初質量に対する確認された質量減少率を、可塑剤放出と定義する。
【0075】
部分アセタール化されたポリビニルアルコールの軟化温度Tgの測定は、DIN 53765による示差走査熱量測定(DSC)を用いて、温度インターバル−50℃〜150℃で10K/minの加熱速度を使用して行う。第1の加熱勾配に続き、冷却勾配、第2の加熱勾配が行われる。ガラス転移温度の状態は、第2の加熱勾配に属する測定曲線に関してDIN 51007により測定した。このDIN測定点(Tg DIN)は、測定曲線で半分の段階高さの水平線の切断点として定義される。この段階高さは、ガラス転移前及び後での測定曲線のベースラインで中央接線の両方の切断点の垂直方向の距離により定義される。
【0076】
シートの含水量又は湿分含有量は、このシートを23℃及び85%rFで少なくとも24時間コンディショニングした後で、Karl-Fischer法を用いて測定する。
【0077】
このシートの冷間柔軟性は、簡単に、5℃の貯蔵温度でDIN A4のサイズのシート断片の手作業での比較により評価する。
【0078】
実施例
この実施例の本発明のシートは、通常では合わせ安全ガラス又は光起電力モジュールのためにPVBシートに課せられる要求を満たし、この要求は詳細には次のものである:高い透明性又は曇りの不在、わずかな固有色及びこの場合に特に低い黄色値、十分な機械的強度、低い固有臭、通常の粘着防止剤の添加の際の粘着性低下の可能性、ガラスに対する良好でかつ均一な接着作用及び高い体積抵抗。
【0079】
シートを表2〜4の組成に従って製造し、合わせ安全ガラス又は光起電力モジュールの場合のその適性を試験した。他に記載されていない限り、全ての記載は全体のシートに対する質量%で示す、例外:PVOH含有量は、PVB樹脂の量に対する。Hexamoll DINCHは、BASF SEのジ−イソノニルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸であり、AEROSIL 130は、Evonik Degussa GmbHの市販製品である。
【0080】
比較例1に基づいて、79質量%のアセタール化度、20.0質量%のPVA含有量及び75℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールは、PVBシートにとって通常の混合比(PVB74質量%、DINCH26質量%)で湿った大気中で(30日後)又は冷間環境で(1週間後)DINCHを部分的に放出する、つまり滲出を示すことが検証された。更に、このシートは中程度の冷間柔軟性を示すだけである。
【0081】
比較例8は、72.5質量%のアセタール化度、26.4質量%のPVA含有量及び81℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールが、可塑剤としてのDINCHの比較的わずかな量を使用する場合であっても(PVB80質量%、DINCH20質量%)でDINCHを湿った大気中で(30日後)又は冷間環境で(1週間後)部分的に放出する、つまり滲出を示すことを示した。更に、このシートは悪い冷間柔軟性を有する。
【0082】
本発明による実施例2及び4と、本発明によらない比較例3及び5との比較は、3G8を用いて製造された試験シートと比較してDINCHの使用の場合に、湿分吸収も可塑剤放出も減少されることを示す。
【0083】
本発明による実施例6は、86質量%のアセタール化度、13.0質量%のPVA含有量及び67℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールの使用の場合に、26質量%のHexamoll DINCHとの混合において、十分な相容性を有するシートが生じ、このシートは特に低い湿分吸収及び低い可塑剤放出を示す。
【0084】
本発明による実施例7は、84.7質量%のアセタール化度、14.3質量%のPVA含有量及び68℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールの使用の場合に、24質量%のHexamoll DINCHとの混合において、酢酸マグネシウム−三水和物の使用時に、電気的体積抵抗を悪化させずに、十分な相容性、特にわずかな湿分吸収及び可塑剤放出の記載された特性に影響を与えることなしに、高めたアルカリタイターが調節されることを証明する。
【0085】
本発明による実施例8は、84.7質量%のアセタール化度、14.3質量%のPVA含有量及び68℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールの使用の場合に、24質量%のHexamoll DINCHとの混合において、熱分解SiO2の添加及び酢酸マグネシウム−三水和物の使用により、十分な相容性の、特にわずかな湿分吸収及び可塑剤放出の記載された特徴にあまり影響を与えることなしに、高めたアルカリタイターが調節され、同時に電気的体積抵抗が更に高められることを証明する。
【0086】
本発明による実施例9は、84.7質量%のアセタール化度、14.3質量%のPVA含有量及び68℃の軟化温度を有するポリビニルブチラールの使用の場合に、24質量%のHexamoll DINCHとの混合において、熱分解SiO2の添加により、十分な相容性、特にわずかな湿分吸収及び可塑剤放出の記載された特徴にあまり影響を与えることなしに、電気的体積抵抗が更に高められることを証明する。
【0087】
本発明によるシートは、この良好な絶縁特性に基づき、光起電力モジュールの製造のために良好に適している。更に、本発明による実施例7〜9のシートは、その高いアルカリ度及び/又は熱分解SiO2の存在に基づき、光起電力モジュールの敏感性の機能層に対して特に低い腐食性を示す。
【0088】
表2
【表2】

【0089】
表3
【表3】

【0090】
表4
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
74℃未満の軟化温度Tgを有するポリビニルアセタール60〜90%と、可塑剤としてエステル基中で4〜17個のC原子を有する少なくとも1種のシクロヘキサンジカルボン酸エステル10〜40質量%とを有する、可塑剤含有のシート。
【請求項2】
前記シートは、さらに少なくとも1種の他の可塑剤1〜40質量%を有することを特徴とする、請求項1記載の可塑剤含有のシート。
【請求項3】
前記シートは、さらにジ−(2−ブトキシエチル)−アジパート(DBEA)、ジ−(2−ブトキシエチル)−セバカート(DBES)、ジ−(2−ブトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ブトキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−アジパート(DBEEA)、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−セバカート(DBEES)、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−アジパート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−セバカート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ヘキソキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−アジパート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−セバカート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−アゼラート、ジ−(2−ヘキソキシエトキシエチル)−グルタラート、ジ−(2−ブトキシエチル)−フタラート及びジ−(2−ブトキシエトキシエチル)−フタラートの群から選択される、高い極性を有する少なくとも1種の可塑剤1〜40質量%を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の可塑剤含有のシート。
【請求項4】
前記シートは、さらに可塑剤として、式100×(O原子の数)/(C原子の数+H原子の数)により計算して9.4以下の極性を有する少なくとも1種の化合物1〜40質量%を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項5】
前記ポリビニルアセタールのアセタール化度が81質量%以上であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項6】
前記ポリビニルアセタールのアセタート含有量が5質量%未満であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項7】
前記シートは、20〜30質量%のシクロヘキサンジカルボン酸エステルの含有量を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項8】
前記シートは、4質量%未満の可塑剤放出を有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項9】
ポリビニルアセタールとして、ポリビニルブチラールが使用されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシート。
【請求項10】
合わせガラス、フロントガラス又は光起電力モジュールを製造するための、請求項1から9までのいずれか1項記載の可塑剤含有のシートの使用。
【請求項11】
a)透明な前面カバーと、b)1つ又は複数の光敏感性の半導体層と、c)少なくとも1つの可塑剤含有の、ポリビニルアセタールをベースとするシートと、d)背面のカバーとからなる積層体を有する光起電力モジュールにおいて、前記可塑剤含有のシートは74℃未満の軟化温度Tgを有するポリビニルアセタール60〜90%と、可塑剤としてエステル基中に4〜17個のC原子を有する少なくとも1つのシクロヘキサンジカルボン酸エステル10〜40質量%とを有することを特徴とする、光起電力モジュール。
【請求項12】
前記可塑剤含有の、ポリビニルアセタールをベースとするシートc)が、塩基性化合物として1〜15個の炭素原子を有するカルボン酸の金属塩を含有することを特徴とする、請求項11記載の光起電力モジュール。
【請求項13】
前記可塑剤含有の、ポリビニルアセタールをベースとするシートが、SiO2 0.001〜5質量%を含有することを特徴とする、請求項11又は12記載の光起電力モジュール。
【請求項14】
透明な前面カバーa)又は背面のカバーd)上に1つ又は複数の光敏感性の半導体層b)が設けられ、可塑剤含有の、ポリビニルアセタールをベースとする少なくとも1つのシートc)により相互に接着されていることを特徴とする、請求項11から13までのいずれか1項記載の光起電力モジュール。
【請求項15】
前記光敏感性の半導体層b)が、2つのシートc)の間に埋め込まれ、カバーa)及びb)と接着されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の光起電力モジュール。

【公表番号】特表2011−528382(P2011−528382A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507934(P2011−507934)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055577
【国際公開番号】WO2009/135928
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(507052393)クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Brueningstrasse 50, D−65926 Frankfurt , Germany
【Fターム(参考)】