説明

可変ゾーン内の照明装置のリモートコントロール装置

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明はリモートコントロール装置に関し、特に可変ゾーンを含む産業的又は第3次的フィールドを照明するためのリモートコントロール装置に関する。
背景技術 照明道路等の照明装置の如く、ゾーン毎に照明を制御する装置においては、各ゾーン毎に1又はそれ以上の送信器を設置して、この送信器によって伝送バスを介してコード信号を送って受信器を制御する。受信器は照明装置を制御する。設備内の種々のゾーン内の受信器を制御するためには、同一ゾーン内の全ての受信器及びこれに対応する受信器に同一のアドレスが与えられる。このアドレスはゾーン毎に異なる。
しかし乍ら、同一ゾーン内の受信器及び発振器に同一アドレスを与える方式は、部屋が移設可能な間仕切によって仕切られている場合は必ずしもうまく対応出来ない。実際、間仕切板を動かした場合、この移動に関わる受信器についてはそのアドレスを変えるように処置しなければならず、かかる受信器の数が多いときには処置に要する時間が非常に長くなってしまう。
発明の目的 よって、本発明の目的はかかる難点を克服することであり、可変態様のゾーンの照明装置のリモートコントロール装置であって、ゾーンの再構成を簡便かつ迅速になし得るリモートコントロール装置を提供することである。
発明の概要 本発明によるリモートコントロール装置は、−制御さるべきゾーン全てに共用される伝送ラインと、−制御さるべきゾーン内に分布して該伝送ラインに接続した複数のローカル受信器であって、各々はゾーン毎に異なるアドレスをコーディングして照明設備を制御するローカル受信器と、−該伝送ラインに接続しかつ制御部材の作動に応じて同一ゾーン内にある受信器を制御する複数の送信器と、からなるリモートコントロール装置であって、−同一ゾーン内の受信器のアドレスが所定の順序にて異なるようにコーディングされ、−送信器は対応するゾーンの受信器のアドレスをコーディングする手段を有することを特徴としている。
したがって、受信器のアドレスは建物内に設置されると直ちに固定され、その後、ゾーンの変更が必要となった場合、送信器内の受信器アドレスを変更する補修をなせば十分である。
本願第1実施例においては、1以上のローカル送信器を制御さるべきゾーンに対応した受信器を協働せしめ、かつ各ローカル送信器に第1コーディング手段を設ける。各ローカル送信器は、制御部材によって作動せしめられて対応するゾーン内の受信器によって検知される伝送信号を発する。
よって、ゾーンが変更になった場合であっても、ローカル送信器だけについて修理をすれば良い。送信器の数は受信器の数より少ない故、修理の時間が節約出来る。
本発明の変形例においては、送信装置として対応するゾーンの受信器と共働しかつ送信器アドレスをコーディングする手段を含んで制御部材により作動せしめられて第1伝送信号を発する1以上のローカル送信器と、伝送ラインに接続して該ローカル送信器からの第1伝送信号を検知してこれを処理することが出来る共通のプログラマブルな中央ユニットとを有し、当該中央ユニットは各送信器アドレスとこれに対応したゾーン内にあって該送信器に共働する受信器のアドレスとの対応テーブルの形の第1コーディング手段を有し、従って、当該中央ユニットは受信器によって検知され得る第2伝送信号を発する。
この場合は、照明設備のゾーンが変更なるときは、該中央ユニットの対応テーブルのプログラム変更をなすだけで良く、修正時間が僅かで良い。
本発明の特徴によれば、各ローカル送信器に属するコーディング手段は、中央ユニットを含まない第1実施例の範囲内において、対応するゾーン内の第1受信器のアドレスのコーディング及び外ゾーン内の最終受信器のアドレスのコーディングを行なう。
また、中央ユニットを含む変形例の範囲内においては、送信器アドレスのコーディング及び受信器アドレスには用いられない所定値のコーディングがコーディング手段によってなされる。
また、各ローカル送信器にコーディング手段を単に設けるだけで、同様なローカル送信器及び受信器を用いつつ、中央制御ユニットのないリモートコントロール装置から中央制御ユニットを用いたリモートコントロール装置に簡単に変更出来ることが明らかである。
実 施 例 第1図の実施例において、本発明によるリモートコントロール装置は、可変分布ゾーンを含む工業及び第3次フィールドの照明の制御に用いられる。該可変分布ゾーンのうち2つだけ(Z1及びZ2)が説明の便宜のために示されているが決してこれに限定される訳ではない。また、このゾーンはユーザの意志によって変更され得るゾーンであり、例えば、移設自在な間仕切によって仕切られたオフィスである。
第1図において示されたリモートコントロール装置は、制御されるべき2つのゾーンZ1及びZ2に共通でありかつ商用AC220V電源が接続される伝送ラインを含んでいる。この伝送ライン10は、この実施例において、以下の3つの比較的剛性の高い導体からなっている。すなわち、−位相導体Phと、−伝送信号に対しては高インピーダンスを呈するフィルタ(図示せず)を介してAC220Vに接続してキャリア電流によって伝送信号を搬送する伝送導体バスと、−中性導体Nと、である。
伝送ライン10は、好ましくは、接地電位を形成する金属管とこの金属管内に絶縁体を介して保持された3つの導体とからなる。
第1図の本実施例においては制御さるべきゾーンZ1内において、ローカル送信器E1が設けられており、このローカル送信器E1は伝送ライン10に接続されており、このローカル送信器E1は伝送ライン10に接続されており、このローカル送信器E1には例えば2つのオン・オフプッシュボタン12及び13からなる制御手段11が3本のワイヤを介して接続されている。また、2つのローカル受信器Ri,Rjがこのゾーン内に配置され、このローカル受信器Ri及びRjは伝送ライン10に接続されており、ローカル受信器Ri及びRjは送信器E1からの命令によって照明装置20及び30を各々制御する。照明装置20及び30の各々は対応するローカル受信器の出力に並列に接続された2つのランプからなる。
同様にゾーンZ2においては、ローカル送信器E2が配設されて伝送ライン10に接続されている。ローカル送信器E2には、切換タイプのスイッチによって形成される制御手段11が接続されている。ゾーンZ2には、ローカル受信器Rl及びRmが配置されて伝送ライン10に接続している。ローカル受信器Rl及びRmは送信器E2の指令の下で並列ランプ50及び60を制御する。
ここで送信器、受信器及び照明装置の数はゾーン毎に異なっても良く、同一ゾーン内の数はいくつでも良いことを理解すべきである。なお、一般的に同一ゾーン内において送信器の数は受信器の数より少ない。更に、同一ゾーン内において同一群の受信器を制御するいくつかの送信器を設けることも出来る。
本発明による他の特徴によれば各ローカル受信器は、例えば、8ビットの受信器アドレスをコーディングする手段を含んでいる。この受信器アドレスは、受信器の設置の際において所定の順序にて固定される。この受信器アドレスは受信器毎に同一ゾーンのみならず、異なるゾーンにおいても異なる。好ましくは受信器のアドレス番号は同一ゾーン及び異なるゾーンにおいて順にコーディングされる。
よって、第1図の実施例においては、ゾーンZ1の受信器Ri及びRj及びゾーンZ2の受信器Rl及びRmは各々i,j及びl,mによって示されるアドレス番号よって指定される。この各アドレス番号は1ないし255のいずれかであり、i,j,l,mの固定順序である(i≠j≠l≠m)。
この例においてローカル送信器E1及びE2は対象となっているゾーン内において制御さるべき受信器のアドレス番号をコーディングするコーディング手段18を有する。これらのコーディング手段18は、対応するゾーン内の第1受信器のアドレス番号をコーディングし、更に同一ゾーン内の最終受信器のアドレス番号をコーディングする。第1図の例においては、ゾーンZ1の2つの受信器Ri及びRjのアドレス番号i及びjが送信器E1においてコーディングされ、ゾーンZ2内の2つの受信器Rl及びRmのアドレス番号が送信器E2によってコーディングされる。
上記した如き送信器E1及びE2によるコーディングはコーディングホィール(coding wheel)あるいはコーディングラベル(coding label)の如き公知のコーディング装置によってなされ得る。
送信器E1,E2は、制御手段11によって与えられる閉(点灯)指令又は開(滅灯)指令をプロセス回路22及びコーディング手段18によって処理して、伝送信号を伝送ライン10を介して送信する。この伝送信号は例えば、振幅変調されて関連するゾーン内の受信器によって受信される。実施例においては、ゾーンZ1内においては、受信器Ri及びRjが送信器E1によって制御され、ゾーンZ2内においては、受信器Rl及びRmが送信器E2によって制御される。
第3図において、送信器E1又はE2によって送信される伝送信号の基本波形の一部が示されている。すなわち、この伝送信号は制御さるべきゾーンに関連する第1受信器のアドレス番号に対応する8ビットデータすなわち、i又はl及び最終受信器のアドレス番号に対応するビットデータ、すなわちj及びm、及び送信器で与えられた閉状態(点灯)又は開状態(滅灯)に対応するデータビットからなる。
伝送ラインを介して伝送されるこの伝送信号の物理的波形は信号の不存在によって示される“1"ビット及び所定周波数の存在によって示される“0"ビットによって例えば定義され商用周波数に重畳される。ゾーンZ1又はZ2において受信器Ri及びRj又は受信器Rl及びRmはコーディング手段15と共にプロセス回路24によって第3図に示された伝送信号を検知してプロセス回路24に接続した制御回路27によって制御されるトライアック26によってゾーンZ1内における照明装置20,30の点灯又は滅灯又はゾーンZ2における照明装置50,60の点灯又は滅灯を点灯又は滅灯指令に応じて制御する。
間仕切65(第1図)を破線によって示される最初の位置から一点鎖線によって示される位置に移動することによって2つのゾーンZ1及びZ2の一方を変更する場合ユーザーはローカル送信器E1及びE2についてのみ処理をしてこの間仕切65の移動に関する第1及び最終受信器のアドレス番号のコーディングを変更する。例えば、送信器E1においては最終受信器のアドレス番号すなわちiのコーディングのみを変更すれば十分であり、送信器Eにおいては第1受信器のアドレス番号すなわちjのコーディングを変更すれば足りる。
更に、各ローカル受信器Ri,Rj,Rl,Rmに属するコーディング手段15は対応する受信器の出力がスイッチオンの状態の選択(活性又は非活性)の如き相補的機能のコーディングもすることができる。
第2図の変形例においては各ローカル送信器E1,E2はコーディング手段34を有し、このコーディング手段34は送信器E1についてはαによって示される送信器アドレス番号及び送信器E2についてはβによって示される送信器アドレス番号をコーディングし受信器アドレスとしては用いられない所定番号をアドレスとしてコーディングする。この所定アドレス値は0に選択される。
よって、制御手段11によって与えられる閉(点灯)指令又は開(滅灯)指令によって、各送信器E1,E2は伝送バスライン10を経て伝送信号を送信しこの伝送信号は第4図4図に示す如く対応する送信器のアドレスα又はβを示す8ビットデータを含み更に0アドレスを示す8ビットデータ及び送信器に与えられた点灯又は滅灯指令に対応するビットデータも含んでいる。
ローカル受信器Ri,Rj,Rl,Rmは各々0よりも大きいアドレス番号i,j,l,mを有し第4図に示された伝送信号は0アドレスを含み従っていずれのローカル受信器によっても処理されることはない。
この変形例においてはプログラマブルな中央ユニット70が2つのゾーンZ1及びZ2に共通になっており、導体N及びバスの間において伝送ライン10に接続され各送信器E1,E2に送信された伝送信号を検知できるようになっている。
この中央ユニット70は各送信器アドレス番号と対応するゾーンにおいて送信器に協働する受信器のアドレス番号との間の対応関係を示すテーブルを含んでおり、第2図R>図の例においては、中央ユニット70は送信器E1のアドレス番号αと、2つの受信器Ri,Rjのアドレス番号i,jとの間の対応関係を制御し、送信器E2のアドレス番号βとゾーンZ2における2つの受信器Rl,Rmのアドレス番号l,mとの間の対応関係も制御する。
中央ユニット70は送信器及び受信器の支配をするが如く働き各ローカル送信器E1,E2から送信された伝送信号を検知する手段を含み対応関係を示すテーブルの関数として新たな伝送信号を発信しこの伝送信号は関連するローカル受信器によって受信されて処理され与えられた順序において照明装置20,30又は照明装置50,60の点灯又は滅灯の制御をなす。
先の実施例におけるが如く間仕切65の破線で示された最初の位置から一点鎖線への移動によって2つのゾーンZ1及びZ2の一方が変更される場合ユーザーは中央ユニット70の対応テーブルだけを変更すれば良くこの変更は適当な入力手段によってなされ、間仕切65の移動に関連する送信器及び受信器のアドレス番号の対応を補正する。この例においては送信器E1のアドレス番号を受信器Riのアドレス番号iに対応せしめ送信器E2のアドレス番号βを受信器Rj,Rl,Rmの各々各アドレス番号をj,l,mに対応せしめる。
中央ユニット70は外部制御手段例えば照明レベルセンサ又はより高レベルの伝送ネットワークによる対話によって与えられる相補的な動作を制御することもできる。
本発明の重要な特徴は第1実施例において示したリモートコントロール装置におけるローカル送信器及び受信器をそのまま用いて変形例における中央ユニット70を用いたリモートコントロール装置を作成することが容易な点である。この場合において第1図受信器のアドレス及び最終受信器のアドレスを用い得るかわりに送信器のアドレス及びゼロアドレスを各ローカル送信器においてコーディングすれば足りるからである。さらに第1実施例においては送信器をコーディングせしめ、同一の伝送ラインにおいて変形例の中央ユニットとの対話をなすように送信器をしてコーディングせしめ同一の伝送線に存在せしめることもできる。
本発明によるリモートコントロール装置は工業的又は第3次的分野における照明制御の応用について述べたが、本発明は加熱制御又はその他の付加制限制御さらに工業的自動動作の制御の為に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による照明リモートコントロール装置の実施例を示すブロック図、第2図は照明リモートコントロール装置の変形例を示すブロック図、第3図及び第4図R>図は第1図及び第2図に各々示されるローカル送信器によって送信される伝送信号の波形の一部を示す図である。
主要部分の符号の説明
E1,E2……ローカル送信器
Ri,Rj,Rl,Rm……ローカル受信器
11……コントロール手段
20,30,50,60……照明装置
65……間仕切

【特許請求の範囲】
【請求項1】可変形態の分布ゾーンにおける照明のリモートコントロール装置であって、制御さるべき全てのゾーンに共用される伝送ラインと、前記伝送ラインに接続して前記ゾーンに分布してゾーン毎に異なる受信器アドレスをコーディングする手段と照明装置の制御をなす手段とを有する複数のローカル受信器と、前記伝送ラインに接続して制御手段の動作の下で同一ゾーン内の受信器を制御する複数の送信手段とからなり、同一ゾーン内の受信器のアドレスは所定の固定順序において互いに異なるようにコーディングされ、前記送信手段は対応するゾーンの受信器のアドレスのコーディングをなす第1手段を含むことを特徴とするリモートコントロール装置。
【請求項2】前記送信手段は対応するゾーンの受信器に各々対応した1以上のローカル送信器からなり、前記ローカル送信器は第1コーディング手段を備え前記ローカル送信器の各々は制御手段によって操作され対応するゾーン内の受信器によって検知され得る伝送信号を発することを特徴とする請求項1記載のリモートコントロール装置。
【請求項3】前記第1コーディング手段は対応するゾーンの第1受信器のアドレス及び前記対応するゾーンの最終受信器のアドレスをコーディングすることを特徴とする請求項2記載のリモートコントロール装置。
【請求項4】前記受信器のアドレスは同一ゾーン内においては順に且つゾーン毎に順にコーディングされることを特徴とする請求項2記載のリモートコントロール装置。
【請求項5】前記送信手段は対応するゾーンの受信器に対応する1以上のローカル送信器であって、適当な送信器アドレスをコーディングする第2手段を備え、前記ローカル送信器の各々は制御手段によって操作されて第1伝送信号を発し、前記伝送ラインに接続された共通なプログラマブルな中央ユニットであって前記第1伝送信号を検知し且つ処理し、対応するゾーン内において協働する受信器のアドレスと送信器のアドレスの間の対応関係を示すテーブルの形での第1コーディング手段を含み、対応するゾーン内の受信器によって検知され得る第2伝送信号を発するようになされた中央ユニットを含むことを特徴とする請求項1記載のリモートコントロール装置。
【請求項6】前記第2コーディング手段は前記送信器のアドレスのコーディング及び受信器アドレスとして用いられない所定値のコーディングをなすことを特徴とする請求項5記載のリモートコントロール装置。
【請求項7】前記ローカル受信器は0よりも大なるアドレス番号を有し、前記ローカル送信器における前記所定値はゼロに等しいことを特徴とする請求項6記載のリモートコントロール装置。
【請求項8】前記ローカル受信器に属するコーディング手段は受信器アドレスのコーディング及び少なくとも1の相補的機能のコーディングをなすことを特徴とする請求項1記載のリモートコントロール装置。

【第1図】
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【第3図】
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【第2図】
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【第4図】
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【特許番号】第2706533号
【登録日】平成9年(1997)10月9日
【発行日】平成10年(1998)1月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−246239
【出願日】平成1年(1989)9月20日
【公開番号】特開平2−121296
【公開日】平成2年(1990)5月9日
【出願人】(999999999)
【参考文献】
【文献】特開 昭64−89183(JP,A)
【文献】特開 昭56−132896(JP,A)
【文献】特開 昭63−182997(JP,A)
【文献】特開 昭61−140098(JP,A)
【文献】実開 昭61−18660(JP,U)