説明

可変ルーバを有する車両グリルおよび/またはその製造方法

本発明のある実施形態では、車両(例えば、自動車、トラック、スポーツ用多目的車など)用のグリルが提供される。本発明のある実施形態では、車両用グリルが可変ルーバを含む。ある実施形態では、所定条件が満たされた場合(例えば、車両速度が所定の閾値を上回る/下回る場合、風速が所定の閾値を上回る/下回る場合など)に、ルーバは、グリルに対して相対的に位置を変える(例えば、回転、スライドまたは移動する)ように構成される。この構成は、有利なことに、例えば、抵抗の低下および/または空気力学の改善に関する良好な車両性能(例えば、良好な燃料効率など)をもたらすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のある例示的な実施形態は、車両(例えば、自動車、トラック、スポーツ用多目的車など)用のグリル、より具体的には、可変ルーバを有する車両グリルに関するものである。ある例示的な実施形態では、予め設定された条件が満たされる場合(例えば、車両速度が予め設定された閾値を上回る/下回る場合、風速が予め設定された閾値を上回る/下回る場合など)に、ルーバは、グリルに対して相対的に位置を変える(例えば、回転、スライド、または移動する)ように構成される。この構成は、有利なことに、例えば、低い抵抗に関連する良好な車両性能をもたらすことができる。
【0002】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2009年7月13日に出願された米国出願第61/213,767号の利益を主張する。この米国出願の全内容は、引用により本明細書に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
従来より、車両のフロントグリルが知られている。実際に、自動車の市場には、様々な数多くの装飾的グリルアセンブリが存在する。多くの装飾的グリルアセンブリは、一般に中心に位置するグリルバッジの周囲に表面的デザイン(cosmetic designs)を含む。表面的デザインは、穴またはその他の開口部、バー、ビーム、メッシュ状パターンなどを含むときもある。車両、製造業者のトレードドレスまたはそこからの任意の意図的な逸脱(例えば、新規または特徴的ライン、製品などを製造することを希望する場合)に、グリル全体が“マッチ”するようにするために、非常に多くの作業がグリルの表面的特徴の設計に関係することが多い。
【0004】
しかしながら、そのような従来の技術は、残念なことに幾つかの問題に悩まされており、依然として更なる改良を行うことができる。例えば、現在市販されているグリルには、完全に平らで、例えば、高速で車両の周囲に空気を流すことによって、車両の空気力学を最適化するように形成されたものは(あったとしても)殆ど無い。多くの場合、グリルの表面的外観と、例えば、空気力学の改善、抵抗の低減、燃費の向上などと多少関連する目的および/またはその他の目的を達成することのような、車両に工学的恩恵を与える能力との間には、トレードオフの関係が存在する。
【0005】
このため、従来技術には、当然のことながら、改良された車両グリルおよび/またはその製造方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明のある例示的な実施形態の一態様は、選択的に動作可能な可変ルーバを含む車両グリルに関連する。
【0007】
本発明のある例示的な実施形態の別の態様は、予め設定された条件が満たされたときに、車両グリルに対する1またはそれ以上のルーバの相対位置を変化させる(例えば、回転、スライドまたは移動させる)ことに関連する。
【0008】
本発明のある例示的な実施形態のさらに別の態様は、抵抗を低減するために、かつ/または車両の空気力学を改善するために、グリルの内部および/または後方に少なくとも部分的に隠されるルーバを閉鎖させることに関連する。
【0009】
本発明のある例示的な実施形態では、車両用のグリルが提供される。このグリルは、少なくとも1の装飾的な開口部を含む。少なくとも1の可変ルーバは、グリルの内側に組み込まれて、少なくとも1の可変ルーバが、所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、少なくとも第1および第2位置の間で回転および/またはスライドするように構成されている。第1位置は、開放位置であり、第2位置は、少なくとも1の装飾的な開口部を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖位置である。ある例示的な実施形態によれば、第2の所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、第1および第2位置の間の第3位置との間で、少なくとも1のルーバが回転および/またはスライドするようにさらに構成されている。
【0010】
本発明のある例示的な実施形態では、グリルを含む車両が提供される。このグリルは、少なくとも1の装飾的な開口部を含む。少なくとも1の可変ルーバは、グリルの内側に組み込まれて、少なくとも1の可変ルーバが、所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、複数の離散した位置の間で回転および/またはスライドするように構成されている。複数の離散した位置のうち、第1位置は、開放位置であり、第2位置は、少なくとも1の装飾的な開口部を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖位置である。
【0011】
本発明のある例示的な実施形態では、車両用のグリルを製造する方法も提供される。
【0012】
本明細書に記載の例示的な実施形態の特徴、態様および利点は、更なる実施形態を実現するために、任意のコンビネーションまたはサブコンビネーションで、組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
それらの特徴および利点およびその他の特徴および利点は、以下の図面と併せて、例示的な実施形態の詳細な説明を参照することにより、より良好にかつ完全に理解することができる。
【図1】図1は、例示的な実施形態に係る車両グリルの部分的な正面斜視図である。
【図2】図2は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルの正面図である。
【図3】図3は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのほぼ中央線C/Lに沿った断面図である。
【図4】図4は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのA−A部分に沿った断面図である。
【図5】図5は、図1の車両グリルと類似する先行技術に係る車両グリルのB−B部分に沿った断面図である。
【図6】図6は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのB−B部分に沿った断面図である。
【図7】図7は、別の例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのB−B部分に沿った断面図である。
【図8】図8は、さらに別の例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのB−B部分に沿った断面図である。
【図9】図9は、例示的な実施形態に係るグリルおよびその構成要素の一例の概略正面図である。
【図10】図10は、例示的な実施形態に係るルーバの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある例示的な実施形態は、可変ルーバを含む車両グリル(例えば、自動車、トラック、スポーツ用多目的車などの車両用のグリル)に関するものである。ある例示的な実施形態では、予め設定された条件が満たされる場合(例えば、車両速度が予め設定された閾値を上回る/下回る場合、風速が予め設定された閾値を上回る/下回る場合など)に、ルーバは、グリルに対して相対的に位置を変える(例えば、回転、スライド、または移動する)ように構成される。この構成は、有利なことに、例えば、少ない抵抗および/または空気力学の改善に関連する良好な車両性能(例えば、良好な燃料効率のような)をもたらすことができる。
【0015】
ここで、より具体的に、図面を参照すると、図1は、例示的な実施形態に係る車両グリル100の部分的な正面斜視図であり、図2は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルの正面図である。なお、各図面における同様の符号は、幾つかの図面を通して同様の部分を示している。図1および図2に示すように、グリル100は本体部102を含む。“ビューティカバー(beauty cover)”104は、本体部102と一体化(連結、あるいは例えば成形により一体構造として形成)されている。ビューティカバー104は、グリルの幅の一部または全体に亘って延在させることができる。この配置構成は、ラジエータ、ヘッドライトアセンブリなどを隠すことができる。ある例示的な実施形態では、ビューティカバー104が、例えば、整備士が車両の内部に手を伸ばすために寄り掛かったときに、大きな負荷を保持するために、堅固な構造支持条件を満足するようにしてもよい。グリルのビューティカバーおよび/または本体部102は、任意の適当な固定手段により、車両に接合させることができる。ある例示的な実施形態では、例えば、複数のネジ、ファスナ、スナップ機構などを与えることができる。例えば、同一出願人による米国出願第11/896,939号を参照されたい。この出願の全内容は、引用により本明細書に援用されるものである。この出願には、本発明のある例示的な実施形態とともに使用するのに適した構造的内側グリル要素および装飾的外側グリル要素も記載されている。
【0016】
グリルバッジ取付領域106は、例えば、グリル100のほぼ幅方向および/または高さ方向の中央に設けられている。グリルバッジは、任意の適当な手法を使用して、グリル100の本体部102に接合することができる。例えば、同一出願人による米国出願公開第2009/0140549号を参照されたい。その内容全体は引用により本明細書に援用されるものである。装飾的特徴部108は、グリル100の本体部102に設けることができる。図1および図2に示すように、例えば、装飾的特徴部108は、ハニカム状の網目を含む。当然のことながら、例えば、バー、穴、開口部、メッシュ領域などのようなその他の特徴部を、本発明の様々な実施形態に関連して提供することができる。何れにしても、グリル100は、少なくとも部分的に車両のフロントの周囲を覆って、車両のヘッドライト、フォグランプまたはその他の特徴部を少なくとも部分的に取り囲む可能性のある任意のサイド部110を含む。
【0017】
図3は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルの略中央線C/Lに沿った断面図であり、図4は、例示的な実施形態に係る図1の車両グリルのA−A部分に沿った断面図である。
【0018】
図5は、図1に示す車両グリルと類似する先行技術に係る車両グリルのB−B部分に沿った断面図である。図5で最も良く見ることができるように、車両が移動するときに、装飾的特徴部108の周囲の円形の領域(circled areas)の内部および周囲に空気が流れる。車両が速く移動するに連れて、空気の流れが、車両の周囲に空気力学的に押し進められるのではなく、少なくとも部分的に車両に入り、その結果、抵抗が増大するとともに、この抵抗の増大を補償するために車両がより激しく働くため、潜在的に燃料効率が低下する。
【0019】
先に示唆したように、ある例示的な実施形態は、車両の空気力学の改善および/または抵抗の低減を補助する機構を包含する。特に、ある例示的な実施形態では、予め設定された条件が満たされる場合(例えば、車両速度が予め設定された閾値を上回る/下回る場合、風速が予め設定された閾値を上回る/下回る場合など)に、ルーバが、グリルに対して相対的に位置を変える(例えば、回転、スライド、または移動する)ように構成されている。それらルーバは、装飾的特徴部108によって与えられる開口部を“密封”するのを補助することができ、それにより、空気の流れを車両の周囲に向かわせて、抵抗の低減により空気力学を改善することができる。この点に関して、図6乃至図8は、ルーバが如何に作動するのかを示す幾つかの例示的な図を与える。
【0020】
ある例示的な実施形態では、例えば、ガラス充填ポリプロピレン、ナイロンまたはその他の材料からルーバを形成することができる。ルーバの表面には、例えば、グリルの特徴部とルーバとの間に良好なシールを形成するのを補助するために、シーラントコーティングまたはシーリング材のストリップを塗布することができる。ある例示的な実施形態では、例えば、サントプレーン(Santoprene)のような熱可塑性エラストマを使用することができる。例えば、図10に関連して、ルーバ設計の詳細の更なる例を以下に示す。
【0021】
図6は例示的な実施形態に係る回転ルーバ設計600を示している。ルーバは回動軸P1を中心に回転する。回動軸P1は、グリル100の“背後”であって車両フレームの“前方”に配置されている。その“開放”位置において、ルーバが地面に対してほぼ平行になり、その結果、例えば、車両の外部から見ることが困難または不可能になる。このため、車両を駐車したとき、および/または低速で走行するときには、車両グリル100を観察する人は、装飾的特徴部108を通じて、ルーバが存在することを判断することができない。また、ルーバは、“開放”位置において、地面に対して様々な角度で設けるようにしてもよい。その角度に関わらず、ルーバは、最大で所定距離Iだけ進入することができる。
【0022】
図6の例示的な実施形態においてルーバが開放位置(602a)にあるときには、シールストリップ(604a)が下方を向き、図6の例示的な実施形態においてルーバが閉鎖位置(602b)にあるときは、ストリップ(604b)がグリル100の内側エッジ108aに接触することができる。その際に、車両が前方に進むときに空気の流れが制限されて、それが無ければ入る程には、車両の内部に入ることがなくなる。図5の実施例とは異なり、グリル100の内側エッジ108aは、シール形成を補助する面積を増加させるために、“平坦に”調整することができる。例えば、領域606において示すように、シールストリップ604bが接触面積の増加により良好なシールを形成するように、底面を“L字状”とすることができる。
【0023】
図7は、例示的な実施形態に係る別の回転ルーバ設計700を示している。図6の例示的な実施形態と同様に、図7の例示的な実施形態におけるルーバは、回動軸P2を中心に回転する。しかしながら、この回動軸P2は、装飾的領域のほぼ中心に位置する。上述したように、“開放”位置においては、ルーバが地面に対してほぼ平行になり、その際に、ルーバが極めて薄く、かつ/またはそれ自体が装飾的特徴部108に大部分が隠されるため、例えば、車両の外部から見ることが困難または不可能になり、どちらかといえば車両フレームの一部として見ることができる。また、ルーバを、その開放位置では、地面に対して様々な角度で配置することができるが、平行またはほぼ平行が、ルーバ機構の全体的視野を減少させる点において、一般に有利である。その角度に関わらず、ルーバは、グリル100の“内側”に所定距離I1だけ進入することができ、回転軸P2から外側に、第2所定距離I2だけ進入することとなる。
【0024】
シーリング材は、図7の例示的な実施形態において、ルーバの両面に与えることができる。また、シーリング材は、ある例示的な実施形態では、その周縁部分のみに与えることができる(しかしながら、例えば、ルーバの半分の全体またはほぼ全体に沿ってシーリング材が与えられる場合には、その他の設計が実施可能である)。図7の例示的な実施形態は、時計回りに回転するルーバを含む。このため、その開放位置(702a)においては、シーリング材(704a)が、内側の上面および外側の下面に与えられる。したがって、ブレードが回転するときは、シーリング材がグリル100の角度の付いた内側エッジ108bに接触する。当然のことながら、ブレードを反時計回りに回転するように作ることもでき、そのような例示的な実施形態においては、シーリング材の位置も切り替えることができる。
【0025】
図6および図7の例示的な実施形態とは異なり、図8は、スライドするルーバ設計を含む。図8のスライドルーバは、位置S1(開放)からS2(閉鎖)までスライドし、グリル内に所定距離I3だけ進入する。上述したように、ルーバはシーリング材を含み、このシーリング材は、車両の外部を向くルーバの表面に位置させることができる。このため、その閉鎖位置(802b)においては、シーリング材(804b)が車両の外側を向く。さらに、シーリング材806は、ある角度で、かつ/または少なくとも部分的にルーバの周囲に与えるようにしてもよく、それにより、例えば、車両グリル100の部分108cの上面でシールを形成することができる。図8のスライドするルーバは、グリルに対してほぼ垂直(上下)に移動することができる。しかしながら、図8の例示的な実施形態におけるルーバは、グリル100の内側の輪郭と一致するように、角度が付けられ、それにより、閉鎖位置にあるときに良好なシールを与えながらも、開放位置におけるルーバに必要とされる全体プロファイル(overall profile)を低減することができる。
【0026】
図示していないが、例えば、開放位置と閉鎖位置との間でグリルの表面に沿ってほぼ水平にルーバが移動するように、スライドするルーバを与えるようにしてもよい。
【0027】
図9は、例示的な実施形態に係るグリルおよびその構成要素の一例の概略正面図である。図9に示すように、グリルの近傍にセンサ902が設けられている。このセンサは、例えば、風切音を(例えば、音響センサを使用して)測定することができる。このセンサは、信号をアクチュエータに送信して、必要に応じて、ベントを開放または閉鎖させるために、グリル上に設置されて、車両の電子機器を介して配線される。風切音が所定の閾値を上回るときは、ルーバを閉鎖させるようにしてもよい。また、その後、風切音が所定の閾値より下に低下したときは、ルーバを開放させるようにしてもよい。ある例示的な実施形態では、更なる空気流圧力によりルーバが破損しないように、所定の閾値を超える過度の風切音によってルーバが開放するものであってもよい。ある例示的な実施形態では、音響センサを使用するのではなく、アクチュエータシステムを車両の速度計、GPSユニット等に接続するものであってもよい。ある例示的な実施形態では、例えば、エンジンが熱くなり過ぎた場合にルーバが開放されるように、熱センサを設けるようにしてもよい。当然のことながら、様々な例示的な実施形態と関連して、その他のセンサを使用することも可能である。
【0028】
図10は、例示的な実施形態に係るルーバLの一例である。ルーバLの寸法および形状は、例えば、ルーバLが配置されることとなる特定のグリルに依存するものであってもよい。例えば、選択的にブロックされる領域の寸法および/または形状は、対応するルーバLの寸法および形状に影響を与えることがある。図10に示すルーバLは、例えば、ナイロン、ガラス充填のポリプロピレン等から形成することができる本体1000を含む。ルーバLは、ある例示的な実施形態の空気ブロック機構(air-blocking features)用の主構造としての機能を果たす突出部1002を含む。シール1008は、その少なくとも1の主要な面に与えられる。図10の実施例においては、シール1008が突出部1002の周囲に少なくとも部分的に延在する。
【0029】
ルーバLの本体1000の端部1004は、例えば、その回転を容易にするために、ほぼ円形とすることができる。端部1004は、内側部材1010の対応する歯部1012と係合するように、その内部に歯部1006を形成することができる。ある例示的な実施形態では、内側部材1010をアルミニウムとすることができる。内側部材1010の歯部1012間の空間に対応する、ルーバLの本体1000の端部1004の開口領域1014は、ルーバLの開閉を制御するモータからアクチュエータアームを受け入れるように構成することができる。すなわち、ある例示的な実施形態では、例えば、ルーバの選択的な回転および/または平行移動を引き起こすように、ルーバLを、リンケージ(アクティブサイド)に組み入れた後に、グリル(パッシブサイド)のフランジに取り付けるようにしてもよい。
【0030】
ある例示的な実施形態では、ルーバが(例えば、ポリプロピレンまたはガラス充填ポリプロピレンから)押出成形されるものであってもよい。そのような例示的な実施形態では、ルーバが(例えば、アルミニウムストックから押出成形された)内側部材と共押出成形されるものであってもよい。当然のことながら、その他の例示的な実施形態では、ルーバが射出成形されるものであってもよい。
【0031】
回転または平行移動するルーバの何れかと関連させて例示的な実施形態を説明してきたが、ある例示的な実施形態では、選択的なルーバの開放/閉鎖を行うときに、回転運動と平行移動とを組み合わせることも可能である。また、特定の材料から形成されるとして例示的な実施形態を説明してきたが、当然のことながら、その他の材料および/またはそれら材料のその他の処理技術を使用することも可能である。
【0032】
上記記載から明らかなように、本発明のある例示的な実施形態は、予め設定された条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、少なくとも第1および第2位置の間における少なくとも1の可変ルーバの回転および/または平行移動動作を伴うことができる。これら条件は、ある実施例では、風切音、速度および/またはその他の閾値が満たされるか、またはそれを超えることに対応させることができ、ある実施例では、第1および第2位置を“完全に開放された”位置および“完全に閉鎖された”位置に対応させることができる。しかしながら、様々な実施形態が、対応する離散または連続する閾値に一致する、複数の“部分的に開放された”位置または“部分的に閉鎖された”位置を伴うものであってもよい。換言すれば、ある例示的な実施形態では、車両が道路を進むときに、最大と最小の割合(例えば、10−90%)の間でルーバが部分的に開放および/または閉鎖されて、空気の所定部分がグリルを通過することが許容されるものとなっている。このため、ある実施例では、一連の閾値が満たされるときと、その反対のときに、グリルが最大限に開放されて、離散位置で閉鎖されるものとすることができる。より具体的な例として、車両が10mph以下で走行しているときにルーバが完全に開放されるとともに、5mph増加する毎に10%ずつルーバが閉鎖されて、車両が少なくとも60mphの速度に達したときには、完全にルーバが閉鎖されるようにすることができる。この実施例では、車両が同じ閾値または同様の閾値に減速したときに、ルーバが開放または再開放されるものであってもよい。さらにその他の例示的な実施形態においては、閾値が満たされたときにルーバが完全に閉鎖されて、一連の閾値を通過したとき(例えば、車両が減速したとき、風速が低下したときなど)に、予め設定された量“広げられる”ものであってもよい。さらにその他の例示的な実施形態においては、閾値が満たされたときにルーバが完全に開放されて、一連の閾値を通過したとき(例えば、車両の速度が上昇したとき、風速が増加したときなど)に、予め設定された量閉じられるものであってもよい。
【0033】
例示的な実施形態では可動部材を“ルーバ”として示してきたが、当然のことながら、例えば、シャッタ、羽根、ロッド、ベントなどを示すものとして、用語“ルーバ”を使用することも可能である。
【0034】
現時点で最も実践的で望ましい実施形態と考えられるものと関連して本発明を説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、それとは反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる様々な変更および均等な構成に及ぶことを意図するものであることに留意されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のグリルであって、
少なくとも1の装飾的な開口部と、
前記グリルの内側に組み込まれた少なくとも1の可変ルーバであって、所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、少なくとも第1および第2位置の間で回転および/またはスライドするように構成された可変ルーバとを備え、
前記第1位置が、開放位置であり、前記第2位置が、前記少なくとも1の装飾的な開口部を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖位置であることを特徴とするグリル。
【請求項2】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記少なくとも1の可変ルーバが、ガラス充填ポリプロピレンまたはナイロンから形成されることを特徴とするグリル。
【請求項3】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記少なくとも1の可変ルーバが、前記グリルの内側部材と共押出成形されることを特徴とするグリル。
【請求項4】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記少なくとも1の可変ルーバに設けられたシーラント材料をさらに備え、前記シーラント材料が、前記少なくとも1の可変ルーバが閉鎖位置にあるときに前記グリルと前記少なくとも1の可変ルーバの機構間のシールを補助することを特徴とするグリル。
【請求項5】
請求項4に記載のグリルにおいて、
前記シーラント材料が、熱可塑性エラストマであることを特徴とするグリル。
【請求項6】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記少なくとも第1および第2位置の間で移動するときに、前記グリルの内側に配置された回転位置を中心に回転するように、前記少なくとも1のルーバが配置されていることを特徴とするグリル。
【請求項7】
請求項6に記載のグリルにおいて、
前記少なくとも1のルーバが、前記第1位置にあるときに、地面に対してほぼ平行であり、前記第2位置にあるときに、地面に対してほぼ垂直であることを特徴とするグリル。
【請求項8】
請求項8に記載のグリルにおいて、
前記回転位置が、前記少なくとも1の装飾的な開口部の高さのほぼ中心に配置されていることを特徴とするグリル。
【請求項9】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記所定条件が、風切音の閾値に対応することを特徴とするグリル。
【請求項10】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記所定条件が、速度の閾値に対応することを特徴とするグリル。
【請求項11】
請求項1に記載のグリルにおいて、
第2の所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、前記第1および第2位置間の第3位置との間で回転および/またはスライドするように、前記少なくとも1のルーバが構成されていることを特徴とするグリル。
【請求項12】
グリルを含む車両であって、
前記グリルが、
少なくとも1の装飾的な開口部と、
前記グリルの内側に組み込まれた少なくとも1の可変ルーバであって、所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、複数の離散位置の間で回転および/またはスライドするように構成された可変ルーバとを備え、
前記複数の離散位置のうちの第1位置が、開放位置であり、前記複数の離散位置のうちの第2位置が、前記少なくとも1の装飾的な開口部を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖位置であることを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項12に記載の車両において、
前記所定条件と関連するデータを収集するように構成されたセンサをさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両において、
前記センサが、風切音に関するデータを収集するように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項13に記載の車両において、
前記センサが、車両速度に関するデータを収集するように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項16】
請求項13に記載の車両において、
前記センサにより収集したデータに基づいて、前記少なくとも1のルーバの位置を変えるように構成された機械的アクチュエータをさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項12に記載の車両において、
前記少なくとも1の可変ルーバに設けられたシーラント材料をさらに備え、前記シーラント材料が、前記少なくとも1の可変ルーバが閉鎖位置にあるときに前記グリルと前記少なくとも1の可変ルーバの機構間のシールを補助することを特徴とする車両。
【請求項18】
請求項12に記載の車両において、
前記少なくとも第1および第2位置の間で移動するときに、前記グリルの内側に配置された回転位置を中心に回転するように、前記少なくとも1のルーバが配置されていることを特徴とする車両。
【請求項19】
車両用のグリルの製造方法であって、
前記グリルを提供するステップと、
少なくとも1の可変ルーバを前記グリルの内側に組み込むステップであって、前記少なくとも1の可変ルーバが、所定条件が満たされたとき、または満たされなかったときに、少なくとも第1および第2位置の間で回転および/またはスライドするように構成されたものであるステップとを備え、
前記第1位置が、開放位置であり、前記第2位置が、前記少なくとも1の装飾的な開口部を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖位置であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記グリルが内側部材および外側部材を含むものであり、
前記少なくとも1の可変ルーバを前記グリルの内側部材と共押出成形するステップをさらに備えることを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−532798(P2012−532798A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520588(P2012−520588)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/001939
【国際公開番号】WO2011/008253
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512006321)ガーディアン インダストリーズ コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN INDUSTRIES CORP.
【Fターム(参考)】