説明

可変分周装置

【課題】クロック信号が高速化した場合でも対応することのできる可変分周装置を得る。
【解決手段】可変分周回路101は、クロック信号Clk_aを入力し、クロック信号Clk_aに対するP(Pは2以上の整数)またはP+1の分周した信号Do1を出力する。可変分周回路102は、クロック信号Clk_aと逆相になるクロック信号Clk_bを入力し、クロック信号Clk_bに対するPまたはP+1の分周した信号Do2を出力する。経路切り替え回路103は、信号Do1,Do2を入力し、経路選択信号MuxContにより信号Do1,Do2のうちいずれか一方を選択し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数シンセサイザなどに用いられる整数分周と分数分周の切り替えを行う可変分周装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可変分周装置の一つとして、例えば、非特許文献1に記載の回路が知られている。
図7は、このような従来の可変分周装置の構成図である。
デューティ比50%のクロック信号Clkと分周数制御信号DivCont1を入力とし、分周数制御信号DivCont1により、分周数が1もしくは1.5に切り替わり、分周後の信号Daを出力する分周回路201と、信号Daを入力とし分周数Pで分周後の信号Dbを出力する分周回路202から構成される。ここで、分周数Pは正の整数である。
【0003】
次に、このように構成された従来の可変分周装置の動作を説明する。ここでは一例としてP=8とし、8分周、8.5分周を行う場合について説明する。図8はクロック信号Clk、信号DaおよびDb、分周数制御信号DivCont1の時間波形の一例を示している。
分周数制御信号DivCont1はLowの時に分周回路201の分周数を1に設定し、Highの時に分周回路201の分周を1.5に設定する。また、分周回路202は入力信号
【0004】
時刻Taから時刻Tbの期間では分周数制御信号DivCont1はLowであるため、分周回路201の分周数が1である。そのため、分周回路201の出力信号Daはクロック信号Clkと等しい。分周回路202は入力信号を8分周した信号を出力するため、分周回路202の出力信号Dbはクロック信号Clkを8分周した信号になる。
時刻Tbから時刻Tcの期間の中では時刻Tb1から時刻Tb2の間だけ分周数制御信号DivCont1がHighになるため、分周回路201の分周数が1.5に設定される。そのため、時刻Tb1から時刻Tb2の間は分周回路201の出力信号Daはクロック信号Clkを1.5分周した信号となる。すなわち、図8中に示すように分周回路201はクロック信号Clkより0.5クロック長い信号を出力する。
【0005】
分周回路202は入力信号Daの立ち上がりエッジを8回カウントし、8分周信号を出力する。時刻Tbから時刻Tcの期間では信号Daの立ち上がりエッジを8回カウントする。その時間は8.5クロック分であるため分周回路202からは8.5分周された信号が出力される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Yu-Che Yang,Shih-An Yu,Yu-Hsuan Liu,Tao Wang,and Shey-Shi Lu、“A Quantization Noise Suppression Technique forΔΣ Fractional-N Frequency Synthesizers”IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,VOL.41,NO.11,NOVEMBER 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、分周数制御信号DivCont1はLowからHighへの切り替えを1クロック以内、HighからLowへの切り替えを1クロック以内に行わなければ分周数が設定値と異なる動作をするため、分周数制御信号DivCont1の切り替えは所定の時間内に行う必要がある。
【0008】
このように分周数制御信号DivCont1の切り替え時間には制限があり、従来の構成では1クロック以内に制御信号を変化させる必要があるため、クロック信号が高速化した場合、分周数制御信号DivCont1を高い時間精度で生成することが困難になり、可変分周装置を実現できなくなるという問題があった。
【0009】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、クロック信号が高速化した場合でも対応することのできる可変分周装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る可変分周装置は、第1のクロック信号を入力し、第1のクロック信号に対するP(Pは2以上の整数)またはP+1の分周信号を出力する第1の可変分周回路と、第1のクロック信号と逆相になる第2のクロック信号を入力し、第2のクロック信号に対するPまたはP+1の分周信号を出力する第2の可変分周回路と、第1の可変分周回路の出力と第2の可変分周回路の出力を入力し、経路選択信号に基づいていずれか一方を選択して出力する経路切り替え回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の可変分周装置は、入力されるクロック信号に対するPまたはP+1の分周信号を出力する可変分周回路を二つ設け、それぞれに第1のクロック信号と、これとは逆相となる第2のクロック信号を入力し、経路切り替え回路で、これら二つの可変分周回路の出力を選択して出力するようにしたので、クロック信号が高速化した場合でも十分に対応することのできる可変分周装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による可変分周装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による可変分周装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2による可変分周装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2による可変分周装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】この発明の実施の形態3による可変分周装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態4による可変分周装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】従来の可変分周装置を示す構成図である。
【図8】従来の可変分周装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による可変分周装置を示す構成図である。
図示の可変分周装置は、可変分周回路101(第1の可変分周回路)、可変分周回路102(第2の可変分周回路)及び経路切り替え回路103を備えている。可変分周回路101は、分周数制御信号DivCont1により2値の連続した整数の分周数P(但し、P≧2)およびP+1を設定可能であり、デューティ比50%の差動クロック信号Clk_a(第1のクロック信号)とClk_b(第2のクロック信号)のうちクロック信号Clk_aを入力とし、分周後の信号Do1を出力する可変分周回路である。また、可変分周回路102は、分周数制御信号DivCont2により2値の連続した整数の分周数PおよびP+1を設定可能であり、デューティ比50%の差動クロックClk_aとClk_bのうちクロック信号Clk_bを入力とし、分周後の信号Do2を出力する可変分周回路である。更に、経路切り替え回路103は、経路選択信号MuxContにより入力信号Do1およびDo2のうちいずれか一方を選択し出力する回路である。尚、可変分周回路101と可変分周回路102の回路構成は同じであり、入力信号であるクロック信号の位相のみが異なる。また、経路選択信号MuxContがLowの時に経路切り替え回路103は信号Do1を出力し、経路選択信号MuxContがHighの時に経路切り替え回路103は信号Do2を出力する。
【0014】
次に実施の形態1の可変分周装置の動作について説明する。ここでは説明のため、P=8の場合について説明する。
図2は、8分周、8.5分周、8分周を行う場合のクロック信号Clk_a,Clk_b、分周数制御信号DivCont1,DivCont2、経路選択信号MuxCont、信号Do1,Do2、出力信号Doの時間波形の一例である。
【0015】
本例では、分周数制御信号DivCont1がLowの時に可変分周回路101が8分周動作を行い、分周数制御信号DivCont1がHighの時に可変分周回路101は9分周動作を行う。また、分周数制御信号DivCont2がLowの時に可変分周回路102は8分周動作を行い、分周数制御信号DivCont2がHighの時に可変分周回路102は9分周動作を行う。
また、可変分周回路101及び可変分周回路102は、8分周動作時に4クロックだけHigh信号を出力し、残りの4クロックはLow信号を出力し、9分周動作時には4クロックだけHigh信号を出力し、残りの5クロックはLow信号を出力する動作を行う。
【0016】
時刻T0から時刻T1は8分周信号を得るための動作期間である。
分周数制御信号DivCont1がLowのため、可変分周回路101はクロック信号Clk_aの8分周信号を出力する。また、分周数制御信号DivCont2がLowのため、可変分周回路102はクロック信号Clk_bの8分周信号を出力する。そして、経路選択信号MuxContがLowであるため、経路切り替え回路103は信号Do1を出力する。従って、出力信号Doはクロック信号Clk_aを8分周した信号となる。
【0017】
時刻T1から時刻T4は8.5分周を得るための期間である。
分周数制御信号DivCont1がHighであるため、可変分周回路101は9分周動作を行う。従って、可変分周回路101の出力信号Do1はクロック信号Clk_aを9分周した信号を出力する。一方、分周数制御信号DivCont2はLowから変化しないため、可変分周回路102は8分周動作を行う。従って、可変分周回路102の出力信号Do2はクロック信号Clk_bを8分周した信号を出力する。
【0018】
経路選択信号MuxContに着目すると、時刻T1から時刻T2まではLowであり、時刻T2から時刻T4はHighである。そのため、経路切り替え回路103の出力信号Doは時刻T1から時刻T2の間は信号Do1を出力し、時刻T2から時刻T4の間は信号Do2を出力する。
【0019】
クロック信号Clk_aとClk_bは差動信号であるため、信号Do1は信号Do2より0.5クロックだけ立ち上がりエッジが早い。また、時刻T1から時刻T4において信号Do1はクロック信号Clk_aの9分周信号であり、信号Do2はクロック信号Clk_bの8分周信号であるため、信号Do2は信号Do1より0.5クロックだけ早く次の信号の立ち上がりエッジが出現する。そのため、時刻T1’から信号Do1の立ち下がりエッジが経路切り替え回路103から出力される前の時刻T3の間(3.5クロック)において経路切り替え回路103の出力信号を信号Do1から信号Do2へ切り替えると8.5分周信号を得ることができる。
【0020】
時刻T4から時刻T5は8分周信号を得るための期間である。
可変分周回路101,102は、分周数制御信号DivCont1,DivCont2がLowのため、共に8分周動作をする。従って、可変分周回路101はクロック信号Clk_aを8分周した信号を出力し、可変分周回路102はクロック信号Clk_bを8分周した信号を出力する。経路選択信号MuxContがHighであるため、経路切り替え回路103は信号Do2を出力する。
【0021】
このように、分数分周信号を得る期間(時刻T2から時刻T4)において、経路選択信号MuxContは3.5クロック以内に1回だけLowからHighへ切り替われば良く、制御信号である経路選択信号MuxContの切り替え時間の猶予を従来構成より長くすることができる。
従って、クロック信号が高速化した場合でも制御信号を高い時間精度で生成できるため、可変分周装置を確実に実現することができる。
尚、ここで示した可変分周回路101,102や経路切り替え回路103の動作は一例であり、本発明はこれに限られるものではない。
【0022】
以上説明したように、実施の形態1の可変分周装置によれば、第1のクロック信号を入力し、第1のクロック信号に対するP(Pは2以上の整数)またはP+1の分周信号を出力する第1の可変分周回路と、第1のクロック信号と逆相になる第2のクロック信号を入力し、第2のクロック信号に対するPまたはP+1の分周信号を出力する第2の可変分周回路と、第1の可変分周回路の出力と第2の可変分周回路の出力を入力し、経路選択信号に基づいていずれか一方を選択して出力する経路切り替え回路とを備えたので、クロック信号が高速化した場合でも十分に対応することのできる可変分周装置を得ることができる。
【0023】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2の可変分周装置を示す構成図である。
実施の形態2の可変分周装置は、可変分周回路111,112と経路切り替え回路103とを備えている。可変分周回路111は、クロック信号Clk_aと分周数制御信号DivCont1と電流制御信号DivPS1(第1の電流制御信号)とを入力信号とし、分周数制御信号DivCont1により設定された整数の分周数Pもしくは分周数P+1の分周動作を行う分周後の信号Do1を出力する可変分周回路である。可変分周回路112は、クロック信号Clk_bと分周数制御信号DivCont2と電流制御信号DivPS2(第2の電流制御信号)を入力信号とし、分周数制御信号DivCont2により設定された整数の分周数Pもしくは分周数P+1の分周動作を行う分周後の信号Do2を出力する可変分周回路である。また、経路切り替え回路103は、実施の形態1と同様であり、経路選択信号MuxContにより入力した信号Do1およびDo2のうちいずれか一方を選択し出力する選択回路である。
【0024】
尚、実施の形態1と同様に、可変分周回路111および可変分周回路112の回路構成は同じであり、入力信号であるクロック信号の位相のみが異なる。また、経路切り替え回路103は、経路選択信号MuxContがLowの時に信号Do1を出力し、経路選択信号MuxContがHighの時に信号Do2を出力する。
【0025】
電流制御信号DivPS1はLowの時に可変分周回路111を電流削減状態にさせ、Highの時に可変分周回路111を動作させる。また、電流制御信号DivPS2はLowの時に可変分周回路112を電流削減状態にさせ、Highの時に可変分周回路112を動作させる。
【0026】
電流制御信号DivPS1は、経路選択信号MuxContの立ち下がりエッジよりNクロックだけ早く立ち上がり、経路選択信号MuxContの立ち上がりエッジよりMクロックだけ遅く立ち下がる。電流制御信号DivPS2は、経路選択信号MuxContの立ち上がりエッジよりNクロックだけ早く立ち上がり、経路選択信号MuxContの立ち下がりエッジよりMクロックだけ遅く立ち下がる。即ち、電流制御信号DivPS1,DivPS2により、可変分周回路111,112のうち、その出力が経路切り替え回路103で選択されていない方を電流削減状態とする。また、NクロックやMクロックは、可変分周回路111,112が動作する場合に電流削減状態から復帰しているためのセーフティマージンである。
【0027】
次に、図4を用いて実施の形態2の可変分周装置の動作について説明する。一例として、ここでは、P=8、M=6.5、N=1.5とする。図4は、実施の形態2で示す回路の出力信号、クロック信号、制御信号の時間波形を表している。
図4に示すクロック信号Clk_a,Clk_b、信号Do1,Do2、出力信号Do、分周数制御信号DivCont1,DivCont2、経路選択信号MuxContの時間波形は実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略し、電流制御信号DivPS1,DivPS2について説明する。
尚、可変分周回路111,112は、8分周動作時に4クロックだけHigh信号を出力し、残りの4クロックはLow信号を出力し、9分周動作時には4クロックだけHigh信号を出力し、残りの5クロックはLow信号を出力する動作を行う。
【0028】
時刻T0から時刻T1では経路選択信号MuxContはLowであり、経路切り替え回路103は可変分周回路111の出力信号Do1を出力し、可変分周回路112の出力信号Do2は経路切り替え回路103の出力側に出力されない。このとき、電流制御信号DivPS2はLowであり、可変分周回路112を電流削減状態にする。
【0029】
時刻T1から時刻T4は8.5分周信号を得る期間である。電流制御信号DivPS1およびDivPS2はHighとなり、可変分周回路111および112はそれぞれの分周数制御信号DivCont1およびDivCont2に応じた分周動作を行う。
【0030】
時刻T4から時刻T5では経路選択信号MuxContはHighであるため、経路切り替え回路103は可変分周回路112の出力信号Do2を出力し、可変分周回路111の出力信号Do1は経路切り替え回路103の出力側に出力されない。このとき、電流制御信号DivPS1はLowであり、可変分周回路111を電流削減状態にする。
【0031】
このように、電流制御信号DivPS1,DivPS2により可変分周回路111,112を制御することにより、経路切り替え回路103により選択されない信号を出力とする可変分周回路を電流削減状態にすることができるため、可変分周装置全体の電流削減を実現することができる。
【0032】
なお、本例ではP=8、M=6.5、N=1.5の場合について説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではない。また、ここで使用した可変分周回路や経路切り替え回路の動作は一例であり、本発明はこれに限られるものではない。
【0033】
以上説明したように、実施の形態2の可変分周装置によれば、第1の可変分周回路と第2の可変分周回路のうち、その出力が経路切り替え回路で選択されていない可変分周回路を電流削減状態とするようにしたので、可変分周装置全体の電流削減を実現することができる。
【0034】
また、実施の形態2の可変分周装置によれば、第1の可変分周回路及び第2の可変分周回路は、それぞれ入力される第1の電流制御信号及び第2の電流制御信号がローレベルのときに電流削減状態、ハイレベルのときに動作状態となるよう設定されると共に、経路切り替え回路は、経路選択信号がローレベルのときに第1の可変分周回路の出力を選択し、ハイレベルのときに第2の可変分周回路の出力を選択し、かつ、第1の電流制御信号は、経路選択信号の立ち下がりエッジよりNクロック早く立ち上がり、経路選択信号の立ち上がりエッジよりMクロック遅く立ち下がり、第2の電流制御信号は、経路選択信号の立ち上がりエッジよりNクロック早く立ち上がり、経路選択信号の立ち下がりエッジよりMクロック遅く立ち下がるようにしたので、可変分周装置全体の電流削減を高精度で実現することができる。
【0035】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3の可変分周装置を示す構成図である。
実施の形態3の可変分周装置は、可変分周回路111,112、経路切り替え回路103、単相差動変換回路113を備えている。ここで、可変分周回路111,112及び経路切り替え回路103の構成は実施の形態2と同様であるため、これらの説明については省略する。
【0036】
単相差動変換回路113は、単相のクロック信号を入力し入力信号と同相のクロック信号Clk_aと入力信号と逆相のクロック信号Clk_bを出力する回路である。実施の形態3では、入力されるクロック信号が単相であっても、単相差動変換回路113を用いることにより差動のクロック信号を得ることができるため、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
尚、ここでは単相のクロック信号と同相の信号をクロック信号Clk_aとし、逆相の信号をClk_bとしたが、単相のクロック信号と逆相の信号をクロック信号Clk_aとし、同相のクロック信号をクロック信号Clk_bとしても良い。
【0037】
以上説明したように、実施の形態3の可変分周装置によれば、単相のクロック信号を差動のクロック信号へ変換する単相差動変換回路を備え、差動のクロック信号の一方を第1のクロック信号、他方を第2のクロック信号とするようにしたので、入力されるクロック信号が単相であっても可変分周装置全体の電流削減を実現することができる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態4では、整数Aを整数Pより大きい値とし、P分周動作をX回、P+1分周動作をY回、P+0.5分周動作を1回行い、A+0.5分周信号を得るようにした可変分周装置について説明する。尚、図面上の構成については、実施の形態1〜3における図1,図3,図5と同様であるため、構成に関する説明は省略する。
以下、図3または図5の構成を用いて実施の形態4の動作について説明する。
【0039】
図6は、クロック信号Clk_a,Clk_b、分周数制御信号DivCont 1,DivCont2、経路選択信号MuxCont、信号Do1,Do2、出力信号Do、電流制御信号DIVPS1(第1の電流制御信号),DIVPS2(第2の電流制御信号)の時間波形の一例である。ここでは、一例としてA=50、P=8、X=3、Y=2の場合について説明する。
【0040】
時刻T0から時刻T1の期間では分周数制御信号DivCont1がLowであるため、可変分周回路111は8分周信号を出力する。経路選択信号MuxContがLowであるため、経路切り替え回路103は8分周信号を出力する。電流制御信号DivPS2がLowのため、可変分周回路112は電流削減状態である。
【0041】
時刻T1から時刻T2までは分周数制御信号DivCont1がHighになるため、可変分周回路111は9分周信号を出力する。経路選択信号MuxContはLowであるため、経路切り替え回路103は9分周信号を出力する。電流制御信号DivPS2がLowであるため、可変分周回路112は電流削減状態である。
【0042】
時刻T2から時刻T3の期間は8.5分周信号が経路切り替え回路103より出力される。動作の詳細は実施の形態1における8.5分周信号を得る期間と同様の動作であるためここではその説明を省略する。
【0043】
以上のように、時刻T0から時刻T3の期間において、経路切り替え回路103から8分周信号が3回、9分周信号が2回、8.5分周信号が1回出力される。この時、経路切り替え回路103の出力端子に接続されており、入力信号の立ち上がりを6回カウントし、最初の3回をカウントする間Highを出力し、残りの3回をカウントする間Lowを出力する図示されていないカウンタ回路は50.5分周信号を出力するため、時刻T0から時刻T3の期間において50.5分周信号を得ることができる。
【0044】
二つの可変分周回路111,112は、時刻T2からT3の期間だけ同時に動作しており、時刻T0からT2までは可変分周回路111のみが動作し、可変分周回路112は電流削減状態であるため、分周数の大きな信号を得る場合においても可変分周装置全体の電流削減が実現できる。
【0045】
このように、可変分周装置の分周動作回数を適切に設定することにより、A+0.5分周信号を得る期間のうち、P+0.5分周の期間が1回だけであるため、可変分周回路111,112を同時に動作させる期間が最小になり、可変分周装置全体の最大の電流削減を実現することができる。
【0046】
尚、本実施の形態では、A=50、P=8、X=3、Y=2の場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
【0047】
以上説明したように、実施の形態4の可変分周装置によれば、第1の可変分周回路または第2の可変分周回路はP分周信号をX(Xは任意の整数)回出力し、第1の可変分周回路または第2の可変分周回路はP+1分周信号をY(Yは任意の整数)回出力し、経路切り替え回路は、第1の可変分周回路と第2の可変分周回路の出力を経路選択信号に基づいて選択することによりP+0.5分周信号を1回出力し、これらX回、Y回、1回の分周信号に基づいてA(AはPより大きい整数)+0.5分周信号を得るようにしたので、分周数の大きな信号を得る場合においても可変分周装置全体の電流削減を実現することができる。
【0048】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0049】
101,111 可変分周回路(第1の可変分周回路)、102,112 可変分周回路(第2の可変分周回路)、103 経路切り替え回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクロック信号を入力し、当該第1のクロック信号に対するP(Pは2以上の整数)またはP+1の分周信号を出力する第1の可変分周回路と、
前記第1のクロック信号と逆相になる第2のクロック信号を入力し、当該第2のクロック信号に対するPまたはP+1の分周信号を出力する第2の可変分周回路と、
前記第1の可変分周回路の出力と前記第2の可変分周回路の出力を入力し、経路選択信号に基づいていずれか一方を選択して出力する経路切り替え回路とを備えた可変分周装置。
【請求項2】
単相のクロック信号を差動のクロック信号へ変換する単相差動変換回路を備え、
前記差動のクロック信号の一方を第1のクロック信号、他方を第2のクロック信号とすることを特徴とする請求項1記載の可変分周装置。
【請求項3】
第1の可変分周回路と第2の可変分周回路のうち、その出力が経路切り替え回路で選択されていない可変分周回路を電流削減状態とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変分周装置。
【請求項4】
第1の可変分周回路及び第2の可変分周回路は、それぞれ入力される第1の電流制御信号及び第2の電流制御信号がローレベルのときに電流削減状態、ハイレベルのときに動作状態となるよう設定されると共に、経路切り替え回路は、経路選択信号がローレベルのときに前記第1の可変分周回路の出力を選択し、ハイレベルのときに前記第2の可変分周回路の出力を選択し、
かつ、
前記第1の電流制御信号は、前記経路選択信号の立ち下がりエッジよりNクロック早く立ち上がり、前記経路選択信号の立ち上がりエッジよりMクロック遅く立ち下がり、
前記第2の電流制御信号は、前記経路選択信号の立ち上がりエッジよりNクロック早く立ち上がり、前記経路選択信号の立ち下がりエッジよりMクロック遅く立ち下がることを特徴とする請求項3記載の可変分周装置。
【請求項5】
第1の可変分周回路または第2の可変分周回路はP分周信号をX(Xは任意の整数)回出力し、
前記第1の可変分周回路または前記第2の可変分周回路はP+1分周信号をY(Yは任意の整数)回出力し、
経路切り替え回路は、前記第1の可変分周回路と前記第2の可変分周回路の出力を経路選択信号に基づいて選択することによりP+0.5分周信号を1回出力し、
これらX回、Y回、1回の分周信号に基づいてA(AはPより大きい整数)+0.5分周信号を得ることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の可変分周装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−222793(P2012−222793A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90197(P2011−90197)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】