可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームおよびその形成方法
【課題】強化コンポジット材料のための織りプリフォーム(200)であり、平らに織り所定の形にするものの提供。
【解決手段】プリフォーム(200)は、三次元の織り構造をもち、フィル繊維(214)の織りによって、各層内の繊維をインターロックするだけでなく、縦糸繊維(216)の層について層と層とをインターロックするようにしている。ベース(200)から少なくとも2つの脚(225,235)が伸び、それらベース(200)および脚(225,235)は、それぞれ少なくとも2層の縦糸繊維(216)を含む。脚は、互いに平行か斜めになっており、また、それらの間に可変幅のクレビス(250)をもつ。ベースおよび/または脚の外側の端部は、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【解決手段】プリフォーム(200)は、三次元の織り構造をもち、フィル繊維(214)の織りによって、各層内の繊維をインターロックするだけでなく、縦糸繊維(216)の層について層と層とをインターロックするようにしている。ベース(200)から少なくとも2つの脚(225,235)が伸び、それらベース(200)および脚(225,235)は、それぞれ少なくとも2層の縦糸繊維(216)を含む。脚は、互いに平行か斜めになっており、また、それらの間に可変幅のクレビス(250)をもつ。ベースおよび/または脚の外側の端部は、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、織りプリフォームに関し、特には、強化コンポジット材料に用いる織りプリフォームに関し、プリフォーム中に好ましくないループを生じることなく平坦に織り、最終形状に折ることができる技術に関する。
【引用による組み入れ】
【0002】
ここで引用するすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、およびここで述べる製品についての製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0003】
構造的な構成要素あるいは部品を製造するために、強化コンポジット材料を用いることは、今や一般的である。特に、重さが軽いこと、強固、丈夫、耐熱性、自らを支える能力、および形作る上で適合するという、好ましい特性が求められるところでは広く普及している。そのような構成要素あるいは部品は、たとえば、航空、航空宇宙産業、人工衛星、レクレーション分野(レース艇やレーシングカーなど)、およびその他の分野で用いられる。
【0004】
そのような構成要素あるいは部品は、典型的に、マトリックス材料の中に埋め込んだ強化素材から構成される。強化の構成部分は、ガラス、炭素、セラミックス、アラミド、ポリエチレン、および/または、物理的、熱的、化学的および/またはその他の好ましい特性、第1には応力に対する大きな耐久性を示すその他の材料から構成される。そのような強化材料、それらは結局は完成品の構成要素になるのであるが、それらを使用するとき、たとえば非常に大きな強度のようなそれら強化素材の望ましい特性が、完成したコンポジット部品に授けられることになる。構成要素である強化材料は、典型的には、織られたり編まれたり、あるいはその他のやり方で強化プリフォームのための好ましい形状および形に形成される。通常、選択理由である強化材料の特性が最大限に活用されるように注意が図られる。また、そのような強化プリフォームについては、マトリックス材料と組み合わせることにより必要な完成品を得、あるいは、完成品の最終生産のために役立つ在庫品を得る。
【0005】
必要な強化プリフォームを構成した後、マトリックス材料をプリフォームおよびその中に加えるようにする。それにより、強化プリフォームは、マトリックス材料で包まれ、マトリックス材料は強化プリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋める。マトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミックス、炭素および/またはその他の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。マトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。しかし、通常、それらは強化プリフォームと同じ材料ではなく、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似しない。なぜなら、第1にコンポジットを用いる通常の目的は、ただ一つの構成材料だけでは得ることができない組合せ特性を完成品で得ることにあるからである。強化プリフォームおよびマトリックス材料は、そのように組み合わされた後、熱硬化処理あるいは他の公知の方法で同じ作業工程において硬化および安定化され、さらに、目的とする構成部品を製造するための他の作業工程に入る。ここで、そのように硬化した時点において、マトリックス材料の固体化したものが、通常、強化材料(たとえば、強化プリフォーム)に非常に強く付着していることに気付くことが大事である。結局、完成品上の応力が、繊維間の接着剤として機能するそのマトリックス材料を特に通して、補強された強化プリフォームの構成材料に有効に移され保持される。
【0006】
構成要素あるいは部品にしばしば求められることは、たとえば平板、薄板、長方形あるいは正方形の立体などの幾何学的に単純な形状以外の形状のものを製造することである。これに応えるための一つの方法は、そのような基本的な幾何学形状を組み合わせることにより、求められる複雑な形態にすることである。そのような典型的な組合せの一つは、上で述べたようにして作った強化プリフォームを互いに角度をもって(典型的には、直角)接合することにより作ったものである。そのような角度をもって強化プリフォームを接合し配列する普通の目的は、1または2以上の端壁やたとえば「T」交差を含む強化プリフォームを形作る狙いとする形を作り出すこと、あるいは、強化プリフォームの組合せで得たものおよびコンポジット構造について、圧力や張力などの外力を受けた場合でもたわみや破損に耐えられるように強化することである。とにかく、関連する動機は、構成する構成要素間の各連結をできるだけ強固にすることである。強化プリフォームの構成要素それ自体に求められる非常に大きな強度が与えられるとき、構造上の「チェーン」における「弱いリンク」となるのが、実際上、連結における弱さである。
【0007】
交差する構成の一例について、USP第6,103,337号が示している。その文献に示す内容は、参照によってこの中に含ませる。その文献においては、2つの強化板(補強プレート)をT型に結合する有効な方法を示している。
【0008】
今まで、そのような結合を作るために他のいろいろな方法が提案されている。パネル構成要素と、角度をもって置く強化のための構成要素とを互いに別々に作り硬化することが提案されている。後者の構成要素は、単一のパネル接触面をもつか、あるいは、一端が二股に分かれて分岐した同一平面上の2つのパネル接触面をもっている。そして、2つの構成要素は、熱硬化接着剤あるいは他の接着材料を用いて、強化のための構成要素のパネル接触面を他の構成要素の接触面に接着によって結合する。しかし、硬化したパネルに対しあるいは複合構造の外皮に対し張力がかかると、結合の有効な強度が接着剤のそれではなく、マトリックス材料のそれであることから、受け入れることができないような小さな値の負荷が「はがし(ピ−ル)」力となり、それが強化のための構成要素をパネルとの界面でパネルから分離してしまう。
【0009】
そのような両構成要素の界面に金属ボルトやリベットを用いることはできない。なぜなら、そのような付加をすれば、複合構造自体の完全な形の少なくとも一部を破壊し弱めてしまうし、重さを増すことになるし、そのような構成要素と周囲の材料との熱膨張係数に違いを生じてしまうからである。
【0010】
この問題を解決する他の方法では、結合領域の全域に高い強度の繊維を加えるという考え方を基礎にしている。すなわち、2つの構成要素の一方を他方に縫い、縫い糸によってそのような強化繊維が結合に加わるようにしている。USP第4,331,495号がそのような方法の一つを示し、また、USP第4,256,790号がそれを分割したものである。これらの特許は、繊維層を接着によって結合した第1および第2の複合パネル間の接合について示している。第1のパネルは、一端で二股に分かれ、従来技術のように同一平面上の2つのパネル接触面をもつ。その第1のパネルと第2のパネルとを結合するため、両パネルを通して未硬化のフレキシブルな複合糸を縫い込んでいる。その後、両パネルおよび縫い込んだ糸は、「共に硬化」、つまり同時に硬化される。また、USP第5,429,853号が、結合強度を改良する他の方法を示している。
【0011】
今までも強化のための複合物を構造的に一体化しようとする改良がなされ成功しているが、特にUSP第6,103,337号のものでは、接着剤あるいは機械的な結合部材を用いる場合とは異なる方法における問題に取り組みそれを改良するという要求がある。この点から、特殊化した専用の機械によって、三次元(「3D」)の織り構造を作り出す方法が考えられる。しかし、それにはかなりの費用がかかるし、しかも、織機で単純な構造を作り出すという要求が強く求められるところである。この事実にもかかわらず、繊維強化コンポジットの構成要素に加工することができる3Dプリフォームは、魅力的である。なぜなら、それらの構成要素は、今までの二次元の積層コンポジットよりも大きな強度を提供するからである。それらのプリフォームは、面外荷重を支えるコンポジットを必要とする用途に特に有用である。しかし、上に述べた今までのプリフォームでは、大きな面外荷重に耐える上、自動織機で織る上で、およびプリフォームに厚さの異なる部分を得る上で能力的な制限がある。プリフォームの織りについての織り構造や自動化は、未発達であり、プリフォームの融通性に制限がある、今までの積層、繊維巻き、あるいは編組コンポジットに比べてわずかな利点を生じているだけである。
【0012】
他の方法として、二次元(「2D」)の構造に織り、それを所定の3D形に折り込むことが考えられる。しかし、その方法では、プリフォ−ムを折り込むときに、一般にところどころゆがめてひずみを生じてしまうことになる。ひずみが生じる原因は、織られた繊維の長さがプリフォ−ムを折り込むときの長さと異なるからである。これによって、織られた繊維の長さが短すぎる領域には、くぼみや波状を生じ、また、織られた繊維の長さが長すぎる領域には、曲げを生じる。3Dプリフォーム織り構造物の一例、そのものでは、プリフォームを折ったとき領域に波状あるいはループを生じるだろうが、USP第6,874,543号がその一例を示す。そのすべての内容を参照によってここに組み込む。たとえば、「T」、「I」、「H」あるいは「パイ」断面のような特定の構造による形を伴う繊維プリフォームは、今までの有ひ織機で織ることができる。存続するいくつかの特許(たとえば、USP第6,446,675号やUSP第6,712,099号)がそのような構造を織る方法を示す。しかし、今までのすべての技術は、プリフォームの断面を縦糸の繊維方向に同様に構成している。
【0013】
これらのプリフォームは、たとえば樹脂トランスファー成形などの強化技術を用いて、強化コンポジットの構成要素にしばしば加工され、また、航空機構造におけるスチフナおよび/または連結部材として用いられる。パイ形プリフォームの場合、ウェブは、一般的には、複数の脚間の空所、すなわちクレビスに挿入される。
【0014】
多くの適用に対し、同様幅のクレビスが適切である。しかし、それが好ましくない他の場合もある。たとえば、同様幅のクレビスには、ウェブが同様の厚さをもつことが必要であり、その厚さは、構造物の最も高い負荷がかかる部分によって大きさが決まる。このことは、重さを節約することが実現できないことを意味する。重さの節約は、より小さな負荷がかかる部分におけるウェブを細くすることによって達成されるからである。
【発明の概要】
【0015】
この発明は、多数の脚を伴う繊維プリフォームを織るに際し、それらの脚が必ずしも互いに平行にならないように織る方法である。この発明による一実施例は、可変幅のクレビスを伴うパイ形のプリフォームである。すなわち、可変幅とは、直立した複数の脚間の幅がプリフォームの長さにしたがって異なることである。
【0016】
可変幅のクレビスについては、たとえば、直立した脚を形作るプリフォームの部分からいくつかの縦糸繊維を選択的に外し(目落ちさせ)、同時に他の部分(領域)の縦糸繊維を加えることによって作り出す。クレビスを広げるために、直立した脚の一つのベース部分で縦糸繊維を外し、先の部分で加える。クレビスを狭くするためには、逆のことを行う
【0017】
この発明の方法は、また、他の断面の形、たとえば「T」形あるいは「T」の上部に関してある角度をもって走る「T」のブレードをもつ「T」スチフナ、またはH形状あるいはI形状のような他の形を作るためにも用いることができる。
【0018】
この発明の方法は、可変の厚さあるいは可変の長さ、または互いに平行あるいは斜めになった高さのある脚を伴うプリフォームを織るために用いることができる。プリフォームは、縦糸繊維に対する今までのパターン、すなわち、プライ対プライ、厚さ方向アングルインターロック、直交その他のパターンを用いて織ることができる。炭素繊維が好ましいが、この発明は、他のタイプの繊維にも実際上適用することができる。
【0019】
この発明の他の目的は、現存するプリフォームおよび/または今までの強化コンポジット構造物に代わるもの、および/またはそれらの改良を目指した3D織りプリフォームを提供することである。
【0020】
この発明の他の目的は、改良した特性を伴う3Dプリフォームを得るための新しい方法を提供することであり、ループの形成をなくし、5つのシャトル(ひ)の動きを3つに取り替えることによって、より良いプリフォームを少ない時間で供給するようにした技術を提供することである。
【0021】
また、この発明の他の目的は、3Dプリフォームを構成する繊維にひずみを生じることなく、所定の形に折ることができる、そのような3Dプリフォームを提供することである。
【0022】
さらに、この発明の別の目的は、パイ形の強化コンポジットを形成する上で特に有用な3Dプリフォームを提供することである。
【0023】
これらならびに他の目的および利点を得るため、この発明では、樹脂を注入するに先立ち、平坦に織った後で所定の形に折るようにした3D織りプリフォ−ムを提供することにより、繊維に好ましくないひずみを生じることがないようにする。これを達成するため、織りをする間に繊維の長さを調節し、プリフォ−ムをなめらかな折り目をもつ形に折り込むとき、繊維の長さが一様になるようにする。この技術は、パイ形の織りプリフォ−ムに特に適しているが、いろいろな形のものに利用することができる。また、織りプリフォームに言及しているが、当業者にとってみれば、この発明は、たとえば、編組あるいは縫合結合などの非織りのものにも適用することが明らかである。
【0024】
したがって、この発明の一実施例は、三次元の織り構造をもつ機械的あるいは構造上のジョイント用プリフォームであり、フィル(横糸)繊維の織りによって、各層内の繊維を組み合わせる(インターロックする)だけでなく、縦糸繊維の層について層と層とを組み合わせるようにしている。その織りプリフォームは、規制された繊維によって面外荷重を伝達し、層間の張力(応力)を最小にする。そのプリフォームは、ベースと、そのベースから広がる少なくとも2つの脚とを備え、ベースおよびその(それらの)脚は、それぞれ縦糸繊維による少なくとも2つの層を含む。
【0025】
フィル繊維の織りシーケンスといえば、次のとおりである。フィル繊維は、ベースの一部分を通った後で脚に入り、最後にベースの向かい側の部分を通る。複数の脚は、脚間に位置する縦糸繊維の奇数番号のコラムによって、対称的に分布したコラムの交差部分で結びつけることができる。しかし、プリフォームは、等しいか等しくない脚長さを伴って、非対称的な構造をもつことができる。また、プリフォームは、脚間に縦糸繊維の偶数番号のコラムをもつことができるし、複数の脚は、ベースに対して垂直にすることもできるし、非垂直あるいは斜めにすることもできる。さらに、複数の脚は、互いに平行にすることができるし、斜めにすることもできるし、間に可変幅のクレビスをもたせることができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0026】
この発明の別の実施例は、強化コンポジット材料に用いるプリフォームの形成方法である。プリフォームは、三次元の織り構造をもち、フィル繊維の織りによって、各層内の繊維を組み合わせる(インターロックする)だけでなく、縦糸繊維の層について層と層とを組み合わせるようにしている。その織りプリフォームは、規制された繊維によって面外荷重を伝達し、層間の張力(応力)を最小にする。そのプリフォームは、ベースと、そのベースから広がる少なくとも2つの脚とを備え、ベースおよびその(それらの)脚は、それぞれ縦糸繊維による少なくとも2つの層を含む。フィル繊維の織りシーケンスは、次のとおりである。フィル繊維は、ベースの一部分を通った後で脚に入り、最後にベースの向かい側の部分を通る。複数の脚は、脚間に位置する縦糸繊維の偶数あるいは奇数の番号のコラムによって、対称的あるいは非対称的に分布したコラムの交差部分で結びつけることができる。複数の脚は、ベースに対して垂直にすることもできるし、非垂直あるいは斜めにすることもできる。また、複数の脚は、互いに平行にすることができるし、斜めにすることもできるし、間に可変幅のクレビスをもたせることができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0027】
この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的について良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。
【0028】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、フルピックおよび繊維構造の形成を示す。
【図2(a)】この発明によるプリフォームを示す写真である。
【図2(b)】今までのプリフォームを示す写真である。
【図3】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、その中の繊維構造を示す。
【図4】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な断面図であり、プリフォームは直立状態の脚を伴う。
【図5(a)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(b)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(c)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(d)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(e)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(f)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図6(a)】この発明の一実施例による可変幅パイ形プリフォームを示す図であり、トリミング前の状態を示す。
【図6(b)】この発明の一実施例による可変幅パイ形プリフォームを示す図であり、トリミング後の状態を示す。
【図7】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームにおける変化区域の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1、2a、3および4は、三次元のプリフォーム100の好ましい実施例を示す。プリフォーム100は、面に垂直に伸びる多数の縦糸繊維116によるパターンの中に1または2以上のフィル(横糸)繊維を織ることによって形作る。図1および3には、パイ形のプリフォーム100を形作るための完全なパターンを示し、そこには、フィル繊維114を紙面に沿う方向に示し、また、縦糸繊維116を紙面に垂直な方向に示す。模式的な図には繊維あるいは糸114,116を間隔を置いて示すが、完全なプリフォーム100を実際に織るときには、繊維あるいは糸114,116は、ぎっしり詰まっている。
【0031】
さて、図1を参照すると、プリフォーム100の縦糸繊維116のすべてが、一般的に互いに平行であり、各繊維116は長さ方向に沿って少しうねっており、縦の(垂直な)支柱に配列されている。プリフォーム100は、代表的なコンポジット構造物に用いる材料、たとえば、ガラス繊維や炭素繊維を用いて、ベース120、およびベース120から伸びる2つの脚125,135をもつように織り、パイ形の外形にするのが好ましい。脚125,135については、ベース120に対して垂直にすることもできるし、非垂直で角度をもたせるようにすることもできる。ベース120と脚125,135とは、それぞれ少なくとも2層の縦糸繊維116を含み、図には端が先細(これは任意である)となったものを示す。脚125,135は、使用時には直立させ、たとえば図4に示すようなクレビス150を形作るが、織りを容易にするため、脚125,135をベース120上に横にするようにプリフォーム100を織る。図には、ベース120が8層の縦糸繊維116を含み、脚125,135が4層の縦糸繊維116を含む例を示す。
【0032】
選択可能なことであるが、図に示すように、ベース120の縦糸繊維116を、脚125,135の縦糸繊維116よりも断面積が小さなものにすることができる。脚125,135ではなく、ベース120の縦糸繊維116についてのみ細い縦糸繊維116を用いることにより、縦糸繊維116でたくさんのインターロックを行い、プリフォーム100のベース120強度を高めたとしても、織機で織るのに必要な時間増を最小限にすることができる。
【0033】
図1に戻ると、プリフォーム100は、ベース120の一端105、それは図のベース120の左側であるが、その一端から始まる織りパターンを備える。織りシーケンスの代表的な部分において、フィル繊維114は、右に向かって通るとき、一つの層の縦糸繊維116の上と下とを交互に通り、その層の繊維116をインターロックする。また、織りシーケンスの代表的な部分において、フィル繊維114は、左に向かって通るとき、2つの隣接する層の縦糸繊維116の上と下とを交互に通り、隣接した層を互いにインターロックする。図に示し、しかも、次に説明するように、脚125,135の内部、プリフォーム100の端および外側面を含む各部分の織りシーケンスは、この織りシーケンスとは異なる。
【0034】
図1に示すように、一般的な織りシーケンスの始点はフィル繊維114の位置Aであり、そこからベース120の中央に向かって伸び、それから位置B1で脚の一つ135の外側112に入っていく。フィル繊維114は、その後、脚135の右のはるか右の位置Cに伸びる。位置Cから、フィル繊維114は、同じラインに沿って織り戻り、ベース120の中央に向かい、その位置からフィル繊維114はベース120の中を下方に伸び、脚125のほとんど左端の位置Dに向かって他方の脚125の外側112の中に戻る。フィル繊維114は、その後、同じラインに沿って織り戻り、ベース120の中央に向かい、位置B2でベース120の中に戻るように伸び、脚125,135の間に位置する、縦糸繊維116による中央支柱を通過する。そして、フィル繊維114は、位置Eでベース120に戻り、ベース120の他方の端115の位置Fに到達する。これが、フィル繊維114の完全な織りシーケンスを構成し、図1に示すように、そのシーケンスは、基本的に、3つのフルピックと一緒に4つのハーフピックを結合する。段のあるパターンで縦糸繊維116の層を終えると、たとえば、ベース120の左側端のテーパ124および脚125上のテーパ126のように、ベース120および脚125,135上に先細の端を形作る。
【0035】
一つのユニットセル、あるいは垂直部分を完結するため、縦糸繊維116の隣接する層に対して、プリフォーム100を横切ってフィル繊維114を通すことを繰り返し、すべての層をインターロックする。フィルパターンを繰り返し行い、隣接する垂直部分を形作り、連続した長さをもつプリフォームを作り出す。しかし、層のインターロックは必ずしも必要ではなく、プリフォーム100のベース120および/または脚125,135は、分離した層の中に分岐することができる。
【0036】
図3は、特に、パイ形のプリフォーム100における脚125,135およびベース120を形作るために用いる織りパターンを示す。ベース120には、縦糸繊維116の8つの層を伴い、また、脚125,135には、縦糸繊維116の4つの層を伴う。勿論、このパターンについては、ベース120および脚125,135における縦糸繊維の層をより多くあるいはより少なくすることができる。言い換えると、ベース120は、脚125,135のそれぞれよりも多くの層をもつようにすることができるし、その逆にすることもできる。この織りパターンによって、一層の中の縦糸繊維116をインターロック、および、縦糸繊維の層間のインターロックを行う。隣接する層は、第1の支柱の第1の層では、フィル繊維114の一部が縦糸繊維116上を走ることにより、また、隣接する第2の支柱の第2の層では、縦糸繊維の下を走ることにより、インターロックされる。ここで、第2の層は第1の層の下に位置する。パターンを織るとき、脚125,135は、図に示すように、横になった水平位置で織る。取付けの際には、脚125,135のそれぞれを垂直な立ち位置に動かす。直立した各脚125,135の幅は、4つの層を含む。
【0037】
プリフォーム100は、今までの織りプリフォームを改良し、ベース120を伴う脚125,135の交差について高い対称的な分布を生み出す。ベース120は、縦糸繊維による3つの中央支柱、および縦糸繊維による2つのセパレータ支柱(分離支柱)を備える。分離支柱は、中央支柱の両方の側面に隣接する支柱である。奇数の数の中央支柱を用いることによって、中央支柱を二分する対称面の両側面に(プリフォームの対称中央面の周りに)ほぼミラーイメージ(鏡像)を形作るように織り、ベース120内部の荷重分布の対称性を高めることができる。中央支柱が3つのものを示しているが、プリフォーム100の好ましい実施例において、中央支柱がどのような数をももつようにすることができる。中央支柱の数は、脚125,135を直立させたときに形作られるクレビス150の名目上の幅で決まる。脚125,135は、ベース120に対して垂直にすることができるし、非垂直の角度をもたせるようにすることもできる。
【0038】
脚125,135からの荷重、たとえば、直立した脚125,135の間に結合した部材(図示しない)からの荷重をベース120に対称的に伝えるために、脚125,135を連結するフィル繊維114の部分は、等しいか実質的に等しい数の繊維部分のグループに分割する。各グループは、分離支柱の一つと中央支柱との間、あるいは、分離支柱の一つとその分離支柱に隣接する残りの右か左の側面の支柱との間で交差する。たとえば、図3に示すように、グループ29は、脚125の層2および4とベース120との間に伸び、ベース120との交差は支柱cとdとの間である。同様に、グループ31とベース120との交差は支柱dとeとの間、グループ33とベース120との交差は支柱gとhとの間、そして、グループ37とベース120との交差は支柱hとiとの間である。図には対称的な幾何学的配列を示すが、この発明の方法は、対称でない形態で製造することにも利用することができることに留意されたい。
【0039】
プリフォーム100のほぼ中央部の好ましい配置を示すが、中央支柱27は、プリフォーム100の中央から横あるいは側部に位置する縦糸繊維116で構成することができる。たとえば、支柱b、cおよびdを中央支柱とし、支柱aおよびeを分離支柱とすることができる。これによって、脚125,135は中心から外れてベース120の外側の端の方に位置する。それでも、支柱b、cおよびdについてのベース120の織りには対称性があるし、脚125,135からベース120への荷重の分布にも対称性がある。たとえば、ベース120の左側端のテーパ124および脚125上のテーパ126のようなテーパは、縦糸繊維による連続的な層の長さを前のものよりも短く終えることによって、プリフォームの外側の端に形作る。たとえば、図3において、層6が支柱tで終わっているのに対し、層5は支柱sで終わり、層5は層6よりも縦糸繊維116一つ分だけ短い。同様に、層6は層7よりも短く、このパターンが隣接する下の層ごとに繰り返し生じる。ベースあるいは直立した脚のいずれか一方にテーパをもつプリフォームは、縦糸の層がすべて同じ長さで終えるプリフォームに比べて、剥離荷重に対して耐性が高い。それに加えて、縦糸繊維に対して細い径の繊維を用いることによって、プリフォームからそれに結合する構成成分への移り変わりをよりスムーズに、かつ、よりゆるやかにすることができる。図3の織りパターンは、ベース120の縦糸繊維116が8層である。
【0040】
図4には、織りを完成したパイ形のプリフォーム100を示し、それは、直立した脚125,135を含み、それらの脚125,135間にクレビス150を形作っている。しかし、脚125,135は、ベース120に対して垂直にすることもできるし、非垂直で角度をもたせるようにすることもできる。プリフォーム100を織るとき、プリフォーム100の長さ方向に沿う隣接する垂直部分を形作る完全な織りシーケンスを繰り返し行う。その織りを進行させることによって、連続した長さをもつプリフォーム100を生み出し、その後、取付けに必要な長さに切断する。図2(a)および図2(b)は、この発明によって形成したプリフォームの一例と、直立した脚の間にループ30を伴う先行プリフォーム10とを比較して示す。
【0041】
この発明による一実施例は、多数の脚225,235を伴い、それらの脚が互いに必ずしも直線とならないプリフォーム200を織る方法である。図5(a)〜5(f)に示すように、パイ形のプリフォーム200は、可変幅のクレビス250を伴って形作られている。すなわち、直立した脚間の幅が、プリフォームの長さに沿って異なる(あるいは変化する)。可変幅のクレビス250については、直立した脚225,235を形作るプリフォームの部分からいくつかの縦糸繊維216を選択的に外し(目落ちさせ)、同時に他の部分(領域)の縦糸繊維216を加えることによって作り出す。クレビス250を広げるために、直立した脚225,235のベース部分で縦糸繊維216を外し、先の部分で加える。クレビス250を狭くするためには、逆のことを行う
【0042】
図5(a)〜5(f)は、クレビス250のそのような動きを一連のステップの中に示す。この特定の場合、クレビス250の幅は、たとえば、0.30インチから0.55インチまで(つまり、0.76cmから1.4cmまで)変化する。図5(a)〜5(f)は、縦糸繊維216に垂直なプリフォーム200の繊維構造の断面を示す。個々の縦糸繊維216を円(丸)で示し、連続する横糸繊維214の経路を実線で示す。ここで留意すべきは、直立する脚225,235を形成する繊維の大部分がプリフォーム200の全長を通して連続していることである。端の繊維240だけが非連続である。それらの繊維240は、プリフォーム200の織り部分の上あるいは下に浮き織りになり、そして、プリフォームを織機から取り外した後で取り除かれる。図6(a)および6(b)は、層と層の構造を用い、この実施例にしたがって形成した可変幅のパイ形プリフォームの異なる絵、つまり、浮き織り繊維を取り除く前と後とをそれぞれ示す。これらの図の中のガラストレーサ繊維は、一定および可変の断面領域の間の境界を明らかにする。
【0043】
この例による直立する脚225,235は、支持フランジあるいはベース220のどの位置へも動かすことができ、しかも、横糸繊維214によってフランジあるいはベース220に結合する。しかし、その位置については、一段ずつ変えなければならない。その一段の最小幅は一つの縦糸支柱の幅である。この例では、1インチ(つまり、2.54cm)につき20の縦糸繊維を伴う20のリードワイヤを用い、最小のステップは0.05インチ(1/20インチ、つまり、0.13cm)とした。
【0044】
プリフォーム200は、縦糸繊維に対する今までのいずれのパターン、すなわち、プライ対プライ、厚さ方向アングルインターロック、直交その他のパターンを用いても織ることができる。図7に示すプリフォーム200において、クレビス250は、狭い配置あるいは形態230で始まり、一定の断面部分は、たとえば約12インチ(つまり、30cm)に織る。クレビス250の幅は広い配置あるいは形態255まで次第に大きくなる。広い部分255は、たとえば約8インチ(つまり、20cm)継続する。その後、クレビス250幅は、次第に減じて狭い配置あるいは形態230まで戻る。狭い幅の断面部分は、そのとき、たとえば約12インチ(つまり、30cm)に織る。図7は、狭い部分230から広い部分255までの変化をクローズアップしている。ここではクレビス250の幅が次第に変化することを述べているが、この発明がそのような配置あるいは形態に限られるわけではない。クレビス250幅の段階的な変化、あるいはジグザグ型での幅の変化、またはそれらの組み合わせも、この発明の考え方の範囲内である。たとえば、クレビス250幅の変化について、次第の変化と段階的な変化、あるいは段階的な変化とジグザグ型の変化、さらにまた、次第の変化と正弦曲線を描くような変化もまた組み合わせることができる。
【0045】
また、この発明の方法は、ベースと交差する3あるいはそれより多い脚をもつプリフォームのような他の断面形状を作るためにも用いることができる。さらにまた、この発明の方法は、可変の厚さあるいは可変の高さの脚であり、1あるいは2以上の面上互いに平行あるいは斜めになった脚を伴うプリフォームを織るために用いることができる。
【0046】
一般に、プリフォームを織るときには、縦糸およびフィル繊維に対して一つのタイプの繊維、たとえば、炭素(グラファイト)繊維を用いる。しかし、プリフォームは、また、たとえば炭素とガラス繊維のような多様な材料で形作るハイブリッド織りパターンにすることができる。そのような織りパターンにすれば、大きな強度、コスト低減、そして、最適化した熱膨張特性を得ることができる。織りパターンは、すべての縦糸をあるタイプで、しかも、すべてのフィル繊維を別のタイプで構成することができるし、あるいはまた、たとえば、層の全体にわたって「チエッカー盤(市松模様)」のように、縦糸および/またはフィル繊維に対し、二種のものを交互に配列することができる。
【0047】
この発明による効果には、大きな強度の織りを得ることができること、および構成部分を構造物に組み付けることが容易なプリフォームであることを含む。改良された織りにより、各層の縦糸をインターロックし、しかも、各層を互いにインターロックし、と同時に、プリフォームの荷重を高い対称性をもって分布させる。
プリフォームの脚間のベース中の縦糸繊維が奇数の支柱を用いることによって、対称面の両側面にほぼミラーイメージ(鏡像)を形作るように織ることができる。しかし、そのことは、この発明を実施する上で必ずしも必要ではない。プリフォームは、脚の長さを同様にしたり異ならせたり、あるいは、プリフォームの脚間のベース中の縦糸繊維が偶数である、非対称性の構造にすることもできる。
複数の脚は、互いに平行あるいは角度をもたせることができるし、また、間に可変幅のクレビスをもつことができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0048】
そこで、この発明は、必ずしも互いに平行ではない多数の脚を伴うプリフォーム技術、すなわち、3Dプリフォームおよび/または強化コンポジット構造について既存のものに代わる提案技術および/または改良方法を提供する。たとえば、上述した可変幅クレビスを伴うパイ形プリフォーム、すなわち、プリフォームの長さに沿う直立する脚間の幅が変化するプリフォーム技術がその例である。
【0049】
以上のように、この発明によれば、その目的および利点を実現することができる。この発明の好ましい実施例について詳しく述べたが、この発明は、それらに限定されるわけではない。この発明の考え方の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定まる。
【符号の説明】
【0050】
100,200 プリフォーム
114,214 フィル(横糸)繊維
116,216 縦糸繊維
120,220 ベース
125,135;225,235 脚
150,250 クレビス
230 狭い部分
255 広い部分
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、織りプリフォームに関し、特には、強化コンポジット材料に用いる織りプリフォームに関し、プリフォーム中に好ましくないループを生じることなく平坦に織り、最終形状に折ることができる技術に関する。
【引用による組み入れ】
【0002】
ここで引用するすべての特許、特許出願、文書、文献、製造者の使用説明書、解説、製品仕様書、およびここで述べる製品についての製品説明書を引用によってここに組み入れ、しかもまた、この発明を実施する上で使用する。
【背景技術】
【0003】
構造的な構成要素あるいは部品を製造するために、強化コンポジット材料を用いることは、今や一般的である。特に、重さが軽いこと、強固、丈夫、耐熱性、自らを支える能力、および形作る上で適合するという、好ましい特性が求められるところでは広く普及している。そのような構成要素あるいは部品は、たとえば、航空、航空宇宙産業、人工衛星、レクレーション分野(レース艇やレーシングカーなど)、およびその他の分野で用いられる。
【0004】
そのような構成要素あるいは部品は、典型的に、マトリックス材料の中に埋め込んだ強化素材から構成される。強化の構成部分は、ガラス、炭素、セラミックス、アラミド、ポリエチレン、および/または、物理的、熱的、化学的および/またはその他の好ましい特性、第1には応力に対する大きな耐久性を示すその他の材料から構成される。そのような強化材料、それらは結局は完成品の構成要素になるのであるが、それらを使用するとき、たとえば非常に大きな強度のようなそれら強化素材の望ましい特性が、完成したコンポジット部品に授けられることになる。構成要素である強化材料は、典型的には、織られたり編まれたり、あるいはその他のやり方で強化プリフォームのための好ましい形状および形に形成される。通常、選択理由である強化材料の特性が最大限に活用されるように注意が図られる。また、そのような強化プリフォームについては、マトリックス材料と組み合わせることにより必要な完成品を得、あるいは、完成品の最終生産のために役立つ在庫品を得る。
【0005】
必要な強化プリフォームを構成した後、マトリックス材料をプリフォームおよびその中に加えるようにする。それにより、強化プリフォームは、マトリックス材料で包まれ、マトリックス材料は強化プリフォームの構成要素の間のすき間部分を埋める。マトリックス材料としては、たとえば、エポキシ、ポリエステル、ビニル−エステル、セラミックス、炭素および/またはその他の材料で、必要とする物理的、熱的、化学的および/または他の特性を示すものなど、いろいろな材料を広く適用することができる。マトリックスとして用いる材料としては、強化プリフォームの材料と同じものでも良いし、異なるものでも良く、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似したものでも良いし、類似しないものでも良い。しかし、通常、それらは強化プリフォームと同じ材料ではなく、また、物理的、化学的、熱的あるいは他の特性が類似しない。なぜなら、第1にコンポジットを用いる通常の目的は、ただ一つの構成材料だけでは得ることができない組合せ特性を完成品で得ることにあるからである。強化プリフォームおよびマトリックス材料は、そのように組み合わされた後、熱硬化処理あるいは他の公知の方法で同じ作業工程において硬化および安定化され、さらに、目的とする構成部品を製造するための他の作業工程に入る。ここで、そのように硬化した時点において、マトリックス材料の固体化したものが、通常、強化材料(たとえば、強化プリフォーム)に非常に強く付着していることに気付くことが大事である。結局、完成品上の応力が、繊維間の接着剤として機能するそのマトリックス材料を特に通して、補強された強化プリフォームの構成材料に有効に移され保持される。
【0006】
構成要素あるいは部品にしばしば求められることは、たとえば平板、薄板、長方形あるいは正方形の立体などの幾何学的に単純な形状以外の形状のものを製造することである。これに応えるための一つの方法は、そのような基本的な幾何学形状を組み合わせることにより、求められる複雑な形態にすることである。そのような典型的な組合せの一つは、上で述べたようにして作った強化プリフォームを互いに角度をもって(典型的には、直角)接合することにより作ったものである。そのような角度をもって強化プリフォームを接合し配列する普通の目的は、1または2以上の端壁やたとえば「T」交差を含む強化プリフォームを形作る狙いとする形を作り出すこと、あるいは、強化プリフォームの組合せで得たものおよびコンポジット構造について、圧力や張力などの外力を受けた場合でもたわみや破損に耐えられるように強化することである。とにかく、関連する動機は、構成する構成要素間の各連結をできるだけ強固にすることである。強化プリフォームの構成要素それ自体に求められる非常に大きな強度が与えられるとき、構造上の「チェーン」における「弱いリンク」となるのが、実際上、連結における弱さである。
【0007】
交差する構成の一例について、USP第6,103,337号が示している。その文献に示す内容は、参照によってこの中に含ませる。その文献においては、2つの強化板(補強プレート)をT型に結合する有効な方法を示している。
【0008】
今まで、そのような結合を作るために他のいろいろな方法が提案されている。パネル構成要素と、角度をもって置く強化のための構成要素とを互いに別々に作り硬化することが提案されている。後者の構成要素は、単一のパネル接触面をもつか、あるいは、一端が二股に分かれて分岐した同一平面上の2つのパネル接触面をもっている。そして、2つの構成要素は、熱硬化接着剤あるいは他の接着材料を用いて、強化のための構成要素のパネル接触面を他の構成要素の接触面に接着によって結合する。しかし、硬化したパネルに対しあるいは複合構造の外皮に対し張力がかかると、結合の有効な強度が接着剤のそれではなく、マトリックス材料のそれであることから、受け入れることができないような小さな値の負荷が「はがし(ピ−ル)」力となり、それが強化のための構成要素をパネルとの界面でパネルから分離してしまう。
【0009】
そのような両構成要素の界面に金属ボルトやリベットを用いることはできない。なぜなら、そのような付加をすれば、複合構造自体の完全な形の少なくとも一部を破壊し弱めてしまうし、重さを増すことになるし、そのような構成要素と周囲の材料との熱膨張係数に違いを生じてしまうからである。
【0010】
この問題を解決する他の方法では、結合領域の全域に高い強度の繊維を加えるという考え方を基礎にしている。すなわち、2つの構成要素の一方を他方に縫い、縫い糸によってそのような強化繊維が結合に加わるようにしている。USP第4,331,495号がそのような方法の一つを示し、また、USP第4,256,790号がそれを分割したものである。これらの特許は、繊維層を接着によって結合した第1および第2の複合パネル間の接合について示している。第1のパネルは、一端で二股に分かれ、従来技術のように同一平面上の2つのパネル接触面をもつ。その第1のパネルと第2のパネルとを結合するため、両パネルを通して未硬化のフレキシブルな複合糸を縫い込んでいる。その後、両パネルおよび縫い込んだ糸は、「共に硬化」、つまり同時に硬化される。また、USP第5,429,853号が、結合強度を改良する他の方法を示している。
【0011】
今までも強化のための複合物を構造的に一体化しようとする改良がなされ成功しているが、特にUSP第6,103,337号のものでは、接着剤あるいは機械的な結合部材を用いる場合とは異なる方法における問題に取り組みそれを改良するという要求がある。この点から、特殊化した専用の機械によって、三次元(「3D」)の織り構造を作り出す方法が考えられる。しかし、それにはかなりの費用がかかるし、しかも、織機で単純な構造を作り出すという要求が強く求められるところである。この事実にもかかわらず、繊維強化コンポジットの構成要素に加工することができる3Dプリフォームは、魅力的である。なぜなら、それらの構成要素は、今までの二次元の積層コンポジットよりも大きな強度を提供するからである。それらのプリフォームは、面外荷重を支えるコンポジットを必要とする用途に特に有用である。しかし、上に述べた今までのプリフォームでは、大きな面外荷重に耐える上、自動織機で織る上で、およびプリフォームに厚さの異なる部分を得る上で能力的な制限がある。プリフォームの織りについての織り構造や自動化は、未発達であり、プリフォームの融通性に制限がある、今までの積層、繊維巻き、あるいは編組コンポジットに比べてわずかな利点を生じているだけである。
【0012】
他の方法として、二次元(「2D」)の構造に織り、それを所定の3D形に折り込むことが考えられる。しかし、その方法では、プリフォ−ムを折り込むときに、一般にところどころゆがめてひずみを生じてしまうことになる。ひずみが生じる原因は、織られた繊維の長さがプリフォ−ムを折り込むときの長さと異なるからである。これによって、織られた繊維の長さが短すぎる領域には、くぼみや波状を生じ、また、織られた繊維の長さが長すぎる領域には、曲げを生じる。3Dプリフォーム織り構造物の一例、そのものでは、プリフォームを折ったとき領域に波状あるいはループを生じるだろうが、USP第6,874,543号がその一例を示す。そのすべての内容を参照によってここに組み込む。たとえば、「T」、「I」、「H」あるいは「パイ」断面のような特定の構造による形を伴う繊維プリフォームは、今までの有ひ織機で織ることができる。存続するいくつかの特許(たとえば、USP第6,446,675号やUSP第6,712,099号)がそのような構造を織る方法を示す。しかし、今までのすべての技術は、プリフォームの断面を縦糸の繊維方向に同様に構成している。
【0013】
これらのプリフォームは、たとえば樹脂トランスファー成形などの強化技術を用いて、強化コンポジットの構成要素にしばしば加工され、また、航空機構造におけるスチフナおよび/または連結部材として用いられる。パイ形プリフォームの場合、ウェブは、一般的には、複数の脚間の空所、すなわちクレビスに挿入される。
【0014】
多くの適用に対し、同様幅のクレビスが適切である。しかし、それが好ましくない他の場合もある。たとえば、同様幅のクレビスには、ウェブが同様の厚さをもつことが必要であり、その厚さは、構造物の最も高い負荷がかかる部分によって大きさが決まる。このことは、重さを節約することが実現できないことを意味する。重さの節約は、より小さな負荷がかかる部分におけるウェブを細くすることによって達成されるからである。
【発明の概要】
【0015】
この発明は、多数の脚を伴う繊維プリフォームを織るに際し、それらの脚が必ずしも互いに平行にならないように織る方法である。この発明による一実施例は、可変幅のクレビスを伴うパイ形のプリフォームである。すなわち、可変幅とは、直立した複数の脚間の幅がプリフォームの長さにしたがって異なることである。
【0016】
可変幅のクレビスについては、たとえば、直立した脚を形作るプリフォームの部分からいくつかの縦糸繊維を選択的に外し(目落ちさせ)、同時に他の部分(領域)の縦糸繊維を加えることによって作り出す。クレビスを広げるために、直立した脚の一つのベース部分で縦糸繊維を外し、先の部分で加える。クレビスを狭くするためには、逆のことを行う
【0017】
この発明の方法は、また、他の断面の形、たとえば「T」形あるいは「T」の上部に関してある角度をもって走る「T」のブレードをもつ「T」スチフナ、またはH形状あるいはI形状のような他の形を作るためにも用いることができる。
【0018】
この発明の方法は、可変の厚さあるいは可変の長さ、または互いに平行あるいは斜めになった高さのある脚を伴うプリフォームを織るために用いることができる。プリフォームは、縦糸繊維に対する今までのパターン、すなわち、プライ対プライ、厚さ方向アングルインターロック、直交その他のパターンを用いて織ることができる。炭素繊維が好ましいが、この発明は、他のタイプの繊維にも実際上適用することができる。
【0019】
この発明の他の目的は、現存するプリフォームおよび/または今までの強化コンポジット構造物に代わるもの、および/またはそれらの改良を目指した3D織りプリフォームを提供することである。
【0020】
この発明の他の目的は、改良した特性を伴う3Dプリフォームを得るための新しい方法を提供することであり、ループの形成をなくし、5つのシャトル(ひ)の動きを3つに取り替えることによって、より良いプリフォームを少ない時間で供給するようにした技術を提供することである。
【0021】
また、この発明の他の目的は、3Dプリフォームを構成する繊維にひずみを生じることなく、所定の形に折ることができる、そのような3Dプリフォームを提供することである。
【0022】
さらに、この発明の別の目的は、パイ形の強化コンポジットを形成する上で特に有用な3Dプリフォームを提供することである。
【0023】
これらならびに他の目的および利点を得るため、この発明では、樹脂を注入するに先立ち、平坦に織った後で所定の形に折るようにした3D織りプリフォ−ムを提供することにより、繊維に好ましくないひずみを生じることがないようにする。これを達成するため、織りをする間に繊維の長さを調節し、プリフォ−ムをなめらかな折り目をもつ形に折り込むとき、繊維の長さが一様になるようにする。この技術は、パイ形の織りプリフォ−ムに特に適しているが、いろいろな形のものに利用することができる。また、織りプリフォームに言及しているが、当業者にとってみれば、この発明は、たとえば、編組あるいは縫合結合などの非織りのものにも適用することが明らかである。
【0024】
したがって、この発明の一実施例は、三次元の織り構造をもつ機械的あるいは構造上のジョイント用プリフォームであり、フィル(横糸)繊維の織りによって、各層内の繊維を組み合わせる(インターロックする)だけでなく、縦糸繊維の層について層と層とを組み合わせるようにしている。その織りプリフォームは、規制された繊維によって面外荷重を伝達し、層間の張力(応力)を最小にする。そのプリフォームは、ベースと、そのベースから広がる少なくとも2つの脚とを備え、ベースおよびその(それらの)脚は、それぞれ縦糸繊維による少なくとも2つの層を含む。
【0025】
フィル繊維の織りシーケンスといえば、次のとおりである。フィル繊維は、ベースの一部分を通った後で脚に入り、最後にベースの向かい側の部分を通る。複数の脚は、脚間に位置する縦糸繊維の奇数番号のコラムによって、対称的に分布したコラムの交差部分で結びつけることができる。しかし、プリフォームは、等しいか等しくない脚長さを伴って、非対称的な構造をもつことができる。また、プリフォームは、脚間に縦糸繊維の偶数番号のコラムをもつことができるし、複数の脚は、ベースに対して垂直にすることもできるし、非垂直あるいは斜めにすることもできる。さらに、複数の脚は、互いに平行にすることができるし、斜めにすることもできるし、間に可変幅のクレビスをもたせることができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0026】
この発明の別の実施例は、強化コンポジット材料に用いるプリフォームの形成方法である。プリフォームは、三次元の織り構造をもち、フィル繊維の織りによって、各層内の繊維を組み合わせる(インターロックする)だけでなく、縦糸繊維の層について層と層とを組み合わせるようにしている。その織りプリフォームは、規制された繊維によって面外荷重を伝達し、層間の張力(応力)を最小にする。そのプリフォームは、ベースと、そのベースから広がる少なくとも2つの脚とを備え、ベースおよびその(それらの)脚は、それぞれ縦糸繊維による少なくとも2つの層を含む。フィル繊維の織りシーケンスは、次のとおりである。フィル繊維は、ベースの一部分を通った後で脚に入り、最後にベースの向かい側の部分を通る。複数の脚は、脚間に位置する縦糸繊維の偶数あるいは奇数の番号のコラムによって、対称的あるいは非対称的に分布したコラムの交差部分で結びつけることができる。複数の脚は、ベースに対して垂直にすることもできるし、非垂直あるいは斜めにすることもできる。また、複数の脚は、互いに平行にすることができるし、斜めにすることもできるし、間に可変幅のクレビスをもたせることができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0027】
この発明、ならびに、それを使用することによって得る作用効果および特定の目的について良く理解するため、詳細な説明を参照されたい。そこには、この発明の好ましい実施形態(これに限定されない)が図面に示されている。
【0028】
この中で用いる用語「備えている(comprising)」および「備える(comprises)」は、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という意味になるし、あるいは米国特許法におけるそれらの意味にもなる。また、「本質的に有している(consisting essentially of)」および「本質的に有する(consists essentially of)」の用語は、クレームで用いるときには、米国特許法におけるそれらの意味である。この発明の他の考え方(形態)については、以下の説明に記載されているか、その記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、フルピックおよび繊維構造の形成を示す。
【図2(a)】この発明によるプリフォームを示す写真である。
【図2(b)】今までのプリフォームを示す写真である。
【図3】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、その中の繊維構造を示す。
【図4】この発明の一実施例によるパイ形プリフォームの模式的な断面図であり、プリフォームは直立状態の脚を伴う。
【図5(a)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(b)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(c)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(d)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(e)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図5(f)】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームの模式的な端面図であり、プリフォームの織りパターンあるいは繊維構造を示す。
【図6(a)】この発明の一実施例による可変幅パイ形プリフォームを示す図であり、トリミング前の状態を示す。
【図6(b)】この発明の一実施例による可変幅パイ形プリフォームを示す図であり、トリミング後の状態を示す。
【図7】この発明の一実施例による可変幅のクレビスを伴うパイ形プリフォームにおける変化区域の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1、2a、3および4は、三次元のプリフォーム100の好ましい実施例を示す。プリフォーム100は、面に垂直に伸びる多数の縦糸繊維116によるパターンの中に1または2以上のフィル(横糸)繊維を織ることによって形作る。図1および3には、パイ形のプリフォーム100を形作るための完全なパターンを示し、そこには、フィル繊維114を紙面に沿う方向に示し、また、縦糸繊維116を紙面に垂直な方向に示す。模式的な図には繊維あるいは糸114,116を間隔を置いて示すが、完全なプリフォーム100を実際に織るときには、繊維あるいは糸114,116は、ぎっしり詰まっている。
【0031】
さて、図1を参照すると、プリフォーム100の縦糸繊維116のすべてが、一般的に互いに平行であり、各繊維116は長さ方向に沿って少しうねっており、縦の(垂直な)支柱に配列されている。プリフォーム100は、代表的なコンポジット構造物に用いる材料、たとえば、ガラス繊維や炭素繊維を用いて、ベース120、およびベース120から伸びる2つの脚125,135をもつように織り、パイ形の外形にするのが好ましい。脚125,135については、ベース120に対して垂直にすることもできるし、非垂直で角度をもたせるようにすることもできる。ベース120と脚125,135とは、それぞれ少なくとも2層の縦糸繊維116を含み、図には端が先細(これは任意である)となったものを示す。脚125,135は、使用時には直立させ、たとえば図4に示すようなクレビス150を形作るが、織りを容易にするため、脚125,135をベース120上に横にするようにプリフォーム100を織る。図には、ベース120が8層の縦糸繊維116を含み、脚125,135が4層の縦糸繊維116を含む例を示す。
【0032】
選択可能なことであるが、図に示すように、ベース120の縦糸繊維116を、脚125,135の縦糸繊維116よりも断面積が小さなものにすることができる。脚125,135ではなく、ベース120の縦糸繊維116についてのみ細い縦糸繊維116を用いることにより、縦糸繊維116でたくさんのインターロックを行い、プリフォーム100のベース120強度を高めたとしても、織機で織るのに必要な時間増を最小限にすることができる。
【0033】
図1に戻ると、プリフォーム100は、ベース120の一端105、それは図のベース120の左側であるが、その一端から始まる織りパターンを備える。織りシーケンスの代表的な部分において、フィル繊維114は、右に向かって通るとき、一つの層の縦糸繊維116の上と下とを交互に通り、その層の繊維116をインターロックする。また、織りシーケンスの代表的な部分において、フィル繊維114は、左に向かって通るとき、2つの隣接する層の縦糸繊維116の上と下とを交互に通り、隣接した層を互いにインターロックする。図に示し、しかも、次に説明するように、脚125,135の内部、プリフォーム100の端および外側面を含む各部分の織りシーケンスは、この織りシーケンスとは異なる。
【0034】
図1に示すように、一般的な織りシーケンスの始点はフィル繊維114の位置Aであり、そこからベース120の中央に向かって伸び、それから位置B1で脚の一つ135の外側112に入っていく。フィル繊維114は、その後、脚135の右のはるか右の位置Cに伸びる。位置Cから、フィル繊維114は、同じラインに沿って織り戻り、ベース120の中央に向かい、その位置からフィル繊維114はベース120の中を下方に伸び、脚125のほとんど左端の位置Dに向かって他方の脚125の外側112の中に戻る。フィル繊維114は、その後、同じラインに沿って織り戻り、ベース120の中央に向かい、位置B2でベース120の中に戻るように伸び、脚125,135の間に位置する、縦糸繊維116による中央支柱を通過する。そして、フィル繊維114は、位置Eでベース120に戻り、ベース120の他方の端115の位置Fに到達する。これが、フィル繊維114の完全な織りシーケンスを構成し、図1に示すように、そのシーケンスは、基本的に、3つのフルピックと一緒に4つのハーフピックを結合する。段のあるパターンで縦糸繊維116の層を終えると、たとえば、ベース120の左側端のテーパ124および脚125上のテーパ126のように、ベース120および脚125,135上に先細の端を形作る。
【0035】
一つのユニットセル、あるいは垂直部分を完結するため、縦糸繊維116の隣接する層に対して、プリフォーム100を横切ってフィル繊維114を通すことを繰り返し、すべての層をインターロックする。フィルパターンを繰り返し行い、隣接する垂直部分を形作り、連続した長さをもつプリフォームを作り出す。しかし、層のインターロックは必ずしも必要ではなく、プリフォーム100のベース120および/または脚125,135は、分離した層の中に分岐することができる。
【0036】
図3は、特に、パイ形のプリフォーム100における脚125,135およびベース120を形作るために用いる織りパターンを示す。ベース120には、縦糸繊維116の8つの層を伴い、また、脚125,135には、縦糸繊維116の4つの層を伴う。勿論、このパターンについては、ベース120および脚125,135における縦糸繊維の層をより多くあるいはより少なくすることができる。言い換えると、ベース120は、脚125,135のそれぞれよりも多くの層をもつようにすることができるし、その逆にすることもできる。この織りパターンによって、一層の中の縦糸繊維116をインターロック、および、縦糸繊維の層間のインターロックを行う。隣接する層は、第1の支柱の第1の層では、フィル繊維114の一部が縦糸繊維116上を走ることにより、また、隣接する第2の支柱の第2の層では、縦糸繊維の下を走ることにより、インターロックされる。ここで、第2の層は第1の層の下に位置する。パターンを織るとき、脚125,135は、図に示すように、横になった水平位置で織る。取付けの際には、脚125,135のそれぞれを垂直な立ち位置に動かす。直立した各脚125,135の幅は、4つの層を含む。
【0037】
プリフォーム100は、今までの織りプリフォームを改良し、ベース120を伴う脚125,135の交差について高い対称的な分布を生み出す。ベース120は、縦糸繊維による3つの中央支柱、および縦糸繊維による2つのセパレータ支柱(分離支柱)を備える。分離支柱は、中央支柱の両方の側面に隣接する支柱である。奇数の数の中央支柱を用いることによって、中央支柱を二分する対称面の両側面に(プリフォームの対称中央面の周りに)ほぼミラーイメージ(鏡像)を形作るように織り、ベース120内部の荷重分布の対称性を高めることができる。中央支柱が3つのものを示しているが、プリフォーム100の好ましい実施例において、中央支柱がどのような数をももつようにすることができる。中央支柱の数は、脚125,135を直立させたときに形作られるクレビス150の名目上の幅で決まる。脚125,135は、ベース120に対して垂直にすることができるし、非垂直の角度をもたせるようにすることもできる。
【0038】
脚125,135からの荷重、たとえば、直立した脚125,135の間に結合した部材(図示しない)からの荷重をベース120に対称的に伝えるために、脚125,135を連結するフィル繊維114の部分は、等しいか実質的に等しい数の繊維部分のグループに分割する。各グループは、分離支柱の一つと中央支柱との間、あるいは、分離支柱の一つとその分離支柱に隣接する残りの右か左の側面の支柱との間で交差する。たとえば、図3に示すように、グループ29は、脚125の層2および4とベース120との間に伸び、ベース120との交差は支柱cとdとの間である。同様に、グループ31とベース120との交差は支柱dとeとの間、グループ33とベース120との交差は支柱gとhとの間、そして、グループ37とベース120との交差は支柱hとiとの間である。図には対称的な幾何学的配列を示すが、この発明の方法は、対称でない形態で製造することにも利用することができることに留意されたい。
【0039】
プリフォーム100のほぼ中央部の好ましい配置を示すが、中央支柱27は、プリフォーム100の中央から横あるいは側部に位置する縦糸繊維116で構成することができる。たとえば、支柱b、cおよびdを中央支柱とし、支柱aおよびeを分離支柱とすることができる。これによって、脚125,135は中心から外れてベース120の外側の端の方に位置する。それでも、支柱b、cおよびdについてのベース120の織りには対称性があるし、脚125,135からベース120への荷重の分布にも対称性がある。たとえば、ベース120の左側端のテーパ124および脚125上のテーパ126のようなテーパは、縦糸繊維による連続的な層の長さを前のものよりも短く終えることによって、プリフォームの外側の端に形作る。たとえば、図3において、層6が支柱tで終わっているのに対し、層5は支柱sで終わり、層5は層6よりも縦糸繊維116一つ分だけ短い。同様に、層6は層7よりも短く、このパターンが隣接する下の層ごとに繰り返し生じる。ベースあるいは直立した脚のいずれか一方にテーパをもつプリフォームは、縦糸の層がすべて同じ長さで終えるプリフォームに比べて、剥離荷重に対して耐性が高い。それに加えて、縦糸繊維に対して細い径の繊維を用いることによって、プリフォームからそれに結合する構成成分への移り変わりをよりスムーズに、かつ、よりゆるやかにすることができる。図3の織りパターンは、ベース120の縦糸繊維116が8層である。
【0040】
図4には、織りを完成したパイ形のプリフォーム100を示し、それは、直立した脚125,135を含み、それらの脚125,135間にクレビス150を形作っている。しかし、脚125,135は、ベース120に対して垂直にすることもできるし、非垂直で角度をもたせるようにすることもできる。プリフォーム100を織るとき、プリフォーム100の長さ方向に沿う隣接する垂直部分を形作る完全な織りシーケンスを繰り返し行う。その織りを進行させることによって、連続した長さをもつプリフォーム100を生み出し、その後、取付けに必要な長さに切断する。図2(a)および図2(b)は、この発明によって形成したプリフォームの一例と、直立した脚の間にループ30を伴う先行プリフォーム10とを比較して示す。
【0041】
この発明による一実施例は、多数の脚225,235を伴い、それらの脚が互いに必ずしも直線とならないプリフォーム200を織る方法である。図5(a)〜5(f)に示すように、パイ形のプリフォーム200は、可変幅のクレビス250を伴って形作られている。すなわち、直立した脚間の幅が、プリフォームの長さに沿って異なる(あるいは変化する)。可変幅のクレビス250については、直立した脚225,235を形作るプリフォームの部分からいくつかの縦糸繊維216を選択的に外し(目落ちさせ)、同時に他の部分(領域)の縦糸繊維216を加えることによって作り出す。クレビス250を広げるために、直立した脚225,235のベース部分で縦糸繊維216を外し、先の部分で加える。クレビス250を狭くするためには、逆のことを行う
【0042】
図5(a)〜5(f)は、クレビス250のそのような動きを一連のステップの中に示す。この特定の場合、クレビス250の幅は、たとえば、0.30インチから0.55インチまで(つまり、0.76cmから1.4cmまで)変化する。図5(a)〜5(f)は、縦糸繊維216に垂直なプリフォーム200の繊維構造の断面を示す。個々の縦糸繊維216を円(丸)で示し、連続する横糸繊維214の経路を実線で示す。ここで留意すべきは、直立する脚225,235を形成する繊維の大部分がプリフォーム200の全長を通して連続していることである。端の繊維240だけが非連続である。それらの繊維240は、プリフォーム200の織り部分の上あるいは下に浮き織りになり、そして、プリフォームを織機から取り外した後で取り除かれる。図6(a)および6(b)は、層と層の構造を用い、この実施例にしたがって形成した可変幅のパイ形プリフォームの異なる絵、つまり、浮き織り繊維を取り除く前と後とをそれぞれ示す。これらの図の中のガラストレーサ繊維は、一定および可変の断面領域の間の境界を明らかにする。
【0043】
この例による直立する脚225,235は、支持フランジあるいはベース220のどの位置へも動かすことができ、しかも、横糸繊維214によってフランジあるいはベース220に結合する。しかし、その位置については、一段ずつ変えなければならない。その一段の最小幅は一つの縦糸支柱の幅である。この例では、1インチ(つまり、2.54cm)につき20の縦糸繊維を伴う20のリードワイヤを用い、最小のステップは0.05インチ(1/20インチ、つまり、0.13cm)とした。
【0044】
プリフォーム200は、縦糸繊維に対する今までのいずれのパターン、すなわち、プライ対プライ、厚さ方向アングルインターロック、直交その他のパターンを用いても織ることができる。図7に示すプリフォーム200において、クレビス250は、狭い配置あるいは形態230で始まり、一定の断面部分は、たとえば約12インチ(つまり、30cm)に織る。クレビス250の幅は広い配置あるいは形態255まで次第に大きくなる。広い部分255は、たとえば約8インチ(つまり、20cm)継続する。その後、クレビス250幅は、次第に減じて狭い配置あるいは形態230まで戻る。狭い幅の断面部分は、そのとき、たとえば約12インチ(つまり、30cm)に織る。図7は、狭い部分230から広い部分255までの変化をクローズアップしている。ここではクレビス250の幅が次第に変化することを述べているが、この発明がそのような配置あるいは形態に限られるわけではない。クレビス250幅の段階的な変化、あるいはジグザグ型での幅の変化、またはそれらの組み合わせも、この発明の考え方の範囲内である。たとえば、クレビス250幅の変化について、次第の変化と段階的な変化、あるいは段階的な変化とジグザグ型の変化、さらにまた、次第の変化と正弦曲線を描くような変化もまた組み合わせることができる。
【0045】
また、この発明の方法は、ベースと交差する3あるいはそれより多い脚をもつプリフォームのような他の断面形状を作るためにも用いることができる。さらにまた、この発明の方法は、可変の厚さあるいは可変の高さの脚であり、1あるいは2以上の面上互いに平行あるいは斜めになった脚を伴うプリフォームを織るために用いることができる。
【0046】
一般に、プリフォームを織るときには、縦糸およびフィル繊維に対して一つのタイプの繊維、たとえば、炭素(グラファイト)繊維を用いる。しかし、プリフォームは、また、たとえば炭素とガラス繊維のような多様な材料で形作るハイブリッド織りパターンにすることができる。そのような織りパターンにすれば、大きな強度、コスト低減、そして、最適化した熱膨張特性を得ることができる。織りパターンは、すべての縦糸をあるタイプで、しかも、すべてのフィル繊維を別のタイプで構成することができるし、あるいはまた、たとえば、層の全体にわたって「チエッカー盤(市松模様)」のように、縦糸および/またはフィル繊維に対し、二種のものを交互に配列することができる。
【0047】
この発明による効果には、大きな強度の織りを得ることができること、および構成部分を構造物に組み付けることが容易なプリフォームであることを含む。改良された織りにより、各層の縦糸をインターロックし、しかも、各層を互いにインターロックし、と同時に、プリフォームの荷重を高い対称性をもって分布させる。
プリフォームの脚間のベース中の縦糸繊維が奇数の支柱を用いることによって、対称面の両側面にほぼミラーイメージ(鏡像)を形作るように織ることができる。しかし、そのことは、この発明を実施する上で必ずしも必要ではない。プリフォームは、脚の長さを同様にしたり異ならせたり、あるいは、プリフォームの脚間のベース中の縦糸繊維が偶数である、非対称性の構造にすることもできる。
複数の脚は、互いに平行あるいは角度をもたせることができるし、また、間に可変幅のクレビスをもつことができる。ベースおよび/または脚の外側の端については、縦糸繊維の層が段のあるパターンで終わるテーパをもたせることが好ましい。
【0048】
そこで、この発明は、必ずしも互いに平行ではない多数の脚を伴うプリフォーム技術、すなわち、3Dプリフォームおよび/または強化コンポジット構造について既存のものに代わる提案技術および/または改良方法を提供する。たとえば、上述した可変幅クレビスを伴うパイ形プリフォーム、すなわち、プリフォームの長さに沿う直立する脚間の幅が変化するプリフォーム技術がその例である。
【0049】
以上のように、この発明によれば、その目的および利点を実現することができる。この発明の好ましい実施例について詳しく述べたが、この発明は、それらに限定されるわけではない。この発明の考え方の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定まる。
【符号の説明】
【0050】
100,200 プリフォーム
114,214 フィル(横糸)繊維
116,216 縦糸繊維
120,220 ベース
125,135;225,235 脚
150,250 クレビス
230 狭い部分
255 広い部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織りプリフォームに可変幅のクレビスを形成する方法であり、次の各工程を備える、織りフォームの形成方法。
(a)各層が複数の縦糸繊維を含み、それらの縦糸繊維は互いに平行であリ、縦の支柱を形作る、隣接する複数の層を支給する工程。
(b)前記の縦糸繊維による層に複数のフィル繊維を織り、ベースおよびそのベースから伸びる2または3以上の脚を形作る工程であり、前記フィル繊維は、ベースの層、各脚の層、および各層内の縦糸繊維をインターロックする工程。
(c)第1の脚を形作るプリフォームの第1の部分から1または2以上の縦糸繊維を選択的に外し、それによって、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を広げるか、あるいは、前記プリフォームの第1の部分に1または2以上の縦糸繊維を選択的に加え、それによって、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を狭くするか、または、前記広げることと前記狭くすることとの両方を行う工程。
【請求項2】
前記プリフォームの第2の部分の縦糸繊維を同時に加えおよび/または取り除く工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項3】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が奇数の数の支柱から構成され、プリフォームの対称中央面の周りにミラーイメージとなる織りパターンを形作る、請求項1の方法。
【請求項4】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が偶数の数の支柱から構成され、プリフォームの中央面の周りに非対称の織りパターンを形作る、請求項1の方法。
【請求項5】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項3の方法。
【請求項6】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項4の方法。
【請求項7】
前記ベースは、それぞれの脚よりも多くの層を含むか、あるいはその逆である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記ベースおよび/または脚の端部は、先細に形成されている、請求項1の方法。
【請求項9】
前記脚は、前記ベースに対して垂直、あるいは非垂直または斜めになっている、請求項1の方法。
【請求項10】
可変幅のクレビスを伴う織りプリフォームであり、次の各構成をフォーム。
・各層が複数の縦糸繊維を含み、それらの縦糸繊維は互いに平行であリ、縦の支柱を形作る、隣接する複数の層。
・前記の縦糸繊維による層間に織り、ベースおよびそのベースから伸びる2または3以上の脚を形作る複数のフィル繊維であり、前記ベースおよび各脚は縦糸繊維の少なくとも2つの層で形成し、前記フィル繊維は、ベースの層、各脚の層、および各層内の縦糸繊維をインターロックする。
・前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスであり、そのクレビスがプリフォームの長さに沿う可変幅をもつもの。
【請求項11】
前記可変幅のクレビスは、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を広げるために、第1の脚を形作るプリフォームの第1の部分から1または2以上の縦糸繊維を選択的に外し、あるいは、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を狭くするために、前記プリフォームの第1の部分に1または2以上の縦糸繊維を選択的に加え、または、前記広げることと前記狭くすることとの両方をなされている、請求項10のプリフォーム。
【請求項12】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が奇数の数の支柱から構成され、プリフォームの対称中央面の周りにミラーイメージとなる織りパターンを形作る、請求項10のプリフォーム。
【請求項13】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が偶数の数の支柱から構成され、プリフォームの中央面の周りに非対称の織りパターンを形作る、請求項10のプリフォーム。
【請求項14】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項12のプリフォーム。
【請求項15】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項13のプリフォーム。
【請求項16】
前記ベースは、それぞれの脚よりも多くの層を含むか、あるいはその逆である、請求項10のプリフォーム。
【請求項17】
前記ベースおよび/または脚の端部は、先細に形成されている、請求項10のプリフォーム。
【請求項18】
前記脚は、前記ベースに対して垂直、あるいは非垂直または斜めになっている、請求項10のプリフォーム。
【請求項1】
織りプリフォームに可変幅のクレビスを形成する方法であり、次の各工程を備える、織りフォームの形成方法。
(a)各層が複数の縦糸繊維を含み、それらの縦糸繊維は互いに平行であリ、縦の支柱を形作る、隣接する複数の層を支給する工程。
(b)前記の縦糸繊維による層に複数のフィル繊維を織り、ベースおよびそのベースから伸びる2または3以上の脚を形作る工程であり、前記フィル繊維は、ベースの層、各脚の層、および各層内の縦糸繊維をインターロックする工程。
(c)第1の脚を形作るプリフォームの第1の部分から1または2以上の縦糸繊維を選択的に外し、それによって、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を広げるか、あるいは、前記プリフォームの第1の部分に1または2以上の縦糸繊維を選択的に加え、それによって、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を狭くするか、または、前記広げることと前記狭くすることとの両方を行う工程。
【請求項2】
前記プリフォームの第2の部分の縦糸繊維を同時に加えおよび/または取り除く工程をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項3】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が奇数の数の支柱から構成され、プリフォームの対称中央面の周りにミラーイメージとなる織りパターンを形作る、請求項1の方法。
【請求項4】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が偶数の数の支柱から構成され、プリフォームの中央面の周りに非対称の織りパターンを形作る、請求項1の方法。
【請求項5】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項3の方法。
【請求項6】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項4の方法。
【請求項7】
前記ベースは、それぞれの脚よりも多くの層を含むか、あるいはその逆である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記ベースおよび/または脚の端部は、先細に形成されている、請求項1の方法。
【請求項9】
前記脚は、前記ベースに対して垂直、あるいは非垂直または斜めになっている、請求項1の方法。
【請求項10】
可変幅のクレビスを伴う織りプリフォームであり、次の各構成をフォーム。
・各層が複数の縦糸繊維を含み、それらの縦糸繊維は互いに平行であリ、縦の支柱を形作る、隣接する複数の層。
・前記の縦糸繊維による層間に織り、ベースおよびそのベースから伸びる2または3以上の脚を形作る複数のフィル繊維であり、前記ベースおよび各脚は縦糸繊維の少なくとも2つの層で形成し、前記フィル繊維は、ベースの層、各脚の層、および各層内の縦糸繊維をインターロックする。
・前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスであり、そのクレビスがプリフォームの長さに沿う可変幅をもつもの。
【請求項11】
前記可変幅のクレビスは、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を広げるために、第1の脚を形作るプリフォームの第1の部分から1または2以上の縦糸繊維を選択的に外し、あるいは、前記2または3以上の脚間に形成されるクレビスの幅を狭くするために、前記プリフォームの第1の部分に1または2以上の縦糸繊維を選択的に加え、または、前記広げることと前記狭くすることとの両方をなされている、請求項10のプリフォーム。
【請求項12】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が奇数の数の支柱から構成され、プリフォームの対称中央面の周りにミラーイメージとなる織りパターンを形作る、請求項10のプリフォーム。
【請求項13】
縦糸繊維の支柱は、脚の一つをベースに連結するフィル繊維と、脚の別のものをベースに連結するフィル繊維との間に位置する縦糸繊維の中央支柱を含み、それら中央支柱が偶数の数の支柱から構成され、プリフォームの中央面の周りに非対称の織りパターンを形作る、請求項10のプリフォーム。
【請求項14】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項12のプリフォーム。
【請求項15】
縦糸繊維の支柱は、中央支柱の側部に隣接し向かい合う縦糸繊維のセパレータ支柱を含み、各セパレータ支柱はフィル繊維部分を2つのグループに分割し、分割による一つのグループはベースと脚の間を中央支柱の組と隣接するセパレータ支柱との間から伸び、分割によるもう一つのグループはセパレータ支柱とそのセパレータ支柱の側部外側の支柱との間から伸びる、請求項13のプリフォーム。
【請求項16】
前記ベースは、それぞれの脚よりも多くの層を含むか、あるいはその逆である、請求項10のプリフォーム。
【請求項17】
前記ベースおよび/または脚の端部は、先細に形成されている、請求項10のプリフォーム。
【請求項18】
前記脚は、前記ベースに対して垂直、あるいは非垂直または斜めになっている、請求項10のプリフォーム。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【公表番号】特表2012−507641(P2012−507641A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534679(P2011−534679)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/062216
【国際公開番号】WO2010/053754
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508135080)アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/062216
【国際公開番号】WO2010/053754
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(508135080)アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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