説明

可変情報印刷物

【課題】本発明は、ゲーム部や番号などの可変情報の改ざんが極めて困難な偽造・贋造防止効果を有し、真贋鑑定が一見して容易にできる、彩紋では制約されるデザイン性を向上させ、ゲーム性を付加し、さらには、可変情報の機械読み取りが可能なスクラッチくじ等に用いられる可変情報印刷物を提供することを目的とするものである。
【解決手段】基材上に、少なくとも、下地層、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層、可変情報を表示する印刷層が順次積層され、その積層体を被覆するようにスクラッチ隠蔽層を形成したことを特徴とする可変情報印刷物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラッチくじ等の可変情報印刷物に関するものであり、特に、ゲーム部や番号などの改ざんが極めて困難な偽造・贋造防止効果を有し、また、デザイン性を向上させ、ゲーム性を付加し、さらに、可変情報の機械読み取りが可能な可変情報印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
スクラッチくじ等で知られているように、紙、プラスチック等の基材上に文字、記号などの情報(可変情報)を印刷し、その上に不透明印刷インキ、例えば、スクリーン印刷用銀インキ等で隠蔽層を形成し、情報(可変情報)を印刷した部分を隠蔽した印刷物が知られている。この印刷物は硬貨等で擦ることにより隠蔽層を剥がし、下層の文字、記号などの印刷された情報(可変情報)を表示させ、くじとしての役割を果たしている。
【0003】
このようなスクラッチくじの当選券の改ざんは、他の券の可変情報(例えば、1等、アタリなどの文字)部の全部又は一部を切取り、改ざんする券に貼り合わせて当選券として改ざんすることが多い。この切り貼りによる改ざんの防止策としては、可変情報の下地に彩紋などを印刷により設け、切り貼りによる改ざんを困難なものとするといった方法が一般に用いられている。この際の彩紋は、可変情報を機械で読み取りることを考慮し、赤色の細線、各色の網点、淡い色などで施されている。しかし、彩紋として連続した細線を用いた場合には、改ざんの防止策としては不十分なものである。
【0004】
図8および図9は、スクラッチくじの当選券の改ざんの一例を示す説明図である。図9は、当選券の改ざんが良好に行われた場合、図9は、当選券の改ざんが良好に行われなかった場合の説明図である。また、図8および図9において、(a)は、改ざん前の改ざんする券の状態、(b)は、改ざん中の状態、(c)は、改ざん後の状態を示している。また、説明の都合上、図8および図9では隠蔽層はすべて剥離した状態のものである。
【0005】
図8(a)に示すように、改ざんする券(100)は、基材上に彩紋として連続した細線(101)が基材に印刷され、その上に番号で表す可変情報が各々の位置に印刷されたものである。連続した細線(101)は、すべての券に同一に印刷されている。また、この一例は、スクラッチくじに番号が三個連続して「123」と出た場合に当選となる例であり、この改ざんする券(100)は落選券である。
【0006】
図8(b)に示すように、先ず、改ざんする券(100)の券内右部の「2」が印刷された可変情報部(102)を切取って破棄する。次に、他の券(110)の券内左部の「3」が印刷された可変情報部(112)を切取り、改ざんする券(100)の可変情報部(102)を切取った跡に貼り合わせる。このようにして得られた、改ざん後の券(100′)は、図8(c)に示すように、「123」が三個連続して出たものとなる。
【0007】
このようにして得られた、改ざん後の券(100′)は、図8(c)に示すように、「123」が三個連続して出たものとなり、かつ、基材上に印刷された連続した細線(101)と、貼り合わせた可変情報部(112)の細線(111)は、貼り合わせの境界部で連続したものとなり、この改ざんは良好に行われたものとなる。
【0008】
図9(a)〜(b)は、当選券の改ざんが良好に行われなかった場合の説明図である。改ざんする券(120)は、基材上に番号で表す可変情報の番号を表示する全ての番号枠内に彩紋としてランダムな細線(121)が印刷されている。また、この一例は、スクラ
ッチくじに番号が三個連続して「123」と出た場合に当選となる例であり、この改ざんする券(120)は落選券である。
【0009】
図9(a)に示すように、先ず、改ざんする券(120)の券内右部の「2」が印刷された可変情報部(122)を切取って破棄する。次に、可変情報部(122)と同じ位置に「3」が印刷されている他の券を選び出し、選び出した他の券(130)の券内左部の「3」が印刷された可変情報部(132)を切取り、改ざんする券(120)の可変情報部(122)を切取った跡に貼り合わせる。
【0010】
このようにして得られた、改ざん後の券(120′)は、基材上に印刷された細線(121)と、貼り合わせた可変情報部(132)の細線(131)は、貼り合わせの境界部で不連続なものとなり、改ざん後の券(120′)はその真贋が判ってしまう。
【0011】
このように、切り貼りによる改ざんの防止策として、可変情報の下地に彩紋などを印刷により設けても、単純な彩紋では、他の券の同じ位置の可変情報を貼り合わせることで彩紋の連続性は再現されてしまう。また、単純な彩紋では、彩紋自体を偽造することも容易に行うことができるものである。
【0012】
このような彩紋の弱点を補う方法として、例えば、彩紋に蛍光体を配合したり、彩紋を複雑なものとしたり、彩紋をマイクロ文字化したりする方法が提案されているが、これらの方法では、改ざん後の券の真贋鑑定を一見して容易に行うことは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ゲーム部や番号などの可変情報の改ざんが極めて困難な偽造・贋造防止効果を有し、真贋鑑定が一見して容易にできる、彩紋では制約されるデザイン性を向上させ、ゲーム性を付加し、さらには、可変情報の機械読み取りが可能なスクラッチくじ等に用いられる可変情報印刷物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、すなわち、
請求項1に係る発明は、
基材上に、少なくとも、下地層、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層、可変情報を表示する印刷層が順次積層され、その積層体を被覆するようにスクラッチ隠蔽層を形成したことを特徴とする可変情報印刷物である。
【0015】
請求項2に係る発明は、
前記下地層には、模様が施されていることを特徴とする請求項1記載の可変情報印刷物である。
【0016】
請求項3に係る発明は、
前記万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる可変情報を表示する画像形成体が、前記下地層上に線部と非線部の万線比率が1:1の同一万線ピッチによる万線を異なる万線角度にて配置した2ないし数種類の万線パターンが形成され、その万線パータンのうち1ないし数種類の万線パータン領域内にその万線パターンに対して万線位相を半ピッチ分だけずらして形成した潜像万線パターンを備えていることを特徴とする請求項1または2記載の可変情報印刷物である。
【0017】
請求項4に係る発明は、
前記特殊インキが、紫外線の照射で発色する蛍光インキであることを特徴とする請求項1〜3記載の可変情報印刷物である。
【0018】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の可変情報印刷物であって、前記2ないし数種類の万線パターン上にその万線パータンと同じ万線比率と同じ万線ピッチの顕像化用万線パターンが透明フィルムに形成された顕像化万線シートを互いにその万線角度が整合するように重ね合わせ、紫外線を照射した際に、各々万線角度に対応する万線パターン領域内に形成された潜像万線パターンが顕像化されることを特徴とする可変情報印刷物である。
【0019】
請求項6に係る発明は
前記可変情報を表示する印刷層上に剥離ニス層を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変情報印刷物である。
【0020】
請求項7に係る発明は
前記画像形成体層上にインク受理層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の可変情報印刷物である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の可変情報印刷物は、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層を設けたことで、その可変情報印刷物に透明フィルムに形成された前記潜像万線パターンを顕像化するための顕像化万線シートを整合させて重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射することにより、改ざんを試みても改ざんすることが極めて困難であり、また、その真贋鑑定が一見して容易にでき、彩紋などでは制約されるデザイン性を向上させ、ゲーム性を付加し、さらには、可変情報の機械読み取りが可能な可変情報印刷物を提供できる。
【0022】
すなわち、本発明の可変情報印刷物において、画像形成体層における潜像万線パターンは、蛍光インキなどの特殊インキで印刷されているために通常の太陽光・室内光では視認できないためにデザインを損なうことがなく、また可変情報の機械読み取りが可能であって、スクラッチくじ等可変情報印刷物としてデザイン性およびゲーム性がより一段と向上したものとなる。
【0023】
また、本発明の可変情報印刷物において、スクラッチ隠蔽層を形成する前に、剥離ニス層を形成することができる構成であることから、スクラッチ隠蔽層は容易に擦りとることができ、可変情報が壊れてしまうことはない。
【0024】
また、本発明の可変情報印刷物において、可変情報を表示する印刷層を形成する前に、インク受理層を形成することができる構成であることから、特に、水性インクジェット印刷における印刷インキの密着性が良くなり、印刷ムラなどが発生し、読み取りなどに支障をきたすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の可変情報印刷物の一実施例としての実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の可変情報印刷物の構成の一例を示す断面図である。また、図2は、本発明の可変情報印刷物の構成の他の例を示す断面図である。図3は、本発明の可変情報印刷物の画像形成体層における潜像万線パターンとその潜像万線パターンを顕像化する仕組みを説明する説明図である。図4は、本発明の可変情報印刷物の改ざんの一例を示す説明図である。図5は、改ざん後の本発明の可変情報印刷物にブラックライトなどによ
り紫外線を照射して目視した場合の一例を示す説明図である。図6は、本発明の可変情報印刷物の万線モアレによる潜像万線パターンを顕像化する顕像化万線シートの一例を示す平面図である。図7は、改ざん後の本発明の可変情報印刷物に顕像化万線シートを整合させて重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射して真贋鑑定を一見して容易に行うことができる一例を示す説明図である。
【0026】
図1に示すように、一例としての本発明の可変情報印刷物10は、基材1上に、模様を施した下地層2、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層3、インク受理層4、可変情報を表示する印刷層5が順次積層され、その積層体を被覆するようにさらに剥離ニス層6、スクラッチ隠蔽層7が順次積層された構成の可変情報印刷物である。画像形成体層3は、前記下地層2上に線部と非線部の万線比率が1:1の同一万線ピッチによる万線を異なる万線角度にて配置した2ないし数種類の万線パターンが形成され、その万線パータンのうち1ないし数種類の万線パータン領域内にその万線パターンに対して万線位相を半ピッチ分だけずらして形成した潜像万線パターンを備えている。
【0027】
また、図2に示すように、他の例としての本発明の可変情報印刷物20は、基材層1上に、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層3、模様を施した下地層2、インク受理層4、可変情報を表示する印刷層5が順次積層され、その積層体を被覆するようにさらに剥離ニス層6、スクラッチ隠蔽層7が順次積層された構成の可変情報印刷物である。そして、画像形成体層3は、上記同様基材1上に線部と非線部の万線比率が1:1の同一万線ピッチによる万線を異なる万線角度にて配置した2ないし数種類の万線パターンが形成され、その万線パータンのうち1ないし数種類の万線パータン領域内にその万線パターンに対して万線位相を半ピッチ分だけずらして形成した潜像万線パターンを備えている。
【0028】
本発明における基材層1を構成する基材としては、紙、合成紙、プラスチックシート、もしくは単独か、または、組合せて使用することができる。
【0029】
また、基材をプラスチックシートで構成するときは、ポリアミド(ナイロン)、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリカーボネート、もしくは、その他の樹脂のシートを使用することができる。
【0030】
本発明における万線モアレによる潜像パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層3は、前記万線モアレによる潜像パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる可変情報を表示する画像形成体が、前記下地層上に線部と非線部の万線比率が1:1の同一万線ピッチによる万線を異なる万線角度にて配置した2ないし数種類の万線パターンが形成され、その万線パータンのうち1ないし数種類の万線パータン領域内にその万線パターンに対して万線位相を半ピッチ分だけずらして形成した潜像万線パターンを備えていることを特徴し、前記2ないし数種類の万線パターン上にその万線パータンと同じ万線比率と同じ万線ピッチの顕像化用万線パターンが透明フィルムに形成された顕像化万線シートを互いにその万線角度が整合するように重合し、紫外線を照射した際に、各々万線角度に対応する万線パターン領域内に形成された潜像万線パターンが顕像化される。
【0031】
本発明における上記画像形成体層3を構成する万線モアレによる潜像万線パターンが形成された画像形成体は、特開2001−213042号公報に開示されている技術を適用することができる。以下に、「万線モアレ」を応用した画像形成体について簡単に説明する。
【0032】
従来の「万線モアレ」を応用した画像形成体は、図10(a)〜(d)、および図11に示すような仕組みとなっており、従来の「万線モアレ」を応用した画像形成体は、比較的単純なパターンであるため、偽造防止対策としての効果が低いものであった。本発明における「万線モアレ」を応用した画像形成体は、図3(a)〜(e)に示すように真贋鑑定を一見して容易に行うことができるものである。
【0033】
まず、従来の「万線モアレ」を応用した印刷物について説明すると、図10(a)は、用紙30に印刷により形成された万線パターンのない通常印刷画像31、図10(b)は別の用紙30に印刷形成された同一線幅の多数本の平行な直線をその線幅と同一ピッチ(等間隔)で配置した平行直線により構成された万線パターン40、図10(c)は同一用紙30に前記通常印刷画像31と万線パターン40とを重ね刷り印刷した印刷物Aである。
【0034】
図10(b)に示す万線パターン40には、潜像万線パターン40a(例えば図示するようにハート形パターン部分)を備え、この万線パターン40における潜像万線パターン40aは、図10(d)のM部分拡大図に示すように、潜像万線パターン40aの内側領域と外側領域のそれぞれ平行直線(万線)のピッチ位相を両領域の境界相当部分(潜像万線パターン40aの輪郭線)に沿って半ピッチ分ずらすことにより形成されている。
【0035】
上記万線パターン40を構成する平行直線(万線)は、通常印刷画像31の印刷デザインの支障にならない程度の細い微細な線幅となっていて、また、この万線パターン40の内側領域に形成されている潜像万線パターン40aの万線はその外側領域の万線に対してピッチ位相がずれているだけであり、しかも万線は微細であるので、潜像万線パターン40aは視覚的には(見かけ上は)画像としては何も目視観察されず、印刷物Aには通常印刷画像31と万線パターン40だけが観察される。
【0036】
図4に示すように、この印刷物A(図10(c))上に、透明フィルム50面に印刷物Aの万線パターン40と同じ線幅とピッチの万線パターン60を形成した万線シートBを平行に重ね合わせると、印刷物Aに形成されている万線パターン40の潜像パターン部3aの内側領域と外側領域のそれぞれ万線は半ピッチ分ずれているために、万線パターン60の万線と、印刷物Aに形成されている万線パターン40の潜像万線パターン40aの内側領域と外側領域の半ピッチ分ずれているそれぞれ万線とに、互いに重なり合う(万線パターン40の万線が隠れる)部分と、重なり合わない(万線パターン40の万線が隠れない)部分が発生する。
【0037】
その結果、例えば、万線パターン60の万線と重なり合わない万線パターン40の万線が、潜像万線パターン40a(例えば図示するようにハート形パターン部)領域内の万線パターン40を構成する万線であれば、その万線が万線パターン60の各万線(不透明線;黒線)の間の透明部分(透明線;白線)を透して目視にて観察されて潜像万線パターン40aが顕像化して、ポジティブ画像の顕像画像として観察される。
【0038】
他方、例えば、万線パターン60の万線と重なり合わない万線パターン40の万線が、潜像万線パターン40a(例えば図示するようにハート形パターン部)領域外の万線パターン40を構成する万線であれば、その万線が万線パターン60の各万線(不透明線;黒線)の間の透明部分(透明線;白線)を透して目視にて観察されて潜像万線パターン40aは顕像化して、ネガティブ画像の顕像画像として観察される。
【0039】
これに対して、本発明における「万線モアレ」を応用した画像形成体は、一例として、潜像万線パターンを形成した万線パターン上に顕像化万線シートを重ね合わせ、その重ね合わせ面にて面回転させると、次々と潜像パターンによる異なる画像が顕像化する多次変
化機能を備えているため、印刷物の真偽判定を容易にできる。
【0040】
図3(a)に示すように、本発明における画像形成体Aは、下地層30上に線部と非線部の万線比率が1:1で、同一の万線ピッチの万線パターン40が形成され、その万線パターン40は、それぞれ異なる万線角度にて形成された2ないし数種類の万線パターン領域により構成されている。
【0041】
前記万線パータン40の異なる万線角度にて形成された各パターン領域には、万線位相を半ピッチ分だけずらして形成された潜像万線パターン40aによる潜像パターンを備えている。
【0042】
本発明における上記画像形成体Aの万線パターン40上には、図3(b)に示すように、万線パータン40と同じ万線比率(線部と非線部の万線比率が1:1)と同じ万線ピッチの万線パターン60が透明基材50上に形成されている万線シートBが、その万線方向を整合させて重ね合わせられる。
【0043】
図3(c)〜(d)は、画像形成体Aの万線パターン40上に万線シートBを重ね合わせて、前記1ないし数種類の潜像万線パターン上にその各々万線角度に整合する(平行となる)角度にて重合した際に、その角度に対応する潜像万線パターン40aによる潜像パターンが 顕像化された状態を示す。
【0044】
図3(c)では、顕像化万線シートBを万線パターン40上に重ね合わせ、その万線パターン60の万線を水平方向(角度0°)にして、例えば「T」という文字の潜像万線パターン40aの水平な万線の方向(角度0°)と整合させて重合することにより、「T」という文字が顕像化万線シートBを透して顕像化する。
【0045】
図3(d)では、顕像化万線シートBを万線パターン40上に重ね合わせ、その万線パターン60の万線を45°の方向に傾斜させて、例えば「P」という文字の潜像万線パターン40aの45°に傾斜する万線の方向と整合させて重合することにより、「P」という文字が顕像化万線シートBを透して顕像化する。
【0046】
これによって、各々万線角度に対応する各万線パターン領域内に形成された潜像万線パターン(例えば、T、O、Pの文字の潜像パターン)が、それぞれ顕像化万線シートを角度調整することにより顕像画像(例えば、T、O、Pの文字)として顕像化されるものである。例えば、上記顕像化万線シートの万線パターンの万線と重なり合わない画像形成体の万線パターンの万線が、潜像万線パターン領域内の万線パターンを構成する万線であれば、その万線が万線パターンの各万線(不透明線;黒線;線部)の間の透明部分(透明線;非線部)を透して目視にて観察されて潜像万線パターンが顕像化してポジティブ画像の顕像画像として観察される。
【0047】
他方、例えば、上記顕像化万線シートの万線パターンの万線と重なり合わない画像形成体の万線パターンの万線が、潜像万線パターン領域外の万線パターンを構成する万線であれば、その万線が万線パターンの各万線(不透明線;黒線;線部)の間の透明部分(透明線;非線部)を透して目視にて観察されて潜像万線パターンは顕像化してネガティブ画像の顕像画像として観察される。
【0048】
上記の本発明における画像形成体層3に形成する潜像万線パターンの印刷は、例えば、縦4×横5面の合計20面を有する版を用いて、潜像万線パターンを任意にずらしながら印刷することで、無数の異なるパターンを形成することができる。例えば、1回転ににつき、1゜づつ印刷をずらしたとすると、異なるパターンが360種になり、1000枚印
刷したとしても、同一の潜像万線パターンを有する印刷物は3枚しか発生しないことになる。さらに、印刷をずらす制御を追加することにより、潜像万線パターンに広がりを持たせることができる。また、版を用いないインクジェット印刷により上記潜像万線パターンを印刷すれば、無制限の異なる潜像万線パターンを形成することができる。インクジェット印刷方法を適用する場合は、後に述べるインク受理層を下地に設けることが好ましい。
【0049】
本発明における潜像万線パターンの印刷濃度は、下記(1)式で表されるPCS値(Point Contrast Signal値;相対反射率;コントラストを示す値)が、0.2以下(Aフィルター)あることが望ましい。PCS値が、0.2を超える値では、肉眼で何らかの印刷が施されていることが判明する危惧がある。
【0050】
PCS値=(万線の非線部反射率−万線の線部反射率)/万線の非線部反射率
・・・・(1)
また、本発明の可変情報印刷物における万線パターン形成領域には、全く独立したデザインなどによる通常印刷画像、彩色を下地画像、下地彩色として形成してもよい。但し、潜像万線パターンによる潜像パターンの再現性、顕像化を考慮して、潜像パターンに採用した色調に近似した色は迷彩化のおそれがあるので避けた方がよい。また、上記万線パターンの形成領域以外の領域にも、全く独立したデザインなどによる通常印刷画像、彩色を形成してもよい。このように階調のある画像が印刷により設けられているので、彩紋におけるようなデザイン上の制約はなくなり、デザイン性が向上した美麗なものとなる。また、このように階調のある画像が印刷により設けられているので、可変情報印刷物にゲーム性が付加されたものとなる。
【0051】
本発明における画像形成体層3に形成する潜像万線パターンを印刷する際に使用される特殊インキとしては、ブラックライト(蛍光物質に当たると可視光を発する、紫外線のような不可視光線)の照射で発色する蛍光物質を含む蛍光インキが用いられる。蛍光物質としては、種々の無機蛍光物質でもよいが、コスト面からは蛍光増白剤なども用いられる。
【0052】
これらの蛍光物質としては蛍光染料や蛍光顔料を使用する。具体的には、蛍光染料としては、フルオレッセイン、クマリン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、スピロピラン系、ピレンスルホン酸系、ベンゾイミダゾール系、ジアミノスチルベン系等の蛍光染料を、蛍光顔料としては、有機及び無機の蛍光顔料をいずれも使用できる。有機の蛍光顔料としては具体的にはポリ塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の樹脂にフルオレッセイン、エオシン、ローダミン6G、ローダミンB、ベーシックイエローHG等の染料を均一に溶解させ粉砕させたもの等を挙げることができる。
【0053】
また、無機の蛍光顔料としては具体的には、銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛、マンガン等で活性化したケイ酸亜鉛、銀、銅等で活性化した硫化亜鉛カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウム、サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロンチウム、鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム、ユーロピウム等で活性化したSr(PO43Cl、マンガン等で活性化したZn2GeO2、ユーロピウム等で活性化したY22S、ユーロピウム等で活性化したY23等を挙げることができる。またこれらにアントラキノン系やアセトフェノン系等の増感剤を併用することも適宜行うことができる。
【0054】
蛍光インキは、オフセット用印刷用に限らず、例えば、有機蛍光顔料を凸版印刷用、グラビア印刷用あるいはフレキソ印刷用蛍光インキとして、画像形成体層の潜像万線パターンを形成することができる。
【0055】
本発明における模様を施した下地層2は、ランダムな模様を印刷により設けたものであ
る。
【0056】
本発明における可変情報を表示する印刷層5としては、通常のオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、各種転写印刷、あるいは版を用いないインクジェット印刷などの如く通常の印刷方法により、それぞれに適したインキを用いて形成することができる。また、その絵柄などについても特別な制限がなく、番号、記号、文字などの可変情報が印刷される。
【0057】
特に、水性インクジェット印刷方法の場合は、インク受理層を設ける。本発明におけるインク受理層22は、市販のインクジェット記録装置に使用される色素成分を含むインクに対して、色再現性および高精細性等の特性を満足する顔料およびバインダーを主成分とする組成物からなるインクを固着する機能を果たす層である。
【0058】
インク受理層4に使用する顔料としては、特に限定されるものではなく公知の顔料を一種類以上使用することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、チサンホワイト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン系プラスチックピグメント、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料が挙げられる。その中でも多孔性無機顔料類が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特にコスト的にも細孔容量の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。
【0059】
インク受理層4に使用するバインダーについても、特に限定されるものではなく公知のバインダーを一種類以上使用することができる。例えば、合成品としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、およびポリビニルイソブチルエーテル等の変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、およびポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体およびポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体、ニトリルブタジエン共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。天然物としては、ゼラチン等の蛋白質類、馬鈴薯等の澱粉類、寒天等の藻類、マンナン等の植物性粘質物、グルカン等の微生物粘質物等が挙げられる。
【0060】
本発明における剥離ニス層6は、隠蔽層を擦りとる際に剥離性が悪く、可変情報が壊れてしまうような場合には設けることが好ましい。剥離ニス層の材料としては、透明でこの層を通して可変情報を読み取ることができ、印字等を視認でき、また、硬貨などで擦っても削りとられない強靱さを持っていれば特に限定されるものではない。例えば、紫外線もしくは電子線硬化型のアクリル系インキなどにシリコンなどの滑剤を添加したものが用いられる。
【0061】
本発明におけるスクラッチ隠蔽層7としては、下層を隠蔽し、かつ、コインのエッジ等で擦る等により、比較的容易に削り取ることができる性質を備えた層であり、具体的には、隠蔽性の高い顔料が、比較的多量に、バインダ樹脂中に分散したものであって、必要に応じて、着色の目的で、染料もしくは通常の顔料が配合されてあってもよい。
【0062】
スクラッチ隠蔽層7を構成する隠蔽性の高い顔料としては、アルミニウム粉末、黄銅粉末、もしくは銅粉末等の金属系粉末、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、カーボンブラック、もしくは樹脂粉末等を使用することができる。
【0063】
また、スクラッチ隠蔽層7を構成するバインダ樹脂としては、上記の隠蔽性の高い顔料を保持し、シール基材との接着性の良好なものを選択して用い、例えば、天然ゴム、もしくは塩酸ゴム等のゴム系天然樹脂、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、アクリル、塩化ビニル、もしくは塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体等を使用する。
【0064】
スクラッチ隠蔽層7を積層するには、上記した隠蔽性の高い顔料、バインダ樹脂、および溶剤等を用いて混合、分散して、スクラッチ層形成用インキ組成物ないし塗料組成物としたものを用い、公知の印刷方法もしくは塗布方法により印刷もしくは塗布することができが、一般には、はシルクスクリーン印刷により印刷される。
【0065】
スクラッチ隠蔽層7は、一定以上の力がかかったときには、容易に除去出来るものであることが好ましいが、通常の保管環境下やハンドリングの際に、傷が付くことは、下層を隠蔽すべき機能上、好ましくないので、スクラッチ隠蔽層7上に保護層を形成してもよい。
【0066】
保護層は、適宜な樹脂の溶液を塗布することにより形成でき、樹脂としては、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、もしくはポリウレタン樹脂を使用することができる。
【0067】
本発明の可変情報印刷物は上記の構成とすることで、本発明の可変情報印刷物の改ざんを試みても、一見して容易に真贋鑑定を行うことができる。すなわち、図4(a)〜(c)は、本発明の可変情報印刷物の一実施例としてのスクラッチくじ券の改ざんを試みた場合の説明図である。説明の都合上、図4では隠蔽層はすべて剥離した状態のものである。において、改ざんするスクラッチくじ券(70)は、基材上に可変情報である番号を表示する全ての番号枠内にランダムな模様(72)が印刷されている。また、画像形成体層には蛍光インキなどの特殊インキを用いて潜像万線パターン(71)が印刷されている。潜像万線パターン(71)は、蛍光インキなどの特殊インキを用いて印刷されているので太陽光・室内光では視認できない。この一例は、スクラッチくじ券の番号が三個連続して「123」と出た場合に当選となる例であり、この改ざんするスクラッチくじ券(70)は落選券である。
【0068】
図4において、(a)は、改ざん前の改ざんするスクラッチくじ券の状態、(b)は、改ざん中の状態、(c)は、改ざん後の状態を示している。
【0069】
図4(a)に示すように、先ず、改ざんするスクラッチくじ券(70)の券内右部の「2」が印刷された可変情報部(73)を切取って破棄する。次に、可変情報部に「3」が印刷されている他の券を選び出し、選び出した他のスクラッチくじ券(80)の券内左部の「3」が印刷された可変情報部(83)を切取り、改ざんするスクラッチくじ券(70)の可変情報部(73)を切取った跡に貼り合わせる。
【0070】
このようにして得られた改ざん後のスクラッチくじ券(70′)の表面にブラックライ
トなどにより紫外線を照射すると、図5(c)に示すように、画像形成体層の蛍光インキなどの特殊インキで印刷されている潜像万線パターン(71)は単に発色する判別不可能なランダムなパターン(71′)であるとしか目視できない。
【0071】
図6は、本発明における画像形成体層に印刷形成した潜像万線パターンを顕像化する顕像化用万線パターン60が透明フィルム50に形成された顕像化万線シート90の平面図である。図7(a)に示すように、この顕像化万線シート90を上記の改ざんするスクラッチくじ券(70)の表面に整合して重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射すると潜像万線パターンを顕像化し、文字パターン(70′′)が目視される。同様にして、図7(b)に示すように、改ざん中のスクラッチくじ券(80)の表面に整合して重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射すると潜像万線パターンを顕像化し、文字パターン(70′′)が目視される。また、図7(c)に示すように、改ざん後のスクラッチくじ券(70′)の表面に整合して重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射すると潜像万線パターンを顕像化し、文字パターン(70′′)が目視される。
【0072】
このようにして得られた、改ざん後のスクラッチくじ券(70′)は、基材上に印刷された潜像万線パターンを顕像化した文字パターン(71′)と、貼り合わせた可変情報部(83)の潜像万線パターンを顕像化した文字パターン(81′)は、貼り合わせの境界部で不連続なものとなり、改ざん後の券(71′)はその真贋が一見して容易に判ってしまう。
【0073】
本発明の可変情報印刷物は、従来の可変情報の下地に彩紋などを印刷により設けても、単純な彩紋では、他の券の同じ位置の可変情報を貼り合わせることで彩紋の連続性は再現されてしまう。また、単純な彩紋では、彩紋自体を偽造することも容易に行うことができるものである。このような彩紋の弱点を補う方法として、例えば、彩紋に蛍光体を配合したり、彩紋を複雑なものとしたり、彩紋をマイクロ文字化したりする方法を採用したとしても、可変情報の下地に彩紋などを印刷により設ける方法では、改ざん後の券の真贋鑑定を一見して容易に行うことは困難であるという問題を回避できる。
【0074】
このように、本発明の可変情報印刷物は、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層を設けたことで、可変情報印刷物に前記潜像万線パターンを顕像化するための透明フィルムに形成された顕像化万線シートを重ね合わせ、ブラックライトなどにより紫外線を照射することにより、改ざんを試みても改ざんすることが極めて困難であり、また、その真贋鑑定は一見して容易にできる、彩紋などでは制約されるデザイン性を向上させ、ゲーム性を付加した、さらには、可変情報の機械読み取りが可能な可変情報印刷物を提供できる。
【0075】
また、本発明の可変情報印刷物において、画像形成体層は特殊インキで印刷されているために通常の太陽光・室内光では視認できないためにデザインを損なうことがなく、また可変情報の機械読み取りが可能であって、スクラッチくじ等に用いれれる可変情報印刷物としてデザイン性およびゲーム性がより一段と向上したものとなる。また、本発明の可変情報印刷物において、隠蔽層を形成する前に、剥離ニス層を形成することができる構成であることから、隠蔽層は容易に擦りとることができ、可変情報が壊れてしまうことはない。また、本発明の可変情報印刷物において、上記可変情報印刷物において、可変情報を表示する印刷層を形成する前に、インク受理層を形成することができる構成であることから、特に水性インクジェット印刷における印刷インキの密着性が良くなり、印刷ムラなどが発生し、読み取りなどに支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による可変情報印刷物の構成の一例を示す断面図である。
【図2】本発明による可変情報印刷物の構成の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の可変情報印刷物における画像形成体における潜像万線パターンとその潜像万線パターンを顕像化する仕組みを説明する説明図である。
【図4】本発明による可変情報印刷物の一実施例としてのスクラッチくじ券の改ざんを試みた一例を説明する説明図である。
【図5】本発明による可変情報印刷物の一実施例としての改ざん後のスクラッチくじ券の表面にバックライトにより紫外線を照射する一例を説明する説明図である。
【図6】本発明による可変情報印刷物における画像形成体層に形成された潜像万線パターンを顕像化する顕像化万線シートの一例を示す平面図である。
【図7】本発明による可変情報印刷物の一実施例としての改ざん後のスクラッチくじ券の表面に顕像化万線シートを整合して重ね合わせ、バックライトにより紫外線を照射して贋造鑑定する方法の一例を説明する説明図である。
【図8】従来のスクラッチくじの当選券の改ざんが良好に行われた場合の一例を示す説明図である。
【図9】従来のスクラッチくじの当選券の改ざんが良好に行われなかった場合の一例を示す説明図である。
【図10】従来の「万線モアレ」を応用した印刷物の一例を説明する説明図である。
【図11】従来の「万線モアレ」を応用した画像形成体の一例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0077】
1・・・基材層
2・・・下地層
3・・・画像形成体層
4・・・インク受理層
5・・・可変情報を表示する層
6・・・剥離ニス層
7・・・スクラッチ隠蔽層
10、20・・・可変情報印刷物
30・・・用紙
40・・・万線パターン
50・・・透明フィルム
60・・・万線パターン
70、100・・・改ざんするスクラッチくじ
70′、100′・・・改ざん後のスクラッチくじ
71、81・・・潜像万線パターン
71′・・・改ざん後のスクラッチくじ表面に紫外線を照射して目視される発光パターン71′′、81′′・・・顕像化された画像(文字パターン)
72、82・・・模様
73、102、112・・・切り取られた可変情報部
83、110・・・改ざん中のスクラッチくじ
90、B・・・顕像化万線シート
101、111・・・連続した細紋
A・・・画像形成体
M・・・万線パターンの拡大図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、少なくとも、下地層、万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体層、可変情報を表示する印刷層が順次積層され、その積層体を被覆するようにスクラッチ隠蔽層を形成したことを特徴とする可変情報印刷物。
【請求項2】
前記下地層には、模様が施されていることを特徴とする請求項1記載の可変情報印刷物。
【請求項3】
前記万線モアレによる潜像万線パターンが浮き上がる特殊インキで印刷されてなる画像形成体が、前記下地層上に線部と非線部の万線比率が1:1の同一万線ピッチによる万線を異なる万線角度にて配置した2ないし数種類の万線パターンが形成され、その万線パータンのうち1ないし数種類の万線パータン領域内にその万線パターンに対して万線位相を半ピッチ分だけずらして形成した潜像万線パターンを備えていることを特徴とする請求項1または2記載の可変情報印刷物。
【請求項4】
前記特殊インキが、紫外線の照射で発色する蛍光インキであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変情報印刷物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の可変情報印刷物であって、前記2ないし数種類の万線パターン上にその万線パータンと同じ万線比率と同じ万線ピッチの顕像化用万線パターンが透明フィルムに形成された顕像化万線シートを互いにその万線角度が整合するように重ね合わせ、紫外線を照射した際に、各々万線角度に対応する万線パターン領域内に形成された潜像万線パターンが顕像化されることを特徴とする可変情報印刷物。
【請求項6】
前記可変情報を表示する印刷層上に剥離ニス層を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変情報印刷物。
【請求項7】
前記画像形成体層上にインク受理層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の可変情報印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−7633(P2006−7633A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189356(P2004−189356)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】