説明

可変焦点型液体充填レンズ機構体

液体で満たされたキャビティを有する液体充填レンズの光学強度を変化させることができる機構体。リザーバが追加の流体を収容すると共にキャビティと流体連通状態にあり、機構体は、流体をリザーバから抜き出してキャビティ内に入れ又は流体をキャビティからリザーバ内に押し戻し、それによりレンズキャビティ内の流体の量の変化がレンズの光学強度を変化させる。メンブレンがリザーバを密閉し、プランジャがメンブレンに当たる。運動装置、例えばバレル形ねじ又はレバーがプランジャを制御された仕方でメンブレンの方へ動かしてリザーバ内の圧力を増大させ、それにより流体をリザーバから押し出してレンズキャビティ内に入れたり、プランジャを制御された仕方でメンブレンから遠ざけてリザーバ内の圧力を減少させ、それにより流体をレンズキャビティから抜き出してリザーバ内に入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点レンズの分野、特に、少なくとも一部は流体であり、或いは、液体で満たされた消費者用オフサルミックレンズ(ophthalmic lenses)に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の目の中の生まれつきの水晶体の焦点距離を調節し、即ち、これを変更する人間の目の能力は、歳と共に次第に低下することが知られている。人間の調節力は、35〜45歳の年齢では3D(ジオプタ)以下に低下する。この時点では、近くの物体(例えば、本又は雑誌の文章)を焦点にもってくることができるようにするためには読書用眼鏡又は他の何らかの形態の近視矯正手段が人間の目にとって必要になる。加齢により、調節力は、2Dを下回り、この時点では、コンピュータを使って仕事をしているとき又は中間距離で何らかの視作業を行う際に視力矯正が必要である。
【0003】
最善の結果及び最善の視覚上の快適さを得るためには、各々の目の焦点を同一の観察標的、例えばコンピュータスクリーン上に合わせることが必要である。多くの人には各目について互いに異なる視力矯正が必要である。不同視患者と呼ばれているこれらの人々については、最大の視覚的快適さを達成する一方で、読書をしたり又はコンピュータで作業をしたりするために、各目について互いに異なる視力矯正が必要である。不同視患者の2つの目の各々の焦点が同一の観察平面に合わない場合、結果として生じる不同視像のぼけにより、立体浮き上がり度(奥行覚)が失われてしまう。立体浮き上がり度が失われることは、両眼視機能が失われるということの最も良い指標の1つである。読書平面での両眼視性が失われることにより、読書速度及び理解速度が低下する場合があり、しかも、続けて読書をしたり又はコンピュータで仕事をする際に疲労の始まりが早められる場合がある。したがって、個々に調整可能な液体レンズを備えた読書用眼鏡は、両眼視機能が失われた人の視覚上の要望に合った唯一のものである。
【0004】
可変焦点レンズは、軟質透明なシート相互間に封入された或る量の液体の形態をしているのが良い。典型的には、1つがレンズ前面を形成し、もう1つがレンズ後面を形成するようになったかかる2枚のシートがこれらのエッジのところで直接互いに取り付けられ又はシート相互間のキャリアに取り付けられ、それにより、流体を収容した密閉チャンバが形成される。両方のシートは、軟質であっても良く、或いは、一方が軟質であり、もう一方が硬質であっても良い。流体をチャンバ内に導入し又はこれから取り出すことができ、それによりその容積が変化し、液体の量が変化すると、シートの曲率も変化し、かくしてレンズの屈折力(パワー)が変化する。したがって、液体レンズは、読書用眼鏡、即ち、老眼の人が読書のために用いる眼鏡に用いられるのに特に好適である。
【0005】
可変焦点液体レンズが少なくとも1958年代より知られている(これについては、例えば、ド・スワート(de Swart)に付与された米国特許第2,836,101号明細書を参照されたい)。最近の例は、タン等(Tang et al),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・リキッド・コア・リキッド・クラッディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Liquid Core Liquid Cladding Lens in a Microfluidic channel)」,ラボ・オン・ア・チップ(LAB ON A CHIP),2008年,Vol.8,No.3,p.395〜401及び国際公開第2008/063442号パンフレット(発明の名称:Liquid Lenses with Polycyclic Alkanes)に見受けられる。これら液体レンズは、典型的には、フォトニクス、ディジタルフォン及びカメラ技術並びにマイクロエレクトロニクス用である。
【0006】
また、消費者用オフサルミック用途向けの液体レンズが提案された。これについては、例えば、フロイド(Floyd)に付与された米国特許第5,684,637号明細書及び同第6,715,876号明細書並びにシルバー(Silver)に付与された米国特許第7,085,065号明細書を参照されたい。これら特許文献は、弾性メンブレン表面の曲率を変化させ、かくして、液体レンズの焦点を変えるためのレンズチャンバに対する液体の吸入排出(ポンピング)を教示している。例えば、米国特許第7,085,065号明細書(発明の名称:Variable Focus Optical Apparatus)は、2枚のシートから成る流体エンベロープで作られた可変焦点レンズを教示しており、これら2枚のシートのうちの少なくとも一方は、軟質である。軟質シートは、2つのリング相互間の定位置に保持され、これらリングは、例えば接着剤、超音波溶接又は任意の類似のプロセスにより互いに直接的に固定され、他方の硬質シートは、リングのうちの一方に直接固定される場合がある。軟質メンブレンと硬質シートとの間のキャビティを透明な流体で満たすことができるようにするために組立て状態のレンズを貫通して穴が開けられている。
【0007】
液体レンズは、多くの利点を有し、かかる利点としては、ダイナミックレンジが広いこと、適応矯正が可能であること、ロバストネスであること、安価であることが挙げられる。しかしながら、全ての場合において、液体レンズの利点は、その欠点、例えば、アパーチュアサイズが制限されること、漏れの恐れがあること、性能に一貫性がないことに対してバランスが取られる必要がある。具体的に説明すると、発明者シルバーは、オフサルミック用途で用いられるべき液体レンズ内への流体の効果的な収容に関する幾つかの改良例及び実施例(これらには限定されない)を開示している(例えば、シルバーに付与された米国特許第6,618,208号明細書及び引用文献)。液体レンズの屈折力調整は、追加の流体をレンズキャビティ内に注入すること、エレクトロウェッティング(electrowetting)、超音波インパルスの適用及び膨潤剤、例えば水の導入時に膨潤力を架橋ポリマーに利用することによって行われている。
【0008】
液体レンズの商業化は、上述の欠点のうちの幾つかを改善することができれば、近い将来に行われることが期待される。さらに、先行技術の液体レンズの構造は、嵩張っていて、消費者にとって審美的に適しておらず、消費者は、薄いレンズを備えた眼鏡及び嵩張ったフレームなしの眼鏡を望んでいる。レンズの本体中への液体の注入又は圧送によって動作するレンズの場合、通常、複雑な制御システムが必要であり、それにより、かかるレンズは嵩張ると共に高価になり、しかも振動の影響を受けやすくなる。
【0009】
加うるに、今日まで、液体をレンズチャンバ内に導入し又は液体をレンズチャンバから取り出して消費者自体がレンズの屈折力を変化させるためにその容量を変化させることができる性能を消費者に提供しているような従来型液体レンズは存在しない。加うるに、消費者が液体をレンズチャンバ内に導入し又は液体をレンズチャンバから取り出して消費者自体がレンズの屈折力を変化させるためにその容量を変化させることができるようにする機構体を提供するような先行技術の液体レンズは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第2,836,101号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/063442号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,684,637号明細書
【特許文献4】米国特許第6,715,876号明細書
【特許文献5】米国特許第7,085,065号明細書
【特許文献6】米国特許第6,618,208号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】タン等(Tang et al),「ダイナミカリ・リコンフィギュラブル・リキッド・コア・リキッド・クラッディング・レンズ・イン・ア・マイクロフルイディック・チャネル(Dynamically Reconfigurable Liquid Core Liquid Cladding Lens in a Microfluidic channel)」,ラボ・オン・ア・チップ(LAB ON A CHIP),2008年,Vol.8,No.3,p.395〜401
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的によれば、可変焦点液体充填レンズの光学強度を変化させる機構体が提供される。レンズは、硬質前側光学部品と硬質光学部品の周囲に取り付けられた透明な伸張性(distensible)のメンブレンとの間に構成された流体充填密閉キャビティを有し、レンズキャビティ内の流体の量の変化により、レンズの光学強度が変化する。追加の流体を収容していて、キャビティと流体連通状態にあるリザーバが、本明細書において説明する機構体によってキャビティ内への流体の注入又はキャビティからの流体の抜き出しを可能にするよう動作可能である。
【0013】
或る特定の実施形態では、機構体は、リザーバを密閉するメンブレン又はダイヤフラム及びアクチュエータとを有し、アクチュエータは、アクチュエータに加わる力又はインパルスに応答してリザーバに対するダイヤフラムの運動を生じさせてリザーバ内における圧力を増減するように構成されている。リザーバ内の圧力の増大により、流体がリザーバから押し出されて光学コンポーネントキャビティ内に入り、リザーバ内の圧力の減少により、流体が光学コンポーネントキャビティから抜き出されてリザーバに入る。
【0014】
或る特定の実施形態では、アクチュエータは、ダイヤフラムに当たるプランジャを有し、プランジャは、ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くことができる。ダイヤフラムに向かう方向におけるプランジャの運動により、リザーバ内の圧力は増大し、ダイヤフラムから遠ざかる方向におけるプランジャの運動により、リザーバ内の圧力が減少する。
【0015】
リザーバとキャビティを流体連通させる連通チャネルは、硬質光学コンポーネントへの取り付け手段となるようメンブレンと硬質光学コンポーネントの周囲が少なくとも部分的に収納されたリング内に設けられるのが良い。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、オフサルミック用途向きに設計された1組の単眼鏡であって、フレームと、可変量の流体で満たされているキャビティを備えた光学コンポーネントを有する少なくとも1つの可変焦点型光学器械と、追加の流体を収容すると共に光学コンポーネントキャビティと流体連通状態にあるリザーバと、可変焦点型光学器械の光学強度を変化させる上述の機構体とを有することを特徴とする1組の単眼鏡を提供することができる。1組の単眼鏡の或る特定の実施形態では、リザーバは、フレーム内に位置すると共にレンズのうちの少なくとも1つの光学屈折力を調整するようアクチュエータにより動作可能であるのが良い。
【0017】
或る特定の実施形態では、アクチュエータは、メンブレンに近づいたりこれから遠ざかる方向への運動をプランジャに与える運動装置を有する。これは、フレームに沿って位置決めされたバレル形ねじであるのが良く、その結果、バレル形ねじを第1の方向に回すと、プランジャは、メンブレンに近づき、バレル形ねじを第2の方向に回すと、プランジャは、メンブレンから遠ざかるようになっている。バレル形ねじは、フレームに沿って同軸に動き、リザーバは、フレームに隣接して位置している。
【0018】
1組の単眼鏡の或る特定の実施形態では、連通チャネルの少なくとも一部分は、リザーバとキャビティを流体連通させるようフレーム内に位置するのが良い。別の実施形態では、フレーム内の連通チャネルのこの少なくとも一部分は、流体を連通チャネルとレンズをキャビティとの間で流通させる一連の孔を有する。
【0019】
本発明の内容は、特定の実施形態の以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すると良好に理解され、添付の図面は、かかる実施形態を示すと共に例示している。
【0020】
本発明の実施形態は、図と関連して行われる以下の詳細な説明から完全に理解され、図は、縮尺通りにはなっておらず、図中、同一の参照符号は、対応の、類似の又はほぼ同じ要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】眼鏡等に用いられる液体充填レンズの第1の実施形態の概略断面図である。
【図1B】眼鏡等に用いられる液体充填レンズの第2の実施形態の概略断面図である。
【図2】液体充填レンズを利用した眼鏡器具の一実施形態の概略分解組み立て断面図である。
【図3A】液体充填レンズを利用した眼鏡器械の実施形態の半分の後側斜視図である。
【図3B】液体充填レンズを利用した眼鏡器械の実施形態の半分の前側斜視図である。
【図4A】可変焦点レンズ機構体中への流体の導入前における可変焦点レンズ機構体を利用した眼鏡器械の実施形態のコンポーネントの分解組み立て斜視図である。
【図4B】可変焦点レンズ機構体中への流体の導入前における可変焦点レンズ機構体を利用した眼鏡器械の実施形態のコンポーネントの分解組み立て断面図である。
【図5A】可変焦点レンズ機構体中への流体の導入前における眼鏡器械内の可変焦点レンズ機構体の実施形態の断面図である。
【図5B】可変焦点レンズ機構体中への流体の導入後における眼鏡器械内の可変焦点レンズ機構体の実施形態の断面図である。
【図6A】液体充填レンズの性能に関するソフトウェアによる分析結果のグラフ図である。
【図6B】液体充填レンズの性能に関するソフトウェアによる分析結果のグラフ図である。
【図7A】液体充填レンズの性能に関するソフトウェアによる分析結果のグラフ図である。
【図7B】液体充填レンズの性能に関するソフトウェアによる分析結果のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面によって例示される以下の好ましい実施形態は、本発明の例示であり、本願の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するものではない。
【0023】
図1Aは、可変焦点レンズ10の形態をした光学器械の第1の好ましい実施形態の断面図であり、装用者は、この可変焦点レンズ10を介して矢印Aの方向に見る。レンズ10は、2つの光学コンポーネント、即ち、実質的に硬質の前側(即ち、装用者に対して前側)光学部品11及び液体である後側(即ち、装用者に対して後側)光学部品15の複合体である。
【0024】
前側光学部品11は、好ましくは、硬質で透明の基材、例えば透明プラスチック又はポリカーボネート、ガラス板、透明な水晶板又は透明な硬質ポリマー、例えばビスフェノールAカーボネート又はCR‐39ポリカーボネート(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)で作られた実質的に硬質なレンズである。前側光学部品11は、耐衝撃性ポリマーで作られるのが良く且つ耐引き掻き性膜又は反射防止膜を有するのが良い。
【0025】
好ましい実施形態では、前側光学部品11は、メニスカス形状を有し、即ち、その前側が凸状であり且つその後側が凹状である。かくして、前側光学部品11の前面と後面の両方は、同一方向に湾曲している。しかしながら、老眼(焦点の調節ができないこと)を矯正する全てのレンズの場合と同様、前側光学部品11は、中心のところが厚く且つエッジのところが薄く、即ち、前側光学部品11の前面の曲率半径は、前側光学部品11の後面の曲率半径よりも小さく、その結果、前側光学部品11の前面と後面のそれぞれの曲率半径及びかくして前面と後面はこれら自体、互いに交差するようになっている。前側光学部品11の前面と後面の公差部は、前側光学部品11の周方向エッジ16のところである。
【0026】
或る特定の実施形態では、前側光学部品11の前面は、球面であり、このことは、この前面が従来型眼鏡用レンズの場合と同様、その表面全体にわたって同一のカーブを有することを意味している。好ましい実施形態では、前側光学部品11は、非球面であり、この前側光学部品は、注視角度の関数としてスリムな輪郭形状及び所望の屈折力プロフィールを提供するようレンズの中心からエッジまで次第に変化した複雑な前面曲率を有し、注視角度は、本明細書においては、実際の視線とレンズの主軸とのなす角度として定義される。
【0027】
後側光学部品15は、流体14で構成された液体レンズである。流体14は、前側光学部品11の後面と前側光学部品11のエッジに取り付けられたメンブレン13との間に形成されたキャビティ内に封入されている。メンブレン13は、好ましくは、軟質で透明な且つ水不浸透性の材料、例えば透明且つ弾性のポリオレフィン、ポリシクロ脂肪族化合物、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド及びポリウレタン、例えばポリ塩化ビニル膜で作られ、かかるポリ塩化ビニル膜としては、市販のフィルム又は膜、例えばMylar(登録商標)又はSaran(登録商標)として製造されている膜が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートで作られた所有権付きの明澄透明な膜がメンブレンに関する好ましい一選択肢であることが判明した。
【0028】
図1Aの前側光学部品11の後面とメンブレン13との間のキャビティは、メンブレン13を前側光学部品11の周囲又は周方向エッジ16に封着することにより形成されている。メンブレン13は、任意公知の方法、例えばヒートシール、接着シール又はレーザ溶接により前側光学部品11に封着可能である。メンブレン13は、少なくとも一部が、前側光学部品11の周囲に結合されている支持要素に結合される。メンブレン13は、好ましくは、封着時に好ましくは扁平であるが、特定の曲率又は球面幾何学的形状に熱成形されるのが良い。
【0029】
メンブレン13と前側光学部品11の後面との間に封入された流体14は、好ましくは、無色である。しかしながら、流体14は、用途に応じて、例えば、意図した用途がサングラス用のものである場合、着色されても良い。流体充填レンズに用いられるのに適した適当な屈折率及び粘度を備えた流体14としては、例えば、とりわけ流体充填レンズ用として一般に知られており又は用いられている脱泡(ガス抜き)水、鉱油、グリセリン及びシリコーン製品が挙げられる。好ましい流体14の1つは、704拡散ポンプ油(これは、一般に、シリコーン油とも呼ばれている)という名称でダウ・コーニング(Dow Corning (登録商標))社により製造されている。
【0030】
或る特定の実施形態では、メンブレン13は、それ自体、その光学的性質に関して制約がない。他の実施形態では、メンブレン13は、その光学的性質、例えば屈折率に関し、流体14の光学的性質にマッチした制約がある。
【0031】
使用にあたり、少なくとも1枚のレンズ10が装用者により使用される1本の眼鏡又は眼鏡フレーム内に嵌め込まれる。図1Aに示されているように、輪郭形状で見て、レンズ10により、ユーザは、前側光学部品11と後側光学部品15の両方を通して見ることができ、これら前側光学部品と後側光学部品は、一緒になって、前側光学部品11だけよりもレンズ10の中心のところに厚い輪郭形状を提供すると共に強力な老視矯正をもたらす。装用者には、後側光学部品15内の流体14の量を調整し、それによりレンズ10の屈折力を調節することができる能力が与えられる。或る特定の実施形態では、以下に説明するように、フレームは、過剰流体14のリザーバ及びリザーバをレンズ10の後側光学部品15に通じさせる流体ラインを備えている眼鏡フレームは、好ましくは、装用者が後側光学部品15内の流体14の量を自分で調整して流体14をリザーバ内に動かし又はリザーバから追い出して後側光学部品15内に入れ、それにより必要に応じてレンズ10の屈折力を調整できるようにする調整機構体を更に有する。
【0032】
図1Bは、可変焦点レンズ20の形態をした光学器械の第2の好ましい実施形態の断面図であり、装用者は、この可変焦点レンズ20を介して矢印Aの方向に注視する。2つの光学コンポーネントの複合体である図1Aのレンズ10とは異なり、図1Bのレンズ20は、3つの光学コンポーネント、即ち、実質的に硬質である前側光学部品21、液体である中間光学部品25及び液体である後側光学部品35の複合体である。
【0033】
前側光学部品21は、構造及び設計が図1Aに示されている実施形態の前側光学部品11とほぼ同じ実質的に硬質のレンズである。図1Aの前側光学部品11の場合と同様、前側光学部品21も又、メニスカス形状を有し、即ち、前側光学部品21の前面と後面の両方は、同一方向に湾曲しており、前側光学部品21の前面の曲率半径は、前側光学部品21の後面の曲率半径よりも小さく、その結果、前側光学部品21の前面と後面の交差部は前側光学部品21の周方向エッジ26であるようになっている。しかしながら、前側光学部品21の後面の曲率半径は、図1Aの前側光学部品11の後面の曲率半径よりも大きい。同様に、図1Aの前側光学部品11と比較して、前側光学部品21は、図1Aのレンズ10と比較して、レンズ20の全体として同一の厚さを維持するよう図1Aの前側光学部品11よりも幾分薄いのが良い。
【0034】
中間光学部品25は、図1Aを参照して説明した流体13とほぼ同じ流体24で構成された液体レンズであり、この流体24は、前側光学部品21の後面と前側光学部品21のエッジ26に取り付けられているメンブレン23との間に形成されたキャビティ内に封入され、メンブレン23は、構造及び設計が図1Aに示された実施形態のメンブレン13とほぼ同じである。流体24は、選択された屈折率(n23)を有する。
【0035】
中間光学部品25も又、その前面と後面の両方が同一方向に湾曲するようメニスカス形状を有することが好ましい。当然のことながら、硬質前側光学部品21の後面は、製造中、曲率を備えた状態で形成するのが良い。しかしながら、メンブレン23の凹状曲率は、メンブレン23が前側光学部品21のエッジ26に封着されているときにメンブレン23を特定の曲率又は球面幾何学的形状に熱成形することにより達成されるのが良い。これは、メンブレン23と前側光学部品21の後面との間に形成された密閉キャビティ内の圧力を減少させることにより達成できる。かくして、前側光学部品21の後面の曲率半径は、メンブレン23の曲率半径よりも小さく、前側光学部品21の後面とメンブレン23の交差部は、前側光学部品21の周方向エッジ26である。
【0036】
後側光学部品35は、図1Aを参照して説明した流体13とほぼ同じ流体34で構成された液体レンズであり、この流体34は、メンブレン23とメンブレン33との間に形成されたキャビティ内に封入されている。流体34は、選択された屈折率(n34)を有する。
【0037】
メンブレン33は、構造及び設計が図1Aに示された実施形態に関して説明したメンブレン13とほぼ同じである。メンブレン33も又、前側光学部品21のエッジ26に取り付けられるのが良いが、取り付け状態のメンブレン23の後側に又はそのエッジ上に取り付けられるのが良い。変形例として、メンブレン23及びメンブレン33を封着させるための着座部を提供するよう1つ又は2つ以上のリング又はリング半部を用いても良い。
【0038】
メンブレン33は、封着時に好ましくは扁平であるが、特定の曲率又は球面幾何学的形状に熱成形されるのが良い。好ましい実施形態では、中間光学部品25内の正圧は、後側光学部品35内の正圧よりも低い。後側光学部品35内の正圧が高いと、かかる圧力は、メンブレン23の形状を制御すると共に前側光学部品21の後面とメンブレン23との間のキャビティ内の中間光学部品25の屈折力及びメンブレン23とメンブレン33との間のキャビティ内の後側光学部品35の屈折力を制御する。
【0039】
使用に当たり、少なくとも1枚のレンズ20を装用者により使用されるオフサルミック用途向けに設計された1本の眼鏡又は眼鏡フレーム内に嵌め込む。図1Bに示されているように、輪郭形状で見て、レンズ20により、ユーザは、前側光学部品21、中間光学部品25及び後側光学部品35の全てを通して見ることができ、これら部品は、一緒になって、前側光学部品21だけよりもレンズ20の中心のところに厚い輪郭形状を提供すると共に強力な老視矯正をもたらす。或る特定の実施形態では、装用者には、中間光学部品25内の流体24の量又は後側光学部品35内の流体34の量又はこれら両方内の流体の量を調整し、それによりレンズ20の屈折力を調節することができる能力が与えられる。或る特定の実施形態では、以下に説明するように、フレームは、流体24のリザーバ若しくは流体34のリザーバ又はこれら両方及びそれぞれのリザーバをレンズ20の中間光学部品25又は後側光学部品35に連結する流体ラインを備えている。眼鏡フレームは、好ましくは、装用者が中間光学部品25及び後側光学部品35内のそれぞれの流体24及び流体34の量を自分で調整して流体24及び流体34をそれぞれのリザーバ内に動かし又はそのリザーバから追い出して中間光学部品25及び後側光学部品25内に入れ、それにより必要に応じてレンズ20の屈折力を調整できるようにする1つ又は2つ以上のアクチュエータ又は調整機構体を更に有する。
【0040】
さらに多くの光学コンポーネントを備えた光学器械の他の実施形態も又実現可能である。1つの硬質光学部品及び1つの液体光学部品の複合体である図1Aのレンズ10及び1つの硬質光学部品及び2つの液体光学部品の複合体である図1Bのレンズ20に加えて、光学器械は、1つの硬質光学部品及び3つ以上の液体光学部品の複合体であっても良い。ここには図示していないかかる実施形態は、ユーザに種々の利点をもたらすことができると共に図1A及び図1Bに記載された実施形態よりも洗練され且つ複雑精巧なオフサルミック調整を可能にする。
【0041】
したがって、好ましい実施形態では、レンズ10又はレンズ20は、眼鏡用途に使用可能である。左目及び右目用のレンズ10又はレンズ20は、別々に設計されると共に装用者による別々の各眼鏡レンズの調整が可能である。かかる場合、別個の液体リザーバは、各レンズと流体連通状態にあり、即ち、それ自体の液体ラインにより各レンズに連結されることが好ましい。液体レンズ組立体は、その最も好ましい実施形態では、液体レンズ、リザーバ及び上述の液体を含み、これらは一緒になって、密閉システムを構成し、かくして水の侵入又は液体の蒸発若しくは漏れが最小限に抑えられる。流体は、屈折力の調整が望ましい場合にはユーザのもたらす或る程度の力により駆動され、かくして、それぞれのリザーバ内に動かされ又はかかるリザーバから追い出されて流体光学部品内に入る。液体レンズの屈折力の調整の仕組みは、キャビティとリザーバとの間の液体輸送によるものである。
【0042】
図2は、液体充填レンズを利用した単眼鏡又は眼鏡1の実施形態の概略分解組み立て断面図である。眼鏡1は、可変焦点レンズが嵌め込まれたフレーム又は支持体5を有している。簡単にするため、図2は、2つの単眼鏡を、即ち、各目について1つずつの単眼鏡を備えた1本の眼鏡の一方の側(左側)のみを示している。加うるに、図2は、例えば図1Aのレンズ10の場合と同様、流体光学部品を1つだけ備えた可変焦点レンズを示している。説明を簡単にするために、本明細書では、眼鏡の種々の実施形態を1つの流体光学部品を備えたレンズ10の実施形態に関して説明する。前側光学部品1及びメンブレン13が図2の分解組立て図で見え、前側光学部品1とメンブレン13との間に形成されたキャビティと流体連通状態にある1つのリザーバ6が示されている。
【0043】
同様に、図3A及び図3Bは、液体充填レンズを利用したオフサルミック用途向きに設計されている眼鏡器械1の実施形態の左側単眼鏡部分の後側及び前側斜視図である。図3A及び図3Bの単眼鏡部分は、レンズ10を支持するフレーム5とテンプル部品4とから成っている。ユーザの右側単眼鏡も又、オフサルミック調整を必要とする場合、右側単眼鏡は、左側の実質的に鏡像である。左目及び右目用のレンズ10又は20は、リザーバへの液体レンズの取り付け箇所が互いに鏡像関係をなす場合があるので別個独立に設計されている。
【0044】
前側光学部品11及びメンブレン13が図2の分解組立て図に見え、前側光学部品1とメンブレン13との間に形成されているキャビティと流体連通状態にある1つのリザーバ6が示されている。図3A、図3B、図4A及び図4Bに詳細に示されているように、液体充填レンズ10のコンポーネント、即ち、前側光学部品11及びメンブレン13並びにこれらが嵌め込まれているリング3が示されている。幾つかの実施形態では、フレーム5に取り付けられた状態で又はこの中に設けられた状態で位置するリザーバ6は、余分の流体14を収容した中空キャビティを有し、この余分な流体は、流体連通チャネルを通ってレンズ10内に注入可能である。リザーバ6内の余分の流体14は、好ましくは、レンズ10からの追加の流体14をリザーバ6内に吸い込むことができるようリザーバ6を完全には満たしていない。
【0045】
図3A及び図3Bに示されているように、リザーバ6は、流体14を液体レンズ光学部品15内に注入し又は流体14を液体レンズ光学部品15から抜き出すための機構体又はアクチュエータ7を有している。一実施形態では、リザーバ6は、硬質材料で作られ、このリザーバは、調節機構体又はアクチュエータ7、例えばサムホイール、バレル、クランプ又はレバーに機械的に結合されたピストンを備え、この調節機構体又はアクチュエータは、レンズホルダフレーム又は単眼鏡テンプル部品4に取り付けられるのが良い。アクチュエータ7がテンプル部品4と同軸に位置したバレルである実施形態では、図4A及び図4Bに示されているように、バレル形アクチュエータ7を回すことにより、流体がリザーバ6から押し出されて流体チャネルを通り、そしてレンズ10内に押し込まれるのが良い。或る特定の実施形態では、レンズ10の光学屈折力がアクチュエータ7によっていったん調整されると、アクチュエータ7は、装用者によるレンズ10の光学性質のそれ以上の調整を阻止するよう変更され又は動作不能にされるのが良い。
【0046】
図4A及び図4Bは、可変焦点レンズ機構体中への流体の導入前における可変焦点レンズ機構体を用いた眼鏡組立体の実施形態の左単眼鏡及びフレームのコンポーネントを詳細に示す分解組み立て斜視図及び断面図である。レンズ10は、図1Aに示されているように、前側光学部品11及びメンブレン13により形成され、レンズ10の後側光学部品15は、リザーバ6と流体連通状態にあり、リザーバ6は、流体14を保持することができる中空ウェルとして示されている。
【0047】
リザーバ6は、レンズ10のキャビティ、即ち、後側光学部品15と流体連通状態にあり、このリザーバは、流体14を流体チャネル31を通って後側光学部品15中に注入し、流体チャネル31は、リザーバ6をレンズ10のキャビティに連結する任意の管又は通路であって良い。かかる流体チャネル31は、リザーバ6から後側光学部品15まで可能な限り最も短い距離にわたって延びる短い管であるのが良い。しかしながら、流体14の粘性に起因して、後側光学部品15への入口箇所を1つしかもたない流体チャネルは、リザーバ6から後側光学部品15までの流体14の流れを制限し、かくして、所望のオフサルミック変化を行う時間を制限する可能性が多分にある。かかる流体チャネル31が十分に広くて流体14が十分に迅速に流れるようになっている場合であっても、後側光学部品15への入口箇所が1つしか設けられていない場合、所望の速度で所望のオフサルミック変化を行わせるのに十分に迅速には流体14を後側光学部品15内に均等に分布させることができない場合がある。
【0048】
好ましい一実施形態では、流体チャネル31は、後側光学部品15内への流体14の2つ以上の注入箇所を有する。一実施形態では、リザーバ6と後側光学部品15を流体連通させる流体チャネル31は、上述したように中空リング8の形態をしているのが良い。リング8は、リング8の内部に位置する中空空間の形態をした流体チャネルを備えるのが良い。一実施形態では、図4Bに示されているようにレンズ支持体又はフレーム5内に嵌め込まれるのが良いリング8は、リング8の内面に沿って配置された一連の半径方向穴又は開口部を備えるのが良く、流体は、これら穴又は開口部を通って後側レンズ15内に注入される。半径方向穴は、好ましくは、流体15を制御された速度で送り出すよう互いに一定間隔で又はより好ましくは最も最適の距離を置いて配置される。或る特定の実施形態では、リング8は、レンズ10の周りに完全には延びておらず、例えば、レンズ10の頂部周りにのみ延びている。これは、ユーザが重く見えるフレームを装用する必要がないようファッション上の理由で実施されるのが良い。かかる実施形態では、半径方向穴は、流体14をレンズ10内にその最上部エッジからのみ注入するようリング8のその部分の内面に沿って配置される。
【0049】
図4Bに示されているように、リング8は、短い液体連通チャネル31によってリザーバ6と流体連通状態にあるのが良い。眼鏡1が例えば図1Bのレンズ20に設けられた2つ以上の流体光学部品を備える実施形態では、各液体レンズキャビティは、独特のリザーバ6を備えるのが良く、各液体レンズキャビティは、レンズ20の各キャビティとそれぞれ流体連通状態にある。各液体レンズキャビティは、独特のリング8を備えるのが良く、その結果、液体チャネルは、各キャビティについて分離状態のままである。
【0050】
後側光学部品15への流体連通の提供に加えて、リング8は、密封軟質メンブレンの着座部として、メンブレン13が結合された規定の幅及び傾きのプラットフォームを提供する追加の機能を実行している。一実施形態では、リング8の表面は、一方の側が前側光学部品11に密着すると共に他方の側が軟質メンブレン13に密着する安定性のある平面上の着座部を提供するために楕円形である。かかる実施形態では、レンズ10からの流体14の漏れを回避するために、リング8は、前側光学部品11及び軟質メンブレン13に封着されなければならない。リング8を前側光学部品11及び軟質メンブレン13に封着するプロセスでは、接着剤、例えばエポキシ系接着剤が用いられる場合があり又はレーザ溶接プロセスを含む溶接プロセスが実施される場合がある。レーザ溶接による封着の好ましい一方法では、レーザ吸収染料溶液をインターフェイスに塗布してこのインターフェイスのところでのレーザエネルギーの優先的な吸収を生じさせる。レーザ溶接の好ましい幅は、0.5〜2.0mm、より好ましくは1.0mmである。
【0051】
眼鏡1の一実施形態では、レンズ10の直径は、約39mmである。しかしながら、レンズ10のエッジは、前側光学部品11とメンブレン13との間又はレンズ組立体10とフレームごとの間の結合部を形成するよう用いられる場合があるので、光学的に明澄な領域は、一般に、これよりも幾分小さい場合があり、例えば約35mmである。リング8は、外径が2.0mm、内径が1.0mmである。リング8の内面、即ち、キャビティに向いた表面は、半径方向に設けられた例えば直径が1mmの開口部を備えている。
【0052】
図4Bに示されているように、リザーバ6は、好ましくは、軟質熱可塑性メンブレン27で覆われると共に密閉されている。メンブレン27は、Mylar(登録商標)、ポリイミド又は熱可塑性エラストマ(TPE)で作られるのが良く、好ましくは、TPEで作られる。メンブレン27は、メンブレン13と同種の材料であるのが良い。しかしながら、或る特定の実施形態では、メンブレン27は、メンブレン27が透明である必要はないので、好ましくは、メンブレン13と同種の材料ではない。
【0053】
一実施形態では、メンブレン27は、リザーバ6の内部の空間を満たすよう射出成形され又は熱成形されるのが良い。メンブレン27は、メンブレン27がダイヤフラムの仕方でクッション又はバルーンのようにリザーバ6の頂部上に膨出するようリザーバ6の内面に接合され又は結合されるのが良い。このサブアセンブリの細部は、図5A及び図5Bにより明確に示されている。別の実施形態では、メンブレン27は、リザーバ6の外縁上に接合され若しくは結合され又は圧力嵌めされても良い。
【0054】
メンブレン27は、リザーバ6上に気密且つ流体密のシールを形成する。或る特定の実施形態では、メンブレン27は、リザーバ6の頂部上に気泡を形成するよう上方に突き出ている。代表的には、レンズ10のリザーバ6、液体連通チャネル31、リング8及び後側光学部品15の全ての全内容積は、一緒になって、常時実質的に流体で満たされた単一の密閉空間を形成する。メンブレン27の外方に膨らむ部分がリザーバ6内に内方に押し込まれると、リザーバ6内の容積が減少し、その結果、メンブレン27は、リザーバ6内に正圧を生じさせ、流体14をリザーバ6から流体連通チャネル31及びリング8経由でレンズ10の後側光学部品15内に押し込む。同様に、メンブレン27の外方に膨らむ部分がリザーバ6から外方に引っ張られると、リザーバ6内の容積が増大し、その結果、メンブレン27は、リザーバ6内に負圧を生じさせ、流体14をレンズ10の後側光学部品15から液体連通チャネル31及びリング8を経てリザーバ6内に引き込む。
【0055】
メンブレン27をアクチュエータ7を用いた任意公知の手段によってリザーバ6内に下方に押し込み又はリザーバ6から上方に引き離すことができる。メンブレン27の掛かる運動によって、流体14は、リザーバ6から追い出され又はリザーバ6内に引き込まれる。リザーバ6内の流体の量の変化によりレンズ10内の流体14の量も又変化するので、レンズ10の光学的性質を変化させることができる。
【0056】
図4A及び図4Bに示された実施形態では、アクチュエータ7は、メンブレン27のすぐ外側に位置すると共にこれに当たるプランジャ28及び運動プランジャ28に与える運動装置を有している。メンブレン27に向かう方向におけるプランジャ28の運動により、メンブレン27に加わると共にリザーバ6内の圧力が増大し、メンブレン27から遠ざかる方向におけるプランジャ28の運動により、メンブレン27に加わると共にリザーバ6内の圧力が減少する。プランジャ28は、メンブレン27に対して実質的に横の互いに反対側の方向に動くことができ、プランジャ28は、運動装置に及ぼされる力又はインパルスに起因するメンブレン27に対する運動によって圧力をリザーバ6に及ぼす。運動装置は、制御されると共に調節可能であり且つ小刻みな運動をプランジャ28に与える任意の装置であって良く、例えば、ねじ、レバー、摺動機構体等である。
【0057】
図4Bに示された実施形態では、アクチュエータ7の運動装置は、バレル形ねじ29の形態をしており、このバレル形ねじは、メンブレン27に近づいたりこれから遠ざかったりする方向の運動をプランジャ28に与えるようフレーム5に取り付けられているテンプル部品4と同軸に且つプランジャ28と同軸にねじ込まれる。アクチュエータ7の運動装置の作動、即ち第1の方向におけるバレル形ねじ29のそのねじ山に沿う回転により、プランジャ28は、メンブレン27の方へ内方に動き、メンブレン27をリザーバ6内に内方に押し込むと共にリザーバ6内に正圧を生じさせる。リザーバ6内のこの正圧により、液体14は、リザーバ6から押し出されて液体連通チャネル31及びリング8を通り、そしてレンズ10内に入る。或る特定の実施形態では、プランジャ28は、メンブレン27がリザーバ6の底部にほぼ当たるようにメンブレン27をリザーバ6内に遠くへ押し戻す。
【0058】
これとは逆に、アクチュエータ7の運動装置の作動、即ち第1の方向とは逆の方向におけるバレル形ねじ29のそのねじ山に沿う回転により、プランジャ28は、メンブレン27から遠ざかり、メンブレン27をリザーバ6から外方に動かすと共にリザーバ6内に負圧を生じさせることができる。リザーバ6内のこの負圧により、液体14は、リザーバ6内に引き込まれ、液体連通チャネル31及びリング8を通り、そしてレンズ10から出る。第1の方向又は第1の方向とは逆の方向へのバレル形ねじ29の回転により、流体14は、リザーバ6から押し出されてレンズ10内に押し込み可能であり又はレンズ10からリザーバ6内に吸込み可能であり、それにより、レンズ10の光学的性質が変化する。
【0059】
リザーバ6と流体充填キャビティ、即ちレンズ10の後側光学部品15との間における液体の輸送は、アクチュエータ7によって力が加わることによって生じる。キャビティからリザーバ6への流体の逆流を阻止することがどのような場合においても必要であるわけではない。というのは、キャビティ15、リザーバ6及びチャネル31/リング8から成る流体コンポーネント全体が密閉されていると共にこれらが互いに流体連通状態にあり、それによりかかるコンパートメント内の圧力が均等化されるからである。しかしながら、或る特定の光学的又は視覚的要望のために一方向の屈折力矯正を施す必要性がある場合がある。かかる場合、アクチュエータ7は、一方向に作られるのが良く、即ち、かかるアクチュエータは、流体14をレンズ10内に押し込むか流体14をレンズ10から引き出すかのいずれかを行うようプランジャ28を一方向に動かすよう機能するに過ぎない。かかる実施形態では、アクチュエータ7がその作用を逆にするのを阻止するよう歯車装置(図示せず)が採用させる場合がある。アクチュエータ7は、代表的には、追加のオフサルミック屈折力に対する装用者の要望が生じると、手動で調節される。変形例として、アクチュエータ7は、追加の屈折力に関する要望を認識して信号をその効果に合わせて送るよう構成されたセンサからの信号に応答してトリガされる電気的力、磁気的力、音響的力又は熱的力の付与により自動的に調節されも良い。
【0060】
リザーバ6と、液体連通チャネル31と、リング8と、レンズ10の後側光学部品15とから成る単一の密閉空間の密閉内容積部は、眼鏡1の動作に先立って充填されなければならない。一実施形態では、内容積部が、当初、流体14を高い温度(好ましくは、45℃〜90℃、好ましくは、65℃〜80℃の範囲)で注入することにより眼鏡1の密閉処理前に最初に充填される。内容積部の充填は、図4B及び図5Aに示されているように、1つ又は2つ以上の入口、例えばリザーバ6の前に位置した入口30A又はリング8の遠くの縁部のところの入口30B又はこれら両方により実施可能である。内容積部の充填は、好ましくは、新たに脱気された流体を用いて真空下で行われ、その結果、密閉内容積部内に入り込む空気の量を最小限にする。事実、密閉内容積部内の空気はゼロであり、即ち、真空であり、その結果、アクチュエータ7の作動により、流体14だけがレンズ10に出入りするようになることが好ましい。眼鏡組立体1をいったん密閉処理すると、入口30A,30Bは、封止され又は取り外されるのが良く、それにより、入口30A,30Bの配設場所のところには流体14又は空気の出口が設けられないようになる。図5Aは、入口30A,30Bがそのままにされた状態で機構体内への流体の導入前における眼鏡組立体を示し、図5Bは、入口30A,30Bが封止された状態で流体で満たされると共に密閉された後における眼鏡組立体を示している。
【0061】
即ち、液体レンズの光学的且つ機械的設計により、液体レンズの主機能は、見栄え、耐久性又は光学性能にそれほど影響を与えないでできるだけ広い範囲にわたって光学的屈折力を調整する能力を発揮することができる。設計目的は、好ましくは液体レンズの厚さを減少させることにより液体レンズの容積を最小限に抑えることにある。液体レンズの厚さは、前側光学部品11の後面のカーブ(曲率半径)及びレンズ系の直径で決まる。液体レンズの寸法は、有限要素モデル(FEM)を用いて示されており、この有限要素モデルは、入力として、前側光学部品11の後面の表面幾何学的形状、所要の調整可能な屈折力範囲及びメンブレン13が扁平であるときの流体14の層の厚さを受け取る。
【0062】
例えば、一実施形態では、1.25Dから3.25Dまでの屈折力の範囲に及ぶ液体レンズシステムは、ゼロ球面屈折力のものである前側屈折部品11から成る。前側光学部品11の曲率半径の好ましい範囲は、前側光学部品11を製作するために用いられる材料の屈折率に応じて、100〜700mmであり、より好ましくは500〜600mmである。前側光学部品11の厚さの好ましい範囲は、0.7〜2.5mm、より好ましくは1.0〜1.5mm、最も好ましくは約1.3mmである。光学部品によりその中心から遠ざかって提供される有効屈折力に影響を及ぼす球面収差は、注視角度及び中心のところの屈折力で決まる。光学部品の直径が30〜40mmであり(直径は、最大注視角度を制御する)、近軸屈折力範囲が1.0D〜5.0Dの場合、屈折力の軸外し偏差は、約0.25〜0.50Dであると予想される。
【0063】
レンズ10(前側光学部品11及び後側光学部品15)の好ましい実施形態は、中心のところで1.21Dに等しい屈折力を有し、後側光学部品15の液体層の厚さは、中心のところで0.7から1.5mmの範囲にわたり、好ましくは、1.3mmである。レンズの直径は、35mmであり、メンブレン13の曲率半径は、メンブレン13が扁平に結合されているので無限である。液体レンズ内の流体の全容量は、約1.35mLであり、リザーバ内には0.350mLの追加の容積部が存在する。
【0064】
レンズ10の屈折力は、後側光学部品15内の液体14の圧力がより多くの流体14をリザーバ6からキャビティ内に注入することによって増大すると、増大する。メンブレン13の曲率半径は、レンズ屈折力が3.25Dに達すると、274mmである。300マイクロリットル(0.30mL)がメンブレン13の所要の変形(膨らみ)レベルを生じさせるのに必要な正圧レベルに達するのに必要である。
【0065】
機械的有限要素モデル(FEM)モデルは、レンズ全体の屈折力及びその結果としてのメンブレン13の変位を増大させるのに必要な圧力を予測するために開発された。このモデルは、メンブレン13の2種類の厚さ、即ち、23ミクロン及び46ミクロン(1mil及び2mil)及びメンブレン13の引っ張り弾性率の3種類の互いに異なる値、即ち、2.0GPa、3.0GPa及び4.0GPaについて作られた。図6A及び図6Bは、FEMモデルからの出力を示しており、3つの好ましい形態の液体レンズ中への流体注入の結果としての圧力増大結果を示している。
【0066】
図6A及び図6Bは、メンブレン13が流体を送り込んで圧力が増大したときに弾性変形を生じ、それにより外方へのその中心の変位が生じていることを示している。2.0Dの屈折力増大をこの材料の弾性変形範囲内で良好に達成できる。事実、屈折力の増大はこの範囲でのメンブレンの中心の変位とほぼ比例関係をなすので、FEMモデルは、1mm未満の中心変位により、38mm光学部品では4Dの屈折力の増大が生じ、他方、変位が3mmに達したときにのみ弾性限度に達する。さらに、変形メンブレンの形状は、弾性範囲全体にわたってほどほどに球面のままである。
【0067】
液体レンズ又は液体レンズコンポーネントを備えた複合レンズの周知の欠点は、屈折力の特定の増大に必要な流体の量が光学部品の直径につれて劇的に増大するということにある。この現象は、小さなアパーチュアの光学部品のみへの液体レンズの適用を制限し、かくして、オフサルミックレンズにおけるその普及が阻まれる。これは、FEMモデル(図7A)により得られる予測によって確認され、このことは、光学部品直径が32mmから38mmに増大した場合、1.21Dのベースライン屈折力の光学屈折力を2.0Dだけ増大させるのに必要な流体の量が2倍になることを示している。しかしながら、前側光学部品の半径を260mmから500mmに増大させると、この流体の量は、1/2になる。本発明者は、FEMモデルを用いて特定のフレームに必要な光学部品直径について合成光学部品の前側カーブの最適の曲率を得た。
【0068】
また、メンブレン13が液体レンズの安定した光学性能を保証するために最小限の正圧下にあることが必要である。この正圧は、しわが生じるのを阻止すると共に流体14がキャビティの底部に重力の作用で溜まって光学屈折力に影響を及ぼすのを阻止する。FEMモデルは、光学屈折力がリザーバからの追加の流体の注入により高められない場合であっても、安定した動作に必要な最小限の正圧の大きさを推定するために用いられた。図7A及び図7Bは、屈折力の特定の増大を達成するために必要な流体量の増大、即ち、好ましい実施形態における光学部品直径及び前側カーブ半径への依存性を示すFEMモデルの結果を示している。
【0069】
本発明者は、これら試験結果により、しわの発生を阻止するのに必要な最小限の圧力が3GPaの弾性率を有する厚さ23ミクロンのMylarメンブレンで覆われた38mm光学部品に関し、約3ミリバール(mbar)であることを確認した。重力の作用で生じた溜まり効果のモデル化により、約2mbarの正圧が重力と反対方向に作用することが示された。加うるに、運動変化は又、液体レンズ中に生じる正圧を変更し、液体レンズの光学性能に影響を及ぼす。モデル予測及び試験結果を含むこれらの検討事項に基づいて、10mbarの正圧は、メンブレンがあらゆる使用条件において引き伸ばし状態のままであるようにするのに十分であることが決定された。正圧のこの大きさは、所要の屈折力の変化範囲を下回って減少させ又は更にメンブレンの厚さを変化させることにより得ることができる。厚さ200ミクロン及び弾性率3GPaのメンブレンが0.25Dの屈折力増大を維持するためには38mmの光学部品直径について約10mbarの正圧を必要とすることが確認された。軟質メンブレンの厚さの増大により、レンズの全体的厚さをそれほど増大させないで、その耐久性及び頑丈さが高められる。
【0070】
かくして、液体充填レンズが提供された。当業者であれば理解されるように、本発明は、本発明を限定するものではなく例示目的で提供されている上述の実施形態以外の実施形態によって実施でき、本発明の内容は、以下の特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変焦点型光学器械の光学強度を変化させる機構体であって、前記可変焦点型光学器械は、可変量の流体で満たされているキャビティを備えた光学コンポーネントと、追加の流体を収容すると共に前記光学コンポーネントキャビティと流体連通状態にあるリザーバとを有し、前記機構体は、
前記リザーバを密封するダイヤフラムと、
アクチュエータとを有し、前記アクチュエータは、前記アクチュエータに加わる力又はインパルスに応答して前記リザーバに対する前記ダイヤフラムの運動を生じさせて前記リザーバ内における圧力を増減するように構成されており、
前記リザーバ内の圧力の増大により、流体が前記リザーバから押し出されて前記光学コンポーネントキャビティ内に入り、前記リザーバ内の圧力の減少により、流体が前記光学コンポーネントキャビティから抜き出されて前記リザーバに入り、
前記光学コンポーネントキャビティ内における流体の量の変化により、前記光学器械の前記光学強度が変化する、機構体。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムに当たるプランジャを有し、前記プランジャは、前記ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くことができ、前記ダイヤフラムに向かう方向における前記プランジャの運動により、前記リザーバ内の圧力は増大し、前記ダイヤフラムから遠ざかる方向における前記プランジャの運動により、前記リザーバ内の圧力が減少する、請求項1記載の機構体。
【請求項3】
前記ダイヤフラムに近づく方向及び前記ダイヤフラムから遠ざかる方向の運動を前記プランジャに与える運動装置を更に有する、請求項2記載の機構体。
【請求項4】
前記運動装置は、前記可変焦点型光学器械のフレームに沿って同軸状に動き、前記リザーバは、フレームに隣接して位置している、請求項3記載の機構体。
【請求項5】
前記運動装置は、前記フレームに沿って位置決めされており、前記運動装置を第1の方向に方向転換することにより、前記プランジャは、前記ダイヤフラムに近づく方向に動き、前記運動装置を第2の方向に方向転換することにより、前記プランジャは、前記ダイヤフラムから遠ざかる方向に動くようになっている、請求項4記載の機構体。
【請求項6】
前記光学器械の前記光学強度がいったん所望の大きさに達すると、前記ダイヤフラムのそれ以上の運動を阻止するようアクチュエータを動作不能にすることができる、請求項1記載の機構体。
【請求項7】
前記ダイヤフラムは、前記リザーバの外縁に被着された伸張性メンブレンを有し、それにより、シールが提供されている、請求項1記載の機構体。
【請求項8】
前記ダイヤフラムは、前記リザーバの内面に被着状態で結合された伸張性メンブレンを有し、それによりシールが提供されている、請求項1記載の機構体。
【請求項9】
オフサルミック用途向きに設計された1組の単眼鏡であって、
フレームと、
可変量の流体で満たされているキャビティを備えた光学コンポーネントを有する少なくとも1つの可変焦点型光学器械と、
追加の流体を収容すると共に前記光学コンポーネントキャビティと流体連通状態にあるリザーバと、
前記可変焦点型光学器械の前記光学強度を変化させる請求項1記載の機構体とを有する、1組の単眼鏡。
【請求項10】
前記可変焦点型光学器械は、前記リザーバと前記光学コンポーネントキャビティを流体連通させる連通チャネルを更に有する、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項11】
前記連通チャネルの少なくとも一部分は、前記フレーム内に位置している、請求項10記載の1組の単眼鏡。
【請求項12】
前記フレーム内に位置した前記連通チャネルの前記一部分は、前記連通チャネルと前記光学コンポーネントキャビティとの間で前記流体を流通させる一連の孔を有する、請求項11記載の1組の単眼鏡。
【請求項13】
前記リザーバは、前記フレーム内に又は前記テンプル部分内に位置している、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項14】
前記少なくとも1つの可変焦点型光学器械は、硬質光学コンポーネントを更に有し、前記光学コンポーネントキャビティは、前記硬質光学コンポーネントの周囲に取り付けられた少なくとも1つの透明な伸張性のメンブレンにより画定されている、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項15】
2つの可変焦点型光学器械及び2つの機構体を有し、各機構体は、装用者によって別個に調整可能である、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記ダイヤフラムに当たるプランジャを有し、前記プランジャは、前記ダイヤフラムを実質的に横切って互いに逆方向に動くことができ、前記ダイヤフラムに向かう方向における前記プランジャの運動により、前記リザーバ内の圧力は増大し、前記ダイヤフラムから遠ざかる方向における前記プランジャの運動により、前記リザーバ内の圧力が減少する、請求項1記載の1組の単眼鏡。
【請求項17】
前記ダイヤフラムに近づく方向及び前記ダイヤフラムから遠ざかる方向の運動を前記プランジャに与える運動装置を更に有する、請求項16記載の1組の単眼鏡。
【請求項18】
前記運動装置は、前記可変焦点型光学器械のフレームに沿って同軸状に動き、前記リザーバは、フレームに隣接して位置している、請求項16記載の1組の単眼鏡。
【請求項19】
前記運動装置は、前記フレームに沿って位置決めされており、前記運動装置を第1の方向に方向転換することにより、前記プランジャは、前記ダイヤフラムに近づく方向に動き、前記運動装置を第2の方向に方向転換することにより、前記プランジャは、前記ダイヤフラムから遠ざかる方向に動くようになっている、請求項17記載の1組の単眼鏡。
【請求項20】
前記光学器械の前記光学強度がいったん所望の大きさに達すると、前記ダイヤフラムのそれ以上の運動を阻止するようアクチュエータを動作不能にすることができる、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項21】
前記ダイヤフラムは、前記リザーバの外縁に被着された伸張性メンブレンを有し、それにより、シールが提供されている、請求項9記載の1組の単眼鏡。
【請求項22】
前記ダイヤフラムは、前記リザーバの内面に被着状態で結合された伸張性メンブレンを有し、それによりシールが提供されている、請求項9記載の1組の単眼鏡。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−518198(P2012−518198A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550220(P2011−550220)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/023835
【国際公開番号】WO2010/093754
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511136256)アドレンズ ビーコン インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】