説明

可変画像表示体

【課題】複合細線画像とストライプ状のスクリーンとの相対的な摺動による可変画像表示体において、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体とを常に密着させて画像を鮮明に表示できると共に、スクリーンの担持体の表面とその上に載置する窓付シートの表面との間の段差を低減し、その隙間への異物の夾雑や見栄えの低下を低減できる可変画像表示体を提供する。
【解決手段】台紙10上に複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30とを相互に相対的に摺動可能に設け、その上に窓付シート40を設けてなるとともに、台紙10上に、複合細線画像担持シート20及びスクリーン担持シート30を窓付シート40に向けて弾性的に押圧する押圧手段15を設けてなる可変画像表示体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な操作によって同一の表示部に複数種類の画像を順次切り換えて表示することができる可変画像表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数種類の原画像を細線状に分割して周期的に配列した複合細線画像の上に、細線状の透視部と隠蔽部とを交互に配列したストライプ状のスクリーンを重ね、両者を相対的に摺動させることによって、表示部に表示される画像が瞬時に全く異なる画像に変化するように表示されたり、又は連続的に遷移する動画として表示されたりする可変画像表示体は、例えば特許文献1〜6に示される様に、夙に周知である。係る可変画像表示体は、簡単な構造で何ら特別な材料や電源・制御装置等を必要とせずに画像の変化や動画の表示が可能な表示体として、玩具や絵本、趣味・娯楽用品、宣伝販促物その他の各種の用途に使用されている。
【0003】
係る可変画像表示体における複合細線画像とストライプ状のスクリーンとの相対的な摺動は、簡易なものでは例えば特許文献2〜5に示される様に、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体とを人が手で持って直接の手動操作により行われるものも多い。しかしこの方法では、両者の位置合わせを精密に行ったり、両者を滑らかに摺動させたりすることが難しいために、複数種類の画像の中から所望の画像のみを綺麗に表示させたり、動画を滑らかに表示させたりすることは、慎重な手操作を必要とするのでやや難しい。特に、画像の変化のパターン数をより増したり、動画をより滑らかに表示させたりするために、原画像の枚数を増しつつ、表示される画像の精細度を低下させないために、細線画像をより細線化し、スクリーンの周期をより細かくするほど、この問題はより顕著となる。
【0004】
そこで、このような問題を解決するものとして、係る可変画像表示体における台紙の、複合細線画像とスクリーンとの相対的摺動方向の一方側の端部に、該摺動方向と直行する直線状の折曲線を介して折り曲げる様に揺動可能な操作片部を延設したヒンジ機構を設け、該操作片部における該折曲線との間に僅かな所定の間隔を隔てた位置(該折曲線よりも該操作片部の端部側である場合と、該操作片部の一部を該折曲線を越えて端部側とは反対側に延設した側である場合とがある)に、複合細線画像又はスクリーンの一方の担持体を連接させ、他方の担持体は台紙に対する位置を固定した構造として、操作片部を手で持って折曲線を中心とした揺動操作(ヒンジ操作)を行わせることによって、複合細線画像とスクリーンとを相対的に摺動させるようにした可変画像表示体も、特許文献7〜15に示される様に、既に各種提案されている。
【0005】
上記の様な構造の可変画像表示体は、ヒンジ操作による操作片部の揺動側端部の変位が、当該操作片部に連接された複合細線画像又はスクリーンの担持体に、大幅に縮小されて伝達されるので、同じ手動の操作でありながら、複合細線画像又はスクリーンの担持体そのものを直接手で持って動かす場合と比較すれば、複合細線画像とスクリーンとの位置合わせを遥かに精密に行うことが可能であるので、観察したい画像のみを綺麗に表示させることが容易に可能となり、また、複合細線画像とスクリーンとを低速度で相対的に摺動させる場合であっても、遥かに滑らかに摺動させることが可能であるので、動画をより滑らかに表示させることが容易に可能となるという利点がある。
【0006】
しかるに、画像の変化のパターン数をより増したり、動画をより滑らかに表示させたりするために、原画像の枚数を増しつつ、表示される画像の精細度を低下させないために、細線画像をより細線化し、スクリーンの周期をより細かくしようとすると、複合細線画像とスクリーンとの位置合わせ精度や相対的な摺動の滑らかさの他にも、表示される画像の画質に大きく影響する問題が発生して来る。それは、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体とが相互に密着せずに、それらの間に隙間が発生すると、たとえ両者が水平方向には正確に位置合わせがされていたとしても、スクリーンの透視部を透して、本来見えるべき細線画像の他に、それに隣接する細線画像の一部が一緒に見えてしまい、そのために、本来観察されるべき画像が鮮明に観察されずに、濁ったりぼやけたりして観察されてしまうという問題である。
【0007】
上記の様に、隣接する細線画像の一部が一緒に見えてしまう現象は、原画像の枚数が少なくスクリーンの周期が広い場合でも同様に発生してはいるのであるが、この場合は、本来見えるべき細線画像と比較して、それに隣接する細線画像の見え方は相対的に少ないので、観察される画像の見え方にはあまり大きな影響はない。しかし、スクリーンの周期が細かい場合、つまりスクリーンの透視部の幅が狭い場合には、本来見えるべき細線画像の見え方が少ないので、それに隣接する細線画像の見え方は相対的に多くなり、観察される画像の見え方への影響も大きくなり、無視できないものとなってしまう。
【0008】
上記した新たな問題は、前述したヒンジ機構を利用した可変画像表示体においては、そうでないものにおいてよりも、より顕著に発生する。それは、ヒンジ機構を利用して複合細線画像又はスクリーンの一方の担持体を台紙に対して摺動させるために、ヒンジ機構における操作片部を台紙に対して水平な位置からある角度を持った位置に傾ける様に揺動させると、これによって該操作片部に連接された前記複合細線画像又はスクリーンの一方の担持体は、台紙に対して水平方向に摺動すると同時に、鉛直方向にも持ち上げられてしまい、そのために他方の担持体との間に隙間を発生してしまうのであり、これはヒンジ機構を利用した可変画像表示体における構造的な問題とも言うことができる。勿論、ヒンジ機構を利用していない通常の可変画像表示体においても、何らかの理由により複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体との間に隙間が発生することはあり得るのであり、その場合にも同様の問題が発生する。
【0009】
上記の様な事情により、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体との相対的な摺動により画像の変化や動画を表示する可変画像表示体において、両者間の滑らかな摺動を阻害することなく、両者間の隙間の発生を効果的に防止し、もって画像の鮮明な表示を可能とする技術的手段の開発が要望されていた。
【0010】
そこで、係る問題点に鑑みて、本発明者らは既に、スクリーンの担持体の上に載置する窓付シートの窓部近傍の下面に、窓部の輪郭線から窓内側に延設した延設片を該輪郭線を折れ線として下方に折り返してなる折り返し片を設け、この折り返し片によってスクリーンの担持体を複合細線画像の担持体に向けて弾性的に押圧することによって、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体との間の隙間の発生を防止し、画像を常に鮮明に表示できるようにした可変画像表示体を提案した(特許文献16)。
【0011】
しかし、上記した構造の可変画像表示体は、窓付シートの表面とスクリーンの担持体の表面との間に少なくとも紙2枚分以上の段差が必然的に生じることになる。従って、この段差によって生じる隙間に異物が挟まって見栄えを低下させたり、この可変画像表示体を用いた絵本などの冊子体にあっては、頁の開閉時にスクリーンの担持体や隣接頁の表面を傷付けたりする場合もある。また、頁間に栞を挟んだ場合に、この栞の先端が窓付シートとスクリーンの担持体との間に挟まって、頁を開く際の操作性を低下させたり、栞、窓付シート又はスクリーンの担持体を破損させたりする場合もある。さらに、窓付シートの表面に可変画像表示体によって表示される画像と関連のある絵柄を形成した場合には、窓付シートの表面の絵柄と可変画像表示体に表示される画像との間に少なくとも紙2枚分以上(窓付シート自体を含む)の段差が必然的に生じるため、後者が前者に対して明らかに凹所として看取されたり、斜め方向から観察した場合に両者間に水平方向のずれが看取されるなどして、両者の意匠的一体感が阻害され、全体としての興趣感が減殺されてしまう場合もあるといった問題点があった。
【0012】
上記の様な事情により、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体との相対的な摺動により画像の変化や動画を表示する可変画像表示体において、両者を常に密着させて画像を鮮明に表示できると共に、スクリーンの担持体の表面とその上に載置する窓付シートの表面との間の段差を低減し、その隙間への異物の夾雑や見栄えの低下を低減できる技術的手段の開発が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実公大13−1708号公報
【特許文献2】実公大14−16361号公報
【特許文献3】実公昭2−4093号公報
【特許文献4】実願昭51−116724号(実開昭53−35748号)のマイクロフィルム
【特許文献5】実公昭55−54558号公報
【特許文献6】実用新案登録第3028589号公報
【特許文献7】米国特許第944385号明細書
【特許文献8】米国特許第1211497号明細書
【特許文献9】米国特許第1259297号明細書
【特許文献10】米国特許第2367967号明細書
【特許文献11】特開2010−72167号公報
【特許文献12】特開2010−82805号公報
【特許文献13】特開2010−82806号公報
【特許文献14】特開2010−120364号公報
【特許文献15】特開2010−228340号公報
【特許文献16】特開2010−181771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、背景技術における上記の様な問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複合細線画像とストライプ状のスクリーンとの相対的な摺動による可変画像表示体において、複合細線画像の担持体とスクリーンの担持体とを常に密着させて画像を鮮明に表示できると共に、スクリーンの担持体の表面とその上に載置する窓付シートの表面との間の段差を低減し、その隙間への異物の夾雑や見栄えの低下を低減できる可変画像表示体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の可変画像表示体は、台紙と、前記台紙上に配置された、複数種類の原画像のそれぞれを所定の細線画像幅に分割した細線画像から前記原画像の種類の数に等しい所定数毎に選択した細線画像を、各原画像に由来する細線画像が前記細線画像幅の前記所定数倍に等しい所定周期で繰り返し現れるように、一定の順序で相互に隣接させて配列して構成してなる複合細線画像を表面に担持した複合細線画像担持シートと、前記複合細線画像シート上に配置された、前記細線画像幅に等しい幅の透視可能な透視部と、前記細線画像幅の前記所定数倍よりも前記細線画像幅だけ狭い幅の透視不可能な隠蔽部とを、前記細線画像の配列方向と同一方向に相互に隣接させて交互に配列してなる、表示すべき画像の寸法よりも大きい寸法のスクリーンを担持したスクリーン担持シートと、前記スクリーン担持シート上に配置された、表示すべき画像の寸法と等しいか又はこれより大きい寸法の窓部を穿設した窓付シートと、を少なくとも具備してなり、前記複合細線画像担持シートと、前記スクリーン担持シートとを、前記細線画像の配列方向に相対的に摺動させることによって、前記複数枚の原画像のそれぞれに由来する画像が所定の順序で順次表示される可変画像表示体において、前記台紙の前記複合細線画像担持シート側の面上に、前記複合細線画像担持シート及び前記スクリーン担持シートを前記窓付シートに向けて弾性的に押圧する押圧手段を具備することを特徴とする可変画像表示体である。
【0016】
また本発明の可変画像表示体は、上記の可変画像表示体において、前記押圧手段は、前記台紙に設けられた、線分状の折返し線と、該折返し線の両端の間を迂回して結ぶ切込線とによって囲繞された部分を、前記台紙の前記複合細線画像担持シート側の面上に折返してなる折返し片であることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明の可変画像表示体は、上記の可変画像表示体において、前記押圧手段は、前記窓付シートの前記窓部の輪郭の一部にほぼ沿って、前記複合細線画像担持シートと前記スクリーン担持シートとの相対的な摺動方向と平行方向又は直交方向に延在するように設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明の可変画像表示体は、上記の可変画像表示体において、前記窓付シートと、前記台紙と、表紙外面シートと、表紙内面シートと、前記複合細線画像担持シートとがこの順に一列に配列されて相互に折曲線を介して連接されたブランクシートと、前記スクリーン担持シートとから構成されており、前記窓付シート及び前記複合細線画像担持シートの前記配列方向の寸法は、前記台紙の該方向の寸法よりも小さく、前記表紙内面シートの前記配列方向の寸法は、前記表紙外面シートの該方向の寸法よりも小さく、前記台紙の表面には、前記押圧手段が形成されており、前記複合細線画像担持シートの裏面には、前記複合細線画像が形成されており、前記スクリーン担持シートは、前記台紙の面内に収まり、且つ前記押圧手段が該スクリーン担持シートの面内に収まる寸法に形成されており、前記複合細線画像担持シートの前記配列方向と直交方向の寸法は、前記スクリーン担持シートの該方向の寸法よりも小さく、前記表紙内面シートと、前記複合細線画像担持シートとを、該表紙外面シートと前記表紙内面シートとの間の連接部の折曲線によって、該表紙外面シート及び前記台紙の表面上に重ねる様に折返して、該表紙外面シートの表面と該表紙内面シートの表面とを接合し、前記複合細線画像担持シートの裏面上に前記スクリーン担持シートを、該スクリーン担持シートの前記配列方向と直交方向の両端部分が該複合細線画像担持シートの該方向の両端縁を越えて外側に延在するように載置して、該スクリーン担持シートを該両端部分において前記台紙と接合し、前記窓付シートを、前記台紙との間の連接部の折曲線によって、該台紙及びその上に載置された前記細線画像担持シート及び前記スクリーン担持シートの上に重ねる様に折返して、該窓付シートと該台紙とを前記配列方向と直交方向の両端縁において接合してなることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明の可変画像表示体は、上記の可変画像表示体において、前記スクリーン担持シートには、前記配列方向と垂直方向に前記複合細線画像担持シートの寸法に相当する間隔を置いて、該方向に互いに向かい会う方向に突出する繋合爪が、前記配列方向に離間して複数対が切り込みにより形成されており、前記複合細線画像担持シートの裏面上に該スクリーン担持シートを載置する際に、該繋合爪が該複合細線画像担持シートの表面下に挿入されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また本発明の可変画像表示体は、上記の可変画像表示体において、前記窓付シートには、前記台紙が連接された側とは反対側の辺の天地方向中央部に、該窓付シートの天地方向の寸法よりも小さい天地方向の寸法を有する延長片が折曲線を介して連接されており、前記複合細線画像担持シートには、前記表紙内面シートとの連接部側の端部の天地方向中央部に、前記窓付シートに連接された前記延長片の天地方向の寸法よりも大きい天地方向の寸法を有する切欠部が穿設されており、前記窓付シートと前記台紙との接合の際に、前記窓付シートに連接された前記延長片を、前記複合細線画像担持シートに穿設された前記切欠部を通して前記台紙と前記複合細線画像担持シートとの間に挿入し、且つ前記台紙の表面と接合してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の可変画像表示体は、台紙上に複合細線画像担持シート、スクリーン担持シート及び窓付シートがこの順に載置されてなるとともに、台紙上に複合細線画像担持シート及びスクリーン担持シートを窓付シートに向けて弾性的に押圧する押圧手段を具備したことによって、複合細線画像担持シートとスクリーン担持シートとを常に密着状態に維持して鮮明な画像を表示できることはもとより、窓付シートとスクリーン担持シートとの間の段差や隙間が極小化できるので、異物の夾雑による見栄えの低下や、窓付シートの絵柄と可変画像表示体の画像との意匠的一体感の阻害による興趣感の低下などを効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態の可変画像表示体における台紙の平面図。
【図2】本発明の第1の実施形態の可変画像表示体における複合細線画像担持シートの平面図。
【図3】本発明の第1の実施形態の可変画像表示体におけるスクリーン担持シートの平面図。
【図4】本発明の第1の実施形態の可変画像表示体における窓付シートの平面図。
【図5】本発明の第1の実施形態の可変画像表示体の平面図。
【図6】図5に示した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体の操作片部を上方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図7】図5に示した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体から台紙上の押圧手段(折返し片)を省略した構造の従来の可変画像表示体の操作片部を上方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図8】本発明の第2の実施形態の可変画像表示体における台紙の平面図。
【図9】本発明の第2の実施形態の可変画像表示体における複合細線画像担持シートの平面図。
【図10】本発明の第2の実施形態の可変画像表示体の平面図。
【図11】図10に示した本発明の第2の実施形態の可変画像表示体の操作片部を下方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図12】図10に示した本発明の第2の実施形態の可変画像表示体から台紙上の押圧手段(折返し片)を省略した構造の従来の可変画像表示体の操作片部を下方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図13】本発明の第3の実施形態の可変画像表示体における複合細線画像担持シートの平面図。
【図14】本発明の第3の実施形態の可変画像表示体におけるスクリーン担持シートの平面図。
【図15】本発明の第3の実施形態の可変画像表示体の平面図。
【図16】図15に示した本発明の第3の実施形態の可変画像表示体の操作片部を上方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図17】図15に示した本発明の第3の実施形態の可変画像表示体から台紙上の押圧手段(折返し片)を省略した構造の従来の可変画像表示体の操作片部を上方に揺動させた状態でのA−A部における断面図。
【図18】本発明の第4の実施形態の可変画像表示体における窓付シート、台紙、表紙外面シート、表紙内面シート及び複合細線画像担持シートが相互に連接されたブランクシート及びスクリーン担持シートの平面図。
【図19】図18に示したブランクシート及びスクリーン担持シートに基づく本発明の第4の実施形態の可変画像表示体の組立途中の状態を示す平面図。
【図20】図18に示したブランクシート及びスクリーン担持シートに基づく本発明の第4の実施形態の可変画像表示体の組立途中の状態を示す平面図。
【図21】図18に示したブランクシート及びスクリーン担持シートに基づく本発明の第4の実施形態の可変画像表示体の組立状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の可変画像表示体の具体的な実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の可変画像表示体は、台紙10(図1)と、複合細線画像担持シート20(図2)と、スクリーン担持シート30(図3)と、窓付シート40(図4)とから構成されるものである。
【0025】
台紙10としては、従来周知の同種の可変画像表示体の場合と同様に、例えばカード紙又は板紙等の厚手の紙や、合成紙、プラスチックシート等を使用することができる。この台紙10の右側の端部には、後述するヒンジ機構50を構成するために、天地方向に直線状に形成された折曲線11を介して、該折曲線11を軸として紙面に垂直方向に揺動可能な操作片部12が延設されている。
【0026】
そして、本発明の可変画像表示体における台紙10にはさらに、後述する窓付シート40の窓部41に相当する領域の左右の縦辺にほぼ沿うように、該窓部41の天地方向の寸法にほぼ等しい長さの線分状の折返し線13と、該折返し線13と共に該折返し線13を底辺とする等脚台形を構成するように該折返し線13の天地両端間を結ぶ切込線14とによって囲繞された折返し片15が設けられている。この折返し片15は、折返し線13によって台紙10の表面上に折返すことによって、台紙10の構成材料の当該折返しに対する弾性的な反発力を利用して、後述する複合細線画像担持シート20及びスクリーン担持シート30を窓付シート40に向けて弾性的に押圧する押圧手段16とするものである。
【0027】
なお、本発明においては、この押圧手段16としては、上記した折返し片15に限定されるものではなく、その他にも例えば弦巻バネ、板バネ、ゴム、スポンジ、空気袋(気泡緩衝材)等を適用することも可能である。しかし、押圧手段16を上記した折返し片15によって形成すると、特別な材料や特別な工程を付加する必要なく、簡便且つ安価に製造可能である利点がある。この折返し片15によって本発明の目的のために十分な押圧効果を得るためには、台紙10の材質としては折り曲げ加工が可能であって且つある程度腰のあるシート材料を使用することが望ましく、例えば坪量150〜400g/m程度のカード紙又は板紙等の紙類や、厚み100〜300μm程度の合成紙又はプラスチックシート等を使用することが望ましい。
【0028】
また、この押圧手段16は、図示した例ではその長手方向(折返し線13の延在方向)が台紙10の天地方向、すなわち後述する複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との相対的な摺動方向と直交方向に延在するように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の可変画像表示体の有効表示領域、すなわち後述する窓付シート40の窓部41に相当する領域において、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30とを窓付シート40に向けて均一に押圧可能な配置とされていればよい。図示した例の様に押圧手段16を台紙10に形成した折返し片15の折返しにより形成する場合には、その長手方向が前記摺動方向と直交方向又は平行方向となるように、複数個を互いに平行に設けることが望ましく、特に、前記領域の縦辺又は横辺に沿うように2個を平行に設けることが最も望ましい。
【0029】
複合細線画像担持シート20は、例えばカード紙等、前述した台紙10と同様の材質からなるものであり、その表面には、文字「A」、文字「B」及び文字「C」をそれぞれ表した3種類の原画像に基づいて、各原画像を所定の細線画像幅に分割した細線画像から、文字「A」を表した原画像に基づく細線画像については左端側から1番目、4番目、7番目、‥‥というように、文字「B」を表した原画像に基づく細線画像については左端側から2番目、5番目、8番目、‥‥というように、文字「C」を表した原画像に基づく細線画像については左端側から3番目、6番目、9番目、‥‥というように、それぞれ2本置きに選択した細線画像を、左端側から順に、「A」の1番目、「B」の2番目、「C」の3番目、「A」の4番目、「B」の5番目、「C」の6番目、‥‥というように、3種類の原画像のそれぞれに由来する細線画像がそれぞれ2本置きに現れるような順番で、相互に隣接させて配列して構成した複合細線画像21が設けられている。
【0030】
複合細線画像21は、例えば通常の印刷法、電子写真法、インクジェット法等、従来周知の方法で形成することができる。また、この複合細線画像担持シート20の右側の端部には、後述するヒンジ機構50を構成するための切込線22、折曲線23、24、操作片部25が設けられており、この操作片部25は、折曲線24を軸として紙面に垂直方向に揺動可能に形成されている。この複合細線画像担持シート30の折曲線24から左側の部分は、後述するスクリーン担持シート30と共に、天部及び地部で接合される台紙10と窓付シート40との間に挿入されて、左右方向に摺動されるものであるから、その天地方向の幅は、台紙10及び窓付シート40の天地方向の幅より狭く形成される必要がある。さらに、後述するようにスクリーン担持シート30がその天地方向の両端近傍の部分において台紙10に接合される場合には、複合細線画像担持シート30の折曲線24から左側の部分の天地方向の幅は、スクリーン担持シート30の天地方向の幅よりも狭く形成される必要がある。
【0031】
スクリーン担持シート30は、前述した複合細線画像21の分割単位である細線画像幅に等しい幅を有する透視可能な透視部32と、細線画像幅の原画像数倍すなわち3倍よりも細線画像幅だけ狭い幅、つまり細線画像幅の2倍に等しい幅を有する透視不可能な隠蔽部33とが、前述した複合細線画像21を構成する細線画像の配列方向と同一方向すなわち左右方向に、相互に隣接して交互に配列されたストライプ状のスクリーン31を有している。スクリーン31は、表示すべき画像の寸法よりも大きい寸法を有していること、つまり、スクリーン31の輪郭の形状の内部に、表示すべき画像の輪郭の形状が完全に含まれ得るような寸法を有していることが必要である。この条件を満たす限り、スクリーン担持シート30の寸法には特に制限はないが、天部及び地部で接合される台紙10と窓付シート40との間に挿入されるものであるから、その天地方向の幅は、台紙10及び窓付シート40の天地方向の幅よりも狭く形成される必要がある。
【0032】
スクリーン31は、従来周知の同種の可変画像表示体の場合と同様に、透明なプラスチックフィルムの表面に不透明な印刷インキにより隠蔽部を印刷したもの等を使用することができる。スクリーン担持シート30は、その全体がスクリーン31によって構成されていてもよいし、スクリーン31以外のシート部分(透明であるか不透明であるかは問わない)を有していてもよい。また、複合細線画像担持シート20が台紙10に対して摺動する場合には、スクリーン担持シート30は台紙10の表面又は窓付シート40の裏面に固定される。図示した例では、スクリーン担持シート30の天地方向の両端近傍部分に設けられた余白部分の裏面に、台紙10の表面に接合するための接合部34が設けられている。
【0033】
窓付シート40は、例えばカード紙等、前述した台紙10と同様の材質からなるものであり、その外形寸法には特に制限はないが、後述するヒンジ機構50の作用を阻害することのないように、台紙10上に固定したときに台紙10や複合細線画像担持シート20の折曲部11、23、24を覆うことのない程度の寸法とするのがよい。この窓付シート40には、複合細線画像担持シート20に担持された複合細線画像21とスクリーン担持シート30に担持されたスクリーン31との協働により表示される画像を観察できるように、表示すべき画像の寸法と等しいか又はこれより大きい寸法の、つまり、その輪郭の形状の内部に表示すべき画像の輪郭の形状が完全に含まれ得るような寸法の、窓部41が穿設されている。なお、上記「表示すべき画像」とは、複合細線画像21とスクリーン31との協働により表示可能な画像の内、観察者に観察させることを制作者が意図した部分の画像を言い、実質的に複合細線画像21の全体である場合もあれば、その一部分である場合もある。この窓付シート40の天地方向の両端縁には、台紙10との接合のための接合部42が設けられている。さらに、窓付シート40の表面には、本発明の可変画像表示体の機構により窓部41内に表示される画像と関連した又は関連のない任意の絵柄を印刷法等により形成することもできる。
【0034】
上述した台紙10の折返し片15を折返し線13によって台紙10の表面上に折返して押圧手段16を形成し、その台紙10の上に、複合細線画像担持シート20と、スクリーン担持シート30と、窓付シート40とをこの順で配置し、台紙10とスクリーン担持シート30とが分離しないように、且つその間で複合細線画像担持シート20が左右方向に摺動することができるように、スクリーン担持シート30をその裏面の天地方向の両端近傍に設けられた接合部34で台紙10の表面に接合するとともに、台紙10と窓付シート40とが互いに分離しないように、この両者を窓付シート40の天地方向の両端縁に設けられた接合部42で接合し、さらに、台紙10の右側の端部に折曲線11を介して延設された操作片部12と、複合細線画像担持シート20の右側の端部に折曲線24を介して連接された操作片部24とを接合することにより、本発明の第1の実施形態の可変画像表示体が完成する(図5)。なお、台紙10の裏面に折返し片15を折返した跡の孔が開いたままであると、外観的にも見苦しく、また、この孔から異物が入り込んで故障の原因となる場合もあるので、その様な心配がある用途に使用する場合には、台紙10の裏面に別体の表装紙(図示せず)を被覆して上記の孔を隠蔽してもよい。
【0035】
この可変画像表示体には、前述した台紙10及び複合細線画像担持シート20に設けられた折曲線11、23、24、操作片部12、25によってヒンジ機構50が形成されている。このヒンジ機構50における操作片部52を、台紙10に対して水平な状態から、折曲線51を軸として該操作片部52の右端部を上方に持ち上げる様に揺動させると(図6)、そのヒンジ作用により台紙10上の複合細線画像担持シート20は僅かに左方向に移動し、これによって、複合細線画像担持シート20に担持された複合細線画像21は、台紙10上に接合されたスクリーン担持シート30に担持されたスクリーン31に対して、僅かに左方向に摺動することとなる。
【0036】
この摺動の距離が、複合細線画像21を構成する個々の細線画像の幅(細線画像幅)に等しくなると、当初の状態で表示されていた文字「A」の画像に代わって、文字「A」の画像を構成する各細線画像の右側に隣接する各細線画像によって構成される文字「B」の画像が表示されるようになる。更に細線画像幅に相当する距離だけ摺動させると、文字「B」の画像に変わって文字「C」の画像が表示され、更に細線画像幅に相当する距離だけ摺動させると、再び文字「A」の画像が表示され、以後この繰り返しとなる。一方、操作片部52の右端部を上方に持ち上げた状態から元に戻す方向に揺動させると、今度は逆に文字「A」の画像から文字「C」の画像へ、文字「C」の画像から文字「B」の画像へ、文字「B」の画像から文字「A」の画像へ、という順で表示される画像が順次切り替わる。
【0037】
ところで、操作片部52の右端部を上方へ持ち上げるように揺動させたとき、押圧手段16(折返し片15)が設けられていない従来の可変画像表示体の場合には、複合細線画像担持シート20は左方向への摺動と同時に、そのヒンジ機構50側の部分が上方へ持ち上げられ、これに伴って全体的に僅かながら下方に凸に湾曲するように変形するのに対して、スクリーン担持シート30は、全体的に湾曲させる様な応力を受けることなくほぼ平面的な状態を保持したまま、その操作片部52側の端部が複合細線画像担持シート20によって上方へ持ち上げられるため、スクリーン担持シート30が全体として複合細線画像担持シート20の表面上から浮き上がるか、又はスクリーン担持シート30と複合細線画像担持シート20との湾曲状態に差が発生するため、両者間に隙間60が発生してしまう(図7)。
【0038】
これに対して、本発明の可変画像表示体には、台紙10の表面上に押圧手段16(折返し片15)が設けられており、この押圧手段16(折返し片15)が複合細線画像担持シート20及びスクリーン担持シート30を窓付シート40に向けて弾性的に押圧するので、可変画像表示部である窓部41においては、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との間に隙間60が発生することがなく、両者が密着した良好な状態を維持し、以て鮮明な画像を表示することができる(図6)。なお、本発明者らが既に提案した、窓付シート40の窓部41の輪郭線から窓内側に延設した延設片を該輪郭線を折れ線として下方に折返してスクリーンの担持体を複合細線画像の担持体に向けて弾性的に押圧する押圧手段とした可変画像表示体(特許文献16)は、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との密着状態の維持確保に関しては本発明とほぼ同等の効果が得られるものではあるが、窓付シート40の表面とスクリーン担持シート30の表面との間に紙2枚分を超える段差が必然的に発生するため、この段差に異物が挟まって見栄えを低下させたり、或いは、窓付シート40の表面に可変画像表示体による表示画像と関連のある絵柄を形成した場合には、窓部41の輪郭において絵柄が途切れるかのような違和感を覚えたりする場合があった。これに対して、本発明の可変画像表示体は、スクリーン担持シート20の表面は押圧手段16によって常に窓付シート40の裏面に押圧されて密着しており、従って両者の表面の間の段差は紙(窓付シート40)1枚分と最小限に抑えられているので、上述した様な異物の挟み込みによる見栄えの低下や絵柄の不連続による違和感も最小限に抑えられる利点がある。
【0039】
この本発明の第1の実施形態の可変画像表示体は、図示したもののほか、その態様を種々変更して実施することができる。例えば、図示したものでは操作片部52は台紙10(折曲線51より左側の部分)より幅の狭い寸法に形成されているが、この操作片部52と台紙10とを略同大同形状として、開閉操作により画像が変化して表示される2つ折りカードとすることができる。また、この2つ折りカード状の構造が見開き頁となるように冊子体に綴じ込むことによって、頁の開閉操作により画像が変化して表示される書籍又は雑誌等の冊子体とすることができる。更に、この2つ折りカード状の構造の可変画像表示体を複数用意しておき、隣接する可変画像表示体の台紙10の裏面と操作片部52の裏面とを接合しつつ順次綴じ合わせることによって、各見開き頁に頁の開閉操作により画像が変化して表示される可変画像表示体が設けられた絵本とすることもできる。
【0040】
一方、操作片部52は幅の狭い寸法のままで、台紙10の操作片部52側とは反対側の端部(左端部)を綴じ部側として冊子体に綴じ込むことによって、頁の小口側の端部の揺動操作により画像が変化して表示される冊子体とすることもできる。この場合は、図示したもののように向かって右側に操作片部52を有する可変画像表示体を見開き頁の右側の頁に、図示したものと左右対称の構造として左側に操作片部52を配置した可変画像表示体を見開き頁の左側の頁に、それぞれ配置するように冊子体に綴じ込むことによって、見開き頁の左右両側の頁に可変画像表示体を有する冊子体とすることもできる。またこの場合、可変画像表示体の背面に左右対象構造の別の可変画像表示体を背中合わせに貼り合わせても、それぞれを独立した可変画像表示体として機能させることが可能であるから、頁の表裏両面に可変画像表示体を有する冊子体とすることもできる。
【0041】
また、図示した複合細線画像21及びスクリーン31は飽くまでも模式的な例であって、本発明はこれに限定されるものではない。複合細線画像21を構成する原画像の種類は特に限定されず、文字や記号等のほか例えば人物や動植物、コミック又はアニメ等のキャラクター、乗り物、ロボットその他の機械類、風景、抽象絵画等、或いはそれらの複数種類の組み合わせ等、任意の対象物を表した画像を使用することができ、また、対象物が経時的に順次遷移する状況を表した複数の原画像を使用することによって動画を表現することもできる。使用する原画像の数にも特に制限はなく、技術的には10枚前後までは十分に可能であるが、あまり多すぎると、表示される画像の面積に占めるスクリーン31の隠蔽部33によって隠蔽される部分の面積の比率が高くなって、表示される画像が不鮮明になり観察しづらくなるので、原画像の数は2〜6枚程度の範囲内とすることが望ましい。また、細線画像幅が狭すぎても表示される画像が不鮮明になる一方で、細線画像幅を拡げすぎて繰り返し周期を長くしすぎても表示される画像が粗すぎて画像として認識しにくくなるので、本発明の可変画像表示体を観察者が手で持って操作しながら観察する場合を想定すると、細線画像幅が概ね0.2〜1mm程度、より好ましくは0.3〜0.6mm程度、繰り返し周期が概ね0.5〜5mm程度、より好ましくは1〜3mm程度の範囲内となる様に設計することが望ましい。
【0042】
また、スクリーン31における隠蔽部33は、このスクリーン31を透して複合細線画像21を観察したときに、スクリーン31の透視部32を透して観察される細線画像と隠蔽部33を透して観察される細線画像とが十分なコントラストを持って観察され、これによって実質的に前者の細線画像のみによって構成される画像が観察者に認識される程度の隠蔽性を有していればよく、この限りにおいて必ずしも完全な光不透過性である必要はない。つまり、本発明において隠蔽部33が「透視不可能」であるとは、光学的に完全な透視不可能を意味するものでは必ずしもなく、透視部32との比較において実質的に透視不可能と言えるだけの透視困難性を備えていることを意味するものであり、一般的には、隠蔽部33の光透過率が透視部32の光透過率の概ね5分の1以下、より好ましくは10分の1以下程度であればよい。隠蔽部33の色彩にも特に制限はなく、一般的には例えば黒色、白色又は灰色等の無彩色であることが望ましいが、画像の種類によっては例えば赤色、青色、緑色等の有彩色も使用できる場合もある。また、隠蔽部33を有彩色透明、すなわち特定の波長域の光のみを隠蔽し他の波長域の光は透過する色彩とすることによって、複合細線画像21を構成する色彩中の特定の色彩成分についてのみ可変画像表示効果を有し、他の色彩成分については常時表示するような可変画像表示体とすることもできる。
【0043】
更にまた、図示した例では、複合細線画像21を構成する細線画像や、スクリーン31を構成する透視部32、隠蔽部33等の細線の形状は、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との相対的な摺動方向に直交する方向に延在する直線状とされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該摺動方向に平行でも垂直でもない一定の角度で交差する斜線状や、円弧状、「く」の字状、ジグザグ状、正弦曲線状その他の波線状等、要するに一定方向への繰り返し配置により相互に重複することなく平面を隙間なく埋め尽くすことが可能な形状であれば如何なる形状であってもよい。但し、複合細線画像21とスクリーン31との協働により表示される画像の画質の均一性や、複合細線画像21及びスクリーン31の製造の容易性、可変画像表示体の組立時における複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との位置合わせの容易性等を考慮すると、係る細線の形状は直線状(斜線状を含む)とすることが最も望ましい。
【0044】
なお、この様に複合細線画像担持シート20を摺動させる形態の可変画像表示体においては、ヒンジ機構50の操作片部52の揺動操作によって、複合細線画像担持シート20は窓付シート40に対しても相対的に摺動することになるので、操作片部52の揺動操作によって複合細線画像担持シート20が摺動可能な距離がスクリーン31の周期を越える場合には、複合細線画像21とスクリーン31との協働により現れる画像は、操作片部52の揺動位置によって異なる2箇所以上の位置に現れ得ることになる。更には、複合細線画像担持シート20が摺動可能な距離がスクリーン31の周期の数倍以上に達する様に構成すると、同一の原画像に基づいて複合細線画像21とスクリーン31との協働により現れる画像の内の一部が、操作片部52の揺動位置により、ある時は窓付シート40の窓部41の外にあって表示されず、ある時は窓付シート40の内部にあって表示される、というように、同一の原画像に基づく画像の窓部41内に表示される部分を複合細線画像担持シート20の摺動方向に沿って順次変化させることもできる。この場合の窓部41の寸法は、複合細線画像21とスクリーン31との協働により表示可能な画像の内、操作片部52がある一つの揺動位置にある時に、つまり複合細線画像担持シート20がある一つの摺動位置にある時に、観察者に観察させることを制作者が意図した部分の画像の形状を少なくとも含み得るような寸法とすればよい。
【0045】
<第2の実施形態>
上記した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体は、ヒンジ機構50における操作片部52を、その台紙10側とは反対側の端部を台紙10に対して水平な位置から上方に持ち上げる様な方向に揺動させるものであるが、このヒンジ機構50における、台紙10と操作片部52との間の折曲線51(11、23)と、複合細線画像担持シート20の本体部分(複合細線画像21を担持している部分)と操作片部25との間の折曲線24との摺動方向(左右方向)の位置関係を逆転させることによって、操作片部52を逆に下方に押し下げる様な方向に揺動させる構造とすることもできる。つまり、図8に示す様に、図1に示したものよりも折曲線11を右方に移動した台紙10と、図9に示す様に、図2に示したものよりも折曲線23を右方に、折曲線24を左方にそれぞれ移動した複合細線画像担持シート20と、上記した本発明の第1の実施形態におけるものと同様の、すなわち例えば図3に示したものと同様のスクリーン担持シート30及び図4に示したものと同様の窓付シート40とを使用して、図10に示す様な本発明の第2の実施形態の可変画像表示体とすることができる。
【0046】
このような構造のヒンジ機構50を有する可変画像表示体にあっては、ヒンジ機構50の操作片部52を下方へ押し下げる様に揺動させると、複合細線画像担持シート20に担持された複合細線画像21は、台紙10に対して僅かに右方向に摺動することとなるから、窓部41に表示される画像は、上記した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体の場合とは逆に、当初の文字「A」の画像から文字「C」の画像へ、更に文字「B」の画像へ、そして再び文字「A」の画像へ、という順で繰り返し切り替わることとなる。そして、操作片部52を下方へ押し下げた状態から元の水平な位置に戻す様な方向に揺動させると、表示される画像は上記と逆の順序で順次切り替わることとなる。
【0047】
このような構造のヒンジ機構50を有する可変画像表示体にあっても、押圧手段16(折返し片15)が設けられていない従来の可変画像表示体の場合には、操作片部52の右端部を下方へ押し下げるように揺動させたときに、複合細線画像担持シート20は右方向への摺動と同時に、そのヒンジ機構50側の部分が上方へ持ち上げられ、これに伴って全体的に僅かながら下方に凸に湾曲するように変形するのに対して、スクリーン担持シート30は、全体的に湾曲させる様な応力を受けることなくほぼ平面的な状態を保持したまま、その操作片部52側の端部が複合細線画像担持シート20によって上方へ持ち上げられるため、スクリーン担持シート30が全体として複合細線画像担持シート20の表面上から浮き上がるか、又はスクリーン担持シート30と複合細線画像担持シート20との湾曲状態に差が発生するため、両者間に隙間60が発生してしまう(図12)。
【0048】
これに対して、本発明の可変画像表示体には、台紙10の表面上に押圧手段16(折返し片15)が設けられており、この押圧手段16(折返し片15)が複合細線画像担持シート20及びスクリーン担持シート30を窓付シート40に向けて弾性的に押圧するので、可変画像表示部である窓部41においては、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との間に隙間60が発生することがなく、両者が密着した良好な状態を維持し、以て鮮明な画像を表示することができる(図11)。また、スクリーン担持シート20の表面は押圧手段16によって常に窓付シート40の裏面に押圧されて密着しており、従って両者の表面の間の段差は紙(窓付シート40)1枚分と最小限に抑えられているので、その段差(隙間)への異物の挟み込みによる見栄えの低下や絵柄の不連続による違和感も最小限に抑えることができる。
【0049】
この本発明の第2の実施形態の可変画像表示体も、図示したもののほか、その態様を種々変更して実施することができる。但し、前述した第1の実施形態の可変画像表示体の場合と異なり、台紙10と操作片部52とを可変画像表示部を内側にして折り重ねることは不可能であり、また、反対側に折り重ねて閉じた場合にも、台紙10の折曲線51側の端部から複合細線画像担持シート20の一部が突出することとなるので、開閉操作により画像が変化して表示される2つ折りカードや、頁の開閉操作により画像が変化して表示される冊子体としての使用には不向きである。また、左右対称構造の可変画像表示体を背中合わせに貼り合わせると、表裏の可変画像表示体の操作片部52が邪魔し合ってその揺動操作を行うことができないので、この様な形で表裏両面に可変画像表示体を有する構造体としての使用にも不向きである。しかし、この第2の実施形態の可変画像表示体を、その台紙10の操作片部52とは反対側の端部を綴じ部側として冊子体に綴じ込むことは可能であるし、また、左右対称でない同一構造の可変画像表示体を、それぞれの操作片部52が他方の台紙10と重ならない位置関係で背中合わせに貼り合わせて、表裏両面に可変画像表示体を有する1枚の構造体として使用することも可能である。
【0050】
<第3の実施形態>
本発明の可変画像表示体において、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30とを相対的に摺動させるためには、上記した第1及び第2の実施形態におけるように、スクリーン担持シート30の位置を固定し、複合細線画像担持シート20を摺動させる代わりに、これとは逆に、複合細線画像担持シート20の位置を固定し、スクリーン担持シート30を摺動させる構造とすることも可能である。そのような構造の可変画像表示体の一例である本発明の第3の実施形態の可変画像表示体は、図1に示したものと同様の台紙10と、図13に示す様に切込線22、折曲線23、24、操作片部25を有しない複合細線画像担持シート20と、図2に示した複合細線画像担持シート20と類似した構造の、図14に示す様に右側に切込線36、折曲線37、38、操作片部39が形成されたスクリーン担持シート30と、図4に示したものと同様の窓付シート40とから構成されるものである。
【0051】
そして、上述した台紙10の上に、複合細線画像担持シート20と、スクリーン担持シート30と、窓付シート40とをこの順で配置して、以降は上述した第1の実施形態の可変画像表示体の場合と同様の要領にて、但し、スクリーン担持シート30に代えて複合細線画像担持シート20を台紙10(又は窓付シート40)に固定するとともに、台紙10に連接した操作片部12には、複合細線画像担持シート20に連接した操作片部25の代わりに、スクリーン担持シート30に折曲線38を介して連接した操作片部39を接合することにより、本発明の第3の実施形態の可変画像表示体が完成する(図15)。
【0052】
この本発明の第3の実施形態の可変画像表示体は、前述した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体の場合と同様に、ヒンジ機構50の操作片部52を上方へ持ち上げる様な方向に揺動させることによって、窓部41に表示される画像を変化させることができる。但し、この場合は、当該揺動操作によって左方向に摺動するのは、複合細線画像担持シート20ではなくてスクリーン担持シート30であるので、表示される画像が変化する順序は、前述した本発明の第1の実施形態の可変画像表示体の場合とは逆になる。すなわち、操作片部52を上方へ持ち上げる様な方向に揺動させると、窓部41に表示される画像は、当初の文字「A」の画像から文字「C」の画像へ、更に文字「B」の画像へ、そして再び文字「A」の画像へ、という順序で順次切り替わり、操作片部52を上方へ持ち上げた状態から元の水平な位置に戻す様な方向に揺動させると、表示される画像は上記と逆の順序で順次切り替わることとなる。
【0053】
このような構造のヒンジ機構50を有する可変画像表示体にあっても、押圧手段16(折返し片15)が設けられていない従来の可変画像表示体の場合には、操作片部52の右端部を上方へ持ち上げる様に揺動させたときに、スクリーン担持シート30は左方向への摺動と同時に、そのヒンジ機構50側の部分が上方へ持ち上げられることにより、スクリーン担持シート30のスクリーン31の部分と複合細線画像担持シート20の複合細線画像21が形成された部分との間に隙間60が発生してしまう(図17)。これに対して、本発明の可変画像表示体には、台紙10の表面上に押圧手段16(折返し片15)が設けられており、この押圧手段16(折返し片15)が複合細線画像担持シート20及びスクリーン担持シート30を窓付シート40に向けて弾性的に押圧するので、可変画像表示部である窓部41においては、複合細線画像担持シート20とスクリーン担持シート30との間に隙間60が発生することがなく、両者が密着した良好な状態を維持し、以て鮮明な画像を表示することができる(図16)。また、スクリーン担持シート20の表面は押圧手段16によって常に窓付シート40の裏面に押圧されて密着しており、従って両者の表面の間の段差は紙(窓付シート40)1枚分と最小限に抑えられているので、その段差(隙間)への異物の挟み込みによる見栄えの低下や絵柄の不連続による違和感も最小限に抑えることができる。
【0054】
この本発明の第3の実施形態の可変画像表示体も、複合細線画像21とスクリーン31との協働により現れる画像の表示位置を操作片部52の揺動位置によって移動させたり出没させたりすることができないことを除けば、前述した第1の実施形態の可変画像表示体の場合と同様に、その態様を種々変更して実施することができる。また、この本発明の第3の実施形態の可変画像表示体におけるヒンジ機構50を、前述した第2の実施形態の可変画像表示体におけるそれに類似した機構で置き換えて実施することも可能であり、この場合の実施の態様を変更可能な範囲は、前述した第2の実施形態の可変画像表示体の場合とほぼ同様である。さらに、この様にスクリーン担持シート30を摺動させる形態の可変画像表示体の場合には、複数種類の複合細線画像担持シート20を用意しておき、これを必要に応じて差し替えることによって、1つの可変画像表示体を用いてより多くの種類の画像を表示可能としたり、表示可能な画像変化パターン又は動画の種類を増やしたりすることが可能となる。
【0055】
<第4の実施形態>
以上に説明した本発明の各実施形態の可変画像表示体においてはいずれも、台紙10、複合細線画像担持シート20、スクリーン担持シート30及び窓付シート40は、それぞれ別体のシートによって構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのシートの中から選ばれる任意の数のシートが互いに連接した1枚のブランクシートから構成されていてもよい。
【0056】
図18に示したのはその様なブランクシートの一例の展開図であり、このブランクシートは、窓付シート40、台紙10、表紙外面シート70、表紙内面シート80及び複合細線画像担持シート20がこの順に、それぞれの間に折曲線45、71、81、26を介して連接して構成されている。台紙10には、前述した本発明の各実施形態におけると同様に、折返し線13と切込線14とにより折返し片15が形成されており、窓付シート40の中央部には、これも前述した本発明の各実施形態におけると同様に、可変画像表示部となる窓部41が穿設されている。台紙10と表紙外面シート70とはほぼ同形同大であるが、窓付シート40、表紙内面シート80及び複合細線画像担持シート20は、台紙10や表紙外面シート70よりも左右方向に若干狭幅に形成されている。また、複合細線画像シート20の天地方向の幅は、他の部分よりも狭幅に形成されており、該複合細線画像シート20の裏面には、複合細線画像21が形成されている。さらに、この例では、窓付シート40の台紙10とは反対側の辺の天地方向中央部には、折曲線44を介して天地方向に狭幅の延長片43が延設されており、複合細線画像担持シート20の折曲線26側の端部の天地方向中央部には、天地方向に上記延長片43よりもやや広幅の切欠部27が形成されている。
【0057】
一方、スクリーン担持シート30は、上記したブランクシートとは別体に形成されており、その寸法は、縦横とも台紙10よりも小さいが、台紙10に形成された押圧手段16がその面内に納まる縦横幅を有し、縦幅は複合細線画像担持シート20の縦幅よりは広幅に形成されている。スクリーン31は、スクリーン担持シート30の中央部の有効表示領域を含むように形成され、その四周には余白部が形成されると共に、天地側の余白部には、複合細線画像担持シート20の天地の縁に繋合させるための繋合爪35が、スクリーン担持シート30への切り込みにより左右各1対の合計2対が形成されている。この繋合爪35の対の天地方向の間隔は、複合細線画像担持シート20の天地方向の幅にほぼ等しく(厳密には、複合細線画像担持シート20をスクリーン担持シート30の本体部分と繋合爪35との間に挟んだ状態で複合細線画像担持シートをスクリーン担持シートに対して左右方向に円滑に摺動させるために必要な僅かな余裕を持たせた幅に)形成されている。
【0058】
そして、まず、このブランクシートにおける台紙10に形成された折返し片15を折返し線13によって台紙10の表面上に折返して押圧部材16を形成した後、表紙内面シート80と複合細線画像担持シート20とを、表紙外面シート70と表紙内面シート80との間の連接部の折曲線81によって、表紙内面シート80が表紙外面シート70上に、複合細線画像担持シート20が台紙10上にそれぞれ重なる様に折返し、表紙外面シート70と表紙内面シート80とをその向かい合う面において接合する(図19)。これによって、表紙外面シート70と表紙内面シート80とが一体化して表紙90が形成されると同時に、表紙内面シート80の左右方向の幅が表紙外面シート70のそれよりも若干狭幅であるため、表紙内面シート80と複合細線画像担持シート20との間の折曲線26は、台紙10と表紙外面シート70との間の折曲線71よりも若干右側に位置することとなり、これによって、表紙90を折曲線71を軸として台紙10に対して紙面に垂直方向に上下方向に揺動させたときに複合細線画像担持シート20を台紙10に対して左右方向に摺動させるヒンジ機構が形成される。
【0059】
次いで、台紙10上に折返された複合細線画像担持シート20の上にスクリーン担持シート30を載置して、複合細線画像担持シート20の天地方向の両端縁を越えて天地方向外側に延在しているスクリーン担持シート30の余白部で、スクリーン担持シート30の裏面を台紙10の表面に接合する(図20)。その際、スクリーン担持シート30に2対形成された繋合爪35を複合細線画像担持シート20と台紙10との間に挿入して、複合細線画像担持シート20をスクリーン担持シート30の本体部分と繋合爪35との間に挟み込む様にする。これによって、上述したヒンジ機構の作用によって複合細線画像担持シート20を台紙10に接合されたスクリーン担持シート30に対して左右方向に摺動させたときに、複合細線画像担持シート20がスクリーン担持シート30に対して斜め方向に曲がることなく正確に左右方向に摺動するので、複合細線画像21の細線方向とスクリーン31の細線方向とが常に平行に保たれ、これにより常に鮮明な画像の表示が可能となる。
【0060】
最後に、窓付シート40を台紙10との間の折曲線45によって台紙10上に重ねる様に折返し、台紙10と窓付シート40とを天地方向の両端縁で接合すると共に、窓付シート40に連接された延長片43を折曲線44によって折り曲げつつ複合細線画像担持シート20の切欠部27を通して複合細線画像担持シート20と台紙10との間に挿入し、そこで該延長片43と台紙10とをその向かい合う面において接合することによって、本発明の第4の実施形態の可変画像表示体が完成する(図21)。
【0061】
この展開図のブランクシートの構造によると、スクリーン担持シート30を除き全ての構成部材が単一の材料を用いた単一の印刷・打抜工程により製造でき、しかもそれらが一方向に連接した帯状体をなしているので、製造効率や材料の利用効率が高いほか、各構成部材の外形やそれらの間の折曲線、窓部、切欠部等の位置、形状が単一の打抜(筋押を含む)工程で形成できることから、組立時に各構成部材の位置合わせに特別な工夫を要さずとも各構成部材の組立精度が高く、安定して高精度で動作する可変画像表示体を容易に得ることができる。さらに、窓付シート40の裏面(折返し後の表面)に可変画像と関連した又は関連のない絵柄を形成する場合には、当該絵柄の形成を複合細線画像担持シート20の裏面(折返し後の表面)への複合細線画像21の形成と同一工程で行うことができることから、両者の位置合わせ精度が高く、特に、両者が互いに関連する場合には、両者の位置ずれによる違和感のない意匠性に優れた製品を容易に得ることができるという利点がある。
【0062】
こうして完成した本発明の第4の実施形態の可変画像表示体は、そのまま2つ折りカード状の製品として使用することもできるが、台紙10の裏面に折返し片15を折返した跡の孔が開いたままであると、外観的にも見苦しく、また、この孔から異物が入り込んで故障の原因となる場合もあるので、その様な心配がある用途に使用する場合には、台紙10の裏面に別体の表装紙(図示せず)を被覆して上記の孔を隠蔽してもよい。この表装紙は、少なくとも台紙10の裏面の上記の孔を塞ぐだけの寸法があれば良いが、それより大きくても勿論よく、例えば台紙10の裏面全体を覆う寸法としたり、折曲線を介して台紙10及び表紙90の裏面全体を覆う寸法としたりしても良い。
【0063】
この本発明の第4の実施形態の可変画像表示体も、前述した各実施形態の可変画像表示体の場合と同様に、その態様を種々変更して実施することができる。例えば、表紙外面シート70や表紙内面シート80を台紙10よりも左右方向に狭幅として、前述した本発明の第1〜3の実施形態における操作片部52として図示したようなタブ状のものとして、全体として平板カード状の可変画像表示体とすることもできる。係る平板カード状の可変画像表示体とする場合には、表紙外面シート70と表紙内面シート80との左右方向の幅の関係を逆転させて、本発明の第2の実施形態の場合と同様に、表紙90を図面の紙面下方に揺動させて操作する可変画像表示体とすることもできる。さらには、係る平板カード状の可変画像表示体2個を裏面同士で接合して表裏両面に可変画像表示部を有する平板カード状の可変画像表示体としたり、係る平板カード状の可変画像表示体を台紙10の表紙90とは反対側の端部で冊子体の一部の頁として綴じ込んだり、前述した2つ折りカード状の可変画像表示体を複数種類用意し、隣接する可変画像表示体の裏面同士を接合しつつ順次綴じ合わせて各見開き頁に可変画像表示体が設けられた絵本としたりすることもできる。
【符号の説明】
【0064】
10 台紙
11 折曲線
12 操作片部
13 折返し線
14 切込線
15 折返し片
16 押圧手段
20 複合細線画像担持シート
21 複合細線画像
22 切込線
23 折曲線
24 折曲線
25 操作片部
26 折曲線
27 切欠部
30 スクリーン担持シート
31 スクリーン
32 透視部
33 隠蔽部
34 接合部
35 繋合爪
36 切込線
37 折曲線
38 折曲線
39 操作片部
40 窓付シート
41 窓部
42 接合部
43 延長片
44 折曲線
45 折曲線
50 ヒンジ機構
51 折曲線
52 操作片部
60 隙間
70 表紙外面シート
71 折曲線
80 表紙内面シート
81 折曲線
90 表紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、
前記台紙上に配置された、複数種類の原画像のそれぞれを所定の細線画像幅に分割した細線画像から前記原画像の種類の数に等しい所定数毎に選択した細線画像を、各原画像に由来する細線画像が前記細線画像幅の前記所定数倍に等しい所定周期で繰り返し現れるように、一定の順序で相互に隣接させて配列して構成してなる複合細線画像を表面に担持した複合細線画像担持シートと、
前記複合細線画像シート上に配置された、前記細線画像幅に等しい幅の透視可能な透視部と、前記細線画像幅の前記所定数倍よりも前記細線画像幅だけ狭い幅の透視不可能な隠蔽部とを、前記細線画像の配列方向と同一方向に相互に隣接させて交互に配列してなる、表示すべき画像の寸法よりも大きい寸法のスクリーンを担持したスクリーン担持シートと、
前記スクリーン担持シート上に配置された、表示すべき画像の寸法と等しいか又はこれより大きい寸法の窓部を穿設した窓付シートと、
を少なくとも具備してなり、
前記複合細線画像担持シートと、前記スクリーン担持シートとを、前記細線画像の配列方向に相対的に摺動させることによって、前記複数枚の原画像のそれぞれに由来する画像が所定の順序で順次表示される可変画像表示体において、
前記台紙の前記複合細線画像担持シート側の面上に、前記複合細線画像担持シート及び前記スクリーン担持シートを前記窓付シートに向けて弾性的に押圧する押圧手段を具備することを特徴とする可変画像表示体。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記台紙に設けられた、線分状の折返し線と、該折返し線の両端の間を迂回して結ぶ切込線とによって囲繞された部分を、前記台紙の前記複合細線画像担持シート側の面上に折返してなる折返し片であることを特徴とする請求項1に記載の可変画像表示体。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記窓付シートの前記窓部の輪郭の一部にほぼ沿って、前記複合細線画像担持シートと前記スクリーン担持シートとの相対的な摺動方向と平行方向又は直交方向に延在するように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変画像表示体。
【請求項4】
前記窓付シートと、前記台紙と、表紙外面シートと、表紙内面シートと、前記複合細線画像担持シートとがこの順に一列に配列されて相互に折曲線を介して連接されたブランクシートと、前記スクリーン担持シートとから構成されており、
前記窓付シート及び前記複合細線画像担持シートの前記配列方向の寸法は、前記台紙の該方向の寸法よりも小さく、
前記表紙内面シートの前記配列方向の寸法は、前記表紙外面シートの該方向の寸法よりも小さく、
前記台紙の表面には、前記押圧手段が形成されており、
前記複合細線画像担持シートの裏面には、前記複合細線画像が形成されており、
前記スクリーン担持シートは、前記台紙の面内に収まり、且つ前記押圧手段が該スクリーン担持シートの面内に収まる寸法に形成されており、
前記複合細線画像担持シートの前記配列方向と直交方向の寸法は、前記スクリーン担持シートの該方向の寸法よりも小さく、
前記表紙内面シートと、前記複合細線画像担持シートとを、該表紙外面シートと前記表紙内面シートとの間の連接部の折曲線によって、該表紙外面シート及び前記台紙の表面上に重ねる様に折返して、該表紙外面シートの表面と該表紙内面シートの表面とを接合し、
前記複合細線画像担持シートの裏面上に前記スクリーン担持シートを、該スクリーン担持シートの前記配列方向と直交方向の両端部分が該複合細線画像担持シートの該方向の両端縁を越えて外側に延在するように載置して、該スクリーン担持シートを該両端部分において前記台紙と接合し、
前記窓付シートを、前記台紙との間の連接部の折曲線によって、該台紙及びその上に載置された前記細線画像担持シート及び前記スクリーン担持シートの上に重ねる様に折返して、該窓付シートと該台紙とを前記配列方向と直交方向の両端縁において接合してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の可変画像表示体。
【請求項5】
前記スクリーン担持シートには、前記配列方向と垂直方向に前記複合細線画像担持シートの寸法に相当する間隔を置いて、該方向に互いに向かい会う方向に突出する繋合爪が、前記配列方向に離間して複数対が切り込みにより形成されており、
前記複合細線画像担持シートの裏面上に該スクリーン担持シートを載置する際に、該繋合爪が該複合細線画像担持シートの表面下に挿入されてなることを特徴とする請求項4に記載の可変画像表示体。
【請求項6】
前記窓付シートには、前記台紙が連接された側とは反対側の辺の天地方向中央部に、該窓付シートの天地方向の寸法よりも小さい天地方向の寸法を有する延長片が折曲線を介して連接されており、
前記複合細線画像担持シートには、前記表紙内面シートとの連接部側の端部の天地方向中央部に、前記窓付シートに連接された前記延長片の天地方向の寸法よりも大きい天地方向の寸法を有する切欠部が穿設されており、
前記窓付シートと前記台紙との接合の際に、前記窓付シートに連接された前記延長片を、前記複合細線画像担持シートに穿設された前記切欠部を通して前記台紙と前記複合細線画像担持シートとの間に挿入し、且つ前記台紙の表面と接合してなることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の可変画像表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−185221(P2012−185221A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46650(P2011−46650)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】