説明

可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲート

可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートが、そのようなコンジュゲートを製造する方法と一緒に記載される。そのようなポリアル−薬物コンジュゲートへの使用も記載される。別の態様において、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態において、ポリアルは、アセタールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は、2009年5月28日に出願された、米国仮特許出願第61/181,926号の利益を主張する。この出願の全開示は参照に依存し、そして、参照により本願に援用される。
【0002】
(参照による援用)
本願明細書にわたり、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載および主張されている本発明の日付において当業者に公知である最新技術をより十分に記載するために、それらの全体が本出願中に参照により組み込まれるものとする。
【0003】
本特許開示は、著作権保護の対象である材料を含有する。著作権所有者は、米国特許商標局の特許ファイルまたは記録に表れているように、特許書類または特許開示の誰による複製にも異議はないが、他の点では何であれありとあらゆる著作権を留保する。
【0004】
(分野)
本出願は、ポリマー−薬物コンジュゲートを対象とする。特に、本出願は、可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲート、それらを使用するための方法、およびそれらを設計するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0005】
伝統的に、医薬品は、主に、経口で(固体丸剤および液剤として)または注射剤として施与される小分子からなっている。しかし、過去30年間で、持続放出製剤(すなわち、薬物送達の速度を制御し、治療剤の必要とされる部位における送達を可能にする組成物)が、ますます普及し複雑化している。しかし、新たな治療法の開発、ならびにそれらを投与するための機構に関する多くの疑問および課題は対処されないままである。
【0006】
この領域におけるかなりの研究努力は、著しい前進につながっているが、長年にわたって開発され、現在使用されている薬物送達方法/システムは、いくつかの検討を必要とする具体的問題を依然として示している。例えば、多くの薬物は、一般的に、それらが体内の望ましい標的に到達する前に部分的分解にさらされるため、限定された、さもなければ低減された効力および治療効果を示す。投与されると、持続放出医薬は、短期間(数時間または数分)ではなく、継続的に、例えば、数日または数週間にわたって治療を送達する。薬物送達システムの分野における1目的は、生理学的引き金か化学的引き金のどちらかによって治療剤の投与の速度および時間を制御することができるシステムを通じて、体の具体的標的領域に医薬を無傷で送達することである。ポリマーコンジュゲートからの薬物の放出速度は、放出薬物の全体的な有効性に対する効果を有すること、放出薬物の作用持続期間、必要とされる投与の頻度、放出薬物の毒性、放出薬物の生体分布、ならびに放出薬物の全体的な薬物動態学的および薬物動力学的な特性を包含する、放出薬物の特性を変える際に極めて重要な役割を果たすことができる。例えば、ポリマーコンジュゲートからの薬物の遅い継続的な放出は、薬物の遅い継続的な注入を模倣することができる。そのような送達は、例えば、本質的に短い半減期を有し、したがって、直接投与される場合に、より高頻度の投与を必要とするであろう薬物放出生成物について有益なことがある。さらに、薬物放出生成物のポリマーコンジュゲートは、薬物放出生成物のCmaxを変えるように設計することができることがあり、適切な放出半減期を有するポリマーコンジュゲートを注意深く設計することにより、薬物放出生成物の治療濃度(therapeutic level)を維持しながら、望ましい治療濃度域内に収まる、例えば、関連毒性を有することが公知である値よりも低くなるように、Cmax値を標的とすることができる。
【0007】
過去10年間で、ポリマーミクロスフェア、ポリマーミセル、可溶性ポリマーおよびヒドロゲル型材料などの材料は、薬物標的特異性を増強すること、全身性薬物毒性を低下させること、治療吸収速度を改善すること、および生化学的分解に対する医薬品の保護を提供することに有効であることが明らかにされ、したがって、生物医学的応用において、特に、薬物送達装置の構成成分として使用するための大きな可能性を示した。
【0008】
生物医学的ポリマー(例えば、生理学的条件下で使用するためのポリマー)の設計および工学技術は、一般的に、特異的かつ厳密な要件にさらされる。特に、そのようなポリマー材料は、それらが使用されることになる生物学的環境と適合していなければならず、このことは、それらが、ある種の親水性の特徴を示すことを意味することが多い。それらは、十分な生体分解性も示さなければならない(すなわち、それらは、低分子量種に分解する。ポリマー断片は、体内で代謝されるか排出され、痕跡を残さない)。
【0009】
生体分解性は、典型的には、主鎖内に加水分解に不安定な結合を有するポリマーを合成または使用することにより達成される。この特徴を有する最も一般的な化学的官能基は、エステル、無水物、オルトエステル、およびアミドである。加水分解に不安定な主鎖の化学的加水分解は、ポリマーの分解にとって一般的な機構である。生体分解性ポリマーは、天然または合成のどちらかであってよい。医学的応用および生物医学的研究において一般に使用される合成ポリマーは、ポリエチレングリコール(薬物動態および免疫応答修飾剤)、ポリビニルアルコール(薬物担体)、およびポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(hydroxypropylmetacrylamide))(薬物担体)を包含する。さらに、天然ポリマーも、生物医学的応用において使用される。例えば、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、アルブミンおよび部分的に加水分解されたタンパク質は、血漿代用薬から放射性医薬品〜非経口栄養までに及ぶ応用において使用される。一般に、合成ポリマーは、それらを、天然源の材料ができるよりも広範囲な特性および予測可能性の高いロット間均一性が得られるように調整することができるという点で、天然材料よりも大きな利点を提供することができる。合成ポリマーは、感染または免疫原性の懸念のない原材料の信頼の高い源でもある。ポリマー材料を調製する方法は、当技術分野において周知である。しかし、生物医学的使用のための十分な生体分解性、生体適合性、親水性および最小限の毒性を示すポリマー材料の調製につなげることに成功している合成方法は少ない。現在入手可能な限定された数および種類のバイオポリマーがこのことを証明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、先述の問題を克服するか最小限に抑え、適切な速度でそれらの薬物カーゴ(drug cargo)(対応する薬物放出生成物)を放出することができる、薬学的に有用な修飾剤を含む低毒性の、生体分解性の、生体適合性の、親水性のポリマーコンジュゲートの必要性が生物医学的分野に存在する。そのようなポリマーコンジュゲートは、生物医学的調製物、医薬製剤、医学的装置、インプラント、ならびに治療剤、診断剤および予防剤の包装/送達のための構成成分を包含するいくつかの応用に使用されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、式Iのコンジュゲートが記載され、
【0012】
【化1】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
リンカーは、カルボニル間に2個以上の原子を含有するジカルボン酸部分であり、
テザーは、二級または三級のアミンを含む二官能性有機部分であり、
は、H、アルキルであるか、テザーの主鎖のCHと一緒に、5または6員環を形成し、
薬物は、テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
式中、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、放出半減期は、約100時間超であり、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
式中、
放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、式Iのコンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール(Taxol)、またはPHF−SA−Gly−イルジン(Illudin)ではない。
【0013】
別の態様において、式IIのコンジュゲートが記載され、
【0014】
【化2】

式中、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、CHのうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rと薬物の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
薬物は、テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
ここで、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、放出半減期は、約100時間超であり、
ここで、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
ここで、
放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール、またはPHF−SA−Gly−イルジンではない。
【0015】
一部の実施形態において、ポリアルは、アセタールである。他の実施形態において、ポリアルは、ケタールである。一部の実施形態において、アセタールは、PHFである。一部の実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、CHである。一部の実施形態において、Rは、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つである)である。一部の実施形態において、Rは、アリール基である。一部の実施形態において、Rは、ヘテロアリール基である。他の実施形態において、Rは、脂肪族環である。一部の実施形態において、Rは、脂肪族鎖である。一部の実施形態において、Rは、ヘテロ環式脂肪族環である。一部の実施形態において、それらが結合している窒素と一緒になった場合のRおよびRは、環を形成する。一部の実施形態において、RおよびRが形成する環は、5員環である。一部の実施形態において、RおよびRが形成する環は、6員環である。一部の実施形態において、Xは、−CH−である。一部の実施形態において、Xは、−OCH−である。一部の実施形態において、Xは、−CHCH−である。一部の実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されていてもよい。一部の実施形態において、テザーは、アミノ酸、ジアミン、アミノアルコール、およびアミノチオールからなる群から選択される。一部の実施形態において、薬物は、フマギロール類似体である。一部の実施形態において、薬物は、ビンカアルカロイドである。一部の実施形態において、薬物は、非天然カンプトテシンである。一部の実施形態において、非天然カンプトテシンは、SN38である。一部の実施形態において、コンジュゲートは、
【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択され、
式中、kは、1〜30の範囲であり、mは、0〜300の範囲であり、nは、100〜750の範囲であり、ポリアルは、括弧内に示されているランダムに分布した共有結合しているモノマーブロックを含む。
【0018】
別の態様において、式IIIのコンジュゲートが記載され、
【0019】
【化5】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rとビンカアルカロイド誘導体の−NHC(O)−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合、環を形成し、
は、−CHまたは−CHOであり、
は、−OCOCHまたはOHである。
【0020】
別の態様において、式IVのコンジュゲートが記載され、
【0021】
【化6】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rと非天然カンプトテシンの−O−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
は、−H、−Cl、−F、−OH、またはアルキルであるか、あるいは、RおよびRは、一緒になって5または6員環を形成することがあり、
は、−H、−F、−OH、−CH、−CH=N−O−t−ブチル、−CHCHSi(CH、または−Si((CH)−t−ブチルであり、
は、−CH−N(CH、NH、またはNOであり、
は、エチル、N−メチルピペリジン、シクロアルキル、−CHCHNHCH(CH、または−N−4−メチルシクロヘキシルアミンであるか、
あるいは、RおよびRは、一緒になって6員の置換されていてもよい環を形成することがあり、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
ただし、コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、またはPHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPTではない。
【0022】
別の態様において、37℃にてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において測定して、約0.1時間と300時間超の間の薬物放出半減期を有するポリアル−薬物コンジュゲートを同定する方法であって、ジカルボン酸リンカーを選択すること、前記リンカーとのコンジュゲートを得ること(コンジュゲートは、ポリアル、薬物、および前記リンカーを含む)、およびコンジュゲートからの薬物の放出半減期を決定することを含む方法が記載される。
【0023】
別の態様において、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0024】
別の態様において、癌を治療する方法であって、それを必要としている被験体に、癌を治療するのに有効な量でポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩を投与することを含む方法が記載される。
【0025】
一部の実施形態において、癌を治療するのに有用なポリアル−非天然カンプトテシンは、PHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートである。別の実施形態において、癌を治療するのに有用なPHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートは、PHF−SN38コンジュゲートである。
【0026】
一部の実施形態において、癌は、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される。
【0027】
別の態様において、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0028】
別の態様において、癌を治療する方法であって、それを必要としている被験体に、癌を治療するのに有効な量でポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩を投与することを含む方法が記載される。
【0029】
一部の実施形態において、癌を治療するのに有用なポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートは、PHF−ビンカアルカロイドコンジュゲートである。
【0030】
一部の実施形態において、癌は、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、PBS緩衝液におけるPHF−SA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図2】図2は、ヒト血漿におけるPHF−SA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図3】図3は、マウス血漿におけるPHF−SA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図4】図4は、PBS緩衝液におけるPHF−GA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図5】図5は、ヒト血漿におけるPHF−GA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図6】図6は、マウス血漿におけるPHF−GA−Gly−SN38の放出を描いている。
【図7】図7は、PBS緩衝液におけるPHF−SA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図8】図8は、ヒト血漿におけるPHF−SA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図9】図9は、マウス血漿におけるPHF−SA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図10】図10は、PBS緩衝液におけるPHF−GA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図11】図11は、ヒト血漿におけるPHF−GA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図12】図12は、マウス血漿におけるPHF−GA−Ala−SN38の放出を描いている。
【図13】図13は、生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについてのエンドポイントまでの時間中央値の増加率として定義される腫瘍成長遅延率(%TGD)、または生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについての腫瘍体積の平均値もしくは中央値に関して示されているようなPHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートで処置されたHCT116腫瘍細胞の応答性を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
下記の定義は、可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートに関連して使用される。
【0033】
「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖であってよい炭化水素鎖を指す。鎖は、指示された数の炭素原子を含有することができる。例えば、C〜Cは、基が、その中に1から6個まで(境界を含む)の炭素原子を有してもよいことを示す。
【0034】
「アリール」とは、6〜18個の炭素を含有する環式芳香族炭素環系を指す。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、テトラセニル(tetracenyl)、およびフェナトレニルを包含するが、それらに限定されるものではない。アリール基は、置換されていないか、下記の基:H、ハロゲン、CN、OH、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜3フッ素化−アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキル、NO、NH、NHC1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)、NHC3〜6シクロアルキル、N(C3〜6シクロアルキル)、NHC(O)C1〜6アルキル、NHC(O)C3〜6シクロアルキル、NHC(O)NHC1〜6アルキル、NHC(O)NHC3〜6シクロアルキル、SONH、SONHC1〜6アルキル、SONHC3〜6シクロアルキル、SON(C1〜6アルキル)、SON(C3〜6シクロアルキル)、NHSO1〜6アルキル、NHSO3〜6シクロアルキル、CO1〜6アルキル、CO3〜6シクロアルキル、CONHC1〜6アルキル、CONHC3〜6シクロアルキル、CON(C1〜6アルキル)、CON(C3〜6シクロアルキル)OH、OC1〜3アルキル、C1〜3フッ素化−アルキル、OC3〜6シクロアルキル、OC3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキル、SH、SO1〜3アルキル、C3〜6シクロアルキル、またはSO3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキルのうちの1つまたは複数で置換されていてよく、xは、0、1、または2である。
【0035】
「ヘテロアリール」とは、少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜10個の原子の単環式および二環式の芳香族基を指す。ヘテロアリールという用語において使用されるようなヘテロ原子は、酸素、硫黄、および窒素を指す。単環式ヘテロアリールの例は、オキサジニル、チアジニル、ジアジニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、フラニル、フラザニル、オキサゾリル、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、トリアゾリル、およびピリミジニルを包含するが、それらに限定されるものではない。二環式ヘテロアリールの例は、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソキノリニル、インダゾリル、キノリニル、キナゾリニル、プリニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(benzthiazolyl)、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソインドリル、およびインダゾリルを包含するが、それらに限定されるものではない。ヘテロアリール基は、置換されていないか、下記の基:H、ハロゲン、CN、OH、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜3フッ素化−アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキル、NO、NH、NHC1〜6アルキル、N(C1〜6アルキル)、NHC3〜6シクロアルキル、N(C3〜6シクロアルキル)、NHC(O)C1〜6アルキル、NHC(O)C3〜6シクロアルキル、NHC(O)NHC1〜6アルキル、NHC(O)NHC3〜6シクロアルキル、SONH、SONHC1〜6アルキル、SONHC3〜6シクロアルキル、SON(C1〜6アルキル)、SON(C3〜6シクロアルキル)、NHSO1〜6アルキル、NHSO3〜6シクロアルキル、CO1〜6アルキル、CO3〜6シクロアルキル、CONHC1〜6アルキル、CONHC3〜6シクロアルキル、CON(C1〜6アルキル)、CON(C3〜6シクロアルキル)OH、OC1〜3アルキル、C1〜3フッ素化−アルキル、OC3〜6シクロアルキル、OC3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキル、SH、SO1〜3アルキル、C3〜6シクロアルキル、またはSO3〜6シクロアルキル−C1〜3アルキルのうちの1つまたは複数で置換されていてよく、xは、0、1、または2である。
【0036】
「C〜Cアルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素を指す。C〜Cアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0037】
「C〜Cアルコキシ」とは、1〜6個の炭素原子および少なくとも1個の酸素原子を含有する直鎖もしくは分岐鎖の飽和もしくは不飽和の炭化水素を指す。C〜C−アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、およびヘキソキシを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0038】
「シクロアルキル」とは、環式飽和炭化水素を指す。シクロアルキル基の例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびシクロオクタンを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0039】
「ヘテロ環」とは、炭素のうちの少なくとも1つが、N、S、またはOにより置き換えられている環式飽和炭化水素を指す。ヘテロ環の例は、アゼチジン、オキセタン、チエタン、アゾリジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、チアン、ピペラジン、オキサジン、およびジオキサンを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0040】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の原子を指す。
【0041】
「環化イミド」および「環式−イミド」とは、窒素原子に結合している2個のカルボニル基からなるイミド官能基を含有する飽和か不飽和のどちらかの環式もしくはヘテロ環式の化合物を指す。環式−イミドは、他の官能基でさらに置換することができる。環式−イミドの例は、ピペリジル−2,6−ジオン、モルフォリル−3,5−ジオン、およびピロリジル−2,5−ジオンを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書で使用されている場合の「置換されていてもよいCH」という用語は、一方または両方の水素原子が、下記の基:OH、ハロゲン、CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cフッ素化アルキル、NO、NH、NHC〜Cアルキル、N(C〜Cアルキル)、NHC(O)C〜Cアルキル、NHC(O)NHC〜Cアルキル、SONH、SONHC〜Cアルキル、SON(C〜Cアルキル)、NHSO〜Cアルキル、C(O)OC〜Cアルキル、CONHC〜Cアルキル、CON(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキルのうちの1つまたは複数で置換されていてよいか、両方の水素原子が、置換されていてよく、それらが結合している炭素と一緒になった場合の置換された基が、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成し、各々が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、CO〜Cアルキル、CN、OH、シクロアルキル、CONH、アリール、ヘテロアリール、COアリール、またはトリフルオロアセチルで置換されていてもよいことを意味する。
【0043】
「薬学的に許容される塩」という用語は、例えば、酢酸塩、アムソン酸塩(4,4−ジアミノスチルベン−2,2−ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸、ホウ酸塩、臭化物塩、酪酸塩、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、クラブラン酸塩(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マイレン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムケート、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエート、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1−メタン−ビス−2−ヒドロキシ−3−ナフトエート,エンボン酸塩(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩(sulfosaliculate)、スラメート、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド塩、および吉草酸塩などの水溶性および不水溶性の塩を包含する。
【0044】
「PHF」という用語は、[ポリ−(1−ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシ−メチルホルマール)]を意味する。
【0045】
「非天然カンプトテシン」という用語は、天然産物カンプトテシン(CPT)の構造に基づく化合物を意味する。非天然カンプトテシンの非限定的な例は、トポテカン、SN−38、9−アミノカンプトテシン、ルビテカン、ギマテカン、カレニテシン、シラテカン、ルルトテカン、エキサテカン、ジフロモテカン、ベロテカン、およびS39625を包含する。
【0046】
「フマギロール類似体」という用語は、Rodeschiniら、J. Org. Chem.、69巻、357〜373頁、2004年およびLiu、ら、Science 282巻、1324〜1327頁、1998年に記載されているような、タンパク質からNH−末端メチオニンを除去するMetAP−2の能力を阻害する、フマギラミン(fumagillamine)を包含する任意のフマギリンコア構造を意味する。「フマギロール類似体」の非限定的な例は、J. Org. Chem.、69巻、357頁、2004年;J. Org. Chem.、70巻、6870頁、2005年;欧州特許出願0354787;J. Med. Chem.、49巻、5645頁、2006年;Bioorg. Med. Chem.、11巻、5051頁、2003年;Bioorg. Med. Chem.、14巻、91頁、2004年;Tet. Lett.40巻、4797頁、1999年;WO99/61432;U.S.6,603,812;U.S.5,789,405;U.S.5,767,293;U.S.6,566,541;およびU.S.6,207,704に開示されている。
【0047】
「ポリアル」という用語は、主鎖内に位置する各モノマー単位中に少なくとも1個のアセタールまたはケタール酸素原子を有するポリマーを意味する。ポリアルの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,811,510号、第5,863,990号、第5,958,398号および国際出願PCT/US2004/029130中に見いだすことができる。ある種の実施形態において、本明細書に記載されているポリマーコンジュゲートの調製に有用な生体分解性生体適合性ポリマー担体は、天然の多糖、グリコ多糖(glycopolysaccharide)、ならびにポリグリコシド、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエーテル、およびポリエステル起源の合成ポリマー、ならびに、それらの酸化、官能基化、修飾、架橋、およびコンジュゲーションの生成物である。ポリアルのモノマー単位が本明細書において描かれている場合、その中の2個の遊離ヒドロキシルは、誘導体化中に等しく反応性であり、したがって、実際には、どちらか一方のヒドロキシルが、描かれている一方だけでなく誘導体化されることがある。
【0048】
下記の略語は、本明細書において使用され、指示された定義を有する。EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、ACN(アセトニトリル)、CPT(カンプトテシン)、Gly(グリシン)、Ala(アラニン)、DMAP(ジメチルアミノピリジン)、PHF−GA(グルタル酸とコンジュゲートしているポリ(1−ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチル−ホルマール))、PHF−SA(コハク酸とコンジュゲートしているポリ(1−ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチル−ホルマール))、DMF(ジメチルホルムアミド)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、TBDPS(tert−ブチルジフェニルシリル)、TBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム)、FBS(ウシ胎児血清)、PBS(リン酸緩衝生理食塩水(0.05Mリン酸、0.9%生理食塩水))、DCM(ジクロロメタン)、DIPC(ジイソプロピルカルボジイミド)、DI(脱イオン化)、RP(逆相)、SEC(サイズ排除)、r.t.(室温)。
可変速度放出リンカー
予想外に、ポリマー担体を薬物と連結するために利用されるアミドエステル結合は、pH依存性様式で、生理学的条件下で薬物またはプロドラッグを放出することができることが発見された。そのような結合は、エステル結合を介して、例えば、ポリアルなどのポリヒドロキシル化されたポリマー担体のヒドロキシル部分に結合しているジカルボン酸、およびアミド結合を介する二官能性テザーを含有するアミノ基を含む。テザーは、薬物コンジュゲーションの過程でジカルボン酸部分とアミドを形成することができるアミノ基を導入するために、薬物の機能修飾を提供することができる。
【0049】
本開示の一態様において、式Iのコンジュゲートが記載され、
【0050】
【化7】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
リンカーは、カルボニル間に2個以上の原子を含有するジカルボン酸部分であり、
テザーは、二級または三級のアミンを含む二官能性有機部分であり、
は、H、アルキルであるか、テザーの主鎖のCHと一緒に、5または6員環を形成し、
薬物は、テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
式中、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、放出半減期は、約100時間超であり、
式中、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
式中、
放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、化合物は、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール、またはPHF−SA−Gly−イルジンではない。
【0051】
別の態様において、式IIのコンジュゲートが記載され、
【0052】
【化8】

式中、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、CHのうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rと薬物の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、それらが結合している窒素と一緒になった場合のRおよびRは、環を形成し、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
薬物は、テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、放出半減期は、約100時間超であり、
ここで、
リンカーが、カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
ここで、
放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、化合物は、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール、またはPHF−SA−Gly−イルジンではない。
【0053】
一部の実施形態において、ポリアルは、アセタールである。
【0054】
一部の実施形態において、ポリアルは、ケタールである。
【0055】
一部の実施形態において、アセタールは、PHFである。
【0056】
一部の実施形態において、Rは、Hである。
【0057】
一部の実施形態において、Rは、CHである。
【0058】
一部の実施形態において、Rは、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つである)である。
【0059】
一部の実施形態において、Rは、芳香族基である。
【0060】
一部の実施形態において、Rは、ヘテロアリール基である。
【0061】
一部の実施形態において、Rは、脂肪族基である。
【0062】
一部の実施形態において、Rは、脂肪族鎖である。
【0063】
一部の実施形態において、Rは、ヘテロ環式脂肪族環である。
【0064】
一部の実施形態において、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成する。
【0065】
一部の実施形態において、RおよびRが形成する環は、5員環である。
【0066】
一部の実施形態において、RおよびRが形成する環は、6員環である。
【0067】
一部の実施形態において、Xは、−CH−である。
【0068】
一部の実施形態において、Xは、−OCH−である。
【0069】
一部の実施形態において、Xは、−CHCH−である。
【0070】
一部の実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されていてもよい。
【0071】
一部の実施形態において、二官能性テザー−(N−R)−は、アミノ酸、ジアミン、アミノアルコールまたはアミノチオールである。
【0072】
一部の実施形態において、薬物は、フマギロールである。
【0073】
一部の実施形態において、薬物は、ビンカアルカロイドである。
【0074】
一部の実施形態において、薬物は、非天然カンプトテシンである。
【0075】
別の態様において、37℃にてPBS緩衝液において測定されるような約0.1時間と300時間超の間の薬物放出半減期を有するポリアル−薬物コンジュゲートを同定する方法であって、ジカルボン酸リンカーを選択すること、前記リンカーとのコンジュゲートを得ること(コンジュゲートは、ポリアル、薬物、および前記リンカーを含む)、およびコンジュゲートからの薬物の放出半減期を決定することを含む方法が記載される。
【0076】
リンカーおよびテザーの賢明な選択により、薬物を、少なくとも2つの独立した経路、(A)薬物部位における環式イミドの形成に伴うポリアル−エステル結合の切断をもたらすアミドエステル結合の分子内転移か、(B)薬物−アミド酸(amidoacid)誘導体の放出をもたらすポリアルとアミドエステルリンカーの間のエステル結合の加水分解のどちらかを介してポリアル−薬物コンジュゲートから放出することができることが発見された(スキーム1を参照)。
【0077】
【化9】

が、Hであり、Xが、CHである場合、ポリアルからの薬物の切断は、プロセスAを通って進行する。大部分の他の条件下で、結合のエステル部分は、加水分解を受ける。
【0078】
アミドエステル結合の安定性は、pH依存的であり、水溶液のpHの増加は、アミドエステルの分子内転移とポリアル−薬物コンジュゲートのエステル結合加水分解の両方を加速する。ポリアル−薬物コンジュゲートが、生理学的条件、すなわち、37℃にて、0.05Mリン酸pH7.4緩衝生理食塩水、0.9% NaCl(PBS)にて評価される場合、主要な機構(プロセスA(分子内)またはプロセスB(分子間加水分解))およびポリアルからの薬物の放出速度は、ジカルボン酸リンカーおよび薬物に結合しているアミン含有テザーの注意深い選択に基づくアミドエステルの構造的特徴により影響を受けることがある。
【0079】
分子内放出(プロセスA)
ジカルボン酸リンカーのカルボニル基間に2個の原子を有するリンカー(例えば、コハク酸誘導体(SA))について、放出生成物組成および放出速度は、ジカルボン酸リンカーとアミン含有テザーの両方における立体的効果と電子的効果の組合せにより効果的に制御することができる。コハク酸誘導体について、薬物の放出半減期(37℃にて、PBS緩衝液、pH7.4における)は、約0.1時間から100時間超までの間に調整することができる。放出生成物組成は、主に、分子内放出プロセスから生じる環式スクシンイミド薬物誘導体から、分子間放出プロセスから生じるコハク酸アミド薬物誘導体まで変わることがある。これらのプロセスは共に、用いられるアミン含有テザーの選択に依存する。
【0080】
例えば、スクシンイミド誘導体の放出が望ましい場合(すなわち、分子内放出プロセスA)、ポリアル−薬物コンジュゲートの放出半減期は、R基の立体的効果を変えることにより調整することができる。この立体的効果を高めることは、結合のエステル末端のカルボニルに対する窒素の分子内求核攻撃を妨げる。アミン含有テザーが、それぞれグリシン、β−アラニンおよびアラニンであるコンジュゲートV1、V2、およびV3(スキーム2)について、Rにおけるテザーの立体障害の増加(グリシン<β−アラニン<アラニン)は、37℃にてPBS、pH7.4において試験された場合、それぞれ3.4時間から17時間および19時間までの薬物の放出半減期の増加をもたらす。
【0081】
【化10】

放出半減期は、R部分の電子的特性によっても軽減することができる。例えば、Rが、窒素に結合している芳香族環である場合、窒素上の電子密度に影響を与える芳香族環上の置換基は、カルボニルに対する窒素の求核攻撃の速度に影響を及ぼす。
【0082】
分子間放出(プロセスB)
アミドエステル結合のエステル部分が、主要なコンジュゲート薬物放出生成物として標的とされる場合(すなわち、分子間放出機構により)、薬物の放出半減期は、ジカルボン酸の2個のカルボニル間に異なる数の原子を有するリンカー、エステルを形成するカルボニルのα位における電子的影響(例えば、グルタル酸(glutaric acic)(GA)およびオキソグルタル酸(oxaglutaric acid)(OGA))、およびリンカー/テザー組合せ(例えば、コハク酸−テザー誘導体)を用いることにより調整することができる。
【0083】
コハク酸誘導体について、コンジュゲートからの対応するコハク酸アミド誘導体の放出半減期は、アミン含有テザーを変化させることにより軽減することができる。二級アミンテザー(すなわち、窒素が、窒素に直接結合している反応性水素を有していないアミン)の使用は、スクシンイミド形成の可能性(すなわち、分子内放出プロセス)を排除するために使用することができ、Rにおける立体障害は、分子間機構を介する薬物の放出半減期を制御することになる。例えば、コハク酸と一緒のテザーサルコシンは、コンジュゲートV8について81時間の薬物の放出半減期を提供し、一方、サルコシンの代わりに、より障害の大きいテザープロリンを有するコンジュゲートV13は、同じ条件下で(PBS、pH7.4、37℃)、375時間の半減期で薬物を放出する。
【0084】
ジカルボン酸リンカー中のカルボキシル基を連結する炭素またはヘテロ原子鎖内に3個以上の原子を有するリンカーは、主に、分子間機構を介するエステル結合加水分解を介して分解し、薬物−アミド酸誘導体を直接放出する(経路B、スキーム1)。例えば、リンカーグルタル酸を利用するコンジュゲートは、37℃にてPBS pH7.4において100時間超の薬物の放出半減期を示す。これらは、延長放出リンカーとして公知である。
【0085】
ジカルボン酸の2個のカルボニル間に3個以上の原子を有するリンカーの別の例は、オキソグルタル酸(OGA)である。リンカーオキソグルタル酸を利用するコンジュゲートは、分子間プロセスを通じて放出し、10時間未満の薬物の放出半減期を示す(PBS、pH7.4、37℃)。OGAは、高速放出リンカーとして特徴付けられる。説明として、任意の特定の理論に束縛されることを意図することなく、OGA基における酸素原子は、エステルを形成するカルボニルのα位にあり、PHFとOGAの間のエステル結合に対する電子求引効果を有し、したがって、エステル結合が加水分解を受けやすくする。
テザー:
テザーは、二級または三級のアミンを含む、約50ダルトンと約300ダルトンの間の二官能性有機部分である。二官能性有機部分は、二級または三級のアミンに加えて、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、ならびにN、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で置換されているNH−アリール基およびNH−ヘテロアリール基、アリール基を場合により含有するアルキル基を含む直鎖状、分岐状または環式の脂肪族アルキル基である。様々なテザーの非限定的な例は、下に列挙されている。
【0086】
【化11】

【0087】
【化12】

様々な可変速度放出リンカーを用いるポリアル−薬物コンジュゲートの例示的で非限定的な例は、下に列挙されている。
ポリアル−フマギロールコンジュゲート
【0088】
【化13】

ポリアル−ビンカコンジュゲート
式IIIの化合物が記載され、
【0089】
【化14】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rとビンカアルカロイド誘導体の−NHC(O)−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合、環を形成し、
は、−CHまたは−CHOであり、
は、−OCOCHまたはOHである。
【0090】
式IIIの化合物の例示的で非限定的な例は、下に列挙されている。
【0091】
【化15】

ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲート
式IVの化合物が記載され、
【0092】
【化16】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、N−Rと非天然カンプトテシンの−O−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
は、−H、−Cl、−F、−OH、またはアルキルであるか、あるいは、RおよびRは、一緒になって5または6員環を形成することがあり、
は、−H、−F、−OH、−CH、−CH=N−O−t−ブチル、−CHCHSi(CH、または−Si((CH)−t−ブチルであり、
は、−CH−N(CH、NH、またはNOであり、
は、エチル、N−メチルピペリジン、シクロアルキル、−CHCHNHCH(CH、または−N−4−メチルシクロヘキシルアミンであるか、
あるいは、RおよびRは、一緒になって6員の置換されていてもよい環を形成することがあり、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
ただし、化合物は、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、またはPHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPTではない。
【0093】
式IVの化合物および薬学的に許容されるそれらの塩の例示的で非限定的な例は、下に列挙されており、
PHF−SN38コンジュゲート
【0094】
【化17】

式中、kは、1〜30の範囲であり、mは、0〜300の範囲であり、nは、100〜750の範囲であり、ポリアルは、括弧内に示されているランダムに分布した共有結合しているモノマーブロックを含む。
可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートを使用する方法
ポリマーコンジュゲートからの薬物の放出速度は、放出薬物の全体的な有効性に対する効果を有すること、放出薬物の作用持続期間、必要とされる投与の頻度、放出薬物の毒性、放出薬物の生体分布、ならびに放出薬物の全体的な薬物動態学的および薬物動力学的な特性を包含する、放出薬物の特性を変える際に極めて重要な役割を果たすことができる。例えば、ポリマーコンジュゲートからの薬物の遅い継続的な放出は、薬物の遅い継続的な注入を模倣することができる。そのような送達は、例えば、本質的に短い半減期を有し、したがって、ポリマーとのコンジュゲーションの有益性なしには、直接投与される場合に、より高頻度の投与を必要とするであろう薬物放出生成物について有益なことがある。さらに、薬物放出生成物のポリマーコンジュゲートは、薬物放出生成物のCmaxを変えるように設計することができるかもしれない。適切な放出半減期を有するポリマーコンジュゲートを注意深く設計することにより、Cmax値を、薬物放出生成物の治療濃度であることが公知である暴露濃度(exposure level)を維持しながら、望ましい治療濃度域、例えば、公知の薬物について関連毒性を有することが公知である値よりも低いCmax値に収まるように標的とすることができる。
【0095】
別の態様において、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0096】
別の態様において、癌を治療する方法であって、それを必要としている被験体に、癌を治療するのに有効な量でポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩を投与することを含む方法が記載される。
【0097】
一部の実施形態において、癌を治療するのに有用なポリアル−非天然カンプトテシンは、PHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートである。他の実施形態において、癌を治療するのに有用なPHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートは、PHF−SN38コンジュゲートである。
【0098】
一部の実施形態において、癌は、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される。
【0099】
ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの治療的投与
被験体に投与される場合、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩は、生理学的に許容される担体またはビヒクルを含む組成物の構成成分として投与することができる。本明細書に記載されている組成物は、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩および生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合することを含む方法を使用して調製することができる。混合は、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩および生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合するための周知である方法を使用して達成することができる。
【0100】
ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により投与することができ、別の治療剤と一緒に投与することができる。ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの投与は、血流中への非天然カンプトテシンの放出をもたらすことになる。
【0101】
一実施形態において、ポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートの塩は、静脈内に投与される。
【0102】
別の態様において、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩および薬学的に許容される担体を含む組成物が提供される。
【0103】
別の態様において、癌を治療する方法であって、それを必要としている被験体に、癌を治療するのに有効な量でポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩を投与することを含む方法が記載される。
【0104】
一部の実施形態において、癌を治療するのに有用なポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートは、PHF−ビンカアルカロイドコンジュゲートである。
【0105】
一部の実施形態において、癌は、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される。
【0106】
ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの治療的投与
被験体に投与される場合、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩は、生理学的に許容される担体またはビヒクルを含む組成物の構成成分として投与することができる。本明細書に記載されている組成物は、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩および生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合することを含む方法を使用して調製することができる。混合は、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩および生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を混合するための周知である方法を使用して達成することができる。
【0107】
ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射により投与することができ、別の治療剤と一緒に投与することができる。ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの投与は、血流中へのビンカアルカロイドの放出をもたらすはずである。
【0108】
一実施形態において、ポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートの塩は、静脈内に投与される。
【0109】
可変速度放出リンカーを含む様々なポリアル−薬物コンジュゲートを製造する方法
可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートおよびそれらの薬学的に許容される塩は、市販されている化合物、公知の化合物、または公知の方法により調製される化合物から出発して様々な方法を使用して調製することができる。可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートは、市販されている化合物、公知の化合物、または公知の方法により調製される化合物から出発して様々な方法を使用して調製することができる。記載されている化合物のうちの多くへの一般的合成経路は、下記のスキームに包含されている。スキームに示されていない保護および脱保護ステップが、これらの合成に必要とされることがあり、ステップの順序が、標的分子において官能基を提供するために変更されることがあることは当業者により理解される。
【0110】
可変速度放出リンカーを含むポリアル−薬物コンジュゲートを製造するのに有用な方法は、下の実施例に示され、下記のスキームにおいて一般化されている。
【0111】
【化18】

ビンカアルカロイドのC23エステルをヒドラジンと反応させ、続いて、得られる生成物をNaNOで処理すると、活性なアジドエステルが得られる。アジドエステルをエタノールアミンまたはプロパノールアミンなどのアミノテザーと反応させると、官能基化されたヒドロキシルを有するビンカアルカロイド誘導体が得られ、ジカルボン酸を通じたポリアルとのコンジュゲーションのためのアミノ含有テザーでさらに誘導体化することができる(スキーム2を参照)。
【0112】
【化19】

式中、mおよびnは、それぞれ0〜300、および100〜750である。
【0113】
ビンカアルカロイドのヒドロキシル誘導体を、t−ブトキシエステル化されたアミノ酸などの保護されたアミノ含有テザーで処理し、続いて、エステルをTFA加水分解すると、ビンカアルカロイドのトリフレート塩が得られる。ビンカアルカロイドの、ジカルボン酸で前もって誘導体化されたポリアルとのコンジュゲーションを、U.S.2007/019008に報告されているように、溶媒としての水/アセトニトリル中でEDCなどの活性化剤を使用して行う。完了後、ACNが、合計体積の10%未満になるようにDI水を加え、生成物を、ゲル濾過カラム(Sephadex G−25、溶離液としての水)により精製した。
【0114】
【化20】

非天然カンプトテシン誘導体、例えば、SN38の10−ヒドロキシ基を、トリエチルアミンの存在下で誘導体を塩化tert−ブチルジフェニルシリルと反応させることにより選択的に保護する。誘導体のグリシネート(glycinate)を形成するためにt−ブチルカルボニル−グリシンと反応させることによる20−ヒドロキシ基の続くグリシン化(glycination)を、Sapra, P.ら、Clin. Cancer Res.、14巻:1888〜1896頁(2008年)に従って調製する。あるいは、他のアミノ酸、例えば、ポリアルからの放出半減期を遅くするアラニンを用いることができる。一級アミンを、トリフルオロ酢酸による処理によりBoc保護基を除去することにより脱マスクし、続いて、フッ化テトラブチルアンモニウムでTBDPS保護基を除去する(下のスキーム6を参照)。
【0115】
【化21】

式中、k、m、およびnは、それぞれ1〜30、0〜300、および100〜750の整数である。
【0116】
次いで、得られる非天然カンプトテシン−Gly誘導体を、SA、GA、またはOGAなどのジカルボン酸で活性化されたポリアルPHFとカップリングさせ、望ましいポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートPHF−SN38を形成する。
【0117】
PHF−フマギロールコンジュゲート
可変速度放出リンカーを含む様々なポリアル−フマギロールコンジュゲートを製造するための方法は、U.S.S.N.12/276,856中に見いだすことができ、その内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【実施例】
【0118】
(実施例1)
PHF−ビンカコンジュゲート(コンジュゲートV4)
ヒドロキシルプロピルビンデシン−アラニン−BOC
Conradら、J. Med. Chem. 22巻、391頁、(1979年)の方法に従って調製されたヒドロキシルプロピルビンデシン(0.227g、0.280mmol)、Boc−アラニン(0.058g、0.308mmol)およびDMAP(3.42mg、0.028mmol)を、無水DCM(5ml)5mLに溶かし、0℃まで冷却した。次いで、DIPC(0.056ml、0.363mmol)を加え、3時間にわたって0℃にて撹拌した。その後、反応混合物を、濃NaHCO溶液および水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、最終的に濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムに加え、酢酸エチルトリエチルアミングラジエント(A.酢酸エチル、B メタノール中1%トリエチルアミン、−グラジエント:3分にわたって100%A、10分の間に0〜40%B)(コンビフラッシュシステム、40gシリカカラム)で溶離した。
【0119】
ヒドロキシルプロピルビンデシン−アラニン−TFA
ヒドロキシルプロピルビンデシン−アラニン−BOC(0.227g、0.231mmol)を、50/50 DCM/TFA2mLに溶かし、2時間にわたって室温にて撹拌した。その後、ジエチルエーテルを、溶液に加えて生成物を沈殿させた。生成物を、遠心分離により集め、溶媒をデカントした。
【0120】
コンジュゲートV4
PHF−SA(1.600g、6.05mmol)を、DI水20mLおよびACN 4mLに溶かし、0℃まで冷却した。ヒドロキシルプロピルビンデシン−アラニン−TFA(0.21g、0.242mmol)を、ACN 2mLに溶かし、溶液に加えた。pHを、約6に調整し、次いで、EDC(0.116g、0.605mmol)を加えた。溶液を、30分にわたって0℃にて撹拌し、次いで、r.t.まで温めた。反応の進行は、HPLC(SECとRPの両方)によりモニターした。完了後、DI水を、ACNが、合計体積の10%未満になるように加え、生成物を、ゲル濾過カラム(Sephadex G−25、溶離液としての水)により精製した。
【0121】
(実施例2)
インビトロでPHF−薬物コンジュゲートからの薬物放出を決定するための方法
PHF−薬物コンジュゲートからの薬物放出のプロセスの評価は、インビトロで生理学的条件において行った。試験は、典型的には24時間かけて、37℃にてリン酸緩衝生理食塩水(0.05Mリン酸pH7.4、NaCl 0.9%)において行った。コンジュゲートされた薬物の濃度は、高圧サイズ排除クロマトグラフィーによりモニターし、薬物放出生成物(複数可)の濃度は、薬物コンジュゲート、薬物放出生成物、または両方の組合せに特異的な波長における分光光度(specrtophotometric)検出を使用する逆相HPLCによりモニターした。薬物コンジュゲートリンカー分解速度(K、h−1)は、コンジュゲートされた薬物の半対数濃度減衰プロファイルの線形回帰分析により推定した。リンカー安定性は、薬物放出半減期(t1/2、時間、t1/2は、Ln(2)/Kとして算出した)として報告した。
【0122】
表1 様々なPHF−ビンカアルカロイド薬物コンジュゲートの放出半減期
【0123】
【表1−1】

【0124】
【表1−2】

ビンカは、ビンカアルカロイドのC−23位においてカルボン酸を通じてNHと結合しているビンカアルカロイドを表す。
【0125】
表2 様々なPHF−フマギロール類似体コンジュゲートの放出半減期
【0126】
【表2−1】

【0127】
【表2−2】

【0128】
【表2−3】

表3 様々なSN38コンジュゲートの放出半減期
【0129】
【表3】

インビトロでPHF−薬物コンジュゲートからの薬物放出を決定するための方法
血漿インキュベーションは、マウスまたはヒトからの緩衝血漿において行った。血漿を、5:1(v/v、血漿:緩衝液)の比で0.5Mリン酸緩衝液によりpH7.4に緩衝化した。血漿中のPHF−薬物コンジュゲートの混合物を、0.8mg/mlにて調製し、微小遠心バイアル内で50ul試料に等分し、試料を、37℃にて水浴に移した。0、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220および240分の時点で、アリコートを、その時点で取り出し、アセトニトリル200ulで抽出し、RP−HPLC/MS(350μl/分のLC流で、室温にて動作するカラムGemini C18、150×2.0mm、3μm;移動相は、水中0.1%ギ酸(A)、およびアセトニトリル中0.1%ギ酸とし、線形グラジエントは、9.5分の間に10〜50%B、0.5分の間に50〜90%B、1分にわたって90%Bにて保持、10%Bで5分にわたって再平衡化した)により分析した。すべての放出生成物の365nmにおけるUV積算を、MSによる放出生成物の確認後に行った。データは、図2〜3、5〜6、8〜9、および11〜12に、放出生成物の個別のUV面積ピークおよびそれらすべての合計として示されている。
【0130】
緩衝液および血漿における質量分析によるインビトロでの放出生成物の同定
PBS緩衝液における、ならびにヒトおよびマウスの血漿におけるPHF−SN38の放出生成物は、上に記載されているようなインキュベーション培地におけるアセトニトリルによるポリマーの沈殿後にアセトニトリル抽出液における質量分析により同定した。結果は、図1〜12に示されている。
【0131】
(実施例3)
細胞成長に対するポリアル−SN38コンジュゲートおよび類似体の阻害効果
HT−29細胞を使用し、細胞成長に対するポリアル−SN38コンジュゲートの効果を評価した。
【0132】
細胞を、10%FBSを添加した1.5mM L−グルタミンと共にマッコイの5a培地中で成長させる。(指数関数的に成長している)細胞を、24ウェルの培養プレートに接種し(約10000細胞/ウェル)、24時間にわたって培養し、次いで、様々な希釈度にて試験化合物で処理する。成長阻害を、処理の72時間後に評価する(MTTアッセイ)。結果は、表4に示されている。
【0133】
表4
【0134】
【表4】

(実施例4)
PHF−ビンカアルカロイドコンジュゲートに関するヒト肺異種移植片研究
側面で皮下に位置するH460腫瘍細胞を有するHRLN雌性マウスを、PHF−ビンカアルカロイドコンジュゲートで処置する。腫瘍成長を、それぞれパクリタキセルの陽性対照および陰性対照、ならびに生理食塩水と並行してモニターする。処置は、腫瘍が80〜120mgの平均サイズに達した時に始まり、腫瘍体積を、動物が、2グラムのエンドポイント腫瘍サイズまたは45日のいずれか早い方に達するまで、週に2回測定する。コンジュゲートを、様々なスケジュールで(薬物等価体で表される)5〜50mg/kgの投与量レベルで静脈内に生理食塩水中の溶液剤として投与する。処置成果を、生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについてのエンドポイントまでの時間中央値の増加率として定義される腫瘍成長遅延率(%TGD)、または、生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについての腫瘍体積の平均値もしくは中央値に関して評価する。
【0135】
(実施例5)
PHF−非天然カンプトテシンに関するヒト結腸異種移植片研究
側面で皮下に位置するHCT116腫瘍細胞を有するHRLN雌性マウスを、PHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートで処置する。腫瘍成長を、それぞれイリノテカンの陽性対照および陰性対照、ならびに生理食塩水と並行してモニターする。処置は、腫瘍が80〜120mgの平均サイズに達した時に始まり、腫瘍体積を、動物が、1.5グラムのエンドポイント腫瘍サイズまたは100日のいずれか早い方に達するまで、週に2回測定する。コンジュゲートを、週2回(biwk)×5のスケジュールで(薬物等価体で表される)10〜25mg/kgの投与量レベルで静脈内に生理食塩水中の溶液剤として投与する。処置成果を、生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについてのエンドポイントまでの時間中央値の増加率として定義される腫瘍成長遅延率(%TGD)、または、生理食塩水で処置されたものと比較した薬剤で処置されたマウスについての腫瘍体積の平均値もしくは中央値に関して評価する。結果は、図13に示されている。
【0136】
本明細書に記載されている特定の実施形態について例示および記載してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、本開示の範囲内にあるすべてのそのような変更および修正を添付の特許請求の範囲において網羅することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのコンジュゲートであって、
【化22】

式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
リンカーは、前記カルボニル間に2個以上の原子を含有するジカルボン酸部分であり、
テザーは、二級または三級のアミンを含む二官能性有機部分であり、
は、H、アルキルであるか、前記テザーの主鎖のCHと一緒に、5または6員環を形成し、
薬物は、前記テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
ここで、
リンカーが、前記カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、前記カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成する前記カルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、前記放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、前記カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成する前記カルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、前記放出半減期は、約100時間超であり、
リンカーが、前記カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
ここで、
前記放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、式Iの前記コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール、またはPHF−SA−Gly−イルジンではない、コンジュゲート。
【請求項2】
式IIのコンジュゲートであって、
【化23】

式中、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、前記CHのうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、前記N−Rと前記薬物の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
薬物は、前記テザーとの共有結合が可能である約200ダルトンと1000ダルトンの間の分子量を有する任意の有機化合物であり、
ここで、
リンカーが、前記カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素を有さずに窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約10時間から約300時間超までであり、
リンカーが、前記カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を含有する場合、前記放出半減期は、約10時間未満であり、
リンカーが、前記カルボニル間に少なくとも3個の原子を有するジカルボン酸であり、エステルを形成するカルボニルのα位にヘテロ原子を有さない場合、前記放出半減期は、約100時間超であり、
リンカーが、前記カルボニル間に2個の原子を有するジカルボン酸であり、テザーが、反応性水素と共に窒素を含有する場合、薬物の放出半減期は、約0.1時間から約24時間までであり、
ここで、
前記放出半減期は、37℃にて、0.05Mリン酸緩衝液、0.9%生理食塩水、pH7.4において測定され、
ただし、式IIの前記コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPT、PHF−SA−Gly−タキソール、またはPHF−SA−Gly−イルジンではない、コンジュゲート。
【請求項3】
ポリアルが、アセタールである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
ポリアルが、ケタールである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
前記アセタールが、PHFである、請求項3に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
が、Hである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
が、CHである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
が、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つである)である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
が、芳香族基である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
が、脂肪族環である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
が、脂肪族鎖である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
が、ヘテロ環式脂肪族環である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成する、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
およびRが形成する前記環が、5員環である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
およびRが形成する前記環が、6員環である、請求項13に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
Xが、−CH−である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
Xが、−OCH−である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
Xが、−CHCH−である、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
Xが、C〜Cアルキル基で置換されていてもよい、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
テザーが、アミノ酸、ジアミン、アミノアルコールまたはアミノチオールからなる群から選択される、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
薬物が、フマギロールである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
薬物が、ビンカアルカロイドである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
薬物が、非天然カンプトテシンである、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項24】
前記非天然カンプトテシンが、SN38である、請求項23に記載のコンジュゲート。
【請求項25】
【化24】

【化25】

(式中、kは、1〜30の範囲であり、mは、0〜300の範囲であり、nは、100〜750の範囲であり、前記ポリアルは、括弧内に示されているランダムに分布した共有結合しているモノマーブロックを含む)および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される、請求項24に記載のコンジュゲート。
【請求項26】
37℃にてPBS緩衝液中で測定して、約1時間未満と300時間超の間の薬物放出半減期を有するポリアル−薬物コンジュゲートを同定する方法であって、
ジカルボン酸リンカーを選択すること、
前記リンカーとのコンジュゲートであって、ポリアル、薬物、および前記リンカーを含むコンジュゲートを得ること、および
前記コンジュゲートからの薬物の放出半減期を決定すること
を含む方法。
【請求項27】
式IIIのコンジュゲート
【化26】

および薬学的に許容されるそれらの塩であって、
式中、
ポリアルは、シクロデキストランから誘導されるポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、前記N−Rと前記ビンカアルカロイド誘導体の前記−NHC(O)−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合、環を形成し、
は、−CHまたは−CHOであり、
は、−OCOCHまたはOHである、コンジュゲートおよび薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項28】
式IVのコンジュゲート
【化27】

および薬学的に許容されるそれらの塩であって、
式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、前記N−Rと前記非天然カンプトテシンの前記−O−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
は、−H、−Cl、−F、−OH、またはアルキルであるか、あるいは、RおよびRは、一緒になって5または6員環を形成することがあり、
は、−H、−F、−OH、−CH、−CH=N−O−t−ブチル、−CHCHSi(CH、または−Si((CH)−t−ブチルであり、
は、−CH−N(CH、NH、またはNOであり、
は、エチル、N−メチルピペリジン、シクロアルキル、−CHCHNHCH(CH、または−N−4−メチルシクロヘキシルアミンであるか、
あるいは、RおよびRは、一緒になって6員の置換されていてもよい環を形成することがあり、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
ただし、前記コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、またはPHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPTではない、コンジュゲートおよび薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項29】
式IIIのコンジュゲート
【化28】

または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、
式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、前記N−Rと前記ビンカアルカロイド誘導体の前記−NHC(O)−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になった場合、環を形成し、
は、−CHまたは−CHOであり、
は、−OCOCHまたはOHである、医薬組成物。
【請求項30】
癌を治療する方法であって、癌の治療を必要としている被験体に、前記癌を治療するのに有効な量で式IIIのポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法。
【請求項31】
前記式IIIのポリアル−ビンカアルカロイドコンジュゲートが、PHF−ビンカアルカロイドコンジュゲートである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
式IVのコンジュゲート
【化29】

および薬学的に許容されるその塩、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、
式中、
ポリアルは、ポリアセタールまたはポリケタールであり、
Xは、−CH−、−OCH−、または−CHCH−(式中、−CH−のうちの1つまたは複数は、置換されていてもよい)であり、
は、HまたはCHであり、
は、−CH(Y)−C(O)−(式中、Yは、天然のアミノ酸の側鎖のうちの1つ、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル、前記N−Rと前記非天然カンプトテシン誘導体の前記−O−の両方に結合しているアルキル基、またはヘテロ環である)であるか、あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になった場合、環を形成し、
は、−H、−Cl、−F、−OH、またはアルキルであるか、あるいは、RおよびRは、一緒になって5または6員環を形成することがあり、
は、−H、−F、−OH、−CH、−CH=N−O−t−ブチル、−CHCHSi(CH、または−Si((CH)−t−ブチルであり、
は、−CH−N(CH、NH、またはNOであり、
は、エチル、N−メチルピペリジン、シクロアルキル、−CHCHNHCH(CH、または−N−4−メチルシクロヘキシルアミンであるか、
あるいは、RおよびRは、一緒になって6員の置換されていてもよい環を形成することがあり、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
ただし、前記コンジュゲートは、PHF−SA−Gly−CPT、PHF−(メチル)SA−Gly−CPT、PHF−(2,2−ジメチル)SA−Gly−CPT、またはPHF−(2−ノネン−2−イル)SA−Gly−CPTではない、医薬組成物。
【請求項34】
癌を治療する方法であって、癌の治療を必要としている被験体に、前記癌を治療するのに有効な量で式IVのポリアル−非天然カンプトテシンコンジュゲートまたは薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法。
【請求項35】
前記式IVのポリアル−非天然カンプトテシンが、PHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記PHF−非天然カンプトテシンコンジュゲートが、PHF−SN38である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が、肛門、星状細胞腫、白血病、リンパ腫、頭頸部、肝臓、精巣、頸部、肉腫、血管腫、食道、眼、喉頭、口、中皮腫、皮膚、骨髄腫、口腔、直腸、咽喉、膀胱、乳房、子宮、卵巣、前立腺、肺、結腸、膵臓、腎臓、および胃からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2012−528240(P2012−528240A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513256(P2012−513256)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036413
【国際公開番号】WO2010/138719
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511285200)メルサナ セラピューティックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】