可搬型エアレス噴霧器
【解決手段】手持ち式エアレス液体噴霧装置は、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部を備えている。ポンプは液体を直接加圧する。駆動部はポンプに動力を供給する。噴霧オリフィス部はポンプと連通し、未希釈の建築用塗布剤を、約150ミクロン以下に霧化する。ポンプは約2.48MPaに達するオリフィス圧を発生させ、噴霧オリフィス部は約18.7mm2の開口面積を有する。一実施形態において、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部は、手持ち式のハウジング内に一体的に設けられる。一実施形態においてポンプは、少なくとも1つのピストンによって異なる位相で作動する少なくとも2つのポンプ室を備えた往復ピストン式流体ポンプからなる。別の実施形態では、往復ピストン式流体ポンプが、異なる行程容積を有する2つのピストンを備え、これらピストンは、減速ギヤ機構と電動モータとによって駆動される斜板機構で直線的に駆動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬型の液体噴霧装置に関し、特に可搬型の塗布剤噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料噴霧器(ペイントスプレーヤ)は、建築物や家具などの表面の塗装に用いられることがよく知られており、一般に普及している。エアレス塗料噴霧器は、液体の塗料を良好に噴霧することができることから、一般的な噴霧装置の中でも最高品質の仕上げを得ることができる。即ち、エアレス塗料噴霧器は、3000psi(pounds per square inch)(約20.7MPa)以上に液体塗料を加圧した後、小径の成形オリフィスを介し、この塗料を噴出させるものである。
【0003】
但し、典型的なエアレス噴霧装置では、電動モータ、ガソリンエンジンもしくはエアコンプレッサ、並びに大型の据置ポンプユニットなどといった大型の据置式動力ユニットを必要とする。この動力ユニットは、5ガロンのバケツ容器などの据置型の塗料供給源、及びスプレーガンに接続される。従って、このような装置は高品質の仕上げを必要とする広範囲の塗装に好適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エアレス噴霧装置を設置する上で好ましくない、或いは適していないような小さな範囲を塗装する必要が生じることが多々ある。例えば、もともとの塗装領域と調和する仕上がり状態の修復領域や装飾領域が得られるようにするのが好ましい。このような状況に着目し、様々なタイプの手持ち式噴霧装置や手持ち式噴霧ユニットが開発されてきた。例えば、一般的にバズガン(Buzz Gun)或いはカップガン(Cup Gun)と呼ばれているものは、電源コンセントに接続されて電気的に動力が供給される小型の手持ち式装置からなる。このようなユニットは、とりわけ生成される圧力が低圧であると共に、低圧で使用しなければならない噴霧ノズルの質が悪いため、玄人のような仕上がりを得ることはできない。このため、玄人のような仕上がりを得ることが可能な可搬型の手持ち式噴霧装置が必要とされている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みて、手持ち式エアレス液体噴霧装置を提供することを的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の手持ち式エアレス液体噴霧装置は、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部を備えている。ポンプは液体を直接的に加圧する。駆動部はポンプに動力を供給する。噴霧オリフィス部は、ポンプと連通し、未希釈の建築用塗布剤を、Dv(50)値で約70ミクロン以下の粒径に霧化する。ポンプは、噴霧オリフィス部において約2.48MPaまで液体を加圧し、噴霧オリフィス部は約18.7mm2の開口面積を有している。
【0007】
一態様において、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部は、手持ち式のハウジング内に一体的に組み込まれている。また、一態様においてポンプは、少なくとも1つのピストンによって異なる位相で作動する少なくとも2つのポンプ室を備えた往復ピストン式流体ポンプからなる。別の態様では、往復ピストン式流体ポンプが、異なる行程容積を有する2つのピストンを有し、これらピストンは、減速ギヤ機構と電動モータとによって駆動される斜板機構で直線的に駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る可搬型のエアレス液体噴霧装置における主要部分のブロック図である。
【図2】図1のエアレス液体噴霧装置として、手持ち式噴霧器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2の手持ち式噴霧器におけるハウジング、噴霧ノズル組立体、液体容器、ポンプ機構、及び駆動部を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すポンプ機構及び駆動部の分解斜視図である。
【図5】図4に示す駆動部及びポンプ機構と共に用いる斜板機構の斜視図である。
【図6A】前進位置にあるときの図5の斜板機構の断面図である。
【図6B】後退位置にあるときの図5の斜板機構の断面図である。
【図7】組み付け状態にあるポンプ機構及び駆動部の断面図である。
【図8】図3に示す噴霧ノズル組立体におけるバルブの垂直断面図である。
【図9】図8に示す噴霧ノズル組立体におけるバルブの水平断面図である。
【図10】図4に示すポンプ機構に用いる圧力リリーフバルブの断面図である。
【図11】図3の液体容器の第1実施形態を示す断面図である。
【図12A】図3の液体容器の第2実施形態を示す断面図である。
【図12B】図3の液体容器の第2実施形態を示す断面図である。
【図13A】図1のエアレス液体噴霧装置として、二ピストン式ポンプを用いた手持ち式噴霧器の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図13B】図13Aの手持ち式噴霧器における各構成部品の組み付け状態を示す断面図である。
【図14】図1のエアレス液体噴霧装置として、重力送り式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図15】図1のエアレス液体噴霧装置として、駆動部にドリルを用いた手持ち式噴霧器の第4実施形態を示す斜視図である。
【図16】図1のエアレス液体噴霧装置として、腕装着バッグ式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第5実施形態を示す斜視図である。
【図17】図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第6実施形態を示す斜視図である。
【図18】図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第1実施形態を示す斜視図である。
【図19】図1のエアレス液体噴霧装置として、背負い式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第2実施形態を示す斜視図である。
【図20】図1のエアレス液体噴霧装置として、ホッパー装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第3実施形態を示す斜視図である。
【図21】図1のエアレス液体噴霧装置として、蓋部装着式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第1実施形態を示す斜視図である。
【図22】図1のエアレス液体噴霧装置として、潜液式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第2実施形態を示す斜視図である。
【図23】エアアシスト装置を併用した図1のエアレス液体噴霧装置のブロック図である。
【図24】可搬型の手持ち式噴霧器用の収納部とバッテリ充電器とを有したカート装着式エアレス噴霧装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に係る可搬型のエアレス液体噴霧装置10のブロック図である。本実施形態において、エアレス液体噴霧装置10は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20を備えた可搬型のエアレススプレーガンからなる。本発明の様々な実施形態において、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20は、可搬型の噴霧装置としてまとめられている。
【0010】
例えば、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20をそれぞれハウジング12に直接的に取り付けることにより、図2〜図15に関して説明するように、一体的な手持ち式の装置を構成することが可能である。別の実施形態として、図16及び図17に示すように、液体容器16をハウジング12から分離し、ホースで噴霧ノズル組立体14、ポンプ機構18、及び駆動部20と接続することも可能である。更に別の実施形態として、図18〜図22に示すように、噴霧ノズル組立体14をハウジング12から分離し、ホースで液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20と接続することも可能である。
【0011】
いずれの実施形態においても液体噴霧装置10は、噴霧ノズル組立体14を介して霧化するべく、駆動部20からの動力を用い、ポンプ機構18が液体容器16から液体を引き出して加圧するようなエアレス液体噴霧装置として構成される。ポンプ機構18は、様々な実施形態として、ギヤポンプ、ピストンポンプ、プランジャポンプ、ベーンポンプ、転動式ダイヤフラムポンプ、ボールポンプ、回転ローブポンプ、ダイヤフラムポンプ、或いはラックアンドピニオン駆動機構付きのサーボモータを備えている。駆動部20は、様々な実施形態として、電動モータ、空気駆動式モータ、リニアアクチュエータ、或いはガス機関を備えており、これらのいずれかを駆動用カム、斜板、或いはロッカアームの駆動に使用できるようになっている。
【0012】
一実施形態においてポンプ機構18は、駆動部20によって駆動されると、約360psi(psiはpounds per square inchの略であり、約2.48MPa)から約500psi(約3.4MPa)まで、或いはそれ以上の圧力までの噴霧オリフィス圧力、即ち作動圧力を生成する。但し、別の実施形態として、ポンプ機構18は、約1000psi(約6.9MPa)から約3000psi(約20.7MPa)までの圧力を生成することが可能である。約0.005平方インチ(約3.23mm2)から約0.029平方インチ(約18.7mm2)の大きさの開口面積を有する噴霧オリフィスを備えた噴霧ノズル組立体14と組み合わせて用いることにより、エアレス液体噴霧装置10は、塗料、染料、ワニス、及びラッカーなどといった建築用の液体塗布剤を、約150ミクロン以下、或いはDv(50)値で約70ミクロン以下の粒径まで霧化することができる。
【0013】
図2は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18(ハウジング12内に配設)、及び駆動部20(ハウジング12内に配設)を備えてエアレス液体噴霧装置10として構成されたスプレーガン10の斜視図である。このスプレーガン10は、圧力リリーフバルブ22、引き金24、及びバッテリ26も備えている。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、噴霧ノズル部30、及び接続部材32を備える。駆動部20及びポンプ機構18はハウジング12内に収容されており、ハウジング12には、ハンドル部34、容器蓋36、及びバッテリ接続ポート38が一体的に設けられている。
【0014】
液体容器16には、スプレーガン10から噴霧したい液体が収容される。例えば、容器蓋36との接続部を経由して噴霧ノズル組立体14に供給される塗料またはワニスで液体容器16が満たされている。バッテリ接続ポート38にはバッテリ26が差し込まれて接続され、ハウジング12内の駆動部20に電力を供給する。引き金24はバッテリ26及び駆動部20と接続されており、引き金24を引くことによりポンプ機構18に電力が供給されるようになっている。ポンプ機構18は、液体容器16から液体を取り出し、加圧した液体を噴霧ノズル組立体14に供給する。接続部材32は、噴霧ノズル組立体14をポンプ機構18に接続している。保護部材28は接続部材32に結合されており、噴霧ノズル部30から高速で噴出される液体に物が触れないようにしている。噴霧ノズル部30は、保護部材28及び接続部材32に形成されたボア内に挿入されており、ポンプ機構18から加圧された液体が供給される噴霧オリフィスを備えている。噴霧ノズル組立体14は、十分に霧化された液体の流動を形成することにより、高品質の仕上がりを実現する。圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18に接続されており、ポンプ機構18を大気圧に開放する機能を有している。
【0015】
図3は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部12を備えるスプレーガン10の分解斜視図である。スプレーガン10は、圧力リリーフバルブ22、引き金24、バッテリ26、クリップ40、スイッチ42、及び回路基板44も備えている。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、噴霧ノズル部30、接続部材32、及び円筒部材46を備える。また、ポンプ機構18は、吸い込み管48、リターン管路50、及び遮断バルブ52を備える。駆動部20は、電動モータ54、ギヤ機構56、及び連結機構58を備えている。ハウジング12には、ハンドル部34、容器蓋36、及びバッテリ接続ポート38が一体的に設けられている。
【0016】
ポンプ機構18、駆動部20、ギヤ機構56、連結機構58、及び遮断バルブ52は、ハウジング12内に取り付けられており、様々なブラケットで支持されている。例えば、ギヤ機構56及び連結機構58は、締結部材64を用いてポンプ機構18のブラケット62に結合されるブラケット60を備えている。遮断バルブ52はブラケット62に螺合しており、噴霧ノズル部30の接続部材32は遮断バルブ52に螺合している。噴霧ノズル部30、遮断バルブ52、ポンプ機構18、及び駆動部20は、リブ66を介してハウジング12内に支持されている。スプレーガン10の別の実施形態では、ブラケット60を用いずにギヤ機構56及び連結機構58を直接的に支持するリブまたはその他の支持構造がハウジング12に設けられている。
【0017】
スイッチ42がハンドル部34の上方に位置すると共に、回路基板44がハンドル部34の下方に位置することにより、ハウジング12において引き金24が人間工学的に適切な位置に設けられる。スイッチ42は、駆動部20と接続するための端子を有しており、バッテリ26は、回路基板44と接続されるようにして、ハウジング12の接続ポート38により支持されている。回路基板44は、駆動部20への供給電圧を変更してポンプ機構18からの流量を変更すると共に、電流及び電圧を制限するようなプログラムを組み込むことが可能となっている。更に、回路基板44は、大電流が流れる場合に、パルス幅変調(PWM)を用いて駆動部20の出力を低下させるようなプログラムを組み込むことができる。別の実施形態では、温度センサが回路基板44に組み込まれ、バッテリ26の温度など、スプレーガン10における電気システムの温度を監視する。
【0018】
バッテリ26は、リチウムバッテリ、ニッケルバッテリ、リチウムイオンバッテリ、或いはこの他の適切な充電式バッテリで構成することができる。一実施形態として、バッテリ26は直流18Vのバッテリからなるが、これ以外の電圧のバッテリを用いることも可能である。液体容器16は、ハウジング12の容器蓋36に螺合している。吸い込み管48及びリターン管路50は、ポンプ機構18から液体容器16内に延設されている。クリップ40は、スプレーガン10を作業者のベルトに装着できるようにしたり、保管棚などにきちんと保管できるようにしたりするものである。
【0019】
スプレーガン10を使用する際には、噴霧ノズル部30から噴霧しようとする液体で液体容器16を満たす。作業者が引き金24を引くと駆動部20が作動を開始する。駆動部20は、バッテリ26から電力を得て、ギヤ機構56に連結された駆動軸を回転させる。ギヤ機構56は、連結機構58にポンプ機構18を駆動する動作を生じさせる。ポンプ機構18は、吸い込み管48を用い、液体容器16から液体を引き出す。ポンプ機構18によって処理できなかった余剰の液体は、圧力リリーフバルブ22及びリターン管路50を経由して液体容器16に戻される。ポンプ機構18からの加圧液体は、遮断バルブ52に供給される。加圧液体の圧力が限界圧力に達すると、遮断バルブ52が開弁し、加圧液体が噴霧ノズル部30の円筒部材46内に流入可能となる。円筒部材46は、加圧液体がスプレーガン10の噴霧ノズル部30から放出される際に、この加圧液体を霧化する噴霧オリフィスを備えている。円筒部材46は、保護部材28から取り外し可能な着脱式噴霧ノズルチップ、或いは保護部材28内において回動可能に設けられた開閉式噴霧ノズルチップのいずれかを備えていてもよい。
【0020】
図4は、図3に示すポンプ機構18及び駆動部20の分解斜視図である。ポンプ機構18は、ブラケット62、締結部材64、流入バルブ組立体68、流出バルブ組立体70、第1ピストン72、及び第2ピストン74を備える。駆動部20は、駆動軸76、第1ギヤ78、第1ブッシュ80、第2ギヤ82、軸84、第2ブッシュ86、第3ブッシュ88、第3ギヤ90、第4ブッシュ92、及び第4ギヤ94を備える。連結機構58は、コネクティングロッド機構96、ベアリング98、ロッド100、及びスリーブ102を備えている。第1ピストン72は第1ピストンスリーブ104と第1ピストンシール106とを備え、第2ピストン74は第2ピストンスリーブ108と第2ピストンシール110とを備える。流入バルブ組立体68は、第1バルブカートリッジ112、シール114、シール116、第1バルブステム118、及び第1スプリング120を備え、流出バルブ組立体70は、第2バルブカートリッジ122、バルブシート124、第2バルブステム126、及び第2スプリング128を備える。
【0021】
駆動軸76は第1ブッシュ80に挿入されており、駆動部20が作動すると第1ギヤ78が回転するようになっている。本発明の様々な実施形態では、第1ブッシュ80と第1ギヤ78とが1つの部品として一体的に形成されている。第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88は、ブラケット60に形成された受容孔に挿入されており、軸84が第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88に挿入されている。第2ギヤ82は、軸84の第1端部に連結されて第1ギヤ78と噛合しており、第3ギヤ90は、軸84の第2端部に連結されて第4ギヤ94と噛合している。本発明の様々な実施形態では、第2ギヤ82、軸84、第3ギヤ90、及び第4ブッシュ92が1つの部品として一体的に形成されている。
【0022】
スリーブ102はブラケット62の受容孔に挿入され、ロッド100がスリーブ102に挿入されて連結機構58を支持している。ベアリング98は、ロッド100をコネクティングロッド機構96に連結している。コネクティングロッド機構96は第1ピストン72と結合されている。第1ピストン72及び第2ピストン74は、ピストンスリーブ104及びピストンスリーブ108にそれぞれ挿入されており、これらピストンスリーブ104及び108は、ブラケット62のポンプ室内に装着されている。また、第1ピストンシール106と第2ピストンシール110とがそれぞれのポンプ室を封止している。
【0023】
締結部材64は、ブラケット62及びブッシュ130の取付孔に挿入され、ブラケット60に螺合している。第1バルブカートリッジ112は、ブラケット62の受容孔に挿入されている。第1スプリング120が、第1バルブカートリッジ112に向けて第1バルブステム118を付勢する。同様に、第2バルブカートリッジ122がブラケット62の受容孔に挿入され、第2スプリング128が、ブラケット62に向けて第2バルブステム126を付勢する。第1バルブカートリッジ112及び第2バルブカートリッジ122はブラケット62から取り外し可能となっており、第1バルブステム118及び第2バルブステム126を容易に交換できるようになっている。シール114及びシール116は、流入バルブ組立体68から流体が漏出するのを防止し、バルブシート124は、流出バルブ組立体70から流体が漏出するのを防止する。圧力リリーフバルブ22は、第1ピストン72及び第2ピストン74からの流体の流動を横切るように、ブラケット62の受容孔に挿入されている。
【0024】
図5は、図4に示す連結機構58の斜視図である。連結機構58は、ランド132、ベアリング98、コネクティングロッド機構96、及び第4ギヤ94が取り付けられたロッド100を備える。連結機構58は、駆動部20とポンプ機構18との連結を行う。第1ピストン72が、玉継手、或いは凹凸嵌合機構を介してコネクティングロッド機構96に連結されている。連結機構58は、駆動部20からの軸回転を第1ピストン72の前後運動に変換する。図6A及び図6Bに解り易く例示しているように、第4ギヤ94を介したロッド100の回転は、この回転軸に対して傾斜した面を有するランド132を介し、コネクティングロッド機構96の搖動を発生させる。本発明の様々な実施形態において、ロッド100とランド132とは、1つの部材として一体的に形成されている。但し、別の実施形態として、連結機構58は、スコッチヨークなど、回転運動を直線運動に変換するような別の機構を備えるようにしてもよい。
【0025】
図6Aは、コネクティングロッド機構96が前進位置にあるときの、図5に示す連結機構58の断面図である。また、図6Bは、コネクティングロッド機構96が後退位置にあるときの、図5に示す連結機構58の断面図である。連結機構58は、第4ギヤ94、コネクティングロッド機構96、ベアリング98、ロッド100、スリーブ102、ランド132、及びブッシュ134を備えている。このような構成により、連結機構58は斜板機構を構成する。
【0026】
上述したように、図6A及び図6Bは、回転運動を受けてランド132により生成される前後運動を例示している。ロッド100の第1端部は、ポンプ機構18のブラケット62に支持されたスリーブ102によって支持され、ロッド100の第2端部は、ブラケット60に支持されたブッシュ134により、ランド132を介して支持されている。ランド132は、ロッド100の外周に配設され、ブッシュ134のためのブッシュ取付座、第4ギヤ94のためのギヤ取付座、及びコネクティングロッド機構96のための搖動用取付座136を備える。コネクティングロッド機構96は、第1ピストン72の受け口部内に配設されたボール部138を備えている。
【0027】
第4ギヤ94は、ランド132及びロッド100を回転させ、ロッド100はスリーブ102及びブッシュ134内で回転する。搖動用取付座136は、ランド132及びロッド100の回転中心軸から傾斜した中心軸回りに回転する表面を有した円筒状の構造を有している。ランド132が回転すると、搖動用取付座136の中心軸は、円錐状の軌跡を形成しながらロッド100の中心軸を周回する。ベアリング98は、搖動用取付座136の中心軸線に直交する平面に配設されている。従って、ベアリング98は、ロッド100の中心軸に直交する平面に対して波打つ、即ち搖動することになる。
【0028】
コネクティングロッド機構96は、ベアリング98の径方向外側端部に結合されているが、ボール部138によってロッド100の周りにおける回転が規制されている。ボール部138は第1ピストン72に連結されており、第1ピストン72はブラケット62のピストンスリーブ104内に配設されていて回転しない。但し、ボール部138は、ベアリング98が搖動する際に、第1ピストン72の軸線方向への移動が許容されている。従って、搖動用取付座136の回転運動により、ボール部138の直線運動が発生し、ポンプ機構18の駆動が行われる。
【0029】
図7は、駆動部20に組み付けられた状態にあるポンプ機構18の断面図である。駆動部20は、駆動軸76の回転を生じさせるための機構、即ち電動モータを備えている。本実施形態において駆動部20は、バッテリ26またはその他の電源からの電力を入力とするDC(直流)電動モータを備える。別の実施形態において駆動部20は、電源コンセントにプラグを差し込んで電力を受け取るAC(交流)電動モータを備える。他の様々な実施形態として駆動部20は、入力に圧縮空気を得る空気駆動式モータ、リニアアクチュエータ、ガス機関、或いはブラシレスDC電動モータを備えるようにしてもよい。空気駆動式モータ或いはブラシレスDC電動モータは、駆動部20で失う電気エネルギまたは熱エネルギを排除または大幅に削減する本質的に安全な駆動部を提供する。これにより、可燃性または引火性の液体にスプレーガン10を使用したり、可燃性物質、引火性物質、またはその他の危険物質が存在する環境においてスプレーガン10を使用したりすることが可能となる。第1ギヤ78は、駆動軸76に取り付けられると共に、第1ブッシュ80によって所定位置に保持されている。第1ブッシュ80は、止めねじまたはその他の適切な手段により、駆動軸76に固定されている。
【0030】
第1ギヤ78は、軸84に連結された第2ギヤ82と噛合している。軸84は、第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88により、ブラケット62に支持されている。第3ギヤ90は、軸84の縮径部に配設され、第4ブッシュ92により所定位置に保持されている。第4ブッシュ92は、止めねじまたはその他の適切な手段により、軸84に固定されている。第3ギヤ90は、第4ギヤ94と噛合してロッド100を回転させる。ロッド100は、ブラケット62内のスリーブ102及びブラケット60内のブッシュ134によって支持されている。第1ギヤ78、第2ギヤ82、第3ギヤ90、及び第4ギヤ94は、駆動部20によって供給される回転入力を減速してロッド100に伝達する減速ギヤ機構を構成する。
【0031】
使用するポンプ機構及び駆動部の形式に応じ、ポンプ機構18に所望の作動状態を得る上で必要な様々な大きさのギヤ及び減速ギヤ機構を設けることが可能である。例えば、ポンプ機構18は、所望の液体圧力を生成するのに必要な速度で作動させる必要がある。即ち、スプレーガン10を用いて非常に好ましい優れた仕上がりを得るには、約1000psi(約6.9MPa)から3000psi(約20.7MPa)の圧力が有効である。ポンプ機構18の一実施形態として、約8対1の減速ギヤ機構が代表的なDC18Vの電動モータと共に用いられる。ポンプ機構18のもう1つの実施形態では、約4対1の減速ギヤ機構が、直流から交流への変換ブリッジ回路を用いた代表的なDC120Vの電動モータと共に用いられる。
【0032】
図6A及び図6Bについて述べたように、ロッド100の回転がコネクティングロッド機構96のボール部138の直線運動を生成する。ボール部138は、第1ピストン72の受け口部140と機械的に連結されている。従って、コネクティングロッド機構96は前進位置及び後退位置のそれぞれに第1ピストン72を直接的に駆動する。第1ピストン72は、ブラケット62の第1ピストンスリーブ104内で、前進及び後退運動を行う。
【0033】
第1ピストン72が前進位置から後退する際に、液体が流入バルブ組立体68内に取り込まれる。流入バルブ組立体68は、吸い込み管48が接続される管部142を備えている。吸い込み管48は、液体容器16(図3)内の液体中に浸されている。液体は、第1バルブステム118を経由して流入口146を通り、ポンプ室144内に吸入される。第1バルブステム118は、第1スプリング120により第1バルブカートリッジ112に向けて付勢されている。シール116は、第1バルブステム118が閉じているときに、第1バルブカートリッジ112と第1バルブステム118との間を液体が通過しないようにする。また、シール114は、第1バルブカートリッジ112とブラケット62との間を液体が通過しないようにする。第1バルブステム118は、第1ピストン72によって生じる吸引力により、第1バルブカートリッジ112から引き離される。そして、第1ピストン72が前進する際には、ポンプ室144内の液体が、流出口148を経由し、流出バルブ組立体70へ向けて押し出される。
【0034】
ポンプ室144で加圧された液体は、流出バルブ組立体70の第2バルブステム126を経由して圧力室150内に押し出される。第2バルブステム126は、第2スプリング128により、ブラケット62に向けて付勢されている。バルブシート124は、第2バルブステム126が閉じているときに、第2バルブステム126とブラケット62との間を液体が通過しないようにする。第1ピストン72が前進位置に向けて移動する際、第1スプリング120の付勢力と第1ピストン72が生成する圧力とによって流入バルブ組立体68が閉じているので、第2バルブステム126はブラケット62から引き離される。ポンプ室144から流出した加圧液体は、第2バルブカートリッジ122とブラケット62との間の空間からなる圧力室150内及びポンプ室152内に充填される。そして、この加圧液体は第2ピストン74を後退位置へと押しやる。第2バルブカートリッジ122は、圧力室150の体積を減少させて、ポンプ機構18内に蓄積される液体を低減すると共に、ポンプ機構18を通過する液体の速度を増大させ、洗浄効果を高める。
【0035】
ポンプ室144の体積及び第1ピストン72の行程容積は、第2ピストン74の行程容積及びポンプ室152の体積より大きくなっている。一実施形態として第1ピストン72の行程容積は、第2ピストン74の行程容積の2倍となっている。別の実施形態として、第1ピストン72が0.230インチ(約0.58cm)のストロークで0.4375インチ(約1.1cm)の径を有すると共に、第2ピストン74が、0.150インチ(約0.38cm)のストロークで0.3125インチ(約0.79cm)の径を有する。このようにすることで、第1ピストン72の1行程でポンプ室152を満たすと共に、圧力室150が加圧液体で満たされた状態を維持する上で十分な量の液体が得られるようになっている。また、第1ピストン72は、ブラケット62の流出口154から加圧液体を押し出す上で十分な行程容積を有する。単一の大きなピストンによって吸入することで、これより小さな2つのピストンを設けた場合の吸引に勝る優れた吸引能力を得るようにしている。
【0036】
第1ピストン72が後退してポンプ室144内に更なる液体を引き込む際、第2ピストン74はコネクティングロッド機構96によって前進方向に押し出される。第2ピストン74はブラケット62のピストンスリーブ108内にあり、ピストンシール110がポンプ室152からの加圧液体の漏出を防止している。第2ピストン74が前進すると、第2ピストン74が液体をポンプ室152内に押し出す。この液体は、圧力室150内に押し戻され、ブラケット62の流出口154を通過する。第1ピストン72と第2ピストン74とは、互いに異なる位相で作動する。本実施形態において第2ピストン74は、第1ピストン72に対して位相が180度異なっており、第2ピストン74が最も前進した位置にあるとき、第1ピストン72は最も後退した位置にある。異なる位相で作動することにより、第1ピストン72及び第2ピストン74は、協調し、スプレーガン10における振動を低減しながら、加圧液体を圧力室150に連続的に流動させる。
【0037】
一実施形態において、ポンプ機構18は、それぞれのピストンが毎分約2000往復することにより、毎分約4000回の脈動が生じる。圧力室150が蓄圧器として作動することにより、加圧液体が定常的に流出口154に流動し、遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14(図3)への連続的な液体の流動を得ることが可能となる。別の実施形態として、機械的付加手段を圧力室150に連通させることにより、補助蓄圧装置を設けるようにしてもよい。例えば圧力室150を、袋状部材、ダイヤフラム、ホース、或いは蛇腹部材などに連通させ、圧力室150を通って流出口154へと流動する液体に外部から加圧するようにしてもよい。具体的には、例えば図18に示すように、ポンプ機構18を噴霧ノズル組立体14に接続するのにホースを用いることで、蓄圧機能を得るようにしてもよい。
【0038】
別の実施形態として、ポンプ機構18は、単一のピストンが180度異なる位相で2つのシリンダにおける加圧を行うような、二容積室単一ピストン型ポンプを備えていてもよい。別の実施形態として、3つ以上のシリンダにおいて異なる位相で加圧を行うことによって、更にむらのない噴霧を行うようにしてもよい。この場合、例えば三プランジャ式ポンプまたは三ピストン式ポンプを用いてもよい。更に別の実施形態として、ジェロータ(内接ギヤポンプ)、ギヤポンプ、或いは回転ベーンポンプを使用してもよい。
【0039】
図8は、遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14の垂直断面図である。また図9は、図8に示す遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14の水平断面図である。遮断バルブ52は、シリンダ156、キャップ158、ボールチップ160、シール162、ニードル164、スプリング166、シール168、スプリングダンパ170及び172、シール174、シール176、ストッパ178、流路180、並びにフィルタ182を有している。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、接続部材32、及び噴霧ノズル部30を備え、噴霧ノズル部30は、円筒部材46、バルブシート184、及び噴霧オリフィス186を備えている。
【0040】
遮断バルブ52のシリンダ156は、ポンプ機構18のブラケット62にある受け口に螺合している。シール168は、ブラケット62とシリンダ156との間から液体が漏出するのを防止する。スプリングダンパ172、スプリング166及びスプリングダンパ170はニードル164の周囲に配設されており、ニードル164及びスプリング166の周囲にはフィルタ182が配設されている。ストッパ178は、シリンダ156内において同軸状に設けられた軸方向ボア188に挿入されている。ニードル164及びフィルタ182は、シリンダ156内に挿入されており、ニードル164は、シリンダ156内において軸方向ボア188内まで延設されている。シール176は、シリンダ156内において軸方向ボア188内に液体が漏出するのを防止している。フィルタ182は、キャップ158をシリンダ156と接続し、キャップ158に向けて延びる環状の流路180を形成する。キャップ158はシリンダ156の流路180内に挿入されている。シール174は、シリンダ156とキャップ158との間から液体が漏出するのを防止する。シール162は、キャップ158内に挿入され、ニードル164と一体化したボールチップ160を取り囲んでいる。接続部材32は、シリンダ156に螺合し、キャップ158に係合するシール162と、シリンダ156内に位置するニードル164とを保持する。
【0041】
噴霧オリフィス186は、噴霧ノズル部30の円筒部材46に設けられたボア190内に挿入されると共に、段部192に当接している。バルブシート184は、ボア190内に挿入され、噴霧オリフィス186を段部192に保持する。噴霧ノズル部30は、バルブシート184がニードル164と同一直線上に位置するようにして、キャップ158の横向きボア194内に挿入されている。ボールチップ160は、スプリング166によりバルブシート184へ向けて付勢されている。バルブシート184は、ボールチップ160が係合することにより加圧液体が噴霧ノズル部30内に入り込まないように成形された面を有する。保護部材28はキャップ158の周囲に配置される。
【0042】
引き金24の操作などによりポンプ機構18が作動すると、加圧液体が流出口154に供給される。ポンプ機構18から供給された液体は、流出口154を通って遮断バルブ52内に押し出される。この液体は流路180を流動し、フィルタ182を通ってキャップ158に達する。キャップ158では、(図9に示すように)加圧液体がキャップ158とニードル164との間の通路196を通過できるようになっており、加圧液体はシール162とニードル164のランド198との間に至る。ランド198及びニードル164の前部表面に対する液体の圧力は、シリンダ156内においてニードル164を後退させる。2つのスプリングダンパ170及び172は、ポンプ機構18からの加圧液体の脈動によるスプリング166の振動を抑制するものであり、スプリング166がこれらスプリングダンパ170及び172の間で圧縮される。ストッパ178は、ニードル164が動きすぎないようにするものであって、シリンダ156に対するニードル164の衝撃を低減する。
【0043】
一実施形態においてスプリング166は、約1000psi(約6.9MPa)で完全に圧縮され、約500psi(約3.4MPa)で収縮するようになっている。ニードル164が後退位置となると、加圧液体がシール162内及びバルブシート184のボア200内を通過可能となる。ボア200から噴霧オリフィス186に達した加圧液体は、噴霧オリフィス186によって霧化される。一実施形態において噴霧オリフィス186は、約0.029平方インチ(約0.736mm2)の開口面積となるオリフィス径を有することにより、未希釈の(例えば、水を加えて粘性を低下させていない)建築用塗布剤を約150ミクロンの粒径に霧化する。別の実施形態として噴霧オリフィス186は、加圧された建築用塗布剤をDv(50)値で約70ミクロンの粒径に霧化する。
【0044】
本発明の別の実施形態として、遮断バルブ52は、図13Bに示すと共に同図13Bに基づき詳細に後述するように、バルブシート184がシリンダ156内に一体化された組立体で構成してもよい。例えば、ミネソタ州ミネアポリスのグラコミネソタ社(Graco Minnesota Inc.)から入手可能なクリーンショット(Cleanshot(商標))遮断弁のような圧力遮断弁を用いることも可能である。このような圧力遮断弁は、グラコミネソタ社に譲渡されたワインバーガー(Weinberger)らによる米国特許第7,052,087号に開示されている。
【0045】
例えば、シリンダ156に設けられたバルブシート184により、ニードル164は円筒部材46までは達しないようになっている。このため、噴霧オリフィス186とボールチップ160との間の空間は、ボア200が効果的な長さとなるように設けられている。これにより、ポンプ機構18が作動し遮断バルブ52が閉じた後、ボア200内にかなりの量の液体が残ることになる。この液体は、ポンプ機構18が次に作動する際に霧化されないままとなり、好ましくない液体のスピッティングや飛び散りを引き起こす可能性がある。このような噴霧ノズルは従来の構造を有しており、グラコミネソタ社に譲渡されたパイル(Pyle)らによる米国特許第3,955,763号には典型的な形態が開示されている。
【0046】
但し、図8及び図9に示す実施形態では、このような構造に勝る利点がある。バルブシート184及び噴霧オリフィス186は円筒部材46内で一体化されており、噴霧ノズル部30が噴霧ノズル組立体14から取り外されると、これらバルブシート184及び噴霧オリフィス186も取り外すことができる。これにより、従来の構造に比べ、部品点数を低減することができる。即ち、例えば付加的なシール及び固定部材は不要となる。また、円筒部材46に噴霧オリフィス186を一体的に設けることにより、噴霧オリフィス186から霧化されずに吐出される液体の量も低減することができる。即ち、円筒部材46内にバルブシート184を移動すると共に円筒部材46内のバルブシート184に達するようにニードル164を延長することにより、噴霧オリフィス186とボールチップ160との間の空間を短縮することができる。従って、ボア200の体積を減少することができる。
【0047】
図10は、図4のポンプ機構18に用いる圧力リリーフバルブ22の断面図である。圧力リリーフバルブ22は、バルブボディ202、プランジャ204、スプリング206、バルブシート208、ボール210、シール212、及びレバー214を備えている。バルブボディ202は、ブラケット62のボア216内に螺合してボア218と組み合わされる。ボア218は、ブラケット62内に延設され、圧力室150(図7)に連通する。また、バルブボディ202は、バルブボディ202を通り延設されてブラケット62のベント孔222と同一直線上に位置可能な横向きボア220を備えている。ベント孔222には、リターン管路50(図5)が接続されており、リターン管路50は液体容器16(図3)内まで延設されている。このようにして、液体容器16、吸い込み管48、ポンプ機構18、圧力室150、圧力リリーフバルブ22、及びリターン管路50の間に周回路が形成される。
【0048】
プランジャ204は、ステム224がバルブボディ202内を通って延びると共に、フランジ226がバルブボディ202の内側に嵌合するようにしてバルブボディ202内に挿入されている。バルブボディ202とフランジ226との間にはシール228が配設され、横向きボア220から流入する液体がバルブボディ202内に入り込まないようにしている。スプリング206はバルブボディ202内に配設されており、フランジ226を押圧することにより、プランジャ204をバルブシート208に向けて付勢している。ボール210は、プランジャ204とバルブシート208との間に位置して、ボア218と横向きボア220との間の液体の流動を遮断するようになっている。シール212は、ボール210を通過して液体が漏れ出すのを防止する。
【0049】
圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18が過度の加圧状態となるのを防止する。スプリング206のばね定数に応じ、圧力室150内の圧力が所望の圧力閾値に達すると、プランジャ204が移動する。このとき、ボア218は横向きボア220と連通し、圧力室150内の液体がベント孔222内に流入するのを許容する。従って、この液体は液体容器16に戻り、ポンプ機構18によって再利用可能となる。例えば、一実施形態において、遮断バルブ52が1000psi(約6.9MPa)で開弁するように構成される一方、圧力リリーフバルブ22は2500psi(約17.2MPa)で開弁するように構成される。本発明の様々な実施形態において、圧力リリーフバルブ22を用いてポンプ機構18の流量を自動または手動により調整できるように、プランジャ204に調整機構を設け、プランジャ204がバルブシート208から後退する距離を、この調整機構で設定するようにしてもよい。
【0050】
また、圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18のための呼び水機構も備えている。スプレーガン10を初めて使用するにあたり、ポンプ機構18を液体で満たす前に、スプレーガン10内から空気を抜き取って、噴霧ノズル14からの液体のスピッティングや、むらのある噴霧が生じないようにするのが望ましい。そこで、旋回軸230を介してステム224に連結されたレバー214を作業者が押したり引いたりして操作し、バルブシート208に対するボール210の係止を解除できるようになっている。従って、ポンプ機構18を起動した際に、スプレーガン10内の空気は液体容器16から供給される液体によって移動し、ベント孔222を介してスプレーガン10から取り除かれる。そして、レバー214が解放されると、遮断バルブ52は加圧空気ではなく加圧液体の圧力によって開弁することになり、霧化した液体は最初からむらのないものとなる。
【0051】
また、圧力リリーフバルブ22は、使用後にスプレーガン10の圧抜きを行う機能も備えている。例えば、スプレーガン10を操作した後、駆動部20がポンプ機構18の駆動を停止すると、スプレーガン10内には加圧液体が残留する。しかしながら、スプレーガン10を分解して清掃できるようにするためには、スプレーガン10の圧抜きを行うのが好ましい。そこで、レバー214を動かすことにより、圧力リリーフバルブ22を開弁させ、ポンプ機構18内の加圧液体を液体容器16に排出する。
【0052】
図11は、図3の液体容器16の第1実施形態を示す断面図である。通常、液体容器16は、注ぎ口234と成形底部236とを有する円筒状の容器232を備えている。注ぎ口234は、ハウジング12の容器蓋36(図3)と螺合してスプレーガン10に連結される。成形底部236には基底部238が設けられており、この基底部238が容器232に結合されていることにより、容器232が直立状態を維持して静止できるような平坦な底面が形成されるようになっている。
【0053】
吸い込み管48は、ポンプ機構18から液体容器16の内部に延設されている。本実施形態において吸い込み管48は、成形底部236の内側底面近傍となる容器232下部に達する固定管を備えている。吸い込み管48は湾曲し、容器232における成形底部236の平坦底面の中央部分に達している。吸い込み管48は、成形底部236の平坦底面に対向する流入口240と、フィルタ242とを備える。流入口240は、成形底部236の平坦底面のほぼ全域を覆うように設けられている。成形底部236は、容器232内の液体を流入口240へと集める曲面部246を備える。これにより、スプレーガン10が直立状態に置かれた際、吸い込み管48は容器232内にある液体のほとんどを排出することが可能となる。
【0054】
図12A及び図12Bは、図3の液体容器16の第2実施形態を示す断面図である。液体容器16は、注ぎ口250と平坦底部252とを有した円筒状の容器248を備えている。吸い込み管48は容器248の内部に延設されている。本実施形態において吸い込み管48は、上部部材254及び下部部材256からなる2分割管となっている。上部部材254は、容器248の中央部分に達する湾曲部を有し、下部部材256は、上部部材254から斜めに平坦底部252へと延設されている。下部部材256は上部部材254に回転可能に取り付けられており、フィルタ260を有した流入口258が、容器248の円筒状周壁の全周に沿って位置可能となっている。下部部材256は、上部部材254の下端部を覆って嵌合する連結部262を備えている。連結部262と上部部材254との間にはシール264が配設され、液体が吸い込み管48から漏れ出すのを防止している。
【0055】
このような構成により、下部部材256は、図12Aに示すような前方位置まで回動することができ、例えば床など、下方に向けて噴霧を行うことができる。また、下部部材256は、図12Bに示すような後方位置にも回動することができ、例えば天井など、上方に向けて噴霧を行うことができる。下部部材256は様々な方法で回動可能である。液体を容器248内に入れる前などに、作業者が手動で下部部材256を動かしてもよい。別の実施形態として、磁石のノブを容器248の底部に設けて流入口258を移動させるようにしてもよい。
【0056】
図13Aは、図1のエアレス液体噴霧装置10として、手持ち式噴霧器の第2実施形態を示す分解斜視図である。スプレーガン10Bは、図3のスプレーガン10と同様に、ハウジング12B、噴霧ノズル組立体14B、液体容器16B、ポンプ機構18B、駆動部20B、圧力リリーフバルブ22B、バッテリ26B、保護部材28B、噴霧ノズル部30B、遮断バルブ52B、ギヤ機構56B、及び連結機構58Bなどの構成部材を備えている。
【0057】
ポンプ機構18Bは、二ピストン式ポンプ組立体を備え、このポンプ組立体では、それぞれのピストンが液体容器16Bと直接的に連通し、噴霧ノズル組立体14Bに加圧液体を供給する。ポンプ機構18Bは、第1ピストン72Bと第2ピストン74Bとを備え、いずれも同じ行程容積を有している。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、連結機構58Bと直接的に連結されることにより、ハウジング266及び268のピストンシリンダ内で往復動する。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、互いに異なる位相で往復動し、噴霧ノズル組立体14Bによって霧化される液体の振動及び脈動を低減する。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、ハウジング274にそれぞれ配設された流入バルブ270及び272を介し、液体容器16Bから液体を引き出す。ハウジング274は、液体容器16Bの下部280から液体を取り出す流入口276を備える。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、ハウジング286内にそれぞれ配設された流出バルブ282及び284内に液体を押し出す。
【0058】
ハウジング286は、遮断バルブ52Bに連通する流出口288を備えている。遮断バルブ52Bはレバー290に連結されて機械的に駆動されるバルブからなる。レバー290は、シリンダ294内のバルブシートからニードル292を後退させることにより、加圧液体が噴霧ノズル組立体14B内に流入するのを許容する。また、レバー290は、本実施形態において電動モータを備えた駆動部20Bを作動させるためのスイッチ296に電気的に接続されている。
【0059】
駆動部20Bは、ギヤにより減速を行うギヤ機構56Bと、駆動部20Bから入力される回転運動を直線的な往復運動に変換して第1ピストン72B及び第2ピストン74Bを駆動する連結機構58Bとを介し、ポンプ機構18Bに動力を供給する。例えば、ギヤ機構56Bは、遊星ギヤ機構を備え、連結機構58Bは、斜板機構を備えるようにしてもよい。本発明の別の実施形態として、第1ピストン72B及び第2ピストン74Bをそれぞれ別の液体容器に連通させ、スプレーガン10B内で混合するようにしてもよい。
【0060】
図13Bは、図13Aのスプレーガン10Bにおける各構成部品の組み付け状態を示す断面図である。スプレーガン10Bは、噴霧ノズル組立体14B、ポンプ機構18B、遮断バルブ52B、及び連結機構58Bを備える。図13Aに基づき説明したように、連結機構58Bは駆動部20Bからの動力を受け取り、ポンプ機構18Bに動力を供給する。ポンプ機構18Bは、ポンプ機構18Bから噴霧ノズル組立体14Bへの加圧液体の流動を制御する遮断バルブ52Bに接続されている。
【0061】
遮断バルブ52B及び駆動部20Bは、いずれもレバー290を操作することによって作動する。具体的には、レバー290は搖動支点Pを支点とし、ハウジング12Bに対して搖動可能となっている。従って、作業者の手などによってレバー290の下部を引くことにより、ロッド297が引っ張られてニードル292をバルブシート184Bから引き離し、加圧液体が噴霧ノズル組立体14B内に流入可能となる。また、レバー290が引かれてスイッチ296を接続状態とし、スイッチ296と接続されてポンプ機構18Bに動力を供給する駆動部20Bに電力が供給される。このようにして、レバー290の機械的操作により、駆動部20Bの起動と遮断バルブ52Bの作動とが同時に行われる。
【0062】
遮断バルブ52Bは、機械的に駆動されるバルブを備えており、バルブシート184Bが接続部材32B及びキャップ158Bを介してシリンダ294に結合されている。具体的には、接続部材32Bがシリンダ294に螺合し、バルブシート184B及びブッシュ298をキャップ158Bとシリンダ294との間に挟持している。また、噴霧ノズル組立体14Bは、バルブシート184Bとブッシュ298との間に配設されたシール299A、及びブッシュ298とキャップ158Bとの間に配設されたシール299Bを備えている。保護部材28Bは、キャップ158Bに結合されている。保護部材28B及びキャップ158Bは、加圧液体を霧化する噴霧オリフィスを備えた円筒部材を有する噴霧ノズル組立体14Bを受容するためのボア194Bを形成する。従って、円筒部材及び噴霧オリフィスを有する噴霧ノズル組立体14Bは、ボア194Bに対して容易に着脱してオリフィスサイズの変更や噴霧オリフィスの清掃を行うことが可能となっている。
【0063】
このような噴霧ノズル組立体14Bは、使いやすく製造も容易であり、グラコミネソタ社に譲渡されたタム(Tam)らによる米国特許第6,702,198号には、その一例が開示されている。但し、加圧液体は、噴霧ノズル組立体14Bから霧化されて放出される前に、バルブシート184Bから、シール199A、シール199B、及びブッシュ298を経由してボア194B内にある噴霧オリフィスまで流動しなければならず、スピッティングが生じるおそれがある。バルブシート184Bと噴霧オリフィスとの間の領域は、図8及び図9に基づいて説明したように、噴霧ノズル組立体14Bの円筒部材内にバルブシートを組み込むことにより縮小することが可能である。
【0064】
図14は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、重力送り式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第3実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Cは、ハウジング12C、噴霧ノズル組立体14C、液体用カップ16C、ポンプ機構18C、及び駆動部20Cを備える。噴霧ノズル組立体14Cは、ポンプ機構18Cによって加圧された液体を放出する圧力駆動型バルブを備える。ポンプ機構18Cは、駆動部20Cによって動力を供給されることにより、液体用カップ16Cから供給される液体を加圧する。駆動部20Cは、電圧が110Vなどの標準的な電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード300を有した交流電動モータを備える。別の実施形態として、駆動部20Cは、約100V〜240Vの電圧で作動するように構成してもよい。なお、本発明のいずれの実施形態においても、電源コードまたはバッテリなどを用い、直流または交流で作動するように駆動部20Cを構成することが可能である。
【0065】
ポンプ機構18C及び駆動部20Cは、ハウジング12C内に一体的に組み込まれており、噴霧器10Cは可搬型の手持ち式ユニットとなっている。液体用カップ16Cはハウジング12Cの上部に装着されており、重力によって液体がポンプ機構18Cに供給されるようになっている。このため、噴霧器10Cは液体用カップ16Cから液体を取り出すための吸い込み管48を必要とせず、液体は液体用カップ16Cからハウジング12C内にあるポンプ機構18Cの流入口へと直接流出する。
【0066】
図15は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、駆動部にドリルを用いた手持ち式噴霧器の第4実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Dは、ハウジング12D、噴霧ノズル組立体14D、液体用カップ16D、ポンプ機構18D、及び駆動部20Dを備えている。噴霧ノズル組立体14Dは、ポンプ機構18Dによって加圧された液体を放出する圧力駆動型バルブを備える。ポンプ機構18Dは、駆動部20Dから動力を供給されることにより、液体用カップ16Dから供給される液体を加圧する。駆動部20Dは手持ち式のドリルからなる。本実施形態のドリルは、流入口302に圧縮空気が供給される空気圧式ドリルとなっている。なお、別の実施形態として、ドリルを交流または直流の電動ドリルとしてもよい。
【0067】
ポンプ機構18Dは、ドリルのチャックに挿入されてポンプ機構18Dの駆動を行う駆動軸を有する。ポンプ機構18Dはハウジング12D内に一体的に組み込まれ、駆動部20D及び液体用カップ16Dはハウジング12Dに装着される。また、ハウジング12Dは、ドリルの回転速度を変速し、所望の圧力を生成する上でポンプ機構18Dに必要な回転速度とするための減速ギヤ機構を備えている。
【0068】
ポンプ機構18D及び液体用カップ16Dは、ブラケット304を用いてドリルに取り付けられる。ブラケット304は、ドリルが作動した時に、ポンプ機構18Dが駆動部20Dに対して回転するのを防止する回転防止機構を備えている。また、ブラケット304は、液体用カップ16Dを搖動可能にドリルに連結する。液体用カップ16Dは、ブラケット304上で搖動し、液体用カップ16D内の液体が重力によってハウジング12D内に供給される角度を調整できるようになっている。一実施形態では、液体用カップ16Dが約120度の範囲で搖動できるようになっている。これにより、噴霧器10Dは、上方及び下方のいずれに向けての噴霧にも使用可能である。
【0069】
図16は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、腕装着バッグ式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第5実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Eは、ハウジング12E、噴霧ノズル組立体14E、液体容器16E、ポンプ機構18E、及び駆動部20Eを備える。噴霧器10Eは、図14の噴霧器10Cと同様の噴霧器構造を有する。但し、液体容器16Eは、チューブ306を介してハウジング12Eに接続された可撓性バッグからなる。この可撓性バッグは、静脈注射用バッグに類似する封入容器を備え、ストラップ308を用いて、噴霧器10Eを操作する作業者に適切に装着できるようになっている。例えば、ストラップ308は操作者の上腕部または二頭筋部に適切に装着可能である。これにより、作業者は噴霧器10Eを使用する際に重い液体容器16Eを直接手で持ち上げておく必要がなくなり、疲労を軽減することができる。
【0070】
図17は、図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第6実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Fは、ハウジング12F、噴霧ノズル組立体14F、液体容器16F、ポンプ機構18F、及び駆動部20Fを備える。噴霧器10Fは、図14の噴霧器10Cと同様の噴霧器構造を有する。但し、液体容器16Fは、チューブ306を介してハウジング12Fに接続された硬質容器からなる。この容器は、ベルト310を用いて噴霧器10Fの操作者に装着した時に、人間工学的に不具合を生じることのないように形作られた容器となっている。例えば、ベルト310は操作者の胴体部または腰部に適切に取り付けられる。
【0071】
図18は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、腰装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第1実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Gは、ハウジング12G、噴霧ノズル組立体14G、液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gを備える。噴霧ユニット10Gのハウジング12Gは、ベルト312を用い、作業者の腰に装着される。ハウジング12Gは、液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gが載置される台座を有する。噴霧ノズル組立体14Gは、ホース314を介してポンプ機構18Gに接続されている。ホース314は、ポンプ機構18Gによって加圧される液体における脈動及び振動を緩和するアキュムレータとして機能する。
【0072】
噴霧ノズル組立体14Gは、人間工学的に適切な形状に形成された手持ち装置318内の噴霧オリフィスに加圧液体を供給する機械駆動式の噴霧バルブ316を有したエアレススプレーガンからなる。手持ち装置318は、噴霧バルブ316を開弁させる引き金を有している。ポンプ機構18Gは、液体容器16Gに蓄えられた液体を加圧し、加圧した液体をホース314を介して手持ち装置318に供給する。ポンプ機構18Gは、バッテリ319から電力供給を受ける電源コードレスの電動モータを備えた駆動部20Gによって駆動される。駆動部20Gは、ハウジング12Gに設けられたスイッチを投入することにより、連続的に作動可能となっている。
【0073】
このような実施形態において、圧力リリーフバルブまたはバイパス流路が、ポンプ機構18Gと組み合わせて設けられており、作業者が噴霧バルブ316を開弁するまで機能するようになっている。本発明の別の実施形態として、手持ち装置318は、ホース314に沿って設けられたケーブルを介して駆動部20Gを操作するためのスイッチを備えている。
【0074】
噴霧ユニット10Gにおいて重量があって嵩張る部材は手持ち装置318から分離されており、作業中に作業者が噴霧ユニット10Gの全ての構成部材を継続して持ち上ずに済むようになっている。液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gは、ベルト312によって適切に支持されており、噴霧ユニット10Gを操作する際の疲労を軽減することができる。
【0075】
図19は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、背負い式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第2実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Hは、ハウジング12H、噴霧ノズル組立体14H、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hを備える。噴霧ユニット10Hは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、駆動部20Hは、電圧が110Vなどの様々な標準的電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード320を有した交流電動モータを備えている。また、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hは、背負い式の構造のハウジング12Hに一体的に装着されている。ハウジング12Hは、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hを、人間工学的に不具合なく作業者の背中に載せることができるようなストラップ322を備えている。従って、噴霧ユニット10Hは噴霧ユニット10Gと類似するものの、背負い式とすることにより、液体容器16Hの容量を増大させることが可能となる。別の実施形態において駆動部20Hは、バッテリの電力を用い、噴霧ユニット10Hの移動性を増大させている。
【0076】
図20は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、ホッパー装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第3実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Iは、ハウジング12I、噴霧ノズル組立体14I、液体容器16I、ポンプ機構18I、及び駆動部20Iを備える。噴霧ユニット10Iは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、噴霧ユニット10Iの液体容器16Iはホッパーを備えている。このため、作業者は速やか且つ容易に噴霧ユニット10Iを準備することができる。また、複数の作業者が単一の容器を用いて作業を進めることが可能となる。トレー上面において、液体容器16I内の液体に直接的に接することが可能となるため、様々な状況の下での噴霧ユニット10Iの使用範囲を拡大することができる。例えば、噴霧ノズル組立体14Iを使用している際に、液体容器16Iのトレー上面にローラを載せることができるので、複数の容器を用いずに済む。また、ポンプ機構18I及び駆動部20Iへの電力供給がなくなった場合であっても、液体容器16I内の液体を使用することが可能となる。
【0077】
従って、液体容器16Iにより、様々な状況および使用方法において、液体の無駄を減らすと共に、清掃時間を短縮することが可能となる。また、ハウジング12Iから液体容器16Iを分離し、液体容器16Iの洗浄を容易に行うことが可能となる。液体容器16Iは、作業者が手持ち装置318を持って周囲を移動する間も、静止状態を維持するよう構成されている。従って、作業者が液体容器16Iを持ち運ぶ必要はなく、疲労を軽減して生産性を向上させることができる。液体容器16Iにより、大量の液体を蓄えることが可能となり、補充回数を低減することができる。ホース314は、作業者の移動性を拡大するような余分の長さが与えられている。
【0078】
図21は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、蓋部装着式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第1実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Jは、ハウジング12J、噴霧ノズル組立体14J、液体容器16J、ポンプ機構18J、及び駆動部20Jを備える。噴霧ユニット10Jは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、液体容器16Jは、ポンプ機構18J及び駆動部20Jが装着された蓋部326を有するバケツ容器324を備えている。
【0079】
駆動部20Jは、電圧が110Vなどの様々な標準的電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード328を有した交流電動モータを備えている。蓋部326は、標準的な5ガロンのバケツ容器または標準的な1ガロンのバケツ容器に装着されるようになっており、噴霧作業の準備を素早く行えると共に廃棄物を減らすようにしている。作業者は、塗料の入った新しいバケツ容器を開封し、バケツ容器の蓋を本発明の蓋部326に置き換えて作業を開始するだけでよい。ポンプ機構18Jは、バケツ容器324内に完全に沈められており、呼び水操作を行わずに済むようになっている。また、液体容器16J内の液体は、ポンプ機構18J及び駆動部20Jの冷却も行う。
【0080】
図22は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、潜液式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第2実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Kは、ハウジング12K、噴霧ノズル組立体14K、液体容器16K、ポンプ機構18K、及び駆動部20Kを備える。噴霧ユニット10Kは、図21の噴霧ユニット10Jと同様の噴霧ユニット構造を有する。また、ポンプ機構18Kは、図14の噴霧器10Cと同様の手持ち式装置を備え、蓋部330に装着されている。但し、ポンプ機構18Jによるホッパーからの供給に代えて、流入口332がバケツ容器324の内部に連通している。このため、流入口332は、バケツ容器324の底部へと延びる供給チューブに連通している。供給チューブと流入口332との間には、呼び水弁334が介装されている。別の実施形態では、バケツ容器324が加圧されることにより、流入口332への液体の供給が補助されるようになっている。
【0081】
図23は、エアアシスト装置を併用した図1のエアレス液体噴霧装置10のブロック図である。エアレス液体噴霧装置10は、図1に基づき説明したように、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18及び駆動部20を備えた可搬型のエアレススプレーガンからなる。但し、エアレス液体噴霧装置10には、エアアシスト装置336が設けられ、当該エアアシスト装置336が噴霧ノズル組立体14に圧縮空気を供給するようになっている。エアアシスト装置336は、空気供給管338、圧力バルブ340、及びエアノズル342を備える。圧縮空気は、エアアシスト装置336から空気供給管338を介して噴霧ノズル組立体14に供給される。空気供給管338には、噴霧ノズル組立体14への空気の流動を制限する圧力バルブ340が設けられている。
【0082】
一実施形態において、エアアシスト装置336はコンプレッサを備える。例えば、小型で可搬型のバッテリ駆動コンプレッサを用い、噴霧ノズル組立体14に空気を供給してもよい。別の実施形態としてエアアシスト装置336は、二酸化炭素(CO2)、窒素または空気などの気体を圧縮して収容したタンクまたはカートリッジを備える。
【0083】
噴霧ノズル組立体14には、エアアシスト装置336から供給される圧縮空気を、ポンプ機構18から供給される加圧液体と合流させることが可能な通路を内部に有したエアノズル342が設けられている。一実施形態において噴霧ノズル組立体14は、従来から知られているような一般的なエアアシスト式の噴霧ノズルを備えており、内部で圧縮された空気ではなく外部で圧縮された空気が供給される流入口を更に備えている。このようなエアアシスト式の噴霧ノズルは、グラコミネソタ社に譲渡された、チュー(Zhu)らによる米国特許第6,708,900号に開示されている。
【0084】
圧縮空気は、ポンプ機構18によって供給された加圧液体を噴霧ノズル組立体14から押し出すのを補助し、液体が更に霧化されることにより、より優れた液体塗布を行うことが可能となる。噴霧ノズル組立体14には、遮断バルブ52内のニードル164の位置を調整して液体の霧化を調整する機構を設けることが可能である。また、噴霧オリフィス186は、エアアシスト式の噴霧に最適な構造としたり、エアアシスト式の噴霧に最適な別の噴霧オリフィスに置き換えたりすることが可能である。従って、エアアシスト装置336を併用することにより、エアレス液体噴霧装置10の汎用性を高め、噴霧条件に対応して多様な調整が可能となり、広範な種類の液体の使用が可能となる。
【0085】
図24は、可搬型の手持ち式噴霧器356用の収納部352とバッテリ充電器354とを有したカート装着式エアレス噴霧装置350の斜視図である。カート装着式エアレス噴霧装置350は、手押し式のカート360、電動モータ362、ポンプ364、吸い込み管366、ホース368、及び噴霧ノズル370を備えたエアレス噴霧システム358に搭載される。エアレス噴霧システム358は、大規模な業務用または専門職人用に構成された一般的な噴霧システムからなる。
【0086】
エアレス噴霧システム358は、使用時に大量の液体または塗料を塗布できるように設計された高耐久性の電動モータ362及びポンプ364を備える。このような電動モータ及びポンプは、グラコミネソタ社に譲渡された、デビッドソン(Davidson)らによる米国特許第6,752,067号に開示されている。
【0087】
例えば、吸い込み管366は、フック372を用いてカート360から吊り下げられた5ガロンのバケツ容器内の塗料の中に挿入される。電動モータ362は、電源コードを用い、一般的な電源コンセントに接続されてポンプ364に動力を供給するように構成されている。噴霧ノズル370は、ホース368を用いてポンプ364に接続されており、ホース368は、作業者が動き回るのに十分な長さを有している。このように、エアレス噴霧システム358は、カート360により動き回ることが可能であると共に、作業者が噴霧ノズル370を使用している間は静止するように設定可能な可搬型の噴霧システムからなる。従って、エアレス噴霧システム358は大規模な作業に好適であるが、特に小規模な作業など、移動や再設定を伴うものには向いていない。
【0088】
エアレス噴霧システム358には、エアレス噴霧システム358を補助するべくカート装着式エアレス噴霧装置350が設けられることにより、使い勝手がよく素早く使用可能なシステムを作業者に提供する。カート装着式エアレス噴霧装置350は、収納部352を用いてカート360に装着される。収納部352は、ねじ止めなどによってカート360に結合された容器を備える。また、収納部352は、手持ち式噴霧器356を保持するホルスターを備える。
【0089】
一実施形態において収納部352は、手持ち式噴霧器356をしっかりと保持するように形成された成形プラスチック容器と、搖動可能なカバーとを備える。収納部352は、充電式バッテリ374Aだけではなく、手持ち式噴霧器356も収容可能な大きさを有する。また、収納部352は、バッテリ充電器354を取り付ける台座も備えている。
【0090】
バッテリ充電器354は、収納部352の内側に配置するか、収納部352の外側に連結してもよい。バッテリ充電器354は、充電式バッテリ374A及び374Bを充電する充電回路を備える。バッテリ充電器354は、充電式バッテリ374Aを手持ち式噴霧器356で使用している間に充電式バッテリ374Bを接続して充電するためのアダプタ376を備えている。バッテリ充電器354には、電動モータ362に電力を供給する電線との接続を介して電力が供給されるようになっている。従って、バッテリ充電器354は、いつでも充電式バッテリ374A及び374Bをエアレス噴霧システム358に組み付けて使用できるような充電能力を備えている。
【0091】
エアレス噴霧システム358及び手持ち式噴霧器356は、高品質の仕上がりが得られるエアレス噴霧システムを提供する。エアレス噴霧システム358は、液体または塗料の大量塗布に使用される。手持ち式噴霧器356は、例えば電源コードまたはホース368の制限によってエアレス噴霧システム358が行くことのできない場所や空間において、作業者が容易に使用することができる。手持ち式噴霧器356は、これまでに説明した可搬型のエアレス噴霧器の実施形態のいずれかからなる。これにより、手持ち式噴霧器356は、エアレス噴霧システム358によって得られるエアレス噴霧の仕上がりと同程度の品質のエアレス噴霧の仕上がりを提供する。従って、作業者は、噴霧の品質に著しい違いを生じることなく、単一の作業において、エアレス噴霧システム358と手持ち式噴霧器356とを切り換えて使用することが可能となる。
【0092】
本発明は、様々な実施形態において、建築用塗布剤の噴霧の仕上がりを高品質で得ることが可能である。例えば、噴霧された飛沫の少なくとも50%が目標とする霧化状態に合致するというDv(50)値の評価によって、本発明は下記表1に示すような霧化特性を達成する。
【0093】
【表1】
【0094】
従って、本発明のエアレス液体噴霧装置は、可搬型の手持ち式構造において、アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriters Laboratories、登録商標)の規格UL1450に適合する約360psi(約2.48MPa)以上のオリフィス圧力を実現する。
【0095】
具体的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行ったり、各要素の均等物を代用したりしてもよいことは、当業者に明らかである。また、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示を特定の状況や物質に適合させるべく、様々な変更を行うことが可能である。従って、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内における全ての形態を含むものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬型の液体噴霧装置に関し、特に可搬型の塗布剤噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料噴霧器(ペイントスプレーヤ)は、建築物や家具などの表面の塗装に用いられることがよく知られており、一般に普及している。エアレス塗料噴霧器は、液体の塗料を良好に噴霧することができることから、一般的な噴霧装置の中でも最高品質の仕上げを得ることができる。即ち、エアレス塗料噴霧器は、3000psi(pounds per square inch)(約20.7MPa)以上に液体塗料を加圧した後、小径の成形オリフィスを介し、この塗料を噴出させるものである。
【0003】
但し、典型的なエアレス噴霧装置では、電動モータ、ガソリンエンジンもしくはエアコンプレッサ、並びに大型の据置ポンプユニットなどといった大型の据置式動力ユニットを必要とする。この動力ユニットは、5ガロンのバケツ容器などの据置型の塗料供給源、及びスプレーガンに接続される。従って、このような装置は高品質の仕上げを必要とする広範囲の塗装に好適である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エアレス噴霧装置を設置する上で好ましくない、或いは適していないような小さな範囲を塗装する必要が生じることが多々ある。例えば、もともとの塗装領域と調和する仕上がり状態の修復領域や装飾領域が得られるようにするのが好ましい。このような状況に着目し、様々なタイプの手持ち式噴霧装置や手持ち式噴霧ユニットが開発されてきた。例えば、一般的にバズガン(Buzz Gun)或いはカップガン(Cup Gun)と呼ばれているものは、電源コンセントに接続されて電気的に動力が供給される小型の手持ち式装置からなる。このようなユニットは、とりわけ生成される圧力が低圧であると共に、低圧で使用しなければならない噴霧ノズルの質が悪いため、玄人のような仕上がりを得ることはできない。このため、玄人のような仕上がりを得ることが可能な可搬型の手持ち式噴霧装置が必要とされている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みて、手持ち式エアレス液体噴霧装置を提供することを的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の手持ち式エアレス液体噴霧装置は、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部を備えている。ポンプは液体を直接的に加圧する。駆動部はポンプに動力を供給する。噴霧オリフィス部は、ポンプと連通し、未希釈の建築用塗布剤を、Dv(50)値で約70ミクロン以下の粒径に霧化する。ポンプは、噴霧オリフィス部において約2.48MPaまで液体を加圧し、噴霧オリフィス部は約18.7mm2の開口面積を有している。
【0007】
一態様において、ポンプ、駆動部、及び噴霧オリフィス部は、手持ち式のハウジング内に一体的に組み込まれている。また、一態様においてポンプは、少なくとも1つのピストンによって異なる位相で作動する少なくとも2つのポンプ室を備えた往復ピストン式流体ポンプからなる。別の態様では、往復ピストン式流体ポンプが、異なる行程容積を有する2つのピストンを有し、これらピストンは、減速ギヤ機構と電動モータとによって駆動される斜板機構で直線的に駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る可搬型のエアレス液体噴霧装置における主要部分のブロック図である。
【図2】図1のエアレス液体噴霧装置として、手持ち式噴霧器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2の手持ち式噴霧器におけるハウジング、噴霧ノズル組立体、液体容器、ポンプ機構、及び駆動部を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すポンプ機構及び駆動部の分解斜視図である。
【図5】図4に示す駆動部及びポンプ機構と共に用いる斜板機構の斜視図である。
【図6A】前進位置にあるときの図5の斜板機構の断面図である。
【図6B】後退位置にあるときの図5の斜板機構の断面図である。
【図7】組み付け状態にあるポンプ機構及び駆動部の断面図である。
【図8】図3に示す噴霧ノズル組立体におけるバルブの垂直断面図である。
【図9】図8に示す噴霧ノズル組立体におけるバルブの水平断面図である。
【図10】図4に示すポンプ機構に用いる圧力リリーフバルブの断面図である。
【図11】図3の液体容器の第1実施形態を示す断面図である。
【図12A】図3の液体容器の第2実施形態を示す断面図である。
【図12B】図3の液体容器の第2実施形態を示す断面図である。
【図13A】図1のエアレス液体噴霧装置として、二ピストン式ポンプを用いた手持ち式噴霧器の第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図13B】図13Aの手持ち式噴霧器における各構成部品の組み付け状態を示す断面図である。
【図14】図1のエアレス液体噴霧装置として、重力送り式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図15】図1のエアレス液体噴霧装置として、駆動部にドリルを用いた手持ち式噴霧器の第4実施形態を示す斜視図である。
【図16】図1のエアレス液体噴霧装置として、腕装着バッグ式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第5実施形態を示す斜視図である。
【図17】図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第6実施形態を示す斜視図である。
【図18】図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第1実施形態を示す斜視図である。
【図19】図1のエアレス液体噴霧装置として、背負い式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第2実施形態を示す斜視図である。
【図20】図1のエアレス液体噴霧装置として、ホッパー装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式エアレススプレーガンの第3実施形態を示す斜視図である。
【図21】図1のエアレス液体噴霧装置として、蓋部装着式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第1実施形態を示す斜視図である。
【図22】図1のエアレス液体噴霧装置として、潜液式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第2実施形態を示す斜視図である。
【図23】エアアシスト装置を併用した図1のエアレス液体噴霧装置のブロック図である。
【図24】可搬型の手持ち式噴霧器用の収納部とバッテリ充電器とを有したカート装着式エアレス噴霧装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明に係る可搬型のエアレス液体噴霧装置10のブロック図である。本実施形態において、エアレス液体噴霧装置10は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20を備えた可搬型のエアレススプレーガンからなる。本発明の様々な実施形態において、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20は、可搬型の噴霧装置としてまとめられている。
【0010】
例えば、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20をそれぞれハウジング12に直接的に取り付けることにより、図2〜図15に関して説明するように、一体的な手持ち式の装置を構成することが可能である。別の実施形態として、図16及び図17に示すように、液体容器16をハウジング12から分離し、ホースで噴霧ノズル組立体14、ポンプ機構18、及び駆動部20と接続することも可能である。更に別の実施形態として、図18〜図22に示すように、噴霧ノズル組立体14をハウジング12から分離し、ホースで液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部20と接続することも可能である。
【0011】
いずれの実施形態においても液体噴霧装置10は、噴霧ノズル組立体14を介して霧化するべく、駆動部20からの動力を用い、ポンプ機構18が液体容器16から液体を引き出して加圧するようなエアレス液体噴霧装置として構成される。ポンプ機構18は、様々な実施形態として、ギヤポンプ、ピストンポンプ、プランジャポンプ、ベーンポンプ、転動式ダイヤフラムポンプ、ボールポンプ、回転ローブポンプ、ダイヤフラムポンプ、或いはラックアンドピニオン駆動機構付きのサーボモータを備えている。駆動部20は、様々な実施形態として、電動モータ、空気駆動式モータ、リニアアクチュエータ、或いはガス機関を備えており、これらのいずれかを駆動用カム、斜板、或いはロッカアームの駆動に使用できるようになっている。
【0012】
一実施形態においてポンプ機構18は、駆動部20によって駆動されると、約360psi(psiはpounds per square inchの略であり、約2.48MPa)から約500psi(約3.4MPa)まで、或いはそれ以上の圧力までの噴霧オリフィス圧力、即ち作動圧力を生成する。但し、別の実施形態として、ポンプ機構18は、約1000psi(約6.9MPa)から約3000psi(約20.7MPa)までの圧力を生成することが可能である。約0.005平方インチ(約3.23mm2)から約0.029平方インチ(約18.7mm2)の大きさの開口面積を有する噴霧オリフィスを備えた噴霧ノズル組立体14と組み合わせて用いることにより、エアレス液体噴霧装置10は、塗料、染料、ワニス、及びラッカーなどといった建築用の液体塗布剤を、約150ミクロン以下、或いはDv(50)値で約70ミクロン以下の粒径まで霧化することができる。
【0013】
図2は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18(ハウジング12内に配設)、及び駆動部20(ハウジング12内に配設)を備えてエアレス液体噴霧装置10として構成されたスプレーガン10の斜視図である。このスプレーガン10は、圧力リリーフバルブ22、引き金24、及びバッテリ26も備えている。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、噴霧ノズル部30、及び接続部材32を備える。駆動部20及びポンプ機構18はハウジング12内に収容されており、ハウジング12には、ハンドル部34、容器蓋36、及びバッテリ接続ポート38が一体的に設けられている。
【0014】
液体容器16には、スプレーガン10から噴霧したい液体が収容される。例えば、容器蓋36との接続部を経由して噴霧ノズル組立体14に供給される塗料またはワニスで液体容器16が満たされている。バッテリ接続ポート38にはバッテリ26が差し込まれて接続され、ハウジング12内の駆動部20に電力を供給する。引き金24はバッテリ26及び駆動部20と接続されており、引き金24を引くことによりポンプ機構18に電力が供給されるようになっている。ポンプ機構18は、液体容器16から液体を取り出し、加圧した液体を噴霧ノズル組立体14に供給する。接続部材32は、噴霧ノズル組立体14をポンプ機構18に接続している。保護部材28は接続部材32に結合されており、噴霧ノズル部30から高速で噴出される液体に物が触れないようにしている。噴霧ノズル部30は、保護部材28及び接続部材32に形成されたボア内に挿入されており、ポンプ機構18から加圧された液体が供給される噴霧オリフィスを備えている。噴霧ノズル組立体14は、十分に霧化された液体の流動を形成することにより、高品質の仕上がりを実現する。圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18に接続されており、ポンプ機構18を大気圧に開放する機能を有している。
【0015】
図3は、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18、及び駆動部12を備えるスプレーガン10の分解斜視図である。スプレーガン10は、圧力リリーフバルブ22、引き金24、バッテリ26、クリップ40、スイッチ42、及び回路基板44も備えている。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、噴霧ノズル部30、接続部材32、及び円筒部材46を備える。また、ポンプ機構18は、吸い込み管48、リターン管路50、及び遮断バルブ52を備える。駆動部20は、電動モータ54、ギヤ機構56、及び連結機構58を備えている。ハウジング12には、ハンドル部34、容器蓋36、及びバッテリ接続ポート38が一体的に設けられている。
【0016】
ポンプ機構18、駆動部20、ギヤ機構56、連結機構58、及び遮断バルブ52は、ハウジング12内に取り付けられており、様々なブラケットで支持されている。例えば、ギヤ機構56及び連結機構58は、締結部材64を用いてポンプ機構18のブラケット62に結合されるブラケット60を備えている。遮断バルブ52はブラケット62に螺合しており、噴霧ノズル部30の接続部材32は遮断バルブ52に螺合している。噴霧ノズル部30、遮断バルブ52、ポンプ機構18、及び駆動部20は、リブ66を介してハウジング12内に支持されている。スプレーガン10の別の実施形態では、ブラケット60を用いずにギヤ機構56及び連結機構58を直接的に支持するリブまたはその他の支持構造がハウジング12に設けられている。
【0017】
スイッチ42がハンドル部34の上方に位置すると共に、回路基板44がハンドル部34の下方に位置することにより、ハウジング12において引き金24が人間工学的に適切な位置に設けられる。スイッチ42は、駆動部20と接続するための端子を有しており、バッテリ26は、回路基板44と接続されるようにして、ハウジング12の接続ポート38により支持されている。回路基板44は、駆動部20への供給電圧を変更してポンプ機構18からの流量を変更すると共に、電流及び電圧を制限するようなプログラムを組み込むことが可能となっている。更に、回路基板44は、大電流が流れる場合に、パルス幅変調(PWM)を用いて駆動部20の出力を低下させるようなプログラムを組み込むことができる。別の実施形態では、温度センサが回路基板44に組み込まれ、バッテリ26の温度など、スプレーガン10における電気システムの温度を監視する。
【0018】
バッテリ26は、リチウムバッテリ、ニッケルバッテリ、リチウムイオンバッテリ、或いはこの他の適切な充電式バッテリで構成することができる。一実施形態として、バッテリ26は直流18Vのバッテリからなるが、これ以外の電圧のバッテリを用いることも可能である。液体容器16は、ハウジング12の容器蓋36に螺合している。吸い込み管48及びリターン管路50は、ポンプ機構18から液体容器16内に延設されている。クリップ40は、スプレーガン10を作業者のベルトに装着できるようにしたり、保管棚などにきちんと保管できるようにしたりするものである。
【0019】
スプレーガン10を使用する際には、噴霧ノズル部30から噴霧しようとする液体で液体容器16を満たす。作業者が引き金24を引くと駆動部20が作動を開始する。駆動部20は、バッテリ26から電力を得て、ギヤ機構56に連結された駆動軸を回転させる。ギヤ機構56は、連結機構58にポンプ機構18を駆動する動作を生じさせる。ポンプ機構18は、吸い込み管48を用い、液体容器16から液体を引き出す。ポンプ機構18によって処理できなかった余剰の液体は、圧力リリーフバルブ22及びリターン管路50を経由して液体容器16に戻される。ポンプ機構18からの加圧液体は、遮断バルブ52に供給される。加圧液体の圧力が限界圧力に達すると、遮断バルブ52が開弁し、加圧液体が噴霧ノズル部30の円筒部材46内に流入可能となる。円筒部材46は、加圧液体がスプレーガン10の噴霧ノズル部30から放出される際に、この加圧液体を霧化する噴霧オリフィスを備えている。円筒部材46は、保護部材28から取り外し可能な着脱式噴霧ノズルチップ、或いは保護部材28内において回動可能に設けられた開閉式噴霧ノズルチップのいずれかを備えていてもよい。
【0020】
図4は、図3に示すポンプ機構18及び駆動部20の分解斜視図である。ポンプ機構18は、ブラケット62、締結部材64、流入バルブ組立体68、流出バルブ組立体70、第1ピストン72、及び第2ピストン74を備える。駆動部20は、駆動軸76、第1ギヤ78、第1ブッシュ80、第2ギヤ82、軸84、第2ブッシュ86、第3ブッシュ88、第3ギヤ90、第4ブッシュ92、及び第4ギヤ94を備える。連結機構58は、コネクティングロッド機構96、ベアリング98、ロッド100、及びスリーブ102を備えている。第1ピストン72は第1ピストンスリーブ104と第1ピストンシール106とを備え、第2ピストン74は第2ピストンスリーブ108と第2ピストンシール110とを備える。流入バルブ組立体68は、第1バルブカートリッジ112、シール114、シール116、第1バルブステム118、及び第1スプリング120を備え、流出バルブ組立体70は、第2バルブカートリッジ122、バルブシート124、第2バルブステム126、及び第2スプリング128を備える。
【0021】
駆動軸76は第1ブッシュ80に挿入されており、駆動部20が作動すると第1ギヤ78が回転するようになっている。本発明の様々な実施形態では、第1ブッシュ80と第1ギヤ78とが1つの部品として一体的に形成されている。第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88は、ブラケット60に形成された受容孔に挿入されており、軸84が第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88に挿入されている。第2ギヤ82は、軸84の第1端部に連結されて第1ギヤ78と噛合しており、第3ギヤ90は、軸84の第2端部に連結されて第4ギヤ94と噛合している。本発明の様々な実施形態では、第2ギヤ82、軸84、第3ギヤ90、及び第4ブッシュ92が1つの部品として一体的に形成されている。
【0022】
スリーブ102はブラケット62の受容孔に挿入され、ロッド100がスリーブ102に挿入されて連結機構58を支持している。ベアリング98は、ロッド100をコネクティングロッド機構96に連結している。コネクティングロッド機構96は第1ピストン72と結合されている。第1ピストン72及び第2ピストン74は、ピストンスリーブ104及びピストンスリーブ108にそれぞれ挿入されており、これらピストンスリーブ104及び108は、ブラケット62のポンプ室内に装着されている。また、第1ピストンシール106と第2ピストンシール110とがそれぞれのポンプ室を封止している。
【0023】
締結部材64は、ブラケット62及びブッシュ130の取付孔に挿入され、ブラケット60に螺合している。第1バルブカートリッジ112は、ブラケット62の受容孔に挿入されている。第1スプリング120が、第1バルブカートリッジ112に向けて第1バルブステム118を付勢する。同様に、第2バルブカートリッジ122がブラケット62の受容孔に挿入され、第2スプリング128が、ブラケット62に向けて第2バルブステム126を付勢する。第1バルブカートリッジ112及び第2バルブカートリッジ122はブラケット62から取り外し可能となっており、第1バルブステム118及び第2バルブステム126を容易に交換できるようになっている。シール114及びシール116は、流入バルブ組立体68から流体が漏出するのを防止し、バルブシート124は、流出バルブ組立体70から流体が漏出するのを防止する。圧力リリーフバルブ22は、第1ピストン72及び第2ピストン74からの流体の流動を横切るように、ブラケット62の受容孔に挿入されている。
【0024】
図5は、図4に示す連結機構58の斜視図である。連結機構58は、ランド132、ベアリング98、コネクティングロッド機構96、及び第4ギヤ94が取り付けられたロッド100を備える。連結機構58は、駆動部20とポンプ機構18との連結を行う。第1ピストン72が、玉継手、或いは凹凸嵌合機構を介してコネクティングロッド機構96に連結されている。連結機構58は、駆動部20からの軸回転を第1ピストン72の前後運動に変換する。図6A及び図6Bに解り易く例示しているように、第4ギヤ94を介したロッド100の回転は、この回転軸に対して傾斜した面を有するランド132を介し、コネクティングロッド機構96の搖動を発生させる。本発明の様々な実施形態において、ロッド100とランド132とは、1つの部材として一体的に形成されている。但し、別の実施形態として、連結機構58は、スコッチヨークなど、回転運動を直線運動に変換するような別の機構を備えるようにしてもよい。
【0025】
図6Aは、コネクティングロッド機構96が前進位置にあるときの、図5に示す連結機構58の断面図である。また、図6Bは、コネクティングロッド機構96が後退位置にあるときの、図5に示す連結機構58の断面図である。連結機構58は、第4ギヤ94、コネクティングロッド機構96、ベアリング98、ロッド100、スリーブ102、ランド132、及びブッシュ134を備えている。このような構成により、連結機構58は斜板機構を構成する。
【0026】
上述したように、図6A及び図6Bは、回転運動を受けてランド132により生成される前後運動を例示している。ロッド100の第1端部は、ポンプ機構18のブラケット62に支持されたスリーブ102によって支持され、ロッド100の第2端部は、ブラケット60に支持されたブッシュ134により、ランド132を介して支持されている。ランド132は、ロッド100の外周に配設され、ブッシュ134のためのブッシュ取付座、第4ギヤ94のためのギヤ取付座、及びコネクティングロッド機構96のための搖動用取付座136を備える。コネクティングロッド機構96は、第1ピストン72の受け口部内に配設されたボール部138を備えている。
【0027】
第4ギヤ94は、ランド132及びロッド100を回転させ、ロッド100はスリーブ102及びブッシュ134内で回転する。搖動用取付座136は、ランド132及びロッド100の回転中心軸から傾斜した中心軸回りに回転する表面を有した円筒状の構造を有している。ランド132が回転すると、搖動用取付座136の中心軸は、円錐状の軌跡を形成しながらロッド100の中心軸を周回する。ベアリング98は、搖動用取付座136の中心軸線に直交する平面に配設されている。従って、ベアリング98は、ロッド100の中心軸に直交する平面に対して波打つ、即ち搖動することになる。
【0028】
コネクティングロッド機構96は、ベアリング98の径方向外側端部に結合されているが、ボール部138によってロッド100の周りにおける回転が規制されている。ボール部138は第1ピストン72に連結されており、第1ピストン72はブラケット62のピストンスリーブ104内に配設されていて回転しない。但し、ボール部138は、ベアリング98が搖動する際に、第1ピストン72の軸線方向への移動が許容されている。従って、搖動用取付座136の回転運動により、ボール部138の直線運動が発生し、ポンプ機構18の駆動が行われる。
【0029】
図7は、駆動部20に組み付けられた状態にあるポンプ機構18の断面図である。駆動部20は、駆動軸76の回転を生じさせるための機構、即ち電動モータを備えている。本実施形態において駆動部20は、バッテリ26またはその他の電源からの電力を入力とするDC(直流)電動モータを備える。別の実施形態において駆動部20は、電源コンセントにプラグを差し込んで電力を受け取るAC(交流)電動モータを備える。他の様々な実施形態として駆動部20は、入力に圧縮空気を得る空気駆動式モータ、リニアアクチュエータ、ガス機関、或いはブラシレスDC電動モータを備えるようにしてもよい。空気駆動式モータ或いはブラシレスDC電動モータは、駆動部20で失う電気エネルギまたは熱エネルギを排除または大幅に削減する本質的に安全な駆動部を提供する。これにより、可燃性または引火性の液体にスプレーガン10を使用したり、可燃性物質、引火性物質、またはその他の危険物質が存在する環境においてスプレーガン10を使用したりすることが可能となる。第1ギヤ78は、駆動軸76に取り付けられると共に、第1ブッシュ80によって所定位置に保持されている。第1ブッシュ80は、止めねじまたはその他の適切な手段により、駆動軸76に固定されている。
【0030】
第1ギヤ78は、軸84に連結された第2ギヤ82と噛合している。軸84は、第2ブッシュ86及び第3ブッシュ88により、ブラケット62に支持されている。第3ギヤ90は、軸84の縮径部に配設され、第4ブッシュ92により所定位置に保持されている。第4ブッシュ92は、止めねじまたはその他の適切な手段により、軸84に固定されている。第3ギヤ90は、第4ギヤ94と噛合してロッド100を回転させる。ロッド100は、ブラケット62内のスリーブ102及びブラケット60内のブッシュ134によって支持されている。第1ギヤ78、第2ギヤ82、第3ギヤ90、及び第4ギヤ94は、駆動部20によって供給される回転入力を減速してロッド100に伝達する減速ギヤ機構を構成する。
【0031】
使用するポンプ機構及び駆動部の形式に応じ、ポンプ機構18に所望の作動状態を得る上で必要な様々な大きさのギヤ及び減速ギヤ機構を設けることが可能である。例えば、ポンプ機構18は、所望の液体圧力を生成するのに必要な速度で作動させる必要がある。即ち、スプレーガン10を用いて非常に好ましい優れた仕上がりを得るには、約1000psi(約6.9MPa)から3000psi(約20.7MPa)の圧力が有効である。ポンプ機構18の一実施形態として、約8対1の減速ギヤ機構が代表的なDC18Vの電動モータと共に用いられる。ポンプ機構18のもう1つの実施形態では、約4対1の減速ギヤ機構が、直流から交流への変換ブリッジ回路を用いた代表的なDC120Vの電動モータと共に用いられる。
【0032】
図6A及び図6Bについて述べたように、ロッド100の回転がコネクティングロッド機構96のボール部138の直線運動を生成する。ボール部138は、第1ピストン72の受け口部140と機械的に連結されている。従って、コネクティングロッド機構96は前進位置及び後退位置のそれぞれに第1ピストン72を直接的に駆動する。第1ピストン72は、ブラケット62の第1ピストンスリーブ104内で、前進及び後退運動を行う。
【0033】
第1ピストン72が前進位置から後退する際に、液体が流入バルブ組立体68内に取り込まれる。流入バルブ組立体68は、吸い込み管48が接続される管部142を備えている。吸い込み管48は、液体容器16(図3)内の液体中に浸されている。液体は、第1バルブステム118を経由して流入口146を通り、ポンプ室144内に吸入される。第1バルブステム118は、第1スプリング120により第1バルブカートリッジ112に向けて付勢されている。シール116は、第1バルブステム118が閉じているときに、第1バルブカートリッジ112と第1バルブステム118との間を液体が通過しないようにする。また、シール114は、第1バルブカートリッジ112とブラケット62との間を液体が通過しないようにする。第1バルブステム118は、第1ピストン72によって生じる吸引力により、第1バルブカートリッジ112から引き離される。そして、第1ピストン72が前進する際には、ポンプ室144内の液体が、流出口148を経由し、流出バルブ組立体70へ向けて押し出される。
【0034】
ポンプ室144で加圧された液体は、流出バルブ組立体70の第2バルブステム126を経由して圧力室150内に押し出される。第2バルブステム126は、第2スプリング128により、ブラケット62に向けて付勢されている。バルブシート124は、第2バルブステム126が閉じているときに、第2バルブステム126とブラケット62との間を液体が通過しないようにする。第1ピストン72が前進位置に向けて移動する際、第1スプリング120の付勢力と第1ピストン72が生成する圧力とによって流入バルブ組立体68が閉じているので、第2バルブステム126はブラケット62から引き離される。ポンプ室144から流出した加圧液体は、第2バルブカートリッジ122とブラケット62との間の空間からなる圧力室150内及びポンプ室152内に充填される。そして、この加圧液体は第2ピストン74を後退位置へと押しやる。第2バルブカートリッジ122は、圧力室150の体積を減少させて、ポンプ機構18内に蓄積される液体を低減すると共に、ポンプ機構18を通過する液体の速度を増大させ、洗浄効果を高める。
【0035】
ポンプ室144の体積及び第1ピストン72の行程容積は、第2ピストン74の行程容積及びポンプ室152の体積より大きくなっている。一実施形態として第1ピストン72の行程容積は、第2ピストン74の行程容積の2倍となっている。別の実施形態として、第1ピストン72が0.230インチ(約0.58cm)のストロークで0.4375インチ(約1.1cm)の径を有すると共に、第2ピストン74が、0.150インチ(約0.38cm)のストロークで0.3125インチ(約0.79cm)の径を有する。このようにすることで、第1ピストン72の1行程でポンプ室152を満たすと共に、圧力室150が加圧液体で満たされた状態を維持する上で十分な量の液体が得られるようになっている。また、第1ピストン72は、ブラケット62の流出口154から加圧液体を押し出す上で十分な行程容積を有する。単一の大きなピストンによって吸入することで、これより小さな2つのピストンを設けた場合の吸引に勝る優れた吸引能力を得るようにしている。
【0036】
第1ピストン72が後退してポンプ室144内に更なる液体を引き込む際、第2ピストン74はコネクティングロッド機構96によって前進方向に押し出される。第2ピストン74はブラケット62のピストンスリーブ108内にあり、ピストンシール110がポンプ室152からの加圧液体の漏出を防止している。第2ピストン74が前進すると、第2ピストン74が液体をポンプ室152内に押し出す。この液体は、圧力室150内に押し戻され、ブラケット62の流出口154を通過する。第1ピストン72と第2ピストン74とは、互いに異なる位相で作動する。本実施形態において第2ピストン74は、第1ピストン72に対して位相が180度異なっており、第2ピストン74が最も前進した位置にあるとき、第1ピストン72は最も後退した位置にある。異なる位相で作動することにより、第1ピストン72及び第2ピストン74は、協調し、スプレーガン10における振動を低減しながら、加圧液体を圧力室150に連続的に流動させる。
【0037】
一実施形態において、ポンプ機構18は、それぞれのピストンが毎分約2000往復することにより、毎分約4000回の脈動が生じる。圧力室150が蓄圧器として作動することにより、加圧液体が定常的に流出口154に流動し、遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14(図3)への連続的な液体の流動を得ることが可能となる。別の実施形態として、機械的付加手段を圧力室150に連通させることにより、補助蓄圧装置を設けるようにしてもよい。例えば圧力室150を、袋状部材、ダイヤフラム、ホース、或いは蛇腹部材などに連通させ、圧力室150を通って流出口154へと流動する液体に外部から加圧するようにしてもよい。具体的には、例えば図18に示すように、ポンプ機構18を噴霧ノズル組立体14に接続するのにホースを用いることで、蓄圧機能を得るようにしてもよい。
【0038】
別の実施形態として、ポンプ機構18は、単一のピストンが180度異なる位相で2つのシリンダにおける加圧を行うような、二容積室単一ピストン型ポンプを備えていてもよい。別の実施形態として、3つ以上のシリンダにおいて異なる位相で加圧を行うことによって、更にむらのない噴霧を行うようにしてもよい。この場合、例えば三プランジャ式ポンプまたは三ピストン式ポンプを用いてもよい。更に別の実施形態として、ジェロータ(内接ギヤポンプ)、ギヤポンプ、或いは回転ベーンポンプを使用してもよい。
【0039】
図8は、遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14の垂直断面図である。また図9は、図8に示す遮断バルブ52及び噴霧ノズル組立体14の水平断面図である。遮断バルブ52は、シリンダ156、キャップ158、ボールチップ160、シール162、ニードル164、スプリング166、シール168、スプリングダンパ170及び172、シール174、シール176、ストッパ178、流路180、並びにフィルタ182を有している。噴霧ノズル組立体14は、保護部材28、接続部材32、及び噴霧ノズル部30を備え、噴霧ノズル部30は、円筒部材46、バルブシート184、及び噴霧オリフィス186を備えている。
【0040】
遮断バルブ52のシリンダ156は、ポンプ機構18のブラケット62にある受け口に螺合している。シール168は、ブラケット62とシリンダ156との間から液体が漏出するのを防止する。スプリングダンパ172、スプリング166及びスプリングダンパ170はニードル164の周囲に配設されており、ニードル164及びスプリング166の周囲にはフィルタ182が配設されている。ストッパ178は、シリンダ156内において同軸状に設けられた軸方向ボア188に挿入されている。ニードル164及びフィルタ182は、シリンダ156内に挿入されており、ニードル164は、シリンダ156内において軸方向ボア188内まで延設されている。シール176は、シリンダ156内において軸方向ボア188内に液体が漏出するのを防止している。フィルタ182は、キャップ158をシリンダ156と接続し、キャップ158に向けて延びる環状の流路180を形成する。キャップ158はシリンダ156の流路180内に挿入されている。シール174は、シリンダ156とキャップ158との間から液体が漏出するのを防止する。シール162は、キャップ158内に挿入され、ニードル164と一体化したボールチップ160を取り囲んでいる。接続部材32は、シリンダ156に螺合し、キャップ158に係合するシール162と、シリンダ156内に位置するニードル164とを保持する。
【0041】
噴霧オリフィス186は、噴霧ノズル部30の円筒部材46に設けられたボア190内に挿入されると共に、段部192に当接している。バルブシート184は、ボア190内に挿入され、噴霧オリフィス186を段部192に保持する。噴霧ノズル部30は、バルブシート184がニードル164と同一直線上に位置するようにして、キャップ158の横向きボア194内に挿入されている。ボールチップ160は、スプリング166によりバルブシート184へ向けて付勢されている。バルブシート184は、ボールチップ160が係合することにより加圧液体が噴霧ノズル部30内に入り込まないように成形された面を有する。保護部材28はキャップ158の周囲に配置される。
【0042】
引き金24の操作などによりポンプ機構18が作動すると、加圧液体が流出口154に供給される。ポンプ機構18から供給された液体は、流出口154を通って遮断バルブ52内に押し出される。この液体は流路180を流動し、フィルタ182を通ってキャップ158に達する。キャップ158では、(図9に示すように)加圧液体がキャップ158とニードル164との間の通路196を通過できるようになっており、加圧液体はシール162とニードル164のランド198との間に至る。ランド198及びニードル164の前部表面に対する液体の圧力は、シリンダ156内においてニードル164を後退させる。2つのスプリングダンパ170及び172は、ポンプ機構18からの加圧液体の脈動によるスプリング166の振動を抑制するものであり、スプリング166がこれらスプリングダンパ170及び172の間で圧縮される。ストッパ178は、ニードル164が動きすぎないようにするものであって、シリンダ156に対するニードル164の衝撃を低減する。
【0043】
一実施形態においてスプリング166は、約1000psi(約6.9MPa)で完全に圧縮され、約500psi(約3.4MPa)で収縮するようになっている。ニードル164が後退位置となると、加圧液体がシール162内及びバルブシート184のボア200内を通過可能となる。ボア200から噴霧オリフィス186に達した加圧液体は、噴霧オリフィス186によって霧化される。一実施形態において噴霧オリフィス186は、約0.029平方インチ(約0.736mm2)の開口面積となるオリフィス径を有することにより、未希釈の(例えば、水を加えて粘性を低下させていない)建築用塗布剤を約150ミクロンの粒径に霧化する。別の実施形態として噴霧オリフィス186は、加圧された建築用塗布剤をDv(50)値で約70ミクロンの粒径に霧化する。
【0044】
本発明の別の実施形態として、遮断バルブ52は、図13Bに示すと共に同図13Bに基づき詳細に後述するように、バルブシート184がシリンダ156内に一体化された組立体で構成してもよい。例えば、ミネソタ州ミネアポリスのグラコミネソタ社(Graco Minnesota Inc.)から入手可能なクリーンショット(Cleanshot(商標))遮断弁のような圧力遮断弁を用いることも可能である。このような圧力遮断弁は、グラコミネソタ社に譲渡されたワインバーガー(Weinberger)らによる米国特許第7,052,087号に開示されている。
【0045】
例えば、シリンダ156に設けられたバルブシート184により、ニードル164は円筒部材46までは達しないようになっている。このため、噴霧オリフィス186とボールチップ160との間の空間は、ボア200が効果的な長さとなるように設けられている。これにより、ポンプ機構18が作動し遮断バルブ52が閉じた後、ボア200内にかなりの量の液体が残ることになる。この液体は、ポンプ機構18が次に作動する際に霧化されないままとなり、好ましくない液体のスピッティングや飛び散りを引き起こす可能性がある。このような噴霧ノズルは従来の構造を有しており、グラコミネソタ社に譲渡されたパイル(Pyle)らによる米国特許第3,955,763号には典型的な形態が開示されている。
【0046】
但し、図8及び図9に示す実施形態では、このような構造に勝る利点がある。バルブシート184及び噴霧オリフィス186は円筒部材46内で一体化されており、噴霧ノズル部30が噴霧ノズル組立体14から取り外されると、これらバルブシート184及び噴霧オリフィス186も取り外すことができる。これにより、従来の構造に比べ、部品点数を低減することができる。即ち、例えば付加的なシール及び固定部材は不要となる。また、円筒部材46に噴霧オリフィス186を一体的に設けることにより、噴霧オリフィス186から霧化されずに吐出される液体の量も低減することができる。即ち、円筒部材46内にバルブシート184を移動すると共に円筒部材46内のバルブシート184に達するようにニードル164を延長することにより、噴霧オリフィス186とボールチップ160との間の空間を短縮することができる。従って、ボア200の体積を減少することができる。
【0047】
図10は、図4のポンプ機構18に用いる圧力リリーフバルブ22の断面図である。圧力リリーフバルブ22は、バルブボディ202、プランジャ204、スプリング206、バルブシート208、ボール210、シール212、及びレバー214を備えている。バルブボディ202は、ブラケット62のボア216内に螺合してボア218と組み合わされる。ボア218は、ブラケット62内に延設され、圧力室150(図7)に連通する。また、バルブボディ202は、バルブボディ202を通り延設されてブラケット62のベント孔222と同一直線上に位置可能な横向きボア220を備えている。ベント孔222には、リターン管路50(図5)が接続されており、リターン管路50は液体容器16(図3)内まで延設されている。このようにして、液体容器16、吸い込み管48、ポンプ機構18、圧力室150、圧力リリーフバルブ22、及びリターン管路50の間に周回路が形成される。
【0048】
プランジャ204は、ステム224がバルブボディ202内を通って延びると共に、フランジ226がバルブボディ202の内側に嵌合するようにしてバルブボディ202内に挿入されている。バルブボディ202とフランジ226との間にはシール228が配設され、横向きボア220から流入する液体がバルブボディ202内に入り込まないようにしている。スプリング206はバルブボディ202内に配設されており、フランジ226を押圧することにより、プランジャ204をバルブシート208に向けて付勢している。ボール210は、プランジャ204とバルブシート208との間に位置して、ボア218と横向きボア220との間の液体の流動を遮断するようになっている。シール212は、ボール210を通過して液体が漏れ出すのを防止する。
【0049】
圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18が過度の加圧状態となるのを防止する。スプリング206のばね定数に応じ、圧力室150内の圧力が所望の圧力閾値に達すると、プランジャ204が移動する。このとき、ボア218は横向きボア220と連通し、圧力室150内の液体がベント孔222内に流入するのを許容する。従って、この液体は液体容器16に戻り、ポンプ機構18によって再利用可能となる。例えば、一実施形態において、遮断バルブ52が1000psi(約6.9MPa)で開弁するように構成される一方、圧力リリーフバルブ22は2500psi(約17.2MPa)で開弁するように構成される。本発明の様々な実施形態において、圧力リリーフバルブ22を用いてポンプ機構18の流量を自動または手動により調整できるように、プランジャ204に調整機構を設け、プランジャ204がバルブシート208から後退する距離を、この調整機構で設定するようにしてもよい。
【0050】
また、圧力リリーフバルブ22は、ポンプ機構18のための呼び水機構も備えている。スプレーガン10を初めて使用するにあたり、ポンプ機構18を液体で満たす前に、スプレーガン10内から空気を抜き取って、噴霧ノズル14からの液体のスピッティングや、むらのある噴霧が生じないようにするのが望ましい。そこで、旋回軸230を介してステム224に連結されたレバー214を作業者が押したり引いたりして操作し、バルブシート208に対するボール210の係止を解除できるようになっている。従って、ポンプ機構18を起動した際に、スプレーガン10内の空気は液体容器16から供給される液体によって移動し、ベント孔222を介してスプレーガン10から取り除かれる。そして、レバー214が解放されると、遮断バルブ52は加圧空気ではなく加圧液体の圧力によって開弁することになり、霧化した液体は最初からむらのないものとなる。
【0051】
また、圧力リリーフバルブ22は、使用後にスプレーガン10の圧抜きを行う機能も備えている。例えば、スプレーガン10を操作した後、駆動部20がポンプ機構18の駆動を停止すると、スプレーガン10内には加圧液体が残留する。しかしながら、スプレーガン10を分解して清掃できるようにするためには、スプレーガン10の圧抜きを行うのが好ましい。そこで、レバー214を動かすことにより、圧力リリーフバルブ22を開弁させ、ポンプ機構18内の加圧液体を液体容器16に排出する。
【0052】
図11は、図3の液体容器16の第1実施形態を示す断面図である。通常、液体容器16は、注ぎ口234と成形底部236とを有する円筒状の容器232を備えている。注ぎ口234は、ハウジング12の容器蓋36(図3)と螺合してスプレーガン10に連結される。成形底部236には基底部238が設けられており、この基底部238が容器232に結合されていることにより、容器232が直立状態を維持して静止できるような平坦な底面が形成されるようになっている。
【0053】
吸い込み管48は、ポンプ機構18から液体容器16の内部に延設されている。本実施形態において吸い込み管48は、成形底部236の内側底面近傍となる容器232下部に達する固定管を備えている。吸い込み管48は湾曲し、容器232における成形底部236の平坦底面の中央部分に達している。吸い込み管48は、成形底部236の平坦底面に対向する流入口240と、フィルタ242とを備える。流入口240は、成形底部236の平坦底面のほぼ全域を覆うように設けられている。成形底部236は、容器232内の液体を流入口240へと集める曲面部246を備える。これにより、スプレーガン10が直立状態に置かれた際、吸い込み管48は容器232内にある液体のほとんどを排出することが可能となる。
【0054】
図12A及び図12Bは、図3の液体容器16の第2実施形態を示す断面図である。液体容器16は、注ぎ口250と平坦底部252とを有した円筒状の容器248を備えている。吸い込み管48は容器248の内部に延設されている。本実施形態において吸い込み管48は、上部部材254及び下部部材256からなる2分割管となっている。上部部材254は、容器248の中央部分に達する湾曲部を有し、下部部材256は、上部部材254から斜めに平坦底部252へと延設されている。下部部材256は上部部材254に回転可能に取り付けられており、フィルタ260を有した流入口258が、容器248の円筒状周壁の全周に沿って位置可能となっている。下部部材256は、上部部材254の下端部を覆って嵌合する連結部262を備えている。連結部262と上部部材254との間にはシール264が配設され、液体が吸い込み管48から漏れ出すのを防止している。
【0055】
このような構成により、下部部材256は、図12Aに示すような前方位置まで回動することができ、例えば床など、下方に向けて噴霧を行うことができる。また、下部部材256は、図12Bに示すような後方位置にも回動することができ、例えば天井など、上方に向けて噴霧を行うことができる。下部部材256は様々な方法で回動可能である。液体を容器248内に入れる前などに、作業者が手動で下部部材256を動かしてもよい。別の実施形態として、磁石のノブを容器248の底部に設けて流入口258を移動させるようにしてもよい。
【0056】
図13Aは、図1のエアレス液体噴霧装置10として、手持ち式噴霧器の第2実施形態を示す分解斜視図である。スプレーガン10Bは、図3のスプレーガン10と同様に、ハウジング12B、噴霧ノズル組立体14B、液体容器16B、ポンプ機構18B、駆動部20B、圧力リリーフバルブ22B、バッテリ26B、保護部材28B、噴霧ノズル部30B、遮断バルブ52B、ギヤ機構56B、及び連結機構58Bなどの構成部材を備えている。
【0057】
ポンプ機構18Bは、二ピストン式ポンプ組立体を備え、このポンプ組立体では、それぞれのピストンが液体容器16Bと直接的に連通し、噴霧ノズル組立体14Bに加圧液体を供給する。ポンプ機構18Bは、第1ピストン72Bと第2ピストン74Bとを備え、いずれも同じ行程容積を有している。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、連結機構58Bと直接的に連結されることにより、ハウジング266及び268のピストンシリンダ内で往復動する。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、互いに異なる位相で往復動し、噴霧ノズル組立体14Bによって霧化される液体の振動及び脈動を低減する。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、ハウジング274にそれぞれ配設された流入バルブ270及び272を介し、液体容器16Bから液体を引き出す。ハウジング274は、液体容器16Bの下部280から液体を取り出す流入口276を備える。第1ピストン72B及び第2ピストン74Bは、ハウジング286内にそれぞれ配設された流出バルブ282及び284内に液体を押し出す。
【0058】
ハウジング286は、遮断バルブ52Bに連通する流出口288を備えている。遮断バルブ52Bはレバー290に連結されて機械的に駆動されるバルブからなる。レバー290は、シリンダ294内のバルブシートからニードル292を後退させることにより、加圧液体が噴霧ノズル組立体14B内に流入するのを許容する。また、レバー290は、本実施形態において電動モータを備えた駆動部20Bを作動させるためのスイッチ296に電気的に接続されている。
【0059】
駆動部20Bは、ギヤにより減速を行うギヤ機構56Bと、駆動部20Bから入力される回転運動を直線的な往復運動に変換して第1ピストン72B及び第2ピストン74Bを駆動する連結機構58Bとを介し、ポンプ機構18Bに動力を供給する。例えば、ギヤ機構56Bは、遊星ギヤ機構を備え、連結機構58Bは、斜板機構を備えるようにしてもよい。本発明の別の実施形態として、第1ピストン72B及び第2ピストン74Bをそれぞれ別の液体容器に連通させ、スプレーガン10B内で混合するようにしてもよい。
【0060】
図13Bは、図13Aのスプレーガン10Bにおける各構成部品の組み付け状態を示す断面図である。スプレーガン10Bは、噴霧ノズル組立体14B、ポンプ機構18B、遮断バルブ52B、及び連結機構58Bを備える。図13Aに基づき説明したように、連結機構58Bは駆動部20Bからの動力を受け取り、ポンプ機構18Bに動力を供給する。ポンプ機構18Bは、ポンプ機構18Bから噴霧ノズル組立体14Bへの加圧液体の流動を制御する遮断バルブ52Bに接続されている。
【0061】
遮断バルブ52B及び駆動部20Bは、いずれもレバー290を操作することによって作動する。具体的には、レバー290は搖動支点Pを支点とし、ハウジング12Bに対して搖動可能となっている。従って、作業者の手などによってレバー290の下部を引くことにより、ロッド297が引っ張られてニードル292をバルブシート184Bから引き離し、加圧液体が噴霧ノズル組立体14B内に流入可能となる。また、レバー290が引かれてスイッチ296を接続状態とし、スイッチ296と接続されてポンプ機構18Bに動力を供給する駆動部20Bに電力が供給される。このようにして、レバー290の機械的操作により、駆動部20Bの起動と遮断バルブ52Bの作動とが同時に行われる。
【0062】
遮断バルブ52Bは、機械的に駆動されるバルブを備えており、バルブシート184Bが接続部材32B及びキャップ158Bを介してシリンダ294に結合されている。具体的には、接続部材32Bがシリンダ294に螺合し、バルブシート184B及びブッシュ298をキャップ158Bとシリンダ294との間に挟持している。また、噴霧ノズル組立体14Bは、バルブシート184Bとブッシュ298との間に配設されたシール299A、及びブッシュ298とキャップ158Bとの間に配設されたシール299Bを備えている。保護部材28Bは、キャップ158Bに結合されている。保護部材28B及びキャップ158Bは、加圧液体を霧化する噴霧オリフィスを備えた円筒部材を有する噴霧ノズル組立体14Bを受容するためのボア194Bを形成する。従って、円筒部材及び噴霧オリフィスを有する噴霧ノズル組立体14Bは、ボア194Bに対して容易に着脱してオリフィスサイズの変更や噴霧オリフィスの清掃を行うことが可能となっている。
【0063】
このような噴霧ノズル組立体14Bは、使いやすく製造も容易であり、グラコミネソタ社に譲渡されたタム(Tam)らによる米国特許第6,702,198号には、その一例が開示されている。但し、加圧液体は、噴霧ノズル組立体14Bから霧化されて放出される前に、バルブシート184Bから、シール199A、シール199B、及びブッシュ298を経由してボア194B内にある噴霧オリフィスまで流動しなければならず、スピッティングが生じるおそれがある。バルブシート184Bと噴霧オリフィスとの間の領域は、図8及び図9に基づいて説明したように、噴霧ノズル組立体14Bの円筒部材内にバルブシートを組み込むことにより縮小することが可能である。
【0064】
図14は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、重力送り式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第3実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Cは、ハウジング12C、噴霧ノズル組立体14C、液体用カップ16C、ポンプ機構18C、及び駆動部20Cを備える。噴霧ノズル組立体14Cは、ポンプ機構18Cによって加圧された液体を放出する圧力駆動型バルブを備える。ポンプ機構18Cは、駆動部20Cによって動力を供給されることにより、液体用カップ16Cから供給される液体を加圧する。駆動部20Cは、電圧が110Vなどの標準的な電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード300を有した交流電動モータを備える。別の実施形態として、駆動部20Cは、約100V〜240Vの電圧で作動するように構成してもよい。なお、本発明のいずれの実施形態においても、電源コードまたはバッテリなどを用い、直流または交流で作動するように駆動部20Cを構成することが可能である。
【0065】
ポンプ機構18C及び駆動部20Cは、ハウジング12C内に一体的に組み込まれており、噴霧器10Cは可搬型の手持ち式ユニットとなっている。液体用カップ16Cはハウジング12Cの上部に装着されており、重力によって液体がポンプ機構18Cに供給されるようになっている。このため、噴霧器10Cは液体用カップ16Cから液体を取り出すための吸い込み管48を必要とせず、液体は液体用カップ16Cからハウジング12C内にあるポンプ機構18Cの流入口へと直接流出する。
【0066】
図15は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、駆動部にドリルを用いた手持ち式噴霧器の第4実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Dは、ハウジング12D、噴霧ノズル組立体14D、液体用カップ16D、ポンプ機構18D、及び駆動部20Dを備えている。噴霧ノズル組立体14Dは、ポンプ機構18Dによって加圧された液体を放出する圧力駆動型バルブを備える。ポンプ機構18Dは、駆動部20Dから動力を供給されることにより、液体用カップ16Dから供給される液体を加圧する。駆動部20Dは手持ち式のドリルからなる。本実施形態のドリルは、流入口302に圧縮空気が供給される空気圧式ドリルとなっている。なお、別の実施形態として、ドリルを交流または直流の電動ドリルとしてもよい。
【0067】
ポンプ機構18Dは、ドリルのチャックに挿入されてポンプ機構18Dの駆動を行う駆動軸を有する。ポンプ機構18Dはハウジング12D内に一体的に組み込まれ、駆動部20D及び液体用カップ16Dはハウジング12Dに装着される。また、ハウジング12Dは、ドリルの回転速度を変速し、所望の圧力を生成する上でポンプ機構18Dに必要な回転速度とするための減速ギヤ機構を備えている。
【0068】
ポンプ機構18D及び液体用カップ16Dは、ブラケット304を用いてドリルに取り付けられる。ブラケット304は、ドリルが作動した時に、ポンプ機構18Dが駆動部20Dに対して回転するのを防止する回転防止機構を備えている。また、ブラケット304は、液体用カップ16Dを搖動可能にドリルに連結する。液体用カップ16Dは、ブラケット304上で搖動し、液体用カップ16D内の液体が重力によってハウジング12D内に供給される角度を調整できるようになっている。一実施形態では、液体用カップ16Dが約120度の範囲で搖動できるようになっている。これにより、噴霧器10Dは、上方及び下方のいずれに向けての噴霧にも使用可能である。
【0069】
図16は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、腕装着バッグ式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第5実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Eは、ハウジング12E、噴霧ノズル組立体14E、液体容器16E、ポンプ機構18E、及び駆動部20Eを備える。噴霧器10Eは、図14の噴霧器10Cと同様の噴霧器構造を有する。但し、液体容器16Eは、チューブ306を介してハウジング12Eに接続された可撓性バッグからなる。この可撓性バッグは、静脈注射用バッグに類似する封入容器を備え、ストラップ308を用いて、噴霧器10Eを操作する作業者に適切に装着できるようになっている。例えば、ストラップ308は操作者の上腕部または二頭筋部に適切に装着可能である。これにより、作業者は噴霧器10Eを使用する際に重い液体容器16Eを直接手で持ち上げておく必要がなくなり、疲労を軽減することができる。
【0070】
図17は、図1のエアレス液体噴霧装置として、腰装着式液体容器を用いた手持ち式噴霧器の第6実施形態を示す斜視図である。噴霧器10Fは、ハウジング12F、噴霧ノズル組立体14F、液体容器16F、ポンプ機構18F、及び駆動部20Fを備える。噴霧器10Fは、図14の噴霧器10Cと同様の噴霧器構造を有する。但し、液体容器16Fは、チューブ306を介してハウジング12Fに接続された硬質容器からなる。この容器は、ベルト310を用いて噴霧器10Fの操作者に装着した時に、人間工学的に不具合を生じることのないように形作られた容器となっている。例えば、ベルト310は操作者の胴体部または腰部に適切に取り付けられる。
【0071】
図18は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、腰装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第1実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Gは、ハウジング12G、噴霧ノズル組立体14G、液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gを備える。噴霧ユニット10Gのハウジング12Gは、ベルト312を用い、作業者の腰に装着される。ハウジング12Gは、液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gが載置される台座を有する。噴霧ノズル組立体14Gは、ホース314を介してポンプ機構18Gに接続されている。ホース314は、ポンプ機構18Gによって加圧される液体における脈動及び振動を緩和するアキュムレータとして機能する。
【0072】
噴霧ノズル組立体14Gは、人間工学的に適切な形状に形成された手持ち装置318内の噴霧オリフィスに加圧液体を供給する機械駆動式の噴霧バルブ316を有したエアレススプレーガンからなる。手持ち装置318は、噴霧バルブ316を開弁させる引き金を有している。ポンプ機構18Gは、液体容器16Gに蓄えられた液体を加圧し、加圧した液体をホース314を介して手持ち装置318に供給する。ポンプ機構18Gは、バッテリ319から電力供給を受ける電源コードレスの電動モータを備えた駆動部20Gによって駆動される。駆動部20Gは、ハウジング12Gに設けられたスイッチを投入することにより、連続的に作動可能となっている。
【0073】
このような実施形態において、圧力リリーフバルブまたはバイパス流路が、ポンプ機構18Gと組み合わせて設けられており、作業者が噴霧バルブ316を開弁するまで機能するようになっている。本発明の別の実施形態として、手持ち装置318は、ホース314に沿って設けられたケーブルを介して駆動部20Gを操作するためのスイッチを備えている。
【0074】
噴霧ユニット10Gにおいて重量があって嵩張る部材は手持ち装置318から分離されており、作業中に作業者が噴霧ユニット10Gの全ての構成部材を継続して持ち上ずに済むようになっている。液体容器16G、ポンプ機構18G、及び駆動部20Gは、ベルト312によって適切に支持されており、噴霧ユニット10Gを操作する際の疲労を軽減することができる。
【0075】
図19は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、背負い式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第2実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Hは、ハウジング12H、噴霧ノズル組立体14H、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hを備える。噴霧ユニット10Hは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、駆動部20Hは、電圧が110Vなどの様々な標準的電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード320を有した交流電動モータを備えている。また、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hは、背負い式の構造のハウジング12Hに一体的に装着されている。ハウジング12Hは、液体容器16H、ポンプ機構18H、及び駆動部20Hを、人間工学的に不具合なく作業者の背中に載せることができるようなストラップ322を備えている。従って、噴霧ユニット10Hは噴霧ユニット10Gと類似するものの、背負い式とすることにより、液体容器16Hの容量を増大させることが可能となる。別の実施形態において駆動部20Hは、バッテリの電力を用い、噴霧ユニット10Hの移動性を増大させている。
【0076】
図20は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、ホッパー装着式噴霧ユニットを用いたホース接続式のエアレススプレーガンの第3実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Iは、ハウジング12I、噴霧ノズル組立体14I、液体容器16I、ポンプ機構18I、及び駆動部20Iを備える。噴霧ユニット10Iは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、噴霧ユニット10Iの液体容器16Iはホッパーを備えている。このため、作業者は速やか且つ容易に噴霧ユニット10Iを準備することができる。また、複数の作業者が単一の容器を用いて作業を進めることが可能となる。トレー上面において、液体容器16I内の液体に直接的に接することが可能となるため、様々な状況の下での噴霧ユニット10Iの使用範囲を拡大することができる。例えば、噴霧ノズル組立体14Iを使用している際に、液体容器16Iのトレー上面にローラを載せることができるので、複数の容器を用いずに済む。また、ポンプ機構18I及び駆動部20Iへの電力供給がなくなった場合であっても、液体容器16I内の液体を使用することが可能となる。
【0077】
従って、液体容器16Iにより、様々な状況および使用方法において、液体の無駄を減らすと共に、清掃時間を短縮することが可能となる。また、ハウジング12Iから液体容器16Iを分離し、液体容器16Iの洗浄を容易に行うことが可能となる。液体容器16Iは、作業者が手持ち装置318を持って周囲を移動する間も、静止状態を維持するよう構成されている。従って、作業者が液体容器16Iを持ち運ぶ必要はなく、疲労を軽減して生産性を向上させることができる。液体容器16Iにより、大量の液体を蓄えることが可能となり、補充回数を低減することができる。ホース314は、作業者の移動性を拡大するような余分の長さが与えられている。
【0078】
図21は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、蓋部装着式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第1実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Jは、ハウジング12J、噴霧ノズル組立体14J、液体容器16J、ポンプ機構18J、及び駆動部20Jを備える。噴霧ユニット10Jは、図18の噴霧ユニット10Gと同様の噴霧ユニット構造を有する。但し、液体容器16Jは、ポンプ機構18J及び駆動部20Jが装着された蓋部326を有するバケツ容器324を備えている。
【0079】
駆動部20Jは、電圧が110Vなどの様々な標準的電源コンセントに差し込んで使用可能な電源コード328を有した交流電動モータを備えている。蓋部326は、標準的な5ガロンのバケツ容器または標準的な1ガロンのバケツ容器に装着されるようになっており、噴霧作業の準備を素早く行えると共に廃棄物を減らすようにしている。作業者は、塗料の入った新しいバケツ容器を開封し、バケツ容器の蓋を本発明の蓋部326に置き換えて作業を開始するだけでよい。ポンプ機構18Jは、バケツ容器324内に完全に沈められており、呼び水操作を行わずに済むようになっている。また、液体容器16J内の液体は、ポンプ機構18J及び駆動部20Jの冷却も行う。
【0080】
図22は、図1のエアレス液体噴霧装置10として、潜液式ポンプを用いたバケツ容器式噴霧ユニットの第2実施形態を示す斜視図である。噴霧ユニット10Kは、ハウジング12K、噴霧ノズル組立体14K、液体容器16K、ポンプ機構18K、及び駆動部20Kを備える。噴霧ユニット10Kは、図21の噴霧ユニット10Jと同様の噴霧ユニット構造を有する。また、ポンプ機構18Kは、図14の噴霧器10Cと同様の手持ち式装置を備え、蓋部330に装着されている。但し、ポンプ機構18Jによるホッパーからの供給に代えて、流入口332がバケツ容器324の内部に連通している。このため、流入口332は、バケツ容器324の底部へと延びる供給チューブに連通している。供給チューブと流入口332との間には、呼び水弁334が介装されている。別の実施形態では、バケツ容器324が加圧されることにより、流入口332への液体の供給が補助されるようになっている。
【0081】
図23は、エアアシスト装置を併用した図1のエアレス液体噴霧装置10のブロック図である。エアレス液体噴霧装置10は、図1に基づき説明したように、ハウジング12、噴霧ノズル組立体14、液体容器16、ポンプ機構18及び駆動部20を備えた可搬型のエアレススプレーガンからなる。但し、エアレス液体噴霧装置10には、エアアシスト装置336が設けられ、当該エアアシスト装置336が噴霧ノズル組立体14に圧縮空気を供給するようになっている。エアアシスト装置336は、空気供給管338、圧力バルブ340、及びエアノズル342を備える。圧縮空気は、エアアシスト装置336から空気供給管338を介して噴霧ノズル組立体14に供給される。空気供給管338には、噴霧ノズル組立体14への空気の流動を制限する圧力バルブ340が設けられている。
【0082】
一実施形態において、エアアシスト装置336はコンプレッサを備える。例えば、小型で可搬型のバッテリ駆動コンプレッサを用い、噴霧ノズル組立体14に空気を供給してもよい。別の実施形態としてエアアシスト装置336は、二酸化炭素(CO2)、窒素または空気などの気体を圧縮して収容したタンクまたはカートリッジを備える。
【0083】
噴霧ノズル組立体14には、エアアシスト装置336から供給される圧縮空気を、ポンプ機構18から供給される加圧液体と合流させることが可能な通路を内部に有したエアノズル342が設けられている。一実施形態において噴霧ノズル組立体14は、従来から知られているような一般的なエアアシスト式の噴霧ノズルを備えており、内部で圧縮された空気ではなく外部で圧縮された空気が供給される流入口を更に備えている。このようなエアアシスト式の噴霧ノズルは、グラコミネソタ社に譲渡された、チュー(Zhu)らによる米国特許第6,708,900号に開示されている。
【0084】
圧縮空気は、ポンプ機構18によって供給された加圧液体を噴霧ノズル組立体14から押し出すのを補助し、液体が更に霧化されることにより、より優れた液体塗布を行うことが可能となる。噴霧ノズル組立体14には、遮断バルブ52内のニードル164の位置を調整して液体の霧化を調整する機構を設けることが可能である。また、噴霧オリフィス186は、エアアシスト式の噴霧に最適な構造としたり、エアアシスト式の噴霧に最適な別の噴霧オリフィスに置き換えたりすることが可能である。従って、エアアシスト装置336を併用することにより、エアレス液体噴霧装置10の汎用性を高め、噴霧条件に対応して多様な調整が可能となり、広範な種類の液体の使用が可能となる。
【0085】
図24は、可搬型の手持ち式噴霧器356用の収納部352とバッテリ充電器354とを有したカート装着式エアレス噴霧装置350の斜視図である。カート装着式エアレス噴霧装置350は、手押し式のカート360、電動モータ362、ポンプ364、吸い込み管366、ホース368、及び噴霧ノズル370を備えたエアレス噴霧システム358に搭載される。エアレス噴霧システム358は、大規模な業務用または専門職人用に構成された一般的な噴霧システムからなる。
【0086】
エアレス噴霧システム358は、使用時に大量の液体または塗料を塗布できるように設計された高耐久性の電動モータ362及びポンプ364を備える。このような電動モータ及びポンプは、グラコミネソタ社に譲渡された、デビッドソン(Davidson)らによる米国特許第6,752,067号に開示されている。
【0087】
例えば、吸い込み管366は、フック372を用いてカート360から吊り下げられた5ガロンのバケツ容器内の塗料の中に挿入される。電動モータ362は、電源コードを用い、一般的な電源コンセントに接続されてポンプ364に動力を供給するように構成されている。噴霧ノズル370は、ホース368を用いてポンプ364に接続されており、ホース368は、作業者が動き回るのに十分な長さを有している。このように、エアレス噴霧システム358は、カート360により動き回ることが可能であると共に、作業者が噴霧ノズル370を使用している間は静止するように設定可能な可搬型の噴霧システムからなる。従って、エアレス噴霧システム358は大規模な作業に好適であるが、特に小規模な作業など、移動や再設定を伴うものには向いていない。
【0088】
エアレス噴霧システム358には、エアレス噴霧システム358を補助するべくカート装着式エアレス噴霧装置350が設けられることにより、使い勝手がよく素早く使用可能なシステムを作業者に提供する。カート装着式エアレス噴霧装置350は、収納部352を用いてカート360に装着される。収納部352は、ねじ止めなどによってカート360に結合された容器を備える。また、収納部352は、手持ち式噴霧器356を保持するホルスターを備える。
【0089】
一実施形態において収納部352は、手持ち式噴霧器356をしっかりと保持するように形成された成形プラスチック容器と、搖動可能なカバーとを備える。収納部352は、充電式バッテリ374Aだけではなく、手持ち式噴霧器356も収容可能な大きさを有する。また、収納部352は、バッテリ充電器354を取り付ける台座も備えている。
【0090】
バッテリ充電器354は、収納部352の内側に配置するか、収納部352の外側に連結してもよい。バッテリ充電器354は、充電式バッテリ374A及び374Bを充電する充電回路を備える。バッテリ充電器354は、充電式バッテリ374Aを手持ち式噴霧器356で使用している間に充電式バッテリ374Bを接続して充電するためのアダプタ376を備えている。バッテリ充電器354には、電動モータ362に電力を供給する電線との接続を介して電力が供給されるようになっている。従って、バッテリ充電器354は、いつでも充電式バッテリ374A及び374Bをエアレス噴霧システム358に組み付けて使用できるような充電能力を備えている。
【0091】
エアレス噴霧システム358及び手持ち式噴霧器356は、高品質の仕上がりが得られるエアレス噴霧システムを提供する。エアレス噴霧システム358は、液体または塗料の大量塗布に使用される。手持ち式噴霧器356は、例えば電源コードまたはホース368の制限によってエアレス噴霧システム358が行くことのできない場所や空間において、作業者が容易に使用することができる。手持ち式噴霧器356は、これまでに説明した可搬型のエアレス噴霧器の実施形態のいずれかからなる。これにより、手持ち式噴霧器356は、エアレス噴霧システム358によって得られるエアレス噴霧の仕上がりと同程度の品質のエアレス噴霧の仕上がりを提供する。従って、作業者は、噴霧の品質に著しい違いを生じることなく、単一の作業において、エアレス噴霧システム358と手持ち式噴霧器356とを切り換えて使用することが可能となる。
【0092】
本発明は、様々な実施形態において、建築用塗布剤の噴霧の仕上がりを高品質で得ることが可能である。例えば、噴霧された飛沫の少なくとも50%が目標とする霧化状態に合致するというDv(50)値の評価によって、本発明は下記表1に示すような霧化特性を達成する。
【0093】
【表1】
【0094】
従って、本発明のエアレス液体噴霧装置は、可搬型の手持ち式構造において、アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriters Laboratories、登録商標)の規格UL1450に適合する約360psi(約2.48MPa)以上のオリフィス圧力を実現する。
【0095】
具体的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行ったり、各要素の均等物を代用したりしてもよいことは、当業者に明らかである。また、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示を特定の状況や物質に適合させるべく、様々な変更を行うことが可能である。従って、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内における全ての形態を含むものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
少なくとも1つのピストンにより互いに異なる位相で作動する少なくとも2つのポンプ室を備え、前記ハウジング内に配設された往復ピストン式流体ポンプと、
前記ハウジングに組み付けられ、前記往復ピストン式流体ポンプに連結されて前記少なくとも1つのピストンを駆動する駆動部と、
前記少なくとも1つのポンプ室の流出口に連通する噴霧ノズルと
を備えることを特徴とする手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項2】
前記噴霧ノズルは、
噴霧オリフィスと、
密封シートと、
前記密封シートに係合して前記噴霧オリフィスを閉じるニードルと、
前記ニードルを前記密封シートに向けて付勢するスプリングと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項3】
前記往復ピストン式流体ポンプが生成する圧力によって前記噴霧オリフィスが開口することを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項4】
前記駆動部を起動すると共に前記ニードルを前記密封シートから後退させる引き金を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項5】
前記噴霧ノズルは、前記噴霧オリフィスと前記密封シートとが装着された円筒部材を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポンプ室は、吸い込み管を介して液体供給源に連通する流入口を備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項7】
前記液体供給源は、平坦な壁を有した円筒容器を備え、
前記吸い込み管は、前記平坦な壁の複数の異なる箇所に近接するように構成された管部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項8】
前記吸い込み管は、固定管部を備え、
前記液体供給源は、液体を前記固定管部に向けて集めるように形成された壁を有する容器を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項9】
前記吸い込み管は、可撓性を有したホースからなることを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項10】
前記液体供給源は、作業者の腕、背中、または腰に装着または吊り下げ可能に構成された容器を備えることを特徴とする請求項9に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項11】
前記液体供給源は、ホッパーを備えることを特徴とする請求項9に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項12】
前記噴霧ノズルは、可撓性を有したホースを介して前記往復ピストン式流体ポンプに連通することを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項13】
前記主駆動部は可搬型ドリルを備え、前記ハウジングは前記可搬型ドリルを装着可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項14】
前記往復ピストン式流体ポンプは、
第1ピストン室を有する第1シリンダと、
前記第1ピストン室の中に配設された第1ピストンと、
第2ピストン室を有する第2シリンダと、
前記第2ピストン室の中に配設された第2ピストンと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項15】
前記駆動部を前記往復ピストン式流体ポンプの前記第1ピストン及び第2ピストンに連結する斜板機構を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項16】
前記斜板機構は、
前記駆動部から回転駆動軸線に沿って回転が入力される軸と、
前記回転駆動軸線を囲んで前記軸に設けられ、前記回転駆動軸線から傾斜した軸線周りに形成された円筒面を有するランドと、
前記ランドに装着されたベアリングと、
前記ベアリングに取り付けられたコネクティングロッド機構と、
前記コネクティングロッド機構に連結されて前記ピストンの1つに形成された凹部内に係合する少なくとも1つの突出部と
を備えることを特徴とする請求項15に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項17】
前記噴霧ノズルと前記往復ピストン式流体ポンプとの間に設けられ、前記第1ピストン室及び第2ピストン室に連通する圧力室と、
前記第1ピストン室と液体供給源との間に介装された流入バルブと、
前記第1ピストン室と前記圧力室との間に介装された流出バルブと
を備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項18】
前記第1ピストン室の行程容積は、前記第2ピストン室の行程容積より大きいことを特徴とする請求項17に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項19】
前記第1シリンダに連通する第1流入バルブ及び第1流出バルブと、
前記第2シリンダに連通する第2流入バルブ及び第2流出バルブと
を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項20】
前記往復ピストン式流体ポンプによって加圧された液体を一時的に蓄えるアキュムレータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧器。
【請求項21】
前記往復ピストン式流体ポンプ及び前記噴霧ノズルは、未希釈の建築用塗布剤を、Dv(50)値で70ミクロン以下の大きさに霧化することを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項22】
建築用塗布剤を直接加圧するポンプと、
前記ポンプに動力を供給する駆動部と、
前記ポンプに連通し、加圧された建築用塗布剤を150ミクロン以下の粒径に霧化する噴霧オリフィス部とを備え、
前記ポンプ、前記駆動部、及び前記噴霧オリフィス部は、手持ち式のハウジング内に一体化されていることを特徴とする手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項23】
前記噴霧オリフィス部は、0.029平方インチ(18.7mm2)以下の開口面積を有することを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項24】
前記ポンプは、360psi(2.48MPa)以上の圧力を前記噴霧オリフィス部において発生させることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項25】
前記駆動部は、空気式駆動装置、電源コードを有した交流電動モータ、バッテリから電力供給を受ける直流電動モータ、電気式動力源、及びリニアアクチュエータからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項26】
前記ポンプは、複数ピストン式ポンプ、二ピストン式ポンプ、二容積室単一ピストン式ポンプ、三プランジャ式ポンプ、ジェロータ、ギヤポンプ、及びダイヤフラムポンプからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項27】
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記モータにより駆動される往復動式ポンプ機構と、
前記往復動式ポンプ機構から供給された加圧液体を、Dv(50)値にて70ミクロン以下の粒径に霧化する噴霧ノズルと
を備えることを特徴とする一体型手持ち式噴霧器。
【請求項28】
前記モータを前記往復動式ポンプ機構に連結する減速ギヤ機構を更に備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項29】
充電式バッテリを更に備え、
前記モータは、前記充電式バッテリから電力を供給される直流電動モータからなることを特徴とする請求項28に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項30】
前記減速ギヤ機構を前記往復動式ポンプ機構に連結する斜板機構を更に備えることを特徴とする請求項29に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項31】
前記往復動式ポンプ機構から供給される加圧液体を受容する蓄圧部を更に備えることを特徴とする請求項30に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項32】
前記往復動式ポンプ機構は、ピストン式ポンプを備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項33】
前記往復動式ポンプ機構は、
第1ピストン室及び第2ピストン室においてそれぞれ位相を異ならせて往復動する第1ピストン及び第2ピストンと、
液体容器から前記第1ピストン室内への液体の流入を許容する流入バルブと、
前記第1ピストン室を前記噴霧ノズルに連通させる流出バルブと
を備えることを特徴とする請求項32に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項34】
前記往復動式ポンプ機構は、互いに異なる位相で作動すると共に、それぞれ行程容積が等しい1対のピストンを備え、
それぞれのピストンに対し、液体容器から液体を流入させる流入バルブと、加圧液体を前記噴霧ノズルに供給する流出バルブとが設けられる
ことを特徴とする請求項32に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項35】
前記往復動式ポンプ機構は、転動型ダイヤフラムを備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項1】
ハウジングと、
少なくとも1つのピストンにより互いに異なる位相で作動する少なくとも2つのポンプ室を備え、前記ハウジング内に配設された往復ピストン式流体ポンプと、
前記ハウジングに組み付けられ、前記往復ピストン式流体ポンプに連結されて前記少なくとも1つのピストンを駆動する駆動部と、
前記少なくとも1つのポンプ室の流出口に連通する噴霧ノズルと
を備えることを特徴とする手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項2】
前記噴霧ノズルは、
噴霧オリフィスと、
密封シートと、
前記密封シートに係合して前記噴霧オリフィスを閉じるニードルと、
前記ニードルを前記密封シートに向けて付勢するスプリングと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項3】
前記往復ピストン式流体ポンプが生成する圧力によって前記噴霧オリフィスが開口することを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項4】
前記駆動部を起動すると共に前記ニードルを前記密封シートから後退させる引き金を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項5】
前記噴霧ノズルは、前記噴霧オリフィスと前記密封シートとが装着された円筒部材を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポンプ室は、吸い込み管を介して液体供給源に連通する流入口を備えることを特徴とする請求項2に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項7】
前記液体供給源は、平坦な壁を有した円筒容器を備え、
前記吸い込み管は、前記平坦な壁の複数の異なる箇所に近接するように構成された管部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項8】
前記吸い込み管は、固定管部を備え、
前記液体供給源は、液体を前記固定管部に向けて集めるように形成された壁を有する容器を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項9】
前記吸い込み管は、可撓性を有したホースからなることを特徴とする請求項6に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項10】
前記液体供給源は、作業者の腕、背中、または腰に装着または吊り下げ可能に構成された容器を備えることを特徴とする請求項9に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項11】
前記液体供給源は、ホッパーを備えることを特徴とする請求項9に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項12】
前記噴霧ノズルは、可撓性を有したホースを介して前記往復ピストン式流体ポンプに連通することを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項13】
前記主駆動部は可搬型ドリルを備え、前記ハウジングは前記可搬型ドリルを装着可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項14】
前記往復ピストン式流体ポンプは、
第1ピストン室を有する第1シリンダと、
前記第1ピストン室の中に配設された第1ピストンと、
第2ピストン室を有する第2シリンダと、
前記第2ピストン室の中に配設された第2ピストンと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項15】
前記駆動部を前記往復ピストン式流体ポンプの前記第1ピストン及び第2ピストンに連結する斜板機構を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項16】
前記斜板機構は、
前記駆動部から回転駆動軸線に沿って回転が入力される軸と、
前記回転駆動軸線を囲んで前記軸に設けられ、前記回転駆動軸線から傾斜した軸線周りに形成された円筒面を有するランドと、
前記ランドに装着されたベアリングと、
前記ベアリングに取り付けられたコネクティングロッド機構と、
前記コネクティングロッド機構に連結されて前記ピストンの1つに形成された凹部内に係合する少なくとも1つの突出部と
を備えることを特徴とする請求項15に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項17】
前記噴霧ノズルと前記往復ピストン式流体ポンプとの間に設けられ、前記第1ピストン室及び第2ピストン室に連通する圧力室と、
前記第1ピストン室と液体供給源との間に介装された流入バルブと、
前記第1ピストン室と前記圧力室との間に介装された流出バルブと
を備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項18】
前記第1ピストン室の行程容積は、前記第2ピストン室の行程容積より大きいことを特徴とする請求項17に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項19】
前記第1シリンダに連通する第1流入バルブ及び第1流出バルブと、
前記第2シリンダに連通する第2流入バルブ及び第2流出バルブと
を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項20】
前記往復ピストン式流体ポンプによって加圧された液体を一時的に蓄えるアキュムレータを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧器。
【請求項21】
前記往復ピストン式流体ポンプ及び前記噴霧ノズルは、未希釈の建築用塗布剤を、Dv(50)値で70ミクロン以下の大きさに霧化することを特徴とする請求項1に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項22】
建築用塗布剤を直接加圧するポンプと、
前記ポンプに動力を供給する駆動部と、
前記ポンプに連通し、加圧された建築用塗布剤を150ミクロン以下の粒径に霧化する噴霧オリフィス部とを備え、
前記ポンプ、前記駆動部、及び前記噴霧オリフィス部は、手持ち式のハウジング内に一体化されていることを特徴とする手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項23】
前記噴霧オリフィス部は、0.029平方インチ(18.7mm2)以下の開口面積を有することを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項24】
前記ポンプは、360psi(2.48MPa)以上の圧力を前記噴霧オリフィス部において発生させることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項25】
前記駆動部は、空気式駆動装置、電源コードを有した交流電動モータ、バッテリから電力供給を受ける直流電動モータ、電気式動力源、及びリニアアクチュエータからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項26】
前記ポンプは、複数ピストン式ポンプ、二ピストン式ポンプ、二容積室単一ピストン式ポンプ、三プランジャ式ポンプ、ジェロータ、ギヤポンプ、及びダイヤフラムポンプからなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の手持ち式エアレス液体噴霧装置。
【請求項27】
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記モータにより駆動される往復動式ポンプ機構と、
前記往復動式ポンプ機構から供給された加圧液体を、Dv(50)値にて70ミクロン以下の粒径に霧化する噴霧ノズルと
を備えることを特徴とする一体型手持ち式噴霧器。
【請求項28】
前記モータを前記往復動式ポンプ機構に連結する減速ギヤ機構を更に備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項29】
充電式バッテリを更に備え、
前記モータは、前記充電式バッテリから電力を供給される直流電動モータからなることを特徴とする請求項28に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項30】
前記減速ギヤ機構を前記往復動式ポンプ機構に連結する斜板機構を更に備えることを特徴とする請求項29に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項31】
前記往復動式ポンプ機構から供給される加圧液体を受容する蓄圧部を更に備えることを特徴とする請求項30に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項32】
前記往復動式ポンプ機構は、ピストン式ポンプを備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項33】
前記往復動式ポンプ機構は、
第1ピストン室及び第2ピストン室においてそれぞれ位相を異ならせて往復動する第1ピストン及び第2ピストンと、
液体容器から前記第1ピストン室内への液体の流入を許容する流入バルブと、
前記第1ピストン室を前記噴霧ノズルに連通させる流出バルブと
を備えることを特徴とする請求項32に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項34】
前記往復動式ポンプ機構は、互いに異なる位相で作動すると共に、それぞれ行程容積が等しい1対のピストンを備え、
それぞれのピストンに対し、液体容器から液体を流入させる流入バルブと、加圧液体を前記噴霧ノズルに供給する流出バルブとが設けられる
ことを特徴とする請求項32に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【請求項35】
前記往復動式ポンプ機構は、転動型ダイヤフラムを備えることを特徴とする請求項27に記載の一体型手持ち式噴霧器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2012−506316(P2012−506316A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533177(P2011−533177)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/005740
【国際公開番号】WO2010/047800
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(308025451)グラコ ミネソタ インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/005740
【国際公開番号】WO2010/047800
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(308025451)グラコ ミネソタ インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】
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