可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システム
【目的】 特別な知識を持たなくても簡単にペン入力計算機システムを利用できるようにする。
【構成】 ユーザ固有情報を記憶する記憶手段106および前記ユーザ固有情報を計算機システム本体101に与えるためのペンインタフェース装置107とを具備した可搬型ペン入力装置104と、その可搬型ペン入力装置104からインタフェース装置103を介して与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈する計算機システム本体101とからなるペン入力計算機システムA。
【効果】 ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。ペン操作環境を設定する操作が不要になるか又は容易になる。
【構成】 ユーザ固有情報を記憶する記憶手段106および前記ユーザ固有情報を計算機システム本体101に与えるためのペンインタフェース装置107とを具備した可搬型ペン入力装置104と、その可搬型ペン入力装置104からインタフェース装置103を介して与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈する計算機システム本体101とからなるペン入力計算機システムA。
【効果】 ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。ペン操作環境を設定する操作が不要になるか又は容易になる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムに関し、さらに詳しくは、携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置およびその可搬型ペン入力装置を用いた情報の入力を受け付けるペン入力計算機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ペンで文字や図形を描くようにタブレット等をなぞることによって情報を入力するペン入力計算機システムが提案されている。このペン入力計算機システムは、ユーザがペンのように操作するペン入力装置と、前記ペン入力装置の操作(以下、ペン操作と略す。)を検出/解釈して情報を受け取る計算機システム本体から構成される。
【0003】計算機システム本体は、ペン入力装置のペン先から発信する電磁波を受信したり,ペン先が押すタブレットの位置を検知することによって、ペン操作を検出する。そして、検出したペン操作を、操作解釈辞書を用いて、文字や図形の入力,削除,文書の校正指示などとして解釈する。
【0004】ペン操作を操作解釈辞書に基づいて解釈する方法は、例えば「文字、図形認識技術の基礎(オーム社、森俊二著)」において開示されている。この具体例として、手書き文字をその軌跡から解釈する場合を図9〜図10を参照して説明する。図9において、手書き文字200の軌跡を格子で分割して標本化し(ステップ201)、縦方向の線,横方向の線,斜方向の線をストロークとして抽出する(ステップ202)。
【0005】抽出したストロークと,操作解釈辞書の一つの項目たとえば図10に示す項目302とについて相関をとる。すなわち、抽出した各ストロークを、項目内容301中の軌跡欄303の該当する各方向ストロークと比較して、その比較結果を相関度として数値化する(ステップ203)。そして、その相関度の数値を前記各ストロークについて総計した値を手書き文字200と項目302の一致度とする(ステップ204)。
【0006】こうしたステップ203,ステップ204の処理を操作解釈辞書の全ての項目について行ない(ステップ206)、一致度が最大の項目を判定し(ステップ207)、その項目の文字コードを出力する(ステップ208)。例えば、手書き文字200については項目「本」との一致度が最大となり、「本」の文字コードが出力される。
【0007】上記例では、ペン操作の軌跡から手書き文字を認識をしているが、軌跡に加えて筆順,筆圧,速度をも収集し、それらを考慮することにより、解釈の誤りを減らすことも行なわれている。このため、図10に示すように、筆順情報,筆圧情報,速度情報が、項目内容301の該当する欄に記述されている。なお、筆圧欄,速度欄では、ストロークに直交する方向に筆圧の強さ,速度の大きさをグラフ化している。
【0008】ユーザのペン操作は、ユーザ固有の癖に支配されるから、図11に示すように、操作解釈辞書にユーザ定義項目402を設けることが行なわれる。このユーザ定義項目402は、ユーザが定義するものであるため、ユーザ固有の癖を反映させることが出来る。例えば、項目内容301に比べて項目内容401では、5番目の筆順のストロークの方向にユーザ固有の癖が反映されている。
【0009】「選択」,「削除」,「挿入」といった校正指示についても同様であり、図12に示すように、操作解釈辞書には、標準ペン操作と,ユーザ定義ペン操作とを設けることが行われる。
【0010】このように、ペン入力計算機システムでは、ユーザ固有の癖を考慮したユーザ固有の操作解釈辞書を持つ必要がある。このため、ユーザが通常使用するペン入力計算機システムには、ユーザ固有の操作解釈辞書が常設される。また、ユーザが通常使用しないペン入力計算機システムを使うときには、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクをそのペン入力計算機システムに読み込ませている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来、他のユーザが使用したペン入力計算機システムを使用する場合、改めて自分の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませたり,ペン操作環境を設定する操作を行う必要があり、ペン入力計算機システムを利用するのに手間がかかったり、特別な知識を必要とする問題点があった。そこで、この発明の目的は、より簡単に利用できるように改良した可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、この発明は、携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置において、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ固有情報を計算機システム本体に与えるためのユーザ固有情報提供手段とを具備したことを特徴とする可搬型ペン入力装置を提供する。
【0013】第2の観点では、この発明は、上記可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈するための情報を得る計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システムを提供する。
【0014】
【作用】この発明の可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムでは、可搬型ペン入力装置が、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶手段に記憶しておき、そのユーザ固有情報を、ユーザ固有情報提供手段により、使用するペン入力計算機本体に対して与える。そして、ペン入力計算機本体は、可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈するための情報を得て、ユーザのペン操作を解釈する。
【0015】そこで、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。また、ペン操作環境を設定する操作も不要になるか容易になる。
【0016】
【実施例】以下、図に示す実施例に基づいてこの発明をさらに詳細に説明する。なお、これによりこの発明が限定されるものではない。図1は、この発明の一実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの外観図である。このペン入力計算機システムAにおいて、計算機システム本体101にはディスプレイ装置を兼用するタブレット装置102が嵌め込まれている。また、インタフェース装置103が設けられている。タブレット装置102の入力面Gには、計算機システム本体101からのメッセージなどを表示できるようになっている。
【0017】ペン入力装置104は、携帯可能なペンの形状をしており、ユーザが個々に持っている。ペン入力装置104の後部の蓋114を外すと、ペンインタフェース装置114が露出する。ユーザは、紙にペンで文字や図形を描くように、タブレット装置102の入力面G上でペン入力装置104を操作する(以下、ペン操作と言う。)。すると、そのペン操作がタブレット装置102を通して計算機システム本体101に伝えられ、文字や図形の入力,文書の校正が実行される。また、ユーザは、ペンインタフェース装置114を露出させて、計算機システム本体101のインタフェース装置103に挿入する。すると、計算機システム本体101とペン入力装置104の間で、情報が交換される。
【0018】図2は、このペン入力計算機システムAの要部ブロック図である。ペン入力装置104は、記憶装置106と,ペンインタフェース装置107と,位置信号発生装置615とを備えている。
【0019】記憶装置106は、個人識別情報618と,操作解釈辞書619とを記憶している。個人識別情報618は、個人識別コード(図中、「18692.abcde」で示す。)と,サインとからなっている。個人識別コードの前半部分「18692」はユーザIDを表し、後半部分「abcde」はユーザが通常使用するホスト計算機IDを表している。操作解釈辞書619は、ユーザの癖を考慮してペン操作を解釈するために、ユーザが個々に定義したユーザ固有の内容である。
【0020】ペンインタフェース装置107は、記憶装置106に記憶している内容を計算機システム本体101との間で交換するためのものである。位置信号発生装置615は、ペン先の位置検出などのための電磁波を発生する。
【0021】計算機システム本体101は、諸処理部を記憶する第1記憶装置602と、ペン入力装置104内の操作解釈辞書619を複写するための第2記憶装置609と、計算機システム本体101の使用を許可されたユーザの個人識別コードを記憶する登録ユーザ記憶装置610と、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶している内容を取り込むためのインタフェース装置103とを備えている。
【0022】第1記憶装置602は、システム初期設定部608と、ペン操作解釈部605と、操作解釈辞書変更処理部606と、操作解釈辞書保存部607と、アプリケーション・プログラムI/F部604と、アプリケーションプログラム603とを記憶している。
【0023】タブレット装置102は、入力面G上のペン操作による軌跡情報,ストロークの方向を含む筆順情報,筆圧情報,速度情報を収集するためのペン位置検出装置613とペン筆圧検出装置614とを備えている。ペン位置検出装置613は、ペン入力装置104内の位置信号発生装置615から発生する電磁波によってペン先の位置を検出し、ペン操作に応じた軌跡情報などを収集する。ペン筆圧検出装置614は、ペン入力装置104のペン先がタブレット装置102の入力面Gを押す力を検出し、ペン操作に応じた筆圧情報などを収集する。
【0024】以下、このペン入力計算機システムAの動作を図3〜図6に示す各処理部の処理フロー図にしたがって説明する。図3は、システム初期設定部608の処理フロー図である。システム初期処理部608は、計算機システム本体101に電源を投入すると起動する。
【0025】ステップ701にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107の接続を要求するメッセージを出力する。そのメッセージは、ディスプレイ装置を兼用するタブレット装置102の入力面Gに表示される。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。ステップ702にて、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶されている個人識別情報618を、インタフェース装置103,ペンインタフェース装置107を通して読み取る。ステップ703にて、読み取った個人識別情報618の個人識別コードが、登録ユーザ記憶装置610に記憶している登録ユーザの個人識別コードとして登録されているか否かを判断する。前記個人識別情報618の個人識別コードが登録されているときは、ステップ704に進み,登録されていないときは、ステップ701に戻る。
【0026】ステップ704にて、サインの入力を要求するメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103からペン入力装置104のペンインタフェース装置107を取り外し、ペン入力装置104でブレット装置102の入力面G上にサインをペン操作する。ステップ705にて、タブレット装置102からの前記ペン操作による軌跡情報が、前記読み取った個人識別情報618のサインに一致するか否かを判断する。前記軌跡情報が個人識別情報618のサインに一致するときはステップ706に進み、一致しないときはステップ701に戻る。
【0027】ステップ706にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107の接続を要求するメッセージを出力する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。
【0028】ステップ707にて、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶されている操作解釈辞書619を読み取り、計算機システム本体101内の第2記憶装置609に格納する(以下では、第2記憶装置609に格納された操作解釈辞書を619αで示す)。ステップ708にて、ペン操作による入力が可能になった旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、システム初期設定部608の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移り、第2記憶装置609に格納したユーザ固有の操作解釈辞書619αでペン入力計算機システムAが使用可能状態となる。
【0029】ユーザは、前記メッセージを確認すると、計算機システム本体101のインタフェース装置103からペン入力装置104のペンインタフェース装置107を取り外し、ペン入力装置104でブレット装置102の入力面G上にペン操作する。
【0030】図4は、ペン操作解釈部605の処理フロー図である。ユーザは、通常の作業どおりに、タブレット装置102の入力面G上でペン操作する。ステップ801にて、タブレット装置102から前記ペン操作による軌跡情報,筆順情報,筆圧情報,速度情報(以下、ペン操作情報と略す。)を受け取る。
【0031】ステップ802にて、そのペン操作情報が「操作解釈辞書619αの内容変更」を指示するものか否かを判断する。前記指示には、「横に線を3往復させるペン操作」の如く特殊なジェスチャが割り当てられている。前記ペン操作情報をその特殊なジェスチャであると判断すると、ステップ806に進んで操作解釈辞書変更部606を起動する。この操作解釈辞書変更部606の処理については後述する。前記ペン操作情報を前記特殊なジェスチャでないと判断すると、ステップ803に進む。
【0032】ステップ803にて、前記ペン操作情報が「操作解釈辞書619αの保存」を指示するものか否かを判断する。前記指示には、「縦に線を3往復させるペン操作」の如く特殊なジェスチャが割り当てられている。前記ペン操作情報をその特殊なジェスチャであると判断すると、ステップ809に進んで操作解釈辞書保存部607を起動する。この操作解釈辞書保存部607の処理については後述する。前記ペン操作情報を前記特殊なジェスチャでないと判断すると、ステップ804に進む。
【0033】ステップ804にて、ペン操作情報を操作解釈辞書619αに基づいて解釈する。ステップ805にて、解釈したデータをアプリケーション・プログラムI/F部604に渡す。その後、ステップ801に戻って、次のペン操作情報を受け取る。アプリケーション・プログラムI/F部604では、前記解釈したデータを例えばワープロソフトなどのアプリケーション・プログラム603に適合する入力形式に加工してからアプリケーション・プログラム603に引き渡す。
【0034】操作解釈辞書変更部606の処理は、図5に示す処理フローにしたがって行なわれる。ステップ901にて、前記特殊なジェスチャ(横に線を3往復させるペン操作)の直前に入力された文字,校正指示などを変更対象とし、その変更対象となる文字,校正指示などをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、変更対象となる文字,校正指示などの表示を確認してから、その変更対象の文字,校正指示などに代わる新たな文字,校正指示などをペン操作する。
【0035】ステップ902にて、その新たな文字,校正指示などのペン操作によるペン操作情報を受け取る。ステップ903にて、受け取ったペン操作情報を、図9のステップ201,202の処理と同様に、標本化,ストローク抽出してから軌跡情報,筆順情報,筆圧情報,速度情報の各情報について解析する。
【0036】ステップ904にて、解析したデータを図1111に示した項目内容401の形式で記述して新たな操作解釈辞書項目(すなわち、ユーザ定義辞書項目)を作成し、その新たな操作解釈辞書項目を第2記憶装置609内に記憶している操作解釈辞書619αに登録する。このとき、それまで使用していた変更対象の操作解釈辞書項目は消去する。そして、操作解釈辞書変更部606の処理が終了した旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、操作解釈辞書変更部606の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移る。
【0037】操作解釈辞書保存部607の処理は、図6に示すような処理フローにしたがって行なわれる。ステップ1001にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続することを要求するメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。ステップ1002にて、正しく接続されたか否かを判断する。正しく接続されていればステップ1003に進む。
【0038】ステップ1003にて、第2記憶装置609に格納している操作解釈辞書619αをインタフェース装置103,ペンインタフェース装置107を通してペン入力装置104内の記憶装置106に格納する。そして、操作解釈辞書保存部607の処理が終了した旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、操作解釈辞書保存部607の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移る。
【0039】以上のペン入力計算機システムAによれば、ペン入力装置107を携帯することによって、ユーザは、出先のペン入力計算機システムAを使用するときでもユーザ固有の環境でペン操作することが出来るようになる。
【0040】図7は、この発明の他の実施例のペン入力計算機システムBの要部ブロック図である。このペン入力計算機システムBは、計算機システム本体101Bのインタフェース装置103Bとペン入力装置104Bのペンインタフェース装置107Bとが電波または光によって無接触で結ばれている点および計算機システム本体101B内に第2記憶装置609,操作解釈辞書保存部607がない点が上記ペン入力計算機システムAと異なっている。なお、上記ペン入力計算機システムAと同様な構成要素には、同じ符号を付している。
【0041】このペン入力計算機システムBでは、ペン操作解釈部605は、ペン操作情報を解釈する際に、インタフェース装置103B,ペンインタフェース装置107Bを介してペン入力装置104B内の操作解釈辞書619を参照する。このため、第2記憶装置609,操作解釈辞書保存部607がなくなっている。
【0042】図8は、この発明のさらに他の実施例のペン入力計算機システムCの要部ブロック図である。このペン入力計算機システムCにおいて、計算機システム本体101CはネットワークI/F装置625を備えており、ネットワーク接続装置624,624を通して621を含む複数のホスト計算機に接続されている。また、ペン入力装置104C内の記憶装置106には個人識別情報618だけが記憶されている。これらの点を除くと上記ペン入力計算機システムAとほぼ同様な構成であり、同様な構成要素は同じ符号で表記している。ユーザが通常使用しているホスト計算機621には、その操作解釈辞書専用記憶装置623内にユーザ固有の操作解釈辞書が記憶されている。
【0043】このペン入力計算機システムCでは、システム初期設定部608は、ペン入力計算機システムAと同様に、ステップ701〜706の処理を行なったのち、個人識別情報の後半部分「abcde」に基づいてネットワークI/F装置625,ネットワーク接続装置624,624を通してホスト計算機621にアクセスする。そして、そのホスト計算機621内の操作解釈辞書専用記憶装置623に記憶しているユーザ固有の操作解釈辞書を読み取り、計算機システム101C内の第2記憶装置609に格納する。
【0044】
【発明の効果】この発明の可搬型ペン入力装置によれば、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。また、ペン操作環境を設定する操作も不要になるか容易になる。従って、特別な知識を持たなくても簡単にペン入力計算機システムを利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの外観図である。
【図2】図1のペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図3】図1のペン入力計算機システムに係るシステム初期設定部の処理フロー図である。
【図4】図1のペン入力計算機システムに係るペン操作解釈部の処理フロー図である。
【図5】図1のペン入力計算機システムに係る操作解釈辞書変更部の処理フロー図である。
【図6】図1のペン入力計算機システムに係る操作解釈辞書保存部の処理フロー図である。
【図7】この発明の他の実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図8】この発明のさらに他の実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図9】従来の手書き文字認識方法についての説明図である。
【図10】従来の操作解釈辞書の項目についての例示図である。
【図11】従来の操作解釈辞書のユーザ定義項目についての例示図である。
【図12】従来の操作解釈辞書の標準ペン操作,ユーザ定義ペン操作についての例示図である。
【符号の説明】
A ペン入力計算機システム
101 計算機システム本体
102 タブレット装置
103 インタフェース装置
103B インタフェース装置
104 ペン入力装置
106 記憶装置
107 ペンインタフェース装置
107B ペンインタフェース装置
618 個人識別情報
619 操作解釈辞書
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムに関し、さらに詳しくは、携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置およびその可搬型ペン入力装置を用いた情報の入力を受け付けるペン入力計算機システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ペンで文字や図形を描くようにタブレット等をなぞることによって情報を入力するペン入力計算機システムが提案されている。このペン入力計算機システムは、ユーザがペンのように操作するペン入力装置と、前記ペン入力装置の操作(以下、ペン操作と略す。)を検出/解釈して情報を受け取る計算機システム本体から構成される。
【0003】計算機システム本体は、ペン入力装置のペン先から発信する電磁波を受信したり,ペン先が押すタブレットの位置を検知することによって、ペン操作を検出する。そして、検出したペン操作を、操作解釈辞書を用いて、文字や図形の入力,削除,文書の校正指示などとして解釈する。
【0004】ペン操作を操作解釈辞書に基づいて解釈する方法は、例えば「文字、図形認識技術の基礎(オーム社、森俊二著)」において開示されている。この具体例として、手書き文字をその軌跡から解釈する場合を図9〜図10を参照して説明する。図9において、手書き文字200の軌跡を格子で分割して標本化し(ステップ201)、縦方向の線,横方向の線,斜方向の線をストロークとして抽出する(ステップ202)。
【0005】抽出したストロークと,操作解釈辞書の一つの項目たとえば図10に示す項目302とについて相関をとる。すなわち、抽出した各ストロークを、項目内容301中の軌跡欄303の該当する各方向ストロークと比較して、その比較結果を相関度として数値化する(ステップ203)。そして、その相関度の数値を前記各ストロークについて総計した値を手書き文字200と項目302の一致度とする(ステップ204)。
【0006】こうしたステップ203,ステップ204の処理を操作解釈辞書の全ての項目について行ない(ステップ206)、一致度が最大の項目を判定し(ステップ207)、その項目の文字コードを出力する(ステップ208)。例えば、手書き文字200については項目「本」との一致度が最大となり、「本」の文字コードが出力される。
【0007】上記例では、ペン操作の軌跡から手書き文字を認識をしているが、軌跡に加えて筆順,筆圧,速度をも収集し、それらを考慮することにより、解釈の誤りを減らすことも行なわれている。このため、図10に示すように、筆順情報,筆圧情報,速度情報が、項目内容301の該当する欄に記述されている。なお、筆圧欄,速度欄では、ストロークに直交する方向に筆圧の強さ,速度の大きさをグラフ化している。
【0008】ユーザのペン操作は、ユーザ固有の癖に支配されるから、図11に示すように、操作解釈辞書にユーザ定義項目402を設けることが行なわれる。このユーザ定義項目402は、ユーザが定義するものであるため、ユーザ固有の癖を反映させることが出来る。例えば、項目内容301に比べて項目内容401では、5番目の筆順のストロークの方向にユーザ固有の癖が反映されている。
【0009】「選択」,「削除」,「挿入」といった校正指示についても同様であり、図12に示すように、操作解釈辞書には、標準ペン操作と,ユーザ定義ペン操作とを設けることが行われる。
【0010】このように、ペン入力計算機システムでは、ユーザ固有の癖を考慮したユーザ固有の操作解釈辞書を持つ必要がある。このため、ユーザが通常使用するペン入力計算機システムには、ユーザ固有の操作解釈辞書が常設される。また、ユーザが通常使用しないペン入力計算機システムを使うときには、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクをそのペン入力計算機システムに読み込ませている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来、他のユーザが使用したペン入力計算機システムを使用する場合、改めて自分の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませたり,ペン操作環境を設定する操作を行う必要があり、ペン入力計算機システムを利用するのに手間がかかったり、特別な知識を必要とする問題点があった。そこで、この発明の目的は、より簡単に利用できるように改良した可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、この発明は、携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置において、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ固有情報を計算機システム本体に与えるためのユーザ固有情報提供手段とを具備したことを特徴とする可搬型ペン入力装置を提供する。
【0013】第2の観点では、この発明は、上記可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈するための情報を得る計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システムを提供する。
【0014】
【作用】この発明の可搬型ペン入力装置およびペン入力計算機システムでは、可搬型ペン入力装置が、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶手段に記憶しておき、そのユーザ固有情報を、ユーザ固有情報提供手段により、使用するペン入力計算機本体に対して与える。そして、ペン入力計算機本体は、可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ固有情報によりペン操作を解釈するための情報を得て、ユーザのペン操作を解釈する。
【0015】そこで、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。また、ペン操作環境を設定する操作も不要になるか容易になる。
【0016】
【実施例】以下、図に示す実施例に基づいてこの発明をさらに詳細に説明する。なお、これによりこの発明が限定されるものではない。図1は、この発明の一実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの外観図である。このペン入力計算機システムAにおいて、計算機システム本体101にはディスプレイ装置を兼用するタブレット装置102が嵌め込まれている。また、インタフェース装置103が設けられている。タブレット装置102の入力面Gには、計算機システム本体101からのメッセージなどを表示できるようになっている。
【0017】ペン入力装置104は、携帯可能なペンの形状をしており、ユーザが個々に持っている。ペン入力装置104の後部の蓋114を外すと、ペンインタフェース装置114が露出する。ユーザは、紙にペンで文字や図形を描くように、タブレット装置102の入力面G上でペン入力装置104を操作する(以下、ペン操作と言う。)。すると、そのペン操作がタブレット装置102を通して計算機システム本体101に伝えられ、文字や図形の入力,文書の校正が実行される。また、ユーザは、ペンインタフェース装置114を露出させて、計算機システム本体101のインタフェース装置103に挿入する。すると、計算機システム本体101とペン入力装置104の間で、情報が交換される。
【0018】図2は、このペン入力計算機システムAの要部ブロック図である。ペン入力装置104は、記憶装置106と,ペンインタフェース装置107と,位置信号発生装置615とを備えている。
【0019】記憶装置106は、個人識別情報618と,操作解釈辞書619とを記憶している。個人識別情報618は、個人識別コード(図中、「18692.abcde」で示す。)と,サインとからなっている。個人識別コードの前半部分「18692」はユーザIDを表し、後半部分「abcde」はユーザが通常使用するホスト計算機IDを表している。操作解釈辞書619は、ユーザの癖を考慮してペン操作を解釈するために、ユーザが個々に定義したユーザ固有の内容である。
【0020】ペンインタフェース装置107は、記憶装置106に記憶している内容を計算機システム本体101との間で交換するためのものである。位置信号発生装置615は、ペン先の位置検出などのための電磁波を発生する。
【0021】計算機システム本体101は、諸処理部を記憶する第1記憶装置602と、ペン入力装置104内の操作解釈辞書619を複写するための第2記憶装置609と、計算機システム本体101の使用を許可されたユーザの個人識別コードを記憶する登録ユーザ記憶装置610と、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶している内容を取り込むためのインタフェース装置103とを備えている。
【0022】第1記憶装置602は、システム初期設定部608と、ペン操作解釈部605と、操作解釈辞書変更処理部606と、操作解釈辞書保存部607と、アプリケーション・プログラムI/F部604と、アプリケーションプログラム603とを記憶している。
【0023】タブレット装置102は、入力面G上のペン操作による軌跡情報,ストロークの方向を含む筆順情報,筆圧情報,速度情報を収集するためのペン位置検出装置613とペン筆圧検出装置614とを備えている。ペン位置検出装置613は、ペン入力装置104内の位置信号発生装置615から発生する電磁波によってペン先の位置を検出し、ペン操作に応じた軌跡情報などを収集する。ペン筆圧検出装置614は、ペン入力装置104のペン先がタブレット装置102の入力面Gを押す力を検出し、ペン操作に応じた筆圧情報などを収集する。
【0024】以下、このペン入力計算機システムAの動作を図3〜図6に示す各処理部の処理フロー図にしたがって説明する。図3は、システム初期設定部608の処理フロー図である。システム初期処理部608は、計算機システム本体101に電源を投入すると起動する。
【0025】ステップ701にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107の接続を要求するメッセージを出力する。そのメッセージは、ディスプレイ装置を兼用するタブレット装置102の入力面Gに表示される。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。ステップ702にて、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶されている個人識別情報618を、インタフェース装置103,ペンインタフェース装置107を通して読み取る。ステップ703にて、読み取った個人識別情報618の個人識別コードが、登録ユーザ記憶装置610に記憶している登録ユーザの個人識別コードとして登録されているか否かを判断する。前記個人識別情報618の個人識別コードが登録されているときは、ステップ704に進み,登録されていないときは、ステップ701に戻る。
【0026】ステップ704にて、サインの入力を要求するメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103からペン入力装置104のペンインタフェース装置107を取り外し、ペン入力装置104でブレット装置102の入力面G上にサインをペン操作する。ステップ705にて、タブレット装置102からの前記ペン操作による軌跡情報が、前記読み取った個人識別情報618のサインに一致するか否かを判断する。前記軌跡情報が個人識別情報618のサインに一致するときはステップ706に進み、一致しないときはステップ701に戻る。
【0027】ステップ706にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107の接続を要求するメッセージを出力する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。
【0028】ステップ707にて、ペン入力装置104内の記憶装置106に記憶されている操作解釈辞書619を読み取り、計算機システム本体101内の第2記憶装置609に格納する(以下では、第2記憶装置609に格納された操作解釈辞書を619αで示す)。ステップ708にて、ペン操作による入力が可能になった旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、システム初期設定部608の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移り、第2記憶装置609に格納したユーザ固有の操作解釈辞書619αでペン入力計算機システムAが使用可能状態となる。
【0029】ユーザは、前記メッセージを確認すると、計算機システム本体101のインタフェース装置103からペン入力装置104のペンインタフェース装置107を取り外し、ペン入力装置104でブレット装置102の入力面G上にペン操作する。
【0030】図4は、ペン操作解釈部605の処理フロー図である。ユーザは、通常の作業どおりに、タブレット装置102の入力面G上でペン操作する。ステップ801にて、タブレット装置102から前記ペン操作による軌跡情報,筆順情報,筆圧情報,速度情報(以下、ペン操作情報と略す。)を受け取る。
【0031】ステップ802にて、そのペン操作情報が「操作解釈辞書619αの内容変更」を指示するものか否かを判断する。前記指示には、「横に線を3往復させるペン操作」の如く特殊なジェスチャが割り当てられている。前記ペン操作情報をその特殊なジェスチャであると判断すると、ステップ806に進んで操作解釈辞書変更部606を起動する。この操作解釈辞書変更部606の処理については後述する。前記ペン操作情報を前記特殊なジェスチャでないと判断すると、ステップ803に進む。
【0032】ステップ803にて、前記ペン操作情報が「操作解釈辞書619αの保存」を指示するものか否かを判断する。前記指示には、「縦に線を3往復させるペン操作」の如く特殊なジェスチャが割り当てられている。前記ペン操作情報をその特殊なジェスチャであると判断すると、ステップ809に進んで操作解釈辞書保存部607を起動する。この操作解釈辞書保存部607の処理については後述する。前記ペン操作情報を前記特殊なジェスチャでないと判断すると、ステップ804に進む。
【0033】ステップ804にて、ペン操作情報を操作解釈辞書619αに基づいて解釈する。ステップ805にて、解釈したデータをアプリケーション・プログラムI/F部604に渡す。その後、ステップ801に戻って、次のペン操作情報を受け取る。アプリケーション・プログラムI/F部604では、前記解釈したデータを例えばワープロソフトなどのアプリケーション・プログラム603に適合する入力形式に加工してからアプリケーション・プログラム603に引き渡す。
【0034】操作解釈辞書変更部606の処理は、図5に示す処理フローにしたがって行なわれる。ステップ901にて、前記特殊なジェスチャ(横に線を3往復させるペン操作)の直前に入力された文字,校正指示などを変更対象とし、その変更対象となる文字,校正指示などをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、変更対象となる文字,校正指示などの表示を確認してから、その変更対象の文字,校正指示などに代わる新たな文字,校正指示などをペン操作する。
【0035】ステップ902にて、その新たな文字,校正指示などのペン操作によるペン操作情報を受け取る。ステップ903にて、受け取ったペン操作情報を、図9のステップ201,202の処理と同様に、標本化,ストローク抽出してから軌跡情報,筆順情報,筆圧情報,速度情報の各情報について解析する。
【0036】ステップ904にて、解析したデータを図1111に示した項目内容401の形式で記述して新たな操作解釈辞書項目(すなわち、ユーザ定義辞書項目)を作成し、その新たな操作解釈辞書項目を第2記憶装置609内に記憶している操作解釈辞書619αに登録する。このとき、それまで使用していた変更対象の操作解釈辞書項目は消去する。そして、操作解釈辞書変更部606の処理が終了した旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、操作解釈辞書変更部606の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移る。
【0037】操作解釈辞書保存部607の処理は、図6に示すような処理フローにしたがって行なわれる。ステップ1001にて、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続することを要求するメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。ユーザは、計算機システム本体101のインタフェース装置103にペン入力装置104のペンインタフェース装置107を接続する。ステップ1002にて、正しく接続されたか否かを判断する。正しく接続されていればステップ1003に進む。
【0038】ステップ1003にて、第2記憶装置609に格納している操作解釈辞書619αをインタフェース装置103,ペンインタフェース装置107を通してペン入力装置104内の記憶装置106に格納する。そして、操作解釈辞書保存部607の処理が終了した旨のメッセージをタブレット装置102の入力面Gに表示する。こうして、操作解釈辞書保存部607の処理が終了したところでペン操作解釈部605に処理が移る。
【0039】以上のペン入力計算機システムAによれば、ペン入力装置107を携帯することによって、ユーザは、出先のペン入力計算機システムAを使用するときでもユーザ固有の環境でペン操作することが出来るようになる。
【0040】図7は、この発明の他の実施例のペン入力計算機システムBの要部ブロック図である。このペン入力計算機システムBは、計算機システム本体101Bのインタフェース装置103Bとペン入力装置104Bのペンインタフェース装置107Bとが電波または光によって無接触で結ばれている点および計算機システム本体101B内に第2記憶装置609,操作解釈辞書保存部607がない点が上記ペン入力計算機システムAと異なっている。なお、上記ペン入力計算機システムAと同様な構成要素には、同じ符号を付している。
【0041】このペン入力計算機システムBでは、ペン操作解釈部605は、ペン操作情報を解釈する際に、インタフェース装置103B,ペンインタフェース装置107Bを介してペン入力装置104B内の操作解釈辞書619を参照する。このため、第2記憶装置609,操作解釈辞書保存部607がなくなっている。
【0042】図8は、この発明のさらに他の実施例のペン入力計算機システムCの要部ブロック図である。このペン入力計算機システムCにおいて、計算機システム本体101CはネットワークI/F装置625を備えており、ネットワーク接続装置624,624を通して621を含む複数のホスト計算機に接続されている。また、ペン入力装置104C内の記憶装置106には個人識別情報618だけが記憶されている。これらの点を除くと上記ペン入力計算機システムAとほぼ同様な構成であり、同様な構成要素は同じ符号で表記している。ユーザが通常使用しているホスト計算機621には、その操作解釈辞書専用記憶装置623内にユーザ固有の操作解釈辞書が記憶されている。
【0043】このペン入力計算機システムCでは、システム初期設定部608は、ペン入力計算機システムAと同様に、ステップ701〜706の処理を行なったのち、個人識別情報の後半部分「abcde」に基づいてネットワークI/F装置625,ネットワーク接続装置624,624を通してホスト計算機621にアクセスする。そして、そのホスト計算機621内の操作解釈辞書専用記憶装置623に記憶しているユーザ固有の操作解釈辞書を読み取り、計算機システム101C内の第2記憶装置609に格納する。
【0044】
【発明の効果】この発明の可搬型ペン入力装置によれば、ユーザ固有の操作解釈辞書を書き込んだフレキシブル・ディスクを読み込ませる必要がなくなる。また、ペン操作環境を設定する操作も不要になるか容易になる。従って、特別な知識を持たなくても簡単にペン入力計算機システムを利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの外観図である。
【図2】図1のペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図3】図1のペン入力計算機システムに係るシステム初期設定部の処理フロー図である。
【図4】図1のペン入力計算機システムに係るペン操作解釈部の処理フロー図である。
【図5】図1のペン入力計算機システムに係る操作解釈辞書変更部の処理フロー図である。
【図6】図1のペン入力計算機システムに係る操作解釈辞書保存部の処理フロー図である。
【図7】この発明の他の実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図8】この発明のさらに他の実施例のペン入力装置およびペン入力計算機システムの要部ブロック図である。
【図9】従来の手書き文字認識方法についての説明図である。
【図10】従来の操作解釈辞書の項目についての例示図である。
【図11】従来の操作解釈辞書のユーザ定義項目についての例示図である。
【図12】従来の操作解釈辞書の標準ペン操作,ユーザ定義ペン操作についての例示図である。
【符号の説明】
A ペン入力計算機システム
101 計算機システム本体
102 タブレット装置
103 インタフェース装置
103B インタフェース装置
104 ペン入力装置
106 記憶装置
107 ペンインタフェース装置
107B ペンインタフェース装置
618 個人識別情報
619 操作解釈辞書
【特許請求の範囲】
【請求項1】 携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置において、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ固有情報を計算機システム本体に与えるためのユーザ固有情報提供手段とを具備したことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項2】 請求項1に記載の可搬型ペン入力装置において、ユーザ固有情報は、ユーザが計算機システム本体を操作する環境を設定するための環境設定情報,ペン操作による軌跡を解釈するための軌跡辞書情報,ペン操作による筆順を解釈するための筆順辞書情報,ペン操作による筆圧を解釈するための筆圧辞書情報,ペン操作による速度を解釈するための速度辞書情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項3】 請求項1に記載の可搬型ペン入力装置において、ユーザ固有情報は、ユーザ識別情報と、ユーザが計算機システム本体を操作する環境を設定するための環境設定情報,ペン操作による軌跡を解釈するための軌跡辞書情報,ペン操作による筆順を解釈するための筆順辞書情報,ペン操作による筆圧を解釈するための筆圧辞書情報,ペン操作による速度を解釈するための速度辞書情報の少なくとも1つを含むユーザ情報をユーザ識別情報に対応させて記憶したホスト計算機識別情報とを含むことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の可搬型ペン入力装置と、必要な時に前記可搬型ペン入力装置のユーザ固有情報を参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の可搬型ペン入力装置と、予め前記可搬型ペン入力装置のユーザ固有情報を取り込んで記憶しその記憶したユーザ固有情報を必要な時に参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項6】 請求項3に記載の可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ識別情報およびホスト計算機識別情報をキーとして必要な時にホスト計算機のユーザ情報を回線を介して参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項7】 請求項3に記載の可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ識別情報およびホスト計算機識別情報をキーとして予めホスト計算機のユーザ情報を回線を介して取り込んで記憶しその記憶したユーザ情報を必要な時に参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項8】 請求項4から請求項7のいずれかに記載のペン入力計算機システムにおいて、電波または光によりユーザ固有情報を可搬型ペン入力装置から計算機システム本体に与えることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項1】 携帯可能なペン型の形状をしており、ペンのように操作することにより計算機システム本体への情報の入力を行なう可搬型ペン入力装置において、ユーザに対応したユーザ固有情報を記憶する記憶手段と、前記ユーザ固有情報を計算機システム本体に与えるためのユーザ固有情報提供手段とを具備したことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項2】 請求項1に記載の可搬型ペン入力装置において、ユーザ固有情報は、ユーザが計算機システム本体を操作する環境を設定するための環境設定情報,ペン操作による軌跡を解釈するための軌跡辞書情報,ペン操作による筆順を解釈するための筆順辞書情報,ペン操作による筆圧を解釈するための筆圧辞書情報,ペン操作による速度を解釈するための速度辞書情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項3】 請求項1に記載の可搬型ペン入力装置において、ユーザ固有情報は、ユーザ識別情報と、ユーザが計算機システム本体を操作する環境を設定するための環境設定情報,ペン操作による軌跡を解釈するための軌跡辞書情報,ペン操作による筆順を解釈するための筆順辞書情報,ペン操作による筆圧を解釈するための筆圧辞書情報,ペン操作による速度を解釈するための速度辞書情報の少なくとも1つを含むユーザ情報をユーザ識別情報に対応させて記憶したホスト計算機識別情報とを含むことを特徴とする可搬型ペン入力装置。
【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の可搬型ペン入力装置と、必要な時に前記可搬型ペン入力装置のユーザ固有情報を参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の可搬型ペン入力装置と、予め前記可搬型ペン入力装置のユーザ固有情報を取り込んで記憶しその記憶したユーザ固有情報を必要な時に参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項6】 請求項3に記載の可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ識別情報およびホスト計算機識別情報をキーとして必要な時にホスト計算機のユーザ情報を回線を介して参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項7】 請求項3に記載の可搬型ペン入力装置と、その可搬型ペン入力装置から与えられたユーザ識別情報およびホスト計算機識別情報をキーとして予めホスト計算機のユーザ情報を回線を介して取り込んで記憶しその記憶したユーザ情報を必要な時に参照する計算機システム本体とを具備してなることを特徴とするペン入力計算機システム。
【請求項8】 請求項4から請求項7のいずれかに記載のペン入力計算機システムにおいて、電波または光によりユーザ固有情報を可搬型ペン入力装置から計算機システム本体に与えることを特徴とするペン入力計算機システム。
【図1】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図9】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開平5−182029
【公開日】平成5年(1993)7月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−346342
【出願日】平成3年(1991)12月27日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成5年(1993)7月23日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)12月27日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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