説明

可搬型天幕のフレーム

【課題】 部品点数を少なくして、拡張状態及び折り畳み状態とする作業時に幕体がパイプ材間やジョイントピースに挟まることがなく、少ない人手で短時間に拡張状態及び折り畳み状態とする。
【解決手段】 断面角形の同一長で交差部分にカラー8を介在させて回動可能に連結したパイプ材6a,6bからなるパイプ材対6をハブ状のジョイントピース7を介して折り畳み可能に複数対連結したアーチ状支柱2を一方向に複数配列し、各アーチ状支柱のジョイントピース7間を、断面角形の同一長で交差部分にカラー8を介在させて回動可能に連結したパイプ材6a,6bからなる複数の桁部材3で連結し、拡張状態時に、隣接する各パイプ材対6をジョイントピース7を介して展開するとともに各パイプ材6a,6b各端部を離間状態を保持するロック手段18をアーチ状支柱2の接地する各パイプ材対6の対向するジョイントピース7,7間に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型天幕用のフレームに関し、詳しくは、一方向に配列される複数のアーチ状支柱と、各アーチ状支柱を連結する複数の桁部材とよりなり、これら支柱及び桁部材を展開して蒲鉾型の拡張状態と、これら支柱及び桁部材を折り畳んで束状の折り畳み状態とすることができる可搬型天幕用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフレームとして、前記アーチ状支柱が、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材をハブ状のジョイントピースを介して折り畳み可能に複数対連結した構成からなり、各アーチ状支柱の各ジョイントピースに、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材の各端部をそれぞれヒンジ連結したものがある。
【0003】
このフレームは、前記折り畳み状態では、各パイプ材対の各端部を閉じて隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースで折り返して束ね、前記拡張状態では、隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースを介して展開するとともに各パイプ材対の各端部を離間し、該各端部の対向するジョイントピース間に設けたロック手段にて離間状態を保持する。
【0004】
前記各パイプ材は、断面円形で、両パイプ材を直接接触した状態で交差させてピン又はリベット等により回動可能に連結され、それぞれの端部をハブ状のジョイントピースにブレード状のアタッチメントを介してヒンジ連結している。前記ジョイントピースは、前記アタッチメントを取り付けたリングを外半分と内半分との間に挟んでボルト及びナットで締結するもので、その周囲には、前記アタッチメントの回動用スリットが放射状に8カ所形成されている。前記アーチ状支柱は、複数対のパイプ材対が部位によって長さの異なるパイプ材で構成されている。前記ロック手段は、各パイプ材対の各端部の対向するジョイントピース間に設けられている。このロック手段は、一方のジョイントピースに設けられた雄型のロックバーと、他方のジョイントピースに設けられた雌型のロックバーとを係合させるもので、固定手段として、雄型のロックバーに周面から出没可能に設けたいわゆるダボを雌型ロックバーの周面に形成した開口から突出させる構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表平9−509234号公報 第1頁〜第35頁 図1〜10
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述のフレームは、アーチ状支柱と桁部材を展開して蒲鉾型の拡張状態とするにあたり、各パイプ材対の各端部に設けられたロック手段を中央部分から接地部分へ順に結合して行かなければならず、拡張状態及び折り畳み状態とするのに時間と人手を要するものであった。また、このフレームには、フレームの室外側となるジョイントピースに幕体が取り付けられるが、一対のパイプ材が直接接触した状態で交差させて回動可能に連結されていることから、拡張状態及び折り畳み状態とする際に、幕体が両パイプ材間に挟まって囓られるおそれがあり、この点に注意して作業をしなければならなかった。
【0006】
さらに、前記アーチ状支柱のパイプ材として長さの異なるものを用意しなければならず、また、パイプ材が断面円形であるため、アタッチメントを介してジョイントピースに連結しなければならない。また、前記ジョイントピースの構造も複雑であるから部品の種類や点数が膨大なものであった。しかも、前記ジョイントピースのアタッチメント回動用スリットが幕体を取り付ける面にまで形成されているので、このスリット部分に幕体が挟まって囓られるおそれがある。さらに、ロック手段のロック機構にダボを使用しているので、ロックしてからもガタつきが残り、大きな外力が掛かるとダボが外れてしまったり、ダボ部品そのものが脱落してしまうおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、部品点数が少なく、拡張状態及び折り畳み状態とする作業時に幕体がパイプ材間やジョイントピースに挟まることがなく、少ない人手で短時間に拡張状態及び折り畳み状態とすることができる可搬型天幕用のフレームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、一方向に配列される複数のアーチ状支柱と、各アーチ状支柱を連結する複数の桁部材とよりなり、これら支柱及び桁部材を展開して蒲鉾型の拡張状態となすとともに、これら支柱及び桁部材を折り畳んで束状の折り畳み状態となすことができる可搬型天幕用のフレームであって、前記アーチ状支柱は、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材をハブ状のジョイントピースを介して折り畳み可能に複数対連結してなり、前記桁部材は、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材の各端部を前記各アーチ状支柱の各ジョイントピースにそれぞれヒンジ連結してなり、前記折り畳み状態では、各パイプ材対の各端部を閉じて隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースで折り返して束ね、前記拡張状態では、隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースを介して展開するとともに各パイプ材対の各端部を離間し、該離間状態を対向するジョイントピース間に設けたロック手段にて保持する可搬型天幕用のフレームにおいて、前記一対のパイプ材は、断面角形の同一長で、両パイプ材の交差部分にカラーを介在させて両パイプ材間にクリアランスを存して回動可能に連結され、前記ジョイントピースは、一側面が平板状のプレート部と、該プレート部の他側面に十字状に4カ所形成された前記パイプ材の連結部と、各連結部の中心位置に前記一側面から他側面に貫通形成されたボルト挿通孔とを有し、前記ロック手段は、前記アーチ状支柱の接地する各パイプ材対の対向するジョイントピース間に設けられていることを特徴としている。また、前記接地する各パイプ材対の対向するジョイントピースは、室外側となるジョイントピースに接地板を、室内側となるジョイントピースに自在キャスターをそれぞれ取り付けて、拡張又は折り畳み作業をより容易に行えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明は、同一長さで同一角形断面の一対のパイプ材と、同一形状のジョイントピースとを組みあわせて構成されているから、部品の種類や点数を少なくできるとともに、組立作業工数、製造コストを削減することができ、部品交換も容易である。また、パイプ材を角パイプとすることによって、同径の丸パイプよりも断面性能が高くでき、軽量化が図れるとともに、パイプ材の長さを長く設定できることで、部品点数を少なくできる。さらに、2本のパイプ材間にクリアランスを設けることで、拡張又は折り畳み作業時に幕体が囓られることがなくなり、拡張又は折り畳み作業が速やかに行え、作業時にパイプ材間に作業者の指が挟まれることもない。さらに、折り畳み時には、前記クリアランスに幕体が収納されるから、収納時のサイズが不必要に大きくならない。
【0010】
しかも、拡張又は折り畳み作業は、アーチ状支柱の接地する各パイプ材対の対向するジョイントピース間のロック手段を係脱するだけで行えるから、作業が容易で人手も少なくて済む。さらに、接地する各パイプ材対の対向するジョイントピースの室外側に接地板を、室内側に自在キャスターをそれぞれ取り付けているから、拡張又は折り畳み作業がより容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を、図面に示す実施形態例に基づいて、さらに詳細に説明する。本実施形態例の可搬型天幕1は、一方向に配列される4組のアーチ状支柱2と、各アーチ状支柱2を連結する5組の桁部材3とで形成されるフレーム4と、該フレーム4を覆う幕体5とで構成されている。この可搬型天幕1は、前記各支柱2及び各桁部材3を展開して蒲鉾型の拡張状態となすとともに、前記各支柱2及び各桁部材3を折り畳んで束状の折り畳み状態となすことができる。
【0012】
前記各アーチ状支柱2は、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材6を4対それぞれハブ状のジョイントピース7を介して折り畳み可能に連結して形成したもので、各パイプ材対6は、各端部をジョイントピース7にそれぞれヒンジ連結している。前記各桁部材3は、前記パイプ材対6と同じく、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材6からなり、各パイプ材対6の各端部を隣接するアーチ状支柱2,2の前記ジョイントピース7,7にそれぞれヒンジ連結して、隣接するアーチ状支柱2,2間に5組配設されている。
【0013】
前記アーチ状支柱2の各パイプ材対6は、同一長さで同一角形断面の2本のパイプ材6a,6bで構成されている。各パイプ材6a,6bは、略中央部分に両パイプ材6a,6bを交差連結するボルト挿通孔6cが、各端部に前記ジョイントピース7とのヒンジ連結孔6dがそれぞれ穿設されている。2本のパイプ材6a,6bは、交差部分にカラー8を介在させて、両パイプ材6a,6b間に約20mmのクリアランスを存して、前記ボルト挿通孔6c,6cに挿通されるボルト9及び袋ナット10にて回動可能に連結されている。ボルト9には、ワッシャー9a及び前記ボルト挿通孔6c,6c用のスリーブ9bが外嵌されている。
【0014】
前記各ジョイントピース7は、円形の板材を例えば削りだし加工や射出成形したもので、一側面が平板状のプレート部7aと、該プレート部7aの他側面に十字状に4カ所形成された前記パイプ材6a又はパイプ材6bの連結部7b,7c,7d,7eと、各連結部7b,7c,7d,7eの中心位置に前記一側面から他側面に貫通形成されたボルト挿通孔7fとを有している。前記各連結部7b,7c,7d,7eは、前記プレート部7aの他側面に隆起形成され、前記パイプ材6a又はパイプ材6bの端部を連結するヒンジ連結孔7gが穿設されている。前記ボルト挿通孔7fは、プレート部7aの一側面側からボルト又はアイボルトを挿通するもので、該ボルト挿通孔7fの他側面側は、ナットの埋め込みが可能なように大径に形成されている。前記ヒンジ連結孔7gの位置は、連結された前記パイプ材6a又はパイプ材6bが前記プレート部7aに直交する折り畳み位置から約165度に亘る展開位置に回動可能なように、前記各連結部7b,7c,7d,7eの端部側に設けられている。また、前記ヒンジ連結孔7gは、前記パイプ材の連結側面に比べて反対側面がナットの埋め込みが可能なように大径に形成されており、パイプ材6a又はパイプ材6bのヒンジ連結孔6dから前記ヒンジ連結孔7gに挿通されるボルト11と大径側に埋め込まれるナット12にてパイプ材6a又はパイプ材6bがヒンジ連結される。前記ボルト11には、ワッシャー11a及び前記ヒンジ連結孔6d用のスリーブ11bが外嵌されている。なお、前記各ジョイントピース7は、プレート部7aを角形としてもよい。
【0015】
前記各アーチ状支柱2は、両端の2対のパイプ材対6、6と、中間の2対のパイプ材対6,6の計4対のパイプ材対から形成されている。これらのパイプ材対は、前記ジョイントピース7の連結部7b又は連結部7dにそれぞれ連結されている。
【0016】
すなわち、両端の各パイプ材対6は、フレーム1の展開時に、下半分が室外側になるパイプ材6aの下端を室外側接地ジョイントピース71の連結部7bに、下半分が室内側になるパイプ材6bの下端を室内側接地ジョイントピース72の連結部7bにそれぞれ連結され、前記パイプ材6aの上端は室内側肩部ジョイントピース73の連結部7dに、前記パイプ材7bの上端は室外側肩部ジョイントピース74の連結部7dにそれぞれ連結されている。
【0017】
中間の各パイプ材対6は、下半分が室外側になるパイプ材6bの下端を前記室外側肩部ジョイントピース74の連結部7bに、下半分が室内側になるパイプ材6aの下端を前記室内側肩部ジョイントピース73の連結部7bにそれぞれ連結している。中間のパイプ材対6,6同士は、パイプ材6aの上半分が室外側に、パイプ材6bの上半分が室内側になり、室外側になるパイプ材6a,6aの各上端は、一方のパイプ材6aの上端が室外側頂部ジョイントピース75の連結部7bに、他方のパイプ材6aの上端が室外側頂部ジョイントピース75の連結部7dにそれぞれ連結されている。室内側になるパイプ材6a,6aの各上端は、一方のパイプ材6aの上端が室内側頂部ジョイントピース76の連結部7bに、他方のパイプ材6aの上端が室内側頂部ジョイントピース76の連結部7dにそれぞれ連結されている。
【0018】
前記桁部材3は、室外側ジョイントピース71,74,75にそれぞれ一端を連結されたパイプ材6aは、他端を室内側ジョイントピース72,73,76にそれぞれ連結され、室内側ジョイントピース72,73,76にそれぞれ一端を連結されたパイプ材6bは、他端を室外側ジョイントピース71,74,75にそれぞれ連結されている。
【0019】
前記室外側の接地ジョイントピース71、肩部ジョイントピース74及び頂部ジョイントピース75の外面には、幕体5が前記フレーム4の拡張状態時に緊張するように取り付けられる。この幕体5の取り付けは、当該ジョイントピース7のプレート部7aの一側面に幕体4の外側にパッキン13aを介して幕体押さえ板13を当ててボルト止めするもので、前記室外側接地ジョイントピース71を除く残りのジョイントピース74,75には、アイボルト14を前記ボルト挿通孔7fに挿通してナット15にて取り付けることが好ましい。これにより、前記アイボルト14から張り綱16を取ることができる。また、室内側ジョイントピース72,73,76のボルト挿通孔7fに、前記アイボルト14を挿通してナット15にて取り付けることや、通常のボルトを取り付ける際に適宜なアタッチメントを介在させることによって、室内で使用する例えば蛍光灯等の器具を取り付けることができる。
【0020】
前記幕体5は、前記フレーム4の屋根部及び側部を覆う本体部5aと、該本体部5aの端縁に連続する裾部5bと、下部内側にグランドシート17を挟み込んで面ファスナー5d,5dで固定するシート取付片5cとで構成されている。前記裾部5bは、拡張時に外側へ折り返されて室内側へ雨水の浸入を防ぐ役目をする。
【0021】
前記各アーチ状支柱2は、前記室外側接地ジョイントピース71及び前記室内側接地ジョイントピース72間にのみ、前記フレーム4の拡張状態を保持するロック手段18を設けている。このロック手段18は、前記室外側接地ジョイントピース71に設けられる雄型ロックバー19と、前記室内側接地ジョイントピース72に設けられる雌型ロックバー20とで構成されている。
【0022】
前記雄型ロックバー19は、前記室外側接地ジョイントピース71のプレート部7aの一側面に前記幕体5、幕体押さえ板13及び接地板21を取り付けるために前記ボルト挿通孔7fに挿通されるボルト22にて前記各連結部7b,7c,7d,7eの中心部分に固定される。前記雌型ロックバー20は、前記室内側接地ジョイントピース72の一側面に自在キャスター23を取り付けるために前記ボルト挿通孔7fに挿通されるボルト22にて前記各連結部7b,7c,7d,7eの中心部分に固定される。前記接地板21は、前記ジョイントピース7への取付部21aと、該取付部21aから90度屈曲された接地部21bとで構成され、接地部21bには、ペグ24を打ち込むためのペグ孔21cが形成されている。
【0023】
前記雄型ロックバー19は、基端側に前記ボルト22の螺着用雌ねじ部19aを、先端に雄型係合部19bをそれぞれ有している。前記雌型ロックバー20は、基端側に前記ボルト22の螺着用雌ねじ部20aを、先端に雌型係合部20bをそれぞれ有している。該雌型係合部20bは、前記雄型係合部19bの挿入筒20cの周壁の複数の孔にそれぞれ係止ボール20dを出没可能に配置し、前記挿入筒20cの外周に前記係止ボール20dを挿入筒20cの内周へ押し出す突条20eを形成したリング20fをスプリング20gにて先端方向へ付勢させたもので、前記リング20fを基端側へスライドさせて、前記挿入筒20cに前記雄型係合部19bを挿入して前記リング20fを離すことにより、前記リング20fがスプリング20gの付勢力によって先端側へ移動し、前記係止ボール20dが前記突条20eにて挿入筒20cの内周へ押し出だされ、前記雄型係合部19bの外周に周設された凹溝19cに係合してロック状態となる。ロック解除は、前記リング20fを基端側へスライドさせ、前記係止ボール20dを外周方向に移動可能にして、前記雄型係合部19bを前記挿入筒20cから引き抜く。なお、この雄型ロックバー19と雌型ロックバー20の係脱は、一般的なホースジョイントの機構を利用したものであるから、ガタ無く確実にロックされる。
【0024】
次に、このように構成されたフレーム4を折り畳み状態にする場合と拡張状態にする場合とを説明する。折り畳み状態にする場合は、前記雄型ロックバー19と雌型ロックバー20の係合を解除した両端の各パイプ材対6のパイプ材6a,6bのうち、接地板21を取り付けたパイプ材6aの下端をパイプ材6bの上端に重ねるようにパイプ材6aを回動していくと、各アーチ状支柱2の隣接する各パイプ材対6が前記各ジョイントピース7で折り返されるとともに、各桁部材3の各パイプ材対6のパイプ材6a,6bが前記ボルト9を中心に拡がって前記各ジョイントピース7で折り返され、図2に示されるように、各アーチ状支柱2の各パイプ材対6と各桁部材3の各パイプ材対6とが束状の折り畳み状態となり、前記各自在キャスター23が接地した起立状態となる。この状態では、前記幕体5は、上側となる前記室外側接地ジョイントピース71、前記室外側肩部ジョイントピース74及び前記室外側頂部ジョイントピース75の外面に取り付けられていることから、図2において、上半分の各パイプ材対6間に折り畳まれて収納される。この際に、各室内側接地ジョイントピース72に取り付けた各自在キャスター23により折り畳み作業が少ない人手で容易に行える。
【0025】
この折り畳み状態から拡張状態とする場合は、図3に示されるように、各アーチ状支柱2の両端の各パイプ材対6のパイプ材6a,6bをアーチ状支柱2が展開する方向に引き出すとともに、各アーチ状支柱2の間隔が拡がるように引き出す。そして、各アーチ状支柱2の各パイプ材対6及び各桁部材3の各パイプ材対6が拡がった状態で、前記室外側接地ジョイントピース71及び前記室内側接地ジョイントピース72間の各雄型ロックバー19と各雌型ロックバー20とを結合して、各パイプ材対6のパイプ材6a,6bの各端部の離間状態を保持する。この際に、各室内側接地ジョイントピース72に取り付けた各自在キャスター23により拡張作業が少ない人手で容易に行える。
【0026】
これにより、前記フレーム4は蒲鉾型の拡張状態となり、該フレーム4を覆う前記幕体5も緊張状態に展開して、可搬型天幕1が蒲鉾型に形成される。そして、前記幕体5の裾部5bの上面に位置する前記各接地板21のペグ孔21cにペグ24を地面にそれぞれ打ち込んで固定するとともに、前記室外側肩部ジョイントピース74及び室外側頂部ジョイントピース75のアイボルト14からの引き綱16を取り、その先端を地面に固定する。
【0027】
このように、可搬型天幕1のフレーム4は、同一長さで同一角形断面の2本のパイプ材6a,6bと、同一形状のジョイントピース7とを組みあわせて構成されているから、部品の種類や点数を少なくできるとともに、これらを組み付けるボルト、ナット、カラー、ワッシャー等は、市販されている汎用品で構成できるので、組立作業工数、製造コストを削減することができ、部品交換も容易である。また、2本のパイプ材6a,6bを角パイプとすることによって、同径の丸パイプよりも断面性能が高くでき、軽量化が図れるとともに、パイプ材の長さを長く設定できることで、部品点数を少なくできる。さらに、2本のパイプ材6a,6b間にクリアランスを設けることで、拡張又は折り畳み作業時に幕体5が囓られることがなくなり、拡張又は折り畳み作業が速やかに行え、作業時にパイプ材6a,6b間に作業者の指が挟まれることもない。また、折り畳み時には、前記クリアランスに幕体が収納されるから、収納時のサイズが不必要に大きくならない。さらに、ジョイントピース7のパイプ材6a,6bの連結位置と幕体5の取付位置との間をプレート部7aがカバーしているから、拡張又は折り畳み作業時に幕体5が囓られることがない。
【0028】
しかも、拡張又は折り畳み作業は、前記室外側接地ジョイントピース71及び前記室内側接地ジョイントピース72間の各雄型ロックバー19と各雌型ロックバー20とを係脱するだけで行えるから、作業が容易で人手も少なくて済む。さらに、前記室外側接地ジョイントピース71に接地板21を、前記室内側接地ジョイントピース72に自在キャスター23をそれぞれ取り付けているから、拡張又は折り畳み作業がより容易に行える。
【0029】
また、2本のパイプ材6a,6bに角パイプを使用することで、ジョイントピース7との連結にアタッチメントを必要とせず、面同士の連結となるからガタつきを抑えることができ、ヒンジの動きも安定し、フレーム4全体の横揺れも少なくできる。また、フレーム4の拡張状態時に幕体5を緊張するように取り付けることで、幕体5のテンションによってフレーム4にブレース等を設けなくてもフレーム4全体の横揺れも少なくできるとともに、幕体5に皺ができにくいから、雨水が溜まることもなく雨仕舞いがよく、風で幕体5がバタバタすることも抑えられる。さらに、室外側のジョイントピース7に幕体5をアイボルト14で取り付けているから、フレーム4から直接張り綱16を取ることができて強度的に好ましい。また、室内側のジョイントピース7にアイボルト14やアタッチメントをボルトで取り付けることによって室内機器を直接フレーム4に取り付けることができ、さらに、パイプ材6a,6b間のカラー8にも吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】フレームの拡張状態を示す斜視図
【図2】フレームの折り畳み状態を示す斜視図
【図3】フレームを展開途中を示す斜視図
【図4】展開途中の幕体の一部を切り欠いた可搬型天幕の斜視図
【図5】幕体の一部を切り欠いた可搬型天幕の拡張状態を示す斜視図
【図6】両パイプ材の交差部分を示す拡大斜視図
【図7】両パイプ材の交差部分を示す拡大分解斜視図
【図8】フレーム接地部の拡張状態を示す斜視図
【図9】フレーム接地部の拡張状態を示す拡大斜視図
【図10】フレーム頂部の各パイプ材の連結を示す斜視図
【図11】ジョイントピースへの幕体の取付構造を示す分解斜視図
【図12】ジョイントピースへの幕体の取付構造を室内側から示す斜視図
【図13】ジョイントピースとパイプ材の連結構造をプレート部側から示す分解斜視図
【図14】ジョイントピースとパイプ材の連結構造をプレート部側から示す斜視図
【図15】ジョイントピースとパイプ材の連結構造を連結部側から示す分解斜視図
【図16】ジョイントピースとパイプ材の連結構造を連結部側から示す斜視図
【図17】雄型ロックバーの取付構造を示す分解斜視図
【図18】雌型ロックバーの取付構造を示す分解斜視図
【図19】雄型ロックバーと雌型ロックバーの斜視図
【図20】雄型ロックバーと雌型ロックバーの断面図
【図21】雄型係合部と雌型係合部の断面図
【図22】幕体の端部を示す一部切り欠き斜視図
【図23】幕体の端部を示す断面図
【符号の説明】
【0031】
1…可搬型天幕、2…アーチ状支柱、3…桁部材、4…フレーム、5…幕体、6…パイプ材対、6a,6b…パイプ材、7…ジョイントピース、7a…プレート部、7b,7c,7d,7e…連結部、7f…ボルト挿通孔、8…カラー、18…ロック手段、19…雄型ロックバー、20…雌型ロックバー、21…接地板、23…自在キャスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列される複数のアーチ状支柱と、各アーチ状支柱を連結する複数の桁部材とよりなり、これら支柱及び桁部材を展開して蒲鉾型の拡張状態となすとともに、これら支柱及び桁部材を折り畳んで束状の折り畳み状態となすことができる可搬型天幕用のフレームであって、前記アーチ状支柱は、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材をハブ状のジョイントピースを介して折り畳み可能に複数対連結してなり、前記桁部材は、交差させて互いに回動可能に連結したシザース状の一対のパイプ材の各端部を前記各アーチ状支柱の各ジョイントピースにそれぞれヒンジ連結してなり、前記折り畳み状態では、各パイプ材対の各端部を閉じて隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースで折り返して束ね、前記拡張状態では、隣接する各パイプ材対を前記ジョイントピースを介して展開するとともに各パイプ材対の各端部を離間し、該離間状態を対向するジョイントピース間に設けたロック手段にて保持する可搬型天幕用のフレームにおいて、前記一対のパイプ材は、断面角形の同一長で、両パイプ材の交差部分にカラーを介在させて両パイプ材間にクリアランスを存して回動可能に連結され、前記ジョイントピースは、一側面が平板状のプレート部と、該プレート部の他側面に十字状に4カ所形成された前記パイプ材の連結部と、各連結部の中心位置に前記一側面から他側面に貫通形成されたボルト挿通孔とを有し、前記ロック手段は、前記アーチ状支柱の接地する各パイプ材対の対向するジョイントピース間に設けられていることを特徴とする可搬型天幕のフレーム。
【請求項2】
前記接地する各パイプ材対の対向するジョイントピースは、室外側となるジョイントピースに接地板を、室内側となるジョイントピースに自在キャスターをそれぞれ取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の可搬型天幕のフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−63550(P2006−63550A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244730(P2004−244730)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(593056082)大川工業株式会社 (3)
【出願人】(591135794)高島株式会社 (11)
【Fターム(参考)】