説明

可搬型携帯端末及び方位推定プログラム

【課題】高精度な方位推定を実現する。
【解決手段】水平分力期待値推定部40が、可搬型携帯端末100の位置情報(Pos)に対応する、地磁気の水平分力の大きさの期待値(Mag_Hor_Ex)を取得し、選択部50は、地磁気センサ14において検出された地磁気の水平分力の大きさ(Mag_Hor)が、期待値から所定範囲内にあるか否かを判定し、その判定の結果、検出された水平分力の大きさが、所定範囲内にあると判定された場合に、地磁気センサ14の検出結果を用いた推定方位(Dir_Mag)を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、可搬型携帯端末及び方位推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両や歩行者などの移動体の位置情報を測定するシステムへの需要が高まっている。移動体の測位には、GPS(Global Positioning System)に代表される衛星測位技術が一般的に利用される。また、屋内など衛星測位技術を使用できない場所では、加速度センサや地磁気センサ、あるいはジャイロセンサなどの各種センサを使用した自律航法技術が、補完的に利用されている。
【0003】
ところで、歩行者が保持する小型装置(携帯端末など)の動きや移動軌跡を各種のセンサを使用して追跡する自律航法技術では、小型装置の方位検知には、一般的に、地磁気センサが用いられる。しかるに、地磁気センサが検出する地磁気は、大型の強磁性体によって擾乱したり、人工的な磁界の影響を受けやすく、また、地磁気センサ周辺の金属が帯磁することによる検出精度の低下が生じるおそれがあった。
【0004】
これに対し、最近では、地磁気センサの出力の信頼性を判定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−264028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、地磁気センサが検出した地磁気の伏角が異常であった場合に、信頼性が低いとの判定を行う。しかしながら、最近では、伏角には異常がないが、方位を正確に算出・推定できないような場合や、伏角には異常があっても、方位を正確に算出・推定できる場合も実験的に確認されているが、上記特許文献1では、このような場合に適応することは難しい。
【0007】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、端末本体の適切な方位推定を行うことが可能な可搬型携帯端末及び方位推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載の可搬型携帯端末は、端末本体と、前記端末本体に設けられ、地磁気を検出する地磁気検出部と、前記端末本体に設けられ、当該端末本体の角速度を検出する角速度検出部と、前記端末本体に設けられ、当該端末本体の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部が取得した位置情報に対応する、前記地磁気の水平分力の大きさの標準値を取得する標準値取得部と、前記地磁気検出部において検出された前記地磁気の水平分力の大きさが、前記標準値取得部により取得された標準値から所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、前記判定部による判定の結果、前記検出された水平分力の大きさが、前記所定範囲内にあると判定された場合に、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位と、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位のうち、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位を、前記端末本体の推定方位として出力する出力部と、を備える可搬型携帯端末である。
【0009】
本明細書に記載の方位推定プログラムは、地磁気を検出する地磁気検出部と、角速度を検出する角速度検出部と、位置情報を取得する位置情報取得部と、を備える可搬型携帯端末における方位推定プログラムであって、コンピュータを、前記位置情報取得部が取得した位置情報に対応する、前記地磁気の水平分力の大きさの標準値を取得する標準値取得部、前記地磁気検出部において検出された前記地磁気の水平分力の大きさが、前記標準値取得部により取得された標準値から所定範囲内にあるか否かを判定する判定部、及び前記判定部による判定の結果、前記検出された水平分力の大きさが、前記所定範囲内にあると判定された場合に、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位と、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位のうち、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位を、前記端末本体の推定方位として出力する出力部、として機能させる方位推定プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に記載の可搬型携帯端末及び方位推定プログラムは、端末本体の適切な方位推定を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る可搬型携帯端末の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(a)は、GPS測位部の出力を示す図であり、図2(b)は、地磁気センサの出力を示す図であり、図2(c)は、加速度センサの出力を示す図であり、図2(d)は、角速度センサの出力を示す図である。
【図3】図1の制御部のシステム構成図である。
【図4】図1の方位推定部を機能ブロックで示す図である。
【図5】水平分力を説明するための図である。
【図6】水平分力期待値推定部の機能ブロック図である。
【図7】水平分力期待値推定部の処理を示すフローチャートである。
【図8】水平分力の期待値を示す図である。
【図9】図9(a)は、3次元マトリクス状の期待値のデータベースであり、図9(b)は、図9(a)の一部を示す図である。
【図10】水平分力算出部の処理を示すフローチャートである。
【図11】選択部50の処理を示すフローチャートである。
【図12】図12(a)は、第1方位算出部の処理を示すフローチャートであり、図12(b)は、第2方位算出部の処理を示すフローチャートである。
【図13】図13(a)〜図13(c)は、第1方位算出部の処理を説明するための図である。
【図14】第2の実施形態における図4に対応する図である。
【図15】第3方位算出部の処理を示すフローチャートである。
【図16】図15の変形例を示すフローチャートである。
【図17】角速度センサ信頼度算出部の処理を示すフローチャートである。
【図18】選択部の処理を示すフローチャートである。
【図19】図18の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪第1の実施形態≫
以下、第1の実施形態に係る可搬型携帯端末及び方位推定プログラムについて、図1〜図13に基づいて詳細に説明する。図1は、本第1の実施形態に係る可搬型携帯端末100のブロック図である。可搬型携帯端末100は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型の端末である。可搬型携帯端末100は、図1に示すように、携帯端末本体としての端末本体60と、当該端末本体60内に設けられた、位置情報取得部としてのGPS測位部12と、地磁気検出部としての地磁気センサ14と、加速度センサ16と、角速度検出部としての角速度センサ18と、制御部20と、表示部30と、入力部32と、を有する。なお、可搬型携帯端末100は、通話機能や、メール、インターネットなどの通信機能、撮影機能などの各種機能を備える場合もあるが、図1等では、これらの機能を実現するための構成についての図示は省略している。
【0013】
GPS測位部12は、上空に存在するGPS衛星から、端末本体60、すなわち可搬型携帯端末100の絶対位置を演算するための信号を受信する。このGPS測位部12は、制御部20に向けて、図2(a)に示す位置情報(Pos)を出力する。この位置情報(Pos)は、Pos_Lat(緯度)、Pos_Lon(経度)及びPos_Height(高度)を含んでいる。
【0014】
地磁気センサ14は、3軸座標系上での地磁気(地磁気ベクトル)の検出が可能なセンサである。この地磁気センサ14は、制御部20に向けて、図2(b)に示す磁束密度に応じた電圧の情報(ベクトル(Mag))を出力する。この情報(Mag)は、Mag_X(X成分)、Mag_Y(Y成分)及びMag_Z(Z成分)を含んでいる。なお、本実施形態では、Y軸が基準軸とされ、Y軸の向いている方位が、端末の方位となる。
【0015】
加速度センサ16は、3軸方向それぞれについての加速度を検出することが可能なセンサである。この加速度センサ16は、制御部20に向けて、図2(c)に示す加速度の大きさに応じた電圧の情報(ベクトル(Acc))を出力する。この情報(Acc)は、Acc_X(X成分)、Acc_Y(Y成分)及びAcc_Z(Z成分)を含んでいる。
【0016】
角速度センサ18は、3軸回りの加速度を検出することが可能なセンサである。この角速度センサ18は、制御部20に向けて、図2(d)に示す角速度に応じた電圧の情報(Gyro)を出力する。この情報(Gyro)は、Gyro_X(X軸回りの成分)、Gyro_Y(Y軸回りの成分)及びGyro_Z(Z軸回りの成分)を含んでいる。
【0017】
図1に戻り、制御部20は、GPS測位部12、地磁気センサ14、加速度センサ16、角速度センサ18において検出された各情報を用いて、端末本体60、すなわち可搬型携帯端末100(及び当該可搬型携帯端末100を保持するユーザ)の移動軌跡を算出する。また、制御部20は、生成した移動軌跡の情報を表示部30に表示したり、入力部32からの指示を受け付けて、当該指示に応じた処理を行ったりする。なお、制御部20の具体的な構成等については、後述する。
【0018】
表示部30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、各種情報を表示する機能を有している。入力部32は、キーボードやタッチパネルなどを含み、ユーザからの指示を受け付けて、当該指示情報を、制御部20に対して出力する。
【0019】
図3には、制御部20のハードウェア構成が示されている。この図2に示すように、制御部20は、CPU90、ROM92、RAM94、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))96、入出力部97等を備えており、制御部20の構成各部は、バス98に接続されている。制御部20では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラムをCPU90が実行することにより、図4の各部の機能が実現される。また、入出力部97には、図1の各センサ、表示部30、及び入力部32等が接続されている。
【0020】
図4は、制御部20を機能ブロックにて示した図である。この図4に示すように、制御部20は、方位推定部22と、移動軌跡算出部24と、表示制御部26とを有する。方位推定部22は、GPS測位部12、地磁気センサ14、加速度センサ16、角速度センサ18において検出された各情報を用いて、方位を推定するものである。移動軌跡算出部24は、方位推定部22にて推定された方位を用いて可搬型携帯端末100(及び当該可搬型携帯端末100を保持するユーザ)の移動軌跡を算出する。表示制御部26は、移動軌跡算出部24で算出された移動軌跡を、表示部30に表示する。
【0021】
以下、方位推定部22について、詳細に説明する。
【0022】
方位推定部22は、図4に示すように、標準値取得部としての水平分力期待値推定部40と、水平分力算出部42と、地磁気センサ信頼度算出部48と、判定部及び出力部としての選択部50と、第1方位算出部44と、第2方位算出部46と、を有する。ここで、地磁気の水平分力について図5に基づいて説明する。水平分力は、図5に示すように、地磁気(全磁力)を水平面上に投射した成分を意味し、磁北成分や西成分を含んでいる。この水平分力と地磁気との間の角は、伏角と呼ばれている。
【0023】
図6は、水平分力期待値推定部40の機能ブロック図である。この図6に示すように、水平分力期待値推定部40は、座標−アドレス変換部52と、水平分力期待値記憶部54と、を有する。座標−アドレス変換部52は、GPS測位部12から入力された情報(Pos)を、データベース検索用のアドレスに変換する。水平分力期待値記憶部54は、水平分力期待値のデータベースを記憶しており、アドレスに応じた期待値を出力する。
【0024】
ここで、水平分力期待値推定部40の処理について、図7のフローチャートに沿って説明する。図7のフローチャートでは、まず、ステップS10において、座標−アドレス変換部52が、GPS測位部12から位置情報Posが入力されるまで待機する。位置情報Posが入力されると、ステップS12において、座標−アドレス変換部52が、Pos_Lat(−90〜+90[deg])を四捨五入して整数にする。次いで、ステップS14では、座標−アドレス変換部52が、Pos_Latを四捨五入して得られた整数に、+90して、これを緯度アドレスとして水平分力期待値記憶部54に出力する。なお、ステップS14の処理において、座標−アドレス変換部52が+90しているのは、全緯度アドレスを正の整数とするためである。すなわち、緯度アドレスとしては、0〜180のいずれかの整数が出力されることになる。
【0025】
次いで、ステップS16では、座標−アドレス変換部52が、Pos_Lon(−180〜+180[deg])を四捨五入して整数にする。次いで、ステップS18では、座標−アドレス変換部52が、Pos_Lonを四捨五入して得られた整数に、+180して、これを経度アドレスとして水平分力期待値記憶部54に出力する。なお、ステップS18の処理において、座標−アドレス変換部52が+180しているのは、全経度アドレスを正の整数とするためである。すなわち、経度アドレスとしては、0〜360のいずれかの整数が出力されることになる。
【0026】
次いで、ステップS20では、座標−アドレス変換部52が、Pos_Height(−1000〜+10000[deg])を四捨五入して整数にする。次いで、ステップS22では、座標−アドレス変換部52が、Pos_Heightを四捨五入して得られた整数に、+1000して、これを高度アドレスとして水平分力期待値記憶部54に出力する。なお、ステップS20において、座標−アドレス変換部52が、+1000しているのは、全高度アドレスを正の整数とするためである。すなわち、高度アドレスとしては、0〜11000のいずれかの整数が出力されることになる。
【0027】
次いで、ステップS24では、水平分力期待値記憶部54が、アドレスに応じた水平分力の期待値Mag_Hor_Exを出力する。ここで、水平分力の期待値は、図8に示すように、予め測定されている(理科年表等に掲載されている)ものである。したがって、水平分力期待値記憶部54に記憶されているデータベースとしては、この図8の情報を、図9(a)に示すような3次元マトリクス(メッシュ)とすることができる。具体的には、図9(a)の3次元マトリクスは、図9(b)に示すような、緯度アドレスと経度アドレスの2次元マトリクスを高さアドレスごとに作成し、各2次元マトリクスを高さアドレス順に積層したものである。したがって、水平分力期待値記憶部54は、座標−アドレス変換部52から入力された、緯度アドレス、経度アドレス、高度アドレスに基づいて、3次元マトリクスから水平分力の期待値Mag_Hor_Exを読み出して取得し、これを、地磁気センサ信頼度算出部48に出力する。なお、緯度、経度アドレスについては、例えば1(°)刻み、高度については、例えば200(m)刻みとすることができる。
【0028】
なお、上記の例では、水平分力期待値記憶部54は、3次元マトリクスを用いることとしたが、これに限られるものではない。例えば、高さに応じた水平分力の変動が微小であるような場合には、水平分力期待値記憶部54は、緯度アドレスと経度アドレスにより規定される2次元マトリクス(図9(b))から、水平分力の期待値を取得しても良い。このようにすることで、データベースのデータ量を小さくすることができるため、水平分力の期待値を迅速に出力することができる。
【0029】
図4に戻り、水平分力算出部42は、地磁気センサ14からの情報(Mag)及び加速度センサ16からの情報(Acc)を用いて、水平分力(Mag_Hor)を算出し、地磁気センサ信頼度算出部48に出力する。図10は、水平分力算出部42の処理を示すフローチャートである。この図10に示すように、水平分力算出部42は、ステップS30において、情報(Mag)及び情報(Acc)が、地磁気センサ14及び加速度センサ16から入力されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、水平分力算出部42は、ステップS32に移行して、水平分力(Mag_Hor)を算出する。ここで、水平分力算出部42は、水平分力Mag_Horを、次式(1)に基づいて算出する。
Mag_Hor=||Mag||・sinΘ …(1)
【0030】
ここで、||Mag||は、ベクトルMagの大きさ(ノルム)を意味する。すなわち、||Mag||は、次式(2)で表すことができる
||Mag||=(Mag_X2+Mag_Y2+Mag_Z21/2 …(2)
【0031】
また、角Θは、図5に示す、地磁気ベクトルと鉛直方向とが成す角であり、次式(3)により表すことができる。
Θ=cos-1<Acc,Mag>/||Acc||||Mag|| …(3)
【0032】
ここで、||Acc||は、ベクトルAccの大きさ(ノルム)を意味する。また、<Acc,Mag>は、ベクトルAccとベクトルMagの内積を意味している。すなわち、||Acc||,<Acc,Mag>は、次式(4)、(5)にて表すことができる。
||Acc||=(Acc_X2+Acc_Y2+Acc_Z21/2 …(4)
<Acc,Mag>=Acc_X・Mag_X+Acc_Y・Mag_Y+Acc_Z・Mag_Z …(5)
【0033】
以上のようにして求められる水平分力Mag_Horは、水平分力算出部42から地磁気センサ信頼度算出部48に送信される。
【0034】
図4に戻り、地磁気センサ信頼度算出部48は、水平分力期待値推定部40から入力される期待値Mag_Hor_Exと、水平分力算出部42から入力される実測値Mag_Horから地磁気センサの信頼度Mag_Hor_Relを算出して出力する。具体的には、地磁気センサ信頼度算出部48は、地磁気センサの信頼度Mag_Hor_Relを、次式(6)、(7)から算出する。
(i)Mag_Hor_Ex>Mag_Horの場合
Mag_Hor_Rel=(Mag_Hor_Ex−Mag_Hor)-1 …(6)
(ii)Mag_Hor_Ex≦Mag_Horの場合
Mag_Hor_Rel=Mag_Hor_Rel_Max …(7)
【0035】
なお、Mag_Hor_Rel_Maxは、Mag_Hor_Relがとりうる最大値を意味するものとする。上式(6)、(7)によれば、期待値Mag_Hor_Exよりも実測値Mag_Horが小さく、かつ、両者の差が大きい場合ほど、信頼度Mag_Hor_Relの値は、小さくなる。
【0036】
このようにして、信頼度Mag_Hor_Relが算出された後は、地磁気センサ信頼度算出部48は、選択部50に対して信頼度Mag_Hor_Relを出力する。
【0037】
選択部50は、図11に示す処理を実行する。具体的には、選択部50は、図11のステップS40において、信頼度Mag_Hor_Relが入力されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、ステップS42に移行し、選択部50は、信頼度Mag_Hor_Relが、あらかじめ定めた閾値Rel_THよりも大きいか否かを判断する。ここで、信頼度Mag_Hor_Relの値が小さければ小さいほど、信頼性が低く、信頼度Mag_Hor_Relの値が大きいほど信頼度が高いことを意味する。したがって、ステップS42の判断が肯定される場合とは、地磁気センサ14の信頼度が高いことを意味し、ステップS42の判断が否定される場合とは、地磁気センサ14の信頼度が低いことを意味する。ステップS42の判断が肯定された場合には、ステップS44に移行し、ステップS42の判断が否定された場合には、ステップS46に移行する。
【0038】
ステップS44に移行した場合には、選択部50は、後述する第1方位算出部44から入力された方位(Dir_Mag)を推定方位(Dir)として出力する。一方、ステップS46に移行した場合には、選択部50は、後述する第2方位算出部46から入力された方位(Dir_Gyro)を推定方位(Dir)として出力する。
【0039】
次に、第1方位算出部44及び第2方位算出部46による方位算出方法について説明する。図12(a)は、第1方位算出部44による方位算出処理を示すフローチャートであり、図12(b)は、第2方位算出部46による方位算出処理を示すフローチャートである。
【0040】
第1方位算出部44では、図12(a)のステップS50において、地磁気センサ14から情報(Mag)が入力され、加速度センサから情報(Acc)が入力されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、第1方位算出部44は、ステップS52に移行する。
【0041】
ステップS52では、第1方位算出部44が、地磁気の水平成分Mag_Horの大きさ(ノルム)である||Mag_Hor||を、次式(8)に基づいて算出する。
||Mag_Hor||=||Mag||sinΘ …(8)
【0042】
なお、角Θは、前述したように、図5に示す地磁気ベクトルと鉛直方向とが成す角である。
【0043】
次いで、図12(a)のステップS54では、第1方位算出部44が、可搬型携帯端末100の姿勢(φ(ピッチ),η(ロール))を算出する。ここで、ピッチφは、X軸回りの回転角を意味し、ロールηはY軸回りの回転角を意味する。また、図13(a)、図13(b)に示すように、ベクトルAcc(Acc_X,Acc_Y,Acc_Z)を表すと、tan(+η)、tan(−φ)は、次式(9)、(10)にて表すことができる。
tan(+η)=Acc_X/Acc_Z …(9)
tan(−φ)=Acc_Y/Acc_Z …(10)
【0044】
したがって、ロールηと、ピッチφは、次式(11)、(12)から算出することができる。
η=tan-1(Acc_X/Acc_Z) …(11)
φ=−tan-1(Acc_Y/Acc_Z) …(12)
【0045】
次いで、図12(a)のステップS56では、第1方位算出部44が、端末の姿勢(θ(ヨー))を算出する。ここで、θ(ヨー)は、Z軸回りの回転を意味し、このθが、端末のY軸(基準軸)が向いている方位となる。なお、θを求めるためには、各センサのXY平面を、水平面と一致させる必要がある。すなわち、ηとφの傾きを補正する必要がある。この場合、当該XY平面と水平面を一致させた場合の地磁気の強さを(Mag_X',Mag_Y',Mag_Z')とすると、次式(13)、(14)の関係が成り立つ。
【0046】
【数1】

【0047】
このとき、磁北とMag_X',Mag_Y'との関係は図13(c)のようになる。したがって、次式(15),(16)の関係が成り立つ。
||Mag_Hor||cos(θ−270)=Mag_X' …(15)
||Mag_Hor||sin(θ−270)=Mag_Y' …(16)
【0048】
以上より、第1方位算出部44は、上式(13)、(14)からMag_X',Mag_Y'を求め、これを上式(15),(16)に代入して解くことで、θを求める。このようにして得られるθを、第1方位算出部44は、端末の方位(Dir_Mag)として、選択部50に出力する。なお、選択部50が、出力する推定方位(Dir)としてDir_Magを選択した場合には、選択部50からは、第1方位算出部44で算出された角度θが移動軌跡算出部24に出力されることになる。
【0049】
次に、図12(b)のフローチャートに沿って、第2方位算出部46の処理について説明する。図12(b)のステップS60では、第2方位算出部46が、情報Gyro及び情報Accが入力されたか否かを判断する。ここでの判断が肯定されると、第2方位算出部46は、ステップS62に移行する。ステップS62では、第2方位算出部46は、前述した第1方位算出部44と同様の式を用いて(Magの成分をGyroの成分に置き換えて)θを求める。そして、第2方位算出部46は、θを用いて、角速度センサ18のXY平面と水平面を一致させた場合の角速度(Gyro_X',Gyro_Y',Gyro_Z')のうち、成分Gyro_Z'を求める。ここで、Gyro_Z'は、鉛直軸回りの角速度を意味する。
【0050】
次いで、ステップS64では、第2方位算出部46が、Gyro_Z'を時間T0からT1まで積分して相対方位Δθを求める。具体的には、第2方位算出部46は、次式(17)により、Δθを求める。
【0051】
【数2】

【0052】
次いで、ステップS66では、第2方位算出部46は、Δθを、端末の方位(Dir_Gyro)として、選択部50に出力する。なお、選択部50が、出力する推定方位(Dir)としてDir_Gyroを選択した場合には、選択部50からは、第2方位算出部46で算出された方位Δθが移動軌跡算出部24に出力されることになる。
【0053】
図4に戻り、移動軌跡算出部24は、選択部50から入力された推定方位Dirを用いて、端末本体60、すなわち可搬型携帯端末100の移動軌跡を算出する。ここでは、例えば、移動軌跡算出部24は、ユーザが直線移動している間の距離Hを、加速度センサ16から得られるユーザの歩数Cと予め定められているユーザの歩幅wとから算出(H=C×w)し、その距離Hと、推定方位Dirとを用いて移動軌跡を算出する。そして、表示制御部26は、移動軌跡算出部24にて算出された移動軌跡を表示部30上に表示する。
【0054】
以上、説明したように、本第1の実施形態によると、水平分力期待値推定部40が、可搬型携帯端末100の位置情報(Pos)に対応する、地磁気の水平分力の大きさの期待値(Mag_Hor_Ex)を取得し(ステップS24)、選択部50は、地磁気センサ14において検出された地磁気の水平分力の大きさ(Mag_Hor)が、期待値から所定範囲内にあるか否かを判定し(ステップS42)、その判定の結果、検出された水平分力の大きさが、所定範囲内にあると判定された場合に、地磁気センサ14の検出結果を用いた推定方位(Dir_Mag)を出力する(ステップS44)。このように、選択部50は、地磁気センサ14の水平分力の大きさに基づいて、信頼度が高いか否かを判断する。従って、大型の強磁性体による擾乱、人工的な磁界などの周辺環境による影響を受けても問題なく方位を推定できる程度に水平分力が大きい場合に、地磁気センサ14の検出結果を用いた推定方位の出力を行うことかできる。これにより、高精度に方位推定を行うことが可能となる。
【0055】
また、本第1の実施形態では、選択部50は、地磁気センサ14において検出された水平分力の大きさが、所定範囲内にない場合には、角速度センサ18を用いて算出される方位(Dir_Gyro)を推定方位(Dir)とする(ステップS46)。これにより、地磁気センサ14の信頼度が低い場合に、推定方位(Dir)を、角速度センサ18を用いて算出される方位で代替することができる。これにより、高精度な方位推定を連続的に行うことが可能となる。
【0056】
なお、上記第1の実施形態では、選択部50は、地磁気の水平分力が期待値よりも所定値以上小さい場合に、信頼度が低いと判断することとしたが、これに限られるものではない。すなわち、例えば、選択部50は、地磁気の水平分力が期待値よりも所定値以上大きい場合にも、信頼度が低いと判断することとしても良い。期待値と比べて異常なほど大きい水平分力である場合には、装置が故障している可能性があるからである。この場合、期待値よりも小さい場合に用いる所定値と、期待値よりも大きい場合に用いる所定値は、異ならせてもよいし、同一であっても良い。
【0057】
なお、上記第1の実施形態では、期待値を得るためのアドレスとして、GPS測位部12により測位された結果を用いることとしたが、これに限られるものではない。例えば、可搬型携帯端末100が通信可能な、携帯電話の基地局(アクセスポイント)の位置に基づいて、可搬型携帯端末100の凡その位置を取得し、その位置をアドレスとして、期待値を得ることとしても良い。なお、携帯電話の基地局に限らず、その他の位置情報計測装置により計測される可搬型携帯端末100の位置情報に基づいて、期待値を得ることとしても良い。また、上記実施形態では、期待値のデータベースを、緯度、経度に基づいて細かく(1°ごと)作成した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、地域ごと(関東や東海、東北、あるいは都道府県ごと)など、種々の範囲で、期待値を設定しておくこととしても良い。
【0058】
≪第2の実施形態≫
以下、可搬型携帯端末の第2の実施形態について、図14〜図19に基づいて説明する。図14には、第1の実施形態の図4に対応する図が示されている。この図14に示すように、本第2の実施形態では、方位推定部22の機能として、第3方位算出部41と、角速度センサ信頼度算出部47と、が追加されており、これらの追加に伴って、選択部50などの処理が第1の実施形態から変更されている。以下においては、第1の実施形態と異なる点について詳細に説明し、第1の実施形態と同一又は同等な構成、処理についての説明は省略するものとする。
【0059】
図14の第3方位算出部41は、GPS測位部12から入力される位置情報(Pos)から推定方位(Dir_GPS)を算出する。角速度センサ信頼度算出部47は、角速度センサ18から入力される情報(Gyro)から角速度センサの信頼度(Gyro_Rel)を算出する。ここで、第3方位算出部41及び角速度センサ信頼度算出部47の処理について、図15,図17のフローチャートに沿って説明する。
【0060】
図15は、第3方位算出部41の処理を示すフローチャートである。第3方位算出部41は、図15のステップS110において、GPS測位部12で取得される位置情報Posを読み込む。次いで、ステップS112では、第3方位算出部41が、Pos_0として、ステップS110で読み込んだPosを設定する(Pos_0=Pos)。
【0061】
次いで、ステップS114では、第3方位算出部41が、再度、GPS測位部12にて取得されたPosを読み込む。次いで、ステップS116では、第3方位算出部41が、Pos_1として、ステップS114で読み込んだPosを設定する(Pos_1=Pos)。
【0062】
次いで、ステップS118では、第3方位算出部41が、Pos_1とPos_0とが一致しているか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合、すなわち、可搬型携帯端末100がステップS110とステップS114との間に移動していない場合には、ステップS114に戻る。一方、ステップS118の判断が否定された場合、すなわち、可搬型携帯端末100がステップS110とステップS114との間に移動していた場合には、ステップS120に移行する。
【0063】
ステップS120では、第3方位算出部41は、球面三角法を用いて、方位(Dir_GPS)を算出する。すなわち、GPS測位部12において取得される絶対位置の変化を、方位Dir_GPSとして算出する。その後は、ステップS110に戻る。
【0064】
なお、上記においては、ステップS120の後にステップS110に戻る場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、図16に示すように、ステップS120の後に、ステップS122に移行して、第3方位算出部41が、Pos_1をPos_0に設定するのであれば、ステップS122の後に、ステップS114に戻るようにすれば良い。
【0065】
次に、図17に基づいて、角速度センサ信頼度算出部47の処理について説明する。角速度センサ信頼度算出部47は、図17のステップS130において、タイマ(T)を0に設定する。
【0066】
次いで、ステップS132では、角速度センサ信頼度算出部47が、Tを1インクリメントする(T←T+1)。次いで、ステップS134では、角速度センサ信頼度算出部47が、角速度センサ18において取得される情報(Gyro)を読み込む。次いで、ステップS136では、角速度センサ信頼度算出部47が、Gyro[T]としてステップS134で読み込んだGyroを設定する。
【0067】
次いで、ステップS138では、角速度センサ信頼度算出部47が、TがTendであるか否かを判断する。ここで、Tendとは、予め定められているタイマの計時終了時間を意味する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、計時終了時間に至っていない場合には、ステップS132に戻る。ステップS132に戻った以降は、Tを1インクリメントしつつ、Gyroの読み込みを繰り返す。一方、ステップS138の判断が肯定された場合には、ステップS140に移行する。なお、ステップS138の判断が肯定された段階では、タイマが0からTendに至るまでのGyroの時系列波形が取得されることになる。
【0068】
ステップS140では、角速度センサ信頼度算出部47が、Gyroの時系列波形にHPF(ハイパスフィルタ)をかける。すなわち、HPFをかけることで、周波数の高い歩行雑音程度の周波数成分(例えば1Hz以上)を取得する。
【0069】
次いで、ステップS142では、角速度センサ信頼度算出部47が、周波数の最大値Mを取得する。ここで、最大値Mが大きい場合、歩行雑音の影響が大きく、角速度センサ18の信頼度は低いことを意味する。
【0070】
次いで、ステップS144では、角速度センサ信頼度算出部47が、角速度センサ18の信頼度(Gyro_Rel)として、M-1を設定する。このように、Mを−1乗することで、M-1の値が大きいときに、信頼度(Gyro_Rel)が高く、M-1の値が小さいときに、信頼度(Gyro_Rel)が低いことを意味するようになる。
【0071】
次いで、ステップS146では、角速度センサ信頼度算出部47が、信頼度Gyro_Relを選択部50に対して出力する。その後は、ステップS130に戻り、角速度センサ信頼度算出部47は、上述した処理を繰り返す。
【0072】
次に、本第2の実施形態における選択部50の処理について、図18に基づいて説明する。選択部50は、図18のステップS150において、第1の実施形態と同様にして地磁気センサ信頼度算出部48において算出される地磁気センサ14の信頼度Mag_Hor_Relと、図17で説明した角速度センサ18の信頼度Gyro_Relと、を読み出す。
【0073】
次いで、ステップS152では、選択部50が、信頼度Mag_Hor_Relが閾値Mth以上であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合、すなわち、地磁気センサ14の信頼度が高い場合には、ステップS154に移行して推定方位(Dir)として、第1方位算出部44において算出された方位(Dir_Mag)を、移動軌跡算出部24に対して出力する。なお、地磁気センサ14の信頼度が高い場合に、選択部50が第1方位算出部44において算出された方位を出力する点については、第1の実施形態と同様である。
【0074】
一方、ステップS152における判断が否定された場合、すなわち、地磁気センサ14の信頼度が低い場合には、ステップS156に移行する。このステップS156では、選択部50が、角速度センサ18の信頼度Gyro_Relが、閾値Gth以上であるか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合、すなわち、地磁気センサ14と角速度センサ18の信頼度が低い場合には、ステップS158に移行する。このステップS158では、選択部50が、推定方位(Dir)として、第3方位算出部41が算出した方位(Dir_GPS)を、移動軌跡算出部24に対して出力する。
【0075】
これに対し、ステップS156の判断が否定された場合には、ステップS160に移行し、選択部50が、信頼度Mag_Rel、Gyro_Relを正規化する。すなわち、選択部50は、信頼度Mag_Relと信頼度Gyro_Relとを比較できるような処理(換算処理)を施す。次いで、ステップS162では、選択部50が、正規化後のMag_Relが、正規化後のGyro_Rel以上であるか否かを判断する。ここでの判断が肯定された場合には、選択部50は、ステップS154に移行し、相対的に信頼性の高い第1方位算出部44で算出された方位(Dir_Mag)を推定方位(Dir)として、移動軌跡算出部24に対して出力する。一方、ステップS162の判断が否定された場合には、第2方位算出部46により算出された方位(Dir_Gyro)を推定方位(Dir)として、移動軌跡算出部24に対して出力する。
【0076】
ステップS154,S158,S164を経た後は、選択部50は、ステップS150に戻り、以降、上記と同様の処理を行う。
【0077】
なお、本第2の実施形態では、移動軌跡算出部24には、推定方位として、絶対方位(ステップS158,S154)と、相対方位(ステップS164)のいずれかが出力されることになる。したがって、選択部50から推定方位を出力する際には、出力している推定方位が絶対位置であるか相対位置であるかを明確にするための情報を、移動軌跡算出部24に対して出力することとしても良い。
【0078】
以上、詳細に説明したように、本第2の実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、選択部50が、地磁気センサ14の信頼度と角速度センサ18の信頼度の両方を判定し、いずれも信頼度が低い場合に、GPS測位部12の測位結果を用いて算出される方位(Dir_GPS)を、推定方位(Dir)として出力するので、地磁気センサ14、角速度センサ18、及びGPS測位部12の三者を用いて、適切な方位推定を連続的に行うことが可能となる。
【0079】
また、本第2の実施形態では、地磁気センサ14の信頼度が低く、角速度センサ18の信頼度が高い場合でも、一律に角速度センサ18を用いた方位推定を行わず、両信頼度を正規化して比較した結果、正規化後の信頼度が高いほうのセンサを用いて算出される方位を推定方位とするので、この点からも、高精度な方位推定が実現可能である。
【0080】
なお、上記第2の実施形態では、選択部50の処理として、図18のフローチャートに沿った処理を採用した場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、図19のような処理を採用することとしても良い。図19の処理は、ステップS152において判断が肯定された後(地磁気センサ14の信頼度が高いと判定された後)に、ステップS170において、角速度センサ18の信頼度が高いか否かの判定を行う。ステップS170の判断が否定された場合には、ステップS154に移行し、ステップS170の判断が肯定された場合には、ステップS160に移行する。このようにすることで、地磁気センサ14と角速度センサ18の信頼性がいずれも高い場合に、各センサ(正規化後)のうち信頼度が高いほうのセンサの計測結果を用いることとすることができる。これにより、より適切に、方位推定に用いるセンサの選択を行うことができる。
【0081】
なお、上記各実施形態では、選択部50にて選択されない側のセンサに対する電源供給をOFFにする制御を行うこともできる。このように、推定方位の出力に用いられないセンサへの電源供給を行わないこととすることで、低消費電力化を図ることが可能となる。また、従来技術であれば、地磁気センサが検出した地磁気の伏角が異常であった場合に、信頼性が低いとの判定がなされる。従って、方位に関する変化を捉えたい場合には、地磁気センサ以外のセンサを稼動させる必要が出てくるであろう。しかし、上記各実施形態であれば、伏角が異常であっても水平分力が期待値の所定範囲内の値として検出できれば地磁気センサを利用できる。地磁気センサは、角速度センサと比較して消費電力が少ない。従って、上記各実施形態であれば、地磁気センサを利用できる機会を多くでき、可搬型携帯端末の低消費電力化に寄与できる。
【0082】
なお、本実施形態における制御部20の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、制御部20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0083】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0084】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0085】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0086】
12 GPS測位部(位置情報取得部)
14 地磁気センサ(地磁気検出部)
16 角速度センサ(角速度検出部)
40 水平分力期待値推定部(標準値取得部)
50 選択部(判定部、出力部)
60 端末本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末本体と、
前記端末本体に設けられ、地磁気を検出する地磁気検出部と、
前記端末本体に設けられ、当該端末本体の角速度を検出する角速度検出部と、
前記端末本体に設けられ、当該端末本体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した位置情報に対応する、前記地磁気の水平分力の大きさの標準値を取得する標準値取得部と、
前記地磁気検出部において検出された前記地磁気の水平分力の大きさが、前記標準値取得部により取得された標準値から所定範囲内にあるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定の結果、前記検出された水平分力の大きさが、前記所定範囲内にあると判定された場合に、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位と、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位のうち、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位を、前記端末本体の推定方位として出力する出力部と、を備える可搬型携帯端末。
【請求項2】
前記判定部による判定の結果、前記検出された水平分力の大きさが前記所定範囲内にないと判定された場合、
前記出力部は、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位を、前記端末本体の推定方位として出力することを特徴とする請求項1に記載の可搬型携帯端末。
【請求項3】
前記判定部は、前記検出された水平分力の大きさが前記所定範囲内にないと判定した場合に、前記角速度検出部による検出結果の信頼度が所定値以上であるか否かを更に判定し、
前記出力部は、
前記判定部による判定の結果、前記信頼度が所定値よりも小さかった場合には、前記位置情報取得部の検出結果から算出される方位を、前記推定方位として出力し、
前記信頼性が所定値よりも大きかった場合には、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位を、前記推定方位として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の可搬型携帯端末。
【請求項4】
前記所定範囲は、前記地磁気の水平分力の大きさの標準値から一定値を差し引いた値以上の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の可搬型携帯端末。
【請求項5】
地磁気を検出する地磁気検出部と、角速度を検出する角速度検出部と、位置情報を取得する位置情報取得部と、を備える可搬型携帯端末における方位推定プログラムであって、
コンピュータを、
前記位置情報取得部が取得した位置情報に対応する、前記地磁気の水平分力の大きさの標準値を取得する標準値取得部、
前記地磁気検出部において検出された前記地磁気の水平分力の大きさが、前記標準値取得部により取得された標準値から所定範囲内にあるか否かを判定する判定部、及び
前記判定部による判定の結果、前記検出された水平分力の大きさが、前記所定範囲内にあると判定された場合に、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位と、前記角速度検出部の検出結果から算出される方位のうち、前記地磁気検出部の検出結果から算出される方位を、前記端末本体の推定方位として出力する出力部、
として機能させることを特徴とする方位推定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−214833(P2011−214833A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80153(P2010−80153)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】