説明

可搬式測定プローブ、測定装置、測定値を決定するための測定方法、並びに測定装置の使用方法

【課題】 複数の溶融容器を単一の測定プローブで測定し、評価する方法を提供する。
【解決手段】可搬式測定プローブは、情報の無線送信のための送受信モジュールを内蔵し、該送受信モジュールは、測定プローブ(3)の位置データ検出して評価装置(2)に送信するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可搬式測定プローブ、測定装置、測定値を決定するための測定方法、並びに測定装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬式測定プローブは公知であり種々の目的に使用されている。例えば米国特許第6451186B1には溶融氷晶石(クリオライト)中で測定するための測定プローブが開示されている。このような測定プローブはセンサ(感知器)と、ケーブルによって評価用電子回路に接続された信号線とを有する。このようにして、これらのプローブは限られた範囲で移動可能であり、異なった測定場所で使用できる。
【0003】
Light Metals,1998,pp331、ffから、無線信号をいわゆるページャー(携帯無線呼び出し器)を装備したオペレータに送信するために、アルミニウム工場の溶融炉に定置送信器を設置することが知られている。ここでは、限界値を超えた時に警報信号が送信される。重要なデータは個々の溶融炉から制御センターに送られる。溶鋼炉で得られる測定信号を無線送信するための装置は特開2000−028438A及び米国特許第5319576Aにより公知である。
【0004】
Lulea University Technologyから、室内位置決め装置が知られており(ISSN 1404−5494)、その助けにより建物内の位置の非常に正確な決定が可能である。この装置はGPSの拡張であって、追加の手段を使用しない限り閉じた装置内では機能しない。室内で使用するためのGPSの適用は米国特許第5815114Aに記載がある。
【特許文献1】米国特許第6451186B1明細書
【特許文献2】特開2000−028438A明細書
【特許文献3】米国特許第5319576A明細書
【特許文献4】米国特許第5815114A明細書
【非特許文献1】Light Metals,1998,pp331、ff
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題はケーブルの長さに関係なく測定結果を簡単な方法で伝送するために、測定プローブを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記の課題は本発明の特徴により解決される。本発明にあっては、測定プローブは建物内又は閉じた空間における情報の無線送信のための送受信モジュールを有し、該送受信モジュールは測定プローブの位置データを特に屋内位置測定装置により検出して評価装置に送信するように構成されている。測定プローブ自体は非常に軽量であり、操作者が測定プローブを移動するのを阻害するようなケーブルは不要である。そして、原理的に一つの測定プローブの操作は任意数の測定個所の測定に充分であり、そのため単一の測定装置しか必要としない。評価装置は中央位置に配置され、制御センターにおいて測定データが受信され且つ処理され、そして測定された環境例えばアルミニウム工場の溶融炉内の環境を制御する。位置測定と伝送及び特性測定と伝送を組み合わせることにより、特性測定値は常に特定の位置、例えば特定の溶融炉又は被測定媒体に正確に且つ具体的に関連づけられる。ここで、送受信モジュールをデータ送信用ユニットとデータ受信用ユニットから構成すると有利であり、その場合位置データは無線で受信及び再送信され、そして特性データは同様に無線で再送信される。そして、異なったデータは異なった送信器で再送信される。送受信器の一体化もまた可能である。
【0007】
測定プローブが(好ましくは溶金属及び/又は溶融氷晶石の)温度及び化学成分を検出するセンサを有し、そして送受信モジュールが温度及び/又は化学成分を特性付ける測定パラメータを評価装置に送信するのに適していれば有利である。こうすれば、製鋼工場や特にアルミニウム工場における溶融工程が有利に検出且つ評価できる。本発明による測定装置は、本発明による測定プローブの他に、情報を無線受信するための受信器を備えた評価装置を含む。更に、情報の伝送は赤外線又は紫外線により行うことができる。各種の技術が互いに組み合わされている無線波による送信(例えばBluetooth技術によるいわゆるWLAN)も可能である。
【0008】
評価装置による可搬式測定プローブの測定データの検出を行う本発明の方法は、測定プローブが自己の空間位置をセンサにより検出し、測定データとその測定データ検出時の該空間位置とを該センサにより評価装置へ無線送信することを特徴とする。原則として測定値が特定位置(例えばアルミニウム製造工場の溶融炉)に関連づけられることが重要なので、測定データと位置の検出は同時に行われなくても良く、測定データの検出の少し前又は少し後に位置検出を行ってもよい。ここで、空間位置が送受信モジュールにより検出され、それに対して測定プローブの空間位置に対応した測定データが同様に無線送信される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、測定プローブはその空間位置を検出し、そして複数位置において順次測定データを検出し、そして位置データと測定データをそれぞれ評価装置に送信する。特に、本方法は測定データ、特に溶融金属や溶融氷晶石の温度又は化学成分に関するデータを測定するのに有効である。
従って、本発明の測定プローブは溶融金属や溶融氷晶石の温度又は化学成分を測定し、また特に異なった複数の溶融容器におけるこれらの特性の逐次測定に使用できる。
【実施例】
【0010】
以下に添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は複数個の順に並べた電解槽1を有するアルミニウム工場内を示す。処理工程において、例えば溶融アルミニウムの浴温度又は成分濃度が測定され、測定で得た信号は制御センター2に再送信される。制御センター2には送信されたデータの評価装置が含まれる。一連の電解槽の長さは100m以上の場合もあるので、ケーブルで結んだ測定プローブ3を使用することは、追加の手段を使用しない限り不可能である。そのため以前には1つの静置測定プローブを各1つの電解槽1に割り付けるか、又は数個の電解槽を測定するために複数の電解槽に対してケーブル付きの1個の測定プローブを割り付けていた。しかし、特定の電解槽に個々の測定信号を複雑に割り付ける必要があった。測定プローブ3の位置に関連づけて測定データを無線送信すると、明確な割付が可能となる。この目的で測定プローブ3は、屋内位置測定装置4(IPS)を使用して得られ且つ制御センター2に再送信される位置データを検出して再送信する送受信モジュールを含む。この位置データは制御センターで複数の電解槽1の記憶された位置データと比較される。測定プローブ3は更に溶融物から得た測定信号を制御センターに送信する再送信モジュールを含む。制御センターではデータが評価される。従って各電解槽1は単純な形で個別に制御できる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の測定プローブは溶融金属や溶融氷晶石の温度又は化学成分を測定し、また特に異なった複数の溶融容器におけるこれらの特性の逐次測定に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アルミニウム工場に本発明を応用した実施例を説明する図面である。
【符号の説明】
【0013】
1 電解槽
2 評価センター
3 測定プローブ
4 屋内位置測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の無線送信のための送受信モジュールを内蔵し、該送受信モジュールは、測定プローブ(3)の位置データを検出して評価装置(2)に送信するように構成されている、可搬式測定プローブ。
【請求項2】
前記送受信モジュールは別々のデータ送信用のユニットとデータ受信用のユニットからなる請求項1の測定プローブ。
【請求項3】
前記測定プローブは、温度及び/又は化学成分を検出するセンサを有し、そして送受信モジュールは、温度及び/又は化学成分を特性付ける測定パラメータを評価装置(2)に送信するように構成されている請求項1又は2の測定プローブ。
【請求項4】
測定プローブの空間位置と、温度及び/又は化学成分を特性付ける測定パラメータとを送信する別々のユニットが設けられている請求項3の測定プローブ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの測定プローブ(3)と、情報の無線受信を行う受信器を備えた評価装置(2)を有する測定装置。
【請求項6】
可搬式測定プローブ(3)の測定データを評価装置(2)によって検出するにあたり、測定プローブ(3)は、センサにより、その測定データと前記測定データを検出した時点の前記測定プローブの空間位置データとを検出し、それらのデータを送信器により前記評価装置(2)に送信する方法。
【請求項7】
前記空間位置は、測定プローブ(3)の空間位置に対応するデータが無線送信される送受信モジュールにより検出される請求項6の方法。
【請求項8】
前記測定プローブ(3)は複数の位置で自己の空間位置と測定データを順次検出し、そしてこれらの空間位置データと測定データはそれぞれ評価装置へ送られる請求項6の方法。
【請求項9】
前記測定データは溶融金属又は溶融クリオライトの温度及び/又は化学成分に関するものである請求項6の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の測定プローブを使用して溶融金属又は溶融クリオライトの温度及び/又は化学成分を測定する使用方法。
【請求項11】
異なった溶融容器において順次測定をおこなう請求項10の使用方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−31702(P2006−31702A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201709(P2005−201709)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】