説明

可搬式簡易トイレ

【課題】便室内の使用者に向けて新鮮な外気を吹き付けるようにして、暑い季節でも、快適に使用することができる可搬式簡易トイレを提供する。
【解決手段】縦長の箱形に形成された便室本体1内に便器2が取り付けられ、便器2の下側に便器からのし尿を貯留するし尿槽が設置されてなる可搬式簡易トイレである。便室本体1の壁部に開口部が形成され、開口部に外気を室内に吸気する吸気ファン12が取り付けられる。吸気ファン12の送気側に先端を室内に開口した蛇腹状ダクト13が接続される。便室本体1の外側に、吸気ファン12に駆動用の電力を供給する太陽電池パネル14が設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント会場、レジャー施設、公園、工事現場等の屋外で、主に仮設トイレとして使用される可搬式簡易トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベント会場、レジャー施設、公園、工事現場等の屋外において、仮設トイレとして移動可能な可搬式簡易トイレが広く使用されている。この種の可搬式簡易トイレは、基本的には、便室の底部にし尿槽を設置し、し尿槽の上方に便器を取り付け、便器からのし尿をそのままし尿槽に落下させて収容する構造が採られている。
【0003】
このため、この種の可搬式簡易トイレは、し尿槽にし尿を溜めるのみであるから、多くの人が使用すると、し尿槽が直に満杯となり、使用ができなくなる問題があった。また、し尿をそのままし尿槽に溜めるため、特に気温が高くなる夏季には、し尿槽からかなりの悪臭が発生し、換気の不十分な便室内に入り扉を閉めて使用する使用者にとっては、ひどい暑さと悪臭によりかなりの不快感を生じさせるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明者は、従来、下記特許文献1により、洗浄水循環型の簡易水洗トイレを提案した。この簡易水洗トイレは、トイレ室の下に処理槽を備え、処理槽内には、複数の曝気槽と沈殿槽が設けられと共に、有機物を分解する微生物が処理槽内に入れられ、便器から送られたし尿を洗浄水と共に、複数の曝気槽と沈殿槽に循環して通すことにより、有機物であるし尿を微生物に分解させ、処理槽の最後の槽で得られた浄化後の水を、再び水洗用の洗浄水として循環使用する構造である。
【特許文献1】特開2001−303647公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、便器から処理槽に洗浄水と共に送られたし尿は、処理槽内で微生物により分解され、悪臭を発生させずに良好に使用することができる。しかしながら、このような水洗方式のトイレであっても、可搬式簡易トイレの便室は、移動時の問題から大きさに制限があり、そのために便室内が狭く形成され、その天井や壁は合成樹脂などの薄い板材により形成されているため、夏季などの暑い季節には、便室内の温度が非常に上昇する。
【0006】
一方、この種の従来の簡易トイレの便室には、電源等の問題から、通常、換気扇は設けられていない。このため、暑い季節の晴天の昼間に簡易トイレを使用する使用者は、簡易トイレが水洗トイレであったとしても、便室の扉を閉じて密閉された便室内の温度はかなり上昇し、少なからぬ不快感を生じやすいという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、便室内の使用者に向けて新鮮な外気を吹き付けるようにして、暑い季節でも、快適に使用することができる可搬式簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の可搬式簡易トイレは、縦長の箱形に形成された便室本体内に便器が取り付けられ、該便器の下側に該便器からのし尿を貯留するし尿槽が設置されてなる可搬式簡易トイレにおいて、該便室本体の壁部に開口部が形成され、該開口部に外気を室内に吸気する吸気ファンが取り付けられると共に、該吸気ファンの送気側に先端を室内に開口した可撓性のダクトが接続され、該便室本体の外側に該吸気ファンに駆動用の電力を供給する太陽電池パネルが設置されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2の可搬式簡易トイレは、縦長の箱形に形成された便室本体内に便器が取り付けられ、便室本体の下側に処理槽が配設され、処理槽内に複数の曝気槽と沈殿槽が設けられると共に、バクテリアが投入され、曝気槽で曝気を行ないながら、バクテリアにより処理槽内のし尿を分解させ、し尿処理後の処理水を流し水として使用する洗浄水循環型の可搬式簡易トイレにおいて、該便室本体の壁部に開口部が形成され、該開口部に外気を室内に吸気する吸気ファンが取り付けられると共に、該吸気ファンの送気側に先端を室内に開口した可撓性のダクトが接続され、該便室本体の外側に該吸気ファンに駆動用の電力を供給する太陽電池パネルが設置されたことを特徴とする。
【0010】
ここで、上記可撓性のダクトとしてはダクトの開口吹出し部の向きを変更可能な蛇腹状ダクトを使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成の可搬式簡易トイレは、屋外に設置され、昼間には太陽電池パネルが太陽光を受けて発電し、便室本体の壁部に取り付けた吸気ファンが電力の供給を受けて駆動され、外気が開口部からダクトを通して室内に吸気され、送風される。
【0012】
特に使用者は、このとき、ダクトの吹き出し開口部を動かして向きを調整することができるため、使用者は例えば自分の顔の方向に外気が吹き出されるようにダクトを向ければ、ダクトを通して外気が使用者の顔に送られることになる。
【0013】
このため、夏季などの暑い季節、晴天の真昼に、可搬式簡易トイレを使用する場合、便室本体の内部の温度はかなり上昇しているが、このように吸気ファンにより外気を吸気して、ダクトを通して使用者に吹き付けるようにすれば、小形のファンであっても、外気の涼風を効果的に使用者に当てることができ、密閉された便室内においても、使用者に暑さや悪臭による不快感を生じさせずに、快適に使用することができる。これにより、工事現場などの職場に設置される簡易トイレにおいては、快適な職場環境の実現を図ることができる。
【0014】
また、換気扇のように室内の空気を排気する排気ファンではなく、吸気する吸気ファンを使用するため、風量が比較的少ないファンであっても、外の涼風を室内の特定の部位、例えば使用者の顔などに効果的に当てて、不快感を解消させることができるから、吸気ファンには小形ファン(小電力定格のモータ駆動ファン)を使用することができる。
【0015】
したがって、小形の吸気ファンの電源として、小形の太陽電池パネルを使用することができ、面積の少ないトイレの上部(天井部)の上に太陽電池パネルを設置することができる。また、便室本体の上部に設置した太陽電池パネルを吸気ファンの電源とすれば、特に便室内の温度が上昇しやすい夏季などの晴天時の昼間などに、太陽電池パネルが充分に発電を行なうため、外部から商用電源を引き込むことなく、太陽電池パネルのみで、必要時に吸気ファンを駆動して、涼風をトイレの使用者に送り、便室内の使用者の不快感を取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は可搬式簡易トイレとしての簡易水洗トイレの部分断面付き正面図を示している。1は便室本体であり、縦長の箱形に形成され、正面に扉1aが設けられ、内部に便器2が取り付けられる。その便器2内に水を流すためのロータンク3が便室本体1の壁部に設けられ、ロータンク3から便器2まで送水用の配管3aが敷設される。ロータンク3への給水は、後述の処理水貯留槽11に配設された揚水ポンプ15の揚水管15aを通して行なわれる。さらに、便室本体1の下側に矩形箱形の処理槽4が取り付けられ、便器2内から処理槽4の最初の第一曝気槽5にし尿を流下させる流路2aが便器2の取付部内に形成される。
【0017】
図1に示すように、便室本体1の側壁部の上部寄りに開口部が形成され、その開口部に、外気を室内に吸気する吸気ファン12が取り付けられている。この吸気ファンは、図3に示すように、フレームの中央に取り付けられたモータ12aの回転軸に、吸気用のファン12bを固定して構成され、モータ12aの回転駆動によりファン12bが外気を吸気して室内に送風するように使用される。
【0018】
また、図3のように、吸気ファン12の送気側に先端を室内に開口した蛇腹状ダクト13が接続されている。この蛇腹状ダクト13は可撓性をもって容易に曲げることができるように、合成樹脂或は薄肉の金属板から形成され、使用者がその先端をもって任意の方向に動かせば、ダクト13の吹出し開口部の向きを任意に変えることができものである。また、便室本体1の上部(天井部の上側)に吸気ファン12に駆動用の電力を供給するための太陽電池パネル14が設置されている。
【0019】
吸気ファン12は、外気を室内に吸気し蛇腹状ダクト13を通して使用者の特定の部位、例えば顔などに吹き付けることができる程度の風量が得られれば良いため、例えば、定格電圧12V、24W程度の直流モータを駆動源とした小形のファンを使用することができる。また、太陽電池パネル14としては、例えば、多結晶シリコンセルを用いたソーラーパネルの場合、最大出力24W,最大出力動作電流1.5A、最大出力動作電圧16.3V、適用電圧12vの太陽電池を、使用することができる。この程度の出力を有するソーラーパネルとしては、現在、53cm×45cmの大きさのものが製造されており、図1のように、便室本体1の外側上部(天井の上部)に容易に設置可能である。
【0020】
吸気ファン12は、閉鎖された便室本体1内の温度が上昇する昼間に、使用者に涼風を送ることが目的であるため、設備を最小限の範囲で考えた場合、蓄電池、充電回路、電源スイッチなどは省き、太陽電池パネル14の出力回路を直接吸気ファン12のモータ12aの端子に接続して使用することができる。勿論、蓄電池、充電回路、電源スイッチを太陽電池に接続して使用することもできるが、昼間に太陽が出て太陽電池パネル14が発電を行っているときは、常に吸気ファン12が運転を行うから、便室本体1内の温度が上昇しやすい昼間の使用者には、常に外気の涼風が蛇腹状ダクト13を通して送風され、簡易トイレの使用者が殆どなく温度上昇もない夜間には、吸気ファン12の運転が停止するから、そのような蓄電池や回路を使用せずに、何ら問題なく使用することができる。
【0021】
便室本体1の下側に配設される処理槽4内には、図2の平面図に示すように、多数の仕切り壁によって3個の曝気槽5、7、9と3個の沈殿槽6、8、10及び処理水貯留槽11が形成される。処理槽4の中央には、便器2からのし尿をその下の流路2aを通して最初に受ける第一曝気槽5が配置される。第一曝気槽5内には、し尿を分解させる好気性のバクテリアが投入され、空気吹出管が挿入されエアレーションを行なう。
【0022】
図2に示すように、第一曝気槽5の次に(隣に)第一沈殿槽6が設けられ、第一曝気槽5と第一沈殿槽6は隔壁の底部に設けた底部通路により連通する。第一沈殿槽6の次に(隣に)第二曝気槽7が設けれ、第一沈殿槽6と第二曝気槽7は隔壁の上部に設けた上部通路により連通する。さらに、第二曝気槽7の次に(隣に)第二沈殿槽8が設けられ、第二曝気槽7と第二沈殿槽8は隔壁の底部に設けた底部通路7aにより連通する。さらに、第二沈殿槽8の次に(隣に)第三曝気槽9が設けられ、第二沈殿槽8と第三曝気槽9は隔壁の上部に設けた上部通路8aにより連通する。
【0023】
さらに、第三曝気槽9の次に(隣に)第三沈殿槽10が設けられ、第三曝気槽9と第三沈殿槽10は隔壁の底部に設けた底部通路により連通する。さらに、第三沈殿槽10の次に(隣に)処理水貯留槽11が設けられ、第三沈殿槽10と処理水貯留槽11は隔壁の上部に設けた上部通路により連通する。第二曝気槽7、第三曝気槽9内には、第一曝気槽5の空気吹出管と同様に、空気吹出管が挿入され、空気吹出管は、空気管を介してエアーポンプ17に接続される。
【0024】
このように、処理槽4内に形成した3個の曝気槽5、7、9と3個の沈殿槽6、8、10は、第一曝気槽5、第一沈殿槽6、第二曝気槽7、第二沈殿槽8、第三曝気槽9、及び第三沈殿槽10のごとく、曝気槽と沈殿槽が交互に配置・接続され、最後に処理水貯留槽11が上部通路を介して接続される。また、曝気槽から沈殿槽への接続には底部通路が使用され、沈殿槽から曝気槽への接続には上部通路が使用され、処理水の流下方向に向かって、底部通路と上部通路が交互に配置され、処理水は曝気槽と沈殿槽を上下に蛇行しながら処理水貯留槽11まで送られる構造である。
【0025】
処理水貯留槽11内には揚水ポンプ(水中ポンプ)15が配設され、処理水貯留槽11内の処理水を洗浄水として、揚水管15aを通してロータンク3に揚水する。ロータンク3内にはレベルスイッチ(例えばフロートスイッチ)が配設され、タンク内の水位が所定レベルより低下した時、スイッチをオンして揚水ポンプ15を動作させる。
【0026】
揚水ポンプ15、エアーポンプ17の駆動用電力としては商用電源を使用を使用することになるが、太陽電池パネルと蓄電池を用いることもできる。太陽電池パネルと蓄電池を用いる場合、昼間に太陽電池パネルにより発電し蓄電池に蓄電した電力を夜間に使うことになるが、昼夜24時間運転を行うエアーポンプがあるため、夜間の消費電力量が蓄電池の蓄電電力量より多くなる場合は、昼間用エアーポンプより小形の夜間用エアーポンプに切り換えて使用することができる。
【0027】
昼間用エアーポンプには、処理槽4内に投入したバクテリアが、活性化されて、処理槽内のし尿を分解するために必要な空気量を処理槽4内の処理水内に供給するように、大型のエアーポンプを使用し、夜間用エアーポンプには、処理槽4内の微生物が、最低限生存するために必要な空気量を処理槽4内の処理水内に供給するように、小形のエアーポンプを使用する。
【0028】
次に、上記構成の簡易水洗トイレの動作を説明する。このトイレは、イベント会場、公園、工事現場等の屋外に仮設トイレとして設置され、その天井上に設置した太陽電池パネル14は、太陽の方向に向けられる。トイレの使用に際し、処理槽4内に水が給水されると共に、その第一曝気槽5内にバクテリアが投入される。
【0029】
ロータンク3内の洗浄水が所定のレベル以下の場合、レベルスイッチのオン動作により、揚水ポンプ15が駆動して、処理槽4の最後の処理水貯留槽11の処理水を吸気し、ロータンク3に揚水する。ロータンク3内の水位が所定レベルまで上昇すると、レベルスイッチがオフし、揚水ポンプ15は停止する。
【0030】
一方、曝気用のエアーポンプ17は、昼夜24時間運転され、第一〜第三曝気槽5,7,9にエアーを供給して、汚水の曝気を行う。すなわち、処理水内のし尿の分解に必要な充分な量の空気が、エアーポンプ17によって空気管から処理槽4内の空気吹出管に送られ、第一曝気槽5、第二曝気槽7、第三曝気槽9内の処理水内に空気が吹き出され、エアレーションが行なわれ、これにより、槽内のし尿が微生物により良好に分解される。
【0031】
昼間に太陽が出て一定の日射量が確保されると、太陽電池パネル14が発電を行うようになり、電力が吸気ファン12のモータ12aに供給される。これにより、吸気ファン12が回転して、外気を吸引し、蛇腹状ダクト13を通して便室本体1内に吸引した外気が送風される。トイレ内に入った使用者は、その蛇腹状ダクト13の送風開口部を例えば自分の顔の方向に向ければ、吸引された外気が涼風となって顔に吹き付けられることとなり、閉鎖されて暑い簡易トイレの内部であっても、不快を感じることなく、使用することができる。
【0032】
トイレが使用され、ロータンク3から便器2に洗浄水が流れると、し尿が洗浄水と共に処理槽4の最初の第一曝気槽5に送られる。第一曝気槽5へのし尿と洗浄水の投入により、第一曝気槽5の水位が上昇するから、第一曝気槽5内の水位の上昇分の処理水が次の第一沈殿槽6に流れ、第一沈殿槽6内の水位の上昇分の処理水が次の第二曝気槽7に流れる。
【0033】
さらに、第二曝気槽7内の水位の上昇分の処理水が次の第二沈殿槽8に流れ、第二沈殿槽8内の水位の上昇分の処理水が次の第三曝気槽9に流れ、第三曝気槽9内の水位の上昇分の処理水が次の第三沈殿槽10に流れ、最後に、第三沈殿槽10の水位の上昇分の処理水が処理水貯留槽11に流れる。このように、処理槽4内の処理水が徐々に各曝気槽と沈殿槽を通過しながら、最後の処理水貯留槽11まで送られるが、その間、各曝気槽5、7、9では、空気吹出管を通して処理水内に空気が吹き出され、エアレーションが行なわれることにより、処理水内のし尿が微生物により分解されていく。
【0034】
そして、浄化された洗浄水は、最後の処理水貯留槽11に達すると、そこから揚水ポンプ15によりロータンク3に揚水され、再び便器2の洗浄に循環使用される。処理水の曝気は、エアーポンプ17の運転により、充分な空気量を処理水内に吹き込んで行なわれるから、処理水内の微生物は活性化され、し尿が高い効率で分解される。
【0035】
なお、上記実施形態では、ロータンク3を使用してロータンク3内の水を流し水としたが、ロータンク3を使用せずに、貯留槽11の水をポンプにより流し水として便器に流すこともできる。
【0036】
また、上記実施の形態では、水洗式の可搬式簡易トイレについて説明したが、水洗式ではない通常の簡易トイレ、つまり便器の下側に便器からのし尿を貯留するし尿槽が設置された構造の可搬式簡易トイレに、本発明を適用することもできる。この場合、上記と同様に、便室本体の側壁に設けた開口部に、外気を室内に吸気する吸気ファンを取り付け、その吸気ファンの送気側に先端を室内に開口した蛇腹状ダクトを接続する。そして、便室本体の天井の上部に太陽電池パネルを設置して吸気ファンのモータに太陽電池パネルを接続して使用する。また、上記では蛇腹状ダクトを使用したが、ダクトの先端の向きを変えることができる可撓性を有したダクトであれば、使用可能である。
【0037】
以上説明したように、本発明の簡易水洗トイレによれば、便室本体の壁部に取り付けた吸気ファンにより外気がダクトを通して室内に吸気され、特に使用者は、ダクトの吹き出し開口部を任意の方向に動かして向きを調整することができ、例えば自分の顔の方向に外気が吹き出されるようにダクトを向ければ、外気の涼風を使用者の顔に当てることができる。したがって、夏季などの暑い季節、晴天の真昼に、可搬式簡易トイレを使用する場合、便室本体の内部の温度はかなり上昇しているが、外気の涼風を効果的に使用者に当てることができ、密閉された便室内においても、使用者に暑さや悪臭による不快感を生じさせずに、快適に使用することができる。また、使用者の特定の部位に送風が可能な小形のファンとモータを使用した小形の吸気ファンを使用することができ、吸気ファンの電源として太陽電池パネルを使用するため、商用電源を仮設トイレに引き込む必要が無く、簡便に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示す簡易水洗トイレの部分断面付き正面図である。
【図2】処理槽4の平面図である。
【図3】吸気ファンの部分断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1−便室本体
2−便器
4−処理槽
11−処理水貯留槽
12−吸気ファン
12a−モータ
12b−ファン
13−蛇腹状ダクト
14−太陽電池パネル
15−揚水ポンプ
17−エアーポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長の箱形に形成された便室本体内に便器が取り付けられ、該便器の下側に該便器からのし尿を貯留するし尿槽が設置されてなる可搬式簡易トイレにおいて、該便室本体の壁部に開口部が形成され、該開口部に外気を室内に吸気する吸気ファンが取り付けられると共に、該吸気ファンの送気側に先端を室内に開口した可撓性のダクトが接続され、該便室本体の外側に該吸気ファンに駆動用の電力を供給する太陽電池パネルが設置されたことを特徴とする可搬式簡易トイレ。
【請求項2】
縦長の箱形に形成された便室本体内に便器が取り付けられ、便室本体の下側に処理槽が配設され、処理槽内に複数の曝気槽と沈殿槽が設けられると共に、バクテリアが投入され、曝気槽で曝気を行ないながら、バクテリアにより処理槽内のし尿を分解させ、し尿処理後の処理水を流し水として使用する洗浄水循環型の可搬式簡易トイレにおいて、該便室本体の壁部に開口部が形成され、該開口部に外気を室内に吸気する吸気ファンが取り付けられると共に、該吸気ファンの送気側に先端を室内に開口した可撓性のダクトが接続され、該便室本体の外側に該吸気ファンに駆動用の電力を供給する太陽電池パネルが設置されたことを特徴とする可搬式簡易トイレ。
【請求項3】
前記可撓性のダクトとして、該ダクトの開口吹出し部の向きを変更可能な蛇腹状ダクトが使用されることを特徴とする請求項1または2記載の可搬式簡易トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−57417(P2006−57417A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243174(P2004−243174)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(504322334)合資会社佐々木 (1)
【Fターム(参考)】