可撓性および共形性を有するパッチポンプ
可撓性および共形性を有する着用可能な自立型の医療デバイスが提供される。医療デバイスは、周囲に沿って接合された可撓性の上部部分および可撓性の下部部分によって一体形成された筐体を備える。医療デバイスはまた、筐体の可撓性および共形性を増大させるために複数の形状および構成で提供される。薬剤リザーバ、プリント回路基板、および電力供給部など、筐体内に含まれる構成要素は、可撓性の材料から構築され、筐体の可撓性を高めるように筐体の構成にしたがって形成、接続、および位置決めされることが好ましい。可撓性のリザーバからの薬剤の流れを制御する熱気泡式のマイクロポンプが提供され、熱膨張流体に局部的に提供された熱抵抗器を利用して、周囲の膜を膨張させ、使用者に提供される量の薬剤を移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、さらなる快適さ、利便性、使用し易さ、および魅力を使用者に提供するために可撓性および共形性を有する目立たない筐体内に提供される、着用可能な自立型の薬剤注入デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病とは、インスリン産生、インスリン作用、またはこれら両方の欠陥に起因して血糖値が高くなることを特徴とする1群の疾病である。米国では、2360万人、すなわち人口の8%が糖尿病を患っている。糖尿病の総罹患率は、2005年〜2007年の期間以来、13.5%増大した。糖尿病は、深刻な合併症および早死を招く可能性があるが、糖尿病の患者が疾病を制御して合併症のリスクを下げるのを助けるために利用可能な製品がよく知られている。
【0003】
糖尿病の患者に対する治療の選択肢には、特殊な食餌療法、経口投薬、および/またはインスリン療法が含まれる。糖尿病治療の主な目標は、合併症のない生活の可能性を増大させるために、患者の血糖(糖)値を制御することである。しかし、他の生活上の要求および状況とのバランスを取りながら良好な糖尿病管理を実現することは、常に簡単というわけではない。
【0004】
現在、1型糖尿病の治療には、日常的インスリン療法の2つの主要な形態が存在する。第1の形態は、注射器およびインスリンペンを含む。この形態では、通常1日に3回から4回、注射ごとに針を刺す必要があるが、簡単に使用でき、比較的低コストである。糖尿病を管理するために広く採り入れられている効果的な別の治療方法は、インスリンポンプを使用することである。インスリンポンプは、インスリンの連続注入によって、使用者が個々の必要に基づいて血糖値を標的範囲内で維持するのを助けることができる。インスリンポンプを使用することによって、使用者は、インスリン注射が自身にどれだけ効いているかに自身の生活様式を整合させるのではなく、自身の生活様式にインスリン療法を整合させることができる。
【0005】
従来のインスリンポンプは、皮膚の下に配置されたカテーテルを通じて、急速または短時間作用型のインスリンを1日24時間送達することが可能である。インスリンの投与量は通常、基礎速度およびボーラス投与量で施される。基礎インスリンは、24時間にわたって連続して送達され、食間および夜間に使用者の血糖値を一貫した範囲内で維持することを目指す。一部のインスリンポンプは、日夜の異なる時間に応じて変動するようにインスリンの基礎速度をプログラムすることが可能である。ボーラス投与量は通常、使用者が食事をとるときに施され、通常、単一の追加のインスリン注射を提供して、消費された炭水化物のバランスを取る。一部の従来のインスリンポンプでは、使用者は、消費した食事の量または種類に応じて、ボーラス投与量の体積をプログラムすることができる。また従来のインスリンポンプでは、使用者は、使用者が食事のボーラスを計算しているときの低血糖値を補償するために、補正的または補助的なボーラスのインスリンを取り込むこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/458,807号明細書
【特許文献2】米国特許第6,960,192号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0010207号明細書
【特許文献4】米国特許第6,589,229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のインスリンポンプには、他の糖尿病治療方法に比べて多くの利点がある。インスリンポンプは、単一の注射の場合より時間をかけてインスリンを送達し、したがって通常、米国糖尿病協会によって推奨される血糖範囲内の変動がより少ない。従来のインスリンポンプは、患者が耐えなければならない針で刺す回数を低減させ、糖尿病の管理を使用者にとってより容易かつより効果的なものにし、したがって使用者の生活の品質をかなり向上させる。しかしながら、インスリンポンプは、使用するには重くて扱いにくい可能性があり、通常、他の治療方法より高価である。生活様式の観点から、従来のポンプ、管類、および注入セットは、使用者にとって不便かつ厄介である。
【0008】
インスリン療法の新しい進歩は、従来のインスリンポンプより低コストであり、いくぶん便利かつ快適に使用できる、パッチポンプなどの「着用可能な」薬剤注入デバイスを提供する。これらのデバイスの一部は、一部または完全に使い捨てであり、理論的には、従来のインスリンポンプの高い初期コストおよび不便さなしで、従来のインスリンポンプの利点の多くを提供することを意図する。しかし、一般に利用可能なパッチポンプはやはり、より幅広い使用に適した最大限の快適さおよび利便性を使用者に提供していない。典型的なパッチポンプはやはり、比較的重くかさばり、一般に、堅い構成要素を含む堅い筐体で構築されており、したがって長い使用期間にわたって使用者に不快を与える。そのようなパッチポンプは、比較的大型のパッチポンプが理想的ではない子供、小柄な女性、および年配者にとって、特に不快になる傾向がある。さらに、一般的なパッチポンプの構造では、パッチポンプを容易に隠すことができず、使用者の身体上で着用できる位置の数が限られる。
【0009】
したがって、さらに多くの使用者がこれらのデバイスが提供する利点から利益を得られるように、利便性、快適さ、および着用可能性が改善された、より目立たない薬剤注入デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例示的な実施形態は、少なくとも上記の問題および/または欠点に対処し、少なくとも後述する利点を提供する。したがって、本発明の特定の実施形態の目的は、可撓性および共形性を有するより目立たない着用可能な薬剤注入デバイスを提供して、そのようなデバイスを使用する際に使用者の利便性および快適さを増大させることである。
【0011】
本発明の一態様によれば、使用者に薬剤療法を施すために提供される着用可能な医療デバイスは、ある供給量の薬剤を収容する可撓性のリザーバを含む一体化された筐体であって、薬剤を使用者へ送達する注入カニューレと流動的に連通する筐体と、注入カニューレを通じたリザーバから使用者への薬剤の送達を計測する流体計測デバイスとを備え、前記筐体は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接された可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える。筐体の上部部分および下部部分は、可撓性ポリマーから構築され、一体化された筐体の厚さは、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)の範囲内、好ましくは約0.75インチ(1.905cm)以下であり、接着層で使用者の皮膚に貼り付けられる。接着層と医療デバイスの下部部分の間に挟まれた発泡またはエラストマ層を提供することもできる。流体計測デバイスは、可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的に提供された少なくとも1つの熱抵抗器を備え、前記熱膨張流体を加熱すると、前記可撓性の膜の膨張を引き起こし、その結果、薬剤を移動させ、注入針を通じて前記薬剤を前記使用者内へ操作する。一実施形態では、膨張流体および可撓性の膜を有する複数の熱抵抗器を順次提供し、使用者への前記薬剤の直線蠕動型の流れをもたらすことができる。流体計測デバイスは、前記使用者への薬剤の流れを促進する少なくとも1つの一方向逆止弁をさらに備える。流体計測デバイスはまた、前記使用者への薬剤の流れを制御する電子制御式のゲートまたは弁を備えることができる。あるいは、一実施形態では、流体計測デバイスは、前記リザーバから薬剤を排出するベルビルばねワッシャ、打抜き式の板ばね、スナップディスク、または屈曲部の1つを備える。医療デバイスは、少なくとも流体計測機構と制御装置を電子的に接続する可撓性の回路基板をさらに含み、前記回路基板は、前記回路基板の外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備える。
【0012】
本発明のこの態様によれば、シャーシを備える医療デバイスが提供され、このシャーシは少なくとも、第2の枠に可撓的に接続された第1の枠を備え、前記筐体内で互いに対して、前記第1の枠内に第1のシステム構成要素を位置決めし、前記第2の枠内に第2のシステム構成要素を位置決めする。医療デバイスは、前記筐体内に配置可能な押しボタンによって操作される注入針配置機構をさらに備え、一実施形態では、前記針配置機構は、前記注入針を使用者内へ駆動するばねディスクを備える。別の実施形態では、針配置機構は、前記注入針を使用者内へ駆動するように指レバーによって操作されるねじりばねを備える。さらに別の実施形態では、針配置機構は、挿入針を使用して可撓性のカニューレを使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびカニューレキャリッジと、前記可撓性のカニューレを使用者内へ挿入する際に、使用者から前記挿入針を引き抜くばね部材とを備える。挿入針を用いてバイオセンサを使用者内へ挿入する類似の針キャリッジおよびバイオセンサキャリッジも提供され、針は、バイオセンサの挿入後に使用者から引き抜かれる。医療デバイスはまた、前記筐体の前記上部部分上の特有の領域に力を印加することによってボーラス投与量を手動で操作する機構と、使用者の血糖値を求める目的で経皮被検体センサを配置する機構、または何らかの他の生理学的指示器とを備える。
【0013】
さらに本発明のこの態様によれば、使用者へボーラス投与量を送達するためにある量の薬剤を収容する第2の可撓性のリザーバが提供される。第2のリザーバは、第2の注入カニューレと流動的に連通するように提供することができ、2型糖尿病を患う使用者に薬剤療法を施すために使用されることが好ましい。さらに、この実施形態の医療デバイスは、基礎速度の薬剤注入を使用者に提供し、また薬剤療法のボーラス投与量を提供するために、インスリンペンなどのプログラム可能な注射デバイスと一緒に使用することができる。プログラム可能な注射デバイスは、使用者内へ注射するための薬剤のボーラス投与量も計算するホストデバイスによってプログラムされることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える一体化された筐体を備え、前記筐体は、長さ寸法が幅寸法より長い細長い形状に形成され、幅寸法より狭い腰部分をさらに含み、前記筐体は、筐体が腰部分で最も狭くなるような輪郭を有する。医療デバイスの可撓性の上部部分と下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接される。
【0015】
本発明の第3の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記上部部分および前記下部部分は、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備える。医療デバイスは、少なくとも1つの凹部とは反対側の位置で、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる第2の凹部をさらに備える。上部部分および下部部分の第1の凹部および第2の凹部は、デバイスの第1の領域とデバイスの第2の領域を分離する屈曲領域を画定する。第1の領域内には第1のシステム構成要素が含まれ、第2の領域内には第2のシステム構成要素が含まれる。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記筐体は中心ハブ領域を備え、前記中心ハブから複数のローブが放射状に延びる。第1のローブ内には医療デバイスの第1のシステム構成要素が含まれ、第2のローブ内には第2のシステム構成要素が含まれる。第1のシステム構成要素および第2のシステム構成要素は、ボーラス投与量の薬剤を送達するリザーバ、バイオセンサ、針配置機構、および通信送受信器の1つを含む。医療デバイスは、前記複数のローブの皮膚付着側に取り付けられた少なくとも1つの接着パッドをさらに備える。
【0017】
本発明の最後の態様は、使用者に薬剤療法を施す可撓性の着用可能な医療デバイスを提供する方法であって、上部の可撓性部分および下部の可撓性部分を備える筐体を準備するステップと、使用者に施される薬剤を収容するリザーバと流動的に連通する注入カニューレ、および注入カニューレを通じて施される薬剤の体積を計測する流体計測機構を、前記筐体内に提供するステップと、上部の可撓性部分と下部の可撓性部分をそれぞれの周囲に沿って接続することによって筐体を形成するステップとによる方法を提供する。この方法では、上部の可撓性部分と下部の可撓性部分を音波溶接する。
【0018】
本発明の目的、利点、および顕著な特徴は、添付の図面と併せて本発明の例示的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特定の例示的な実施形態の上記その他の例示的な特徴および利点は、添付の図面と併せて、本発明の特定の例示的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【0020】
【図1】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの主要な構成要素を示すブロック図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第1の例示的な実施形態の図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図3C】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第3の例示的な実施形態の図である。
【図5A】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図5B】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図5C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための接着層の例示的な実施形態を示す図である。
【図5D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための接着層の例示的な実施形態を示す図である。
【図6A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6F】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6G】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6H】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図7】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の別の例示的な実施形態の図である。
【図8】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第3の例示的な実施形態を示す図である。
【図9】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図10】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第5の例示的な実施形態を示す図である。
【図11A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12F】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12G】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12H】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12I】本発明の例示的な実施形態で使用するための使用者制御式のキャリッジを有する手動式のカニューレ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12J】本発明の例示的な実施形態で使用するための使用者制御式のキャリッジを有する手動式のカニューレ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図15】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図16】本発明の例示的な実施形態による薬剤送達デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面全体にわたって、同じ参照番号は、同じ要素、特徴、および構造を指すと理解される。
【0022】
この説明で例示する事柄は、本発明の例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供されるものであり、添付の図を参照する。したがって、請求される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する例示的な実施形態の様々な変更および修正を加えることができることが、当業者には理解されるであろう。また、よく知られている機能および構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略する。
【0023】
医療デバイス100の概略的な実施形態を図1に示す。医療デバイス100は、患者の皮膚内へ、または皮膚を貫通する連続注入によって、液体またはゲル状の薬物、必ずしも必須ではないが好ましくはインスリン、または他の治療剤を送達するために提供される着用可能な医療デバイスであることが好ましい。医療デバイス100は、薬剤または物質の皮下、皮内、筋肉内、および静脈内への注入を提供することが可能である。知られているそのような医療デバイスは一般に、使用者の皮膚に着用され、または貼り付けられるという性質のため、「パッチポンプ」と呼ばれる。医療デバイス100は通常、可撓性の薬剤リザーバ106または薬剤を供給する他のコンテナのための筐体と、注入針配置機構108と、注入針配置機構108内に提供される注入針を通じた使用者の体内への薬剤の送達を制御するポンプ機構114または流体計測デバイスとを備える。医療デバイス100はまた、注入針配置機構108およびポンプ機構114を誘導し、ならびに医療デバイス100の他の好ましい動作およびシステムを監視および/または制御するマイクロプロセッサまたは制御装置116と、それだけに限定されるものではないが、全体として参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された2009年7月23日出願の同時係属の特許文献1に開示されているものなど、使い捨てまたは充電可能な標準的な電池、キャパシタ、またはエネルギー取得システムを含む、知られている任意の電源などの電力供給部118とを備えることが好ましい。
【0024】
医療デバイス100の1つの例示的な実施形態は、事前にプログラムされたパッチポンプである。事前にプログラムされたパッチポンプは、製造設備または健康管理提供者によってプログラムすることができ、追加の使用者によるプログラミングを必要としないことが好ましい。事前にプログラムされたパッチポンプは、最近診断された1型糖尿病患者、より具体的には年配者または知的障害者およびパッチポンプをプログラムするのが困難なことがある患者などの特定の患者群にとって理想的である。事前にプログラムされたパッチポンプは、睡眠および歩行のインスリン要件に整合するように1日中変動できるカスタマイズされた基礎注入速度を提供する簡単な知能を備えることができる。事前にプログラムされたパッチポンプは、1日の異なる時間または異なる条件下で異なる速度で使用者に薬剤を送達するようにプログラムすることができる。時間とともに変動する薬剤送達速度を、本明細書では薬剤送達プロファイルと呼ぶ。事前にプログラムされたパッチポンプはまた、たとえば10の単位の漸進的なボーラス投与量を手動で操作できるように機械化により設計することができる。手動操作の1つの形式は、長期間にわたって1つまたは2つの瞬時スイッチなどの電気的接点を閉じることを必要とするはずである。ボーラス投与量を供給するために、別個の第2のリザーバを提供することもでき、基礎注入に使用されるのと同じカニューレを利用しても、第2のカニューレを利用してもよい。事前にプログラムされたパッチポンプはまた、複数の日常的な注射を提供するように構成することができる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、当業者には理解されるように、医療デバイス100を、完全にプログラム可能な(「スマート(smart)」)、または実質上機械的な(「シンプル(simple)」)パッケージとして提供することもできる。
【0026】
完全にプログラム可能な「スマート」パッチポンプは、使用者の生活様式に適した薬剤を施す速度を制御するのに最大の精度および柔軟性を使用者に提供するが、デバイスに追加のコストおよび複雑さが加わる。「スマート」パッチポンプは通常、閉ループ制御および感知を通じて1日中いつでも起動または調整できるカスタマイズされた基礎注入速度およびボーラス投与量を提供するために、個人糖尿病モニタ(PDM)などの血糖モニタ(BGM)およびホストデバイスと一緒に使用される。「スマート」パッチポンプは、既に組み込まれている同時係属の特許文献1に記載されているようなパーソナルエリアネットワークを介して、または無線ネットワークを介して、ホストデバイスと通信するように構成されることが好ましい。「スマート」パッチポンプはまた、有線または他の直接接続を介して、ホストデバイスと連続的または断続的に通信することができる。
【0027】
「シンプル」パッチポンプは、システム知能をほとんどまたは一切もたず、通常、事前設定された基礎速度または手動で起動されたボーラス投与量を通じてインスリン注入の基本制御を提供するほとんど機械的なシステムを備えることができる。「シンプル」パッチポンプのコストは、特殊な感知、制御、および通信能力を実現するのに必要な比較的高価な電子機器を必要としないため、「スマート」パッチポンプと比較すると大きく低減される。
【0028】
「スマート」、事前プログラム可能、および「シンプル」の各パッチポンプパッケージは、特定のタイプの使用者または使用者群には特に効果的であり、望ましい。使用者の生活様式、医療条件、資金状況、および医療デバイスを動作する傾向で、どのパッケージのパッチポンプがその使用者に適しているかがほぼ決まる。以下の本発明の例示的な実施形態の特有の特徴および機能は、上述したパッチポンプパッケージのそれぞれで実施することができる。本発明によって使用されるパッチポンプの追加の実施形態、特徴、および特有の機能は、すべて参照により本明細書に組み込まれている、どちらもInsulet Corporationに譲渡された特許文献2および特許文献3、Robert I Connellyらに発行されて本発明の譲受人に譲渡された特許文献4、ならびに本発明の譲受人に譲渡された本発明と同日付けで出願の「Extended Use Medical Device」という名称の同時係属の米国特許出願(代理人整理番号第P−8618(55579)号)で得ることができる。
【0029】
本発明による医療デバイス100の例示的な実施形態を、図2〜5に示す。これらの図に示す例示的な実施形態はそれぞれ、図2では202および204、図3Aおよび3Cでは302および304、図4では402および404、ならびに図5Aでは502および504と示す可撓性の上部カバーおよび下部カバーを備える。本発明の例示的な実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、医療デバイス100のための外部シェルまたは筐体を構成する。上部カバーと下部カバーはそれぞれ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはポリ塩化ビニル(PVC)などの薄い可撓性ポリマーから構築されることが好ましい。これらの材料は例示的なものであり、限定的なものではなく、医療デバイス100の構成要素に対して薄い可撓性の筐体を提供するのに適した任意の材料を使用できることが、当業者には理解されるであろう。上部カバーおよび下部カバーは、整合またはほぼ整合する周囲を有するように、形状が実質上類似していることが好ましい。例示的な実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、医療デバイス100の構成要素をしっかりとカプセル化するように、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接される。下部カバーは、使用者と皮膚で接触するのに安全で、よく知られており長持ちする任意の接着層210を介して、使用者の皮膚に貼り付けられることが好ましい。医療デバイス100の下部カバーが使用者に貼り付けられるとき、下部カバーは使用者に共形であり、医療デバイス100全体の屈曲を可能にすると有利である。上部カバーは、医療デバイス100の屈曲および共形性への耐性を与えるのを最小にするように設計されることが好ましい。このようにして構築された医療デバイス100のための筐体は非常に薄く、各使用者の固有の身体形状に対して可撓性および共形性を有する。医療デバイス100の最小の厚さおよび最適の可撓性は、従来のパッチポンプでは提供されないレベルの利便性、多用性、および快適さを使用者に与える。
【0030】
本発明の例示的な実施形態では、例示的な医療デバイス100の全体的な印象を高めるために、上部カバーおよび下部カバーの選択された形状が使用者および公衆にとって目に見えて魅力的であることも好ましい。医療デバイス100の機能を隠すために、上部カバーは、一般的な包帯に似るように設計することができ、または使用者の皮膚の色と混ざるように着色することができる。さらに、各実施形態の上部カバーは、特に子供が着用するとき、使用者に対するデバイスの視覚的な魅力をさらに高めて使用者の個性を表すために、カスタム設計、アートワーク、またはロゴで装飾することができる。
【0031】
本発明の例示的な実施形態では、上部カバーは、内部の構成要素に対して追加の保護を提供するために、下部カバーよりわずかに硬化させ、厚くし、または耐久性を高めるように構築することができる。医療デバイス100の最適の可撓性を確保するために、上部カバーの表面全体をこのように構築する必要はない。たとえば、図2に示すように、上部カバー202のうち、上部カバーと類似の形状で表面積がより小さい部分203は、追加の保護を提供するように上記のとおり構築することができる。別の実施形態では、上部カバーの選択された領域は、医療デバイス100の特有の部分または構成要素のみに追加の保護を提供するように、このように構築することができる。
【0032】
図2および3は、本発明によって2次元の共形性および可撓性を提供する医療デバイス100の第1および第2の例示的な実施形態を示す。図2に示す実施形態は、最小の厚さを実現するが、使用者に対する皮膚の密着のために表面積が増大された、細長い可撓性の医療デバイス200である。可撓性の上部カバー202および可撓性の下部カバー204の設計は、使用者の腕などの円筒形の形状に対する共形性を増大させる。図2に示す医療デバイス200の可撓性および共形性は、「腰」205を提供することによって、または細長い上部カバーおよび下部カバーの中央部分の寸法を低減させることによって増大される。医療デバイス200の長さ寸法は、カバーの第1の縁部220からカバーの第2の反対側の縁部222まで延びる最も長い寸法として画定される。医療デバイス200の幅寸法は、1次元に対して垂直な最も長い寸法として画定され、カバーの第3の縁部221から第3の縁部の反対側の第4の縁部223に及ぶ。デバイス200の幅は、中央部分または「腰」205でより狭くなるような輪郭を有することが好ましい。図示の実施形態では、腰は、デバイス200を分割して、第1の区間207および第1の区間の反対側の第2の区間209を形成する。第1の区間207および第2の区間209は、第1の区間と第2の区間が類似の形状および寸法になるように、腰に関して対称であることが好ましい。
【0033】
図2に示す例示的な実施形態の医療デバイス200に対する上部カバー202および下部カバー204の全体的な形状は、図示の形状に特に限定されない。この実施形態で使用するのに適した上部カバー202および下部カバー204の代替の形状および相対的な寸法は、当業者には理解されるであろう。たとえば、別の実施形態では、図2に示すように、「腰」205を提供し、または上部カバーおよび下部カバーの長さ寸法に沿って中間の区間を低減させる代わりに、可撓性の上部カバーおよび下部カバーは、長さ寸法に沿って任意の点で少なくとも1つの腰区間を含むことができる。この腰区間の寸法は、長さ寸法に対して垂直で、幅寸法より小さいことが好ましい。この実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、少なくとも1つの腰区間に関して対称の第1および第2の区間を含む必要はなく、または腰区間は第1の区間および第2の区間を等しく分割する必要もない。上記に提供した説明によって画定される可撓性の上部カバー202および可撓性の下部カバー204の任意の形状は、第1の例示的な実施形態における医療デバイス100に適していることがあることが、当業者には理解されるであろう。
【0034】
図2〜5に示す本発明の例示的な実施形態は、上記で論じた医療デバイス100に対する可撓性の筐体を提供するだけでなく、可撓性のリザーバ106、可撓性の回路基板216、可撓性の電力供給部118、構成要素間の可撓性の導体、ならびに低プロファイルのポンプ機構114および注入針配置機構108など、以下でさらに具体的に説明する筐体内の可撓性かつ低プロファイルの構成要素を利用することが好ましい。医療デバイス100のプロファイルの厚さは、医療デバイスの特有の機能、すなわち、「スマート」であるか、事前にプログラムされているか、それとも「シンプル」であるか、ならびに針配置機構108および流体計測機構114に選択された特有の構成要素、ならびにそのような構成要素の構成に応じて、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)の範囲とすることができるが、0.75インチ(1.905cm)以下であることが好ましい。図2に示す特有の構成要素は、本発明のこの例示的な実施形態に限定されるものではなく、図2〜5に関して示す、および説明する例示的な実施形態のそれぞれにおいて、構成要素の任意の組合せおよび構成を利用できることが、当業者には理解されるであろう。
【0035】
図3A〜3Cに示す可撓性および共形性を有する医療デバイス300は、馴染みのある包帯に似た実質上方形のパッケージに形成され、図2に示す実施形態に対して覆いの表面積は低減されるが、厚さは増大される。上記で論じたように、可撓性の上部カバー302および可撓性の下部カバー304は、最適の可撓性および共形性を提供することが好ましい。この実施形態では、可撓性の上部カバー302および可撓性の下部カバー304の全体的な表面積または占有面積が低減されるため、共形性または可撓性を助けるために「腰」または中央部分を低減させる必要はない。しかし、医療デバイス300の表面積が低減されるため、図3Cに示すように、所望の構成要素のいくつかが積み重ねられ、または互いの上に構成され、その結果、医療デバイス300の厚さを増大させることがある。医療デバイス300の全体的な可撓性および共形性を維持するには、さらに詳細に後述するように、構成要素の構成は、医療デバイス300の所望の屈曲を抑えないことが必要である。
【0036】
図3Aに示す例示的な実施形態は、特有のシステム構成要素の可撓性の構成を提供するために、例示的な可撓性のプリント回路基板(PCB)316および可撓性のシャーシ322を提供する。これらは、上述のように表面積が低減された医療デバイス100内で使用するのに理想的である。上記その他の例示的な実施形態で使用するための可撓性のプリント回路基板316の例示的な実施形態を、図3Aに示す。この実施形態では、可撓性のPCB316は、図示のように、PCB316の外周に沿ってスロット、凹部、または切抜き316aおよび316bを含むように修正される。この修正は、図3Cに示すように、PCBが他のシステム構成要素の密接した位置決めに基づいて必要に応じて屈曲できるように、堅いシステム構成要素間に位置することが好ましい位置でPCB316に対する追加の可撓度を提供する。図3A〜3Cに示す実施形態は、例示のみを目的とし、医療デバイスの可撓性および共形性を高めるという概念の理解を助けるために提供されることを、当業者には理解されたい。切抜き316aおよび316bの数、そのような切抜きの寸法、ならびにPCB316上での切抜きの配置は、特定の実施形態における構成要素の特有の数および配置に基づいて選択されることが好ましく、図3Aに示す例示的な実施形態によって限定されるものではない。
【0037】
図3Aおよび3Bは、本発明の例示的な実施形態で使用するための可撓性のシャーシ322を示す。医療デバイス300の効率的な動作のために、少なくともリザーバ106、ポンプ機構114、および注入針配置機構108はすべて、互いに対して適度に隣接して位置することが好ましい。しかし、そのような構成要素をあまりに近く構成すると、医療デバイス300の全体的な屈曲に望ましくない剛性を生じさせることがある。図3Bに示す可撓性のシャーシ322は、好ましくは少なくとも低プロファイルの針配置機構108およびポンプ機構114を収容するように提供される。シャーシ322は、それぞれの構成要素を互いに対して定位置で保持するために、少なくとも第1の枠324および第2の枠326を備える。いくつかの実施形態では、第2の針配置機構、経皮被検体センサ、もしくはバイオセンサ、または当業者には理解される任意の他の構成要素を収容できる、第3の任意選択の枠328を示す。図3Bは、それぞれの枠324、326、および328が、接続された枠のそれぞれに成型された可撓性の接合部322aによって互いに関連してどのように維持されるかを示す。シャーシ322上の可撓性の接合部322aを使用するシステム構成要素の相互接続は、医療デバイス300の構成要素間に可撓性を提供しながら、それぞれのシステム構成要素を互いに関連して効果的に保持する働きをする。図3Cは、医療デバイス300の断面図であり、本発明の例示的な実施形態におけるシャーシ322およびPCB316の相対的な位置決めおよび屈曲を示す。互いに可撓的に相互接続された枠の相対的な寸法および数は、図3A〜3Cに限定されるものではなく、単に例として提供されることが、当業者には理解されるであろう。
【0038】
図4および5A〜5Bは、複雑な形状に対して容易に共形となるように追加の可撓度を提供する医療デバイス400の第3および第4の例示的な実施形態を示す。図3のPCB316の修正と同様に、本発明の例示的な実施形態では、医療デバイス400の可撓性の上部カバーおよび下部カバーは、それぞれの周囲に沿ってスリット、切抜き、または凹部402aおよび402bを有するように設計することができる。図4に示す凹部402aおよび402bの数、寸法、および配置は、例示的なものにすぎない。この例示的な実施形態による上部カバーおよび下部カバーは、各カバーの周囲に沿って提供された少なくとも1つの内向きに延びる凹部402aを備えることが好ましい。少なくとも1つの凹部は、必ずしも必須ではないが、カバーの反対側の縁部に第2の類似の凹部402bを備えることが好ましい。協働する凹部は、医療デバイス400をモジュール403a、403b、および403cに効果的に区分化し、使用者の身体の複雑な輪郭上に医療デバイス400を快適に配置できるように、医療デバイスに可撓性および共形性の追加の寸法を提供することが好ましい。
【0039】
図4に示す区分またはモジュールは、モジュール403a内のバッテリ電力供給部118、モジュール403b内の可撓性のリザーバ106およびポンプ機構114、ならびにモジュール403c内の可撓性のPCB416など、少なくとも1つのシステム構成要素を収容することが好ましい。必ずしも必須ではないが、単一の区分またはモジュールの内側に構成要素全体が位置決めされることが理想的である。図4に示すように、システム構成要素を区分内に位置決めすることによって、1本の可撓性の接続のみが1つの区分から次の区分へ延びることが好ましい。医療デバイス400の可撓性および共形性が最も大きい領域は、個々の区分が結合される箇所である。したがって、システム構成要素を別個の区分内に位置決めすることによって、医療デバイス400の最大の可撓性および共形性を実現することができる。
【0040】
図5Aおよび5Bは、同じくモジュールまたはローブに区分化されて医療デバイスの多次元の共形性をさらに高める、多次元に可撓性の医療デバイス500の第4の例示的な実施形態を示す。医療デバイス500の上部カバー502および下部カバー504は、任意の形状および寸法の中心の「ハブ」領域503を含むことが好ましく、同じく任意の形状の複数のモジュールまたはローブ505a〜505dが、中心ハブ503から放射状に延びる。図4に記載する例示的な実施形態と同様に、医療デバイス500は、それぞれのローブ505a〜505dおよび中心ハブ503内に少なくとも1つのシステム構成要素を収容することが好ましい。必ずしも必須ではないが、各ローブは、ローブ内に位置決めされたシステム構成要素を完全に組み込むことが理想的である。医療デバイス500は、それぞれのローブ505a〜505dが中心ハブ領域503に結合される領域付近で最大の可撓性および共形性を有するため、可能な場合、1本の可撓性の接続のみが各ローブ505a〜505dから中心ハブ503へ延びることが好ましい。本発明の例示的な実施形態では、特有の構成要素は、中心ハブ領域503の形状を採り入れる図5Aおよび5Bに示す可撓性のPCB516、ならびに図4に示す可撓性のPCB416など、上部カバーおよび下部カバーの屈曲の全体または区分の形状および形態を採り入れるように構成および成形されることが好ましい。
【0041】
医療デバイス500内に含まれている、図5A〜5Bに示す特有の構成要素は、例示のみを目的として提供されており、限定的なものではない。医療デバイス500内、特に個別化された区分内の特有の構成要素および構成要素の構成は、医療デバイス500の所期の機能に応じて変動することが、当業者には理解されるであろう。医療デバイス500の所望の機能を実現するのに必要な構成要素の任意の組合せは、医療デバイス500の最大の可撓性および共形性を実現するように選択でき、また可撓性の筐体内に位置決めできると有利である。さらに、図5Aおよび5Bに示す上部カバー502および下部カバー504の形状は、本発明の例示的な実施形態に限定されるものではない。デバイスは、使用者の身体に対して可撓性および共形性を有する任意の適した形状に形成できることが、当業者には理解されるであろう。
【0042】
図5Aに示す実施形態は、可撓性の設計によって実現される快適さに加えて、追加のレベルの快適さを使用者に提供する。図5Aに示すように、下部カバー504は、放射状に延びるそれぞれのローブ505a〜505d上に提供された接着パッド510で、使用者の皮膚に貼り付けられることが好ましい。対照的に、一般的なパッチポンプは通常、筐体のうち使用者に貼り付けられる部分の表面積全体を実質上覆う接着層を提供する。一部の使用者の皮膚は、使用される接着剤に対して特に敏感なことがあり、また多くの使用者は、所望の使用期間後に医療デバイスを取り外すのにいくぶん痛みを伴うと感じることが多い。さらに、一般的なパッチポンプ内で使用される接着層では、接着剤が塗布された領域内で使用者の皮膚を自然に伸ばしたり曲げたりすることができない。使用者は、接着層の表面積が大きい結果、皮膚が引っ張られて、使用者の皮膚の自然な曲げ伸ばしが妨げられる感覚から、不快さを訴えることが多い。図5Aに示す別個の接着パッド510では、使用者の皮膚のうち接着剤が塗布される総表面積を低減させ、パッド間の使用者の皮膚をより快適に伸ばすことができ、したがって医療デバイス500の使用に関連して起こりうるあらゆる皮膚の炎症および痛みを最小にすることができる。
【0043】
他の実施形態では、医療デバイスの例示的な実施形態とともに使用するための接着層は、ジグザグのパターンなど、使用者の皮膚と例示的な医療デバイスの境界面で動きの自由を増大できるように、医療デバイスの周囲に沿って可撓性を高めるパターンを採り入れることができる。たとえば、例示的な実施形態では、図5に示す医療デバイスとともに使用するための図5Cに示すパターン511を使用することができる。当業者には理解されるように、上述の例示的な医療デバイスの任意の形状とともに使用するために、類似のパターンを採り入れることができる。そのようなパターンは、接着剤の境界面に伴う身体的な感覚に関する使用者の意識を低減させ、正常な身体的活動中に皮膚の表面上で微妙な動きを行えるようにすることによって、可撓性を可能にする。接着層はまた、接着層を微妙に伸ばせるように、可撓性の材料から形成または調合し、したがって医療デバイスの快適さおよび可撓性をさらに高めることが好ましい。そのような接着剤によって提供される動きの自由は微妙であり、注入部位で望ましくない動きを引き起こさないことが好ましい。それにもかかわらず、一実施形態では、固定具として作用する追加の非可撓性の接着リングまたは周囲を注入部位に提供して、この部位であらゆる望ましくない動きを防止することができる。本発明の追加の実施形態はまた、追加の動きの自由および可撓性を提供するために、図5Dに示す医療デバイス500の側面プロファイルに示すように、厚さを増大させた任意の所望の形状もしくは寸法の接着層、または接着層と医療デバイスの間に挟まれたエラストマもしくは発泡層512を備えることができる。層512の厚さは、使用者の皮膚に貼り付けられている間に、医療デバイスのプロファイルを過度に増大させることなく、例示的な医療デバイスの全体的な可撓性を増大させるように選択されることが好ましい。上記の実施形態は、図示の医療デバイス500に限定されるものではないが、上記の例示的な医療デバイスのいずれかを備えることができる。
【0044】
図2〜5に示す特有の構成要素および構成要素の構成は、限定的ではなく、本発明の様々な実施形態の概念について説明するために提供される。本発明の例示的な実施形態による医療デバイスは、以下で論じる構成要素の任意の組合せ、ならびに着用可能な医療デバイスの特有の機能を実現する当技術分野で利用可能な任意の他の構成要素を組み込むことができる。特有の構成要素は、当業者には理解されるように、可撓性および共形性を有する薄い医療デバイスを可能にする任意の有利な構成で提供されることが好ましい。
【0045】
本発明の例示的な実施形態では、図1に示す制御装置116は、少なくともポンプ機構114または流体計測デバイスを制御するために提供される。制御装置116は、必要な処理力と周辺セットを組み合わせて、ポンプ機構114を通じて薬剤の送達を制御し、ならびにシステムまたは流れ監視、およびホストデバイスまたは他の外部のデバイスとの通信など、他の任意選択のシステムタスクを実行する、超低電力型(ULP)のプログラム可能な制御装置であることが好ましい。制御装置116は、ホストデバイスとの通信に必要なものなどの任意の他の回路を含む集積回路(IC)または「システムオンチップ」(SoC)内で実施されることが好ましい。SoC設計は通常、SoC設計が取って代わる多チップシステムより少ない電力を消費し、コストが低く、信頼性が高い。単一のチップシステムを提供することによって、電子構成要素の全体的な寸法および面積が低減され、そのような構成要素の構成が簡略化される。
【0046】
本発明の例示的な実施形態では、ICまたはSoCは、図2〜5に示すように、それぞれ可撓性のプリント回路基板(PCB)216、316、416、および516上に提供されることが好ましい。可撓性のPCBは、当技術分野ではよく知られている。そのようなPCBの特有の構造および仕様は、本開示の範囲外である。可撓性のプリント回路基板は、ポンプ機構114、自動注入針機構108、および任意選択の通信送受信器または血糖センサ、ならびに任意の他の電子構成要素などの様々な電気構成要素のリードを制御装置116および電力供給部118に接続する配線および支持を提供することが好ましい。それぞれの例示的な実施形態では、可撓性のPCBは、医療デバイスの全体的な可撓性を抑えないように、医療デバイスの例示的な下部カバーと同様の可撓性を有することが好ましい。
【0047】
本発明の例示的な実施形態では、電力供給部118は、1つもしくは複数の薄い可撓性の電池および/またはスーパーキャパシタを備えることが好ましい。可撓性の薄いスーパーキャパシタおよびリチウムポリマー電池は、当技術分野ではよく知られており、本発明の例示的な実施形態では好ましい。電力供給部118は、使い捨てまたは充電可能な電源を備えることができる。本発明の例示的な実施形態では、薄く、好ましくは可撓性の知られている任意の電力供給部が、電力供給部118を提供するのに適していることが、当業者には理解されるであろう。代替的実施形態では、可撓性の導体によって接続された1つまたは複数の小型で堅い電池を使用することもできる。図2〜5に示す電力供給部118の実施形態は限定的ではなく、本発明の例示的な実施形態による医療デバイス内の電力供給部の例示的な構成を示すためだけに提供される。本発明の代替的実施形態では、電力供給部118は、単独で、または既に組み込まれている同時係属の特許文献1に開示されているものなどの標準的な電源と組み合わせて、エネルギー取得技法を使用して提供することができる。電力供給部118は、可撓性の接点を使用して可撓性のPCBに接続されることが好ましい。複数の電池が実施される場合、これらの電池はそれぞれ、可撓性の接点を使用して互いに接続することができ、医療デバイス100の最適の可撓性を促進するために隔置されることが好ましい。
【0048】
図2〜5に示す例示的な実施形態のリザーバ106は、使用者へ送達するための薬剤または他の治療剤を貯蔵する可撓性のポーチまたは袋を備える。例示的な実施形態では、リザーバ106は、事前に充填された状態で使用者に提供される。リザーバ106は、中に貯蔵される薬剤または物質に適合した可撓性ポリマーから構築されることが好ましい。リザーバ106の様々な形状および寸法を、図2〜5に示す。特有の図は限定的ではなく、医療デバイス100の特有の実施形態に応じてリザーバ106の設計を変更できることが、当業者には理解されるであろう。リザーバ106は、医療デバイス100の全体的な高さ/厚さの低減を実現するために、低プロファイルになるように設計されることが好ましい。例示的な実施形態のリザーバ106は、医療デバイスの所期の使用期間にわたって十分な量の薬剤を保持することが好ましい。しかし、場合によっては、必要とされる大量の薬剤は、例示的な薄い医療デバイスには多すぎることがある。代替的実施形態は、リザーバ106の表面積を低減できるように、事前充填式または充填可能な注射器などによって使用者がリザーバ106を再充填できるようにするために、上部カバー上に提供された充填口および隔壁を含むことができる。これらの実施形態では、リザーバ106はまた、使用前に使用者によって充填可能とすることができる。
【0049】
当技術分野で利用可能な一般的なパッチポンプは通常、薬剤を収容するリザーバとして堅い円筒形の管を含み、注射器およびプランジャまたはピストンと同様に、リザーバ内の体積を移動させて薬剤をポンプまたは注入機構に提供する機構を備える。しかし、本発明の例示的な実施形態の可撓性のリザーバ106は、一般的な技法を使用してリザーバから薬剤を移動できないため、薬剤を使用者に供給するのに独特の難題をもたらす。したがって、本発明の例示的な実施形態は、可撓性のリザーバ106から流体または薬剤を引き出すことが可能なポンプ機構または流体計測デバイスを用いる。
【0050】
本発明の例示的な実施形態で使用するための第1の例示的なポンプ機構614または流体計測デバイスは、図6A〜6Cに示すように、「熱気泡式マイクロポンプ」を備える。リザーバ106に接続された流れチャンバ612の遠位端部付近に、熱抵抗器602が提供される。熱抵抗器602は、熱抵抗器602を選択的に通過する電流から熱を生成し、熱膨張流体606を蒸発させ、気泡を生成して可撓性の膜604を膨張させる。可撓性の膜604は、図6Bに示すように、狭い流れチャンバ612内へ膨張し、薬剤滴をカニューレに押し出す。薬剤滴が流体の本体から分離されると、熱膨張流体606は冷却して凝縮し、したがって可撓性の膜604は、図6Aおよび6Cに示す元の状態に戻る。可撓性の膜604が元の状態に弛緩すると、リザーバ106からの追加の量の薬剤が狭い流れチャンバ612内へ引き出される。この実施形態はまた、流れチャンバ612内に、流れチャンバ内の薬剤の移動を制御する少なくとも1つの任意選択の一方向逆止弁を含むことができる。第1の一方向逆止弁608は、リザーバ106と熱抵抗器602の間で流れチャンバ612内に提供されることが好ましい。この一方向逆止弁は、上記で論じたように、可撓性の膜604が膨張するとき、薬剤が再びリザーバ106内へ流れるのを阻止する働きをする。熱抵抗器602と注入カニューレの間には、第2の任意選択の一方向逆止弁610を配置することができる。第2の一方向逆止弁により、薬剤を使用者の方へ一方向にのみ流すことができる。一方向逆止弁610は、可撓性の膜604が後退するときに薬剤が再び流れチャンバ612内へ流れるのを抑える。当業者には理解されるように、任意選択の一方向逆止弁はそれぞれ、電子制御式のゲートもしくは弁、または使用者への薬剤の送達を制御するのに適した任意の他の機構と置き換えることができる。上記のプロセスは、無期限に繰り返すことができる。可撓性の膜604の膨張の頻度および流れチャンバの寸法は、使用者への薬剤の所望の流量を実現するように制御および設計することができる。
【0051】
熱膨張流体を蒸発させ、次いで膨張流体を凝縮させるプロセスは、ある量の薬剤を排出して引き出すのに必要な完全な膨張/収縮サイクルを構成する。図6A〜6Cに示す単一の熱抵抗器を使用するとき、連続注入が必要とされる場合、このサイクルの冷却/凝縮プロセスを加速させなければならない。したがって、熱膨張流体の凝縮を容易にするために、任意選択のヒートシンクまたはヒートパイプ(図示せず)を提供することができる。当業者には理解されるように、本発明で使用するのに適した当技術分野ではよく知られている任意のヒートシンクまたはヒートパイプを提供することができる。
【0052】
別の実施形態は、図6D〜6Hに示すように、使用者への薬剤の流れを制御する蠕動型のポンプ動作を行うように流れチャンバ612内に順番に配置された複数の熱膨張ユニットを備えることができる。この実施形態では熱抵抗器602a、602b、および602cへ電流が順次流れることを除いて、この実施形態の動作は、図6A〜6Bに関連して上記で論じた動作に類似している。熱抵抗器602aへ最初に提供される電流の結果、可撓性の膜604aが膨張し、したがってある量の薬剤をカニューレの方へ押し出す。続いて、第2の熱抵抗器602bに電流が提供され、その結果、可撓性の膜604bが膨張し、ある量の薬剤がカニューレの方へさらに動く。次に、熱抵抗器602cに提供される電流の結果、熱膜604cが膨張し、ある量の薬剤を流れチャンバ612からカニューレ内へ放出する。各熱抵抗器に電流を順次印加することによって、熱膜の膨張のパターンにより、薬剤は所期の方向に確実に動く。このプロセスを、図6E〜6Hのシーケンスに示す。それぞれの熱抵抗器から順番に電流が除去されると、それぞれの熱膨張流体は凝縮して元の体積に戻り、したがって追加の量の薬剤が、排出された量に取って代わることができる。複数の熱抵抗器が順番に提供されるため、「下流」の熱抵抗器が充電されると、前に充電された抵抗器は、熱膨張流体を冷却および凝縮させ始める。したがって、前に充電された熱抵抗器は、熱膨張流体を冷却および凝縮させるのにより多くの時間を有し、したがって使用者へ薬剤を連続して流す連続膨張/収縮サイクルを可能にする。
【0053】
図6A〜6Hに示す熱膨張膜604は、流れチャンバ612と一体化されたり、または流れチャンバ612の内側に含まれたりする必要はないことを、当業者には理解されたい。膨張の際に流れチャンバを「つまむ」ために、流れチャンバ612から離れて隣接するように熱膨張膜を提供できることも好ましい。このようにして流れチャンバ612をつまむことは、注入部位でリザーバ106からカニューレへの薬剤の流れを容易にするように同様に作用する。
【0054】
使用者への薬剤の流れを制御する一方向の電子ゲート611を示す。図6Dでは、薬剤の流れがカニューレに入るのを防止する状態で制御される電子ゲート611を示す。図6E〜6Gに示すように、電流が熱抵抗器602a〜602cへ順次提供されると、電子ゲート611は、カニューレへの薬剤の流れを可能にするように制御される。その量の薬剤がカニューレに排出された後、図6Hに示すように、排出された量の薬剤が流れチャンバ612内へ再び引き込まれるのを防止するように、電子ゲート611を制御することができる。電子ゲート611は、当業者には理解されるように、図6A〜6Cで同様に提供される一方向逆止弁、または使用者への薬剤の流れを制御する任意の他の手段と置き換えることができる。
【0055】
上述した類似の概念を使用する第2の例示的なポンプ機構714を、図7に示す。この実施形態では、保持チャンバ712が、ボーラス投与量のインスリンなど、使用者へ送達されるある量の薬剤を一時的に収容する。この量の薬剤は、リザーバ106から一方向逆止弁708を通って保持チャンバ712に入る。熱抵抗器702に電流が印加されると、熱膨張流体706が加熱されて膨張し、ダイアフラム704を保持チャンバ712の方へ駆動し、それによって保持チャンバ712内でこの量の薬剤を移動させ、第2の一方向逆止弁710を通って送達カニューレへ薬剤を押し出す。リザーバ側の逆止弁708の一方向の機能により、薬剤がリザーバ106内へ押し戻されるのを防止する。熱膨張流体706が冷却および凝縮した後、ばね715によって印加される力は、ダイアフラム704を駆動して保持チャンバ712から離すのに十分であり、それによって保持チャンバ712の体積を増大させ、追加の薬剤量をリザーバ106から保持チャンバ712内へ引き出す。カニューレ側の逆止弁710は、カニューレ内の薬剤が保持チャンバ712内へ引き戻されるのを防止する。当業者には理解されるように、一方向逆止弁708および710は、図6D〜6Hおよび図9に示すものなどの電子制御式のゲート、または使用者への薬剤の流れを制御するのに適した任意の他の手段と置き換えることができる。
【0056】
上記のプロセスは、無期限に繰り返すことができ、所望の流量の薬剤を使用者に提供するように制御することができる。使用者へ送達される薬剤の量は、保持チャンバ712から移動する薬剤の量と同等である。保持チャンバ712の容量および熱膨張流体706によって引き起こされる移動の量は、使用者への薬剤の所望の注入速度を提供するように設計および制御することができる。図7に示すシステムの修正された実施形態では、熱抵抗器および熱膨張流体は、保持チャンバ712内の流体の移動を制御するようにピストンとして作用するソレノイドシャフトと取り換えることができる。
【0057】
図8は、上記と類似の概念を使用する第3の例示的なポンプ機構814を示す。この実施形態は、薬剤を引き出すときに膨張し、チャンバから薬剤を排出するために圧縮する、蛇腹式の流体チャンバ812を利用する。蛇腹式のチャンバ812の膨張および圧縮は、熱抵抗器802および熱膨張流体806によって駆動される。電流が印加されたとき、熱抵抗器802は熱膨張流体806を加熱し、熱膨張流体806は蒸発して実質上膨張し、可撓性の膜804に力を印加する。可撓性の膜804に伝えられる力により、膜は膨張し、したがって蛇腹式のチャンバ812を駆動して圧縮状態にし、一方向逆止弁810を通じてある量の薬剤を排出する。熱抵抗器802から電流が除去されると、熱膨張流体806は凝縮し、可撓性の膜804にかかる力を軽減する。可撓性の膜804が元の状態に弛緩すると、図8に示すように、蛇腹式のチャンバ812は下に引っ張られて膨張状態になり、したがって望みに応じて使用者に供給される追加の量の薬剤をリザーバ106から引き込む。
【0058】
本発明で使用するのに適した別の例示的なポンプ機構914を、図9に示す。この実施形態では、ベルビルばね904、または打抜き式の板ばね、スナップ動作するディスク、もしくは屈曲部などの他の適したばね機構を使用して、可撓性のリザーバ106に力を印加する。ベルビルばねによって印加される圧力は、リザーバ106の薬剤を流れチャンバ912内へ追いやる。加圧された薬剤は、ソレノイド制御式の2方向流体弁などの電子制御式のゲートまたは計測弁910によって、使用者内へ注入できないように阻止される。計測弁910は、使用者への薬剤の所望の流量を可能にするように制御装置116によって制御されることが好ましい。本発明のこの実施形態では、当業者には理解されるように、強磁性流体のゲートまたは弁など、所望の流速を可能にするように電子制御できる任意の計測弁またはゲートが適しているはずである。
【0059】
本発明の例示的な実施形態で使用するための追加の例示的なポンプ機構1014は、図10に示すように、可撓性のリザーバ(図示せず)から薬剤を引き出す簡単なダイアフラムポンプを備える。図10に示すダイアフラムポンプは、Debiotech S.A.から入手可能なMEMSナノポンプとして提供することができ、通常、一連の逆止弁1008および1010と、リザーバ内に収容された薬剤または他の物質の流れを実現する圧電ダイアフラム1004とを備える。圧電ダイアフラム1004は、流れチャネル1012内に位置決めされており、電圧が印加されると、寸法および形状を変形状態に変化させる。ダイアフラム1004は、変形していない状態から変形状態に繰り返し切り換えるように制御することができる。この繰返し動作は、第1の一方向逆止弁1008を通ってリザーバ106から薬剤を引き入れて第2の一方向逆止弁1010を通って薬剤を排出するポンプとして機能する。
【0060】
本発明の他の実施形態では、他の代替のポンプ機構および流体計測デバイスを使用することもできる。液体の薬物/薬剤を使用者に分注するのに適した、知られている任意のポンプ機構を、着用可能な医療デバイス内で実施することが適当であることが、当業者にはわかるであろう。選択された機構にかかわらず、ポンプ機構は、医療デバイスの寸法および厚さを不必要に増大させないように、小型で、軽量で、かつ低プロファイルであることが好ましい。
【0061】
図2〜5に示す医療デバイスの例示的な実施形態は、使用者内へ注入カニューレを挿入するように手動でまたは自動的に操作できる低プロファイルの針配置機構108を含む。本発明の例示的な実施形態で使用するための注入カニューレは、使用者内へ薬剤を注入する側面口を有する注入針を備えることができ、あるいは挿入針を用いて使用者内へ挿入される可撓性のカニューレを備えることができる。さらに、可撓性のカニューレは、可撓性のカニューレを使用者内へ挿入できるようにするために、尖った先端部を備えることができ、それによって別個の挿入針の必要をなくす。先端部は任意選択で、シャフトに対して硬化させることができる。他の追加の例示的な実施形態は、体内に留置される可撓性でスロット付きの鋼針、または好ましくは尖った針先端部が取り付けられた可撓性の高いねじりばねを備えることができる。スロット付きの鋼針およびねじりばねの実施形態はそれぞれ、流体流れチャンバを中に封止するために、Teflon(登録商標)またはVialon(登録商標)の覆いまたは被覆に入れられることも好ましい。より詳細な説明は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、本発明と同日付けで出願され「Extended Use Medical Device」という名称の、本願の権利者が所有する同時係属の米国特許出願(代理人整理番号第P−8618(55579)号)で得ることができる。もちろん、任意の適した液密材料を使用して、覆いを形成することもできる。スロット付きの鋼針およびねじりばねの実施形態は、快適さを増大させるために可撓性であるが、それでもなお、使用者の皮膚内へ挿入するのに必要な剛性または柱強度を提供する。スロット付きの鋼針は、スロットのために可撓性を有するように作製されており、別個の先端部を有する必要はないが、尖った先端部を有する一体型とすることができると有利である。ねじりばねは、使用者の皮膚を貫通するように取り付けられた別個の尖った先端部を含むことが好ましい。本発明の別の例示的な実施形態では、Debiotech S.A.によって提供される注入デバイスであるNanojectで実施されるものなどの顕微針のアレイを利用する。本発明の例示的な実施形態では、当業者には理解されるように、適した任意の他の注入機構を使用することができる。
【0062】
図11A〜11Eおよび図12A〜12Dは、本発明の例示的な実施形態で使用するための針配置機構108の例示的な実施形態を示す。図11Aは、注入針またはカニューレを使用者内へ挿入するための手動式のスナップディスク1102を示す。ボタン1101に印加される力により、スナップディスク1102は凸状の位置から凹状の位置へ追いやられ、注入カニューレを使用者内へ駆動する。図11Bに示す針配置機構108の第2の例示的な実施形態では、ねじりばね1105を使用して、注入カニューレを使用者内へ駆動する。この実施形態の注入カニューレは、円形に形成された針1104を備える。円形に形成された針1104は、ねじりばね1105によって案内される円形の経路に制約される。操作前には、針は、指レバー1103に取り付けられた阻止アーム1106によって、準備のできた位置で保持される。この実施形態では、使用者は、阻止アーム1106とは反対側の指レバー1103の端部に力を印加することによって、針の配置を操作する。使用者がレバー1103に下向きの力を印加したとき、レバーの阻止アーム1106は、阻止位置から離れるように枢動し、ねじりばね1105は、注入針を使用者内へ駆動することができる。
【0063】
図11C〜11Eは、上記で論じた可撓性でスロット付きの鋼針およびねじりばねの注入針に特に適している、本発明で使用するための別の例示的な実施形態を示す。図11Cに示すように、可撓性の注入針1122が、針キャリッジ1124に取り付けられる。針キャリッジ1124は、針キャリッジ1124が挿入方向に動くのを防止する保持ラッチ部材1126によって、準備のできた後退位置で保持される。注入針の配置は、保持ラッチ部材1126を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。保持ラッチ1126が操作されたとき、図11Dに示すように、圧縮ばね1128が、針キャリッジ1124を挿入方向に駆動する。注入針1122が使用者内へ挿入された後、針キャリッジ1124の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシ1130または筐体によって妨害される。図11Dおよび11Eは、可撓性の注入針1122を所望の挿入角度で使用者内へ案内する案内スリーブ1132を有する、図11Cの針配置機構を示す。さらに、案内スリーブ1132は、配置中にねじれまたは望ましくない他の偏向に耐えるように、可撓性の針1122に追加の完全性を提供する。図11Dおよび11Eから理解されるように、案内スリーブ1132は、針キャリッジ1124の運動に対して様々な向きで配置できるように、医療デバイス内に構成することができる。したがって、例示的な実施形態で案内スリーブ1132を使用することで、キャリッジが皮膚に対して平行に動けるようにすることによって、針配置機構が医療デバイスの全体的なプロファイルに与える影響を最小にしながら、注入針1122を皮膚内へ配置することができる。
【0064】
図12A〜12Dは、挿入針を用いて可撓性のカニューレを使用者内へ自動的にまたは手動で駆動するための、図11Cに関連して上述したものに類似している針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。図12Aに示すように、可撓性のカニューレ1204の内側の空胴内に、堅い挿入針1202が提供され、可撓性のカニューレ1204の端部から尖った先端部が延びる。挿入針およびカニューレは、針キャリッジ1206およびカニューレキャリッジ1208によって、互いに対して相対的な位置で保持される。針キャリッジ1206およびカニューレキャリッジ1208は、カニューレキャリッジ1208が挿入方向に動くのを阻止する保持ラッチ部材1212によって、準備のできた後退位置で保持される。針の配置は、保持ラッチ部材1212を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。保持ラッチ1212が操作されたとき、図12Bに示すように、第1の圧縮ばね1210が、カニューレキャリッジ1208を挿入方向に駆動する。針キャリッジ1206は、カニューレキャリッジ1208と係合しており、したがってカニューレキャリッジ1208の挿入運動が針1202を使用者内へ駆動する。針1202およびカニューレ1204が使用者内へ挿入された後、カニューレキャリッジ1208の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシまたは筐体によって妨害される。図12Cに示すように、カニューレキャリッジの遠位の動きが妨害された時点で、カニューレキャリッジ1208と針キャリッジ1206は切り離される。この時点で、第2の圧縮ばね1211が、切り離された針キャリッジ1206を近位方向に駆動し、したがって図12Dに示すように、カニューレ1204は挿入されたまま、使用者から針1202を引き抜く。
【0065】
上記で論じた例示的な実施形態では、使用者は、図2、4、および5Aに示すように、上部カバーの外部表面上に提供される操作ボタン、指レバー、または他のラッチ保持手段上へ力をかけることによって、カニューレの挿入を手動で操作することができる。さらに、上記で論じたそれぞれの実施形態では、医療デバイス100の上部カバーの薄く可撓性の性質のため、筐体内に手動操作手段を提供することができ、この手段は、上部カバーの外部表面上の特有の領域に力を印加することによって操作されることが好ましい。
【0066】
上記の針配置機構は、例示的な実施形態としてのみ提供される。図11および12に示す実施形態はまた、注入カニューレを使用者内へ配置するために、ラッチおよびばね機構の代わりに、電動式の構成要素または他の電気構成要素を利用することができる。本発明の代替的実施形態では、当技術分野で利用可能な任意の針配置機構を実施できることが、当業者には理解されるであろう。選択された針機構は、薄く可撓性の医療デバイスを実現するように比較的簡単な構造を構成し、低プロファイルであることが好ましい。
【0067】
さらに、上記の針配置機構はいずれかも、当業者には理解されるように、連続血糖監視を実現する医療デバイス100の代替的実施形態で使用するために、血糖センサなどの経皮被検体センサまたはバイオセンサを配置するようにわずかに修正することができる。たとえば、図12A〜12Dに記載の実施形態は、図12E〜12Hに示すように、外側のスリーブまたは針1224の内部に位置決めされたバイオセンサ1222を挿入するために提供することができる。バイオセンサ1222の配置後、外側のスリーブ1224は後退し、使用者の皮下組織内でバイオセンサ1222を露出させることができる。図12Eに示すように、バイオセンサ1222および針1224は、針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223によって、互いに対して相対的な位置で保持される。針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223は、バイオセンサキャリッジ1223が挿入方向に動くのを阻止する保持ラッチ部材1212によって、準備のできた後退位置で保持される。センサの配置は、保持ラッチ部材1212を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。もちろん、手動配置によって、またはBGMもしくはホストデバイスから受け取った適当なコマンドを介して電子的に、配置を行うこともできることを理解されたい。保持ラッチ1212が操作されたとき、図12Fに示すように、第1の圧縮ばね1226は、針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223を挿入方向に駆動する。バイオセンサ1222および針1224が使用者内へ挿入された後、バイオセンサキャリッジ1223の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシまたは筐体によって妨害される。図12Gに示すように、バイオセンサキャリッジ1223の遠位の動きが妨害された時点で、針キャリッジ1225とバイオセンサキャリッジ1223は切り離される。この時点で、第2の圧縮ばね1227が、切り離された針キャリッジ1225を近位方向に駆動し、したがって図12Hに示すように、バイオセンサ1222が挿入されたまま、使用者から針1224を引き抜く。
【0068】
図12I〜12Jは、本発明の一実施形態による医療デバイス内で使用するための体内に留置される針およびカニューレに対する別の配置機構を示す。前述の機構と同様に起動されるのではなく、この針の配置は、使用者が制御することができる。すなわち、キャリッジ1225は、圧縮ばね1228によって、後退位置に偏っている。図12Iは、デバイスを後退位置で示し、したがって針1229およびカニューレ1230は、シャーシから突出していない。キャリッジ1225は、使用者がアクセス可能な手動アクチュエータ1231を含む。使用者がばねの偏りに打ち勝つのに十分な力で矢印「A」の方向に手動アクチュエータを動かしたとき、キャリッジ1225は、針1229およびカニューレ1230とともに、矢印「A」の方向に動く。キャリッジ1225はまた、保持ラッチ1234上の保持表面1233と噛合する指ラッチ1232を含む。キャリッジ1232が矢印「A」の方向に動くと、指ラッチ1232と保持表面1233の間の干渉により、保持ラッチ1234が矢印「B」の方向に移動する。指ラッチ1232および保持表面1233は、指ラッチが各保持表面1233を越えるときにキャリッジ1225が後退方向に後方へ動かないように成形される。キャリッジが矢印「A」の方向に動くと、針およびカニューレは、シャーシから突出し、使用者の皮膚の表面に入る。カンチレバー式の保持ラッチ1234は、矢印「B」の方向に下へ屈曲し、キャリッジ1225を解放して針およびカニューレを後退させることができる。当業者には理解されるように、保持ラッチ1234を下へ屈曲させることによってキャリッジ1225を解放するのに適した任意の構成を用いることができる。そのような構成は、シャーシの外部上に提供されたデバイスを介した使用者による手動の動き、またはPDM上の適当なコマンドを介した自動の電子的な解放を含むことができる。
【0069】
図2〜5に示す上記のシステム構成要素の組合せおよび構成は、限定的なものではない。使用者ごとに調整された特有の薬剤療法を実現するために、上記の例示的な実施形態のいずれかにおいて、望みに応じて上記の構成要素のいずれかを組み合わせて構成できることが、当業者には理解されるであろう。特有の薬剤療法を実現するために上述の構成要素の組合せを利用する医療デバイス100の追加の例示的な実施形態を、図13〜15に示す。
【0070】
図13は、単一の針配置機構108内に提供された単一の注入カニューレを通じて2薬剤療法を提供する医療デバイスの特有の実施形態を示す。単一の注入カニューレと流動的に連通するリザーバ106aおよび106bが提供され、それぞれからの薬剤の流れを制御するように、単一のポンプ機構114および任意選択の弁機構によって制御される。この実施形態では、構成要素の数に基づいて、医療デバイスの上部カバーは、中心ハブ領域1304から放射状に延びる3つのローブ1301、1302、および1303を含むように適当に設計される。ローブ1301は、針配置機構108を含むことが好ましく、ローブ1302および1303は、それぞれリザーバ106aおよび106bを含むことが好ましい。
【0071】
図14は、第1の針配置機構108aおよび第2の針配置機構108bによって提供される第1および第2の注入カニューレを通じて薬剤療法を提供する医療デバイスの別の実施形態を示す。各注入カニューレは、上述のように手動でまたは自動的に操作される。一実施形態では、可撓性の上部カバーは、各針配置機構108および108bを手動で操作するための押しボタンへのアクセスを提供することができる。各注入カニューレは、望ましい場合、2薬剤療法を供給するために、独自のリザーバ106aまたは106bと流動的に連通することができる。あるいは、各注入カニューレによって単一のリザーバを共用することができ、したがって必要な場合、予備または2次の注入カニューレを可能にする。
【0072】
図15は、単一の注入カニューレを通じて最高3薬剤療法を提供する別の実施形態を示す。第1のリザーバ106aおよび第2のリザーバ106bは、それぞれからの薬剤の流れを制御する任意選択の弁を有する単一のポンプ機構114に接続されたところを示す。さらに、望みに応じて、薬剤の手動のボーラス投与量を可能にするように、図示のように、第3のリザーバ106cを注入カニューレに直接提供することができる。医療デバイスの上部カバーの薄く可撓性の性質のため、使用者は、上部カバーの特有の領域に力を印加することによって、ボーラス投与量を手動で操作することができる。この特有の領域は、ボーラス投与量内で提供される薬剤の供給量を保持するリザーバ106cに隣接していることが好ましい。リザーバ106cは、デバイスの特定のローブ(1503)内に位置することが好ましく、したがって使用者は、ローブ1503を押してボーラス投与量を生じさせることができる。使用者によって印加される力で、使用者に提供されるある量の薬剤をリザーバから注入カニューレを通じて排出することができる。任意選択で、当業者には理解されるように、使用者によって印加される力は、電気的接点を閉じることができ、それによって電子ポンプ機構および制御装置を介してボーラス投与量の注射を自動的に操作する。別の実施形態では、医療デバイスは、上記と同様に、1つまたは複数の注入カニューレを通じて、1つまたは複数のリザーバ内に含まれる1つまたは複数の薬剤のボーラス投与量のみを提供するように設計することができる。
【0073】
当業者には理解されるように、図13〜15に示す追加の実施形態は、本発明によって可能になる無数の実施形態および構成のいくつかのみを説明する。上述した構成要素の特有の組合せ、特にリザーバおよびリザーバ内に貯蔵される薬剤の数は、他の要件の中でも、使用者の医療条件に適した特有の治療を使用者に提供するように選択することができる。特に、例示的な医療デバイスはまず、複数の日常的な注射のみまたは単一の薬剤もしくは複数の薬剤のボーラス投与量のみを施すことによって2型糖尿病を治療するために提供することができる。使用者の病状が進行して、インスリン耐性のレベルが増大すると、より効果的な治療のために、構成要素の別の組合せまたは構成を有する類似の医療デバイスを使用することができる。
【0074】
さらに、上記の例示的な実施形態の特徴は、複数の適用分野でも同様に提供することができ、上記の開示に限定されるものではない。着用可能なデバイスの最大の可撓性および共形性を通じて最大の快適さおよび利便性を提供するために、任意の他の皮膚表面で着用可能なデバイスで、上記の特徴および技法を利用することができる。本明細書に開示するインスリンパッチポンプデバイスに加えて、特に薄く軽量の医療デバイス100が理想的な子供または年配者に対して、上記で開示した着用可能な医療デバイスを通じて、リューマチ性関節炎の治療またはヒト成長ホルモンの注入などの他の薬剤療法も理論上は提供することができる。
【0075】
上述した例示的な実施形態のいずれにおいても、医療デバイスはまた、図16に示すプログラム可能なインスリンペンなど、プログラム可能な薬剤送達デバイス1600と一緒に使用することができる。好ましい実施形態では、着用可能な医療デバイスは、事前設定され、事前にプログラム可能な、またはプログラム可能な基礎注入速度のみを提供するように構成され、一方プログラム可能な薬剤送達デバイス1600は、必要なボーラス投与量を注入するために提供される。上記で論じた着用可能な医療デバイスの特定の実施形態は、ボーラス投与量を提供することが可能であるが、一部の使用者は、図16に示すものなどの馴染みのあるペン型注射デバイスを使用するとより快適なことがあり、ペン型注射デバイスを好むことがある。さらに、使用者によっては、インスリンペン型デバイスによって単独で提供される薬剤療法が、効果的な治療であることもある。一般的な機械的インスリンペン型の注射デバイスは通常、注射に対する所望の投与量を精密に設定するのにユーザとの対話を必要とする。従来の機械的ペンは通常、小さい投与量目盛りを含み、これは、見たり精密に設定したりするのが困難なことがある。したがって、本発明の例示的な実施形態では、プログラム可能なインスリンペン型のデバイス1600は、使用者がデバイスを正しく動作できないことに起因する投与量の誤りの可能性をなくすはずである。
【0076】
本発明の一実施形態では、使用しないとき、薬剤送達デバイス1600は、個人糖尿病マネージャ(PDM)1602、血糖モニタ(BGM)、またはボーラス投与量を計算する他のデバイスに取り付けられたままであることが好ましい。使用者が、ボーラス投与量要件を計算するようにPDM1602に指示すると、PDMは、基礎速度注入履歴または使用者の血糖値から投与量を計算し、薬剤送達デバイス1600内へ投与量を自動的にプログラムし、使用者によるさらなる計算、設定、または調整を必要としない。PDM1602はまた、使用者にとって所望のボーラス投与量を計算するために使用する感知機構または血糖値を求める他のシステムを備えることができる。本発明のこの例示的な実施形態では、注入に必要なステップの数を低減させ、使用者が一般的な機械的インスリンペンを正しく動作できないことによって引き起こされる投与量の誤りを低減させる。
【0077】
例示的な実施形態の薬剤送達デバイス1600は、交換可能なインスリンカートリッジを含むことが好ましく、一般的に利用可能なインスリンペンと同様に、円筒形の形状とすることができる。一般的なインスリンペンの上部部分に通常は位置する投与量の機械化は、ペンの胴の内径の周りに巻き付けられた屈曲回路によって取り換えられることが好ましい。可撓性の回路の内側で胴の中心線上に、充電可能な電池を提供することができる。交換可能なインスリンカートリッジは、ペンの下部部分に位置するはずであり、インスリンカートリッジとペン針の間には、マイクロポンプが提供される。あるいは、インスリン瓶と並べて可撓性の回路の内側に、直線アクチュエータを配置することができる。直線アクチュエータは、瓶内のプランジャを駆動するように力を印加し、その結果、プランジャの動きの移動量に等しいボーラス投与量が得られる。非常に小さい直線アクチュエータが利用可能であり、この目的で使用できると有利である。一例は、New Scale Technologiesによって製造されているSquiggle(登録商標)という直線アクチュエータである。ペンの上部部分および下部部分は、インスリンカートリッジを交換するために分離することが好ましく、再び組み立てるときは、マイクロポンプへの電気的接続を提供する。薬剤送達デバイス1600がPDM1602に取り付けられるたびに、送達デバイス1600内の充電可能な電池を充電することができ、ペン内に記憶された注入履歴または血糖履歴を、PDM1602へ自動的にアップロードすることができる。
【0078】
本発明の例示的な実施形態は、既に組み込まれている同時係属の特許文献1に記載されているように、パーソナルエリアネットワークを介して通信するのに必要な低コストの構成要素を、薬剤送達デバイス1600に提供することができる。この実施形態により、薬剤送達デバイス1600とPDM1602または上記の例示的な実施形態で開示されている着用可能な「スマート」医療デバイスの間の連続した通信が可能になる。「スマート」医療デバイスまたはPDMは、双方が使用者の身体と物理的に連通している限り、ボーラス投与量が計算されるたびに、薬剤送達デバイス1600を自動的にプログラムすることができる。バイオセンサを含み、または他の方法でバイオセンサと通信する着用可能な「スマート」医療デバイスもまた、使用者の血糖値に基づいてデバイスによって自動的にプログラムされる薬剤送達デバイス1600に、ボーラス投与量要件を提供することが可能である。さらに、薬剤送達デバイス1600は、ボーラス投与量が使用者に施されるたびに、パーソナルエリアネットワーク、PDM、または「スマート」医療デバイスを介して自動的に更新することができる。上記の実施形態は、容易に使用でき、インスリン療法を必要とする多くの使用者に馴染みのある一実施形態において、上記で開示した例示的な着用可能な医療デバイスの機能をさらに高めることが可能な低コストの知的デバイスを提供する。
【0079】
本発明について、特定の例示的な実施形態を参照して図示および説明したが、本発明は、例示的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者であれば例示的な実施形態を変更または修正できることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、さらなる快適さ、利便性、使用し易さ、および魅力を使用者に提供するために可撓性および共形性を有する目立たない筐体内に提供される、着用可能な自立型の薬剤注入デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病とは、インスリン産生、インスリン作用、またはこれら両方の欠陥に起因して血糖値が高くなることを特徴とする1群の疾病である。米国では、2360万人、すなわち人口の8%が糖尿病を患っている。糖尿病の総罹患率は、2005年〜2007年の期間以来、13.5%増大した。糖尿病は、深刻な合併症および早死を招く可能性があるが、糖尿病の患者が疾病を制御して合併症のリスクを下げるのを助けるために利用可能な製品がよく知られている。
【0003】
糖尿病の患者に対する治療の選択肢には、特殊な食餌療法、経口投薬、および/またはインスリン療法が含まれる。糖尿病治療の主な目標は、合併症のない生活の可能性を増大させるために、患者の血糖(糖)値を制御することである。しかし、他の生活上の要求および状況とのバランスを取りながら良好な糖尿病管理を実現することは、常に簡単というわけではない。
【0004】
現在、1型糖尿病の治療には、日常的インスリン療法の2つの主要な形態が存在する。第1の形態は、注射器およびインスリンペンを含む。この形態では、通常1日に3回から4回、注射ごとに針を刺す必要があるが、簡単に使用でき、比較的低コストである。糖尿病を管理するために広く採り入れられている効果的な別の治療方法は、インスリンポンプを使用することである。インスリンポンプは、インスリンの連続注入によって、使用者が個々の必要に基づいて血糖値を標的範囲内で維持するのを助けることができる。インスリンポンプを使用することによって、使用者は、インスリン注射が自身にどれだけ効いているかに自身の生活様式を整合させるのではなく、自身の生活様式にインスリン療法を整合させることができる。
【0005】
従来のインスリンポンプは、皮膚の下に配置されたカテーテルを通じて、急速または短時間作用型のインスリンを1日24時間送達することが可能である。インスリンの投与量は通常、基礎速度およびボーラス投与量で施される。基礎インスリンは、24時間にわたって連続して送達され、食間および夜間に使用者の血糖値を一貫した範囲内で維持することを目指す。一部のインスリンポンプは、日夜の異なる時間に応じて変動するようにインスリンの基礎速度をプログラムすることが可能である。ボーラス投与量は通常、使用者が食事をとるときに施され、通常、単一の追加のインスリン注射を提供して、消費された炭水化物のバランスを取る。一部の従来のインスリンポンプでは、使用者は、消費した食事の量または種類に応じて、ボーラス投与量の体積をプログラムすることができる。また従来のインスリンポンプでは、使用者は、使用者が食事のボーラスを計算しているときの低血糖値を補償するために、補正的または補助的なボーラスのインスリンを取り込むこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/458,807号明細書
【特許文献2】米国特許第6,960,192号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0010207号明細書
【特許文献4】米国特許第6,589,229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のインスリンポンプには、他の糖尿病治療方法に比べて多くの利点がある。インスリンポンプは、単一の注射の場合より時間をかけてインスリンを送達し、したがって通常、米国糖尿病協会によって推奨される血糖範囲内の変動がより少ない。従来のインスリンポンプは、患者が耐えなければならない針で刺す回数を低減させ、糖尿病の管理を使用者にとってより容易かつより効果的なものにし、したがって使用者の生活の品質をかなり向上させる。しかしながら、インスリンポンプは、使用するには重くて扱いにくい可能性があり、通常、他の治療方法より高価である。生活様式の観点から、従来のポンプ、管類、および注入セットは、使用者にとって不便かつ厄介である。
【0008】
インスリン療法の新しい進歩は、従来のインスリンポンプより低コストであり、いくぶん便利かつ快適に使用できる、パッチポンプなどの「着用可能な」薬剤注入デバイスを提供する。これらのデバイスの一部は、一部または完全に使い捨てであり、理論的には、従来のインスリンポンプの高い初期コストおよび不便さなしで、従来のインスリンポンプの利点の多くを提供することを意図する。しかし、一般に利用可能なパッチポンプはやはり、より幅広い使用に適した最大限の快適さおよび利便性を使用者に提供していない。典型的なパッチポンプはやはり、比較的重くかさばり、一般に、堅い構成要素を含む堅い筐体で構築されており、したがって長い使用期間にわたって使用者に不快を与える。そのようなパッチポンプは、比較的大型のパッチポンプが理想的ではない子供、小柄な女性、および年配者にとって、特に不快になる傾向がある。さらに、一般的なパッチポンプの構造では、パッチポンプを容易に隠すことができず、使用者の身体上で着用できる位置の数が限られる。
【0009】
したがって、さらに多くの使用者がこれらのデバイスが提供する利点から利益を得られるように、利便性、快適さ、および着用可能性が改善された、より目立たない薬剤注入デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の例示的な実施形態は、少なくとも上記の問題および/または欠点に対処し、少なくとも後述する利点を提供する。したがって、本発明の特定の実施形態の目的は、可撓性および共形性を有するより目立たない着用可能な薬剤注入デバイスを提供して、そのようなデバイスを使用する際に使用者の利便性および快適さを増大させることである。
【0011】
本発明の一態様によれば、使用者に薬剤療法を施すために提供される着用可能な医療デバイスは、ある供給量の薬剤を収容する可撓性のリザーバを含む一体化された筐体であって、薬剤を使用者へ送達する注入カニューレと流動的に連通する筐体と、注入カニューレを通じたリザーバから使用者への薬剤の送達を計測する流体計測デバイスとを備え、前記筐体は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接された可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える。筐体の上部部分および下部部分は、可撓性ポリマーから構築され、一体化された筐体の厚さは、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)の範囲内、好ましくは約0.75インチ(1.905cm)以下であり、接着層で使用者の皮膚に貼り付けられる。接着層と医療デバイスの下部部分の間に挟まれた発泡またはエラストマ層を提供することもできる。流体計測デバイスは、可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的に提供された少なくとも1つの熱抵抗器を備え、前記熱膨張流体を加熱すると、前記可撓性の膜の膨張を引き起こし、その結果、薬剤を移動させ、注入針を通じて前記薬剤を前記使用者内へ操作する。一実施形態では、膨張流体および可撓性の膜を有する複数の熱抵抗器を順次提供し、使用者への前記薬剤の直線蠕動型の流れをもたらすことができる。流体計測デバイスは、前記使用者への薬剤の流れを促進する少なくとも1つの一方向逆止弁をさらに備える。流体計測デバイスはまた、前記使用者への薬剤の流れを制御する電子制御式のゲートまたは弁を備えることができる。あるいは、一実施形態では、流体計測デバイスは、前記リザーバから薬剤を排出するベルビルばねワッシャ、打抜き式の板ばね、スナップディスク、または屈曲部の1つを備える。医療デバイスは、少なくとも流体計測機構と制御装置を電子的に接続する可撓性の回路基板をさらに含み、前記回路基板は、前記回路基板の外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備える。
【0012】
本発明のこの態様によれば、シャーシを備える医療デバイスが提供され、このシャーシは少なくとも、第2の枠に可撓的に接続された第1の枠を備え、前記筐体内で互いに対して、前記第1の枠内に第1のシステム構成要素を位置決めし、前記第2の枠内に第2のシステム構成要素を位置決めする。医療デバイスは、前記筐体内に配置可能な押しボタンによって操作される注入針配置機構をさらに備え、一実施形態では、前記針配置機構は、前記注入針を使用者内へ駆動するばねディスクを備える。別の実施形態では、針配置機構は、前記注入針を使用者内へ駆動するように指レバーによって操作されるねじりばねを備える。さらに別の実施形態では、針配置機構は、挿入針を使用して可撓性のカニューレを使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびカニューレキャリッジと、前記可撓性のカニューレを使用者内へ挿入する際に、使用者から前記挿入針を引き抜くばね部材とを備える。挿入針を用いてバイオセンサを使用者内へ挿入する類似の針キャリッジおよびバイオセンサキャリッジも提供され、針は、バイオセンサの挿入後に使用者から引き抜かれる。医療デバイスはまた、前記筐体の前記上部部分上の特有の領域に力を印加することによってボーラス投与量を手動で操作する機構と、使用者の血糖値を求める目的で経皮被検体センサを配置する機構、または何らかの他の生理学的指示器とを備える。
【0013】
さらに本発明のこの態様によれば、使用者へボーラス投与量を送達するためにある量の薬剤を収容する第2の可撓性のリザーバが提供される。第2のリザーバは、第2の注入カニューレと流動的に連通するように提供することができ、2型糖尿病を患う使用者に薬剤療法を施すために使用されることが好ましい。さらに、この実施形態の医療デバイスは、基礎速度の薬剤注入を使用者に提供し、また薬剤療法のボーラス投与量を提供するために、インスリンペンなどのプログラム可能な注射デバイスと一緒に使用することができる。プログラム可能な注射デバイスは、使用者内へ注射するための薬剤のボーラス投与量も計算するホストデバイスによってプログラムされることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える一体化された筐体を備え、前記筐体は、長さ寸法が幅寸法より長い細長い形状に形成され、幅寸法より狭い腰部分をさらに含み、前記筐体は、筐体が腰部分で最も狭くなるような輪郭を有する。医療デバイスの可撓性の上部部分と下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接される。
【0015】
本発明の第3の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記上部部分および前記下部部分は、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備える。医療デバイスは、少なくとも1つの凹部とは反対側の位置で、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる第2の凹部をさらに備える。上部部分および下部部分の第1の凹部および第2の凹部は、デバイスの第1の領域とデバイスの第2の領域を分離する屈曲領域を画定する。第1の領域内には第1のシステム構成要素が含まれ、第2の領域内には第2のシステム構成要素が含まれる。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスを提供し、この医療デバイスは、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記筐体は中心ハブ領域を備え、前記中心ハブから複数のローブが放射状に延びる。第1のローブ内には医療デバイスの第1のシステム構成要素が含まれ、第2のローブ内には第2のシステム構成要素が含まれる。第1のシステム構成要素および第2のシステム構成要素は、ボーラス投与量の薬剤を送達するリザーバ、バイオセンサ、針配置機構、および通信送受信器の1つを含む。医療デバイスは、前記複数のローブの皮膚付着側に取り付けられた少なくとも1つの接着パッドをさらに備える。
【0017】
本発明の最後の態様は、使用者に薬剤療法を施す可撓性の着用可能な医療デバイスを提供する方法であって、上部の可撓性部分および下部の可撓性部分を備える筐体を準備するステップと、使用者に施される薬剤を収容するリザーバと流動的に連通する注入カニューレ、および注入カニューレを通じて施される薬剤の体積を計測する流体計測機構を、前記筐体内に提供するステップと、上部の可撓性部分と下部の可撓性部分をそれぞれの周囲に沿って接続することによって筐体を形成するステップとによる方法を提供する。この方法では、上部の可撓性部分と下部の可撓性部分を音波溶接する。
【0018】
本発明の目的、利点、および顕著な特徴は、添付の図面と併せて本発明の例示的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特定の例示的な実施形態の上記その他の例示的な特徴および利点は、添付の図面と併せて、本発明の特定の例示的な実施形態の以下の説明からより明らかになるであろう。
【0020】
【図1】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの主要な構成要素を示すブロック図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第1の例示的な実施形態の図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図3C】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第2の例示的な実施形態を示す図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第3の例示的な実施形態の図である。
【図5A】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図5B】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図5C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための接着層の例示的な実施形態を示す図である。
【図5D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための接着層の例示的な実施形態を示す図である。
【図6A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図6D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6F】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6G】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図6H】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための図6A〜6Cに示すポンプ機構の追加の例示的な実施形態を示す図である。
【図7】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の別の例示的な実施形態の図である。
【図8】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第3の例示的な実施形態を示す図である。
【図9】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第4の例示的な実施形態を示す図である。
【図10】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのポンプ機構の第5の例示的な実施形態を示す図である。
【図11A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図11E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12A】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12B】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12C】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12D】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するための針配置機構の別の例示的な実施形態を示す図である。
【図12E】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12F】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12G】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12H】医療デバイスの例示的な実施形態のいずれかで使用するためのセンサ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12I】本発明の例示的な実施形態で使用するための使用者制御式のキャリッジを有する手動式のカニューレ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図12J】本発明の例示的な実施形態で使用するための使用者制御式のキャリッジを有する手動式のカニューレ配置機構の例示的な実施形態を示す図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図15】本発明の例示的な実施形態による医療デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【図16】本発明の例示的な実施形態による薬剤送達デバイスの追加の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面全体にわたって、同じ参照番号は、同じ要素、特徴、および構造を指すと理解される。
【0022】
この説明で例示する事柄は、本発明の例示的な実施形態の包括的な理解を助けるために提供されるものであり、添付の図を参照する。したがって、請求される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する例示的な実施形態の様々な変更および修正を加えることができることが、当業者には理解されるであろう。また、よく知られている機能および構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略する。
【0023】
医療デバイス100の概略的な実施形態を図1に示す。医療デバイス100は、患者の皮膚内へ、または皮膚を貫通する連続注入によって、液体またはゲル状の薬物、必ずしも必須ではないが好ましくはインスリン、または他の治療剤を送達するために提供される着用可能な医療デバイスであることが好ましい。医療デバイス100は、薬剤または物質の皮下、皮内、筋肉内、および静脈内への注入を提供することが可能である。知られているそのような医療デバイスは一般に、使用者の皮膚に着用され、または貼り付けられるという性質のため、「パッチポンプ」と呼ばれる。医療デバイス100は通常、可撓性の薬剤リザーバ106または薬剤を供給する他のコンテナのための筐体と、注入針配置機構108と、注入針配置機構108内に提供される注入針を通じた使用者の体内への薬剤の送達を制御するポンプ機構114または流体計測デバイスとを備える。医療デバイス100はまた、注入針配置機構108およびポンプ機構114を誘導し、ならびに医療デバイス100の他の好ましい動作およびシステムを監視および/または制御するマイクロプロセッサまたは制御装置116と、それだけに限定されるものではないが、全体として参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された2009年7月23日出願の同時係属の特許文献1に開示されているものなど、使い捨てまたは充電可能な標準的な電池、キャパシタ、またはエネルギー取得システムを含む、知られている任意の電源などの電力供給部118とを備えることが好ましい。
【0024】
医療デバイス100の1つの例示的な実施形態は、事前にプログラムされたパッチポンプである。事前にプログラムされたパッチポンプは、製造設備または健康管理提供者によってプログラムすることができ、追加の使用者によるプログラミングを必要としないことが好ましい。事前にプログラムされたパッチポンプは、最近診断された1型糖尿病患者、より具体的には年配者または知的障害者およびパッチポンプをプログラムするのが困難なことがある患者などの特定の患者群にとって理想的である。事前にプログラムされたパッチポンプは、睡眠および歩行のインスリン要件に整合するように1日中変動できるカスタマイズされた基礎注入速度を提供する簡単な知能を備えることができる。事前にプログラムされたパッチポンプは、1日の異なる時間または異なる条件下で異なる速度で使用者に薬剤を送達するようにプログラムすることができる。時間とともに変動する薬剤送達速度を、本明細書では薬剤送達プロファイルと呼ぶ。事前にプログラムされたパッチポンプはまた、たとえば10の単位の漸進的なボーラス投与量を手動で操作できるように機械化により設計することができる。手動操作の1つの形式は、長期間にわたって1つまたは2つの瞬時スイッチなどの電気的接点を閉じることを必要とするはずである。ボーラス投与量を供給するために、別個の第2のリザーバを提供することもでき、基礎注入に使用されるのと同じカニューレを利用しても、第2のカニューレを利用してもよい。事前にプログラムされたパッチポンプはまた、複数の日常的な注射を提供するように構成することができる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、当業者には理解されるように、医療デバイス100を、完全にプログラム可能な(「スマート(smart)」)、または実質上機械的な(「シンプル(simple)」)パッケージとして提供することもできる。
【0026】
完全にプログラム可能な「スマート」パッチポンプは、使用者の生活様式に適した薬剤を施す速度を制御するのに最大の精度および柔軟性を使用者に提供するが、デバイスに追加のコストおよび複雑さが加わる。「スマート」パッチポンプは通常、閉ループ制御および感知を通じて1日中いつでも起動または調整できるカスタマイズされた基礎注入速度およびボーラス投与量を提供するために、個人糖尿病モニタ(PDM)などの血糖モニタ(BGM)およびホストデバイスと一緒に使用される。「スマート」パッチポンプは、既に組み込まれている同時係属の特許文献1に記載されているようなパーソナルエリアネットワークを介して、または無線ネットワークを介して、ホストデバイスと通信するように構成されることが好ましい。「スマート」パッチポンプはまた、有線または他の直接接続を介して、ホストデバイスと連続的または断続的に通信することができる。
【0027】
「シンプル」パッチポンプは、システム知能をほとんどまたは一切もたず、通常、事前設定された基礎速度または手動で起動されたボーラス投与量を通じてインスリン注入の基本制御を提供するほとんど機械的なシステムを備えることができる。「シンプル」パッチポンプのコストは、特殊な感知、制御、および通信能力を実現するのに必要な比較的高価な電子機器を必要としないため、「スマート」パッチポンプと比較すると大きく低減される。
【0028】
「スマート」、事前プログラム可能、および「シンプル」の各パッチポンプパッケージは、特定のタイプの使用者または使用者群には特に効果的であり、望ましい。使用者の生活様式、医療条件、資金状況、および医療デバイスを動作する傾向で、どのパッケージのパッチポンプがその使用者に適しているかがほぼ決まる。以下の本発明の例示的な実施形態の特有の特徴および機能は、上述したパッチポンプパッケージのそれぞれで実施することができる。本発明によって使用されるパッチポンプの追加の実施形態、特徴、および特有の機能は、すべて参照により本明細書に組み込まれている、どちらもInsulet Corporationに譲渡された特許文献2および特許文献3、Robert I Connellyらに発行されて本発明の譲受人に譲渡された特許文献4、ならびに本発明の譲受人に譲渡された本発明と同日付けで出願の「Extended Use Medical Device」という名称の同時係属の米国特許出願(代理人整理番号第P−8618(55579)号)で得ることができる。
【0029】
本発明による医療デバイス100の例示的な実施形態を、図2〜5に示す。これらの図に示す例示的な実施形態はそれぞれ、図2では202および204、図3Aおよび3Cでは302および304、図4では402および404、ならびに図5Aでは502および504と示す可撓性の上部カバーおよび下部カバーを備える。本発明の例示的な実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、医療デバイス100のための外部シェルまたは筐体を構成する。上部カバーと下部カバーはそれぞれ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはポリ塩化ビニル(PVC)などの薄い可撓性ポリマーから構築されることが好ましい。これらの材料は例示的なものであり、限定的なものではなく、医療デバイス100の構成要素に対して薄い可撓性の筐体を提供するのに適した任意の材料を使用できることが、当業者には理解されるであろう。上部カバーおよび下部カバーは、整合またはほぼ整合する周囲を有するように、形状が実質上類似していることが好ましい。例示的な実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、医療デバイス100の構成要素をしっかりとカプセル化するように、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接される。下部カバーは、使用者と皮膚で接触するのに安全で、よく知られており長持ちする任意の接着層210を介して、使用者の皮膚に貼り付けられることが好ましい。医療デバイス100の下部カバーが使用者に貼り付けられるとき、下部カバーは使用者に共形であり、医療デバイス100全体の屈曲を可能にすると有利である。上部カバーは、医療デバイス100の屈曲および共形性への耐性を与えるのを最小にするように設計されることが好ましい。このようにして構築された医療デバイス100のための筐体は非常に薄く、各使用者の固有の身体形状に対して可撓性および共形性を有する。医療デバイス100の最小の厚さおよび最適の可撓性は、従来のパッチポンプでは提供されないレベルの利便性、多用性、および快適さを使用者に与える。
【0030】
本発明の例示的な実施形態では、例示的な医療デバイス100の全体的な印象を高めるために、上部カバーおよび下部カバーの選択された形状が使用者および公衆にとって目に見えて魅力的であることも好ましい。医療デバイス100の機能を隠すために、上部カバーは、一般的な包帯に似るように設計することができ、または使用者の皮膚の色と混ざるように着色することができる。さらに、各実施形態の上部カバーは、特に子供が着用するとき、使用者に対するデバイスの視覚的な魅力をさらに高めて使用者の個性を表すために、カスタム設計、アートワーク、またはロゴで装飾することができる。
【0031】
本発明の例示的な実施形態では、上部カバーは、内部の構成要素に対して追加の保護を提供するために、下部カバーよりわずかに硬化させ、厚くし、または耐久性を高めるように構築することができる。医療デバイス100の最適の可撓性を確保するために、上部カバーの表面全体をこのように構築する必要はない。たとえば、図2に示すように、上部カバー202のうち、上部カバーと類似の形状で表面積がより小さい部分203は、追加の保護を提供するように上記のとおり構築することができる。別の実施形態では、上部カバーの選択された領域は、医療デバイス100の特有の部分または構成要素のみに追加の保護を提供するように、このように構築することができる。
【0032】
図2および3は、本発明によって2次元の共形性および可撓性を提供する医療デバイス100の第1および第2の例示的な実施形態を示す。図2に示す実施形態は、最小の厚さを実現するが、使用者に対する皮膚の密着のために表面積が増大された、細長い可撓性の医療デバイス200である。可撓性の上部カバー202および可撓性の下部カバー204の設計は、使用者の腕などの円筒形の形状に対する共形性を増大させる。図2に示す医療デバイス200の可撓性および共形性は、「腰」205を提供することによって、または細長い上部カバーおよび下部カバーの中央部分の寸法を低減させることによって増大される。医療デバイス200の長さ寸法は、カバーの第1の縁部220からカバーの第2の反対側の縁部222まで延びる最も長い寸法として画定される。医療デバイス200の幅寸法は、1次元に対して垂直な最も長い寸法として画定され、カバーの第3の縁部221から第3の縁部の反対側の第4の縁部223に及ぶ。デバイス200の幅は、中央部分または「腰」205でより狭くなるような輪郭を有することが好ましい。図示の実施形態では、腰は、デバイス200を分割して、第1の区間207および第1の区間の反対側の第2の区間209を形成する。第1の区間207および第2の区間209は、第1の区間と第2の区間が類似の形状および寸法になるように、腰に関して対称であることが好ましい。
【0033】
図2に示す例示的な実施形態の医療デバイス200に対する上部カバー202および下部カバー204の全体的な形状は、図示の形状に特に限定されない。この実施形態で使用するのに適した上部カバー202および下部カバー204の代替の形状および相対的な寸法は、当業者には理解されるであろう。たとえば、別の実施形態では、図2に示すように、「腰」205を提供し、または上部カバーおよび下部カバーの長さ寸法に沿って中間の区間を低減させる代わりに、可撓性の上部カバーおよび下部カバーは、長さ寸法に沿って任意の点で少なくとも1つの腰区間を含むことができる。この腰区間の寸法は、長さ寸法に対して垂直で、幅寸法より小さいことが好ましい。この実施形態では、上部カバーおよび下部カバーは、少なくとも1つの腰区間に関して対称の第1および第2の区間を含む必要はなく、または腰区間は第1の区間および第2の区間を等しく分割する必要もない。上記に提供した説明によって画定される可撓性の上部カバー202および可撓性の下部カバー204の任意の形状は、第1の例示的な実施形態における医療デバイス100に適していることがあることが、当業者には理解されるであろう。
【0034】
図2〜5に示す本発明の例示的な実施形態は、上記で論じた医療デバイス100に対する可撓性の筐体を提供するだけでなく、可撓性のリザーバ106、可撓性の回路基板216、可撓性の電力供給部118、構成要素間の可撓性の導体、ならびに低プロファイルのポンプ機構114および注入針配置機構108など、以下でさらに具体的に説明する筐体内の可撓性かつ低プロファイルの構成要素を利用することが好ましい。医療デバイス100のプロファイルの厚さは、医療デバイスの特有の機能、すなわち、「スマート」であるか、事前にプログラムされているか、それとも「シンプル」であるか、ならびに針配置機構108および流体計測機構114に選択された特有の構成要素、ならびにそのような構成要素の構成に応じて、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)の範囲とすることができるが、0.75インチ(1.905cm)以下であることが好ましい。図2に示す特有の構成要素は、本発明のこの例示的な実施形態に限定されるものではなく、図2〜5に関して示す、および説明する例示的な実施形態のそれぞれにおいて、構成要素の任意の組合せおよび構成を利用できることが、当業者には理解されるであろう。
【0035】
図3A〜3Cに示す可撓性および共形性を有する医療デバイス300は、馴染みのある包帯に似た実質上方形のパッケージに形成され、図2に示す実施形態に対して覆いの表面積は低減されるが、厚さは増大される。上記で論じたように、可撓性の上部カバー302および可撓性の下部カバー304は、最適の可撓性および共形性を提供することが好ましい。この実施形態では、可撓性の上部カバー302および可撓性の下部カバー304の全体的な表面積または占有面積が低減されるため、共形性または可撓性を助けるために「腰」または中央部分を低減させる必要はない。しかし、医療デバイス300の表面積が低減されるため、図3Cに示すように、所望の構成要素のいくつかが積み重ねられ、または互いの上に構成され、その結果、医療デバイス300の厚さを増大させることがある。医療デバイス300の全体的な可撓性および共形性を維持するには、さらに詳細に後述するように、構成要素の構成は、医療デバイス300の所望の屈曲を抑えないことが必要である。
【0036】
図3Aに示す例示的な実施形態は、特有のシステム構成要素の可撓性の構成を提供するために、例示的な可撓性のプリント回路基板(PCB)316および可撓性のシャーシ322を提供する。これらは、上述のように表面積が低減された医療デバイス100内で使用するのに理想的である。上記その他の例示的な実施形態で使用するための可撓性のプリント回路基板316の例示的な実施形態を、図3Aに示す。この実施形態では、可撓性のPCB316は、図示のように、PCB316の外周に沿ってスロット、凹部、または切抜き316aおよび316bを含むように修正される。この修正は、図3Cに示すように、PCBが他のシステム構成要素の密接した位置決めに基づいて必要に応じて屈曲できるように、堅いシステム構成要素間に位置することが好ましい位置でPCB316に対する追加の可撓度を提供する。図3A〜3Cに示す実施形態は、例示のみを目的とし、医療デバイスの可撓性および共形性を高めるという概念の理解を助けるために提供されることを、当業者には理解されたい。切抜き316aおよび316bの数、そのような切抜きの寸法、ならびにPCB316上での切抜きの配置は、特定の実施形態における構成要素の特有の数および配置に基づいて選択されることが好ましく、図3Aに示す例示的な実施形態によって限定されるものではない。
【0037】
図3Aおよび3Bは、本発明の例示的な実施形態で使用するための可撓性のシャーシ322を示す。医療デバイス300の効率的な動作のために、少なくともリザーバ106、ポンプ機構114、および注入針配置機構108はすべて、互いに対して適度に隣接して位置することが好ましい。しかし、そのような構成要素をあまりに近く構成すると、医療デバイス300の全体的な屈曲に望ましくない剛性を生じさせることがある。図3Bに示す可撓性のシャーシ322は、好ましくは少なくとも低プロファイルの針配置機構108およびポンプ機構114を収容するように提供される。シャーシ322は、それぞれの構成要素を互いに対して定位置で保持するために、少なくとも第1の枠324および第2の枠326を備える。いくつかの実施形態では、第2の針配置機構、経皮被検体センサ、もしくはバイオセンサ、または当業者には理解される任意の他の構成要素を収容できる、第3の任意選択の枠328を示す。図3Bは、それぞれの枠324、326、および328が、接続された枠のそれぞれに成型された可撓性の接合部322aによって互いに関連してどのように維持されるかを示す。シャーシ322上の可撓性の接合部322aを使用するシステム構成要素の相互接続は、医療デバイス300の構成要素間に可撓性を提供しながら、それぞれのシステム構成要素を互いに関連して効果的に保持する働きをする。図3Cは、医療デバイス300の断面図であり、本発明の例示的な実施形態におけるシャーシ322およびPCB316の相対的な位置決めおよび屈曲を示す。互いに可撓的に相互接続された枠の相対的な寸法および数は、図3A〜3Cに限定されるものではなく、単に例として提供されることが、当業者には理解されるであろう。
【0038】
図4および5A〜5Bは、複雑な形状に対して容易に共形となるように追加の可撓度を提供する医療デバイス400の第3および第4の例示的な実施形態を示す。図3のPCB316の修正と同様に、本発明の例示的な実施形態では、医療デバイス400の可撓性の上部カバーおよび下部カバーは、それぞれの周囲に沿ってスリット、切抜き、または凹部402aおよび402bを有するように設計することができる。図4に示す凹部402aおよび402bの数、寸法、および配置は、例示的なものにすぎない。この例示的な実施形態による上部カバーおよび下部カバーは、各カバーの周囲に沿って提供された少なくとも1つの内向きに延びる凹部402aを備えることが好ましい。少なくとも1つの凹部は、必ずしも必須ではないが、カバーの反対側の縁部に第2の類似の凹部402bを備えることが好ましい。協働する凹部は、医療デバイス400をモジュール403a、403b、および403cに効果的に区分化し、使用者の身体の複雑な輪郭上に医療デバイス400を快適に配置できるように、医療デバイスに可撓性および共形性の追加の寸法を提供することが好ましい。
【0039】
図4に示す区分またはモジュールは、モジュール403a内のバッテリ電力供給部118、モジュール403b内の可撓性のリザーバ106およびポンプ機構114、ならびにモジュール403c内の可撓性のPCB416など、少なくとも1つのシステム構成要素を収容することが好ましい。必ずしも必須ではないが、単一の区分またはモジュールの内側に構成要素全体が位置決めされることが理想的である。図4に示すように、システム構成要素を区分内に位置決めすることによって、1本の可撓性の接続のみが1つの区分から次の区分へ延びることが好ましい。医療デバイス400の可撓性および共形性が最も大きい領域は、個々の区分が結合される箇所である。したがって、システム構成要素を別個の区分内に位置決めすることによって、医療デバイス400の最大の可撓性および共形性を実現することができる。
【0040】
図5Aおよび5Bは、同じくモジュールまたはローブに区分化されて医療デバイスの多次元の共形性をさらに高める、多次元に可撓性の医療デバイス500の第4の例示的な実施形態を示す。医療デバイス500の上部カバー502および下部カバー504は、任意の形状および寸法の中心の「ハブ」領域503を含むことが好ましく、同じく任意の形状の複数のモジュールまたはローブ505a〜505dが、中心ハブ503から放射状に延びる。図4に記載する例示的な実施形態と同様に、医療デバイス500は、それぞれのローブ505a〜505dおよび中心ハブ503内に少なくとも1つのシステム構成要素を収容することが好ましい。必ずしも必須ではないが、各ローブは、ローブ内に位置決めされたシステム構成要素を完全に組み込むことが理想的である。医療デバイス500は、それぞれのローブ505a〜505dが中心ハブ領域503に結合される領域付近で最大の可撓性および共形性を有するため、可能な場合、1本の可撓性の接続のみが各ローブ505a〜505dから中心ハブ503へ延びることが好ましい。本発明の例示的な実施形態では、特有の構成要素は、中心ハブ領域503の形状を採り入れる図5Aおよび5Bに示す可撓性のPCB516、ならびに図4に示す可撓性のPCB416など、上部カバーおよび下部カバーの屈曲の全体または区分の形状および形態を採り入れるように構成および成形されることが好ましい。
【0041】
医療デバイス500内に含まれている、図5A〜5Bに示す特有の構成要素は、例示のみを目的として提供されており、限定的なものではない。医療デバイス500内、特に個別化された区分内の特有の構成要素および構成要素の構成は、医療デバイス500の所期の機能に応じて変動することが、当業者には理解されるであろう。医療デバイス500の所望の機能を実現するのに必要な構成要素の任意の組合せは、医療デバイス500の最大の可撓性および共形性を実現するように選択でき、また可撓性の筐体内に位置決めできると有利である。さらに、図5Aおよび5Bに示す上部カバー502および下部カバー504の形状は、本発明の例示的な実施形態に限定されるものではない。デバイスは、使用者の身体に対して可撓性および共形性を有する任意の適した形状に形成できることが、当業者には理解されるであろう。
【0042】
図5Aに示す実施形態は、可撓性の設計によって実現される快適さに加えて、追加のレベルの快適さを使用者に提供する。図5Aに示すように、下部カバー504は、放射状に延びるそれぞれのローブ505a〜505d上に提供された接着パッド510で、使用者の皮膚に貼り付けられることが好ましい。対照的に、一般的なパッチポンプは通常、筐体のうち使用者に貼り付けられる部分の表面積全体を実質上覆う接着層を提供する。一部の使用者の皮膚は、使用される接着剤に対して特に敏感なことがあり、また多くの使用者は、所望の使用期間後に医療デバイスを取り外すのにいくぶん痛みを伴うと感じることが多い。さらに、一般的なパッチポンプ内で使用される接着層では、接着剤が塗布された領域内で使用者の皮膚を自然に伸ばしたり曲げたりすることができない。使用者は、接着層の表面積が大きい結果、皮膚が引っ張られて、使用者の皮膚の自然な曲げ伸ばしが妨げられる感覚から、不快さを訴えることが多い。図5Aに示す別個の接着パッド510では、使用者の皮膚のうち接着剤が塗布される総表面積を低減させ、パッド間の使用者の皮膚をより快適に伸ばすことができ、したがって医療デバイス500の使用に関連して起こりうるあらゆる皮膚の炎症および痛みを最小にすることができる。
【0043】
他の実施形態では、医療デバイスの例示的な実施形態とともに使用するための接着層は、ジグザグのパターンなど、使用者の皮膚と例示的な医療デバイスの境界面で動きの自由を増大できるように、医療デバイスの周囲に沿って可撓性を高めるパターンを採り入れることができる。たとえば、例示的な実施形態では、図5に示す医療デバイスとともに使用するための図5Cに示すパターン511を使用することができる。当業者には理解されるように、上述の例示的な医療デバイスの任意の形状とともに使用するために、類似のパターンを採り入れることができる。そのようなパターンは、接着剤の境界面に伴う身体的な感覚に関する使用者の意識を低減させ、正常な身体的活動中に皮膚の表面上で微妙な動きを行えるようにすることによって、可撓性を可能にする。接着層はまた、接着層を微妙に伸ばせるように、可撓性の材料から形成または調合し、したがって医療デバイスの快適さおよび可撓性をさらに高めることが好ましい。そのような接着剤によって提供される動きの自由は微妙であり、注入部位で望ましくない動きを引き起こさないことが好ましい。それにもかかわらず、一実施形態では、固定具として作用する追加の非可撓性の接着リングまたは周囲を注入部位に提供して、この部位であらゆる望ましくない動きを防止することができる。本発明の追加の実施形態はまた、追加の動きの自由および可撓性を提供するために、図5Dに示す医療デバイス500の側面プロファイルに示すように、厚さを増大させた任意の所望の形状もしくは寸法の接着層、または接着層と医療デバイスの間に挟まれたエラストマもしくは発泡層512を備えることができる。層512の厚さは、使用者の皮膚に貼り付けられている間に、医療デバイスのプロファイルを過度に増大させることなく、例示的な医療デバイスの全体的な可撓性を増大させるように選択されることが好ましい。上記の実施形態は、図示の医療デバイス500に限定されるものではないが、上記の例示的な医療デバイスのいずれかを備えることができる。
【0044】
図2〜5に示す特有の構成要素および構成要素の構成は、限定的ではなく、本発明の様々な実施形態の概念について説明するために提供される。本発明の例示的な実施形態による医療デバイスは、以下で論じる構成要素の任意の組合せ、ならびに着用可能な医療デバイスの特有の機能を実現する当技術分野で利用可能な任意の他の構成要素を組み込むことができる。特有の構成要素は、当業者には理解されるように、可撓性および共形性を有する薄い医療デバイスを可能にする任意の有利な構成で提供されることが好ましい。
【0045】
本発明の例示的な実施形態では、図1に示す制御装置116は、少なくともポンプ機構114または流体計測デバイスを制御するために提供される。制御装置116は、必要な処理力と周辺セットを組み合わせて、ポンプ機構114を通じて薬剤の送達を制御し、ならびにシステムまたは流れ監視、およびホストデバイスまたは他の外部のデバイスとの通信など、他の任意選択のシステムタスクを実行する、超低電力型(ULP)のプログラム可能な制御装置であることが好ましい。制御装置116は、ホストデバイスとの通信に必要なものなどの任意の他の回路を含む集積回路(IC)または「システムオンチップ」(SoC)内で実施されることが好ましい。SoC設計は通常、SoC設計が取って代わる多チップシステムより少ない電力を消費し、コストが低く、信頼性が高い。単一のチップシステムを提供することによって、電子構成要素の全体的な寸法および面積が低減され、そのような構成要素の構成が簡略化される。
【0046】
本発明の例示的な実施形態では、ICまたはSoCは、図2〜5に示すように、それぞれ可撓性のプリント回路基板(PCB)216、316、416、および516上に提供されることが好ましい。可撓性のPCBは、当技術分野ではよく知られている。そのようなPCBの特有の構造および仕様は、本開示の範囲外である。可撓性のプリント回路基板は、ポンプ機構114、自動注入針機構108、および任意選択の通信送受信器または血糖センサ、ならびに任意の他の電子構成要素などの様々な電気構成要素のリードを制御装置116および電力供給部118に接続する配線および支持を提供することが好ましい。それぞれの例示的な実施形態では、可撓性のPCBは、医療デバイスの全体的な可撓性を抑えないように、医療デバイスの例示的な下部カバーと同様の可撓性を有することが好ましい。
【0047】
本発明の例示的な実施形態では、電力供給部118は、1つもしくは複数の薄い可撓性の電池および/またはスーパーキャパシタを備えることが好ましい。可撓性の薄いスーパーキャパシタおよびリチウムポリマー電池は、当技術分野ではよく知られており、本発明の例示的な実施形態では好ましい。電力供給部118は、使い捨てまたは充電可能な電源を備えることができる。本発明の例示的な実施形態では、薄く、好ましくは可撓性の知られている任意の電力供給部が、電力供給部118を提供するのに適していることが、当業者には理解されるであろう。代替的実施形態では、可撓性の導体によって接続された1つまたは複数の小型で堅い電池を使用することもできる。図2〜5に示す電力供給部118の実施形態は限定的ではなく、本発明の例示的な実施形態による医療デバイス内の電力供給部の例示的な構成を示すためだけに提供される。本発明の代替的実施形態では、電力供給部118は、単独で、または既に組み込まれている同時係属の特許文献1に開示されているものなどの標準的な電源と組み合わせて、エネルギー取得技法を使用して提供することができる。電力供給部118は、可撓性の接点を使用して可撓性のPCBに接続されることが好ましい。複数の電池が実施される場合、これらの電池はそれぞれ、可撓性の接点を使用して互いに接続することができ、医療デバイス100の最適の可撓性を促進するために隔置されることが好ましい。
【0048】
図2〜5に示す例示的な実施形態のリザーバ106は、使用者へ送達するための薬剤または他の治療剤を貯蔵する可撓性のポーチまたは袋を備える。例示的な実施形態では、リザーバ106は、事前に充填された状態で使用者に提供される。リザーバ106は、中に貯蔵される薬剤または物質に適合した可撓性ポリマーから構築されることが好ましい。リザーバ106の様々な形状および寸法を、図2〜5に示す。特有の図は限定的ではなく、医療デバイス100の特有の実施形態に応じてリザーバ106の設計を変更できることが、当業者には理解されるであろう。リザーバ106は、医療デバイス100の全体的な高さ/厚さの低減を実現するために、低プロファイルになるように設計されることが好ましい。例示的な実施形態のリザーバ106は、医療デバイスの所期の使用期間にわたって十分な量の薬剤を保持することが好ましい。しかし、場合によっては、必要とされる大量の薬剤は、例示的な薄い医療デバイスには多すぎることがある。代替的実施形態は、リザーバ106の表面積を低減できるように、事前充填式または充填可能な注射器などによって使用者がリザーバ106を再充填できるようにするために、上部カバー上に提供された充填口および隔壁を含むことができる。これらの実施形態では、リザーバ106はまた、使用前に使用者によって充填可能とすることができる。
【0049】
当技術分野で利用可能な一般的なパッチポンプは通常、薬剤を収容するリザーバとして堅い円筒形の管を含み、注射器およびプランジャまたはピストンと同様に、リザーバ内の体積を移動させて薬剤をポンプまたは注入機構に提供する機構を備える。しかし、本発明の例示的な実施形態の可撓性のリザーバ106は、一般的な技法を使用してリザーバから薬剤を移動できないため、薬剤を使用者に供給するのに独特の難題をもたらす。したがって、本発明の例示的な実施形態は、可撓性のリザーバ106から流体または薬剤を引き出すことが可能なポンプ機構または流体計測デバイスを用いる。
【0050】
本発明の例示的な実施形態で使用するための第1の例示的なポンプ機構614または流体計測デバイスは、図6A〜6Cに示すように、「熱気泡式マイクロポンプ」を備える。リザーバ106に接続された流れチャンバ612の遠位端部付近に、熱抵抗器602が提供される。熱抵抗器602は、熱抵抗器602を選択的に通過する電流から熱を生成し、熱膨張流体606を蒸発させ、気泡を生成して可撓性の膜604を膨張させる。可撓性の膜604は、図6Bに示すように、狭い流れチャンバ612内へ膨張し、薬剤滴をカニューレに押し出す。薬剤滴が流体の本体から分離されると、熱膨張流体606は冷却して凝縮し、したがって可撓性の膜604は、図6Aおよび6Cに示す元の状態に戻る。可撓性の膜604が元の状態に弛緩すると、リザーバ106からの追加の量の薬剤が狭い流れチャンバ612内へ引き出される。この実施形態はまた、流れチャンバ612内に、流れチャンバ内の薬剤の移動を制御する少なくとも1つの任意選択の一方向逆止弁を含むことができる。第1の一方向逆止弁608は、リザーバ106と熱抵抗器602の間で流れチャンバ612内に提供されることが好ましい。この一方向逆止弁は、上記で論じたように、可撓性の膜604が膨張するとき、薬剤が再びリザーバ106内へ流れるのを阻止する働きをする。熱抵抗器602と注入カニューレの間には、第2の任意選択の一方向逆止弁610を配置することができる。第2の一方向逆止弁により、薬剤を使用者の方へ一方向にのみ流すことができる。一方向逆止弁610は、可撓性の膜604が後退するときに薬剤が再び流れチャンバ612内へ流れるのを抑える。当業者には理解されるように、任意選択の一方向逆止弁はそれぞれ、電子制御式のゲートもしくは弁、または使用者への薬剤の送達を制御するのに適した任意の他の機構と置き換えることができる。上記のプロセスは、無期限に繰り返すことができる。可撓性の膜604の膨張の頻度および流れチャンバの寸法は、使用者への薬剤の所望の流量を実現するように制御および設計することができる。
【0051】
熱膨張流体を蒸発させ、次いで膨張流体を凝縮させるプロセスは、ある量の薬剤を排出して引き出すのに必要な完全な膨張/収縮サイクルを構成する。図6A〜6Cに示す単一の熱抵抗器を使用するとき、連続注入が必要とされる場合、このサイクルの冷却/凝縮プロセスを加速させなければならない。したがって、熱膨張流体の凝縮を容易にするために、任意選択のヒートシンクまたはヒートパイプ(図示せず)を提供することができる。当業者には理解されるように、本発明で使用するのに適した当技術分野ではよく知られている任意のヒートシンクまたはヒートパイプを提供することができる。
【0052】
別の実施形態は、図6D〜6Hに示すように、使用者への薬剤の流れを制御する蠕動型のポンプ動作を行うように流れチャンバ612内に順番に配置された複数の熱膨張ユニットを備えることができる。この実施形態では熱抵抗器602a、602b、および602cへ電流が順次流れることを除いて、この実施形態の動作は、図6A〜6Bに関連して上記で論じた動作に類似している。熱抵抗器602aへ最初に提供される電流の結果、可撓性の膜604aが膨張し、したがってある量の薬剤をカニューレの方へ押し出す。続いて、第2の熱抵抗器602bに電流が提供され、その結果、可撓性の膜604bが膨張し、ある量の薬剤がカニューレの方へさらに動く。次に、熱抵抗器602cに提供される電流の結果、熱膜604cが膨張し、ある量の薬剤を流れチャンバ612からカニューレ内へ放出する。各熱抵抗器に電流を順次印加することによって、熱膜の膨張のパターンにより、薬剤は所期の方向に確実に動く。このプロセスを、図6E〜6Hのシーケンスに示す。それぞれの熱抵抗器から順番に電流が除去されると、それぞれの熱膨張流体は凝縮して元の体積に戻り、したがって追加の量の薬剤が、排出された量に取って代わることができる。複数の熱抵抗器が順番に提供されるため、「下流」の熱抵抗器が充電されると、前に充電された抵抗器は、熱膨張流体を冷却および凝縮させ始める。したがって、前に充電された熱抵抗器は、熱膨張流体を冷却および凝縮させるのにより多くの時間を有し、したがって使用者へ薬剤を連続して流す連続膨張/収縮サイクルを可能にする。
【0053】
図6A〜6Hに示す熱膨張膜604は、流れチャンバ612と一体化されたり、または流れチャンバ612の内側に含まれたりする必要はないことを、当業者には理解されたい。膨張の際に流れチャンバを「つまむ」ために、流れチャンバ612から離れて隣接するように熱膨張膜を提供できることも好ましい。このようにして流れチャンバ612をつまむことは、注入部位でリザーバ106からカニューレへの薬剤の流れを容易にするように同様に作用する。
【0054】
使用者への薬剤の流れを制御する一方向の電子ゲート611を示す。図6Dでは、薬剤の流れがカニューレに入るのを防止する状態で制御される電子ゲート611を示す。図6E〜6Gに示すように、電流が熱抵抗器602a〜602cへ順次提供されると、電子ゲート611は、カニューレへの薬剤の流れを可能にするように制御される。その量の薬剤がカニューレに排出された後、図6Hに示すように、排出された量の薬剤が流れチャンバ612内へ再び引き込まれるのを防止するように、電子ゲート611を制御することができる。電子ゲート611は、当業者には理解されるように、図6A〜6Cで同様に提供される一方向逆止弁、または使用者への薬剤の流れを制御する任意の他の手段と置き換えることができる。
【0055】
上述した類似の概念を使用する第2の例示的なポンプ機構714を、図7に示す。この実施形態では、保持チャンバ712が、ボーラス投与量のインスリンなど、使用者へ送達されるある量の薬剤を一時的に収容する。この量の薬剤は、リザーバ106から一方向逆止弁708を通って保持チャンバ712に入る。熱抵抗器702に電流が印加されると、熱膨張流体706が加熱されて膨張し、ダイアフラム704を保持チャンバ712の方へ駆動し、それによって保持チャンバ712内でこの量の薬剤を移動させ、第2の一方向逆止弁710を通って送達カニューレへ薬剤を押し出す。リザーバ側の逆止弁708の一方向の機能により、薬剤がリザーバ106内へ押し戻されるのを防止する。熱膨張流体706が冷却および凝縮した後、ばね715によって印加される力は、ダイアフラム704を駆動して保持チャンバ712から離すのに十分であり、それによって保持チャンバ712の体積を増大させ、追加の薬剤量をリザーバ106から保持チャンバ712内へ引き出す。カニューレ側の逆止弁710は、カニューレ内の薬剤が保持チャンバ712内へ引き戻されるのを防止する。当業者には理解されるように、一方向逆止弁708および710は、図6D〜6Hおよび図9に示すものなどの電子制御式のゲート、または使用者への薬剤の流れを制御するのに適した任意の他の手段と置き換えることができる。
【0056】
上記のプロセスは、無期限に繰り返すことができ、所望の流量の薬剤を使用者に提供するように制御することができる。使用者へ送達される薬剤の量は、保持チャンバ712から移動する薬剤の量と同等である。保持チャンバ712の容量および熱膨張流体706によって引き起こされる移動の量は、使用者への薬剤の所望の注入速度を提供するように設計および制御することができる。図7に示すシステムの修正された実施形態では、熱抵抗器および熱膨張流体は、保持チャンバ712内の流体の移動を制御するようにピストンとして作用するソレノイドシャフトと取り換えることができる。
【0057】
図8は、上記と類似の概念を使用する第3の例示的なポンプ機構814を示す。この実施形態は、薬剤を引き出すときに膨張し、チャンバから薬剤を排出するために圧縮する、蛇腹式の流体チャンバ812を利用する。蛇腹式のチャンバ812の膨張および圧縮は、熱抵抗器802および熱膨張流体806によって駆動される。電流が印加されたとき、熱抵抗器802は熱膨張流体806を加熱し、熱膨張流体806は蒸発して実質上膨張し、可撓性の膜804に力を印加する。可撓性の膜804に伝えられる力により、膜は膨張し、したがって蛇腹式のチャンバ812を駆動して圧縮状態にし、一方向逆止弁810を通じてある量の薬剤を排出する。熱抵抗器802から電流が除去されると、熱膨張流体806は凝縮し、可撓性の膜804にかかる力を軽減する。可撓性の膜804が元の状態に弛緩すると、図8に示すように、蛇腹式のチャンバ812は下に引っ張られて膨張状態になり、したがって望みに応じて使用者に供給される追加の量の薬剤をリザーバ106から引き込む。
【0058】
本発明で使用するのに適した別の例示的なポンプ機構914を、図9に示す。この実施形態では、ベルビルばね904、または打抜き式の板ばね、スナップ動作するディスク、もしくは屈曲部などの他の適したばね機構を使用して、可撓性のリザーバ106に力を印加する。ベルビルばねによって印加される圧力は、リザーバ106の薬剤を流れチャンバ912内へ追いやる。加圧された薬剤は、ソレノイド制御式の2方向流体弁などの電子制御式のゲートまたは計測弁910によって、使用者内へ注入できないように阻止される。計測弁910は、使用者への薬剤の所望の流量を可能にするように制御装置116によって制御されることが好ましい。本発明のこの実施形態では、当業者には理解されるように、強磁性流体のゲートまたは弁など、所望の流速を可能にするように電子制御できる任意の計測弁またはゲートが適しているはずである。
【0059】
本発明の例示的な実施形態で使用するための追加の例示的なポンプ機構1014は、図10に示すように、可撓性のリザーバ(図示せず)から薬剤を引き出す簡単なダイアフラムポンプを備える。図10に示すダイアフラムポンプは、Debiotech S.A.から入手可能なMEMSナノポンプとして提供することができ、通常、一連の逆止弁1008および1010と、リザーバ内に収容された薬剤または他の物質の流れを実現する圧電ダイアフラム1004とを備える。圧電ダイアフラム1004は、流れチャネル1012内に位置決めされており、電圧が印加されると、寸法および形状を変形状態に変化させる。ダイアフラム1004は、変形していない状態から変形状態に繰り返し切り換えるように制御することができる。この繰返し動作は、第1の一方向逆止弁1008を通ってリザーバ106から薬剤を引き入れて第2の一方向逆止弁1010を通って薬剤を排出するポンプとして機能する。
【0060】
本発明の他の実施形態では、他の代替のポンプ機構および流体計測デバイスを使用することもできる。液体の薬物/薬剤を使用者に分注するのに適した、知られている任意のポンプ機構を、着用可能な医療デバイス内で実施することが適当であることが、当業者にはわかるであろう。選択された機構にかかわらず、ポンプ機構は、医療デバイスの寸法および厚さを不必要に増大させないように、小型で、軽量で、かつ低プロファイルであることが好ましい。
【0061】
図2〜5に示す医療デバイスの例示的な実施形態は、使用者内へ注入カニューレを挿入するように手動でまたは自動的に操作できる低プロファイルの針配置機構108を含む。本発明の例示的な実施形態で使用するための注入カニューレは、使用者内へ薬剤を注入する側面口を有する注入針を備えることができ、あるいは挿入針を用いて使用者内へ挿入される可撓性のカニューレを備えることができる。さらに、可撓性のカニューレは、可撓性のカニューレを使用者内へ挿入できるようにするために、尖った先端部を備えることができ、それによって別個の挿入針の必要をなくす。先端部は任意選択で、シャフトに対して硬化させることができる。他の追加の例示的な実施形態は、体内に留置される可撓性でスロット付きの鋼針、または好ましくは尖った針先端部が取り付けられた可撓性の高いねじりばねを備えることができる。スロット付きの鋼針およびねじりばねの実施形態はそれぞれ、流体流れチャンバを中に封止するために、Teflon(登録商標)またはVialon(登録商標)の覆いまたは被覆に入れられることも好ましい。より詳細な説明は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、本発明と同日付けで出願され「Extended Use Medical Device」という名称の、本願の権利者が所有する同時係属の米国特許出願(代理人整理番号第P−8618(55579)号)で得ることができる。もちろん、任意の適した液密材料を使用して、覆いを形成することもできる。スロット付きの鋼針およびねじりばねの実施形態は、快適さを増大させるために可撓性であるが、それでもなお、使用者の皮膚内へ挿入するのに必要な剛性または柱強度を提供する。スロット付きの鋼針は、スロットのために可撓性を有するように作製されており、別個の先端部を有する必要はないが、尖った先端部を有する一体型とすることができると有利である。ねじりばねは、使用者の皮膚を貫通するように取り付けられた別個の尖った先端部を含むことが好ましい。本発明の別の例示的な実施形態では、Debiotech S.A.によって提供される注入デバイスであるNanojectで実施されるものなどの顕微針のアレイを利用する。本発明の例示的な実施形態では、当業者には理解されるように、適した任意の他の注入機構を使用することができる。
【0062】
図11A〜11Eおよび図12A〜12Dは、本発明の例示的な実施形態で使用するための針配置機構108の例示的な実施形態を示す。図11Aは、注入針またはカニューレを使用者内へ挿入するための手動式のスナップディスク1102を示す。ボタン1101に印加される力により、スナップディスク1102は凸状の位置から凹状の位置へ追いやられ、注入カニューレを使用者内へ駆動する。図11Bに示す針配置機構108の第2の例示的な実施形態では、ねじりばね1105を使用して、注入カニューレを使用者内へ駆動する。この実施形態の注入カニューレは、円形に形成された針1104を備える。円形に形成された針1104は、ねじりばね1105によって案内される円形の経路に制約される。操作前には、針は、指レバー1103に取り付けられた阻止アーム1106によって、準備のできた位置で保持される。この実施形態では、使用者は、阻止アーム1106とは反対側の指レバー1103の端部に力を印加することによって、針の配置を操作する。使用者がレバー1103に下向きの力を印加したとき、レバーの阻止アーム1106は、阻止位置から離れるように枢動し、ねじりばね1105は、注入針を使用者内へ駆動することができる。
【0063】
図11C〜11Eは、上記で論じた可撓性でスロット付きの鋼針およびねじりばねの注入針に特に適している、本発明で使用するための別の例示的な実施形態を示す。図11Cに示すように、可撓性の注入針1122が、針キャリッジ1124に取り付けられる。針キャリッジ1124は、針キャリッジ1124が挿入方向に動くのを防止する保持ラッチ部材1126によって、準備のできた後退位置で保持される。注入針の配置は、保持ラッチ部材1126を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。保持ラッチ1126が操作されたとき、図11Dに示すように、圧縮ばね1128が、針キャリッジ1124を挿入方向に駆動する。注入針1122が使用者内へ挿入された後、針キャリッジ1124の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシ1130または筐体によって妨害される。図11Dおよび11Eは、可撓性の注入針1122を所望の挿入角度で使用者内へ案内する案内スリーブ1132を有する、図11Cの針配置機構を示す。さらに、案内スリーブ1132は、配置中にねじれまたは望ましくない他の偏向に耐えるように、可撓性の針1122に追加の完全性を提供する。図11Dおよび11Eから理解されるように、案内スリーブ1132は、針キャリッジ1124の運動に対して様々な向きで配置できるように、医療デバイス内に構成することができる。したがって、例示的な実施形態で案内スリーブ1132を使用することで、キャリッジが皮膚に対して平行に動けるようにすることによって、針配置機構が医療デバイスの全体的なプロファイルに与える影響を最小にしながら、注入針1122を皮膚内へ配置することができる。
【0064】
図12A〜12Dは、挿入針を用いて可撓性のカニューレを使用者内へ自動的にまたは手動で駆動するための、図11Cに関連して上述したものに類似している針配置機構の例示的な実施形態を示す図である。図12Aに示すように、可撓性のカニューレ1204の内側の空胴内に、堅い挿入針1202が提供され、可撓性のカニューレ1204の端部から尖った先端部が延びる。挿入針およびカニューレは、針キャリッジ1206およびカニューレキャリッジ1208によって、互いに対して相対的な位置で保持される。針キャリッジ1206およびカニューレキャリッジ1208は、カニューレキャリッジ1208が挿入方向に動くのを阻止する保持ラッチ部材1212によって、準備のできた後退位置で保持される。針の配置は、保持ラッチ部材1212を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。保持ラッチ1212が操作されたとき、図12Bに示すように、第1の圧縮ばね1210が、カニューレキャリッジ1208を挿入方向に駆動する。針キャリッジ1206は、カニューレキャリッジ1208と係合しており、したがってカニューレキャリッジ1208の挿入運動が針1202を使用者内へ駆動する。針1202およびカニューレ1204が使用者内へ挿入された後、カニューレキャリッジ1208の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシまたは筐体によって妨害される。図12Cに示すように、カニューレキャリッジの遠位の動きが妨害された時点で、カニューレキャリッジ1208と針キャリッジ1206は切り離される。この時点で、第2の圧縮ばね1211が、切り離された針キャリッジ1206を近位方向に駆動し、したがって図12Dに示すように、カニューレ1204は挿入されたまま、使用者から針1202を引き抜く。
【0065】
上記で論じた例示的な実施形態では、使用者は、図2、4、および5Aに示すように、上部カバーの外部表面上に提供される操作ボタン、指レバー、または他のラッチ保持手段上へ力をかけることによって、カニューレの挿入を手動で操作することができる。さらに、上記で論じたそれぞれの実施形態では、医療デバイス100の上部カバーの薄く可撓性の性質のため、筐体内に手動操作手段を提供することができ、この手段は、上部カバーの外部表面上の特有の領域に力を印加することによって操作されることが好ましい。
【0066】
上記の針配置機構は、例示的な実施形態としてのみ提供される。図11および12に示す実施形態はまた、注入カニューレを使用者内へ配置するために、ラッチおよびばね機構の代わりに、電動式の構成要素または他の電気構成要素を利用することができる。本発明の代替的実施形態では、当技術分野で利用可能な任意の針配置機構を実施できることが、当業者には理解されるであろう。選択された針機構は、薄く可撓性の医療デバイスを実現するように比較的簡単な構造を構成し、低プロファイルであることが好ましい。
【0067】
さらに、上記の針配置機構はいずれかも、当業者には理解されるように、連続血糖監視を実現する医療デバイス100の代替的実施形態で使用するために、血糖センサなどの経皮被検体センサまたはバイオセンサを配置するようにわずかに修正することができる。たとえば、図12A〜12Dに記載の実施形態は、図12E〜12Hに示すように、外側のスリーブまたは針1224の内部に位置決めされたバイオセンサ1222を挿入するために提供することができる。バイオセンサ1222の配置後、外側のスリーブ1224は後退し、使用者の皮下組織内でバイオセンサ1222を露出させることができる。図12Eに示すように、バイオセンサ1222および針1224は、針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223によって、互いに対して相対的な位置で保持される。針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223は、バイオセンサキャリッジ1223が挿入方向に動くのを阻止する保持ラッチ部材1212によって、準備のできた後退位置で保持される。センサの配置は、保持ラッチ部材1212を阻止位置から移動させるように、手動でまたは自動的に操作することができる。もちろん、手動配置によって、またはBGMもしくはホストデバイスから受け取った適当なコマンドを介して電子的に、配置を行うこともできることを理解されたい。保持ラッチ1212が操作されたとき、図12Fに示すように、第1の圧縮ばね1226は、針キャリッジ1225およびバイオセンサキャリッジ1223を挿入方向に駆動する。バイオセンサ1222および針1224が使用者内へ挿入された後、バイオセンサキャリッジ1223の遠位の動きは、針配置機構を含むシャーシまたは筐体によって妨害される。図12Gに示すように、バイオセンサキャリッジ1223の遠位の動きが妨害された時点で、針キャリッジ1225とバイオセンサキャリッジ1223は切り離される。この時点で、第2の圧縮ばね1227が、切り離された針キャリッジ1225を近位方向に駆動し、したがって図12Hに示すように、バイオセンサ1222が挿入されたまま、使用者から針1224を引き抜く。
【0068】
図12I〜12Jは、本発明の一実施形態による医療デバイス内で使用するための体内に留置される針およびカニューレに対する別の配置機構を示す。前述の機構と同様に起動されるのではなく、この針の配置は、使用者が制御することができる。すなわち、キャリッジ1225は、圧縮ばね1228によって、後退位置に偏っている。図12Iは、デバイスを後退位置で示し、したがって針1229およびカニューレ1230は、シャーシから突出していない。キャリッジ1225は、使用者がアクセス可能な手動アクチュエータ1231を含む。使用者がばねの偏りに打ち勝つのに十分な力で矢印「A」の方向に手動アクチュエータを動かしたとき、キャリッジ1225は、針1229およびカニューレ1230とともに、矢印「A」の方向に動く。キャリッジ1225はまた、保持ラッチ1234上の保持表面1233と噛合する指ラッチ1232を含む。キャリッジ1232が矢印「A」の方向に動くと、指ラッチ1232と保持表面1233の間の干渉により、保持ラッチ1234が矢印「B」の方向に移動する。指ラッチ1232および保持表面1233は、指ラッチが各保持表面1233を越えるときにキャリッジ1225が後退方向に後方へ動かないように成形される。キャリッジが矢印「A」の方向に動くと、針およびカニューレは、シャーシから突出し、使用者の皮膚の表面に入る。カンチレバー式の保持ラッチ1234は、矢印「B」の方向に下へ屈曲し、キャリッジ1225を解放して針およびカニューレを後退させることができる。当業者には理解されるように、保持ラッチ1234を下へ屈曲させることによってキャリッジ1225を解放するのに適した任意の構成を用いることができる。そのような構成は、シャーシの外部上に提供されたデバイスを介した使用者による手動の動き、またはPDM上の適当なコマンドを介した自動の電子的な解放を含むことができる。
【0069】
図2〜5に示す上記のシステム構成要素の組合せおよび構成は、限定的なものではない。使用者ごとに調整された特有の薬剤療法を実現するために、上記の例示的な実施形態のいずれかにおいて、望みに応じて上記の構成要素のいずれかを組み合わせて構成できることが、当業者には理解されるであろう。特有の薬剤療法を実現するために上述の構成要素の組合せを利用する医療デバイス100の追加の例示的な実施形態を、図13〜15に示す。
【0070】
図13は、単一の針配置機構108内に提供された単一の注入カニューレを通じて2薬剤療法を提供する医療デバイスの特有の実施形態を示す。単一の注入カニューレと流動的に連通するリザーバ106aおよび106bが提供され、それぞれからの薬剤の流れを制御するように、単一のポンプ機構114および任意選択の弁機構によって制御される。この実施形態では、構成要素の数に基づいて、医療デバイスの上部カバーは、中心ハブ領域1304から放射状に延びる3つのローブ1301、1302、および1303を含むように適当に設計される。ローブ1301は、針配置機構108を含むことが好ましく、ローブ1302および1303は、それぞれリザーバ106aおよび106bを含むことが好ましい。
【0071】
図14は、第1の針配置機構108aおよび第2の針配置機構108bによって提供される第1および第2の注入カニューレを通じて薬剤療法を提供する医療デバイスの別の実施形態を示す。各注入カニューレは、上述のように手動でまたは自動的に操作される。一実施形態では、可撓性の上部カバーは、各針配置機構108および108bを手動で操作するための押しボタンへのアクセスを提供することができる。各注入カニューレは、望ましい場合、2薬剤療法を供給するために、独自のリザーバ106aまたは106bと流動的に連通することができる。あるいは、各注入カニューレによって単一のリザーバを共用することができ、したがって必要な場合、予備または2次の注入カニューレを可能にする。
【0072】
図15は、単一の注入カニューレを通じて最高3薬剤療法を提供する別の実施形態を示す。第1のリザーバ106aおよび第2のリザーバ106bは、それぞれからの薬剤の流れを制御する任意選択の弁を有する単一のポンプ機構114に接続されたところを示す。さらに、望みに応じて、薬剤の手動のボーラス投与量を可能にするように、図示のように、第3のリザーバ106cを注入カニューレに直接提供することができる。医療デバイスの上部カバーの薄く可撓性の性質のため、使用者は、上部カバーの特有の領域に力を印加することによって、ボーラス投与量を手動で操作することができる。この特有の領域は、ボーラス投与量内で提供される薬剤の供給量を保持するリザーバ106cに隣接していることが好ましい。リザーバ106cは、デバイスの特定のローブ(1503)内に位置することが好ましく、したがって使用者は、ローブ1503を押してボーラス投与量を生じさせることができる。使用者によって印加される力で、使用者に提供されるある量の薬剤をリザーバから注入カニューレを通じて排出することができる。任意選択で、当業者には理解されるように、使用者によって印加される力は、電気的接点を閉じることができ、それによって電子ポンプ機構および制御装置を介してボーラス投与量の注射を自動的に操作する。別の実施形態では、医療デバイスは、上記と同様に、1つまたは複数の注入カニューレを通じて、1つまたは複数のリザーバ内に含まれる1つまたは複数の薬剤のボーラス投与量のみを提供するように設計することができる。
【0073】
当業者には理解されるように、図13〜15に示す追加の実施形態は、本発明によって可能になる無数の実施形態および構成のいくつかのみを説明する。上述した構成要素の特有の組合せ、特にリザーバおよびリザーバ内に貯蔵される薬剤の数は、他の要件の中でも、使用者の医療条件に適した特有の治療を使用者に提供するように選択することができる。特に、例示的な医療デバイスはまず、複数の日常的な注射のみまたは単一の薬剤もしくは複数の薬剤のボーラス投与量のみを施すことによって2型糖尿病を治療するために提供することができる。使用者の病状が進行して、インスリン耐性のレベルが増大すると、より効果的な治療のために、構成要素の別の組合せまたは構成を有する類似の医療デバイスを使用することができる。
【0074】
さらに、上記の例示的な実施形態の特徴は、複数の適用分野でも同様に提供することができ、上記の開示に限定されるものではない。着用可能なデバイスの最大の可撓性および共形性を通じて最大の快適さおよび利便性を提供するために、任意の他の皮膚表面で着用可能なデバイスで、上記の特徴および技法を利用することができる。本明細書に開示するインスリンパッチポンプデバイスに加えて、特に薄く軽量の医療デバイス100が理想的な子供または年配者に対して、上記で開示した着用可能な医療デバイスを通じて、リューマチ性関節炎の治療またはヒト成長ホルモンの注入などの他の薬剤療法も理論上は提供することができる。
【0075】
上述した例示的な実施形態のいずれにおいても、医療デバイスはまた、図16に示すプログラム可能なインスリンペンなど、プログラム可能な薬剤送達デバイス1600と一緒に使用することができる。好ましい実施形態では、着用可能な医療デバイスは、事前設定され、事前にプログラム可能な、またはプログラム可能な基礎注入速度のみを提供するように構成され、一方プログラム可能な薬剤送達デバイス1600は、必要なボーラス投与量を注入するために提供される。上記で論じた着用可能な医療デバイスの特定の実施形態は、ボーラス投与量を提供することが可能であるが、一部の使用者は、図16に示すものなどの馴染みのあるペン型注射デバイスを使用するとより快適なことがあり、ペン型注射デバイスを好むことがある。さらに、使用者によっては、インスリンペン型デバイスによって単独で提供される薬剤療法が、効果的な治療であることもある。一般的な機械的インスリンペン型の注射デバイスは通常、注射に対する所望の投与量を精密に設定するのにユーザとの対話を必要とする。従来の機械的ペンは通常、小さい投与量目盛りを含み、これは、見たり精密に設定したりするのが困難なことがある。したがって、本発明の例示的な実施形態では、プログラム可能なインスリンペン型のデバイス1600は、使用者がデバイスを正しく動作できないことに起因する投与量の誤りの可能性をなくすはずである。
【0076】
本発明の一実施形態では、使用しないとき、薬剤送達デバイス1600は、個人糖尿病マネージャ(PDM)1602、血糖モニタ(BGM)、またはボーラス投与量を計算する他のデバイスに取り付けられたままであることが好ましい。使用者が、ボーラス投与量要件を計算するようにPDM1602に指示すると、PDMは、基礎速度注入履歴または使用者の血糖値から投与量を計算し、薬剤送達デバイス1600内へ投与量を自動的にプログラムし、使用者によるさらなる計算、設定、または調整を必要としない。PDM1602はまた、使用者にとって所望のボーラス投与量を計算するために使用する感知機構または血糖値を求める他のシステムを備えることができる。本発明のこの例示的な実施形態では、注入に必要なステップの数を低減させ、使用者が一般的な機械的インスリンペンを正しく動作できないことによって引き起こされる投与量の誤りを低減させる。
【0077】
例示的な実施形態の薬剤送達デバイス1600は、交換可能なインスリンカートリッジを含むことが好ましく、一般的に利用可能なインスリンペンと同様に、円筒形の形状とすることができる。一般的なインスリンペンの上部部分に通常は位置する投与量の機械化は、ペンの胴の内径の周りに巻き付けられた屈曲回路によって取り換えられることが好ましい。可撓性の回路の内側で胴の中心線上に、充電可能な電池を提供することができる。交換可能なインスリンカートリッジは、ペンの下部部分に位置するはずであり、インスリンカートリッジとペン針の間には、マイクロポンプが提供される。あるいは、インスリン瓶と並べて可撓性の回路の内側に、直線アクチュエータを配置することができる。直線アクチュエータは、瓶内のプランジャを駆動するように力を印加し、その結果、プランジャの動きの移動量に等しいボーラス投与量が得られる。非常に小さい直線アクチュエータが利用可能であり、この目的で使用できると有利である。一例は、New Scale Technologiesによって製造されているSquiggle(登録商標)という直線アクチュエータである。ペンの上部部分および下部部分は、インスリンカートリッジを交換するために分離することが好ましく、再び組み立てるときは、マイクロポンプへの電気的接続を提供する。薬剤送達デバイス1600がPDM1602に取り付けられるたびに、送達デバイス1600内の充電可能な電池を充電することができ、ペン内に記憶された注入履歴または血糖履歴を、PDM1602へ自動的にアップロードすることができる。
【0078】
本発明の例示的な実施形態は、既に組み込まれている同時係属の特許文献1に記載されているように、パーソナルエリアネットワークを介して通信するのに必要な低コストの構成要素を、薬剤送達デバイス1600に提供することができる。この実施形態により、薬剤送達デバイス1600とPDM1602または上記の例示的な実施形態で開示されている着用可能な「スマート」医療デバイスの間の連続した通信が可能になる。「スマート」医療デバイスまたはPDMは、双方が使用者の身体と物理的に連通している限り、ボーラス投与量が計算されるたびに、薬剤送達デバイス1600を自動的にプログラムすることができる。バイオセンサを含み、または他の方法でバイオセンサと通信する着用可能な「スマート」医療デバイスもまた、使用者の血糖値に基づいてデバイスによって自動的にプログラムされる薬剤送達デバイス1600に、ボーラス投与量要件を提供することが可能である。さらに、薬剤送達デバイス1600は、ボーラス投与量が使用者に施されるたびに、パーソナルエリアネットワーク、PDM、または「スマート」医療デバイスを介して自動的に更新することができる。上記の実施形態は、容易に使用でき、インスリン療法を必要とする多くの使用者に馴染みのある一実施形態において、上記で開示した例示的な着用可能な医療デバイスの機能をさらに高めることが可能な低コストの知的デバイスを提供する。
【0079】
本発明について、特定の例示的な実施形態を参照して図示および説明したが、本発明は、例示的な実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるものである。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者であれば例示的な実施形態を変更または修正できることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
ある供給量の薬剤を収容する可撓性のリザーバを含む一体化された筐体であって、前記薬剤を前記使用者へ送達する注入カニューレと流動的に連通する筐体と、
前記注入カニューレを通じた前記リザーバから前記使用者への前記薬剤の送達を計測する流体計測デバイスと
を備え、
前記筐体は、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記可撓性の上部部分と前記可撓性の下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記一体化された筐体の厚さは、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記一体化された筐体の厚さは、約0.75インチ(1.905cm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記可撓性の上部部分および前記可撓性の下部部分は、可撓性ポリマーから構築されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記筐体の前記可撓性の下部部分は、接着層で使用者の皮膚に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記接着層と前記筐体の前記下部部分の間に提供されたエラストマまたは発泡層をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記流体計測デバイスは、少なくとも1つの熱抵抗器を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記熱抵抗器はそれぞれ、可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的に提供され、前記熱膨張流体それぞれを加熱すると、前記可撓性の膜の膨張を引き起こし、その結果、前記薬剤を移動させ、前記注入針を通じて前記薬剤を前記使用者内へ操作することを特徴とする請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的にそれぞれ提供された複数の熱抵抗器は順番に提供され、前記使用者への薬剤の流れをもたらすように順次充填されることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記流体計測デバイスは、前記使用者への前記薬剤の流れを促進する少なくとも1つの一方向逆止弁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記流体計測デバイスは、前記使用者への前記薬剤の流れを促進する少なくとも1つの電子制御式のゲートまたは弁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記流体計測デバイスは、前記リザーバ上に圧力を作用させるベルビルばねワッシャ、打抜き式の板ばね、スナップディスク、または屈曲部の1つと、計測弁とを備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記筐体は、少なくとも前記流体計測機構と制御装置を電子的に接続する可撓性の回路基板をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記可撓性の回路基板は、前記回路基板の外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記筐体は、シャーシをさらに備え、前記シャーシは少なくとも、第2の枠に可撓的に接続された第1の枠を備え、前記筐体内で互いに対して、前記第1の枠内に第1のシステム構成要素を位置決めし、前記第2の枠内に第2のシステム構成要素を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記筐体は、前記筐体内に配置可能な押しボタンによって操作される注入針配置機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記針配置機構は、前記注入針を前記使用者内へ駆動するばねディスクを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記針配置機構は、前記注入針を前記使用者内へ駆動するねじりばねを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記ねじりばねは、前記注入針を前記使用者内へ駆動するように指レバーによって操作されることを特徴とする請求項19に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記針配置機構は、挿入針を使用して可撓性のカニューレを前記使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびカニューレキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記針配置機構は、可撓性の針またはカニューレアセンブリを前記使用者内へ駆動する単一のキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記針配置機構は、挿入針を使用してバイオセンサを前記使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびバイオセンサキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記針配置機構は、前記可撓性のカニューレを前記使用者内へ挿入する際に、前記使用者から前記挿入針を引き抜くばね部材をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記筐体は、前記筐体の前記上部部分上の特有の領域に力を印加することによってボーラス投与量を手動で操作する機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項26】
前記筐体は、前記使用者の血糖値を求める被検体センサを配置する機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項27】
前記筐体は、前記使用者へボーラス投与量を送達するためにある量の薬剤を収容する第2の可撓性のリザーバをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項28】
前記第2の可撓性のリザーバは、第2の注入カニューレと流動的に連通することを特徴とする請求項27に記載の医療デバイス。
【請求項29】
前記医療デバイスは、2型糖尿病を患う使用者に薬剤療法を施すために使用されることを特徴とする請求項27に記載の医療デバイス。
【請求項30】
前記流体計測機構は、事前にプログラムされた薬剤送達プロファイルを前記使用者に提供することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項31】
前記可撓性のリザーバは、前記使用者内への基礎速度注入のための薬剤の供給量を収容することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項32】
前記医療デバイスは、薬剤療法のボーラス投与量を前記使用者に提供するプログラム可能な注射デバイスと一緒に使用されることを特徴とする請求項31に記載の医療デバイス。
【請求項33】
前記プログラム可能な注射デバイスは、前記使用者に注射するための前記ボーラス投与量を計算して、前記計算された投与量を施すように前記注射デバイスをプログラムするホストデバイスによってプログラムされることを特徴とする請求項32に記載の医療デバイス。
【請求項34】
前記プログラム可能な注射デバイスは、プログラム可能なインスリンペンであることを特徴とする請求項33に記載の医療デバイス。
【請求項35】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える一体化された筐体を備え、前記筐体は、長さ寸法が幅寸法より長い細長い形状に形成され、前記幅寸法より狭い腰部分をさらに含み、前記筐体は、前記筐体が前記腰部分で最も狭くなるような輪郭を有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項36】
前記可撓性の上部部分と前記可撓性の下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接されることを特徴とする請求項35に記載の医療デバイス。
【請求項37】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記上部部分および前記下部部分は、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項38】
前記少なくとも1つの凹部とは反対側の位置で、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる第2の凹部をさらに備えることを特徴とする請求項37に記載の医療デバイス。
【請求項39】
前記第1の凹部および前記第2の凹部は、前記デバイスの第1の領域と前記デバイスの第2の領域を分離する屈曲領域を画定することを特徴とする請求項38に記載の医療デバイス。
【請求項40】
前記第1の領域内に第1のシステム構成要素が含まれ、前記第2の領域内に第2のシステム構成要素が含まれることを特徴とする請求項39に記載の医療デバイス。
【請求項41】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記筐体は中心ハブ領域を備え、前記中心ハブから複数のローブが放射状に延びることを特徴とする医療デバイス。
【請求項42】
第1のローブ内に第1のシステム構成要素が含まれ、第2のローブ内に第2のシステム構成要素が含まれることを特徴とする請求項41に記載の医療デバイス。
【請求項43】
前記第1のシステム構成要素および前記第2のシステム構成要素は、ある投与量の薬剤を送達するリザーバ、バイオセンサ、針配置機構、および通信送受信器からなる群から選択されることを特徴とする請求項42に記載の医療デバイス。
【請求項44】
前記第1のシステム構成要素および前記第2のシステム構成要素は、それぞれ第1の可撓性のリザーバおよび第2の可撓性のリザーバを備えることを特徴とする請求項42に記載の医療デバイス。
【請求項45】
前記複数のローブの皮膚付着側に取り付けられた少なくとも1つの接着パッドをさらに備えることを特徴とする請求項41に記載の医療デバイス。
【請求項46】
使用者に薬剤療法を施す可撓性の着用可能な医療デバイスを提供する方法であって、
上部の可撓性部分および下部の可撓性部分を備える筐体を準備するステップと、
前記使用者に施される薬剤を収容するリザーバと流動的に連通する注入カニューレ、および前記注入カニューレを通じて施される前記薬剤の体積を計測する流体計測機構を、前記筐体内に提供するステップと、
前記上部の可撓性部分と前記下部の可撓性部分をそれぞれの周囲に沿って接続することによって前記筐体を形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記形成ステップは、前記上部の可撓性部分と前記下部の可撓性部分を音波溶接することによって実行されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項1】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
ある供給量の薬剤を収容する可撓性のリザーバを含む一体化された筐体であって、前記薬剤を前記使用者へ送達する注入カニューレと流動的に連通する筐体と、
前記注入カニューレを通じた前記リザーバから前記使用者への前記薬剤の送達を計測する流体計測デバイスと
を備え、
前記筐体は、可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
前記可撓性の上部部分と前記可撓性の下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記一体化された筐体の厚さは、0.25インチ(0.635cm)から1.25インチ(3.175cm)であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記一体化された筐体の厚さは、約0.75インチ(1.905cm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記可撓性の上部部分および前記可撓性の下部部分は、可撓性ポリマーから構築されることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記筐体の前記可撓性の下部部分は、接着層で使用者の皮膚に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記接着層と前記筐体の前記下部部分の間に提供されたエラストマまたは発泡層をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記流体計測デバイスは、少なくとも1つの熱抵抗器を備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記熱抵抗器はそれぞれ、可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的に提供され、前記熱膨張流体それぞれを加熱すると、前記可撓性の膜の膨張を引き起こし、その結果、前記薬剤を移動させ、前記注入針を通じて前記薬剤を前記使用者内へ操作することを特徴とする請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
可撓性の膜によってカプセル化された熱膨張流体に局部的にそれぞれ提供された複数の熱抵抗器は順番に提供され、前記使用者への薬剤の流れをもたらすように順次充填されることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記流体計測デバイスは、前記使用者への前記薬剤の流れを促進する少なくとも1つの一方向逆止弁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記流体計測デバイスは、前記使用者への前記薬剤の流れを促進する少なくとも1つの電子制御式のゲートまたは弁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記流体計測デバイスは、前記リザーバ上に圧力を作用させるベルビルばねワッシャ、打抜き式の板ばね、スナップディスク、または屈曲部の1つと、計測弁とを備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記筐体は、少なくとも前記流体計測機構と制御装置を電子的に接続する可撓性の回路基板をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記可撓性の回路基板は、前記回路基板の外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記筐体は、シャーシをさらに備え、前記シャーシは少なくとも、第2の枠に可撓的に接続された第1の枠を備え、前記筐体内で互いに対して、前記第1の枠内に第1のシステム構成要素を位置決めし、前記第2の枠内に第2のシステム構成要素を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記筐体は、前記筐体内に配置可能な押しボタンによって操作される注入針配置機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記針配置機構は、前記注入針を前記使用者内へ駆動するばねディスクを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記針配置機構は、前記注入針を前記使用者内へ駆動するねじりばねを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記ねじりばねは、前記注入針を前記使用者内へ駆動するように指レバーによって操作されることを特徴とする請求項19に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記針配置機構は、挿入針を使用して可撓性のカニューレを前記使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびカニューレキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記針配置機構は、可撓性の針またはカニューレアセンブリを前記使用者内へ駆動する単一のキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記針配置機構は、挿入針を使用してバイオセンサを前記使用者内へ駆動するように互いに最初に係合された針キャリッジおよびバイオセンサキャリッジを備えることを特徴とする請求項17に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記針配置機構は、前記可撓性のカニューレを前記使用者内へ挿入する際に、前記使用者から前記挿入針を引き抜くばね部材をさらに備えることを特徴とする請求項21に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記筐体は、前記筐体の前記上部部分上の特有の領域に力を印加することによってボーラス投与量を手動で操作する機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項26】
前記筐体は、前記使用者の血糖値を求める被検体センサを配置する機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項27】
前記筐体は、前記使用者へボーラス投与量を送達するためにある量の薬剤を収容する第2の可撓性のリザーバをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項28】
前記第2の可撓性のリザーバは、第2の注入カニューレと流動的に連通することを特徴とする請求項27に記載の医療デバイス。
【請求項29】
前記医療デバイスは、2型糖尿病を患う使用者に薬剤療法を施すために使用されることを特徴とする請求項27に記載の医療デバイス。
【請求項30】
前記流体計測機構は、事前にプログラムされた薬剤送達プロファイルを前記使用者に提供することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項31】
前記可撓性のリザーバは、前記使用者内への基礎速度注入のための薬剤の供給量を収容することを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項32】
前記医療デバイスは、薬剤療法のボーラス投与量を前記使用者に提供するプログラム可能な注射デバイスと一緒に使用されることを特徴とする請求項31に記載の医療デバイス。
【請求項33】
前記プログラム可能な注射デバイスは、前記使用者に注射するための前記ボーラス投与量を計算して、前記計算された投与量を施すように前記注射デバイスをプログラムするホストデバイスによってプログラムされることを特徴とする請求項32に記載の医療デバイス。
【請求項34】
前記プログラム可能な注射デバイスは、プログラム可能なインスリンペンであることを特徴とする請求項33に記載の医療デバイス。
【請求項35】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分を備える一体化された筐体を備え、前記筐体は、長さ寸法が幅寸法より長い細長い形状に形成され、前記幅寸法より狭い腰部分をさらに含み、前記筐体は、前記筐体が前記腰部分で最も狭くなるような輪郭を有することを特徴とする医療デバイス。
【請求項36】
前記可撓性の上部部分と前記可撓性の下部部分は、それぞれの周囲に沿ってともに音波溶接されることを特徴とする請求項35に記載の医療デバイス。
【請求項37】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記上部部分および前記下部部分は、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる少なくとも1つの凹部を備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項38】
前記少なくとも1つの凹部とは反対側の位置で、前記上部部分と前記下部部分のそれぞれの外縁部から内方へ延びる第2の凹部をさらに備えることを特徴とする請求項37に記載の医療デバイス。
【請求項39】
前記第1の凹部および前記第2の凹部は、前記デバイスの第1の領域と前記デバイスの第2の領域を分離する屈曲領域を画定することを特徴とする請求項38に記載の医療デバイス。
【請求項40】
前記第1の領域内に第1のシステム構成要素が含まれ、前記第2の領域内に第2のシステム構成要素が含まれることを特徴とする請求項39に記載の医療デバイス。
【請求項41】
使用者に薬剤療法を施す着用可能な医療デバイスであって、
可撓性の上部部分および可撓性の下部部分からなる一体化された筐体を備え、前記筐体は中心ハブ領域を備え、前記中心ハブから複数のローブが放射状に延びることを特徴とする医療デバイス。
【請求項42】
第1のローブ内に第1のシステム構成要素が含まれ、第2のローブ内に第2のシステム構成要素が含まれることを特徴とする請求項41に記載の医療デバイス。
【請求項43】
前記第1のシステム構成要素および前記第2のシステム構成要素は、ある投与量の薬剤を送達するリザーバ、バイオセンサ、針配置機構、および通信送受信器からなる群から選択されることを特徴とする請求項42に記載の医療デバイス。
【請求項44】
前記第1のシステム構成要素および前記第2のシステム構成要素は、それぞれ第1の可撓性のリザーバおよび第2の可撓性のリザーバを備えることを特徴とする請求項42に記載の医療デバイス。
【請求項45】
前記複数のローブの皮膚付着側に取り付けられた少なくとも1つの接着パッドをさらに備えることを特徴とする請求項41に記載の医療デバイス。
【請求項46】
使用者に薬剤療法を施す可撓性の着用可能な医療デバイスを提供する方法であって、
上部の可撓性部分および下部の可撓性部分を備える筐体を準備するステップと、
前記使用者に施される薬剤を収容するリザーバと流動的に連通する注入カニューレ、および前記注入カニューレを通じて施される前記薬剤の体積を計測する流体計測機構を、前記筐体内に提供するステップと、
前記上部の可撓性部分と前記下部の可撓性部分をそれぞれの周囲に沿って接続することによって前記筐体を形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記形成ステップは、前記上部の可撓性部分と前記下部の可撓性部分を音波溶接することによって実行されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図12J】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図12H】
【図12I】
【図12J】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−503692(P2013−503692A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527864(P2012−527864)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/002410
【国際公開番号】WO2011/028279
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/002410
【国際公開番号】WO2011/028279
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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