説明

可撓性の、機械的に補償された透明積層物質を調製する方法

本発明は、
a)2の仮の基板を用意すること、
b)該仮の基板のそれぞれ上に透明無機物質層を施与すること、
c1)該透明無機物質層上に透明担体を施与すること、または
c2)該透明無機物質層上に重合化透明担体のための重合性前駆体を施与し、引き続いて該重合性前駆体を重合して、透明担体にすること、および
d)該仮の基板を除去すること
の一連の段階を含む、その両側が透明無機物質で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された積層物質を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その両側が無機物質の透明層で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された透明積層物質を調製する方法、およびこのようにして得られた当該可撓性の、機械的に補償された積層物質に関する。
【背景技術】
【0002】
その両側が無機物質の透明層で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる透明積層物質は、従来技術で知られている。
【0003】
特開平07−175055号は、両側上に透明導電膜を施与されたプラスチック基板を記載している。この場合、該基板の片側上の層は除去され、一方、該基板の他方側上の層はパターニングされる。2層の使用は、プラスチック基板の反りが防止されるという利点を有する。
【0004】
米国特許第5,907,383号は、両側上に酸化亜鉛層であってもよい金属酸化物薄膜層を施与された透明樹脂層を含んでいる透明導電基板を記載している。透明電極層が、該酸化物層の一方の前面上に積層される。
【0005】
特開平06−238853号は、その両側が透明酸化物コーティングで被覆されているところの樹脂シートであって、透明電極層が、該酸化物層の一方の前面上に積層されるものを記載している。
【0006】
スズ添加酸化インジウム(ITO)をポリマー膜上に有する従来技術の積層物質は通常、2〜2.5%を超える引張ひずみレベルにおいてその電気性能の破局的破壊を示すことが見出された。これは、たとえばD.R.Cairnsら(Applied Physics Letters誌、第76巻、第11号、1425〜1427ページ、2000年刊)によって報告されている。このような積層構造では、0.3〜0.5%台のひずみレベルにおける繰返し負荷(疲労)が既に、クラックの開始および成長、したがって電気伝導度の減少をもたらす。引張ひずみが増加するときの無機層中のクラックの急速な形成は、ポリマー担体と比較したセラミック酸化物層の脆い性質、並びに両層間の接着および両層の厚さに関連付けられる。界面接着は一般に、ポリマー担体上への透明無機物質の施与方法によって影響され得、該方法は通常、ポリマー担体上への、たとえば物理的または化学的堆積技術を使用する無機物質の直接堆積を含む。
【0007】
その両側が無機物質の透明層で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる透明積層物質については、多くの用途が想定されることができる。透明無機物質が特定の酸化物、たとえばスズ、亜鉛またはインジウムの酸化物であるならば、透明な電気伝導性または半導電性無機物質が得られ、これは電子デバイスに使用されることができる。適当な厚さにおいて、これらの物質はさらに、可視光透明性、赤外光(熱)反射性、および紫外光吸収性であることが知られている。さらに、透明無機層の存在は、担体の熱的、機械的および化学的特性をその耐腐食性および耐熱性、耐擦傷性等に関して改良することができ、これは、たとえば透明ポリマーシートの寿命を伸ばすことを可能にすることができる。
【0008】
これらの魅力のある特性またはそれらの組み合わせは、その組成がある範囲の(半)導電性物質を含有するところの無機層に見出されるだけでなく、絶縁性無機物質、たとえばシリカ、並びに窒化物およびオキシ窒化物、たとえば窒化チタン、フッ化物、炭化物、およびケイ化物もまた含むことが指摘されている。本発明の文脈においては、「透明」の語は、可視光に透明を意味する。透明積層物質は好ましくは、透明無機物質によって被覆されていない透明担体基準で、波長領域390〜650nmにおいて透過率少なくとも75%、より好ましくは透過率少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも85%を有する。半導電性無機物質の下位分類の包括的な概観は、たとえば「Semiconducting Transparent Thin Films」、H.L.Hartnagel、A.L.Dawar、A.K.JainおよびC.Jagadish著、英国、Bristol、Institute of Physics Publishing社、1995年刊、ISBN番号0 7503 0322 0に示されている。
【0009】
上述の参考文献に従うと、透明無機物質層をポリマー担体上に直接堆積することによって、透明積層物質は調製されることができる。これは担体に、透明無機物質層の堆積条件に対するその耐性についての必要条件を課し、往々にして該無機物質層を生成する必要条件を満たすような担体を選択することを、または該担体の特性に合うような無機物質層およびその堆積特性を選択することを余儀なくする。これは、高価なまたは他様には魅力に乏しい物質の選択を余儀なくするかも知れない。さらに、種々の在りうる無機および有機層の熱膨張係数の不整合の故に、得られた積層物質は、変化する温度条件下に反り易くなるだろう。無機物質層の堆積温度並びにその後の加工段階および最終用途の温度が異なるならば、このことはとりわけ重要になる。言うまでもなく、透明積層物質の種々の層の相対厚さにも、この反りは依存する。その上、積層物質内の十分な界面接着の不足の故に、熱的にまたは機械的に生起された無機層内のクラックの形成および伝播は、その上に無機物質層が堆積されているところの透明担体からの、該無機物質層の(部分的な)層間剥離をもたらすことがある。このことは、たとえば上述のITO層内でひずみが高められたときの破局的破壊を説明する。
【特許文献1】特開平07−175055号公報
【特許文献2】米国特許第5,907,383号公報
【特許文献3】特開平06−238853号公報
【非特許文献1】「Semiconducting Transparent Thin Films」、H.L.Hartnagel、A.L.Dawar、A.K.JainおよびC.Jagadish著、英国、Bristol、Institute of Physics Publishing社、1995年刊、ISBN番号0 7503 0322 0
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、反ってしまうことがなく、かつ層間の改良された界面特性を持つ積層物質を調製する方法の必要性が存在する。このような方法は、担体の選択を透明無機物質の選択から独立させるだろう。本発明は、今このような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
透明無機物質の層の形成の際の堆積条件が、得られる光学的、熱的、機械的特性に大きい影響を及ぼすことは、従来技術で周知である。たとえば、いくつかの金属酸化物の前述の魅力のある特性の多く、たとえば電気的および光学的特性は、無機物質層の微結晶構造の核生成および成長の条件に直接関係する。たとえば、堆積工程の間およびその後に形成された個々の微結晶のサイズ、形、配向および相互連結は、所定の厚さにおける無機物質層の機械的特性、電気的(半)伝導性、均質性(および化学量論性)並びに積層物質の可視光透過、IR反射、UV吸収および光散乱の諸特性を強く決定付ける。無機層の所望の厚さは、多数の因子、たとえば光学的透明性、所要の導電性または機械的特性に依存するが、典型的には数ナノメートル〜数マイクロメートルの範囲内である。一般に、より大きい微結晶からなる、より明確に規定された層を形成するためには、より高い温度の成長条件が必要とされ、これが次なる結果として、改良された特性をもたらす。このような条件のための典型的な温度は優に250℃を超えうるので、透明無機物質層の直接堆積には、多くのポリマー状透明担体は不適当である。その上、担体と無機物質との間の熱膨張係数の一般的に生じる不整合は、高温堆積法と組み合わされて、平らでない積層物質を生成することがあり、これは、その後の加工または多くの用途への使用に望ましくない。結論として、慣用的な(直接)堆積方法を使用する、最適な特性を持つ透明無機物質の堆積条件は、平らな積層透明物質を得るために要求される条件と相反している。
【0012】
該無機物質は、酸化物、窒化物、オキシ窒化物、フッ化物、炭化物、ケイ化物等であることができる。好ましくは、該無機物質は微晶質である。最も好ましくは、該無機物質は微晶質酸化物である。本明細書の以降の記載においては、酸化物のみが記載されるが、同じことが他の無機物質にも同様に当てはまる。「微晶質」の語は、結晶粒境界によって、またはおそらくはより低度に秩序化された、たとえば非晶質の領域によって分離された、相互連結され、おそらくは配向された微結晶の列が形成されるような様式で、核を成し成長する結晶からなる無機物質の層の好まれる性質のことを言う。結晶のサイズ、形および配向は、堆積条件に大きく依存し、その上にそれが堆積されるところの基板の性質によって影響されうる。一般に、より高い堆積温度、および結晶成長が生じることができる期間の長さ、たとえばアニール調整から、より大きい結晶サイズはもたらされるだろう。
【発明の効果】
【0013】
仮の基板、好ましくは金属基板(たとえば、アルミニウム基板)を使用する、透明酸化物のための高温結晶成長法の採用、およびその後の透明担体上への該透明酸化物の移送が、該透明酸化物層の圧縮状態をもたらすことが、今発見された。したがって、圧縮されていない無機層と比較して、クラック形成の開始およびそれに続く破壊までに、有意により高い引張ひずみレベルが該積層物質上に引き起こされることができる。積層物質の機械的特性にとって、たとえば可撓性が望まれ若しくは要求される用途または加工にとって、これは有利である。透明担体物質の両側に透明酸化物を組み合わせることによって、在りうる反りに対する補償が得られ、通常の加工および動作温度において平らな配置をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この目的のために、本発明は、
a)2の仮の基板を用意すること、
b)該仮の基板のそれぞれ上に透明無機物質層を施与すること、
c1)該透明無機物質層上に透明担体を施与すること、または
c2)該透明無機物質層上に重合化透明担体のための重合性前駆体を施与し、引き続いて該重合性前駆体を重合して、透明担体にすること、および
d)該仮の基板を除去すること
の一連の段階を含む、その両側が透明無機物質で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された積層物質を調製する方法に関する。
【0015】
この方法について、特に透明担体と透明酸化物層とを組み合わせる段階について、種々の実施態様が想定されることができる。
【0016】
1の実施態様では、2の透明酸化物層の間に透明ポリマー担体の箔またはフィルムを、任意的には逐次的に、しかし好ましくは同時にラミネートすることによって、透明担体は施与される。所望であれば、透明担体の箔またはフィルムの片側または両側上に透明接着剤が施与される。
【0017】
本発明に従う方法の他の実施態様では、透明担体は、2の透明酸化物層の間に重合性担体として施与され、引き続いて該重合性担体を重合して、透明担体を形成する。担体の組成に応じて、光、熱によって、または当業者に知られた任意の他の様式で、重合は実施されることができる。この実施態様の変法では、透明担体は1の酸化物層上に重合性担体として施与され、引き続いて該重合性担体を重合して、透明担体を形成し、そして該担体上にもう一方の酸化物層をラミネートする。
【0018】
重合性担体は、重合後に透明にならなければならず、それ自体は透明であっても透明でなくてもよい。この方法に従うと、重合性担体との機械的、化学的および/または物理的結合によって、透明酸化物層は透明担体に接着され、したがって該重合性担体は透明酸化物と透明担体との間の接着剤の役割をする。
【0019】
仮の基板それ自体および(好適には、溶解またはエッチングによって)それを除去する方法の両者とも、大した困難なく標準的な手順を使用することによって、当業者によって選択されることができる。
【0020】
本発明に従う方法の他の実施態様では、透明担体はポリマー溶融物として施与され、たとえば2のローラーのニップで、2の透明酸化物層間にカーテンとして施与され、その後冷却される。
【0021】
このような場合、接着剤は必要でなく、1段階プロセスが達成される。
【0022】
本発明に従う仮の基板は、好ましくは金属若しくは金属合金の箔またはフィルムである。この主な理由は、このような箔またはフィルムは一般に、さらなる加工の際の最高温度に耐える能力があり、蒸発によっては殆んど損傷を受けず、公知のエッチング技術を使用して比較的容易に除去されることができることである。その上、これらの金属箔またはフィルムの多くは、低コスト物質という目的を満たす。最後に、金属箔の熱膨張係数は典型的には、透明酸化物のそれよりもはるかに大きく、高められた温度における堆積およびその後に仮の基板が環境状態まで冷却された後に、好適な圧縮状態にある透明酸化物層をもたらす。
【0023】
好適な金属は、鋼鉄、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、銀、亜鉛、モリブデン、およびこれらの合金または多層物を包含する。とりわけ経済的な理由から、Fe、Al、Cu、またはこれらの合金を用いることが好まれる。好適なエッチング技術は従来技術で知られ、選択された金属ごとに異なるけれども、しかるべき技能を使用して当業者によって選択されることができる。好まれる腐食液は酸(ルイス酸並びにブレンステッド酸)を包含し、たとえば金属箔として銅の場合には、FeCl、硝酸、または硫酸を使用することが好まれる。たとえば、苛性ソーダ(NaOH)によっても、アルミニウムは効率的に除去されることができる。
【0024】
除去性のためには、仮の基板は好ましくはできる限り薄い。もちろん、それはさらなる層をその上に施与し、これらを一まとめに保つことを依然許さなければならないが、これは一般に500μmを超える厚さを要求しないだろう。好ましくは、厚さは10〜300μmである。弾性率に応じて、大部分の物質は最低限厚さ10μmを要求するだろう。その場合に、より好まれる厚さ範囲は10〜250μm、最も好ましくは70〜150μmである。無機物質を有するアルミニウム箔は、緩い粒子を除去するために脱イオン水で浄化されてもよい。
【0025】
透明担体層に適した物質は、当業者には明らかだろう。これらはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート、アクリレートアミド、およびスチレン、ビニリデンのポリマー、エポキシポリマー、並びにポリ塩化ビニルのようなポリマーを包含する。上記のように、担体フィルムの形態で、または透明担体の前駆体である重合性担体の形態で、透明担体は施与されることができる。完全硬化フィルムであっても半硬化フィルムであってもよいフィルムの形態での施与が一般に好まれる。該担体の厚さは、好ましくは25μm〜10mmの範囲内になければならない。より好まれる範囲は50μm〜5mm、および75μm〜1000mmである。曲げ剛性(本発明の枠組内で、物質の弾性率(「E」、N/mm単位)に担体の厚さ(「t」、mm単位)の3乗を乗じたもの:E×tとして定義される。)は、好ましくは16×10−2Nmmより大きく、通常15×10Nmmより小さいだろう。
【0026】
透明担体と透明酸化物との間に施与されるべき接着層の選択は、透明担体および透明酸化物のタイプ並びに該積層物質の想定される用途に依存する。上記のように、透明ポリマー担体の前駆体である重合性物質は、前駆体と透明酸化物との界面において、化学的または物理的接着促進剤としての役割をすることができる非重合化部分を含んでいる本質的な接着剤と解釈されることができる。
【0027】
透明酸化物の施与の際に、自身の軟化点を超えるまで加熱される透明担体は、該担体上への酸化物層の機械的アンカリングの故に、該担体層と該酸化物層との間に適当な界面接着を持つ透明物質になることができる。このアンカリングは、顕微鏡の尺度で、酸化物層の十分に粗い表面構造を要求する。高温結晶成長条件は、この目的のために十分な程度のミクロの粗さを生じることが当業者には周知である。
【0028】
しかし、両酸化物層のうち少なくとも一方と担体箔との間にさらなる接着層を使用することが好まれる。一方の透明酸化物層への化学的、物理的、または機械的な接着と、他方の担体層への化学的、物理的、および拡散/相互浸透に基づいた接着とを、整合させるような様式で、この接着剤は選択されることができる。好適な有機の単成分または多成分接着剤が当業者によって選択されることができ、たとえば、ビスフェノールA若しくはFまたは他のポリオール、たとえば脂肪族グリコールに基づいたエポキシ樹脂、脂環式の主鎖を持つノボラックおよびエポキシド、並びに反応性希釈剤、たとえばブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等である。多塩基の酸および酸無水物、モノおよびポリアミン、アミノ樹脂、ポリアミド、ポリ尿素、ポリチオール、ポリメルカプタン、ルイス酸等のような普通に使用される硬化剤を用いる硬化(重付加)によって、所望の機械的、電気的、および光学的特性を持つ熱硬化性物へと、これらの樹脂は転化されることができる。好適な酸は、無水フタル酸、無水(メチル)テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水(メチル)ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸、無水ドデシルコハク酸等である。ポリアミドの例は、Cognis社(旧Henkel社)からのVersamid(商標)およびAir Products社からのAncamide(商標)である。
【0029】
好適なアミンは、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジエチルトルエンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンポリアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルピペラジン、メタフェニレンジアミン、イミダゾール、およびこれらの誘導体、ジシアンジアミン、ジアミノジフェニルスルホンである。アルコール、フェノール、酸、第三級アミン、およびイオウ含有化合物の混合によって、エポキシ/アミン反応は触媒されることができる。接着剤の色の観点から、たとえば蒸留によるアミンの精製が必要になることがある。
【0030】
好適なポリチオールは、脂肪族および芳香族(ポリ)チオール、たとえば1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、1,2−エタンジオールビスメルカプト酢酸、1,4−ベンゼンジメタノールジメルカプト酢酸、1,3−ベンゼンジメタノールジメルカプト酢酸、1,2−ベンゼンジメタノールジメルカプト酢酸、1,4−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール等である。
【0031】
他の部類の樹脂は、(ポリ)ヒドロキシ官能性樹脂、たとえばヒドロキシ末端ポリエステル、ポリエーテルジオール、ポリオール、たとえばDesmophen(商標)を包含し、これらはポリイソシアネートまたはポリイソシアヌレート、たとえばDesmodur(商標)と架橋される。両者の場合において、接着膜を施与するために任意的に使用された溶媒は、硬化前に蒸発されなければならない。
【0032】
他の接着剤、たとえばアクリルポリマーまたはマレイミド(コ)ポリマーが、これらがエッチング条件を耐え抜く限り、使用されることができる。接着剤の適切な選択は、透明担体からの酸化物層の層剥離の低減および機械的負荷後の酸化物層中のクラック形成の低減をもたらす。このようにして、酸化物層の魅力のある特性、たとえば電気伝導性およびバリア特性が、機械的(疲労)負荷に対してより低度に感受性になる。
【0033】
好適な接着剤の選択は、付加的な機能性を透明積層物質に導入すること、たとえば透明酸化物と透明担体との屈折率差を、これらの可視光散乱特性を目的に合わせるような様式で整合させることをさらに許すことが注目される。たとえば、スズ、インジウム、または亜鉛の透明電導性酸化物については、可視光波長域における典型的な屈折率はn=1.8〜2であり、他方、ポリマー状担体箔については典型的にはn=1.5である。n=1.5〜1.8、好ましくは1.64〜1.73に合わせられた屈折率を持つ接着層は、可視光波長域における光散乱の低減および光透過の増加をもたらす。調整可能な屈折率、たとえばn=1.43〜1.62(エポキシタイプ)および1.42〜1.70(アクリルタイプ)を持つ接着剤が得られることができることは、従来技術で知られている。
【0034】
透明酸化物層は、公知の様式で、たとえば有機金属化学蒸着法(MOCVD)、スパッタリング法、常圧化学蒸着法(APCVD)、プラズマ促進PECVD法、スプレー熱分解法、蒸発(物理蒸着)法、電着法、スクリーン印刷法、ゾル−ゲル処理法等を使用して堆積されることができる。透明酸化物層の多数の前述の魅力のある特性、たとえば電気的、光学的および機械的特性のために、該層は好ましくは微結晶の配列からならなければならない。この配列の性質および結晶のサイズおよび形は、該層の電気的および光学的特性に強く影響するだろう。その上、該結晶配列の均質性および等方性は、密着力および機械的挙動に影響するだろう。選択された堆積方法で使用される核の生成および成長条件は、透明酸化物の得られる結晶配列についての重要なパラメータである。透明酸化物層に使用されるのに適した物質の例は、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウム添加またはホウ素添加酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化カドミウム、酸化スズおよびフッ素添加またはアンチモン添加酸化スズである。透明酸化物の性質は、該物質の意図された用途次第だろう。酸化物層が主として保護の目的を意図されているならば、それは、たとえばシリカのような安価な物質でもよい。他方、それが電気的用途に適用されることになるならば、ITOおよびF添加またはSb添加酸化スズのような電気伝導性物質が好まれるかも知れない。所望により、透明酸化物層はパターンで施与されてもよいし、または仮の基板上へのその施与後に、たとえばエッチングによってパターニングされてもよい。
【0035】
透明積層物質の意図された用途に応じて、該積層物質中にさらなる層が取り込まれることができる。仮の基板が除去された後の、片方または両方の透明酸化物層上にさらなる層を施与することによって、あるいは酸化物層が施与される前または施与された後の仮の基板上に、すなわち仮の基板上または酸化物層上にさらなる層を施与することによって、これは行われることができる。
【0036】
積層物質が電子装置に使用されることになるならば、透明導電性酸化物の層を、積層物質が太陽電池シート、保護用被覆層、除塵用チタニア層等に使用されることになるならば、光起電層または太陽電池、背後電極を、さらなる層の例は含む。透明酸化物が施与される前または施与された後の仮の基板上にさらなる層が施与されることになるか、あるいは仮の基板が除去された後の透明酸化物上にさらなる層が施与されることになるかは、状況によって、主にさらなる層の特性によって決まるだろう。好まれるさらなる層は、該物質の片側または両側にあり、特定の電子的、光学的、機械的、または化学的特性、たとえば透明導電性酸化物の仕事関数を適合させること、透明導電性酸化物表面のミクロ平滑度を改良すること、特に潜在的に電気分流をもたらす表面欠陥を補償することによって改良すること、たとえば水(蒸気)および酸素の拡散についての改良されたバリア特性、反射防止または防眩の用途のための屈折特性、腐食性の液体およびエーロゾルまたは粉塵についての防汚特性、機械的ひずみの際の透明酸化物中のクラック形成の伝播および電子的効果を限定するための、コンプライアンスを改良するポリマー層等を有する層を包含する。従来技術で知られた典型的な層は、導電性ポリマー、たとえばPEDOT:PSSであり、電子用途、たとえばフラットパネルディスプレイデバイス、たとえば有機発光ダイオード(OLED)デバイスのバリア特性を高めるためのアルミナとポリマーとのサンドイッチ層のBarix(商標)多層系に要求される、仕事関数の向上、分流防止およびコンプライアンス層の特性、および疎水化特性のためのフルオロポリマーカプセル封入層を、該PEDOT:PSSは合わせ持つ。
【0037】
透明積層物質の実際の組成に応じて、さらなる加工段階が実施されてもよい。たとえば、単純マトリクスまたはアクティブマトリクス方式情報表示用途に使用されることになる透明積層物質が、透明担体上の2の透明酸化物層(少なくともその一方は導電性酸化物である。)からなるならば、該導電性酸化物層をパターニングすることが望まれるかも知れない。擦傷から保護するためにまたはバリア層の役目をするために、他方の透明酸化物層はそのまま残されてもよいが、除去されてもよい。その場合、パターニングの間、透明積層物質に機械的安定性を与えるのに、その存在は役立つ。この発明の透明積層物質は、その本質的な圧縮された状態の故に、従来技術で調製された積層物質におけるようにひずみレベル2%においては、たとえば電気的特性の破局的破壊を示さず、異なった前面および背面を要求する種々のタイプのディスプレイ用途に使用されることができる。TFT−LCDについては、背面は、アドレス可能TFT(薄膜トランジスタ、画素当たり1個)付きのパターニングされた透明導電性酸化物(TCO)であることができ、一方、前面は、透明担体(グラウンド層)上の、一体化されたカラーフィルター付きのTCO膜からなることができる。該積層物質の光学的透明性と優れた電導性との組み合わせは、それを、通常、高電圧(100〜400V)および好ましくは低抵抗率動作条件を要求する大画面スクリーンおよび電界発光(エレクトロルミネセント)積層物のための基板に好適なものにする。好ましくは、(走査型電子顕微鏡法および原子間力顕微鏡法によって測定された)180〜220nmの範囲にある微結晶平均サイズおよびシート抵抗10オーム/平方未満を有する透明導電性酸化物層を与える、透明無機物質層の電気伝導性が得られる。
【0038】
上記の本発明に従う方法は、高温成長された透明酸化物層の特定の望ましい光学的、機械的、および電気的特性と、該透明酸化物に要求される加工条件にかかわらず、積層物質中でこのような層をその特定の目的のために選択された透明担体と組み合わせる融通性とを合わせ持つのみならず、該方法は、従来技術で周知の単位操作、たとえば堆積方法、ラミネーション方法、エッチング、およびパターニング方法を使用する低コスト製造プロセスにも非常に申し分なく適している。より特には、仮の基板物質、担体箔、接着剤および/または重合性前駆体の各ロールまたは各シートが、半連続的な様式で堆積され、施与され、ラミネートされ、パターニングされそしてエッチングされるところの一連の単位操作を使用する、ロールツーロール(roll−to−roll)またはシートツーシート(sheet−to−sheet)方式で、本発明に従う方法は実施されることができる。たとえばフレキシブルディスプレイ用途、熱線反射ポリマー箔(たとえば、いわゆる「スマートウインドウ」用途)の製造、いわゆる「電子ペーパー」システム、および機能化表面(ハードコート、反射防止、耐擦傷性、防汚性等)を持つ透明担体への、積層物質の、たとえばロールツーロール加工性の潜在可能性は、従来技術で周知である。本発明に従う方法を使用するロールツーロール方式で製造された透明積層物質は、機械的(たとえば、曲げ、引張の)および熱的(たとえば、加熱、冷却、および調整の)ひずみ下の加工および貯蔵を許し、他方で、積層物質のさらなる加工および/または最終用途に好適なサイズにされた、かつ平らな「シート」をもたらす、ある「可撓性」を、明白にかつ本質的に要求する。したがって、ロールツーロール製造方法および/または可撓性の最終用途に適するように、積層物質は十分に薄くなければならないのみならず、好ましくは機械的に補償され、ひずみ下に十分に頑丈でもなければならない。本発明に従う方法を使用して得られた透明積層物質は、可撓性でかつ頑丈である本質的な利点を有し、全体の厚さについて大きい自由度を許容する。
【0039】
したがって、本発明に従う方法は、ロールツーロールまたはシートツーシート方法で実施されることが好まれる。本明細書で使用される「可撓性」の語は、該物質がこのような方法で使用されるのに適しているほど十分な可撓性を有することを意味し、その内容は当業者には明らかである。該積層物質の想定される最終用途で、たとえば「フレキシブルディスプレイ」用途で使用される「可撓性」の語は、該システム(すなわち、ディスプレイ)を製造する際の成型性、該システムを使用する際のロール巻き性または折り曲げ性さえも包含する、別の意味を有することがある。言うまでもなく、繰返しひずみまたはより大きい曲率の半径またはより高温度の成型条件が使用されるならば、積層物質の全般の機械的挙動へのより厳格な要件が必要とされる。
【0040】
本発明に従う方法では、透明酸化物、好ましくは高温成長方法によって得られた透明酸化物が、透明担体、たとえば透明ポリマー箔と、場合によっては(必ずしも必要ではないが)該透明酸化物層と該透明担体箔とを適合させる接着層を使用して、一緒にされる。透明担体上への透明酸化物の慣用的な「直接」堆積方法と比較して、この組み合わせ方法は明らかな利点を有する。第一に、透明酸化物層の表面および界面の形態(モルホロジー)が、慣用的な「直接」堆積方法に対して、本発明の方法に従って調製された積層物質中では「反転される」。仮の基板とその上に成長した透明酸化物層との界面は、該仮の基板の表面の平滑さを本質的に反映する。金属またはガラスの表面の場合には、この表面は、たとえば磨かれることができる。第二に、該仮の表面上に成長した状態の透明酸化物層の表面は、高温結晶成長条件に付随する粗さを反映する。特定の堆積方法における核の発生および成長条件を調節することによって、この表面構造は影響されることができるが、本質的に、堆積された状態の透明酸化物層の外表面は、界面側、すなわち磨かれた仮の基板の場合に該仮の基板に対面する側の粗さと比較して、本質的により高い粗さを有する。ミクロの粗さは、2のパラメータ、たとえば頂角および振幅、または特性的な長さの尺度および高さによって説明され、原子間力顕微鏡法(AFM)のような既知の手法を使用して測定されることができる。磨かれた仮の基板については、粗さは十分に5nm(rms=2乗平均平方根)未満に制限されることができ、他方、rms粗さ10〜20nmを持つ標準的な市販金属箔が得られることができることが、従来技術で知られている。堆積された状態の透明導電性酸化物の表面の粗さよりも、これはかなり小さく、該堆積された状態の透明導電性酸化物の表面の粗さは、その結晶構造に応じて(該結晶構造は、順番に遡って堆積条件に影響を受けることができる。)、少なくとも数10ナノメートルに広がる。
【0041】
透明酸化物のモルホロジーは、その堆積方法の故に「粗な」側および「平滑な」側によって特性付けられるので、本発明に従う方法を使用して得られた積層透明物質の「粗な」側は、当該積層物質の外表面ではなく、透明担体に面する。したがって、透明酸化物の「平滑な」側は、積層透明物質の外表面に面する。二つの利点が当業者には明らかである。すなわち、単位平方当たりより大きい表面積を有する「粗な」表面は、適当なラミネーション条件が選択されるならば、担体箔(または接着剤、または前駆体)へのより良好な接着をもたらすことができ、他方、「平滑な」表面は、全面接触した、閉じられた、比較的「平らな」表面を提供し、これは最終用途製品への後続の製造を含む多くの用途にとって望ましい。たとえば、可視光散乱は、界面の両側における粗さおよび屈折率差によって支配される。透明酸化物と空気(外表面)との間の屈折率差は、該酸化物と担体または接着剤(内側界面)との間よりも高く、したがって透明積層物質の可視光散乱は、「慣用的な」堆積方法が使用される場合よりも(できるならば、担体物質の性質を考慮しても)、本発明に従う方法を使用する「ひっくり返した」配置において低い。また、電子用途、たとえば(フレキシブル)ディスプレイにおける透明導電性酸化物物質については、平滑で平らな「閉じられた」表面構造が、たとえばOLEDに基づいたシステムのための該デバイスの電子性能を強く決定付ける。
【0042】
したがって、本発明に従う方法は、光散乱、電気的および機械的性能のような要件が厳しい透明積層物質、たとえば(フレキシブル)フラットパネル、軽量で頑丈なディスプレイ(すなわち、ピクセル化されたもの)および照明(すなわち、ピクセル化されていない、たとえばセグメント化されたもの)用途のための透明積層物質を製造するのに特に有利である。
【0043】
たとえば、常圧化学蒸着法を使用して酸化スズ層を堆積するための仮の基板として、アルミニウム箔が使用されることができる。この堆積法はロールツーロールの施与の目的に好適である。このようにしてその上に透明酸化物が堆積されるところの2の仮の基板を組み合わせ、そしてその後に該積層系を透明ポリマー箔と熱ラミネートすることによって、一番上から一番下までに、仮のアルミニウム基板、酸化スズ層、(任意的な)接着層、PET層、(任意的な)接着層、酸化スズ層、およびアルミニウムの仮の基板層を含んでいる系が得られる。水性NaOH溶液を用いるウェットエッチングによって、アルミニウム層は除去されることができる。ラミネーションおよびエッチング法の両段階とも、ロールツーロール方式で実施されることができる。
【0044】
このようにして得られた透明積層物質は、ガラス基板上へのラミネーションのために、たとえばポリマー接着層と片方側で一緒にされることができる。他方側上に十分に選択された酸化物層、たとえばチタニア除塵層を使用すると、得られる物質は、断熱物質として窓を被覆するために使用されることができる。
【0045】
あるいは、フッ素添加酸化スズ層が、仮の金属基板の一つ上に化学蒸着によって堆積されるならば、非常に電導性の透明酸化物が得られることができる。ラミネーション法でこの酸化物と、事情に応じて化学蒸着またはスパッタリングによって得られた酸化ケイ素層とを、透明ポリマー箔、たとえば熱安定化ポリエチレンテレフタレート(PET)箔の両側上に組み合わせることによって、一番上から一番下までに、仮のアルミニウム基板、F添加酸化スズ層、接着層、PET層、酸化ケイ素層、およびアルミニウムの仮の基板層を含んでいる透明積層物質が得られる。アルミニウム層は、ウェット化学エッチングによって除去されることができ、F添加酸化スズ層はレーザーを使用してパターニングされることができる。機械的または化学的パターニング手法が、同様に想定されることができる。得られた物質は、電子用途への使用、たとえばフラットパネルディスプレイ用の透明前面パネルとしての使用に適している。想定される製品は可撓性であり、したがって壊れにくい、本質的な可撓性を有するフラットパネルディスプレイを許す。
【0046】
この可撓性は、以下のように数字で証明されることができる。たとえば100マイクロメートル厚さのPETフィルムが両側を、厚さd=0.7μmを持つ透明電導性酸化物層で被覆される、すなわち、該透明電導性酸化物層は、0.5%の圧縮下に該PETフィルム上へと(金属の仮の基板上への従来の高温酸化物堆積によって)施与された。この透明積層物質が曲げられると、外側の(引張の)酸化物膜内のひずみは、エプシロン=+d/2R曲率によって与えられ、ここでR曲率は、曲げられた系の曲率半径である。R曲率=0.01mと仮定すると、エプシロン=50×10−6/10−2=5×10−3=0.5%となり、曲げられた状態における正味ひずみは、外側層内で0%であり、内側層内で−1%(すなわち、圧縮)であることを意味する。当業者に知られた標準的方法を使用して、これは計算される。無機質の脆性酸化物薄膜についてさえ、可撓性で繰返して曲げられるデバイスが、商業的に魅力のある様式で、たとえばロールツーロール方式によって製造されることができるという特性を、可撓性の、機械的に補償されたこのような層の積層物は有する。次なる結果として電気特性の劣化をもたらすクラックの開始を、この系は有効に低減するだろう。その上、PETフィルムと酸化物層との間への接着剤の使用は、上述のように層間剥離現象を制限する結果になるだろう。
【0047】
本発明は以下の非限定的な図で例証される。
【0048】
該デバイスは、両側を透明酸化物層2で少なくとも部分的に被覆された透明担体箔1であって、任意的に、一方または両方の該透明酸化物層2と該透明担体箔1との間に接着剤3を持つものを表す。透明酸化物層2は、仮の基板4上に堆積される。これらの仮の基板4の一方または両方上に、さらなる層5が機能性付加のために堆積されることができる。任意的に、透明酸化物層2およびさらなる層5の相対位置は交換されることができる。本発明に従う方法では、仮の基板4は透明積層物質から除去されることができ、したがって該透明積層物質は、機械的補償のための二つの透明酸化物層2の間に挟まれた透明担体1であって、任意的に、一つまたは二つの接着層3および/またはさらなる機能性層5を持つものから構成される。図1の相対寸法は、該積層物質の実際の寸法と関係ないことに注意せよ。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に従うデバイスの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)2の仮の基板を用意すること、
b)該仮の基板のそれぞれ上に透明無機物質層を施与すること、
c1)該透明無機物質層上に透明担体を施与すること、または
c2)該透明無機物質層上に重合化透明担体のための重合性前駆体を施与し、引き続いて該重合性前駆体を重合して、透明担体にすること、および
d)該仮の基板を除去すること
の一連の段階を含む、その両側が透明無機物質で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された積層物質を調製する方法。
【請求項2】
段階a)とb)との間で、少なくとも1のさらなる層が、仮の基板の少なくとも一方上へと施与される、請求項1に従う方法。
【請求項3】
さらなる層が、改良された光学的、機械的、化学的、および/または電気的な特性を該積層物質に付加する層である、請求項2に従う方法。
【請求項4】
段階b)とc1)との間で、少なくとも1の接着層が、仮の基板の少なくとも一方の無機物質層上へと施与される、請求項1に従う方法。
【請求項5】
無機物質が結晶質酸化物である、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
透明酸化物層の少なくとも一方が電気伝導性である、請求項5に従う方法。
【請求項7】
透明酸化物層がフルオロ添加酸化スズである、請求項6に従う方法。
【請求項8】
少なくとも400℃の温度における化学蒸着によって段階b)が実施されて、シート抵抗10オーム/平方未満を与える透明酸化物層の電気伝導性が得られ、一方同時に、光波長390nm〜650nmの間の透過率の減少が透明担体箔の透過率の15%未満である、請求項5に従う方法。
【請求項9】
180〜220nmの範囲にある微結晶平均サイズおよびシート抵抗10オーム/平方未満を有する透明導電性酸化物層を与える、透明無機物質層の電気伝導性が得られる、請求項8に従う方法。
【請求項10】
透明無機物質層の少なくとも一方が、パターニングされた構造を有する、請求項1〜9のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
透明担体層および透明無機物質層が、ラミネーションによって一緒にされる、請求項1〜10のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
1段階手順で実施される、請求項1〜11のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
その両側が透明無機物質で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された透明積層物質であって、該積層物質が、該透明担体層と該透明無機物質層の少なくとも一方との間に接着層を、および任意的に、該物質の表面の少なくとも一方上に請求項2のさらなる層を含んでおり、ここで該透明無機物質層の少なくとも一方の表面が平滑な表面を有し、その特性粗さが、10μm×10μmの面積において原子間力顕微鏡法によって測定された15nm rms(2乗平均平方根)未満である積層物質。
【請求項14】
その両側が透明無機酸化物物質で少なくとも部分的に被覆されているところの透明担体を含んでいる、可撓性の、機械的に補償された透明積層物質であって、該積層物質が任意的に、該透明担体層と該透明無機物質層との間に接着層を含んでおり、かつ該積層物質が、シート抵抗平方当たり10オーム未満および光透過率少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%を有する積層物質。

【図1】
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【公表番号】特表2008−520463(P2008−520463A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541956(P2007−541956)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056039
【国際公開番号】WO2006/053889
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】