説明

可撓性を有する容器への充填および再充填装置

注ぎ口を有した可撓性のつぶせる容器の充填または再充填を支援する装置およびそれを用いた方法。本装置は、この容器の注ぎ口の少なくとも一部を収容するように適合された上方フレーム要素(120)を、その上方端部に取り付けられている中央フレーム要素(110)を含む。中央フレーム要素は、その下方端部にて、充填されている容器の下部を架台に載せ、かつ、可撓性のつぶせる容器が充填されて膨張するにつれ、容器を中央フレーム要素の方に押し当てるように適合された下方フレーム要素(130)に取り付けられている。装置は携帯用であり、種々の垂直または水平面に着脱可能に搭載することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するつぶせる容器を、その容器の充填時に支持するように適合された携帯用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッグ(bag)または小袋(pouch)などの可撓性を有するつぶせる容器は種々の用途に用いられる。サラダドレッシングの個別サービングなどの液体食品を、密閉されたプラスチック製小袋にパッケージすることができる。ユーザは小袋の一部分を切るかまたは裂いて小袋を開け、内容物を分配する。その後空になった小袋を廃棄することができる。この種のバッグまたは小袋は、使用後の再充填を意図されていない。
【0003】
環状の注ぎ口(spout)または装具(fitment)を介して分配できる液体内容物で充填されるように適合された種々のつぶせる(collapsible)バッグまたは容器が知られている。そのバッグの壁部は典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンまたはポリエステルといったプラスチック製の可撓性シートである。バッグの内容物はバッグの壁部にある注ぎ口または装具を介して分配される。注ぎ口は、取り外しのできるキャップまたは密閉手段を有することが多く、それにより、初回使用の後でバッグに再充填し再密閉することが可能となる。液体内容物は、ジュース、牛乳といった食品、ソープまたはシャンプー、または、現像溶液(photoprocessing solutions)または洗浄用化学薬品などの他の液体であってよい。つぶせるバッグは、堅牢な支持容器に収納されることが多い。この構造の一例は、充填、保管、出荷およびバッグの中身を出す時、堅牢な外部ボックスで内部バッグを構造的に支持する、いわゆる「バッグインボックス」である。
【0004】
液体の分配につぶせるバッグを、バッグにボックスなどの構造的支持体を伴わずに用いることは周知である。容器に充填するとともに内容物を分配するための再密閉可能な注ぎ口がある可撓性のプラスチック容器は、キャンプなどの旅行用途で広く用いられる。さらに、液体供給リザーバが可撓性のつぶせるバッグである場合に、液体を分配するように適合されたモップハンドルアセンブリもある。
【0005】
内容物が一旦分配されてしまったフレキシブル容器への充填は、ユーザにとって不便になりかねない。可撓性のつぶせる容器は典型的には支持のための外部手段を持たず、空である場合その充填形状を維持しない。その容器への充填は、ある人が充填する間、その容器を別の人が保持する必要がある。別法として、一人で、片手で容器を持ちながら、もう一方の手で注ぎ口へ充填物を向けつつ注ぎ口を真立位置に保持しようと試みることもできる。容器のサイズと内容物の重量によっては、この手順は容器の保持ポイント、典型的には注ぎ口の頚部において、かなりの応力を誘起することがある。どちらの充填プロセスも、容器の内容物が潜在的に危険なものである場合、望ましくない。
【0006】
商業生産設備では、つぶせる容器を支持して充填するように適合された設備が有り得るが、エンドユーザにとって、注ぎ口を有した可撓性のつぶせる容器を支持して再充填できる便利な手段に対する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器の充填または再充填時の注ぎ口を備える頚部を有した可撓性のつぶせる容器を支持する携帯用装置を特徴とする。この装置は、中央フレーム要素と、中央フレーム要素の上部に取り付けられている上方フレーム要素と、中央フレーム要素の下部に取り付けられている下方フレーム要素とを備える。上方フレーム要素は容器の頚部の少なくとも一部分を受容して支持する(support)ように適合され、下方フレーム要素は容器の下部の少なくとも一部分を支持する(cradle)ように適合され、それにより、内容物の重量による容器頚部での応力とひずみの緩和を促進することができる。使用時、この装置は独立していても、ドラムの周縁などの端から懸架されても、面に搭載されてもよい。
【0008】
上記概要は、本発明の例示した実施形態のそれぞれの説明や、あらゆる実装の説明を意図したものではない。本発明の他の特徴および利点は、以下に挙げる図面および詳細な説明、ならびに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、一態様において、その内容物を分配するための注ぎ口を有した可撓性のつぶせる容器への充填または再充填時に、容器を安定化する携帯用装置を提供する。典型的な容器は、例えば、カリフォルニア州アービン(Irvine,CA)のショール・コーポレーション(Scholle Corporation)から市販されている。本発明の装置は、容器を支持して支持することができ、それにより再充填プロセス中の容器の部分への応力を低減または排除することができる。この装置は、数オンスから5ガロン以上までのサイズにわたる容器を収容するように適合されることができる。この装置は、容器の容易な前方積み降ろしを可能にする。本装置は、再充填操作時に再充填注ぎ口への応力を最小限にするべく、かつ再充填注ぎ口がその位置を保持することを確実にすべく、充填時に容器を支持するよう設計されている。容器内へ材料を導入する他の方法も採用できるが、本発明の装置を用いる容器の充填は、好都合にも重力供給方式で遂行される。本明細書で使用する「材料」という用語は、流動性の粒状または粉末状の固体および液体を含むことを意図する。
【0010】
本発明は、別の態様において、ごみ容器、用務シンク、モップバケツ、化学品用ドラム、手押し車、壁その他の側面などの、略垂直な支持面に着脱可能に搭載することができる携帯用装置を提供し、それにより、この装置を一人で使用することが簡単になる。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、独立していて略水平面での使用時に安定しており、支持面への搭載を必要としない携帯用装置を提供する。これにより、容器の再充填での利便性がさらに増すことになる。
【0012】
図1aに示すように、本発明の装置100は、全体として、容器注ぎ口(図示せず)の少なくとも一部を収容し支持するように適合された上方フレーム要素120と、容器の底部を架台に載せて支持するように適合された下方フレーム要素130と、その一端で上方フレーム要素120に取り付けられており、その他端で下方フレーム要素130に取り付けられている中央フレーム要素110を有する構造を備える。
【0013】
上方フレーム要素120は例えば、容器注ぎ口または止め(fixment)のうち少なくとも一要素を収容して支持するように適合された注ぎ口支持切り欠き部150を有して構築されてよい。例えば、容器注ぎ口アセンブリがフランジを備えていれば、注ぎ口支持切り欠き部150は、フランジの全体または一部分が切り欠き部130の縁に載るようなサイズになっていてよい。別案として、容器注ぎ口アセンブリがネックインされた部分を備えていれば、切り欠き部130は注ぎ口アセンブリのネックインされた部分を収容するように構成されてよい。
【0014】
下方フレーム要素130は上方フレーム要素110よりも概ね下に配置されている。下方フレーム要素130はまた、充填されるべき容器の底部が下方フレーム要素130上に載り、それにより、容器に液体または別の材料を充填するときに、下方フレーム要素130が容器を支持できるように十分に上方フレーム要素120に対して近い位置に配置される。そのような支持は、容器の重量が増加するにつれ、容器の頚部部分での応力とひずみを緩和するのに役立つ。
【0015】
下方フレーム要素130は、やや上向きの配置で、装置100の中央フレーム支持体110から離して配置されたリップ135を含む。容器充填時、かつ、充填の進行に伴う可撓性容器の壁部位置の予期した変化時に、リップ135は容器を装置100の後部へと押し当て、容器が下方フレーム要素130から落下することや、容器の頚部でのひずみが生じることを防止する。
【0016】
中央フレーム要素110は上方フレーム要素(120)と下方フレーム要素(130)を連結して装置への構造的支持をもたらす。
【0017】
図1aに示した実施形態の側面図である図1bは、クランプ手段をさらに明確に示しており、本実施形態においてクランプ手段は、クランプブラケット140に隣接した下方フレーム要素130の一部分によって画定され、クランプブラケット140は、例えば蝶ねじ142(図1aの142)によって下方フレーム要素130の一部に可動的に取り付けられている。クランプ手段は、ごみ容器、シンク、バケツ、手押し車、壁その他の側面などの略垂直面に装置100を固定するために用いることができる。垂直面への固定時に装置100の安定化を促進するために、任意の止めねじ144を用いてもよい。
【0018】
図1aおよび1bに示した実施形態の利点は、クランプ手段の位置に比した上方フレーム要素120の高さである。場合によっては、ユーザが、再充填可能な容器を腕または肩の高さで操作することが人間工学的に望ましいことがある。図1aおよび1bに示した、クランプ手段の下寄りの位置決めは、再充填可能な容器 (図示せず)の頂部をクランプ手段の頂部よりも実質的に高く配置する傾向がある。このことは、例えばマスター容器、すなわち、可撓性のつぶせる容器に充填するために使用する材料の塊を保持している容器が、上方の棚などの高い位置にある場合にユーザにとって有益であり得る。
【0019】
図2aおよび2bに示した本発明の別の実施形態は、装置200を、図1aおよび1bに示した実施形態の場合よりも低い高さにある略垂直面に搭載することを可能にする。例えば、図2bを参照すると、容器が再充填のために装置200に配置され、装置を略垂直面に取り付けられると、クランプブラケット240によって画定されるクランプ手段、中央フレーム要素410の一部、および上方フレーム要素延長部225は、充填される容器の頚部(図示せず)が、装置200の頂部付近になることを可能にする。
【0020】
図2aおよび2bの実施形態の変形例では、クランプブラケット240および蝶ねじ242を排除して、上方フレーム要素延長部225を下向きに曲げてフックまたはU字型要素を形成することができ、するとそのフックまたはU字型要素は、ドラムポンプからの容器の再充填を可能にするため、例えば、メタル55ガロンメタルドラムなどの容器の縁から装置を懸架するのに有用となる。
【0021】
前述の図では、成形またはプレス成形製造プロセスによって達成され得る、上方、中央および下方フレーム要素の単一または一体化構造を示してきたが、図3では、上方フレーム要素320、中央フレーム要素310および下方フレーム要素330が別個のピースとして製造され、溶接、リベット、ボルト、ねじ、接着剤その他などの既知の手段によって組み立てられる、本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、下方フレーム要素330の一部分に同様に取り付けられた支持脚360が、装置300を略水平面に独立した装置として安定化させるために、下方フレーム要素330および下方フレーム要素リップ335と協調するために設けられる。支持脚360は、そのような装置を設計および/または製造する当業者ならば理解するであろうように、上方フレーム要素320または中央フレーム要素310の一部などの、装置300の別の部分に取り付けられてよい。支持脚360には、面への装置300の安定性を高めるための随意選択の支持脚365も設けられてよい。
【0022】
図4は、図1aおよび1bに示した本発明の実施形態によって支持される、一部充填された可撓性容器を示す。この例において、バッグ、小袋または他の可撓性容器480は、注ぎ口482と、注ぎ口と同軸であり注ぎ口とバック480の本体との間に配置された環状フランジ484によって画定される頚部部分を有する。この装置のユーザ、すなわち、バッグを再充填する人は、バッグの頚部部分を注ぎ口支持切り欠き部(図1aの150)方向にスライドさせ、その結果、フランジ484が上方フレーム要素420上に載置されるようにする。バッグ480の下部は、下方フレーム要素430および下方フレーム要素リップ435上に載置されていて、架台に載せられている。バッグがこうして装置内の定位置に置かれると、ユーザは両手を使って液体または他の材料をバッグへ注いだり、または分配することができる。
【0023】
図5は、本発明の装置の使用に関連付けることができるさらなる任意の特徴を示す。
【0024】
例えば、漏斗590またはその他の充填注ぎ口または管を、容器の充填を促進するために上方フレーム要素520の一部分に近接して取り付けたり、または配置することができる。充填操作完了後に残った材料が作業面に滴下するのを防止するために、水滴カップ(drip cup)592が、漏斗またはその他の充填注ぎ口または管の分配端を収容するように適合されて、上方フレーム要素520上またはその近傍に配置されてもよい。
【0025】
1つまたは複数の搭載孔594またはスロットを、例えば、本発明の装置の垂直面への搭載を可能にするために、中央フレーム要素または下方フレーム要素に配置してもよい。1つまたは複数の搭載スロット596または孔を、例えば、本発明の装置の水平面に搭載することを可能にするために、支持脚または下方フレーム要素に配置してもよい。垂直面または水平面への任意の搭載は、両面テープ、フックアンドループファスナーなどの種々の接着材料で実現することもできる。
【0026】
クランプブラケット540は、支持脚565を含むように適合されてよい。
【0027】
中央フレーム要素510などの、装置の1つまたは複数の部分は、例えば、特定の搭載面への適合性を高めるために湾曲を有して形状化されてもよい。
【0028】
フレーム要素は、アルミニウム、真鍮、スチール、チタンなどの金属、ナイロン、ポリプロピレンなどのエンジニアリングプラスチック、木材、および、装置と充填された容器を支持するために適切な係数または剛性を有した別の材料から製造されてよい。
【0029】
図1aの上方フレーム要素120または注ぎ口支持切り欠き部150は、異なる容量または注ぎ口頚部構造を有した容器に装置を容易に適合させるために、交換可能な部分を備えてよい。
【0030】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に多くの変更を加えられることが明白であろう。したがって、本発明の範囲は、本出願に記載された構造および方法に限定されるべきではなく、特許請求の範囲またはその等価物の文言で説明された構造および方法によってのみ限定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】本発明の一実施形態の斜視図を示す図である。
【図1b】図1aで示した実施形態の側面図を示す図である。
【図2a】本発明の別の実施形態の斜視図を示す図である。
【図2b】図2aの実施形態の側面図を示す図である。
【図3】本発明のさらに別の実施形態の側面図を示す図である。
【図4】部分的に充填されたフレキシブル容器を定位置に設置した、図1aの本発明の装置を示した図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態の斜視図を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を分配するための注ぎ口を備えた可撓性を有するつぶせる容器の充填または再充填を安定化する装置であって、
(a)第1の端部と第2の端部とを有する中央フレーム要素と、
(b)前記中央フレーム要素の前記第1の端部に取り付けられ、前記注ぎ口の少なくとも一部を受容するようになっている上方フレーム要素と、
(c)前記中央フレーム要素の前記第2の端部に取り付けられる下方フレーム要素と、
を具備する装置。
【請求項2】
前記下方フレーム要素がリップを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下方フレーム要素は、前記容器の少なくとも一部を支持するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記上方フレーム要素、前記下方フレーム要素および前記中央フレーム要素のうち少なくとも1つに取り付けられるクランプをさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記上方フレーム要素が前記中央フレーム要素と一体化されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記下方フレーム要素が前記中央フレーム要素と一体化されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記上方フレーム要素、前記下方フレーム要素および前記中央フレーム要素のうち少なくとも1つに取り付けられる支持脚をさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
可撓性を有するつぶせる容器への充填方法であって、
(a)注ぎ口を備えた可撓性を有するつぶせる容器を用意することと、
(b)(i)第1の端部と第2の端部とを有する中央フレーム要素と、
(ii)前記中央フレーム要素の前記第1の端部に取り付けられ、前記注ぎ口の少なくとも一部を受容するようになっている上方フレーム要素と、
(iii)前記中央フレーム要素の前記第2の端部に取り付けられる下方フレーム要素と、
を具備する装置を用意することと、
(c)前記容器を充填する材料を用意することと、
(d)前記容器の頚部の少なくとも一部分を前記上方フレーム要素に係合させることと、
(e)前記容器の少なくとも一部分を前記下方フレーム要素上に配置することと、
(f)前記注ぎ口を通して前記容器に材料を入れることと、
を含む方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−534573(P2007−534573A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510779(P2007−510779)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012702
【国際公開番号】WO2005/110851
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】