説明

可撓性伸縮継手の仮固定方法およびこれに用いる仮固定用治具

【課題】効率良く天面部や側面部に仮固定することができ、本固定の作業の邪魔になることもなく、所定の位置に仮固定することができる可撓性伸縮継手の仮固定方法およびこれに用いる仮固定治具を提供する。
【解決手段】アンカーボルト24に固定した固定本体部31に取り付けた押えアーム部33を回動して先端押圧部32を当てて可撓性伸縮継手23を押え、この状態を保持することで、仮固定状態にする。これにより、天井部や側面部に対して、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手であっても、簡単に仮固定でき、作業効率良く施工できるようになる。また、固定本体部31に伸縮継手23を当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手23の設置幅を規制管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可撓性伸縮継手の仮固定方法およびこれに用いる仮固定用治具に関し、コンクリートで構築される水路、水処理施設、トンネル、共同溝などのコンクリート構造物の目地部に、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手を、天面部や側面部などに設置する場合の仮固定を簡単にできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートで構築されるコンクリート構造物である水路や水槽あるいは共同溝等の地中に構築される暗渠などの壁部分の目地部には、内外を止水するとともにその両側のコンクリート構造物の不等沈下や地震時変位並びに温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容する必要があり、コンクリート構造物の内側にゴムや合成樹脂の止水板などの可撓性伸縮継手を設けた可撓止水構造が採られている。
【0003】
このような可撓止水構造として、例えば特許文献1に開示された止水構造があり、図16に示すように、弾性材と一層以上の応力材を埋設した目地材1の中程にU型の溝状の余長部2を形成するとともに、両側に係止部3,3を形成して目地材1を構成する一方、コンクリート構造物4,4間の目地部5に形成した凹部6に目地材1の余長部2を納め、両側の係止部3、3をコンクリート構造物4,4に埋設固定したアンカーボルト7と押え板8を介して取り付けるようにしている。これにより、コンクリート構造物4,4の内側への目地材1の突き出しをなくし、水路とする場合の流れの抵抗を防止する。
【0004】
このような止水構造は、新たにコンクリート構造物を構築する場合だけでなく、既存のコンクリート構造物に設けることで耐震補強を行うために施工されたり、交換・補修のために施工される。
【0005】
ところが、この止水構造を既設の暗渠などのコンクリート構造物に施工しようとすると、目地材1を固定するアンカーボルト7をコンクリート構造物4,4に穿孔して取り付ける必要があるが、コンクリート構造物4,4の鉄筋に当たる場合があり、穿孔位置をずらしてアンカーボルト7を取り付けなければならないことも多い。
このため、アンカーボルト7の取り付けが終わった段階で現場でボルトピッチなどを測定し、その結果に合わせて押え板8、目地材1などの製作及び孔加工を行う必要があり、製作や孔加工が煩雑であり、工期も長くなるという問題がある。
【0006】
そこで、アンカーボルトの取り付け位置にかかわらず、あらかじめ必要な部材を製作しておくことができ、簡単に可撓止水部材を施工することができる可撓止水構造を提案しており(特許文献2,3)、例えば特許文献2の可撓止水構造10では、図17に示すように、コンクリート構造物11,11間の目地部12に跨って配置される可撓性の伸縮部13aを備えた可撓性伸縮継手13の両端部の碇着部13bに押え部材17を当て、アンカーボルト14で中間部18cが支持固定される固定部材18の先端部18aで押え部材17を押えるとともに、基端部18bをコンクリート構造物11に当てるようにすることで、アンカーボルト14の取付位置にかかわらず、所定の位置で押え部材17を押えて可撓性伸縮継手13を取り付けることができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−64446号公報
【特許文献2】特開2008−280748号公報
【特許文献3】特開2010−150807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような可撓止水構造10によれば、アンカーボルトの取り付け位置にかかわらず、予め必要な部材を製作しておくことができるものの、直接アンカーボルトで可撓性伸縮継手を固定しないことから、施工の際、アンカーボルトを利用して仮固定することができず、特に、天面部や側面部へ取り付ける場合には、作業者が持ち上げた状態で碇着部に押え部材を当て、アンカーボルトに取り付けた固定部材で押え部材を押えるようにしなければならず、多くの作業者が必要で施工に手間がかかり作業効率が悪いという問題がある。
一方、作業者が持ち上げた状態で、平板や紐などを両側のアンカーボルトに掛け渡して可撓性伸縮継手を仮に固定することも考えられるが、碇着部に当てる押え部材を設置しようとすると、平板や紐などが邪魔になり、これらを取り外して押え部材のための設置スペースを確保する必要が生じ、平板や紐などによる仮固定を開放しなければならないという問題がある。
さらに、可撓性伸縮継手は幅方向にある程度自由に伸縮するため、設置幅を管理するための作業も必要となり、一層作業効率が悪化するという問題もある。
【0009】
この発明は、かかる従来技術に鑑みてなされたものであって、効率良く天面部や側面部に仮固定することができ、本固定の作業の邪魔になることもなく、所定の位置に仮固定することができる可撓性伸縮継手の仮固定方法およびこれに用いる仮固定治具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に回動可能に設けられた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
この発明の請求項2記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明の請求項3記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項1または2記載の構成に加え、前記押えアーム部は、前記押え部材を設置するための空間をあけて先端押圧部で前記可撓性伸縮継手を押えるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
この発明の請求項4記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記押えアーム部による押圧状態の保持をトグルリンク機構またはばねによる付勢手段で行うようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
この発明の請求項5記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項2記載の構成に加え、前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に構成してアンカーボルトに固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項6記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項5記載の構成に加え、前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成するようにし、押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この発明の請求項7記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項2記載の構成に加え、前記固定部本体に固定した前記押えアームで前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
この発明の請求項8記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体と押えアームとをばねで傾動および上下に可動に連結し、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
この発明の請求項9記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに前記可撓性伸縮継手を跨ぐ門型に構成した支柱部と連結部とを備えた固定部本体の両端支柱部を固定し、この固定部本体の連結部から突き出した押え部で当該可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
この発明の請求項10記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項9記載の構成に加え、前記固定部本体の支柱部をL字状に構成するとともに、この支柱部または連結部のいずれか一方に形成した長孔に前記連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
この発明の請求項11記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、請求項9記載構成に加え、前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
この発明の請求項12記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けたねじ部材に押えアームを前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設け、この押えアームに取り付けたハンドルで当該押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
この発明の請求項13記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が回動可能に設けられ先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部と、この押えアーム部を回動操作して押圧部による押圧状態を保持・開放する押圧保持開放手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0023】
この発明の請求項14記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が固定され先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0024】
この発明の請求項15記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項13または14記載の構成に加え、前記押えアーム部は、前記碇着部を押える前記押え部材を跨いで前記可撓性伸縮継手を押える空間を備えた略門型形状に形成したことを特徴とするものである。
【0025】
この発明の請求項16記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項13または15記載の構成に加え、前記押圧保持開放手段を、トグルリンク機構で構成し操作レバーの回動操作で押圧状態と開放とを操作可能としたことを特徴とするものである。
【0026】
この発明の請求項17記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項13または15記載の構成に加え、前記押圧保持開放手段を、前記押えアーム部を押圧方向に付勢する付勢手段で構成し、付勢力で押圧状態を保持するとともに、付勢力に抗して開放操作可能としたことを特徴とするものである。
【0027】
この発明の請求項18記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項13〜17のいずれかに記載の構成に加え、前記押えアーム部を、2本のアーム部材で構成し、これらアーム部材の先端のそれぞれに両内側または両外側に突き出して前記押圧部を設けたことを特徴とするものである。
【0028】
この発明の請求項19記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項14記載の構成に加え、前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に形成してアンカーボルトに固定可能に構成したことを特徴とするものである。
【0029】
この発明の請求項20記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項19記載の構成に加え、前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成し、これら長孔または複数の穴に当該押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整可能に構成したことを特徴とするものである。
【0030】
この発明の請求項21記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項14記載の構成に加え、前記固定部本体に固定した前記押えアームを、前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定可能に構成したことを特徴とするものである。
【0031】
この発明の請求項22記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体にばねで傾動および上下に可動に連結された押えアームとを備えて構成され、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定することを特徴とするものである。
【0032】
この発明の請求項23記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記可撓性伸縮継手を跨ぐ一対の前記アンカーボルト間に固定される支柱部およびこれら支柱部に連結される連結部とを備えた門型の固定部本体と、この固定部本体の連結部から突き出した押え部とを備えて構成され、当該押え部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定することを特徴とするものである。
【0033】
この発明の請求項24記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項23記載の構成に加え、前記固定部本体の支柱部をL字状に形成するとともに、この支柱部または前記連結部のいずれか一方に長孔を形成して当該連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したことを特徴とするものである。
【0034】
この発明の請求項25記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、請求項23記載の構成に加え、前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したことを特徴とするものである。
【0035】
この発明の請求項26記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具は、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に設けたねじ部材に前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設けられる押えアームと、この押えアームに取り付けたハンドルとを備え、このハンドルで前記押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定可能に構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0036】
この発明の請求項1記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に回動可能に設けられた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたので、アンカーボルトに固定した固定本体部に取り付けた押えアーム部を回動して先端押圧部を当てて可撓性伸縮継手を押え、この状態を保持することで、仮固定状態にすることができ、天井部や側面部に対して、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手であっても、簡単に仮固定することができ、作業効率良く施工することができる。また、固定本体部に当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手の設置幅を規制管理することができる。
【0037】
この発明の請求項2記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたので、アンカーボルトに固定した固定本体部に取り付けた押えアーム部の先端押圧部を当てて可撓性伸縮継手を押えることで、仮固定状態にすることができ、天井部や側面部に対して、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手であっても、簡単に仮固定することができ、作業効率良く施工することができる。また、固定本体部に当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手の設置幅を規制管理することができる。
【0038】
この発明の請求項3記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記押えアーム部は、前記押え部材を設置するための空間をあけて先端押圧部で前記可撓性伸縮継手を押えるようにしたので、押えアーム部を、碇着部に当てる押え部材の設置スペースを考慮した形状とすることで、本固定のための作業の邪魔にならず仮固定から円滑に所定の固定状態にすることができる。
【0039】
この発明の請求項4記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記押えアーム部による押圧状態の保持をトグルリンク機構またはばねによる付勢手段で行うようにしたので、押えアームによる押圧状態をリンク機構やばねによる付勢力で保持することができ、仮固定が簡単にできるとともに、設置後の開放も簡単に行うことができる。
【0040】
この発明の請求項5記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に構成してアンカーボルトに固定するようにしたので、紐などを用いる場合に比べてアンカーボルトに簡単に固定して可撓性伸縮継手を仮固定することができるとともに、固定部本体で可撓性伸縮継手を位置決めすることができる。
【0041】
この発明の請求項6記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成するようにし、押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたので、長孔または複数の孔を用いて押えアームの位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0042】
この発明の請求項7記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記固定部本体に固定した前記押えアームで前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定するようにしたので、可撓性伸縮継手の碇着部などの側端部を仮固定することで、可撓性伸縮継手の本来の固定作業のための空間を確保することができる。
【0043】
この発明の請求項8記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体と押えアームとをばねで傾動および上下に可動に連結し、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたので、固定部材と押えアームとがバネで連結してあるので、アンカーボルトに固定するだけで簡単に可撓性伸縮継手を仮固定することができ、厚みに対し調整する必要もない。
【0044】
この発明の請求項9記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、前記アンカーボルトに前記可撓性伸縮継手を跨ぐ門型に構成した支柱部と連結部とを備えた固定部本体の両端支柱部を固定し、この固定部本体の連結部から突き出した押え部で当該可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたので、門型の固定部本体を可撓性伸縮継手を跨ぐように取り付けて押え部で押えることで、一層確実に押えて仮固定することができるとともに、両側の取付位置を簡単に位置決めをすることができる。
【0045】
この発明の請求項10記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記固定部本体の支柱部をL字状に構成するとともに、この支柱部または連結部のいずれか一方に形成した長孔に前記連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたので、支柱部に対する連結部の位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0046】
この発明の請求項11記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたので、連結部に対する押え部の位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0047】
この発明の請求項12記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けたねじ部材に押えアームを前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設け、この押えアームに取り付けたハンドルで当該押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたので、固定部本体をアンカーボルトに固定した後、ハンドルを回動することで可撓性伸縮継手を押えて仮固定することができ、一層簡単に操作することができる。
【0048】
この発明の請求項13記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が回動可能に設けられ先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部と、この押えアーム部を回動操作して押圧部による押圧状態を保持・開放する押圧保持開放手段とを備えてなるので、この仮固定治具によりアンカーボルトに固定した固定本体部に取り付けた押えアーム部を回動して先端押圧部を当てて可撓性伸縮継手を押え、この状態を保持することで、仮固定状態にすることができ、天井部や側面部に対して、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手であっても、簡単に仮固定することができ、作業効率良く施工することができる。また、固定本体部に当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手の設置幅を規制管理することができる。
【0049】
この発明の請求項14記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が固定され先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部とを備えているので、この仮固定治具によりアンカーボルトに固定した固定本体部に取り付けた押えアーム部の先端押圧部を当てて可撓性伸縮継手を押え、この状態を保持することで、仮固定状態にすることができ、天井部や側面部に対して、アンカーボルトで直接固定しない可撓性伸縮継手であっても、簡単に仮固定することができ、作業効率良く施工することができる。また、固定本体部に当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手の設置幅を規制管理することができる。
【0050】
この発明の請求項15記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記押えアーム部は、前記碇着部を押える前記押え部材を跨いで前記可撓性伸縮継手を押える空間を備えた略門型形状に形成したので、押えアーム部を略門型形状とすることで、碇着部を押える押え部材を跨いで可撓性伸縮継手を仮固定することができ、押える空間を利用することで、本固定のための作業の邪魔にならず仮固定から円滑に所定の固定状態にすることができる。
【0051】
この発明の請求項16記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記押圧保持開放手段を、トグルリンク機構で構成し操作レバーの回動操作で押圧状態と開放とを操作可能としたので、操作レバーを回動操作するだけで仮固定状態に保持したり、開放して取り外すことができ、作業効率良く施工することができる。
【0052】
この発明の請求項17記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記押圧保持開放手段を、前記押えアーム部を押圧方向に付勢する付勢手段で構成し、付勢力で押圧状態を保持するとともに、付勢力に抗して開放操作可能としたので、押えアーム部を押圧保持開放する手段をばねなどの付勢力を用いる付勢手段とすることで、締付け力などを必要とせず、簡単に仮固定状態を保持できるとともに、開放も付勢力に抗して操作することで簡単に行うことができる。
【0053】
この発明の請求項18記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記押えアーム部を、2本のアーム部材で構成し、これらアーム部材の先端のそれぞれに両内側または両外側に突き出して前記押圧部を設けたので、押えアーム部を2本のアーム部材とその両側に突き出した押圧部とすることで、仮固定部の面積を増大でき、一層確実に仮固定することができる。
【0054】
この発明の請求項19記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に形成してアンカーボルトに固定可能に構成したので、紐などを用いる場合に比べてアンカーボルトに簡単に固定して可撓性伸縮継手を仮固定することができるとともに、固定部本体で可撓性伸縮継手を位置決めすることができる。
【0055】
この発明の請求項20記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成し、これら長孔または複数の穴に当該押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整可能に構成したので、長孔または複数の孔を用いて押えアームの位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0056】
この発明の請求項21記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記固定部本体に固定した前記押えアームを、前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定可能に構成したので、可撓性伸縮継手の碇着部などの側端部を仮固定することで、可撓性伸縮継手の本来の固定作業のための空間を確保することができる。
【0057】
この発明の請求項22記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体にばねで傾動および上下に可動に連結された押えアームとを備えて構成され、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するので、固定部材と押えアームとがバネで連結してあるので、アンカーボルトに固定するだけで簡単に可撓性伸縮継手を仮固定することができ、厚みに対し調整する必要もない。
【0058】
この発明の請求項23記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、前記可撓性伸縮継手を跨ぐ一対の前記アンカーボルト間に固定される支柱部およびこれら支柱部に連結される連結部とを備えた門型の固定部本体と、この固定部本体の連結部から突き出した押え部とを備えて構成され、当該押え部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するので、門型の固定部本体を可撓性伸縮継手を跨ぐように取り付けて押え部で押えることで、一層確実に押えて仮固定することができるとともに、両側の取付位置を簡単に位置決めをすることができる。
【0059】
この発明の請求項24記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記固定部本体の支柱部をL字状に形成するとともに、この支柱部または前記連結部のいずれか一方に長孔を形成して当該連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したので、支柱部に対する連結部の位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0060】
この発明の請求項25記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したので、連結部に対する押え部の位置を調整することができ、可撓性伸縮継手の厚みに柔軟に対応することができる。
【0061】
この発明の請求項26記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具によれば、コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に設けたねじ部材に前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設けられる押えアームと、この押えアームに取り付けたハンドルとを備え、このハンドルで前記押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定可能に構成したので、固定部本体をアンカーボルトに固定した後、ハンドルを回動することで可撓性伸縮継手を押えて仮固定することができ、一層簡単に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図2】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の一実施の形態にかかる仮固定方法の説明斜視図である。
【図3】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の一実施の形態にかかる仮固定状態の側面図である。
【図4】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の他の一実施の形態にかかる概略正面図および概略平面図である。
【図5】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具のさらに他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図6】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図7】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図8】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図9】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具のさらに他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図10】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の一実施の形態にかかるそれぞれが概略斜視図である。
【図11】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具の他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図12】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具のさらに他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。
【図13】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具が適用されるコンクリート構造物用伸縮継手の固定構造にかかる部分拡大斜視図である。
【図14】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具が適用されるコンクリート構造物用伸縮継手の固定構造にかかる側面図である。
【図15】この発明の可撓性伸縮継手の仮固定治具が適用されるコンクリート構造物用伸縮継手の固定構造にかかるそれぞれが側面図である。
【図16】従来の止水構造の横断面図である。
【図17】従来の可撓止水構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、この発明を実施するための形態について、図面に基づき詳細に説明する。
まず、この発明の可撓性伸縮継手の仮固定方法およびこれに用いる仮固定治具により仮固定対象となる可撓性伸縮継手の固定構造について説明する。
可撓性伸縮継手を用いる固定構造20では、コンクリート構造物21,21の目地部22を跨ぐように可撓性伸縮継手23が配置される。
この可撓性伸縮継手23では、円弧部23aを備えた伸縮部23bがコンクリート構造物21,21に形成した収納部25内に配置され、両端縁部の碇着部23cを直接アンカーボルト24で固定するものでなく、碇着部23cに押え部材27を当てて、アンカーボルト24で固定部材28を締め付けるようにし、固定部材28の先端押圧部を押え部材27に当てることで固定するようにしたものである。したがって、可撓性伸縮継手23の碇着部23cにはアンカーボルト24用の孔は形成されていないものである。
こうすることで、可撓性伸縮継手23で止水するとともに、目地部22の両側のコンクリート構造物21,21の不等沈下や地震時変位並びに温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容し、新設するアンカーボルトのボルトピッチに鉄筋などとの干渉防止のためにズレなどが生じても簡単に対応でき、締付け力を分散して均一に固定することができるようにしている。
【0064】
この固定構造20に用いられる可撓性の伸縮継手23は、長尺帯状の幅方向中間部に横断面形状が円弧部23aで連続させた略W字状に蛇行する伸縮部23bを備えるとともに、幅方向両端部に平板状の碇着部23cが設けられてゴムや合成樹脂などの可撓性の弾性部材で構成され、必要に応じて補強層が一層ないし複数層埋設される。このような円弧部23aで連続させ、中間部を垂直方向に蛇行させた伸縮継手23とすることで、従来の水平方向に折り重ねた伸縮継手に比べ、伸縮部23bが変位などで伸張する場合に自重や摩擦などの影響を抑えてスムーズに伸張させることができ、伸縮継手23自体の損傷を防止することができる。また、伸縮継手23の内側の円弧部23aの曲率をできるだけ大きくすることで変位時の損傷を確実に抑えることができ、変位時に円弧部が伸長する場合の曲げ歪が100%を越えないようにしている。
【0065】
この固定構造20では、コンクリート構造物21、21の目地部22を跨ぐように伸縮継手23の碇着部23c、23cが配置されるが、コンクリート構造物21,21の目地部22には、段差部21a,21aが対向して溝状に形成され、伸縮継手23の伸縮部23bを収納する収納部25としてある。この収納部25により伸縮継手23の施工高さを抑えることができる。なお、収納部25の幅および深さは、伸縮継手23として必要な伸縮部23bの大きさによって定められる。また、伸縮継手の伸縮代によっては、コンクリート構造物21,21に形成する収納部25を省略することもでき、平坦な目地部22間に伸縮継手を設置しても良い。
【0066】
可撓性伸縮継手23は、コンクリート構造物21、21の目地部22上に必要に応じてポリエステルなどの補強布が敷かれ、その上に必要に応じてさらに止水材を介して伸縮継手23が設置され、この伸縮継手23の両側の碇着部23c、23cまでの上部全体を覆うように必要に応じて保護カバー26が設けられ、この保護カバー26にも伸縮に対応できる折り畳み部26aを設けてある。
【0067】
そして、この固定構造20では、可撓性伸縮継手23の碇着部23cに当てる押え部材27が用いられ、上方が開口した略コ字状でリップ溝型形状の横断面形状のもので構成され、例えば幅を50mm、高さを25mm、厚さを2mm、リップ幅を10mmとする。このリップ溝型形状の横断面形状により、幅50mm、厚さ16.7mmの平板状とする場合に比べ、同一の剛性を確保しながら、重量を1/3.73に軽量化することができる。
【0068】
なお、さらに剛性を上げる必要がある場合には、押え部材27の溝内に直方体状の補強部材や断面コ字状のC型鋼の補強部材などを介在させてアンカーボルトと干渉しない位置でボルトナットで固定したり、溶接などで固定することで、押え部材27が垂直壁面に配置される場合や天井壁面に配置される場合にもずれることなく、安定して補強することができる。
【0069】
このような押え部材27を用いる固定構造20では、押え部材27をアンカーボルト24で直接コンクリート構造物21、21に固定することなく、伸縮継手23の外側に植設するアンカーボルト24を介して固定部材28を締め付け、この固定部材28を介して押え部材27を固定する。
【0070】
この固定部材28は、アンカーボルトにて挿通固定される中間板状部28aを備えてアンカーボルト24用の取り付け穴28bが形成され,この中間板状部28aの両側を内側に曲げ起こすように曲げ加工して両側板部28c、28cが形成してある。これら両側板部28cのそれぞれの先端部に押え部材27を押える押えアーム部28dが突き出すように形成されるとともに、両側板部28cのそれぞれの基端部に中間板状部28aと空間を隔てて同一面をなしコンクリート構造物21に当接されるように内側に突き出した弾性当接部28fを一体に形成して構成してある。そして、この固定部材28では、押えアーム部28dの突き出し長さが押え部材27の溝幅と略同一の長さとされ、押えアーム部28dの先端部は押え部材27の外側と同一ないし内側に僅かに後退した状態してある。これにより、伸縮継手23が大きく変位しても固定部材28の先端部との干渉や損傷を防止できるようにしている。
【0071】
なお、固定部材28の押えアーム部28dの先端部を、図15(a)に示すように、押え部材27の内側に大きく後退させるようにしたり、同図(b)に示すように、天面部を大きな曲率の円弧状に切り欠くようにし、伸縮継手23が大きく変位しても固定部材28の先端部との干渉や損傷を一層確実に防止できるようにしてもよい。
【0072】
この固定部材28には、押えアーム部28dの下面に押え部材27の溝内に突き出して係止される係止突出部28eが形成してあり、係止突出部28eが押え部材27の溝幅と略同一大きさとされ、係止突出部28eの前後で係止できるようにしてある。
【0073】
また、この固定部材28では、中間板状部28aの下面から両側板部28cの押えアーム部28dの下面までの距離(側板部の高さに相当)をアンカーボルト24に締め付けたときに、押え部材27を介して伸縮継手23の碇着部23cをコンクリート構造物21に圧着するのに必要な面圧を発生できるように設定してある。
【0074】
さらに、この固定構造20では、可撓性の伸縮継手23の両端部の碇着部23cに、押え部材27を載置して固定部材28で締め付ける場合のずれを防止するため、碇着部23cに一対の突縁部23d、23dが形成され、一対の突縁部23d、23dの間隔を押え部材27の幅と略同一ないし狭くすることで、伸縮継手23の可撓性により押え部材27を挟圧し得るようにしてある。この固定構造20では、一対の突縁部23d、23dのうち一方が碇着部23cの外側に形成され上方に突き出す突縁部23dとされ、もう一方が伸縮部23bの外面と兼用してある。
これにより、一対の突縁部23d、23dで押え部材27を挟むようにしたり、さらに弾性力で挟むようにすることで、伸縮継手23に加わる力や変位に対する安定性を向上することができ、一層水圧などに強い構造とすることができる。
【0075】
このような可撓性伸縮継手23をコンクリート構造物21の天面部や側面部に取り付ける場合の仮固定治具30は、アンカーボルト24に固定される固定部本体31と、この固定部本体31に基端部が回動可能に設けられ先端部に可撓性伸縮継手23を押える押圧部32を備える押えアーム部33と、この押えアーム部33を回動操作して押圧部32による押圧状態を保持・開放する押圧保持開放手段34とを備えて構成してある。
【0076】
仮固定治具30の固定部本体31は、2枚の側板部31a,31aの中間部に中間板状部31bが仕切るように配置されて溶接などで取り付けてあり、この中間板状部31bにアンカーボルト24への固定部となる先端側が開口した挿着溝31cが形成され、アンカーボルト24のナットを外すことなく挿着できるようにしてある。そして、この固定部本体31の側板部31a,31aの先端面が可撓性伸縮継手23の設置幅を規制管理するのに利用され、碇着部23cを当てることで、可撓性のある可撓性伸縮継手23を所定幅に設置することができる。
【0077】
この固定本体部31の外側には、押えアーム部33が2本の略門型状のアーム部材33a,33aで構成され、各アーム部材33aの基端部がそれぞれピン33bなどで回動可能に取り付けてあり、押えアーム部33の2本のアーム部材33a,33aの先端部には、押圧部32が円柱状に形成されて両側のアーム部材33a,33aを連結するよう取り付けてある。このような略門型状のアーム部材33a,33aにより中間部に可撓性伸縮継手23を固定するための押え部材27を配置する空間を確保することができるようにしてある。
そして、このような押えアーム部33を回動して上方に退避させた状態から回動して下方に下ろすようにして可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに押圧部32を押し付けるようにすることで、仮固定状態にする。
【0078】
この仮固定状態を保持するため、押圧保持開放手段34としてトグルリンク機構35が用いられ、押えアーム部33のアーム部材33aの回動中心となるピン33bの上方に第1リンク35aの一端部がピン35bで回動可能に取り付けられるとともに、アーム部材33aの回動中心となるピン33bから固定本体部31の側板部31aの横方向に第2リンク35cの一端部がピン35dで回動可能に取り付けられ、これら3本のピン33b,ピン35b,ピン35dを結ぶと直角三角形となるように配置してある。そして、第1リンク35aの他端部と第2リンク35cの他端部とがピン35eで連結されるとともに、第1リンク35aと第2リンク35cが直線状となったときに直角三角形の斜辺を構成するようにしてあり、ピン35eを介して第1リンク35aと直角三角形の斜辺から斜めに突き出すように角度をなした一体の操作レバー35fが連結してある。
【0079】
したがって、操作レバー35fを押し下げるようにすることで、押えアーム部33を構成するアーム部材33a,33aを小さな力で上方に回動させることができる一方、操作レバー35fを押し下げることで、操作レバー35fのピン35eを第1リンク35aと第2リンク35cを一直線となる死点に位置させることで、押えアーム33の先端の押圧部32で可撓性伸縮継手23を押えた仮固定状態を外から力を作用させることなく保持することができる。
【0080】
次に、このような仮固定治具30を用いる可撓性進出継手23の仮固定方法および固定設置について天面部に仮固定する場合を示す図2,3により説明する。なお、図1の仮固定治具とは上下が反転することになり、反転状態を基準に説明する。
コンクリート構造物21の天面部の目地部22を挟む両側に、それぞれ所定のピッチでアンカーボルト24を植設する。
そして、アンカーボルト24の所定間隔ごと、例えば1本おきに仮固定治具30を取り付けるためナット24aをねじ込んでおき、中間板状部31bの挿着溝31cを利用してナット24aの上側に中間板状部31bを位置させた後、固定部本体31の側板部31a,31aの先端面が可撓性伸縮継手23の設置幅となるように位置決めしてナット24aで締め付けて固定する。そして、押えアーム部33を回動させて押圧部32がコンクリート構造物21表面から離れた開放状態となるように操作レバー35fを操作しておく。
このような仮固定治具30を目地部22を挟む天面部の両側の、例えば1本おきのアンカーボルト24に対してそれぞれに設置する。
【0081】
一方、仮固定治具30の間のアンカーボルト24には、本固定用の固定部材28を中間板状部28aの取り付け穴28bを介してナット24aで緩く取り付けておき、回動させることで可撓性伸縮継手23の設置面上から退避させておく。
【0082】
こうして天面部への可撓性伸縮継手の施工の準備を行った後、可撓性伸縮継手23を天面部に当てるとともに、碇着部23cの外側面を仮固定治具30の固定本体部31の両側板部31a,31aの先端面に当てた状態で、操作レバー35fを操作して押圧部32を伸縮部23bに当てて押圧状態にし、両側の仮固定治具30,30で仮固定状態を保持することを繰り返す。
【0083】
これにより、可撓性伸縮継手23は、伸縮部23bが押えられて仮固定状態となり、碇着部23cも内部の補強層などにより形状が保持され、コンクリート構造物21の天面部に沿って当てられた状態で保持される。
こうして複数箇所の仮固定治具30,30、…で仮固定状態としておき、仮固定治具30の押えアーム部33の略門型形状の空間を利用して可撓性伸縮継手23の碇着部23c上に押え部材27を当てるようにし、本固定用の固定部材28を回動して押えアーム部28dを当てた後、ナット24aを締め付けて本固定状態とする。
【0084】
このような本固定用の固定部材28による本固定を繰り返した後、仮固定治具30の操作レバー35fにより開放状態とし、アンカーボルト24から取り外し、仮固定治具30が取り外されたアンカーボルト24に本固定用の固定部材28を取り付けて本固定状態にすることを繰り返し、可撓性伸縮継手23の取り付けが完了する。
【0085】
このような可撓性伸縮継手の仮固定方法および仮固定治具30によれば、アンカーボルト24に固定した固定本体部31に取り付けた押えアーム部33を回動して先端押圧部32を当てて可撓性伸縮継手23を押え、この状態を保持することで、仮固定状態にすることができ、天井部や側面部に対して、アンカーボルト24で直接固定しない可撓性伸縮継手23であっても、簡単に仮固定することができ、作業効率良く施工することができる。また、固定本体部31に当てることや固定位置を規準とすることにより伸縮継手23の設置幅を規制管理することができる。
【0086】
また、押えアーム部33を、碇着部23cに当てる押え部材27の設置スペースを考慮した形状とすることで、本固定のための作業の邪魔にならず仮固定から円滑に所定の本固定状態にすることができる。
【0087】
さらに、押えアーム部33による押圧状態をトグルリンク機構35で保持することができ、仮固定が簡単にできるとともに、設置後の開放も操作レバー35fの操作で簡単に行うことができる。
【0088】
また、この可撓性伸縮継手の仮固定治具30によれば、押えアーム部33を、2本のアーム部材33a,33aで構成し、これらアーム部材33a,33aの先端のそれぞれに両内側に突き出して連結した押圧部32を設けたので、仮固定する押圧部32の面積を増大でき、一層確実に仮固定することができる。
【0089】
次に、仮固定治具の他の実施の形態について、図4により説明する。
この仮固定治具40は、軽量化および構造の簡素化を図ったものであり、固定部本体41は、金属板を曲げ加工して略コ字状に形成され、上板部41aと底板部41bとが連結板41cで連結され、上板部41aおよび底板部41bにアンカーボルト24への挿着溝41dが形成してあり、アンカーボルト24およびナット24aの間に差し込むように挿着して固定できるようにしてある。
【0090】
この固定部本体41の底板部41bの先端部(挿着溝41dの開口側)には、上方に折り曲げた幅規制部41eが形成してあり、可撓性伸縮継手23の碇着部23cを当てることで、設置幅を規制管理することができるようにしてある。
【0091】
この仮固定治具40では、先端部に押圧部42を備えた押えアーム部43は押圧保持開放手段44を構成するばね機構45のばね本体45aと一体に構成され、固定部本体41の底板部41bの延長部41fに弦巻ばねのばね本体45aが溶接などで取り付けられ、ばね本体45aの両側のばね材45bが略門型状に形成されて押えアーム部43とされ、ばね材45bの先端部が外側に折り曲げられて押圧部42としてある。
【0092】
そして、弦巻ばねのばね本体45aの付勢力により、押えアーム部43の先端の押圧部42が自然状態では水平面より下方に位置するようにしてあり、水平面に位置した状態で可撓性伸縮継手23を仮固定できる付勢力を作用させることができるようにしてある。
これにより、押えアーム部43構成部材と押圧保持開放手段44のばね機構45とが兼用されて構成され、構造の簡素化および軽量化を図っている。
【0093】
また、この、仮固定治具40には固定部本体41の底板部41bの両端から略四角形状の取手46が押えアーム部43を取り囲むように取り付けてある。
【0094】
このように構成した仮固定治具40では、固定部本体41の挿着溝41dをアンカーボルト24のナット24aとコンクリート構造物21との間に差し込んで取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bの端部を押えるように押えアーム部43をばね機構45に抗して回動させた状態とした後、ばね力が作用するように放すことで先端の押圧部42で伸縮部23bを押えることができ、仮固定状態を保持することができる。
なお、押えアーム部43をばねに抗してセットし、開放する以外は、既に説明した仮固定治具30と同様に使用して可撓性伸縮継手23を天面部や側面部に簡単に仮固定することができるとともに、開放して取り外すことができる。
【0095】
この可撓性伸縮継手の仮固定治具40によれば、押えアーム部43を押圧保持開放する手段44をばねなどの付勢力を用いる付勢手段45とすることで、締付け力などを必要とせず、簡単に仮固定状態を保持できるとともに、仮固定や開放も付勢力に抗して操作することで簡単に行うことができる。
なお、他の作用・効果については、すでに説明した仮固定治具30と同様である。
【0096】
次に、仮固定治具のさらに他の実施の形態について、図5により説明する。
この仮固定治具50は、構造の一層の簡素化を図ったもので、押圧保持解放手段を省略し、アンカーボルト24への取り付けによって押圧状態を保持して仮固定するものである。
この仮固定治具50では、アンカーボルト24に固定される固定部本体51を備えており、この固定部本体51は、アンカーボルト24側とは反対側が開口した略コ字状に形成され、両側板部51a、51aが連結板部51bで連結され、連結板部51bにアンカーボルト24への挿着穴が形成してあり、ナット24aを外したアンカーボルト24に挿着してナット24aで再固定することで取り付けられるようにしてある。
この固定部本体51の前縁部に、可撓性伸縮継手23の碇着部23cを当てることで、可撓性伸縮継手23の設置幅を規制管理することができる。
【0097】
なお、固定部本体51の連結板部51bの挿着穴に代えて開口を備えた挿着溝としてアンカーボルト24およびナット24aの間に差し込むことができるようにし、差し込んで挿着固定することで、ナットの着脱の必要をなくすことができるようにしてもよい。
【0098】
この固定部本体51の両側板部51a.51aには、前方に突き出して先端部に押圧部52を備えた押えアーム部53が2本のアーム板53a,53aが溶接などで一体に取り付けてあり、2本のアーム板53a,53aを連結する押圧部52を可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに当てることで、仮固定状態にできるようにしてある。
【0099】
このように構成した仮固定治具50では、固定部本体51の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bを押えるように押えアーム部53の押圧部52を当てて固定部本体51をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、仮固定状態を保持することができ、アンカーボルト24から仮固定治具50を取り外すことで仮固定を開放することができる。
これにより、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができ、可撓性伸縮継手を当てることで、その位置決めを行うことができる。
【0100】
次に、仮固定治具の他の実施の形態について、図6により説明する。
この仮固定治具50Aは、上記の仮固定治具50において可撓性伸縮継手の厚みの変化に柔軟に対応できるようにしたものであり、固定部本体51の両側板部51a,51aと、押えアーム部53の2本のアーム板53a,53aとの間のいずれか一方に長孔54を形成し、他方にボルト穴55を形成して固定位置を調整して取りつけることができるようにする。
この仮固定治具50Aでは、固定部本体51の両側板部53a,53aに長孔54を形成し、押えアーム部53のアーム板53a,53aにはボルト穴55を形成してある。
なお、他の構成は、すでに説明した仮固定治具50と同一であるので、同一部分には、同一記号を記し、その説明は省略する。
【0101】
このように構成した仮固定治具50Aでは、予め可撓性伸縮継手23の伸縮部23bの厚みに応じて固定部本体51に対する押えアーム部53の先端部の押圧部52の位置を調整して長孔54とボルト穴55のボルトナット56で固定しておく。この後、固定部本体51の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bを押えるように押えアーム部53の押圧部52を当てて固定部本体51をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、仮固定状態を保持し、アンカーボルト24から仮固定治具50を取り外すことで仮固定を開放する。
これにより、可撓性伸縮継手23の厚みの変化に柔軟に対応できるとともに、すでに説明した仮固定治具50と同様に、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができるとともに、可撓性伸縮継手の位置決めを行うことができる。
【0102】
次に、仮固定治具のさらに他の実施の形態について、図7により説明する。
この仮固定治具50Bは、上記の仮固定治具50において可撓性伸縮継手の厚みの変化に柔軟に対応できるようにしたものであり、上記仮固定治具50Aにおけるボルトナットによる位置調整を簡素化したものである。
この仮固定治具50Bでは、固定部本体51の両側板部51a,51aと、押えアーム部53の2本のアーム板53a,53aとの間のいずれか一方に複数の穴として角穴57を形成し、他方にこれらの角穴57のいずれかに嵌合できる角状の突起部58を形成して互いを嵌合することで、固定位置を調整して取りつけることができるようにしてある。
この仮固定治具50Bでは、固定部本体51の両側板部53a,53aに角穴57を形成し、押えアーム部53のアーム板53a,53aには角状の突起部58を形成してある。
なお、他の構成は、すでに説明した仮固定治具50、50Aと同一であるので、同一部分には、同一記号を記し、その説明は省略する。
【0103】
このように構成した仮固定治具50Bでは、予め可撓性伸縮継手23の伸縮部23bの厚みに応じて固定部本体51に対する押えアーム部53の先端部の押圧部52の位置を調整して角穴57と角状の突起部58で固定しておく。
この後、固定部本体51の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bを押えるように押えアーム部53の押圧部52を当てて固定部本体51をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、仮固定状態を保持し、アンカーボルト24から仮固定治具50Bを取り外すことで仮固定を開放する。
これにより、可撓性伸縮継手23の厚みの変化に柔軟に対応できるとともに、角穴57と角状の突起部58とを嵌合するだけで固定位置を調整することができ、一層簡単に位置調整することができる。また、すでに説明した仮固定治具50と同様に、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができるとともに、可撓性伸縮継手の位置決めを行うことができる。
【0104】
なお、角状の突起部58を1つ形成して一つの角穴57に嵌合する場合に限らず、角状の突起部58を複数形成し、同時に複数の角穴57に嵌合することで固定するようにしても良く、一層強固に固定することができる。
【0105】
次に、仮固定治具の他の実施の形態について、図8により説明する。
この仮固定治具50Cは、上記の仮固定治具50において可撓性伸縮継手の厚みの変化に柔軟に対応できるようにしたものであり、上記仮固定治具50A、50Bにおけるボルトナットや角穴と突起部との嵌合による位置調整に比べ、何ら操作を必要とせずに対応できるようにしたものである。
この仮固定治具50Cでは、固定部本体51が平板状とされ、アンカーボルト24の挿着穴(あるいは挿着溝)が設けてあり、先端部に押圧部52を備える押えアーム部53がL字状に形成されて押圧部52に突き出すようになっている。そして、固定部本体51と押えアーム部53との間にばね59として圧縮コイルばねが配置され、固定部本体51とばね59の一端部とが溶接などで固定されるとともに、押えアーム部53とばね59の他端部とが溶接などで固定され、ばね59を介して固定部本体51と押えアーム部53とが連結されている。
また、この仮固定治具50Cでは、ばね59で連結された押えアーム部53のばね伸縮方向以外の動きを規制するため、固定部本体51にガイドロッド59aを溶接などで固定し、このガイドロッド59aが挿通されるガイド穴59bを押えアーム部53に形成することで、押えアーム部53の傾きを規制できるようにしてある。なお、ガイド穴に代えてガイド筒を押えアーム部53に溶接などで取り付けてガイドロッド59aに沿って摺動させてガイドするようにしても良く、一層確実に傾きなどを規制することができる。
【0106】
このように構成した仮固定治具50Cでは、固定部本体51の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに押えアーム部53の押圧部52が当たるように配置して固定部本体51をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、可撓性伸縮継手23の仮固定状態を保持し、アンカーボルト24から仮固定治具50Cを取り外すことで仮固定を開放する。
これにより、ばね59により予め可撓性伸縮継手23の伸縮部23bの厚みに応じて固定部本体51に対する押えアーム部53の先端部の押圧部52の位置を調整することなく可撓性伸縮継手23の厚みの変化に柔軟に対応できる。
また、すでに説明した仮固定治具50などと同様に、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができるとともに、固定部本体51の前縁部で可撓性伸縮継手の位置決めを行うことができる。
【0107】
なお、図示例では、アンカーボルト24の挿着穴の前方にばね59を配置するようにしたが、挿着穴の後方にばねを配置するようにしても良く、アンカーボルトの位置と可撓性伸縮継手の碇着部との間隔などに応じて適宜決定すればよい。
【0108】
次に、仮固定治具のさらに他の実施の形態について、図9により説明する。
この仮固定治具60は、既に説明した仮固定治具では、可撓性伸縮継手の一方側のアンカーボルトを利用して片持ち状態で可撓性伸縮継手を仮固定するようにしていたが、可撓性伸縮継手を挟む両側のアンカーボルトを利用して仮固定状態にするものであり、構造の簡素化を図るため押圧保持解放手段を省略し、アンカーボルト24への取り付けだけで押圧状態を保持して仮固定するものである。
この仮固定治具60では、アンカーボルト24に固定される固定部本体61を備えており、この固定部本体61は可撓性伸縮継手23を跨ぐ門型とされ、両端部の支柱部61a,61aと、これらを連結する連結部61bとが一体とされている。これら支柱部61a、61aはL字状に形成されてアンカーボルト24への挿着穴(あるいは、挿着溝)が形成され、アンカーボルト24に挿着して固定できるようにしてある。また、連結部61bの中央部には、可撓性伸縮継手23側に突き出して一体に押圧部62が設けられており、固定部本体61の支柱部61a,61aをアンカーボルト24に固定した状態で、押圧部62で可撓性伸縮継手23の伸縮部23bを押えて仮固定できる突き出し量としてある。
【0109】
このように構成した仮固定治具60では、固定部本体61の両支柱部61a,61aの挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24にそれぞれ取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに連結部61bの中央の押圧部62を当てて固定部本体61をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、可撓性伸縮継手23を仮固定状態を保持することができ、アンカーボルト24から仮固定治具60を取り外すことで、可撓性伸縮継手23の仮固定を開放することができる。
これにより、門型の固定部本体61で確実に可撓性伸縮継手23を仮固定状態に保持できるとともに、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができ、固定部本体61の前縁部に可撓性伸縮継手23の碇着部23c,23cを当てることで、両側で同時にその位置決めを行うことができる。
【0110】
次に、仮固定治具の他の実施の形態について、図10(a)、(b)により説明する。
この仮固定治具60A,60Bは、既に説明した上記の仮固定治具60において可撓性伸縮継手の厚みの変化に柔軟に対応できるようにしたものであり、(a)では、固定部本体61の支柱部61a,61aと連結部61bとの間、あるいは、(b)では、連結部61bと押圧部62との間で、いずれか一方に長孔64を形成し、他方にボルト穴65を形成して押圧部62の固定位置を調整してボルトナット66で固定できるようにしてある。
この仮固定治具60Aでは、固定部本体61の両支柱部61a,61aに長孔64を形成し、連結部61bにボルト穴65を形成してある。
なお、他の構成は、すでに説明した仮固定治具60と同一であるので、同一部分には、同一記号を記し、その説明は省略する。
また、この仮固定治具60Bでは、固定部本体61の連結部61bに長孔64を形成し、押圧部62にボルト穴65を形成してある。
なお、他の構成は、すでに説明した仮固定治具60と同一であるので、同一部分には、同一記号を記し、その説明は省略する。
【0111】
このように構成した仮固定治具60A,60Bでは、予め可撓性伸縮継手23の伸縮部23bの厚みに応じて、固定部本体61の支柱部61a,61aをアンカーボルト24に固定した状態で、押圧部62が可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに当たって仮固定できる突き出し量となるように長孔64とボルト穴65のボルトナット66で固定しておく。この後、固定部本体61の両支柱部61a,61aの挿着穴を、ナット24aを取り外したアンカーボルト24にそれぞれ取り付け、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bに連結部61bの中央の位置調整した押圧部62を当てて固定部本体61をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、可撓性伸縮継手23を仮固定状態に保持する一方、アンカーボルト24から仮固定治具60A,60Bを取り外すことで、可撓性伸縮継手23の仮固定を開放することができる。
これにより、可撓性伸縮継手23の厚みの変化に柔軟に対応できるとともに、すでに説明した仮固定治具60と同様に、門型の固定部本体61で確実に可撓性伸縮継手23を仮固定状態に保持できるとともに、押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができ、固定部本体61の前縁部に可撓性伸縮継手23の碇着部23c,23cを当てることで、両側で同時にその位置決めを行うことができる。
【0112】
次に、仮固定治具のさらに他の実施の形態について、図11により説明する。
この仮固定治具70は、アンカーボルトへの固定と可撓性伸縮継手の仮固定とを別工程で行うことができるようにしたものであり、予め仮固定治具を設置した後、可撓性伸縮継手をアンカーボルトと平行な軸回りの回動操作で押えて仮固定できるようにしている。
この仮固定治具70では、固定部本体71が平板状とされ、アンカーボルト24の挿着穴(あるいは挿着溝)が設けてあり、先端部に押圧部72を備える押えアーム部73がL字状に形成されて押圧部72が突き出すようになっている。
そして、固定部本体71のアンカーボルトの挿着穴の後方にアンカーボルト24と平行なねじ部材としてねじ軸74が溶接などで固定部本体71から突き出すように取り付けてあり、このねじ軸74にねじ込まれた上下2つのナット75の間に押えアーム部73が装着されて回動可能に取り付けてある。なお、ねじ軸74に取り付ける上下2つのナットのうち、内側(固定部本体側)のナットを可撓性伸縮継手の厚みに対応して移動するのに代え、溶接などでナットなどを固定した固定台としても良い。
また、この仮固定治具70では、回動可能とされた押えアーム部73の基端部に、回動操作用のハンドル部76が溶接などで延長され、端部に操作部77が設けてある。なお、押えアーム部73とハンドル部76を別部材として溶接などで取り付けるほか、一つの部材で一体としても良い。
【0113】
このように構成した仮固定治具70では、固定部本体71の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、再びナット24aで締め付けることで固定するが、この状態では、押えアーム部73の押圧部72が可撓性伸縮継手23の伸縮部23b上から退避した状態となるようにねじ軸74を中心に回動させておく。
この後、可撓性伸縮継手23を目地部に配置した時、伸縮部23bに押えアーム部73の押圧部72が当たるようにハンドル部76の操作部77で回動操作し、可撓性伸縮継手23を押えて仮固定状態を保持する。一方、アンカーボルト24から仮固定治具70の押えアーム部73を退避させるように回動操作して仮固定を開放し、この後、アンカーボルト24から固定部本体71を取り外すことで仮固定治具70の撤去が終了する。
これにより、ハンドル部76および操作部77による回動操作で簡単に可撓性伸縮継手23の仮固定と開放ができ、仮固定状態の保持のための機構もねじ軸74とナット75で構成でき、複雑な機構の押圧保持開放手段を必要とせず、構造の簡素化を図ることができ、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができるとともに、固定部本体71の前縁部で可撓性伸縮継手の位置決めを行うことができる。
【0114】
なお、図示例では、アンカーボルト24の挿着穴の後方にねじ軸74を配置するようにしたが、挿着穴の前方にねじ軸を配置するようにしても良く、アンカーボルトの位置と可撓性伸縮継手の碇着部との間隔などに応じて適宜決定すればよい。
【0115】
次に、仮固定治具の他の実施の形態について、図12により説明する。
この仮固定治具80は、これまでの仮固定治具では、可撓性伸縮継手23の伸縮部23bを押えることで仮固定状態とするのに代え、端縁部の碇着部23cを押えて仮固定状態にするもので、一層の軽量化および簡素化を図ったもので、押圧保持解放手段を省略し、アンカーボルト24への取り付けによって押圧状態を保持して仮固定するものである。
この仮固定治具80では、アンカーボルト24に固定される固定部本体81を備えており、この固定部本体81は、アンカーボルト24側とは反対側が開口した略コ字状に形成され、両側板部81a、81aが連結板部81bで連結され、連結板部81bにアンカーボルト24への挿着穴が形成してあり、ナット24aを外したアンカーボルト24に挿着してナット24aで再固定することで取り付けられるようにしてある。
この固定部本体81の前縁部に、可撓性伸縮継手23の碇着部23cを当てることで、可撓性伸縮継手23の設置幅を規制管理することができる。
【0116】
なお、固定部本体81の連結板部81bの挿着穴に代えて開口を備えた挿着溝としてアンカーボルト24およびナット24aの間に差し込むことができるようにし、差し込んで挿着固定することで、ナットの着脱の必要をなくすことができるようにしてもよい。
【0117】
この固定部本体81の両側板部81a、81aには、前方に突き出して先端部に押圧部82を備えた押えアーム部83が2本のアーム板83a,83aが溶接などで一体に取り付けてあり、2本のアーム板83a,83aを連結する押圧部82を可撓性伸縮継手23の碇着部23cに当てることで、仮固定状態にできるようにしてある。
【0118】
このように構成した仮固定治具80では、固定部本体81の挿着穴をナット24aを取り外したアンカーボルト24に取り付け、可撓性伸縮継手23の碇着部23cを押えるように押えアーム部83の押圧部82を当てて固定部本体81をアンカーボルト24にナット24aで締め付けることで、仮固定状態を保持することができ、アンカーボルト24から仮固定治具80を取り外すことで仮固定を開放することができる。
これにより、押えアーム部83の突き出し量を短くすることができ、軽量化および簡素化を図ることができるとともに、押圧保持開放手段を必要とせず、従来の紐などを用いて仮固定する場合に比べ、効率よく作業することができ、可撓性伸縮継手を当てることで、その位置決めを行うことができる。
【0119】
なお、上記実施の形態では、可撓性の伸縮継手として中間部に伸縮部として略Ω上に折り畳んだ伸縮部を備えた可撓性の伸縮継手を例に説明したが、これに限らず、伸縮部を3つや5つの円弧部で連続する略W字状の横断面形状のものなど他の横断面形状の可撓性の伸縮継手に対しても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
30 仮固定治具
31 固定部本体
31a 側板部
31b 中間板状部
31c 挿着溝
32 押圧部
33 押えアーム部
33a アーム部材
33b ピン
34 押圧保持開放手段
35 トグルリンク機構
35a 第1リンク
35b ピン
35c 第2リンク
35d ピン
35e ピン
35f 操作レバー
40 仮固定治具
41 固定部本体
41a 上板部
41b 底板部
41c 連結板
41d 挿着溝
41e 幅規制部
41f 延長部
42 押圧部
43 押えアーム部
44 押圧保持開放手段
45 ばね機構
45a ばね本体
45b ばね材
46 取手
50 仮固定治具
51 固定部本体
51a 側板部
51b 連結板部
52 押圧部
53 押えアーム部
53a アーム板
50A 仮固定治具
51 固定部本体
52 押圧部
53 押えアーム部
54 長孔
55 ボルト穴
56 ボルトナット
50B 仮固定治具
51 固定部本体
52 押圧部
53 押えアーム部
57 角穴
58 角状の突起部
50C 仮固定治具
51 固定部本体
52 押圧部
53 押えアーム部
59 ばね
59a ガイドロッド
59b ガイド穴
60 仮固定治具
61 固定部本体
61a 支柱部
61b 連結部
62 押圧部
60A 仮固定治具
61 固定部本体
61a 支柱部
61b 連結部
62 押圧部
64 長孔
65 ボルト穴
66 ボルトナット
60B 仮固定治具
61 固定部本体
61a 支柱部
61b 連結部
62 押圧部
64 長孔
65 ボルト穴
66 ボルトナット
70 仮固定治具
71 固定部本体
72 押圧部
73 押えアーム部
74 ねじ軸(ねじ部材)
55 ナット
76 ハンドル部
77 操作部
80 仮固定治具
81 固定部本体
81a 側板部
81b 連結板部
82 押圧部
83 押えアーム部
83a アーム板
20 コンクリート構造物用伸縮継手の固定構造(固定構造)
21 コンクリート構造物
22 目地部
23 可撓性の伸縮継手
23a 円弧部
23b 伸縮部
23c 碇着部
23d 突縁部
24 アンカーボルト
24a ナット
25 収納部
26 保護カバー
26a 折り畳み部
27 押え部材
27a 補強部材
27b 補強部材
27c ボルトナット
28 固定部材
28a 中間板状部
28b 取り付け穴
28c 両側板部
28d 押えアーム部
28e 係止突出部
28f 弾性当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に回動可能に設けられた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項2】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けた押えアーム部の先端押圧部を前記可撓性伸縮継手に当てて押えるとともに、この押えアーム部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項3】
前記押えアーム部は、前記押え部材を設置するための空間をあけて先端押圧部で前記可撓性伸縮継手を押えるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項4】
前記押えアーム部による押圧状態の保持をトグルリンク機構またはばねによる付勢手段で行うようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項5】
前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に構成してアンカーボルトに固定するようにしたことを特徴とする請求項2記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項6】
前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成するようにし、押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とする請求項5記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項7】
前記固定部本体に固定した前記押えアームで前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定するようにしたことを特徴とする請求項2記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項8】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体と押えアームとをばねで傾動および上下に可動に連結し、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項9】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに前記可撓性伸縮継手を跨ぐ門型に構成した支柱部と連結部とを備えた固定部本体の両端支柱部を固定し、この固定部本体の連結部から突き出した押え部で当該可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項10】
前記固定部本体の支柱部をL字状に構成するとともに、この支柱部または連結部のいずれか一方に形成した長孔に前記連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とする請求項9記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項11】
前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定するようにしたことを特徴とする請求項9記載の可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項12】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手を仮固定するに際し、
前記アンカーボルトに固定部本体を固定し、この固定部本体に設けたねじ部材に押えアームを前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設け、この押えアームに取り付けたハンドルで当該押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定するようにしたことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定方法。
【請求項13】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が回動可能に設けられ先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部と、この押えアーム部を回動操作して押圧部による押圧状態を保持・開放する押圧保持開放手段とを備えてなることを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項14】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に基端部が固定され先端部に前記可撓性伸縮継手を押える押圧部を備える押えアーム部とを備えてなることを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項15】
前記押えアーム部は、前記碇着部を押える前記押え部材を跨いで前記可撓性伸縮継手を押える空間を備えた略門型形状に形成したことを特徴とする請求項13または14記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項16】
前記押圧保持開放手段を、トグルリンク機構で構成し操作レバーの回動操作で押圧状態と開放とを操作可能としたことを特徴とする請求項13または15記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項17】
前記押圧保持開放手段を、前記押えアーム部を押圧方向に付勢する付勢手段で構成し、付勢力で押圧状態を保持するとともに、付勢力に抗して開放操作可能としたことを特徴とする請求項13または15記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項18】
前記押えアーム部を、2本のアーム部材で構成し、これらアーム部材の先端のそれぞれに両内側または両外側に突き出して前記押圧部を設けたことを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項19】
前記固定部本体を、反アンカーボルト側が開口したコ字状に形成してアンカーボルトに固定可能に構成したことを特徴とする請求項14記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項20】
前記固定部本体の開口部の両側または押えアームの両側のいずれか一方に長孔または複数の孔を形成し、これら長孔または複数の穴に当該押えアームの位置を可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整可能に構成したことを特徴とする請求項19記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項21】
前記固定部本体に固定した前記押えアームを、前記可撓性伸縮継手の側端部を押圧して仮固定可能に構成したことを特徴とする請求項14記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項22】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体にばねで傾動および上下に可動に連結された押えアームとを備えて構成され、当該押えアームの先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定することを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項23】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記可撓性伸縮継手を跨ぐ一対の前記アンカーボルト間に固定される支柱部およびこれら支柱部に連結される連結部とを備えた門型の固定部本体と、この固定部本体の連結部から突き出した押え部とを備えて構成され、当該押え部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定することを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項24】
前記固定部本体の支柱部をL字状に形成するとともに、この支柱部または前記連結部のいずれか一方に長孔を形成して当該連結部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したことを特徴とする請求項23記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項25】
前記固定部本体の連結部と前記押え部とのいずれか一方に形成した長孔に前記押え部の位置を前記可撓性伸縮継手の厚みに応じて調整して固定可能に構成したことを特徴とする請求項23記載の可撓性伸縮継手の仮固定用治具。
【請求項26】
コンクリート構造物間の目地部に跨って配置される可撓性の伸縮継手の両端縁部の碇着部を、押え部材を介してアンカーボルトに固定される固定部材で押えて取り付ける可撓性伸縮継手の仮固定用治具であって、
前記アンカーボルトに固定される固定部本体と、この固定部本体に設けたねじ部材に前記アンカーボルトと平行な軸周りに回動可能に設けられる押えアームと、この押えアームに取り付けたハンドルとを備え、このハンドルで前記押えアームを回動してその先端部で前記可撓性伸縮継手を押えるとともに、この押え部による押圧状態を保持して仮固定可能に構成したことを特徴とする可撓性伸縮継手の仮固定用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−36263(P2013−36263A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174521(P2011−174521)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000196624)西武ポリマ化成株式会社 (60)
【Fターム(参考)】