説明

可撓性膜状太陽電池複層体

【課題】導電部の吸湿を防止して発電出力量の低下を防止し得る可撓・防水性膜状太陽電池複層体の提供。
【解決手段】可撓・防水支持膜材5上に、太陽電池層1を接合し、可撓・接着性樹脂層9及び可撓性表面保護フィルム層10を、順次太陽電池層上を被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記支持膜材5上に接合させて、太陽電池層を密封し、太陽電池層中の陽・陰両極導電部を導電部防湿層により、直接に、又は前記樹脂層9を介して間接的に被覆し、必要により、前記樹脂層9とフィルム層10との間に、架橋性樹脂層6を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性膜状太陽電池複層体に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は可撓性太陽電池セルを含み、防湿・防水性に優れた可撓性膜状太陽電池複層体に関するものである。本発明の可撓性膜状太陽電池複層体は、巻き上げ或は屈曲させて、運搬又は収納を要する、大型テント構造物、テント倉庫、日除テント、屋形テント、農業用ハウス、トラック幌、ブラインドなどの構成部材として有用なものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池はそのエネルギー源が太陽であるために、無尽蔵で、化石エネルギーのようにエネルギー源が枯渇することもないので、環境負荷ゼロという地球温暖化防止への貢献度の最も高いクリーンエネルギーとして期待されている。また、アモルファスシリコン太陽電池は、薄型、かつ軽量にすることができ、製造コストが安く、大面積化が容易であるなどの利点を有しているので、今後の太陽電池の主流となると考えられる。
従来の太陽電池にはガラス基板が用いられていたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチックフィルムまたは金属フィルムなどを基板として用いたフレキシブルタイプの太陽電池は、そのフレキシビリティを生かしたロールツーロール方式の製造方法により大量生産が可能である。
従来の太陽電池の建造物への利用については、単結晶シリコンや多結晶シリコンの太陽電池を屋根面に置く屋根置き型であり、屋根面に支持架台を設け、それに太陽電池を固定支持する方法であるが、近年では、直接屋根に組み込む方法が採られつつある。しかしながら、いずれもガラス基板で構成されたモジュールを使用しているため作業性、施工性に難点があるのが実情であった。
【0003】
一方では、屋根防水シートと言われる加硫ゴム系、塩化ビニル系やアスファルト系非加硫ゴム等の高分子シートの上面にフィルム状のフレキシブルタイプの太陽電池を一体化することにより上記の課題が解決されつつある。しかし、所望のフレキシビリティを得ようとすると、太陽電池の発電素子を保護する材料が有機材料に限定されてしまうという欠点がある。その結果、防湿性、耐候性、密着性、等の低下を引き起こし、太陽電池の寿命を縮めてしまうことがある。それを改善するための表面保護材料として、フッ素樹脂フィルムの表面に珪素酸化物薄膜が形成されたシートが提案されている。(例えば、特許文献1)また、透明なポリクロロトリフルオロエチレン樹脂フィルムを表面保護フィルムとして使用することが提案されている。(例えば、特許文献2)
有機材料を利用して、防湿性を高める方法として種々検討されているが、所望のフレキシビリティを有する太陽電池セルと一体化した膜材については、耐久性の面で未だ不十分であるのが現状である。
【0004】
太陽電池の発電出力を低下させる原因は色々あるが、特に、下記の要因が大きい。
(1)電極部の吸湿:
電極部が吸湿することにより、抵抗値が増大し、それに伴い最大出力動作電圧も低下する。結果、発電出力が低下するものである。
太陽電池モジュールは少なくとも1単位以上の太陽電池セルを配列して構成されているので、各太陽電池セルの陽極部、陰極部それぞれの線状の集電電極を接続する必要がある。そのためには、導電性粘着剤付き導線を集電電極上に貼り付けて、出力用導線とすることができる。
したがって、導電性粘着剤の粘着剤層への吸湿が、電極部の抵抗値を増大させ、結果発電出力の低下をもたらすため改善が必要であった。
(2)可撓性表面保護フィルム層からの吸湿:
太陽電池セルへの吸湿を防止するために、接着性樹脂を介して表面保護フィルムで被覆しているのが一般的であるが、耐湿性試験、及び耐候性試験等の耐久性試験後の層間界面の密着性が低下し、その部分からの吸湿により、発電出力が低下するものである。
したがって、特に、表面保護フィルム層と防水性膜材との密着耐久性の改善が必要であった。
【特許文献1】特開平10−308521号公報
【特許文献2】特開2006−100527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の可撓性膜状太陽電池構造体の上記問題点を解決し、実用上十分な可撓性を有し、かつ耐久性が高く、電極部分における吸湿がなく、又は少なく、しかも、吸湿防止構造の密着耐久性が高い可撓性膜状太陽電池積層体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体は、可撓・防水性支持膜材5と、
この可撓・防水性支持膜材の周縁部を残して、その内側部上に配置され接合されている太陽電池層1と、
前記太陽電池層の全表面を被覆し、さらにその外側に連続して伸び出て、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部上に接合している可撓性表面保護フィルム層10と、
前記可撓性表面保護フィルム層に、それにより被覆されている前記太陽電池層の全表面及び、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部を接着している可撓・接着性樹脂層9と
を含み、
前記太陽電池層1が、1個以上の可撓性太陽電池モジュール1Aを含み、
前記太陽電池モジュール1の各々が、1個以上の太陽電池セル1aと、1個の集電コネクタ1bとを含み、
前記集電コネクタ1bには、1対をなす陽極集電電極3及び陰極集電電極4が配置されており、
前記太陽電池セル1aは、陽極導電部7aを介して、前記陽極集電電極に連結され、かつ陰極導電部7bを介して前記陰極集電電極に連結されており、かつ
少なくとも前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bが、導電部防湿層8によって、直接に、又は前記可撓・接着樹脂層9を介して間接的に、被覆されている
ことを特徴とするものである。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記導電部防湿層8が、金属蒸着ポリエステルフィルム、金属層と絶縁性樹脂フィルムとの積層フィルム及び金属酸化物蒸着ポリエステルフィルムから選ばれた1種以上により形成されていることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記可撓性表面保護フィルム層10が、前記太陽電池層の全表面積の120〜200%の面積を有し、かつ前記太陽電池層を被覆している前記可撓性接着性樹脂層を完全に被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合していることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記可撓性表面保護フィルム層10が、少なくとも1層の透明フッ素含有樹脂フィルムと、透明性金属酸化物蒸着ポリエステルフィルムと、これらを互に接合する紫外線遮断性接着剤層とを含むことが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記可撓・接着性樹脂層9が、架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋生成樹脂からなるフィルムにより形成され、前記太陽電池層の少なくとも表面側の全表面積を被覆し、さらに、かつその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合していることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記可撓・接着性樹脂層9が、さらに前記太陽電池層1と、前記可撓・防水性支持膜材5との間に伸び出て、前記太陽電池層の裏面側と、前記可撓・防水性支持膜材とを接着していることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記太陽電池層1が、複数の可撓性太陽電池モジュール1Aを含み、これらの可撓性太陽電池モジュールがそれぞれ他から離間して、前記可撓・防水性支持膜材5の内側部上に配置・接合されており、前記可撓性表面保護フィルム層が、各可撓性太陽電池モジュールを被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合されていることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bのそれぞれが、前記導電部防湿層8により、直接被覆されていることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bを直接被覆している導電部防湿層8が、前記可撓・接着性樹脂層9と、前記太陽電池層1及び前記可動・防水性支持膜材5のそれぞれとの間にさらに伸び出ている導電部防湿層延長部分8f,8gを有することが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記導電部防湿層8が、前記可撓・接着性樹脂層9と、前記可撓性表面保護フィルム層10との間に、配置され、それによって前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bが、前記可撓・接着性樹脂層9を介して間接的に被覆されていることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記可撓性表面保護フィルム層10と、前記可撓・接着性樹脂層9及び可撓・防水性支持膜材の周辺部5aのそれぞれとの接合が、架橋性接着樹脂層6を介してなされていることが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記架橋性接着樹脂層6が、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、及びカップリング剤化合物から選ばれた1種以上の架橋材の硬化物を含むことが好ましい。
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、前記架橋性接着剤樹脂層6が、1級アミノ基を含有するアクリル系樹脂、又は水酸基及びカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン−ビニル共重合体樹脂のいずれか1種を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の可撓性膜状太陽電池積層体は、実用上十分な可撓性を有し、さらに高温高湿度環境下で使用した場合及び長期間屋外で使用した場合においても、出力用導線部分に吸湿することがなく、また、太陽電池セルのその他の発電素子への吸湿を防止することができるため、発電出力低下を防止する効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の、可撓性膜状太陽電池複層体は、図1(A),(B)に示されているように、可撓・防水性支持膜材5と、この可撓・防水性支持膜材の周縁部を残して、その内側部上に配置され接合されている太陽電池層1と、前記太陽電池層の全表面を被覆し、さらにその外側に連続して伸び出て、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部上に接合している可撓性表面保護フィルム層10と、前記可撓性表面保護フィルム層に、それにより被覆されている前記可撓性太陽電池層の全表面及び、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部を接着している可撓・接着性樹脂層9とを含むものであり、好ましくは、図1−(B)に示されているように、前記可撓性表面保護フィルム層10と、前記可撓・接着性樹脂層9及び可撓・防水性支持膜材の周辺部のそれぞれとの接合が、架橋性接着樹脂層6を介してなされている。
前記可撓性表面保護フィルム層、架橋性接着樹脂層6、及び可撓・接着性樹脂層9はいずれも太陽光を透過する。
【0009】
図−1(A),(B)及び図2において、太陽電池層1は1個又は複数個の(図1−(A)においては1個、図2においては複数個)の可撓性太陽電池モジュール1Aを含み、この可撓性太陽電池モジュールのそれぞれは、1個(図1−(A))又は複数個(図2)の太陽電池セル1aと、1個の集電コネクタ1bとを含み、前記太陽電池セル1aは、多数の櫛状電極2を有し、前記集電コネクタ1bには、1対をなす陽極集電電極3及び陰極集電電極4が配置されており、前記太陽電池セル1aは、陽極導電部7aを介して前記陽極集電電極3に連結され、かつ、陰極導電部7bを介して、前記陰極集電電極4に連結されている。集電コネクタ1bの陽・陰両極集電電極は、それぞれ、可撓・防水性支持膜材5の表面側、又は、裏面側に配置された陽極端子及び陰極端子(図示されていない)に連結されている。
【0010】
図1−(A)及び(B)において、太陽電池層1は、可撓・防水性支持膜材5の表面上の、周縁部を残して、その内側部上に配置され、接合されており、可撓性表面保護フィルム層10は、太陽電池層1の全表面を被覆し、さらにその外側に伸び出して、可撓・防水性支持膜材5の周縁部上に接合されている。このとき、可撓性表面保護フィルム層10は、可撓・接着性樹脂層9を介して太陽電池層1及び可撓・防水性支持膜材5の周縁部に接着される。また、可撓性表面保護フィルム層10と、可撓・接着性樹脂層9及び可撓・防水性支持膜材5の周縁部のそれぞれとの間に、架橋性樹脂層6が形成されていることが好ましい。
【0011】
図1−(A)及び(B)において、可撓性太陽電池セル1aはフィルム状アモルファスシリコン太陽電池セルであることが好ましく、また、陽・陰両極導電部7a,7bを構成する導電性材料に格別の制限はないが、通常、スズめっきを施された銅線が使用される。各導電部の厚さは0.02〜1mmであることが好ましく、特に、良好な柔軟性及び屈曲性を具備するためには、その厚さは0.05〜0.5mmであることがより好ましい。また、陽・陰両極導電部7a,7bの裏面を、太陽電池セル1a及び集電コネクタ1bに、通電可能に接着固定するために、また、陽・陰両極集電電極3,4に通電可能に連結するために、導電性粘着剤を連続層状に用いることが好ましい。
【0012】
陽・陰両極導電部7a,7bは防湿性に優れた導電部防湿層8によって直接に、又は、前記可撓・接着性樹脂層9を介して間接的に、かつ完全に被覆され、それによって吸湿による集電効率の低下を防止乃至減少することができる。また、陽・陰両極集電電極も防湿層により被覆されていることが好ましい。
【0013】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、太陽電池層は、2個以上の可撓性太陽電池モジュールを含むことができ、この場合1枚の可撓・防水性支持膜材の内側部上に配置・接合された2個以上の可撓性太陽電池モジュールが、共通の可撓性表面保護フィルム層により被覆され、その中間に、連続した可撓・接着性樹脂層及び必要により架橋性樹脂接着層が、配置されていてもよい。
また、図2に示されているように、1枚の可撓・防水性支持膜材5の内側部上に、2個以上の可撓性太陽電池モジュール1Aが、互に離間して配置・接合され、2個以上の可撓性太陽電池モジュール1Aのそれぞれが、1枚の可撓性表面保護フィルム層10により被覆され、可撓性表面保護フィルム層は、さらに、可撓性太陽電池モジュールの外側に伸び出て、前記可撓・防水性支持膜材5上に接合されていてもよい。この場合、可撓性太陽電池モジュール1Aと、それを被覆する可撓性表面保護フィルム層との間には、可撓・接着性樹脂層及び必要により架橋性樹脂接着層が形成される。このようにすると、得られた可撓性膜状太陽電池複層体において、互に離間して配置された複数の可撓性太陽電池モジュール1Aの中間部分に、良好な可撓性を得ることが可能になる。
【0014】
前記導電部防湿層は、防湿性フィルムをもって陽・陰両極導電部7a,7bの周面を直接に、又は間接的に被覆することによって形成される。防湿性フィルムの構成例を、図3−(a),(b)及び(c)に示す。
【0015】
また、図3−(a),(b),(c)に示された防湿性フィルムを単独、または併用して用いて、1).陽・陰両極導電部7a,7bの周面のみを被覆することによって陽極導電部7a及び陰極導電部7bのそれぞれに導電部防湿層8を形成した構成例を図5に示し、また2).陽・陰両極導電部7a,7bの周面を被覆し、かつ、太陽電池層1の全表面を被覆し、さらに可撓・防水性支持膜材5の表面に伸びだしてこれを被覆する延長部8f,8gを有する連続した導電部防湿層8の構成例を図6に示し、さらに3).陽・陰両極導電部7a,7bの周面を被覆し、かつ、太陽電池層1の全表面を被覆し、さらに可撓・防水性支持膜材5の表面に伸びだしてこれを被覆する連続した可撓・接着性樹脂層9の全表面上に被覆して、間接的に陽・陰両極導電部7a,7bを被覆する連続した導電部防湿層8の構成例を図7に示す。図3−(a)に示された導電部防湿層8用防湿性フィルムは、ポリエステルフィルム8aと、金属蒸着層8bとから構成されるものである。
上記ポリエステルフィルム上に蒸着する金属としては、アルミニウム、スズ、チタン、インジウム、珪素、マグネシウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、コバルト、クロム、ニッケル等から選ばれたものが好ましい。また、上記金属蒸着層を形成する手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、各種CVD法等のいずれもが可能であるが、特に、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法が好ましく使用できる。金属蒸着層の厚さは5〜500nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。
【0016】
図3−(b)に示された導電部防湿層8用防湿性フィルムは、絶縁性樹脂フィルム8dに金属箔8cを貼着したものである。この金属箔としては金、銀、プラチナ、パラジウム、アルミニウム、銅、ステンレス等が好ましく使用できる。また、絶縁性樹脂フィルムとしては、一般の熱可塑性樹脂フィルム、又は、熱硬化性樹脂フィルムが使用できる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチルテレフタレート樹脂等のフィルムが好ましく使用される。一方、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等のフィルムが好ましく使用できる。金属箔と絶縁性樹脂フィルムの接着性を強固にするために、接着剤としてウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を使用することが出来る。更に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等の前処理を絶縁性樹脂フィルムに施すことにより、金属箔との接着性を向上させることができる。
金属箔の厚さは1〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0017】
図3−(c)に示された導電部防湿層8用防湿性フィルムは、ポリエステルフィルム8a上に、金属酸化物蒸着層8eを蒸着したものである。この場合、ポリエステルフィルム上に蒸着する金属酸化物として、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、イットリウム等の金属の酸化物を使用できる。特には、珪酸酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物が好ましい。
上記蒸着層を形成する手段としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、各種CVD法等のいずれもが可能であるが、特に、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法が好ましく使用できる。金属酸化物蒸着層の厚さは5〜500nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。
上記防湿性フィルムは、陽・陰両極集電電極を防湿被覆するため、また太陽電池セルを防湿被覆するため、また陽・陰両極集電電極と太陽電池セルを一括して被覆するために用いられることが好ましく、光透過性を有することがより好ましい。
【0018】
前記可撓・接着性樹脂層9を形成する可撓・接着層樹脂としては、架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物を使用することが好ましい。エチレン−酢酸ビニル重合体樹脂は、酢酸ビニルの構成単位の含有量が1〜40mol%、好ましくは10〜35mol%のものが、樹脂の耐候性、透明性、機械特性の面でバランス良く使用できる。また、架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂組成物には、耐候性向上のために架橋剤を配合して架橋構造を持たせるが、この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が好ましく使用できる。このような有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1′−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン等を使用することができる。これら有機過酸化物の配合量は、一般に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100重量部に対して、5重量部以下、好ましくは1〜3重量部であることが好ましい。上記可撓・接着性樹脂は、120〜170℃の温度、1Torr以下の圧力下において、溶融して、太陽電池層と、可撓性表面保護フィルム層との間隙空間を充填し、架橋硬化することができる。
【0019】
また、前記可撓・接着性樹脂層が、前記太陽電池層の少なくとも表面側の全表面積を被覆し、かつその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合していることが好ましい。前記可撓・接着性樹脂層が、太陽電池層の表面側のみを被覆する態様においては、前記可撓・接着性樹脂層の表面積は、太陽電池層の全表面積の105〜150%であることが好ましい。前記可撓・接着性樹脂層の表面側面積及び太陽電池層の表面積とは、それぞれの平面図における面積を意味する。
可撓・接着性樹脂層の面積が、太陽電池層の表面側の全表面積の105%未満であると、可撓・接着性樹脂層による太陽電池層の被覆保護が不完全となることがあり、この場合、太陽電池層の被覆不完全部分において、吸湿が発生し、太陽電池セルの吸湿した発電素子に、吸湿による影響、例えば内部抵抗の増大を生じ、それによって発電出力量が低下する。また、前記可撓・接着性樹脂層は、前記太陽電池層の表面側、及び裏面側の各々全表面を被覆し、個々が前記太陽電池層の全表面積の105〜150%の面積を有し、さらに、かつその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合していることが好ましい。この場合において、表面側、又は裏面側の可撓・接着性樹脂層の面積が、太陽電池層の表面積の105%未満であると、太陽電池層の被覆保護が不完全となることがあり、この場合においても、太陽電池層の被覆不完全部分において、吸湿が発生し、太陽電池セルの吸湿した発電素子に、吸湿による影響、例えば内部抵抗の増大を生じ、それによって発電出力量が低下する。また、太陽電池セルに水分が長時間にわたって接触すると、発電素子の劣化を生ずることがある。また、前記面積比が150%より大きい場合には、可撓・接着性樹脂層の面積が、可撓性表面保護フィルム層の面積よりも大きくなり、可撓性表面保護フィルム層の外側に露出した可撓・接着性樹脂層は、塵・埃などにより汚れて、製品の外観を悪化させることがある。
太陽電池層が複数の可撓性太陽電池モジュールを含み、これらのモジュールが、互に離間して配置され、そのそれぞれが、互に独立に被覆される場合、前記可撓・防水性樹脂層の好ましい表面積は、各モジュール毎に、その全表面積の105〜150%になるように調整することが好ましい。
【0020】
可撓性表面保護フィルム層は、透明性フッ素系樹脂フィルムにより形成されていることが好ましい。このようなフィルム形成用透明性フッ素系樹脂としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フロロアルキルビニルエーテル及びエチレンからなる群から選ばれた1種のモノマー重合体樹脂、又は2種以上のモノマー共重合体樹脂が使用できる。特に、防湿性のすぐれている、3フッ化塩化エチレンを用いることが好ましい。
可撓性表面保護フィルム層の厚さは、0.03〜0.5mmであることが好ましく、特に、0.05〜0.3mmがより好ましい。厚さが0.03mm未満であると防湿性が不充分となることがあり、またそれが0.5mmを越えると柔軟性が不充分となることがある。可撓性表面保護フィルム層の光線透過率は80%以上あることが好ましい。80%未満であると、発電出力低下を招いてしまうことがある。
【0021】
前記可撓性表面保護フィルム層10が、前記太陽電池層の全表面積の120〜200%の面積を有し、かつ前記太陽電池部層を被覆している前記可撓性接着性樹脂層を完全に被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合していることが好ましい。前記可撓性表面保護フィルム層及び太陽電池層の面積とは、それぞれの平面図における面積を意味する。可撓性表面保護フィルム層の面積が、太陽電池層の全表面積の120%未満であると、可撓性表面保護フィルム層による太陽電池層及び可撓・接着性樹脂層の被覆が不完全になることがあり、また、可撓・防水性支持膜材との接合も不十分になることがあり、それによって、太陽電池モジュールが吸湿し、発電素子の内部抵抗が増大し、発電出力の低下を生ずることがある。またそれが200%より大きくなると、可撓性表面保護フィルム層が可撓・防水性支持膜材を過度に被覆することになり、その結果、得られる可撓性膜状太陽電池複層体の縫製が困難になることがある。このため、可撓・防水性支持膜材の縫製を要する周縁部は、可撓性表面保護フィルム層により被覆されていない部分が残っていることが好ましい。
【0022】
可撓性表面保護フィルム層10を形成するフィルムとしては、図4−(a)に示されているように、透明性フッ素系樹脂フィルム11を用いることが好ましいが、さらに好ましくは、図4−(b)に示されているように、透明性フッ素系樹脂フィルム11の片面上に、ポリエステルフィルム13の一面上に透明性金属酸化物蒸着層14が形成されている透明性金属酸化物蒸着ポリエステルフィルム15を、前記透明性金属酸化物蒸着層14が、前記透明性フッ素系樹脂フィルム層11に対向するように、紫外線遮断作用を有する透明性接着剤層12を介して接合一体化された透明性フィルムを用いることが好ましい。このような金属酸化物蒸着層を含む積層構造フィルムから形成された可撓性表面保護フィルム層も、80%以上の光線透過率を有することが好ましい。この光線透過率が80%未満であると、得られる可撓性膜状太陽電池複層体の発電出力が不十分になることがある。
【0023】
前記図4−(b)に示された可撓性表面保護フィルム層10の紫外線遮断性透明性接着剤層12用接着剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。また、透明フッ素系樹脂フィルム11の接着面にコロナ放電処理、オゾン処理、又はプラズマ放電処理を施して、その接着性を向上させてもよい。また、透明性金属酸化物蒸着ポリエステルフィルム13の紫外線劣化を防止するために、前記透明性接着剤層12用接着剤に、紫外線吸収剤を含有させる。紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セシウムなどの紫外線吸収性無機化合物を用いることができる。これらの無機化合物の粒径は、可撓性表面保護フィルム層の高い透明性を維持するために、0.1μm以下であることが好ましい。また紫外線吸収剤用有機化合物としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、及びトリアゾ系紫外線吸収剤を用いることができる。上記無機系紫外線吸収剤と、有機系紫外線吸収剤は、これらを併用することにより、紫外線遮断効果を一層増進させることができる。
【0024】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体において、図1−(B)に示されているように、前記可撓性表面保護フィルム層10と、前記可撓・接着性樹脂層9及び可撓・防水性支持膜材の周辺部のそれぞれとの接合が、架橋性接着樹脂層6を介してなされていることが好ましい。前記架橋性接着樹脂は、接着樹脂成分と架橋剤成分とを含むものであって、架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カップリング剤化合物などが用いられる。
【0025】
前記架橋剤用エポキシ化合物としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、グリセリングリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、及び1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが使用できる。また、上記エポキシ樹脂をキレート剤、ウレタン樹脂、合成ゴム等で変性されたエポキシ樹脂も使用できる。
【0026】
また、架橋剤用イソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート類、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなど;脂環式ジイソシアネート類、例えば、イソホロンジイソシアネート、及び水添トリレンジイソシアネートなど;芳香族ジイソシアネート類、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びキシレンジイソシアネートなど;イソシアヌレート類、例えば、トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)イソシアヌレート、及びトリス(3−イソシアネートメチルベンジル)イソシアヌレートなど;並びにこれら化合物のイソシアネート基末端をフェノール類、オキシム類、アルコール類、ラクタム類などのブロック化剤でブロックしたブロックイソシアネートなどを用いることが好ましい。
【0027】
更に、前記架橋性接着樹脂の架橋剤として用いられるカップリング剤化合物としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。シラン系カップリング剤としては、アミノシラン類、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど;エポキシシラン類、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなど;ビニルシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど;メルカプトシラン類、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど、が挙げられる。
チタン系カップリング剤としては、アルコキシ類、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、及びテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンなど;アシレート類、例えば、トリ−n−ブトキシチタンステアレート、及びイソプロポキシチタントリステアレートなどが挙げられる。ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、及びテトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。さらに、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。これらカップリング剤の中で、耐湿性、耐光性の観点から、特にはγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシランを用いることが好ましい。
【0028】
架橋性接着樹脂層に含まれる架橋剤の量は架橋性接着樹脂層の合計質量に対して、0.5〜30質量%の範囲内にあることが好ましい。架橋剤の含有量が、0.5質量%未満であると、得られる架橋性接着樹脂層の耐水性及び接着性が不十分になることがある。またそれが30質量%をこえると、得られる架橋性接着樹脂層が硬くなり、得られる可撓性膜状太陽電池複層体の柔軟可撓性が不十分になることがある。
【0029】
前記架橋性接着樹脂層中の接着樹脂成分は、1級アミノ基を含有するアクリル系樹脂、又は水酸基及びカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン−ビニル共重合体樹脂のいずれか1種からなるものであることが好ましい。1級アミノ基を有するアクリル系樹脂では、特には、エチレンイミンをアクリル系樹脂のカルボキシル基に開環付加させることにより1級アミノ基を導入したものが、反応性、接着性の面で好ましい。また、水酸基及びカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン−ビニル共重合体樹脂では、特には、3フッ化塩化エチレン−ビニル共重合体樹脂が、反応性、耐久性の面で好ましい。
更に、コロナ処理、オゾン処理、及びプラズマ処理等で表面保護フィルム層を前処理することにより架橋性接着樹脂との接着性を向上させることができる。
【0030】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の可撓・防水性支持膜材5は、可撓・防水性シートからなるものであって、0.1〜3.0mmの厚さ及び150〜2500g/m2の単位面積当り質量(目付け)を有することが好ましい。可撓・防水性シートは必要により繊維布帛(織布、編布又は不織布)を基布として含んでいてもよい。この場合、繊維布帛からなる基布の少なくとも一面、好ましくは両面に、可撓・防水性合成樹脂が、塗布又は含浸されていて、可撓・防水樹脂層が形成されていることが好ましい。基布用繊維布帛を形成する繊維としては、天然繊維、例えば、木綿、麻等、無機繊維、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等、再生繊維、例えば、ビスコースレーヨン、キュプラ等、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維等、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維、ケブラー等のアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル繊維(飽和ポリエステル)及びポリ乳酸繊維等の脂肪酸ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、芳香族ポリエーテル繊維、ポリイミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維及びポリ塩化ビニル繊維、等から選ばれた少なくとも1種からなるものを使用することができる。繊維布帛を形成している繊維材料は、短繊維紡績糸、長繊維糸状、スプリットヤーン、テープヤーン等、いずれの形状でもよい。また、繊維性基布の組織は、織物、編物、不織布又は、これらの複合体のいずれであってもよい。
【0031】
可撓・防水性支持膜材用可撓・防水性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、アイオノマー系樹脂(エチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の塩等)、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル系樹脂を含む)、アクリル系樹脂、フッ素含有樹脂、スチレン系共重合体樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びこれらの水素添加物等)、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、及び、その他の合成樹脂(熱可塑性エラストマーを包含する)等から選ぶことができる。これらの防水性合成樹脂は、単独、あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。
【0032】
可撓・防水性支持膜材は、その表面が防汚層により被覆されていてもよい。防汚層は、防汚性を有する樹脂被膜により形成される。防汚性樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂等から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂を用いることができる。本発明においては、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0033】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体における可撓・接着性樹脂層の他の態様において、
図5に示されているように、前記可撓・接着性樹脂層9が、前記太陽電池層1と、前記可撓・防水性支持膜材5との間に伸び出て、前記太陽電池層と、前記可撓・防水性支持膜材とを接着している。このように可撓接着性樹脂層の一部分によって太陽電池層の裏面側と、可撓・防水性支持膜材とを接着することにより、太陽電池層を、可撓・防水性支持膜材上に強固に接着保持して、これを保護することができる。
【0034】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の導電部防湿層8の他の態様において、図6に示されているように、前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bを直接被覆している導電部防湿層8が、前記可撓・接着性樹脂層9と、前記可撓性太陽電池モジュール1A及び前記可撓・防水性支持膜材5のそれぞれとの間にさらに伸び出て、導電部防湿層延長部分8f,8gを有している。このようにすると、陽極及び陰極導電部7a,7bを直接被覆している2個の導電部防湿層8と、これらの内側中間に形成されている中間導電部防湿層延長部分8fと、前記2個の導電部防湿層8の外側に、可撓性表面保護フィルム層と、可撓・防水性支持膜材5との接合部迄延び出ている左右導電部防湿層延長部分8gとが1体に形成され、陽極及び陰極導電部7a,7bと太陽電池モジュール1Aとを、完全に被覆することができ、それによって、太陽電池モジュール1Aに対する防湿効果を、向上させることができる。図6においては、左右導電部防湿層延長部分の末端部は、可撓・防水性支持部材5と、可撓性表面保護フィルム層10及び架橋性接着樹脂層6の接合部中に延び出ているが、可撓・防水性支持膜材5と、可撓性表面保護フィルム層10とは、その間に延び出た架橋性接着樹脂層6を介して接合されていてもよく、或は可撓防水性支持膜材5は、可撓性表面保護フィルム層10と架橋性接着樹脂層6との両方の末端に直接接合していてもよい。
【0035】
本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の導電部防湿層8のさらに他の態様において、図7に示されているように、可撓・防水性支持膜材5上の太陽電池層1及び陽極及び陰極導電部7a,7bが、可撓・接着性樹脂層9により被覆され、その上に導電部防湿層8が形成されていて、陽極及び陰極導電部7a,7bが、可撓・接着性樹脂層9を介して、前記導電部防湿層8により間接的に防湿被覆されている。このようにすることによって、陽極及び陰極導電部7a,7b及び太陽電池モジュール1を被覆する導電部防湿層8を、防湿性フィルムを用いて、容易に形成することができる。
図7において、導電部防湿層8の左右端部が、可撓防水性支持膜材と、可撓性表面保護フィルム層10及び架橋性接着樹脂層6との接合部中に延び出ているが、可撓防水性支持膜材は、可撓性表面保護フィルム層10の末端に、これらの間に延び出た架橋性接着樹脂層6の末端部を介して接合していてもよく、或は、可撓性表面保護フィルム層10及び架橋性接着樹脂層6のそれぞれの端末に接合していてもよい。
【実施例】
【0036】
本願発明の可撓性膜状太陽電池複層体を、下記実施例によりさらに説明する。
【0037】
下記実施例及び比較例において製造された電池複層体は下記の試験に供された。
(1)発電出力測定
JIS−C8935−1995に基づき、環境試験前後の供試体の発電出力を測定した。
(2)耐湿性
供試体を85℃、85%RHの環境下にて、1000時間放置後の発電出力保持率(%)を計測し、及び、外観(色相、フィルム剥がれ、浮き、その他)を下記のように4段階に評価した。
(外観評価)
4:測定開始前の状態にくらべて変化なし。
3:着色が僅かに見られる。
2:黄変が認められ、供試体の一部分にフィルム(可撓性表面保護フィルム層)の浮き、剥がれが認められる。
1:黄変が認められ、供試体の全面にフィルムの浮き、剥がれが認められる。
(3)耐候性
供試体にメタルウェザー超促進耐候試験機を使用し、下記条件で紫外線照射した後の発電出力保持率を計測し、及び、外観(色相、フィルム剥がれ、浮き、その他)を下記4段階に評価した。
(試験条件)
紫外線強度;50(mW/cm2
L時(ライト);温度60℃、湿度39%、設定時間4時間
D時(結露); 温度60℃、湿度90%以上、設定時間4時間
L時及びD時の合計時間 8時間
を1サイクルとして、合計15サイクル(120時間)を1単位の試験時間として、合計10単位、1200時間の照射を行った。
(外観評価)
4:測定開始前の状態にくらべて変化なし。
3:着色が僅かに見られる。
2:黄変が認められ、供試体の一部にフィルム(可撓性表面保護フィルム層)の浮き、剥がれが認められる。
1:黄変が認められ、供試体の全面にフィルムの浮き、剥がれが認められる。
【0038】
実施例1
単位セルの大きさが、幅260mm、長さ80mmである太陽電池セル10個を直列に配置し、これに、1個の集電コネクタを組み合わせた可撓性太陽電池モジュールを、幅1000mm、長さ1500mmの可撓・防水性支持膜材の中央部に、下記接着樹脂を介して積層、接合一体化した。
接着樹脂としては、カップリング剤化合物(例えば、エポキシ系シランカップリング剤)、及びエポキシ樹脂(例えば、ウレタン変性したエポキシ樹脂)により架橋されたアクリル系樹脂を使用した。
【0039】
また、可撓・防水性支持膜材の、基布用繊維布帛として、ポリエステル繊維糸条(繊維太さ:84dtex)を経糸、緯糸に使用した基布平織(目付け:160g/m2、密度:経糸40本/25.4mm、緯糸50本/25.4mm)を使用した。また、前記可撓・防水性支持膜材の基布に下記可撓・防水性樹脂フィルムを貼着した。
可撓・防水性樹脂フィルムとして、下記ポリ塩化ビニル樹脂組成物をカレンダー成形法により混練、圧延し、厚さ0.15mmのフィルムを作製した。このフィルムを前記基布の表面上に165℃で2分間熱圧着し、可撓・防水性支持膜材を作製した。この膜材の目付けは500g/m2であった。
また、可撓・防水性支持膜材の表面に、フッ化ビニリデン系樹脂溶液をコーティングして、厚さが約10μmの防汚層を形成した。
塩化ビニル樹脂 100重量部
フタル酸エステル系可塑剤 50重量部
リン酸エステル系可塑剤 15重量部
エポキシ系化合物 3重量部
Ba−Ca系安定剤 1重量部
芳香族イソシアネート化合物 5重量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.1重量部
顔料(酸化チタン) 5重量部
【0040】
太陽電池セルとして、アモルファスシリコン太陽電池をフィルム基板上に積層した可撓性セルを用いた。
【0041】
可撓性太陽電池モジュールの陽・陰両極導電部を、導電部防湿層形成用アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム(厚さ50μm、アルミニウム蒸着層の厚さ:60nm)をもって全面被覆した。
可撓・接着性樹脂層を、厚さ0.6mm、幅300mm、長さ890mmの架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シート(太陽電池層面積の120%の面積を有する)を使用して形成した。
可撓性表面保護シート層を、厚さ50μm、幅340mm、長さ970mmのフッ素系樹脂フィルム(太陽電池セル面積の150%の面積に相当)を使用して形成し、かつ、表面保護フィルム層の裏面に架橋性接着樹脂を施した。
なお、表面保護フィルムとして、3フッ化塩化エチレンフィルムを使用した。また、前処理として、コロナ処理を施し、接着性向上を図った。
架橋性接着樹脂として、エポキシ樹脂(例えば、ウレタン変性したエポキシ樹脂)、及びカップリング剤化合物(例えば、エポキシ系シランカップリング剤)を含む架橋剤により架橋された1級アミノ基を含有するアクリル系樹脂を使用した。
この架橋性接着樹脂溶液を3フッ化塩化エチレンフィルムの裏面のコロナ処理した上にグラビアコーティングをして、乾燥後厚みが10μmの接着剤層を形成した。
【0042】
前記可撓・防水性支持膜材の中央部に配置接合された太陽電池層を、前記可撓・接着性樹脂層用架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートで被覆し、この太陽電池層の外に伸び出したシート周縁部を可撓・防水性支持膜材上に接合し、その上に、前記架橋性接着樹脂層付き可撓性表面保護フィルム用フッ素系樹脂フィルムを、前記架橋性接着樹脂層が、前記可撓・接着性樹脂層に接するように被覆し、前記可撓・接着性樹脂層の外側に伸び出たフィルム周縁部を、前記架橋性接着樹脂層を介して、可撓・防水性支持膜材上に接合した。
前記のようにして形成された積層体を、160℃の温度、及び1Torrの真空下に10分間真空加熱して、すべての層を接着一体化させて、可撓性膜状太陽電池複層体を作製し、これを前記試験に供した。
前記真空加熱により、可撓・接着性樹脂層用架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートは溶融して、太陽電池層と、可撓性表面保護フィルム層下の架橋性接着樹脂層との間隙空間を充填し、かつ架橋硬化した。
試験結果を表1に示す。
【0043】
実施例2
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、可撓性表面保護フィルム層を、太陽電池層の面積の150%の面積を有するエチレン−四フッ化エチレン共重合体フィルム(厚さ50μm)を用いて形成した。
試験結果を表1に示す。
【0044】
実施例3
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、可撓性表面保護フィルム層を、太陽電池層の面積の150%の面積を有するポリフッ化ビニルフィルム(厚さ50μm)を用いて形成した。
試験結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、可撓性表面保護フィルム層を、太陽電池層の面積の150%の面積を有し、ポリフッ化ビニリデン系フィルム((厚さ50μm)に、酸化ケイ素蒸着ポリエステルフィルム(厚さ:12μm)を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有するアクリル系接着剤を介して、積層させて得られた積層フィルムを用いて形成した。
試験結果を表1に示す。
【0046】
実施例5
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、架橋性接着樹脂として、エポキシ系シランカップリング剤及びブロックイソシアネート化合物によって架橋されたヒドロキシル基及びカルボキシル基を含有する3−フッ化塩化エチレン−ビニル共重合体樹脂を使用した。
試験結果を表1に示す。
【0047】
実施例6
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、導電部防湿層用防湿フィルムとして、厚さ100μmのポリ塩化ビニル樹脂フィルムに、厚さ50μmのアルミニウム箔を、アクリル系粘着剤を介して積層粘着させた積層フィルムを使用した。
試験結果を表1に示す。
【0048】
実施例7
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、可撓・防水性支持膜材として、実施例1と同一のポリエステル繊維平織基布の表面上に、カレンダー成形法により下記組成の組成物を混練・圧延して形成されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物フィルム(厚さ0.17mm)を積層し、130℃で2分間加圧、圧着して製造された膜材(目付:500g/m2)を使用した。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂 100重量部
安定剤(フェノール系化合物) 0.5重量部
顔料(酸化チタン) 5重量部
試験結果を表1に示す。
【0049】
実施例8
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、太陽電池層の表面と裏面を、厚さ0.6mm、幅300mm、長さ890mmの架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シート(太陽電池層面積の120%の面積を有する)を被覆し、太陽電池層の両面に可撓・接着性樹脂層を設けた。試験結果を表1に示す。
【0050】
実施例9
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、陽極導電部と陰極導電部の部分的アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム被覆を省略した。その代わりに、陽・陰両極導電部被覆層を、酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム(幅300mm、長さ890mm、厚さ50μm、酸化珪素蒸着層の厚さ:60nm)として、陽極導電部と陰極導電部を含み、かつ、太陽電池セルの全表面を被覆(太陽電池層面積の120%の面積を有する)し、さらに可撓・防水性支持膜材の表面に伸びだした連続被覆層とする導電部防湿層を形成した。試験結果を表1に示す。
【0051】
実施例10
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、陽極導電部と陰極導電部の部分的アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム被覆を省略して、厚さ0.6mm、幅300mm、長さ890mmの架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シート(太陽電池層面積の120%の面積を有する)を被覆して可撓・接着性樹脂層を形成し、さらにこの上に可撓・接着性樹脂層全面に酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム(幅300mm、長さ890mm、厚さ50μm、酸化珪素蒸着層の厚さ:60nm)を設けて、陽極導電部と陰極導電部を間接的に被覆防湿する導電部防湿層を形成した。試験結果を表1に示す。
【0052】
比較例1
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、陽・陰両極導電部に、導電部防湿層被覆を施さなかった。
試験結果を表1に示す。
【0053】
参考例1
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、前記架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートからなる可撓・接着性樹脂層の面積を、太陽電池層の全表面積と同一にして、太陽電池層の周側面部を被覆しなかった。
試験結果を表1に示す。
【0054】
比較例2
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、太陽電池層と可撓性表面保護フィルム層との間に、可撓・接着性樹脂層を形成しなかった。
試験結果を表1に示す。
【0055】
参考例2
実施例1と同様にして、可撓性膜状太陽電池複層体を製造し、試験に供した。但し、架橋性接着樹脂層を形成しなかった。
試験結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1−(A)は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の構成の一例の平面説明図。 図1−(B)は、図1−(A)の可撓性膜状太陽電池複層体の、線B−Bに沿う断面説明図。
【図2】本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の、他の一例の平面説明図。
【図3】図3−(a)は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の導電部防湿層形成に用いられるフィルムの一例の構成を示す断面説明図。 図3−(b)は、前記導電部防湿層形成用フィルムの他の一例の構成を示す断面説明図。 図3−(c)は、前記導電部防湿層形成用フィルムの更に他の一例の構成を示す断面説明図。
【図4】図4−(a)は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の、可撓性表面保護フィルム層の形成に用いられるフィルムの一例の構成を示す断面説明図。 図4−(b)は、前記可撓性表面保護フィルム層形成用フィルムの他の一例の構成を示す断面説明図。
【図5】図5は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体の他の一例の断面説明図。
【図6】図6は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体のさらに他の一例の断面説明図。
【図7】図7は、本発明の可撓性膜状太陽電池複層体のまたさらに他の一例の断面説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 太陽電池層
1A 可撓性太陽電池モジュール
1a 太陽電池セル
1b 集電コネクタ
2 櫛状電極
3 陽極集電電極
4 陰極集電電極
5 可撓・防水性支持膜材
6 架橋性接着樹脂層
7a 陽極導電部
7b 陰極導電部
8 導電部防湿層
8a ポリエステルフィルム
8b 金属蒸着層
8c 金属箔
8d 絶縁性樹脂フィルム
8e 金属酸化物蒸着層
8f,8g 導電部防湿層の延長部分
9 可撓・接着性樹脂層
10 可撓性表面保護フィルム層
11 透明性フッ素系樹脂フィルム
12 透明性接着剤層
13 透明性ポリエステルフィルム
14 透明性金属酸化物蒸着層
15 透明性金属酸化物蒸着ポリエステルフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓・防水性支持膜材5と、
この可撓・防水性支持膜材の周縁部を残して、その内側部上に配置され接合されている太陽電池層1と、
前記太陽電池層の全表面を被覆し、さらにその外側に連続して伸び出て、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部上に接合している可撓性表面保護フィルム層10と、
前記可撓性表面保護フィルム層に、それにより被覆されている前記太陽電池層の全表面及び、前記可撓・防水性支持膜材の周縁部を接着している可撓・接着性樹脂層9と
を含み、
前記太陽電池層1が、1個以上の可撓性太陽電池モジュール1Aを含み、
前記太陽電池モジュール1Aの各々が、1個以上の太陽電池セル1aと、1個の集電コネクタ1bとを含み、
前記集電コネクタ1bには、1対をなす陽極集電電極3及び陰極集電電極4が配置されており、
前記太陽電池セル1aは、陽極導電部7aを介して、前記陽極集電電極に連結され、かつ陰極導電部7bを介して前記陰極集電電極に連結されており、かつ
少なくとも前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bが、導電部防湿層8によって、直接に、又は前記可撓・接着性樹脂層9を介して間接的に、被覆されている
ことを特徴とする可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項2】
前記導電部防湿層8が、金属蒸着ポリエステルフィルム、金属層と絶縁性樹脂フィルムとの積層フィルム及び金属酸化物蒸着ポリエステルフィルムから選ばれた1種以上により形成されている、請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項3】
前記可撓性表面保護フィルム層10が、前記太陽電池層の全表面積の120〜200%の面積を有し、かつ前記太陽電池層を被覆している前記可撓性接着性樹脂層を完全に被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合している、請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項4】
前記可撓性表面保護フィルム層10が、少なくとも1層の透明フッ素含有樹脂フィルムと、透明性金属酸化物蒸着ポリエステルフィルムと、これらを互に接合する紫外線遮断性接着剤層とを含む、請求項1又は3に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項5】
前記可撓・接着性樹脂層9が、架橋性エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋生成樹脂からなるフィルムにより形成され、前記太陽電池層の少なくとも表面側の全表面積を被覆し、かつ、かつその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合している、請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項6】
前記可撓・接着性樹脂層9が、さらに前記太陽電池層1と、前記可撓・防水性支持膜材5との間に伸び出て、前記太陽電池層の裏面側と、前記可撓・防水性支持膜材とを接着している、請求項5に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項7】
前記太陽電池層1が、複数の可撓性太陽電池モジュール1Aを含み、これらの可撓性太陽電池モジュールがそれぞれ他から離間して、前記可撓・防水性支持膜材5の内側部上に配置・接合されており、前記可撓性表面保護フィルム層が、各可撓性太陽電池モジュールを被覆し、さらにその外側に伸び出して、前記可撓・防水性支持膜材に接合されている請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項8】
前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bのそれぞれが、前記導電部防湿層8により、直接被覆されている請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項9】
前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bを直接被覆している導電部防湿層8が、前記可撓・接着性樹脂層9と、前記太陽電池層1及び前記可撓・防水性支持膜材5のそれぞれとの間にさらに伸び出ている導電部防湿層延長部分8f,8gを有する、請求項8に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項10】
前記導電部防湿層8が、前記可撓・接着性樹脂層9と、前記可撓性表面保護フィルム層10との間に、配置され、それによって前記陽極導電部7a及び陰極導電部7bが、前記可撓・接着性樹脂層9を介して間接的に被覆されている請求項1に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項11】
前記可撓性表面保護フィルム層10と、前記可撓・接着性樹脂層9及び可撓・防水性支持膜材の周辺部5aのそれぞれとの接合が、架橋性接着樹脂層6を介してなされている、請求項1及び3〜10のいずれか1項に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項12】
前記架橋性接着樹脂層6が、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、及びカップリング剤化合物から選ばれた1種以上の架橋材の硬化物を含む、請求項11に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。
【請求項13】
前記架橋性接着剤樹脂層6が、1級アミノ基を含有するアクリル系樹脂、又は水酸基及びカルボキシル基を含有するフルオロオレフィン−ビニル共重合体樹脂のいずれか1種を含む、請求項11に記載の可撓性膜状太陽電池複層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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