説明

可撓性血管閉塞装置

【課題】可撓性血管閉塞装置の提供。
【解決手段】周囲の組織への血流を保持しながら、血管中の血流を修正するための血管閉塞装置。閉塞装置は、脳内動脈瘤を治療するために特に適する可撓性で容易に圧縮可能で曲げることが可能である閉塞装置を含む。神経血管閉塞装置は、マイクロカテーテルを用いて配備することができる。閉塞装置は螺旋的やり方でブレードワイヤーにより形成することができると共に、閉塞装置の長さに沿って種々の格子密度を有することができる。閉塞装置は、また、同じラジアル平面上の表面に対して各種格子密度を有することができるであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月25日に出願された「可撓性人工血管」題の米国特許仮出願第
60/574,429号明細書の利益を主張する、2005年5月25日に出願された米
国特許出願第11/136,395号明細書の一部継続出願であると共に、それに対する
優先権を主張する。これらの各出願書の全体は、特に本明細書において参考のため包含さ
れる。
【0002】
本発明は、一般に、一般的な血管奇形を治療するために血管構造中で用いることができる
であろう移植可能な装置に関する。さらに詳細には、それは、患者の血管構造中に導入し
動脈瘤、特に脳動脈瘤を閉鎖し閉塞することができる可撓性の生体適合性装置に関する。
【背景技術】
【0003】
血管構造の壁、特に動脈壁は、動脈瘤と呼ばれる病的拡張を生みだすことが可能である。
動脈瘤は、一般的に、動脈壁の肥大化として観察される。これは、疾患、傷害、または先
天性異常により弱体化している血管壁の結果である。動脈瘤は薄くて弱い壁を有し、破裂
する傾向性を有し、多くの場合、高血圧により引き起こされるか、または悪化する。動脈
瘤は、身体の異なる部分に見出すことができるであろう;最も一般的には、腹部大動脈瘤
(AAA)および大脳または脳動脈瘤である。動脈瘤の存在だけでは、必ずしも生命に脅
威を与えるものではないが、しかし、それらは、脳内で破裂するであろう場合に脳梗塞な
どの深刻な健康上の結果を与えることができる。加えて、知られているように、破裂した
動脈瘤は、また、死をもたらすことができる。
【0004】
脳動脈瘤の最も一般的なタイプは、一般的に血管の分岐部で見出される嚢(のう)状動脈
瘤と呼ばれる。分岐部の位置、YにおけるVの底部は、血流の力学的力により弱体化する
ことができるであろう。組織学的見地から、動脈瘤は動脈壁中の細胞に対する損傷により
引き起こされる。損傷は血流のせいでの剪断応力により引き起こされると信じられる。剪
断応力は細胞を破壊する熱を発生する。血管壁でのこうした血流力学的応力は、たぶん血
管壁固有の異常と併せて、脳動脈のこれらの嚢状動脈瘤の起源、成長および破裂に対する
根本的な原因であると考えられてきた(Lieber and Gounis,The
Physics of Endoluminal stenting in the T
reatment of Cerebrovascular Aneurysms,Ne
urol Res 2002:24:S32〜S42)。組織学的研究において、損傷内
膜性細胞は丸い健康な細胞に較べて引き伸ばされている。剪断応力は、心周期の異なる相
、動脈壁中の位置で、および動脈の構造および血液の粘度、密度および速度の関数として
の異なる個々の間で大きく変わることができる。一旦動脈瘤が形成されると、動脈瘤内の
血流の変動は、それらが進行と結果としての破裂に寄与する動脈瘤壁の振動を誘発するこ
とができるので非常に重要である。上記概念のより詳細な説明に対しては、例えば、St
eiger,Pathophysiology of Development and
Rupture of Cerebral Aneurysms,Acta Neur
ochir Suppl 1990:48:1〜57;Fergueson,Physi
cal Factors in the Initiation,Growth and
Rupture of Human Intracranial Saccular
Aneurysms,J Neurosurg 1972;37:666〜677を参照
すること。
【0005】
動脈瘤は、一般に、動脈循環から血管の弱体化部分を排除することにより処理される。脳
動脈瘤を治療するため、こうした強化は多くの方法で行われる:(i)金属クリップが動
脈瘤の根本周りに固定される外科的クリッピング、(ii)小さく可撓性の巻線であるマ
イクロコイルで動脈瘤を包むこと、(iii)動脈瘤を充填するために塞栓性材料を用い
ること、(iv)動脈瘤を供給する親血管を塞ぐために取り外し可能なバルーンまたはコ
イルを用いること、および(v)血管内ステント留置。これら各種方法の一般的な検討お
よび外観に対しては、Qureshi,Endovascular Treatment
of Cerebrovascular Diseases and Intracr
anial Neoplasms,Lancet.2004 Mar 6;363(94
11):804〜13;Brilstra et al.Treatment of I
ntracranial Aneurysms by Embolization wi
th Coils:A systematic Review,Stroke 1999
;30:470〜476を参照すること。
【0006】
低侵襲インターベンション技術がより多くの隆起を得るので、神経血管動脈瘤を治療する
ためのマイクロカテーテル系手法は一段と有力になってきている。マイクロカテーテルは
、流動指示であろうとワイヤー指示であろうと、動脈瘤塞栓用に、塞栓性材料、マイクロ
コイルまたは他の構造体(例えば、ステント)を分配するために用いられる。マイクロコ
イルは、マイクロカテーテルを通過し、機械的または化学的脱離機構を用いて動脈瘤中に
配備することができるか、または、親血管中に配備されて恒久的にそれを塞ぎ、従って動
脈瘤中への流れを閉鎖することができる。あるいは、ステントは神経血管構造を通して望
ましい位置まで通ることができるであろう。ペレイラ(Pereira)による論文、H
istry of Endovascular Aneurysms Occlusio
n in Management of Cerebral Aneurysms;Ed
s:Le Roux et al.,2004,pp:11〜26は、動脈瘤の検出およ
び治療の選択の歴史に関する優れた背景を提供する。
【0007】
上述の論文の多くに記されているように、また脳動脈瘤の起源、形成および破裂に基づき
、動脈瘤治療の目標が、動脈瘤破裂、従って結果としてのクモ膜下出血の危険性を下げる
ことであることは明らかである。血液が動脈瘤中に流れ込むことを防ぐことは、動脈瘤の
弱体化した壁が破裂しないために極めて望ましいが、一方で、周囲構造体への血流が動脈
瘤への血流を妨害するために用いられる方法により限定されないことも、また、極めて重
要であることが可能であることもまた留意されるべきである。身体中の他の血管異常を治
療するために開発された従来型のステントは、脳動脈瘤を閉鎖するためには適さない。こ
れは、頭脳組織などの高酸素消費部分が必要とされる血流を奪われる場合に、すべて通常
の合併症をもたらすことができるであろう。
【0008】
神経血管動脈瘤治療用の既存の手法に伴う多くの欠点が存在する。神経血管構造の血管は
身体中で最も蛇行性があり、確かに冠動脈循環血管よりも蛇行性である。従って、時に動
脈瘤治療用の神経血管構造中に用いられる堅い冠動脈ステントを用いて神経血管構造中を
操縦することは、外科医にとっての挑戦課題である。人口器官の曲げ力は、血管構造を通
しての人口器官の機動性を示す;低い曲げ力は、人口器官がより高い曲げ力を有するもの
に較べて血管構造を通して一層容易に操縦されることを意味するであろう。一般的な冠動
脈ステントに対する曲げ力は0.05lb−inである(0.5インチ片持ち梁を90度
に曲げるための力)。従って、既存のステントよりも一段と可撓性である神経系人口器官
を有することは有用である。
【0009】
冠動脈血管中に用いられようと神経血管構造中で用いられようと、既存のステント構造体
(マイクロコイル)は、多くの場合直管からレーザーカットされ通常まっすぐであるか、
または硬い金属材料によるブレード(braid)である。しかし、大部分の血管は曲がって
いる。従って、現状のステント構造体およびマイクロコイルは、それらが曲がった血管壁
をまっすぐにしようと試みるので、血管壁上に有意な応力を付与する。弱体化血管壁に対
して、特に動脈瘤形成の傾向がある場合に、これは惨憺たる結果をもたらすことができる
であろう。
【0010】
前述のように、血管上、特に分岐点に加わる血流力学的応力は、血管壁の弱体化をもたら
す。こうした応力の最も重要な供給源は血流方向の急激な変化である。従って、特に弱い
血管位置での血流方向の急激な変化を最小化することができるならば、それは有益である
であろう。
【0011】
動脈瘤を閉塞するための既存の手法は、別の問題の組合せをもたらすことができるであろ
う。それを塞栓性材料(コイルまたは液体ポリマー)により包むかまたは充填することに
より動脈瘤を単に閉塞する方法は、動脈瘤形成に寄与する根本的な流れ異常に対応しない

【0012】
ステント構造体は、バルーンカテーテル上に管腔的に設置された後に膨張することができ
るであろう。あるいは、自己膨張性ステムは圧縮状態で挿入され、配備されると膨張する
ことができるであろう。バルーン膨張性ステントに対して、ステントはカテーテルの遠心
端でバルーン上に取り付けられ、カテーテルは望ましい位置まで進められ、バルーンは膨
らんでステントを恒久的な膨張状態に膨張させる。次に、バルーンは収縮し、カテーテル
は血管開放性を保つために膨張ステントを残して引き抜かれる。脳内血管を切り裂くか破
裂させる潜在的な致死結果のせいで、脳内のバルーン膨張性ステントの使用は問題が多い
。バルーン膨張性ステントの適正な配備は、ステントを血管壁中にはめ込むためにバルー
ン取付けステントよりも僅かに大きな膨張を必要とすると共に、誤差余裕は小さい。バル
ーン膨張性ステントは、また、先端近くで細くなる脳血管の自然な先細さに適合させるに
は適さない。ステントが親血管からより小さな分岐血管中に設置される場合、血管間の径
の変化は、バルーン膨張性ステントを安全に配備することを困難とする。自己膨張性ステ
ントにおいては、圧縮またはつぶされたステントは、圧縮状態を配備されるまで保持する
ために、圧縮ステント上の外側抑制鞘により保持される。配備の時に、抑制用の外側鞘は
、次に血管を開放して保持するために膨張する圧縮ステントを取り出すために撤回される
。加えて、こうした人口器官を搬送するために用いられるカテーテルは、大きな冠動脈ス
テントを冠動脈に搬送するために用いられるより大きなカテーテルに較べて、0.65m
m〜1.3mmの外径を有するマイクロカテーテルである。
【0013】
米国特許第6,669,719号明細書(ワレス(Wallace)ら)には、頭蓋内使
用のためのステントおよびステントカテーテルが記載されている。ロールド・シートステ
ントは、カテーテルの遠位先端上に取り外し可能に取り付けられる。ロールド・シートが
動脈瘤で置かれる際に、ステントは取り外される。これは、循環系統の動脈瘤および周囲
側枝の即時のおよび完全な隔離、および血流を動脈瘤から向きを変えることをもたらす。
こうしたシステムの重大な欠点は、周囲側枝が、目標動脈瘤と共に、ステントが配備され
た後に、必要とされる血流を奪われることにある。
【0014】
米国特許第6,605,110号明細書(ハリソン(Harrison))には、蛇行性
構造を通しての搬送用、またはステントを曲がった血管に適合させるための自己膨張性ス
テントが記載されている。この特許には、互いに平行に、およびこれらの要素間に配置さ
れる半径方向に膨張可能な円筒型要素を有するステント構造体が記載されており、二つの
隣接円筒型要素を結合するのは曲がることが可能である支柱である。この構造体は、一部
の用途用に必要な可撓性および曲げ性を提供することができるであろうが、一方で、それ
は製造するには高価であり複雑である。
【0015】
米国特許第6,572,646号明細書(ボイラン(Boylan))には、ステントに
第一形状を誘発する低温相、および長さに沿って曲がりを有するステントに第二形状を誘
発する高温相による、Ni−Ti合金(ニチノール)などの超弾性合金製のステントが開
示されている。米国特許第6,689,162号明細書(トンプソン(Thompson
))には、強度を提供するための金属ストランド、および素直な織物ストランドを用いる
編みこみ人工器官が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一つの態様は、神経血管構造の蛇行性血管を容易に操縦することができる高度に
可撓性の植込み型閉塞装置を提供する。加えて、閉塞装置は血管構造の蛇行性血管の形状
に容易に適合することができる。さらに、閉塞装置は血管内の血流を動脈瘤から離して向
きを変えることができる;加えて、こうした閉塞装置は、それらが分岐血管であろうが酸
素要求組織であろうが、それらの構造体が必要な血流を奪われないように隣接構造体に適
切な血流を提供することを可能とする。
【0017】
閉塞装置は、また、なお望ましい血流を周囲組織におよび血管内に保持して、血流を動脈
瘤に変えることもできる。この例において、一部の血液はなお動脈瘤に達することを可能
とするが、しかし、その薄くなった壁に損傷を引き起こすであろう動脈瘤内の層流を作り
出すには十分でない。その代わりに、流れは間欠性であり、それによって、動脈瘤内の血
液凝固または充填材料の硬化のために十分な時間を提供するであろう。
【0018】
閉塞装置は、生来の血管構造に厳密に近づき、生来の血管の自然な蛇行性通路に適合する
ために十分な可撓性がある。本発明による閉塞装置の重要な属性の一つは、収縮し曲がる
その能力であり、それによって、脳内の血管構造の形状を想定する。これらの特性は、脳
内の血管構造がより小さく一層蛇行性であるので、冠動脈ステントに較べるよりも神経血
管閉塞装置用である。
【0019】
一般論として、本発明の態様は、動脈瘤を治療するための方法および装置に関する。特に
、ネックを有する動脈瘤を治療する方法は、それによって血流が動脈瘤のネックから外れ
て方向付けられる動脈瘤の位置での血管ルーメン中に血管閉塞装置を配備することを含む
。動脈瘤ルーメン中の誘発される血液停滞は、動脈瘤における塞栓を作り出すであろう。
閉塞装置は、それが動脈瘤への血流を塞ぐかまたは最小化するように、動脈瘤のステムの
幅を測る。閉塞装置は、その材料およびその配置両方において極めて柔軟性がある。結果
として、閉塞装置は、蛇行性血管、特に脳中のものを通して容易に操縦することができる
。閉塞装置が可撓性であるので、執刀者にとって重要である、神経血管構造の血管を通し
て操縦するために閉塞装置を歪めるための極めて小さな力しか必要とされない。
【0020】
その可撓性とは別の閉塞装置の態様は、閉塞装置が半径方向にそれに反対の表面に較べて
動脈瘤のネックに面する表面上の高い濃度のブレードストランドまたは各種サイズのブレ
ードストランドによる非対称のブレードパターンを有することが可能であることである。
一つの実施形態において、動脈瘤に面する表面はほとんど不浸透性であり、正反対の表面
は高度に浸透性である。こうした構成は血流を動脈瘤から向きを変えて外すが、しかし、
閉塞装置が中に配備される主血管の側枝への血流を保持するであろう。
【0021】
別の実施形態において、閉塞装置は閉塞装置の縦軸に沿って非対称のブレードカウントを
有する。これは、曲がり、従って曲がった血管に適合する生来の傾向性を有する閉塞装置
を提供する。これは血管壁上の閉塞装置によりかけられる応力を減じ、それによって動脈
瘤破裂の機会を最小化する。加えて、閉塞装置が自然に曲がるので、これはマイクロカテ
ーテルの先端が曲げられることへの必要性を排除する。今、曲げられた閉塞装置がマイク
ロカテーテルの先端上に積み込まれる場合に、先端は閉塞装置の曲がった形状をとる。閉
塞装置は、マイクロカテーテル内部に予備的に組み込むことができるであろうと共に、望
まれる場合に、閉塞装置をマイクロカテーテルから押し出すプランジャを用いて送達する
ことができる。閉塞装置は、圧縮状態でマイクロカテーテル内部に設置することができる
であろう。マイクロカテーテルを出る際に、それは利用可能なルーメンのサイズに膨張し
、ルーメンの開放度を保持し、ルーメンを通しての血流を可能とすることができるであろ
う。閉塞装置は格子構造を有することができるであろうと共に、格子中の開口部のサイズ
は閉塞装置の長さに沿って変わることができるであろう。格子開口部のサイズは、格子を
構築するために用いられるブレードカウントにより制御することができる。
【0022】
本発明の一つの態様により、閉塞装置は、例えば、ネック再構築またはバルーン改造によ
り血管内の動脈瘤を改造するために用いることができる。閉塞装置は、導入材料が動脈瘤
の領域内の閉塞装置の格子密度のせいで動脈瘤内から逃げ出さないように、動脈瘤内に閉
塞材料を保持するバリアを形成するために用いることができる。
【0023】
本発明の別の態様において、動脈瘤を閉塞するための装置が開示される。装置は部材の壁
上に分配される複数の穿孔を有する管状のものである。装置は、動脈瘤本体への通常の流
れが中断され、それによって血栓、および究極的に動脈瘤の閉塞を生成するように、動脈
瘤のネックを覆う動脈瘤の基部に設置される。
【0024】
本発明のなお別の態様において、装置は編みこんだ管状部材である。編まれたストランド
は、長方形断面を有するリボン、円形断面を有するワイヤーまたは高分子ストランドであ
る。
【0025】
別の実施形態において、ブレードの密度が十分な剛性および半径方向強度を提供するブレ
ード構造体を有する装置は、身体中の曲がり血管に適合するために作製される。加えて、
装置は10グラム未満の力を用いて圧縮することができる。これは、動脈壁が振動してい
るので装置が動脈に適応することを可能とする。また、装置は5グラム/cm未満の力を
かけると曲げることができる。
【0026】
本発明の他の態様には、本明細書において記載される装置およびシステムに対応する方法
が含まれる。
【0027】
本発明は、添付図面と併せて考慮する場合に、本発明の以下の詳細説明および添付クレームから一層速やかに明白となる他の利点および特徴を有する。
(項目1)
動脈瘤塞栓のため、血管内に置くための管型装置であって、該装置はブレード要素を形成する格子構造で螺旋状に巻いた材料の複数のストランドを含むと共に、ブレード要素の幅は螺旋状に巻いた材料のストランド数に基づく、装置。
(項目2)
ブレード要素の幅が定数に比例する項目1に記載の装置。
(項目3)
定数がπに等しい項目2に記載の装置。
(項目4)
ブレード要素の幅が、ほぼ、[(π)×(形成装置の直径)]/(螺旋状に巻いた材料のストランド数/2)に等しい、項目1に記載の装置。
(項目5)
ブレード要素が、ブレード要素の幅に基づくリボン角を形成する少なくとも二つの辺を含有する、項目1に記載の装置。
(項目6)
リボン角が、ブレード要素の所定の幅に基づき選択的に構成される項目5に記載の装置。
(項目7)
さらにリボン角が、装置を所定の直径の血管中に組み込むために、設定される項目5に記載の装置。
(項目8)
リボン角のサイズがブレード要素の幅のサイズに正比例する項目7に記載の装置。
(項目9)
さらに装置を包む保護コイルを含む項目1に記載の装置。
(項目10)
螺旋状に巻いた材料のストランド数が装置を包む保護コイルに基づく項目9に記載の装置。
(項目11)
螺旋状に巻いた材料のストランド数が約(720度)/(円弧角)以下である項目10に記載の装置であって、ここで該円弧角は、保護コイルの周辺表面でブレード要素の幅により形成される保護コイルの中心点での角度により規定される、装置。
(項目12)
動脈瘤塞栓のため、血管内に置くための円形コイル中の装置を製造するための方法であって、
該装置は複数の織り交ぜられたリボンを含み、
該方法は、
リボンをコイル中に置き、
置かれた該リボンの計算された円弧角に基づいて装置用に複数のリボンを提供し、
該リボンを織り交ぜて装置を形成する、
段階を含む、方法。
(項目13)
リボンをコイル中に置く段階が、
第1リボンをコイルの内表面と接触させて設置し、
第1リボンの底表面に対する内側円周接線を決め、
第2リボンを内側円周と接触させて置くこと、
を含み、ここで円弧角を計算する段階は第2リボンに基づく、項目12に記載の方法。
(項目14)
円弧角が、第2リボンの幅により形成される保護コイルの中心点での角度により規定される項目13に記載の方法。
(項目15)
複数のリボンが8以上である項目12に記載の方法。
(項目16)
複数のリボンが32以上である項目15に記載の方法。
(項目17)
複数のリボンが48である項目16に記載の方法。
(項目18)
複数のリボンが60である項目16に記載の方法。
(項目19)
複数のリボンが60を超える項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】動脈瘤、分岐血管および動脈瘤への血流の説明図である。
【0029】
【図2A】動脈瘤を治療するための閉塞装置の一つの実施形態を説明する。
【図2B】動脈瘤を治療するための閉塞装置の一つの実施形態を説明する。
【0030】
【図3】マイクロカテーテル内部の圧縮状態にある図2に示される実施形態の説明図である。
【0031】
【図4A】動脈瘤を治療するための閉塞装置の別の実施形態である。
【0032】
【図4B】図4Aの閉塞装置を形成するために用いることができるリボンの部分の断面を説明する。
【図4C】図4Aの閉塞装置を形成するために用いることができるリボンの部分の断面を説明する。
【0033】
【図5】プランジャを用いてマイクロカテーテルから前に進んだマイクロカテーテル内部の圧縮状態にある閉塞装置を示す。
【0034】
【図6】マイクロカテーテル外側に配備され、膨張状態にある図5に示される圧縮閉塞装置を示す。
【0035】
【図7】動脈瘤のネックにかかる血管のルーメン内部に配備された閉塞装置、分岐部および分岐血管を示す。
【0036】
【図8】血管のルーメン中に位置する閉塞装置および血流方向の変化を示す概略図である。
【0037】
【図9】本発明の閉塞装置に較べての従来型ステント上の曲げ力の影響を示す。
【0038】
【図10】加えられた力に対する変形の程度により、従来型のステントに較べての本発明の可撓性を実証する。
【0039】
【図11】望ましい曲がった閉塞装置を提供するブレードの非均一密度を示す。
【0040】
【図12】閉塞装置のブレードの非均一密度のせいでの格子密度または空隙率の差を示す。
【0041】
【図13】動脈瘤のネックを覆う種々の格子密度の閉塞装置を示す。
【0042】
【図14】格子密度が動脈瘤ネック近くの縦軸周りで非対称である血管閉塞装置の実施形態を示す。
【図15】格子密度が動脈瘤ネック近くの縦軸周りで非対称である血管閉塞装置の実施形態を示す。
【0043】
【図16】より密度の低い二つの閉塞装置が組み合わされて単一の二股装置を形成する本発明の実施形態による二股の閉塞装置を説明する。
【0044】
【図17】閉塞装置中の格子のメッシュパターンの例を説明する。
【0045】
【図18】閉塞装置中の格子のブレード要素の例を説明する。
【0046】
【図19】閉塞装置中の格子の別のブレード要素の例を説明する。
【0047】
【図20】血管径に組み込まれる閉塞装置のブレード要素を説明する。
【0048】
【図21】保護コイル例の断面図である。
【0049】
【図22】保護コイルまたは搬送装置中の閉塞装置のリボン寸法を決定する例を説明する。
【0050】
【図23】保護コイルまたは搬送装置中の閉塞装置のリボン寸法を決定する別の例を説明する。
【0051】
【図24】多くのリボンに基づくリボン幅を決定する例を説明する。
【0052】
【図25】血管中の閉塞装置のPPI対自立状態での閉塞装置のPPI間の関係を説明する。
【0053】
【図26】保護コイル中に組み込まれる最大リボン寸法の例を説明する。
【0054】
【図27】格子構造PPIの関数としての閉塞装置中ブレード要素の開口部寸法を示すグラフである。
【0055】
【図28】32リボン閉塞装置のブレードPPIの関数としての血管内PPIを説明する。
【0056】
【図29】32リボン閉塞装置に対するブレードPPIの関数としての被覆率%を説明する。
【0057】
【図30】32リボン閉塞装置に対する格子構造のブレードPPIの関数としての閉塞装置中のブレード要素の開口部寸法を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
添付図面に示される装置は、動脈瘤治療用に意図されている。それらは、一般に、治療し
ようと意図される脳動脈瘤の位置でマイクロカテーテルを用いて配備される。一つのこう
したシステムは、その全体が本明細書において参考のため包含される、2005年5月2
5日に出願された「System and Method for Deliverin
g and Deploying an Occluding Device With
in a Vessel」題の同時継続米国特許出願第11/136,398号明細書に
開示されている。本発明の態様による血管内閉塞装置の実施形態は、外科用クリップ、マ
イクロコイルまたは他の塞栓性装置を用いて一般的に治療される脳動脈瘤を治療するため
に有用である。
【0059】
図1は脳中の一般的な脳動脈瘤10を説明する。動脈瘤10のネック11は、一般的に、
約2〜25mm間の開口部を規定することができる。理解されるように、ネック11は血
管13を動脈瘤10のルーメン12に接続する。図1に見ることができるように、血管1
3内の血流1はルーメン12を通して動脈瘤中に運ばれる。動脈瘤中への一定血流に対応
して、ルーメン12の壁14は膨らみ続け、重大な破裂の危機を呈する。動脈瘤10内の
血液が、壁強度を超える壁14に対する圧力を引き起こす場合に、動脈瘤は破裂する。本
発明はこうした破裂を防ぐことができるであろう。また、図1には、分岐15および側枝
16も示される。
【0060】
図2は、本発明の態様による血管閉塞装置20の一つの実施形態を説明する。図示実施形
態において、閉塞装置20は外表面21、内表面24、および表面21、24間に広がる
薄い壁により規定される実質的に管状の構造体22を有する。複数の開口部23は表面2
1、24間に広がり、閉塞装置20の内部から血管壁への流体流を可能とする。閉塞装置
20は半径方向に圧縮可能であり、縦方向において調整可能である。
【0061】
図3は、マイクロカテーテル25、および患者の血管構造内に放出される前に圧縮状態に
あるマイクロカテーテル25内部の閉塞装置20を示す。
【0062】
図4は、螺旋状のやり方で巻かれる材料(複数を含む)の2以上のストランド31、32
を有する閉塞装置30の別の実施形態を説明する。このやり方でのこうした材料のブレー
ドは、格子構造33をもたらす。理解することができるように、格子33および形成され
る隙間34の寸法は、少なくとも一つには、ストランド材料の厚さ、ストランド数、およ
び閉塞装置30の単位長当りの螺旋数により決定される。例えば、隙間34および/また
は格子33の寸法は、螺旋状のやり方で巻かれる材料(複数を含む)のストランド31、
32の数により決定することが可能である。一つの実施例において、16個のブレードリ
ボンまでのブレードリボンのあらゆる数は用いることが可能である(例えば、5、8、1
0、13、15または16個のブレードリボン)。別の実施例において、16〜32個の
ブレードリボンは用いることが可能である(例えば、20、23、25、27、30、ま
たは32個のブレードリボン)。別の実施例において、例えば、35、40、48、50
、55、60、80、100個、またはそれ以上のブレードリボンは用いることが可能で
ある。それにも拘わらず、他の値も可能である。
【0063】
従って、リボンなどの材料のストランドは、交差してブレードパターンを形成することが
可能である。ストランド材料の交差は、ブレードマンドレルなどの成形装置の表面上に半
径方向または軸方向のいずれかに形成することが可能である。ストランド材料の交差が、
例えば、軸通路に沿っている場合に、交差材料は、固定または可変頻度にあることが可能
である。固定頻度で交差するストランド材料の一つの例として、交差ストランド材料は、
成形装置(例えば、ブレードマンドレル)の表面上の任意の1.0インチ軸通路に沿って
、ピックカウントを示すことが可能である。ストランド材料の交差が半径方向通路または
円周方向通路に沿う場合に、ストランド材料の間隔は均一にまたは変化するように分配す
ることが可能である。間隔が均一に分配される半径方向または周辺通路に沿うストランド
材料の一つの例において、半径方向に沿っての間隔は以下の式に基づき決定することが可
能である:
式(1):(π)×(成形装置径)/(#リボン/2)
【0064】
図18は、半径およびPPI(インチ当りのピックス(picks))方向にあるブレード要
素またはセルの例である。ブレードのあらゆる単一要素(すなわち、ブレード要素)は、
組み合わせて、成形装置(例えば、ブレードマンドレル)の表面上に図17に示すような
メッシュパターンを形成することが可能である。ブレードは体内の管(例えば、血管)中
の流体流(例えば、血液)を妨げるかまたは中断することができる。ブレードまたは格子
パターン、密度、形状、などは、閉塞装置が血管中に配備される場合に、少なくとも部分
的に血管内の流れを決定することが可能である。ブレードまたは格子の各パラメータは、
また、流れを制御するためにユーザーにより制御することが可能である。
【0065】
格子パターン、密度、形状、などを含有する閉塞装置を通過する流れを決定するためのパ
ラメータには、閉塞装置の表面被覆率およびブレードまたは格子パターンのセルサイズが
挙げられる。これらパラメータのそれぞれは、さらに、ブレードまたは格子の構造を特徴
付けることが可能である。表面被覆率は、表面積が枠または固体要素の表面積であり、総
表面積が全体要素(すなわち、枠および開口部)のそれである、(表面積)/(総表面積
)として決めることが可能である。
【0066】
セルサイズはセル開口部を規定する最大長さとして決めることが可能である。セルサイズ
を縮めながら表面被覆率を増大させるブレードパターンは、ブレードまたは格子を通過す
る流れを妨げるかまたは中断する効果を増大させることが可能である。表面被覆率および
セルサイズの各パラメータは、さらに、ストランド材料(例えば、リボン)の幅を変え、
ブレードを規定するストランド材料のストランド数を増大させ、および/またはPPI(
すなわち、インチ当りのピックス)を増大させることにより高めることが可能である。
【0067】
記載されるブレードまたは格子パターンは、さらに、例えば、2、3例を挙げると、スト
ランド(例えば、リボン)数、各リボン/ストランドの幅、ブレードPPI、および/ま
たは成形装置の径(例えば、マンドレルの径)を含む種々のパラメータにより規定するこ
とが可能である。格子パラメータに基づき、脚長さおよびリボン角は決めることが可能で
ある。脚長さはブレード要素のアスペクトの長さを規定することが可能である。例えば、
ブレード要素が図17に示すようにダイアモンド形である場合、ダイアモンド形ブレード
要素の一面の長さが「脚長さ」である。リボン角は、ブレード要素の二つの交差アスペク
トにより作り出される角度を規定することが可能である。図17に示す例において、リボ
ン角はダイアモンド形ブレード要素の二つの隣接面間に形成される角度である。格子パタ
ーン中のブレード要素の半径方向の間隔は半径方向におけるブレード要素の幅を規定する
ことができる。図18は、ブレード要素の半径方向間隔、脚長さおよびリボン角の例を説
明する。
【0068】
格子の半径方向間隔は、以下の式1に記されるように決定することが可能である:
式(1):半径方向間隔=(π)×(成形装置径)/(#リボン/2)
【0069】
ブレード要素は、半径方向間隔または血管径に基づき血管中に組み込むことが可能である
。格子の半径方向間隔は血管径に基づき調整することが可能である。例えば、血管径が小
さい場合、半径方向間隔はより小さい寸法に調整することが可能であり、一方で、ブレー
ド要素の脚の長さは保持することが可能である。また、この実施例において、リボン角は
、また、調整された半径方向間隔を達成するように調整することが可能である。リボン角
を調整することは、また、PPI方向におけるブレード要素の間隔を変えることが可能で
ある。
【0070】
図19は、閉塞装置における格子構造の半径方向間隔およびリボン角を決定する例を説明
する。この例において、格子またはブレードは16個の織り交ぜリボンを含有し、各リボ
ンは0.004インチ幅であり、4.25mmおよび65PPIを有するマンドレルなど
の成形装置上で編まれる。従って、この例において、ブレード要素数は16、リボン幅は
0.004インチ、PPI方向の間隔は1/65=0.01538インチ、および成形装
置の径(例えば、マンドレル径)は4.25mmである。従って、半径方向間隔は:半径
方向間隔=(π)×(成形装置径)/(#リボン/2)=(3.14)×(0.425/
2.54)/(16/2)=0.0657インチ、として計算することが可能である。加
えて、本例の脚の長さは0.0337インチであり、リボン角は153.65度であり、
リボン角および脚の長さに基づくPPI方向のブレード要素の間隔は0.0154インチ
である。
【0071】
図20は、ブレード要素が適切な血管径中に組み込まれた後の図19の例を説明する。こ
の例において、半径方向間隔は、より小さな血管径に合わせるためにより小さな長さに調
整される。脚の長さは0.0337インチ一定であり、そこで、リボン角は半径方向間隔
の変化に基づき変わる。この例において、半径方向間隔は0.06184インチに調整さ
れ、リボン角は132.79度に調整される。また、PPI方向におけるブレード要素の
間隔もまた変えられる。この例において、PPI方向におけるブレード要素の間隔は、0
.0154インチから0.0270インチに増大する。
【0072】
表1は、種々のPPI、リボン幅(RW)、またはリボン数の格子またはブレードパター
ンの追加例を説明する。加えて、表1中の各ブレードパターンは、血管内の同じ被覆率%
を有するパターンを作り出すことが可能である。
【表1】

【0073】
閉塞装置は、血管中の閉塞装置の配置を補強するために保護コイル中に設置することが可
能である。また、閉塞装置は血管内の配置用にカテーテルなどの搬送装置内に収納するこ
とが可能である。閉塞装置は、閉塞装置を収納する保護コイル、搬送装置、またはカテー
テルのサイズに基づくサイズまたは寸法で作り出すことが可能である。例えば、対応する
保護コイル、搬送装置、またはカテーテル中に組み込まれる閉塞装置の格子構造中のスト
ランドまたはリボンの数は、閉塞装置が血管中への配備前に有効に保存されるかまたは収
納されるように、決めることが可能である。一つの実施例において、閉塞装置のストラン
ドは、内層および保護コイルに接触する外層を含む2層構造に重なることが可能である。
【0074】
一つの実施例において、閉塞装置を収納する保護コイル、搬送装置、またはカテーテルな
どのハウジングは、一定のサイズまたは径を有することが可能であり、閉塞装置の特性は
、ハウジングにはめ込むように決めることが可能である。例えば、リボンサイズまたは幅
はハウジングの望ましいサイズに基づき決めることが可能である。このように、ハウジン
グ(例えば、保護コイル、搬送装置、またはカテーテル)のサイズ(または径)は、サイ
ズまたはリボン数が異なることが可能である多様な閉塞装置に対して一定であることが可
能である。
【0075】
図21は保護コイルの断面図の例を説明する。この例において、閉塞装置の格子構造中の
ストランドまたはリボンの数は、保護コイル用に決められる。図21に説明する保護コイ
ルは、径を持つ円形断面積を有する。予備決定された厚さまたはサイズのストランドまた
はリボンは、ストランド/リボンの外表面が保護コイルの内表面に接触するように保護コ
イル内に設置される。ストランド/リボンの内表面は保護コイル内の凹表面を作り出す。
第2ストランド/リボンは、第2ストランド/リボンの外表面が、前もって保護コイル内
に設置されたストランド/リボンの凹表面と接触する内部周辺に接触する。第2ストラン
ド/リボンの一つの先端から第2ストランド/リボンの反対側の先端までの、円形保護コ
イルの中心点からの角度は決められる(すなわち、「円弧角」)。これらの測定値に基づ
き、所定のサイズまたは厚さのストランドまたはリボンの数は、以下のように決めること
が可能である:(円弧角)×(#リボン/2)<=360度(すなわち、#リボン<=7
20度/角)。
【0076】
図21に説明する例において、閉塞装置は0.001×0.004インチのリボンを用い
て構築される。保護コイルの中心点から内層リボンの一つの先端まで引かれた第1線と、
保護コイルの中心点から内層リボンの反対側の先端まで引かれた第2線間の保護コイル中
心でのリボン要素の円弧角は、34.14度である。従って、リボンの計算数は、720
度/34.14度=20リボン以下である。
【0077】
表2は保護コイル中の閉塞装置の格子構造体を取り付けるための各種設計の追加例を説明
する。
【表2】

【0078】
図22は、保護コイルまたは搬送装置中の閉塞装置に対するリボン寸法を決める別の例を
説明する。この例において、格子またはブレード構造を有する閉塞装置はリボン厚さに基
づいた。図22が説明するように、保護コイルまたは搬送装置2301の径は0.017
0インチである。第1リボン2302は、保護コイルまたは搬送装置2301の外表面内
に組み込まれる。第2リボン2303は、内部円周が第1リボン2302の内表面に対し
て接線方向にある円周である、保護コイルまたは搬送装置2301の内表面に接触して設
置される。第2リボン2303は、第2リボン2303の側面端が保護コイルまたは搬送
装置2301の内部円周に接触するように内部円周内に設置される。保護コイルまたは搬
送装置2301の中心点から第2リボン2303の一つの側面先端まで延びる第1線と、
保護コイルまたは搬送装置2301の中心点から第2リボン2303の他の側面先端まで
延びる第2線間の円弧角は、図22に説明するように計算される。
【0079】
この例において、第1および第2リボン2302、2303の最大寸法は、形成される計
算円弧角に基づき決められる。例えば、保護コイルまたは搬送装置2301の内部円周中
に8個のリボンを可能とするために、円弧角は図22が示すように、(360度)/8=
45度と計算することが可能である。45度角に基づき、最大リボン幅は、0.001イ
ンチ厚さの8個のリボンを保護コイルまたは搬送装置2301の内部円周内に組み込むた
めに0.00476インチと決めることが可能である。
【0080】
別の例において、より狭いリボン幅は、材料公差バラツキおよび曲率を補償するために用
いられる。出願人らによる広範囲な調査および実験に基づき、約20%のリボン幅に適用
される公差範囲がこうした材料公差バラツキを補償することができることが見出された。
図23は、閉塞装置のリボン幅に適用される20%公差範囲またはクッションの例を説明
する。
【0081】
この例において、20%追加リボンは閉塞装置において望ましい(すなわち、1.20×
8=9.6リボン)。リボンの最大幅は、上述のように角度を計算することによる望まし
い数の9.6リボンに基づき決めることが可能である。特に、円弧角は、(360度)/
9.6=37.7度と計算することが可能である。この計算に基づき、リボンの最大幅は
図23に示すように0.00405インチと決めることが可能である。従って、この例に
おいて、20%クッションは、最大幅0.00405インチで保護コイルまたは搬送装置
中で9.6リボンを可能とするために適用される。
【0082】
表3は種々のリボン厚さに対するリボン幅の追加例を提供する。表3に提供される例にお
いて、リボン厚さは0.0007インチ〜0.0015インチの範囲にある。
【表3】

【0083】
別の例において、32リボンを含有する閉塞装置が記載される。図24は、保護コイルま
たは搬送装置2501中に組み込むことができるリボン数に基づく32−リボン閉塞装置
のリボン幅を決める例を説明する。この例において、保護コイルまたは搬送装置2501
は、0.017インチ径を有すると共に、保護コイルまたは搬送装置2501の内部円周
中に組み込むことができる最大リボン幅は、図24に説明するように(360度)/(3
2/2)=22.5度の円弧角を提供する。従って、保護コイル2501の内部円周に沿
って16リボンを組み込むために、リボンの幅は、図24に説明するように0.0008
0インチの厚さにより0.00266インチであると決められる。同様に、20%クッシ
ョンは、材料公差バラツキを補償するようにより狭いリボン幅に提供するためにリボン幅
に適用することが可能である。この例において、修正リボン幅は(360度)/19.2
=18.75度の新円弧角要求値に基づき決めることが可能である。表4は32−リボン
閉塞装置に対する最大リボン幅を提供する。
【表4】

【0084】
あるいは、リボンのより大きな数は、閉塞装置中に含むことが可能である。例えば、スト
ランドまたはリボンは、40、44、48、50、56、60、64、70、76、80
、90、100、100以上など32を超えて増大することが可能である。あらゆる望ま
しい数のリボンに対して、リボン幅は記載されるような計算角度またはリボン厚さに基づ
き決めることが可能である。加えて、クッションは記載されるようにリボン幅に適用する
ことが可能である。
【0085】
別の例において、特大の閉塞装置は血管に対して用いることが可能である。例えば、血管
ルーメンのサイズに対してより大きな閉塞装置は、血管のルーメン内の閉塞装置の向上し
た固定化をもたらすことが可能である。図25は、血管中の所定位置にある閉塞装置のP
PI(「血管内PPI」)対自立状態にある閉塞装置のPPI(「ブレードPPI」)間
の関係を説明する。図25中のグラフは、各設計に対して、血管中の所定位置の閉塞装置
のPPIが、自立状態にある閉塞装置のピックカウントが増大するにつれて最大値に近づ
くことを実証する。例えば、4mm血管設計に対して、自立式閉塞装置のPPIが増大す
るにつれて、血管中の閉塞装置のPPIは血管内PPIが約45に達するまで増大する。
血管内PPIが約45に達する時に、ブレードPPIのさらなる増加は、血管内PPIの
ほんのごく小さな増加しかもたらさない。また、図25に説明するように、異なる血管設
計(例えば、3mm血管設計または5mm血管設計)は、血管内PPIが高ブレイドピッ
クカウントに対する最大値に近づく類似の挙動をもたらす。
【0086】
同様に、図28は32リボン閉塞装置のブレードPPIの関数としての血管内PPIを示
す。図28に示す例において、血管内の閉塞装置のPPI(「血管内PPI」)は、自立
状態にある閉塞装置のPPI(ブレードPPI)としての最大値に近づく。図28は、ま
た、代わりの血管設計を説明する。各血管設計に対して図28の血管設計の例において見
ることができるように、血管内PPIは、ブレードPPIが増大するにつれて漸近的に最
大値に近づく。
【0087】
同様に、閉塞装置の被覆率は、リボン幅またはブレードPPIに基づくことが可能である
。図26は、リボンが0.00467インチ幅および0.001インチであると共に、保
護コイル中に組み込まれる最大リボンサイズである例を示す。図26が示すように、被覆
率は約65〜100PPI範囲で最大値に近づく。この例において、被覆率%は、0.0
01”X0.00467”リボンに対しては約40%、0.001”X0.004”リボ
ンに対しては34%に近づく。
【0088】
図29は32リボン閉塞装置に対するブレードPPIの関数としての被覆率%を示す。図
29が実証するように、被覆率%は、ブレードPPIが増大するにつれて最大値に近づく
。例えば、0.0008X0.00266インチリボンを含有する閉塞装置に対して、被
覆率%はブレードPPIが約150を超えて増大するにつれて約43%の最大値に近づく
。また、0.0008X0.0020インチリボンを含有する閉塞装置に対して、被覆率
%は、ブレードPPIが約150を超えて増大するにつれて約35%の最大値に近づく。
【0089】
図27は格子構造のPPIの関数としての閉塞装置中のブレード要素の開口部サイズを示
すグラフである。PPIが増大するにつれて、流体(例えば、血液)が流れる開口部サイ
ズまたは空間は減少する。格子構造のPPIが約100に到達する際に、血管内の所定の
位置にある場合にブレード要素の開口部サイズは、漸近的に最小値に近づく。図27中に
示す例において、0.001X0.004インチのリボンサイズに対して、血管中の閉塞
装置の格子構造中のブレード要素の開口部サイズは1280ミクロン以下に近づく。同様
に、0.001X0.00467インチリボンサイズに対して、血管内閉塞装置の格子構
造中のブレード要素の開口部サイズは約1220に近づく。
【0090】
図30は32リボン閉塞装置に対する格子構造のブレードPPIの関数としての閉塞装置
中のブレード要素の開口部サイズを示す。図30が実証するように、ブレード要素の開口
部サイズは、ブレードPPIが増大するにつれて最大値に近づく。例えば、0.0008
X0.00266インチリボンを含有する閉塞装置に対して、開口部サイズはブレードP
PIが約150を超えて増大するにつれて約600ミクロン未満の最小値に近づく。また
、0.0008X0.0020インチリボンを含有する閉塞装置に対して、開口部サイズ
は、ブレードPPIが約150を超えて増大するにつれて約640の最小値に近づく。
【0091】
閉塞装置30は、膨張式バルーンなどの補助的な半径方向の膨張力に対する必要性なしで
、半径方向に圧縮性であり半径方向に膨張性である。閉塞装置30は二つのストランド(
反対方向の31、32)を巻くことにより構築される。あるいは、2を超えるストランド
は種々の方向に巻くことが可能である。例えば、8、10、12、14、22、28、3
0、32、36、40、44、48、52、58、64、70、86、90、110、1
16、120、128、136、150またはそれを超えるストランドは、種々の方向に
巻くことが可能である。一つの実施形態において、ストランド31、32は長方形リボン
形状にある(図4Cを参照すること)。リボンはニチノール、白金およびステンレス鋼な
どの形状記憶材料を含む公知の可撓性材料から形成することができる。
【0092】
ストランド31、32用のブレード材料として用いられるリボンは、長方形断面35(図
4C)を含むことができる。図4Cおよび7に示すように、血管内表面と噛み合う表面3
6は、表面36、37間に延びる壁38(厚さ)に較べた場合、より長い寸法(幅)を有
する。長方形断面を有するリボンは、円形(丸い)断面を有するワイヤーに較べた場合に
、同じ壁厚に対するより高い回収(膨張)力を有する。加えて、平坦なリボンは、閉塞装
置20の一層コンパクトな圧縮を可能とし、それがより大きな表面積上で半径方向の膨張
力を分配するので、配備される場合に血管壁へのより少ない外傷を引き起こす結果となる
。同様に、平坦なリボンは、それらの表面積(幅)が丸いワイヤー装置に較べて所定の厚
さでより大きいので所定の格子密度に対して一層可撓性のある装置を形成する。
【0093】
図示実施形態は長さがその厚さよりも大きい長方形断面を有するリボンを開示するが、一
方で、開示される閉塞装置の代替実施形態用のリボンは、四角の断面積を含むことが可能
である。別の代替実施形態において、リボンの第1部分は長方形断面の第1形態を含むこ
とが可能であり、リボンの第2部分39(図4B)は、円形、楕円形、長円形または長方
形断面の代替形態を含むことが可能である。例えば、リボンの末端部は実質的に円形また
は長円形断面積部分を有することが可能であり、リボンの中間部は長方形断面部分を有す
ることができるであろう。
【0094】
上述の代替実施形態において、閉塞装置30は2を超えるリボンのストランドを巻くこと
により形成することができる。一つの実施形態において、閉塞装置30は16ものリボン
のストランドを含むことができるであろう。別の実施形態において、閉塞装置30は、例
えば、32ものリボンのストランド、48ものリボンのストランド、60ものリボンのス
トランド、80ものリボンのストランド、100ものリボンのストランド、150ものリ
ボンのストランド、または150を超えるリボンのストランドを含むことができる。半径
方向に膨張するステントを製造する際に用いられる標準技術を用いることにより、リボン
の厚さまたはワイヤーの径よりも大きな隙間34を有する閉塞装置30を作り出すことが
できる。リボンは各種幅を有することができる。こうした実施形態において、異なるリボ
ン(複数を含む)は、閉塞装置30および血管壁に対する構造支持を提供するために異な
る幅(複数を含む)を有することができる。開示された実施形態によるリボンは、また、
各種材料から形成することができる。例えば、1以上のリボンは、本明細書において開示
されるような生体適合性材料から形成することができると共に、1以上のリボンは生体適
合性ポリマーから形成することができる。
【0095】
図5は、マイクロカテーテル25内に位置付けられる半径方向に圧縮された血管内閉塞装
置30を示す。一つの実施形態において、閉塞装置30は、物理的にカテーテル先端に付
着することができるであろう。これは、閉塞装置30をマイクロカテーテルの遠心先端部
分中に拘束することにより達成することができるであろう。マイクロカテーテル25は、
プランジャ50によりガイドワイヤー(示されていない)上をゆっくりと進み、マイクロ
カテーテル25の先端が動脈瘤に達した時に、閉塞装置は先端から放出される。閉塞装置
30は血管サイズまで膨張し、閉塞装置30の表面は、今度は、図6に示すように血管壁
15に並ぶ。閉塞装置30を搬送し配備するための機器および方法は、上で参照した同時
係属出願書中に開示されている。
【0096】
図7に関して、閉塞装置30は、動脈瘤10を有する脳血管13のルーメンの内側に配備
される。その配備の間、閉塞装置30の近接端部43は、分岐部15および閉塞装置30
の遠心端45が、動脈瘤10のネック11を越えて血管13のルーメン壁に対してしっか
りと置かれる前に、血管13のルーメン壁に対してしっかりと置かれる。閉塞装置30が
血管13内の望ましい箇所に適正に置かれた後に(例えば、図7を参照すること)、動脈
瘤10のルーメン内部の流れは有意に最小化されるが、一方で、血管13内の軸流は一つ
には壁38の最小厚さのせいで有意に危うくなることはない。
【0097】
動脈瘤10中への流れは、リボンの格子密度および得られる表面被覆率により制御される
。より大きな格子密度を有する面は減じた半径方向(横)の流れを有する。逆に、より小
さな格子密度の面は閉塞装置30を通しての有意な半径方向の流れを可能とする。以下に
検討されるように、閉塞装置30は、異なる密度の縦方向に伸びる(側部)面を有するこ
とができる。これらの面それぞれにおいて、それらの周辺密度は一定であるか、または変
わることができる。これは隣接側面を通しての異なるレベルの流量を提供する。より大き
な密度を有する面の血管内の位置は、閉塞装置30対動脈瘤10およびあらゆる血管分岐
部15、16の相対的位置が測定できるように、放射線的に識別することができる。閉塞
装置30は、また、放射線不透過性マーカーを含むことができる。
【0098】
動脈瘤10内の血流の減少は、壁14に対する力の減少および対応する血管破裂の危険性
の減少をもたらす。動脈瘤10に入る血液の力および体積が閉塞装置によって減じられる
場合に、動脈瘤10中への層流が止められ、動脈瘤内の血液が淀み始める。動脈瘤10の
ルーメン12を通しての連続流とは対照的に血液の淀みは、動脈瘤10における血栓症を
もたらす。これも、また、動脈瘤破裂から保護する。加えて、分岐部15での閉塞装置3
0部分の密度のせいで、閉塞装置30中の開口部(隙間)34は、血液が血管の分岐部1
5および側枝16に流れ続けることを可能とする。分岐部15が図8に示すように動脈瘤
の下流である場合、閉塞装置30の存在は、なお、血液を動脈瘤10から離して分岐部1
5中に導く。
【0099】
本明細書において記載される閉塞装置は血管構造の曲がりにも適合する可撓性を有する。
これは、血管構造が対照的に本質的にそれらの形状に適合することを引き起こす冠動脈ス
テントに対比される。血管構造の形状に適合する能力は、脳内の血管構造が一段と小さく
蛇行性であるので、冠動脈ステントよりも神経血管閉塞装置に対してより重要である。表
5および6は、クレームされた神経血管閉塞装置のこれらの特性を実証する。開示された
閉塞装置が極めて望ましい曲がり特性を示すことを実証するために、以下の実験を行った
。本発明者らにより作製された閉塞装置は、図9に示すように、支持体表面90上に載せ
られる。閉塞装置30の約0.5インチは不支持のままであった。次に、測定された量の
力を、閉塞装置が出発点から90度反れるまで不支持先端にかけた。類似の長さの市販さ
れている冠動脈ステントを、同じ曲げモーメントにさらした。結果を表5に示す。減じた
圧縮力と同様に、本発明の閉塞装置は、一桁低い曲げモーメントしか必要としなかった(
冠動脈ステントに対する0.05lb−inに較べて0.005lb−in)。
【表5】

【0100】
本発明による閉塞装置は、また、冠動脈ステントに較べて高まった圧縮性(すなわち、与
えられた力に対して、どれだけの圧縮を達成することができるであろうか、または望まし
い圧縮を達成するためにどれだけの力が使われるべきであるか)を提供する。高度に圧縮
性でない血管内装置は、高度に圧縮性装置に較べて血管壁上でより多い力を使う傾向があ
る。これは、低圧縮性を有する血管内装置を有することが有害であるので、脳血管構造に
おいて重要な臨床効果がある。
【表6】

【0101】
図11〜13は、閉塞装置60の格子構造63が閉塞装置60の長さに沿って非均一であ
る閉塞装置60の実施形態を示す。動脈瘤のネックに配備されがちである部分の閉塞装置
60の中間部分65において、格子密度63aは、閉塞装置60中の他箇所での格子密度
よりも意図的に有意に高い値に増大される。例えば、図11に見られるように、格子密度
63Aは隣接部分64中の格子密度63よりも有意に高い。一極端で、格子密度(隙間に
より提供される空隙率)は、ゼロであることができるであろう、すなわち、閉塞装置60
は完全に不透過性である。別の実施形態において、中間部分65中の格子密度63Aは約
50%であることができるであろう、一方で、閉塞装置の他の部分64中の格子密度は約
25%である。図12は曲がった構造におけるこうした閉塞装置60を示し、図13は血
管のルーメン中に配備されるこの閉塞装置60を示す。図13は、また、動脈瘤10のネ
ックに沿って位置する格子密度3A増の格子密度63を有する閉塞装置60の部分を説明
する。あらゆる開示閉塞装置と同様に、閉塞装置60の少なくとも一つの部分の格子密度
は、約20%〜約80%間であることができる。これらの実施形態の格子密度は約25%
〜約50%間であることができるであろう。
【0102】
閉塞装置300の別の実施形態は図14および15に示される。この実施形態において、
閉塞装置300は動脈瘤を有する血管のルーメン中に配備される。閉塞装置300は動脈
瘤のルーメンに面する表面310を含む。この表面310は正反対表面320に較べて有
意により高い格子密度(より小さいおよび/またはより少ない隙間)を有する。表面31
0のより高い格子密度のせいで、より少ない血液が動脈瘤のルーメン中に流入する。しか
し、側枝に面する表面320の格子密度は減じないので、側枝に対する血流に与える悪影
響はない。
【0103】
本明細書において開示されるあらゆる閉塞装置は第2の閉塞装置と共に用いて、図16に
示す二股の閉塞装置400を作り出すことができる。この装置は生体内で作り出すことが
できるであろう。閉塞装置400を形成する上で、低密度を有する第1閉塞装置410の
一部は、また低密度を有する第2閉塞装置410の一部と組み合わせることができる。閉
塞装置410、420は本明細書において検討されたあらゆるものであることができる。
二つの閉塞装置410、420のこれらの部分が織り合わされたやり方で組み合わされて
織り合わせ領域425を形成した後、残留部分414、424は異なる方向に分岐し、そ
れによって、分岐の二つの枝に沿って伸びることができる。織り合わせ領域425の外側
の面は、動脈瘤を治療するためのより大きな格子密度、または血管の分岐部15、16に
対する流れを可能とするためのより少ない格子密度を有することができる。
【0104】
本開示閉塞装置それぞれに対する格子密度は、その閉塞装置の表面積の約20%〜約80
%であることができる。一つの実施形態において、格子密度は、その閉塞装置の表面積の
約20%〜約50%であることができる。なお別の実施形態において、格子密度はその閉
塞装置の表面積の約20%〜約30%であることができる。
【0105】
0.005インチ幅リボンを有する16ストランドブレード、30ピックス/インチ(P
PI)(インチ当りの交差点/接触点の数)、および0.09インチ外径を有する一般的
な閉塞装置は、約30%の格子密度(リボンにより覆われる表面)を有する。本明細書に
おいて用いられる開示された実施形態において、リボンは約0.002インチ〜約0.0
05インチ間の幅を有する約0.001インチ厚さであることができる。一つの実施形態
において、リボンは約0.004インチの厚さを有する。約0.001インチ厚さおよび
約0.004インチ幅である16−ストランドリボンに対して、50PPI、40PPI
、および30PPIに対する被覆率は、それぞれ、約40%、32%および24%の表面
被覆率を有する。約0.001インチ厚さおよび約0.005インチ幅である16−スト
ランドリボンに対して、50PPI、40PPI、および30PPIに対する被覆率は、
それぞれ、約50%、40%および30%の表面被覆率である。
【0106】
リボン用のサイズを選択する上で、リボンを束ねる場合に、それらがマイクロカテーテル
を横断することは考慮されなければならない。例えば、0.006インチ幅リボンの16
ストランドは、0.027インチ以下の内径を有するマイクロカテーテルを通過しないこ
とが可能である。しかし、リボンの幅が小さくなるにつれて、復元力は比例的に低下する
ことが可能である。
【0107】
他のストランド構造は用いることが可能であるが、一方で、丸型などのこれらの他の構造
は、それらの厚さ寸法のため装置を限定する。例えば、0.002インチ径を有する丸い
ワイヤーは、血管内の断面空間中0.008インチを占拠する。この空間は血管を通して
血流に影響を及ぼし、中断することができる。血管中の流れはこの径の変化により中断す
ることができる。
【0108】
詳細な説明は多くの特定例を含有するが、これらは、本発明の範囲を限定するとして解釈
されるべきではなく、単に本発明の各種実施例および態様を説明するものとして解釈され
るべきである。本発明の範囲が上では詳細に検討されていない他の実施形態を含むことは
、理解されるべきである。当業者に明白である種々の他の修正、変化および変形は、添付
クレームにおいて定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に
おいて開示される本発明の配置、操作および方法および装置の詳細において行うことが可
能である。従って、本発明の範囲は、添付クレームおよびそれらの合法的な同等物により
決められるべきである。さらに、要素、成分または方法段階は、要素、成分または方法段
階が明白にクレームにおいて列挙されるかどうかに関係なく、一般公衆に開放されること
については全く意図されていない。
【0109】
クレームにおいて、単数形における要素に対する言及は、特記のない限り「一つおよびた
った一つ」を意味するようには意図されていなくて、むしろ「1以上」を意味することを
意味する。加えて、クレームにより包含しようとするために、一つの装置または方法が本
発明の異なる実施形態により解決可能である全ての問題に対応することは、必ずしも必要
でない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置と、
自己膨張性装置と
を含み、
該自己膨張性装置は、該搬送装置内にあって、該該搬送装置の先端から取り外し可能であり、断面において、ストランドを有する第1の層と、ストランドを有する第2の層とを含み、該第1の層のストランドと、該第2の層のストランドとは、可撓性のある管状体として配置される格子構造で螺旋状に巻かれており、
該自己膨張性装置の該第1の層は、第1の断面直径を含み、該第1の層のストランドの各々は、該第1の層の隣接するストランドから円弧角だけ周囲に空間を空けており、該円弧角は、360度を該第1の層内のストランドの数で割ることによって計算され、該搬送装置に関しては、該第1の層のストランドの各々は、ストランド断面寸法を含み、該ストランド断面寸法は、およそ(該搬送装置の内表面の円周)/(該第1の層内のストランドの総数)以下であり、
該装置の該第2の層は、該第1の断面直径とは異なる第2の直径を含み、該第2の層のストランドの各々は、該第2の層の隣接するストランドから該円弧角だけ周囲に空間を空けており、該第2の層のストランドの各々は、ストランド断面直径を含み、
該自己膨張性装置は、該搬送装置の外側に膨張したとき、40%以下の表面被覆率を有するように構成される、システム。
【請求項2】
前記自己膨張性装置のストランドの総数は、32、48、または64である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記自己膨張性装置は、65、130、または260のインチ当りのピックスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ストランド断面寸法は、20%の公差を有する最大値を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ストランドの第1の層は、前記搬送装置の内表面に接触し、前記ストランドの第2の層は、該第1の層に接触する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記搬送装置は、保護コイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
搬送装置と、
自己膨張性装置と
を含み、
該自己膨張性装置は、該搬送装置内にあって、該該搬送装置の先端から取り外し可能であり、断面において、ストランドを有する第1の層と、ストランドを有する第2の層とを含み、該第1の層のストランドと、該第2の層のストランドとは、可撓性のある管状体として配置される格子構造で螺旋状に巻かれており、
該装置の該第1の層は、第1の断面直径を含み、該第1の層のストランドの各々は、該第1の層の隣接するストランドから第1の円弧角だけ周囲に空間を空けており、該第1の円弧角は、360度を該第1の層内の第1のストランドの数で割ることによって計算され、該搬送装置に関しては、該第1の層のストランドの各々は、ストランド断面寸法を含み、該ストランド断面寸法は、およそ(該搬送装置の内表面の円周)/(該装置内のストランドの総数の半分)以下であり、
該装置の該第1の層は、該第1の断面直径とは異なる第2の断面直径を含み、該第2の層のストランドの各々は、該第2の層の隣接するストランドから第2の円弧角だけ周囲に空間を空けており、該第2の円弧角は、360度を該第2の層内の第2のストランドの数で割ることによって計算され、該第2の層のストランドの各々は、該ストランド断面寸法を含み、
該自己膨張性装置は、該搬送装置の外側に膨張したとき、40%以下の表面被覆率を有するように構成される、システム。
【請求項8】
前記装置のストランドの総数は、32、48、または64である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記装置は、65、130、または260のインチ当りのピックスを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ストランド断面寸法は、20%の公差を有する最大値を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ストランドの第1の層は、前記搬送装置の内表面に接触し、前記ストランドの第2の層は、該第1の層に接触する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記搬送装置は、保護コイルを含む、請求項7に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−81868(P2013−81868A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27627(P2013−27627)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2009−512043(P2009−512043)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】