説明

可撓性防汚不燃膜材料

【課題】 建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354)に適合し、かつ、屋外設置による汚れ防止効果、及び雨筋汚れ防止性に優れたシリコーン樹脂被覆による可撓性不燃膜材料の提供。
【解決手段】 難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を設け、この防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層、及び防水被覆層とケイ素化合物縮合層との間に、シリコーン成分含有樹脂、反応性シロキサン化合物、必要に応じてさらにポリイソシアネート化合物を含む組成物から形成された中間層を設ける。必要により輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射発熱性試験で、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテント構造建築物に用いられる、不燃性、または難燃性を有し、かつ、防汚性に優れた可撓性膜材料に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、本発明は、シリコーン樹脂及び、光触媒物質を含み、高い防燃性及び防汚性を具備している可撓性不燃膜材料に関する。本発明の可撓性防汚不燃膜材は特に平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合するものである。
【背景技術】
【0002】
ドーム球場、スポーツスタジアム、パビリオン、イベント会場施設など数百〜数万の観衆を収容する施設に用いられる構造物用膜材料には、安全確保のため高度な防災設計が求められる。例えばこれらの天蓋部、屋根部、側壁部を構成する材料は難燃性または不燃性を有することが必要である。また、これらの構成部材は(社)日本膜構造協会が定める膜材料A種、もしくは膜材料B種に適合し、品名登録された膜材の単体使用、もしくは他の建材との併用によって構成されるものである。これらの膜材は、ガラス繊維織物基布に、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、クロロプレンゴムなどによる被覆層を設けたものが主であり、一般的にフッ素樹脂被覆膜材はドーム球場、スポーツスタジアムのような恒久性施設に用いられ、塩化ビニル樹脂被覆膜材は博覧会用パビリオン、イベント会場など、数年の使用を前提とする施設に用いられている。また、フッ素樹脂被覆膜材と塩化ビニル樹脂被覆膜材との中間的存在としてガラス繊維織物基布にシリコーン樹脂被覆層を設けた膜材が高度な防炎性を有し、しかも燃焼時に発生するガス量が少ないことで、火災時の避難・誘導効果が大きいものとして近年注目されている。このようなシリコーン樹脂被覆膜材は、最近ではオフィスビル、デパート施設のエレベーター周り、避難路周りに設置される非常用耐火シャッター・遮煙垂幕としての需要が増加している。
【0003】
このようにシリコーン樹脂被覆膜材は火災被害拡大防止に有効な膜材である反面、シリコーン樹脂被覆層の耐摩耗性に劣るため動的耐久性に乏しく、またシリコーン樹脂特有の粘着性によって埃や油性煤塵(主に燃焼排気ガスなどに由来するカーボン煤と砂埃・土埃との混合物)を寄せ付易いため屋外使用時に極めて短期間で汚れてしまい膜構造施設外観の見栄えを悪くする問題があった。これらシリコーン樹脂被覆膜材の汚れの問題を解決したシートとして、以前出願人は、不燃性繊維布帛を含むシリコーン樹脂(ゴム)積層体の表面をアクリル樹脂、弗素含有樹脂で被覆して防汚性を付与した不燃性シート(特許文献1:特開昭61−277436号公報)、例えば、無機繊維と有機耐熱性繊維からなる基布を含むシリコーン樹脂(ゴム)積層体の表面をアクリル樹脂、弗素含有樹脂により被覆して防汚性を付与した難燃性シート(特許文献2:特開昭61−185443号公報)、例えば、ガラス繊維布帛を含むシリコーン樹脂(ゴム)積層体の表面をアクリル樹脂/弗素含有樹脂構成のフィルムで被覆して防汚性を付与した不燃性シート(特許文献3:特開昭60−244546号公報)、例えば、有機耐熱性繊維布帛を含むシリコーン樹脂(ゴム)積層体の表面をアクリル樹脂/弗素含有樹脂構成のフィルムにより被覆して防汚性を付与した難燃性シート(特許文献4:特開昭61−172736号公報)を提案した。確かに、これらのシートは難燃性、または不燃性の積層体の表面に、アクリル樹脂層、または弗素含有樹脂層を設けることによって膜材表面に付着・堆積する煤塵汚れを洗浄・除去し易くする効果を得ることが可能である。しかし、これらの膜材は降雨による自浄性を有さないため、膜構造施設の外観維持には定期的に洗浄メンテナンスを行う必要があるが、定期的な洗浄メンテナンスを怠ると防汚層を設けた膜材であっても埃や油性煤塵の自然堆積によって外観汚れを伴うものであった。特に防汚層として設けた弗素含有樹脂層は疎水性を有することで油性煤塵との親和性が良いため弗素含有樹脂層を設けたにも係らず、使用環境によってはかえって膜材が汚れ易いという問題、さらには膜構造施設の側壁面に目立った筋状の汚れ、いわゆる雨筋汚れを発生する問題を有している。雨筋汚れとは屋外建材や交通車輌の表面に付着・堆積した煤塵汚れの一部が少ない降雨により泥水水滴化して重力方向に流れ落ちることで発生し、表面がフラットで疎水性を有するほど雨水流れは目立った線状(ストライプ)を形成する。この泥水の滴下流れが乾燥して出来るのが雨筋汚れであり、不等間隔模様に形成される。この雨筋汚れが一旦形成されると、降雨の度にこのストライプを辿って泥水が流れる傾向があり、これにより徐々に黒ずみを増して経時的に洗浄困難な雨筋汚れに成長するのである。
【0004】
最近、出願人はこれらの施設構造物用膜材料の防汚技術、特に雨筋汚れ防止技術として、キャンバスターポリン類に光触媒物質を塗布した中大型テント用膜材(例えば、ポリエステル繊維織物を基布として含む軟質塩化ビニル樹脂被覆積層体の最外層に光触媒酸化チタン層を設けた防汚シート;特許文献5:特開2001−98464号公報、特許文献6:特開2001−199014号公報)を提案した。確かにこれらの膜材は光触媒作用により優れたセルフクリーニング性を発揮し、従来の膜材に比較して美観持続性に優れながら消防法に適合する防炎性も有する膜材であるが、燃焼時に塩化水素を含む刺激性ガスを多量に発生させることで火災時の避難安全性に不安があった。一方、出願人は繊維織物を基布として含むポリオレフィン系樹脂被覆積層体の最外層に光触媒酸化チタン層を設けた防汚シート;特許文献7:特開2002−52667号公報)を提案した。この膜材は燃焼時に刺激性ガスを多量に発生させることはないが、燃焼熱が大きく、さらに樹脂被覆層が揮散消失するために、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合することは困難である。また、繊維布帛を含むシリコーンエラストマー積層体の表面に光触媒粉末を固着して防汚性を付与したシート状物(特許文献8:特開平10−202794号公報)が提案されている。このシート状物はシリコーンエラストマー組成物を塗布し、次いでその表面に光触媒能を有する酸化チタン粉末を付着させて担持させた後、シリコーンエラストマー組成物を硬化させることにより得られるものである。しかしこの方法で得られるシート状物ではシリコーンエラストマー組成物と酸化チタン粉末の密着性が十分でなく、従ってこのシート状物を器具洗浄した場合、摩擦で酸化チタン粉末が徐々に脱落してしまい、防汚性能を持続して得ることができないものであった。またこのシート状物はシリコーンゴム特有のタックを有しているため煤塵を多量に付着してシート状物全面を煤塵で覆い尽くし、光触媒に作用する紫外線量を大幅にカットすることで光触媒によるセルフクリーニング効果が発揮されず、その結果十分な防汚効果が得られないのが実情である。従って、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合する施設構造物用の不燃性膜材料であって屋外設置による汚れ防止効果、とりわけ雨筋汚れ防止性に優れた恒久膜材で、特にシリコーン樹脂被覆された不燃テント膜材料、及び建築材料用防汚不燃膜材料は存在していなかったのである。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−277436号公報
【特許文献2】特開昭61−185443号公報
【特許文献3】特開昭60−244546号公報
【特許文献4】特開昭61−172736号公報
【特許文献5】特開2001−98464号公報
【特許文献6】特開2001−199014号公報
【特許文献7】特開2002−52667号公報
【特許文献8】特開平10−202794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はドーム球場、スポーツスタジアム、パビリオン、イベント会場施設など数百〜数万の観衆を収容する膜構造施設に用いられ、恒久性の高い可撓性防汚不燃膜材料で、特に平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合し、かつ、屋外設置による汚れ防止効果、及び雨筋汚れ防止性に優れた可撓性防汚不燃膜材料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討を行った結果、難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を設け、この防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層、及び防水被覆層とケイ素化合物縮合層との間に、a).シリコーン成分含有樹脂、b).反応性シロキサン化合物、必要に応じてさらにc)ポリイソシアネート化合物を含む組成物から形成された中間層を設けた可撓性シートが輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないことが可能であり、さらにこれらのシートの防汚効果、とりわけ雨筋汚れ防止性に優れていることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の可撓性防汚不燃膜材料は、難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を有し、前記防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層が設けられた可撓性シートであって、かつ前記防水被覆層と前記ケイ素化合物縮合層との間に、(A-1)シリコーン成分含有樹脂成分と、(A-2)反応性シロキサン化合物成分とを含む組成物から形成された中間層が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記中間層用シリコーン成分含有樹脂成分(A-1)が、シリコーン−アクリル共重合樹脂、シリコーン−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−アクリル−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−フッ素−ウレタン共重合体、及びシリコーン・アクリル・ハイブリッド樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃膜材料において、前記中間層用組成物が、さらにポリイソシアネート化合物成分を含んでいてもよい。
本発明の可撓性防汚不燃膜材料において、前記官能基含有シロキサン化合物成分(A-2)が下記化学式(I),(II)及び(III)により表される化合物:
【化1】

〔但し、上記式(I),(II)及び(III)において、Xはハロゲン基、OH基、NH基、SH基、COOH基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、エポキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基及びビニル基の何れか1種を表し、
はアルキレン基、Rはアルキル基、アルコキシ基、及びアルキルエステル基の何れか1種を表し、nは1以上の整数を表し、mは1または2を表す。〕
から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記ケイ素化合物縮合層を形成するケイ素化合物成分(A-2)が、ポリシラザン、オルガノシリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記ケイ素化合物縮合層が、さらにシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化ニオブゾル、及びチタンゾルから選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の防汚不燃テント膜材において、前記光触媒物質が、酸化チタン(TiO)、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、及びこれらのドーピング物質から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記防水被覆層が、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、及びクリストバライトから選ばれた1種以上からなる補強性充填剤粉末を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記基布用不燃繊維が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の無機繊維を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記基布用難燃繊維が、アラミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、及びポリフェニレンサルファイド繊維から選ばれた1種以上の有機耐熱繊維を含むことが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃テント膜材料において、前記基布が、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物で下処理されたものであることが好ましい。
本発明の可撓性防汚不燃膜材料は、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の可撓性防汚不燃膜材料は、難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、シリコーン樹脂被覆された可撓性積層体であり、この積層体の表面に光触媒物質を含有層が設けられた恒久不燃膜材であり、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合するのみならず、光触媒物質含有層、またはその下地防水被覆層にシリコーン成分含有樹脂と、官能基含有シロキサン化合物、必要に応じてさらにポリイソシアネート化合物を含むことによって本発明の防汚不燃テント膜材料の表面滑り性を向上させ、これによって本発明の防汚不燃膜材への煤塵付着を本質的に減少させ、拠って光触媒物質含有層表面を煤塵で遮断することなく、効率的に光触媒機能を発揮することが可能であり、従って本発明の防汚不燃膜材料は優れた防汚性、及び雨筋汚防止性を有するものである。また本発明の防汚不燃膜材は、上記構成によりシリコーン樹脂被覆された可撓性積層体と光触媒物質含有層とが強固に結着しているので、光触媒物質が脱落することがなく、拠って不燃膜材の初期外観を長期に渡って維持することができる。従って本発明の防汚不燃膜材料は、数百〜数万の観衆を収容するドーム球場、スポーツスタジアム、パビリオン、イベント会場などの恒久施設において、天蓋部、屋根部、側壁部を構成する不燃材料としての使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の可撓性防汚不燃膜材料は、難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を設け、この防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層、及び前記防水被覆層と前記ケイ素化合物縮合層との間に(A-1)シリコーン成分含有樹脂成分と、(A-2)反応性シロキサン化合物成分及び、必要に応じて(A-3)ポリイソシアネート化合物成分をさらに含む組成物から形成された中間層を設けた可撓性シートである。
【0011】
本発明の防汚不燃膜材料の防水被覆層形成に使用できるシリコーンエラストマーとしては、付加反応硬化型シリコーンエラストマー、縮合反応硬化型シリコーンエラストマー、ラジカル(パーオキサイド架橋)反応硬化型シリコーンエラストマーが使用でき、特にトルエン等で希釈してコーティングが可能で、しかも低温硬化ができる付加反応硬化型シリコーンエラストマーが好ましい。付加反応硬化型シリコーンエラストマーは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基が付加反応により結合して架橋しエラストマー化したもので、これらは例えば、ビニル基やヘキセニル基のような脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金族化合物系触媒からなるシリコーンエラストマーが挙げられる。脂肪族不飽和基含有オルガノポリシロキサンとしては、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ビニルメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが挙げられ、これらの付加反応硬化型シリコーンエラストマーは加熱によって硬化可能であり、付加的成分として増量充填剤、耐熱剤、難燃剤、有機顔料、無機顔料、有機溶剤などを含有することができる。
【0012】
縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基、またはオルガノポリシロキサンとシリカやシラン等のケイ素化合物中の官能基が縮合反応により結合して架橋しエラストマー化したものである。縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、脱水素縮合型、脱水縮合型、脱酢酸縮合型、脱オキシム縮合型、脱アルコール縮合型、脱アミド縮合型、脱ヒドロキシルアミン縮合型、脱アセトン縮合型の何れであってもよく、付加成分として増量充填剤、耐熱剤、難燃剤、顔料、有機溶剤などを含有することができる。脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマーとしては、両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび有機酸の重金属塩等の縮合反応触媒からなる組成物が挙げられる。両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端シラノール基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンが挙げられる。このジオルガノポリシロキサンは末端シラノール基の一部をアルコキシ化したものでもよい。架橋剤として作用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが挙げられる。縮合反応触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ラウリン酸錫、オクテン酸鉛、オクテン酸亜鉛などが使用できる。これらの脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマーは、加熱硬化する必要があるが、脱水縮合型、脱酢酸縮合型、脱オキシム縮合型、脱アルコール縮合型、脱アミド縮合型、脱ヒドロキシルアミン縮合型、脱アセトン縮合型のシリコーンエラストマーなどは湿気硬化してエラストマー化することができる。また本発明に用いるシリコーンエラストマーは水性オルガノポリシロキサンエマルジョンにコロイダルシリカを含む組成物を用い、水分を除去したものであっても良く、付加成分として充填剤、耐熱剤、難燃剤、顔料などを含有することができる。
【0013】
ラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物としては、オルガノポリシロキサン、補強性充填剤および有機過酸化物からなる組成物が挙げられ、付加成分として充填剤、耐熱剤、難燃剤、顔料、有機溶剤などを含有することができる。オルガノポリシロキサンとしては、両末端がトリメチルシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、メチルフェニルビニルシロキシ基またはシラノール基で封鎖され、主鎖がジメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体などが挙げられる。充填剤としてはヒュームドシリカが挙げられる。有機過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどである。このラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物は加熱硬化することができる。この他ラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物として、オルガノポリシロキサン生ゴムと補強性充填剤を主剤とし、付加的成分として充填剤、耐熱剤、難燃剤、顔料、有機溶剤などを含有してなり、β線やγ線照射により硬化する組成物や、ケイ素原子結合アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、増感剤および充填剤からなり紫外線照射により硬化する組成物が挙げられる。上述のシリコーンエラストマー(付加反応硬化型、縮合反応硬化型、ラジカル反応硬化型)組成物による防水被覆層の形成厚は50〜300μm、特に100〜200μmであることが好ましい。膜厚が50μm未満では耐久性と防水性が不十分であり、また300μmを超えると、建築基準法に定める燃焼試験(ASTM−E1354)に適合できないことがある。
【0014】
本発明の防汚不燃膜材料が建築基準法に定める燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合するには、膜材の防水被覆層に、ホウ酸亜鉛(2ZnO・3B)、ホウ酸アルミニウム(9Al・2B)、錫酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシ錫酸亜鉛(ZnSn(OH))、クリストバライト(α型またはβ型)から選ばれた何れか1種以上の補強性充填剤粉末を含むことが好ましい。防水被覆層にこれらの補強性充填剤粉末を含むことによって、燃焼時にこれらの補強性充填剤粉末が強固なガス遮蔽層を形成することで遮煙効果を得ることができる。防水被覆層に補強性充填剤粉末を含ませるには、前述のシリコーンエラストマー中に補強性充填剤粉末を均一分散させた組成物を繊維布帛基材上にコーティングし、これを硬化させることによって得ることができる。これら補強性充填剤粉末の配合量は防水被覆層に対して10〜60質量%、好ましくは20〜40質量%である。配合量が10質量%未満では得られる膜材が建築基準法に定める燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に不適合となることがあり、また60質量%を超えると得られる膜材の動的耐久性と耐摩耗強度を悪くして恒久用途に不適切となることがある。またこれらの補強性充填剤粉末の平均粒子径は1〜60μm、好ましくは2〜30μmであり、これらの補強性充填剤粉末の表面はシランカップリング剤、有機チタネート化合物などによって表面改質されたものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明の膜材料は、基布を含むシリコーンエラストマー組成物被覆積層体基布の少なくとも1面上に中間層を介在して光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層を設けた可撓性シートである。本発明の膜材はシリコーンエラストマー組成物による防水被覆層とケイ素化合物縮合層との間に、A-1).シリコーン成分含有樹脂と、A-2).反応性シロキサン化合物とを含む組成物から形成された中間層が設けられている。中間層用シリコーン成分含有樹脂(A-1)は、シリコーン−アクリル共重合樹脂、シリコーン−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−アクリル−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−フッ素−ウレタン共重合体、及びシリコーン・アクリル・ハイブリッド樹脂(オルガノシロキサン成分と反応性アクリル成分とが架橋剤の存在によって緻密な有機・無機3次元構造を形成する)から選ばれた1種以上のシリコーン成分含有樹脂であり、これらシリコーン成分含有樹脂に含有するシリコーン含有量は5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%である。これらシリコーン成分含有樹脂には無機難燃剤、無機顔料、耐光安定剤、ゾル−ゲル法ポリシロキサン、金属酸化物ゲル、金属水酸化物ゲル、及びコロイダルシリカ、シリカなどのケイ素化合物などを配合することができる。を配合することができる。またA-2).官能基含有シロキサン化合物は、化学式(I),(II)及び(III)により表される化合物から選ばれた1種以上であり、本発明の膜材料の中間層には上記(A−1)、(A−2)成分のほか、必要に応じてポリイソシアネート化合物成分(A-3)を配合することができる。ポリイソシアネート化合物(有効成分換算)の添加量は、(A-1)シリコーン成分含有樹脂(固形分換算)100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは3〜15質量部である。ポリイソシアネート化合物の添加効果は、(A−2)官能基含有シロキサン化合物との反応であり、ポリイソシアネート化合物の添加によって官能基含有シロキサン化合物による滑性付与の他、下地防水被覆層のシリコーンエラストマーと中間層との密着性をさらに向上させる目的を有している。ポリイソシアネート化合物の添加量が30質量部を超えると中間層が硬くなり、得られるテント膜材の屈曲強さを悪くして屋外耐久性が不十分となることがある。
【化2】

〔但し、上記式(I),(II)及び(III)において、Xはハロゲン基、OH基、NH基、SH基、COOH基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、エポキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基及びビニル基の何れか1種を表し、
はアルキレン基、Rはアルキル基、アルコキシ基、及びアルキルエステル基の何れか1種を表し、nは1以上の整数を表し、mは1または2を表す。〕
【0016】
ポリイソシアネート化合物とは具体的に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDI付加型イソシアヌレート・ポリイソシアネート、HDI付加型トリメチルプロパン・ポリイソシアネート、HDI付加型ビウレット・ポリイソシアネート、及びこれらのイソシアネート基ブロック体など、また、脂環式ポリイソシアネート化合物としてはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、IPDI付加型イソシアヌレート・ポリイソシアネート、IPDI付加型トリメチルプロパン・ポリイソシアネート、IPDI付加型ビウレット・ポリイソシアネート、及びこれらのイソシアネート基ブロック体などが挙げられる。またイソシアネート基をウレトジオン結合、またはカルボジイミド結合によって2量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をイソシアヌレート結合によって3量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をウレトンイミン結合によって高重合化したイソシアネート基含有変性体など、活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、あるいはこれとイソシアヌレート・ウレタン変性イソシアネートとの混合物なども使用できる。これらの中で好ましいポリイソシアネート化合物は、例えば、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)、ビュレット変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)などである。特にポリイソシアネート類を部分的に親水性基に置換したものは、水分散体とも併用することができる。
【0017】
中間層を形成する塗工剤の塗布の方法としては、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法などが好適である。上記コーティング剤による中間層の厚みは1〜25μmの厚さに乾燥塗膜形成させることが望ましい。中間層の厚みが1μmよりも少ないと、得られる膜材の防汚性が十分に得られず、また25μmを超えると中間層が脆くなり、屈による亀裂を生じて中間層の剥離脱落を起こすことがある。
【0018】
本発明の膜材料において、上記中間層上に、光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層が設けられている。ケイ素化合物縮合層を形成するケイ素化合物は、ポリシラザン、オルガノシリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)の1種以上であり、ケイ素化合物縮合層には、さらにシリカゾル、アルミナゾル、チタンゾルの1種以上を含むことが好ましい。ケイ素化合物縮合層には、光触媒物質を10〜70質量%と、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルを25〜90質量%、またケイ素化合物を1〜20質量%含有することが好ましい。ケイ素化合物縮合層はこれらの光触媒物質、金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲル、ケイ素化合物を含有する塗工剤を上記中間層の表面に塗布、乾燥して形成される。ケイ素化合物縮合層中に含まれる金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルは、光触媒物質を固着し、また中間層面と強固に密着させ、さらにこれらの金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルが多孔質であるために、粒子の表面積を大きく有し、このため光触媒活性を有効に発揮させることができる。ケイ素化合物縮合層中に含まれる金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルの含有量は25〜90質量%であることが好ましい。含有量が25質量%未満では中間層との密着性が不十分となり、また90質量%を越えると光触媒物質の含有量が少なくなり光触媒活性が十分に発揮させることができない。金属酸化物ゲル及び/又は金属水酸化物ゲルとしては、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫の金属から選ばれた1種または2種以上の金属の酸化物ゲル、もしくは水酸化物ゲルであることが好ましく、具体的にはシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化ニオブゾル、チタンゾルなどである。また、これらの混合ゲルとして、共沈法で得られる複合酸化物ゲルも使用できる。本発明に用いる酸化物ゾルとしては、特にジルコニウム及び、アルミニウムの酸化物ゾルが耐久性の面で好ましい。光触媒物質は可撓性シート(I)で説明した(A−1)光触媒物質と同一である。光触媒物質の配合量が10質量%未満だと光触媒活性が不十分となり、また光触媒物質の配合量が70質量%を越えると光触媒活性は高くなるが中間層との密着性に劣るだけでなく、ケイ素化合物縮合層の表面摩耗強さを悪くするため、屋外耐久性が十分に得られない。ケイ素化合物縮合層に使用するケイ素化合物としてはポリシラザン、オルガノシリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)の何れか1種以上であり、これらのケイ素化合物はケイ素化合物縮合層に対して1〜20質量%使用することが好ましい。
【0019】
ケイ素化合物縮合層に使用するケイ素化合物としてのポリシラザンは、無機あるいは有機のいずれのものであってもよく、これらのポリシラザンが縮合して石英質塗膜に転化する。無機ポリシラザンは下記化学式(IV)で示される構造単位を有する直鎖状構造を包含するペルヒドロポリシラザン(無機ポリシラザン)が挙げられる。
【化3】

有機ポリシラザンには、下記式(V)で示される構造単位からなるポリシラザンが包含される。
【化4】

〔式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはこれらの基以外でフルオロアルキル基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、またはアルコキシ基を表す。但し、R、RおよびRの少なくとも1つは水素原子である。〕
有機ポリシラザンは、式(VI):
【化5】

〔式(VI)中、Rは−CH基を表す〕
で表わされる架橋構造を分子内に有するポリオルガノヒドロシラザン、その他、ポリメタロシラザン、ポリシロキサザン、ポリボロシラザン、ポリメタロシラザン、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザンなども包含する。これらのポリシラザン類の中では無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが特に好ましい。また、ポリシラザン塗膜形成には、ポリシラザン又はその変成物を石英質に転化する触媒、例えば4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)をポリシラザンに対して0.5〜10重量%添加することが好ましい。常温乾燥により形成された塗膜は無機ポリシラザンが緻密な石英質膜に転化され高い親水性を示すハードコート被膜が形成される。
【0020】
ケイ素化合物縮合層に使用するケイ素化合物としてのオルガノシリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)は、RO[−Si−(OR)−O−]R式で表される4官能加水分解性シラン化合物であり、式中、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、nは1以上の整数で、4官能加水分解性シラン化合物の縮合分子数を表す多量化度である。この炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、またはアリール基である。またフェニル基などのアリール基である。これらのオルガノシリケートの具体例としては、n=1の化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなど、多量化度n=2以上の化合物は、4官能加水分解性シラン化合物が加水分解して生成するシラノール基同士の反応で2分子以上が縮合して生成する多量体であり、特に多量化度2〜10のテトラメトキシシラン、またはテトラエトキシシランを加水分解して得られるシラノール基含有シラン化合物を用いることが好ましい。これらのオルガノシリケートの加水分解反応は、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸による酸触媒下で行うことができる。得られたオルガノシリケートの加水分解生成物(シラノール基含有シラン化合物)は、RO[−Si−(OR)−O−]R式中のRの一部、もしくは全部が水素原子で置換されたものを前提とするが、一部に多量体を残したものであっても使用に差し支えない。この希釈塗工液中(特に、水/アルコール)に含有する、オルガノシリケートの加水分解生成物の濃度は0.01〜30質量%、特に0.1〜5質量%の範囲であるものが好ましい。上記オルガノシリケート化合物、及びその低縮合物の加水分解物には塗膜耐久性を改良する目的で、BET平均粒子径10〜20nmのコロイダルシリカ、またはシランカップリング剤(アルコキシシラン化合物)を添加することができる。
【0021】
光触媒物質としては、酸化チタン(TiO)、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、及びこれらの光触媒物質にPt、Rh、RuO、Nb、Cu、Sn、NiOなどの金属及び金属酸化物をドーピング添加したものから選ばれた1種以上である。また、これらの光触媒物質を担持する無機系多孔質微粒子などを使用することもでき、無機系多孔質微粒子とは具体的に、平均一次粒子径が0.01〜10μm、特に0.05〜5μmのシリカ、(合成)ゼオライト、チタンゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、シリカアルミナ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイソウ土などである。本発明において光触媒物質は、硫酸チタニル、塩化チタン、チタンアルコキシドなどのチタン化合物を熱加水分解して得られる酸化チタンゾル、及び酸化チタンゾルのアルカリ中和物として得られる酸化チタンなど、また水酸化チタン及び、チタン酸化物の超微粒子を過酸化水素などの過酸化物でペルオキソ化して水中に分散したアナターゼ型ペルオキソチタン酸分散液が好ましい。また、酸化チタンはアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも使用できるが、平均結晶子径5〜20nmの塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾルなどが好ましい。光触媒物質の粒径は小さい方が光触媒活性に優れるため、平均粒子径50nm以下、より好ましくは20nm以下の光触媒物質が適している。また、酸化チタンとしては含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタンなども含まれる。
【0022】
ケイ素化合物縮合層を形成する塗工剤の塗布の方法としては、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、コンマコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコート法などが好適である。上記コーティング剤によるケイ素化合物縮合層の厚みは0.1〜10μmの厚さに乾燥塗膜形成させることが望ましい。ケイ素化合物縮合層の厚みが0.1μmよりも少ないと、得られる膜材の防汚性が十分に得られず、また10μmを超えるとケイ素化合物縮合層が脆くなり、屈曲により亀裂を生じてケイ素化合物縮合層の剥離脱落を起こすことがある。
【0023】
本発明の防汚不燃膜材料に用いられる難燃繊維、及び/または不燃繊維を含んでなる布帛を説明する。基布として用いる繊維布帛は、1).ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、コポリ−p−フェニレン/3,4’−ジアミノジフェニレンテレフタルアミドに代表されるアラミド繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾールに代表されるポリベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾールに代表されるポリベンズチアゾール(PBT)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維から選ばれた1種以上の有機耐熱繊維からなる難燃性布帛、2).ガラス繊維(サイジング)、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維(チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、シリカ−チタニア繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、ジルコニア繊維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、シラザン−窒化ケイ素繊維、炭化窒化ケイ素繊維、アルミナ−ボリア−シリカ繊維)、及び炭素繊維(PAN系、ピッチ系)から選ばれた1種以上の無機繊維からなる不燃布帛、3).上記有機耐熱繊維と上記無機繊維との混紡布帛、または混織布帛が挙げられる。この混用によって無機繊維の欠点である耐折曲性を改善することができる。有機耐熱繊維の混用率は、繊維布帛に対して5〜35質量%、好ましくは10〜25質量%である。特に本発明のテント膜材を不燃膜材登録するには、2).の無機不燃布帛が好ましい。
【0024】
これら繊維布帛は織布、編布、不織布の形態があるが、本発明に用いる繊維布帛としては織布または編布が好ましい。織布としては、平織物、綾織物、朱子織物、3軸織物、4軸織物、多重織物などが使用できる。編布としてはラッセル編が好ましい。また、これらの繊維織物の縦糸と緯糸を構成する糸条はフィラメント直径が1〜10μで紡糸され、50〜500本収束して得られるストランドに0〜5回/インチの撚りを掛けた単糸、あるいは、ストランド2本、または3本を1〜5回/インチで撚り合わせた合撚糸などのマルチフィラメントヤーンで、111〜2222dtexの繊度、特に138〜1111dtexの繊度のマルチフィラメント糸条が使用できるが、有機耐熱繊維に関してはこの限りではなく、短繊維紡績糸条を用いることもできる。布帛の経糸と緯糸の打込み密度は密で隙間の無いものが好ましく、本発明に用いる平織織布の目抜度合(空隙率)は0〜3%、特に層状鉱物による繊維布帛処理が無い場合には1.5%以下の布帛であることが好ましい。目抜度合が3%未満であっても防水被覆層厚、及び防水被覆層の組成によっては建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)において遮煙性能の妨げとなるピンホールの発生原因となることがある。目抜度合を表す空隙率は、布帛の単位面積中(10cm×10cmが好ましい。)に占める糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値である。また本発明に使用する布帛の目付量は用いる繊維の種類により比重が異なるので特に制限はないが、100〜500g/m、特に200〜350g/mのものが適している。
【0025】
本発明の防汚不燃膜材料に用いる繊維布帛には、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物による下処理がなされることが好ましく、このようにすると、繊維布帛を構成するマルチフィラメント糸条、及び糸条−糸条間には平均粒子径0.1〜30μmのモンモリロナイト、スメクタイト、フッ素雲母などが埋填されていることが燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)において特に好ましい。この下処理繊維布帛を用いることによって、加熱時に層状鉱物が膨張して、その結果、繊維布帛を構成するマルチフィラメント糸条の体積膨張と、糸条−糸条間の体積膨張を伴うことで膜材表面にピンホール陥没痕の発生を抑制し、この膨張効果によって燃焼分解ガス・煙の拡散を効率的に遮断することを可能とする。この層状鉱物による下処理は目抜度合が1.5%〜3.5%の繊維布帛であってもその空隙を補填する効果があり、燃焼ガス漏れの原因となるピンホールの発生を効果的に抑制することができるので燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合可能となる。また繊維布帛が無機繊維を含まず、有機耐熱性繊維のみで構成でされる場合にも効果的であり、この場合、燃焼減量して糸細となって生じる糸条−糸条間の隙間を補填する効果が得られ、その結果、有機耐熱性繊維のみで構成でされる繊維布帛を用いた場合でも不燃性を得ることが可能となるのである。フッ素雲母はNa四珪素雲母を有機交換処理した平均粒子径10〜30μmのフッ素四珪素雲母が使用できる。モンモリロナイトは、(Al2−yMg)Si10(OH)・(M1/22+nHO式で表される平均粒子径0.1〜2.0μmの2八面体型含水層状珪酸塩鉱物が使用できる。(y=0.2〜0.6、M=交換性陽イオンNa, K, Ca, Mg, Hなど、n=層間水の量)スメクタイトは、シリカ四面体(四配位)とアルミ八面体(六配位)が交互に層状となる構造であり、シリカ/アルミが2:1の比率のもので、これらの平均粒子径は0.1〜2.0μmである。これらの層状珪酸塩鉱物には平均粒子径0.1〜2.0μmのカオリナイト、バーミキュライト、ハロサイト、イラサイト、クロライトなどの粘土鉱物を併用することもできる。これらの層状鉱物による不燃布帛への下処理は、固形分濃度が3〜30質量%、好ましくは5〜20質量%濃度に水中分散した層状鉱物水溶液を用いて繊維布帛に含浸後、乾燥することによって行うことができる。この層状鉱物水溶液には繊維布帛と層状鉱物との密着性を向上するためにシランカップリング剤、もしくは有機チタネート化合物を層状鉱物に対して1〜10質量%併用することが好ましい。また層状鉱物水溶液にはバインダー樹脂としてエマルジョン樹脂、またはディスパージョン樹脂を層状鉱物に対して固形分率で5〜30質量%含んでいてもよく、またさらにシランカップリング剤、もしくは有機チタネート化合物を併用することもできる。層状鉱物付着量は繊維布帛の質量に対し、3〜12質量%が好ましい。付着量が3質量%未満だと得られるテント膜材が建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合できないことがあり、また付着量が12質量%を超えると、布帛上に形成される防水被覆層の密着性を阻害して耐久性が不十分となることがある。
【0026】
本発明の防汚不燃膜材料は、難燃繊維、及び/または不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を有し、前記防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層が設けられ、かつ前記防水被覆層と前記ケイ素化合物縮合層との間に、シリコーン成分含有樹脂と、反応性シロキサン化合物とを、必要に応じてさらにポリイソシアネート化合物を含む組成物から形成された中間層が設けられたものであって、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないものとすることが可能である。
【実施例】
【0027】
本発明を以下の実施例及び比較例を挙げてさらに説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。
試験方法の説明
(1).燃焼試験(ASTM−E1354:コーンカロリーメーター試験法)
輻射電気ヒーターによる50kW/mの輻射熱を膜材に20分間照射する発熱性試験において、20分間の総発熱量と発熱速度を測定し、試験後の膜材外観を観察した。
(a)総発熱量:8MJ/m以下のものを適合(2)とし、8MJ/mを超えるものを不適合(1)と表示した。
(b)発熱速度:10秒以上継続して200kW/mを超えないものを適合(2)と表示し、
10秒以上継続して200kW/mを超えるものを不適合(1)と表示した。
(c)外観観察:Φ0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生がないものを適合(2)と表示し、
Φ0.5mmを超えるピンホール陥没痕の発生があるものは燃焼ガス遮蔽性に劣るものとして不適合(1)と表示した。
不燃膜材に適合するには少なくとも上記特性(a)(b)が(2)の評価を満たす必要がある。
(2).繰返し屈曲疲労耐久性の評価
JIS規格K−6301に規定の屈曲試験10000回を行い、試料の表面状態を観察し下記判定基準に従って膜材の屈曲疲労強さを評価した。繰返し屈曲疲労強さを評価する試験機にはデマッチャ・フレキシング・テスター((株)安田精機製作所製)を使用した。また試験機に装着する試料の形態は、膜材の折曲げと折畳みに対する耐久性が評価できる様に、50mm幅×150mm長のサイズとし、幅の中心25mmから左右2つ折りに重ね合わせた25mm幅×150mm長のサイズとした。
試験結果を下記のように評価した。
3(適合) :防水被覆層及び、膜材本体に異常がない。
2(不適合):防水被覆層表面に屈曲疲労による軽度の亀裂の発生を認められるか、
または防水被覆層が基布から部分的に剥がれて浮き上がっている。
1(不適合):防水被覆層表面に屈曲疲労による基布の露出を認められるか、
または防水被覆層が基布から剥がれて浮き上がっている。
(3).耐摩耗性(表面滑り性)の評価
JIS規格L−1096に規定の摩耗強さ試験C法(テーバ形法)により膜材表面の摩耗性を評価した。
摩耗強さを評価する試験機にはロータリー・アブレージョン・テスター((株)東洋精機製作所製)を使用し、摩耗輪(H−18)、摩耗荷重1kg、摩耗回数1000回の条件で摩耗試験を行い、試験前後の試料の質量差(摩耗減量)を求めて比較し、その数値が少ない程膜材表面が滑り易く、タックが少ないことから初期的な煤塵汚れの誘引が軽度と判断した。
(4).表面滑り性の評価
JIS規格K−7125に規定の静摩擦係数μはテスター産業(株)製摩擦係数測定機AB−401型を用い、100g分銅使用の条件、繰り返し回数5回の平均値として求めた。
(5).防汚性の評価
膜材を1年間屋外で南向き30°と90°(垂直)に曝露し、垂直面における雨筋汚れの発生の有無と、30°面の汚れ度合いを初期(ブランク)とのΔE値(JIS規格Z−8729)で評価した。色差計測はJUKI(株)製の光学色差計(JP7200F)を用いた。ΔE値が3.0を超えるものはセルフクリーニング性に劣るものと判定する。
【0028】
実施例1
i).繊維布帛:675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度45本/インチ、675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度35本/インチで平織製織した質量205g/mのガラス繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は1%以下であった。
この繊維布帛を下記組成の下処理液浴に浸し、これを引き上げと同時にピックアップ率40質量%にゴムマングル圧搾し、次いで180℃の熱風炉内で2分間乾燥して繊維基布に吸水防止性を付与した質量206g/mのガラス繊維織布を得た。
<吸水防止下処理液組成1>
商標:NKガードNDN7E(アクリル酸パーフルオロアルキルエステル
共重合樹脂エマルジョン)日華化学(株)(固形分30質量%) 7質量部
商標:KBM403(γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:
有効成分100%)信越化学工業(株) 3質量部
希釈水 90質量部
ii).防水被覆層の形成
下記組成のシリコーンエラストマー前駆体組成物を上記i).で得た下処理ガラス繊維織布の片面にナイフコーティングし、これを160℃の熱風炉内で4分間加熱処理を行い質量180g/mの防水被覆層を形成し、次いで、その裏面に対しても同様にして質量180g/mの防水被覆層を設け、質量566g/mの可撓性基材を得た。
<シリコーンエラストマー前駆体組成物1>
商標:シラスコンRTV4086A(2液付加反応硬化型シリコーン:
有効成分100%)ダウコーニンングアジア(株) 50質量部
商標:シラスコンRTV4086B(2液付加反応硬化型シリコーン:
有効成分100%)ダウコーニンングアジア(株) 50質量部
商標:アルボライトPF03(ホウ酸アルミニウム:平均粒子径3μm
の補強性充填剤粉末)四国化成工業(株) 30質量部
商標:クリスタル121(ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.2μm) 5質量部
クリスタル社製
希釈剤:トルエン 15質量部
iii ).中間層の形成
下記組成の塗工用組成物を上記ii).で得た可撓性基材の1面上にグラビアコート(80メッシュ)し、これを110℃の熱風炉内で1分間加熱処理を行い質量3g/mの中間層を形成した。
<中間層形成用塗工組成物1>
商標:ネオシリカ4000(シリコーン−アクリル共重合樹脂:固形分
30質量%) 100質量部
イサム塗料(株)
商標:サイラプレーンFM4411(両末端XがOH基で、R
OCであるシロキサン化合物〔化1〕:有効成分
100%)チッソ(株) 5質量部
商標:タケネートD170N(HDI付加型イソシアヌレート・ポリイ
ソシアネート:有効成分100%)武田薬品工業(株) 3質量部
商標:スノーテックスMEK−ST(オルガノシリカゾル:固形分30
質量%)日産化学工業(株) 10質量部
iv).ケイ素化合物縮合層の形成
下記組成の塗工用組成物を上記iii ).で得た可撓性基材の中間層上にグラビアコート(80メッシュ)し、これを110℃の熱風炉内で1分間加熱処理を行い質量1g/mのケイ素化合物縮合層を形成して本発明の膜材料(質量570g/m)を得た。得られた膜材料の評価結果を表1に示した。
<ケイ素化合物縮合層形成用塗工組成物1>
a).光触媒として、酸化チタン含有量10重量%に相当する酸化チタンゾル
(硝酸酸性:結晶粒子径10nm)を分散させた水−エタノール
(50/50重量比)溶液: 100質量部
b).金属酸化物ゾルとして、酸化ケイ素含有量10重量%に相当するシリカゾル
(商標:カタロイドSI−30:触媒化成(株))を分散させた
水−エタノール(50/50重量比)溶液: 100質量部
c).ケイ素化合物として、シランカップリング剤(商標:SZ6300:
東レ・ダウコーニングシリコーン(株)):ビニルトリメトキシシラン 2質量部
【0029】
実施例2
i).繊維布帛:1333dtexのアルミナ繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度26本/インチ、1333dtexのアルミナ繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度26本/インチで平織製織した質量280g/mのアルミナ繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は1%以下であった。これに実施例1と同一の吸水防止下処理を施して質量281g/mのアルミナ繊維織布を得た。
ii).防水被覆層の形成:実施例1のシリコーンエラストマー前駆体組成物1において、商標:アルボライトPF03(ホウ酸アルミニウム:四国化成工業(株))30質量部をボラックス社製、商標:ファイヤーブレイクZB−XF(ホウ酸亜鉛:平均粒子径2μmの補強性充填剤粉末)30質量部に変更(シリコーンエラストマー前駆体組成物2)した以外は実施例1と同一として、質量641g/mの可撓性基材を得た。
iii ).中間層の形成:実施例1の中間層形成用塗工組成物1において、商標:サイラプレーンFM4411(両末端XがOH基で、RがCOCであるシロキサン化合物〔化1〕:チッソ(株))5質量部を、商標:サイラプレーンFM0411(XがOH基、RがCOC、RがCHであるシロキサン化合物〔化2〕:有効成分100%:チッソ(株))5質量部に変更した以外は実施例1と同一として可撓性基材の片表面に質量3g/mの中間層を形成した。
iv).ケイ素化合物縮合層の形成
下記組成の塗工用組成物を上記iii ).で得た可撓性基材の中間層上にグラビアコート(80メッシュ)し、これを110℃の熱風炉内で1分間加熱処理を行い質量1g/mのケイ素化合物縮合層を形成して本発明の膜材料(質量645g/m)を得た。得られた膜材料の評価結果を表1に示す。
<ケイ素化合物縮合層形成用塗工組成物2>
a).光触媒として、酸化チタン含有量10重量%に相当する酸化チタンゾル
(硝酸酸性:結晶粒子径10nm)を分散させた水−エタノール
(50/50重量比)溶液: 100質量部
b).金属酸化物ゾルとして、酸化ケイ素含有量10重量%に相当するシリカゾル
(商標:カタロイドSI−30:触媒化成(株))を分散させた
水−エタノール(50/50重量比)溶液: 100質量部
c).ケイ素化合物として、ポリシラザン(商標:N510:ポリペル
ヒドロポリシラザン:固形分20質量%:クラリアントジャパン
(株)) 50質量部
【0030】
実施例3
i).繊維布帛:555dtexのポリフェニレンサルファイド繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度30本/インチ、555dtexのポリフェニレンサルファイド繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度29本/インチで平織製織した質量135g/mのポリフェニレンサルファイド繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は1%以下であった。これに実施例1と同一の吸水防止下処理を施して質量136g/mのポリフェニレンサルファイド繊維織布を得た。
ii).防水被覆層の形成:実施例1と同一のシリコーンエラストマー前駆体組成物1を使用し、実施例1と同一の方法により、質量496g/mの可撓性基材を得た。
iii ).中間層の形成:実施例1の中間層形成用塗工組成物1において、商標:サイラプレーンFM4411(両末端XがOH基で、RがCOCであるシロキサン化合物〔化1〕:チッソ(株))5質量部を、商標:SF8413(Xがエポキシ基で、RがCHO(CH、Rが(CHであるシロキサン化合物〔化3〕:有効成分100%:東レ・ダウコーニングシリコーン(株))5質量部に変更した以外は実施例1と同一として可撓性基材の片表面に質量3g/mの中間層を形成した。
iv).ケイ素化合物縮合層の形成:実施例1のケイ素化合物縮合層形成用塗工組成物1を用い、実施例1と同様にして質量1g/mのケイ素化合物縮合層を形成して本発明の膜材料(質量480g/m)を得た。得られた膜材料の評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例4
i).繊維布帛:555dtexのポリベンズオキサゾール繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度30本/インチ、555dtexのポリベンズオキサゾール繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度28本/インチで平織製織した質量145g/mのポリベンズオキサゾール繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は1%以下であった。これに実施例1と同一の吸水防止下処理を施して質量146g/mのポリベンズオキサゾール繊維織布を得た。
ii).防水被覆層の形成:実施例2のシリコーンエラストマー前駆体組成物2を用いた以外は実施例1と同一として、506g/mの可撓性基材を得た。
iii ).中間層の形成:実施例1の滑性表面層形成用塗工組成物1において、商標:ネオシリカ4000(シリコーン−アクリル共重合樹脂:固形分30質量%:イサム塗料(株))100質量部を、商標:ダイアロマーFF422(シリコーン−フッ素−ウレタン共重合体):固形分30質量%:大日精化工業(株))100質量部に変更した以外は実施例1と同一として可撓性基材の片表面に質量3g/mの中間層を形成した。
iv).ケイ素化合物縮合層の形成:実施例2のケイ素化合物縮合層形成用塗工組成物2を用い、実施例2と同様にして質量1g/mのケイ素化合物縮合層を形成して本発明の膜材料(質量510g/m)を得た。得られた膜材料の評価結果を表1に示す。
【0032】
実施例5
i).繊維布帛:実施例1で使用したガラス繊維織布において、経緯ガラス繊維糸条の打込1本目、6本目、11本目・・・(5n+1;n=0,1,2,3,4,5・・・)本目を444dtexのポリベンズオキサゾール繊維(マルチフィラメント)に変更し、ポリベンズオキサゾール繊維が格子状に挿入された無機繊維と有機耐熱繊維との混織平織物に変更した。この混織平織物の経糸打込密度は39本/インチ、緯糸打込密度は30本/インチ、質量185g/m、目抜度合1%、有機耐熱繊維混用率は16質量%であった。これに実施例1と同一の吸水防止下処理を施して質量186g/mの無機繊維と有機耐熱繊維との混織平織物を得た。
ii).防水被覆層の形成:実施例1のシリコーンエラストマー前駆体組成物1において、商標:アルボライトPF03(ホウ酸アルミニウム:四国化成工業(株))30質量部を水澤化学工業(株)製、商標:アルカネックスZHS(ヒドロキシ錫酸亜鉛:平均粒子径2μmの補強性充填剤粉末)30質量部に変更(シリコーンエラストマー前駆体組成物3)した以外は実施例1と同一として、質量546g/mの可撓性基材を得た。
iii ).中間層の形成:実施例1の中間層形成用塗工組成物1において、商標:ネオシリカ4000(シリコーン−アクリル共重合樹脂:固形分30質量%:イサム塗料(株))100質量部を、商標:ダイヤスーパーセランクリヤー(アクリル・シリコーンハイブリッド樹脂:固形分25質量%:恒和化学工業(株))100質量部に変更した以外は実施例1と同一として可撓性基材の片表面に質量3g/mの中間層を形成した。
iv).ケイ素化合物縮合層の形成:実施例1のケイ素化合物縮合層形成用塗工組成物1を用い、実施例1と同様にして質量1g/mのケイ素化合物縮合層を形成して本発明の膜材料(質量550g/m)を得た。得られた膜材料の評価結果を表1に示す。
【0033】
実施例6
675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度43.5本/インチ、675dtexのガラス繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度35本/インチで平織製織した質量202g/mのガラス繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は3%であった。この繊維布帛を下記組成の層状鉱物含有下処理液浴に浸し、これを引き上げと同時にピックアップ率40質量%にゴムマングル圧搾し、次いで180℃の熱風炉内で2分間乾燥して層状鉱物処理された質量205g/mのガラス繊維基布を得た。この層状鉱物含有下処理以外は実施例1と同一としてケイ素化合物縮合層を有する本発明の膜材料(質量569g/m)を得た。得られた膜材の評価結果を表2に示す。
<層状鉱物含有下処理組成1>
商標:NKガードNDN7E(アクリル酸パーフルオロアルキルエステル
共重合樹脂エマルジョン)日華化学(株)(固形分30質量%) 7質量部
商標:ナノフィル2(モンモリロナイト:平均粒子径8μm、分散粒子径
100〜500nmの層状鉱物:Sued-Chemie社製) 15質量部
商標:KBM403(γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:
有効成分100%)信越化学工業(株) 3質量部
希釈水 75質量部
【0034】
実施例7
1333dtexのアルミナ繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度26本/インチ、1333dtexのアルミナ繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度25本/インチで平織製織した質量276g/mのアルミナ繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は3%であった。これに実施例6と同一の層状鉱物処理を施して質量280g/mの層状鉱物処理アルミナ繊維織布を得た。この層状鉱物含有下処理以外は実施例2と同一としてケイ素化合物縮合層を有する本発明の膜材料(質量644g/m)を得た。得られた膜材の評価結果を表2に示す。
【0035】
実施例8
555dtexのポリフェニレンサルファイド繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度29本/インチ、555dtexのポリフェニレンサルファイド繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度28.5本/インチで平織製織した質量131g/mのポリフェニレンサルファイド繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は3%であった。これに下記組成の層状鉱物含有下処理液浴に浸し、実施例6と同様にして質量134g/mの層状鉱物処理ポリフェニレンサルファイド繊維織布を得た。この層状鉱物含有下処理以外は実施例3と同一としてケイ素化合物縮合層を有する本発明の膜材料(質量480g/m)を得た。得られた膜材の評価結果を表4に示す。
<層状鉱物含有下処理組成2>
商標:NKガードNDN7E(アクリル酸パーフルオロアルキルエステル
共重合樹脂エマルジョン)日華化学(株)(固形分30質量%) 7質量部
商標:ミクロマイカMK100(フッ素雲母:平均粒子径3μmの層状
鉱物:コープケミカル(株)) 15質量部
商標:KBM403(γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:
有効成分100%)信越化学工業(株) 3質量部
希釈水 75質量部
【0036】
実施例9
555dtexのポリベンズオキサゾール繊維(マルチフィラメント)経糸を1インチ当たりの打込密度29本/インチ、555dtexのポリベンズオキサゾール繊維(マルチフィラメント)緯糸を1インチ当たりの打込密度27.5本/インチで平織製織した質量143g/mのポリベンズオキサゾール繊維織布を使用した。この繊維布帛の目抜度合は3%であった。これに実施例8と同一の層状鉱物処理を施して質量147g/mのポリベンズオキサゾール繊維織布を得た。この層状鉱物含有下処理以外は実施例4と同一としてケイ素化合物縮合層を有する本発明の膜材料(質量511g/m)を得た。得られた膜材の評価結果を表2に示す。
【0037】
[実施例]
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
実施例1〜9で得られたテント用膜材は、輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)において、すべて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、しかも加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えることがなく、さらにΦ0.5mmを超えるピンホール発生も観察されず、燃焼ガスの遮煙性に優れたものであった。従って本発明で得られるシリコーンエラストマー組成物で表面被覆してなる繊維布帛積層体は平成12年に改正施行された建築基準法に適合するものなので、屋内外建造物の膜構造部材として使用することができるものである。また、これら本発明の膜材料は、シリコーンエラストマー被覆層上に、シリコーン成分含有樹脂と官能基含有シロキサン化合物、さらに必要に応じてポリイソシアネート化合物を含む中間層が設けられてシリコーンエラストマー被覆層のタック(シリコーンエラストマー特有の粘着性)が軽減され、さらに、これら本発明のテント用膜材の中間層上に設けられたケイ素化合物縮合層には光触媒物質として光触媒酸化チタンを含むことによって、煤塵汚れや、特に雨筋汚れなどの有機成分が光触媒効果により分解され、これらが降雨により洗い流されることによって、テント膜材の初期の美観を経時的に維持することが可能なものであった。従って、本発明の膜材料では、従来のシリコーン樹脂(エラストマー)使用によるテント膜材のように施工直後からの極度の煤塵汚れを発生することはなかった。
【0040】
比較例1
実施例6の膜材料から中間層を省略して膜材を製造した。結果を表3に示す。
【0041】
比較例2
実施例1の膜材料の中間層において、商標:ネオシリカ4000(シリコーン−アクリル共重合樹脂:イサム塗料(株))100質量部を、商標:ダイヤナールLR−343(アクリル樹脂:固形分30質量%:三菱レイヨン(株))100質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして膜材を製造した。結果を表3に示す。
【0042】
比較例3
実施例1の膜材料の中間層において、商標:サイラプレーンFM4411(両末端XがOH基で、RがCOCであるシロキサン化合物〔化1〕:チッソ(株))5質量部を省略したこと以外は実施例1と同様にして膜材を製造した。結果を表3に示す。
【0043】
比較例4
実施例1の膜材料のケイ素化合物縮合層を省略して膜材を製造した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
比較例1〜4で得た膜材は建築基準法に規定される不燃性能を有するものであるが、本発明における中間層の要件、(A-1)シリコーン成分含有樹脂成分、(A-2)反応性シロキサン化合物成分、及びケイ素化合物縮合層の要件、の何れか1種の要件を欠くものであり、これによって比較例1〜4の膜材は、実施例の膜材のように優れた防汚性を発揮することができない。すなわち、比較例1の膜材では中間層そのものが欠如するため、粘着性の下地シリコーンエラストマー層(防水被覆層)上に直接ケイ素化合物縮合層を設けても、下地シリコーンエラストマー層とケイ素化合物縮合層との密着性が不十分であるため、経時的にケイ素化合物縮合層が剥離、脱落してしまい、1年経過時には下地シリコーンエラストマー層が露出してしまうことで実施例の膜材のような優れた防汚性を長期間発揮することができない。また比較例2〜の膜材は表面層に光触媒物質を含むものであるが、中間層の要件(A-1)、または(A−2)を欠くことで、下地シリコーンエラストマー層と滑性表面層との密着性が不十分であるため、経時的に滑性表面層が剥離、脱落してしまい、1年経過時には下地シリコーンエラストマー層が露出してしまうことで実施例の膜材のような優れた防汚性を長期間発揮することができない。また比較例4の膜材はケイ素化合物縮合層に光触媒物質を有さないことにより実施例の膜材のように優れた防汚性を長期間発揮することができない。
【0046】
参考比較例1〜4
実施例6〜9に対比して参考比較例1〜4を説明する。参考比較例1,2において、それぞれ実施例6,7のテント膜材における繊維布帛の下処理に用いた層状鉱物含有下処理組成1から商標:ナノフィル2(モンモリロナイト:平均粒子径8μm、分散粒子径100〜500nmの層状鉱物:Sued-Chemie社製)15質量部を省いて膜材料を製造した。また参考比較例3,4において、それぞれ実施例8,9のテント膜材における繊維布帛の下処理に用いた層状鉱物含有下処理組成2から商標:ミクロマイカMK100(フッ素雲母:平均粒子径3μmの層状鉱物:コープケミカル(株))15質量部を省いて、膜材料を製造した。実施例6〜9に用いた繊維布帛と、参考比較例1〜4に用いた繊維布帛とは各々同一で目抜度合は3%を有するものであり、上記変更点以外は各々全て実施例と同一であった。評価結果を表4に示す。参考比較例1〜4で得られる膜材料は、防汚性、及び雨筋汚れ防止性を有するものであるが、目抜度合は3%を有する繊維布帛を基布とするために建築基準法に規定される発熱性試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)においてΦ0.5mmを超えるピンホール陥没痕を多数発生し、このピンホール陥没痕を通じて燃焼ガスが漏れ出すもの、すなわち遮煙性に劣るものであった。これに対し、実施例6〜9の膜材では、3%の目抜度合を有する繊維布帛を基布としているにも拘らず、これらの繊維布帛がモンモリロナイトやフッ素雲母のような層状鉱物による下処理が施されているため、これらの層状鉱物が加熱膨張して不燃性の残渣を形成し、その結果、繊維布帛を構成するマルチフィラメント糸条の体積膨張と、糸条−糸条間の体積膨張とによって、目抜部分を充填して膜材表面にピンホール陥没痕の発生を抑制し、この体積膨張効果によって燃焼分解ガス・煙の拡散を効率的に遮断することが可能となった。
【0047】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によって得られる膜材料は、平成12年に改正施行された建築基準法の燃焼試験(ASTM−E1354に規定のコーンカロリーメーター試験法)に適合可能であり、さらに燃焼ガスの遮煙性に優れたものであるから不燃膜材料として屋内外建造物の膜構造部材に使用することができる。特に、本発明の不燃膜材料の表面層には光触媒物質を含むことによって、煤塵汚れや、特に雨筋汚れなどの有機成分が光触媒効果により分解され、これらの汚れが降雨により洗い流されることによって、不燃膜材料の初期の美観を経時的に維持することが可能である。従って本発明の不燃膜材料は一般のテント構造物に用いられるだけでなく、ドーム球場、スポーツスタジアム、パビリオン、イベント会場施設など数百〜数万の観衆を収容する膜構造施設に用いられる建築材料用防汚不燃膜材料として広く有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃繊維、及び/又は不燃繊維を含む布帛を基布として、この1面以上にシリコーンエラストマー組成物により形成された防水被覆層を有し、前記防水被覆層の少なくとも1面上に光触媒物質を含有するケイ素化合物縮合層が設けられた可撓性シートであって、かつ前記防水被覆層と前記ケイ素化合物縮合層との間に、(A-1)シリコーン成分含有樹脂成分と、(A-2)反応性シロキサン化合物成分とを含む組成物から形成された中間層が設けられていることを特徴とする可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項2】
前記中間層用シリコーン成分含有樹脂成分(A-1)が、シリコーン−アクリル共重合樹脂、シリコーン−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−アクリル−ウレタン共重合樹脂、シリコーン−フッ素−ウレタン共重合体、及びシリコーン・アクリル・ハイブリッド樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項3】
前記中間層用組成物が、さらにポリイソシアネート化合物成分を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項4】
前記官能基含有シロキサン化合物(A-2)が下記化学式(I),(II)及び(III)により表される化合物:
【化1】

〔Xはハロゲン基、OH基、NH基、SH基、COOH基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、エポキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基、及びビニル基から選ばれた1種の官能基を表し、
はアルキレン基を表し、Rはアルキル基、アルコキシ基、又はアルキルエステル基を表し、nは1以上の整数を表し、mは1または2を表す。〕
から選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項5】
前記ケイ素化合物縮合層を形成するケイ素化合物が、ポリシラザン、オルガノシリケート化合物、またはその低縮合物の加水分解物(シラノール基含有シラン化合物)から選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項6】
前記ケイ素化合物縮合層が、さらにシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化ニオブゾル、及びチタンゾルから選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項7】
前記光触媒物質が、酸化チタン(TiO)、過酸化チタン(ペルオキソチタン酸)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)、及びこれらのドーピング物質から選ばれた少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項8】
前記防水被覆層が、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、及びクリストバライトから選ばれた1種以上からなる補強性充填剤粉末を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項9】
前記基布用不燃繊維が、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、及び炭素繊維から選ばれた1種以上の無機繊維を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項10】
前記基布用難燃繊維が、アラミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、及びポリフェニレンサルファイド繊維から選ばれた1種以上の有機耐熱繊維を含む、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項11】
前記基布が、モンモリロナイト、スメクタイト、及びフッ素雲母から選ばれた1種以上の層状鉱物で下処理されたものである、請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。
【請求項12】
輻射電気ヒーターを用いて50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、かつ加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えない請求項1に記載の可撓性防汚不燃膜材料。

【公開番号】特開2006−272660(P2006−272660A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92823(P2005−92823)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【Fターム(参考)】