説明

可撓止水継手およびその施工方法

【課題】形状保持性を付与することでコンクリートを打ち継いで構造体を構築する場合のコンクリート打設前の準備作業を簡単で短時間に行う可撓止水継手およびその施工方法の提供。
【解決手段】先行および後行のコンクリート構造体12,13に打設により埋設固定される先行打設固定部21および後行打設固定部22と、これらの間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部23と、これら先行および後行打設固定部21、22および伸縮部23の外側に設けられて内表面が可撓止水継手20の外表面と略合致して形状保持可能に取り付けられ、外表面がコンクリート構造体12,13の外面と略面一となる発泡材の発泡支持部材24とを備えて構成してある。発泡支持部材自体の圧縮変形能によって可撓止水継手の変形性能を維持し、形状を保持した可撓止水継手20を支持部材25を介して妻型枠16に支持して打設し、準備作業を簡単で短時間にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可撓止水継手およびその施工方法に関し、コンクリートを打ち継いで構築される、水路、水処理施設、トンネル、共同溝などのコンクリート構造体の継手部の止水および相対変位を可能とする可撓止水継手の施工における準備作業を簡素化できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体である水路や水槽あるいは共同溝等の地中に構築される暗渠などの壁部分の継手部には、内外を止水するとともにその両側のコンクリート構造体の地震時変位並びに温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容する必要があり、止水板などの可撓止水継手が介設されている。
【0003】
このようなコンクリート構造体の継手部に介設する可撓止水継手としては、例えば特許文献1に開示された止水板1があり、図9(a)に示すように、中空部2の両端に複数本の係止凸条部3を備えて構成され、それぞれの端部の係止凸条部3を打設されるコンクリート内に埋設して固定するようにしている。
【0004】
また、共同溝などのコンクリート構造体用の可撓止水継手として、例えば特許文献2に開示された可撓ゴム継手6があり、図10(a)に示すように、略逆U字状の湾曲部7と、湾曲部7の両開口端間を一体的に接続して、湾曲部7を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部8とを備えて構成され、同図(b)に示すように、フランジ部8に取り付けたアンカーボルト9を打設するコンクリート内に埋設して固定するようにしている。
【特許文献1】特開平9−105166号公報
【特許文献2】特開2002−167789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような特許文献1や特許文献2の可撓止水部材1,6では、コンクリートの打設前に、可撓止水部材1,6を所定の位置に保持する必要があるが、これら可撓止水部材1,6自体の剛性が低く形状を保持することができないという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1の止水板1の場合には、図9(b)に示すように、先行のコンクリート側の係止凸条部3を補強用の鉄筋4に吊り下げるようにするとともに、後でコンクリートに埋設される係止凸条部3を板材などの保持材5で保持する必要があり、コンクリート打設前の準備作業が大変であり、手間と時間がかかるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2の可撓ゴム継手6では、図10(b)に示すように、フランジ部8にアンカーボルト9を取り付けた状態でアンカーボルト9と鉄筋4とを継手10を介して溶接するとともに、一対のフランジ部8の外側に間隔保持材11を取り付けて角度を保持できるようにしており、この場合もコンクリート打設前の準備作業が大変であり、手間と時間がかかるという問題がある。
【0008】
この発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、形状保持性を付与することでコンクリートを打ち継いで構造体を構築する場合のコンクリート打設前の準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる可撓止水継手およびその施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の可撓止水継手は、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、これら先行打設固定部、後行打設固定部および伸縮部の外側に設けられて内表面が前記可撓止水継手の外表面と略合致して形状保持可能に取り付けられるとともに、外表面が前記コンクリート構造体の外面と略面一となる発泡材で形成された発泡支持部材と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
この可撓止水継手によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、これら先行打設固定部、後行打設固定部および伸縮部の外側に設けられて内表面が前記可撓止水継手の外表面と略合致して形状保持可能に取り付けられるとともに、外表面が前記コンクリート構造体の外面と略面一となる発泡材で形成された発泡支持部材と、を備えており、可撓止水継手の外側に設けた発泡支持部材で形状を保持するとともに、コンクリートの流入を防止でき、しかも発泡支持部材自体の圧縮変形能によって可撓止水継手の変形性能を維持できるようになる。また、形状を保持した可撓止水継手を、支持部材を介して妻型枠に支持してコンクリートを打設することで、発泡支持部材の外表面が構築すべきコンクリート構造体の継手部の外面と略面一にできるようになる。これにより、可撓止水継手のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができるようになる。
【0011】
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手は、請求項1記載の構成に加え、前記先行および後行打設固定部を、板状の側面シール部と、この側面シール部から突き出したアンカー部とを備えて構成してなることを特徴とするものである。
【0012】
この可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部を、板状の側面シール部と、この側面シール部から突き出したアンカー部とを備えて構成してあり、側面シール部でコンクリート構造体の外側面側の止水などができると同時にコンクリートの打設によってアンカー部が埋設固定され、簡単に施工することができるようになる。
【0013】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手は、請求項2記載の構成に加え、前記側面シール部を、前記継手部に対向して形成される継手斜面に対応した角度に形成してなることを特徴とするものである。
【0014】
この可撓止水継手によれば、前記側面シール部を、前記継手部に対向して形成される継手斜面に対応した角度に形成してあり、コンクリート構造体の継手部が対向する継手斜面で構成される場合にも側面シール部が対応する角度となり、可撓止水継手をそのまま打設して固定することで簡単に施工することができるようになる。
【0015】
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記伸縮部が、中空逆台形状、W字形状、逆U字形状のいずれかの断面形状で構成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
この可撓止水継手によれば、前記伸縮部が、中空逆台形状、W字形状、逆U字形状のいずれかの断面形状で構成してあり、十分な伸縮代を確保して継手部の変位を吸収することができるようになる。
【0017】
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記継手部の上部に配置される前記可撓止水継手に、上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてなることを特徴とするものである。
【0018】
この可撓止水継手によれば、前記継手部の上部に配置される前記可撓止水継手に、上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてあり、可撓止水継手の下側に回り込んで溜まるエアーを排出することができ、コンクリートが空気によって入り込まなくなることもなく、止水性の低下を防止できるようになる。
【0019】
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手の施工方法は、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、先行のコンクリート構造体の打設用の妻型枠に、発泡材による発泡支持部材で形状が保持された前記可撓止水継手を、支持部材を介して支持した後、先行のコンクリートを打設して先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記支持部材を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
この可撓止水継手の施工方法によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、先行のコンクリート構造体の打設用の妻型枠に、発泡材による発泡支持部材で形状が保持された前記可撓止水継手を、支持部材を介して支持した後、先行のコンクリートを打設して先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記支持部材を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしており、可撓止水継手の外側に設けた発泡支持部材で形状を保持した可撓止水継手を、支持部材を介して妻型枠に支持してコンクリートを打設することで、可撓止水継手のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができるようになる。これにより、発泡支持部材でコンクリートの流入を防止でき、しかも発泡支持部材自体の圧縮変形能によって可撓止水継手の変形性能を維持できるようになる。
【0021】
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項6記載の構成に加え、前記支持部材に、位置調整機構を設けて前記可撓止水継手の支持位置を調整して先行のコンクリートを打設するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記支持部材に、位置調整機構を設けて前記可撓止水継手の支持位置を調整して先行のコンクリートを打設するようにしており、妻型枠に取り付けた支持部材の位置調整機構を介して可撓止水継手の取り付け位置を調整することで、一層施工前の準備が容易にできるようになる。
【0023】
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項6または7記載の構成に加え、前記コンクリート構造体の下部の施工に際し、均しコンクリート上に防水シートを敷設した後、前記発泡支持部材の外面を載置するようにしたことを特徴とするものである。
【0024】
この可撓止水継手の施工方法よれば、前記コンクリート構造体の下部の施工に際し、均しコンクリート上に防水シートを敷設した後、前記発泡支持部材の外面を載置するようにしており、コンクリート構造体の下部に対しても防水シートの取り付けが容易にでき、止水性を向上することができるようになる。
【0025】
さらに、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項6〜8のいずれかに記載の構成に加え、前記コンクリート構造体の上部の施工に際し、前記可撓止水継手に上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてコンクリートを打設したのち、貫通孔を塞ぐとともに防水シートを設けるようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記コンクリート構造体の上部の施工に際し、前記可撓止水継手に上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてコンクリートを打設したのち、貫通孔を塞ぐとともに防水シートを設けるようにしており、可撓止水継手の下側に回り込んで溜まるエアーを排出することができ、コンクリートが空気によって入り込まなくなることを防止でき、打設施工後に貫通孔を塞ぎ、防水シートを設けることで、止水性も確保することができるようになる。
【0027】
また、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項6〜9のいずれかに記載の構成に加え、前記先行のコンクリートを打設後、前記妻型枠に替えて発泡目地材を設けて後行のコンクリートを打設するようにしたことを特徴とするものである。
【0028】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記先行のコンクリートを打設後、前記妻型枠に替えて発泡目地材を設けて後行のコンクリートを打設するようにしており、速やかに後行のコンクリートを打設することができるようになる。
【発明の効果】
【0029】
この発明の請求項1記載の可撓止水継手によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、これら先行打設固定部、後行打設固定部および伸縮部の外側に設けられて内表面が前記可撓止水継手の外表面と略合致して形状保持可能に取り付けられるとともに、外表面が前記コンクリート構造体の外面と略面一となる発泡材で形成された発泡支持部材と、を備えて構成したので、可撓止水継手の外側に設けた発泡支持部材で形状を保持することができるとともに、コンクリートの流入を防止することができ、しかも発泡支持部材自体の圧縮変形能によって可撓止水継手の変形性能を維持することができる。また、形状を保持した可撓止水継手を、支持部材を介して妻型枠に支持してコンクリートを打設することで、発泡支持部材の外表面が構築すべきコンクリート構造体の継手部の外面と略面一にすることができる。これにより、可撓止水継手のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0030】
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部を、板状の側面シール部と、この側面シール部から突き出したアンカー部とを備えて構成したので、側面シール部でコンクリート構造体の外側面側の止水などができると同時にコンクリートの打設によってアンカー部が埋設固定され、簡単に施工することができる。
【0031】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手によれば、前記側面シール部を、前記継手部に対向して形成される継手斜面に対応した角度に形成したので、コンクリート構造体の継手部が対向する継手斜面で構成される場合にも側面シール部が対応する角度となり、可撓止水継手をそのまま打設して固定することで簡単に施工することができる。
【0032】
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手によれば、前記伸縮部が、中空逆台形状、W字形状、逆U字形状のいずれかの断面形状で構成したので、十分な伸縮代を確保して継手部の変位を吸収することができる。
【0033】
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手によれば、前記継手部の上部に配置される前記可撓止水継手に、上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けたので、可撓止水継手の下側に回り込んで溜まるエアーを排出することができ、コンクリートが空気によって入り込まなくなることもなく、止水性が低下することを防止することができる。
【0034】
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手の施工方法によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、先行のコンクリート構造体の打設用の妻型枠に、発泡材による発泡支持部材で形状が保持された前記可撓止水継手を、支持部材を介して支持した後、先行のコンクリートを打設して先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記支持部材を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたので、可撓止水継手の外側に設けた発泡支持部材で形状を保持した可撓止水継手を、支持部材を介して妻型枠に支持してコンクリートを打設することで、可撓止水継手のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる。これにより、発泡支持部材でコンクリートの流入を防止でき、しかも発泡支持部材自体の圧縮変形能によって可撓止水継手の変形性能を維持することができる。
【0035】
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記支持部材に、位置調整機構を設けて前記可撓止水継手の支持位置を調整して先行のコンクリートを打設するようにしたので、妻型枠に取り付けた支持部材の位置調整機構を介して可撓止水継手の取り付け位置を調整することができ、一層施工を容易にすることができる。
【0036】
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手の施工方法よれば、前記コンクリート構造体の下部の施工に際し、均しコンクリート上に防水シートを敷設した後、前記発泡支持部材の外面を載置するようにしたので、コンクリート構造体の下部に対しても防水シートの取り付けが容易にでき、止水性を向上することができる。
【0037】
さらに、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記コンクリート構造体の上部の施工に際し、前記可撓止水継手に上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてコンクリートを打設したのち、貫通孔を塞ぐとともに防水シートを設けるようにしたので、可撓止水継手の下側に回り込んで溜まるエアーを排出することができ、コンクリートが空気によって入り込まなくなることを防止でき、しかも打設施工後に貫通孔を塞ぎ、防水シートを設けることで、止水性も確保することができる。
【0038】
また、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記先行のコンクリートを打設後、前記妻型枠に替えて発泡目地材を設けて後行のコンクリートを打設するようにしたので、速やかに後行のコンクリートを打設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかり、図1は可撓止水継手が設けられるコンクリート構造体の概略斜視図、図2(a)は可撓止水継手の部分横断面図、図2(b)は可撓止水継手の施工後の取付状態の部分横断面図で、図3および図4はこの発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかり、図3(a)は上部の施工状態の横断面図、図3(b)は(a)中のA矢視図、図4はそれぞれ側部および下部の施工状態の横断面図で、図5は位置調整機構を備える支持部材の概略説明図である。
【0040】
この可撓止水継手20は、コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体12,13の継手部14を止水するとともに、継手部14の両側のコンクリート構造体12,13の相対変位を可能とするものである。
【0041】
コンクリート構造体の一例である共同溝では、断面形状が矩形で所定長さの函体12,13が継手部14で連結されて構成されており、開削工法によって均しコンクリート15の上面に現場打ちによって所定長さ毎(函体毎)に継手部14を介設して打ち継がれて構築され、完成後は所定深さの地中に埋め戻されるものである。
【0042】
このようなコンクリート構造体12、13の継手部14に設けられる可撓止水継手20は、図2に示すように、いわゆる外防水型止水板と称されるものであり、先行打設固定部21および後行打設固定部22を備え、これら先行打設固定部21と後行打設固定部22との間に伸縮することで止水と相対変位を許容する伸縮部23とを備え、ゴムや合成樹脂などの可撓性素材によって横断面方向には一体的に形成され、長手方向には、分割されたものを継手部14の形状に合わせて工場や現場で環状などに成形されるとともに、これら先行打設固定部21と後行打設固定部22と伸縮部23との形状を保持するため、これらの外側に配置されて接着や部分接着される発泡材で作られた発泡支持部材24を備えて構成されている。
【0043】
この可撓止水継手20の先行打設固定部21および後行打設固定部22は、それぞれ先に打設される先行コンクリート構造体12および後に打設する後行コンクリート構造体13の側面に当てられる板状の側面シール部21a,22aを備え、それぞれの側面シール部21a、22aからコンリート構造体12、13内に向かうように突き出してアンカー部21b、22bが2条ずつ形成してあり、先端部に膨らんだ膨出部21c、22cが形成して構成してある。そして、継手部14の端面に近いアンカー部および膨出部が端面より遠い内側のものより大きくしてあり、コンクリートの打設によって埋設固定する際に、強固に埋設固定できるようにしてある。
【0044】
また、それぞれの側面シール部21a、22aの内側面には、ブチルシート21d、22dが設けてあり、その粘着力で接着され、コンクリート構造体12、13と先行打設固定部21および後行打設固定部22との間の止水性を確保できるようにしてある。
【0045】
このような先行打設固定部21と後行打設固定部22の間に設けられる可撓性止水継手20の伸縮部23は、中空の略逆台形状の横断面形状とされ、外側となる逆台形底部分(図の紙面上部)が先行打設固定部21および後行打設固定部22の側面シール部21a、22aの外側面と略面一となるように配置されて連続するようになっており、伸縮部23の逆台形天部分(図の紙面下部)が継手部14の内側に突き出すように形成してある。そして、伸縮部23の中空部の肉厚が外側となる逆台形底部分(図の紙面上部)だけを他の部分に比べて薄くしてあり、変位の吸収を大きくできるようにしてある。
【0046】
このような弾性材料で構成され一直線上に配置されて連続する先行打設固定部21と後行打設固定部22と、その間の伸縮部23は、剛性が低くそのままでは、形状を保持することが困難で、例えば先行打設固定部21を水平に支持すると、伸縮部23や他端部の後行打設固定部22が下に垂れ下がってしまい、コンクリート打設前の可撓止水継手20の取り付けが大変となる。
【0047】
そこで、この可撓止水継手20では、発泡支持部材24が可撓止水継手20の外側に接着や部分接着で形状を保持できるように取り付けてある。この発泡支持部材24は、発泡材、例えばスポンジゴムや発泡スチロールなどで作られ、その剛性で可撓止水継手20の形状を保持できる厚さとされ、内側面が可撓止水継手20の外表面である先行打設固定部21と後行打設固定部22と、その間の伸縮部23との外表面と略合致した形状とされ、外表面がコンクリート構造体12、13の外面と面一となる形状とされ、コンクリート構造体が完成した場合に凹凸などができないようにしてある。
【0048】
この発泡支持部材24と可撓止水継手20の先行打設固定部21と後行打設固定部22と、その間の伸縮部23との接着は、施工の際に形状を保持できれば良く、施行後は接着されずに分離された状態でも支障はなく、全面接着したり、部分接着のいずれでも良い。
【0049】
次に、このように構成した可撓止水継手20のコンクリート構造体12,13の継手部14への施工方法について、図3〜図5により説明する。
【0050】
この可撓止水継手20では、継手部14の端面14aを形成するため組み立てられる妻型枠16を利用して可撓止水継手20を支持するため支持部材25が用いられ、これまでの鉄筋などに支持固定する場合に比べ、短時間にコンクリートの打設の準備ができるようにしてある。
【0051】
そこで、この支持部材25について、図5により説明すると、鋼製型枠である妻型枠16の端面にボルト17で取り付けられる固定板部25aに垂直に2枚の平行固定板25bが溶接等で取り付けられて継手部14の端面14aと平行に配置され、この2枚の平行固定板25bの間に位置調整機構としてスライド可能に調整板25cが配置され、平行固定板25bの一方の外側に固定したナットにねじ込んだ固定用ボルト25dを貫通させて調整板25cに押し当てて締め付けることで、もう一方の平行固定板25bとで挟んで固定できるようになっている。
【0052】
そして、この支持部材25には、調整板25cの先端部に可撓止水継手20を支える支持板部25eが取り付けられ、可撓止水部材20の内側形状に対応した形状に形成され、例えば可撓止水継手20の伸縮部23および側面シール部22aの継手内側面と、伸縮部23およびアンカー部22aの側面とを支持できる略台形状に形成してある。
【0053】
また、この調整板25cの位置を調整するため、平行固定板25bの上部に直角に突き出したブラケット25fが溶接などで取り付けられてナットが固定され、このナットにねじ込んだ調整用ボルト25gを貫通させて先端部を支持板部25eに当て、調整用ボルト25gの突き出し量を変えることで、可撓止水継手20の設置位置を調整できるようになっている。これにより、位置調整機構は固定板部25a〜調整用ボルト25gで構成される。
【0054】
この支持部材25は、継手部14の形状に対応した形状とされ、少なくとも固定板部25a、平行固定板25bおよび調整板25cを所定のピッチに配置したり、連続配置する一方、直接可撓止水継手20を支持する支持板部25eは、支持に必要な所定ピッチあるいは連続したものが使用される。
【0055】
次に、このような支持部材25を用いて行う可撓止水継手20の施工は、継手部14の端面14aを形成する妻型枠16の外側端面に支持部材25の固定板部25aをボルト17で固定した後、支持板部25eで支えた可撓止水継手20の位置を調整用ボルト25gの突き出し量を変えることで調整し、所定位置に調整して固定用ボルト25dを締め付けて固定する。
【0056】
この場合、コンクリート構造体12、13の継手部14の上部では、図3に示すように、この部分に配置する可撓止水継手20にエアー抜き孔26を貫通して形成しておき、コンクリートの打設によって可撓止水継手20の下側に回り込むエアーを排出できるようにしておく。
【0057】
この可撓止水継手20では、図3(a)、(b)に示すように、上部に配置される側面シール部21a,22aに所定ピッチでエアー抜き孔26が形成してあり、例えばコンクリート打設側である先行打設固定部21のエアー抜き孔26を塞がないように妻型枠16に取り付けた押え板18で可撓止水継手20の上面を押えるようにし、養生後にゴムシート27を貼り、その外側を防水シート28で覆うようにする。
【0058】
また、コンクリート構造体12、13の継手部14の側部では、図4(a)に示すように、可撓止水継手20の発泡支持部材24の外側に必要に応じて防水シート28を施工した状態で型枠19を設置するようにする。
【0059】
こうすることで、コンクリート構造体12、13の側部に接近して土壁がある場合の防水シート28の施工が容易となる。
【0060】
さらに、コンクリート構造体12、13の継手部14の下部では、図4(b)に示すように、均しコンクリート15上に押え板18を介して妻型枠16を設置するとともに、均しコンクリート15上に防水シート28を敷設した後、可撓止水継手20の発泡支持部材24の外側面を載置するようにして支持部材25で固定するようにする。
【0061】
こうすることで、コンクリート構造体12、13の下部では、防水シート28の打設後の施工ができなかったものが、容易に施工できるようになる。
【0062】
このほか、コンクリート構造体12の構築に必要な型枠を組み立てる。
【0063】
このような妻型枠16への支持部材25の取り付けおよび可撓止水継手20の取り付けは、妻型枠16を設置する現場でなくても良く、広いスペースのある場所や妻型枠16を設置現場の作業容易な位置に移動して行うようにし、可撓止水継手20を取り付けた後、妻型枠16ごと所定の位置に設置するようにする。
【0064】
これにより、従来の先行コンクリートの打設前に鉄筋などに埋設される先行打設固定部を吊り下げるようにするなどの準備作業に比べ、支持部材25をボルト17で妻型枠16に取り付け、この支持部材25に可撓止水部材20を取り付けるだけで良く、簡単かつ短時間に準備作業を行うことができる。
【0065】
こうして可撓止水継手20を取り付けた先行のコンクリート打設用の型枠を設置したのち、先行コンクリートを打設する(図3および図4参照)。
【0066】
そして、養生後、支持部材25を取り外すとともに、妻型枠16および他の型枠を脱型し、図2(b)に示すように、継手部14の端面14aの妻型枠16に代えてゴムやスポンジなどの発泡目地材29を配置し、コンクリート構造体12の継手部14の端面14aに接着して取り付ける。
【0067】
この発泡目地材29により可撓止水継手20の圧縮変形時の変形抵抗の減少および損傷防止を図るようにする。
【0068】
こののち、後行のコンクリート構造体13の構築に必要な型枠を組み立てた後、後行のコンクリートを打設する。この後行のコンクリートの打設の際、上部に配置される後行打設固定部22の下側に空気が溜まることがあるので、予め形成したエアー抜き孔26を塞がないようにして打設する。
【0069】
そして、養生後、型枠を脱型することで継手部14への可撓止水継手20の取り付け施工が完了する(図2(b)参照)。
【0070】
なお、継手部14の全周、すなわち底部、側面および天面には、防水シート28を後で取り付けたり、コンクリートの打設の際に取り付けた防水シート28をつなぎ合わせて取り付け雨水などの浸入を防止する。
【0071】
この防水シート28により、コンクリート構造体12,13の継手部14の接続が完了した後、地下構造物とする場合には土砂などで埋め戻されるが、このとき、土砂などが継手部14に浸入し、可撓止水継手20に外力が加わるなどの不具合が生じる恐れを防止する。
【0072】
この可撓止水継手およびその施工方法によれば、可撓止水継手20の外側に設けた発泡支持部材24で形状を保持することができるとともに、コンクリートの流入を防止することができ、しかも発泡支持部材24自体の圧縮変形能によって可撓止水継手20の変形性能を維持することができる。
【0073】
また、発泡支持部材24で形状を保持した可撓止水継手20を、支持部材25を介して妻型枠16にボルト17で固定してコンクリートを打設することで、発泡支持部材24の外表面が構築すべきコンクリート構造体12,13の継手部14の外面と略面一にすることができる。
【0074】
これにより、可撓止水継手20のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0075】
また、この可撓止水継手20によれば、先行および後行打設固定部21,22を、板状の側面シール部21a,22aと、この側面シール部21a,22aから突き出したアンカー部21b,22bおよび膨出部21c,22cとを備えて構成したので、側面シール部21a,22aでコンクリート構造体12,13の外側面側の止水などができると同時にコンクリートの打設によってアンカー部21b,22bおよび膨出部21c,22cが埋設固定され、特に固定のための作業を必要とせず、簡単に施工することができる。
【0076】
さらに、この可撓止水継手20によれば、伸縮部23を中空逆台形状の断面形状としたので、十分な伸縮代を確保して継手部14の変位を吸収することができる。
【0077】
また、この可撓止水継手およびその施工方法によれば、継手部14の上部に配置される可撓止水継手20に、上下に貫通するエアー抜き用のエアー抜き孔26を設けたので、この部分の可撓止水継手20の下側に回り込んで溜まるエアーを排出することができ、コンクリートが空気によって入り込まなくなることもなく、コンクリートを隙間なく充填することで止水性が低下することを防止することができる。
【0078】
さらに、この可撓止水継手の施工方法によれば、妻型枠16に取り付けた支持部材25の位置調整機構25a〜25gを介して可撓止水継手20の取り付け位置を調整することができ、一層コンクリート打設前の準備作業を容易とし、施工全体を容易にすることができる。
【0079】
また、この可撓止水継手の施工方法よれば、コンクリート構造体12,13の下部の施工に際して、均しコンクリート15上に防水シート28を敷設した後、発泡支持部材24の外面を載置するようにしたので、コンクリート構造体12,13の下部に対しても防水シート28の取り付けが容易にでき、止水性を向上することができる。
【0080】
さらに、この可撓止水継手の施工方法によれば、コンクリート構造体12,13の上部の施工に際して設けたエアー抜き孔26を、打設施工後にゴムシート27で塞ぎ、防水シート28を設けるようにしたので、エアー抜きを行うことができると同時に、止水性も確保することができる。
【0081】
また、この可撓止水継手の施工方法によれば、先行のコンクリートを打設後、妻型枠16に替えて発泡目地材29を設けて後行のコンクリートを打設するようにしたので、速やかに後行のコンクリートを打設することができる。
【0082】
次に、この発明の可撓止水継手およびその施工方法を外防水型止水板に適用した他の一実施の形態について、図6および図7により説明する。
【0083】
この外防水型止水板で構成する可撓止水継手30では、図6(a)に示すように、先行コンクリートに打設によって埋設固定される先行打設固定部31と、後行コンクリートに打設によって埋設固定される後行打設固定部32と、これらの間に配置される略逆U字状の伸縮部33と、これら先行打設固定部31、後行打設固定部32および伸縮部33の外側に取り付けられて形状を保持する発泡材で作られた発泡支持部材34と、を備えて構成されている。
【0084】
この可撓止水継手30では、先行打設固定部31および後行打設固定部32が同一形状とされ、先行および後行のコンクリート構造体12,13の継手部14の外周のV字状の傾斜面12a,13aに当てられる先端部を屈曲させた側面シール部31a,32aと、外側面がこれら側面シール部31a,32aと略直交するとともに、傾斜面12a,13aに略垂直で内側面が互いに略直線状の板状のアンカー部31b,32bを備え、それぞれの板状のアンカー部31b,32bの先端部に両外側に膨らんだ膨出部31c,32cを備えている。
【0085】
そして、これら先行打設固定部31と後行打設固定部32の間に横断面形状が略逆U字状の伸縮部33が配置され、開口端部に先行打設固定部31および後行打設固定部32の内側端部がそれぞれ連結されて一体に形成されている。
【0086】
また、この可撓止水継手30では、先行打設固定部31および後行打設固定部32の側面シール部31a,32aのコンクリート構造体12,13側にそれぞれブチルシート31d,32dが取り付けられ、コンクリートとの間の止水性を確保できるようにしてある。
【0087】
そして、この可撓止水継手30の外側に接着や部分接着で形状を保持できるように取り付けてある発泡支持部材34は、発泡材、例えばスポンジゴムや発泡スチロールなどで作られ、その剛性で可撓止水継手30の形状を保持できる厚さとされ、内側面が可撓止水継手30の外表面である先行打設固定部31と後行打設固定部32と、その間の伸縮
部33との外表面と略合致した形状とされ、外表面がコンクリート構造体12、13の外面と面一となる形状とされる。
【0088】
なお、ここでは、側面シール部31a、32aと伸縮部33とのそれぞれの空間に横断面形状が略三角形のもの34aが、その外側に伸縮部33の逆U字状の円弧部に対応する厚さの分割した薄板状のもの34bが、さらにその外側に先行打設固定部31と後行打設固定部32とに跨るよう連続した厚板状のもの34cが配置されて構成してあり、コンクリート構造体が完成した場合に凹凸などができないようにしてある。
【0089】
この発泡支持部材34は、分割構造とする場合に限らず一体構造であっても良く、また発泡支持部材24と同様に、可撓止水継手30の先行打設固定部31と後行打設固定部32と、その間の伸縮部33との接着は、施工の際に形状を保持できれば良く、施行後は接着されずに分離された状態でも支障はなく、全面接着したり、部分接着のいずれでも良い。
【0090】
次に、このように構成した可撓止水継手30のコンクリート構造体12,13の継手部14への施工方法について、図6および図7により説明するが、上記実施の形態と同一部分は、同一記号を記し、重複する説明は省略する。
【0091】
この可撓止水継手30の施工は、すでに説明した可撓止水継手20と略同様に支持部材25を用いて施工されるが、可撓性止水継手30の形状が異なることから、支持部材25の支持板部25e’が後行側の板状のアンカー部32bを支える板状に形成してある。
【0092】
このような支持板部25e’を備えた支持部材25を用いて行う可撓止水継手30の施工は、すでに説明した可撓止水継手20と同様にして行われ、継手部14の端面14aを形成する妻型枠16の外側端面に支持部材25の固定板部25aをボルト17で固定した後、支持板部25e’で支えた可撓止水継手30の位置を調整用ボルト25gの突き出し量を変えることで調整し、所定位置に調整して固定用ボルト25dを締め付けて固定する。
【0093】
この場合、コンクリート構造体12、13の継手部14の上部では、図6(b)に示すように、この部分に配置する可撓止水継手30に、コンクリート打設養生後に、その外側を防水シート28で覆うようにする。
【0094】
また、コンクリート構造体12、13の継手部14の側部では、図7(a)に示すように、さらに継手部14の下部では、図7(b)に示すように、可撓止水継手20の場合と同様に施工することができる
なお、このような妻型枠16への支持部材25の取り付けおよび可撓止水継手30の取り付けは、妻型枠16を設置する現場でなくても良く、広いスペースのある場所や妻型枠16を設置現場の作業容易な位置に移動して行うようにし、可撓止水継手30を取り付けた後、妻型枠16ごと所定の位置に設置するようにする。
【0095】
これにより、従来の先行コンクリートの打設前に鉄筋などに埋設される先行打設固定部を吊り下げるようにするなどの準備作業に比べ、支持部材25をボルト17で妻型枠16に取り付け、この支持部材25の支持板部25e’に可撓止水部材30を取り付けるだけで良く、簡単かつ短時間に準備作業を行うことができる。
【0096】
こうして可撓止水継手20を取り付けた先行のコンクリート打設用の型枠を設置したのち、先行コンクリートを打設し、養生後、支持部材25を取り外すとともに、妻型枠16および他の型枠を脱型し、図6(a)に示すように、継手部14の端面14aの妻型枠16に代えてゴムやスポンジなどの発泡目地材35を配置し、コンクリート構造体12の継手部14の端面14aに接着して取り付けて可撓止水継手30の圧縮変形時の変形抵抗の減少および損傷防止を図るようにする。
【0097】
こののち、後行のコンクリート構造体13の構築に必要な型枠を組み立てた後、後行のコンクリートを打設し、養生後、型枠を脱型することで継手部14への可撓止水継手30の取り付け施工が完了する(図6(a)参照)。
【0098】
なお、継手部14の全周、すなわち底部、側面および天面には、防水シート28を後で取り付けたり、コンクリートの打設の際に取り付けた防水シート28をつなぎ合わせて取り付け雨水などの浸入を防止する。
【0099】
この防水シート28により、コンクリート構造体12,13の継手部14の接続が完了した後、地下構造物とする場合には土砂などで埋め戻されるが、このとき、土砂などが継手部14に浸入し、可撓止水継手30に外力が加わるなどの不具合が生じる恐れを防止する。
【0100】
この可撓止水継手およびその施工方法によれば、可撓止水継手30の外側に設けた発泡支持部材34で形状を保持することができるとともに、コンクリートの流入を防止することができ、しかも発泡支持部材34自体の圧縮変形能によって可撓止水継手30の変形性能を維持することができる。
【0101】
また、発泡支持部材34で形状を保持した可撓止水継手30を、支持部材25を介して妻型枠16にボルト17で固定してコンクリートを打設することで、発泡支持部材34の外表面が構築すべきコンクリート構造体12,13の継手部14の外面と略面一にすることができる。
【0102】
これにより、可撓止水継手30のコンクリート打設前の取り付けなどの準備作業を簡単かつ短時間に行うことができる。
【0103】
さらに、この可撓止水継手30によれば、伸縮部33を逆U字形状の断面形状としたので、十分な伸縮代を確保して継手部14の変位を吸収することができるほか、すでに説明した可撓止水継手20およびその施工方法と同一の作用効果を奏する。
【0104】
次に、この発明の可撓止水継手の他の実施の形態について、図8により説明する。
図8(a)に示す可撓止水継手30Aは、可撓止水継手30の側面シール部31a、32aの先端屈曲部を省略したもので、先端が楔状に尖らせてある点で異なる。
【0105】
なお、他の構成は、すでに説明した可撓止水継手30と同一であり、施工も同一の方法で行うことができる。
【0106】
このように構成した可撓止水継手30Aによっても、可撓止水継手30Aの外側に設けた発泡支持部材34で形状を保持することができるとともに、コンクリートの流入を防止することができ、しかも発泡支持部材34自体の圧縮変形能によって可撓止水継手30Aの変形性能を維持することができるほか、すでに説明した可撓止水継手30と同一の作用効果を奏するものである。
【0107】
次に、 図8(b)に示す可撓止水継手40について説明する。
この可撓止水継手40は、すでに説明した可撓止水継手20の中空逆台形状の伸縮部23に代えて可撓止水継手30,30Aの逆U字形状の伸縮部33を組み合わせて構成したものであり、先行打設固定部41と後行打設固定部42の間に横断面形状が略W字形状の伸縮部43が連続して一体の形状となっている。
【0108】
そして、この可撓止水継手40では、発泡支持部材44として、W字形状の2つの谷部分にそれぞれ断面長方形状の薄板状のもの44aが、その外側に側面シール部41a、42aに跨る連続した断面長方形状の厚板状のもの44bがそれぞれ配置されて構成してあり、可撓止水継手40の形状を保持できるように全面接着あるいは部分接着で取り付けてある。
【0109】
なお、アンカー部41b,42b、膨出部41c,42c、ブチルシート41d,42d,など他の構成は、すでに説明した可撓止水継手20、30、30Aと同一であり、施工も同一の方法で行うことができる。
【0110】
このように構成した可撓止水継手40によっても、可撓止水継手40の外側に設けた発泡支持部材44で形状を保持することができるとともに、コンクリートの流入を防止することができ、しかも発泡支持部材44自体の圧縮変形能によって可撓止水継手40の変形性能を維持することができるほか、すでに説明した可撓止水継手20、30、30Aと同一の作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる可撓止水継手が設けられるコンクリート構造体の概略斜視図である。
【図2】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかり、(a)は可撓止水継手の部分横断面図、(b)は可撓止水継手の施工後の取付状態の部分横断面図である。
【図3】この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかり、(a)は上部の施工状態の横断面図、(b)は(a)中のA矢視図である。
【図4】この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかるそれぞれ側部および下部の施工状態の横断面図である。
【図5】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる位置調整機構を備える支持部材の概略説明図である。
【図6】この発明の可撓止水継手の他の一実施の形態にかかり、(a)は可撓止水継手の部分横断面図、(b)は可撓止水継手の上部の施工状態の横断面図である。
【図7】この発明の可撓止水継手の施工方法の他の一実施の形態にかかるそれぞれ側部および下部の施工状態の横断面図である。
【図8】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかり、(a)他の実施の形態にかかる部分横断面図、(b)はさらに他の実施の形態にかかる部分横断面図である。
【図9】従来の止水板の横断面図およびその施工方法の説明図である。
【図10】従来の可撓止水継手の正面図およびその施工方法の説明図である。
【符号の説明】
【0112】
12 コンクリート構造体
12a 傾斜面
13 コンクリート構造体
13a 傾斜面
14 継手部
14a 端面
15 均しコンクリート
16 妻型枠
17 ボルト
18 押え板
19 型枠
20 可撓止水継手
21 先行打設固定部
21a 側面シール部
21b アンカー部
21c 膨出部
21d ブチルシート
22 後行打設固定部
22a 側面シール部
22b アンカー部
22c 膨出部
22d ブチルシート
23 伸縮部
24 発泡支持部材
25 支持部材
25a 固定板部
25b 平行固定板
25c 調整板
25d 固定用ボルト
25e 支持板部
25f ブラケット
25g 調整用ボルト
26 エアー抜き孔
27 ゴムシート
28 防水シート
29 発泡目地材
30 可撓止水継手
31 先行打設固定部
32 後行打設固定部
33 伸縮部
34 発泡支持部材
35 発泡目地材
30A 可撓止水継手
40 可撓止水継手
41 先行打設固定部
42 後行打設固定部
43 伸縮部
44 発泡支持部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手であって、
前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、
これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、
これら先行打設固定部、後行打設固定部および伸縮部の外側に設けられて内表面が前記可撓止水継手の外表面と略合致して形状保持可能に取り付けられるとともに、外表面が前記コンクリート構造体の外面と略面一となる発泡材で形成された発泡支持部材と、
を備えてなることを特徴とする可撓止水継手。
【請求項2】
前記先行および後行打設固定部を、板状の側面シール部と、この側面シール部から突き出したアンカー部とを備えて構成してなることを特徴とする請求項1記載の可撓止水継手。
【請求項3】
前記側面シール部を、前記継手部に対向して形成される継手斜面に対応した角度に形成してなることを特徴とする請求項2記載の可撓止水継手。
【請求項4】
前記伸縮部が、中空逆台形状、W字形状、逆U字形状のいずれかの断面形状で構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓止水継手。
【請求項5】
前記継手部の上部に配置される前記可撓止水継手に、上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可撓止水継手。
【請求項6】
先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に設けられて内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水継手を施工するに際し、
先行のコンクリート構造体の打設用の妻型枠に、発泡材による発泡支持部材で形状が保持された前記可撓止水継手を、支持部材を介して支持した後、先行のコンクリートを打設して先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記支持部材を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とする可撓止水継手の施工方法。
【請求項7】
前記支持部材に、位置調整機構を設けて前記可撓止水継手の支持位置を調整して先行のコンクリートを打設するようにしたことを特徴とする請求項6記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項8】
前記コンクリート構造体の下部の施工に際し、均しコンクリート上に防水シートを敷設した後、前記発泡支持部材の外面を載置するようにしたことを特徴とする請求項6または7記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項9】
前記コンクリート構造体の上部の施工に際し、前記可撓止水継手に上下に貫通するエアー抜き用の貫通孔を設けてコンクリートを打設したのち、貫通孔を塞ぐとともに防水シートを設けるようにしたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項10】
前記先行のコンクリートを打設後、前記妻型枠に替えて発泡目地材を設けて後行のコンクリートを打設するようにしたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の可撓止水継手の施工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−9433(P2007−9433A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188357(P2005−188357)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000196624)西武ポリマ化成株式会社 (60)
【Fターム(参考)】