説明

可溶化されたアニオン性ポリウレタンのスキンケア用組成物での使用

【課題】分散させたポリウレタンは、膜形成剤には適しておらず、脂っぽく、粗い感じまたは不均一な感じになり、塗布に時間がかかり、光沢のある外観になり、付着性が悪く、ザラザラするといったことのいずれかまたは組み合わせが現われ、スキンケア用製剤に利用されている他のポリマーは、可溶化を促進するため、中和剤の存在下で高温に加熱する必要があるという欠点がある。
【解決手段】この特許出願は、スキンケア組成物に対する美観の向上に資する、可溶化状態のアニオン性ポリウレタンの使用に関するものであり、ポリウレタンは、単独で、あるいは他のポリマー、中でもアクリレートポリマーやメタクリレートポリマーと組み合わせて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化されたアニオン性ポリウレタンのスキンケア用組成物での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、従来技術では界面活性剤を含む組成物の増粘剤として知られており、整髪に使用されている。ポリウレタンとその調製法は従来技術で周知である。
本発明のポリウレタンは、十分に反応したカルボキシル化された直鎖状ポリウレタンであり、(i)ポリウレタン1gにつきカルボキシル官能性が0.35〜2.25ミリ当量存在する量の2,2−ヒドロキシメチル置換された1種以上のカルボン酸と、(ii)それぞれが2個以下の活性水素原子を有し、特に平均分子量が1000を超える1種以上の有機化合物、特に、2,2−ヒドロキシメチル置換されたカルボン酸ではないもの、をポリウレタンの質量に対して5〜90質量%、さらに特定するならば10〜90質量%と、(iii)2,2−ヒドロキシメチル置換された上記カルボン酸および上記有機化合物の活性水素(ただし、2,2−ヒドロキシメチル置換された上記カルボン酸のカルボキシレート上の水素は除く)と反応するのに十分な量の1種以上の有機ジイソシアネートとの反応生成物として調製される。特に適切な態様では、ポリウレタンの特性が連鎖伸長および/または連鎖停止によってさらに向上している。
【0003】
ポリウレタンの調製法は、特に、イソシアネートの反応が理論上の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%まで進行した後、反応が完了する前に分散させるという方法である。活性水素を有するさまざまな有機成分のうちの1つを用いることができる。例えば、(A)少なくとも2つの活性水素を含み、Tgが5℃未満、さらに特定すると10℃未満であるポリマーや、(B)5〜14員環を有していて活性水素成分を含む環式構造体が挙げられる。有機成分(A)と(B)の組み合わせの代わりに、あるいは有機成分(A)と(B)の組み合わせに加えて、あるいはDMPAや、所望により活性水素原子を含む他の有機成分に加えて、成分(B)に関して上に説明した環式構造のいずれかを有するが16個を超えるアルコキシレート単位で置換されている成分(C)を使用することもできる。環成分を有するタイプ(C)の活性水素化合物は、ビスフェノールおよびその混合物からなるグループの中から選択することが好ましい。
【0004】
カルボキシル化したポリウレタンは、従来技術として公知で現在使用されており化粧品で標準的に認められている塩基で中和する。なおこの塩基は、単独で、または組み合わせて使用する。
【0005】
アメリカ合衆国特許第5,626,840号(特許文献1);第5,968,494号(特許文献2);第6,291,580号(特許文献3);ヨーロッパ特許出願第99 102797.0号(公開番号EP 0 937 541(特許文献4))のいずれにも、カルボキシル官能性を有する整髪用のポリウレタンが開示されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,626,840号明細書
【特許文献2】米国特許第5,968,494号明細書
【特許文献3】米国特許第6,291,580号明細書
【特許文献4】欧州特許公開第0 937 541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリウレタンは他の用途も知られており、例えば化粧用組成物に使用されている。しかしこのようなポリウレタンは一般に分散状態の製品にされる。ポリウレタン懸濁液は、溶液よりも製造しやすい。しかし分散させたポリウレタンは化粧品にすると多くの望ましからぬ性質を示す可能性がある。分散させたポリウレタンは膜形成剤には適しておらず、この用途では、脂っぽく、粗い感じまたは不均一な感じになり、塗布に時間がかかり、光沢のある外観になり、付着性が悪く、ザラザラするといったことのいずれかまたは組み合わせが現われる。
【0008】
他のポリマー、例えばポリアクリレートおよびアルケンから調製されたポリマーが、スキンケア用製剤に一般に使用されている。製造者の立場からすると、これらのポリマーは、可溶化を促進するため、必要に応じて中和剤の存在下で、高温に加熱する必要があるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、可溶化した状態のアニオン性ポリウレタンを使用するとスキンケア組成物の美観が向上し、しかも以前から知られている組成物の欠点のないことが見いだされた。
本発明は、スキンケア組成物に対する美観の向上に資する、可溶化状態のアニオン性ポリウレタンの使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、スキンケア組成物に対する美観の向上に資する、可溶化状態のアニオン性ポリウレタンの使用に関する。
本発明のスキンケア組成物では任意のアニオン性ポリウレタンを使用することができる。例えば、この明細書に参考として内容を援用する米国特許第5,626,840号、第5,968,494号、第6,291,580号、欧州特許出願第99 102797.0号(公開番号EP 0 937 541)に開示されているものなどが挙げられる。特に適しているのはアニオン性ポリウレタンであり、中でも2,2−ヒドロキシメチル置換されたカルボン酸を含むポリウレタンが適している。一態様では、ポリウレタンは、乳酸の重縮合物を含まないポリウレタンに限定される。
【0011】
ポリウレタンは、単独で、あるいは他のポリマーと組み合わせて使用することができる。組み合わせる他のポリマーとしては、例えば、アクリレートポリマーやメタクリレートポリマーのほか、アクリルアミド/メタクリルアミドをベースとしたポリマー、他のモノマーから誘導されたポリマーなどである。他のモノマーとしては、無水マレイン酸、マレエート、ブタジエン、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、イソブチレン、マレイミド、置換されたマレイミド、ビニルアミド(ビニルピロリドンなど)およびその誘導体、ビニルラクタム(ポリビニルカプロラクタムなど)、イタコン酸およびそのエステル、アルケン(エイコセンなど)、双性イオンモノマー、カチオンモノマー(塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムおよび塩化ビニルイミダゾリウムなど)などが挙げられる。これ以外に組み合わせるものとしては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオキサゾリン、ポリオール、ポリアルキレングリコール、ウレタンを含む他のポリマー、ヒドロゲル、シリコーン、シリコーン含有コポリマー、天然ポリマーまたは変性ポリマー(例えばセルロース、デンプン、キサンタン、セラック、アルギン酸塩、グアー、これ以外の天然ゴムまたは変性ゴム)などが挙げられる。特に適した組み合わせは、ポリウレタンとアクリレートポリマーおよびメタクリレートポリマーの組み合わせ、中でもポリウレタンとポリ(メタ)アクリレートの組み合わせである。このような組み合わせは、単純な混合、コポリマー、相互貫入ポリマー網目構造など、任意の形態にすることが可能である。
【0012】
ポリウレタンまたはポリウレタン混合物は、従来技術で公知の方法を用いて適切な溶媒中で可溶化される。溶媒としては、限定するものでなく、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)エーテル、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル)、ジオール(例えば、エチレングリコール)、ポリオール(例えば、グリセロール、ソルビトール)、アミド、カルバメート、糖、置換されたエーテル(例えばジプロピレングリコールジブチルエーテル)、非プロトン性極性溶媒(例えばN−メチルピロリドン)などが挙げられる。本発明によるポリウレタンの1つの利点は、溶解に熱エネルギーまたは長い撹拌時間を必要とせず、溶解形態(溶液)で販売してもよいことである。
【0013】
可溶化されたポリウレタンまたはポリウレタン混合物は、中和せずにスキンケア組成物に直接添加できるという利点や、中和形態で販売してもよいという利点を有する。本発明の一態様では、ポリウレタンを中和しない。
【0014】
可溶化されたポリウレタンまたはポリウレタン混合物は、任意のスキンケア組成物に使用することができる。そのようなスキンケア組成物としては、限定するものではなく、日焼け止め組成物、日焼け用組成物、日焼け後手入れ用組成物、ハンド・モイスチュアライザー、ボディ・モイスチュアライザー、フェイス・クリーム、フェイス・ローション、スキンタイトニング(tightening)用組成物、スキンファーミング(firming)用組成物、クレンジング組成物、色つき化粧品、美白用組成物などが挙げられる。
【0015】
可溶化したポリウレタンまたはポリウレタン混合物は、一般に、スキンケア組成物の質量の少なくとも約0.1質量%、より好ましくは少なくとも約0.2質量%、最も好ましくは少なくとも約0.5質量%で、約15%質量以下、より好ましくは約10%質量以下、最も好ましくは約5%質量以下の量が存在している。
【0016】
スキンケア組成物に一般に使用される他の添加剤も、この業界で知られている量が含まれていてよい。そのような添加剤としては、限定するものではなく、油、臘、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、活性剤、増粘剤、乳化剤、UV剤、緩和剤、香料、酸化防止剤、臭気吸収剤、消泡剤、光沢剤、顔料、ビタミン、植物性薬品、タンパク質、酵素、補酵素、着色剤などが挙げられる。特に適した態様では、可塑剤を使用しない。
【0017】
さらに別の添加剤として、疱疹状皮膚炎、いぼ、じんましん、瘢痕、ケロイド、強皮症、紅斑性狼瘡、多毛症、ニキビ、吹き出物、水虫、ヘルペスや、これ以外の疾患として『現代薬剤学』、第3版(ギルバート・バンカー、クリストファー・ロデス編、マルセル・デッカー社、ニューヨーク、1995年)に記載されている疾患に治療効果をもたらす可能性のある添加剤が製品中に存在していてもよい。この明細書では、治療用添加剤という用語は、このような添加剤を記述するのに用いる。
【0018】
得られるスキンケア組成物は、可溶化されたアニオン性ポリウレタンが存在しているために美観が向上している。美観のこのような向上としては、脂ぎった感じが少ないこと、光沢の低下、軽い感じ、滑らかさの改善、吸着力の向上などが挙げられよう。ポリウレタンは、潤い付与組成物において重要な膜形成を行ない、コロイド系または乳化系を安定化させるという利点をもたらす。さらに、可溶化されたポリウレタンまたは可溶化されたポリウレタン混合物は、水をベースとした製品に溶け、しかも水で除去したり、石鹸やボディ・ウォッシュなどの従来からあるクレンジング系を用いて除去したりすることができる。
性能が向上したスキンケア組成物は、従来技術で知られているものと同様の方法で塗布される。
【0019】
他の態様
以下の態様は、本発明をさらに詳しく説明するために提示するものであり、本発明がこれら態様に限定されると考えてはならない。
1.可溶化されたアニオン性ポリウレタンを含むスキンケア組成物。
2.可溶化されたアニオン性ポリウレタンと第2の可溶化されたポリマーの組み合わせを含む態様1の組成物。
3.第2のポリマーを、アクリレートポリマーおよびメタクリレートポリマーからなるグループの中から選択する、態様2の組成物。
4.第2のポリマーがポリアクリレートまたはポリメタクリレートである、態様3の組成物。
5.ポリウレタンがあらかじめ中和されている、態様1または2の組成物。
【0020】
6.スキンケア組成物を、日焼け止め剤、日焼け用組成物、日焼け後手入れ用組成物、ハンド・モイスチュアライザー、ボディ・モイスチュアライザー、フェイス・クリーム、フェイス・ローション、スキンタイトニング用組成物、スキンファーミング用組成物、スキンクレンジング用組成物、色つき化粧品、美白用組成物からなるグループの中から選択する、態様1または2の組成物。
7.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の少なくとも約0.1質量%である、態様1または2の組成物。
【0021】
8.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の少なくとも約0.2質量%である、態様7の組成物。
9.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の少なくとも約0.5質量%である、態様7の組成物。
10.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の約15質量%以下である、態様1または2の組成物。
【0022】
11.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の約10質量%以下である、態様10の組成物。
12.ポリウレタンの量、またはポリウレタンと第2のポリマーの量が、組成物の質量の約5質量%以下である、態様10の組成物。
13.治療用添加剤をさらに含む、態様1または2の組成物。
14.膜形成剤を含むスキンケア用組成物であって、前記膜形成剤を、可溶化されたアニオン性ポリウレタン、可溶化されたアニオン性ポリウレタンと第2の可溶化されたポリマーの混合物からなるグループの中から選択する、スキンケア用組成物。
【0023】
15.コロイド状安定剤を含むスキンケア用組成物であって、コロイド状安定剤を、可溶化されたアニオン性ポリウレタン、可溶化されたアニオン性ポリウレタンと第2の可溶化されたポリマーの混合物からなるグループの中から選択する、スキンケア用組成物。
16.エマルジョン安定剤を含むスキンケア用組成物であって、エマルジョン安定剤を、可溶化されたアニオン性ポリウレタン、可溶化されたアニオン性ポリウレタンと第2の可溶化されたポリマーの混合物からなるグループの中から選択する、スキンケア用組成物。
【実施例】
【0024】
以下の実施例は、本発明をさらに詳しく説明するために提示するものであり、本発明がこれら実施例に限定されると考えてはならない。%の数値はすべて質量/質量ベースである。
【0025】
実施例1
潤い付与用のハンド・ローションおよびボディ・ローション
【表1】

【0026】
本発明の実施例で用いるポリウレタンは、ポリプロピレングリコール、ポリアルコキシル化されたビスフェノールA、ジメチロールプロピオン酸、イソフォロンジイソシアネートというモノマーをベースとしている。このポリウレタンは、末端にアルキルエーテルアミンを有しており、アミノメチルプロパノールで中和されている。
【0027】
相Bの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aの各成分を合わせ、80℃に加熱した。次に相Aを相Bに添加し、15分間にわたって混合した。この混合物を40℃まで冷却した。相Cの各成分を合わせ、40℃にて混合物A/Bに添加し、完全に混合した。相Dを混合物A/B/Cに添加し、均一になるまで混合した。この混合物を室温まで冷却した。
【0028】
【表2】

【0029】
相Bの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aを相Bに添加し、15分間にわたって混合した。混合物A/Bを40℃まで冷却した。相Cを40℃にて混合物A/Bに添加し、均一になるまで混合した。この混合物を室温まで冷却した。
【0030】
実施例2
スキンタイトニング用エマルジョン
【表3】

【0031】
相Bの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aの各成分を合わせ、80℃に加熱した。80℃にて相Aを相Bに添加し、15分間にわたって混合した。この混合物を40℃まで冷却し、相Cを添加して完全に混合した。この混合物を室温まで冷却した。
実施例3
潤い付与用フェイス・クリーム
A.
【表4】

【0032】
相Bの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aの各成分を合わせ、80℃に加熱した。80℃にて相Aを相Bに添加し、15分間にわたって混合した。この混合物を40℃まで冷却し、相Cを添加して完全に混合した。この混合物を室温まで冷却した。
B.実施例3Aと同じ操作を行なった。ただし、ポリウレタン/ポリアクリレートの一部をフレキサン(登録商標)130ポリマーにした。
【0033】
実施例4
潤い付与用フェイス・ローション
【表5】

【0034】
相Bの各成分を合わせ、80℃に加熱した。相Aの各成分を合わせ、80℃に加熱した。80℃にて相Aを相Bに添加し、15分間にわたって混合した。この混合物を40℃まで冷却し、相Cを添加して完全に均一になるまで混合した。この混合物を室温まで冷却した。
【0035】
実施例5
日焼け防止用エマルジョン
【表6】

【0036】
相Aの最初の3つの成分を合わせ、よく混合した。ネオヘリオパンBBを添加し、室温にて10分間にわたって混合した。混合中、混合物を80℃に加熱した。パーソル1789を添加し、温度を80℃に維持しながらさらに5分間にわたって混合した。テゴ・ケア450を添加し、2〜3分間混合した。シンクロワックスERL−Cを添加し、さらに2〜3分間混合した。相Aの残りの成分を添加し、相Aの温度を80℃に維持しながら混合した。
【0037】
別の容器では、カルボポールEDT2020を室温の脱イオン水中でふるいにかけ、75〜80℃に加熱しながら混合した。カルボポールEDT2020が完全に消失したとき、ベルセン100を添加した。
ブチレングリコールとTEAをあらかじめ混合しておき、その中にポリウレタン/ポリアクリレートを添加した。相Cの脱イオン水を85℃まで加熱した後、相Cの他の成分を85℃にて添加した。相Cを温度を80〜85℃に維持しながら5分間にわたって混合した。
【0038】
相Aを相Bにゆっくりと添加した。次に相DをpHが6.5〜6.6になるまで混合物A/Bに添加し、よく混合した。激しく混合し、相Cを温度80〜85℃にて混合物A/B/Dに添加した。相Eを55℃以下の温度にて添加した。30℃まで冷却しながら中程度の強度で混合した。次にこの混合物を30℃にて3〜5分間にわたって均質化した(約9,000rpm)。水の損失を計算し、その損失分を混合物に添加した。
【0039】
B.実施例5Aと同じ操作を行なった。ただし、使用したポリウレタン/ポリアクリレートの量は3.64w/w%(乾燥質量ベースで1.0%)であり、水を添加して質量が同じになるようにした。
C.実施例5Aと同じ操作を行なった。ただし、2.00w/w%のダーマクリル(登録商標)ポリマー(ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社から入手可能)を相Cに添加し、ポリウレタン/ポリアクリレートは使用しなかった。
主観的感覚審査員(8人)がサンプル5Aとサンプル5Cを比較したところ、以下の表1に示す結果が得られた。
【0040】
【表7】

【0041】
表1から、ポリウレタン/ポリアクリレート・サンプルでは、比較例と比べ、脂っぽさ、粘着性、光沢が有意に小さく、吸収がより早いことがわかる。
D.実施例5Aと同じ操作を行なった。ただし、ポリウレタン/ポリアクリレートは使用せず、相Cにおいて0.63w/w%のTEAを使用した。サンプル5Aは、水で軽くリンスした後の使用後感が向上していた。
【0042】
サンプルD(対照)、サンプルA(2%アクリル酸ポリウレタン、乾燥ベース)、サンプルC(2%ダーマクリル、乾燥ベース)についてインビトロでのSPF効率を評価した。対照はSPFが36であったのに対し、サンプルAはSPFが53、サンプルCはSPFが65であった。これは、ポリウレタン溶液が膜形成能を有することを示している。
【0043】
実施例6
日焼け防止用エマルジョン
【表8】

【0044】
相Aの水、EDTA四ナトリウム、グリセリンを室温で合わせた。撹拌しながらカルボマーをゆっくりと表面に散布した。すべてのカルボマーを混入させた後、相Aを80℃に加熱した。相Bを別に用意し、80℃に加熱し、均一になるまで撹拌した。相Bを相Aにゆっくりと添加して混合した。この混合物が均一に見えるようになったとき、相Cを添加して混合した。再び均一にした後、加熱を停止し、混合から掃引に切り換えた。掃引式混合を冷却の間を通じて継続した。撹拌しながら相Dを45℃にて添加した。加熱の間に失われた水を添加して補い、室温になるまで撹拌を続けた。
【0045】
B.実施例6Aと同じ操作を行なった。ただし、ポリウレタン/ポリアクリレートの代わりに水を使用した。
両方のサンプルとも滑らかで豊富な量の白色のエマルジョンになった。以下の方法を利用してサンプルのSPFと耐水性を調べた。
装置:
ラブスフェアUV1000S紫外線透過分析装置を使用してサンプルの吸光度スペクトルを測定した。
【0046】
基板:
ビトロ−スキン(登録商標)。使用前にビトロ−スキン(登録商標)を水和させた。使用するスライド・マウントに合うようにビトロ−スキン(登録商標)を切断して断片にした。小さな水和用チェンバーを使用した。約200mlの水和溶液(蒸留水中に30%のグリセリン)をチェンバーに添加した。チェンバーを密封し、16時間にわたって温度を約23℃に維持した。こうすることによってビトロ−スキン(登録商標)を水和するのに適した湿度雰囲気になった。16時間後、このビトロ−スキン(登録商標)が使用可能状態になった。テスト材料をビトロ−スキン(登録商標)の粗い面に塗布した。
【0047】
各サンプルについて5つの基板サンプルを使用した。また、参考用サンプルを1つ用意した。
基板を天秤の上に載せ、先の丸くなった細針のついた注射器を用いてサンプルを2mg/cmの割合で塗布した。ヒトの真皮の可撓性に近くするため、基板を天秤から取り除いて発泡材ブロックに移した。日焼け防止剤を基板上に点状に分布させ、その状態での質量を記録した。日焼け防止剤が載った基板を天秤から取り除き、指サックを用いて20〜30回こすることによって日焼け防止剤を均一に広げた(約20秒間)。
【0048】
製品を塗布した後にサンプルを少なくとも15分間にわたって乾燥させ、エマルジョンが分解するのにまかせた。何も塗布していない(日焼け防止剤なし)の基板が、未処理の参考用対照となる。
測定:
ラブスフェアUV1000S紫外線透過分析装置を使用して測定を行なった。基準値のスキャンは参照用サンプルを用いて行なった。参照用サンプルに対して2回目のスキャンを行なった。その結果、100%±0.5%の平坦な基準値になった。
【0049】
次に、日焼け防止剤を塗布した基板に対する測定を行なった。テスト材料が適切に広がっていることを確認するため、1つのサンプルにつきサンプル上のさまざまな5つの点で測定を行なった。
【0050】
耐水性
方法:ビトロ−スキン(登録商標)を水浴に40分間浸した。乾燥させた後、日焼け防止剤を塗布した基板に対し、テスト材料のSPF値の1/3に1MEDを掛けた値に対応する全スペクトルUV照射量を照射した。このUV照射量は以下のように計算した。
UV照射量 =(SPF/3)×1J/cm
【0051】
大きな耐水性
方法:ビトロ−スキン(登録商標)を水浴に80分間浸した。乾燥させた後、日焼け防止剤を塗布した基板に対し、テスト材料のSPF値の1/3に1MEDを掛けた値に対応する全スペクトルUV照射量を照射した。このUV照射量は以下のように計算した。
UV照射量 =(SPF/3)×1J/cm
【0052】
【表9】

【0053】
表2からわかるように、ポリウレタン/ポリアクリレートを使用するとSPFが大きくなり、耐水性も向上する。
【0054】
実施例7
水性日焼け防止剤
【表10】

【0055】
相Bの各成分を合わせ、混合しながら75℃に加熱した。この混合物を室温まで冷却し、あらかじめ混合してある相Aを添加した。
【0056】
実施例8
乳化したポリウレタンを含む日焼け防止剤
【表11】

【0057】
相Aの各成分をあらかじめ混合した。相Bの各成分をあらかじめ混合しておき、均質化しながら相Aにゆっくりと添加した。白色の薄いエマルジョンが形成した。
【0058】
実施例9
潤い付与用ローション
【表12】

【0059】
相Aの各成分をあらかじめ混合した。相Bの各成分を混合し、相Aにゆっくりと添加した。この混合物を均質化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中和され、可溶化されたアニオン性ポリウレタンと、アクリレートポリマーおよびメタクリレートポリマーからなる群から選択される第2の可溶化されたポリマー、並びに少なくとも1種の溶媒を含むスキンケア用組成物を、手当てされるべきスキンの領域に塗布することを含む、スキンを手当てする方法であって、該スキンケア用組成物が、日焼け止め組成物、日焼け用組成物、日焼け後手入れ用組成物、ハンド・モイスチュアライザー、ボディ・モイスチュアライザー、フェイス・クリーム、フェイス・ローション、スキンタイトニング用組成物、スキンファーミング用組成物、スキンクレンジング組成物、色つき化粧品および美白用組成物からなる群から選択されるものである、方法。
【請求項2】
前記第2のポリマーがポリ(メタ)アクリレートである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記ポリウレタンと第2のポリマーの総量が、該組成物の質量の少なくとも約0.1質量%である、請求項1の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンと第2のポリマーの総量が、該組成物の質量の約15質量%以下である、請求項1の方法。

【公開番号】特開2009−67799(P2009−67799A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−267654(P2008−267654)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【分割の表示】特願2003−101977(P2003−101977)の分割
【原出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】