説明

可溶化乃至はマイクロエマルション剤形の皮膚外用剤

【課題】 界面活性剤、取り分け非イオン界面活性剤フリーの可溶化乃至はマイクロエマルション系の化粧料等の皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 1)アルギン酸及び/又はその塩0.05〜2質量%と、2)グリチルリチン酸及び/又はその塩0.01〜0.5質量%とを、可溶化乃至はマイクロエマルション剤形の皮膚外用剤に含有させる。更に、多価アルコールを10〜20質量%を含有することが好ましく、前記多価アルコールの少なくとも30質量%がグリセリンであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には医薬部外品など化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、生活において諸ストレスが過剰に負荷されやすい生活環境に生きていると言われる。過剰に負荷されたストレスが生体に与える影響は決して小さいものではなく、精神面での不安定化をはじめ、皮膚にすら大きな機能障害を与えると言われている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)その代表的なものは皮膚バリア機能の低下乃至は障害であると言われている。この様な皮膚バリア機能の著しい低下は、皮膚刺激物質からの防御が不能になり、慢性的に炎症を生じる、過敏症を誘起すると言われている。一説によればアトピー性皮膚炎もこの様な現象の一つであるとも言われている。
【0003】
この様にストレスにより、皮膚バリア機能が低下した場合には、一つ処置を間違うと過敏症を誘発するため、うかつな対応が出来ない。皮膚外用剤の投与も刺激を発現しかねない。特に、この様な皮膚バリア機能の低下状態では、界面活性剤に由来する刺激が増強されるとも言われる。その一方で、バリア機能の低下した皮膚を機能を補完する成分や、バリアの再構築を促す成分を投与して、保護することも必要であり、そのベヒクルをどうするかが大きな問題となっている。この様な状況より界面活性剤フリーの皮膚外用剤が望まれる背景が存した。
【0004】
界面活性剤フリーの製剤化技術では、強固なゲルの中に油性成分を封入する技術が開発されており、乳化性剤においては達成されていると言える。しかしながら、この様な乳化系では乳化粒子径が大きくならざるを得ず、その有効性は減じてしまうのが現状であった。更に、皮膚バリア機能の低下した人には必要な成分のみを投与することが好ましく、乳化剤形を作るために、製剤化のための油性成分を必要とする乳化剤形は最適とは言えない面が存した。
【0005】
一方、可溶化系乃至はマイクロエマルション系での界面活性剤フリーの技術は全く知られておらず、前述の背景からこの様な技術の開発が望まれていたと言える。
【0006】
ホホバアルコールは、皮膚の細胞脂質の構造を強化し、皮膚バリア機能を向上せしめる作用を有することが知られている。(例えば、特許文献4、特許文献5を参照)しかしながらこれを含有する可溶化剤形、或いは、マイクロエマルション剤形の皮膚外用剤は全く知られていない。
【0007】
マイクロエマルションなどの微細粒子を製造するのに好適な機械としては、マントンゴーリングミキサーのような高機械力攪拌装置が知られている。
【0008】
【特許文献1】特開2000-159666号公報
【特許文献2】特開平10−279505号公報
【特許文献3】特表2002-507545号公報
【特許文献4】特表2002-516828号公報
【特許文献5】特開2004-161655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、界面活性剤、取り分け非イオン界面活性剤フリーの可溶化乃至はマイクロエマルション系の化粧料等の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、界面活性剤、取り分け非イオン界面活性剤フリーの可溶化乃至はマイクロエマルション系の化粧料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)アルギン酸及び/又はその塩0.1〜2質量%と、2)グリチルリチン酸及び/又はその塩0.01〜0.5質量%とを化粧料に含有させることにより、界面活性剤フリーの状態で可溶化系乃至はマイクロエマルション系が出来ることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。
(1)1)アルギン酸及び/又はその塩0.05〜2質量%と、2)グリチルリチン酸及び/又はその塩0.01〜0.5質量%とを含有することを特徴とする、可溶化乃至はマイクロエマルション剤形の皮膚外用剤。
(2)更に、多価アルコールを10〜20質量%を含有することを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記多価アルコールの少なくとも30質量%がグリセリンであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)実質的に非イオン界面活性剤を含有しないことを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)非イオン界面活性剤以外の界面活性剤も含有しないことを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)ホホバアルコールを0.1〜3質量%含有することを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(7)抗炎症作用を有する医薬部外品であることを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(8)ストレスによって生じた皮膚バリア機能の損傷を補完するためのものであることを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(9)マントンゴーリングミキサーを用いて製造されることを特徴とする、(1)〜(8)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、界面活性剤、取り分け非イオン界面活性剤フリーの可溶化乃至はマイクロエマルション系の化粧料等の皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアルギン酸
本発明の皮膚外用剤は、可溶化系乃至はマイクロエマルション系であって、アルギン酸及び/又はその塩を0.05〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有することを特徴とする。アルギン酸或いはその塩は、前記の量範囲において、グリチルリチン酸及び/又はその塩とともに働き、界面活性剤の非存在下であっても、脂溶性成分をミセルにし、可溶化或いはマイクロエマルション化させる作用を有する。アルギン酸としては、化粧料などの皮膚外用剤で使用されるものを用いることが出来、前記アルギン酸の塩としては、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される塩であれば特段の限定無く使用することが出来、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。これらの内では、可溶化力(マイクロエマルション化力)の点でアルカリ金属塩が特に好ましく、中でも、ナトリウム塩が特に好ましい。本発明の皮膚外用剤では、かかるアルギン酸及び/又はその塩は唯一種を用いることも出来るし、二種以上を組み合わせて用いることも出来る。好ましくは、少なくとも1種が塩である形態である。
【0013】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるグリチルリチン酸
本発明の皮膚外用剤は、グリチルリチン酸及び/又はその塩を0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.02〜0.2質量%含有することを特徴とする。この範囲において、グリチルリチン酸及び/又はその塩は抗炎症作用を発揮するが、それとともに、前記アルギン酸及び/又はその塩とともに働いて、可溶化或いはマイクロエマルションに好適な大きさのミセルを形成、安定化させる作用を有する。グリチルリチン酸の塩としては、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用されているものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。特に好ましいものは、アルカリ金属塩であり、中でも、カリウム塩が特に好ましい。
【0014】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、可溶化乃至はマイクロエマルション剤形であることを特徴とする。ここで、マイクロエマルション剤形とは、通常0.1μm以下のミセルで、紫がかった透明よりは少し濁りを感じる性状の剤形であり、従前は乳化剤形の一つに分類された時代もあったが、現在では、可溶化剤形の一変種との認識が強くなっている剤形である。即ち、マイクロエマルションの定義は、「1)0.1μm以下のミセル、2)外観において、濁りは存するものの透明性を有する」と言う2つの性状を有するものであると言える。本発明の皮膚外用剤において、可溶化剤形とマイクロエマルション剤形のどちらになるかは、その製造方法によって制御できる。即ち、混合力に対して水相に対する油相の添加速度が小さければ、可溶化剤形になり、混合機械力が少ない場合にはマイクロエマルション剤形になる。可溶化剤形にするためには、マントンゴーリングミキサーなどのような高機械力攪拌装置を用いることも好ましい。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は前記必須成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;ホホバアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0016】
これらの内、特に好ましい成分は、多価アルコールであり、多価アルコールを10〜20質量%を含有することが好ましく、14〜18質量%含有することがより好ましい。かかる成分は、ミセル微細化する作用をこの量範囲において堅調に示すためである。該多価アルコールの組成としては。全多価アルコールの少なくとも30質量%がグリセリンであることが好ましく、グリセリンが40質量%以上であることがより好ましい。
【0017】
ミセルに内包される油性成分としては、液状の極性油剤が好ましく、1気圧25℃の条件下、流動性を有する高級アルコールが好ましく例示できる。ストレスで損傷した皮膚バリア機能を補完し、ストレスによる皮膚の機能低下を向上させるためには、かかる極性油剤としてホホバアルコールを用いることが好ましい。かかるホホバアルコールの好ましい含有量は、0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。これは多すぎると乳化系を形成するためである。乳化系になることにより、ミセルが大きくなり、皮膚の深部への配向が阻害され、損傷した皮膚バリア機能の補完作用が損なわれる場合が存する。
【0018】
前記の必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造することが出来る。この場合、前述の如くに、マントンゴーリングミキサーの様な高機械力攪拌装置を用いることが特に好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定無く適用でき、例えば、皮膚外用医薬、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用雑貨などが例示でき、中でも化粧料が好ましい。これは作用が緩和であることと、安全性が高いために連日の使用が可能であるためである。特に、ストレスの過負荷により、バリア機能が損傷した人には、不都合な反応も少なく、バリア機能を補完できるので、ストレス負荷→バリア機能の低下→炎症の誘起→ストレスの増強の悪循環を絶つことが出来る。特に、必須成分であるグリチルリチン酸及び/又はその塩は、ミセル安定化作用のみならず、抗炎症作用も発現するので、抗炎症を訴求した医薬部外品とすることが好ましい。医薬部外品に適用する際には、医薬部外品である旨の表示、抗炎症作用を有する旨の表示を明確に包装形態に設け、その使用態様を明確にしておくことが、使用態様を使用者に遵守させることができるために好ましい。
【0020】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0021】
次に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料(抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を製造した。即ち、イ、ロをそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、マントンゴーリングミキサーにかけマイクロエマルションに転移させた。(平均粒径0.05μm)これを攪拌冷却し、マイクロエマルション剤形の本発明の皮膚外用剤である化粧料1(抗炎症作用を訴求した医薬部外品)を得た。尚、アルギン酸ナトリウムの一部を水に置換し、アルギン酸ナトリウムの含有量を0.03質量%に減量した比較例1、グリチルリチン酸ジカリウムの一部を水に置換して0.03質量%に減量した比較例2の製造も試みたが、油相が浮き可溶化も、乳化もできなかった。
【0022】
イ)
ホホバアルコール 1 質量%
ベヘン酸 0.1質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ロ)
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 85 質量%
【0023】
<試験例1>
化粧料1の効果をパネラーを用いて確かめた。パネラーはストレスの過負荷を感じている人について、TEWL(経皮的散逸水分量;インテグラル社製テヴァメータで測定)を測定し、TEWLの値が50以上の人を選抜して行った。(n=4)即ち、パネラーの前腕内側部に2cm×4cmの部位を作成し、この部位のTEWLを測定した後、化粧料40μlを投与し、20分静置した後、水性洗顔料で水洗し、15分インターバルをおいたの知再びTEWLを測定した。(初回のTEWL−2回目のTEWL)/初回のTEWL×100の計算でTEWL改善率を求めた。同様に、化粧料1と同一の処方でマントンゴーリングミキサー処理をしない、平均粒径4.7μmの乳液を比較例3として、同様に評価した。結果を表1に示す。この表より、本発明の皮膚外用剤はストレス過負荷により亢進したTEWLの抑制に優れることが判る。
【0024】
【表1】

【実施例2】
【0025】
実施例1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料2を製造した。試験例1の方法に従って評価したところ(n=1)TEWL改善率は41%であった。
【0026】
イ)
ホホバアルコール 1 質量%
ベヘン酸 0.1質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ロ)
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
アルギン酸ナトリウム 1 質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 84.2質量%
【実施例3】
【0027】
実施例1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料3を製造した。試験例1の方法に従って評価したところ(n=1)TEWL改善率は34%であった。
【0028】
イ)
ホホバアルコール 1 質量%
ベヘン酸 0.1質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ロ)
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 85.1質量%
【実施例4】
【0029】
実施例1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料4を製造した。試験例1の方法に従って評価したところ(n=1)TEWL改善率は31%であった。
【0030】
イ)
ホホバアルコール 1 質量%
ベヘン酸 0.1質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ロ)
グリセリン 4 質量%
1,3−ブタンジオール 9 質量%
アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 85.1質量%
【実施例5】
【0031】
実施例1と同様に、下記処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料5を製造した。試験例1の方法に従って評価したところ(n=1)TEWL改善率は22%であった。
【0032】
イ)
ラウリルアルコール 1 質量%
ベヘン酸 0.1質量%
δ−トコフェロール 0.1質量%
ロ)
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 5 質量%
アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2質量%
フェノキシエタノール 0.4質量%
水 85 質量%
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルギン酸及び/又はその塩0.05〜2質量%と、2)グリチルリチン酸及び/又はその塩0.01〜0.5質量%とを含有することを特徴とする、可溶化乃至はマイクロエマルション剤形の皮膚外用剤。
【請求項2】
更に、多価アルコールを10〜20質量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記多価アルコールの少なくとも30質量%がグリセリンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
実質的に非イオン界面活性剤を含有しないことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
非イオン界面活性剤以外の界面活性剤も含有しないことを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
ホホバアルコールを0.1〜3質量%含有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
抗炎症作用を有する医薬部外品であることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
ストレスによって生じた皮膚バリア機能の損傷を補完するためのものであることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
マントンゴーリングミキサーを用いて製造されることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−112740(P2007−112740A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305144(P2005−305144)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】