説明

可溶化剤組成物

【課題】シンプルな組成で高い安定性を示す香料の可溶化剤組成物を提供する。
【解決手段】直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と特定の比率でアルカリ土類金属塩を用いることによって、香料を水に容易に可溶化でき、さらに高い保存安定性を有する香料の可溶化剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料を水に安定に可溶化するための可溶化剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
香料を水に界面活性剤を用いて可溶化する技術は、芳香剤、化粧品、医薬品などの産業分野で広く応用されている技術で、界面活性剤としては低濃度からミセルを形成しやすい非イオン性界面活性剤が好ましい事(非特許文献1参照)、酸化プロピレンや酸化エチレン付加型の非イオン界面活性剤とグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどのポリオールとの組合せが好適である旨記述されている(非特許文献2参照)。従って、現在では香料の可溶化剤としては非イオン性界面活性剤が広く使用されており、さらにアニオン性界面活性剤を併用して安定性を高めることが行われている。この分野の技術の最大の関心事は依然として広い温度範囲での長期間の安定性の確保であり、さらには、低コストの可溶化剤の開発にある。このため従来から多くの提案がなされており、例えばイオン性活性剤と非イオン性活性剤の組合せによる耐温性に優れた可溶化剤の提案(特許文献1参照)、イオン性活性剤と非イオン性活性剤及び電解質の3成分系による耐温性に優れた可溶化剤の提案(特許文献2参照)がある。これらは被可溶化物として香料の例示が無く、主に化粧品用の油剤の可溶化を狙った技術の提案であり本発明との関係は薄い。さらに、アルキルベンゼンスルホン酸塩と第2級アルコールの酸化エチレン付加物、及びノニルフェノールの酸化エチレン付加物、他の組合せによる保存安定性の良い香料の可溶化剤(特許文献3参照)、広い温度範囲にわたって乳化性能を示す界面活性剤と狭い温度範囲で可溶化性能を示す界面活性剤とを組み合わせてなる安定性の高い可溶化剤組成物(特許文献4参照)、これらはいずれも被可溶化物が香料で広い温度範囲での安定性を向上させることを目的にしている。可溶化剤としては多種類の界面活性剤が必要であり、しかも必須成分として生分解性に問題のあるノニルフェノールの誘導体が採用されており、環境への配慮といった面からも好ましくない。さらに、香料、界面活性剤、ポリオール等の相調整剤及び水を特定の割合で含む、安定な高濃度の香料を含む組成物(特許文献5参照)、複数の非イオン界面活性剤とアルキルエーテル硫酸塩とを組み合わせた香料などの可溶化剤(特許文献6参照)の提案があるが、特許文献5は洗剤に配合することを前提とした高濃度の香料組成物で、本発明とは目的が全く異なる。特許文献6はやはり洗剤中への香料の配合を前提にした可溶化剤組成物であるが、多成分の界面活性剤の混合系であり経済性に問題がある。
【0003】
【非特許文献1】日本油化学会誌,49(11,12),1383〜1390(2000)
【非特許文献2】最新・界面活性剤応用技術、刈米孝夫編集、(株)シーエムシー発行、1990年
【特許文献1】特開昭58−128311号公報
【特許文献2】特開昭58−131127号公報
【特許文献3】特開昭63−189154号公報
【特許文献4】特開平6−63374号公報
【特許文献5】特開2000−169877号公報
【特許文献6】特開2004−339474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来提案されている香料の可溶化技術は多成分の界面活性剤を組み合わせたり、特殊な界面活性剤を用いており、なお製造設備面、原材料面からのコストの問題が残っている。本発明は、シンプルな組成で高い安定性を示す香料の可溶化剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と特定の比率でアルカリ土類金属塩を用いることによって、香料を水に容易に可溶化でき、さらにこの可溶化物は高い保存安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩とアルカリ土類金属塩からなる香料の可溶化剤で、香料100重量部に対して直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が50〜300重量部であり、かつ、アルカリ土類金属塩が直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩1モルに対して、0.01〜0.3当量である可溶化剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の可溶化剤組成物によれば、シンプルな界面活性剤で、香料を安定に可溶化でき低コストで産業上優位性の高い技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の可溶化剤組成物は必須成分として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含み、本発明に用いられる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基は炭素数8〜18のものが好適であり、対イオンはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類が用いられるが、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0009】
本発明に用いられるアルカリ土類金属塩は、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。対イオンは特に限定されないが、塩素、有機酸など水溶性の高いものが好ましく、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウムなどが用いられるが、これに限定されるものではない。アルカリ土類金属塩は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩1モルに対して、香料の種類にもよるが0.01〜0.3当量の割合で用いるのが好適で、0.01当量よりも少ないと可溶化が出来ず、0.3当量よりも多い場合には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の不溶性カルシウム塩が析出し、不均一な系になる。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸はアルカリ土類金属のような2価の金属と2対1モルの比率で水に不溶性の金属塩を形成することは良く知られている。本発明におけるアルカリ土類金属の役割は、極めて親水性の高い直鎖アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩もしくはアミン塩に疎水性の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ土類金属塩を生成せしめ、系の親水性、疎水性のバランスを調整する事により香料の可溶化に好適な系を作る事にある。調合香料は、あるイメージに基づいて調製される天然香料や単品の合成香料を配合した多成分の混合物であり、これらは比較的界面活性剤により可溶化されやすい、極性の高いフェノール類、エステル類や極性が低く比較的界面活性剤に可溶化され難い炭化水素類など物理化学的な性質の異なる多様な成分からなる(阿部 等、油化学 39 565(1990))。
【0010】
従って調合香料には、単品香料の性質や配合割合により、界面活性剤により可溶化され易い香料、可溶化され難い香料が存在する。従来の技術ではこのような問題に対応するために界面活性剤の配合量を増やしたり種類を変更したり、新たに溶剤などを配合するなどの工夫がなされている。本発明によれば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は一定量で、アルカリ土類金属塩の配合量を、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩1モルに対して0.01〜0.3当量の範囲で調整して対応する事が可能である。
【0011】
香料に対する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩の配合比は、香料100重量部に対して直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩50〜300重量部で、好ましくは100〜200重量部で、50重量部より小さいと可溶化が出来なくなる場合がある。300重量部以上では可溶化などの物性には影響を及ぼさないが、必要以上の使用は泡立ちの原因になったり、コスト的にも好ましくない。
【0012】
本発明に用いる香料は、特に限定されるものではなく、天然及び合成の広い範囲の香料を利用することができる。具体的には、炭化水素類としては、例えば、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ミルセン、ジヒドロミルセン、リモネン、テルピノーレン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、ビサボレン、セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ロンギホレンなどを挙げることができる。
【0013】
アルコール類としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ムゴール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、エチルリナロール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、l−メントール、カルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、シス−3−ヘキセノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、サンダロール(Givaudan社商品名)、バクダノール(IFF社商品名)、フェニルエチルアルコール、ヒドロトロパアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコールなどを挙げることができる。
【0014】
アルデヒド類としては、例えば、シトラール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、α−メチレンシトロネラール、ミルテナール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、3,7−ジメチルオクタナール、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、n−デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、テトラデカナール、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、シクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジエチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルヒドラトロパルアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジエチルアセタール、アミルシンナミックアルデヒドジエチルアセタール、ヘリオトロピンジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルエチルアセタール、アセトアルデヒド2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどを挙げることができる。
【0015】
ケトン類としては、例えば、カンファー、メントン、ピペリテノン、ゲラニルアセトン、アセチルセドレン、ヌートカトン、ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、メチレンテトラメチルヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、ホモフロナール(Givaudan社商品名)、マルトール、エチルマルトール、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタールなどを挙げることができる。
【0016】
エステル類としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸3−ペンテニルテトラヒドロピラニル、酢酸ミラルディル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ吉草酸フェニルエチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸リナリル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸オイゲニル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸シトロネリル、フェニル酢酸メンチルサリチル酸アミル、ヘキサン酸リナリル、ヘキサン酸シトロネリル、オクタン酸リナリル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、ゲラン酸エチル、シクロゲラン酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチルなどを挙げることができる。
【0017】
フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0018】
エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン(IFF社商品名)、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス(Firmenich社商品名)、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイドなどを挙げることができる。
【0019】
ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスミンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンなどを挙げることができる。
【0020】
酸類としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、フタール酸、アビエチン酸、バニリン酸、ピロガロールなどを挙げることができる。
【0021】
合成ムスクとしては、例えば、ムスコン、シクロペンタデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、ムスクアンブレット、6−アセチルヘキサメチルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ガラクソリド(IFF社商品名)などを挙げることができる。
【0022】
又、天然香料としては、例えば、アビエス、アンブレット・シード、アンジェリカ、アニス、アルモアゼ、ベージル、ベイ、ベルガモット、バーチ、ボア・ド・ローズ、カラムス、カンファー、カナンガ、キャラウェイ、カルダモン、カシア、シダーウッド、カモミル、シトロネラ、コスタス、クミン、ディル、エレミ、ユーカリ、ガルバナム、ゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、グアイアック、ガーデニア、ひのき、ホウショウ、ヒアシンス、ジャスミン、ジュニパ・ベリー、ラブダナム、ラバンジン、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、リナロエ、ミモザ、ミント、オークモス、オレンジフラワー、イリス、パチョリ、パルマローザ、ペパーミント、ローズ、クラリー・ゼージ、サンダル、チュベローズ、ベチバー、スミレ、イラン・イランなどの精油などを挙げることができる。
【0023】
その他、香料化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、合成香料[印藤元一著 化学工業日報社出版]などに記載の香料化合物を挙げることができる。
【0024】
本発明の可溶化剤組成物には本発明の効果を妨げない事を限度として、通常、芳香剤、化粧品及び洗浄剤などに使用されている各種添加物を配合する事が出来る。かかる添加物としては、例えば、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防臭剤、抗菌剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、溶剤、ハイドロトロープ剤、紫外線吸収剤、色素、防虫剤、殺虫剤、忌避剤などを配合する事が出来る。
【0025】
本発明の可溶化剤組成物の製造方法としては、特に制限されることなく、一般の界面活性剤を用いた油性成分の可溶化プロセスで良く、即ち、所定量の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカリ土類金属塩、香料を混合し、必要なら加温またはポリオールや少量の精製水などの溶剤を加え均一にする。これを所定量の水に必要なら加温し、撹拌しながら添加し、透明な可溶化液を得ることが出来る。
【0026】
以下、実施例により本発明の実施の態様を更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明をなんら限定するものではない。
【実施例】
【0027】
実施例1〜11及び比較例1〜2
表1及び表2に示した配合処方により香料可溶化剤組成物を調製して、保存安定性を試験した。保存安定性試験の評価を下記表1及び表2に示す。但し、表1及び表2中の配合量は重量%である。
【0028】
保存安定性試験方法:調製された各溶液を50mlのガラスビンに約30ml充填し、蓋を閉めて、50℃の恒温槽に入れ20日間保存した。配合直後と20日間保存後に安定性を目視により確認した。
評価基準は下記の通りである。
【0029】
○ :透明
△ :半透明
X :白濁、分離
下記表1及び表2の結果から明らかな様に、本発明品は比較品にくらべ優れた保存安定性を示した。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
*塩化カルシウムの直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに対する当量は、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの分子量を348として計算した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩とアルカリ土類金属塩からなる香料の可溶化剤組成物。
【請求項2】
香料100重量部に対して直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が50〜300重量部であり、かつ、アルカリ土類金属塩が直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩1モルに対して、0.01〜0.3当量である請求項1に記載の可溶化剤組成物。

【公開番号】特開2007−99982(P2007−99982A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293663(P2005−293663)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】