説明

可溶化剤

【課題】複数の種類の香料に対しても可溶化能に優れ、香料の選択性が小さい可溶化剤を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物およびアニオン性界面活性剤を含有する可溶化剤である。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]-(C24O)r-(A2O)s−H (1)
式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基もしくはアシルアミノアルキル基、または炭素数8〜24のアリールアルキル基;A1およびA2は炭素数3または4のアルキレン基;pおよびrは平均が0〜100となる0または1以上の整数、qは平均が1〜10となる0または1以上の整数、sは平均が0〜10となる0または1以上の整数;[(C24O)p・(A1O)q]はランダム付加またはブロック付加を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化剤、詳しくは部屋、トイレ、車などに使用される芳香剤や各種の化粧品において、香料や油脂類等の油性成分を芳香剤や化粧品中に安定に可溶化させるための可溶化剤およびそれを用いたゲル状芳香剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香剤や化粧品等において、香料や油脂類の油性成分の分離を防止するための可溶化剤としては、多くのものが提案されている。例えば、分枝アルキル基あるいはアルケニル基をもつ高級アルコールのアルキレンオキシド付加物(特許文献−1)、フェノール類のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物(特許文献−2)、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物とトリグリセリドのエチレンオキサイド付加物の配合物(特許文献−3)、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物と硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物(特許文献−4)等が知られている。
しかしながら、これまでに提案された可溶化剤は、特定の香料に対しては可溶化能を発揮するが、香料の種類を代えると可溶化効果が発揮できなくなることが多く、香料の選択性があった。例えば、香料との配合直後は透明に可溶化できていても、各種の温度で(例えば5℃〜40℃)で1ヶ月間保存すると、香料の種類によっては白濁化したり、半透明になったりすることがあった。
【特許文献−1】特開昭54−132491号公報
【特許文献−2】特開昭57−70197号公報
【特許文献−3】特表2003−534431号公報
【特許文献−4】特開平9−301844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、複数の種類の香料に対しても可溶化能に優れた、香料の選択性が小さい可溶化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)、ヒドキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)およびアニオン性界面活性剤(C)を含有する可溶化剤、並びに該可溶化剤と香料を必須成分とし、さらに親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)および水からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる芳香剤である。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]-(C24O)r-(A2O)s−H (1)
式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基もしくはアシルアミノアルキル基、または炭素数8〜24のアリールアルキル基、A1およびA2は炭素数3または4のアルキレン基、pおよびrは平均が0〜100となる0または1以上の整数、qおよびsは平均が1〜10となる0または1以上の整数、[(C24O)p・(A1O)q]はランダム付加またはブロック付加を示す。
【発明の効果】
【0005】
本発明の可溶化剤は、複数の種類の香料に対しても可溶化能に優れており、香料の選択性が小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)は一般式(1)で表され、式中のR1としては以下の基が挙げられる。
炭素数が8〜24(好ましくは8〜20、さらに好ましくは10〜18)のアルキル基としては、直鎖もしくは分岐のアルキル基またはシクロアルキル基、例えばn−、i−オクチルおよび2−エチルヘキシル基、n−およびi−ノニル基、n−およびi−デシル基、n−およびi−ドデシル基、n−およびi−トリデシル基、n−およびi−テトラデシル基、n−およびi−ヘキサデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、並びにテトラコシル基等;
炭素数が8〜24(好ましくは8〜20、さらに好ましくは10〜18)アルケニル基としては、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、およびガドレイル基等;
炭素数8〜24(好ましくは8〜20、さらに好ましくは10〜18)のアシル基を有し、かつ炭素数1〜6(好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2)のアルキル基を有するアシロキシアルキル基としては、ラウロイロキシエチル基、ラウロイロキシプロピル基、ステアロイロキシエチル基、ステアロイロキシプロピル基、オレオイロキシエチル基、オレオイロキシプロピル基等;
炭素数8〜24(好ましくは12〜20、さらに好ましくは14〜20、特に好ましくは16〜20)のアシル基を有し、かつ炭素数1〜6(好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2)のアルキル基を有するアシルアミノアルキル基としては、ラウラミドエチル基、ラウラミドプロピル基、ステアラミドエチル基、ステアラミドプロピル基等;
炭素数8〜24のアリールアルキル基としては、アルキル基の炭素数が2〜18のもの、例えば6−フェニルヘキシル基、7−フェニルヘプチル基、8−フェニルオクチル基、10−フェニルデシル基、12−フェニルドデシル基等;が挙げられる。
【0007】
これらのうち、香料の可溶化能の選択性の観点から好ましいものは炭素数8〜20のアルキル基およびアルケニル基であり、特に、炭素数10〜18のアルキル基およびアルケニル基である。
【0008】
1およびA2の炭素数3〜4のアルキレン基としては、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、2,3−ブチレン基および1,4−ブチレン基があげられ、これらのうち好ましいのは1,2−プロピレン基である。
【0009】
(A1O)qおよび(A2O)sにおいて、A1とA2は同一でも異なっていてもよい。また[(C24O)p・(A1O)q]の付加形式は、ランダム付加またはブロック付加のいずれでもよい。
【0010】
(A)はアルキレンオキサイド付加物であり、アルキレンオキサイド付加物は通常は一定の付加モル数分布を有する化合物の混合物からなり、(A)は一般式(1)においてそれぞれ異なるp、r、qおよびsを有する化合物の混合物である。
pおよびrはそれぞれ平均が0〜100、好ましくは2〜80、さらに好ましくは4〜60となる0または1以上の整数、qは平均が1〜10、好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜6となる0または1以上の整数である。sは平均が0〜10、好ましくは0〜8、さらに好ましくは0〜6となる0または1以上の整数である。
pまたはrの平均が100を越えると香料の可溶化能における香料の種類の選択性が大きくなり、qおよび/またはsの平均が10を越えても香料の可溶化能における香料の種類の選択性が大きくなる。
【0011】
本発明における(B)は、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物である。ヒドロキシル基を有する油脂としては、炭素数8〜24の脂肪酸モノおよびジグリセライド、炭素数8〜24のヒドロキシ脂肪酸トリグリセライド(ヒマシ油および硬化ヒマシ油など)が挙げられる。これらのうち好ましいのは炭素数8〜24のヒドロキシ脂肪酸トリグリセライド、さらに好ましいのはヒマシ油または硬化ヒマシ油である。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,2−ブチレンオキサイドなどが挙げられ、2種以上を併用する場合の付加形式はブロックでもランダムでもよい。これらのうち好ましいのはEOであり、付加モル数は10〜100モル、好ましくは15〜80モル、さらに好ましくは20〜60モルである。
【0012】
(A)および(B)は、公知の方法で製造できる。例えば、R1−OHで表されるアルコール類に触媒(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒)の存在下で、アルキレンオキサイドを80〜200℃で付加反応させることにより製造できる。
【0013】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(C)としては以下のものが挙げられる。
(C1)スルホサクシネート型アニオン性界面活性剤;
炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノもしくはジアルキル(ラウリル、オクチル、2−エチルヘキシル、ミリスチル、ステアリルなど)スルホコハク酸エステルジもしくはモノナトリウム、および(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノもしくはジアルキル(ラウリルオクチル、2−エチルヘキシル、ミリスチル、ステアリルなど)スルホコハク酸エステルジもしくはモノナトリウム等]、
(C2)アルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤;
炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテルサルフェート、例えば(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、およびポリオキシエチレン(重合度=1〜50)テトラデシルエーテルサルフェートナトリウム塩など、
(C3)アルカンスルホネート型アニオン性界面活性剤;
炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩[ドデシルスルホン酸ナトリウムなど]、
(C4)その他のアニオン性界面活性剤;
炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数8〜24のの炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなど]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミンなど]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウムなど]。
これらのうち好ましいのは、(C1)、(C2)および(C3)のうちの1種以上である。
【0014】
本発明の可溶化剤は、香料の選択性の観点から、(A)、(B)および(C)の合計質量に基づいて、(A)を好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35%(以下、特に限定しない限り%は質量%を表す)、特に好ましくは13〜35%含有する。また、(B)を好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜70%、特に好ましくは25〜65%含有する。また、(C)を好ましくは0.1〜30%、さらに好ましくは1〜25%、特に好ましくは2〜15%含有する。
【0015】
本発明の可溶化は、さらに必要により一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤(D)を含有してもよい
2O(C24O)m−H (2)
【0016】
2は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基もしくはアシルアミノアルキル基、または炭素数8〜24のアリールアルキル基、mは平均が4〜100、好ましくは8〜80、さらに好ましくは10〜60となる0または1以上の整数である。
mの平均が4〜100であれば香料の選択性が小さくなりやすく好ましい。
【0017】
一般式(2)において、R2としてはR1で例示した基と同様の基が挙げられ、香料の可溶化能の選択性の観点から好ましいものは炭素数8〜20のアルキル基およびアルケニル基であり、特に、炭素数10〜18のアルキル基およびアルケニル基である。
【0018】
本発明の可溶化剤において、(D)の含有量は、(A)〜(D)の合計質量に基づいて、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜40%、特に好ましくは10〜35%である。
上記の含有量の範囲であれば、香料の選択性が大きくなりにくいので好ましい。
【0019】
本発明の可溶化剤は、さらに必要により、他の非イオン界面活性剤(E)および/または両性界面活性剤(F)を含有してもよい。
【0020】
他の非イオン性界面活性剤(E)は、(A)、(B)および(D)以外の非イオン性界面活性剤であり以下のものが挙げられる。
脂肪酸(炭素数8〜18)EO(付加モル数1〜60)付加物;ポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)EO(付加モル数1〜100)付加物;ポリオキシエチレン(付加モル数3〜60)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル;ソルビタンモノラウレートEO(付加モル数1〜30)付加物、ソルビタンモノオレートEO(付加モル数1〜30)付加物などの多価(2〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルEO付加物(付加モル数1〜60);ポリオキシエチレン(付加モル数1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミン;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル;ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;並びにラウリルジメチルアミンオキサイド;が挙げられる。
【0021】
両性界面活性剤(F)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムシンなど]が挙げられる。
【0022】
(E)を併用する場合の(E)の含有量は、可溶化剤中の(A)〜(F)の合計質量に基づいて、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜30%、特に好ましくは0%である。
また、(F)を併用する場合の(F)の含有量は、可溶化剤中の(A)〜(F)の合計質量に基づいて、好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜30%、特に好ましくは0%である。
【0023】
本発明の可溶化剤は上記の(A)〜(C)を必須成分とし、必要により(D)〜(F)を加えてなる組成物である。
【0024】
本発明の可溶化剤は、各原料成分を配合することにより得ることができる。
配合においては必要により加熱(通常30〜80℃)して溶解し、撹拌混合してもよい。本発明の可溶化剤は、通常は液状または固状であり、固状の場合の融点は通常30〜80℃である。
【0025】
本発明の芳香剤は上記の可溶化剤と香料を必須成分とし、さらに親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)および水からなる群から選ばれる1種以上を含有する。
【0026】
芳香剤において使用できる香料は、天然香料あるいは合成香料のいずれでも使用可能で、調合香料でもよい。
【0027】
天然香料としては、じゃ香などの動物性香料;アビエス油、アジョクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ペルガモット油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュペブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーペリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロページ油、メース油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はつか油、燈花油、オレンジ油、セイジ油、スターアニス油、テレピン油およびウォームウッド油などの植物性香料が挙げられる。
【0028】
合成香料としては、ピネン、リモネン、オシメン、グアイエンなどの炭化水素類;リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、α−フェニルエチルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、ロジノール、アンブリノール、1−オクタノール、3−オクタノール、9−デセノール、1−ウンデセノール、ジヒドロカルベオール、プレノール、エチルリナロール、3−ヘプタノール、ベンジルオイゲノール、2−エチルヘキサノール、3−ヘキセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、P−イソプロピルシクロヘキセンメタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、P-イソプロピルシクロヘキサノール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−ヘキセノール、1−ノネン−3−オール、トオクテン−3−オール、3−メチル−1−ベンタノール、3,4,5,6,6−ペンタメチル−2−ヘプタノールなどのアルコール類;アネトール、オイゲノールなどのフェノール類;n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリン、2−ドデセナール、2,5,6−トリメチル−4−ヘプタナール、トリメチルウンデセナール、2−デセナール、P−トリルアルデヒド、アセトアルデヒドジエチルアセタール、n−オクタナール、n−デカナール、P−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、n−ノナナール、ウンデカナール、10−ウンデセナール、フェニルプロピオンアルデヒド、3−ヘキセナール2−ウンデセナール、P−メチルヒドラトロパアルデヒドなどのアルデヒド類;メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリル、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノン、ジヒドロカルボン、2−ウンデカノンなどのケトン類;アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、クマリン、シネオール、ジャスミンラクトン、メチルr−デカラクトン、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、5−イソプロペロル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフランなどのラクトン又はオキシド類;メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、リナリールフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸グラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ペラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチル酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルピルベート、エチルα−ブチルブチレート、酢酸デシル、ギ酸プロピルなどのエステル類などが挙げられる。
香料は一種類のみでもよいし、二種類以上を配合した配合香料でもよい。
【0029】
本発明の芳香剤における香料/可溶化剤の質量比は5/1〜1/5であることが好ましく、さらに好ましくは3/1〜1/3である。
【0030】
必要により使用できる親水性有機溶媒(G)としては、炭素数2〜5の多価アルコール(2価アルコール:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールなど、3価アルコール:グリセリンなど)、炭素数2〜6の1価アルコール(エタノール、イソプロパノール、ブタノールおよび3−メチル−3−メトキシブタノールなど)、炭素数3〜20のグリコールエーテル(モノアルキルエーテル:ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびエチレングリコールモノフェニルエーテルなど、ジアルキルエーテル:エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよびジプロピレングリコールn−プロピルメチルエーテルなど)、窒素原子含有親水性溶媒(N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドなど)、ラクトン系親水性溶媒(プロピオラクトンおよびブチロラクトンなど)、ケトン系親水性溶媒(メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコールなど)、環状エーテル系親水性溶媒(テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランなど)、エステル系親水性溶媒(酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよびアセト酢酸エチルなど)から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。好ましくは炭素数2〜5の多価アルコール、炭素数2〜6の1価アルコールまたは炭素数3〜20のグリコールエーテルである。また、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。
(G)の含有量は、芳香剤中の水以外の成分の合計質量に基づいて、好ましくは0〜80%、さらに好ましくは0〜60%、特に好ましくは10〜50%である。
【0031】
その他の添加剤(H)としては、アルカリ剤[トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなど]およびキレート剤[EDTA,NTAなど]を芳香剤中の水以外の成分の合計質量に基づいて0〜10%、抗菌剤[イソチアゾリン系(2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなど)、イミダゾール系(チアベンダゾールなど)、カーバニリド系抗菌剤(トリクロロカルバニリドなど)、トリアジン系(デブコナゾールなど)、天然系(ヒノキチオールなど)およびビグアナイド系(ポリヘキサメチレンビグアナイドなど)]、着色剤[無機系顔料(群青、紺青およびコバルトバイオレットなど)、有機系顔料(赤色201号、赤色405号、青色1号、黄色4号および緑色3号など)および天然色素(クロロフィルおよびβ−カロチンなど)]等を芳香剤中の水以外の成分の合計質量に基づいてそれぞれ0〜5%、消泡剤[(シリコーン系消泡剤,ポリオキシアルキレン系消泡剤,鉱物油系消泡剤など)を芳香剤中の水以外の成分の合計質量に基づいて0〜5%含有することができる。
【0032】
本発明の芳香剤における水の含有量は、芳香剤の全質量に基づいて、好ましくは0〜99%、さらに好ましくは20〜97%である。
芳香剤の形状は、液状、ペースト状、粉末状、フレークおよびブロック状などであり、特に限定されないが、取り扱い易さの観点で好ましくは液状である。
【0033】
本発明の芳香剤は特に部屋、トイレまたは車用の芳香剤として好適である。
【0034】
本発明の可溶化剤は、香料のみでなく、さらに他の油性成分、例えば化粧品原料(各種の植物性油脂および動物性油脂など)および医薬原料などの可溶化剤としても使用できる。
【0035】
[実施例]
以下、実施例および製造例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
<(A)の製造>
製造例1
耐圧反応容器にトリデシルアルコール200部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後密閉し、130℃に昇温した。撹拌下にEO88部を2時間かけて滴下し、さらに130℃で2時間熟成した後、さらに撹拌下にPO116部を2時間かけて滴下し、130℃で2時間熟成した。さらに、撹拌下にEO440部を3時間かけて滴下し、130℃で3時間熟成し、非イオン性界面活性剤(A-1)[トリデシルアルコール−(EO)2モル−(PO)2モル−(EO)10モル付加物]を得た。
【0037】
製造例2
製造例1と同様の容器に、トリデシルアルコール200部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後密閉し、130℃に昇温した。撹拌下にEO176部とPO116部混合したものを3時間かけて滴下し、130℃で2時間熟成した後、さらに、撹拌下にEO176部を2時間かけて滴下し、130℃で3時間熟成し、非イオン性界面活性剤(A-2)[トリデシルアルコール−(EO)4モル/(PO)2モル−(EO)4モル付加物](/はランダム付加を表す)を得た。
【0038】
<(B)の製造>
製造例3
製造例1と同様の容器に硬化ヒマシ油(水酸基価:160)526部と水酸化カリウム0.3部を仕込み、窒素置換後密閉し、160℃に昇温した。撹拌下にEO880部を4時間かけて滴下し、160℃で3時間熟成し、非イオン界面活性剤[硬化ヒマシ油−(EO)40モル付加物](B−1)を得た。
【0039】
<(D)の製造>
製造例4
製造例1と同様の容器に、イソデシルアルコール158部と水酸化カリウム0.2部を仕込み、窒素置換後密閉し、160℃に昇温した。撹拌下、EO308部を滴下し、160℃で3時間撹拌し、非イオン界面活性剤[イソデシルアルコール(EO)7モル付加物](D-1)を得た。
【0040】
製造例1、3または4に準じて下記の界面活性剤をそれぞれ製造した。
(A−3);ミリスチルアルコール−(EO)2モル/(PO)2モル−(EO)10モル付加物
(B−2);硬化ヒマシ油−(EO)60モル付加物
(D−2);トリデシルアルコール−(EO)9モル付加物
【0041】
(C)としては、以下のものを使用した。
(C−1);ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩
(C−2);ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩
(A)〜(D)を表1記載の量(部)を混合し、可溶化剤を製造した。得られた可溶化剤を用いて芳香剤を製造し、可溶化能を以下の方法で評価した。
【0042】
<芳香剤の製造>
200mlビーカーに下記の香料1.5g、3−メチル−3−メトキシブタノール1.5gおよび可溶化剤2.0gを入れ、室温においてマグネチックスタラーで撹拌しながら水95.0gを徐々に加えて液状の芳香剤を製造した。製造直後のいずれの芳香剤も無色透明であった。
香料A:ラベンダー系(グアイエン)
香料B:柑橘系(オレンジ油)
香料C:フローラル系(オシメン)
【0043】
<芳香剤の経日安定性試験>
上記で製造した芳香剤を、それぞれ5℃、25℃、40℃の恒温槽中で静置し、1ヵ月後の芳香剤の状態を目視にて観察した。結果を表1に示す。
本発明の芳香剤は、いずれの香料を使用した場合でも1ヶ月後に無色透明またはわずかに青みが出る程度であり、比較低低温から高温の保存状態であっても、比較例の芳香剤に比べて香料の種類による可溶化能の選択性が少ない。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の可溶化剤を用いた芳香剤は特に部屋、トイレまたは車用の芳香剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)、ヒドロキシル基を有する油脂のアルキレンオキサイド付加物(B)およびアニオン性界面活性剤(C)を含有する可溶化剤。
1O−[(C24O)p・(A1O)q]-(C24O)r-(A2O)s−H (1)
[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基もしくはアシルアミノアルキル基、または炭素数8〜24のアリールアルキル基;A1およびA2は炭素数3または4のアルキレン基;pおよびrは平均が0〜100となる0または1以上の整数、qは平均が1〜10となる0または1以上の整数、sは平均が0〜10となる0または1以上の整数;[(C24O)p・(A1O)q]はランダム付加またはブロック付加を示す。]
【請求項2】
(B)がヒマシ油または硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド10〜100モル付加物である請求項1記載の可溶化剤。
【請求項3】
(C)がスルホサクシネート型アニオン性界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート型アニオン性界面活性剤およびアルカンスルホネート型アニオン性界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2記載の可溶化剤。
【請求項4】
(A)、(B)および(C)の合計質量に基づいて、(A)を5〜50質量%、(B)を10〜80質量%、および(C)を0.1〜30質量%含有する請求項1〜3のいずれか記載の可溶化剤。
【請求項5】
さらに、一般式(2)で表される非イオン性界面活性剤(D)を含有する請求項1〜4のいずれか記載の可溶化剤。
2O(C24O)m−H (2)
[式中、R2は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数8〜24のアシル基と炭素数1〜6のアルキル基を有するアシロキシアルキル基もしくはアシルアミノアルキル基、または炭素数8〜24のアリールアルキル基、mは平均が4〜100となる0または1以上の整数である。]
【請求項6】
さらに他の非イオン性界面活性剤(E)および/または両性界面活性剤(F)を含有してなる請求項1〜5いずれか記載の可溶化剤。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の可溶化剤と香料を必須成分とし、さらに親水性有機溶媒(G)、その他の添加剤(H)および水からなる群から選ばれる1種以上を含有してなる芳香剤。
【請求項8】
部屋、トイレまたは車用である請求項7記載の芳香剤。

【公開番号】特開2007−460(P2007−460A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185724(P2005−185724)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】