説明

可溶性アミド及びエステルピラジノイルグアニジンナトリウムチャネル遮断薬

本発明は、ナトリウムチャネル遮断薬に関する。本発明はまた、これら本発明のナトリウムチャネル遮断薬を用いる種々の治療方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウムチャネル遮断薬に関する。本発明はまた、これら本発明のナトリウムチャネル遮断薬を用いる種々の治療方法を含む。
【背景技術】
【0002】
環境と身体との間の境界面における粘膜表面は、多くの「先天的防御」、すなわち、防御機構を導き出している。このような先天的防御の主要形態は、液体によりこれらの表面を清浄にすることである。典型的には、粘膜表面の液体層の量は、往々にして水(及びカチオンカウンターイオン)と結合したアニオン(Cl及び/又はHCO3)分泌を反映している上皮液体分泌と、往々にして水及びカウンターアニオン(Cl及び/又はHCO3)と結合したNa吸収を反映している上皮液体吸収とのバランスを反映している。粘膜表面の多くの疾患は、分泌(少なすぎる)と吸収(相対的に多すぎる)との間の不均衡により生じる、これらの粘膜表面の保護的液体が少なすぎることによって引き起される。これらの粘膜機能不全を特徴とする不完全な塩輸送プロセスが、粘膜表面の上皮層に存在する。
【0003】
粘膜表面の保護的液体層を補給する1つの試みは、Naチャネル及び液体吸収を遮断することによりその系を「再均衡化」させることである。Na及び液体吸収の律速段階を媒介する上皮タンパク質は、上皮性Naチャネル(ENaC)である。ENaCは、上皮の先端表面、すなわち、粘膜表面−環境境界面に配置されている。従って、ENaCに媒介されるNa及び液体吸収を阻害するために、アミロライドクラス(ENaCの細胞外ドメインから遮断する)のENaC遮断薬が、治療的有用性を達成するために、粘膜表面にデリバリーされなければならず、重要なことには、この部位で維持されなければならない。本発明は、粘膜表面上の液体が少なすぎることを特徴とする疾患、並びにこれらの疾患の治療に必要な、高い効力、低い粘膜吸収、及びENaCからの緩徐な解離(「非結合」又は脱離)を示すようにデザインされた「局所的」ナトリウムチャネル遮断薬を記載する。
【0004】
慢性気管支炎(CB)の最もよく見られる致死性遺伝性形態である嚢胞性線維症(CF)を含む慢性気管支炎(CB)は、通常は、肺からの粘液を清浄化する身体的機能不全を反映する疾患であり、最終的には慢性的気道感染を引き起こす。正常な肺においては、慢性的肺内気道感染(慢性気管支炎)に対する主要な防御は、気管支気道表面からの粘液の連続的クリアランスにより媒介される。健康状態においてはこの機能により、潜在的に有害な毒素及び病原体が効果的に肺から除去される。最近のデータは、CB及びCFの双方における初期問題、すなわち「基本的欠損」は、気道表面からの粘液清浄化の機能不全であることを示している。粘液清浄化の機能不全は、気道表面の液体量とムチン量との間の不均衡を反映している。この「気道表面の液体」(ASL)は、血漿(すなわち、等張性)と同様の比率の塩と水とから主として構成されている。ムチン高分子類は、吸入された細菌を通常は捕捉し、「線毛周囲(periciliary)の液体」(PCL)と呼ばれる水様の低粘性溶液中にたたき出す線毛作用を経て肺から輸送される、十分に規定された「粘液層」に組織化される。疾患状態においては、気道表面のASLとしての粘液量における不均衡がある。このことは、粘液濃縮を導くASLにおける相対的減少、PCLの潤滑活性減少、及び線毛活動による粘液の口腔への清浄化機能不全をもたらす。肺からの粘液の機械的クリアランスの減少により、気道表面に接着した粘液の慢性的細菌コロニー化が導かれる。これは、細菌の慢性的保持であり、局所的抗菌物質が慢性的基盤(basis)上の粘液捕捉細菌を殺す機能の不全であり、その結果として、このタイプの表面感染に対する身体の慢性的炎症反応であり、これによりCB及びCFの症候群が導かれる。
【0005】
現在、米国における罹患人口としては、1200万人の患者が慢性気管支炎の後天的(主としてタバコ煙曝露から)形態を有し、ほぼ3万人の患者が遺伝的形態の嚢胞性線維症を有する。ほぼ等しい数の双方の人口がヨーロッパに存在する。アジアにおいては、CFは少数ではあるが、CBの発生率が高く、世界の他の地域と同様に増加しつつある。
【0006】
現在、これらの疾患を引き起こす基本的障害のレベルで、CB及びCFを特異的に治療する製品に対する医療的必要性は大きいが、未だかなえられていない。慢性気管支炎及び嚢胞性線維症に関する現在の療法は、これらの疾患の症状及び/又は後期作用を治療することに焦点を当てている。従って、慢性気管支炎に関しては、β−アゴニスト類、吸入ステロイド類、抗コリン剤、経口テオフィリン及びホスホジエステラーゼ阻害剤が開発されている全てである。しかしながら、これらの薬物のいずれも、肺からの粘液清浄化機能不全の基本的問題を有効に治療していない。同様に、嚢胞性線維症においても、薬剤の同じスペクトルが用いられている。これらのストラテジーは、接着粘液塊(mass)において増殖する細菌を殺そうとして不首尾に終わった好中球により肺内に付着したDNAのCF肺を清浄化するためにデザインされたごく最近のストラテジー(「Pulmozyme」;Genentech)により、また細菌の接着粘液プラークを除去するために肺自体の死滅機構(killing mechanism)を増強するためにデザインされた吸入抗生物質(「TOBI」)の使用を介して、補完されている。身体の一般的原理として、初期病巣が治療されなければ、この場合、粘液滞留/閉塞、細菌感染が慢性的になり、抗菌療法に対する耐性が増してくる。従って、CB及びCF双方の肺疾患に対して未だかなえらえていない治療上必要な主なものは、気道粘液に再水分補給(すなわち、ASL容量の回復/拡大)し、肺から細菌とともにそのクリアランスを促進する有効な手段である。
【0007】
米国特許第6,264,975号において、R.C. Boucherは、粘膜表面に水分補給するためのピラジノイルグアニジンナトリウムチャネル遮断薬の使用を記載している。周知の利尿薬のアミロライド、ベンザミル、及びフェナミルにより代表されるこれらの化合物は、有効である。しかしながら、これらの化合物は、(1)比較的効力が低い(肺に吸入できる薬物量が限定されていることから、これは重要なことである);(2)急速に吸収される(粘膜表面上の薬物半減期を限定する);(3)ENaCから自由に解離し得る、という重大な不利益を有する。これらの周知の利尿薬において具体化されるこれらの不利益の全てが合わさって、粘液表面に水分補給するという治療的有用性を得るには不十分な効力及び/又は有効半減期を粘液表面で有する化合物がもたらされる。
【特許文献1】米国特許第6264975号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要とされるものが、CB/CF患者の肺からの粘液クリアランスを回復させる点で有効な薬物であることは明らかである。これらの新規療法の価値は、CF及びCB双方の集団での生活の質及び寿命の改善に反映されるであろう。
【0009】
身体内及び身体上の他の粘膜表面は、それらの表面上の保護的表面液体の正常な生理機能においてわずかな違いを示すが、疾患の病態生理学は、共通の主題、すなわち保護的表面液体が少なすぎることを反映している。例えば、口腔乾燥症(口内乾燥)においては、口腔からの連続的Na(ENaC)輸送媒介液体吸収にもかかわらず、液体を分泌する耳下腺舌下腺及び顎下腺の機能不全により口腔の液体が枯渇する。同様に、乾性角結膜炎(ドライアイ)は、結合(conjunctional)表面上の連続的Na依存性液体吸収にもかかわらず、液体を分泌する涙腺の機能不全により引き起される。鼻副鼻腔炎においては、CBでのようにムチン分泌と相対的ASL枯渇との間に不均衡がある。最後に、胃腸管において、末端回腸におけるNa(及び液体)吸収増加と組み合わされた近位小腸におけるCl(及び液体)の分泌不全は、遠位腸閉塞症候群(DIOS)を導く。高齢の患者においては、下行結腸における過剰のNa(及び容量)吸収が、便秘及び憩室炎を引き起こす。
【0010】
5千万人のアメリカ人及び世界中の他の地域の数億人の人々が、高血圧を患っており、それに引き続く後遺症として、うっ血性心不全となり、死亡率の増加に至る。これは、西欧世界の主要な死因であり、これらの疾患を治療するための新規な医薬品が必要である。従って、さらに、本発明のいくつかの新規ナトリウムチャネル遮断薬を、腎臓を標的とするようにデザインでき、そのままこれらを、高血圧、うっ血性心不全(CHF)及び他の心血管疾患の治療用利尿薬として使用してよい。これらの新規薬剤は、単独で、又はベータ−遮断薬、ACE阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬及び他の心血管剤と併用して使用してよい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、公知化合物と比較して、より効力があり、及び/又は粘膜表面からの吸収がより遅く、及び/又は可逆性が低い化合物を提供することである。
【0012】
本発明の別の側面は、アミロライド(amilorde)、ベンザミル、及びフェナミルなどの化合物と比較して、より効力があり、及び/又は吸収がより遅く、及び/又は低い可逆性を示す式(I)の化合物を提供することである。従って、式(I)の化合物は、公知化合物と比較して、粘膜表面上の長期にわたる薬力学的半減期を提供する。
【0013】
本発明の別の側面は、噴霧器、スプレー(spay)、ミスト又は液滴(droplet)などの適した手段により患者の粘膜表面に都合よく投与され得るように、水溶液、特に0.12〜0.9%食塩水により溶けやすい式(I)の化合物を提供することである。従って、式(I)の化合物は、式(I)の化合物に含まれる追加のプロトン化可能な(proanatable)窒素を欠く公知化合物と比較して、水溶液により溶けやすい。
【0014】
本発明の別の目的は、(1)公知化合物と比較して、粘膜表面、特に気道表面からの吸収がより遅く;(2)粘膜表面に投与された後、粘膜表面から吸収された場合に、投与された親化合物と比較して、ナトリウムチャネルを遮断する有効性が低減されたその代謝誘導体にin vivoにおいて変換される、式(I)の化合物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、アミロライド、ベンザミル、及びフェナミルなどの化合物と比較して、より効力があり、及び/又は吸収がより遅く、及び/又は低い可逆性を示す式(I)の化合物を提供することである。従って、式(I)の化合物は、前記化合物と比較して、粘膜表面上の長期にわたる薬力学的半減期を提供する。
【0016】
本発明の別の目的は、心血管疾患の治療に使用するための、腎臓を標的とする式(I)の化合物を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、上記特性を利用する治療方法を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、下記式(I)により表されるピラジノイルグアニジン化合物のクラスにより達成されてよい:
【0019】
【化1】

式中、
− Xは、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルキル、非置換若しくは置換フェニル、低級アルキル−チオ、フェニル−低級アルキル−チオ、低級アルキル−スルホニル、又はフェニル−低級アルキル−スルホニルであり;
− Yは、水素、ヒドロキシル、メルカプト、低級アルコキシ、低級アルキル−チオ、ハロゲン、低級アルキル、非置換若しくは置換単核アリール、又は−N(R22であり;
− R1は、水素又は低級アルキルであり;
− R2の各々は、独立して、−R7、−(CH2m−OR8、−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−(CH2n−Zg−R7、−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、又は
【0020】
【化2】

であり、
[式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい];
− R3及びR4は、各々独立して、水素、式(A)により表される基、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、フェニル、フェニル−低級アルキル、(ハロフェニル)−低級アルキル、低級−(アルキルフェニルアルキル)、低級(アルコキシフェニル)−低級アルキル、ナフチル−低級アルキル、又はピリジル−低級アルキルであるが、ただし、R3及びR4の少なくとも1つは、下記式(A):
【0021】
【化3】

により表される基である:
式中、
− RLの各々は、独立して、−R7、−(CH2n−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、
【0022】
【化4】

であり、
{式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
各連続鎖におけるo及びpの合計が、1〜10であるという条件で、
− oの各々は、独立して、0〜10の整数であり;
− pの各々は、0〜10の整数であり;
− xの各々は、独立して、O、NR10、C(=O)、CHOH、C(=N−R10)、CHNR7R10であるか、又は単結合を表し;
− R5の各々は、独立して、
【0023】
【化5】



であり、
{式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
− R6の各々は、独立して、−R5、−R7、−OR8、−N(R72、−(CH2m−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、
【0024】
【化6】

であり、
{式中、2つのR6が、−OR11であり、フェニル環上に互いに隣接して位置する場合には、2つのR6のアルキル部分を共に結合して、メチレンジオキシ基を形成してもよく、かつ
式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
− R7の各々は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、置換フェニル、又は−CH2(CHOR)8m−R10であり;
− R8の各々は、独立して、水素、低級アルキル、−C(=O)−R11、グルクロニド、2−テトラヒドロピラニル、又は
【0025】
【化7】

であり;
− R9の各々は、独立して、−CO2R7、−CON(R72、−SO2CH3、又は−C(=O)R7であり;
− R10の各々は、独立して、−H、−SO2CH3、−CO2R7、−C(=O)NR7R9、−C(=O)R7、又は−(CH2m−(CHOH)n−CH2OHであり;
− Zの各々は、独立して、CHOH、C(=O)、−(CH2n−、CHNR7R10、C=NR10、又はNR10であり;
− R11の各々は、独立して、低級アルキルであり;
− R12の各々は、独立して、−SO2CH3、−CO2R7、−C(=O)NR7R9、−C(=O)R7、又は−CH2−(CHOH)n−CH2OHであり;
− R13の各々は、独立して、水素、R7、R10、−(CH2m−NR7R10、−(CH2m−NR7R7、−(CH2m−NR11R11R11、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR7R10、−(CH2m−NR10R10、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR7R7、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR11R11R11
【0026】
【化8】

であるが、ただし、少なくとも1つのR13が、水素、R7、又はR10以外の基でなければならず;
さらに、NR13R13は、下記式:
【0027】
【化9】

の1つを含む環を形成するために、それ自身で結合されることができ;
− Hetの各々は、独立して、−NR7、−NR10、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−SO2NH−、−NHSO2−、−NR7CO−、又は−CONR7−であり;
− gの各々は、独立して、1〜6の整数であり;
− mの各々は、独立して、1〜7の整数であり;
− nの各々は、独立して、0〜7の整数であり;
− Qの各々は、独立して、C−R5、C−R6、又は窒素原子であり、
{式中、環上の多くて3つのQは窒素原子である};
− Vの各々は、独立して、−(CH2m−NR7R10、−(CH2m−NR7R7、−(CH2m−NR11R11R11、−(CH2n−(CHOR8m−(CH2mNR7R10、−(CH2n−NR10R10、−(CH2n−(CHOR8m−(CH2mNR7R7、−(CH2n−(CHOR8m−(CH2m−NR11R11R11であるが、ただし、Vが窒素原子に直接結合している場合には、Vはまた、独立して、R7、R10、又は(R112であることもでき;
− 上記化合物のいずれについても、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよく;
− 上記化合物のいずれも、医薬として許容可能なその塩であることができ、かつ上記化合物は、全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、及びそのラセミ混合物を包含する。
【0028】
好ましい実施態様において、−(CH2n−Zg−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、−(CH2n−CHNH2(C=N)−NR13R13である。
【0029】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−NH−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0030】
【化10】

である。
【0031】
別の好ましい実施態様において、−(CH2n−Zg−(CHOR8m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0032】
【化11】

である。
【0033】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2n−Zg−(CHOR8m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0034】
【化12】

である。
【0035】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−Zg−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0036】
【化13】

である。
【0037】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0038】
【化14】

である。
【0039】
別の好ましい実施態様において、R5の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0040】
【化15】



である。
【0041】
本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、対象の粘膜表面に投与することを含む、粘膜表面の水分補給を促進する方法を提供する。
【0043】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の粘膜面に局所投与することを含む、粘膜防御を回復する方法を提供する。
【0044】
本発明はまた、ナトリウムチャネルを式(I)により表される化合物の有効量と接触させることを含む、ENaCを遮断する方法を提供する。
【0045】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、対象の粘膜表面に投与することを含む、粘膜表面における粘液クリアランスを促進する方法を提供する。
【0046】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性気管支炎を治療する方法を提供する。
【0047】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法を提供する。
【0048】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、鼻副鼻腔炎を治療する方法を提供する。
【0049】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の鼻腔に投与することを含む、鼻腔乾燥(nasal dehydration)を治療する方法を提供する。
【0050】
特定の実施態様において、前記鼻腔乾燥は、乾燥酸素を対象に投与することによって引き起こされる。
【0051】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、静脈洞炎を治療する方法を提供する。
【0052】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、肺炎を治療する方法を提供する。
【0053】
本発明はまた、式(I)により表される有効な化合物を、人工呼吸器を用いている対象に投与することを含む、人工呼吸器誘導肺炎を予防する方法を提供する。
【0054】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、喘息を治療する方法を提供する。
【0055】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、原発性線毛運動障害を治療する方法を提供する。
【0056】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、中耳炎を治療する方法を提供する。
【0057】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、診断目的で痰を誘発する方法を提供する。
【0058】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性閉塞性肺疾患を治療する方法を提供する。
【0059】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、気腫を治療する方法を提供する。
【0060】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の眼に投与することを含む、ドライアイを治療する方法を提供する。
【0061】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、対象の眼に投与することを含む、眼の水分補給を促進する方法を提供する。
【0062】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、対象の眼に投与することを含む、角膜の水分補給を促進する方法を提供する。
【0063】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、シェーグレン症候群を治療する方法を提供する。
【0064】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の膣管に投与することを含む、膣乾燥を治療する方法を提供する。
【0065】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の皮膚に投与することを含む、乾燥皮膚を治療する方法を提供する。
【0066】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象の口腔に投与することを含む、口内乾燥(口腔乾燥症)を治療する方法を提供する。
【0067】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、遠位腸閉塞症候群を治療する方法を提供する。
【0068】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、食道炎を治療する方法を提供する。
【0069】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、便秘を治療する方法を提供する。この方法の一実施態様において、前記化合物は、経口で、又は坐薬若しくは浣腸を介して投与される。
【0070】
本発明はまた、式(I)により表される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性憩室炎を治療する方法を提供する。
【0071】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、高血圧を治療する方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、血圧を低下させる方法を提供する。
【0073】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、浮腫を治療する方法を提供する。
【0074】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、利尿を促進する方法を提供する。
【0075】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、ナトリウム利尿を促進する方法を提供する。
【0076】
本発明はまた、式(I)により表される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、塩排泄を促進する方法を提供する。
【0077】
[発明の詳細な説明]
本発明は、アミロライド、ベンザミル、及びフェナミルなどの化合物と比較して、式(I)の化合物が、より効力があり、及び/又は粘膜表面、特に気道表面からの吸収がより遅く、及び/又はENaCとの相互作用の低い可逆性を示すという発見に基づいている。従って、式(I)の化合物は、これらの化合物と比較して、粘膜表面上により長い半減期を有する。
【0078】
本発明はまた、式(I)により包含されるある種の化合物が、投与後に粘膜表面から吸収された後、投与された親化合物と比較して、ナトリウムチャネルを遮断する有効性が低減されたその代謝誘導体にin vivoで変換されるという発見に基づいている。この重要な特性は、前記化合物が、レシピエントの体内、例えば腎臓において、標的とされない位置に配置されているナトリウムチャネルを遮断することにより所望しない副作用を引き起こす傾向をより低下させることを意味する。
【0079】
本発明はまた、式(I)により包含されるある種の化合物が、噴霧器、スプレー、ミスト又は液滴などの適した手段により患者の粘膜表面に都合よく投与され得るように、水溶液、特に0.12〜0.9%食塩水により溶けやすいという発見に基づいている。従って、式(I)の化合物は、追加のプロトン化可能な(proatonateable)窒素を欠く公知化合物と比較して、水溶液により溶けやすい。上述の食塩水中での化合物の溶解度は、0.1〜7重量%であってよい。好ましい範囲は、0.1〜0.9重量%である。
【0080】
式(I)により表される化合物において、Xは、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルキル、低級シクロアルキル、非置換若しくは置換フェニル、低級アルキル−チオ、フェニル−低級アルキル−チオ、低級アルキル−スルホニル、又はフェニル−低級アルキル−スルホニルであってよい。ハロゲンが好ましい。
【0081】
ハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。塩素及び臭素は好ましいハロゲンである。塩素が特に好ましい。この記載は、本開示を通して用いられる「ハロゲン」という用語に適用可能である。
【0082】
本明細書で用いられる「低級アルキル」という用語は、8個未満の炭素原子を有するアルキル基を意味する。この範囲には、炭素原子の全ての具体的な値及びその間の部分範囲が含まれ、例えば、1、2、3、4、5、6、及び7個の炭素原子である。「アルキル」という用語は、このような基、例えば、直鎖、分枝鎖、及び環式アルキル基の全てのタイプを包含する。この記載は、本開示を通して用いられる「低級アルキル」という用語に適用可能である。適切な低級アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチルなどが含まれる。
【0083】
フェニル基に対する置換基には、ハロゲンが含まれる。特に好ましいハロゲン置換基は、塩素及び臭素である。
【0084】
Yは、水素、ヒドロキシル、メルカプト、低級アルコキシ、低級アルキル−チオ、ハロゲン、低級アルキル、低級シクロアルキル、単核アリール、又は−N(R22であってよい。低級アルコキシ基のアルキル部分は、上記と同じものである。単核アリールの例には、フェニル基が含まれる。フェニル基は、上記のとおり非置換であっても、又は置換されていてもよい。Yの好ましいアイデンティティは−N(R22である。R2の各々が水素であるような化合物が特に好ましい。
【0085】
R1は、水素又は低級アルキルであってよい。R1には、水素が好ましい。
【0086】
R2の各々は、独立して、−R7、−(CH2m−OR8、−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−(CH2n−Zg−R7、−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、又は
【0087】
【化16】

であってよい。
【0088】
R2には、水素及び低級アルキル、特にC1〜C3アルキルが好ましい。水素が特に好ましい。
【0089】
R3及びR4は、独立して、水素、式(A)により表される基、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、フェニル、フェニル−低級アルキル、(ハロフェニル)−低級アルキル、低級−(アルキルフェニルアルキル)、低級(アルコキシフェニル)−低級アルキル、ナフチル−低級アルキル、又はピリジル−低級アルキルであってよいが、ただし、R3及びR4の少なくとも1つは、式(A)により表される基である。
【0090】
好ましい化合物は、R3及びR4の1つが水素であり、他方が式(A)により表されるものである。
【0091】
式(A)において、−(C(RL2o−x−(C(RL2p−部分は、芳香族環に結合したアルキレン基を定義する。鎖中のo及びpの合計が1〜10であるという条件で、変数o及びpの各々は、0〜10の整数であってよい。従って、o及びpの各々は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であってよい。好ましくは、o及びpの合計は2〜6である。特に好ましい実施態様において、o及びpの合計は4である。
【0092】
アルキレン鎖中の連結基xは、独立して、O、NR10、C(=O)、CHOH、C(=N−R10)、CHNR7R10であってよく、又は単結合を表す;
【0093】
従って、xが単結合を表す場合には、環に結合されたアルキレン鎖は、o+pの合計が1〜10である式−(C(RL2o+p−により表される。
【0094】
RLの各々は、独立して、−R7、−(CH2n−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、
【0095】
【化17】

であってよい。
【0096】
好ましいRL基には、−H、−OH、−N(R72が含まれ、ここで、特に、R7の各々は水素である。
【0097】
式(A)におけるアルキレン鎖において、炭素原子に結合した1つのRL基が水素以外である場合には、その炭素原子に結合した他のRLが水素、すなわち、式−CHRL−であることが好ましい。また、アルキレン鎖において多くて2つのRL基が水素以外であり、ここで、前記鎖における他のRL基が水素であることが好ましい。アルキレン鎖において1つだけのRL基が水素以外であり、ここで、前記鎖における他のRL基が水素であることがさらにより好ましい。これらの実施態様において、xが単結合を表すことが好ましい。
【0098】
本発明の別の特定の実施態様において、アルキレン鎖におけるRL基の全てが水素である。これらの実施態様において、アルキレン鎖は、下記式:
【0099】
【化18】

により表される。
【0100】
式(A)における環上には1つのR5が存在する。R5の各々は、独立して、以下であってよい:
【0101】
【化19】




[ただし、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい]。
【0102】
好ましい実施態様において、−(CH2n−Zg−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、−(CH2n−CHNH(C=N)−NR13R13である。
【0103】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−NH−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0104】
【化20】

である。
【0105】
別の好ましい実施態様において、−(CH2n−Zg−(CHOR8m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0106】
【化21】

である。
【0107】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2n−Zg−(CHOR8m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0108】
【化22】

である。
【0109】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−Zg−C(=NH)−NR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、−O−(CH2m−NH−C(=NH)−N(R132である。
【0110】
別の好ましい実施態様において、Het−(CH2m−Zg−CONR13R13の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0111】
【化23】

である。
【0112】
別の好ましい実施態様において、R5の各々は、上記構造の範囲内であり、独立して、
【0113】
【化24】



である。
【0114】
式(A)における環上には4つのR6基が存在する。R6の各々は、各々独立して、−R7、−OR11、−N(R72、−(CH2m−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、又は
【0115】
【化25】

であってよい。
【0116】
さらに、複数のR6基の1つが、上記のR6の広範な定義の範囲内にあるR5基の1つであり得る。
【0117】
2つのR6が、−OR11であり、かつフェニル環上に互いに隣接して位置する場合には、2つのR6基のアルキル部分は、メチレンジオキシ基、すなわち−O−CH2−O−の基を形成するために共に結合されていてよい。
【0118】
上述のとおり、R6は水素であってよい。従って、1つ、2つ、3つ、又は4つのR6基は、水素以外であってよい。R6基のうち多くて3つは、水素以外であることが好ましい。
【0119】
gの各々は、独立して、1〜6の整数である。従って、gの各々は、1、2、3、4、5、又は6であってよい。
【0120】
mの各々は、独立して、1〜7の整数である。従って、mの各々は、1、2、3、4、5、6、又は7であってよい。
【0121】
nの各々は、独立して、0〜7の整数である。従って、nの各々は、0、1、2、3、4、5、6、又は7であってよい。
【0122】
式(A)におけるQの各々は、C−R5、C−R6、又は窒素原子であり、式中、環上の多くて3つのQは窒素原子である。従って、環上に1、2、又は3つの窒素原子が存在してよい。好ましくは、少なくとも2つのQは窒素原子である。より好ましくは、少なくとも1つのQは窒素原子である。一実施態様において、窒素原子は、環の3位にある。本発明の別の実施態様において、Qの各々は、C−R5又はC−R6のいずれかであり、すなわち、環上にいずれの窒素原子も含まない。
【0123】
式(A)により表される適した基のより具体的な例を以下の式(B)〜(E)に示す:
【0124】
【化26】

[式中、o、x、p、R5、及びR6は先に定義したとおりである];
【0125】
【化27】

[式中、nは1〜10の整数であり、R5は先に定義したとおりである];
【0126】
【化28】

[式中、nは1〜10の整数であり、R5は先に定義したとおりである];
【0127】
【化29】

[式中、o、x、p、及びR5は先に定義したとおりである]。
【0128】
本発明の好ましい実施態様において、Yは、−NH2である。
【0129】
別の好ましい実施態様において、R2は、水素である。
【0130】
別の好ましい実施態様において、R1は、水素である。
【0131】
別の好ましい実施態様において、Xは、塩素である。
【0132】
別の好ましい実施態様において、R3は、水素である。
【0133】
別の好ましい実施態様において、RLは、水素である。
【0134】
別の好ましい実施態様において、oは、4である。
【0135】
別の好ましい実施態様において、pは、0である。
【0136】
別の好ましい実施態様において、o及びpの合計は、4である。
【0137】
別の好ましい実施態様において、xは、単結合を表す。
【0138】
別の好ましい実施態様において、R6は、水素である。
【0139】
別の好ましい実施態様において、少なくとも1つのQは、窒素原子である。
【0140】
別の好ましい実施態様において、いずれのQも窒素原子ではない。
【0141】
本発明の好ましい実施態様において:
Xは、ハロゲンであり;
Yは、−N(R72であり;
R1は、水素又はC1〜C3アルキルであり;
R2は、−R7、−OR7、CH2O7、又は−CO2R7であり;
R3は、式(A)により表される基であり;かつ
R4は、水素、式(A)により表される基、又は低級アルキルである。
【0142】
本発明の別の好ましい実施態様において:
Xは、クロロ又はブロモであり;
Yは、−N(R72であり;
R2は、水素又はC1〜C3アルキルであり;
多くて3つのR6は、上記のとおり水素以外であり;
多くて3つのRLは、上記のとおり水素以外であり;かつ
多くて2つのQは、窒素原子である。
【0143】
本発明の別の好ましい実施態様において:
Yは、−NH2である;
本発明の別の好ましい実施態様において:
R4は、水素であり;
多くて1つのRLは、上記のとおり水素以外であり;
多くて2つのR6は、上記のとおり水素以外であり;
多くて1つのQは、窒素原子である。
【0144】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0145】
【化30】

により表される。
【0146】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0147】
【化31】

により表される。
【0148】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0149】
【化32】

により表される。
【0150】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0151】
【化33】

により表される。
【0152】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0153】
【化34】

により表される。
【0154】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0155】
【化35】

により表される。
【0156】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0157】
【化36】

により表される。
【0158】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0159】
【化37】

により表される。
【0160】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0161】
【化38】

により表される。
【0162】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0163】
【化39】

により表される。
【0164】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0165】
【化40】

により表される。
【0166】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0167】
【化41】

により表される。
【0168】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0169】
【化42】

により表される。
【0170】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0171】
【化43】

により表される。
【0172】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0173】
【化44】

により表される。
【0174】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0175】
【化45】

により表される。
【0176】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0177】
【化46】

により表される。
【0178】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0179】
【化47】

により表される。
【0180】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0181】
【化48】

により表される。
【0182】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0183】
【化49】

により表される。
【0184】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0185】
【化50】

により表される。
【0186】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0187】
【化51】

により表される。
【0188】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0189】
【化52】

により表される。
【0190】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0191】
【化53】

により表される。
【0192】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0193】
【化54】

により表される。
【0194】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0195】
【化55】

により表される。
【0196】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0197】
【化56】

により表される。
【0198】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0199】
【化57】

により表される。
【0200】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0201】
【化58】

により表される。
【0202】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0203】
【化59】

により表される。
【0204】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0205】
【化60】

により表される。
【0206】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0207】
【化61】

により表される。
【0208】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0209】
【化62】

により表される。
【0210】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0211】
【化63】

により表される。
【0212】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0213】
【化64】

により表される。
【0214】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0215】
【化65】

により表される。
【0216】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0217】
【化66】

により表される。
【0218】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0219】
【化67】

により表される。
【0220】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0221】
【化68】

により表される。
【0222】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0223】
【化69】

により表される。
【0224】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0225】
【化70】

により表される。
【0226】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0227】
【化71】

により表される。
【0228】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0229】
【化72】

により表される。
【0230】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0231】
【化73】

により表される。
【0232】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0233】
【化74】

により表される。
【0234】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0235】
【化75】

により表される。
【0236】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0237】
【化76】

により表される。
【0238】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0239】
【化77】

により表される。
【0240】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0241】
【化78】

により表される。
【0242】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0243】
【化79】

により表される。
【0244】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0245】
【化80】

により表される。
【0246】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0247】
【化81】

により表される。
【0248】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0249】
【化82】

により表される。
【0250】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0251】
【化83】

により表される。
【0252】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0253】
【化84】

により表される。
【0254】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0255】
【化85】

により表される。
【0256】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0257】
【化86】

により表される。
【0258】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0259】
【化87】

により表される。
【0260】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0261】
【化88】

により表される。
【0262】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0263】
【化89】

により表される。
【0264】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0265】
【化90】

により表される。
【0266】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0267】
【化91】

により表される。
【0268】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0269】
【化92】

により表される。
【0270】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0271】
【化93】

により表される。
【0272】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0273】
【化94】

により表される。
【0274】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0275】
【化95】

により表される。
【0276】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0277】
【化96】

により表される。
【0278】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0279】
【化97】

により表される。
【0280】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0281】
【化98】

により表される。
【0282】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0283】
【化99】

により表される。
【0284】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0285】
【化100】

により表される。
【0286】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0287】
【化101】

により表される。
【0288】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0289】
【化102】

により表される。
【0290】
本発明の別の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は、下記式:
【0291】
【化103】

により表される。
【0292】
式(I)の化合物を遊離塩基として調製し、使用してよい。別法として、前記化合物を医薬として許容可能な塩として調製し、使用してよい。医薬として許容可能な塩は、親化合物の所望の生物学的活性を保持又は増強し、所望しない毒性学的作用を与えない塩である。このような塩の例としては、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などと形成される酸付加塩;(b)有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギニン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸、マロン酸、スルホサリチル酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエート、パモエート、サリチル酸、ステアリン酸、フタル酸、マンデリン酸、乳酸などと形成される塩;及び(c)元素アニオン、例えば、塩素、臭素及びヨウ素から形成される塩である。
【0293】
式(I)の範囲内にある化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、及びラセミ混合物は全て、本発明に包含されることに注意すべきである。このような鏡像異性体及びジアステレオマーの混合物は全て、本発明の範囲内にある。
【0294】
いずれの特定の理論にも限定されないが、式(I)の化合物は、in vivoでナトリウムチャネル遮断薬として機能すると考えられる。粘膜表面に存在する上皮性ナトリウムチャネルを遮断することにより、式(I)の化合物は、粘膜表面による水の吸収を低減する。この作用により、粘膜表面上の保護的液体の容量が増加し、そのシステムが再均衡化され、従って疾患が治療される。
【0295】
本発明はまた、上記の式(I)の化合物の特性を利用する治療法を提供する。従って、本発明の方法により治療され得る対象には、これに限定されないが、嚢胞性線維症、原発性線毛運動障害、慢性気管支炎、慢性閉塞性気道疾患の罹患患者、人工呼吸器をつけている患者、急性肺炎患者などが含まれる。前記活性化合物を患者の少なくとも1つの肺に投与し、ついでその患者から痰サンプルを誘発又は採取することにより患者から痰サンプルを得るために、本発明を用いてよい。典型的には、本発明は、エアロゾル(液体又はドライパウダー)又は洗浄(lavage)を介して、呼吸粘膜表面に投与される。
【0296】
本発明の方法により治療され得る対象にはまた、補助酸素を経鼻的に投与されている患者(気道表面を乾燥させる傾向のある療法);鼻気道表面に影響を及ぼすアレルギー疾患又はアレルギー応答(例えば、花粉、ダスト、動物の毛又は粒子、昆虫又は昆虫粒子などへのアレルギー応答)の罹患者;鼻気道表面の細菌感染、例えば、黄色ブドウ球菌感染などのブドウ球菌感染、ヘモフィルスインフルエンザ感染、肺炎連鎖球菌感染、緑膿菌感染などの罹患者;鼻気道表面に影響を及ぼす炎症性疾患の罹患者;又は静脈洞炎(1種以上の活性剤が、静脈洞内のうっ血した液体の排液を促進するのに有効な量を投与することにより、静脈洞内のうっ血した粘液分泌物の排液を促進するために投与される)若しくは複合鼻副鼻腔炎の罹患者が含まれる。本発明は、エアロゾロ及び小滴(drop)を含む局所的デリバリーにより副鼻腔(rhino−sinal)表面に投与されてよい。
【0297】
本発明は、気道表面以外の粘膜表面に水分補給するために用いられてよい。このような他の粘膜表面には、胃腸表面、口腔表面、尿生殖器表面、眼球表面又は目の表面、内耳及び中耳が含まれる。例えば、本発明の活性化合物は、局部/局所、経口、又は経直腸を含む任意の適した手段により、有効量で投与されてよい。
【0298】
本発明の化合物はまた、心臓血管系に関する種々の機能の治療にも有用である。従って、本発明の化合物は、抗高血圧剤としての使用に有用である。前記化合物はまた、血圧を低下させ、浮腫を治療するために使用されてよい。さらに、本発明の化合物はまた、利尿、ナトリウム利尿、及び塩排泄を促進するためにも有用である。前記化合物は、高血圧、うっ血性心不全を治療し、心血管性死亡率を下げるために、単独で、又はベータ遮断薬、ACE阻害剤、HMGCoA、レダクターゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、及び他の心血管剤と組み合わせて使用してよい。
【0299】
本発明は主に、ヒト対象の治療に関するが、獣医学的目的のために、イヌやネコなどの他の哺乳動物対象の治療に使用してもよい。
【0300】
上述のとおり、本発明の組成物を調製するために使用される上記化合物は、医薬として許容可能な遊離塩基の形態であってよい。前記化合物の遊離塩基は、一般に、その塩よりも水溶液における溶解性が低いため、遊離塩基組成物は、肺に対する活性剤のより持続的な放出を提供するために用いられる。溶液に溶解しない粒子形態で肺に存在する活性剤は、生理学的応答を誘導するために利用できるのではなく、溶液に徐々に溶解する生物学的に利用可能な薬剤の貯蔵所(depot)として役立つ。
【0301】
本発明の別の側面は、医薬として許容可能な担体(例えば、担体水溶液)中に式(I)の化合物を含む医薬組成物である。一般に、式(I)の化合物は、粘膜表面による水の再吸収を阻害するのに有効な量で前記組成物内に含まれる。
【0302】
本発明の化合物はまた、P2Y2受容体アゴニスト、又は医薬として許容可能なその塩(本明細書において、場合により「活性剤」とも称される)と併用して用いられてよい。前記組成物には、P2Y2受容体アゴニスト、又は医薬として許容可能なその塩(本明細書において、場合により「活性剤」とも称される)をさらに含めてよい。前記P2Y2受容体アゴニストは、典型的には、気道表面、特に鼻気道表面による塩化物及び水の分泌を刺激するのに有効な量で含まれる。適したP2Y2受容体アゴニストは、米国特許第6,264,975号、米国特許第5,656,256号及び米国特許第5,292,498号の9〜10欄に記載されており、その各々は参照として本明細書に援用される。
【0303】
気管支拡張剤もまた、本発明の化合物と組み合わせて使用できる。これらの気管支拡張剤には、限定はしないが、エピネフリン、イソプロテレノール、フェノテロール、アルブテレオール(albutereol)、テルブタリン、ピルブテロール、ビトルテロール、メタプロテレノール、イオセタリン(iosetharine)、キシナホ酸サルメテロールを含むβ−アドレナリンアゴニスト、並びに、限定はしないが、臭化イプラトロピウムを含む抗コリン剤、並びにテオフィリン及びアミノフィリンなどの化合物が含まれる。これらの化合物は、公知の方法に従って、本明細書に記載された活性化合物の前、又は同時に投与されてよい。
【0304】
本発明の別の側面は、医薬として許容可能な担体(例えば、担体水溶液)中に上記の活性化合物を含む医薬製剤(pharmaceutical formulation)である。一般に、前記活性化合物は、気道及び他の表面を含む粘膜表面による水の再吸収を阻害するなど、粘膜表面を治療するのに有効な量で前記組成物中に含まれる。
【0305】
本明細書に開示されている活性化合物は、局所、経口、経直腸、経膣、経眼及び経皮などの任意の適した手段によって粘膜表面に投与されてよい。例えば、便秘の治療のため、前記活性化合物を経口又は経直腸で胃腸粘膜表面に投与してよい。経口投与には、液滴、錠剤などとして、直腸又は尿生殖器投与には坐薬としてなど、前記活性化合物を、滅菌生理的又は希釈食塩水又は局所溶液などの、任意の適した形態における医薬として許容可能な担体と組み合わせてよい。所望のとおりに前記活性化合物の溶解度を増強するために、賦形剤を前記製剤に含めてよい。
【0306】
本明細書に開示されている活性化合物は、生理的又は希釈食塩水溶液又は蒸留水などの医薬として許容可能な担体中の、活性化合物のスプレー、ミスト、又は液滴を含む任意の適した手段により、患者の気道表面に投与されてよい。例えば、前記活性化合物は、Jacobusに対する米国特許第5,789,391号(その開示は、参照としてその全体が本明細書に援用される)に記載されているとおりの製剤として調製され、投与されてよい。
【0307】
本発明を実施するために調製される固体又は液体粒子活性剤は、上記のように、吸入可能又は吸入不可能なサイズの粒子を含み;すなわち、吸入可能な粒子は、吸入時に、口腔及び喉頭を通過し、気管支及び肺胞内へ達するのに十分に小さなサイズの粒子であり、吸入不可能な粒子は、喉頭を通過し、気管支及び肺胞内へ達するよりもむしろ、鼻気道内に保持されるのに十分に大きな粒子である。一般に、サイズが約1ミクロン〜5ミクロン(とりわけ、サイズが約4.7ミクロン未満)の範囲にある粒子は吸入可能である。吸入吸入不可能なサイズの粒子は、サイズが約5ミクロンよりも大きく、目に見える小滴のサイズまでである。従って、経鼻投与では、鼻腔内保持を確実にするため、10μm〜500μmの範囲の粒子サイズを用いてよい。
【0308】
本発明による製剤の製造において、活性剤又は生理学的に許容できるその塩若しくは遊離塩基は、典型的には、とりわけ許容可能な担体と混合される。もちろん、前記担体は、前記製剤中の他のいずれの成分とも適合性でなければならず、患者にとって有害であってはならない。前記担体は、固体若しくは液体、又はその両方でなければならず、0.5重量%〜99重量%の前記活性化合物を含有してよい単位用量製剤として、例えば、カプセル剤として、前記化合物と共に製剤化されることが好ましい。1種以上の活性化合物を本発明の製剤に組み入れてよく、前記製剤は、本質的には、成分を混合することからなる任意の周知の薬学製法により調製されてよい。
【0309】
微粉化活性剤の吸入可能又は吸入不可能な乾燥微粒子を含む組成物は、乾燥活性剤を、乳鉢と乳棒で粉砕し、微粉化した組成物を400メッシュのスクリーンに通して、大きな凝集物を砕くか、又は分離することにより調製されてよい。
【0310】
粒子活性剤組成物は、エアロゾルの製剤化を容易にするのに役立つ分散剤を任意選択で含んでもよい。適した分散剤は、任意の適した割合で(例えば、1:1の重量比)、活性剤とともに混合されてよい乳糖である。
【0311】
本明細書に開示されている活性化合物は、鼻用液滴、ミストなどの当分野で公知の適した手段により、対象の鼻道、静脈洞、及び肺を含む気道表面に投与されてよい。本発明の一実施態様において、本発明の活性化合物は、経気管支鏡洗浄(transbronchoscopic lavage)によって投与される。本発明の好ましい実施態様において、本発明の活性化合物を、対象が吸入する活性化合物からなる吸入可能な粒子のエアロゾル懸濁液を投与することにより、肺気道表面に付着させる。前記吸入可能な粒子は、液体又は固体であってよい。エアロゾル粒子を対象の肺に投与するための多数の吸入器が公知である。
【0312】
限定されないが、参照としてその全てが本明細書に援用される米国特許第5,740,794号;米国特許第5,654,007号;米国特許第5,458,135号;米国特許第5,775,320号;及び米国特許第5,785,049号に開示されているものを含む、Inhale Therapeutic Systems(米国カリフォルニア州パロアルト)により開発されているような吸入器を用いてよい。本出願者は、本明細書に引用された全ての特許文献の開示は、参照として本明細書にその全体が援用されることを意図している。限定されないが、参照としてその全てが本明細書に援用される米国特許第5,622,166号;米国特許第5,577,497号;米国特許第5,645,051号;及び米国特許第5,492,112号に開示されているものを含む、Dura Pharmaceuticals, Inc.(米国カリフォルニア州サンディエゴ)により開発されているような吸入器もまた用いてよい。さらに、限定されないが、参照としてその全てが本明細書に援用される米国特許第5,826,570号;米国特許第5,813,397号;米国特許第5,819,726号;及び米国特許第5,655,516号に開示されているものを含む、Aradigm Corp.(米国カリフォルニア州ヘイワード)により開発されているような吸入器を用いてよい。これらの器具は、乾燥粒子吸入器として特に適している。
【0313】
活性化合物を含む液体粒子のエアロゾルは、圧力駆動エアロゾル噴霧器又は超音波噴霧器などの、任意の適した手段によりもたらされてよい。例えば、参照としてその内容が本明細書に援用される米国特許第4,501,729号を参照されたい。噴霧器は、活性成分の溶液又は懸濁液を、狭いベンチュリ開口部を介して、圧縮ガス、典型的には空気又は酸素を加速する手段により、又は超音波攪拌により、治療的なエアロゾルミストに変換する、市販の装置である。噴霧器における使用に適した製剤は、液体担体中の活性成分からなり、前記活性成分は、前記製剤の40%w/wまでを含むが、好ましくは20%w/w未満を含む。前記担体は、典型的には水(最も好ましくは、滅菌した発熱物質を含まない水)、又は希釈アルコール水溶液である。パーフルオロカーボン担体もまた用いてよい。任意選択の添加剤には、前記製剤が滅菌されていない場合に防腐剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチルが含まれ、抗酸化剤、着香料(flavoring agent)、揮発性油、緩衝剤、及び界面活性剤が含まれる。
【0314】
活性化合物を含む固体粒子のエアロゾルもまた同様に、任意の固体粒子薬剤エアロゾル発生器によってもたらされてよい。固体粒子薬剤を対象に投与するためのエアロゾル発生器は、上記で説明したとおり、吸入可能な粒子をもたらし、ヒト投与に適した速度で、所定の定量の薬剤を含むエアロゾル量を発生させる。固体粒子エアロゾル発生器の1つの例示的タイプは注入器である。注入による投与に適した製剤は、注入器によりデリバリーされてよい、又は嗅剤の要領で鼻腔に摂取されてよい、微粉砕された粉末を含む。前記注入器において、前記粉末(例えば、本明細書に記載の治療を実施するのに有効なその定量)が、in situで穴を開けられるか、又は開封される、典型的にはゼラチン又はプラスチックで作製されたカプセル又はカートリッジに含まれ、前記粉末は、吸入時に前記装置を介して引き込まれる空気により、又は手動操作ポンプによりデリバリーされる。注入器に使用される粉末は、活性成分単独からなるか、又は活性成分と、乳糖などの適した粉末希釈剤と、任意選択の界面活性剤とを含む粉末混合物からなる。活性成分は、典型的には、製剤の0.1%w/w〜100%w/wからなる。例示としてのエアロゾル発生器の第2のタイプは、定量吸入器を含む。定量吸入器は、典型的には、液体推進剤中に活性成分の懸濁液製剤又は溶液製剤を含む加圧エアロゾルディスペンサーである。使用の間、これらの装置は、測定された容量、典型的には10μl〜150μlをデリバリーするために適合させたバルブを介して前記製剤を排出し、活性剤を含む微粒子スプレーを生じさせる。適した推進剤には、ある種のクロロフルオロカーボン化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン及びそれらの混合物が含まれる。前記製剤は、複数の共溶媒(co−solvent)の1種、例えば、エタノール、オレイン酸又はトリオレイン酸ソルビタンなどの界面活性剤、抗酸化剤、及び適した着香料などをさらに含んでよい。
【0315】
固体粒子又は液体粒子から形成されるかどうかに関わらず、エアロゾルも、1分当たり約10リットル〜150リットル、より好ましくは1分当たり30リットル〜150リットル、最も好ましくは1分当たり約60リットルの速度でエアロゾル発生器によりもたらされてよい。より多量の薬剤を含有するエアロゾルは、より迅速に投与されてよい。
【0316】
本明細書に開示されている活性化合物の用量は、治療されている病態及び対象の状態によって変わるが、通常は、約0.01、0.03、0.05、0.1〜1、5、10、又は20 mgの薬剤が気道表面に付着されてよい。日用量は、1回又は複数回の単位用量投与に分割されてよい。目標は、肺気道表面に、10−9M〜104Mの前記薬剤濃度を達成することである。
【0317】
別の実施態様において、それらは、対象が鼻を介して吸入する、活性化合物からなる吸入可能又は吸入不可能な粒子(好ましくは、吸入不可能な粒子)のエアロゾル懸濁液を投与することにより投与される。前記吸入可能又は吸入不可能な粒子は、液体又は固体であってよい。含まれる活性剤の量は、対象の気道表面に約10−9、10−8、又は10−7モル/リットルから、約10−3、10−2、10−1モル/リットル、より好ましくは約10−9モル/リットル〜約10−4モル/リットルの溶解活性剤濃度を達成するのに十分な量であってよい。
【0318】
活性化合物の用量は、治療されている病態及び対象の状態によって変わるが、通常は、対象の鼻腔表面上に約10−9、10−8、10−7モル/リットルから、約10−3、10−2、又は10−1モル/リットル、より好ましくは約10−7モル/リットル〜約10−4モル/リットルの溶解活性化合物濃度を達成するのに十分な量であってよい。投与される活性化合物の特定の製剤の溶解度に応じて、日用量は、1回又は複数回の単位用量投与に分割されてよい。日用量の重量は、ヒト対象に対して、対象の年齢及び病態に応じて、活性剤粒子の約0.01ミリグラム、0.03ミリグラム、0.1ミリグラム、0.5ミリグラム、又は1.0ミリグラムから、10ミリグラム又は20ミリグラムの範囲であってよい。現行の好ましい単位用量は、1日当たり2回〜10回の投与療法で与えられる、約0.5ミリグラムの活性剤である。前記用量は、任意の適した手段(例えば、ゼラチンカプセルのカプセル化)により予めパッケージングされた単位として提供されてよい。
【0319】
本発明の一実施態様において、粒子活性剤組成物は、鼻の粘液分泌物への溶解のために、活性剤の早期放出と持続放出の双方を提供する目的で、活性剤の遊離塩基及び医薬として許容可能な塩の両方を含んでいてよい。このような組成物は、患者への早期放出と経時的な持続放出の両方を提供するのに役立つ。持続放出は、必要とされる1日の投与回数を減らすことによって、活性剤治療過程での患者のコンプライアンスを高めることが期待される。
【0320】
気道投与に適した医薬製剤には、溶液、エマルション、懸濁液、及び抽出液の製剤が含まれる。一般的には、参照として本明細書に援用される、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、86章(第19版1995年)におけるJ. Nairn、Solutions, Emulsions, Suspensions and Extractsを参照されたい。経鼻投与に適した医薬製剤は、その開示全体が参照として本明細書に援用されるSchorに対する米国特許第4,389,393号;Illumに対する米国特許第5,707,644号;Suzukiに対する米国特許第4,294,829号;及びSuzukiに対する米国特許第4,835,142号に記載のとおり調製してよい。
【0321】
前記活性化合物を含む液体粒子のミスト又はエアロゾルは、滅菌食塩水又は滅菌水などの医薬として許容可能な水性担体中に活性剤を有する簡便な鼻用スプレーなどによる任意の適した手段によってもたらされてよい。投与は、圧力駆動エアロゾル噴霧器又は超音波噴霧器によって行われてよい。例えば、各々が参照として本明細書に援用される米国特許第4,501,729号及び米国特許第5,656,256号などを参照されたい。鼻用液滴若しくはスプレーボトル、又は噴霧器での使用に適した製剤は、液体担体中の活性成分からなり、前記活性成分は、前記製剤の40%w/wまでを含むが、好ましくは20%w/w未満を含む。前記担体は、典型的には、水(最も好ましくは、滅菌した発熱物質を含まない水)、又は希釈アルコール水溶液であり、好ましくは、0.12%〜0.8%の塩化ナトリウム溶液中で作製されたものである。任意選択の添加剤には、前記製剤が滅菌されていない場合に防腐剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチルが含まれ、抗酸化剤、着香料、揮発性油、緩衝剤、浸透活性剤(osmotically active agent:例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール)及び界面活性剤が含まれる。
【0322】
微粉化活性剤の吸入可能又は吸入不可能な乾燥粒子を含む組成物は、乾燥活性剤を、乳鉢と乳棒で粉砕し、微粉化した組成物を400メッシュのスクリーンに通して、大きな凝集物を砕くか、又は分離することにより調製されてよい。
【0323】
粒子組成物は、エアロゾルの製剤化を容易にするのに役立つ分散剤を任意選択で含んでもよい。適した分散剤は、任意の適した割合で(例えば、1:1の重量比)、活性剤とともに混合されてよい乳糖である。
【0324】
式(I)の化合物を、当分野で公知の方法に従って合成してよい。代表的な合成方法を、以下のの図式:
【0325】
【化104】

に示す。
【0326】
これらの方法は、例えば、参照として本明細書に援用される、E.J.Cragoe、Amiloride and Its Analogsにおける25〜36頁「The Synthesis of Amiloride and Its Analogs」(3章)に記載されている。前記化合物を調製する他の方法は、例えば、参照として本明細書に援用される、米国特許第3,313,813号に記載されている。特に、米国特許第3,313,813号に記載されている方法A、B、C、及びDを参照されたい。これらの化合物、特に新規HNR3R4フラグメントを調製するのに有用な他の方法は、例えば、参照として本明細書に援用される、233377US(シリアル番号610/367,497)、213706US(シリアル番号10/076,571)、241739US−PROV(シリアル番号60/495,725)、241741US−PROV(シリアル番号60/495,712)、及び241740US−PROV(シリアル番号60/495,720)に記載されている。本発明の化合物を特性化するために、いくつかのアッセイを用いてよい。代表的なアッセイを以下に記載する。
【0327】
[ナトリウムチャネル遮断活性及び可逆性のin vitro測定]
本発明の化合物の作用機構及び/又は効力を評価するために用いられる1つのアッセイは、ウッシング(Ussing)チャンバー中に置いた気道上皮単層を用いて、短絡回路電流(ISC)下で測定される気道上皮ナトリウム電流のルーメン(lumenal)薬剤阻害の測定を含む。新鮮摘出されたヒト、イヌ、又はヒツジの気道から得られた細胞を、多孔性の0.4ミクロンSnapwell(商標)Inserts(CoStar)上へ播種し、ホルモン的に規定された培地中で、気液界面(ALI)条件で培養し、ウッシングチャンバー中のKrebs Bicarbonate Ringer(KBR)に浸しながら、ナトリウム輸送活性(μA/cm2でのISC)に関してアッセイする。全ての試験薬剤を、半ログ用量添加プロトコルを用いてルーメン浴(lumenal bath)に加え(1×10−11M〜3×10−5M)、ISCの累積変化(阻害)を記録する。全ての薬剤を、ジメチルスルホキシド中で、1×10−2M濃度の原液として調製し、−20℃で貯蔵する。典型的には、6つの調製物を並行して処理し、1処理当たり1つの調製物を、ポジティブコントロールとして組み込む。電圧固定からの全てのデータは、コンピュータインターフェースを介して回収し、オフ−ラインで解析する。
【0328】
全化合物に関する用量−効果関係を考察し、Prism 3.0プログラムにより分析する。EC50値及び最大効果濃度を計算し、ポジティブコントロールと比較する。
【0329】
[ナトリウムチャネル遮断薬のin vitroにおける持続性:表面液体吸収、輸送、及び代謝プロフィール]
気道気管支上皮は、吸収上皮(積極的にナトリウムを吸収する)であり、従って、水がルーメン(lumenal)から漿膜へと向けられる。重量分析(計量(weighing))法を用いて、ルーメンの表面液体の重さを量り、変化を36時間まで記録する。選択する新規又は市販のナトリウムチャネル遮断薬の等モル濃度を加えたものと、加えていないものの、適用される開始容量のバッファー(修正Krebs−Henseleit Bicarbonateバッファー溶液)を開始バッファーに添加し、選択した時点でルーメンの表面液体の質量を量り、質量をmg単位で記録する。さらに、アッセイの間、表面液体と漿膜コンパートメントの両方からサンプルを回収し、この後、ウェルの重さを再び量り、重量を記録する。回収サンプルをHPLC及び/又は質量分析を用いて分析し、いずれの複合体又は代謝体にも留意しながら、ナトリウムチャネル遮断薬の濃度を計測する。
【0330】
[水又は塩化ナトリウム溶液における化合物溶解度]
化合物の溶解度を、水、0.12%又は0.9%塩化ナトリウム溶液において、常温で10日間まで測定した。UV/Visable分光光度計を使用し、計測されたアミロライド(18.6 mM、D. Mazzo 1986から得られた吸光度362 nm)の吸光度係数を用いたベールの法則(Beer's Law)を適用して、溶液中の遊離塩基濃度を規定の時点で計測した。実験の継続期間中、ストッパー−トップ型の閉じるもの(closure)を有するガラスバイアルからなる単一/密閉システム内に全てのサンプルを保存した。暗所、常温、直立状態でバイアルを保持した。逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて、最終的にろ過し取り出したサンプル(10日目)の化合物安定性を測定した。
【0331】
[アミロライド同族体(congener)取り込みの共焦点顕微鏡アッセイ]
試験する実質的に全ての分子は、紫外線領域で蛍光を発する。x−z共焦点顕微鏡を用いて細胞取り込みを直接測定するために、これらの分子のこの特性を用いてよい。等モル濃度の実験化合物、並びにアミロライド及び細胞コンパートメントへの迅速な取り込みを示す化合物(ベンザミル及びフェナミル)を含むポジティブコントロールを、共焦点顕微鏡のステージ上の気道培養物の先端表面に置く。連続的なx−z像を経時的に得て、細胞コンパートメントに蓄積する蛍光の大きさを定量化し、時間に対する蛍光の変化としてプロットする。
【0332】
[動物における薬物の薬理学的効果及び作用機序]
参照として本明細書に援用される、Sabaterら、Journal of Applied Physiology、1999年、2191〜2196頁に記載されたin vivoモデルを用いて、粘膜毛様体クリアランス(MCC)を増強する化合物の効果を測定できる。
【0333】
[ヒツジにおけるin vivoアッセイ]
(方法)
動物の準備:成体雌ヒツジ(体重25〜35kg)を、変形ショッピングカートに合わせた特殊なボディハーネスに直立姿勢で拘束した。動物の頭を固定し、2%リドカインを用いて鼻道の局所麻酔を誘発した。ついで、動物に、内径7.5 mmの気管内チューブ(ETT)を鼻から挿管した。ETTの先端部(cuff)を声帯の真下に設置し、その位置を柔軟な気管支鏡で確かめた。挿管の後に、動物を、粘膜毛様体クリアランスの測定を開始する前の約20分間、平衡化させた。
【0334】
放射性エアロゾルの投与:空気動力学的中央径3.6μmを有する液滴を生じるRaindrop Nebulizerを使用して、99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1 mg/ml;およそ20 mCi含有)のエアロゾルを生じさせた。この噴霧器を、ソレノイドバルブ及び圧縮空気(20 psi)源からなる用量測定系に接続した。噴霧器の出口を、プラスチック製Tコネクターに直結させた;その一方の末端を、気管内チューブに接続し、他方をピストン呼吸装置に接続した。呼吸装置の吸気サイクルの開始時に1秒間、この系を活性化した。呼吸装置を1回呼吸気量500 mL、吸気−呼気比1:1、及び1分当たり呼吸20回の速度に設定して、中心気道付着を最大化した。ヒツジは、放射性標識されたエアロゾルを5分間呼吸した。ガンマカメラを使用して、気道からの99mTc−ヒト血清アルブミンのクリアランスを測定した。カートに支持されている自然な直立姿勢のヒツジで、動物の背中の上にカメラを設置して、画像フィールドを動物の脊髄に対して直角にした。外部放射性標識マーカーをヒツジに置き、ガンマカメラ下での正確な配置を保証した。全ての画像をガンマカメラと一体化したコンピュータに保存した。該当領域を、ヒツジの右肺に対応する画像でトレーシングし、カウントを記録した。減衰に関してカウントを補正し、最初の基準画像(initial baseline image)に存在する放射能のパーセンテージとして表した。左肺は、分析から除外した。なぜなら、その輪郭が、胃の上に重なっており、カウントが嚥下されて、放射性標識された粘液として胃に入ることがあるためである。
【0335】
処理プロトコル(t−0での活性評価):基準付着画像を放射性エアロゾル投与の直後に得た。0時点では、基準画像を得た後に、ビヒクルコントロール(蒸留水)、ポジティブコントロール(アミロライド)、又は実験用化合物を4 ml容量から、Pari LC JetPlus噴霧器を使用して自由呼吸動物へとエアロゾル化した。1分当たり8リットルの流速で、圧縮空気により噴霧器を作動させた。溶液をデリバリーする時間は、10〜12分であった。全用量をデリバリーした直後に、動物から抜管し、ETTからの過剰な放射性トレーサーの吸引により生じるカウントの誤った上昇を防いだ。肺の連続画像を、投与後の最初の2時間は15分間隔で、投与後のそれに続く6時間は1時間ごとに、全部で8時間の観察期間にわたって得た。少なくとも7日間の洗い出し期間を隔てて、別の実験薬剤での投与期間を設けた。
【0336】
処理プロトコル(t−4時間での活性評価):標準プロトコルの以下の変形を使用して、ビヒクルコントロール(蒸留水)、ポジティブコントロール化合物(アミロライド又はベンザミル)、又治験薬剤に1回暴露した後の効果持続性を評価した。0時点で、ビヒクルコントロール(蒸留水)、ポジティブコントロール(アミロライド)、又は治験化合物を4 ml容量から、Pari LC JetPlus噴霧器を使用して自由呼吸動物へとエアロゾル化した。1分当たり8リットルの流速で、圧縮空気により噴霧器を作動させた。溶液をデリバリーする時間は、10〜12分であった。動物を、特殊なボディハーネスに直立姿勢で4時間拘束した。4時間の終了時に、Raindrop Nebulizerからの1回量のエアロゾル化99mTc−ヒト血清アルブミン(3.1 mg/ml;およそ20 mCi含有)を動物に投与した。全用量の放射性トレーサーをデリバリーした直後に、動物から抜管した。放射性エアロゾル投与の直後に、基準付着画像を得た。肺の連続画像を、放射性トレーサーの投与後の最初の2時間(薬物投与の4〜6時間後を表す)は15分間隔で、投与後のそれに続く2時間は1時間ごとに、全部で4時間の観察期間にわたって得た。少なくとも7日間の洗い出し期間を隔てて、別の実験薬剤での投与期間を設けた。
【0337】
統計:SYSTAT for Windows(登録商標), version5を使用して、データを分析した。二元配置反復分散分析法(two−way repeated ANOVA:全体作用を評価するため)を使用して、データを分析し、続いて、対t検定を行い、特定の対での差異を同定した。Pが0.05以下である場合に、有意性が認められた。平均MCC曲線でのスロープ値(t−0評価での投与後、最初の45分間に集められたデータから算出)を、線形最小二乗回帰を使用して算出し、迅速なクリアランス段階(phase)の間の初期速度(initial rate)の差異を評価した。
【0338】
[実施例]
本発明を一般的に説明してきたが、例示目的のみでここに提供され、特記のない限り限定することを意図しいない、一定の具体的実施例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。
【0339】
[ナトリウムチャネル遮断剤の調製]
(材料及びと方法)
全ての試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical Corp.から購入し、さらに精製することなく用いた。NMRスペクトルは、Bruker WM 360(360 MHzでの1H NMR及び90 MHzでの13C NMR)、又はBruker AC 300(300 MHzでの1H NMR及び75 MHzでの13C NMR)上で得られた。フラッシュクロマトグラフィーは、90 gシリカゲルカートリッジ(40M FSO−0110−040155、32〜63μm)を20 psi(N2)で充填したElution SolutionのFlash Elute(商標)システム(PO Box 5147, Charlottesville, Virginia 22905)で実施した。GC−分析は、Heliflex Capillary Column(Alltech);相:AT−1、長さ:10メートル、ID:0.53 mm、フィルム:0.25マイクロメートルを備えたShimadzu GC−17で実施した。GCパラメータ:320℃でのインジェクター、320℃での検出器、FIDガスフロー:40 ml/分のH2、400ml/分の空気(Air)。担体ガス:スプリット比16:1、15 ml/分のN2フロー、18 cm/秒のN2速度。温度プログラムは、70℃で0〜3分、70〜300℃で3〜10分、300℃で10〜15分である。
【0340】
HPLC分析は、Microsorb MV C8カラム、100 A、25 cmを備えたGilson 322ポンプ、360 nmでの検出器UV/Vis−156で実施した。移動相:A=0.1% TFAを有するアセトニトリル、B=0.1% TFAを有する水。勾配プログラム:95:5 B:Aで1分、ついで20:80 B:Aで7分超、ついで100% Aで1分超、ついで100% Aで11分間洗い流し、流速:1ml/分。
【0341】
[実施例1]
2−(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]−ブチル}フェノキシ)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミドジメタンスルホネート(PSA 24304)の合成
【0342】
【化105】

【0343】
(4−{4−[(3−ジメチルアミノプロピルカルバモイル)メトキシ]フェニル}ブチル)カルバミン酸ベンジルエステル(3)
THF(15 mL)中、1(0.50 g、1.39 mmol)及びCDI(0.25 g、1.54 mmol)の溶液を40℃で1時間加熱した。ついで、2(0.15 g、1.47 mmol)をその温度で反応混合物に添加した。得られた溶液を室温まで徐々に冷却し、一晩、室温でさらに撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をFlash(商標)クロマトグラフィー(BIOTAGE, Inc)(9:0.9:0.1ジクロロメタン/メタノール/濃水酸化アンモニウム、v/v)により精製し、白色固体として3(0.4 g、61%)を得た:
【0344】
【化106】

【0345】
2−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド(4)
メタノール(15 mL)中、3(377 mg、0.85 mmol)及び10%炭素(carbon)担持パラジウム(0.30 g、50%湿潤)の懸濁液を、水素大気圧下、室温で2時間撹拌した。ついで、Celiteパッドを通して混合物をろ過し、溶媒を蒸発させて、白色固体として4(208 mg、80%)を得た。粗生成物は、精製することなく次の工程に直接用いた。
【0346】
【化107】

【0347】
2−(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アセトアミド(6)
1−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)−2−メチルイソチオウレアハイドリオダイド(hydriodide)(292 mg、0.75 mmol)5を、化合物4(200 mg、0.65 mmol)、DIPEA(0.39 mL、2.25 mmol)、及びエタノール(5 mL)の溶液に添加した。反応混合物を65℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を分離(preparative)TLC(80:18:2ジクロロメタン/メタノール/濃水酸化アンモニウム、v/v)により精製して、淡黄色固体として6(190 mg、56%)を得た:
【0348】
【化108】

【0349】
メタンスルホン酸(67.2 mg、0.70 mmol)を、エタノール(4 mL)中、6(182 mg、0.35 mmol)の溶液に添加した。得られた溶液を室温で0.5時間撹拌し;ついで溶媒を完全に蒸発させ、淡黄色固体として212 mg(85%)の7を得た:
【0350】
【化109】

【0351】
スキーム1:PSA 24304の合成
【0352】
【化110】

【0353】
[実施例2]
選択した可溶性アミドの合成及び物理的特性
実施例1及びスキーム1で例証した手順を用いて、表1に列挙した化合物を調製した。
【0354】
表1:選択したアミドの物理的特性
【表1】

【0355】
[実施例3]
選択したアミドの溶解度
表2には、選択したアミドビスメタンスルホン酸塩の食塩水における溶解度を示し、PSA 9714の単一付加メタンスルホン酸塩とそれらを比較する。
【0356】
表2:選択したアミドの溶解度
【表2】

【0357】
[実施例4]
選択した可溶性アミドのナトリウムチャネル遮断活性
上記試験を利用し、表3は、イヌ気管支上皮でアッセイした場合の本発明のいくつかのアミドのENaC遮断能力を要約したものである。
【0358】
表3:選択したアミドの上皮性ナトリウムチャネル遮断活性
【表3】

【0359】
[実施例5]
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)−N'−{4−[4−(ピペラジン−1−カルボニル)フェニル]ブチル}グアニジンビス−メタンスルホネート(PSA 23607)
4−(4−アミノブチル)安息香酸(8)
水(30 mL)中、水酸化ナトリウム(0.69 g、17.37 mmol)の溶液を、メタノール(30 mL)中、24(1.2 g、5.79 mmol)の溶液に添加し、室温で48時間撹拌した。ついで、溶媒を減圧下で除去した。水(20 mL)を添加し、HClを用いてpHを7に調整した。白色固体沈殿物をろ過により除去し、水で洗浄し、真空乾燥した。粗生成物8(1.39 g)を白色固体として得て、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0360】
4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)安息香酸(9)
炭酸水素ナトリウム(0.95 g、11.32 mmol)を、THF(120 mL)中30の懸濁液に添加し、それに続いて水(10 mL)に添加し、透明な溶液を得た。ついで、クロロギ酸ベンジル(1.21 mL、8.49 mmol)を0℃で反応混合物に添加した。ついで、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。酢酸エチル(70 mL)を残留物に添加し、2N HCl(2×30 mL)及び水(2×50 mL)で溶液を洗浄し、ついで真空乾燥した。1.82 gの9(98%)を白色固体として得た:
【0361】
【化111】

【0362】
N−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)−N'−{4−[4−(ピペラジン−1−カルボニル)フェニル]ブチル}グアニジンビス−メタンスルホネート(PSA 23607)
実施例1に記載の常法を用いて化合物9をPSA 236507に変換し、所望の生成物を得た:融点122〜124℃、割り当てられた構造と一致した500 MHz1H NMRスペクトル(CD3OD)、HPLC分析98.5%(エリアパーセント)、Polarity dC18カラム、検出器@220 nm、ESIマススペクトルm/z 474[C21H28ClN9O2+H]。PSA 23607は、イヌ気管支上皮において、12.5±0.5 nMのIC50を有し、0.12%食塩水において、5 mg/mLを超える溶解度を有した。
【0363】
[実施例6]
3−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸メチルエステル(13)
3−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−(トリチルアミノ)プロピオン酸メチルエステル(10)
市販のN−トリチル−L−セリンメチルエステル(1.60 g、5.34 mmol)を、ベンゼン(40 mL)中、トリフェニルホスフィン(1.28 g、4.88 mmol)及び[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]カルバミン酸ベンジルエステル(2.0 g、6.68 mmol)と室温で組み合わせた。ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.958 mL、4.86 mmol)を滴下して加え、反応物を14日間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:6:1、v/vジクロロメタン/酢酸エチル)により精製して、化合物10(2.22 g、51%)を得た。
【0364】
【化112】

【0365】
3−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸メチルエステル(12)
化合物10(2.22 g、3.45 mmol)を、ジクロロメタン/水(25 mL/0.5 mL)の混合物に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.75 mL、10.0 mmol)を添加し、反応物を2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン(25 mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.72 mL、5.12 mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(0.829 g、3.79 mmol)で72時間処理した。減圧下で溶媒を除去し、それに続いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1、v/vジクロロメタン/酢酸エチル)にかけ、化合物12(0.90 g、52%)を得た。
【0366】
【化113】

【0367】
3−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸メチルエステル(13)
化合物12(505 mg、1.00 mmol)をメタノール(20 mL)に溶解し、10%炭素担持パラジウム(100 mg)を添加した。フラスコを排気し、バルーン圧下、水素ガスを充填し、一晩撹拌した。セライトを通したろ過により触媒を除去し、それに続いて、溶媒を減圧下で除去し、化合物13(366 mg、98%)を得た。
【0368】
【化114】

【0369】
[実施例7]
3−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸メチルエステル(16)
スキーム2:アミノアミド前駆体16の合成
【0370】
【化115】

【0371】
3−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−(トリチルアミノ)プロピオン酸メチルエステル(14)
市販のN−トリチル−L−セリンメチルエステル(1.60 g、5.34 mmol)を、ベンゼン(40 mL)中、トリフェニルホスフィン(1.28 g、4.88 mmol)及び[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]カルバミン酸ベンジルエステル(2.0 g、6.68 mmol)と室温で組み合わせた。ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.958 mL、4.86 mmol)を滴下して加え、反応物を14日間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:6:1、v/vジクロロメタン/酢酸エチル)により精製して、化合物141(2.22 g、51%)を得た。
【0372】
【化116】

【0373】
3−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸メチルエステル(15)
化合物14(2.22 g、3.45 mmol)を、ジクロロメタン/水(25 mL/0.5 mL)の混合物に溶解し、ついで、トリフルオロ酢酸(0.75 mL、10.0 mmol)を添加し、反応物を2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン(25 mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.72 mL、5.12 mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネート(0.829 g、3.79 mmol)で72時間処理した。減圧下で溶媒を除去し、それに続いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶離液:9:1、v/vジクロロメタン/酢酸エチル)にかけ、化合物15(0.90 g、52%)を得た。
【0374】
【化117】

【0375】
3−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノプロピオン酸メチルエステル(16)
化合物15(505 mg、1.00 mmol)をメタノール(20 mL)に溶解し、10%炭素担持パラジウム(100 mg)を添加した。フラスコを排気し、バルーン圧下、水素ガスを充填し、一晩撹拌した。セライトを通したろ過により触媒を除去し、それに続いて、溶媒を減圧下で除去し、化合物16(366 mg、98%)を得た。
【0376】
【化118】

【0377】
[実施例8]
{4−[4−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−カルバモイルプロポキシ)フェニル]ブチル}カルバミン酸ベンジルエステル(20)
スキーム3:同族アミノアミドの合成
【0378】
【化119】

【0379】
2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステルヒドロクロリド(17)
メタノール(40 mL)中、DL−ホモセリン(1.00 g、8.39 mmol)の懸濁液を氷浴中に置いた。シリンジを介してトリメチルシリルクロリド(2.34 mL、18.5 mmol)を滴下して加えた。反応混合物を徐々に均質化し、室温で14時間さらに撹拌し、ロータリーエバポレーションにより濃縮し、高真空下でさらに乾燥した。それにより得られた粗オイルは、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0380】
【化120】

【0381】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステル(18)
2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステルヒドロクロリド(17)を、無水THF(15 mL)中で懸濁化し、氷浴中に置いた。シリンジを介してジイソプロピルエチルアミン(2.92 mL、16.8 mmol)を添加し、それに続いて、DMAP(205 mg、1.68 mmol)及びBoc2O(3.85 g、17.6 mmol)を添加した。混合物を0℃で10分間、室温で14時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(100 mL)に溶かし、水(30 mL×2)及びブライン(40 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。無色のオイル(1.96 g)は、さらに精製することなく次に工程に用いた。
【0382】
【化121】

【0383】
4−ブロモ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ酪酸メチルエステル(19)
乾燥CH2Cl2(20 mL)中、トリフェニルホスフィン(2.20 g、8.39 mmol)の溶液を、シリンジを介して、乾燥CH2Cl2(20 mL)中、N−Bocホモセリンメチルエステル18(8.39 mmol)及び四臭化炭素(4.18 g、12.60 mmol)の溶液に滴下して加えた。得られた暗色溶液を室温で16時間撹拌した。ヘキサンを添加し、沈殿物を吸引ろ過により除去した。ろ液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10、v/v、ついで1:6、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、黄色オイルとして所望の生成物19(501 mg、ホモセリンからの全収率20%)を得た。
【0384】
【化122】

【0385】
4−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸メチルエステル(20)
炭酸カリウム(935 mg、6.77 mmol)を、無水DMF(10 mL)中、4−[4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチル]フェノール(506 mg、1.69 mmol)及びN−Bocブロミド19(501 mg、1.69 mmol)の溶液に一度に加えた。反応混合物を70℃(油浴)で14時間撹拌し、室温に冷却し、酢酸エチル(100 mL)及びヘキサン(20 mL)で希釈した。混合物を水(4×20 mL)及びブライン(40 mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/CH2Cl2(1:25、1:20、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、粘度が高い黄色オイルとして所望の生成物20(718 mg、収率83%)を得た。
【0386】
【化123】

【0387】
[実施例9]
3−{2−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]エチルアミノ}−2−N,N'−ジ−(tert−ブトキシカルボニル)アミノプロピオン酸メチルエステル(21)
スキーム4:アザアミノアミド及びエステル前駆体の合成
【0388】
【化124】

【0389】
3−{2−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]エチルアミノ}−2−N,N'−ジ−(tert−ブトキシカルボニル)アミノプロピオン酸メチルエステル(21)
メタノール(3 mL)中、{4−[4−(2−アミノエトキシ)フェニル]ブチル}カルバミン酸ベンジルエステルヒドロクロリド(141 mg、0.372 mmol)、2−[N,N'−ジ(tert−ブトキシカルボニル)]アミノアクリル酸メチルエステル(102 mg、0.338 mmol)、及びトリエチルアミン(0.16 mL、1.11 mmol)の混合物を、55℃(油浴)で16時間撹拌した。ついで、これを室温に冷却した。溶媒をロータリーエバポレーションにより除去した。残留物を酢酸エチルに溶かし、飽和重炭酸ナトリウム溶液及びブラインで洗浄した。有機層を真空濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(勾配1:10、1:6、1:4、及び1:2、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望のマイケル付加化合物21(110 mg、収率51%)を得た。
【0390】
【化125】


【0391】
[実施例10]
5−[4−(4−アミノブチル)フェニル]−2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノペンチン酸メチルエステル(26)
スキーム5:アミノアミド及びエステル前駆体の合成
【0392】
【化126】

【0393】
[4−(4−ヨードフェニル)ブト−3−イニル]カルバミン酸ベンジルエステル(22)
無水THFとトリエチルアミンとの混合物(24 mL、2/1、v/v)に、1,4−ジヨードベンゼン(2.03 g、6.15 mmol)及びヨウ化銅(I)(0.094 g、0.246 mmol)を連続的に添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。ついで、フラスコを排気し、アルゴンで再充填した。この手順をさらに3回繰り返し、いずれの酸素も残らないことを確実にした。触媒であるジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.173 g、0.246 mmol)を、アルゴン保護下、混合物に添加した。THF(8 mL)に溶解した、別の出発物質であるブト−3−イニルカルバミン酸ベンジルエステル(0.50 g、2.46 mmol)を6時間にわたって滴下して加えた。新たに形成された反応混合物を室温で一晩さらに撹拌した。反応混合物中の固体を真空ろ過した。ろ液を濃縮した。残留物をジクロロメタンに再度溶解し、カラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル(0〜12%)とヘキサン(100〜88%)との混合物で溶出して精製し、オフホワイト固体として生成物22(0.852 g、86%)を得た。
【0394】
【化127】

【0395】
2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノペント−4−イン酸メチルエステル(23)
市販の化合物である2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペント−4−イン酸(0.321 g、1.50 mmol)を無水DMF(5 mL)に溶解した。この溶液に、炭酸セシウム(0.54 g、1.65 mmol)を一度に添加した。混合物を室温で45分間撹拌し、その後、ヨウ化メチル(0.20 mL、3.00 mmol)を添加し、さらに3時間撹拌した。反応物を水(10 mL)で急冷した。有機物をジクロロメタン(2×30 mL)で抽出し、水(3×50 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空下で完全に除去した。残留物を高真空下でさらに一晩乾燥し、さらに精製することなく次の工程に用いた。無色で粘性のあるオイルとして生成物23(0.326 g、収率95%)を得た。
【0396】
【化128】

【0397】
5−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブト−1−イニル)フェニル]−2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノペント−4−イン酸メチルエステル(24)
化合物22である[4−(4−ヨードフェニル)ブト−3−イニル]カルバミン酸ベンジルエステル(0.52 g、1.283 mmol)を、無水THFとトリエチルアミンとの混合物(8 mL、1/1、v/v)に溶解した。この溶液に、ヨード銅(I)(0.025 g、0.128 mmol)を添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。ついで、フラスコを排気し、アルゴンで再充填した。この手順をさらに3回繰り返し、いずれの酸素も残らないことを確実にした。触媒であるジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.09 g、0.128 mmol)を、アルゴン保護下、混合物に添加した。混合物を室温でさらに30分間撹拌した。THF(4 mL)に溶解した、別の出発物質23である2−tert−ブトキシカルボニルアミノペント−4−イン酸メチルエステル(0.32 g、1.412 mmol)を15分間にわたって滴下して加えた。新たに形成された反応混合物を室温で一晩さらに撹拌した。反応混合物中の固体を真空ろ過した。ろ液を濃縮した。残留物をジクロロメタンに再度溶解し、カラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル(0〜25%)とヘキサン(100〜75%)との混合物で溶出して精製し、ゴム状の帯黄色固体として生成物24(0.64 g、99%)を得た。
【0398】
【化129】

【0399】
5−[4−(4−アミノブチル)フェニル]−2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノペンチン酸メチルエステル(26)
化合物24である5−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブト−1−イニル)フェニル]−2−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノペント−4−イン酸メチルエステル(0.36 g、0.713 mmol)を、エタノールとメタノールとの混合物(50 mL、1/1、v/v)に溶解し、Parrシェーカーボトルに入れた。この溶液に、10%炭素担持パラジウム(0.20 g、湿潤)を、アルゴン保護下、一度に加えた。フラスコを排気し、アルゴンで再充填した。この手順をさらに3回繰り返した。ついで、35 psi水素雰囲気下、混合物を室温で一晩撹拌した。ついで、フラスコを排気し、窒素で再充填した。この手順を3回繰り返した。ついで、触媒を真空ろ過し、エタノール(2×5 mL)で洗浄した。ろ液及び洗浄物を組み合わせ、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、メタノール(0〜12%)、水酸化アンモニウム(0〜1.2%)、及びジクロロメタン(100〜86.8%)の混合物で溶出して、所望の生成物26(0.045 g、17%、無色のガラス様固体)とその保護型25(0.218 m、60%、帯黄色固体)の2種類の生成物を得た。
【0400】
【化130】

【0401】
【化131】

【0402】
化合物25を、再度、水素化し、ベンジルオキシカルボニル保護基を除去した。この方法は以下のとおりに実施した:化合物25(0.218 g、0.425 mmol)をエタノール(10 mL)に溶解した。パラジウム触媒(0.10 g、10%炭(charcoal)担持、50%湿潤)を添加する前及び後の両方において、溶液を窒素でパージし、水素雰囲気下、2時間水素化した。触媒を真空ろ過し、エタノール(2×5 mL)で洗浄した。ろ液及び洗浄物を組み合わせ、真空濃縮した。残留物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、メタノール(0〜14%)、水酸化アンモニウム(0〜1.4%)、及びジクロロメタン(100〜84.6%)の混合物で溶出して、化合物26(0.131 g、81%)を得た。
【0403】
[実施例11]
4−[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチル)フェニルアミノ]酪酸エチルエステル(27)
スキーム6:アザ−アルキルエステルの合成
【0404】
【化132】

【0405】
4−[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチル)フェニルアミノ]酪酸エチルエステル(27)
[4−(4−アミノフェニル)ブチル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.7 g、6.43 mmol)、4−ブロモ−n−酪酸エチルエステル(1.88 g、9.64 mmol)、4−メチルモルホリン(1.0 mL、9.64 mmol)、及びDMF(10 mL)の溶液を、窒素雰囲気下、85℃で3時間撹拌した。溶媒を真空蒸発した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4:1、ヘキサン/酢酸エチル、v/v)により精製し、無色のオイルとして27(0.44 g、18%)を得た。
【0406】
【化133】


【0407】
[実施例12]
アミノアミドの合成
スキーム7:アミノアミド及びエステルの合成
【0408】
【化134】

【0409】
{3−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]−1−カルバモイルプロピル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(32)の合成
2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステルヒドロクロリド(28)
メタノール(40 mL)中、DL−ホモセリン(1.00 g、8.39 mmol)の懸濁液を氷浴中に置いた。シリンジを介してトリメチルシリルクロリド(2.34 mL、18.5 mmol)を滴下して加えた。反応混合物を徐々に均質化し、室温で14時間さらに撹拌し、ロータリーエバポレーションにより濃縮し、高真空下でさらに乾燥した。それにより得られた粗オイルは、さらに精製することなく次の工程に用いた。
【0410】
【化135】

【0411】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステル(29)
2−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸メチルエステルヒドロクロリド(28)を、無水THF(15 mL)中で懸濁化し、氷浴中に置いた。シリンジを介してジイソプロピルエチルアミン(2.92 mL、16.8 mmol)を添加し、それに続いて、DMAP(205 mg、1.68 mmol)及びBoc2O(3.85 g、17.6 mmol)を添加した。混合物を0℃で10分間、室温で14時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチル(100 mL)に溶かし、水(30 mL×2)及びブライン(40 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。無色のオイル(1.96 g)は、さらに精製することなく次に工程に用いた。
【0412】
【化136】

【0413】
4−ブロモ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ酪酸メチルエステル(30)
乾燥CH2Cl2(20 mL)中、トリフェニルホスフィン(2.20 g、8.39 mmol)の溶液を、シリンジを介して、乾燥CH2Cl2(20 mL)中、N−Bocホモセリンメチルエステル29(8.39 mmol)及び四臭化炭素(4.18 g、12.60 mmol)の溶液に滴下して加えた。得られた暗色溶液を室温で16時間撹拌した。ヘキサンを添加し、沈殿物を吸引ろ過により除去した。ろ液を減圧下で濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10、v/v、ついで1:6、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、黄色オイルとして所望の生成物30(501 mg、ホモセリンからの全収率20%)を得た。
【0414】
【化137】

【0415】
4−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸メチルエステル(31)
炭酸カリウム(935 mg、6.77 mmol)を、無水DMF(10 mL)中、4−[4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ブチル]フェノール(506 mg、1.69 mmol)及びN−Bocブロミド30(501 mg、1.69 mmol)の溶液に一度に加えた。反応混合物を70℃(油浴)で14時間撹拌し、室温に冷却し、酢酸エチル(100 mL)及びヘキサン(20 mL)で希釈した。混合物を水(4×20 mL)及びブライン(40 mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。酢酸エチル/CH2Cl2(1:25、1:20、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、粘度が高い黄色オイルとして所望の生成物31(718 mg、収率83%)を得た。
【0416】
【化138】

【0417】
{4−[4−(3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−カルバモイルプロポキシ)フェニル]ブチル}カルバミン酸ベンジルエステル(32)
アンモニア(メタノール中7 M、20 mL)を、メタノール(5 mL)中、N−Bocメチルエステル31(718 mg、1.40 mmol)の溶液に添加し、混合物をシールしたチューブ中で、室温、40時間撹拌した。混合物をロータリーエバポレーションにより濃縮し、メタノール/ジクロロメタン(1:30、1:20、v/v)を用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として所望のアミド32(436 mg、収率63%)を得た。
【0418】
【化139】

【0419】
[実施例13]
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸エチルエステル(33)
スキーム8:33の合成
【0420】
【化140】

【0421】
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸エチルエステル(33)の合成
[4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル]カルバミン酸ベンジルエステル(2.0 g、6.7 mmol)、炭酸カリウム(1.0 g、7.3 mmol)、ヨウ化ナトリウム(0.4 g、2.7 mmol)、及びDMF(10 mL)の溶液を30分間撹拌した。DMF(10 mL)中ブロモ酢酸エチル(0.8 mL、7.4 mmol)の溶液を反応物に滴下して加えた。反応物を室温でさらに3日間撹拌し、ついで、水(200 mL)へ注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、1:5酢酸エチル/ヘキサン、v/v)により精製し、白色固体として所望の生成物33(2.3 g、89%)を得た。
【0422】
【化141】

【0423】
[実施例14]
チアアミド(thia amide)の合成
スキーム9:チアアミド前駆体の合成
【0424】
【化142】

【0425】
スキーム14:チアアミドの合成(続き)
【0426】
【化143】

【0427】
N−{4−[4−(ジメチルチオカルバモイルオキシ)フェニル]ブチル}フタルイミド(34)
無水DMF(10 mL)中、鉱油中の水素化ナトリウム(60%の0.44 g)の懸濁液を0℃に冷却した。乾燥DMF(15 mL)に溶解したN−[4−(4―ヒドロキシフェニル)ブチル]フタルイミド(2.95 g、10 mmol)を混合物に添加し、ついでこれを0℃で30分間撹拌し、1時間にわたって室温に温めた。DMF(10 mL)に溶解したN,N−ジメチルチオカルバモイルクロリド(1.35 g、11 mmol)を混合物に分割的(portionwise)に添加した。新たに形成された混合物を室温で一晩、ついで50℃で1時間撹拌し、室温に冷却して戻し、その時点でメタノール(10 mL)を混合物に添加した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル、10:1:0.2、v/v)により精製し、わずかに黄色の固体としてN−{4−[4−(ジメチルチオカルバモイルオキシ)フェニル]ブチル}フタルイミド34(2.27 g、59%)を得た。
【0428】
【化144】

【0429】
N−{4−[4−(ジメチルカルバモイルチオ)フェニル]ブチル}フタルイミド(35)
N−{4−{4−[(ジメチルチオカルバモイルオキシ)フェニル]ブチル}フタルイミド34(2.1 g、5.4 mmol)を、230℃に予め加熱した砂浴中に置いた。温度を280℃に上昇させ、融解化合物を、アルゴン雰囲気中、この温度で2時間保った。混合物を冷却し、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル、10:1:0.2、v/v)により精製して、白色粉末として35(1.2 g、57%)を得た。
【0430】
【化145】

【0431】
{4−[4−(ジメチルカルバモイルチオ)フェニル]ブチルアミン(36)
フタルイミド35(1.1 g、2.8 mmol)を、エタノール(100 mL)中6.6%メチルアミン含有溶液に溶解し、室温で一晩撹拌させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム/メタノール/水酸化アンモニウム、10:1:0.1、v/v)により精製して、白色粉末として遊離アミン36(0.31 g、42%)を得た。
【0432】
【化146】

【0433】
N−tert−ブトキシカルボニル−{4−[4−(ジメチルカルバモイルチオ)フェニル]ブチルアミン(37)
ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.35 g、1.6 mmol)を、36(0.31 g、1.22 mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及びジクロロメタン(50 mL)の溶液に添加した。混合物を室温で26時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、3:1、v/v)により精製して、白色粉末として36(0.36 g、83%)を得た。
【0434】
【化147】

【0435】
N−[4−(4−メルカプトフェニル)ブチル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(38)
N−tert−ブトキシカルボニル−{4−[4−(ジメチルカルバモイルチオ)フェニル]ブチルアミン37(0.35 g、1.02 mmol)を、MeOH(8 mL)に溶解した。水(2 mL)に溶解したKOH(0.19 g、3.4 mmol)を添加した。混合物を6時間、還流下で撹拌し、室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を水に溶解し、5%HCl水溶液を用いてpH〜5に酸性化した。溶媒を減圧下で再度除去し、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、3:1、v/v)により精製して、透明なオイルとして所望のチオフェノール38(0.13 g、45%)を得た。
【0436】
【化148】

【0437】
[実施例15]
4−(4−カルボキシメチルフェニル)ブチルアミン(41)
メタンスルホン酸4−(4−カルボキシメチルフェニル)ブチルエステル(39)
化合物39を、刊行されている手順(1)に従って調製した。
【0438】
【化149】

【0439】
4−(4−カルボキシメチルフェニル)ブチルアジド(7):典型的手順C
化合物39(6 g、0.02 mmol)を、80 mLの乾燥DMFに溶解し、ついで、アジ化ナトリウム(1.8 g、0.027 mmol)を添加した。懸濁液を80℃(油浴)で3時間撹拌した。ついで、溶媒を減圧下で除去し、残留オイルをCH2Cl2(100 mL)で処理した。得られた溶液を水(2×100 mL)、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した、溶媒を減圧下で除去し、ついで残留物を酢酸エチル/ヘキサンの1:1混合物(200 mL)に再度溶解し、シリカゲルのパッドを通した。溶媒を減圧下で除去し、透明なオイルとして4.1 gの7(85%)を得た。
【0440】
【化150】

【0441】
4−(4−カルボキシメチルフェニル)ブチルアミン(41)
アジド40(1.7 g、7.2 mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.9 g、7.2 mmol)を、THF(66 mL)中10%の水溶液に溶解し、25℃で一晩撹拌した。ついで、追加のトリフェニルホスフィン(0.8 g、3 mmol)を添加し、60℃(油浴)で6時間加熱し続けた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を2M HCl(100 mL)で処理し、酢酸エチル(2×50 mL)で抽出した。水画分を回収し、水酸化アンモニウムを、pHがおよそ13に達するまで添加した。混合物を酢酸エチル(2×100 mL)で抽出し、ついで、有機画分をブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧下で除去し、0.8 gのアミン41(53%)を得た。
【0442】
[実施例16]
[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸エチルエステル(43)の合成
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸エチルエステル(42)
水素化ナトリウム(鉱油中60%ディスパージョン)(0.24 g、10.05 mmol)を、窒素雰囲気下、THF(150 mL)中、4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチルアミン(2 g、6.68 mmol)の冷却(0℃)溶液に添加した。反応混合物を撹拌しながら、0.5時間にわたって室温まで温め、ついで、ブロモ酢酸エチル(0.96 mL、8.02 mmol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.25 g、0.67 mmol)を連続的に添加した。反応物を室温で一晩さらに撹拌した。シリカゲル(25 mL)を混合物に添加し、溶媒を蒸発させた。含浸(impregnated)シリカゲルを、カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル、5:1へキサン/酢酸エチル)にかけた。2.42 gの42(94%)を白色固体として得た。
【0443】
【化151】

【0444】
[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸エチルエステル(43)
メタノール(50 mL)中、42(1.11 g、2.88 mmol)及び10%炭素担持パラジウム(0.40 g、湿潤)の懸濁液を、水素大気圧下、室温で2時間撹拌した。ついで、シリカゲルパッドを通して混合物をろ過した。溶媒を蒸発させ、白色固体として43(0.64 g、88%)を得た。
【0445】
【化152】

【0446】
スキーム15:可溶性エステルの合成
【0447】
【化153】

【0448】
[実施例17]
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}−フェノキシ)酢酸2−アミノエチルエステルジヒドロクロリド(PSA 25454)の合成
【0449】
【化154】

【0450】
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチルエステル(44a)
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸48(240 mg、0.67 mmol)を無水CH2Cl2(6 mL)に溶解した。この溶液に、DMAP(98 mg、0.80 mmol)を添加し、それに続いて、EDC・HCl(154 mg、0.81 mmol)を添加した。反応混合物を室温で15分間撹拌した。ついで、(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.21 mL、1.34 mmol)を添加し、16時間撹拌し続けた。溶媒をロータリーエバポレーションにより除去した。残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ジクロロメタン(1:20、1:15、及び1:10、v/v)で溶出して、無色のオイルとして所望のエステル44a(162 mg、収率48%)を得た。
【0451】
【化155】

【0452】
[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステルエチルアセテート(45a)
酢酸エチル(3 mL)及びジクロロメタン(6 mL)中、[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステル44a(162 mg、0.32 mmol)及び酢酸(3滴)の溶液を、活性炭担持水酸化パラジウム(80 mg、60%湿潤)の存在下、水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。触媒を吸引ろ過により除去し、液体ろ液を真空濃縮して、オフホワイト固体として[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステルエチルアセテート45a(100 mg、収率84%)を得て、これを精製することなく直接用いた。m/z (ESI) 367[C19H30N2O5+H]
【0453】
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステル(46a、PSA 25309)
無水THF(4 mL)中、[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステルエチルアセテート45a(50 mg、0.27 mmol)及びトリエチルアミン(0.27 mL、1.53 mmol)の溶液を、55℃(油浴)で15分間撹拌した。この溶液に、1−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)−2−メチルイソチオウレアハイドリオダイド(hydriodide)(130 mg、0.34 mmol)を2回に分けて15分間添加した。反応混合物を55℃で1時間撹拌し、室温に冷却した。混合物をロータリーエバポレーションにより濃縮した。粗残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン/メタノール/濃水酸化アンモニウム(200:10:0、200:10:1、、及び150:10:1、v/v)で溶出して精製し、黄色固体として(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステル46a(PSA 25309)(60 mg、収率76%)を得た。準分離(semi−preparative)HPLC精製(アセトニトリル/水)により分析用純サンプルを得た。
【0454】
【化156】

【0455】
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−アミノエチルエステルジヒドロクロリド(47a、PSA 25454)
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルエステル46a(24 mg、0.041 mmol)をHCl(ジオキサン中4 N、1 mL、4 mmol)で室温、14時間処理した。反応混合物を真空濃縮し、残留物を準分離HPLC法(アセトニトリル/水)により精製して、黄色固体として所望の生成物47a(PSA 25454、7 mg、31%)を得た。
【0456】
【化157】

【0457】
[実施例18]
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−ピペリジン−1−イル−エチルエステル(PSA 25453)の合成
【0458】
【化158】

【0459】
[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]酢酸2−ピペリジン−1−イル−エチルエステル(44b)
化合物44aの合成手順と同一の手順の後、化合物49bを、無色のオイルとして60%の収率で、化合物48から合成した。
【0460】
【化159】

【0461】
[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]酢酸2−ピペリジン−1−イル−エチルエステルエチルアセテート(45b)
化合物45aの合成手順と同一の手順の後、化合物45bを、オフホワイト固体として80%の収率で、化合物44bから合成し、精製することなく直接用いた。m/z (ESI) 335[C19H30N2O3+H]
【0462】
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸2−ピペリジン−1−イル−エチルエステル(46b、PSA 25453)
化合物46aの合成手順と同一の手順の後、化合物46bを、化合物45bから合成した。真空濃縮の後、粗反応混合物の5分の1を、準分離HPLC法(アセトニトリル/水)により精製して、黄色固体として純粋な46b(PSA 25453)を得た。
【0463】
【化160】

【0464】
[実施例19]
(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸ピペリジン−4−イル−メチルエステルジヒドロクロリド(PSA 25720)の合成
【0465】
【化161】

【0466】
4−{2−[4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチル)フェノキシ]アセトキシメチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(44c)
化合物44aの合成手順と同一の手順の後、化合物44c(無色のオイル)を、化合物48と4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(この合成を以下に記載する)との反応により、71%の収率で合成した。
【0467】
【化162】

【0468】
4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成;
1,4−ジオキサン(60 mL)中、ピペリジン−4−イル−メタノール(2.59 g、22.5 mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1 N、35 mL)を添加した。混合物を氷浴中で冷やした(chilled)。冷やした混合物に、Boc2O(7.36 g、33.7 mmol)を一度に添加した。反応混合物を、0℃で30分間、室温で16時間撹拌し、その体積が最初の体積の約3分の1になるまで真空濃縮した。残った混合物を水及びジクロロメタンで希釈した。層を分離し、水層をジクロロメタンでさらに抽出した。混合(combined)有機物を真空濃縮し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサン(1:10、1:4、及び1:1、v/v)で溶出して精製し、白色固体として4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.71 g、収率97%)を得た。
【0469】
【化163】


【0470】
4−{2−[4−(4−アミノブチル)フェノキシ]アセトキシメチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルエチルアセテート(45c)
化合物45aの合成手順と同一の手順の後、化合物45cを、オフホワイト固体として99%の収率で、化合物44cから合成し、精製することなく直接用いた。m/z (ESI) 421[C23H36N2O5+H]
【0471】
4−[2−(4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)アセトキシメチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(46c)
化合物46aの合成手順と同一の手順の後、化合物46cを、化合物45cから合成した。真空濃縮の後、粗反応混合物の3分の1を、準分離HPLC法(アセトニトリル/水)により精製して、黄色固体として46cを得た。m/z (ESI) 633[C29H41ClN8O6+H]
【0472】
4−{4−[N'−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ]ブチル}フェノキシ)酢酸ピペリジン−4−イル−メチルエステルジヒドロクロリド(47c、PSA 25720)
化合物47aの合成手順と同一の手順の後、化合物47c(PSA 25720)を、黄色固体として39%の収率で、化合物46cから合成した。
【0473】
【化164】

【0474】
[実施例20]
選択した可溶性エステルのナトリウムチャネル遮断活性
上記試験を利用し、表4は、イヌ気管支上皮でアッセイした場合の本発明のいくつかのエステルのENaC遮断能力を要約したものである。
【0475】
表4:選択したエステルの上皮性ナトリウムチャネル遮断活性
【表4】

【0476】
上記の教示を考慮して、本発明の多くの修正及び変更が可能であることが明らかである。従って、添付の請求項の範囲内で、本発明を、本明細書に具体的に記載した方法以外の方法で実施してよいことが理解されるべきである。
【0477】
参考文献1:Rappoport, D.A.;Hassid, Z.;J. Amer. Chem. Soc., 1951, 73, 5524−5525(参照として本明細書に援用される)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)により表されるピラジノイルグアニジン化合物、又は医薬として許容可能なその塩並びに全ての鏡像異性体、ジアステレオマー、及びそのラセミ混合物:
【化1】

[式中、
− Xは、水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、低級アルキル、非置換若しくは置換フェニル、低級アルキル−チオ、フェニル−低級アルキル−チオ、低級アルキル−スルホニル、又はフェニル−低級アルキル−スルホニルであり;
− Yは、水素、ヒドロキシル、メルカプト、低級アルコキシ、低級アルキル−チオ、ハロゲン、低級アルキル、非置換若しくは置換単核アリール、又は−N(R22であり;
− R1は、水素又は低級アルキルであり;
− R2の各々は、独立して、−R7、−(CH2m−OR8、−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−(CH2n−Zg−R7、−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、又は
【化2】

であり、
[式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい];
− R3及びR4は、各々独立して、水素、式(A)により表される基、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、フェニル、フェニル−低級アルキル、(ハロフェニル)−低級アルキル、低級−(アルキルフェニルアルキル)、低級(アルコキシフェニル)−低級アルキル、ナフチル−低級アルキル、又はピリジル−低級アルキルであるが、ただし、R3及びR4の少なくとも1つは、下記式(A):
【化3】

により表される基である:
式中、
− RLの各々は、独立して、−R7、−(CH2n−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、
【化4】

であり、
{式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
各連続鎖におけるo及びpの合計が、1〜10であるという条件で、
− oの各々は、独立して、0〜10の整数であり;
− pの各々は、0〜10の整数であり;
− xの各々は、独立して、O、NR10、C(=O)、CHOH、C(=N−R10)、CHNR7R10であるか、又は単結合を表し;
− R5の各々は、独立して、
【化5】



であり、
{式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
− R6の各々は、独立して、−R5、−R7、−OR8、−N(R72、−(CH2m−OR8、−O−(CH2m−OR8、−(CH2n−NR7R10、−O−(CH2m−NR7R10、−(CH2n(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2CH2O)m−R8、−O−(CH2CH2O)m−R8、−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−O−(CH2CH2O)m−CH2CH2NR7R10、−(CH2n−C(=O)NR7R10、−O−(CH2m−C(=O)NR7R10、−(CH2n−(Z)g−R7、−O−(CH2m−(Z)g−R7、−(CH2n−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−O−(CH2m−NR10−CH2(CHOR8)(CHOR8n−CH2OR8、−(CH2n−CO2R7、−O−(CH2m−CO2R7、−OSO3H、−O−グルクロニド、−O−グルコース、
【化6】

であり、
{式中、2つのR6が、−OR11であり、フェニル環上に互いに隣接して位置する場合には、2つのR6のアルキル部分を共に結合して、メチレンジオキシ基を形成してもよく、かつ
式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい};
− R7の各々は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、置換フェニル、又は−CH2(CHOR)8m−R10であり;
− R8の各々は、独立して、水素、低級アルキル、−C(=O)−R11、グルクロニド、2−テトラヒドロピラニル、又は
【化7】

であり;
− R9の各々は、独立して、−CO2R7、−CON(R72、−SO2CH3、又は−C(=O)R7であり;
− R10の各々は、独立して、−H、−SO2CH3、−CO2R7、−C(=O)NR7R9、−C(=O)R7、又は−(CH2m−(CHOH)n−CH2OHであり;
− Zの各々は、独立して、CHOH、C(=O)、−(CH2n−、CHNR7R10、C=NR10、又はNR10であり;
− R11の各々は、独立して、低級アルキルであり;
− R12の各々は、独立して、−SO2CH3、−CO2R7、−C(=O)NR7R9、−C(=O)R7、又は−CH2−(CHOH)n−CH2OHであり;
− R13の各々は、独立して、水素、R7、R10、−(CH2m−NR7R10、−(CH2m−NR7R7、−(CH2m−NR11R11R11、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR7R10、−(CH2m−NR10R10、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR7R7、−(CH2m−(CHOR8m−(CH2mNR11R11R11
【化8】

であるが、ただし、少なくとも1つのR13が、水素、R7、又はR10以外の基でなければならず;
さらに、NR13R13は、下記式:
【化9】

の1つを含む環を形成するために、それ自身で結合されることができ;
− Hetの各々は、独立して、−NR7、−NR10、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−SO2NH−、−NHSO2−、−NR7CO−、又は−CONR7−であり;
− gの各々は、独立して、1〜6の整数であり;
− mの各々は、独立して、1〜7の整数であり;
− nの各々は、独立して、0〜7の整数であり;
− Qの各々は、独立して、C−R5、C−R6、又は窒素原子であり、
{式中、環上の多くて3つのQは窒素原子である};
− Vの各々は、独立して、−(CH2m−NR7R10、−(CH2m−NR7R7、−(CH2m−NR11R11R11、−(CH2n−(CHOR8m−(CH2mNR7R10、−(CH2n−NR10R10、−(CH2n−(CHOR8m−(CH2mNR7R7、又は−(CH2n−(CHOR8m−(CH2m−NR11R11R11であるが、ただし、Vが窒素原子に直接結合している場合には、Vはまた、独立して、R7、R10、又は(R112であることもでき;
− 式中、2つの−CH2OR8基が、互いに関して1,2−位又は1,3−位にある場合には、R8基を結合して、環式モノ−又はジ−置換1,3−ジオキサン又は1,3−ジオキソランを形成してもよい]
【請求項2】
Yが−NH2である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R1が水素である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
Xが塩素である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R3が水素である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
RLの各々が水素である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
oが4である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
pが0である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
xが単結合を表す、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R6の各々が水素である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
多くて3つのQが窒素原子である、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
多くて2つのQが窒素原子である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
多くて1つのQが窒素原子である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
いずれのQも窒素原子ではない、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R5の各々が、独立して、
【化10】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R5の各々が、独立して、
【化11】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
R5の各々が、独立して、
【化12】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
R5の各々が、独立して、
【化13】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項20】
R5の各々が、独立して、
【化14】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項21】
R5の各々が、独立して、
【化15】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項22】
R5の各々が、独立して、
【化16】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項23】
R5の各々が、独立して、
【化17】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項24】
R5の各々が、独立して、
【化18】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項25】
R5の各々が、独立して、
【化19】

である、請求項15記載の化合物。
【請求項26】
下記式:
【化20】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項27】
下記式:
【化21】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項28】
−NR13R13がそれ自身で結合されて環を形成し、下記式:
【化22】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項29】
下記式:
【化23】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項30】
下記式:
【化24】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項31】
下記式:
【化25】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項32】
−NR13R13がそれ自身で結合されて環を形成し、下記式:
【化26】

により表される、請求項21記載の化合物。
【請求項33】
下記式:
【化27】

により表される、請求項16記載の化合物。
【請求項34】
下記式:
【化28】

により表される、請求項16記載の化合物。
【請求項35】
下記式:
【化29】

により表される、請求項16記載の化合物。
【請求項36】
R5が、
【化30】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項37】
R5が、
【化31】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項38】
R5が、
【化32】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項39】
R5が、
【化33】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項40】
R5が、
【化34】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項41】
R5が、
【化35】


である、請求項1記載の化合物。
【請求項42】
R5が、
【化36】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項43】
R5が、以下:
【化37】

から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項44】
R5が、
【化38】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項45】
R5が、
【化39】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項46】
下記式:
【化40】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項47】
下記式:
【化41】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項48】
下記式:
【化42】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項49】
下記式:
【化43】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項50】
下記式:
【化44】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項51】
下記式:
【化45】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項52】
下記式:
【化46】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項53】
下記式:
【化47】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項54】
下記式:
【化48】

により表される、請求項45記載の化合物。
【請求項55】
下記式:
【化49】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項56】
下記式:
【化50】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項57】
下記式:
【化51】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項58】
下記式:
【化52】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項59】
下記式:
【化53】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項60】
下記式:
【化54】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項61】
下記式:
【化55】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項62】
下記式:
【化56】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項63】
下記式:
【化57】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項64】
下記式:
【化58】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項65】
下記式:
【化59】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項66】
下記式:
【化60】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項67】
下記式:
【化61】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項68】
下記式:
【化62】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項69】
下記式:
【化63】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項70】
下記式:
【化64】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項71】
下記式:
【化65】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項72】
下記式:
【化66】

により表される、請求項38記載の化合物。
【請求項73】
下記式:
【化67】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項74】
下記式:
【化68】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項75】
下記式:
【化69】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項76】
下記式:
【化70】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項77】
下記式:
【化71】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項78】
下記式:
【化72】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項79】
下記式:
【化73】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項80】
下記式:
【化74】

により表される、請求項40記載の化合物。
【請求項81】
下記式:
【化75】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項82】
下記式:
【化76】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項83】
下記式:
【化77】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項84】
下記式:
【化78】

により表される、請求項40記載の化合物。
【請求項85】
下記式:
【化79】

により表される、請求項44記載の化合物。
【請求項86】
下記式:
【化80】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項87】
下記式:
【化81】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項88】
下記式:
【化82】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項89】
下記式:
【化83】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項90】
下記式:
【化84】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項91】
下記式:
【化85】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項92】
下記式:
【化86】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項93】
下記式:
【化87】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項94】
下記式:
【化88】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項95】
下記式:
【化89】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項96】
下記式:
【化90】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項97】
下記式:
【化91】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項98】
下記式:
【化92】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項99】
下記式:
【化93】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項100】
下記式:
【化94】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項101】
下記式:
【化95】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項102】
下記式:
【化96】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項103】
下記式:
【化97】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項104】
下記式:
【化98】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項105】
下記式:
【化99】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項106】
下記式:
【化100】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項107】
下記式:
【化101】

により表される、請求項36記載の化合物。
【請求項108】
下記式:
【化102】

により表される、請求項41記載の化合物。
【請求項109】
下記式:
【化103】

により表される、請求項16記載の化合物。
【請求項110】
Xが、クロロ又はブロモであり;
Yが、−N(R72であり;
R1が、水素又はC1〜C3アルキルであり;
R2が、水素又はC1〜C3アルキルであり;
R3が、式(A)により表される基であり;
R4が、水素、式(A)により表される基、又は低級アルキルであり;
多くて3つのR6が、先に定義したとおり水素以外であり;
多くて3つのRLが、先に定義したとおり水素以外であり;かつ
多くて2つのQが、窒素原子である、
請求項1記載の化合物。
【請求項111】
R4が、水素であり;
多くて1つのRLが、先に定義したとおり水素以外であり;
多くて2つのR6が、先に定義したとおり水素以外であり;かつ
多くて1つのQが、窒素原子である、
請求項108記載の化合物。
【請求項112】
Xが、クロロ又はブロモであり;
Yが、−N(R72であり;
R1が、水素又はC1〜C3アルキルであり;
R2が、水素又はC1〜C3アルキルであり;
R3が、式(A)により表される基であり;
R4が、水素、式(A)により表される基、又は低級アルキルであり;
多くて3つのR6が、先に定義したとおり水素以外であり;
多くて3つのRLが、先に定義したとおり水素以外であり;かつ
多くて2つのQが、窒素原子である、
請求項109記載の化合物。
【請求項113】
R4が、水素であり;
多くて1つのRLが、先に定義したとおり水素以外であり;
多くて2つのR6が、先に定義したとおり水素以外であり;
多くて1つのQが、窒素原子である、
請求項110記載の化合物。
【請求項114】
xが単結合である、請求項1記載の化合物。
【請求項115】
医薬として許容可能な塩の形態である、請求項1記載の化合物。
【請求項116】
請求項1記載の化合物;及び
P2Y2阻害剤
を含む、組成物。
【請求項117】
請求項1記載の化合物;及び
気管支拡張剤
を含む、組成物。
【請求項118】
請求項1記載の化合物と医薬として許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項119】
請求項1記載の化合物の有効量を、対象の粘膜表面に投与することを含む、粘膜表面の水分補給を促進する方法。
【請求項120】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の粘膜表面に局所投与することを含む、粘膜防御を回復する方法。
【請求項121】
ナトリウムチャネルを請求項1記載の化合物の有効量と接触させることを含む、ナトリウムチャネルを遮断する方法。
【請求項122】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性気管支炎を治療する方法。
【請求項123】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
【請求項124】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、静脈洞炎を治療する方法。
【請求項125】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の膣管に投与することを含む、膣乾燥を治療する方法。
【請求項126】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の眼に投与することを含む、ドライアイを治療する方法。
【請求項127】
請求項1記載の化合物の有効量を、対象の眼に投与することを含む、眼の水分補給を促進する方法。
【請求項128】
請求項1記載の化合物の有効量を、対象の眼に投与することを含む、角膜の水分補給を促進する方法。
【請求項129】
請求項1記載の化合物の有効量を、対象の粘膜表面に投与することを含む、粘膜表面における粘液クリアランスを促進する方法。
【請求項130】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、シェーグレン症候群を治療する方法。
【請求項131】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、遠位腸閉塞症候群を治療する方法。
【請求項132】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の皮膚に投与することを含む、乾燥皮膚を治療する方法。
【請求項133】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、食道炎を治療する方法。
【請求項134】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の口腔に投与することを含む、口内乾燥(口腔乾燥症)を治療する方法。
【請求項135】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象の鼻腔に投与することを含む、鼻腔乾燥を治療する方法。
【請求項136】
前記鼻腔乾燥が、乾燥酸素を対象に投与することにより引き起される、請求項132記載の方法。
【請求項137】
請求項1記載の化合物の有効量を、人工呼吸器をつけている対象に投与することを含む、人工呼吸器誘導肺炎を予防する方法。
【請求項138】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、喘息を治療する方法。
【請求項139】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、原発性線毛運動障害を治療する方法。
【請求項140】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、中耳炎を治療する方法。
【請求項141】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、診断目的で痰を誘発する方法。
【請求項142】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性閉塞性肺疾患を治療する方法。
【請求項143】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、気腫を治療する方法。
【請求項144】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、肺炎を治療する方法。
【請求項145】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、便秘を治療する方法。
【請求項146】
前記化合物が、経口で、又は坐薬若しくは浣腸を介して投与される、請求項143記載の方法。
【請求項147】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、慢性憩室炎を治療する方法。
【請求項148】
請求項1記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、鼻副鼻腔炎を治療する方法。
【請求項149】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、高血圧を治療する方法。
【請求項150】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、血圧を低下させる方法。
【請求項151】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、浮腫を治療する方法。
【請求項152】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、利尿を促進する方法。
【請求項153】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、ナトリウム利尿を促進する方法。
【請求項154】
請求項1記載の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、塩排泄を促進する方法。

【公表番号】特表2008−509996(P2008−509996A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527476(P2007−527476)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/017740
【国際公開番号】WO2006/022935
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(505131980)パリオン・サイエンシィズ・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】