説明

可溶性エポキシドヒドロラーゼ阻害剤

可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害する、式(I)(ここで、R〜R、Yおよびmは、特許請求の範囲において規定される)のスルホンアミド化合物および組成物、その化合物および組成物を製造する方法、このような化合物および組成物を用いて患者を治療する方法を開示する。これらの化合物、組成物、および方法は、高血圧疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患、肺疾患、および糖尿病関連疾患を含む種々のsEH媒介疾患の治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2006年9月28日に出願された、米国仮出願第60/848,503号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、薬化学の分野に関する。本明細書では、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害するスルホンアミド化合物、このような化合物を含む医薬組成物、該化合物および製剤を製造する方法、このような化合物および組成物を用いて患者を治療する方法が提供される。これらの化合物、組成物、および方法は、高血圧疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患、肺疾患、および糖尿病関連疾患を含む種々のsEH媒介疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
アラキドン酸カスケードは、普遍的な脂質の情報伝達カスケードであり、そこでは、アラキドン酸は、種々の細胞外および/または細胞内シグナルに応答して、原形質膜の脂質貯蔵から遊離される。次に、放出されたアラキドン酸は、炎症において重要な役割を果たすシグナリング脂質にアラキドン酸を変換する様々な酸化酵素に対する基質として作用するために利用され得る。脂質へ導く経路の崩壊は、多数の炎症性障害を治療するために用いられる多くの市販の薬物にとって依然として重要な戦略である。例えば、非ステロイド性抗炎症剤(non−steroidal anti−inflammatory drug:NSAID)は、シクロオキシゲナーゼ類(COX1およびCOX2)を阻害することによって、プロスタグランジン類へのアラキドン酸の変換を崩壊する。新規な喘息薬、例えばSINGULAIR(商標)は、リポキシゲナーゼ(LOX)を阻害することによって、ロイコトリエン類へのアラキドン酸の変換を崩壊する。
【0004】
ある種のシトクロムP450依存性酵素は、エポキシエイコサトリエン酸(EET)類として知られている一連のエポキシド誘導体にアラキドン酸を変換する。これらのEETは、内皮(動脈および血管床を作る細胞)、腎臓、および肺において特に広まっている。プロスタグランジンおよびロイコトリエン経路の最終産物の多くとは対照的に、EETは、様々な抗炎症特性および抗高血圧特性を有し、強力な血管拡張剤および血管透過性のメディエーターであることが知られている。
【0005】
EETは、インビボでは強力な効果を有するが、EETのエポキシド部分は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)と呼ばれる酵素によって、活性が低いジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHET)型へと急速に加水分解される。sEHの阻害は、高血圧の動物において血圧を有意に減少させ(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照されたい)、炎症反応を促進する一酸化窒素(NO)、サイトカイン、および脂質メディエーターの産生を減少させ、インビボではリポキシンA生成を増大することによって炎症解明に貢献する(非特許文献3を参照されたい)ことが分かっている。
【0006】
種々の小分子化合物は、sEHを阻害し、EETレベルを上昇させることが分かっている(非特許文献4を参照されたい)。sEHを阻害することができるより強力な化合物の利用性およびEETのその不活性化は、炎症および高血圧から生じ、他にはsEHによって媒介される広範囲な障害の治療に非常に望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yuら、Circ.Res.(2000)87:992−8
【非特許文献2】Sinalら、J.Biol.Chem.(2000)275:40504−10
【非特許文献3】Schmelzerら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA(2005)102(28):9772−7
【非特許文献4】Morisseauら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.(2005)45:311−33
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、化合物およびそれらの医薬組成物、それらの製造、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)によって媒介された疾患を治療するためのそれらの使用に関する。本発明の一局面によれば、式(I):
【0009】
【化1】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【0010】
【化2】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、およびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してパラであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでも、4−CF−フェニルでも、アダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでもアダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRがともにアルキルである場合、Yは、3−シアノフェニルでも、3−EtO(O)C−フェニルでも、3,5−ジメチルフェニルでも、3,5−ジクロロフェニルでも、3−CFO−フェニルでも、3−CF−フェニルでも、3−tert−ブチルフェニルでもない)
を有する化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩が提供される。
【0011】
別の態様では、式(II):
【0012】
【化3】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、C1−6アルキル、シアノ、ハロ、およびハロ(C1−6)アルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、C1−6アシル、C1−6アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されたC1−6アルキル、およびハロで置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびC1−6アルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキル)で置換され;
Yは、4−CF−フェニル、4−(C1−6アルキル)スルホニルフェニル、C6−10シクロアルキル、並びに場合によりC1−6アルキル、ハロ(C1−6アルキル)、C1−6アルコキシ、ハロ(C1−6アルコキシ)、およびハロからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたC6−10シクロアルキルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩が提供される。
【0013】
本発明の別の局面によれば、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の治療において、可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害する方法が提供され、該方法は、医薬として許容される担体、治療有効量の式(III):
【0014】
【化4】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【0015】
【化5】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、およびアルキルスルホニルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩を含む医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0016】
本発明のこれらの態様および他の態様は、さらに、後述される本明細書に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本明細書中で使用するとき、他に指示がなければ、下記の定義が適用される。
【0018】
「シス−エポキシエイコサトリエン酸」(「EET」)は、シトクロムP450エポキシゲナーゼによって合成されるバイオメディエーターである。
【0019】
「エポキシドヒドロラーゼ」(「EH」;EC3.3.2.3)は、エポキシドと呼ばれる3員の環状エーテルに水を付加するアルファ/ベータヒドロラーゼフォールドファミリーに含まれる酵素である。
【0020】
「可溶性エポキシドヒドロラーゼ」(「sEH」)は、内皮細胞、平滑筋細胞および他の細胞型において、ジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)と呼ばれるジヒドロキシ誘導体にEETを変換する酵素である。マウスsEHのクローニングおよび配列は、Grantら、,J.Biol.Chem.268(23):17628−17633(1993)に記載されている。ヒトsEH配列のクローニング、配列、および受入番号は、Beethamら、,Arch.Biochem.Biophys.305(1):197−201(1993)に記載されている。また、ヒトsEHのアミノ酸配列は、米国特許第5,445,956号の配列番号2として記載されている;ヒトsEHをコードする核酸配列は、その特許の配列番号1のヌクレオチド42−1703として記載されている。この遺伝子の進化および命名は、Beethamら、,DNA Cell Biol.14(1):61−71(1995)において検討されている。可溶性エポキシドヒドロラーゼは、げっ歯類とヒトとの間で90%を超える相同性を有する、高度に保存された単一の遺伝子産物を示す(Arandら、,FEBS Lett.,338:251−256(1994))。
【0021】
また、「慢性閉塞性肺(pulmonary)疾患」または「COPD」は、時として、「慢性閉塞性気道疾患」、「慢性閉塞性肺疾患」、および「慢性気道疾患」としても知られている。COPDは、一般に、最大呼気速度の低下および肺の強制排出(forced emptying)の遅延を特徴とする障害として定義される。COPDは、2つの関連した状態である気腫および慢性気管支炎を含むものと考えられている。COPDは、当該技術分野において認められている技術、例えば患者の努力肺活量(「FVC」)、最大吸入の後に強制的に排出することができる最大空気体積を用いて、一般医によって診断することができる。一般医の診察室において、FVCは、典型的には、肺活量計による6秒最大呼息によって見積もられる。COPD、気腫、および慢性気管支炎の定義、診断、および治療は当技術分野において周知であり、例えば、Honig and Ingram,in Harrison’s Principles of Internal Medicine,(Fauciら、,Eds.),第14版,1998,McGraw−Hill,New York,pp.1451−1460(以下、「Harrison’s Principles of Internal Medicine」)によって詳細に検討されている。名称が暗示しているように、「閉塞性肺(pulmonary)疾患」および「閉塞性肺(lung)疾患」は、制限的な疾患とは対照的に、閉塞性疾患を指す。これらの疾患には、具体的には、COPD、気管支喘息、および小気道疾患が含まれる。
【0022】
「気腫」は、終末細気管支の遠位にある気腔の恒久的な破壊的拡大を特徴とし、明らかな線維症のない肺疾患である。
【0023】
「慢性気管支炎」は、1カ月の大半、3カ月間、1年、2年間など続く慢性気管支分泌を特徴とする肺の疾患である。
【0024】
「小気道疾患」は、空気流の閉塞が、小気道の関与のみによる、または主にその関与によるものである疾患を指す。これらは、直径が2mm未満の気道と定義され、小軟骨性気管支、終末細気管支、および呼吸細気管支に対応する。小気道疾患(SAD)は、気道抵抗を高める炎症性変化および線維性変化による管腔閉塞である。閉塞は一過的でもよく、恒久的でもよい。
【0025】
「間質性肺疾患(ILD)」は、肺胞壁、肺胞周囲組織、および隣接する支持構造が関与する制限的肺疾患である。米国肺学会(American Lung Association)のウェブサイトにおいて検討されているように、肺の肺胞嚢間の組織は間質であり、これは、この疾患における線維症の影響を受ける組織である。このような制限的な肺疾患にかかっている患者は、肺組織が硬いために吸い込みが困難であるが、閉塞性肺疾患の患者とは対照的に、吐き出しは困難でない。間質性肺疾患の定義、診断、および治療は当技術分野において周知であり、例えば、Reynolds,H.Y.,in Harrison’s Principles of Internal Medicine,上述,pp.1460−1466によって詳細に検討されている。Reynoldsは、ILDには様々な初期事象があるが、肺組織の免疫病理学的反応は限定され、したがって、ILDには共通の特徴があると述べている。
【0026】
「特発性肺線維症」または「IPF」は、プロトタイプILDと考えられている。原因が不明な点で特発性であるが、Reynolds,上述は、この用語が明確な臨床的実体を指していると述べている。
【0027】
「気管支肺胞洗浄」または「BAL」は、下気道からの細胞の取り出しと検査を可能にする試験であり、IPFなどの肺障害の診断法としてヒトに用いられる。ヒト患者において、BALは、通常、気管支鏡検査中に行われる。
【0028】
「糖尿病性神経障害」とは、糖尿病に起因する急性および慢性末梢神経機能不全をいう。
【0029】
「糖尿病性ネフロパシー」は、糖尿病に起因する腎疾患をいう。
【0030】
「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。この用語には、例えば、メチル(CH−)、エチル(CHCH−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、イソブチル((CHCHCH−)、sec−ブチル((CH)(CHCH)CH−)、t−ブチル((CHC−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、およびネオペンチル((CHCCH−)などの直線状または分岐状ヒドロカルビル基が含まれる。
【0031】
「アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、ビニル(>C=C<)不飽和の少なくとも1個、好ましくは1〜2個の部位を有する直線状または分岐状のヒドロカルビル基をいう。このような基は、例えば、ビニル、アリル、およびブタ−3−エン−1−イルによって例示される。この用語には、シスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0032】
「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有し、アセチレン(−C≡C−)不飽和の少なくとも1個、好ましくは1〜2個の部位を有する直線状または分岐状の一価のヒドロカルビル基をいう。このようなアルキニル基の例には、アセチレニル(−C≡CH)、およびプロパルギル(−CHC≡CH)が挙げられる。
【0033】
「置換アルキル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個、またはより好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキル基を指し、ここで、該置換基は、本明細書において定義されている。
【0034】
「置換アルケニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1〜3個の置換基、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルケニルを指し、ここで、該置換基は、本明細書において定義されているが、ただし、いずれのヒドロキシ置換およびチオール置換もビニル(不飽和)炭素原子に結合されない。
【0035】
「置換アルキニル」とは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1〜3個の置換基、好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキニルを指し、ここで、該置換基は、本明細書において定義されているが、ただし、いずれのヒドロキシ置換およびチオール置換もアセチレン炭素原子に結合されない。
【0036】
「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を指し、ここで、アルキルは、本明細書において定義されている。アルコキシには、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、およびn−ペントキシが含まれる。
【0037】
「置換アルコキシ」とは、−O−(置換アルキル)基を指し、ここで、置換アルキルは、本明細書において定義されている。
【0038】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、置換アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、置換アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、置換アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、置換シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基、置換シクロアルケニル−C(O)−基、アリール−C(O)−基、置換アリール−C(O)−基、ヘテロアリール−C(O)−基、置換ヘテロアリール−C(O)−基、複素環式−C(O)−基、および置換複素環式−C(O)−基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。アシルには、「アセチル」基CHC(O)−が含まれる。
【0039】
「アシルアミノ」とは、−NRC(O)アルキル基、−NRC(O)置換アルキル基、−NRC(O)シクロアルキル基、−NRC(O)置換シクロアルキル基、−NRC(O)シクロアルケニル基、−NRC(O)置換シクロアルケニル基、−NRC(O)アルケニル基、−NRC(O)置換アルケニル基、−NRC(O)アルキニル基、−NRC(O)置換アルキニル基、−NRC(O)アリール基、−NRC(O)置換アリール基、−NRC(O)ヘテロアリール基、−NRC(O)置換ヘテロアリール基、−NRC(O)複素環式基、および−NRC(O)置換複素環式基を指し、ここで、Rは、水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0040】
「アシルオキシ」とは、アルキル−C(O)O−基、置換アルキル−C(O)O−基、アルケニル−C(O)O−基、置換アルケニル−C(O)O−基、アルキニル−C(O)O−基、置換アルキニル−C(O)O−基、アリール−C(O)O−基、置換アリール−C(O)O−基、シクロアルキル−C(O)O−基、置換シクロアルキル−C(O)O−基、シクロアルケニル−C(O)O−基、置換シクロアルケニル−C(O)O−基、ヘテロアリール−C(O)O−基、置換ヘテロアリール−C(O)O−基、複素環式−C(O)O−基、および置換複素環式−C(O)O−基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0041】
「アミノ」とは、−NH基を指す。
【0042】
「置換アミノ」とは、−NR’R’’基を指し、ここで、R’およびR’’は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環式、および−SO−置換複素環式からなる群から選択され、ここで、R’およびR’’は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基および置換複素環式基を形成し、ただし、R’およびR’’はともに水素でなく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。R’が水素であり、R’’がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書においてアルキルアミノと呼ばれる場合がある。R’およびR’’がアルキルである場合、置換アミノ基は、本明細書においてジアルキルアミノと呼ばれる場合がある。一置換アミノに言及するとき、R’またはR’’のいずれかは、水素であって、ともに水素にはならないことを意味する。ジ置換アミノに言及するとき、R’およびR’’は水素でないことを意味する。
【0043】
「アミノカルボニル」とは、−C(O)NR1011基を指し、ここで、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、ここで、R10およびR12は、場合により、それらに結合される窒素と一緒なって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0044】
「アミノチオカルボニル」とは、−C(S)NR1011基を指し、ここで、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0045】
「アミノカルボニルアミノ」とは、−NRC(O)NR1011基を指し、ここで、Rは、水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0046】
「アミノチオカルボニルアミノ」とは、−NRC(S)NR1011基を指し、ここで、Rは、水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0047】
「アミノカルボニルオキシ」とは、−O−C(O)NR1011基を指し、ここで、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0048】
「アミノスルホニル」とは、−SONR1011基を指し、ここで、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0049】
「アミノスルホニルオキシ」とは、−O−SONR1011基を指し、ここで、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0050】
「アミノスルホニルアミノ」とは、−NR−SONR1011基を指し、ここで、Rは、水素またはアルキルであり、R10およびR11は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0051】
「アミジノ」とは、−C(=NR12)NR1011基を指し、ここで、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R10およびR11は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されている通りである。
【0052】
「アリール」または「Ar」とは、単環(例えば、フェニル)または多縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6〜14個の炭素原子の一価の芳香族炭素環式基を指し、縮合された環は、芳香族であってもよく、または結合点が芳香族炭素原子であるという条件であれば芳香族でなくてもよい(例えば、2−ベンゾキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)。好ましいアリール基には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0053】
「置換アリール」とは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されたアリール基を指し、ここで、前記置換基は本明細書において定義されている。
【0054】
「アリールオキシ」とは、−O−アリール基を指し、ここで、アリールは本明細書において定義されている通りであり、例えば、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。
【0055】
「置換アリールオキシ」とは、−O−(置換アリール)基を指し、ここで、置換アリールは本明細書に定義されている通りである。
【0056】
「アリールチオ」とは、−S−アリール基を指し、ここで、アリールは本明細書において定義されている通りである。
【0057】
「置換アリールチオ」とは、−S−(置換アリール)基を指し、ここで、置換アリールは本明細書において定義されている通りである。
【0058】
「カルボニル」とは、二価の−C(O)−基を指し、−C(=O)−に等しい。
【0059】
「カルボキシ」または「カルボキシル」とは、−COOHまたはその塩を指す。
【0060】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」とは、−C(O)O−アルキル基、−C(O)O−置換アルキル基、−C(O)O−アルケニル基、−C(O)O−置換アルケニル基、−C(O)O−アルキニル基、−C(O)O−置換アルキニル基、−C(O)O−アリール基、−C(O)O−置換アリール基、−C(O)O−シクロアルキル基、−C(O)O−置換シクロアルキル基、−C(O)O−シクロアルケニル基、−C(O)O−置換シクロアルケニル基、−C(O)O−ヘテロアリール基、−C(O)O−置換ヘテロアリール基、−C(O)O−複素環式基、および−C(O)O−置換複素環式基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されている通りである。
【0061】
「(カルボキシルエステル)アミノ」とは、−NR−C(O)O−アルキル基、−NR−C(O)O−置換アルキル基、−NR−C(O)O−アルケニル基、−NR−C(O)O−置換アルケニル基、−NR−C(O)O−アルキニル基、−NR−C(O)O−置換アルキニル基、−NR−C(O)O−アリール基、−NR−C(O)O−置換アリール基、−NR−C(O)O−シクロアルキル基、−NR−C(O)O−置換シクロアルキル基、−NR−C(O)O−シクロアルケニル基、−NR−C(O)O−置換シクロアルケニル基、−NR−C(O)O−ヘテロアリール基、−NR−C(O)O−置換ヘテロアリール基、−NR−C(O)O−複素環式基、および−NR−C(O)O−置換複素環式基を指し、ここで、Rは、アルキルまたは水素であり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0062】
「(カルボキシルエステル)オキシ」とは、−O−C(O)O−アルキル基、−O−C(O)O−置換アルキル基、−O−C(O)O−アルケニル基、−O−C(O)O−置換アルケニル基、−O−C(O)O−アルキニル基、−O−C(O)O−置換アルキニル基、−O−C(O)O−アリール基、−O−C(O)O−置換アリール基、−O−C(O)O−シクロアルキル基、−O−C(O)O−置換シクロアルキル基、−O−C(O)O−シクロアルケニル基、−O−C(O)O−置換シクロアルケニル基、−O−C(O)O−ヘテロアリール基、−O−C(O)O−置換ヘテロアリール基、−O−C(O)O−複素環式基、および−O−C(O)O−置換複素環式基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0063】
「シアノ」とは、−CN基を指す。
【0064】
「シクロアルキル」とは、単環または縮合、架橋、およびスピロ環系を含む多環式環を有する3〜10個の炭素原子を有する環式アルキル基を指す。これらの環の1以上は、アリール、ヘテロアリール、または複素環式であってもよいが、ただし、結合点は、非芳香族、非複素環式環炭素環式環を介している。適切なシクロアルキル基の例には、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基の他の例には、ビシクロ[2,2,2,]オクタニル、ノルボルニル、およびスピロ基、例えばスピロ[4.5]デカ−8−イル:
【0065】
【化6】

が含まれる。
【0066】
「シクロアルケニル」とは、単環または多環式環を有し、少なくとも1つの>C=C<環不飽和、好ましくは1〜2部位の>C=C<環不飽和を有する3〜10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基を指す。
【0067】
「置換シクロアルキル」および「置換シクロアルケニル」とは、オキソ、チオン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1〜5個または好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル基を指し、前記置換基は本明細書に定義されている。
【0068】
「シクロアルキルオキシ」とは、−O−シクロアルキルを指す。
【0069】
「置換シクロアルキルオキシ」とは、−O−(置換シクロアルキル)を指す。
【0070】
「シクロアルキルチオ」とは、−S−シクロアルキルを指す。
【0071】
「置換シクロアルキルチオ」とは、−S−(置換シクロアルキル)を指す。
【0072】
「シクロアルケニルオキシ」とは、−O−シクロアルケニルを指す。
【0073】
「置換シクロアルケニルオキシ」とは、−O−(置換シクロアルケニル)を指す。
【0074】
「シクロアルケニルチオ」とは、−S−シクロアルケニルを指す。
【0075】
「置換シクロアルケニルチオ」とは、−S−(置換シクロアルケニル)を指す。
【0076】
「グアニジノ」とは、−NHC(=NH)NH基を指す。
【0077】
「置換グアニジノ」とは、−NR13C(=NR13)N(R13を指し、ここで、各々のR13は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、共通のグアニジノ窒素原子に結合した2つのR13基は、場合により、それらに結合される窒素と一緒になって連結され、複素環式基または置換複素環式基を形成し、ただし、少なくとも1つのR13は水素でなく、前記置換基は本明細書において定義されている通りである。
【0078】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指し、好ましくはフルオロまたはクロロである。
【0079】
「ハロアルキル」とは、1〜5個、1〜3個、または1〜2個のハロ基で置換されたアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびハロは、本明細書において定義されている通りである。
【0080】
「ハロアルコキシ」とは、1〜5個、1〜3個、または1〜2個のハロ基で置換されたアルコキシ基を指し、ここで、アルコキシおよびハロは、本明細書において定義されている通りである。
【0081】
「ハロアルキルチオ」は、1〜5個、1〜3個、または1〜2個のハロ基で置換されたアルキルチオ基を指し、ここで、アルキルチオおよびハロは、本明細書において定義されている通りである。
【0082】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」とは、−OH基を指す。
【0083】
「ヘテロアリール」とは、環内に1〜10個の炭素原子、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む芳香族基を指す。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジニルまたはフリル)または多縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができ、ここで、縮合環は、結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介するという条件で、芳香族であってもそうでなくてもよく、および/またはヘテロ原子を含んでもそうでなくてもよい。一態様では、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄の環原子は、場合により酸化されてN−オキシド(N→O)、スルフィニル、またはスルホニル部分を提供する。好ましいヘテロアリールには、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが挙げられる。
【0084】
「置換ヘテロアリール」とは、置換アリールについて定義された置換基の同じ群からなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個、またはより好ましくは1〜2個の置換基で置換されているヘテロアリール基を指す。
【0085】
「ヘテロアリールオキシ」とは、−O−ヘテロアリールを指す。
【0086】
「置換ヘテロアリールオキシ」とは、−O−(置換ヘテロアリール)基を指す。
【0087】
「ヘテロアリールチオ」とは、−S−ヘテロアリール基を指す。
【0088】
「置換ヘテロアリールチオ」とは、−S−(置換ヘテロアリール)基を指す。
【0089】
「複素環」もしくは「複素環式」または「ヘテロシクロアルキル」もしくは「ヘテロシクリル」とは、1〜10個の環炭素原子、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択される1〜4個の環ヘテロ原子を有する飽和または部分飽和の基であって、芳香族でない基を指す。ヘテロシクリルには、単環または多縮合環を含み、縮合され架橋されたスピロ環系が挙げられる。縮合した環系では、1以上の環系は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであってもよいが、ただし、結合点は非芳香族環を介している。一態様では、複素環式基の窒素および/または硫黄原子(単数または複数)は、場合により酸化されて、N−オキシド、スルフィニル、スルホニル部分を提供する。
【0090】
「置換複素環式」または「置換ヘテロシクロアルキル」または「置換ヘテロシクリル」とは、置換シクロアルキルにについて定義されたのと同じ置換基の1〜5個、または好ましくは1〜3個により置換されているヘテロシクリル基を指す。
【0091】
「ヘテロシクリルオキシ」とは、−O−ヘテロシクリル基を指す。
【0092】
「置換ヘテロシクリルオキシ」とは、−O−(置換ヘテロシクリル)基を指す。
【0093】
「ヘテロシクリルチオ」とは、−S−ヘテロシクリル基を指す。
【0094】
「置換ヘテロシクリルチオ」とは、−S−(置換ヘテロシクリル)基を指す。
【0095】
複素環およびヘテロアリールの例には、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0096】
「ニトロ」とは、−NO基を指す。
【0097】
「オキソ」とは、原子(=O)または(−O)を指す。
【0098】
「スピロ環系」とは、両方の環に共通した単環炭素原子を有する二環式環系を指す。
【0099】
「スルホニル」とは、二価の−S(O)−基を指す。
【0100】
「置換スルホニル」とは、−SO−アルキル基、−SO−置換アルキル基、−SO−アルケニル基、−SO−置換アルケニル基、−SO−シクロアルキル基、−SO−置換シクロアルキル基、−SO−シクロアルケニル基、−SO−置換シクロアルケニル基、−SO−アリール基、−SO−置換アリール基、−SO−ヘテロアリール基、−SO−置換ヘテロアリール基、−SO−複素環式基、−SO−置換複素環式基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されている通りである。置換スルホニルには、メチル−SO−、フェニル−SO−、および4−メチルフェニル−SO−が挙げられる。用語「アルキルスルホニル」とは、−SO−アルキルを指す。用語「ハロアルキルスルホニル」とは、−SO−ハロアルキルを指し、ここで、ハロアルキルは、本明細書において定義されている。用語「(置換スルホニル)アミノ」とは、−NH(置換スルホニル)を指し、ここで、置換スルホニルは、本明細書において定義されている通りである。
【0101】
「スルホニルオキシ」とは、−OSO−アルキル基、−OSO−置換アルキル基、−OSO−アルケニル基、−OSO−置換アルケニル基、−OSO−シクロアルキル基、−OSO−置換シクロアルキル基、−OSO−シクロアルケニル基、−OSO−置換シクロアルケニル基、−OSO−アリール基、−OSO−置換アリール基、−OSO−ヘテロアリール基、−OSO−置換ヘテロアリール基、−OSO−複素環式基、−OSO−置換複素環式基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0102】
「チオアシル」とは、H−C(S)−基、アルキル−C(S)−基、置換アルキル−C(S)−基、アルケニル−C(S)−基、置換アルケニル−C(S)−基、アルキニル−C(S)−基、置換アルキニル−C(S)−基、シクロアルキル−C(S)−基、置換シクロアルキル−C(S)−基、シクロアルケニル−C(S)−基、置換シクロアルケニル−C(S)−基、アリール−C(S)−基、置換アリール−C(S)−基、ヘテロアリール−C(S)−基、置換ヘテロアリール−C(S)−基、複素環式−C(S)−基、および置換複素環式−C(S)−基を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されている通りである。
【0103】
「チオール」とは、−SH基を指す。
【0104】
「チオカルボニル」とは、二価の−C(S)−基を指し、−C(=S)−に等しい。
【0105】
「チオン」とは、原子(=S)を指す。
【0106】
「アルキルチオ」とは、−S−アルキル基を指し、ここで、アルキルは、本明細書において定義されている通りである。
【0107】
「置換アルキルチオ」とは、−S−(置換アルキル)基を指し、ここで、置換アルキルは、本明細書において定義されている通りである。
【0108】
「立体異性体」または「立体異性体(複数)」とは、1以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物を指す。立体異性体(複数)には、鏡像異性体およびジアステレオマーが含まれる。
【0109】
「互変異性体」とは、エノール−ケトおよびイミン−エナミン互変異性体などの、プロトン位置が異なる化合物の代替形態、あるいはピラゾール類、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、トリアゾール類、およびテトラゾール類などの環−NH−部分および環=N−部分の両方に結合した環原子を含むヘテロアリール基の互変異性体を指す。
【0110】
「患者」とは、動物を指し、ヒトおよびヒト以外の動物が含まれる。
【0111】
「医薬として許容される塩」とは、化合物の医薬として許容される化合物の塩を指し、その塩は、当該技術分野において周知である種々の有機および無機対イオンから誘導され、ほんの一例では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムが挙げられ;その分子が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などの有機酸または無機酸の塩が挙げられる。
【0112】
患者における疾患を「治療すること」またはその「治療」とは、(1)罹り易くなっているかまたは疾患の症状をまだ見せていない患者において発生から疾患を予防すること;(2)疾患を阻害するかまたはその発症を阻止すること;あるいは、(3)疾患を改善するかまたはその抑制を引き起こすことを指す。
【0113】
他に指示がなければ、本明細書に明確に定義されない置換基の命名は、官能基の末端部分を命名し、次いで結合点に対する隣接の官能基を命名することによって達成される。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」とは、(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−基を指す。
【0114】
上記に定義された全ての置換基において、それら自体に対して更なる置換基を有する置換基を定義することによって達成されたポリマー(例えば、置換アリールが置換基として置換アリール基を有し、置換基それ自体が、置換アリール基により置換され、それがさらに置換アリール基などにより置換されたもの)を、本明細書において含む意図はないことが理解される。このような場合において、このような最大置換数は3つである。例えば、2個の他の置換アリール基を有する置換アリール基の連続置換は、−置換アリール−(置換アリール)−置換アリールに制限される。
【0115】
同様に、上記の定義は、容認できない置換パターン(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むつもりはないことが理解される。このような容認できない置換パターンは、当業者に周知である。
【0116】
したがって、本発明は、式(I):
【0117】
【化7】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、前記環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【0118】
【化8】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、およびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してパラであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでも、4−CF−フェニルでも、アダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでもアダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRがともにアルキルである場合、Yは、3−シアノフェニルでも、3−EtO(O)C−フェニルでも、3,5−ジメチルフェニルでも、3,5−ジクロロフェニルでも、3−CFO−フェニルでも、3−CF−フェニルでも、3−tert−ブチルフェニルでもない)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩を提供する。
【0119】
別の態様では、式(II):
【0120】
【化9】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、C1−6アルキル、シアノ、ハロ、およびハロ(C1−6)アルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、C1−6アシル、C1−6アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されたC1−6アルキル、およびハロで置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびC1−6アルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキルで置換され;
Yは、4−CF−フェニル、4−(C1−6アルキル)スルホニルフェニル、C6−10シクロアルキル、並びに場合によりC1−6アルキル、ハロ(C1−6アルキル)、C1−6アルコキシ、ハロ(C1−6アルコキシ)、およびハロからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたC6−10シクロアルキルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩が提供される。
【0121】
いくつかの態様では、YNHC(=Q)NH−は−SONRに対してメタであり、式(Ia):
【0122】
【化10】

(式中、Y、Q、n、R、R、およびRは、式(I)について前記で定義されている通りである)
で表される化合物である。
【0123】
いくつかの態様では、YNHC(=Q)NH−は−SONRに対してパラであり、式(Ib):
【0124】
【化11】

(式中、Y、Q、n、R、R、およびRは、式(I)について前記で定義されている通りである)
で表される化合物である。
【0125】
いくつかの態様では、Yは、C6−10シクロアルキルまたは置換C6−10シクロアルキルである。いくつかの局面では、Yは、
【0126】
【化12】

からなる群から選択される。
【0127】
いくつかの態様では、Yは、アダマンタン−1−イルであり、式(Ic)または(Id):
【0128】
【化13】

(式中、Q、n、R、R、およびRは、式(I)について前記で定義されている通りである)
で表される化合物である。
【0129】
他の態様では、Yは、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イルである。
【0130】
いくつかの態様では、Yは、スピロ[4.5]デカ−8−イル:
【0131】
【化14】

である。
【0132】
いくつかの態様では、YはC6−10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの局面では、Yは、構造:
【0133】
【化15】

を有するキヌクリジン−1−イルである。
【0134】
いくつかの態様では、Yは、
【0135】
【化16】

(式中、R、R、R、R、およびRは、前記で定義されている)
である。
【0136】
いくつかの態様では、RおよびRは水素である。
【0137】
いくつかの態様では、RおよびRの1つはフルオロであり、RおよびRの他方は水素である。いくつかの局面では、RおよびRの1つはフルオロであり、RおよびRの他方は水素であり、R、R、およびRの1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択され、R、R、およびRの残りは、水素である。
【0138】
いくつかの態様では、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R、R、およびRのうち少なくとも1つは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。他の局面では、R、R、およびRのうち少なくとも1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。いくつかの態様では、R、R、およびRのうち1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。
【0139】
いくつかの態様では、Rは、クロロ、フルオロ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される。いくつかの局面では、R、R、およびR、およびRは、水素である。
【0140】
一態様では、Yは4−CF−フェニルである。
【0141】
他の態様では、式(Ie)または(If):
【0142】
【化17】

(式中、Q、n、R、R、およびRは、式(I)について前記で定義され、R’は、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される)
を有する化合物、その立体異性体、または医薬として許容さえる塩が提供される。いくつかの局面では、R’は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される。他の局面では、R’は、クロロ、フルオロ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0143】
式(I)、(Ia)−(If)、および(II)で表される化合物のいくつかの局面では、QはOである。
【0144】
他の態様では、nは0である。
【0145】
いくつかの態様では、nは1であり、Rはハロである。いくつかの局面では、Rはフルオロである。
【0146】
いくつかの態様では、Rは、アルキルまたはアシルである。いくつかの局面では、Rは、C1−6アルキルまたはC1−6アシルである。他の局面では、Rはメチルである。さらに他の局面では、Rは、−C(O)CHである。
【0147】
いくつかの態様では、Rは、カルボキシで置換されたアルキルである。一局面では、Rは、カルボキシで置換されたC1−6アルキルである。
【0148】
いくつかの態様では、Rは、ハロで置換されたフェニルである。
【0149】
いくつかの態様では、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換アルキル、ヘテロシクリル、またはカルボキシで置換される。一局面では、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキルで置換される。
【0150】
いくつかの態様では、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、およびチオモルホリノからなる群から選択されるヘテロシクロアルキル環を形成する。一局面では、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキルで置換される。
【0151】
いくつかの態様では、RおよびR、並びにそれらが結合される窒素原子によって形成される環は、モルホリノ、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、4−メチル−ピペラジニル、4−モルホリン−4−イル−ピペリジニル、4−カルボキシ−ピペリジニル、4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジニル、および4−イソプロピル−ピペラジニルからなる群から選択される。
一態様では、Rは水素である。
【0152】
本発明であり、本明細書において記載されているただし書きを前提とする化合物または組成物のいくつかの局面では、表1から選択される化合物、その立体異性体、または医薬として許容される塩が提供される。
【0153】
【表1−1】

【0154】
【表1−2】

【0155】
【表1−3】

一態様では、
4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−メチル−4−[3−(4−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
N−メチル−3−[3−(4−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
3−アダマンタン−1−イル−1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−ウレア;
3−アダマンタン−1−イル−1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−ウレア;
1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
N−(4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(3−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニルスルホニル)アセトアミド;
4−(4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホンアミド)ブタン酸;
4−(3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホンアミド)ブタン酸;
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニルアミノ}−酪酸;
4−{3−[3−(4−(トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニルアミノ}酪酸;
N−(4−クロロ−フェニル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;および
N−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド
からなる群から選択される立体異性体またはその医薬として許容される塩が提供される。
【0156】
一態様では、医薬として許容される担体、式(I)、(Ia)−(If)、または(II)のいずれか1つで表される治療有効量の化合物を含み、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の治療において可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害する医薬組成物が提供される。
【0157】
別の態様では、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の治療において可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害する方法が提供され、該方法は、医薬として許容される担体、式(III):
【0158】
【化18】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【0159】
【化19】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、アルキルスルホニルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩を含む医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0160】
他の態様では、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の治療において可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害する方法が提供され、該方法は、医薬として許容される担体、式(I)、(Ia)−(If)、または(II)のいずれか1つで表される治療有効量の化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩を含む医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0161】
これらの方法のいくつかの局面では、化合物は、表1に記載の化合物1〜28のいずれか1つである。
【0162】
以前、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(「sEH」)の阻害剤が高血圧を低下できることが示されてた(例えば、米国特許第6,351,506号を参照されたい)。このような阻害剤は、糖尿病を患っているヒトを含む、望ましくない高血圧であるヒトの血圧調節に有用であり得る。
【0163】
好ましい態様では、本発明の化合物は、高血圧、具体的には、腎性、肝性、または肺の高血圧;炎症、具体的には、腎性炎症、肝性炎症、血管炎症、および肺炎症;成人呼吸窮迫症候群;糖尿病性合併症;末期腎不全;レイノー症候群;および関節炎の治療を必要とする対象に投与される。
【0164】
ARDSおよびSIRSを治療するための方法
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)は死亡率が50%であり、外傷患者および重篤な火傷被害者に見られる様々な状態によって引き起こされる肺損傷の結果である肺疾患である。Ingram,R.H.Jr.,“Adult Respiratory Distress Syndrome”,Harrison’s Principals of Internal Medicine,13,p.1240,1995。グルココルチコイドの可能性を除外すると、微小血管障害などの、ARDS早期発症の間に起こる急性炎症に関連した組織障害の予防または改善に効果的であると知られている治療薬剤は存在しない。
【0165】
ARDSは、肺胞浮腫の発症として部分的に定義されるが、直接および間接の両方の肺障害の結果として起こる肺疾患の臨床的な顕示を示す。先の研究では、明らかに関連しない種々の原因となる薬物が詳述されたが、ARDSの病態生理学に基づく初期事象についてはよく理解されていない。ARDSは、本来、単一の臓器不全として見られていたが、しかし、現在では、多系統臓器不全症候群(MOFS)の一要素と考えられている。炎症応答の薬理学的干渉または阻止は、現在、改善された換気補助技術よりもより見込みのある疾患過程を調節する方法であると見られている。例えば、Demling,Annu.Rev.Med.,46,pp.193−203,1995を参照されたい。
【0166】
急性炎症を伴う別の疾患(または疾患群)は、全身性炎症応答症候群、またはSIRSであり、これは、例えば、敗血症、膵炎、脳に対する障害などの多発外傷、筋内組織の裂傷などの組織障害、脳外科、出血性ショック、および免疫介在性臓器障害が原因である関連状態を記述するために研究者群によって最近確立された名称である。(JAMA,268(24):3452−3455(1992))。
【0167】
ARDS病は、重症な火傷または敗血症の様々な患者で見られる。順に、敗血症はSIRS症候群の1つである。ARDSにおいて、間質および肺胞内に移動する多数の好中球による急性炎症反応が存在する。これが進行する場合、炎症、浮腫、細胞増殖が増加し、最終的な結果として酸素を抽出する能力が損なわれる。このようにして、ARDSは、広範囲の疾患および外傷における共通の合併症である。唯一の処置は対症的である。1年当たり150,000症例と見積もられ、死亡率は10%〜90%の範囲である。
【0168】
ARDSの正確な原因は知られていていない。しかしながら、好中球の過剰な活性化がホスホリパーゼAの活性化を介して、高いレベルでのリノレン酸の放出を導くという仮説が立てられている。順に、リノレン酸は、好中球シトクロムP−450エポキシゲナーゼおよび/または活性酸素の突発によって、酵素的に9,10−エポキシ−12−オクタデセノン酸塩に変換される。この脂質エポキシド、即ちロイコトキシンは、火傷した皮膚並びに火傷患者の血清および気管支洗浄において高レベルで見られる。さらに、ラット、マウス、イヌ、および他の哺乳動物に注入した場合、ARDSを引き起こす。活性のメカニズムは知られていない。しかしながら、可溶性エポキシドヒドロラーゼの活性によって産出されるロイコトキシンジオールは、ミトコンドリア内膜透過性遷移(membrane permeability transition:MPT)の特異的な誘導物であると考えられる。ロイコトキシンジオールによるこの誘導、シトクロムcの特徴的な放出、核凝縮、DNAラダーリング(laddering)、および細胞死に導くCPP32活性化は全て、MPT誘導の細胞死に特徴的であるシクロスポリンAによって阻害された。ミトコンドリアおよび細胞レベルでの作用は、この作用メカニズムと一致し、これは、本発明の阻害剤がMPTを阻害する化合物とともに治療的に使用可能であることを示唆している。
【0169】
このようにして、一態様では、ARDSを治療する方法が提供される。別の態様では、SIRSを治療する方法が提供される。
【0170】
腎機能低下(ネフロパシー)の進行を阻害し、血圧を低下させる方法:
本発明の別の局面では、本発明の化合物は、タンパク尿によって測定されるように、腎臓に対する損傷、本質的には、糖尿病からの腎臓への損傷を低下させることができる。本発明の化合物は、高血圧でない個体においてでさせ、糖尿病由来の腎機能低下(ネフロパシー)を低下させることができる。治療的投与の条件は、上述されるとおりである。
【0171】
シス−エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)は、腎障害をさらに低下させるために本発明の化合物とともに用いることができる。EETは、アラキドン酸のエポキシドであり、血圧のエフェクター、炎症の制御因子、血管透過性の調節因子であることが知られている。sEHによるエポキシドの加水分解は、この活性を減少させる。sEHの阻害は、EETのレベルを上昇させ、それは、EETがDHETに加水分解させる速度が減少するためである。理論に制約されることを望まないで、EETレベルの上昇は、微小血管変化、糖尿病性高血糖の他の病理学的影響による腎細胞への損傷と干渉することが信じられている。したがって、腎臓におけるEETレベルの上昇は、微量アルブミン症から末期腎疾患への進行から腎臓を保護するものと考えられている。
【0172】
EETは、当該技術分野において周知である。本発明の方法に有用なEETには、好ましい順場で、14,15−EET、8,9−EETおよび11,12−EET、並びに5,6EETが含まれる。好ましくは、EETは、より安定であるメチルエステルとして投与される。当業者は、EETが、8S,9R−および14R,15S−EETなどの位置異性体であると認めるものである。8,9−EET、11,12−EET、および14R,15S−EETは、例えば、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(それぞれ、カタログno.E5516、E5641、およびE5766、シグマ−アルドリッチコーポレイティド,ミズーリ州セントルイス)から市販されている。
【0173】
内皮によって生成されるEETは、抗高血圧作用を有し、そのEET11,12−EETおよび14,15−EETは、内皮由来の過分極因子(endothelium−derived hyperpolarizing factor:EDHF)であり得る。さらに、11,12−EETなどのEETは、前線溶効果、抗炎症作用を有し、平滑筋細胞増殖および異動を阻害する。本発明との関係で、これらの有利な特性は、腎臓および心臓血管疾患状態における血管系および臓器を保護することであると考えられている。
【0174】
sEH活性の阻害は、EETのレベルを増加することによってもたらされ得る。これは、EETが、1以上のsEH阻害剤とともに用いられて、本発明の方法においてネフロパシーを減少させることを可能にする。さらに、EETが、1以上のsEH阻害剤とともに用いて、高血圧、もしくは炎症、またはそれらの両方を減少させることを可能にする。このようにして、EETの薬剤を製造して、1以上のsEH阻害剤とともに投与することができ、あるいは1以上のsEH阻害剤を含む薬剤は、場合により1以上のEETを含むことができる。
【0175】
EETは、sEH阻害剤と同時に、またはsEH阻害剤の投与後に投与され得る。全ての薬物と同様に、阻害剤は、生体によって代謝されるかまたは生体から排出する速度によって定義される半減期を有し、阻害剤は、効果的であるには十分である量で存在する投与後の期間を有することは理解される。EETは、阻害剤が投与された後に投与される場合、したがって、EETの加水分解を遅らせるのに効果的であるのには十分な量で阻害剤が存在する期間中に投与されることが望ましい。典型的には、EETまたは複数のEETは、sEH阻害剤の投与48時間以内に投与される。好ましくは、EETまたは複数のEETは、阻害剤の24時間以内、さらにより好ましくは12時間以内に投与される。望ましさが高くなる順番で、EETまたは複数のEETは、阻害剤の投与後、10、8、6、4、2、1時間、または30分以内に投与される。最も好ましくは、EETまたは複数のEETは、阻害剤と同時に投与される。
【0176】
好ましい態様では、EET、本発明の化合物、またはそれらの両方は、より長期間の作用が得られるように、それらが長期間にわたって放出されることを可能にする材料に与えられる。持続放出コーティングは、製剤の技術分野において周知である;特定の持続放出コーティングの選択は、本発明の実施に重要ではない。
【0177】
EETは、酸性条件下で分解することがある。このようにして、EETを経口投与しようとする場合、それらを胃での分解から保護することが望まれる。好都合には、経口投与用のEETは、それらが胃の酸性環境から腸の塩基性環境へと通過することを可能にするように被覆されてもよい。このようなコーティングは、当該技術分野において周知である。例えば、いわゆる「腸溶コーティング」で被覆されたアスピリンは、幅広く市販されている。このような腸溶コーティングは、胃を通過中にEETを保護するために用いられてもよい。例示的なコーティングは、実施例に記載されている。
【0178】
EETの降圧効果は認められているが、EETは、高血圧を治療するために投与されていない。それは、内因性sEHがEETを非常に急速に加水分解するために、EETがいずれかの有用な効果を発揮することができないと考えられていたためである。驚くべきことに、本発明の基礎をなす試験が経過するうちに、外因的に投与されたsEHの阻害剤が、EETレベルを外因性EETの投与によってさらに増大し得る程度に、sEHを十分に阻害するのに成功したことが見出された。これらの知見は、ネフロパシーの発症および進行の阻害に関して、上述したsEH阻害剤およびEETの同時投与の基礎をなす。これは、治療の増強において重要な改善となる。内因性EETのレベルは、sEH阻害剤の作用によって引き起こされるsEH活性の阻害とともに上昇し、したがって、症状または病態における少なくともある程度の改善をもたらすことが予想されるが、全ての症例において、腎障害の進行を完全にまたは意図される程度まで阻害するには十分ではない場合がある。これは、特に、疾患または他の要因のために、内因性EET濃度が健常な個体に通常存在するよりも下回っている場合に当てはまる。したがって、sEH阻害剤を併用した外因性EETの投与は、糖尿病性ネフロパシーの進行を低下させるというsEH阻害剤の効果に有益であり、それを増大することが期待される。
【0179】
本発明は、いずれかのおよび全ての形態の糖尿病に関して、それらが腎臓または腎機能に対する進行性の障害を伴うという範囲で用いることができる。糖尿病の慢性的な高血糖は、長期的障害、機能不全並びに種々の臓器、特に目、腎臓、神経、心臓、および血管の不全と関連付けられる。糖尿病の長期の合併症には、潜在的な視力喪失を伴う網膜症;腎不全をもたらすネフロパシー;足部潰瘍、切断、およびシャルコー関節の危険がある末梢神経障害が含まれる。
【0180】
さらに、メタボリックシンドロームであるヒトは、2型糖尿病に進行する危険性が高く、したがって、糖尿病性ネフロパシーの危険性が平均よりも高い。よって、このような個体をミクロアルブミン尿に関して観察し、sEH阻害剤、場合により1以上のEETを、ネフロパシーの発症を減少させるための介入として投与することが望ましい。医師は、ミクロアルブミン尿が認められるようになるまで介入の開始を待ってもよい。血圧が130/85またはそれを超えていなくても、ヒトをメタボリックシンドロームと診断することができるので、血圧が130/85またはそれを超えているヒト、血圧が130/85未満であるヒトの両方が、それらの腎臓への障害の進行を遅らせるためのsEH阻害剤、場合により1以上のEETの投与による恩恵を受けることができる。いくつかの好ましい態様では、そのヒトは、代謝性障害であって血圧が130/85未満である。
【0181】
脂質異常症または脂質代謝の障害は、心疾患の別の危険因子である。このような障害には、LDLコレステロールのレベル上昇、HDLコレステロールのレベル低下、トリグリセリドのレベル上昇が挙げられる。血清コレステロール、特にLDLコレステロールのレベルの上昇は、心疾患の危険性の増加と関連付けられる。また、腎臓は、このようなレベルが高いことによって障害される。高レベルのトリグリセリドは腎臓障害と関連すると考えられている。具体的には、200mg/dLを超えるコレステロールのレベル、特に225mg/dLを超えるレベルでは、sEH阻害剤および場合によりにEETを投与すべきであることが示唆される。同様に、215mg/dLを上回る、特に250mg/dLまたはそれ以上のトリグリセリドのレベルは、sEH阻害剤および場合によりEETの投与が望ましいことを示すと考えられる。EETを伴うかまたは伴わない、本発明の化合物の投与により、スタチン薬物(HMG−COAリダクターゼ阻害剤)を患者に投与する必要性を低下させることができ、または必要なスタチンの量を減らすことができる。いくつかの態様では、本発明の方法、使用、および組成物に対する候補は、215mg/dLを超えるトリグリセリドレベル、130/85未満の血圧を有する。いくつかの態様では、この候補は、250mg/dLを超えるトリグリセリドレベル、130/85未満の血圧を有する。いくつかの態様では、本発明の方法、使用、および組成物に対する候補は、200mg/dLを超えるコレステロールレベル、130/85未満の血圧を有する。いくつかの態様では、この候補は、225mg/dLを超えるコレステロールレベル、130/85未満の血圧を有する。
【0182】
血管平滑筋細胞の増殖を阻害する方法
他の態様では、式(I)、(Ia)−(If)、(II)、または(III)で表される化合物は、明らかな細胞毒性(例えば、VSM細胞に特異的なもの)を伴わずに、血管平滑筋(VSM)細胞の増殖を阻害する。VSM細胞の増殖は、アテローム性動脈硬化症の病態生理学において不可欠なプロセスであるため、これらの化合物はアテローム性動脈硬化症の緩徐化または阻害に適している。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症の危険性がある対象、例えば、糖尿病を有する個体、心発作の既往があるかまたは心臓への血液循環の低下を示す検査結果が得られている個体に有用である。治療的投与の条件は上記の通りである。
【0183】
本発明の方法は、狭窄した動脈を再開通させるため、再開通した通路の再狭窄による狭窄を軽減するためまたは遅らせるための血管形成術といった経皮的な介入を受けた患者にとって特に有用である。いくつかの好ましい態様では、動脈は冠動脈である。本発明の化合物は、再狭窄を軽減する制御された局所的放出を与えるために、ステント上のポリマーコーティング中に配置することができる。ステントなどの移植可能な医療用デバイスのためのポリマー組成物、制御された放出のためにポリマー中に薬物を埋め込むための方法は当該技術分野において知られており、例えば、米国特許第6,335,029号;同第6,322,847号;同第6,299,604号;同第6,290,722号;同第6,287,285号;および同第5,637,113号に教示されている。いくつかの好ましい態様では、コーティングはある期間にわたって、好ましくは数日、数週間、または数カ月の期間にわたって阻害剤を放出する。選択される特定のポリマーまたは他のコーティングは、本発明の重要な部分ではない。
【0184】
本発明の方法は、天然および合成性の血管グラフトの狭窄または再狭窄を緩徐化または阻害するために有用である。ステントに関して上述したように、合成性の血管グラフトは、本発明の化合物を長時間にわたって放出して、VSM増殖、その結果としてのグラフトの狭窄を緩徐化または阻害する材料を含むことが望ましい。血液透析グラフトは、特に好ましい態様である。
【0185】
これらの使用に加えて、本発明の方法は、心発作の既往があるヒト、または心発作の危険性があることを示す検査結果が得られているヒトの血管の狭窄または再狭窄を緩徐化または阻害するために用いることができる。
【0186】
また、血管形成術または組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)による処置などによる凝血塊の除去は、再潅流傷害をもたらす可能性があり、そこでは、低酸素細胞への血液および酸素の再供給は、酸化的損傷を引き起し、炎症性事象を誘発する。いくつかの態様では、再潅流傷害を治療するために本発明の化合物および組成物を投与する方法が提供される。いくつかのこのような態様では、該化合物および組成物は、血管形成術またはtPA投与の前またはその後に投与される。
【0187】
1つの群の好ましい態様では、本発明の化合物は、高血圧を有しないヒトにおけるVSM細胞の増殖を低下させるために投与される。別の群の態様では、本発明の化合物は、sEH阻害剤ではない薬物によって高血圧に対して治療されているヒトにおけるVSM細胞の増殖を低下させるために用いられる。
【0188】
本発明の化合物は、不適切な細胞周期調節を呈する細胞の増殖を妨害するために用いることができる。1つの重要なセットの態様では、細胞は癌の細胞である。このような細胞の増殖は、細胞を本発明の化合物と接触させることによって緩徐化または阻害することができる。本発明の特定の化合物が、任意の特定の型の癌細胞の増殖を緩徐化または阻害し得るかどうかの決定は、当該技術分野で日常的である検査を用いて決定することができる。
【0189】
本発明の化合物の使用に加えて、EETのレベルは、EETの添加によって高めることもできる。EETおよび本発明の化合物の両方と接触されたVSM細胞は、EET単独または本発明の化合物単独に曝露された細胞よりも緩徐な増殖を呈した。したがって、必要に応じて、本発明の化合物とともにEETを添加することにより、本発明の化合物によるVSM細胞の緩徐化または阻害を増強することができる。例えば、ステントまたは血管グラフトの場合には、これは、EETを本発明の化合物とともにコーティング中に包埋することによって都合良く達成することができ、その結果、ステントまたはグラフトが所定の位置に一度置かれるとその両方が放出されるようになる。
【0190】
閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、または喘息の進行を阻害する方法
慢性閉塞性肺疾患、即ちCOPDは、大気汚染、化学物質に対する長期的曝露、喫煙によって引き起こされる肺に対する障害と関係する2つの病状、肺気腫および慢性気管支炎を含む。疾患としての肺気腫は、肺の肺胞に対する障害に関係し、これは肺胞間の分離の喪失、その結果として、ガス交換に利用し得る総表面積の低下をもたらす。慢性気管支炎は、細気管支の刺激に関係し、これはムチンの過剰な産生、その結果として、肺胞に至る気道のムチンによる遮断をもたらす。肺気腫を有するヒトが必ず慢性気管支炎を有するわけではなく、逆もまたそうであるが、通常、この病状のうち1つを有するヒトはもう一方も、さらに他の肺障害も有する。
【0191】
COPD、肺気腫、慢性気管支炎、および他の閉塞性肺障害に起因する肺に対する障害の一部は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ、即ち「sEH」として知られる酵素の阻害剤を投与することによって、阻害または逆行させることができる。sEH阻害剤の効果は、EETを投与することによっても高めることができる。この効果は、2つの薬物を別々に投与することよりも少なくとも相加的に上回り、実際には相乗的であり得る。
【0192】
本明細書において報告された試験は、EETをsEH阻害剤とともに用いて、喫煙による、または拡張による、職業的もしくは環境的な刺激物による、肺に対する障害を軽減し得ることを示している。これらの所見は、sEH阻害剤およびEETの同時投与を用いて、COPD、肺気腫、慢性気管支炎、または肺に対する刺激作用を引き起こす他の慢性閉塞性肺疾患の発症または進行を阻害または緩徐化し得ることを指示している。
【0193】
COPDの動物モデルおよびCOPDを有するヒトでは、免疫調節性リンパ球および好中球のレベルが上昇している。好中球は、組織障害を引き起こす作用物質を放出し、調節されなければ、経時的に破壊的な影響を及ぼす。理論に拘束されることは望まないが、好中球のレベルを低下させると、COPD、肺気腫、および慢性気管支炎などの閉塞性肺疾患の一因となる組織障害は軽減されると考えられる。COPDの動物モデルであるラットに対するsEH阻害剤の投与は、肺に認められる好中球数の減少をもたらした。sEH阻害剤に加えてEETを投与することも好中球レベルを低下させた。sEH阻害剤およびEETの存在下での好中球レベルの低下は、sEH阻害剤のみの存在下での低下よりも大きかった。
【0194】
内因性EETのレベルは、sEH阻害剤の作用によって引き起こされるsEH活性の阻害とともに上昇し、したがって、症状または病態の少なくともある程度の改善をもたらすことが予想されるが、全ての症例においてCOPDまたは他の肺疾患の進行を阻害するには十分ではない可能性がある。これは、疾患または他の要因のために内因性EET濃度が健常な個体に通常存在する濃度よりも低下している場合に特にあてはまる。したがって、sEH阻害剤と併せた外因性EETの投与は、COPDまたは他の肺疾患の進行を阻害または軽減するというsEH阻害剤の効果を強化することが期待される。
【0195】
慢性閉塞性気道疾患の進行を阻害または軽減することに加えて、本発明は、また、慢性的な拘束性気道疾患の重症度または進行を軽減する新規な方法を提供する。閉塞性気道疾患は、肺実質の、特に肺胞の破壊に起因する傾向があるが、拘束性疾患は、実質における過剰なコラーゲンの沈着から生じる傾向がある。これらの拘束性疾患は、通常、「間質性肺疾患」または「ILD」と呼ばれ、特発性肺線維症などの病状が含まれる。本発明の方法、組成物、および使用は、特発性肺線維症などのILDの重症度または進行を軽減するために有用である。マクロファージは、間質細胞、特に線維芽細胞を刺激してコラーゲンを築かせるのに重要な役割を果たす。理論に拘束されることは望まないが、好中球は、マクロファージの活性化に関与すると考えられており、本明細書で報告した試験で認められた好中球レベルの低下は、本発明の方法および使用をILDの重症度および進行を軽減させることにも適用可能であることを示すと考えられる。
【0196】
いくつかの好ましい態様では、ILDは、特発性肺線維症である。他の態様では、ILDは、職業的または環境的な曝露と関連したものである。このようなILDの例には、石綿肺症、珪肺症、炭鉱夫塵肺症、およびベリリウム肺症がある。さらに、セメント粉塵、コークス炉排出物、雲母、岩粉、綿塵、および穀物塵粉を含む、多数の無機粉塵および有機粉塵のうち任意のものに対する職業的曝露が、粘液過剰分泌および呼吸器疾患と関連すると考えられている(これらの病状と関連する職業的粉塵のさらに完全なリストについては、Speizer,“Environmental Lung Diseases”,Harrison’s Principles of Internal Medicine,後出、pp.1429−1436の表254−1を参照されたい)。他の態様では、ILDは、肺のサルコイドーシスである。また、ILDは、特に乳癌に対する医学的治療おける放射線照射に、関節リウマチおよび全身性硬化症などの結合組織病または膠原病に起因することもある。本発明の方法、使用および組成物は、これらの間質性肺疾患のそれぞれに有用であり得ると考えられる。
【0197】
別のセットの態様では、本発明は、喘息の重症度または進行を軽減するために用いられる。喘息は、典型的には、ムチンの過剰分泌を生じさせ、それは部分的な気道閉塞を生じさせる。さらに、気道の刺激のために、気道閉塞を生じさせるメディエーターの放出が起こる。喘息の状態にある肺に動員されるリンパ球および他の免疫調節細胞は、COPDまたはILDの結果として動員されるものとは異なる可能性があるが、本発明は、好中球および好酸球などの免疫調節細胞の流入を低下させて閉塞の程度を改善することが期待される。このようにして、sEH阻害剤の投与、EETと組み合わせたsEH阻害剤の投与は、喘息に起因する気道閉塞を軽減するのに有用であると期待される。
【0198】
これらの疾患および病状のそれぞれにおいて、肺に対する障害の少なくともある程度は、肺に浸潤する好中球によって放出される作用物質に起因すると考えられている。このため、気道における好中球の存在は、疾患または病状による継続的な障害を指示し、好中球数の減少は、障害の軽減または疾患の進行を指示する。したがって、ある作用物質の存在下における気道内の好中球数の減少は、その作用物質が疾患または病状に起因する障害を軽減させ、疾患または病状の更なる進展を緩徐化することのマーカーである。肺に存在する好中球の数は、例えば、気管支肺胞洗浄によって決定することができる。
【0199】
脳卒中の障害を軽減するための予防法および治療法
可溶性エポキシドヒドロラーゼ(「sEH」)の阻害剤、sEHの阻害剤とともに投与されるEETは、脳卒中による脳障害を軽減することが示されている。これらの結果に基づいて、本発明者らは、虚血性脳卒中前に服用されたsEHの阻害剤が、脳障害の面積を減少させ、その結果として機能障害の程度を軽減する可能性が高いと期待した。障害の面積の減少は、脳卒中の影響からのより早期の回復に関連付けられるはずである。
【0200】
脳卒中のサブタイプが異なればその病態生理は異なるものの、それらは全て脳障害を引き起こす。出血性脳卒中は、障害が主として、血管が破裂した後に頭蓋内の限局的空間に血液が蓄積するのに伴う組織の圧迫に起因するのに対し、虚血性脳卒中では障害が主として凝血塊による血管の閉塞の下流にある組織に対する酸素供給の欠乏に起因するという点で、虚血性脳卒中とは異なる。虚血性脳卒中は、凝血塊が脳内の血管を閉塞させる血栓性脳卒中と、体内の他の場所で形成された凝血塊が血流に乗って運ばれて、そこでの血管を閉塞させる塞栓性脳卒中とに分けられる。出血性脳卒中および虚血性脳卒中のいずれにおいても、障害は脳細胞の死滅に起因する。本発明者らの試験において観察された結果に基づくと、本発明者らは、脳卒中の全てのタイプおよび全てのサブタイプにおいて、脳障害の少なくともある程度の軽減を期待している。
【0201】
数多くの要因が脳卒中の危険性の増加と関連している。本発明の基礎をなす研究の結果から、以下の病状または危険因子:高血圧、喫煙、糖尿病、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心房細動、一過性脳虚血発作(TIA)、赤血球数増多および鎌状赤血球症などの血液障害、血中コレステロール上昇、肥満、女性では1日に1杯を上回り、男性では1日に2杯を上回る飲酒、コカイン使用、脳卒中の家族歴、脳卒中もしくは心発作の既往、または高齢のうち任意の1以上を有するヒトに対して投与されたsEH阻害剤は、脳卒中により障害される脳の面積を減少させる。高齢であることに関して、脳卒中の危険性は10歳毎に増加する。したがって、個人が60歳、70歳、または80歳に達するにつれて、sEH阻害剤の投与による潜在的な恩恵は次第に大きくなる。次の説で述べるように、1以上のsEH阻害剤と組み合わせたEETの投与は、脳障害をさらに軽減する上で有益な可能性がある。
【0202】
いくつかの好ましい使用および方法において、sEH阻害剤、場合によりEETは、喫煙をする、頸動脈疾患を有する、末梢動脈動脈を有する、心房細動を有する、一過性脳虚血発作(TIA)を1回以上起こしたことがある、多い赤血球数もしくは鎌状赤血球症などの血液障害を有する、血中コレステロールが上昇している、肥満である、女性であれば1日に1杯を上回り、男性であれば1日に2杯を上回る飲酒をしている、コカインを使用している、脳卒中の家族歴がある、脳卒中もしくは心発作の既往があって高血圧も糖尿病も有していない、または年齢が60歳、70歳、もしくは80歳以上であって高血圧も糖尿病も有していない、というヒトに対して投与される。
【0203】
組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)などの血栓溶解剤は、脳卒中の直後、数時間以内に投与されれば、虚血性脳卒中による障害の程度を軽減することが示されている。例えば、tPAは、脳卒中後、最初の3時間以内の使用に関してFDAにより承認されている。したがって、脳卒中による脳障害の少なくともある程度は即時的なものではないが、むしろ脳卒中後のある期間にわたって、またはある期間が経過した後に起こる。sEH阻害剤、場合によりEETを伴う投与は、脳卒中が起こってから6時間以内、より好ましくは脳卒中が起こってから5、4、3、または2時間以内に投与されれば、脳障害を軽減することができ、この一連のそれぞれの期間のうち短いものの方がより好ましい。さらにより好ましくは、脳障害の軽減を最大限にするためには、阻害剤または複数の阻害剤を脳卒中後の2時間以内にまたはさらには1時間以内に投与することである。当業者は、患者が脳卒中を起こしたか否かの診断をいかにして下すかについて熟知している。このような判定は、典型的には、病院の救急室において、標準的な鑑別診断プロトコールおよび画像手段に従って行われる。
【0204】
いくつかの好ましい使用および方法において、sEH阻害剤、場合によりEETは、最近の6時間以内に脳卒中を起こし、喫煙をする、頸動脈疾患を有する、末梢動脈動脈を有する、心房細動を有する、一過性脳虚血発作(TIA)を1回以上起こしたことがある、高い赤血球数もしくは鎌状赤血球症などの血液障害を有する、血中コレステロールが上昇している、肥満である、女性であれば1日に1杯を上回り、男性であれば1日に2杯を上回る飲酒をしている、コカインを使用している、脳卒中の家族歴がある、脳卒中もしくは心発作の既往があって高血圧も糖尿病も有していない、または年齢が60歳、70歳、もしくは80歳以上であって高血圧も糖尿病も有していない、というヒトに対して投与される。
【0205】
併用療法
上述したように、本発明の化合物は、ある場合には、所望の効果を生じさせるために他の治療薬を併用して用いられる。追加の薬物の選択は、主として、所望の標的療法に依存する(例えば、Turner,N.et al.Prog.Drug Res.(1998)51:33−94;Haffner,S.Diabetes Care(1998)21:160−178;DeFronzo,R.et al.(eds.),Diabetes Reviews(1997)Vol.5 No.4を参照されたい)。数多くの研究が、経口薬物との併用療法の恩恵について調べている(例えば、Mahler,R.,J.Clin.Endocrinol.Metab.(1999)84:1165−71;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group:UKPDS 28,Diabetes Care(1998)21:87−92;Bardin,C.W.,(ed.),Current Therapy In Endocrinology And Metabolism,6th Edition(Mosby−Year Book,Inc.,St.Louis,MO 1997);Chiasson,J.et al.,Ann.Intern.Med.(1994)121:928−935;Coniff,R.et al.,Clin.Ther.(1997)19:16−26;Coniff,R.et al.,Am.J.Med.(1995)98:443−451;Iwamoto,Y.et al.,Diabet.Med.(1996)13 365−370;Kwiterovich,P.Am.J.Cardiol(1998)82(12A):3U−17Uを参照されたい)。併用療法には、式(I)、(Ia)−(If)、(II)、または(III)で表される化合物および1以上の追加的な活性薬物を含む単一の医薬製剤の投与、並びにそれぞれ別々の医薬製剤中にある前記化合物および各々の活性薬物の投与が含まれる。例えば、式(I)、(Ia)−(If)、(II)、または(III)で表されるの化合物、1以上のアンジオテンシン受容体遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、中枢作用性薬剤、バソペプチダーゼ阻害剤、レニン阻害剤、エンドセリン受容体作動薬、AGE(糖化最終産物)架橋破壊薬、ナトリウム/カリウムATPase阻害剤、エンドセリン受容体作動薬、エンドセリン受容体拮抗薬、アンジオテンシンワクチンなどをヒト対象に対して、錠剤もしくはカプセルなどの単一の経口投薬用組成物として一緒に投与することができ、またはそれぞれの薬剤を別々の経口製剤として投与することもできる。別々の製剤を用いる場合には、式(I)、(Ia)−(If)、(II)、または(III)で表されるの化合物、1以上の追加的な活性薬剤を本質的には同じ時点で(即ち、同時に)投与することができ、または別々に互い違いの時点で(即ち、逐次的に)投与することができる。併用療法にはこれらの全ての処方が含まれるものと理解される。
【0206】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、類似した有用性を果たす薬物のための認められている様式のいずれかによって、治療有効量で投与される。本発明の化合物、すなわち有効成分の実際の量は、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、用いられる化合物の効力、投与の経路および形態、ならびにその他の要因などの多数の要因に依存する。
【0207】
化合物の治療に有効な量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり約0.05〜50mg;好ましくは約0.1〜25mg/kg/日、より好ましくは約0.5〜10mg/kg/日の範囲であってもよい。したがって、70kgのヒトへの投与については、服用量の範囲は、最も好ましくは、1日当たり約35〜70mgである。
【0208】
一般に、本発明の化合物は、以下の経路:経口、全身(例えば、、経皮、鼻腔または坐薬による)、非経口(例えば、筋内、静脈もしくは皮下)、またはくも膜下腔投与のいずれか1つによって医薬組成物として投与される。好ましい投与様式は、罹患の程度によって調整され得る簡便な一日の服用量処方を用いる経口である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、半固形剤、粉末、持続放出剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾル、または他の任意の適切な組成物の形態をとることができる。本発明の化合物を投与するための別の好ましい様式は吸入である。これは、気道に直接、治療剤を送達させるための有効な方法である(例えば、米国特許第5,607,915号を参照されたい)。
【0209】
製剤の選択は、薬物投与の様式および薬物物質の生物学的利用性などの様々な要因に依存する。吸入を介した送達については、化合物は、液状の溶液もしくは懸濁液、エアロゾル噴霧剤または乾燥粉末として製剤化され、投与のための適当なディスペンサーに装填される。医薬的な吸入装置にはいくつかのタイプがあり、ネブライザー吸入器、定量噴霧式吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)が挙げられる。ネブライザー装置は、患者の気道へ運搬させるミストとして、治療剤(液状形態で製剤化される)の噴霧を引き起こす高速空気流を生じさせる。MDIは、典型的には、圧縮ガスと共に封入された製剤を有する。その装置は、作動させることにより、計測された量の治療剤を圧縮ガスによって排出し、したがって、設定された量の薬物を投与する確実な方法を与える。DPIは、装置により呼吸の間に患者の吸気流中に分散可能な遊離した流動性粉末の形態で治療剤を投薬する。遊離した流動性粉末を達成するために、治療剤は、ラクトースなどの賦形剤を用いて製剤化される。計測された量の治療薬が、カプセル形態で保存され、作動させるごとに投薬される。
【0210】
最近、表面積を増加させること、即ち、粒子サイズを減少させることにより、生物学的利用性を増加させることができるという原理に基づき、特に乏しい生物学的利用性を示す薬物のための医薬製剤が開発された。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性物質が高分子の架橋されたマトリックス上に支持されている10〜1,000nmのサイズ範囲の粒子を有する医薬製剤を記載している。米国特許第5,145,684号は、著しく高い生物学的利用性を示す医薬製剤を与えるために、原薬を表面改質剤の存在下でナノ粒子(平均粒径400nm)へと粉砕し、次に、液体媒体に分散させる、医薬製剤の製造を記載している。
【0211】
組成物は、一般に、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤と組み合わせて、本発明の化合物で構成される。許容される賦形剤は、無毒性であり、補助投与であり、この化合物の治療的な恩恵に悪影響を及ぼさない。このような賦形剤は、当業者に一般に入手可能な、任意の固形、液状、半固形またはエアロゾル組成物の場合にはガス状の賦形剤であってもよい。
【0212】
固形の医薬賦形剤には、スターチ、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク等が含まれる。液状および半固形の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび石油、動物、植物または合成起源のものを含む様々な油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択されてもよい。好ましい液状の担体には、特に注射可能溶液については、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが含まれる。
【0213】
エアロゾルの形態で本発明の化合物を分散させるためには、圧縮ガスを用いることができる。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の適した医薬賦形剤およびそれらの製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,E.W.Martin編集(Mack Publishing Company,第18版,1990)に記載されている。
【0214】
製剤中の化合物の量は、当業者により使用される全範囲内で変更することができる。典型的には、製剤は、重量パーセント(wt%)に基づき、製剤全体に対して約0.01〜99.99wt%の化合物を含み、バランスは、1以上の適切な医薬賦形剤である。好ましくは、化合物は、約1〜80wt%のレベルで存在する。式(I)、(Ia)−(If)、(II)、または(III)で表される化合物を含む代表的な医薬製剤は、以下に記載される。
【0215】
一般的な合成法
本発明の化合物は、下記の一般的な方法および手順を用いて、容易に入手可能な出発原料から調製することができる。典型的または好ましいプロセス条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられると、他に記述がなければ、他のプロセス条件も用いることができることは承認される。最適な反応条件は、用いられる特定の反応物または溶媒によって異なってもよいが、このような条件は、日常的な最適化手順によって、当業者により決定することができる。
【0216】
さらに、当業者に明確となるように、慣用的な保護基が、望ましくない反応を受けることからある種の官能基を防ぐために必要とされてもよい。種々の官能基に対する適切な保護基、並びに特定の官能基を保護および脱保護するための適切な条件は、当該技術分野において周知である。例えば、多数の保護基は、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,第3版,Wiley,New York,1999、そこで引用されている参考文献に記載されている。
【0217】
さらに、本発明の化合物は、1以上のキラル中心を含んでもよい。したがって、必要に応じて、このような化合物は、純粋な立体異性体、即ち、個々の鏡像体もしくはジアステレオマー、または立体異性体に富んだ混合物として製造または単離されてもよい。全てのこのような立体異性体(およびそれに富んだ混合物)は、他に指示がなければ、本発明の範囲内に含まれる。純粋な立体異性体(またはそれに富んだ混合物)は、例えば、当該技術分野において周知である光学的に活性な出発原料または立体選択的な試薬を用いて製造することができる。あるいは、このような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離することができる。
【0218】
下記の反応のための出発原料は、一般に知られている化合物であり、または、知られている手順もしくはその自明な改良によって製造することができる。例えば、出発原料の多くは、アルドリッチケミカルコーポレイティド(Aldrich Chemical Co.)(ウィスコンシン州ミルウォーキー、米国)、バッケム(Bachem)(カリフォルニア州トランス、米国)、エムカ−ケムス(Emka−Chemce)もしくはシグマ(Sigma)(ミズーリ州セントルイス、米国)などの商業的な供給業者から入手される。他の物は、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、第1〜15巻(John Wiley and Sons,1991);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、第1〜5巻および増補版(Elsevier Science Publishers、1989)、Organic Reactions、第1〜40巻(John Wiley and Sons,1991)、March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,第4版)、並びにLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)などの標準的な参考図書に記述された手順、またはその自明な改良によって調製することができる。
【0219】
種々の出発原料、中間体、および本発明の化合物は、必要に応じて、沈殿、ろ過、結晶化、蒸発、蒸留、クロマトグラフィーなどの慣用的な方法を用いて単離および精製することができる。これらの化合物の特徴付けは、慣用的な方法、例えば、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、および種々の他の分光分析を用いて行ってもよい。
【0220】
【化20】

本発明の化合物の合成は、スキーム1に示され、ここで、R、R、R、Y、Q、およびnは、前記で定義されるとおりである。アミン1.1を適切なイソシアネートまたはチオイソシアネートY−N=C=Qで処理して、対応するウレアまたはチオウレアを形成する。典型的には、ウレアの形成は、DMAなどの極性溶媒を用いて、60〜85℃で行われる。このカップリング反応の例は、下記の実施例1〜10に示される。
【0221】
【化21】

アミンカップリングパートナー1.1は、スキーム2に示されるように調製されてもよい。スルホニルクロリド2.1は、アミンNRと反応させて、スルホンアミド2.2を形成する。水素化などの適切な還元条件下での2.2のニトロ基の還元によって、アミン1.1を与える。2.1から1.1の変換の詳細は、例えば、実施例4〜10に見出すことができる。
【0222】
下記の実施例は、本発明のある種の局面を例示し、本発明の実施において当業者を補助するために提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を制限することを全く意図していないものとして考慮される必要がある。
【実施例】
【0223】
下記の実施例並びに本出願の全体を通じて、下記の省略形は、下記の意味を有する。定義されていなければ、用語は、それらの一般的に受け入れられる意味を有する。
aq.=水性
brs=幅広い一重線
d=二重線
DCM=ジクロロメタン
DMAP=ジメチルアミノピリジン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
EtOAc=酢酸エチル
g=グラム
LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析
m=多重線
MHz=メガヘルツ
mL=ミリリットル
m.p.=融点
N=正常
RT=室温
s=一重線
t=三重線
TEA=トリエチルアミン
TLC=薄層クロマトグラフィー。
【0224】
(実施例1)
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゼンスルホンアミド(1)
【0225】
【化22】

アダマンチルイソシアネート(0.07mL、0.745mmol)は、メタノール(15mL)に含まれる4−アミノベンゼンスルホンアミド(150mg、0.850mmol)の撹拌された溶液にRTで添加され、一晩維持された。沈殿した固体をろ過し、ペット(pet)−エーテルおよびペンタンで洗浄し、アセトン中で再結晶して、表題化合物を白色の固体(100mg、49%)として得た;m.p.270−275℃;LC/MS純度99.7%;質量:350[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:1.60−2.20(m,15H CH);7.23−7.65(4H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0226】
(実施例2)
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−ベンゼンスルホンアミド(2)
【0227】
【化23】

メタノール(10mL)に含まれる3−ニトロベンゼンスルホンアミド(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、水素雰囲気下、一晩RTで撹拌した。この溶液をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、3−アミノベンゼンスルホンアミドを黄色の固体(収量:250mg)として得た;質量:172[M+1]。
【0228】
エタノール(15mL)に含まれる3−アミノベンゼンスルホンアミド(150mg、0.872mmol)の撹拌した溶液にアダマンチルイソシアネート(0.12mL、0.855mmol)をRTで添加し、一晩維持された。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタンで洗浄し、アセトン中で再結晶させて、表題化合物をオフホワイト色の物質(180mg、45%)として得た;m.p.158−162℃;LC/MS純度99.4%;質量:360[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D6)δ:1.60−2.19(15H,アダマンチルCH);7.20−7.45(4H,Ar−CH),9.26(brs,2H,NH)。
【0229】
(実施例3)
3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド(4)
【0230】
【化24】

メタノール(10mL)に含まれる4−ニトロベンゼンスルホンアミド(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、水素雰囲気下、一晩RTで撹拌した。この溶液をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、3−アミノベンゼンスルホンアミドを黄色の固体(収量:250mg)として得た;質量:172[M+1]。
【0231】
トルエン(15mL)に含まれる3−アミノベンゼンスルホンアミド(150mg、0.872mmol)の撹拌した溶液に4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.12mL、0.855mmol)を40℃で添加し、一晩60℃で維持された。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタンで洗浄し、アセトン中で再結晶して、表題化合物を薄灰色の物質(106mg、30%)として得た;m.p.235−237℃;LC/MS純度98.9%;質量:360[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:7.36−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0232】
(実施例4)
1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(15)
【0233】
【化25】

ジクロロメタン(DCM;15mL)に含まれる1−イソプロピルピペラジン(0.3mL、5.42mmol)の撹拌した溶液にトリエチルアミン(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、4−ニトロスルホニルクロリド(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去し、残渣を水に溶解し、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄して、1−イソプロピル−4−(4−ニトロフェニルスルホニル)ピペラジンを黄色の固体(0.3g)として得た;質量:314[M+1]。
【0234】
メタノール(10mL)に含まれる1−イソプロピル−4−(4−ニトロフェニルスルホニル)ピペラジン(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、RTで一晩、水素雰囲気下で撹拌した。TLCで反応を観察した。反応塊をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、1−イソプロピル−4−(4−アミノフェニルスルホニル)ピペラジンを黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:284[M+1]。
【0235】
トルエン(15mL)に含まれる1−イソプロピル−4−(4−アミノフェニルスルホニル)ピペラジン(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、40℃で4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を添加し、一晩60℃で維持した。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタンで洗浄し、アセトン中で再結晶して、表題化合物15を白色の固体(170mg、60.2%)を得た;m.p.208−212℃;LC/MS純度97.8%;質量:471,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:0.89−0.91(m,6H,2xCH);2.59−2.62(m,1H,CH);2.39−2.57(m,4H,2xCH);2.67−2.87(m,4H,CH)7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0236】
(実施例5)
1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(16)
【0237】
【化26】

DCM(15mL)に含まれる1−イソプロピルピペルジン(piperzine)(0.3mL、5.42mmol)の撹拌した溶液にTEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、3−ニトロスルホニルクロリド5−1(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去した;残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄して、化合物5−3を黄色の固体(収量:0.3g)として得た;質量:314[M+1]。
【0238】
メタノール(10mL)に含まれる4−ニトロフェニルスルホンアミド5−3(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、反応混合物は、出発原料が存在しないことをTLCによって示されるまで、RTで一晩、水素バルーン圧下で撹拌された。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物5−4を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0239】
化合物5−4(120mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加した。反応物をゆっくりと60℃に加温し、出発原料が存在しないことをTLCによって示されるまで、一晩、この温度で撹拌した。沈殿された固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタンで洗浄した。固体をアセトン中で再結晶して、化合物16を白色の固体(10mg、35.2%)として得た:m.p.117−122℃;LCMS純度93.1%;質量:471,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:0.89−0.91(m,6H,2xCH);2.59−2.62(m,1H,CH);2.39−2.57(m,4H,2X CH);2.67−2.87(m,4H,CH)7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0240】
(実施例6)
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド(8)
【0241】
【化27】

DCM(15mL)に含まれる2−アミノエチルモルホリン6−2(0.3mL、5.42mmol)の撹拌した溶液にTEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、3−ニトロスルホニルクロリド5−1(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去した;残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄し、化合物6−3を黄色の固体(収量:0.3g)として得た。質量:315[M+1]。
【0242】
メタノール(10mL)に含まれる3−ニトロフェニルスルホンアミド6−3(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、次に、反応混合物は、出発原料が存在しないことをTLCによって示されるまで、RTで一晩、水素バルーン圧下で撹拌された。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物6−4を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0243】
トルエン(15mL)に含まれる化合物6−4(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加し、次に、60℃に加温し、一晩、この温度で撹拌した。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテル洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物8を白色の固体(143mg、60.2%)として得た:m.p.62−65℃;LCMS純度97.1%;質量:473,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:3.2−4.2(m,13H,6xCH);7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0244】
(実施例7)
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド(7)
【0245】
【化28】

DCM(15mL)に含まれる2−アミノエチルモルホリン6−2(0.3mL、5.42mmol)の撹拌した溶液にTEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、4−ニトロスルホニルクロリド7−1(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去した;残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄し、化合物7−2を黄色の固体(収量:0.3g)として得た。質量:315[M+1]。
【0246】
メタノール(10mL)に含まれる4−ニトロフェニルスルホンアミド7−2(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、次に、反応混合物は、出発原料が存在しないことをTLCによって示されるまで、RTで一晩、水素バルーン圧下で撹拌された。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物7−3を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0247】
トルエン(15mL)に含まれる化合物7−3(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加し、60℃で一晩維持された。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテル&ペンタン洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物7を白色の固体(143mg、60.2%)として得た:m.p.62−65℃;LCMS純度97.1%;質量:473,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:3.2−4.2(m,13H,6xCH);7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0248】
(実施例8)
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニルアミノ}−ブタン酸(23)
【0249】
【化29】

メタノール(10mL)に含まれる4−アミノ酪酸8−1(1g、9.692mmol)の撹拌した溶液に、0℃でチオニルクロリド(1.2mL、10.34mmol)を添加し、混合物を5時間RTで撹拌した。化合物8−2は白色の固体として沈殿し、それをろ過した(収量:0.8g)。質量:314[M+1]。
【0250】
DCM(15mL)に含まれる4−アミノ酪酸エステル8−2(0.8g、5.42mmol)の撹拌した溶液に、TEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。5分後、4−ニトロスルホニルクロリド(0.5g、4.5mmol)を小量ずつ添加し、次に、反応塊をゆっくりRTに加温し、RTで3時間維持した。反応混合物を真空下で濃縮して、DCMを除去した;残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄し、化合物8−3を黄色の固体(収量:0.6g)として得た。質量:314[M+1]。
【0251】
メタノール(10mL)に含まれる4−ニトロフェニルスルホンアミド8−3(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液にPd−C(100mg)を添加し、次に、反応混合物は、出発原料が存在しないことをTLCによって示されるまで、RTで一晩、水素バルーン圧下で撹拌された。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物8−4を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0252】
トルエン(15mL)に含まれる化合物8−4(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加し、60℃で一晩維持した。沈殿された固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタン洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物8−5を白色の固体(170mg、60.2%)として得た:m.p.208−212℃;LCMS純度97.8%;質量:471[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:0.89−0.91(m,6H,2xCH);2.59−2.62(m,1H,CH);2.39−2.57(m,4H,2X CH);2.67−2.87(m,4H,CH2)7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0253】
メタノール、THF、(15mL)に含まれる化合物8−5(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液にaq.LiOH(0.07mL、0.524mmol)を0℃で添加し、反応混合物をRTで一晩維持した。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタン洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物23を白色の固体(103mg、60.2%)を得たm.p.172−175℃;LCMS純度95.9%;質量:446,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:1.69−1.91(m,2H,1xCH);2.19−2.42(m,2H,1CH2);2.39−2.97(m,2H,1xCH);7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(brs,2H,NH)。
【0254】
(実施例9)
N−(4−クロロ−フェニル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド(25)
【0255】
【化30】

DCM(15mL)に含まれる4−クロロアニリン9−1(0.3g、5.42mmol)の撹拌した溶液にTEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、4−ニトロスルホニルクロリド7−1(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去した;残渣を水に溶解し、DCMで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄し、化合物9−2を黄色の固体(収量:0.3g)として得た;質量:314[M+1]。
【0256】
メタノール(10mL)に含まれる4−ニトロフェニルスルホンアミド9−2(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液に粉末Fe(600mg)を添加し、反応混合物をHClを用いて産生(pH約2)にし、一晩、還流した。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物9−3を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0257】
トルエン(15mL)に含まれる化合物9−3(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加し、60℃で一晩維持した。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテルおよびペンタン洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物25を薄茶色の固体(30mg、60.2%)として得た:m.p.252−257℃;LCMS純度97.2%;質量:432[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:7.63−7.75(8H,ArCH);9.26(2H,NH)。
【0258】
(実施例10)
N−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド(26)
【0259】
【化31】

DCM(15mL)に含まれる4−クロロアニリン9−1(0.3g、5.42mmol)の撹拌した溶液にTEA(0.5mL、5.34mmol)を0℃で添加した。混合物を5分間撹拌し、3−ニトロフェニルスルホニルクロリド5−1(0.5g、4.5mmol)を0℃で添加し、RTに3時間加温した。反応混合物を真空下で濃縮してDCMを除去した;残渣を水に溶解し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して、黄色の固体を得た。固体を石油エーテルおよびペンタンで洗浄し、化合物10−1を黄色の固体(収量:0.34g)として得た。質量:314[M+1]。
【0260】
メタノール(10mL)に含まれる3−ニトロフェニルスルホンアミド10−1(300mg、0.95mmol)の撹拌した溶液に粉末Fe(600mg)を添加し、反応混合物をHClを用いて酸性(pH約2)にし、一晩、還流した。反応混合物をろ過し、ろ過物を真空下で濃縮して、化合物10−2を黄色の固体(収量:200mg)を得た。質量:286[M+1]。
【0261】
トルエン(15mL)に含まれる化合物10−2(150mg、0.524mmol)の撹拌した溶液に、4−トリフルオロフェニルイソシアネート(0.07mL、0.524mmol)を40℃で添加し、反応混合物を60℃で一晩維持した。沈殿した固体をろ過し、ペット−エーテル&ペンタン洗浄を施し、アセトン中で再結晶して、化合物26を白色の固体(110mg、60.2%)として得たm.p.196−198℃;LCMS純度98.8%;質量:470,[M+1];H NMR:(300MHz;DMSO−D)δ:7.25−7.96(8H,ArCH);9.26(2H,NH)。
【0262】
(実施例11)
N−メチル−3−[3−(4−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド(12)
【0263】
【化32】

オフホワイト色の固体;m.p.238−240℃;質量[M+1]=374;LC純度99%;H NMR:(400MHz;DMSO−D)δ:9.23(s,1H);7.67(m,8H);7.25(m,1H);2.40(m,3H)。
【0264】
(実施例12)
N−(3−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニルスルホニル)アセトアミド(20)
【0265】
【化33】

薄茶色の固体;m.p.115−121℃;質量[M+1]=402;LC純度94.5%;H NMR:(400MHz;DMSO−D)δ:12.1(s,1H);9.27(s,1H);9.22(s,1H);8.23(s,1H);7.65(m,5H);,7.55(m,2H);1.93(s,3H)。
【0266】
(実施例13)
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(27)
【0267】
【化34】

オフホワイト色の固体;m.p.270−274℃;質量[M+1]=430;LC純度99%;H NMR:(400MHz;DMSO−D)δ:9.38(s,1H);9.28(s,1H);7.70(m,8H);3.63(m,4H);2.85(m,4H)。
【0268】
(実施例14)
1−[3−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア(28)
【0269】
【化35】

オフホワイト色の固体;m.p.227−229℃;質量[M+1]=430;LC純度99%;H NMR:(400MHz;DMSO−D)δ:9.28(s,1H);9.22(s,1H);8.05(s,1H);7.68(m,4H);7.60(m,2H);7.37(m,1H);3.65(m,4H);2/90(m,4H)。
【0270】
下記の化合物は、製造されていないが、上述した手法に類似した手法を用いて製造することができる。
【0271】
【表1−4】

【0272】
【表1−5】

生物学的実施例
実施例1.マウスおよびヒトの可溶性エポキシドヒドロラーゼについての蛍光アッセイ
組換えマウスsEH(MsEH)およびヒトsEH(HsEH)は、従来報告されているように、バキュロウイルス発現系において生成された。Grantら、,J.Biol.Chem.,268:17628−17633(1993);Beethamら、,Arch.Biochem.Biophys.,305:197−201(1993)。発現タンパク質は、細胞溶解物からアフィニティークロマトグラフィーによって精製された。Wixtromら、,Anal.Biochem.,169:71−80(1988)。タンパク質濃度は、較正標準としてウシ血清アルブミンを用いて、Pierce BSAアッセイにより定量された。調製物は、SDS−PAGEおよび走査型デンシトメトリーによって判別すると、少なくとも97%の純度であった。調製物には、このアッセイを妨害する検出可能なエステラーゼおよびグルタチオントランスフェラーゼ活性は含まれなかった。また、アッセイは、粗細胞溶解物または組織のホモジネートにおいて類似した結果で評価された。
【0273】
各々の阻害剤についてのIC50は、下記の手法に従って測定された:
構造:
【0274】
【化36】

シアノ(2−メトキシナフタレン−6−イル)メチル(3−フェニルオキシラン−2−イル)メチルカルボネート(CMNPC;Jones P.D.et.al.;Analytical Biochemistry 2005;343:pp.66−75)。
【0275】
溶液:
0.1mg/mLのBSAを含むBis/Tris HCl 25mM pH7.0(緩衝液A)
0.25mMでDMSOに含まれるCMNPC
緩衝液Aに含まれる酵素の母液(6μg/mLのマウスsEH;5μg/mLのヒトsEH)
DMSOに溶解した適切な濃度の阻害剤。
【0276】
プロトコール:
黒色の96ウェルプレートに、150μLの緩衝液Aで全てのウェルを満たす。
【0277】
ウェルA2およびA3に2μLのDMSOを添加し、次に、A1およびA4〜A12に2μLの阻害剤溶液を添加する。
【0278】
A列に150μLの緩衝液Aを添加し、次に、数回混合し、150μLをB列に移す。この操作をH列まで繰り返す。H列から取り出した150μLを捨てる。
【0279】
カラム1および2に20μLの緩衝液Aを添加し、次に、カラム3〜12に20μLの酵素溶液を添加する。
【0280】
プレートリーダーで5分間、30℃でプレートをインキュベートする。
【0281】
インキュベーション中に、3.68mLの緩衝液A(4x0.920mL)と266μL(2x133μL)の基質溶液を混合することによって、基質の作業溶液を調製する。
【0282】
t=0で、「Briggs 303」とラベルされた多チャンネルピペットで30μLの作業基質溶液を添加し、読み取りを開始する([S]Final:5μM)。
【0283】
10分間、30秒毎にex:330nm(20nm)およびem:465nm(20nm)で読み取る。速度を用いて分析し、IC50を計算する。
【0284】
表2は、50、500または5000nMでこのアッセイを用いて試験した場合のある種の化合物の活性を示す。
【0285】
【表2】

製剤実施例
下記は、本発明の化合物を含む代表的な医薬製剤である。
【0286】
実施例1:錠剤処方
下記の成分を密に混合し、単一の分割錠剤に圧縮する。
【0287】
【表3】

実施例2:カプセル処方
下記の成分を密に混合し、殻の硬いゼラチンカプセルに装填する。
【0288】
【表4】

実施例3:懸濁処方
下記の成分を混合し、経口投与用の懸濁液を形成する(q.s.=十分量)
【0289】
【表5】

実施例4:注射可能な処方
下記の成分を混合し、注射可能な製剤を形成する。
【0290】
【表6】

実施例5:坐薬製剤
全量2.5gの坐薬は、本発明の化合物とWitepsol(登録商標)H−15(飽和植物性脂肪酸;Riches−Nelson,Inc.,New York)を混合することによって製造し、下記の組成を有する:
【0291】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化37】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【化38】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、およびアルキルスルホニルからなる群から選択され;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してパラであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでも、4−CF−フェニルでも、アダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRが水素である場合、Yは、フェニルでもアダマンタン−1−イルでもなく;
ただし、YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタであり、RおよびRがともにアルキルである場合、Yは、3−シアノフェニルでも、3−EtO(O)C−フェニルでも、3,5−ジメチルフェニルでも、3,5−ジクロロフェニルでも、3−CFO−フェニルでも、3−CF−フェニルでも、3−tert−ブチルフェニルでもない)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩。
【請求項2】
YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してパラである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
QがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
YがC6−10シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yがアダマンチルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Yが、
【化39】

(式中、R、R、R、R、およびRは前記で定義されている)
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
、R、およびRの少なくとも1つが、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキルスルホニル、およびハロアルキルスルホニルからなる群から選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nが1であり、Rがハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がアルキルまたはアシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がカルボキシで置換されたアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
がハロで置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
およびRが、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクリル、またはカルボキシで置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式(II):
【化40】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、C1−6アルキル、シアノ、ハロ、およびハロ(C1−6)アルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、C1−6アシル、C1−6アルキル、ヘテロシクロアルキルまたはカルボキシで置換されたC1−6アルキル、およびハロで置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびC1−6アルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加のヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキルで置換され;
Yは、4−(C1−6アルキル)スルホニルフェニル、4−CF−フェニル、C6−10シクロアルキル、並びに場合によりC1−6アルキル、ハロ(C1−6アルキル)、C1−6アルコキシ、ハロ(C1−6アルコキシ)、およびハロからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されたC6−10シクロアルキルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩。
【請求項17】
YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してメタである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
YNHC(=Q)NH−が−SONRに対してパラである、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
QがOである、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
YがC6−10シクロアルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
Yがアダマンチルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Yが4−CF−フェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項23】
nが0である、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
nが1であり、Rがハロである、請求項16に記載の化合物。
【請求項25】
がC1−6アルキルまたはC1−6アシルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項26】
がカルボキシで置換されたC1−6アルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項27】
がハロで置換されたフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項28】
およびRが、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、C1−6アルキルまたはハロ(C1−6)アルキルで置換される、請求項16に記載の化合物。
【請求項29】
が水素である、請求項16に記載の化合物。
【請求項30】
4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
N−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−N−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−メチル−4−[3−(4−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
N−メチル−3−[3−(4−トリフルオロメチルフェニル)ウレイド]ベンゼンスルホンアミド;
3−アダマンタン−1−イル−1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−ウレア;
3−アダマンタン−1−イル−1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−ウレア;
1−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
N−(4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニルスルホニル)アセトアミド;
N−(3−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)フェニルスルホニル)アセトアミド;
4−(4−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホンアミド)ブタン酸;
4−(3−(3−アダマンタン−1−イル−ウレイド)−フェニルスルホンアミド)ブタン酸;
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニルアミノ}−酪酸;
4−{3−[3−(4−(トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホニルアミノ}酪酸;
N−(4−クロロ−フェニル)−4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド;
1−[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;
1−[3−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレア;および
N−(4−クロロ−フェニル)−3−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ベンゼンスルホンアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩。
【請求項31】
医薬として許容される担体、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を治療するための請求項1〜30のいずれか1項に記載の、治療有効量の化合物を含む医薬組成物。
【請求項32】
可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を治療するための薬剤の製造における請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の治療における可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害するための方法であって、医薬として許容される担体、治療有効量の式(III)
【化41】

(式中、
Qは、OまたはSであり;
各々のRは、独立して、アルキル、シアノ、ハロ、およびハロアルキルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、または3であり;
は、水素、アシル、アルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、フェニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたアルキル、およびアルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、およびカルボキシエステルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、水素およびアルキルからなる群から選択され;あるいは、RおよびRは、それらが結合される窒素原子と一緒になって、4〜5個の環炭素原子、場合により、O、S、およびNからなる群から独立して選択される1個の追加の環ヘテロ原子を有するヘテロシクロアルキル環を形成し、ここで、該環は、場合により、アルキル、置換されたアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはカルボキシで置換され;
Yは、C6−10シクロアルキル、置換されたC6−10シクロアルキルC6−10ヘテロシクロアルキル、置換されたC6−10ヘテロシクロアルキル、および
【化42】

(式中、RおよびRは、独立して、水素またはフルオロである)
からなる群から選択され;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロ、アルキル、アシル、アシルオキシ、カルボキシルエステル、アシルアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ;アミノスルホニルアミノ、(カルボキシルエステル)アミノ、アミノスルホニル、(置換されたスルホニル)アミノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、シアノ、およびアルキルスルホニルからなる群から選択される)
で表される化合物またはその立体異性体もしくは医薬として許容される塩を含む医薬組成物を患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−505768(P2010−505768A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530644(P2009−530644)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/079946
【国際公開番号】WO2008/040000
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509029335)アレテ セラピューティクス, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】