説明

可溶性ヘテロ二量体レセプター及びその使用

ヘテロ二量体レセプター、例えばCD94/NKG2レセプターの可溶型、及びこのようなコンストラクトの生産及び使用方法を記載する。コンストラクトはそれぞれレセプター単量体の可溶性断片を含有しており、いくつかのコンストラクトは、少なくとも一の免疫グロブリンFcドメインをさらに含有している。例示的なコンストラクトは、(1)各可溶性断片が、ついで二量体化可能である免疫グロブリンFcドメインに結合しているもの、(2)各可溶性断片が、正確な対応物との二量体化を促進するように変異された免疫グロブリンFcドメインに結合しているもの、及び(3)単量体レセプター断片が結合し、C-末端断片がFcドメインに結合している単鎖コンストラクトである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、治療及び診断用途のための可溶性ヘテロ二量体レセプター、及びこのような可溶性ヘテロ二量体レセプターを設計し作製する方法に関する。本発明の例示的な組成物は、ヘテロ二量体レセプターの可溶性断片並びに免疫グロブリンのFc-部分を含む。
【背景技術】
【0002】
可溶性レセプター、例えば可溶性TNFR(Enbrel(登録商標))は、治療用途に対する大きな価値が実証されている。また、可溶性レセプターは、診断目的、並びに例えば、癌患者の腫瘍組織のような病変組織でのリガンド発現をスクリーニングするために使用されうる。
レセプターのCD94/NKG2ファミリーは、活性化又は阻害可能性を有するヘテロ二量体レセプターメンバーからなる。これらのレセプターは、NK細胞及びCD8+T細胞のサブセットにおいて主として発現され、それらが、感染及び発癌性細胞に対する応答の調節に重要な役割を担っていることが示されている。CD94/NKG2レセプターに対する主要なリガンドはHLA-Eである。Houchinsらの米国特許第6262244号にはヒトNKG2A配列(配列番号1)が記載され、Changら(Eur J Immunol. 1995;25:2433-7)はヒトCD94配列(配列番号2)について報告している。
【0003】
CD94/NKG2レセプターの可溶型は、研究ツールとしてばかりでなく、治療剤としても関心のあるものである。しかしながら、治療及び診断用途の双方では、適切な生物系で効果的に生産することができる安定な可溶性レセプターが必要とされている。多くのヘテロ二量体レセプター、例えばCD94/NKG2については、今までのところ、これは困難であった。可能性のある理由は、単一サブユニットのホモ二量体化であり、ヘテロ二量体レセプターがより複雑な構造であればある程、十分に安定した可溶性型を設計することはより困難になる。
【0004】
CD94及びNKG2Aタンパク質のタグ化可溶性部分の発現に基づく、ある種の可溶性CD94/NKG2Aコンストラクトは、文献(Brooksら, J Immunol 1999:162:305-13; Dingら Scand. J. Immunol. 1999;49:459-465;及びKaiserら. Journal of Immunology,2005, 174: 2878-2884)において提案されている。そのいくつかが免疫グロブリンFc部分に融合している他の多量体レセプターの可溶型は、例えば多量体IL-18レセプター分子に関する国際公開第9937772号、国際公開第200208272号、及び国際公開第20023237号に記載されており;Wuら(Protein Sci. 1999;8:482-9)は、IL-2レセプターの可溶性形態を記載しており;国際公開第200222153号には、可溶性IL-20レセプターが記載されており;可溶性ZCY-TOR11サイトカインレセプターに関する国際公開第200212345号、T-細胞レセプター等のヘテロ多量体タンパク質に関する国際公開第2002101006号、国際公開第9533059号には、gp130のヘテロ二量体レセプター及びオンコスタチンMレセプターのベータ鎖が記載されており;米国特許第6238890号には、種々の糖タンパク質の可溶性形態が記載されている。ヘテロ二量体T-細胞レセプターの可溶型又はそのサブユニットも、例えばClementsら, Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 2002;58:2131-4; Laugelら, J. Biol. Chem. 2005;280:1882-1892; Kimら, J Mol Biol. 2000;302:899-916に記載されている。
【0005】
さらに、米国特許公開第20030195338号及び同20040072256号には、様々なタイプのFc-結合レセプター配列タンパク質が記載されており、米国特許第6018026号は二量体化融合タンパク質に関し;米国特許第6833441号はキメラヘテロ多量体の生産方法に関し;国際公開第92/06204号及び国際公開第03012069号は、例えばヘテロ二量体レセプターライブラリーの作製技術に関し;米国特許第20040138417号には、ヘテロ多量体アドヘシンが記載されている。また。ヘテロ多量体形成を促進させる原則は、米国特許公開第20030078385号に記載されており、Marvin and Zhu, Acta Pharmacol Sin 2005;26(6):649-658(またKontermann, Acta Pharmacol. Sin. 2005;26:1-9を参照)で概説されている。
しかしながら、診断又は治療用途のためのヘテロ二量体レセプター、例えばCD94/NKG2の可溶型、及び安定な可溶性ヘテロ二量体レセプターの効果的な製造方法は、今だ必要とされている。本発明は、当該分野におけるこれら及び他の必要性に取り組むものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明はヘテロ二量体レセプターの可溶性コンストラクトを提供する。コンストラクトはヘテロ二量体レセプターの第1及び第2のサブユニットの本質的に可溶性の部分を含む。ある態様では、コンストラクトは、免疫グロブリン分子の1又は2のFc-部分をさらに含む。例示的な一態様では、各可溶性部分は、免疫グロブリンのFc-部分に結合又は共有結合しており、最終的なコンストラクトは、各サブユニット-Fc融合体又はハイブリッドポリペプチドの一つを含む。他の例示的な態様では、各サブユニット-Fc融合体のFc-部分又はハイブリッドポリペプチドのFc-部分は、第1のサブユニットの可溶性部分を含む融合又はハイブリッドポリペプチドの、第2のサブユニットの可溶性部分を含む融合又はハイブリッドポリペプチドへのヘテロ二量体化を促進させる一又は複数の変異を含み、よって同一のサブユニット-Fcポリペプチド間のホモ二量体化が低減される。さらなる他の例示的な態様では、可溶性レセプターコンストラクトは、第2のサブユニットの可溶性部分に結合した第1のサブユニットの可溶性部分を含む単鎖可溶性レセプター-Fc融合体又はハイブリッドタンパク質複合体である。さらなる他の例示的な態様では、可溶性レセプターコンストラクトは、Fc-部分に結合している第2のサブユニットの可溶性部分に結合した第1のサブユニットの可溶性部分を含む単鎖可溶性レセプター-Fc融合体又はハイブリッドタンパク質複合体である。一実施態様では、本発明は、単鎖のレセプター-Fc融合体又はハイブリッドタンパク質の二量体を提供する。
【0007】
一態様では、ヘテロ二量体レセプターはCD94/NKG2レセプターである。他の態様では、ヘテロ二量体レセプターはCD94/NKG2Aレセプターである。
また本発明は、このような可溶性コンストラクトの種々の作製方法、並びに本発明の可溶性コンストラクトの種々の用途を提供する。例示的な一用途は、生物学的試料中の天然リガンド(例えば、HLA-E)の検出にある。
これら及び他の態様は、以下においてまた図においてさらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的な可溶性CD94/NKG2A Fc融合タンパク質。
【図2】強制的なFc1-Fc2ヘテロ二量体化を含む例示的な可溶性CD94/NKG2A Fc-融合タンパク質。Fcドメインの荷電残基に変異を有するコンストラクトは、ヘテロ二量体が、独立したCD94-Fc及びNKG2A-Fc鎖から形成されることを可能にする。
【図3】(A)は、NKG2AのC-末端からCD94のN-末端までの、GGSGGSリンカーを有する例示的な単鎖のFc-NKG2A-CD94融合タンパク質を示し、(B)は、CD94のC-末端からNKG2AのN-末端までの、GGSGGS(配列番号6)リンカーを有する例示的な単鎖のFc-CD94-NKG2Aを示す。コンストラクトにより、活性立体配座にCD94/NKG2Aを折り畳むことができ、Fc部分の二量体化が可能となる。
【図4】図4は、HLA-Eと複合したCD94/NKG2Aのコンピュータ内でのモデルを示す。モデルは、N及びC末端が互いに近接しており、数種のコンストラクトが可能となることを示している。
【図5】図5は、GM(配列番号8)及びKM(配列番号9)アロタイプ用の重鎖の定常部分のラベリングを示す。
【図6】図6は、カッパ(配列番号10)及びラムダ(配列番号11)定常領域のラベリングを示す。
【図7A】図7Aは、それぞれのUNIPROTエントリ名により称される、ヒト、マウス及びラットの免疫グロブリン配列のアラインメント(GC1_RAT: 配列番号12; GC3_MOUSE: 配列番号13; GCAA_MOUSE: 配列番号14; GCAB_MOUSE: 配列番号15; GCA_RAT: 配列番号16; GCB_MOUSE: 配列番号17; GCB_RAT: 配列番号18; GCC_RAT:配列番号19; IGHG1_HUMAN: 配列番号20; IGHG1_MOUSE: 配列番号21; IGHG2_HUMAN: 配列番号22; IGHG3_HUMAN: 配列番号23; IGHG4_HUMAN: 配列番号24)を示す。
【図7B】図7Bは、それぞれのUNIPROTエントリ名により称される、ヒト、マウス及びラットの免疫グロブリン配列のアラインメント(GC1_RAT: 配列番号12; GC3_MOUSE: 配列番号13; GCAA_MOUSE: 配列番号14; GCAB_MOUSE: 配列番号15; GCA_RAT: 配列番号16; GCB_MOUSE: 配列番号17; GCB_RAT: 配列番号18; GCC_RAT:配列番号19; IGHG1_HUMAN: 配列番号20; IGHG1_MOUSE: 配列番号21; IGHG2_HUMAN: 配列番号22; IGHG3_HUMAN: 配列番号23; IGHG4_HUMAN: 配列番号24)を示す。
【図7C】図7Cは、それぞれのUNIPROTエントリ名により称される、ヒト、マウス及びラットの免疫グロブリン配列のアラインメント(GC1_RAT: 配列番号12; GC3_MOUSE: 配列番号13; GCAA_MOUSE: 配列番号14; GCAB_MOUSE: 配列番号15; GCA_RAT: 配列番号16; GCB_MOUSE: 配列番号17; GCB_RAT: 配列番号18; GCC_RAT:配列番号19; IGHG1_HUMAN: 配列番号20; IGHG1_MOUSE: 配列番号21; IGHG2_HUMAN: 配列番号22; IGHG3_HUMAN: 配列番号23; IGHG4_HUMAN: 配列番号24)を示す。
【図8】図8は、マウス野生型及び変異免疫グロブリン配列のアラインメントmFc:配列番号25;mFc-IGHG1:配列番号21の残基98ないし324;mFc_dm_NKG2A:配列番号26;mFc_dm_CD94:配列番号27;mFc_sm_NKG2A:配列番号28;及びmFc_sm_CD94:配列番号29を示す。
【図9】図9は、pcDNA3.1(+)-mFc-hCD94プラスミドコンストラクト(実施例4)を示す。
【図10】図10は、pcDNA3.1/ヒドロ(+)-mFc-hNKG2Aプラスミドコンストラクト(実施例4)を示す。
【図11】図11は、pcDNA3.1/ヒドロ(+)-mFc-hNKG2A-GGS-GGS-hCD94プラスミドコンストラクト(実施例6)を示す。
【図12】図12A-Cは、(A)非還元条件下でのhCD94-mFc/hNKG2A-mFc、(B)還元条件下でのhCD94-mFc/hNKG2A-mFc、及び(C)還元及び非還元条件下で、HEK293で発現したmFc-単鎖-NKG2A-CD94のウエスタンブロットを示す(実施例7)。
【図13】図13A及びBは、(A)抗CD94(HP-3D9)抗体(Cy3-ラベリング)、又は(B)抗NKG2A(Z199)抗体(Cy5-ラベリング)を使用する、プロテインA精製後のコンストラクトのSDS-PAGE/ウエスタンブロット分析を示す。レーン1:MWマーカー(図示せず);レーン2:pBF5 CD94-mFc;レーン3:pBF17 CD94-2xGGS-NKG2A-mFc;レーン4:pBF6 NKG2A-mFc;レーン5:pBF19 CD94-mFc T249Y、及びpBF20 NKG2A-mFc Y290T;レーン6:pBF5 CD94-mFc、及びpBF6 NKG2A-mFc;レーン7:pBF21 CD94-mFc E239K、K292D、及びpBF22 NKG2A-mFc D282K、K332E(実施例8)。
【図14】図14A及びBは、(A)抗CD94(HP-3D9)抗体(Cy3-ラベリンスされたB)、及び(B)抗NKG2A(Z199)抗体(Cy5-ラベリング)を使用する、プロテインAカラムにおけるCD-94-2xGGS-NKG2A-mFc精製からの種々のフラクションのSDS-PAGE/ウエスタンブロットを示す。レーン1:MWマーカー;レーン2:適用;レーン3:流水;レーン4:フラクションA10;レーン5:フラクションA11;レーン6:フラクションA12;レーン7:フラクションB1;レーン8:フラクションB2;レーン9:フラクションB3;レーン10:フラクションB4; レーン11:フラクションB5;レーン12:フラクションB6。
【図15】図15は、Trx-ヘキサHis pET32a hNKG2Aプラスミドコンストラクト(pISNN415)(実施例9)を示す。
【図16】図16は、大腸菌における、Trx-ヘキサHis-NKG2A発現の分析(実施例10;p=ペレットフラクション;s=可溶性フラクション)を示す。
【図17】図17は、HexaHis-GST XPNNB pET15b hCD94プラスミドコンストラクト(pISNN427)(実施例11)を示す。
【図18】図18は、大腸菌における、ヘキサHis-GST-CD94発現の分析(実施例12;p=ペレットフラクション;s=可溶性フラクション)を示す。
【図19】図19A及びBは、(A)NKG2A-2×GGSコンストラクト;(B)NKG2A-2xGGS-CDF94コンストラクト(実施例13)を示す。
【図20】図20は、単鎖二量体NKG2A-2×GGS-CD94 GST XPNNB pET15bプラスミドコンストラクト(実施例13)を示す。
【図21】図21は、単鎖二量体NKG2A-2×GGS-CD94コンストラクトを示す。
【図22】図22は、CD94-2xGGS-NKG2A GST XPNNB pET15bプラスミドコンストラクト(実施例13)を示す。
【図23】図23は、大腸菌における、6His-GST-NKG2A-2xGGS-CD94及びTrx-6His-NKG2A-2xGGS-CD94発現(実施例14;p=ペレットフラクション;s=可溶性フラクション)を示す。
【図24】図24は、抗NKG2A(Z199、ライトグレイ)及び抗CD94(HP-3D9、ダークグレイ)抗体への、単鎖のNKG2A/CD94コンストラクト(mFc-GS-NKG2A-GGS-GGS-RSS-CD94)の結合性を示す(実施例19)。
【図25】図25は、NKG2タンパク質の細胞外部分のアラインメントを示す。NKG2A完全長(配列番号1)に従い番号付けをする。完全長配列に対して、配列番号1(NKG2A)、3(NKG2C)、4(NKG2E)、55(NKG2F)、及び70(NKG2B)を参照。
【図26】図26は、scCD94/NKG2Aチップ(黒の実線)、scCD94/NKG2Cチップ(クレイの線)及びNKG2D-Fcチップ(破線)に結合する、humZ270、humZ199、抗NKG2C-PE、及びhumON72を示す重なりセンサーグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(定義)
「レセプター」なる用語は、生物活性分子(すなわちリガンド)に結合し、細胞におけるリガンドの効果を調節する細胞-会合性タンパク質を示す。膜結合性レセプターは、典型的にはシグナル形質導入に関与する、細胞内エフェクタードメインと細胞外リガンド-結合ドメインを含有する、マルチ-ドメイン構造体により特徴付けられる。レセプターにリガンドが結合することにより、細胞におけるエフェクタードメインと他の分子(類)との間の相互作用に起因して、レセプターに構造変化が生じる。この相互作用により、細胞の代謝に次々と変化が生じる。レセプター-リガンドの相互作用に関連した代謝事象には、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸化が含まれ、環状AMP生成、細胞カルシウムの流通、膜脂質の流通、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、及びリン脂質の加水分解が増加する。ここに記載された例示的レセプターはCD94/NKG2Aレセプターである。
【0010】
「多量体」又は「ヘテロ多量体」とは、2又はそれ以上の異なるサブユニットを含有することを意味する。「ヘテロ二量体」レセプターは、2つの異なるサブユニットを含有し、ここでは「S1」(サブユニット1)及び「S2」(サブユニット2)と示す。
【0011】
「可溶性」多量体レセプターとは、ここでは多量体レセプターを意味し、各サブユニットはレセプターの細胞外ドメインの全て又は一部を含むが、任意の膜貫通ドメインの一部又は全てを欠き、任意の細胞内ドメインの全てを欠く。一般的に、本発明の可溶性レセプターは、水溶液に溶解する。しかしながら、ある条件下では、レセプターは、標準的な手順により直ちに可溶化される封入体の形態にすることができる。「サブユニット1の可溶性部分」は、ここでは「sS1」と示され、一方、「サブユニット2の可溶性部分」は「sS2」と示すことができる。
【0012】
「ハイブリッド」タンパク質は、ペプチド結合以外の少なくとも一の結合(例えば、ビオチン/アビジンを介した親和相互作用又は化学的カップリング)を介して結合した2つのポリペプチドセグメントを含有するタンパク質である。
「融合」タンパク質は、例えば組換えプロセスにより生成した、ペプチド結合により結合した2つのポリペプチドセグメントを含有するタンパク質である。
【0013】
「NKG2」なる用語は、NKG2ファミリーの任意及び全てのメンバーからの、完全長又は部分的ポリペプチドを含み、限定されるものではないが、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、及びNKG2F、並びにこれらのメンバーのヒト及び非ヒトオルソログ及びその変異体が含まれる。典型的には、NKG2ポリペプチドの変異体のアミノ酸配列は、対応する野生型NKG2ポリペプチドのアミノ酸配列と高度に同一であるか、または類似している(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一)。
【0014】
「NKG2A」なる用語は、ヒト及び非ヒトオルソログ双方からの完全長又は部分NKG2Aポリペプチド、並びにその変異体を含む。典型的には、NKG2Aポリペプチドの変異体のアミノ酸配列は、野生型NKG2Aポリペプチドのアミノ酸配列と高度に同一であるか、または類似している(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一)。
【0015】
「NKG2C」なる用語は、ヒト及び非ヒトオルソログ双方からの完全長又は部分NKG2Aポリペプチド、並びにその変異体を含む。典型的には、NKG2Aポリペプチドの変異体のアミノ酸配列は、野生型NKG2Aポリペプチドのアミノ酸配列と高度に同一であるか、または類似している(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一)。
【0016】
「CD94」なる用語は、ヒト及び非ヒトオルソログ双方からの完全長又は部分CD94ポリペプチド、並びにその変異体を含む。典型的には、CD94ポリペプチドの変異体のアミノ酸配列は、野生型CD94ポリペプチドのアミノ酸配列と高度に同一であるか、または類似している(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一)。
【0017】
「オルソログ」なる用語は、異なる種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的対応物である、一つの種から得られたポリペプチド又はタンパク質を示す。オルソログ中の配列差異はスペシエーションの結果によるものである。
【0018】
ここで「Fcドメイン」とは、一般的に、免疫グロブリン重鎖のFcドメインの全体又は一部を含むポリペプチドを称する。限定されるものではないが、これには、全CH1、ヒンジ、CH2、及び/又はCH3ドメインを含有するポリペプチド、並びに例えばヒンジ、CH2、及びCH3ドメインのみを含有するこのようなペプチドの断片が含まれる。Fcドメインは、限定されるものではないが、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、又はIgM抗体を含む、任意の種及び/又は任意のサブタイプの免疫グロブリンから誘導されてよい。例示的Fc配列は、ここでは例えば図5-7に提供されている。
【0019】
ここで使用される場合、親又は野生型ポリペプチドの「変異」ポリペプチドは、親又は野生型と比較して、一又は複数のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加を含む。典型的には、このような変異体は、親又は野生型配列と、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有し、親又は野生型ポリペプチドと比較して、保存された又は改善された特性を有する。いくつかの変化はタンパク質又はポリペプチドの折り畳み又は活性;当該分野でよく知られているように、類似した物理化学的特性(塩基性アミノ酸:アルギニン、リジン、及びヒスチジン;酸性アミノ酸:グルタミン酸、及びアスパラギン酸;極性アミノ酸:グルタミン及びアスパラギン;疎水性アミノ酸:ロイシン、イソロイシン、バリン;芳香族アミノ酸:フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン;小アミノ酸:グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、メチオニン)を有する側鎖を持つものに対し、一つのアミノ酸が変化した保存アミノ酸置換、典型的には1〜約30のアミノ酸の小さな欠失;及び小さなアミノ-又はカルボキシ-末端伸長、例えばアルニノ-末端メチオニン残基、約20-25残基までの小リンカーペプチド、又は精製を容易にする小伸長(アフィニティタグ)、例えばポリヒスチジントラクト(tract)、プロテインA(Nilssonら, EMBO 1985;14:1075以下参照;Nilssonら, Methods Enzymol. 1991; 198:3以下参照)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(Smith及びJohnson, Gene 1988;67:31以下参照)、又は他の抗原エピトープ又は結合ドメインにあまり影響を与えない。一般的にはFordら, Protein Expression and Purification 1991;2:95-107を参照。アフィニティタグをコードするDNAは、商業的供給者から入手可能である。
【0020】
アミノ酸配列における配列の差異又は「同一性」は、任意の適切な技術、例えばNeedleman-Wunschアラインメント分析(Needleman及びWunsch, J. Mol. Biol. (1970) 48:443-453を参照)の使用、-12の初期間隙ペナルティ及び-2の伸長ペナルティを有するBLOSUM50スコアリングマトリックスを使用するALIGN 2.0を用いた分析(Myers及びMiller, CABIOS (1989) 4:11-17を参照、ALIGNプログラムに導入された包括的アラインメント技術の議論のため)を介して提供されるもの等の任意の適切な技術(この発明において適切な一つを選択)により決定することができる。ALIGN 2.0プログラムのコピーは、 例えばSan Diego Supercomputer (SDSC) Biology Workbenchから入手可能である。Needleman-Wunschアラインメント分析では、2つの配列の間の全体的又は包括的同一性測定が提供されるため、より大きなペプチド配列の一部又はサブシーケンスであり得る標的配列が、完全配列に類似した方式で使用可能であるか、又は局所的アラインメント値が、例えばSmith-Watermanアラインメント(J. Mol. Biol. (1981) 147:195-197)により測定される、サブシーケンスの間の関係を評価するのに使用可能であると認知することができ、これは入手可能なプログラムを介して得ることができる(同一性を分析するのに適した他の局所アラインメント法には、 FastA及びBLASTプログラム等の、発見的局所アラインメントアルゴリズムを適用するプログラムが含まれる)。同一性を評価するためのさらなる関連法は、例えば国際特許出願第03/048185号に記載されている。また、Needleman-Wunschアルゴリズムを改善するために求められるGotohアルゴリズムも、包括的配列アラインメント用に使用可能である。例えばGotoh, J. Mol. Biol. 162:705-708 (1982)を参照。
【0021】
(発明の記載)
本発明は、ヘテロ二量体レセプターの2つのサブユニットのそれぞれの可溶性部分と、いくつかの態様では、免疫グロブリン分子の少なくとも一のFc-部分を全て含有する、ヘテロ二量体レセプターからの可溶性レセプター-複合体を提供する。
一態様において、各可溶性部分は免疫グロブリンのFc-部分に会合又は共有結合しており、最終的な可溶性-レセプター複合体は、第2のサブユニットの可溶性部分(sS2-Fc)を含むハイブリッド又は融合タンパク質に、第1のサブユニットの可溶性部分(sS1-Fc)を含有するハイブリッド又は融合タンパク質を会合又は共有結合させることによって形成される。種々のセグメントの結合は、化学的架橋結合、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などの共有結合、又はアビジン-ビオチン又はロイシンジッパー技術などの親和相互作用を介してなされ得る。
【0022】
他の態様は、上に記載したものと類似しているが、各融合タンパク質のFc-部分は、異なる融合タンパク質の間が強いてヘテロ二量体化するように設計された特定の変異を含み、結果として融合タンパク質sS1-Fc1がsS2-Fc2と融合した可溶性-レセプター複合体が得られる。
【0023】
さらなる他の態様は、可溶性レセプター複合体が、第2のサブユニットの可溶性部分(sS2)に結合した第1のサブユニットの可溶性部分(sS1)を含有する、単鎖可溶性レセプター-Fc融合体又はハイブリッドタンパク質-複合体である。特定の実施態様では、sS1及びsS2の一方のC-末端はFc-部分にさらに結合している。種々のセグメントの結合は、化学的架橋結合、ペプチドリンカー、ジスルフィド架橋などの共有結合、又はアビジン-ビオチン又はロイシンジッパー技術などの親和相互作用を介してなされ得る。一実施態様では、単鎖のレセプタータンパク質は、融合タンパク質であり、すなわちタンパク質における異なるセグメント間の全ての結合が、ペプチドリンカー又は直接ペプチド-ペプチド結合を介してなされる。
【0024】
さらなる他の態様において、上に記載された単鎖のFc-融合タンパク質の2つのユニットは連結又は結合しており、よって本質的にヘテロ二量体レセプターのホモ二量体が形成される。例示的な一実施態様では、ヘテロ二量体レセプターはCD94/NKG2レセプターであり、2つの単鎖のFc-融合タンパク質は、CD94及びNKG2サブユニットの可溶性セグメントにおいて自然に生じる、システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合している。
本発明のヘテロ二量体レセプターの可溶性レセプター-複合体はより安定しており、よって、より長時間保存することができる。さらにヘテロ二量体レセプターからの安定した可溶性レセプター-複合体は、例えば免疫化及び治療用途等、長時間の半減期が必要とされる用途に適している。
【0025】
実施例に記載されているように、CD94及びNKG2AのN及びC末端は、コンピュータ内でのCD94/NKG2Aモデルにおいて近接していることが発見された。第1のサブユニットのC-末端は、短いペプチドリンカーにより、第2のサブユニットのN-末端に結合可能であり、NKG2Aタンパク質の可溶性部分においては配列相同性が高いため、このことから、本発明の可溶性CD94/NKG2ヘテロ二量体レセプターの適合性が確認された(図25を参照)。よって、別の特定の実施態様では、ヘテロ二量体レセプターは、第1のサブユニットのN-末端が第2のサブユニットのC-末端に近接しているもの、又は第1のサブユニットのN-末端が第2のサブユニットのC-末端に近接しており、第1のサブユニットのC-末端が第2のサブユニットのN-末端に近接しているものである。例えば一実施態様では、ここで使用される場合の「近接」とは、それぞれのアルファ炭素間の距離が、互いに約4〜約40、約4〜約30、約4〜約20、又は約4〜約5オングストロームの範囲内であることを意味する。他の実施態様では、「近接」とは、互いに約13〜約15オングストローム内であることを意味する。
【0026】
以下、例示的な可溶性CD94/NKG2コンストラクトである:
1)CD94-Fc/NKG2-Fc:CD94とNKG2タンパク質の細胞外ドメインを含有し、その双方がマウスFcにコンジュゲート又は融合している、安定したFc-融合タンパク質又はハイブリッド-タンパク質コンジュゲート。タンパク質は哺乳動物細胞から生産及び分泌可能で、単一工程のアフィニティークロマトグラフィーで精製することができる。例示的な一実施態様では、この可溶性レセプター複合体は、図1に例証されており、例証されているジスルフィド架橋はCD94/NKG2Aレセプターにおいて自然に生じたものである。
【0027】
2)CD94-Fc/NKG2-Fc:CD94及びNKG2タンパク質の細胞外ドメインを含有し、それぞれが別々に変異したマウスFc-ドメインに融合している、安定したFc-融合タンパク質又は-タンパク質コンジュゲート。CD94可溶性セグメントに融合又はコンジュゲートしたFc-ドメインにおける変異により、可溶性NKG2セグメントに融合又はコンジュゲートした変異Fc-ドメイン及びその逆を伴う二量体化が促進され、よってCD94-又はNKG2-のホモ二量体化が回避される。タンパク質は哺乳動物細胞から生産及び分泌可能で、単一工程のアフィニティークロマトグラフィーで精製することができる。例示的な一実施態様では、この可溶性レセプター複合体は、図2に例証されており、例証されているジスルフィド架橋はCD94/NKG2Aレセプターにおいて自然に生じたものである。
【0028】
3)単鎖のCD94/NKG2-Fc:例えばセリン-グリシン-スペーサーにより連結しているか、及び/又はFc-配列に融合又はコンジュゲートしている、CD94及びNKG2タンパク質の細胞外ドメインを含有する、安定した単鎖のFc-融合タンパク質。タンパク質は哺乳動物細胞から生産及び分泌可能で、単一工程のアフィニティークロマトグラフィーで精製することができる。例示的な一実施態様では、可溶性レセプターFc-融合タンパク質は、図3に例証されており、融合タンパク質における種々のセグメント間の結合は、グリシン-セリンリンカーを介して得られる。
【0029】
実施例18及び19に記載されるように、可溶性HLA-Eに結合した可溶性CD94/NKG2Aレセプター、並びにCD94(HP−3D9)及びNKG2A(Z199)に特異的なMAb'sは、適切に折り畳まれていることが示されている。試験された可溶性CD94/NKG2Aレセプターは、ほとんど例外なく、PBSにおいて、4℃又は−20℃での保存後、いくつかの場合には数週間後、可溶性HLA-E四量体、HP3D9(抗CD94)及び抗NKG2A(Z199)に結合可能である故に、該CD94/NKG2Aレセプターは安定していると思われる。さらに、実施例20及び21に記載されているように、可溶性CD94/NKG2Cレセプターが調製され、抗NKG2C-特異的抗体に結合可能であることが見出された。
【0030】
本発明のヘテロ二量体レセプターコンストラクトは、各単量体サブユニットの可溶性部分と、免疫グロブリン重鎖定常ドメイン(すなわち、Fcドメイン)の全て又は一部を含有する少なくとも一のポリペプチドを含む。
本原則が適用可能な、典型的なヘテロ二量体レセプターには、限定されるものではないが、CD94/NKG2A、CD94/NKG2B、CD94/NKG2C、CD94/NKG2E、及びCD94/NKG2Fレセプターが含まれる。図25に示すように、NKG2ファミリーのレセプターは、高度な配列相同性を有する。本発明のコンストラクトへの使用に適したこれらのレセプターの単量体サブユニットの可溶性部分は、科学文献において公知であるか、又はTMHMM(world-wide web (www) address cbs.dtu.dk/services/TMHMM/から入手可能)等の、公に入手可能なコンピュータベースのアルゴリズムを使用する、アミノ酸配列の標準的なコンピュータ分析を用いて推測することができる。
【0031】
CD94(Uniprot受入番号Q13241号)は、3つのドメインに179のアミノ酸を含有しており、細胞質領域は残基1-10を含有し、膜貫通領域は残基11-31を含有し、細胞外領域は残基32-179を含有し、次の配列:
MAVFKTTLWRLISGTLGIICLSLMATLGILLKNSFTKLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNESRHLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPSFETFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI(配列番号2)
を含む。
【0032】
例示的な一ヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2Aレセプターである。NKG2A(Uniprot受入番号P26715号)は、3つのドメインに233のアミノ酸を含有しており、細胞質領域は残基1-70を含有し、膜貫通領域は残基71-93を含有し、細胞外領域は残基94-233を含有し、次の配列:
MDNQGVIYSDLNLPPNPKRQQRKPKGNKSSILATEQEITYAELNLQKASQDFQGNDKTYHCKDLPSAPEKLIVGILGIICLILMASVVTIVVIPSTLIQRHNNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL(配列番号:1)
を含む。
【0033】
他の例示的なヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2Cレセプターである。NKG2C配列(配列番号3)は、NKG2Aについて記載したものと類似した配置に、231のアミノ酸を含有している。図25には、hNKG2A及びhNKG2Cの細胞外部分の間のアラインメントが示されている。
上に記載したように、他のNKG2レセプターを、本発明のヘテロ二量体レセプターを構成するために適用してもよい。このようなコンストラクトにおいて、一単量体ユニットは、CD94配列の可溶性セグメントを含有しており、一つの単量体ユニットは、例えばヒトNKG2B(配列番号70)、NKG2E(配列番号4)、又はNKG2F(配列番号5)からのNKG2配列の可溶性セグメントを含有している。
【0034】
可溶性CD94/NKG2Aレセプターの調製にも使用され得る、NKG2A及びCD94に対するいくつかの非ヒトオルソログが公知である。ヒトNKG2Aの非限定的オルソログには、UNIPROT受入番号Q95MI5号(UNIPROT-ID:NKG2A_PANTR(チンパンジー));Q9MZJ3(UNIPROT-ID:NKG2A_MACMU(アカゲザル));Q68VD2(UNIPROT-ID:Q68VD2_MACFA(カニクイザル));O54872(UNIPROT-ID:O54872_RAT(ラット));及びQ9WU31(UNIPROT-ID:Q9WU31_MOUSE(マウス))を有するものが含まれる。
ヒトCD94の非限定的オルソログには、UNIPROT受入番号Q9MZ41(UNIPROT-ID:KLRD1_PANTR(チンパンジ));Q8MHY9(UNIPROT-ID:KLRD1_PONPY(オランウータン));Q9MZK9(UNIPROT-ID:KLRD1_MACMU(アカゲザル));Q68VD4(UNIPROT-ID:Q68VD4_MACFA(カニクイザル));O35778(UNIPROT-ID:O35778_RAT(ラット));O54708(UNIPROT-ID:O54708_MOUSE(マウス));及びQ38HS3(UNIPROT-ID:Q38HS3_CANFA(イヌ))を有するものが含まれる。これらの配列はUniprotウェブサイト(World-wide Web address ebi.uniprot.org/index.shtml)から公に入手可能である。
【0035】
本発明のコンストラクトの免疫グロブリンポリペプチドは、免疫グロブリンFc-部分の完全長又は断片、又はその変異体を含有していてもよい。一態様において、免疫グロブリンはFc-ドメインの野生型配列、又はその断片である。他の態様において、変異体は、2つの異なる融合タンパク質のヘテロ二量体化を促進するように設計されており、融合タンパク質sS1-Fc1がsS2-Fc2と融合する、可溶性-レセプター複合体が得られる。他の態様において、変異体は、ここに記載したような2つの異なる単鎖単鎖レセプターのヘテロ二量体化を促進するように設計されている。
【0036】
特定の態様において、免疫グロブリン重鎖定常ドメインは、ヒト又は非ヒト哺乳動物抗体から誘導される。一実施態様では、定常ドメインはヒトIgG1から誘導される。他の実施態様では、定常ドメインはヒトIgG4から誘導される。他の態様において、定常ドメインは非ヒト(例えば霊長類又は齧歯類)IgG分子(又は、組成の観点では、ヒトIgGにかなり類似していると認識されている抗体型)から誘導される。「から誘導される」なる表現は、任意の示した変化(例えば、以下に記載する置換)以外に、野生型又は参照(「親」)免疫グロブリン定常ドメインに対し、アミノ酸配列組成が同一(100%)又は高度に類似した(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、96%、97%、98%、又は99%同一)であるポリペプチドを称する。この意味において、「から誘導される」なる表現は、このような抗体又は抗体断片を生成させるための方法、特に組換え発現、化学的タンパク質合成等の任意の適切な方法を示すことを意図していない。
【0037】
一実施態様では、Fcドメインの一部は、Fcドメインを欠くコンストラクトと比較して、コンストラクトのインビボ半減期を増加させる(循環からのクリアランスがより遅いため)のに十分な大きさと組成のものであり:さらなる特定の態様では、Fcドメインの一部は機能的である(すなわち、コンストラクト抗体に抗体エフェクター機能を付与する))。
【0038】
本コンストラクトで使用される例示的な野生型免疫グロブリン定常ドメインには、マウスFc(mFc)配列(クローン#669:IMAGE3491766)を表す配列番号25;マウスIgG1配列を表す配列番号21の残基Val98ないしLys324;ヒトIgG1Fc配列を表す、配列番号20の残基Pro100ないしLys330;ヒトIgG4Fc配列を表す、配列番号24の残基Glu99ないしLys327が含まれる。他の野生型配列(例えば、配列番号12-19及び21-23)からの対応する免疫グロブリンポリペプチドは、当該分野で確立された方法を使用して作製することができる。
【0039】
一態様において、本発明は、このような野生型免疫グロブリン定常ドメインの変異バージョンを提供する。抗体単量体の定常ドメインにおけるアミノ酸対が、このような抗体単量体(及び、IgG分子等の抗体分子の場合には、全体として抗体分子)の多量体化及び安定性に、かなり関与していることが見出されており、従って、二重特異性抗体単量体又は分子の形成をさらに促進させるために、種々の方法により修飾させることができる。典型的には、このようなアミノ酸対は、主として抗体分子の重鎖に見出される(例えば、IgG分子のCH1及びCH3定常領域に存在するある種のアミノ酸残基の間)。
【0040】
例えば、ヒト免疫グロブリンG抗体については、四量体抗体分子の2つの重鎖(「HC」)ポリペプチドの架橋結合に寄与しているイオン力は、次の方式において、抗体のCH3領域に存在する6つのアミノ酸:E240-K253、D282-K292、及びK322-D239(配列位置番号は、(UNIPROT entry IGHG1_HUMAN(配列番号20)に類似した)CH1起源から出発するアミノ酸を称する)により、主として寄与していることが見出されている。
【0041】
本発明のこの発見を適用すると、次の通り-K253E、D282K、及びK322D-ヘテロ二量体レセプター抗原の第1のサブユニットの可溶性セグメントにコンジュゲート、融合又は結合した免疫グロブリンペプチドのHCアミノ酸を置換することにより、(元来の野生型四量体抗体分子に自然に生じる)最終的なポリペプチドのホモ二量体化又は「自己ペアリング化」をかなり低減させることができる。置換D239K、E240K、及びK292Dにより、ヘテロ二量体レセプターの第2のサブユニットの可溶性セグメントにコンジュゲート、結合又は融合した第2の免疫グロブリンポリペプチドのHC配列を同様に修飾することで、このようなポリペプチドのホモ二量体化が低減又は無効化する。
【0042】
異なるヘテロ二量体レセプターサブユニットからの可溶性セグメントをそれぞれ含有する2つのポリペプチドが共発現すると、イオン相互作用の安定化(例えば、E240-K253、D282-K292、及びK322-D239)、及びポリペプチドのペアリングが回復し、可溶性ヘテロ二量体レセプターを生じせしめることができる。表1にはこれら種々の置換を(例示的様式で)要約する。他の例示的定常ドメインにおいて対応する変異部位は、ヒトIgG1(配列番号20)を有するアラインメント(図7の実施例を参照)により誘導可能である。例えば、表1に示すように、上述した残基103の番号では、IgG1残基に対応するIgG4残基を、3を引くことにより得ることができる。
【0043】
本発明のコンストラクトのFc-ドメインは、表1の変異対の1、2又は全てを含有していてもよい。よって、非限定的な一実施態様では、本発明のヘテロ二量体コンストラクトは、配列番号20の残基239に対応する残基にリジン(K)、及び配列番号20の残基292に対応する残基にアスパラギン酸(D)を含有する、第1の変異Fc-ドメイン、及び配列番号20の残基282に対応する残基にリジン、及び配列番号20の残基322に対応する残基にアスパラギン酸(D)を含有する、第2の変異Fc-ドメインを含む。この種のコンストラクトは、ここでは「二重変異」コンストラクトと称される。非限定的な他の実施態様では、本発明のヘテロ二量体コンストラクトは、配列番号20の残基239及び240に対応する残基にリジン(K)、及び配列番号20の残基292に対応する残基にアスパラギン酸(D)を含有する、第1の変異Fc-ドメイン、及び配列番号20の残基253に対応する残基にグルタミン酸(E)、配列番号20の残基282に対応する残基にリジン、及び配列番号20の残基322に対応する残基にアスパラギン酸(D)を含有する、第2の変異Fc-ドメインを含む。付加的に又は代替的に、一又は複数の変異対を、他の変異対と組合せてもよい。例示的な一つの代替的又は付加的な変異対は、配列番号21における残基位置を指すT243Y、Y284Tである(IGHG1_MOUSE)。
【0044】
表1
配列番号20(UniProt IGHG1_HUMAN)又は配列番号24(UniProt IGHG4_HUMAN)をそれぞれ指すヒトIgG1又はIgG4の定常ドメインにおけるアミノ酸置換例。

上に記載したように、種々の野生型又は変異マウスFcドメインも、本発明のヘテロ二量体コンストラクトに使用することができる。図8には、実施例において、コンストラクトを調製するのに使用された、マウスの野生型又は変異Fcドメインのいくつかが記載されている。
【0045】
本発明のヘテロ二量体レセプターにおいて、ポリペプチドの種々のセグメントは、従来からの多様な方法を使用して結合させることができる。例示的な実施態様では、ヘテロ二量体レセプターのサブユニットの可溶性部分は、免疫グロブリンポリペプチド(例えば、sS1-リンカー-Fc又はsS2-リンカー-Fc)に結合しており、又は第1のサブユニットの可溶性部分が第2のサブユニットの可溶性部分(例えば、sS1-リンカー-sS2-Fc、sS2-リンカー-sS1-Fc、sS1-リンカー1-sS2-リンカー2-Fc、sS2-リンカー1-sS1-リンカー-2-Fc)に結合している。例えば(1)化学的架橋結合;(2)可溶性レセプターセグメント及び/又は免疫グロブリンポリペプチドセグメントへ、ペプチド等の部分が付加し、ついで部分又は部分群の付加を介してセグメントが結合し、ハイブリッドタンパク質が形成されることによる親和性会合;及び(3)可溶性レセプターセグメント及び/又は免疫グロブリンポリペプチドセグメントが結合し、ポリペプチドリンカー、すなわち融合タンパク質を介したポリペプチド単鎖の形成により、種々のセグメントを結合させることができる。
【0046】
第1の結合カテゴリーにおいて、任意の多様な従来からの方法は、2つのポリペプチド鎖を化学的にカップリング(架橋結合)させるのに使用することができる。共有結合は、現存する側鎖の直接縮合(例えば、ある種のCD94/NKG2レセプター中のCD94及びNKG2サブユニットの可溶性部分に自然に生じ得る、システイン残基間のジスルフィド結合の形成)により、又は外部架橋分子の導入により達成可能である。多くの二価又は多価薬剤が、ポリペプチドのカップリングに有用である。
【0047】
一般的に、使用される架橋結合剤は、例えばエプシロン-アミノ基又はチオール基と反応する、二価官能性剤である。これらの架橋リンカーは、2つのカテゴリー:ホモ-及びヘテロ-二官能性試薬に分類することができる。ホモ二官能性試薬は、例えば遊離のチオール(例えば、ジスルフィド結合の還元時に発生)と反応可能であり、例えば遊離のチオールを有する2つのポリペプチド間にチオエーテル結合を形成可能な、5,5'-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)(DNTB)、及びo-フェニレンジマレイミド(O-PDM)が含まれる。ヘテロ二官能性試薬は、第2のポリペプチドと反応可能なポリペプチドに、反応基を導入することができる。例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)は、第1級アミノ基と反応して、遊離のチオール基を導入することができる。他の化学的架橋結合剤には、例えばカルボジイミド類、ジイソシアナート類、ジアゾベンゼン類、ヘキサメチレンジアミン類、ジマレイミド、グルタルアルデヒド、4-スクシンイミジル-オキシカルボニル-a-メチル-a(2-ピリジルチオ)トルエン(SMPT)及びN-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセタート(SATA)が含まれる。このような薬剤とポリペプチドとを架橋結合させるための手順は、当該分野でよく知られている。例えば、Pierce ImmunoTechnology Catalog & Handbook(1991)E8- E39; Karpovskyら, J. Exp. Med. 1984;160:1686以下参照; Liuら. Proc. Natl. Acad. Sci. 1985;82:8648以下参照; 及び米国特許第4,676,980号を参照。
【0048】
架橋結合剤の2つの反応基の間のスペーサーアームは、種々の長さ及び化学的組成を有していてよい。スペーサーアームが長ければ長い程、コンジュゲートされたポリペプチドの可動性は良好になり、また架橋中の特定の成分(例えばベンゼン基)により、種々の態様の作用に対する化学的結合の耐性を増加させ、反応基に対する安定性が増す(例えば、ジスルフィド結合は、試薬の還元に対して耐性がある)。ペプチドスペーサー、例えばペプチドリンカー、又は以下に記載されるリンカーペプチドの使用も考えられる。
【0049】
第2のカテゴリーの結合法において、従来からの方法が、可溶性レセプター部分及び/又は免疫グロブリンポリペプチドに任意の種々の部分(例えばペプチド)を付加するために使用することができ、よって、付加された部分を介して会合可能な、ハイブリッド又は融合タンパク質が生成される。
【0050】
一実施態様では、ビオチン及びアビジン(ストレプトアビジン)等の部分は、可溶性レセプター部分及び/又は免疫グロブリンポリペプチドに結合しているか、又は複合体化しており、これらの部分は2つのサブユニットと相互作用して会合する。
【0051】
他の実施態様では、付加された部分は双方ともペプチドであり、ここでは「二量体化-促進ペプチド」と称され得る。使用可能な多種多様なこのようなペプチドリンカーとしては、GST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)融合タンパク質、又はその二量体化モチーフ;PDZ二量体化ドメイン;FK-506BP(結合タンパク質)又はその二量体化モチーフ;p53の天然又は人工のヘリックス-ターン-ヘリックス二量体化ドメイン;及びプロテインA又はその二量体化ドメイン、ドメインBを挙げることができる。一実施態様では、追加されたペプチドはロイシンジッパーの成分である。ロイシンジッパー部分は、多くの場合、ヒト転写因子c-jun及びc-fosから取られる。
【0052】
二量体化-促進ペプチドは、2つのサブユニットが、例えば立体傷害により、それぞれ他方の活性に干渉することを防止するため、適切なタンパク質折り畳みが可能になるように、適切な程度の可動性を提供すべきである。よって、その長さ、アミノ酸組成、及び/又は立体構造を変えることにより、例えばさらなる他の「第2のリンカー部分」又は「ヒンジ部分」を付加することにより、二量体化-促進ペプチドを修飾することが望まれている。多くの種類の第2のリンカー部分は、例えば小さくて、好ましくは中性、さらに極性又は無極性のアミノ酸、例えばグリシン、セリン、スレオニン又はアラニンで、種々の長さ及び組合せのもの;ポリリジン等である。また複数のリンカー及び/又は第2のリンカー部分を使用することができる。また時々は、可動性ヒンジ領域、例えばヒトIgGのヒンジ領域、もしくは所定の間隔を開けてセリン又はスレオニンが挿入されたポリグリシン繰り返しを使用することが望まれている。
【0053】
二量体化-促進ペプチドの長さ及び組成は、可溶性レセプターの所望する特性、例えばリガンドに対するその結合能力が最適化されるように、当業者により容易に選択可能である。抗体に対する結合性についての従来からのアッセイは、実施例に記載している。
【0054】
例えば、上述した化学的カップリング(必要であれば、適切なアミノ酸基の二量体化後);ビオチン/アビジン相互作用を介した付着;当該分野で認定された方法による共有結合(例えば、適切な酵素の使用);組換え方法;又はそれらの組合せ等、当業者にとって明白であろう様々な方法で、ペプチドを、可溶性レセプター部分及び免疫グロブリンポリペプチドに付加することができる。
【0055】
第3の結合カテゴリーにおいて、可溶性レセプター部分及び/又は免疫グロブリンポリペプチドは、ペプチドリンカーを介して共有結合している。このカテゴリーにおいては、フレームにおいて、2つのセグメントのそれぞれの可溶性部分を結合させ、単鎖のポリペプチド分子を形成させるために、組換え技術が使用される。好ましくは、レセプター部分は、任意の長さ又はアミノ酸組成、最も好ましくは可動性ループ構造のリンカーペプチドにより互いに離間しており、2つのレセプター分子は、互いに適切な距離で、最適な相互作用にとって適切なアラインメントに位置することができる。典型的なリンカーペプチドには、小さくて、好ましくは中性、さらに極性又は無極性のアミノ酸、例えばグリシン、セリン、スレオニン又はアラニンで、種々の長さ及び組合せのもの;ポリリジン等が含まれる。ペプチドリンカーは少なくとも一のアミノ酸を有することができ、500又はそれ以上のアミノ酸を有していてもよい。好ましくは、リンカーは約100未満のアミノ酸、より好ましくは約2〜30、最も好ましくは約3〜10のアミノ酸である。可動性リンカードメイン、例えばヒトIgGのヒンジ領域、又は所定の間隔を開けてセリン又はスレオニンが挿入されたポリグリシン繰り返しが、単独で、又は他の部分との組合せとして使用可能である。例示的なリンカーは、グリシン(G)、セリン(S)、及び/又はアルギニン(R)の組合せをベースにしたものであり、限定されるものではないが、GS、GSS、GGSGGS(配列番号6)、及びGGSGGSRSS(配列番号7)が含まれる。一実施態様では、単鎖のヘテロ二量体レセプターにおいて第1及び第2のサブユニットを結合させるリンカーはGGSGGS(配列番号6)である。他の実施態様では、単鎖のヘテロ二量体レセプターにおいて第1及び第2のサブユニットを結合させるリンカーはGGSGGSRSS(配列番号7)である。
【0056】
このような、直鎖状で単鎖のヘテロ二量体レセプターを生成するために使用可能な組換え方法は従来的なものである。さらに、2つの可溶性レセプター部分が、可溶性ヘテロ二量体レセプターの機能を最適化可能な所定の距離及び方向で整列するように、リンカーペプチドを選択し、パラメーターを最適化するための常套的な手順を使用可能である。例えば、米国特許第4935233号及び同4751180号を参照。
もちろん、2つのサブユニットは、任意の相対順序又は方向における直列配列等、上述した部分の任意の組合せを介して会合可能である。
【0057】
よって、一態様において、本発明は、免疫グロブリンをコード化した少なくとも一の核酸、及び少なくとも一の単量体レセプターサブユニットの可溶性部分を含有するポリペプチドをコード化した単離された核酸を有する、可溶性ヘテロ二量体レセプターポリペプチドをコード化した、単離された核酸を提供する。一実施態様では、ある核酸はNKG2サブユニット(例えば、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、又はNKG2Fサブユニット)と免疫グロブリンポリペプチドをコード化し、ある核酸はCD94サブユニットと免疫グロブリンポリペプチドをコード化し、コード化されたヘテロ二量体レセプターは、対応するCD94/NKG2レセプターに対する抗体、又はCD94/NKG2レセプターの天然リガンドに結合する。例えば、ある核酸は、NKG2Aサブユニットと免疫グロブリンペプチドをコード化可能であり、ある核酸は、CD94ポリペプチドと免疫グロブリンペプチドをコード化可能であり、コード化されたヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2Aリガンド、例えばHLA-E、又はCD94/NKG2Aレセプター、例えばヒトCD94/NKG2Aレセプターに対する抗体に結合可能である。他の実施態様では、単一の単離された核酸は、NKG2サブユニット、CD94サブユニット、及び免疫グロブリンサブユニットの双方を含有する単鎖のヘテロ二量体レセプターをコード化し、コード化されたヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2リガンド、例えばHLA-E、又はCD94/NKG2レセプターに対する抗体に結合する。例えば、単一の単離された核酸は、NKG2A(又はNKG2C)サブユニット、CD94サブユニット、及び免疫グロブリンサブユニットを含有する単鎖のヘテロ二量体レセプターをコード化可能であり、コード化されたヘテロ二量体レセプターは、HLA-E、又はCD94/NKG2A(又はCD94/NKG2C)レセプターに対する抗体に結合する。
【0058】
上に記載した核酸において、ある核酸は、配列番号1に説明されたNKG2Aレセプターの可溶性部分、又はその変異体又はオルソログをコード化可能である。一実施態様では、核酸は、配列番号1の残基116-233を含有するNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号1の残基99-233を含有するNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号1の残基99-116から選択される残基から始まり、残基116で終結する、NKG2Aサブユニットの断片をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号1の残基116-233からなるNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号1の残基99-233からなるNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。
【0059】
一実施態様では、核酸は、配列番号3の残基114-231を含有するNKG2Cサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号3の残基97-231、例えば96-231を含有するNKG2Cサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号3の残基96-114から選択される残基から始まり、残基114で終結する、NKG2Cサブユニットの断片をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号3の残基114-231からなるNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号3の残基96-231からなるNKG2Aサブユニットの可溶性部分をコード化する。ある核酸は、配列番号2に説明されたCD94レセプターの可溶性部分を、付加的に又は代替的にコード化可能である。一実施態様では、核酸は、配列番号2の残基58-179を含有するCD94サブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号2の残基35-179を含有するCD94サブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号2の残基35-58から選択される残基から始まり、残基179で終結する、CD94サブユニットの断片をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号2の残基58-179からなるCD94サブユニットの可溶性部分をコード化する。他の実施態様では、核酸は、配列番号2の残基35-179からなるCD94サブユニットの可溶性部分をコード化する。
【0060】
また本発明の核酸は、さらなる特徴のヘテロ二量体レセプターコンストラクト、例えば、ペプチドリンカー、多量体化ドメイン、アフィニティタグ等をコード化してもよい。例えば、核酸は、ヘテロ二量体レセプターのサブユニットの可溶性部分を免疫グロブリンポリペプチド(例えば、sS1-リンカー-Fc又はsS2-リンカー-Fc)、又は第1のサブユニットの可溶性部分を第2のサブユニットの可溶性部分(例えば、sS1-リンカー-sS2-Fc、sS2-リンカー-sS1-Fc、sS1-リンカー1-sS2-リンカー2-Fc、sS2-リンカー1-sS1-リンカー2-Fc)に結合させる、一又は複数のペプチドリンカーをさらにコード化してよい。例示的なリンカーは、グリシン(G)、セリン(S)、及び/又はアルギニン(R)の組合せをベースにしたものであり、限定されるものではないが、GS、GSS、GGSGGS(配列番号6)、及びGGSGGSRSS(配列番号7)が含まれる。一実施態様では、単鎖のヘテロ二量体レセプターにおいて第1及び第2のサブユニットを結合させるリンカーはGGSGGS(配列番号6)である。他の実施態様では、単鎖のヘテロ二量体レセプターにおいて第1及び第2のサブユニットを結合させるリンカーはGGSGGSRSS(配列番号7)である。
【0061】
他の実施態様では、発現ベクターの核酸は、一又は複数の分泌シグナル配列をコード化する。一実施態様では、シグナル配列は、
MPLLLLLPLLWAGALAMD(配列番号30)
である。
また核酸は、特に、融合タンパク質において異なるセグメント間の一又は複数の切断部位もコード化してよい。例えば、Tuanら, Connective Tissue Research 1996;34:1-9を参照。
【0062】
一態様において、本発明は、シグナル(Sig)配列、並びに発現ベクター、及びこのような核酸を含有する宿主細胞を有する又は有さない、表2に列挙されたアミノ酸配列と、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列をコードする核酸を提供する。他の態様において、本発明は表2のアミノ酸配列の変異体を提供する。好ましい実施態様では、コード化された変異体は、ヒトCD94/NKG2Aレセプターの天然リガンド、又はヒトCD94/NKG2Aレセプターに対して生じた抗体に結合する。他の好ましい実施態様では、コード化された変異体は、ヒトCD94/NKG2Cレセプターの天然リガンド、又はヒトCD94/NKG2Cレセプターに対して生じた抗体に結合する。
【0063】
表2
例示的な可溶性CD94/NKG2Aレセプターコンストラクトのアミノ酸配列(Sig=シグナル配列;mFc=マウスFc-タンパク質;GS、GSS等=グリシン(G)、セリン(S)、及びアルギニン(R)をベースにしたリンカー)。Fcドメインの命名は図8の命名を指す。

【0064】
他の態様において、本発明は、次の作用可能に結合したエレメント:(a)転写プロモータ;免疫グロブリンポリペプチドに融合したヘテロ二量体レセプターの可溶性部分の第1のサブユニットをコード化する第1の核酸;及び転写ターミネータを含有する第1の発現ベクター;及び次の作用可能に結合したエレメント:(b)第2の転写プロモータ;免疫グロブリンポリペプチドに融合したヘテロ二量体レセプターの可溶性部分の第2のサブユニットをコード化する第2の核酸;及び転写ターミネータを含有する第2の発現ベクターを提供する。他の態様において、第1及び第2の核酸は、場合によってはインフレームで、単一の発現ベクター内に包含される。他の態様において、発現ベクターは、次の作用可能に結合したエレメント:(a)転写プロモータ;単鎖可溶性ヘテロ二量体レセプターをコードする第1の核酸;及び転写ターミネータを含有する。上述した態様の任意の一実施態様では、発現ベクターは、核酸に作用可能に結合した又は含有される分泌シグナル配列、アフィニティタグ、リンカー配列をさらにコード化する。上述した態様の他の実施態様では、ヘテロ二量体レセプターは、ヒトCD94/NKG2レセプターである。上述した態様の他の実施態様では、ヘテロ二量体レセプターは、ヒトCD94/NKG2Aレセプターである。上述した態様の他の実施態様では、ヘテロ二量体レセプターは、ヒトCD94/NKG2Cレセプターである。
【0065】
他の態様において、本発明は、上述した少なくとも一の発現ベクターを含有する培養細胞を提供し、ここで、細胞は発現ベクターによりコード化されたポリペプチドを発現する。単細胞は、免疫グロブリンポリペプチドに融合した可溶性ヘテロ二量体レセプターの単一ユニットをコード化する(例えば、sS1-Fc又はsS2-Fcをコード化する)発現ベクター、それそれ免疫グロブリンポリペプチドに融合した可溶性ヘテロ二量体レセプターの第1及び第2のサブユニットの双方をコード化する(例えば、sS1-Fc及びsS2-Fcをコードする)発現ベクター、又はヘテロ二量体レセプターの第1及び第2のサブユニット及び免疫グロブリンポリペプチドを含有する単鎖のヘテロ二量体レセプターをコード化(例えば、sS1-sS2-Fc又はsS2-sS1-Fc)発現ベクターを含有してよい。
【0066】
また本発明は、このような発現ベクターで宿主細胞を形質移入し、細胞又は細胞培養物において一又は複数の核酸を発現させることによる、可溶性ヘテロ二量体レセプターの生産方法を提供する。一実施態様では、培養細胞は上述したような発現ベクターを含有し、ここで第1及び第2の核酸は同様の発現ベクター上に位置しており、細胞は発現ベクターによりコード化されたポリペプチドを発現する。他の実施態様では、培養細胞は発現ベクターを含有し、ここで第1及び第2の核酸は、独立して発現ベクター上に位置し、細胞に同時形質移入され、細胞は核酸によりコード化されたポリペプチドを発現する。他の実施態様では、第1の宿主細胞は、上述した毎に第1の核酸をコードする発現ベクターを用いて形質移入され、第2の宿主細胞(同じ又は異なるタイプのもの)は、上述した毎に第2の核酸をコードする核酸を用いて形質移入され、第1及び第2の宿主細胞は核酸によりコード化されたポリペプチドを、別々に発現する。他の実施態様では、培養細胞は上述したような発現ベクターを含有しており、ここで細胞は、核酸によりコード化された単鎖のヘテロ二量体又は多量体可溶性レセプターポリペプチドを発現する。他の実施態様では、培養細胞は、免疫グロブリンペプチド、及びヘテロ二量体レセプターサブユニットの可溶性部分の単量体融合タンパク質を分泌する。他の実施態様では、培養細胞は、可溶性のヘテロ二量体レセプターポリペプチドヘテロ二量体又は多量体複合体を分泌する。他の実施態様では、培養細胞は、CD94/NKG2レセプターに対する抗体又はCD94/NKG2リガンド又はに結合する、可溶性CD94/NKG2レセプターを分泌する。他の実施態様では、培養細胞は、CD94/NKG2Aに対する抗体又はCD94/NKG2Aリガンドに結合する、可溶性CD94/NKG2Aレセプターを分泌する。他の実施態様では、培養細胞は、CD94/NKG2Cに対する抗体又はCD94/NKG2Cリガンドに結合する、CD94/NKG2Cレセプターを分泌する。
【0067】
一実施態様では、本発明は:上述したような細胞を培養し;細胞により生成された可溶性レセプターポリペプチドを単離することをを含む、ヘテロ二量体又は多量体複合体を形成する可溶性ヘテロ二量体レセプターポリペプチドの生産方法を提供する。他の実施態様では、本発明は:第1の免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第1のサブユニットの可溶性部分を発現する第1の細胞と、第2の免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第2のサブユニットの可溶性部分を発現する第2の細胞を同時培養し、培養培地に形成された可溶性ヘテロ二量体ポリペプチドを単離することを含む、可溶性ヘテロ二量体レセプターの生産方法を提供する。他の実施態様では、本発明は:第1の免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第1のサブユニットの可溶性部分を発現する第1の細胞と、第2の免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第2のサブユニットの可溶性部分を発現する第2の細胞を別々に培養し、第1及び第2のサブユニット融合タンパク質を別々に精製し、第1及び第2のサブユニット融合タンパク質を混合し、形成された可溶性ヘテロ二量体ポリペプチドを単離することを含む、可溶性ヘテロ二量体レセプターの生産方法を提供する。上述した単離工程は、当該分野で公知の方法に従い、一又は複数の精製工程を含んでいてもよい。
【0068】
一態様において、本発明は、少なくとも一のハイブリッドタンパク質、すなわち2つのポリペプチド(典型的には、少なくとも一のレセプターと免疫グロブリンセグメント及び/又は他の二量体化-促進ペプチドを含有する融合ポリペプチド)がペプチド結合以外の相互作用(例えば、ジスルフィド結合、アビジン-ビオチン、ロイシンジッパー等)を介して結合したタンパク質を含有する、単離された可溶性ヘテロ二量体レセプターを提供する。この方法において、ポリペプチドは組換え方法により別々に生成され、その後、結合される。
【0069】
所望するならば、単細胞又は細胞培養体において生成される2つの組換え融合タンパク質の相対量は、例えば異なる強さのプロモータから、それらを発現させることにより調節することができる。例えば、第1のサブユニットAの付加ペプチドが、高頻度でホモ二量体を形成し、これに対し第2のサブユニットBの付加ペプチドが、低頻度でホモ二量体を形成するならば、サブユニットAよりもサブユニットBをかなり高レベルで発現させることにより、所望のヘテロ二量体の形成を誘導させることができる。最適な相対量は常套的な実験により、実験的に決定することができる。
【0070】
他の態様において、本発明は、上述した核酸によりコード化され単離された可溶性ヘテロ二量体レセプターを提供する。一実施態様では、単離された可溶性ヘテロ二量体レセプターポリペプチドは、2つのポリペプチドを含有し、第1は免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第1のサブユニットの可溶性部分を含有し、第2は免疫グロブリンポリペプチドに結合したヘテロ二量体レセプターの第2のサブユニットを含有する。第1及び第2のポリペプチドは、好ましくは例えばイオン力、共有結合、又はそれらの組合せを介して会合している。少なくとも2のポリペプチドを含有する可溶性ヘテロ二量体レセプターにおいて、ポリペプチドは、レセプターサブユニット部分又は免疫グロブリン部分の間のジスルフィド結合により会合可能であり、及び/又はここで記載したような一免疫グロブリンセグメントにおける変異を介して相互作用させることもできる。一実施態様では、あるポリペプチドはNKG2サブユニット(例えば、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、又はNKG2F)と免疫グロブリンペプチドを含有しており、あるポリペプチドはCD94ポリペプチドと免疫グロブリンペプチドを含有しており、形成されたヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2リガンド、例えば対応するCD94/NKG2レセプターに対する抗体、又は天然リガンド、例えばCD94/NKG2A、CD94/NKG2Cの場合にはHLA-Eに結合している。他の実施態様では、ヘテロ二量体レセプターは、ヘテロ二量体レセプターの第1及び第2のサブユニットの可溶性部分と免疫グロブリンポリペプチドを含有する、単鎖ポリペプチドである。ヘテロ二量体NKG2レセプターのケースにおいて、コード化されたヘテロ二量体レセプターは、CD94/NKG2レセプター、例えばヒトCD94/NKG2レセプターに対する抗体、又は天然リガンド、例えばNKG2A、NKG2C等の場合にはHLA-Eに結合可能である。
【0071】
ヘテロ二量体レセプターは、配列番号1に説明されたNKG2A配列の可溶性部分、又はその変異体又はオルソログを含有可能である。一実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号1の残基116-233を含有する。他の実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号1の残基99-233を含有する。他の実施態様では、可溶性部分は、配列番号1の残基99-116から選択される残基から始まり、残基116で終結する、NKG2Aサブユニットの断片を含有する。他の実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号1の残基116-233からなる。他の実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号1の残基99-233からなる。
【0072】
またヘテロ二量体レセプターは、配列番号3に説明されたNKG2C配列の可溶性部分を、付加的に又は代替的に含有してよい。一実施態様では、NKG2Cサブユニットは、配列番号3の残基114-231を含有する。他の実施態様では、NKG2Cサブユニットの可溶性部分は、配列番号3の残基97-231、例えば96-231を含有する。他の実施態様では、可溶性部分は、配列番号3の残基96-114から選択される残基から始まり、残基114で終結する、NKG2Cサブユニットの断片を含有する。他の実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号3の残基114-231からなる。他の実施態様では、NKG2Aサブユニットの可溶性部分は、配列番号3の残基96-231からなる。
【0073】
またヘテロ二量体レセプターは、例えば、NKG2A-残基99-233と共に整列したセグメントを含有する、NKG2B、NKG2Eの可溶性部分を、付加的に又は代替的に含有してよい。
【0074】
ヘテロ二量体レセプターは、配列番号2に説明されたCD94レセプターの可溶性部分、又はその変異体又はオルソログを含有可能である。一実施態様では、CD94サブユニットの可溶性部分は、配列番号2の残基58-179を含有する。他の実施態様では、CD94サブユニットの可溶性部分は、配列番号2の残基34-179又は35-179を含有する。他の実施態様では、可溶性部分は、配列番号2の残基34-58から選択される残基から始まり、残基179で終結する、CD94サブユニットの断片を含有する。他の実施態様では、CD94サブユニットの可溶性部分は、配列番号2の残基58-179からなる。他の実施態様では、CD94サブユニットの可溶性部分は、配列番号2の残基35-179からなる。
【0075】
一態様において、本発明は、表1に列挙したアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、並びにこのようなポリペプチドを含有する薬学的組成物を提供する。他の態様において、本発明は、表2のアミノ酸配列の変異体を含有するヘテロ二量体レセプターを提供する。一実施態様では、変異体は、ヒトCD94/NKG2レセプターの天然リガンド、例えばHLA-E、及び/又はCD94/NKG2Aレセプターに対して生じた抗体に結合している。変異体は、例えば上述したような保存アミノ酸置換、非保存アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失において、親とは異なっていてもよい。例えば、本発明のレセプターポリペプチドにおける必須アミノ酸は、当該分野で公知の手順、例えば部位特異的突然変異誘発又はアラニン-スキャンニング突然変異誘発(Cunningham及びWells, Science 1989;244:1081-1085; Bassら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1991;88:4498-4502)に従い、作製及び同定することができる。後者の技術において、単一のアラニン突然変異は、分子の全ての残基に導入され、得られた突然変異分子は生物活性(例えば、リガンド結合及びシグナル変換)について試験され、分子の活性に対して重要なアミノ酸残基が同定される。また、リガンド-レセプター相互作用の部位は、核磁気共鳴、結晶学、又は光親和性標識等の技術により決定される結晶構造を分析することで、決定することができる。例えば、Vosら, Science 1992;255:306-312; Smithら, J. Mol. Biol. 1992;224:899-904; Wlodaverら, FEBS Lett. 1992;309:59-64。また、必須アミノ酸の同定は、関連するレセプターを用いたホモロジーの分析から推論することができる。
【0076】
多数のアミノ酸置換は、突然変異誘発及びスクリーニングの公知の方法、例えばReidhaar-Olson及びSauer Science 1988;241:53-57、又はBowie及びSauer Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1989;86:2152-2156に記載されているものを使用し、作製及び試験することができる。簡潔には、これらの著者は、ポリペプチドにおける2又はそれ以上の位置を同時にランダム化し、変異誘発したポリペプチドの配列決定をし、各位置における許容可能な置換のスペクトルを測定する方法を開示している。使用可能な他の方法には、ファージディスプレイ、例えばLowmanら, Biochem. 1991;30:10832-10837; Ladnerら, 米国特許第5,223,409号; Huse, WIPO Publication WO 92/06204,及び突然変異誘発を指向した分野(Derbyshireら, Gene 46:145,(1986); Nerら, DNA 7:127,(1988))が含まれる。上述したような突然変異生成法は、宿主細胞においてクローンされ、突然変異生成したレセプターの活性を検出するための高スループットスクリーニング方法と組合せることができる。この点に関して好ましいアッセイには、以下に記載するようなバイオセンサーベースのリガンド結合アッセイ、及び細胞増殖アッセイが含まれる。活性化ヘテロ二量体レセプター又はその一部(例えばリガンド結合断片)をコード化した突然変異DNA分子を宿主細胞から回収し、モデム装置を使用し、素早く配列決定することができる。これらの方法により、関心あるポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性を、素早く測定することが可能で、未知の構造のポリペプチドに適用することもできる。
【0077】
以下、本発明の付加的な例示的態様のいくつかを記載する:
一態様において、本発明は、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分とCD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターを提供する。一態様において、単鎖コンストラクトは、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチドをさらに含有してよい。よって、本発明は、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチド、及びNKG2アミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターを提供する。一実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターでは、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合可能であり、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。他の実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターでは、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターにおいて、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分、免疫グロブリンポリペプチドを含有する実施態様ではは免疫グロブリンポリペプチドは、例えば共有結合により会合可能である。例えば、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分及びCD94アミノ酸配列の可溶性部分は、グリシン及びセリンを含有するペプチドリンカーにより結合可能である。
【0078】
他の態様において、本発明は、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分と、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプターを提供する。一態様において、単鎖コンストラクトは、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチドをさらに含有してよい。よって、本発明は、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチド、及びNKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプターを提供する。一実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプターでは、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合可能であり、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。他の実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプターでは、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプターにおいて、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分、免疫グロブリンポリペプチドを含有する実施態様ではは免疫グロブリンポリペプチドは、例えば共有結合により会合可能である。例えば、NKG2Aアミノ酸配列の可溶性部分及びCD94アミノ酸配列の可溶性部分は、グリシン及びセリンを含有するペプチドリンカーにより結合可能である。
【0079】
他の態様において、本発明は、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分と、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプターを提供する。一態様において、単鎖コンストラクトは、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチドをさらに含有してよい。よって、本発明は、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチド、及びNKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有する、単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプターを提供する。一実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプターでは、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合可能であり、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。他の実施態様では、単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプターでは、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端は、免疫グロブリンポリペプチドに結合する。単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプターにおいて、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分、CD94アミノ酸配列の可溶性部分、免疫グロブリンポリペプチドを含有する実施態様ではは免疫グロブリンポリペプチドは、例えば共有結合により会合可能である。例えば、NKG2Cアミノ酸配列の可溶性部分及びCD94アミノ酸配列の可溶性部分は、グリシン及びセリンを含有するペプチドリンカーにより結合可能である。
【0080】
他の態様において、本発明は、上述したような、任意で単鎖可溶性CD94/NKG2、CD94/NKG2A又はCD94/NKG2Cレセプターの二量体を提供する。
【0081】
他の態様において、本発明は、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分を含有するNKG2サブユニット、及びCD94アミノ酸配列の可溶性部分を含有するCD94サブユニットを含む、可溶性CD94/NKG2レセプターを提供し、ここでNKG2サブユニット及びCD94サブユニットの少なくとも一方は、Fcドメインの全て又は一部又はその変異体を含有する免疫グロブリンポリペプチドを含み、NKG2サブユニットの非限定的例はNKG2A及びNKG2Cである。例えば、免疫グロブリンポリペプチドは、コンストラクトのインビボ半減期を増加させる、IgG Fcドメインの一部を含有してよい。一実施態様では、免疫グロブリンポリペプチドは機能的Fcドメインである。他の実施態様では、FcドメインはIgG4抗体からのものである。さらなる他の実施態様では、FcドメインはIgG1抗体からのものである。
【0082】
他の態様において、NKG2及びCD94サブユニットの一方のみが、免疫グロブリンポリペプチドに結合している。例えば、免疫グロブリンポリペプチドは、サブユニットのC-末端部分に結合可能である。一実施態様では、NKG2及びCD94サブユニットは、ペプチドリンカーを介して結合している。例えば、ペプチドリンカーは、配列GGSGGS(配列番号6)又はGGSGGSRSS(配列番号7)を含有していてよい。特定の実施態様では、NKG2Aサブユニットは免疫グロブリンポリペプチドに共有結合的に結合している。他の実施態様では、CD94サブユニットは免疫グロブリンポリペプチドに共有結合的に結合している。
【0083】
他の態様において、NKG2及びCD94サブユニットのそれぞれは、免疫グロブリンポリペプチドに共有結合的に結合している。例えば、NKG2サブユニットのN-末端は、第1のポリペプチドが形成されるように、第1の免疫グロブリンポリペプチドのC-末端に結合可能であり、CD94サブユニットのN-末端は、第2のポリペプチドが形成されるように、第2の免疫グロブリンポリペプチドのC-末端に結合可能である。一実施態様では、第1及び第2の免疫グロブリンポリペプチドの双方は、ヒトIgG1Fcドメインの変異体であり、第1の免疫グロブリンポリペプチドは、K253E、D282K、及びK322Dに対応する置換を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドは、D239K、E240K、及びK292Dに対応する置換を含み、又は逆もしかりである。他の実施態様では、第1及び第2の免疫グロブリンポリペプチドの双方は、ヒトIgG4Fcドメインの変異体であり、第1の免疫グロブリンポリペプチドは、K250E、D279K、及びK319Dに対応する置換を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドは、E236K、E237K、R289Dに対応する置換を含み、又は逆もしかりである。
【0084】
任意の上述した態様において、NKG2サブユニットはNKG2Aとすることができ、ここでNKG2Aアミノ酸配列は、例えばヒトNKG2A(配列番号1)のものとすることができる。例えば、NKG2Aサブユニットは、配列番号1の残基99-233を含有していてよい。
任意の上述した態様において、NKG2サブユニットはNKG2Cとすることができ、ここでNKG2Cアミノ酸配列は、例えばヒトNKG2C(配列番号3)のものとすることができる。例えば、NKG2Cサブユニットは、配列番号3の残基96-231を含有していてよい。
任意の上述した態様において、CD94アミノ酸配列は配列番号2とすることができる。例えば、CD94サブユニットは、配列番号2の残基35-179を含有していてよい。
【0085】
任意の上述した態様において、免疫グロブリンポリペプチドは、配列番号12-29から選択される配列の完全長又は断片を含有していてもよい。配列番号12-29それぞれの完全長又は断片を含有するヘテロ二量体コンストラクトは、特異的な別の本発明の実施態様である。
任意の上述した態様において、免疫グロブリンポリペプチドは、シグナル配列に共有結合的に結合可能である。例えば、シグナル配列は配列番号30の配列を含有していてもよい。
付加的な又は代替的な態様において、本発明は、配列番号31及び32;配列番号33及び34;配列番号35及び36;配列番号37;配列番号38、及び配列番号39の配列を含有する可溶性CD94/NKG2Aレセプター、又は配列番号59を含有する可溶性CD94/NKG2Cレセプターを提供する。
【0086】
他の態様において、本発明は、任意の上述した態様の可溶性CD94/NKG2レセプターをコードする核酸を提供する。このような核酸を含有する発現ベクターで形質転換された細胞が提供され、ここで該細胞は、例えば原核細胞又は真核細胞であってよい。また、可溶性CD94/NKG2レセプターの発現に適した条件下でこのような細胞を培養することを含む、CD94/NKG2レセプターの生産方法も提供される。
他の態様において、本発明は、任意の上述した態様の可溶性CD94/NKG2レセプターを有効量と、製薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含有する薬学的組成物を提供する。
他の態様において、本発明は、CD94/NKG2レセプター、例えばCD94/NKG2Aに対する抗体を生成させる方法を提供し、該方法は、任意の上述した態様の可溶性CD94/NKG2レセプターで動物に予防接種し、ここでポリペプチドは、動物において免疫反応を誘発させ、抗体を生成させるものであり、動物から抗体を単離することを含む。
【0087】
可溶性ヘテロ二量体レセプターの調製
本発明のヘテロ二量体レセプターポリペプチドは、従来からの技術に従い、遺伝子操作された宿主細胞において生成することができる。
適切な宿主細胞は、外来性DNAで形質転換又は形質移入可能で、培養にて成長可能なタイプの細胞であり、細菌、真菌細胞、培養された高等真核細胞が含まれる。真核細胞、特に多細胞生物の培養細胞が好ましい。クローンされたDNA分子を操作し、種々の宿主細胞に外来性DNAを導入するための技術は、出典明示によりここに援用される:Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY,(1989)に開示されている。
【0088】
一般的に、可溶性ヘテロ二量体レセプターポリペプチドをコード化したDNA配列は、その発現に必要な他の遺伝要素に作用可能に結合しており、一般的には、発現ベクター内の転写プロモータ及びターミネータが含まれる。また、一般的にベクターは、一又は複数の選択可能なマーカー、及び一又は複数の複製起源を含有しているであろうが、当業者であれば、あるシステムにおいて選択可能なマーカーが別々のベクター上に提供されてよく、外来性DNAの複製は宿主細胞ゲノムに統合されることにより生成されてよいことを認識しているであろう。プロモータ、ターミネータ、選択可能なマーカー、ベクター及び他のエレメントの選択は、当該分野の技術レベルにおける常套的な設計事項である。多くのこのようなエレメントは文献に記載されており、商業的供給者を介して入手可能である。可溶性レセプター複合体の多くの成分は、個々のベクターにおいて、同時形質移入が可能であり、又は単一の発現ベクターを包含可能である。タンパク質複合体の多くの成分を発現するこのような技術は、当該分野でよく知られている。
【0089】
宿主細胞の分泌経路にヘテロ二量体レセプターポリペプチドを向かわせるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プロプレ配列又はプレ配列としても公知)が、発現ベクター中に提供されてもよい。分泌シグナル配列はレセプターのものであってよいし、又は他の分泌タンパク質(例えば、t-PA)から誘導されるか、新たに合成されたものであってもよい。分泌シグナル配列は、正確なリーディングフレームにおいて、ヘテロ二量体レセプターポリペプチドDNA配列に結合している。分泌シグナル配列は、通常、関心あるポリペプチドをコード化したDNA配列に対し、5'に位置しているが、あるシグナル配列は、関心あるDNA配列にいずれかに位置していてもよい(例えば、Welchら, 米国特許第5,037,743号; Hollandら, 米国特許第5,143,830号を参照)。
培養された哺乳動物細胞は、好ましくは本発明の宿主である。
【0090】
哺乳動物宿主細胞に外来性DNAを導入するための方法には、リン酸カルシウム媒介性形質移(Wiglerら, Cell 11978;4:725、以下参照; Corsaro及びPearson, Somatic Cell Genetics 1981;7:603、以下参照: Graham及びVan der Eb, Virology 1973;52:456、以下参照、電気穿孔(Neumannら, EMBO J. 1982;1:841-845)、DEAEデキストラン媒介性形質移入(Ausubelら編, Current Protocols in Molecular Biology,(John Wiley and Sons, Inc., NY, 1987)、及びリポソーム媒介性形質移入(Hawley-Nelsonら, Focus 1993;15:73、以下参照; Ciccaroneら, Focus 1993;15:80、以下参照)が含まれ、文献は出典明示によりここに援用される。培養された哺乳動物細胞における組換えポリペプチドの生成は、例えばLevinsonら, 米国特許第4,713,339号; Hagenら, 米国特許第4,784,950号; Pahniterら, 米国特許第4,579,821号; 及びRingold, 米国特許第4,656,134号に開示されている。適切な培養された哺乳動物細胞には、COS-1(ATCC No. CRL 1650)、COS-7(ATCC No. CRL1651)、BHK(ATCC No. CRL 1632)、BHK570(ATCC No. CRL 10314)、293(ATCC No. CRL 1573; Grahamら, J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)、及びチャイニーズハムスターの卵巣(例えば、CHO−K1; ATCC No. CCL 61)細胞系が含まれる。一実施態様では、細胞は、その増殖について、外来的に供給された造血成長因子に依存する。この種の好ましい細胞系は、IL-3依存性マウスプレ-B細胞系である、 BaF3(Palacios及びSteinmetz, Cell 41: 727-734,(1995))、及びGM-CSF-依存性ヒト白血球細胞系である、AML-193細胞系(ATCC番号CRL-9589)、及びヒトTF-1細胞系(ATCC番号CRL-2003)である。付加的な適切な細胞系は、当該分野でよく知られており、American Type Culture Collection, Rockville, Maryland等の公的な保存者から入手可能である。一般的に、強い転写プロモータ、例えばSV-40又はサイトメガロウイルスからのプロモータが好ましい。例えば、米国特許第4,956,288号を参照。他の適切なプロモータには、メタロチオネイン遺伝子(米国特許第4,579,821号及び同4,601,978号)及びアデノウイルスメジャーレイトプロモータ(adenovirus major late promoter)からのものが含まれる。
【0091】
薬剤選択を一般的に使用し、外来性DNAが挿入された哺乳動物細胞を培養するために選択される。このような細胞は、通常、「形質移入体」と称される。選択された薬剤の存在下で培養され、それらの子孫に対して関心のある遺伝子を通過可能な細胞は、「安定した形質移入体」と称される。好ましい選択可能マーカーは、抗菌性ネオマイシンに対する遺伝子コード化耐性である。選択はネオマイシン型の薬剤、例えばG-418等の存在下で実施される。選択系は、関心ある遺伝子の発現レベル、「増幅」と称されるプロセスを増加させるように使用することができる。
【0092】
増幅は低レベルの選択剤の存在下、形質移入体を培養し、導入した遺伝子の生成物を高レベルで生成する細胞を選択するように、選択剤の量を増加させることによって実施される。好ましい増幅性選択可能マーカーは、メトトレキサートに対する耐性に寄与する、ジヒドロ葉酸レダクターゼである。他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ハイグロマイシン耐性、多剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)を使用することもできる。
【0093】
宿主として、他の高等真核細胞を使用することもでき、昆虫細胞、植物細胞及びトリ細胞が含まれる。昆虫細胞の形質転換及びそこでの外来性ポリペプチドの生成については、出典明示によりここに援用される、Guarinoら, 米国特許第5,162,222号; Bangら, 米国特許第4,775,624号;及びWIPO publication WO 94/06463に開示されている。植物細胞において、遺伝子を発現させるためのベクターとしてアグロバクテリウム根粒菌を使用することは、Sinkarら, J. Biosci.(Bangalore)11:47-58,(1987)により概説されている。
【0094】
また、酵母細胞、特にサッカロミセス属の細胞を含む真菌細胞を、融合ポリペプチドの生成のために、本発明において使用することもできる。外来性DNAを用いて酵母細胞を形質転換し、そこから組換えポリペプチドを生成するための方法は、例えばKawasaki, 米国特許第4,599,311号; Kawasakiら, 米国特許第4,931,373号; Brake, 米国特許第4,870,008号; Welchら, 米国特許第5,037,743号;及びMurrayら, 米国特許第4,845,075号に開示されている。形質転換した細胞は、選択可能マーカーにより決定された表現型、一般的に薬剤耐性、又は特定の栄養素(例えばロイシン)の不在下で成長する能力により選択される。酵母に使用される好ましいベクター系は、グルコース含有培地で増殖させることにより、形質転換細胞を選択可能な、Kawasakiら(米国特許第4,931,373号)により開示されているPOT1ベクター系である。酵母への使用に適した適切なプロモータ及びターミネータには、解糖酵素遺伝子(例えば、Kawasaki, 米国特許第4,599,311号; Kingsmanら, 米国特許第4,615,974号;及びBitter, 米国特許第4,977,092号を参照)、及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子からのものが含まれる。米国特許第4,990,446号; 同5,063,154号; 同5,139,936号及び同4,661,454号を参照。Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces ponibe、Kluyveroinyces lactis、Kluyveromyces fragilis、Ustilago maydis、Pichia pastoris、Pichia methanolica、Pichia guillennondii及びCandida maltosaを含む他の酵母用の形質転換系も公知である。例えば、Gleesonら, J. Gen. Microbiol. 1986;132:3459-3465 and Cregg, 米国特許第4,882,279号を参照。アルペルギルス細胞は、McKnightら, 米国特許第4,935,349号の方法に従い利用されてよい。Acreinonium chrysogenumを形質転換するための方法は、Suminoら, 米国特許第5,162,228号に開示されている。ニューロスポラを形質転換するための方法は、Lainbowitz, 米国特許第4,486,533号に開示されている。
【0095】
形質転換又は形質移入された宿主細胞は、栄養素、及び選択された宿主細胞の成長に必要な他の成分を含有する培養培地において、従来からの手順に従い培養される。定められた培地及び複合培地を含む種々の適切な培地が当該分野でよく知られており、一般的に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン類及びミネラル類を含有する。また培地は、必要であれば、成長因子又は血清等の成分を含有していてもよい。成長培地は、一般的には外来的に付加されたDNAを含有する細胞用に、発現ベクターに担持された又は宿主細胞において同時形質移入された選択可能マーカーで補完される、必須栄養素における欠失、又は薬剤選択により選択されるであろう。
【0096】
好ましくは、本発明の適切なヘテロ二量体レセプターは「単離」されており、例えばバッファー、キットの一部又は薬学的組成物等として再構成待ちをしている乾燥形態等、自然に生じるもの以外の形態である。「単離されたポリペプチド」なる用語は、(1)少なくとも約50パーセントのポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、又は他の物質(すなわち汚染物)で、自然に会合するものから分離した、本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターを称する。好ましくは、単離されたポリペプチドは、治療、診断、予防又は研究用途に干渉しない、その自然環境に見出される任意の他の汚染ポリペプチド又は他の汚染物質を、実質的に含有しない。
【0097】
本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターを単離及び/又は精製する、又はそれらに結合する前の種々のポリペプチド成分を単離及び/又は精製するために、多くの従来からの方法が使用可能である。本発明の可溶性レセプター及び/又はそれらのサブユニットは、可溶性タンパク質(好ましくは培養液に分泌された後)、又は封入体として細胞から回収され、それらは8Mの塩酸グアニジン及び透析等、定量的に抽出されてよい。使用可能な従来からの精製方法には、例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及び/又はゲル濾過が含まれる。好ましい実施態様ではは、ある種の可溶性レセプターに存在するFc部分に結合可能な、プロテインA又はプロテインGを含有するカラムを用いた、アフィニティークロマトグラフィーが使用される。他の実施態様では、それぞれのポリペプチドは、適切なアフィニティーカラムに結合可能な部分、好ましくは切断可能なもので「タグ化」されている。例えば、一方又は双方のサブユニットは、金属-キレートクロマトグラフィーにより急速に精製可能なポリHis(例えば、H'S6);ストレプトアビジンに結合し、イミノビオチンで溶出(clute)可能なストレプ(Strep)-タグ;アイニロース(ainylose)に結合し、マルトースで溶出可能なマルトース結合タンパク質(MBP);又はアフィニティークロマトグラフィーにより分離可能な任意の他のこのような部分でタグ化可能である。また、抗体が入手可能なエピトープを用いて、サブユニットの一方又は双方をタグ化可能であり、例えばFLAGOペプチド、Asp-Tyr-LyS-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(Eastman Kodak Co., Scientific Imaging Systems Division, New Haven, CTから入手可能)である。アフィニティタグを使用する典型的な方法は、例えばRecombinant Protein Protocols: Detection and Isolation, Edited by Rocky S. Tuan, Methods in Molecular Biology, Vol.. 63, Humana Press, 1997、及び実施例5及び6を参照。
【0098】
任意の上述した種類の精製方法の組合せを使用することもできる。
レセプターの純度は、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、及びアミノ末端アミノ酸配列分析を含む、標準的な方法を使用して測定することができる。
【0099】
ヘテロ二量体レセプターの天然リガンド、又は天然ヘテロ二量体レセプターに対する抗体への、可溶性ヘテロ二量体レセプターの結合性は、従来からの方法で評価することができる。リガンド-結合レセプターコンストラクトを使用する好ましいアッセイシステムは、商業的に入手可能なバイオセンサー機器(BlAcoreTm, Pharmacia Biosensor, Piscataway, NJ)を使用し、ここでリガンド、抗体、又はその断片は、レセプターチップの表面に固定される。この機器の使用については、Karlsson, J. Immunol. Methods 145:229-240,(1991)、及びCunningham及びWells, J. Mol. Biol. 234:554-563,(1993)に開示されている。リガンド、抗体、又は断片は、アミン又はスルフヒドリル化学を使用し、フローセル内の金膜に結合するデキストラン繊維に共有結合的に結合する。試験用試料をセルに通過させる。試料中の可溶性ヘテロ二量体レセプターコンストラクトがリガンド又は抗体に結合するならば、それは固定化されたリガンド又は抗体に結合し、これは媒体の屈折率における変化の原因であり、金膜の表面プラズモン共鳴における変化として検出される。このシステムにより、オン-及びオフ-レイトの決定が可能となり、結合親和力から、結合化学量論の算出及び評価をすることが可能となる。
【0100】
また、リガンド-結合レセプターポリペプチドは、当該分野で公知の他のアッセイシステムにより評価することもできる。このようなシステムには、結合親和性の決定用のスキャッチャード分析が含まれる。例えば、Scatchard, Ann. NY Acad. Sci. 1949;51: 660-672、及びカロリーアッセイ(Cunninghamら, Science 1991;253:545-548; Cunninghamら, Science 1991;254:821-825)を参照。
【0101】
レセプターの安定性は、種々の時間長で、異なる条件(例えば、温度、pH、種々のバッファー)下で、それを保存することにより試験することができる。ついで、機能的安定性が、結合能力を分析することにより試験される。例えば、可溶性CD94/NKG2A又はCD94/NKG2Cは、種々の期間及び異なる保存条件下で保存した後のBioCore又は同様のアッセイにおいて、そのリガンド(HLA-E)又は特定の抗CD94/NKG2A又はCD94/NKG2C抗体(例えば、Z199、Z270、HP-3D9、FAB128P)へ結合する能力について試験可能である。参照となる可溶性CD94/NKG2(例えば、標準的な条件下で保存されてもよいもの)と比較した、保存されたCD94/NKG2の結合パーセンテージで、その安定性を測定することができる。
【0102】
可溶性ヘテロ二量体レセプターの使用
本発明の特定の態様は、免疫剤、研究及び選択用ツール、診断用試薬、及び治療剤としての、可溶性ヘテロ二量体レセプターコンストラクトの使用に関する。
一態様において、本発明は、ヘテロ二量体レセプターに対する抗体反応を誘発させるために、本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターで動物を免疫化するための方法を提供する。可溶性断片単独の代わりに、本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターコンストラクトを使用することの例示的利点には、半減期が長くなること、レセプターの3次元折り畳みが正確であること、Fcタグにより容易になるAPC'sへの取込が効率的であることが含まれる(よって、より強固な抗体反応が促進される)。ついで、ヘテロ二量体レセプターに対する抗体は、血液から収集されるか(ポリクローナル抗体の調製)、又はハイブリドーマ技術又はモノクローナル抗体の生成で確立された他の技術を使用し、抗体生成B細胞から調製することもできる。一実施態様では、本発明は:ここに記載した可溶性ヘテロ二量体レセプターで動物を免疫化させ、ポリペプチドが、動物において免疫反応を誘発させ、抗体を生成させるものであり;動物から抗体を単離することを含む、可溶性ヘテロ二量体レセプターに抗体を生成させる方法を提供する。
【0103】
他の態様において、本発明は、ここに記載した可溶性ヘテロ二量体レセプターを含有する可溶性ヘテロ二量体又は多量体レセプター複合体に特異的に結合し、上述にて開示した方法により生成された抗体を提供する。一実施態様では、上述にて開示された抗体はモノクローナル抗体である。
【0104】
抗原を用いて非ヒト哺乳動物を免疫化する工程は、マウスにおける抗体生成を刺激するための、当該分野でよく知られている任意の方式で実施されてよい(例えば、E. Harlow及びD. Lane, Antibodies: A Laboratory Manual., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY(1988)を参照)。可溶性ヘテロ二量体レセプター、又はその断片は、場合によっては、完全フロイントアジュバント等のアジュバントを用い、バッファーに懸濁又は溶解される。免疫原の量を測定するための方法、バッファーの種類、及びアジュバントの量は、当業者によく知られている。これらのパラメータは異なる免疫原については異なっていてもよいが、容易に明らかである。
【0105】
同様に、抗体の生成を刺激するのに十分な免疫化の位置及び頻度も、当該分野でよく知られている。典型的な免疫化プロトコルにおいて、非ヒト動物は、1日目、約1週間後に再度、腹腔内に抗原を注射される。続いて、約20日、場合によっては完全フロイントアジュバント等のアジュバントを用い、抗原のリコール注射を行う。リコール注射は静脈内に実施され、連続した数日間、繰り返されてよい。ついで、典型的にはアジュバントなしに、静脈内又は腹腔内のいずれかに、40日目に、ブースター注射がなされる。このプロトコルにより、約40日後に、抗原-特異性抗体-生成B細胞の生成に帰する。また、免疫化に使用される抗原を指向する抗体を発現するB細胞を生成する限りは、他のプロトコルも利用可能である。
【0106】
ポリクローナル抗体を調製するために、血清は、免疫化された非ヒト動物から得られ、そこに存在する抗体はよく知られている技術により単離される。血清は、天然ヘテロ二量体レセプターを発現する細胞、又は可溶性ヘテロ二量体レセプターと反応する抗体を得るために、固形支持体に結合した、上述にて説明した任意の免疫原を使用し、親和精製されてよい。
【0107】
モノクローナル抗体を調製するために、非ヒト哺乳動物は、任意の完全長配列、任意の細胞外配列、又は任意のその断片を含む、ここで記載された任意の可溶性ヘテロ二量体レセプターで免疫化される。ついで、脾細胞を単離し、不死化細胞と融合させ、抗体-生成ハイブリドーマが形成される。非ヒト哺乳動物からの脾細胞の単離は当該分野でよく知られており、典型的には、麻酔された非ヒト哺乳動物から脾臓を取り除き、小片に切断し、脾膜から、細胞ストレーナーのナイロンメッシュを通して脾細胞を適切なバッファー内に圧搾し、単細胞懸濁液を生成させることを含む。細胞を洗浄し、遠心分離にかけ、任意の赤血球が溶解したバッファーに再懸濁させる。再度、溶液を遠心分離にかけ、最後に、ペレットに残存したリンパ球を新鮮なバッファーに再懸濁させる。
【0108】
単離し、単細胞懸濁液に存在してすぐに、リンパ球を不死化細胞株に融合させる。これは、典型的には、マウスの骨髄腫細胞系であるが、ハイブリドーマの作製に有用な他の多くの不死化細胞株も、当該分野で公知である。好ましいマウス骨髄腫細胞系には、限定されるものではないが、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif. U.S.A.から入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、又はAmerican Type Culture Collection, Rockville, Maryland U.S.A.から入手可能なX63 Ag8653及びSP-2細胞から誘導されるものが含まれる。ポリエチレングリコールなどを使用して、融合がなされる。ついで、得られたハイブリドーマを、未融合の親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を含有する選択培地において増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠くならば、典型的には、ハイブリドーマ用の培養培地は、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有するであろうし(HAT培地)、物質はHGPRT-不完全細胞の増殖を防止するものである。
【0109】
ハイブリドーマは、典型的には、マクロファージの支持細胞層において増殖する。マクロファージは、好ましくは脾細胞の単離に使用された非ヒト哺乳動物の同腹子からのもので、典型的には、ハイブリドーマを蒔く前の数日間、不完全フロイントアジュバントで予備刺激されている。融合方法は、例えば(Goding、「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice」、pp.59-103(Academic Press、1986))に記載されている。
【0110】
細胞は、コロニー形成及び抗体生成に十分な時間;通常は7と14日の間、選択培地で増殖させることができる。ついで、ハイブリドーマコロニーを、天然ヘテロ二量体レセプターを発現する細胞、又は可溶性ヘテロ二量体レセプターに結合する抗体の生成についてアッセイする。アッセイは、典型的には、比色分析ELISA型アッセイであるが、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ、BiaCoreアッセイ(上述)、又はシンチレーション近接アッセイ(SPA)、並びに当該分野でよく知られているものを含む、いくつかの他の種類のアッセイも使用されてよい。一又は複数の明確なコロニーが存在するならば、測定のために、所望の抗体生成のためのウェルポジティブが調査される。一以上のコロニーが存在するならば、細胞は再クローンされ、単細胞のみが、所望の抗体を生成するコロニーを生じるように、確実に増殖させてもよい。単一の明らかなコロニーを有するポジティブウェルは、典型的には再クローンされ、再アッセイされて、確実にモノクローナル抗体のみが検出及び生成される。
【0111】
ついで、この発明のモノクローナル抗体を生成することが確認されているハイブリドーマを、DMEM又はRPMI-1640等の適切な培地において、多量に増殖させる。また、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてインビボで増殖させることもできる。
【0112】
所望のモノクローナル抗体を生成させるために、十分に増殖させた後、モノクローナル抗体を含有する増殖培地(又は腹水)を細胞から分離させ、そこに存在するモノクローナル抗体を精製する。精製は、典型的には、プロテインA又はプロテインG-セファロース、又はアガロース又はセファロースビーズ等の固体支持体に結合した抗マウスIgを使用するクロマトグラフィー(全ては、例えばAntibody Purification Handbook、Amersham Biosciences、publication No.18-1037-46、Edition AC,に記載されており、その開示は、出典明示によりここに援用される)により達成可能である。結合した抗体を、典型的には、抗体-含有フラクションの即時中和を伴い、低pHのバッファー(pH3.0又はそれ未満のグリシン又はアセタートバッファー)を使用することにより、プロテインA/プロテインGカラムから溶出させる。これらのフラクションをプールしておき、必要に応じて、透析、及び濃縮する。
【0113】
また、本発明の抗体をコード化したDNAはハイブリドーマから単離され、適切な宿主に形質移入された適切な発現ベクターに配される。ついで、宿主は、抗体又はその変異体、例えばモノクローナル抗体のヒト化バージョン、抗体の抗原認識部位を有する抗体又はキメラ抗体の活性断片の組換え生成に使用される。
【0114】
本発明の付加的な又は代替的な態様において、本発明の可溶性レセプター、例えば可溶性CD94/NKG2レセプターは、治療又は診断用途のための、NKG2結合及び/又はCD94結合剤を選択する方法に使用可能である。例えば、一又は複数の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターは、このような方法、例えば単鎖CD94/NKG2A、単鎖CD94/NKG2C、単鎖CD94/NKG2B、単鎖CD94/NKG2E、及び/又は単鎖CD94/NKG2Fに使用されてよい。例示的な薬剤には、限定されるものではないが、CD94、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、及び/又はNKG2Fに対する抗体、並びにこのような抗体の抗原結合断片又は誘導体が含まれる。例示的な抗体断片については、例えば、Holliger及びHudson(Nat Biotechnol 2005;23:1126-1136)を参照。
【0115】
一実施態様では、本発明は:(a)NKG2ポリペプチドに特異的に結合する抗原-結合化合物を提供し;(b)ここに記載された可溶性CD94/NKG2Aレセプターに結合する抗原-結合化合物を試験し;(c)抗原-結合化合物が可溶性CD94/NKG2Aレセプターに結合することが決定されるならば、抗原-結合化合物を選択し;及び(d)場合によっては、所定量の選択された抗原-結合化合物を生成させることを含む、抗NKG2抗原-結合化合物の生産方法を提供する。
【0116】
他の実施態様では、本発明は、抗NKG2抗原-結合化合物の生産方法を提供し、該方法は:(a)NKG2ポリペプチドに特異的に結合する、所定量の抗原-結合化合物を生成させ;(b)ここに記載された可溶性CD94/NKG2レセプターへの結合性について、該量の抗原-結合化合物からの試料を試験し;(c)抗原-結合化合物が可溶性CD94/NKG2レセプターに結合することが決定されるならば、医薬として及び/又は医薬の製造への使用に所定量を選択し;及び(d)場合によっては、ヒトへ投与するための所定量を調製し、場合によっては製薬的に許容可能な担体と共に、所定量の選択された抗原-結合化合物を処方することを含む。
【0117】
他の実施態様では、本発明は、抗NKG2抗原-結合化合物の生産方法を提供し、該方法は:(a)NKG2ポリペプチドに特異的に結合する多量の抗原-結合化合物を提供し、(b)ここに記載した可溶性CD94/NKG2レセプターへの結合性について、それぞれの抗原-結合化合物を試験し;(c)抗原-結合化合物が該可溶性CD94/NKG2レセプターに結合することが決定されるならば、抗原-結合化合物を選択し;及び(d)場合によっては、ヒトへの投与に適切な抗原-結合化合物を作製し;及び/又は(e)場合によっては、所定量の選択された抗原-結合化合物を生成させることを含む。
【0118】
また上述した方法は、例えば抗原-結合化合物のキメラ又はヒト化体を作製するために、ヒトに適した抗原-結合化合物を作製することを含んでいてもよい。さらに上述した方法は、適切な培地において抗原-結合化合物を発現する細胞を培養し、抗原-結合化合物を回収することを含む、所定量の抗原-結合化合物を生成させることを含んでよい。特定の実施態様では、上述した方法の抗原-結合化合物は、抗体又はその抗原-結合断片を含有していてよい。NKG2ポリペプチドは、例えばNKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、及び/又はNKG2Fから選択されてよい。例えば、抗原-結合化合物は、一又は複数のNKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、及びNKG2Fに結合してよい。特定の実施態様では、抗原-結合化合物は少なくとも一のNKG2Aに結合する。他の特定の実施態様では、抗原-結合化合物は少なくともNKG2Cに結合する。
【0119】
また本発明は、本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターと、HLA-E分子を含有してよい試料を接触させることを含む、HLA-E分子の検出方法(例えば、実験又は診断アッセイ)に関する。一実施態様では、可溶性ヘテロ二量体レセプターは、ここに記載された、単鎖CD94/NKG2A又はCD94/NKG2Cレセプターコンストラクトである。可溶性ヘテロ二量体レセプターは、放射活性又は蛍光実体等、このような目的に使用される、従来からの検出可能な部分でラベリングされてよい。代替的に、可溶性ヘテロ二量体レセプターのFc-部分に対する第2の抗体、又は検出されない基質を検出可能な生成物に転換可能な酵素に可溶性ヘテロ二量体レセプターをコンジュゲートさせる等の間接的な方法を使用してもよい。もちろん、このようなアッセイは定量的とすることができる。一実施態様では、このようなアッセイは、親から取り出された生物学的試料が、細胞表面でHLA-Eを発現する細胞を含有しているかどうかを決定するために使用される。他の実施態様では、このようなアッセイは、関心ある薬剤が、CD94/NKG2A又はCD94/NKG2Cに結合するために有用なHLA-Eの量を、細胞内で増加又は減少させるかどうか(例えば、ヒト又はマウス細胞;試験用チューブ内、組織試料、培養中又は動物内)、及び/又はHLA-Eの生物活性(例えば、可溶性レセプターへの結合性)を調節(阻害又は向上)させるかどうかを決定するために使用される。例示的な生物学的試料には、限定されるものではないが、例えばバイオプシー又は外科手術により得られる腫瘍試料;及び血液試料が含まれる。
【0120】
他の態様において、本発明は、本発明の可溶性ヘテロ二量体レセプターを投与することによる、被験者における、HLA-E発現又はHLA-E過剰発現している細胞を特異的に標的にする方法を提供する。ついで、可溶性CD94/NKG2A又はCD94/NKG2CのFc-部分はエフェクタードメインとして機能可能であり、CDC及び/又はADCC反応を介したHLA-E発現細胞の細胞崩壊を誘発する。
【0121】
他の態様において、可溶性ヘテロ二量体レセプターは、天然レセプターに対する抗体又はレセプターリガンドの精製に使用される。可溶性ヘテロ二量体レセプターは固体状支持体、例えばアガロースビーズ、架橋結合したアガロース、ガラス、セルロース樹脂、シリカベースの樹脂、ポリスチレン、架橋結合したポリアクリルアミド、又は使用条件下で安定した物質に固定されている。また可溶性ヘテロ二量体レセプターは、そのFc-部分を介して、例えばプロテインA又はプロテインGアフィニティーカラムに結合していてもよい。固体状支持体にポリペプチドを結合させる方法は当該分野でよく知られており、アミン化学、臭化シアン活性化、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、及びヒドラジド活性化が含まれる。一般的には、得られた培地をカラムの形態で遠心分離させ、リガンドを含有する液体を、一又は複数回、カラムに通過させ、レセプターにリガンドを結合させる。ついで、塩濃度又はpHを変えることでリガンドを溶出させ、リガンド-レセプター結合を分裂させる。
【0122】
細胞毒性アッセイ
特定の実施態様では、本発明は、可溶性CD94/NKG2Aレセプターコンストラクト、及びこのような可溶性CD94/NKG2Aレセプターコンストラクトに対して生じた抗体等の薬剤を提供する。このようなコンストラクト又は抗体が、HLA-EとCD94/NKG2Aとの相互作用を低減又はブロック可能かどうか、よってCD94/NKG2A-制限リンパ球の細胞毒性が増加するかどうかを決定するために、次の試験を実施することができる。
【0123】
標的細胞、例えばP815、K562細胞、又はそれぞれの開示の全体が出典明示によりここに援用される、Sivoriら, J. Exp. Med. 1997;186:1129-1136; Vitaleら, J. Exp. Med. 1998; 187:2065-2072; Pessinoら. J. Exp. Med. 1998;188:953-960;Neriら. Clin. Diag. Lab. Immun. 2001;8:1131-1135;Pendeら. J. Exp. Med. 1999;190:1505-1516に開示されている適切な腫瘍細胞を死滅させ、NK細胞を刺激する抗体の能力を評価するための他のパラメータ、又はクロム放出性を測定する、細胞ベースの細胞毒性アッセイを使用し、NK細胞活性を評価することができる。例示的な一アッセイにおいて、CD94/NKG2A-媒介性シグナル伝達を低減させる薬剤の能力は、例えばCD94/NKG2Aを発現するNKL細胞、及びHLA-Eを発現する標的細胞を使用する、標準的な4時間インビトロ細胞毒性アッセイにおいて試験することができる。CD94/NKG2Aが、リンパ球媒介性細胞崩壊を防止する、阻害シグナル伝達の開始及び伝播に至る、HLA-Eを認識するために、このようなNKL細胞は、HLA-Eを発現する標的を効果的に死滅させない。例えば、Coliganら編, Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y.,(1992, 1993)に記載されているように、このようなインビトロにおける細胞毒性アッセイは、当該分野でよく知られている標準的な方法で実施可能である。標的細胞は、NKL細胞の添加前に51Crでラベリングされ、ついで、死滅の結果として、死滅度は、細胞から培地への51Crの放出度合いに対する比率として推定される。CD94/NKG2AのHLA-Eへの結合を防止する薬剤を添加すると、CD94/NKG2Aを介して阻害シグナル伝達の開始及び伝搬が防止される。よって、このような薬剤が添加されると、標的細胞のリンパ球-媒介性死滅度が増加する。この工程により、例えばリガンド結合をブロックすることで、CD94/NKG2A-誘発性ネガティブシグナル伝達を防止する薬剤が同定される。特定の51Cr-放出細胞毒性アッセイにおいて、CD94/NKG2A-発現NKLエフェクター-細胞は、HLA-E-ネガティブLCL721.221標的細胞を死滅させることが可能であるが、HLA-E-発現LCL721.221-Cw3細胞に対してはあまり効果的ではない。これに対し、CD94/NKG2Aを欠くYTSエフェクター-細胞は、双方の細胞系を効果的に死滅させる。よって、NKLエフェクター細胞は、CD94/NKG2Aを介したHLA-E-誘発性阻害シグナル伝達のため、HLA-ELCL721.221-Cw3細胞を死滅させることはできない。このような51Cr-放出細胞毒性アッセイにおいて、NKL細胞が、本発明の抗CD94/NKG2A抗体のブロッキングを伴い、プレインキュベートされている場合、HLA-E-発現LCL721.221-Cw3細胞は、抗体-濃度依存性様式で死滅される。
【0124】
この発明のレセプター又は抗体組成物の阻害又は増強活性は、例えばその開示が出典明示によりここに援用される、Sivoriら, J. Exp. Med. 1997;186:1129-1136に記載されたような、細胞内の遊離のカルシウムへの影響等による、任意の多くの他の方法で評価することができる。
【0125】
またNK細胞活性は、サイトカイン-放出アッセイを使用して取り組むことが可能であり、ここでNK細胞はレセプターコンストラクト又は抗体と共にインキュベートされて、NK細胞のサイトカイン生産(例えばIFN-y及びTNF-α生成)が刺激される。例示的なプロトコルでは、PBMCからのIFN-y生産は、細胞表面及び細胞質内染色、及び培養4日後のフローサイトメトリーによる分析で評価される。簡単に述べると、培養の最後4時間に、5μg/mlの最終濃度でブレフェルジン(Sigma Aldrich)を添加する。ついで、細胞を、透過処理前に、抗CD3及び抗CD56mAb(IntraPrepTM; Beckman Coulter)と共にインキュベートし、PE-抗IFN-y又はPE-IgG1(Pharmingen)で染色する。ポリクローナル活性化NK細胞からのGM-CSF及びIFN-y生産を、ELISA(GM-CSF: DuoSet Elisa, R&D Systems, Minneapolis, MN, IFN-: OptElA set, Pharmingen)を使用し、上清において測定する。
【0126】
レセプターコンストラクト及び抗体を含むこの発明の化合物は、NK細胞の細胞毒性のCD94/NKG2A媒介性阻害を部分的に低減させる等、部分的阻害活性を示し得る。一実施態様では、抗体調製は、NK細胞毒性の少なくとも10%増加、好ましくはNK細胞毒性の少なくとも40%又は50%増加、又はNK細胞毒性の少なくとも70%増加の原因である。最も好ましい化合物は、化合物が存在しない細胞と比較して、例えば細胞毒性アッセイで測定して、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、40%又は50%、もしくはそれ以上のNK細胞活性を阻害(又は、活性化レセプターの場合では刺激)可能である。また好ましくは、化合物は、化合物が存在しない枯渇レベルに対して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、1000%、又はそれ以上まで、標的細胞の枯渇度合いを増加させることができる。また、本発明の化合物は、マッチした又はHLA適合性又は自己標的細胞集団、すなわち前記抗体の不在下でNK細胞によっては効果的には溶解されない細胞集団の溶解を誘発させることができる。従って、この発明の化合物は、インビボにおけるNK細胞活性を促進させるものと定義できる。
【0127】
薬学的組成物
また本発明は、リンパ球、場合によってはHLA-E-発現標的細胞を含有する生物学的試料又は患者において、リンパ球の細胞毒性を検出可能に高めるのに効果的な量で、可溶性ヘテロ二量体レセプター又は抗体(その断片及び誘導体を含む)を任意の適切なビヒクルに含有せしめてなる組成物を提供する。組成物は、製薬的に許容可能な担体又は賦形剤をさらに含有する。このような担体及び賦形剤は当該分野でよく知られており、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に記載されている。
ここで使用される「生物学的試料」には、限定されるものではないが、体液(例えば、血清、リンパ、又は血液)、細胞試料、又は組織試料(例えば骨髄)が含まれる。
この発明のさらなる態様及び利点は、例示と見なされなければならず、この出願の範囲を限定するものではない以下の実験セクションに開示されるであろう。
【実施例】
【0128】
実施例1:HLA-EとCD94/NKG2Aの相互作用のモデル化
この実施例は、HLA-Eとの相互作用をカバーするCD94/NKG2Aセグメントを同定するインシリコ・モデル化について記載する。ここで言及したタンパク質データベース(PDB; Protein Data Bank)は、H.M. Berman, J. Westbrook, Z. Feng, G. Gilliland, T.N. Bhat, H. Weissig, I.N. Shindyalov, P.E. Bourne: The Protein Data Bank. Nucleic Acids Research, 28 pp.235-242(2000)に記載されている。PDB識別子は、例えば、しばしば1NKRpdb&1OM3.pdbと称される1NKR&1OM3等の、常に4つの英数字である。
【0129】
そのリガンドHLA-Eと複合体を形成したCD94/NKG2Aのモデルを、インシリコで組み立てた。このため、CD94/NKG2Aヘテロ二量体モデルを、ホモロジーモデル(PDB−ID:1B6E)として、CD94ホモ二量体のX線構造を使用して組み立てた。加えて、HLA-Eの分解結晶構造を使用した(PDB-ID:1MHE)。ついで、関連するNKG2D-MICA複合体(PDB-ID:1HYR)のX線構造を使用し、CD94/NKG2A及びHLA-Eの複合体をインシリコで組み立てた。完全なモデルを図4に示す。
【0130】
モデルは、相互作用残基としてHLA-E残基R65、D69、Q72、R75、R79、H155、D162、E166を同定する変異研究と一致した(H. Wadaら, Eur. J. Immunol. 2004. 34, 81-90)。CD94、NKG2A及びNKG2Dのアラインメントで、該モデルは、CD94:F107(CD94)、F165(NKG2A)との対形成のための重要な残基を同定する。対応する残基はNKG2Dには保存されていない。
【0131】
モデルはまたN-末端及びC-末端が互いに近接していることも同定した。図4に示したモデルでは、距離は、NKG2AのN-末端とCD94のC-末端のアルファ-炭素間で13.2Å、NKG2AのC-末端とCD94のN-末端のアルファ-炭素間で14.7Åであった。比較すると、一つのアミノ酸残基の長さは約3.75Å、例えばGGSGGS(配列番号6)リンカーの長さは約22.5Åである。
【0132】
実施例2−免疫グロブリンにおけるイオン相互作用の原因であるアミノ酸残基の同定
重鎖定常領域の位置番号に対する参照は、ここでは特に、CH1(Uniprot-id:IGHG1_HUMAN(配列番号20)に類似)の最初(N-末端)から出発した野生型定常領域配列の位置を示す。定常軽鎖の位置については、番号付けはUniprot-id:KAC_HUMAN(配列番号10)による。ヒトIgG1におけるイオン相互作用の原因となるアミノ酸は、GM及びKMアロタイプ双方のCH3-CH3ドメイン-ドメイン相互作用に利用可能なX線構造、及びCH1-Cカッパ及びCH1-Cラムダ相互作用に利用可能なX線構造の分析を使用し、同定した。
【0133】
特に、次のKMX線構造:1HZH、1ZA6、1OQX、1OQO、1L6Xを分析し;次のGMX線構造:1T89、1T83、1IIX、1H3Xを分析し;次のCH1-CカッパX線構造:1TZG、1HZHを分析し;次のCH1-CラムダX線構造:2RCSを分析した。
GM(配列番号8)及びKM(配列番号9)アロタイプの定常ドメインのアラインメントを図5に示す。カッパ(配列番号10)及びラムダ(配列番号11)の定常ドメインのアラインメントを図6に示す。
【0134】
例えばChemical Computing Group(www.chemcomp.com)から入手可能なMOE(Molecular Operating Environment)ソフトウエア等、入手可能な分子モデリングパッケージにおける標準的な方法を使用して、分子内イオン相互作用を同定した。この分析により、以下に全てを列挙する、特に6 CH3-CH3 GMイオン相互作用、6 CH3-CH3 KMイオン相互作用、2 CH1-Cカッパ及び2 CH1-Cラムダ相互作用の同定に至った。
CH3-CH3 KM:D239-K322、E240-K253、D282-K292
CH3-CH3 GM:E239-K322、E240-K253、D282-K292
Cカッパ-CH1:E15-K96、D14-K101
Cラムダ-CH1:E16−K96、E17-K30
【0135】
実施例3:ヘテロ二量体形成を促進させる第1及び第2軽鎖重鎖対のアミノ酸修飾
上述した相互作用に関連したアミノ酸残基は、ヘテロ二量体相互作用と、よって好ましいヘテロ二量体相互作用(に必要な)エネルギーを増加させるため、異なる特異性を有する異なる抗体から、2つの軽鎖重鎖対の置換を受けた。同じ原則を、重-軽鎖相互作用と、可溶性ヘテロ二量体レセプターに適用することができる。
CH3−未修飾 <−> CH3−未修飾
D239 <−> K322
E240 <−> K253
K292 <−> D282
K322 <−> D239
K253 <−> E240
D282 <−> K292
【0136】
A鎖におけるK322D、K253E、D282K、及びB鎖におけるD239K、E240K、K292Dの修飾の示唆は、以下のような適合対のみとのCH3-修飾-A<−>CH3-修飾-Bに至る。
D239<−> K322
E240 <−> K253
K292 <−> D282
D322 <−> K239
E253 <−> K240
K282 <−> D292
【0137】
CH3-修飾-A<−>CH3-修飾-A相互作用は:
D239 <−> D322
E240 <−> E253
K292 <−> K282
D322 <−> D239
E253 <−> E240
K282 <−> K292
であり、電荷斥力対のみを有する。
類似のアプローチを、GM、及び重軽鎖相互作用に適用することができる。
【0138】
免疫グロブリンの高ホモロジーに基づくと、構造ホモロジーを予測することができ、上述した相互作用は、他のヒトアイソタイプ(IgG2-4)及びマウス及びラットIgGsに対する対応物を有する。対応する残基を同定するために、アラインメントが実施され、図7に示される。
重鎖の保存に関し、以下の結論を出すことができる:
・D239又はE239は、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・K322は、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・E240は、ヒト、ラットIgG1、IgG2a、マウスIgG2aに保存されている。
・K253は、ヒト、ラットIgG1、IgG2aに保存されている。
・D282は、マウスIgG1を除く、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・K322は、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・K96は、ヒトIgG3を除く、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・K101又はR101は、マウスIgG2bを除く、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
・K30は、ヒトIgG3を除く、全てのサブタイプ及び種に保存されている。
軽鎖の保存に関し、以下の結論を出すことができる:
・E15は、ヒト及びマウスに保存されている(ラットは調査せず)。
・D14H保存されない。
・E16は、ヒト及びマウスに保存されている(ラットは調査せず)。
・E17は、ヒト及びマウスに保存されている(ラットは調査せず)。
【0139】
実施例3:可溶性ヒトCD94(hCD94)及びヒトNKG2A(hNKG2A)のクローニング
ヒトCD94(hCD94)及びヒトNKG2A(hNKG2A)を、Spring Bioscience(#PHD-138)から購入したヒトNK cDNAライブラリーからクローニングした。受託番号U30610(hCD94)及びAF461812(hNKG2A)を用いてNCBIデータベースからの配列を使用し、プライマーを設計した。hCD94用に使用されたプライマーは:
5’GGATCCTCTTTTACTAAACTGAGTATTGAGCCAGC(順方向;配列番号40)
5’GCGGCCGCAGATCTATTAAATGAGCTGTTGCTTACAGATATAACG(逆方向、配列番号41)
であった。
hNKG2A用に使用されたプライマーは:
5’GGATCCCAGAGGCACAACAATTCTTCCCTG(順方向、配列番号42)
5’GCGGCCGCAGATCTATTAAAGCTTATGCTTACAATG(逆方向、配列番号43)
であった。
順方向プライマーはBamHI制限部位を含み、逆方向プライマーはNotI及びBglII制限部位を含んでいた。産物はタッチ-ダウンPCR法を使用して増幅した。
可溶性hCD94により、pCR4ブラント-Topoにクローニングされた438bp断片が得られ、配列が確認された。可溶性hNKG2A(405bp)はpCR2.1-TOPOにクローニングされ、正確なクローンが配列決定により同定された。
【0140】
実施例4:哺乳動物細胞に対するmFc-hNKG2A又はmFc-hCD94発現コンストラクト
マウスFc(mFc)をIMAGEクローン#2651217からクローンした。使用したプライマーは、
5’GCTAGCATGCCGCTGCTGCTACTGCTGCCCCTGCTGTGGGCAGGGGCCCTGGCTATGGATGTGCCCAGGGATTGTGGTTG(順方向、配列番号44)
5’GGATCCTTTACCAGGAGAGTGGGAGAGGC(逆方向、配列番号45)
であった。
【0141】
順方向プライマーはNheI制限部位と、続くCD33シグナルペプチド及びmet及びasp残基を含む。逆方向プライマーはBamHI制限部位を含む。PCRは、300ngの鋳型、200μMのdNTPミックス、Easy-A 高品位PCRクローニング酵素、Stratagene #600400からのバッファーを使用し、50μlの反応で実施した。94C/2分での単一の変性工程に、94℃/30秒;68℃/30秒;72℃/90秒、最後に72℃/10分の15サイクルが続いた。PCR産物を、EtBrを含む1%アガロースで分離させ、Amersham Biosciences #27-9602-01からのGFXキットを用いて精製し、pCR4-TOPO(Invitrogen)にクローニングし、配列決定した。
制限部位NheI及びBamHIを使用して、pcDNA3.1又はpcDNA3.1/ヒドロ(Invitrogen)中にmFcを挿入した。BamHI及びNotI(pBF5)を使用し、hCD94をmFcを有するpcDNA3.1中に挿入し、同じ方法(pBF6)で、hNKG2AをpcDNA3.1/ヒドロに挿入した。図9及び10を参照。
【0142】
pBF6は、次のものをコードする(配列番号31):
1 MPLLLLLPLLWAGALAMDVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLT
51 ITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTKPREEQFNSTFRS
101 VSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIP
151 PPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDG
201 SYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGKGSQRH
251 NNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKN
301 SSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDS
351 DNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL
【0143】
pBF5は、次のものをコード化する(配列番号32):
1 MPLLLLLPLLWAGALAMDVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLT
51 ITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTKPREEQFNSTFRS
101 VSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIP
151 PPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDG
201 SYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGKGSSFT
251 KLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNESR
301 HLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSAL
351 SQYLFPSFETFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI
【0144】
実施例5:哺乳動物細胞発現のための変異Fc-部分コンストラクト
mPc部における突然変異を、実施例3のコンストラクトに対するクイックチェンジ突然変異誘発を使用して達成した。配列番号14中のT249Y、Y290T[GCAA_MOUSE;IgG2A])に対応する単一変異(配列番号21中のT243Y、Y284T[IGHG1_MOUSE;IgG1]を、Stratagene #200523からのQuikChange II部位特異的突然変異誘発キット及びマニュアルと次の2つのプライマーセットを使用して実施した:
5’GGCCAAGGATAAAGTCAGTCTGTACTGCATGATAACAGACTTC(配列番号46)
5’GAAGTCTGTTATCATGCAGTACAGACTGACTTTATCCTTGGCC(配列番号47)、及び
5’CAGATGGCTCTTACTTCGTCACCAGCAAGCTCAATGTGCAGAAG(配列番号48)
5’CTTCTGCACATTGAGCTTGCTGGTGACGAAGTAAGAGCCATCTG(配列番号49)。
95℃/30秒での単一の変性工程に、95℃/30秒;55℃/1分;68℃/7分、最後に72℃/10分の15サイクルが続いた。
【0145】
二重変異(一方のFc-ペプチドにおいてはE239K及びK292D、他方のFc-ペプチドにおいてはD282K及びK332E)を、QuickChangeマルチ部位特異的突然変異誘発キット及びマニュアル(stratagene)#200513及び次のプライマーセットを使用して実施した:
E239K:CCATTCCACCTCCCAAGAAGCAGATGGCCAAGG(配列番号50)
K292D:GCTCTTACTTCGTCTACAGCGACCTCAATGTGCAGAAGAGCAAC(配列番号51)、及び
D282K:GAACACTCAGCCCATCATGAAGACAGATGGCTCTTACTTCG(配列番号52)
K322E:CCACCATACTGAGGAGAGCCTCTCCCACTCTCCTGG(配列番号53)
95℃/1分での単一の変性工程に、95℃/1分;55℃/1分;65℃/13.5分の30サイクルが続いた。
【0146】
実施例6:哺乳動物細胞中での発現のための単鎖NKG2A-CD94
NKG2A-2xGGS-CD94を、BamHI/NotI部位(pBF17)においてmFcを有するpcDNA3.1/hygroにクローニングした。図11を参照。
pBF17は次のものをコードする(配列番号39):
1 MPLLLLLPLLWAGALAMDVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLT
51 ITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTKPREEQFNSTFRS
101 VSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIP
151 PPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDG
201 SYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGKGSQRH
251 NNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKN
301 SSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDS
351 DNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKLGGSGGSRSSFTKLSIEPA
401 FTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNESRHLCASQK
451 SSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPS
501 FETFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI
【0147】
実施例7:哺乳動物細胞中での発現
実施例2−5の全てのコンストラクトを、形質移入のためにInvitrogenからの293フェクチン#12347-019を使用し、HEK293細胞中で一過性に発現させた。125mlの三角フラスコに5×10細胞/mlを播種した。次の日、細胞を次のようにして形質移入した:30μgのDNAを1mlのOpti-Memで希釈し、40μlの293フェクチンを960μlのOpti-Memで希釈した。室温(RT)で5分後、細胞培養物に添加する前に、2つの混合物を混合し、室温で25分インキュベートした。4−6日後、1500×gで15分遠心分離することにより、培地を収集した。ウエスタンブロット分析により結果を視覚化し、ここで、全てのブロットはヤギ抗マウスIgGを用いて探索した。
ウエスタンブロット分析の例示的な結果を図12A−12Cに示す。全てのブロットはヤギ抗マウスIgGを用いて探索した。mFc-CD94及びmFc-NKG2Aは、HEK293中で個々に発現させた。mFc-NKG2AはmFc-CD94の不在下では発現しなかった。mFc-単鎖-NKG2A-CD94はHEK293中で発現させた。
【0148】
実施例8:哺乳動物細胞株中で生産されたCD94-mFc/NKG2A-mFcヘテロ二量体の精製
CD94-mFc及びNKG2A-mFc融合タンパク質の7つの異なる変異体を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより、細胞培養上清から精製した。融合タンパク質は、CD94-mFcホモ二量体、CD94-2xGGS-NKG2A-mFc、NKG2A-mFc、CD94-mFc(T249Y)NKG2A-mFc(Y290T)、CD94-mFc NKG2A-mFc、CD94-mFc(E239K、K292D)NKG2A-mFc(D282K、K332E)であった。CD94/NKG2A-マウスFc融合タンパク質は、無血清培地を使用して生産した。CD94/NKG2A-マウスFc融合タンパク質は、CHO-DUKX B11細胞から発現させた。
【0149】
CD94/NKG2A-マウスFc融合タンパク質の精製を以下のようにして実施した。細胞培養上清を滅菌濾過し、AKTA explorer FPLCシステム(GE-Healthcare, Hillerod, Denmark)を使用し、XK16カラム(GE-Healthcare, Hillerod, Denmark)に充填された10mlのプロテインAセファロースカラム(Sigma, St. Louis, Mo)に適用した。プロテインAカラムを、6ml/分、20mMのTris、pH7.5で平衡にした。試料適用後、280nmでのUV吸光度が低下するまで、カラムを洗浄した。結合したタンパク質を0〜100%の50mMグリシン、pH2.7の段階的勾配を使用して溶出させ、2mlのフラクションを収集した。関心あるタンパク質を含むフラクションをプールし、中性のpHまで滴定した。いくつかの場合には、プールしたタンパク質をVivaspin 20, 30.000 MWCO(Sartorius, Roskilde, Denmark)を使用して濃縮し、バッファーをPBSバッファーに交換した。タンパク質濃度を(1.5g/l)-×cm−1の伸長係数でOD280により測定した。
【0150】
精製タンパク質を、MOPSバッファーで操作される4−12%のNuPageゲル(InVitrogen, Carlsbad, CA)での1-D SDS-PAGEにより分析した。1-DゲルをGelcodeクーマシー染色(Pierce, Rockford, IL)を使用して染色するか、又はPVDF膜(InVitrogen, Carlsbad, CA)上にブロットした。
抗体Z199(抗NKG2A、Beckman Coulter, Fullerton, CA)及びHP-3D9(抗CD59、Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA)を、Cy-染料タンパク質ラベリングキット(GE-Healthcare, Hillerod, Denmark)を使用し、Cy3及びCy5でラベリングすることにより、ウエスタンブロット用に調製した。ブロット後、膜を5%blotto(Pierce, Rockford, IL)でブロックし、洗浄バッファー中で1:200に希釈した双方の抗体と共にインキュベートした。洗浄後、2つの異なるフルオロフォア用のセッティングを使用し、Ettan Dige Imager又はTyphoon Trio+スキャナー(GE-Healthcare, Hillerod, Denmark)のいずれかで、ブロットをスキャンした。
【0151】
結果
HEK293細胞からの330−350mlの無血清培養上清から精製したタンパク質は、0.08〜1.17mgのタンパク質を生じた。表3を参照。最も多量のタンパク質は、マウス免疫グロブリン定常領域中に単一の変異を有する2つのプラスミドを発現する細胞から精製した。1-D SDS PAGEにより精製されたタンパク質を分析すると、精製により、明らかな汚染物が存在しない非常に純粋なタンパク質が生じていることが示された。主要なバンドはタンパク質の二量体形成に対応するが、より高分子量の種は四量体形成に対応する。

【0152】
精製されたタンパク質がCD94及びNKG2Aの双方の組合せであることを確認するために、ウエスタンブロットを作製し、ここで2つの抗体Z199及びHP−3D9(それぞれNKG2A及びCD94に対するもの)を使用した。抗体を蛍光染料で標識し、単一ブロットにおいて双方の抗体を使用できるようにした(図13A及びB)。ブロットの2つの異なる検出から、CD94-mFcだけを発現する細胞株がこのタンパク質だけを生産したことが明らかになった。NKG2Aホモ二量体が存在すべき箇所でタンパク質を観察することはできず、このタンパク質はホモ二量体を生成しないことが示された。全ての他のレーンでは、CD94及びNKG2A双方の存在に対応するバンドを観察することができ、真のヘテロ二量体が生成されたことが示された。
【0153】
単鎖CD94-2xGGS-NKG2A-mFcコンストラクトを発現する安定なCHO細胞株(CHO−DUKX B11)を使用し、Biacore分析用のタンパク質を生産した。215mlの細胞培養上清をプロテインAカラムで精製し、バッファーをPBSに交換した。得られたタンパク質を、蛍光染料で標識した2つの抗体Z199及びHP-3D9を使用してウエスタンブロット及び1-D SDS PAGEにより分析した(図14A及びB)。1-Dゲル並びにウエスタンブロットの双方は、単鎖タンパク質が二量体として現れ、抗CD94及び抗NKG2A抗体の双方に対して応答を与えることを示した。
【0154】
実施例9:大腸菌中での発現のためのNKG2Aプラスミドコンストラクト
NKG2を、Trx-hexaHis pET32a中のBamHI-BglII i BamHI+脱リン酸化(仔ウシ腸ホスファターゼを使用)にサブクローニングして、次の配列(配列番号54)(図15)をコードするpISNN415を生産した。
MSDKIIHLTDDSFDTDVLKADGAILVDFWAEWCGPCKMIAPILDEIADEYQGKLTVAKLN 60
IDQNPGTAPKYGIRGIPTLLLFKNGEVAATKVGALSKGQLKEFLDANLAGSGSGHMHHHH 120
HHSSGLVPRGSGMKETAAAKFERQHMDSPDLGTDDDDKAMADIGSQRHNNSSLNTRTQKA 180
RHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSS 240
WIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL 300
** 302
【0155】
実施例10:大腸菌中でのNKG2A細胞外ドメインの発現
ヒトNKG2A(配列番号1の残基99−233)細胞外ドメインを大腸菌中で発現させた。NKG2Aをチオレドキシン(Trx)及びhexaHisタグにN-末端で融合させた。予想された分子量は33kDaであった。Trx及びhexaHisは、エンテロキナーゼを使用しタンパク分解的に除去することができる。Trx-NKG2Aが、500mLの研究室規模の培養にて、約10mg/Lで発現された(図16)。
【0156】
実施例11:大腸菌中での発現のためのCD94プラスミドコンストラクト
CD94を、BamHI中のBamHI-BglII+脱リン酸化(子ウシの腸のホスファターゼを使用)ヘキサHis-GST XPNNB pET15bにサブクローニングし、次の配列(配列番号55)(図17)をコード化したpISNN427を生成させた。
MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLESPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEG 60
DKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGA 120
VLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDA 180
LDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPK 240
SDLVPRGSSFTKLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNES 300
RHLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPSFE 360
TFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI** 396
【0157】
実施例12:大腸菌におけるCD94細胞外ドメインの発現
ヒトCD94(配列番号2の残基34-179)細胞外ドメインを、大腸菌で発現させた。CD94をヘキサHis及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)に、N-末端で融合させた。予期される分子量は46kDaであった。ヘキサHis-GSTは、トロンビンでの切断により除去することができる。GST-CD94の発現レベルは、500mLの研究室規模の培養にて、約50mg/Lであった。発現を30℃で得た。融合タンパク質を不溶性形態で発現させた。この特定の実験では、種々の溶菌方法がスクリーニングされた(TEN(tris、EDTA、NaCl)を使用する凍結-解糖(fz)サイクル、又はBugBuster(Novagen)もしくはPopCulture(Novagen)を使用する洗浄ベースの溶菌)(図18)。
【0158】
実施例13:単鎖NKG2A-CD94又はCD94-NKG2A発現コンストラクトのクローニング:2つの方法
使用したプライマーは以下の通りである:
2xGGS−アップ:AGCTTGGCGGTAGCGGCGGTAGCA(配列番号56)
2xGGS−ダウン:GATCTGCTACCGCCGCTACCGCCA(配列番号57)
2xGGS−挿入ダウン:GTTGTGCCTCTGGCTACCGCCGCTACCGCCAATGAGCTGTTGC(配列番号58)
NKG2A-2xGGS-CD94。第1に、NKG2Aの3'末端をBluescript-SK(−)に整列させた。親水性リンカーの添加、及び最初のクローンの停止コドンの除去と同時に、アニール化されたオリゴ('2xGGS−アップ'及び'2xGGS−ダウン')を、NKG2A-pBluescript-SK(−)(pISNN425)において、HindIII-BglIIにサブクローニングさせた(図19A)。第2に、CD94を、NKG2A-2xGGSリンカーpBluescript-SK(−)制限BglII-NotI中のBamHI-NotIに挿入した(図19B)。正確なクローンを制限消化により同定し、T7 og T3プライマーを使用して配列決定した。
NKG2A-2xGGS-CD94(NKG2A-2xGGS-CD94-pBluescript-SK(−)))を、BamHI制限及び脱リン酸化(子ウシの腸のホスファターゼを使用)-へキサHis-GST XPNNB pET15b中のBamHI-BglII、又はBamHI-BglII i BamHI+脱リン酸化Trx-ヘキサHis pET32aにサブクローニングさせた(図20)。
【0159】
CD94-2xGGS-NKG2A。他のアプローチにおいて、CD94を、BamHI制限及び脱リン酸化されたNKG2A pBluescript-SK(−)(pISNN425)中のBamHI-BglIIに挿入した。停止コドンの除去と親水性リンカーの添加と同時に、リンカー(2xGGS挿入ダウン)を、部位特異的突然変異誘発により挿入した。プライマーは5-リン酸化されており、「Quick-changeマルチ部位特異的突然変異誘発キット」(Stratageneから購入)を使用する。配列検証のために、T7及びT3プライマーを使用する。CD94-2xGGS-NKG2Aヘテロ二量体を、BamHI-BglII i BamHI+脱リン酸化ヘキサHisGST XPNNB pET15b又はBamHI-BglII i BamHI+脱リン酸化Trx-ヘキサHis pET32aにサブクローニングする。図21及び22を参照。
コンストラクトはBL21(DE3)で発現する。
【0160】
ヘキサHis-GST NKG2A-2xGGS-CD94についてのアミノ酸配列は(配列番号37)である:
MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMLESPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEG 60
DKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGA 120
VLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDA 180
LDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPK 240
SDLVPRGSQRHNNSSLNTRTQKARHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSK 300
NSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSSWIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAV 360
LQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKLGGSGGSRSSFTKLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQ 420
EKWVGYRCNCYFISSEQKTWNESRHLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYS 480
EEHTAWLWENGSALSQYLFPSFETFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI** 539
【0161】
Trx-ヘキサHis-NKG2A-2xGGS-CD94についてのアミノ酸配列は(配列番号38)である:
MSDKIIHLTDDSFDTDVLKADGAILVDFWAEWCGPCKMIAPILDEIADEYQGKLTVAKLN 60
IDQNPGTAPKYGIRGIPTLLLFKNGEVAATKVGALSKGQLKEFLDANLAGSGSGHMHHHH 120
HHSSGLVPRGSGMKETAAAKFERQHMDSPDLGTDDDDKAMADIGSQRHNNSSLNTRTQKA 180
RHCGHCPEEWITYSNSCYYIGKERRTWEESLLACTSKNSSLLSIDNEEEMKFLSIISPSS 240
WIGVFRNSSHHPWVTMNGLAFKHEIKDSDNAELNCAVLQVNRLKSAQCGSSIIYHCKHKL 300
GGSGGSRSSFTKLSIEPAFTPGPNIELQKDSDCCSCQEKWVGYRCNCYFISSEQKTWNES 360
RHLCASQKSSLLQLQNTDELDFMSSSQQFYWIGLSYSEEHTAWLWENGSALSQYLFPSFE 420
TFNTKNCIAYNPNGNALDESCEDKNRYICKQQLI** 456
【0162】
実施例14:大腸菌におけるNKG2A-2xGGS-CD94の発現
gly-gly-ser-gly-gly-serリンカーにより離間したヒトNKG2A(配列番号1の残基99-233)及びヒトCD94(配列番号2の残基34-179)細胞外パートが、大腸菌株BL21(DE3)における単鎖融合体として発現された。それらのN-末端で、それぞれチオレドキシン(Trx)及びヘキサHisタグ、又はヘキサHis及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を担持する、2つの異なるNKG2A-CD94融合コンストラクトが発現された。Trx-ヘキサHis-NKG2A-2xGGS-CD94が、500mLの研究室規模の培養にて、約100mg/L発現した。ヘキサHis-GST-NKG2A-2xGGS-CD94の発現レベルは、500mLの研究室規模の培養にて、約70mg/Lであった。Trx-ヘキサHisはエンテロキナーゼを使用し、タンパク質分解的に除去されてよい。ヘキサHis-GSTは、トロンビンで切断することにより除去することができる。発現は37℃で得られた。融合タンパク質は不溶性のペレットフラクション(p)において高度に発現した(図23)。
【0163】
実施例15:大腸菌におけるTRX-His-タグ-NKG2A-GGSGGS-CD94単鎖コンストラクトの発現
250mlの発酵体から単離された細胞を、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTAで1度洗浄した。得られたペレットを、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTA、10w/v%のスクロース、5mMのDTT、5mMのベンズアミジンに再懸濁させ、フレンチプレスで溶解させた。不溶性の封入体を遠心分離により収集し、洗浄し、6Mのグアジニウムヒドロクロリド、100mMのTris、pH8、40mMのDTTに溶解させた。
溶解したタンパク質を、20mlのリフォールディングバッファー、50mMのTris、pH8.2、750mMのアルギニン、10mMのNaCl、0.5mMのKCl、0.5g/LのPEG3350、2mMのMgCl2、2mMのCaCl2、4mMのシステイン、1.5mMのDTTで希釈した。リフォールディング混合物を一晩5℃で放置した。
リフォールディングタンパク質を10mMのTris、pH8で5回希釈し、5mlのQセファロース高速流カラムに適用することにより精製した。2Cv 10mMのTris、pH8、50mMのNaClで洗浄した後、タンパク質を10CV以上、10mMまでのTris、pH8、2MのNaClによる直線状勾配により溶出させた。
【0164】
実施例16:TRX-His-タグ-NKG2A-GGSGGS-CD94
1Lの発酵体から単離された細胞を、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTAで1度洗浄した。得られたペレットを、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTA、10w/v%のスクロース、5mMのDTT、5mMのベンズアミジンに再懸濁させ、フレンチプレスで溶解させた。不溶性の封入体を遠心分離により収集し、洗浄し、6Mのグアジニウムヒドロクロリド、100mMのTris、pH8、40mMのDTTに溶解させた。
溶解したタンパク質を、100mlのリフォールディングバッファー、50mMのTris、pH8.2、750mMのアルギニン、10mMのNaCl、0,5mMのKCl、0.5g/LのPEG3350、2mMのMgCl2、2mMのCaCl2、4mMのシステイン、1.5mMのDTTで希釈した。リフォールディング混合物を一晩5℃で放置した。
リフォールディングタンパク質を10mMのTris、pH8で5回希釈し、5mlのQセファロース高速流カラムに適用することにより精製した。2Cv 10mMのTris、pH8、50mMのNaClで洗浄した後、タンパク質を10CV以上、10mMまでのTris、pH8、2MのNaClによる直線状勾配により溶出させた。
【0165】
実施例17:HiS-タグ-GST-NKG2A-GGSGGS-CD94
1Lの発酵体から単離された細胞を、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTAで1度洗浄した。得られたペレットを、50mMのTris、pH8、200mMのNaCl、5mMのEDTA、10w/v%のスクロース、5mMのDTT、5mMのベンズアミジンに再懸濁させ、フレンチプレスで溶解させた。不溶性の封入体を遠心分離により収集し、洗浄し、6Mのグアジニウムヒドロクロリド、100mMのTris、pH8、40mMのDTTに溶解させた。
溶解したタンパク質を、20mlのリフォールディングバッファー、50mMのTris、pH8.2、750mMのアルギニン、10mMのNaCl、0,5mMのKCl、0.5g/LのPEG3350、2mMのMgCl2、2mMのCaCl2、4mMのシステイン、1.5mMのDTTで希釈した。リフォールディング混合物を一晩5℃で放置した。
リフォールディングタンパク質を10mMのTris、pH8で5回希釈し、5mlのQセファロース高速流カラムに適用することにより精製した。2Cv 10mMのTris、pH8、50mMのNaClで洗浄した後、タンパク質を10CV以上、10mMまでのTris、pH8、2MのNaClによる直線状勾配により溶出させた。
【0166】
実施例18:表面プラズモン共鳴分析による組換えCD94/NKG2Aコンストラクトの特徴付け
次のコンストラクトを固定化抗体、HP-3D9、Z199、及びウサギ-抗マウス(RaM)に対する結合性、続いてHLA-E四量体の結合性について分析した。
CD94-mFc ホモ二量体
CD94-NKG2A-mFc 単鎖
NKG2A-mFc ホモ二量体
CD94-mFc/NKG2A 単一変異を有するヘテロ二量体
CD94-mFc/NKG2A ヘテロ二量体
CD94-mFc/NKG2A 二重変異を有するヘテロ二量体
【0167】
物質
表面プラズモン共鳴研究を、Biacore3000機器(Biacore AB, Uppsala, Sweden)において実施した。リガンドの固定化を、製造者により記載された標準的なアミンカップリングキット(Biacore AB)を使用し、センサーチップ(Biacore AB)において実施した。
ランニングバッファーとして、全ての希釈用に、HBS-EPバッファー(10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%のポリドルバート20(v/v))を使用した。センサーチップの再生は、10mMのグリシン-HCl、pH1.8の短パルス(15μl、流速30μl/分)により実施した。
全ての実験を流速10μl/分、25℃で実施した。Biaevaluation 4.1ソフトウェアを使用し、データを分析した。
抗CD94モノクローナル抗体HP-3D9(BD Pharmingen, cat# 555887)、抗CD94/NKG2Aモノクローナル抗体Z199(Immunotech, France)、及びウサギ-抗マウス(RaM)ポリクローナル抗体(Biacore AB)を、CM5センサーチップにおける個々のフローセルに〜5000RUのレベルまで、アミンカップリングすることにより固定した。
【0168】
抗CD94及び抗CD94/NKG2Aモノクローナル抗体へのCD94/NKG2Aコンストラクトの結合、及びHLA-E四量体結合における競合
全てのコンストラクトを、HBS-EPにおいて1μg/mlに希釈した。HLA-E四量体を5μg/ml濃度で試験した。各サイクルは、付与されたコンストラクトの最初の注入と、続いてのHLA-E四量体の注入からなる。コンストラクト及びHLA-E四量体を3分と、センサーチップ表面の再生前にそれぞれ2.5分の解離相を続けた。
全てのコンストラクトを、4℃及び−20℃で保存して試験した。
NKG2A-mFcホモ二量体を除く全てのコンストラクトが、固定化されたHP-3D9に結合することが示された。HP-3D9に個々のコンストラクトが結合することは、単一変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体を除き、保存条件に影響されない思われ、オンレイト(on-rate)における見かけの減少が、−20℃で保存されたコンストラクトについて検出することができた。しかしながら、コンストラクトは固定化されたHP-3D9に結合しなかった。
二重変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体の見かけオフ-レイト(off-rate)は、見かけ同一の解離パターンを示す他のコンストラクトと比較して高かった。二重変異を有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体を除く全てのコンストラクトが、2.5分の解離相中、安定した結合性を示した。
【0169】
HP-3D9と複合した任意の個々のコンストラクトに結合したHLA-E四量体は検出されなかった。
固定化されたZ199への結合は、保存条件に関係なく、CD94-NKG2A-mFc単鎖、CD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体、及び二重変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体について観察された。また、4℃で保存された、単一変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体の結合は検出されたが、−20℃で保存された同様のコンストラクトでは、結合は示されなかった。CD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体及び単鎖変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体の結合は検出されたが、CD94-NKG2A-mFc単鎖、及び二重変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体のものと比較して、固定化されたZ199へのそれらの会合性は、低下していると思われる。
【0170】
CD94-NKG2A-mFc単鎖、CD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体、及び単一変異を有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体(4℃で保存)の結合性は、2.5分の解離相中、安定していると思われ、二重変異を有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体の解離はかなり速かった。
Z199と複合したコンストラクトへのHLA-E四量体の結合は、CD94-NKG2A-mFc単鎖コンストラクトについて検出された。HLA-E四量体の結合性は、2.5分の解離期間中、安定していると思われた。
【0171】
NKG2A-mFcホモ二量体を除く全てのコンストラクトは、固定化RaMに結合した。再度、−20℃で保存された単一変異コンストラクトを有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体の会合性は、4℃で保存された同様のコンストラクトと比較して、低下していると思われる。
RaMと個々のコンストラクトとの複合体へのHLA-E四量体の結合は、NKG2A-mFcホモ二量体を除く全てのコンストラクトについて観察された。結合した相対的に多量のHLA-E四量体は、CD94-NKG2A-mFc単鎖及び二重変異複合体を有するCD94-mFc/NKG2Aヘテロ二量体について観察された。
【0172】
実施例19:抗CD94及び抗CD94/NKG2Aモノクローナル抗体へのTRX-His-タグ-NKG2a-GSS-GSS-CD94-His-タグ/pET32aの結合
大腸菌発現したTHX-His-タグ-NKG2a-GSS-GSS-CD94-His-タグ/pET32aを、固定化されたHP-3D9及びZ199モノクローナル抗体への結合性について分析した(実施例18を参照)。それぞれpH6.0、7.0及び8.0で調製された2つの異なる調製物を試験した;一方は250mlの発酵体(B3)から得られたもの、一方は1Lの発酵体からのものである(B12)(実施例15及び16を参照)。
250mlの発酵体からの調製物を、HBS-EPにおいて1:10に希釈して試験し、3分注入し、続いて2.5分解離した。調製物は固定化されたHP-3D9及び固定化されたZ199の双方に結合し、固定化されたHP-3D9には多量結合した(図24)。
1Lの発酵体からの調製物を、10μg/mlまで希釈し、3分注入し、続いて2.5分解離した。この調製物は、固定化されたHP-3D9及びZ199の双方に結合することが示された(図24)。
【0173】
実施例20:mFc-hNKG2C-hCD94発現コンストラクトの設計及び生成
可溶性ヒトNKG2CをGeneart, Regensburg, Deutschlandから得た。pBF74(NKG2C/CD94-Fc)で得られたpBF17からhNKG2A(配列番号59)を容易に置き換えるために、配列は、5'BamHI制限部位及び3'HindIII制限部位を有する順番であった。
1 MPLLLLLPLL WAGALAMDVP RDCGCKPCIC TVPEVSSVFI FPPKPKDVLT
51 ITLTPKVTCV VVDISKDDPE VQFSWFVDDV EVHTAQTKPR EEQFNSTFRS
101 VSELPIMHQD WLNGKEFKCR VNSAAFPAPI EKTISKTKGR PKAPQVYTIP
151 PPKEQMAKDK VSLTCMITDF FPEDITVEWQ WNGQPAENYK NTQPIMDTDG
201 SYFVYSKLNV QKSNWEAGNT FTCSVLHEGL HNHHTEKSLS HSPGKGSFLE
251 QNNSSPNTRT QKARHCGHCP EEWITYSNSC YYIGKERRTW EESLLACTSK
301 NSSLLSIDNE EEMKFLASIL PSSWIGVFRN SSHHPWVTIN GLAFKHKIKD
351 SDNAELNCAV LQVNRLKSAQ CGSSMIYHCK HKLGGSGGSR SSFTKLSIEP
401 AFTPGPNIEL QKDSDCCSCQ EKWVGYRCNC YFISSEQKTW NESRHLCASQ
451 KSSLLQLQNT DELDFMSSSQ QFYWIGLSYS EEHTAWLWEN GSALSQYLFP
501 SFETFNTKNC IAYNPNGNAL DESCEDKNRY ICKQQLI
コンストラクトは、単一ペプチドCD33(配列番号30)、227Fc-部分(ヒンジ-CH2-CH3)(配列番号21)、リンカー(GS)、hNKG2C(配列番号3)の残基96-231、GGSGGSRSSスペーサー、及びhCD94(配列番号2)の残基34ないし180を含有する。
【0174】
哺乳動物細胞発現に対する変異したNKG2A-部分コンストラクト
単鎖コンストラクトに使用されたNKG2A及びNKG2Cの可溶性部分のアミノ酸配列は、図25のアラインメントの番号付けを使用すると、残基99、100、101、106、167、168、170、189及び197のみが異なっている。単鎖コンストラクトに使用された配列が、上述した番号付けスキームに従い、NKG2C(FLEQ……)については位置98、及びNKG2A(QRH……)については99で開始することが記されている。
CD94/NKG2C-単鎖コンストラクトのシリーズは、単鎖コンストラクト(Sig)-(mFc)-GS-(NKG2A)-GGS-GGS-RSS-(CD94)(配列番号39)に基づき開発された。このコンストラクトは、hCD94(配列番号2)の残基34ないし180、hNKG2A(配列番号1)の残基99-233、CD94及びNKG2A部分の間のGGSGGSRSSスペーサー、及び227Fc-部分を含有する。シリーズは以下の表4に列挙された反復変異を用いて調製された。

【0175】
hNKG2A部分における変異を、コンストラクトpBF17(配列番号39)において、素早い突然変異誘発を使用して達成した。素早い突然変異誘発において使用されるプライマーは以下の通りである:
変異1LEQ−P;順方向(配列番号60)、逆方向(配列番号61)
変異2AS-L;順方向(配列番号62)、逆方向(配列番号63)
変異3I;順方向(配列番号64)、逆方向(配列番号65)
変異4K;順方向(配列番号66)、逆方向(配列番号67)
変異M;順方向(配列番号68)、逆方向(配列番号69)
これらの変異を、QuikChangeII部位特異的突然変異誘発キット、及びStratagene #200523のマニュアルを称して実施した:95℃/30秒での単一変性工程に、95℃/30秒;55℃/1分;68℃/7分、最後に72℃/10分の15サイクルが続いた。
【0176】
実施例21:scCD94/NKG2A又はscCD94/NKG2C組換えタンパク質に結合する抗NKG2A又は-NKG2C抗体のSPR研究
材料及び方法
表面プラズモン共鳴(SPR)測定を、25℃でBiacore T100装置(Biacore GE Healthcare)において実施した。全てのBiacore実験において、ランニングバッファー及びセンサーグラムとして供給されるHBS-EP+バッファー(Biacore GE Healthcare)を、Biaevaluation 4.1及びBiacore T100 Evaluationソフトウェアを用いて分析した。使用した抗体は抗NKG2A(humZ270及びZ199)、抗NKG2C(Immunotech-Beckman Coulter)、及び抗NKG2D(ON72)であった。
【0177】
タンパク質固定化
組換えタンパク質を、センサーチップCM5(チップ)上のデキストラン層中のカルボキシル基に、共有結合的に固定化させた。チップ表面をEDC/NHS(N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド及びN-ヒドロキシスクシンイミド(Biacore GE Healthcare))で活性化させた。タンパク質をカップリングバッファー(10mMのアセタート、pH5.6)において10μg/mlに希釈し、適切な固定化レベルに達するまで注入した(すなわち、それぞれ2A、2C及び2Dについて700、630及び400RU)。
残存した活性化基の不活性化を、100mMのエタノールアミン、pH8(Biacore GE Healthcare)を使用して実施した。
【0178】
結合研究
単一の結合実験において、scCD94/NKG2A、scCD94/NKG2C及びNKG2D-Fc組換えタンパク質チップに、10μl/分の流速で1分間、10μg/mlの一定濃度の抗体を注入した。各サイクル後、流速40μl/分で、500mMのNaCl及び10mMのNaOHバッファーを8秒注入することにより、チップを再生させた。各抗体について、種々のタンパク質チップについて得られたセンサーグラムを重ね合わせ、Y軸について100RUの任意値に対して正規化させた。
【0179】
親和性測定
動的実験において、0.178〜5ナノMと、一連の希釈された可溶性抗体を、固定化されたscCD94/NKG2A組換えタンパク質を含有するデキストラン層に、一定流速40μl/分で2分注入し、500mMのNaCl及び10mMのNaOHバッファーを8秒注入することによる再生前に、3分解離させることができた。
得られたセンサーグラムを適切なラングミュアモデルを使用し、包括的フィッティングにより分析した。
【0180】
HLA-E四量体結合阻害
阻害実験において、固定化されたscCD94/NKG2A組換え標的タンパク質を含有するデキストラン層に、10μg/mlの一定濃度で抗体を注入した。各競合サイクルは、10μl/分の一定流速での2分間の注入工程3回からなる。第1に、抗体を2回注入する。第2に、結合した抗体を除去することなく、8μg/mlでHLA-E四量体を注入し、センサーグラム及びRU値をモニターする。抗体の存在下におけるHLA-E四量体の結合シグナルを、HLA-E四量体が、裸の組換えscCD94/NKG2Aタンパク質に直接注入された場合に得られたものと比較する。次の式:I%=(1-(RU+Ab/RU無し))100を使用し、注入終了10秒後に得られたRU値から、阻害パーセンテージ(I%)を決定した。RU+Ab及びRU無しは、抗体の存在及び不在下において、それぞれモニターされたHLA-E結合RU値である。HLA-E注入(第3工程)に対応するセンサーグラムを、X及びY軸双方についで、注入出発時をゼロに位置あわせして、重ねた。
各サイクル後、流速40μl/分で、500mMのNaCl及び10mMのNaOHバッファーを8秒注入することにより、チップを再生させた。
【0181】
結果
組換えNKG2A、NKG2C及びNKG2Dタンパク質に対するhumZ270及びhumZ199抗体の結合性を、SPRにより分析した(図26)。双方の抗体はscCD94/NKG2Aチップには結合したが、scCD94/NKG2Cチップには結合しなかった。負の対照体として、NKG2D-Fcタンパク質を使用した。
scCD94/NKG2Cチップを、NKG2Cチップに1分間、2.5μg/mlで注入された抗NKG2C-PE(FAB138P, R&D Systems)を使用してチェックした。この抗体は、細胞表面で発現した天然NKG2Cによく結合する。scCD94/NKG2Cチップに結合した抗体は、細胞表面状態を模倣した適切な状態に固定化タンパク質が存在することを示す。NKG2D-FcチップをhumON72抗体を使用してチェックした。
HLA-E結合特性を分析するために、scCD94/NKG2AチップへのHLA-E四量体の結合性を、humZ270の不在下及び存在下においてモニターした。humZ270抗体を使用するscCD94/NKG2Aチップの状態で、HLA-E四量体の結合を競合的に阻害した(IZ270=81.8%)。
【0182】
例示的実施態様
1.NKG2アミノ酸配列の可溶性部分とCD94アミノ酸配列の可溶性部分を含む単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
2.Fcドメインの全て又は一部を含む免疫グロブリンポリペプチド又はその変異体をさらに含む実施態様1の単鎖コンストラクト。
3.CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端がNKG2アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端が免疫グロブリンポリペプチドに結合している実施態様2の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
4.NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端がCD94アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端が免疫グロブリンポリペプチドに結合している実施態様2の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
5.NKG2アミノ酸配列の可溶性部分とCD94アミノ酸配列の可溶性部分が、グリシン及びセリンを含むペプチドリンカーにより結合している実施態様3及び4のいずれかの単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
6.上述した実施態様のいずれかの単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターの二量体。
7.NKG2アミノ酸配列の可溶性部分を含むNKG2サブユニットと、CD94アミノ酸配列の可溶性部分を含むCD94サブユニットを含み、NKG2サブユニット及びCD94サブユニットの少なくとも一方が、Fcドメインの全て又は一部を含む免疫グロブリンポリペプチド又はその変異体を含む可溶性CD94/NKG2レセプター。
8.免疫グロブリンポリペプチドが、コンストラクトのインビボ半減期を増加させるIgG Fcドメインの一部を含む実施態様7の可溶性CD94/NKG2レセプター。
9.免疫グロブリンポリペプチドが機能的Fcドメインである実施態様7−8のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
10.FcドメインがIgG4抗体由来である実施態様7−9のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
11.FcドメインがIgG1抗体由来である実施態様7−10のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
12.NKG2A及びCD94サブユニットの一方のみが免疫グロブリンポリペプチドを含む実施態様7−11のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
13.免疫グロブリンポリペプチドがサブユニットのC-末端部分に結合している実施態様12の可溶性CD94/NKG2レセプター。
14.NKG2A及びCD94サブユニットがペプチドリンカーを介して結合している実施態様12−13のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
15.ペプチドリンカーが配列GGSGGS(配列番号6)を含む実施態様13の可溶性CD94/NKG2レセプター。
16.NKG2サブユニットが免疫グロブリンポリペプチドに共有結合している実施態様12−15のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
17.CD94サブユニットが免疫グロブリンポリペプチドに共有結合している実施態様12−15のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
18.NKG2及びCD94サブユニットのそれぞれが免疫グロブリンポリペプチドに共有結合している実施態様7の可溶性CD94/NKG2レセプター。
19.NKG2サブユニットのN-末端が第1の免疫グロブリンポリペプチドのC-末端に結合して第1のポリペプチドが形成され、CD94サブユニットのN-末端が第2の免疫グロブリンポリペプチドのC-末端に結合して第2のポリペプチドが形成される実施態様18の可溶性CD94/NKG2レセプター。
20.第1の免疫グロブリンポリペプチドが、ヒトIgG1 Fcドメインにおいて、残基239に対応する残基にリジンを、残基292に対応する残基にアスパラギン酸を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドが、ヒトIgG1 Fcドメインにおいて、残基282に対応する残基にリジンを、残基322に対応する残基にアスパラギン酸を含む実施態様19の可溶性CD94/NKG2レセプター。
21.第1の免疫グロブリンポリペプチドが、ヒトIgG1 Fcドメインにおいて、残基239及び240に対応する残基にリジンを、残基292に対応する残基にアスパラギン酸を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドが、ヒトIgG1 Fcドメインにおいて、残基253に対応する残基にグルタミン酸を、残基282に対応する残基にリジンを、残基322に対応する残基にアスパラギン酸を含む実施態様19及び20のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
22.第1の第2の免疫グロブリンポリペプチドの双方がヒトIgG1 Fcドメインの変異体であり、第1の免疫グロブリンポリペプチドが、K253E、D282K、及びK322Dに対応する置換を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドが、D239K、E240K、及びK292Dに対応する置換を含み、又はその逆である実施態様20及び21のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
23.第1の第2の免疫グロブリンポリペプチドの双方がヒトIgG4 Fcドメインの変異体であり、第1の免疫グロブリンポリペプチドが、K250E、D279K、及びK319Dに対応する置換を含み、第2の免疫グロブリンポリペプチドが、E236K、E237K、R289Dに対応する置換を含み、又はその逆である実施態様20及び21のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
24.CD94/NKG2Aである上記実施態様のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
25.NKG2Aサブユニットが配列番号1の残基99−233を含む実施態様25の可溶性CD94/NKG2Aレセプター。
26.CD94/NKG2Cである実施態様1−23のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
27.NKG2Cサブユニットが配列番号3の残基96−231を含む実施態様26の可溶性CD94/NKG2Cレセプター。
28.CD94アミノ酸配列が配列番号2である上記実施態様のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
29.CD94サブユニットが配列番号2の残基35−179を含む実施態様28の可溶性CD94/NKG2Aレセプター。
30.免疫グロブリンポリペプチドがシグナル配列に共有結合している上記実施態様のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプター。
31.配列番号37−39のいずれかの配列を含む可溶性CD94/NKG2Aレセプター。
32.配列番号59の配列を含む可溶性CD94/NKG2Cレセプター。
33.上記実施態様のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプターをコードする核酸。
34.実施態様33の核酸を含む発現ベクターで形質転換された細胞。
35.原核細胞又は真核細胞である実施態様34の細胞。
36.可溶性CD94/NKG2レセプターの製造方法において、可溶性CD94/NKG2レセプターの発現に適した条件下で実施態様35の細胞を培養することを含む方法。
37.実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプターの有効量と製薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含有する薬学的組成物。
38.CD94/NKG2レセプターに対する抗体の製造方法であって、
a.実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプターを動物に接種し、ここで該ポリペプチドは動物に免疫反応を誘発させて抗体を生成させるものであり;及び
b.動物から抗体を単離する
ことを含む方法。
39.HLA-E分子の検出方法であって、
a.HLA-E発現細胞を含有する生物学的試料を実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプターと接触させ;
b.細胞に対する可溶性CD94/NKG2レセプターの結合を検出する
ことを含む方法。
40.抗NKG2抗原結合化合物の製造方法であって、
a.NKG2ポリペプチドに特異的に結合する抗原結合化合物を提供し;
b.実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2Aレセプターに対する結合について抗原結合化合物を試験し;
c.抗原結合化合物が可溶性CD94/NKG2Aレセプターに結合することが決定されるならば抗原結合化合物を選択し;
d.場合によっては、所定量の選択された抗原結合化合物を製造する
ことを含む方法。
41.抗NKG2抗原結合化合物の製造方法であって、
a.NKG2ポリペプチドに特異的に結合する抗原結合化合物を所定量提供し;
b.実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2Aレセプターに対する結合について該所定量の抗原結合化合物からの試料を試験し;
c.抗原結合化合物が可溶性CD94/NKG2レセプターに結合することが決定されるならば医薬として及び/又は医薬の製造への使用に所定量を選択し;
d.場合によっては、ヒトへ投与するための所定量を調製し、場合によっては製薬的に許容可能な担体と共に所定量の選択された抗原結合化合物を製剤化する
ことを含む方法。
42.抗NKG2抗原結合化合物の製造方法であって、
a.NKG2ポリペプチドに特異的に結合する複数の抗原結合化合物を提供し;
b.実施態様1から32のいずれかの可溶性CD94/NKG2レセプターに対する結合性についてそれぞれの抗原結合化合物を試験し;
c.抗原結合化合物が該可溶性CD94/NKG2レセプターに結合することが決定されるならば抗原結合化合物を選択し;
d.場合によっては、抗原結合化合物をヒトへの投与に適したものにし;及び/又は
e.場合によっては、所定量の選択された抗原結合化合物を製造する
ことを含む方法。
43.抗原結合化合物をヒトへの投与に適したものにすることが、抗原結合化合物をキメラ又はヒト化することを含む実施態様40から42のいずれかに記載の方法。
44.所定量の抗原結合化合物を製造することが、適切な培地中で抗原結合化合物を発現する細胞を培養し、抗原結合化合物を回収することを含む実施態様40−43のいずれか一の方法。
45.抗原結合化合物が抗体又はその抗原結合断片を含む実施態様40−44のいずれかの方法。
46.抗原結合化合物が抗体である実施態様40−45のいずれかの方法。
47.NKG2ポリペプチドがNKG2Aである実施態様40−46のいずれかの方法。
48.NKG2ポリペプチドがNKG2Cである実施態様40−46のいずれかの方法。
【0183】
ここに引用した刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているのと同じ程度に、出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、決して本発明を限定するものとは解してはならない。
その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組合せも、他の記載が示されていないか文脈上はっきりと矛盾していない限りは、本発明に包含される。
【0184】
発明を記述する際に使用される「a」及び「an」及び「the」なる用語及び同様の指示対象は、ここで別の記載がなされていないか、文脈上はっきりと矛盾していない限りは、単数形及び複数形の双方をカバーしていると解されるものである。
ここでの値の範囲の記載は、他の記載が示されていない限りは、その範囲に入るそれぞれ別個の値に個々に言及することを省略する方法となるものであることを単に意図しており、それぞれ別個の値は、ここで個々に列挙されているように、明細書に援用される。他の記載がなされない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値の代表例である(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示的値は、適切な場合は「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
ここで記載される全ての方法は、ここで示され、前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、任意の適切な順序で実施することができる。
【0185】
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、明示的に記載していない限り、如何なる要素も本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
【0186】
他に言及しない又は前後関係ではっきりと矛盾していない限りは、要素又は要素群に関して、「含有する」、「有する」、「含む」又は「含んでいる」等の用語を使用する本発明の任意の態様又は実施態様のここでの記載は、その特定の要素又は要素群「からなる」、「本質的になる」、又は「実質的に含む」本発明の類似した態様又は実施態様をサポートすることを意図したものである(例えば、特定の要素を含むものとしてここに記載されている組成物は、他に言及しない限り又は前後関係ではっきりと矛盾していないならば、その要素からなる組成物をまた記載しているものと理解すべきである)。
本発明は、適用される法律によって許容される最大の範囲で、ここに提示された態様又は特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形例及び均等物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NKG2アミノ酸配列の可溶性部分とCD94アミノ酸配列の可溶性部分を含む単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項2】
Fcドメインの全て又は一部を含む免疫グロブリンポリペプチド又はその変異体をさらに含む請求項1に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項3】
CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端がNKG2アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端が免疫グロブリンポリペプチドに結合している請求項2に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項4】
NKG2アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端がCD94アミノ酸配列の可溶性部分のN-末端に結合し、CD94アミノ酸配列の可溶性部分のC-末端が免疫グロブリンポリペプチドに結合している請求項2に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項5】
NKG2アミノ酸配列の可溶性部分とCD94アミノ酸配列の可溶性部分が、グリシン及びセリンを含むペプチドリンカーにより結合している請求項3又は4に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項6】
CD94/NKG2A、CD94/NKG2B、CD94/NKG2C、CD94/NKG2E、又はCD94/NKG2Fレセプターである請求項1から5のいずれか一項に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項7】
CD94/NKG2Aである請求項6に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項8】
配列番号1の残基99−233を含む請求項7に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2Aレセプター。
【請求項9】
CD94/NKG2Cである請求項6に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項10】
配列番号3の残基96−231を含む請求項9に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2Cレセプター。
【請求項11】
配列番号2の残基35−179を含む請求項1から10のいずれか一項に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプター。
【請求項12】
配列番号37−39のいずれかの配列を含む可溶性CD94/NKG2Aレセプター。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の単鎖可溶性CD94/NKG2レセプターの二量体。
【請求項14】
可溶性CD94/NKG2レセプターの発現に適した条件下で、請求項1から13のいずれか一項に記載の可溶性CD94/NKG2レセプターをコードする核酸を含む細胞を培養することを含む可溶性CD94/NKG2レセプターの製造方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の可溶性CD94/NKG2レセプターの有効量と製薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含有する薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−541274(P2009−541274A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515894(P2009−515894)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056276
【国際公開番号】WO2007/147898
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】