説明

可溶性粉末から作られた高カフェイン含有コーヒー飲料からのカフェインの制御送達

破断可能な材質でできている一杯分用の小袋におけるカフェインの制御送達系であって、前記小袋は高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末を提供する。この飲料粉末は、(a)従来のカフェイン含有コーヒー固形物及び(b)(a)以外の天然物に由来する更なるカフェイン含有固形物を、水を粉末に加えて飲料を調製した場合の口当たりを改善するのに十分な量で含む。したがって、少なくとも80から115mg以下のカフェインを含み、個人による一杯分のその飲料の消費により、その飲料の消費後少なくとも2〜4時間、その個人の血漿カフェイン濃度が1.25mg/lを超える飲料を調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人にカフェインを制御送達するのに用いることができる高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末の一杯分に関するものである。この一杯分の可溶性コーヒー飲料粉末から調製された飲料の消費は、消費後の有用な期間に望ましい、制御された血漿カフェインレベルを適切に提供する。更に、高いカフェイン含量を有している他の飲料と対照的に、本発明によって調製される飲料は口当たりが良く、且つ許容できるより好ましい味を有し、即ち、えぐ味及び苦味の程度が低い。
【背景技術】
【0002】
カフェインはエネルギー効果を有し、更に精神的な刺激作用を提供することが知られている公知の刺激剤である。カフェイン含有飲料はそのような飲料を消費する人々に精神的な覚醒を提供するために有用なことは、従来から認められている。
【0003】
カフェイン含有清涼飲料は、例えばコカコーラ(商標)及びペプシコーラ(商標)など良く知られている。これらの飲料は、100mlにつき約12mgのカフェインという比較的低いレベルのカフェインを有し、主に渇きを癒すために消費される。ここ数年の間に、いわゆる栄養飲料が市場に出現した。市販の栄養ドリンクとしてはRed Bull(商標)があり、これは100mlにつき約34mgのカフェインを含む。そのような飲料はより多い量のカフェインを含んでいるかもしれないが、エネルギー効果は比較的限られ、効果の持続も短い。また、これらの栄養ドリンクの一部は天然物に由来しないカフェインを含み、そのために望ましくない。
【0004】
カフェインの適当な供給源であると考えられる種類の典型的飲料は、コーヒーである。カフェイン刺激作用を提供することに加えて、そのような飲料は風味を強化するためにしばしば砂糖若しくは他の甘味料、粉状ミルク、香味料、又は他の添加剤を含む。これらの添加物も、飲料の消費者にエネルギーを提供する。インスタントコーヒーのような従来のインスタント飲料は、カフェイン高含量の一杯を提供するのに適当ではない。可溶性コーヒー粉末から調製されるコーヒーの標準の1カップは、100mlの飲料にわずか約61mgのカフェインを含む。カフェインを比較的多く含む飲料を提供するためには、最終的な飲料の香味が強すぎて不快になるほど多量の可溶性コーヒーを使わなければならない。粉状ミルク及び甘味料を添加しても、この問題を解決することはできない。したがって美味な飲料中の可溶性コーヒーでより多い量のカフェインによるより強い刺激を得るためには、消費者はコーヒーを連続して何杯も飲む必要がある。
【0005】
ある飲料はカフェイン含量がより高いことが知られている。これらには、強いエスプレッソ型コーヒー飲料が含まれる。カフェインを避けたい人々が利用できる、カフェイン抜きのコーヒーもある。これらの飲料は多少のカフェインを含むが、その量は従来のカフェイン含有コーヒーよりも非常に低い。入手できる異なるコーヒー飲料の数のために、コーヒー製品に含まれるカフェインの量は大きく変動し、消費者はどのくらいの量を摂取しているのか良くわからない。更に、飲料のサイズは、どれくらいのカフェインが一杯分に存在するかを決めるのに役割を果たす。異なるカフェインレベルは連続して数杯のコーヒーを消費することによって、又はそのような飲料を作るときに可溶性コーヒーの量を増やすことによって達成されるが、消費者が消費しているカフェインの量を知る確かな方法はない。更に、標準サイズの一杯分中により多くの量の可溶性コーヒー粉末を取り込むことは、飲料の風味に有害な影響を及ぼす。
【0006】
米国特許第4,946,701号は、香味料及び緑茶固形物又はフラバノールを含んでいる飲料を開示している。またカフェインは、カフェインとフラバノールの比が約1:1から約1:30で飲料中に存在することができる。好ましい緑茶固形物は、カテキン及びエピカテキンとそれらの誘導体である。カフェインが存在するとき、この飲料は緑茶固形物によるリラックス作用と共にカフェインの覚醒作用を保持する。この飲料は、甘味料も含むことができる。
【0007】
人々はある大きさ及び種類の飲料を選択することによって摂取するカフェインの量に見当を付けることができるが、どれだけ消費されているかを正確に測定する正確な方法がない。カフェインのある濃度は精神的な覚醒を提供するために有効であるが、多すぎる量は一時的問題、例えば震顫、胃不調又は他の軽い病気を起こすことがある。これらの問題を避けるために、消費者がどれくらいのカフェインを消費するか正確に決定することができれば役に立つ。また、そのような知識は最適な精神的覚醒を提供する量を個人が消費できるようにするためにも有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、指摘した欠陥を修正するインスタント飲料が必要である。より詳細には、カフェイン含量の高い一杯分のインスタント飲料が必要である。また、天然物に由来するカフェインが飲料中に存在することが望ましい。更に、再構成され消費されたときに制御された量のコーヒーを提供し、消費後も持続的なカフェイン効果を提供する可溶性飲料が必要である。これらの飲料は、さほど不快でも苦くもない、良好で許容できる風味を有することも必要である。本発明により、そのような飲料が今や提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は破断可能な材質でできている一杯分用の小袋におけるカフェインの制御送達系であって、前記小袋は水による再構成で液体飲料を提供する高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末を含み、前記可溶性コーヒー飲料粉末は、
(a)従来のカフェイン含有コーヒー固形物、及び
(b)(a)以外の天然物由来の追加のカフェイン含有固形物
を含み、前記飲料は少なくとも80から115mg以下のカフェインを含むことを特徴とする上記カフェインの制御送達系に関する。
【0010】
通常、小袋は一杯分を提供するサイズに設定される。したがって、小袋は一般的に5から30mgの粉末を含む。許容できる風味を有する一杯分の飲料を得るために、小袋の中身は150から250mlの水と混ぜられる。粉末は、好ましくは約10%から約50重量%の従来のコーヒー固形物、及び約0.01から約10重量%の従来のコーヒー固形物以外の天然物由来の1つ又は複数の更なるカフェイン含有固形物を含む。前記更なるカフェイン含有固形物は、好ましくは茶抽出物、ガラナ抽出物、カフェイン抜きの茶抽出物又はカフェイン抜きのコーヒー抽出物である。
【0011】
所望により1つ又は複数のフラバノールを含むことができ、その場合、フラバノール及びカフェインは1:0.02から1:1の重量比で存在する。前記粉末は、1つ又は複数のアロマ、香味料、ビタミン、ミネラル又は他の添加剤を含むことができる。詳細には、調製された飲料の消費者に更なるエネルギーを提供するために、ビタミンプレミックスが含まれる。他の望ましい添加物としては、1つ又は複数の甘味料、粉状ミルク、又は消費者の風味の好みのために所望により他の抽出物が含まれる。
【0012】
粉末成分は、通常、一杯分の小袋内に均一に混合した状態で存在する。或いは、一杯分は、各小袋が一杯分の一部を含み、それぞれは既知量のカフェインを含むように複数の小袋に包むことができる。この複数の小袋は、飲料を作るためにより大きな容器中に包装されていることができる。また、一般的に前記飲料は150から250mlの液体を粉末に加えることによって調製される。好ましい液体としては水又はミルクがある。
【0013】
本発明は、制御量のカフェインを、それを必要とするか、又は摂取することを望む個人に対して小袋の中身及びある液体から飲料を作製した後に個人がその液体を消費することによって届けるための、本発明による小袋の使用にも関する。
【0014】
本発明は、制御量のカフェインを、それを必要とするか、又は摂取することを望む個人に対して届けることのできる飲料を調製するための本発明による小袋の使用にも関する。ここで、個人は小袋の中身及びある液体を混ぜることによって調製された飲料を消費することによってカフェイン総量を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語「消費者」は、本明細書では、本発明の粉末組成物の1つを流体と混ぜ合わせることによって調製された飲料を消費するか又は飲む個人を意味するのに用いられる。
【0016】
本発明は、消費後の長期間効果が持続するカフェイン高含有可溶性コーヒー飲料粉末の一杯分を提供する。コーヒー固形物と天然物に由来する1つ又は複数の更なるカフェイン含有固形物との組み合わせは、適切には口当たりの良さを改善するのに十分な量では、風味の優れたカフェイン高含有の可溶性コーヒー飲料を提供することが知られている。そのようなコーヒー飲料粉末が再構成されると、消費後の血漿カフェイン濃度に影響を及ぼす。したがって、飲料の消費後の血漿カフェイン濃度は、適当には1.25mg/lを超える濃度が2時間を超えて、例えば、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも3.5時間又は少なくとも4時間持続するのが良い。血漿カフェイン濃度は、個人では一杯分の可溶性コーヒー粉末で調製された飲料の消費後に測定される。
【0017】
飲料中の高いカフェイン含量は、カフェインを実質的に純粋なカフェイン粉末の形で単に加えることによって得られる。しかし、こうすると通常、カフェイン自体の苦味のために受け入れがたい風味の製品ができることがわかった。したがって本発明は、コーヒー固形物及び天然物由来の追加のカフェイン含有固形物の間で微妙に調整されたバランスを利用する。このバランスは、一杯分の可溶性コーヒー飲料粉末で調製された飲料の形で消費されたならば、許容可能で口当たりの良い風味を有する製品を可能にする。言い換えると、それはコーヒーのような味がするが、容認しがたく強い苦味はしない。更に、この飲料は一杯分中に存在する他の成分によっては好ましくは甘く、且つ/又は、わずかにミルク風味でもよく、またしばしばそうである。風味の許容性は当業者に公知の方法、例えば専門の試験パネルの評価によって評価することができる。更なる甘味料、及び/又は、粉状ミルクは必要に応じて別々に加えることができるが、本発明は実際、所望により良い感覚刺激性を有する甘味料入り、粉状ミルク入りの飲料を作製するのに十分な各成分を含む。
【0018】
従来のカフェイン含有コーヒー固形物は、約10%から約50%、好ましくは10%から30重量%の量で存在する。コーヒー固形物を得るためには、異なる品種又は種類のコーヒー植物からのコーヒー豆、或いはその混合物を用いることができる。
【0019】
一杯分の粉末の調製のためには、便利にはコーヒー汁に由来する粉末状のコーヒー固形物が使われる。コーヒー汁はいかなる適当な方法を使っても得ることができる。通常、コーヒー汁はコーヒー抽出工程から得られるコーヒー抽出物を所望のコーヒー濃度まで濃縮することによって調製される。コーヒー抽出物は、焙焼したコーヒー豆を抽出する通常の方法により作製することができる。いかなる適当な抽出方法を使うことができるが、その訳は抽出方法の選択及び設計は好みの問題であり、本発明の一杯分には重要な影響を及ぼさないからである。適当な抽出方法は、本明細書で明示的に参照により組み込まれている欧州特許出願0826308及び0916267(米国特許第5,897,903号及び第5,997,929号)で記載されている。同様に、いかなる適当な濃縮方法を使うことができるが、その訳は濃縮方法の選択及び設計は好みの問題であり、本発明の一杯分には重要な影響を及ぼさないからである。もちろん、コーヒー汁は、所望の濃度で可溶性コーヒー粉末を水に溶かすことによっても調製することができる。
【0020】
可溶性コーヒーの生産のために、先に述べたように焙焼されたコーヒー豆をコーヒーベースの濃縮物へ加工するだけでは、実質的に全てのコーヒーアロマを失うことになる。したがって、加工の間にコーヒーアロマを特異的に取り出し、その後収集することが好ましい。この方法では、コーヒーアロマを失うことはない。コーヒーアロマを取り出して収集する方法は公知である。通常、コーヒーアロマは、例えば、コーヒー豆の粉砕の間又は直後に不活性ガス又は蒸気を使用し、また抽出中に蒸気を用いてコーヒー抽出物からコーヒーアロマを取り出すことにより1つ又は複数の過程で取り出される。
【0021】
或いは、新鮮なコーヒー粉砕物を水又はコーヒー抽出物でスラリー状にし、次にコーヒーアロマをスラリーから取り出すことができる。適当な方法は、本明細書で明示的に参照により組み込まれている、国際特許出願99/52378(米国特許第6,149,957号)で記載されている。
【0022】
コーヒーアロマは、いかなる適当な方法を使用しても捕集することができる。通常は、コーヒーアロマは1つ又は複数の凝縮器内でキャリヤーガスから凝縮することによって捕集される。好ましくは、複数の凝縮器が使われる。各後続する凝縮器はその前の凝縮器よりも低い温度で作動される。必要であれば又は所望により、凝縮器の1つは低温アロマ凝縮器でもよい。適当な低温アロマ凝縮器は、参照によって明示的に本明細書に組み込まれている米国特許第5,182,926号で記載されている。捕集されたコーヒーアロマは、所望により適当な手法、例えば部分凝縮又は精留を使って濃縮することができる。捕集されたコーヒーアロマは、適当な担体基質、例えばコーヒー油又はコーヒー油若しくは他の脂肪を含んでいるエマルジョンと組み合わせることができる。水性のコーヒーアロマ成分及び有機コーヒーアロマ成分を次に分離する。水性のコーヒーアロマ成分を分離する適当な方法は、本明細書で参照により明示的に組み込まれている国際特許出願WO00/44238で記載されている。
【0023】
コーヒー抽出物の生産及びコーヒーアロマの捕集のための工程は、所望により酸素減少下又は酸素非存在下で実行することができる。このことは当技術分野で知られているように達成することができ、例えば不活性ガス下でその工程を実行することによって達成できる。更に、水がその工程で必要なときはいつでも脱酸素水を使うことができる。
【0024】
コーヒーアロマは、好ましくは酸素減少下又は酸素非存在下で冷凍保存される。同様に、コーヒーベースの濃縮物は、酸素減少下又は酸素非存在下で保存することができる。更に、所望により、脱酸素剤をコーヒーアロマ及び/又はコーヒーベースの濃縮物に加えることができる。適当な脱酸素剤は、本明細書で参照により組み込まれている、欧州特許出願0934702(米国特許第6,093,436号)で記載されている。
【0025】
追加のカフェイン含有コーヒー固形物は、約0.1%から約10%、好ましくは約1%から5重量%の量で存在する。最も好ましい追加のカフェイン含有固形物は、天然物から得られるものである。これらには、カフェイン抜きのコーヒー固形物及びカフェイン抜きの茶抽出物が含まれる。ガラナ抽出物も所望により使うことができる。これらの固形物の機能は、一杯分中の他のいかなる成分と共に適当な風味バランスを提供することである。固形物はカフェイン抜きであるけれどもまだ多少のカフェインが含まれ、これは一杯分中に望まれる総量への追加となる。これらの固形物は、製品の風味プロフィールのバランスをとるために必要である。
【0026】
本発明に従う一杯分は、可溶性ブラックコーヒー飲料粉末の形で提供することができ、又は、水による再構成後にクリーム状の口当たりを有するコーヒー飲料を提供する粉末の形態で提供することができる。本発明の粉末は、便利なように一杯分の小袋で提供される。一実施形態では、カフェイン含有成分だけが小袋内に存在する。
【0027】
通常、一杯分の総重量は約5gから約30g、例えば約10gから約25g又は好ましくは約15から約20gであり、コーヒー固形物及び天然物由来のカフェイン含有固形物からのカフェインの総含量は少なくとも80から110mg、好ましくは90から100mgである。一杯分は、適当な液体、例えば熱い又は冷たい水又はミルクの適当量を加えることによって、簡単に再構成される。カフェインの持続的影響のために、本発明に従う一杯分は、前に言及したカフェイン濃度を提供することによって持続的刺激をもたらす。
【0028】
飲料を作製するために利用される液体の量は大きく変動する。通常、150から250mlの流体、例えば水で十分である。水は、消費者の好みに合わせた温度に加熱されなければならない。最低温度は、粉末の溶解及び消費者の望む温度の飲料の形成を容易にするものである。水は最も好ましい液体であるが、所望の飲料の最終的な組成によって他の液体、例えばミルク若しくは乳製品、又は甘味料若しくは香味料を含む水溶液を代わりに用いることができる。例えば、ブラックコーヒー飲料を再構成しようとするときは、甘味料の水溶液を使用することができる。同様に、全乳及び甘味料の水溶液を使用すれば、粉末甘味料及び粉状ミルクの使用が不要になり、消費者が所望の味に合わせて飲料に粉状ミルクや甘味料を入れることができる。
【0029】
使われる液体の最小量は、所望の成分全てを少なくとも室温で溶かす量であり、理論上の最大量はないが、それ相応の時間内で消費されるよりも多くの流体を加えてはならない。実用限界として、最大値は350から500mlである。
【0030】
本発明に従う一杯分は、コーヒー用粉状ミルクを含むこともできる。コーヒー用粉状ミルクは、例えばミルク入りコーヒーを生産するのに有効な、乳製品又は非乳製品の可溶性のクリーマー又はミルク粉末である。可溶性ミルク粉末は任意の適当なミルク粉末、例えば固形脱脂乳、甘い乳清又は乳糖から作られる混合物でもよく、脂質成分は、所望の脂肪含量及び固形物含量の溶液を得るために選択された割合でよい。従来のクリーマー粉末はタンパク質、脂肪及び甘味料を含むが、乳化剤、安定剤及び緩衝剤のような他の成分を含むこともできる。粉状ミルクは、発泡飲料を提供するためにガス化することができる。一般的にこれらのクリーマー粉末は、成分を含んでいる溶液を噴霧乾燥することによって製造される。本発明の実施形態において、コーヒークリーマーは自然のままの若しくは粉末から再構成された全乳又はスキムミルク、ミルク誘導体、並びに例えば乳タンパク質、乳糖及び必要に応じて植物性脂肪を含んでいるクリーム又はコーヒー用粉状ミルクである。
【0031】
一杯分中の粉状ミルクの量は、好ましくは約10%から約35%、好ましくは15%から25重量%である。粉状ミルクは、飲料中の過剰な苦味を包み隠すのに、またより好ましい風味を提供するのに有効である。
【0032】
高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末の一杯分は、可溶性の天然又は人工の甘味料を含むこともできる。これにより、粉末は加糖水溶液ではなく水だけで再構成することができる。本明細書で使われるように、用語「甘味料」は、甘味を提供する物質である。甘味料としては、添加物並びに果汁の場合のように自然に存在する甘味料がある。甘味料の例としては、単糖及び二糖炭水化物の糖類、人工甘味料、糖アルコール並びに他の天然甘味化合物がある。用いることができる甘味料は、単独であろうが組み合わせて使用されようが、いかなる天然又は人工の甘味料である。使用される甘味料の量は甘味料の種類及び最終的な飲料中の所望の甘味料濃度によって異なり、一杯分中の甘味料の濃度は通常約10%から約80重量%の範囲である。
【0033】
一般的に、天然甘味料は粉末の約50%から約70重量%の量で使用される。好ましい天然甘味料としては、サッカライド、例えばサッカロース、グルコース、果糖、ショ糖、乳糖、マルトース、デキストロース、又はマルトデキストリン、或いは糖アルコール、例えばソルビトール又はキシリトースがある。人工甘味料、例えばサッカリン、シクラマート、アクトスルファム(actosulfame)、アスパルテームなどのL‐アスパルチルベースの甘味料及びその他、並びにその混合物を代わりに使用することができる。人工甘味料が使用されるとき、それは増量剤、例えばマルトデキストリン、及び/又は特に人工甘味料が使用される場合はポリデキストロースと組み合わせることができる。この場合、甘味料及び増量剤の一杯分中の合計濃度は、通常約10%から約25%の範囲にある。人工甘味料自体は、通常1重量%未満を含む。本発明に従う一杯分のより甘い品種のためには、より甘い種類のオリゴフルクトースを選択することもできる。最高45%の単糖類及び二糖類を含んでいるオリゴフルクトースは、この目的のために特に適する。
【0034】
使用する甘味料の量を計る他の方法は、ショ糖と比較した甘味に基づくことである。低カロリー又は人工の甘味料と砂糖の混合物も本発明で使用することができ、即ち、アスパルテームとショ糖又は高果糖コーンシロップとの混合物を使用することができる。これにより低カロリー飲料が提供される。
【0035】
本発明に従う一杯分は、アロマ及び香味料などの他の感覚刺激剤を含むこともできる。一杯分は、香味強化のために好ましくは約0.05から約0.2重量%のコーヒーアロマ成分を含む。典型的なコーヒー用香味料としては、香辛料、オレンジ、チョコレート、タフィー、モカ、クリーム、バニラ、ヘーゼルナッツ及び他の香味料がある。茶用香味料としては、レモン、アップル、オレンジ、ニッケイ、香辛料、ミント、バラ、フヨウ、カモミレなどがある。選択される香味料は、製品調合者又は消費者の味の好みに基づいて望み通りにすることができる。
【0036】
香味料特性を本発明の飲料に与えるために有効な香味料成分の具体的な量は、所望の最終的な香味料によって決まる。香味料成分は、通常、飲料組成物の少なくとも0.05重量%、一般的には飲料の0.1%から約2重量%(単一の強度に基づく)を含むことができる。
【0037】
通常、一杯分は、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン又はそれらの誘導体からなる群から選択される1つ又は複数のフラボノールを含む。これらの誘導体としては、糖塩、糖エステル及び食用に適する他の生理的に利用できる誘導体がある。緑茶固形物はこれらのカテキンを含む。適当な一杯分を得るために、フラボノール含量はカフェイン含量と釣り合わなければならないことが分かっている。これにより血漿カフェイン濃度を安定させる効果を有することができると考えられている。カフェイン及びフラボノールの含量の間の重量比は、1:0.2から1:1、好ましくは約1:0.4である。
【0038】
これらのフラバノールは、植物、例えば緑茶及び関連した植物の抽出によって得られる。カテキンを含んでいる植物は当業者に公知である。フラバノールは、単一の植物か植物の混合物から抽出することができる。チャ植物及びカテキューガンビール又は(Uncaria科)に属する他の植物から抽出して得られる最も一般的なフラバノールの例は、上で指摘したものである。2種類以上のフラバノールのいかなる混合物も、本発明の方法で使用することができる。カテキンは、好ましくは上で言及した他のフラバノールの1つと組み合わせて使用される。フラバノールは、当業者に公知のいかなる適当な方法によっても、緑茶又は他の天然物から抽出することができる。例えば、酢酸エチル又は塩素化溶媒による抽出は、フラバノール又はカテキンを単離する1つの方法である。或いは、それらは合成又は他の適当な化学的方法によって調製することができる。また、カテキン、エピカテキンのようなフラバノール、及びそれらの誘導体は市販されている。
【0039】
これらのフラバノールは、緑茶及びハーブティーを含む様々な植物に存在する、天然物質である。完全に自然な飲料のためには、緑茶固形物及び緑茶カテキンが好まれる。緑茶は、チャ植物カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)から得られる物質、例えば採取した新鮮な茶葉、採取直後に乾燥した新鮮な緑茶の葉、存在するいかなる酵素を不活性化するために乾燥前に熱処理された新鮮な緑茶の葉、及びこれらの葉の水抽出物を含む。緑茶物質は、紅茶を作製するために実質的に発酵をしていない茶葉及びそれらの抽出物である。
【0040】
飲料中のカテキン又はフラバノールの量は異なる。しかし、少なくとも約0.05%が使用され、また約0.1%から約3%が好ましい。フラバノールは、食品及び飲料に苦味を加えることがある。このことは通常収斂性及び苦くはない飲料において特に注目される。この苦味は、セルロース、ペクチン及び様々なガムなどの多糖類を飲料に加えることによって修正することができる。これらの物質はフラバノールと可逆性の複合体を形成して苦味を包み隠すが、胃又は腸では吸収のためにフラバノールを放出する。ヌクレオチド及び核酸、並びに他のアルカロイドも、苦味を制御するために使用することができる。
【0041】
好ましくはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンPP及びビオチンからなる群から1つ又は複数のビタミンが選択される。また、一杯分は好ましくはマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム及び/又は鉄などの1つ又は複数のミネラルを含む。一杯分の飲料が刺激及びエネルギー活性化の両方を提供することができるので、このことは特に望ましい。
【0042】
更に、飲料粉末は、安定剤、着色剤、風味マスキング剤、pH調節剤、粘度調節剤、可溶化剤、保存料その他などの、1つ又は複数の飲料として許容できる添加物を含むことができる。これらの添加物は、約0.01から5重量パーセントの従来の量で、好ましくは飲料の約0.1から1.5重量パーセントの量で用いることができる。
【0043】
所望により、粉状ミルク、甘味料、香味料、ビタミン、ミネラルは、カフェイン提供成分を含む小袋とは別の小袋に詰められ、その結果消費者はブラックコーヒー飲料を作るか否かを選択できるようになる。
【0044】
粉状ミルク入り飲料又は甘味料入り飲料が所望のときは、全ての成分を一緒にして、生成粉末を一杯分の小袋で提供することができる。ある消費者は「ブラック」コーヒーを好むので、粉状ミルク、甘味料、香味料及び他の添加物を小袋の別の区画に、又は別の小袋に、又はコーヒー小袋と連結しているか、さもなくば付随している他の小袋に分けて包むことは便利である。このことにより、コーヒー小袋の中身からブラックコーヒーが得られ、両方の小袋の中身を用いてミルク入りにされ且つ加糖された飲料を作ることができる。他のより好ましい実施形態では、便宜のために、一杯分の完全な粉状ミルク入り、甘味料入りで香味付けしたコーヒー飲料粉末を、単一の小袋で提供することができる。したがって、消費者は、小袋の中身をカップ又は他の容器に加え、適当な量の流体、例えば熱湯を加えて混合して飲料を作るだけでよい。
【0045】
他の実施形態では、例えば飲料をいくつかの段階で作製することができるように、一杯分は複数の区画のある小袋又は複数の小袋で提供することができる。このことは、消費者が就寝前の夜に飲料を消費するときなどの場面で所望によりより少ない量のカフェインで飲料を調製できるようにするために有益である。制御された正確な量が飲料で提供されるように、カフェインの量は小袋の各区画上で示すことができる。これはあまり好ましくない実施形態であるけれども、それでも消費者が正確にわかっている量のカフェインを含んでいる飲料を調製するのが可能になる。
【0046】
本発明の具体的な実施形態において、一杯分は約10%から約20重量%のコーヒー固形物、及び約0.1%から約5重量%のカフェイン抜きコーヒー固形物を含む。更に、一杯分は約0.5%から約5重量%のカフェイン抜き茶抽出物、約10%から約30重量%のコーヒー用粉状ミルク及び/又は約50%から約70重量%の砂糖、例えばショ糖及び果糖を含むことができる。更に、一杯分は約0.01%から約5重量%のビタミン、約0.01%から約5重量%のガラナ抽出物、約0.01%から約5重量%の香味料及び/又は0.01%から約5重量%のミネラルを含むことができる。
【0047】
本発明に従う一杯分は、通常、適当な液体を加えて一杯のコーヒーを作るために適当な量のコーヒー飲料粉末を含む。したがって、一杯分は約10から約30gの高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末を含み、この粉末は熱いか冷たい水のような液体に溶解する。本発明に従う一杯分は、冷水で再構成すると楽しい飲料が得られるという利点を更に有する。コーヒー飲料は冷たい状態では苦味が強まる傾向があるので、このことは特に有益である。
【実施例】
【0048】
以下の実施例は更に本発明を例示するが、本発明をいかようでも限定するものではない。
【0049】
(実施例1)
高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末の一杯分の調製
本発明に従う一杯分の試料を、乾燥混合した以下の成分で調製する。
脱脂基剤クリーマー 20〜25 w/w%
ショ糖 55〜65 w/w%
インスタントコーヒー 10〜15 w/w%
カフェイン抜き茶抽出物 1〜5 w/w%
カフェイン抜きインスタントコーヒー 1〜5 w/w%
水酸化マグネシウム炭酸塩 0.1〜1.0 w/w%
ビタミン類 0.05〜0.3 w/w%
ガラナ乾燥エキス 0.05〜0.3 w/w%
香味料又は香味料混合物 0.05〜0.3 w/w%
粉末は個々の成分を均一になるまで混ぜることによって得られる。
【0050】
(実施例2)
本発明に従う一杯分からのコーヒー飲料の調製
実施例1で調製した本発明に従う粉末の一杯分を、約95℃の熱湯の約200mlで溶解する。その後、飲料は消費することができる。
【0051】
熟練した試験パネルがコーヒー飲料を検査し、それが望ましくない苦味のないコーヒー風味を有することが判明した。
【0052】
(実施例3)
本発明に従う一杯分からのコーヒー飲料を消費した後のカフェインの持続的刺激効果
24名の健康な非喫煙男性ボランティアに、以下の飲料の1つを消費するよう依頼した。
(a)本発明の制御送達系:
成 分 量
ショ糖 60
粉状ミルク 34
インスタントコーヒー 14
ビタミン混合物 0.2
ミネラル 0.8
カフェイン抜きの紅茶 1
ガラナ抽出物 0.1
香味料 0.2
総計 20g
再構成水 200ml
カフェイン含量 100mg
(b)先行技術:
ネスカフェゴールド(NESCAFE Gold)(商標)デラックス:
100mlの熱湯に1.9g、約61mgのカフェインを含んでいる。
飲料は、消費者に特定されなかった。
【0053】
飲料消費後の5時間、各消費者から定期的に血液を採取した。カフェインを血漿から抽出し、高圧液体クロマトグラフィー及びUV検出で測定した。結果を図1に示す。
【0054】
図示の如く、本発明の飲料は、先行技術の飲料のわずか1時間と比較して、4.5時間の間少なくとも1.25mgの血漿濃度を可能にする。更に、対象はその期間精神的覚醒を感じ、いかなる副作用もないと指摘した。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】カフェインを測定した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断可能な材質でできている一杯分用の小袋におけるカフェインの制御送達系であって、前記小袋は水による再構成で液体飲料を提供する高カフェイン含有可溶性コーヒー飲料粉末を含み、前記可溶性コーヒー飲料粉末は、
(a)従来のカフェイン含有コーヒー固形物、及び
(b)(a)以外の天然物由来の追加のカフェイン含有固形物
を含み、前記飲料は少なくとも80から115mg以下のカフェインを含むことを特徴とする上記カフェインの制御送達系。
【請求項2】
前記飲料は80から110mgのカフェイン、好ましくは85から100mgのカフェインを含むことを特徴とする、請求項1に記載の系。
【請求項3】
前記小袋は5から30mgの粉末を含み、許容できる風味を有する飲料の一杯分は、150から250mlの水を小袋の中身と合わせることによって調製される、請求項1又は2に記載の系。
【請求項4】
約10%から約50重量%の従来のコーヒー固形物、及び約0.01から約10重量%の従来のコーヒー固形物以外の天然物由来の1つ又は複数の更なるカフェイン含有固形物を含む、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項5】
前記更なるカフェイン含有固形物は茶抽出物、ガラナ抽出物、カフェイン抜きの茶抽出物又はカフェイン抜きのコーヒー抽出物であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項6】
1つ又は複数のフラバノールが含まれ、フラバノール及びカフェインは1:0.02から1:1の重量比で存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項7】
前記飲料粉末中に1つ又は複数のアロマ、香味料、ビタミン又はミネラルが存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項8】
飲料の消費者に更なるエネルギーを提供するためにビタミンプレミックスが含まれることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項9】
前記飲料粉末中に1つ又は複数の甘味料、粉状ミルク、又は香味料が存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項10】
前記粉末成分は小袋内で均一に混合された状態で存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項11】
前記従来のカフェイン含有コーヒー固形物は約10%から約30重量%の量で存在し、前記更なるカフェイン含有固形物は約0.1%から約5重量%の量で存在し、カフェイン抜きのコーヒー固形物、カフェイン抜きの茶抽出物、又はその混合物を含み、また前記粉末は更に約10%から約30重量%のコーヒー用粉状ミルク、約50%から約70重量%の甘味料、及び任意選択で1種又は複数のコーヒーアロマ、香味料、ビタミン、ミネラル、ガラナ抽出物又はフラバノールを、存在する場合、それぞれ約0.01%から約5%の量で含む、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項12】
成分c)、d)及びe)は成分a)及びb)を含む小袋とは別の小袋に詰められ、その結果消費者はブラックコーヒー飲料を作るか否かを選択できることを特徴とする、請求項11に記載の系。
【請求項13】
前記一杯分が複数の小袋に詰められ、各小袋はその一杯分の一部を含み、それぞれが既知量のカフェインを含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項13】
前記複数の小袋は、順次飲料を作るためにより大きな容器中に包装されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項14】
前記飲料は150から250mlの液体を前記粉末に加えることによって調製されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項15】
前記液体は水又はミルクを含むことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項16】
個人による一杯分の前記飲料の消費により、前記飲料の消費後少なくとも2〜4時間、その個人の血漿カフェイン濃度が約1.25mg/lを超えることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の系。
【請求項16】
前記小袋の中身及び液体から飲料を作り、その後に前記個人が前記液体を消費することにより、制御量のカフェインを、それを必要とするか、又は摂取することを望む個人に送達するための、請求項1に記載の小袋の使用。
【請求項17】
制御量のカフェインを、それを必要とするか、又は摂取することを望む個人に送達できる飲料を調製するための請求項1に記載の小袋の使用であって、前記個人は、前記小袋の中身及び液体を混合して調製される前記飲料を消費することによって前記カフェインの量を得る上記使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−500002(P2007−500002A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521401(P2006−521401)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006106
【国際公開番号】WO2005/013711
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】