説明

可溶性組換え二十面体ウイルス様粒子の生産及びインビボ組織化の改善

本発明は、シュードモナス(Pseudomonad)起源の細菌細胞において、可溶性組織化ウイルス様粒子(「VLP」)をインビボ生産するための改善された方法を提供する。このシュードモナス細胞は、インビボにおける、二十面体ウイルスキャプシドタンパク質(「CP」)からのVLPの組織化を支持し、モノマー又はコンカテマーとして、VLP内に大きい組換えペプチドを封入することを可能にする。本発明は、具体的には、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌系において可溶性CP融合物を高収量で生産するCCMV CPに修飾を導入することによる、可溶性組織化ササゲクロロティックモトルウイルス(「CCMV」)VLPのインビボ生産のための改善された方法を提供する。続いて、これらの可溶性VLPは、精製され、ワクチンとして使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2007年4月27日出願の米国仮特許出願第60/914,677号の出願日の利益を主張する。
【0002】
政府の利権に関する声明
本発明は、共同契約番号(Cooperative Agreement No.)1−U01−AI054641−01なる、National Institutes of Health,National Institute of Allergy and Infectious Disease(NIAID)と米国政府との契約のもとで政府の支援によって行われたものである。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、細菌宿主細胞において、可溶性組織化ウイルス様粒子(「VLP」)を生産するための改善された方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
現在、ヒト及び動物の治療として使用するための組換えペプチドは、細菌、酵母、ディクチオステリウム・ディスコイデウム(Dictyostelium discoideum)、昆虫及び哺乳動物の細胞発現系を用いて生産されており、その成功の程度は様々である。異種ペプチドを生産するための発現系を作製する際の目標の1つは、幅広く、順応性のある、効率的、経済的且つ実用的なプラットホーム、並びに商業的、治療的及びワクチンの用途で利用することができる方法を提供することである。例えば、ある一定のポリペプチドの生産については、下流の再組織化コストを排除する又は減少させるために、多量の可溶性の望ましい生成物をインビボにおいて効率的且つ安価な様式で生成することができる発現系を提供することが望まれ得る。
【0005】
細菌は、大量の組換えペプチドを生産する能力を有するので、現在のところ、組換えペプチドを生産するために最も広く用いられる発現系である。しかしながら、細菌は、ある一定のタイプのペプチドを生産する能力については限定的であることが多く、代替のより高価な発現系を使用する必要がある。例えば、そのペプチドが発現した際にしばしば細胞死をもたらす、細菌に対する単量体抗菌性ペプチドの毒性が理由で、細菌系は、単量体の抗菌性ペプチドを生産する能力が限られている。非細菌発現系は、固有の不都合を有しているので、商業的及び治療的に幅広く有用なペプチドを生産する細菌系の能力を改善するための試みに、莫大な時間及び資産が費やされている。この分野は発展し続けているが、細菌の発現系において異種ペプチドを生産するためのさらなる方法及びプラットホームが有益であろう。
【0006】
ウイルス
宿主細胞発現系においてペプチド生産を改善するためのアプローチの1つとして、目的の組換えポリペプチドを生産する複製型ウイルスを使用することが挙げられる。しかしながら、複製型の完全長ウイルスの使用は、組換えポリペプチド生産ストラテジーにおいて用いるためには、多くの欠点がある。例えば、発酵状態の間、組換えポリペプチド生産を制御することは困難であることがあり、発酵工程の効率を最大にするために、発現の厳密な調節が必要になることがある。さらに、組換えポリペプチドを生産する複製型ウイルスを使用することによって、下流の精製ステップを増加させ得る規制要件が課されることがある。
【0007】
生産に関する問題点、特に発酵中の問題点を克服するために、1つの研究分野は、特定のウイルスに対する天然の宿主ではない細胞(非親和性(non-tropic)宿主細胞)におけるウイルスの発現及び組織化に焦点を合わせた。非親和性細胞は、ウイルスキャプシドタンパク質と宿主受容体分子との不適合、又はウイルスの生化学とその細胞の生化学との不適合に起因して、ウイルスが首尾よく入ることができず、それによってウイルスの生活環の完成を妨害する細胞である。例えば、Priceらに対する米国特許第5,869,287号には、酵母細胞において、RNAを含む複製可能又は感染性のウイルスを合成する及び組織化するための方法が記載されており、ここで、そのウイルスキャプシドタンパク質又はそのキャプシド内に含められているRNAのいずれかが、ノダウイルス科(Nodaviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)という非酵母ウイルス種由来のものである。しかしながら、このアプローチは、複製型ウイルスにおけるタンパク質生産に関連する潜在的な規制のハードルを克服しない。
【0008】
ウイルス様粒子(VLP)
組換えペプチドの生産を改善するための別のアプローチは、VLPを使用することである。VLPの粒子状の性質は、一般に、変性タンパク質又は可溶性タンパク質よりもいっそう有効な免疫応答を誘導する。VLPは、従来の免疫原よりも、ワクチンとしていくつかの利点を有する。例えば、様々な感染物質由来の抗原が、異種性の発現系においてVLPとして合成され得る。これらの粒子は、ある一定のキャプシド又はエンベロープタンパク質が自己組織化する能力に加えて、大量に生産され得、容易に濃縮及び精製される。キメラVLPによるワクチン接種は、アジュバントの非存在下でさえも、インサート特異的B細胞及び/又はT細胞反応の両方を誘導することができ;さらに、VLPは、複製できず、非感染性である。
【0009】
一般に、キャプシドに包まれたウイルスは、ウイルスの核酸を含むように組織化されるタンパク質コートすなわち「キャプシド」を含む。多くのウイルスが、VLPを形成する際にキャプシドが発現される細胞内(「インビボ組織化」)と、単離及び精製後の細胞外(「インビトロ組織化」)との両方において、個別に発現されたキャプシドタンパク質から「自己組織化」され得るキャプシドを有する。
【0010】
細菌発現系におけるウイルス様粒子の使用
理想的には、キャプシドタンパク質(「CP」)が、標的組換えポリペプチドを含むように改変されて、組換えウイルスCP−ペプチド融合物が生成される。そして、その融合ペプチドは、細胞において発現され得、理想的には、インビボで組織化されることにより、可溶(souluble)型の組換えVLPが形成される。細菌は、迅速で効率的で安価に組換えポリペプチドを高収量で生産する能力を有するので、組織化された可溶性組換えウイルスのCP−ペプチド融合VLPを生産するための発現系における宿主細胞として細菌が調べられてきた。
【0011】
研究者らは、組換えポリペプチドインサートを含まない特定の野生型(「wt」)ウイルスキャプシドタンパク質が、非親和性腸内細菌において遺伝子導入で発現され得ることを示した。研究者らはまた、これらのキャプシドタンパク質が、インビボとインビトロの両方において組織化されることにより、VLPが形成され得ることも示した。例えば、S.J. Shire et al., Biochemistry 29 (21) :5119-26 (29 May 1990)(in vitro assembly of virus-like particles from helical tobacco mosaic virus capsid proteins expressed in E.coli);X. Zhao et al., Virology 207 (2):486-94 (10 Mar 1995)(in vitro assembly of viras-like particles from icosahedral cowpea chlorotic mottle virus capsid proteins expressed in E.coli);Y. Stram et al., Virus Res. 28 (1):29-35(Apr 1993)(expression of filamentous potato virus Y capsid proteins in E. coli, with in vivo formation of virus-like particles);J. Joseph and H. S. Savithri, Arch. Virol. 144(9): 1679-87 (1999)(expression of filamentous chili pepper vein banding virus capsid proteins in E. coli, with in vivo formation of virus-like particles);D.J. Hwang et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 91(19):9067-71(13 Sep 1994)(expression of helical tobacco mosaic virus capsid proteins in E. coli, with in vivo formation of virus-like particles);M. Sastri et al., J. Mol. Biol. 272(4):541-52(03 Oct 1997)(expression of icosahedral physalis mottle virus capsid proteins in E.coli, with in vivo formation of virus-like particles)を参照のこと。
【0012】
現在までの、非親和性細菌細胞における組換えウイルスCP−ペプチド融合粒子の発現及びインビボ組織化の成功は、様々である。例えば、Brumfieldらは、インビボにおいて組織化されたVLPとして、二十面体キャプシドタンパク質に挿入された組換えポリペプチドを発現させることに失敗した。Brumfield et al., (2004) 「Heterologous expression of the modified capsid protein of Cowpea chlorotic mottle bromovirus results in the assembly of protein cages with altered architectures and functions」 J. Gen. Vir. 85:1049-1053を参照のこと。観察された、二十面体ウイルスCP−ペプチド融合粒子がVLPとして大腸菌(E.coli)においてインビボで組織化することができない理由は、十分に理解されていない。
【0013】
米国特許出願第11/001,626号には、細菌宿主細胞シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomas fluorescens)において、ペプチドインサートを含み、インビボにおいて組織化されるVLPを生産するための方法が記載されている。目的のペプチドの挿入を可能にするために、ペプチド挿入部位において制限酵素消化部位を含むように操作された、ササゲクロロティックモトルブロモウイルスキャプシドタンパク質が記載された。
【0014】
目的の挿入ペプチドを含むVLPの生産をさらに改善することによって、インビボにおける、可溶性組織化VLPの高収率が可能になる。可溶性VLPの生産が高収量になることによって、不溶性VLPを予め可溶化し、変性させ、再生し、正しくリフォールディングし、そして組織化する必要性が少なくなるので、プロセシング工程が減少し得る。したがって、組織化された可溶性VLPの収量がインビボにおいて多くなることによって、製造プロセスが、より効率的になり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】S.J. Shire et al., Biochemistry 29 (21) :5119-26 (29 May 1990)
【非特許文献2】X. Zhao et al., Virology 207 (2):486-94 (10 Mar 1995)
【非特許文献3】Y. Stram et al., Virus Res. 28 (1):29-35(Apr 1993)
【非特許文献4】J. Joseph and H. S. Savithri, Arch. Virol. 144(9): 1679-87 (1999)
【非特許文献5】D.J. Hwang et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 91(19):9067-71(13 Sep 1994)
【非特許文献6】M. Sastri et al., J. Mol. Biol. 272(4):541-52(03 Oct 1997)
【非特許文献7】Brumfield et al., (2004) 「Heterologous expression of the modified capsid protein of Cowpea chlorotic mottle bromovirus results in the assembly of protein cages with altered architectures and functions」 J. Gen. Vir. 85:1049-1053
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、細菌宿主細胞においてインビボで組織化された可溶性ウイルス様粒子(particules)(VLP)を生産するための、核酸構築物及びその使用方法を提供する。その核酸構築物は、親水性最適化規則一式を用いて、ウイルスキャプシドタンパク質(CP)又はCP−ペプチド融合物の親水性を最適化するために操作される。親水性最適化規則によって特定される集中領域における、ある一定のコドンの除去、突然変異誘発又は付加によって、親水性最適化された核酸構築物を設計することにより、インビボで組織化された可溶性VLPの収率を上げることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、低親水性値の領域は、望ましくなく低い親水性値を有するアミノ酸をコードするコドンを除去することによって増加させることができる。本発明の他の実施形態では、部位特異的突然変異誘発によって又はオーバーラップ伸長(「SOE」)に基づいた技術によるスプライシングを用いて、元のCCMVコートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位におけるアミノ酸を除去することによって、挿入ペプチドを改変することができる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、低親水性値を有すると特定された領域の親水性値は、低親水性のアミノ酸をコードするコドンを、より高い親水性値を有するアミノ酸で置換することによって高めることができる。あるいは、集中領域の親水性は、望ましい親水性値を有するアミノ酸をコードする1つ又は1つより多いコドンを付加することによって高めることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明は、親水性最適化ウイルスキャプシドタンパク質をコードする単離された核酸構築物を提供する。1つの実施形態では、親水性最適化キャプシドタンパク質は、二十面体ウイルス由来である。1つの実施形態では、二十面体ウイルスは、CCMVである。1つの実施形態では、ウイルスキャプシドタンパク質は、配列番号1由来である。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、ウイルスキャプシドタンパク質をコードする単離された核酸構築物を提供し、ここで、その核酸構築物は、少なくとも50%の親水性の領域をコードする、操作された制限酵素認識部位を含む。その操作された制限酵素認識部位は、可溶性VLPに自己組織化することができる、ウイルスキャプシドタンパク質−ペプチド融合ペプチド(CP−ペプチド融合物)の生産を可能にする目的のペプチドに対して挿入部位を提供する。いくつかの実施形態では、その制限酵素認識部位は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%又は少なくとも85%の親水性の領域を有する。さらなる実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、少なくとも75%の親水性の領域を有する。他の実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、アミノ酸のアスパラギン酸、グルタミン酸、リシン又はアルギニン(Asp−Glu−Lys−Arg)をコードする核酸コドンを含む。いくつかの実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トリプトファン、バリン、ロイシン、メチオニン又はプロリンからなる群より選択される2つ以上の連続した疎水性アミノ酸をコードするコドンを含まない。なおも他の実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、CCMVキャプシドタンパク質に含まれる。いくつかの実施形態では、操作された制限酵素認識部位を有するウイルスキャプシドタンパク質をコードする親水性最適化された核酸構築物は、配列番号3、4及び5からなる群より選択される。
【0021】
本発明の代替の実施形態では、CP−ペプチド融合物をコードする親水性最適化された核酸構築物が提供される。いくつかの実施形態では、そのペプチドインサートは、ペプチドの親水性を増大させるために変更される。他の実施形態では、親水性は、50%未満の疎水性アミノ酸を含む組換えペプチドを提供するように変更される。いくつかの実施形態では、そのペプチドは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%又は少なくとも75%の親水性を含むように変更される。ペプチドインサートの親水性は、ペプチドのN末端又はC末端のアミノ酸をコードするコドンを追加するか又は差引くことによって変更され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドインサートの親水性は、そのペプチドインサートの親水性が少なくとも56%になるように高められ得る。いくつかの実施形態では、そのインサートの親水性は、そのペプチドのN末端又はC末端に少なくとも1つの親水性アミノ酸を付加することによって高められ、ここで、そのアミノ酸は、改変Roseman疎水性スケールによって特定される1よりも大きい親水性値を有するアミノ酸から選択される(表1)。さらなる実施形態では、親水性最適化アミノ酸配列は、配列番号7、9、11、12、13及び14からなる群より選択される。
【0022】
本発明は、さらに、親水性最適化規則一式を用いて、ウイルスキャプシドタンパク質(CP)又はCP−ペプチド融合物の親水性を最適化するように操作された核酸構築物を含む細菌細胞を包含する。いくつかの実施形態では、本細胞は、可溶性組織化組換えウイルス様粒子をインビボにおいて産生する。他の実施形態では、本発明の細胞は、親水性最適化された核酸構築物から発現されるとき、0.5g/L、1.0g/L、1.5g/L、2g/L又は2g/Lより多い、可溶性組織化VLPを提供する。いくつかの実施形態では、細菌宿主細胞は、シュードモナス(Pseudomonad)例えば、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】シュードモナス(Pseudomonad)宿主細胞における組換えVLPの発現に有用なCCMV129−CP発現プラスミドのプラスミドマップを示している。CCMV CPは、親水性最適化されていない。
【図2】宿主細胞、例えば、シュードモナス(Pseudomonad)宿主細胞においてウイルス様粒子(「VLP」)内にペプチドモノマーを生産するためのスキームを図示している。ベクターの一部として組換えウイルスキャプシド遺伝子(「rCP」)を構築する際に、所望の標的ペプチドインサートコード配列(「I」)をウイルスキャプシドコード配列(「CP」)にインフレームで挿入し、それを宿主細胞に形質転換し、発現させることにより、組換えキャプシド(「rCP」)が形成される。次いで、これらが組織化することにより、CCMVの場合、各々最大180個のrCPを含むVLPが形成される。このVLPは、キャプシドの外側のループ内に発現される標的ペプチドインサート(「I」)とともに図示される。
【図3】宿主細胞、例えば、シュードモナス(Pseudomonad)宿主細胞においてVLP内にペプチド多量体を生産するためのスキームを図示している。このペプチドインサートは、組換えウイルスキャプシド遺伝子(「rCP」)を構築する際にウイルスキャプシドコード配列(「CP」)内に挿入されたコード配列(「i」)を有する所望の標的ペプチドの多量体である(三量体が示されている)。この標的ペプチドコード配列の各々は、切断部位(「*」)に対するコード配列によって結合されており、その核酸インサート全体が「I」と標識されている。
【図4】シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において発現され、誘導の24時間後に可溶性画分及び不溶性画分に分離された、129位にBamHI制限酵素認識部位を有する、親水性最適化されていないCCMVキャプシドタンパク質(CP)の発現を示す、SDS−PAGEゲルの像(上)及びウエスタンブロットの像(下)である。CCMVキャプシドタンパク質を矢印で指し示している。レーン1は、サイズラダー(「M」)であり、レーン2は、誘導0時間後のCP(「0」)であり、レーン3は、誘導24時間後のCPである(「24」)。
【図5】シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌系における、誘導の0、6、12、18及び24時間後の、可溶性画分及び不溶性画分における親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質の発現を示す、SDS−PAGEゲルの像である。可溶性の親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質を矢印で指し示しており、その収量は、>2g/Lだった。レーン1は、サイズラダー(「M」)であり、レーン2は、比較のためのキャプシドタンパク質(CP)標準である。
【図6】スクロース密度勾配においてシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌系から精製された、親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質の発現を示すウエスタンブロットの像である。親水性最適化CCMV VLPは、誘導の24時間後にPEG沈殿により単離され、スクロース密度勾配において分画された。スクロース密度勾配における下部の帯域からのVLP画分は、親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質について陽性だった。全細胞可溶化物、分子量ラダー、PEG沈殿されたVLP画分(スクロース勾配負荷)並びにスクロース密度分画の上部及び下部を示している。
【図7】シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌系から精製された、可溶性の親水性最適化CCMV VLPの透過型電子顕微鏡(「TEM」)像である。可溶性の親水性最適化CCMV VLPは、PEG沈殿及びスクロース密度画分を用いて、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)から単離された。
【図8】シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において発現された、炭疽の感染防御抗原(「PA1」)を発現するように操作された、129位にBamHI制限酵素認識部位を有する親水性最適化されていないCCMVキャプシドタンパク質の発現を示すSDS−PAGEゲルの像である。このキャプシドタンパク質−PA1融合物を矢印で指し示している。CCMVキャプシドタンパク質は、誘導の0及び24時間後に、PEG沈殿により単離され、スクロース密度勾配において分画された。レーン1は、サイズラダー(「M」)である。キメラのコートタンパク質は、ほぼ不溶性だった。
【図9】シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において発現された、炭疽の感染防御抗原(「PA1」)を発現するように操作された、親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質の発現を示す、SDS−PAGEゲルの像である。このキャプシドタンパク質−PA1融合物を矢印で指し示している。親水性最適化CCMVキャプシドタンパク質は、誘導の0、6、12、18及び24時間後に単離された。レーン1は、サイズラダー(「M」)であり、レーン2は、比較のためのキャプシドタンパク質(CP)標準である。キメラのコートタンパク質は、ほとんど可溶性だった。
【図10】オーバーラップ伸長(「SOE」)に基づいた技術によるスプライシングを用いた、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)プラスミドへの、親水性最適化CCMVキャプシド融合ペプチドのクローニングを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
キャプシド組換えポリペプチドの全体のアミノ酸組成が、可溶性VLPの生産において重要な可変物であることが見出されている。疎水性残基の含有量が多いCP−融合ペプチドの水溶液における溶解性は、限定的であり得るか又は完全に不溶性であり得る。CP−融合ペプチドの親水性を高めることによって、VLP又はインサートのペプチドのフォールディング、組織化又は機能に悪影響を及ぼさずに、VLP溶解性が改善され得る。CP−融合ペプチドの親水性を高めるための1つの特定のストラテジーとしては、あるアミノ酸の集中した領域にわたって、キャプシドタンパク質、ペプチドインサートのいずれか又はその両方の親水性を高めることが挙げられる。
【0025】
構築物における核酸配列によってコードされるタンパク質又はペプチドの親水性は、特定の領域に含まれるアミノ酸の親水性値を計算することによって決定することができ、ここで、その計算は、改変Roseman疎水性スケールに基づく(表2)。VLPの親水性は、核酸構築物における核酸コドンの除去、突然変異誘発又は付加によって高めることができ、ここで、そのコドンは、アミノ酸をコードする。例えば、その領域の親水性を高めるために、核酸構築物は、特定の集中領域の親水性の計算に基づいて変更することができる。ある領域が改変Roseman疎水性スケールに基づいて低親水性値を有する場合、その領域の親水性を高めるようにその領域のコドンを変更することができる。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、低親水性を有する集中領域の親水性(hydrophilicty)値は、改変Roseman疎水性スケール(表2)に基づいて、望ましくなく低い親水性値を有するコドンを除去することによって高めることができる。本発明のさらなる実施形態では、低親水性を有する集中領域の親水性値は、改変Roseman疎水性スケール(表2)に基づいて、低親水性のアミノ酸をコードするコドンを、より高い親水性値を有するアミノ酸で置換することによって高めることができる。あるいは、集中領域の親水性は、改変疎水性スケール(表1)に従って望ましい(desireable)親水性値を有するアミノ酸をコードする1つ又は1つより多いコドンを付加することによって高めることができる。
【0027】
I.親水性の決定
VLPの溶解性は、特定の領域にわたるCP−融合ペプチドの親水性アミノ酸の含有量によって大きく影響を受けることが見いだされている。例えば、低親水性の集中領域を有するCP−融合ペプチドの溶解性は、限定的であり得る。1つの集中領域としては、制限酵素部位を含む、ウイルスキャプシド融合物への目的のペプチドの挿入領域を含む。集中領域に対するCP−融合ペプチドの親水性を高めることによって、インビボにおいて生産される可溶性VLPの収量が増加し得る。
【0028】
用語「親水性最適化された」とは、本明細書中で使用されるとき、キャプシドタンパク質(CP)又はCP−融合ペプチドを含む核酸構築物のことを記述しており、ここで、その核酸構築物は、改変Roseman疎水性スケール(表2)に基づいてCP又はCP−融合ペプチド内の集中領域の親水性が高まるように設計されているか、操作されているか又は変更されている。
【0029】
「親水性」アミノ酸とは、この用語が本明細書中で使用されるとき、0.0より大きい改変Roseman疎水性スケール値を有するアミノ酸のことを指す。
【0030】
用語「親水性%」とは、本明細書中で使用されるとき、親水性アミノ酸のパーセンテージが特定されている特定のアミノ酸配列のことを指し、ここで、親水性アミノ酸は、0.0より大きい改変Roseman疎水性スケール値を有する。例えば、アミノ酸Arg−Gly−Gly−Arg−Try−Trpをコードする親水性の集中領域は、66%の親水性を有し得る。
【0031】
用語「改変Roseman疎水性スケール」とは、この用語が本明細書中で使用されるとき、Roseman(Hydrophilicity of polar amino acid side-chains is markedly reduced by flanking peptide bonds, J. Mol. Biol. 1999, 200:513-522)、Kyte及びDoolittle(A simple method for displaying the hydropathic character of a protein, J. Mol. Biol, 1982, 157:105-132)並びにBlack及びMould(Development of hydrophobicity parameters to analyze proteins which bear post-or cotranslational modifications, Analytical Biochemistry, 1991, 193:72-82)、ならびにGunasekaranらによって行われた研究(Beta-hairpins in proteins revisited: lessons for de novo design,Protein Eng. 1997,10:1131-1141)によって生成された疎水性データの改変に基づいてアミノ酸に対して割り当てられる親水性値のことを指す。このRoseman、Kyte及びDoolittle並びにBlack及びMouldの疎水性スケールを表1に提供する。
【表1】

【0032】
はじめに、Rosemanデータを列挙し、0〜10で評価したが、ここで、10が、最も親水性であり、0が、最も疎水性である。プロリンは、キャプシドタンパク質ループに通常見られる(Ragone et al., Flexibility plot of proteins, Protein Eng. 1989, 7, 497-504)ので、プロリンをシスチンのすぐ下に置いた(これは、Black及びMouldによって生成されたデータと一致する)。さらに、トレオニンがキャプシドタンパク質ループに通常見られるという事実(Ragone et al., Flexibility plot of proteins, Protein Eng. 1989, 7, 497-504)に起因して、トレオニンをセリンとグリシンの間にまで上方へ移動した(これは、Kyte及びDoolittleのデータとBlack及びMouldのデータの両方と一致する)。次いで、可撓性のループに通常見られる小さいアミノ酸、例えばアラニン及びプロリンが、疎水性アミノ酸よりも高い優先度を有するように分類される必要があるという事実に基づいて、親水性に対する境界としてメチオニンを選択した。そして、メチオニンの値を0にするために、すべての数値から2.4を引いた。得られた改変Roseman疎水性スケールを表2に提供する。改変Roseman疎水性スケールは、ウイルスキャプシドタンパク質において、最も高い正の値を有するように設定する、最も親水性のアミノ酸から順序付けられる。
【表2】

【0033】
II.核酸構築物
本発明は、ウイルスキャプシドタンパク質及びCP−融合ペプチドをコードする、親水性が最適化された核酸構築物を提供する。そのコードされるキャプシドタンパク質又は融合ペプチドを細菌宿主系においてインビボ発現させることによって、可溶性組織化VLPの生産が向上する。本発明の親水性が最適化された核酸構築物は、ウイルスキャプシドタンパク質又はCP−融合ペプチド内の集中領域を解析し、そして、特定のアミノ酸を足すか、引くか、又は突然変異誘発によってその領域を改変することによって(改変Roseman疎水性スケールに基づいた親水性最適化規則の使用を含む)、親水性の低い領域を調整することによって設計される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、低親水性値を有する核酸構築物内の集中領域の親水性値は、低親水性値、例えば0.0未満の値を有するアミノ酸をコードするコドンを除去することによって高められる。本発明の他の実施形態では、低親水性値を有する核酸構築物内の集中領域の親水性値は、部位特異的突然変異誘発又はSOEによって、元のCCMVコートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位に存在するアミノ酸を除去することによって高められる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、低親水性値を有すると特定された領域の親水性値は、低親水性(0.0未満)のアミノ酸をコードするコドンを、より高い(0.0より大きい)親水性値を有するアミノ酸で置換することによって高めることができる。あるいは、集中領域の親水性は、望ましい(desireable)親水性値(0.0より大きい)を有するアミノ酸をコードする1つ又は1つより多いコドンを付加することによって高められ得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、集中領域の疎水性を高めるために、改変Roseman疎水性スケールにおいて1.0より大きい値を有するアミノ酸が優先的に用いられている核酸構築物が提供される。他の実施形態では、その集中領域の親水性を高めるために、改変Roseman疎水性スケールにおいて1.0より大きい値を有するアミノ酸を、集中領域に付加する。さらなる実施形態では、1.0未満の値を有するアミノ酸を置換するため又は代用するために、改変Roseman疎水性スケールにおいて1.0より大きい値を有するアミノ酸が利用される。
【0037】
親水性最適化キャプシドタンパク質
いくつかの実施形態では、本発明は、親水性最適化ウイルスキャプシドタンパク質をコードする、単離された核酸構築物を提供する。特定の実施形態では、親水性最適化キャプシドタンパク質は、二十面体ウイルス由来である。いくつかの実施形態では、その最適化されたキャプシドタンパク質は、二十面体ウイルスであるCCMV由来である。他の実施形態では、最適化されたキャプシドタンパク質は、配列番号1から得られる。
【0038】
CCMVは、ブロモウイルス科(bromovirus)のブロモウイルス(Bromoviridae)群のメンバーである。ブロモウイルスは、4成分のプラスセンス一本鎖RNAゲノムを有する、直径が25〜28nmの二十面体ウイルスである。RNA1及びRNA2は、レプリカーゼ酵素をコードする。RNA3は、植物宿主内でのウイルスの移動に関与するタンパク質をコードする。RNA4(RNA3由来のサブゲノムRNA)、すなわち、sgRNA4は、20kDaのキャプシドタンパク質(「CP」)をコードする。各CCMV粒子は、最大約180コピーのCCMV CPを含む。図2及び3を参照のこと。
【0039】
1つの実施形態では、本発明は、ウイルスキャプシドタンパク質をコードする核酸構築物を提供し、ここで、そのウイルスキャプシドタンパク質は、少なくとも50%の親水性の領域をコードする操作された制限酵素認識部位を含む。その操作された制限酵素認識部位は、目的のペプチドに対する挿入部位を提供し、それにより、可溶性VLPに自己組織化することができるウイルスキャプシドタンパク質−ペプチド融合ペプチド(「CP−ペプチド融合物」)の産生が可能になる。1つの実施形態では、その制限酵素認識部位は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%又は少なくとも85%の親水性の領域を有する。1つの実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、100%の親水性の領域を有する。
【0040】
1つの実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、アミノ酸アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン及びアルギニン(Asp−Glu−Lys−Arg)をコードする核酸コドンから構成される。1つの実施形態では、操作された制限酵素認識部位は、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、トリプトファン、バリン、ロイシン、メチオニン又はプロリンからなる群より選択される、2つ以上の連続した疎水性アミノ酸をコードするコドンを含まない。実施例2を参照のこと。1つの実施形態では、親水性が最適化された制限酵素認識部位は、CCMVキャプシドタンパク質由来のキャプシドタンパク質内に含められている。1つの実施形態では、親水性(hydrophilicty)最適化キャプシドタンパク質は、少なくとも1つのアミノ酸がループ接合点に挿入された、配列番号2を含む。
【0041】
特定の実施形態では、CCMVキャプシドタンパク質ループにクローニング部位を導入するための制限酵素認識部位を選択する基準としては、一般に:1)制限酵素認識部位が、リボソーム結合部位−CCMV CPオープンリーディングフレーム(ORF)カセットに存在するべきでないこと;2)制限酵素認識部位は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)発現ベクターに存在するべきでないこと;及び3)制限酵素認識部位挿入が、アミノ酸のイソロイシンに続いてロイシンを導入する結果にならないこと、が挙げられる。通常の実施形態では、制限酵素認識部位の挿入は、2つ以上の連続した疎水性アミノ酸(アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン又はプロリンを含む)に翻訳可能であるべきでない。選択される制限部位の非限定的な例は:平滑末端カッター、例えばAfeI;3’オーバーハングカッター、例えば、BmtI及びPvuI;並びに5’オーバーハングカッター、例えば、BglII、BsiWI、BspEI、BssSI、MluI、NheI及びXbaIである。
【0042】
疎水性が集中する領域(下線部)を含むCCMV CPのアミノ酸配列:
【化1】

【0043】
元のCCMV CPのアミノ酸配列:
【化2】

【0044】
P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクター(P.フルオレッセンス(fluorescens)に対してコドンが最適化されたもの)にクローニングするための、親水性が最適化された(optimimized)CCMV CPの核酸配列。SpeI制限酵素認識部位、リボソーム結合部位、CPオープンリーディングフレーム(ORF)、2つの終止コドン及びXhoI制限酵素認識部位を含む:
【化3】

【0045】
P.フルオレッセンス(fluorescens)において発現させるために、コドン最適化され、親水性最適化されたCCMV CPの核酸配列:
【化4】

【0046】
CCMV CPの親水性最適化及びコドン最適化された核酸配列のバリアント:
【化5】

【0047】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において発現させるためのササゲクロロティックモトルウイルス(CCMV)キャプシドタンパク質(CP)のコドン最適化された核酸配列(コード領域は配列番号1に相当する):
【化6】

【0048】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)において発現させるためのササゲクロロティックモトルウイルス(CCMV)キャプシドタンパク質(CP)のコドンが最適化された核酸配列:
【化7】

【0049】
親水性最適化CP−融合ペプチド
本発明の代替の実施形態では、CP−ペプチド融合物をコードする、親水性が最適化された核酸構築物が提供される。CP−融合ペプチド発現データは、ウイルスキャプシドタンパク質に挿入されたペプチドが、少なくとも約56%の親水性を有するはずであると示唆している。本発明の1つの実施形態では、コードされるペプチドインサートが、ペプチドの親水性を高めるために変更されて、少なくとも56%の親水性が達成される核酸構築物が提供される。挿入されるペプチドが、56%未満の親水性を有する場合、より好ましい親水性値を有するアミノ酸をコードするために、余分なアミノ酸を付加するか、アミノ酸を除去するか、又は既存のアミノ酸の核酸配列を変化させることによって、親水性を改善してもよい。
【0050】
本発明の別の実施形態では、挿入されるペプチドは、部位特異的突然変異誘発又はSOEによって、元のCCMVコートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位に存在するアミノ酸を除去することによって改変され得る。
【0051】
別の実施形態では、挿入されるペプチドは、1.0を超える改変Roseman疎水性スケール値を有するペプチドのN末端又はC末端に1つ又はそれ以上のアミノ酸を付加することによって、親水性が最適化され得る。代替の実施形態では、挿入されるペプチドは、0.0未満の改変Roseman疎水性値を有するN末端又はC末端から1つ又はそれ以上のアミノ酸を除去することによって最適化され得る。あるいは、挿入されるペプチドは、前記1つ又はそれ以上のアミノ酸よりも改変Roseman疎水性スケールにおける値が大きいアミノ酸で、1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換することによって最適化され得る。
【0052】
特定の実施形態では、挿入されるペプチドは、そのペプチドのN末端又はC末端に、1.0より大きい値を有するアミノ酸を付加することによって最適化される。あるいは、挿入されるペプチドは、そのペプチドのN末端又はC末端に、0.0より大きい値を有するアミノ酸を付加することによって、最適化される。1つの実施形態では、挿入されるペプチドは、そのペプチドのN末端又はC末端から、0.0未満の値を有するアミノ酸を除去することによって、最適化される。代替の実施形態では、挿入されるペプチドは、あるアミノ酸を、それよりも改変Roseman疎水性スケールにおける値が大きいアミノ酸で置換することによって、最適化される。
【0053】
1つの実施形態では、当該ペプチドは、そのペプチドの親水性を高めるために、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン又はアルギニンからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸をN末端又はC末端に付加することによって、最適化され得る。
【0054】
あるいは、当該核酸構築物は、親水性最適化CP−ペプチド融合物を獲得するために操作され得る。例えば、親水性の集中領域を増加させるクローニングストラテジーを提供することによって、CP−ペプチド融合物をインサート領域にわたって最適化することができる。1つの実施形態では、親水性最適化された目的のCP−タンパク質核酸融合物は、制限酵素消化に基づいたクローニング方法を用いて生成される。その融合物は、例えば、組換えポリペプチド及び親水性最適化された二十面体キャプシドタンパク質をコードする配列であり得、ここで、組換えポリペプチドは、制限酵素消化に基づいたクローニング方法によって、親水性最適化された二十面体キャプシドタンパク質と融合される。
【0055】
いくつかの実施形態では、親水性最適化された目的のCP−タンパク質核酸融合物は、PCRに基づいた技術を用いて生成される。その融合物は、例えば、組換えポリペプチド及び親水性最適化された二十面体キャプシドタンパク質をコードする配列であり得、ここで、組換えポリペプチドは、PCRに基づいた技術によって、親水性最適化された二十面体キャプシドタンパク質と融合される。ある特定の例では、そのPCRに基づいた技術は、図10に図示されるようなオーバーラップ伸長法(「SOE」)によるスプライシングである。SOEの基本的な手順は、Horton et al. (1989) 「Engineering hybrid genes without the use of restriction enzymes: Gene splicing by overlap extension」 Gene 77:61-68;及びHoらに対する米国特許第5,023,171号によって説明されている。SOEは、まず、生じるPCR産物の末端が相補的な配列を含むように設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて各DNA分子に対して行われるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて2つのDNA分子を増幅することによって、それらの2つのDNA分子を連結するための方法である。その2つのPCR産物を混合し、変性し、そして再アニールすると、3’末端に相補的な配列を有する一本鎖DNA鎖が、アニールし、次いで、互いに対するプライマーとして作用する。そのアニールした領域の、DNAポリメラーゼによる伸長によって、元の分子が一緒にスプライシングされた二本鎖DNA分子が生成される。
【0056】
さらに、当該核酸構築物は、制限酵素部位においてアミノ酸を付加するか、除去するか又は変更することによって、キャプシドタンパク質へのペプチドの挿入後に最適化され得る。1つの実施形態では、CP−融合ペプチドの親水性は、望ましくない(undesireable)親水性のアミノ酸を含む制限酵素部位を除去することによって高められ得る。ある一定の実施形態では、キャプシドタンパク質及びペプチドインサートの融合後に、突然変異誘発によって制限酵素認識部位が変更されるか又は除去される。ある一定の実施形態では、部位特異的突然変異誘発によって、制限酵素部位が変更されるか又は除去される。
【0057】
インフルエンザウイルス由来のM2e−1のインサートを含むCCMV CPのアミノ酸配列。M2e−1アミノ酸配列を大文字で示す。下線部の残基を疎水性の集中領域として同定した。パーセント(%)親水性は、65である:
【化8】

【0058】
インフルエンザウイルス由来のM2e−1のインサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列。M2e−1アミノ酸配列を大文字で示す。パーセント(%)親水性は、78%である:
【化9】

【0059】
炭疽由来のPA1のインサートを含むCCMV CPのアミノ酸配列。PA1アミノ酸配列を大文字で示す。下線部の残基を疎水性の集中領域として同定した。パーセント(%)親水性は、77である:
【化10】

【0060】
炭疽由来のPA1のインサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列。PA1アミノ酸配列を大文字で示す。パーセント(%)親水性は、90である:
【化11】

【0061】
炭疽由来のPA4のインサートを含むCCMV CPのアミノ酸配列。PA4アミノ酸配列を大文字で示す。下線部の残基を疎水性の集中領域として同定した。パーセント(%)親水性は、61である:
【化12】

【0062】
炭疽由来のPA4のインサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列。PA4アミノ酸配列を大文字で示す。パーセント(%)親水性は、72である:
【化13】

【0063】
SOEを用いて生成されたM2e−1インサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列(M2e−1アミノ酸配列を大文字で示す):
【化14】

【0064】
SOEを用いて生成されたPA1インサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列(PA1アミノ酸配列を大文字で示す):
【化15】

【0065】
SOEを用いて生成されたPA4インサートを含む、親水性最適化CCMV CPのアミノ酸配列(PA4アミノ酸配列を大文字で示す):
【化16】

【0066】
プロモーター
1つの実施形態では、核酸構築物は、キャプシドタンパク質−組換えポリペプチド融合ペプチドをコードする核酸配列に作動可能に結合されたプロモーター配列を含む。作動可能な結合又は連結とは、転写調節エレメント及び任意の翻訳調節エレメントが、宿主細胞の作用によって、それらの調節エレメントが目的の配列の発現を指示することができるように、記載される配列に共有結合されている任意の配置のことを指す。
【0067】
発酵方法では、いったん標的組換えポリペプチドの発現が誘導されると、その発現系の効率を最大にするために、高レベルで生産されることが理想的である。プロモーターは、転写を開始し、一般に、リボソーム結合部位の10〜100ヌクレオチド上流に位置する。理想的には、プロモーターは、組換えポリペプチドが宿主細胞の全細胞タンパク質のおよそ50%の蓄積を可能にする程度に十分強力であり、厳密に制御しやすく、そして容易に(及び安価に)誘導される。
【0068】
本発明に従って使用されるプロモーターは、構成的プロモーター又は調節性プロモーターであり得る。通常使用される誘導性プロモーター及びそれらの後に続くインデューサーの例としては、lac(IPTG)、lacUV5(IPTG)、tac(IPTG)、trc(IPTG)、Psyn(IPTG)、trp(トリプトファン飢餓)、araBAD(l−アラビノース)、lpp(IPTG)、lpp−lac(IPTG)、phoA(ホスフェート飢餓)、recA(ナリジクス酸)、proU(オスモル濃度)、cst−1(グルコース飢餓)、tetA(テトラサイクリン(tretracylin))、cadA(pH)、nar(嫌気性状態)、PL(42℃への温度シフト)、cspA(20℃への温度シフト)、T7(熱誘導)、T7−lacオペレーター(IPTG)、T3−lacオペレーター(IPTG)、T5−lacオペレーター(IPTG)、T4遺伝子32(T4感染)、nprM−lacオペレーター(IPTG)、Pm(アルキル−又はハロ−ベンゾエート)、Pu(アルキル−又はハロ−トルエン)、Psal(サリチレート)及びVHb(酸素)が挙げられる。例えば、S. C. Makrides (1996) Microbiol. Rev. 60:512-538; G. Hannig and S. C. Makrides (1998) TIBTECH 16:54-60; R. C. Stevens (2000) Structures 8, R177-R185; J. Sanchez-Romero and V. De Lorenzo, Genetic Engineering of Nonpathogenic Pseudomonas strains as Biocatalysts for Industrial and Environmental Methodes, Manual of Industrial Microbiology and Biotechnology (A. Demain and J. Davies, eds.) pp. 460-74 (1999) (ASM Press, Washington, D.C.); H. Schweizer, Vectors to express foreign genes and techniques to monitor gene expression for Pseudomonads, Current Opinion in Biotechnology, 12:439-445 (2001);及びR. Slater and R. Williams, The Expression of Foreign DNA in Bacteria, Molecular Biology and Biotechnology (J. Walker and R. Rapley, eds.) pp. 125-54 (2000) (The Royal Society of Chemistry, Cambridge, UK)を参照のこと。
【0069】
選択された細菌宿主細胞に対して天然のプロモーターのヌクレオチド配列を有するプロモーター、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)のアントラニレート又はベンゾエートオペロンプロモーター(Pant、Pben)を用いることによってもまた、標的ポリペプチドをコードするトランスジーンの発現を制御することができる。1つより多いプロモーターが別のもの(同じ配列か異なる配列であるかは関係ない)に共有結合しているタンデムプロモーター、例えば、Pant−Pbenタンデムプロモーター(プロモーター間ハイブリッド)又はPlac−Placタンデムプロモーターもまた、用いられ得る。
【0070】
調節性プロモーターは、そのプロモーターが一部を成す遺伝子の転写を制御するために、プロモーター調節タンパク質を利用する。調節性プロモーターが用いられる場合、対応するプロモーター調節タンパク質もまた、発現系の一部であり得る。プロモーター調節タンパク質の例としては:活性化タンパク質、例えば、大腸菌(E.coli)異化代謝産物活性化タンパク質、MalTタンパク質;AraCファミリー転写活性化因子;リプレッサータンパク質、例えば、大腸菌(E.coli)LacIタンパク質;及び二重機能(dual-faction)調節タンパク質、例えば、大腸菌(E.coli)NagCタンパク質が挙げられる。多くの調節性プロモーター/プロモーター調節タンパク質対は、当分野で公知である。
【0071】
プロモーター調節タンパク質は、エフェクター化合物、すなわち、そのタンパク質が、そのプロモーターの支配下にある遺伝子の少なくとも1つのDNA転写制御領域を解放するか又はその領域に結合することによって、その遺伝子の転写が開始される際に転写酵素の作用を許容するか又は阻止することが可能であるように調節タンパク質と可逆的又は不可逆的に会合する化合物と、相互作用する。エフェクター化合物は、インデューサー又はコリプレッサーのいずれかに分類され、これらの化合物は、天然のエフェクター化合物及び無償性インデューサー化合物を含む。多くの調節性プロモーター/プロモーター調節タンパク質/エフェクター化合物の3つ組が、当分野で公知である。調節性プロモーターが用いられる特定の実施形態では、細胞培養又は発酵を通じて、宿主細胞生物体量の所望の量又は密度が増加した後に、エフェクター化合物を用いることができるが、所望の標的遺伝子を直接又は間接的に発現させるために、適切なエフェクター化合物が培養物に加えられる。
【0072】
例としては、lacファミリープロモーターが利用される場合、lacI遺伝子又はその誘導体、例えば、lacI又はlacIQ1遺伝子もまた、この系に存在し得る。(通常)構成的に発現される遺伝子であるlacI遺伝子は、これらのプロモーターのlacオペレーターに結合するLacリプレッサータンパク質(LacIタンパク質)をコードする。従って、lacファミリープロモーターが利用される場合、lacI遺伝子もまた、その発現系の中に含められ得、その発現系において発現され得る。lacプロモーターファミリーメンバー(例えば、tacプロモーター)の場合、エフェクター化合物は、インデューサー、例えば、無償性インデューサー、例えば、IPTG(「イソプロピルチオガラクトシド」とも呼ばれるイソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド)である。
【0073】
特定の実施形態では、Plac、Ptac、Ptrc、PtacII、PlacUV5、lpp−PlacUV5、lpp−lac、nprM−lac、T7lac、T5lac、T3lac及びPmacを含むlac又はtacファミリープロモーターが、本発明において利用される。
【0074】
他のエレメント
lacO配列をはじめとした他の調節エレメントが、発現構築物内に含められ得る。そのようなエレメントとしては、例えば、転写エンハンサー配列、翻訳エンハンサー配列、他のプロモーター、アクチベーター、翻訳開始シグナル及び翻訳停止シグナル、転写ターミネーター、シストロニックレギュレーター、ポリシストロニックレギュレーター、タグ配列、例えば、発現したポリペプチドの同定、分離、精製又は単離を容易にするヌクレオチド配列「タグ」及び「タグ」ペプチドコード配列(His−タグ、Flag−タグ、T7−タグ、S−タグ、HSV−タグ、B−タグ、Strep−タグ、ポリアルギニン、ポリシステイン、ポリフェニルアラニン、ポリアスパラギン酸、(Ala−Trp−Trp−Pro)n、チオレドキシン、ベータ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、シクロマルトデキストリングルコノトランスフェラーゼ、CTP:CMP−3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソネートシチジルトランスフェラーゼ、trpE又はtrpLE、アビジン、ストレプトアビジン、T7遺伝子10、T4gp55、ブドウ球菌性プロテインA、連鎖球菌性プロテインG、GST、DHFR、CBP、MBP、ガラクトース結合ドメイン、カルモジュリン結合ドメイン、GFP、KSI、c−myc、ompT、ompA、pelB、、NusA、ユビキチン及びヘモシリンAを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
1つの実施形態では、核酸構築物は、目的の組換えタンパク質若しくはペプチドのコード配列に隣接するタグ配列、又はウイルスキャプシドタンパク質に対するコード配列に連結されたタグ配列をさらに含む。1つの実施形態では、このタグ配列によって、そのタンパク質の精製が可能になる。このタグ配列は、親和性タグ、例えば、ヘキサ−ヒスチジン親和性タグであり得る。別の実施形態では、親和性タグは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ分子であり得る。タグは、蛍光分子、例えば、YFP若しくはGFP、又はそのような蛍光タンパク質のアナログでもあり得る。タグは、抗体分子の一部、又は精製に有用な公知の結合パートナーに対する公知の抗原若しくはリガンドでもあり得る。
【0076】
本発明は、キャプシドタンパク質−組換えポリペプチドコード配列に加えて、それに作動可能に連結された以下の調節エレメント:プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、転写ターミネーター、翻訳開始シグナル及び翻訳停止シグナルを含み得る。有用なRBSは、本発明の発現系における宿主細胞として有用な種のいずれかから得ることができる。多くの特定のコンセンサスRBS及び種々のコンセンサスRBSが公知であり、例えば、D. Frishman et al., Starts of bacterial genes: estimating the reliability of computer predictions, Gene 234(2):257-65 (8 Jul 1999);及びB. E. Suzek et al., A probabilistic method for identifying start codons in bacterial genomes, Bioinformatics 17(12): 1123-30 (Dec 2001)に記載されているもの及びそれに参照されているものである。さらに、天然又は合成のいずれかのRBS、例えば:EP0207459(合成RBS);O. Ikehata et al., Primary structure of nitrile hydratase deduced from the nucleotide sequence of a Rhodococcus species and its expression in Escherichia coli, Eur. J. Biochem. 181(3):563-70 (1989)に記載されているもの(AAGGAAGという天然のRBS配列)が使用され得る。本発明において有用な、方法、ベクター並びに翻訳及び転写エレメント並びに他のエレメントのさらなる例は、例えば:Gilroyに対する米国特許第5,055,294号及びGilroyらに対する米国特許第5,128,130号;Rammlerらに対する米国特許第5,281,532号;Barnesらに対する米国特許第4,695,455号及び4,861,595号;Grayらに対する米国特許第4,755,465号;並びにWilcoxに対する米国特許第5,169,760号に記載されている。
【0077】
ベクター
本発明の核酸構築物は、細菌宿主細胞において発現することができるベクター内に含められ得る。一般に、組換え発現ベクターは、宿主細胞(例えば、本発明のキャプシドタンパク質−組換えポリペプチド融合ペプチド)の形質転換を可能にする複製開始点及び選択マーカー並びに下流の構造配列の転写を指示する、高発現遺伝子由来のプロモーターを含み得る。翻訳開始配列及び翻訳終結配列を含む異種性の構造配列は、適切な段階において構築される。必要に応じて、その異種性配列は、所望の特徴、例えば、発現した組換え産物の安定性又は簡便な精製を付与するN末端の識別ペプチドを含む融合ポリペプチドをコードし得る。
【0078】
キャプシドタンパク質−組換えポリペプチド融合ペプチドを発現させる際(例えば、P.フルオレッセンス(fluorescens)を用いて)に使用するのに有用な発現ベクターは、機能プロモーターを含む作動可能なリーディングフェーズで、適当な翻訳開始シグナル及び翻訳終結シグナルとともに、キャプシドペプチドに融合された所望の標的ポリペプチドをコードする構造DNA配列を挿入することによって構築され得る。そのベクターは、ベクターを確実に維持するために、及び望ましい場合、宿主内で増幅させるために、1つ又はそれ以上の表現型選択マーカー及び複製起点を含み得る。本開示の形質転換に適した宿主としては、シュードモナス属(Pseudomonas)内の様々な種、特に、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の宿主細胞株が挙げられる。
【0079】
ベクターは、宿主細胞において組換えタンパク質を発現させるために有用であると当分野で公知であり、これらのうちのいずれかは、可溶性の融合産物を本発明に従ってインビボにおいて発現するために改変及び使用され得る。そのようなベクターとしては、例えば、プラスミド、コスミド及びファージ発現ベクターが挙げられる。本発明における使用のために改変され得る有用なプラスミドベクターの例としては、発現プラスミドのpBBR1MCS、pDSK519、pKT240、pML122、pPS10、RK2、RK6、pRO1600及びRSF1010が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる例としては、以下が挙げられ得る:
【化17】

そのような有用なベクターの他の例としては、例えば:N. Hayase, Appl. Envir. Microbiol. 60 (9):3336-42 (Sep 1994); A. A. Lushnikov et al., Basic Life Sci. 30:657-62 (1985); S. Graupner and W. Wackernagel, Biomolec. Eng. 17 (1):11-16 (Oct 2000); H. P. Schweizer, Curr. Opin. Biotech. 12(5):439-45 (Oct 2001); M. Bagdasarian and K. N. Timmis, Curr. Topics Microbiol. Immunol. 96:47-67 (1982); T. Ishii et al., FEMS Microbiol. Lett. 116 (3):307-13 (Mar 1, 1994); I.N. Olekhnovich and Y. K. Fomichev, Gene 140 (1):63-65 (Mar 11, 1994); M. Tsuda and T. Nakazawa, Gene 136 (1-2):257-62 (Dec 22, 1993); C. Nieto et al., Gene 87(1):145-49 (Mar 1, 1990); J. D. Jones and N. Gutterson, Gene 61(3):299-306 (1987); M. Bagdasarian et al., Gene 16 (1-3):237-47 (Dec 1981); H. P. Schweizer et al., Genet. Eng. (NY) 23:69-81 (2001); P. Mukhopadhyay et al., J. Bact. 172 (1):477-80 (Jan 1990); D. O. Wood et al., J. Bact. 145(3): 1448-51 (Mar 1981);及びR. Holtwick et al., Microbiology 147 (Pt 2):337-44 (Feb 2001)によって記載されたものが挙げられる。
【0080】
シュードモナス(Pseudomonas)宿主細胞において有用であり得る発現ベクターのさらなる例としては、記載されるレプリコンに由来するような、以下の表に列挙されるものが挙げられる。
【表3】

【0081】
発現プラスミドであるRSF1010は、例えば、F. Heffron et al, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 72(9):3623-27 (Sep 1975)及びK. Nagahari and K. Sakaguchi, J. Bact. 133(3): 1527-29 (Mar 1978)によって説明されている。プラスミドRSF1010及びその誘導体は、本発明において特に有用なベクターである。当分野で公知のRSF1010の有用な例示的誘導体としては、例えば、pKT212、pKT214、pKT231及び関連プラスミド、ならびにpMYC1050及び関連プラスミド(例えば、Thompsonらに対する米国特許第5,527,883号及び同第5,840,554号を参照のこと)、例えば、pMYC1803が挙げられる。プラスミドpMYC1803は、RSF1010に基づいたプラスミドであるpTJS260(Wilcoxに対する米国特許第5,169,760号を参照のこと)から得られ、これは、制御性テトラサイクリン耐性マーカーならびにRSF1010プラスミド由来の複製及び移動遺伝子座(mobilization loci)を有する。他の有用な例示的ベクターとしては、Puhlerらに対する米国特許第4,680,264号に記載されているものが挙げられる。
【0082】
他の実施形態では、発現プラスミドは、発現ベクターとして使用され得る。別の実施形態では、RSF1010又はその誘導体が、発現ベクターとして使用され得る。なおも別の実施形態では、pMYC1050若しくはその誘導体又はpMYC1803若しくはその誘導体が、発現ベクターとして使用され得る。
【0083】
Champion(商標)pET発現系は、高レベルのタンパク質生産をもたらす。強力なT7lacプロモーターから発現が誘導される。この系は、目的の遺伝子を高レベルで転写させるために、高活性及び高特異性のバクテリオファージT7RNAポリメラーゼを利用するものである。プロモーター領域に位置するlacオペレーターは、従来のT7に基づいたベクターよりも厳密な制御を提供し、プラスミドの安定性及び細胞生存率を改善する(F.W. Studier and B.A. Moffatt (1986) J.Molecular Biology 189(1):113-30; Rosenberg,et al. (1987) Gene 56(1): 125-35)。T7発現系は、目的の遺伝子の高レベル転写のために、T7プロモーター及びT7RNAポリメラーゼ(T7RNAP)を用いる。T7RNAPが、天然の大腸菌(E.coli)RNAPよりも妥当(methodive)であり、目的の遺伝子の転写専用にされるので、T7発現系において高レベルの発現が達成され得る。同定される遺伝子の発現は、宿主細胞におけるT7RNAPのソースを提供することによって誘導され得る。これは、T7RNAP遺伝子の染色体コピーを含むBL21大腸菌(E.coli)宿主を用いることによって達成され得る。T7RNAP遺伝子は、IPTGによって誘導され得るlacUV5プロモーターの支配下にある。T7RNAPは、誘導すると発現され得、目的の遺伝子を転写する。
【0084】
pBAD発現系は、特定の炭素供給源、例えばグルコース、グリセロール及びアラビノースの存在を通じて、組換えタンパク質の厳密に管理された滴定可能な発現を可能にする(Guzman, et al. (1995) J.Bacteriology 177(14):4121-30)。pBADベクターは、発現レベルを正確に管理するように独自に設計されている。pBADベクターからの異種性の遺伝子発現は、araBADプロモーターにおいて開始される。このプロモーターは、araC遺伝子の産物によって正と負の両方に制御される。AraCは、L−アラビノースと複合体を形成する転写制御因子である。L−アラビノースの非存在下では、AraC二量体は、転写を阻止する。転写の活性化を最大にするためには、2つの事象:(i)L−アラビノースがAraCに結合して、転写を開始させること、(ii.)cAMP活性化タンパク質(CAP)−cAMP複合体がDNAに結合して、そのプロモーター領域の正確な位置へのAraCの結合を刺激することが必要である。
【0085】
trc発現系は、大腸菌(E.coli)において、trcプロモーターからの高レベルの制御された発現を可能にする。trc発現ベクターは、大腸菌(E.coli)において真核生物遺伝子を発現させるために最適化されている。trcプロモーターは、トリプトファン(trp)及びラクトース(lac)プロモーター由来の強力なハイブリッドプロモーターである。trcプロモーターは、lacOオペレーター及びlacIQ遺伝子の産物によって制御される(J. Brosius(1984) Gene 27(2): 161-72)。
【0086】
III.ウイルスキャプシドタンパク質
本発明は、ウイルス由来のキャプシドタンパク質を利用する。本発明のいくつかの実施形態では、キャプシドタンパク質のアミノ酸配列は、二十面体の形態を有すると分類されるウイルスのキャプシドタンパク質から選択される。二十面体の形態としては、正二十面体、等軸晶系、準等軸晶系及び双生又は「双晶」の二十面体が挙げられる。他の実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、正二十面体実体のキャプシドタンパク質から選択され得る。別の実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、二十面体ウイルスのキャプシドタンパク質から選択され得る。1つの特定の実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、二十面体植物ウイルスのキャプシドタンパク質から選択され得る。しかしながら、別の実施形態では、ウイルスキャプシドは、植物に対して感染性でない二十面体ウイルスに由来し得る。例えば、1つの実施形態では、ウイルスは、哺乳動物に対して感染性のウイルスである。
【0087】
一般に、二十面体ウイルスのウイルスキャプシドは、二十面体(立方体)対称で配置された数多くのタンパク質サブユニットから構成される。天然の二十面体キャプシドは、例えば、3つのサブユニットがキャプシドの各面の三角形を形成することによって構築され得、最終的に、60個のサブユニットが完全なキャプシドを形成する。この小さなウイルス構造の代表例は、例えば、バクテリオファージΦX174である。多くの二十面体ウイルスキャプシドが、60個を超えるサブユニットを含む。二十面体ウイルスの多くのキャプシドタンパク質は、逆並行の8本鎖β−バレルフォールディングモチーフを含む。そのモチーフは、一方の側に4本のβストランド(BIDGと称される)を有し、他方の側に4本(CHEFと称される)を有するくさび形のブロックを有する。2つの保存されたアルファへリックス(A及びBと称される)も存在し、そのうちの1つは、ベータCとベータDとの間に存在し、もう1つは、ベータEとベータFとの間に存在する。
【0088】
エンベロープ化ウイルスは、その粒子が、細胞膜由来の脂質エンベロープ内に被覆される間に、その膜を通って粒子の飛び出し(出芽)によって、感染細胞を全面的に破壊することなく感染細胞から出ることができる(例えば:A.J. Cann (ed.) (2001) Principles of Molecular Virology (Academic Press); A. Granoff and R.G. Webster (eds.)(1999) Encyclopedia of Virology (Academic Press); D.L.D. Caspar(1980)Biophys. J. 32:103; D.L.D. Caspar and A. Klug (1962) Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 27:1; J.Grimes et al. (1988) Nature 395:470; J.E. Johnson (1996) Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 93:27;及びJ. Johnson and J. Speir (1997) J. Mol. Biol. 269:665を参照のこと)。
【0089】
ウイルス
ウイルス分類学は、以下の分類群のキャプシド被包粒子の存在を認めている:
グループIウイルス 、すなわち、dsDNAウイルス;
グループIIウイルス 、すなわち、ssDNAウイルス;
グループIIIウイルス、すなわち、dsRNAウイルス;
グループIVウイルス 、すなわち、DNAステージを有しないssRNA(+)鎖ウイルス;
グループVウイルス 、すなわち、ssRNA(-)鎖ウイルス;
グループVIウイルス 、すなわち、ssRNA逆転写ウイルスであるRNAレトロイドウイルス;
グループVIIウイルス、すなわち、dsDNA逆転写ウイルスであるDNAレトロイドウイルス;
デルタウイルス;
ウイロイド;及び
サテライト核酸及びプリオンを除く、サテライトファージ及びサテライトウイルス。
【0090】
キャプシドタンパク質のアミノ酸配列は、これらの分類群のいずれかの任意のメンバーのキャプシドタンパク質から選択され得る。これらの分類群のメンバーのキャプシドタンパク質に対するアミノ酸配列は、例えば:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi.においてNCBIによって提供されているPubMed検索機能のオンラインの「Nucleotide」(Genbank)、「Protein」及び「Structure」セクションが挙げられるがこれらに限定されないソースから入手され得る。
【0091】
1つの実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、以下の宿主:酵母を含む真菌、植物、藻類を含む原生生物、無脊椎動物、脊椎動物及びヒトのうちの少なくとも1つに特異的な分類群メンバーから選択される。1つの実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、以下の分類群:グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループV、グループVII、ウイロイド及びサテライトウイルスのうちのいずれか1つのメンバーから選択され得る。1つの実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、上記の6つの宿主タイプのうちの少なくとも1つに特異的であるこれらの7つの分類群のうちのいずれか1つのメンバーから選択される。より特定の実施形態では、キャプシドタンパク質アミノ酸配列は、グループII、グループIII、グループIV、グループVII及びサテライトウイルスのうちのいずれか1つ;又はグループII、グループIV、グループVII及びサテライトウイルスのうちのいずれか1つのメンバーから選択される。別の実施形態では、ウイルスキャプシドタンパク質は、グループIV又はグループVIIから選択される。
【0092】
ウイルスキャプシドタンパク質配列は、当該細胞に対して親和性でないウイルスに由来し得る。1つの実施形態では、当該細胞は、所望の二十面体タンパク質以外の、特定の選択されたウイルス由来のウイルスタンパク質を含まない。1つの実施形態では、ウイルスキャプシドは、当該細胞とは異なる科の生物に対して親和性を有するウイルスに由来し得る。別の実施形態では、ウイルスキャプシドは、当該細胞とは異なる属の生物に対して親和性を有するウイルスに由来し得る。別の実施形態では、ウイルスキャプシドは、当該細胞とは異なる種の生物に対して親和性を有するウイルスに由来し得る。特定の実施形態では、ウイルスキャプシドは、グループIVのウイルスから選択され得る。
【0093】
1つの実施形態では、ウイルスキャプシドは、二十面体ウイルスから選択される。二十面体ウイルスは、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)、トティウイルス科(Totiviridae)、ジシストロウイルス科(Dicistroviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、トガウイルス科(Togaviridiae)、ポリオーマウイルス科(Polyomaviridiae)、ノダウイルス科(Nodaviridae)、テクチウイルス科(Tectiviridae)、レヴィウイルス科(Leviviridae)、ミクロウイルス科(Microviridae)、シホウイルス科(Sipoviridae)、ノダウイルス科(Nodaviridae)、ピコルナウイルス科(Picornoviridae)、パルボウイルス科(Parvoviridae)、カリシウイルス科(Calciviridae)、テトラウイルス科(Tetraviridae)及びサテライト(Satellite)ウイルスのいずれかのメンバーから選択され得る。
【0094】
特定の実施形態では、配列は、少なくとも1つの植物宿主に特異的な、分類群のいずれか1つのメンバーから選択され得る。1つの実施形態では、二十面体植物ウイルス種は、ブンヤウイルス科(Bunyaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、ルテオウイルス科(Luteoviridae)、ナノウイルス科(Nanoviridae)、パルティティウイルス科(Partitiviridae)、セキウイルス科(Sequiviridae)、ティモウイルス科(Tymoviridae)、ウルミアウイルス属(Ourmiavirus)、タバコネクロシスサテライトウイルス(Tobacco Necrosis Virus Satellite)、カリモウイルス科(Caulimoviridae)、ジェミニウイルス科(Geminiviridae)、コモウイルス科(Comoviridae)、ソベモウイルス属(Sobemovirus)、トムブスウイルス科(Tombusviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)分類群のいずれかであるか、又はいずれかのメンバーである植物感染性ウイルス種である。1つの実施形態では、二十面体植物ウイルス種は、ルテオウイルス科(Luteoviridae)、ナノウイルス科(Nanoviridae)、パルティティウイルス科(Partitiviridae)、セキウイルス科(Sequiviridae)、ティモウイルス科(Tymoviridae)、ウルミアウイルス属(Ourmiavirus)、タバコネクロシスサテライトウイルス(Tobacco Necrosis Virus Satellite)、カリモウイルス科(Caulimoviridae)、ジェミニウイルス科(Geminiviridae)、コモウイルス科(Comoviridae)、ソベモウイルス属(Sobemovirus)、トムブスウイルス科(Tombusviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)分類群のいずれかであるか、又はいずれかのメンバーである植物感染性ウイルス種である。特定の実施形態では、二十面体植物ウイルス種は、カリモウイルス科(Caulimoviridae)、ジェミニウイルス科(Geminiviridae)、コモウイルス科(Comoviridae)、ソベモウイルス属(Sobemovirus)、トムブスウイルス科(Tombusviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)のいずれかであるか、又はいずれかのメンバーである植物感染性ウイルス種である。より特定の実施形態では、二十面体植物ウイルス種は、コモウイルス科(Comoviridae)、ソベモウイルス属(Sobemovirus)、トムブスウイルス科(Tombusviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)のいずれかであるか、又はいずれかのメンバーである植物感染性ウイルス種であり得る。他の実施形態では、二十面体植物ウイルス種は、コモウイルス科(Comoviridae)又はブロモウイルス科(Bromoviridae)のメンバーである植物感染性ウイルス種である。特定の実施形態では、ウイルスキャプシドは、ササゲモザイクウイルス又はササゲクロロティックモトルウイルスに由来する。別の実施形態では、ウイルスキャプシドは、ブロモウイルス科(Bromoviridae)分類群の種に由来する。特定の実施形態では、キャプシドは、イラルウイルス属(Ilarvirus)又はアルファモウイルス属(Alfamovirus)に由来する。なおも別の実施形態では、キャプシドは、タバコ条斑ウイルス、アルファルファモザイクウイルス(「AMV」)(AMV1又はAMV2を含む)に由来する。
【0095】
VLP
本発明の二十面体ウイルスキャプシドタンパク質は、記載される宿主細胞において非感染性である。1つの実施形態では、可溶性ウイルス様粒子(「VLP」)又はケージ構造は、ウイルスキャプシドタンパク質の発現中又は発現後に宿主細胞において形成され得る。1つの実施形態では、VLP又はケージ構造は、目的のタンパク質又はペプチドも含み、特定の実施形態では、目的のタンパク質又はペプチドは、VLPの表面上に発現する。その発現系は、典型的には、ウイルスの感染性を可能にするさらなるウイルスタンパク質を含まない。典型的な実施形態では、その発現系は、宿主細胞、並びに1つ又はそれ以上のウイルスキャプシドタンパク質及び作動可能に連結された目的のタンパク質又はペプチドをコードするベクターを含む。そのベクターは、典型的には、さらなるウイルス組織化タンパク質を含まない。
【0096】
1つの実施形態では、VLP又はケージ構造は、図2及び3に示されるような3〜約200又はそれ以上のキャプシドタンパク質を含む、キャプシドタンパク質の多量体構築物である。1つの実施形態では、VLP又はケージ構造は、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも90又は少なくとも120個のキャプシドタンパク質を含む。別の実施形態では、各VLP又はケージ構造は、少なくとも150個のキャプシドタンパク質、少なくとも160、少なくとも170又は少なくとも180個のキャプシドタンパク質を含む。
【0097】
1つの実施形態では、VLPは、二十面体構造として発現される。別の実施形態では、VLPは、キャプシド配列が由来する天然のウイルスの外面的形態と同じ外面的形態で発現される。しかしながら、別個の実施形態では、VLPは、天然のウイルスと同一の外面的形態を有しない。ある一定の実施形態では、例えば、その構造は、多数のキャプシドから形成されるが天然型のVLPを形成しない粒子としてもたらされる。例えば、わずか3つのウイルスキャプシドのケージ構造が形成され得る。別個の実施形態では、約6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57又は60個のキャプシドのケージ構造が、形成され得る。
【0098】
1つの実施形態では、キャプシドタンパク質の少なくとも1つが、少なくとも1つの目的のタンパク質又はペプチドを含む。1つの実施形態では、そのタンパク質又はペプチドは、VLPの少なくとも1つの内部ループ内又は少なくとも1つの外面ループ内に発現される。
【0099】
ある一定の実施形態では、宿主細胞は、VLPの組織化を改善するために改変され得る。宿主細胞は、例えば、発現したウイルスキャプシドからのVLPの形成を促進するシャペロンタンパク質を含むように改変され得る。別の実施形態では、宿主細胞は、VLPの制御された形成を促進するために、キャプシドタンパク質の発現をより効率的に制御するリプレッサータンパク質を含むように改変され得る。
【0100】
ウイルスキャプシドタンパク質をコードする核酸配列はまた、VLPの形成を変化させるためにさらに改変され得る(例えば、Brumfield, et al. (2004)J. Gen. Virol. 85:1049-1053を参照のこと)。例えば、改変の3つの一般的なクラスは、最も典型的には、VLPの発現及び組織化を改変するためにもたらされるものである。これらの改変は、組織化されたタンパク質ケージにおいて、内部、外部又は隣接サブユニット間の界面を変化させるように設計される。これを達成するために、変異原性プライマーを用いることにより:(i)N末端の塩基性残基(例えば、K、R)を酸性のグルタミン酸で置換することによって、ウイルスの核酸結合領域の内表面の電荷を変化させること(Douglas et al., 2002b);(ii)N末端から内部の残基(CCMVにおいて、通常、残基4〜37)を欠失させること;(iii)11アミノ酸ポリペプチド細胞標的化配列をコードするcDNA(Graf et al., 1987)を表面が露出したループに挿入すること;及び(iv)金属結合部位(CCMVにおいて、残基81/148変異体)を変化させることによって、ウイルスのサブユニット間の相互作用を改変することができる。
【0101】
本発明のVLPが、治療的に活性な薬剤を含み得るとき、それらは、ヒト又は動物の患者において障害を処置するためにも使用され得る。したがって、本発明は、ヒト又は動物の患者において疾患又は障害を処置するために使用され得、その処置は、その患者に、有効量の本発明のVLPを投与することを包含する。
【0102】
VLP免疫原性調製物又は「カクテル」はまた、多数の(a multidude of)感染物質に対して保護的又は治療的に有益な免疫応答を引き起こす単一ワクチンを投与するためにも使用され得る。
【0103】
IV.組換えポリペプチド
1つの実施形態では、ウイルスキャプシド配列に作動可能に連結されたペプチド又はタンパク質インサートは、少なくとも2アミノ酸を含む。別の実施形態では、本タンパク質又はペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5又は少なくとも6アミノ酸長である。別個の実施形態では、本タンパク質又はペプチドは、少なくとも7アミノ酸長である。本タンパク質又はペプチドは、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、45、50、60、65、75、85、95、96、99又はそれ以上のアミノ酸長でもあり得る。1つの実施形態では、コードされるタンパク質又はペプチドは、少なくとも25kDである。
【0104】
1つの実施形態では、本タンパク質又はペプチドは、2〜約300アミノ酸又は約5〜約250アミノ酸又は約5〜約200アミノ酸又は約5〜約150アミノ酸又は約5〜約100アミノ酸を含む。別の実施形態では、本タンパク質又はペプチドは、約10〜約140アミノ酸又は約10〜約120アミノ酸又は約10〜約100アミノ酸を含む。
【0105】
1つの実施形態では、ウイルスキャプシド配列に作動可能に連結されたペプチド又はタンパク質は、約500アミノ酸を含み得る。別の実施形態では、本ペプチドは、500未満のアミノ酸を含み得る。なおも別の実施形態では、本ペプチドは、最大約300アミノ酸又は最大約250又は最大約200又は最大約180又は最大約160又は最大約150又は最大約140又は最大約120又は最大約110又は最大約100又は最大約90又は最大約80又は最大約70又は最大約60又は最大約50又は最大約40又は最大約30アミノ酸を含み得る。
【0106】
1つの実施形態では、二十面体キャプシドタンパク質に融合された組換えポリペプチドは、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも85、少なくとも95、少なくとも99又は少なくとも100アミノ酸であり得る。
【0107】
本発明の1つの実施形態では、組換えポリペプチドは、所望の標的ペプチドの少なくとも1つのモノマーを含む。代替の実施形態では、組換えポリペプチドは、所望の標的ペプチドの1つより多いモノマーを含む。ある特定の実施形態では、そのポリペプチドは、コンカテマーペプチドとしてキャプシドタンパク質に作動可能に連結され得る、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15又は少なくとも20個の別個のモノマーから構成される。別の実施形態では、コンカテマーペプチドにおける個別のモノマーは、切断可能なリンカー領域によって連結され得る。なおも別の実施形態において、組換えポリペプチドは、二十面体ウイルス様粒子の少なくとも1つの表面ループに挿入され得る。1つの実施形態では、少なくとも1つのモノマーが、ウイルス様粒子の表面ループに挿入され得る。
【0108】
ウイルスキャプシドタンパク質に融合される、目的のタンパク質又はペプチドは、ウイルス由来でなく、必要に応じて、当該細胞と同じ種由来でない、異種タンパク質であり得る。ウイルスキャプシドタンパク質に融合される、目的のタンパク質又はペプチドは:機能性ペプチド;構造ペプチド;抗原ペプチド、毒性ペプチド、抗菌性ペプチド、それらのフラグメント;それらの前駆体;前述のもののいずれかの組み合わせ;及び/又は前述のもののいずれかのコンカテマーであり得る。本発明の1つの実施形態では、組換えポリペプチドは、ヒト及び動物の処置に有用な治療ペプチドである。
【0109】
機能性ペプチドとしては、例えば:生理活性ペプチド(すなわち、生物学的存在、例えば、生命体、細胞、培養物、組織、器官又は細胞小器官における生物学的機能若しくは活性又はそれらの生物学的機能若しくは活性の開始、増強、延長、減弱、終結又は妨害を発揮するか、誘発するか、又はそれ以外の方法で生じるペプチド);触媒ペプチド;ミクロ構造−及びナノ構造−活性ペプチド(すなわち、活動、例えば、運動、エネルギー変換を行うか、又はそれと併せて行う、操作されたミクロ構造又はナノ構造の一部を形成するペプチド);及び刺激ペプチド(例えば、香味料、着色料、着臭剤、フェロモン、誘引剤、制止剤及び忌避剤のペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
生理活性ペプチドとしては、例えば:免疫活性ペプチド(例えば、抗原ペプチド、アレルゲン性ペプチド、ペプチド免疫レギュレーター、ペプチド免疫モジュレーター);シグナリング及びシグナル伝達ペプチド(例えば、ペプチドホルモン、サイトカイン及び神経伝達物質;受容体;アゴニスト及びアンタゴニストペプチド;ポリペプチド標的及び分泌シグナルペプチド);及び生物阻害性(bio-inhibitory)ペプチド(例えば、毒性、生物致死性又はバイオスタティックペプチド、例えばペプチドトキシン及び抗菌性ペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
構造ペプチドとしては、例えば:ペプチドアプタマー;フォールディングペプチド(例えば、別の分子における物理的な立体配座の形成又は保持を促進するか又は誘導するペプチド);接着促進ペプチド(例えば、接着性ペプチド、細胞接着促進ペプチド);界面ペプチド(例えば、ペプチド界面活性物質及び乳化剤);ミクロ構造及びナノ構造−構築ペプチド(すなわち、操作されたミクロ構造又はナノ構造の一部を形成する構造ペプチド);及びプレ活性化ペプチド(例えば、プレ−、プロ−及びプレ−プロ−タンパク質並びにプレ−、プロ−及びプレ−プロ−ペプチドのリーダーペプチド;インテイン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
触媒ペプチドとしては、例えば:アポB RNAエディティングシチジンデアミナーゼペプチド;グルタミニル−tRNAシンテターゼの触媒ペプチド;アスパラギン酸トランスカルバモイラーゼの触媒ペプチド;植物の1型リボソーム不活性化ペプチド;ウイルスの触媒ペプチド、例えば、口蹄疫ウイルス[FMDV−2A]触媒ペプチド;マトリックスメタロプロテアーゼペプチド;及び触媒メタロオリゴペプチドが挙げられる。
【0113】
当該タンパク質又はペプチドはまた、ペプチド、ハプテン又は関連ペプチド(例えば、抗原性ウイルスペプチド;ウイルス関連ペプチド、例えば、HIV関連ペプチド、肝炎関連ペプチド;抗体イディオタイプドメイン;細胞表面ペプチド;抗原性のヒト、動物、原生生物、植物、真菌、細菌及び/又は古細菌のペプチド;アレルゲン性ペプチド及びアレルゲン脱感作ペプチド)でもあり得る。
【0114】
当該タンパク質又はペプチドはまた:ペプチド免疫レギュレーター又は免疫モジュレーター(例えば、インターフェロン、インターロイキン、ペプチド免疫抑制剤及び免疫賦活剤);抗体ペプチド(例えば、一本鎖抗体;一本鎖抗体フラグメント及び構築物、例えば、一本鎖Fv分子;抗体軽鎖分子、抗体重鎖分子、ドメイン欠失抗体の軽鎖又は重鎖分子;一本鎖抗体ドメイン及び分子、例えば、CH1、CH1−3、CH3、CH1−4、CH4、VHCH1、CL、CDR1又はFR1−CDR1−FR2ドメイン;パラトピック(paratopic)ペプチド;マイクロ抗体);別の結合ペプチド(例えば、ペプチドアプタマー、細胞内及び細胞表面受容体タンパク質、受容体フラグメント;抗腫瘍壊死因子ペプチド)であり得る。当該タンパク質又はペプチドはまた、酵素基質ペプチド又は酵素阻害剤ペプチド(例えば、カスパーゼ基質及び阻害剤、タンパク質キナーゼ基質及び阻害剤、蛍光共鳴エネルギー移動ペプチド酵素基質)であり得る。
【0115】
当該タンパク質又はペプチドはまた:細胞表面受容体ペプチドリガンド、アゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、セルレイン、ダイノルフィン、オレキシン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、腫瘍壊死因子ペプチド;合成ペプチドリガンド、アゴニスト及びアンタゴニスト);ペプチドホルモン(例えば:アミリン、アンギオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、心臓興奮性(cardioexcitatory)神経ペプチド、カゾモルフィン、コレシストキニン、コルチコトロピン及びコルチコトロピン関連ペプチド、分化因子、エンドルフィン、エンドセリン、エンケファリン、エリトロポイエチン、エキセンディン(exendins)、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、ガストリン、グルカゴン及びグルカゴン様ペプチド、ゴナドトロピン、成長ホルモン及び成長因子、インスリン、カリジン、キニン、レプチン、向脂肪ホルモン、黄体形成ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、メラトニン、ナトリウム利尿ペプチド、ニューロキニン、ニューロメジン、ノシセプチン、オステオカルシン、オキシトシン(oxytocins)(すなわち、オキシトシン(ocytocins))、副甲状腺ホルモン、プレイオトロフィン、プロラクチン、リラキシン、セクレチン、セロトニン、睡眠誘導ペプチド、ソマトメジン、サイモポイエチン、甲状腺刺激ホルモン、サイロトロピン、ウロテンシン、血管作用性腸管ペプチド、バソプレシンを含む、エンドクリン、パラクリン及びオートクラインホルモン);ペプチドサイトカイン、ケモカイン、ヴァイロカイン(virokine)及びヴァイロセプター(viroceptor)ホルモン放出及び放出抑制ペプチド(例えば、コルチコトロピン放出ホルモン、コルチスタチン(cortistatin)、卵胞刺激ホルモン放出因子、胃抑制ペプチド、ガストリン放出ペプチド、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、黄体化ホルモン放出ホルモン、メラノトロピン放出ホルモン、メラノトロピン放出抑制因子;ノシスタチン、パンクレアスタチン、プロラクチン放出ペプチド、プロラクチン放出抑制因子;ソマトスタチン;サイロトロピン放出ホルモン);ペプチド神経伝達物質又はチャネル遮断薬(例えば、ボンベシン、神経ペプチドY、ニューロテンシン、サブスタンスP)ペプチドトキシン、トキシン前駆体ペプチド又はトキシンペプチド部分であり得る。ある一定の実施形態では、ペプチドトキシンは、D−アミノ酸を含まない。トキシン前駆体ペプチドは、例えば、アミノ酸においてD配置を導入することができるD配置誘導剤(例えば、ペプチドイソメラーゼ又はエピメラーゼ又はラセマーゼ又はトランスアミナーゼ)の作用によって、及び/又は環状のペプチド構造を形成することができる環化剤(例えば、ペプチドチオエステラーゼ又はペプチドリガーゼ、例えばトランススプライシングタンパク質又はインテイン)の作用によって、D−アミノ酸を含まないもの及び/又は翻訳後修飾によって天然のトキシン構造に変換されていないものであり得る。
【0116】
トキシンペプチド部分は、ペプチド含有トキシンの線状又は事前に環化されたオリゴ−ペプチド部分及びポリ−ペプチド部分であり得る。ペプチドトキシンの例としては、例えば、アガトキシン、アマトキシン、カリブドトキシン、クロロトキシン(chlorotoxin)、コノトキシン、デンドロトキシン、インセクトトキシン(insectotoxin)、マーガトキシン(margatoxin)、マスト細胞脱顆粒ペプチド、サポリン、サラフォトキシン;並びに細菌の外毒素、例えば、炭疽トキシン、ボツリヌストキシン、ジフテリアトキシン及び破傷風トキシンが挙げられる。
【0117】
当該タンパク質又はペプチドはまた:代謝関連ペプチド及び消化関連ペプチド(例えば、コレシストキニン−パンクレオザイミンペプチド、ペプチドyy、膵臓ペプチド、モチリン);細胞接着調節ペプチド又は細胞接着媒介ペプチド、細胞外マトリックスペプチド(例えば、アドヘシン、セレクチン、ラミニン);神経保護薬又はミエリン化促進ペプチド;凝集抑制ペプチド(例えば、細胞又は血小板凝集阻害剤ペプチド、アミロイド形成又は沈着阻害剤ペプチド);連結ペプチド(例えば、心臓血管連結神経ペプチド、iga連結ペプチド);又は種々雑多なペプチド(例えば、アグーチ関連ペプチド、アミロイドペプチド、骨関連ペプチド、細胞透過性ペプチド、コナントキン(conantokin)、コントリファン(contryphan)、コンツラキン(contulakin)、ミエリン塩基性タンパク質など)であり得る。
【0118】
ある一定の実施形態では、目的のタンパク質又はペプチドは、選択されたウイルスキャプシドタンパク質に対して外因性であり得る。ペプチドは、天然の配列であってもよいし、合成した配列であってもよい(そして、それらのコード配列は、天然のヌクレオチド配列であってもよいし、合成のヌクレオチド配列であってもよい)。したがって、例えば、アミノ酸の天然の配列、改変された天然の配列及び完全に人工的な配列が包含される。同様に、これらのアミノ酸配列をコードする核酸分子の配列は、天然の核酸配列、改変された天然の核酸配列、又は完全に人工的な核酸配列であり得、その配列は、例えば、その核酸分子を得るために用いられる(すなわち、人為作用によって適用される)1つ又はそれ以上の合理的若しくはランダムな変異及び/又は組換え及び/又は合成及び/又は選択の方法の結果であり得る。
【0119】
コード配列は、入手可能であれば、標的ポリペプチドの天然のコード配列であり得るが、より典型的には、例えば、宿主種のコドン使用優先度を反映するように遺伝子を合成することによって、選択された発現宿主細胞において使用するために選択されたか、改善されたか、又は最適化された、コード配列である。本発明の1つの実施形態では、宿主種は、P.フルオレッセンス(fluorescens)であり、シグナル配列とタンパク質配列又はペプチド配列との両方を設計する際にP.フルオレッセンス(fluorescens)のコドン優先度を考慮に入れる。
【0120】
抗原ペプチド
1つの実施形態では、抗原ペプチドは、ウイルスキャプシドタンパク質とともに発現によって生産される。抗原ペプチドは、感染物質、寄生生物、癌細胞及び他の病原物質をはじめとしたヒト又は動物の病原物質の抗原ペプチドであるものから選択され得る。そのような病原物質としては、それらの物質の毒性因子及び病原因子(例えば、外毒素、内毒素など)も挙げられる。病原物質は、任意のレベルのビルレンスを示し得、すなわち、それらは、例えば、毒性、無毒性、偽毒性及び半毒性であり得る。1つの実施形態では、抗原ペプチドは、上記病原物質由来のエピトープアミノ酸配列を含み得る。別の実施形態では、エピトープアミノ酸配列は、少なくとも1つのそのような物質の表面タンパク質又はペプチドの少なくとも一部を含み得る。1つの実施形態では、キャプシドタンパク質−組換えポリペプチドVLPは、ヒト又は動物での適用において、ワクチンとして使用され得る。
【0121】
生じるVLPが、多数の異なる抗原ペプチドをもたらし得る場合、1つより多い抗原ペプチドが選択され得る。多抗原ペプチド様式の特定の実施形態では、様々な抗原ペプチドが、多数の病原物質又は同じ病原物質から選択され得る。多抗原性ペプチド様式の特定の実施形態において、選択される様々な抗原ペプチドはすべて、多数の密接な関係がある病原物質、例えば、同じ属の同じ種又は異なる種の様々な株、亜種、次亜種、病原型、血清型又は遺伝子型(genovars)から選択され得る。
【0122】
1つの実施形態では、病原物質は、以下の群:病原性:バチルス属(Bacillus)種、例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis);バルトネラ属(Bartonella)種、例えば、B.クインターナ(quintana);ブルセラ属(Brucella)種;バークホルデリア属(Burkholderia)種、例えば、B.シュードマレイ(pseudomallei);カンピロバクター属(Campylobacter)種;クロストリジウム属(Clostridium)種、例えば、C.テタニ(tetani)、C.ボツリヌム(botulinum);コクシエラ属(Coxiella)種、例えば、C.バーネッティ(burnetii);エドワージエラ属(Edwardsiella)種、例えば、E.タルダ(tarda);エンテロバクター属(Enterobacter)種、例えば、E.クロアカ(cloacae);エンテロコッカス属(Enterococcus)種、例えば、E.フェカリス(faecalis)、E.フェシウム(faecium);エシェリキア属(Escherichia)種、例えば、大腸菌(E.coli);フランシセラ属(Francisella)種、例えば、F.ツラレンシス(tularensis);ヘモフィルス属(Haemophilus)種、例えば、H.インフルエンザエ(influenzae);クレブシエラ属(Klebsiella)種、例えば、K.ニューモニエ(pneumoniae);レジオネラ属(Legionella)種;リステリア属(Listeria)種、例えば、L.モノサイトゲネス(monocytogenes);髄膜炎菌属(Meningococci)及び淋菌属(Gonococci)、例えば、ナイセリア属(Neisseria)種;モラクセラ属(Moraxella)種;マイコバクテリウム属(Mycobacterium)種、例えば、M.レプラエ(leprae)、M.ツベルクローシス(tuberculosis);肺炎球菌属(Pneumococci)、例えば、ディプロコッカス・ニューモニエ(Diplococcus pneumoniae);シュードモナス属(Pseudomonas)種、例えば、P.エルジノーサ(aeruginosa);リケッチア属(Rickettsia)種、例えば、R.プロワツェキイ(prowazekii)、R.リケッチイ(rickettsii)、R.チフィ(typhi);サルモネラ属(Salmonella)種、例えば、S.チフィ(typhi);ブドウ球菌属(Staphylococcus)種、例えば、S.アウレウス(aureus);A群連鎖球菌及び溶血性連鎖球菌、例えば、S.ニューモニエ(pneumoniae)、S.ピオゲネス(pyogenes)を含む連鎖球菌属(Streptococcus)種;ストレプトミセス属(Streptomyces)種;シゲラ属(Shigella)種;ビブリオ属(Vibrio)種、例えば、V.コレレ(cholerae);及びエルシニア属(Yersinia)種、例えば、Y.ペスティス(pestis)、Y.エンテロコリティカ(enterocolitica)が挙げられるがこれらに限定されない細菌及びマイコプラズマ物質の少なくとも1つに属し得る。真菌及び酵母物質としては、病原性:アルテルナリア属(Alternaria)種;アスペルギルス属(Aspergillus)種;ブラストミセス属(Blastomyces)種、例えば、B.デルマチジチス(dermatiditis);カンジダ属(Candida)種、例えば、C.アルビカンス(albicans);クラドスポリウム属(Cladosporium)種;コクシジオイデス属(Coccidiodes)種、例えば、C.イミチス(immitis);クリプトコッカス属(Cryptococcus)種、例えば、C.ネオフォルマンス(neoformans);ヒストプラズマ属(Histoplasma)種、例えば、H.カプスラーツム(capsulatum);及びスポロトリクス属(Sporothrix)種、例えば、S.シェンキー(schenckii)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
1つの実施形態では、病原物質は、病原性:アカントアメーバ属(Acanthamoeba)種、アメーバ属(Amoeba)種、ネグレリア属(Naegleria)種、エントアメーバ属(Entamoeba)種、例えば、E.ヒストリティカ(histolytica)を含むアメーバ属(Amoebae);クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)種、例えば、C.パルバム(parvum);シクロスポラ属(Cyclospora)種;エンセファリトゾーン属(Encephalitozoon)種、例えば、E.インテスティナリス(intestinalis);エンテロシトゾーン属(Enterocytozoon)種;ジアルジア属(Giardia)種、例えば、G.ランブリア(lamblia);イソスポラ属(Isospora)種;ミクロスポリジウム属(Microsporidium)種;プラスモディウム属(Plasmodium)種、例えば、熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)、三日熱マラリア原虫(P. vivax);トキソプラズマ属(Toxoplasma)種、例えば、T.ゴンディ(Toxoplasma gondii);及びトリパノソーマ属(Trypanosoma)種、例えば、T.ブルセイ(brucei)が挙げられるがこれらに限定されない原生生物物質由来であり得る。
【0124】
1つの実施形態では、病原物質は、病原性:回虫属(Ascaris)種、例えば、A.ルムブリコイデス(lumbricoides);ドラクンクルス属(Dracunculus)種、例えば、D.メジネンシス(medinensis);オンコセルカ属(Onchocerca)種、例えば、O.ボルブラス(volvulus);住血吸虫属(Schistosoma)種;旋毛虫属(Trichinella)種、例えば、T.スピラリス(spiralis);及び鞭虫属(Trichuris)種、例えば、T.トリチウラ(trichiura)が挙げられるがこれらに限定されない寄生物質(例えば、寄生虫様寄生生物)由来であり得る。
【0125】
別の実施形態では、病原物質は、病原性:アデノウイルス;アレナウイルス、例えば、ラッサ熱ウイルス;アストロウイルス;ブンヤウイルス、例えば、ハンタウイルス、リフトバレー熱ウイルス;コロナウイルス、デルタウイルス;サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヘルペスウイルス、水痘ウイルス;フィロウイルス、例えば、エボラウイルス、マールブルグウイルス;フラビウイルス(Flavirus)、例えば、デング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルス、黄熱病ウイルス;肝炎ウイルス;インフルエンザウイルス;レンチウイルス、T細胞リンパ向性ウイルスウイルス、他の白血病ウイルス;ノーウォークウイルス;パピローマウイルス、他の腫瘍ウイルス;パラミクソウイルス、例えば、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、ニューモウイルス、センダイウイルス;パルボウイルス;ピコルナウイルス、例えば、カルジオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、他のエンテロウイルス;ポックスウイルス、例えば、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、パラポックスウイルス;レオウイルス、例えば、コルチウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス;ラブドウイルス、例えば、リッサウイルス、水疱性口内炎ウイルス;及びトガウイルス、例えば、風疹ウイルス、シンドビスウイルス、西部脳炎ウイルスが挙げられるがこれらに限定されないウイルス物質由来であり得る。
【0126】
1つの特定の実施形態において、抗原ペプチドは、イヌパルボウイルスペプチド、アントラシス(anthracis)感染防御抗原ペプチド及び東部ウマ脳炎ウイルス抗原ペプチドからなる群より選択され得る。特定の実施形態では、抗原ペプチドは、配列番号16、17、18又は19のアミノ酸配列のうちのいずれか1つを有するアントラシス(anthracis)感染防御抗原ペプチドである。なおも別の特定の実施形態では、抗原ペプチドは、配列番号20又は21のうちの1つのアミノ酸配列を有する東部ウマ脳炎ウイルス抗原ペプチドである。
【表4】

【0127】
宿主細胞毒性ペプチド
別の特定の実施形態では、組換えポリペプチドは、遊離した単量体型であるとき、宿主細胞にとって毒性のペプチドである。より特定の実施形態では、その毒性ペプチドは、抗菌性ペプチドである。
【0128】
ある一定の実施形態では、ウイルスキャプシドタンパク質と連結して発現される目的のタンパク質又はペプチドは、宿主細胞毒性ペプチドであり得る。ある一定の実施形態では、このタンパク質は、抗菌性タンパク質又はペプチドであり得る。宿主細胞毒性ペプチドとは、それが発現する宿主細胞、又は細胞培養物中の他の細胞、又はその宿主細胞がメンバーである生物、又はその宿主細胞を提供する生物若しくは種の細胞に対してバイオスタティック、生物致死性又は毒性である生物阻害性ペプチドのことを示す。1つの実施形態では、宿主細胞毒性ペプチドは、それが発現する宿主細胞に対してバイオスタティック、生物致死性又は毒性である生物阻害性ペプチドであり得る。宿主細胞毒性ペプチドのいくつかの例としては:ペプチドトキシン;抗菌性ペプチド;及び他の抗生ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。抗菌性ペプチドとしては、例えば:抗細菌ペプチド、例えば、マガイニン、ベータデフェンシン、いくつかのアルファ−ディフェンシン;カテリシジン;ヒスタチン;抗真菌ペプチド;抗原虫性ペプチド;合成AMP;ペプチド抗生物質、又はその線状若しくは事前に環化されたオリゴ−又はポリ−ペプチド部分;他の抗生ペプチド(例えば、駆虫性ペプチド、溶血性ペプチド、殺腫瘍性ペプチド);及び抗ウイルスペプチド(例えば、いくつかのアルファ−ディフェンシン;殺ウイルス性ペプチド;ウイルス感染を阻害するペプチド)が挙げられる。1つの特定の実施形態において、抗菌性ペプチド(「AMP」)は、配列番号22のアミノ酸配列を有するD2A21ペプチドである。
【0129】
名称:D2A21三量体抗菌性感染防御抗原(「PA」)ペプチドのアミノ酸配列:
【化18】

【0130】
1つの実施形態では、組換えポリペプチドは、親水性最適化されており、例えば、50%未満の疎水性アミノ酸含有量を含み、特定の場合において、5アミノ酸ごとに少なくとも1つの帯電した(すなわち、極性)アミノ酸残基を含む。別の実施形態では、組換えポリペプチドは、40%未満の疎水性アミノ酸含有量、及び4アミノ酸ごとに少なくとも1つの帯電したアミノ酸残基を含む。
【0131】
本発明はまた、親水性最適化CP−組換えポリペプチドの融合ペプチドをコードする核酸構築物を有するシュードモナス(Pseudomonad)生物を提供する。本発明の1つの特定の実施形態では、シュードモナス(Pseudomonad)細胞は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である。1つの実施形態では、その細胞は、インビボにおいて組織化された可溶性VLPを産生する。1つの実施形態では、目的のタンパク質又はペプチドは、ヒト及び動物の処置に有用な治療ペプチドであり得る。
【0132】
本発明はまた、組換えポリペプチドと親水性最適化二十面体キャプシドタンパク質との融合ペプチドをコードする核酸を提供し;その核酸を発現させ(ここで、その細胞における発現は、可溶性組織化VLPのインビボにおける産生を提供する)、そしてそのVLPを単離することによる、組換えポリペプチド細胞を作製するための方法を提供する。1つの実施形態では、その細胞は、シュードモナス(Pseuodmonad)であり、一定の実施形態において、P.フルオレッセンス(fluorescens)である。
【0133】
V.組換えシュードモナス(Pseudomonad)細胞
本発明は、ウイルスキャプシドタンパク質又はCP−ペプチド融合物をコードする親水性最適化された核酸構築物を含む細菌宿主細胞をさらに提供する。1つの実施形態では、その細菌宿主細胞は、シュードモナス(Pseudomonad)細胞からなる群より選択される。1つの実施形態では、その細胞は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である。別の実施形態では、その細胞は、大腸菌(E.coli)である。その細胞は、組換えポリペプチドを生産するための方法において利用され得る。
【0134】
VLPを発現させる際に使用するための細胞
典型的な細菌細胞は、例えば、「Biological Diversity:Bacteria and Archaeans」なる、URL:http://www.emc.maricopa.edu/faculty/farabee/BIOBK/BioBookDiversity_2.html.においてEstrella Mountain Community College,Arizona,USAのDr.M.J.Farabeeによって提供されたOn−Line Biology Bookのある章に記載されている。1つの実施形態では、宿主細胞は、真正細菌の任意の種のメンバーであり得る。宿主は、分類群:アシドバクテリウム門(Acidobacteria)、放線菌門(Actinobacteira)、アクイフェックス門(Aquificae)、バクテロイデス門(Bacteroidetes)、緑色硫黄細菌門(Chlorobi)、クラミジア門(Chlamydiae)、クロロフレクサス門(Choroflexi)、クリシオジェネス門(Chrysiogenetes)、シアノバクテリア門(Cyanobacteria)、デフェリバクター門(Deferribacteres)、デイノコッカス門(Deinococcus)、ディクチオグロムス門(Dictyoglomi)、フィブロバクター門(Fibrobacteres)、ファーミキューテス門(Firmicutes)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、ゲマティモナス門(Gemmatimonadetes)、レンチスファエラ門(Lentisphaerae)、ニトロスピラ門(Nitrospirae)、プランクトミセス門(Planctomycetes)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、スピロヘータ門(Spirochaetes)、テルモデスルフォバクテリア門(Thermodesulfobacteria)、テルモミクロビウム門(Thermomicrobia)、テルモトガ門(Thermotogae)、テルムス門(Thermus)(テルムス目(Thermales))又はベルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)のいずれか1つのメンバーであり得る。真正細菌宿主細胞の実施形態では、その細胞は、シアノバクテリア門(Cyanobacteria)を除外した真正細菌の任意の種のメンバーであり得る。
【0135】
細菌宿主は、プロテオバクテリアの任意の種のメンバーでもあり得る。プロテオバクテリアの宿主細胞は、分類群アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)、ガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)又はイプシロンプロテオバクテリア(Epsilonproteobacteria)のいずれか1つのメンバーであり得る。さらに、その宿主は、分類群アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、ベータプロテオバクテリア(Betaproteobacteria)又はガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)のいずれか1つのメンバー及びガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)のいずれかの種のメンバーであり得る。
【0136】
ガンマプロテオバクテリアの宿主の1つの実施形態では、宿主は、分類群アエロモナダーレス(Aeromonadales)、アルテロモナダーレス(Alteromonadales)、腸内細菌目(Enterobacteriales)、シュードモナス目(Pseudomonadales)若しくはキサントモナダーレス(Xanthomonadales)のいずれか1つのメンバー;又は腸内細菌目(Enterobacteriales)若しくはシュードモナス目(Pseudomonadales)のいずれかの種のメンバーであり得る。1つの実施形態では、宿主細胞は、腸内細菌目(Enterobacteriales)であり得、その宿主細胞は、腸内細菌科のメンバー、又はエルウィニア属(Erwinia)、エシェリキア属(Escherichia)若しくはセラチア属(Serratia)のいずれか1つのメンバー;又はエシェリキア属(Escherichia)のメンバーであり得る。シュードモナス目(Pseudomonadales)の宿主細胞の1つの実施形態では、宿主細胞は、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)のメンバーであり得、シュードモナス属(Pseudomonas)のメンバーでさえもあり得る。ガンマプロテオバクテリアの宿主には、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)種のメンバー及びシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)種のメンバーが包含される。
【0137】
他のシュードモナス(Pseudomonas)生物もまた使用され得る。シュードモナス(Pseudomonads)及び密接な関係がある種としては、グラム(−)プロテオバクテリア亜群1が挙げられ、これには、R.E. Buchanan and N.E. Gibbons(eds.), Bergey's Manual of Determinative Bacteriology, pp. 217-289(8th ed., 1974)(The Williams and Wilkins Co., Baltimore, MD, USA)(本明細書中以後、「Bergey(1974)」)によって「Gram-Negative Aerobic Rods and Cocci」として記載された科及び/又は属に属するプロテオバクテリアの群が包含される。
【0138】
「グラム(−)プロテオバクテリア亜群1」はまた、分類において使用される基準に従ってこの表題に分類され得るプロテオバクテリアも包含する。この表題はまた、以前にこの節に分類されていたが、現在は分類されていない群、例えばアシドボラクス属(Acidovorax)、ブレブンディモナス属(Brevundimonas)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga)、オセアニモナス属(Oceanimonas)、ラルストニア属(Ralstonia)及びステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)、キサントモナス属(Xanthomonas)に属する(及び以前キサントモナス属の種と呼ばれていた)生物を再編成することによって作られたスフィンゴモナス属(Sphingomonas)(及びそれ由来のブラストモナス属(Blastomonas))、Bergey(1974)において定義されたようなアセトバクター属(Acetobacter)に属する生物を再編成することによって作られたアシドモナス属(Acidomonas)も包含する。さらに宿主は、それぞれアルテロモナス・ハロプランクティス(Alteromonas haloplanktis)、アルテロモナス・ニグリファシエンス(Alteromonas nigrifaciens)及びアルテロモナス・プトレファシエンス(Alteromonas putrefaciens)として再分類された、シュードモナス・エナリア(Pseudomonas enalia)(ATCC14393)、シュードモナス・ニグリファシエンス(Pseudomonas nigrifaciens)(ATCC19375)及びシュードモナス・プトレファシエンス(Pseudomonas putrefaciens)(ATCC8071)といったシュードモナス属(Pseudomonas)由来の細胞を包含し得る。同様に、例えば、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovorans)(ATCC15668)及びシュードモナス・テストステローニ(Pseudomonas testosteroni)(ATCC11996)は、それぞれコマモナス・アシドボランス(Comamonas acidovorans)及びコマモナス・テストステローニ(Comamonas testosteroni)として再分類され;そしてシュードモナス・ニグリファシエンス(Pseudomonas nigrifaciens)(ATCC19375)及びシュードモナス・ピスシダ(Pseudomonas piscicida)(ATCC15057)は、それぞれシュードアルテロモナス・ニグリファシエンス(Pseudoalteromonas nigrifaciens)及びシュードアルテロモナス・ピスシダ(Pseudoalteromonas piscicida)として再分類された。
【0139】
「グラム(−)プロテオバクテリア亜群1」はまた、科:シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、アゾトバクター科(Azotobacteraceae)(現在、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)の「アゾトバクター群」という別名で呼ばれることが多い)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)及びメチロモナス科(Methylomonadaceae)(現在、「メチロコッカス科(Methylococcaceae)」という別名で呼ばれることが多い)のいずれかに属すると分類されるプロテオバクテリアも包含する。その結果として、本明細書中に記載される属に加えて、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群1」に含まれるさらなるプロテオバクテリア属は:1)アゾリゾフィルス(Azorhizophilus)属のアゾトバクター群細菌;2)セルビブリオ属(Cellvibrio)、オリゲラ属(Oligella)及びテレディニバクター属(Teredinibacter)のシュードモナス科(Pseudomonadaceae)細菌;3)ケラトバクター属(Chelatobacter)、エンシファー属(Ensifer)、リベリバクター属(Liberibacter)(「カンジダタス・リベリバクター(Candidatus Liberibacter)」とも呼ばれる)及びシノリゾビウム属(Sinorhizobium)のリゾビウム科(Rhizobiaceae)科細菌;並びに4)メチロバクター属(Methylobacter)、メチロカルダム属(Methylocaldum)、メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)、メチロサルシナ属(Methylosarcina)及びメチロスファエラ属(Methylosphaera)のメチロコッカス科(Methylococcaceae)細菌を包含する。
【0140】
別の実施形態では、宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群2」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群2」は、以下の属(別段述べられているものを除き、すべてがATCCに寄託されており、カタログに列挙され、公的に入手可能なその寄託菌株の総数を括弧内に示す):アシドモナス属(Acidomonas)(2);アセトバクター属(Acetobacter)(93);グルコノバクター属(Gluconobacter)(37);ブレブンディモナス属(Brevundimonas)(23);ベイジェリンキア属(Beijerinckia)(13);デルキシア属(Derxia)(2);ブルセラ属(Brucella)(4);アグロバクテリウム属(Agrobacterium)(79);ケラトバクター属(Chelatobacter)(2);エンシファー属(Ensifer)(3);リゾビウム属(Rhizobium)(144);シノリゾビウム属(Sinorhizobium)(24);ブラストモナス属(Blastomonas)(1);スフィンゴモナス属(Sphingomonas)(27);アルカリゲネス属(Alcaligenes)(88);ボルデテラ属(Bordetella)(43);バークホルデリア属(Burkholderia)(73);ラルストニア属(Ralstonia)(33);アシドボラクス属(Acidovorax)(20);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga)(9);ズーグレア属(Zoogloea)(9);メチロバクター属(Methylobacter)(2);メチロカルダム属(Methylocaldum)(NCIMBでは1);メチロコッカス属(Methylococcus)(2);メチロミクロビウム属(Methylomicrobium)(2);メチロモナス属(Methylomonas)(9);メチロサルシナ属(Methylosarcina)(1);メチロスファエラ属(Methylosphaera);アゾモナス属(Azomonas)(9);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus)(5);アゾトバクター属(Azotobacter)(64);セルビブリオ属(Cellvibrio)(3);オリゲラ属(Oligella)(5);シュードモナス(Pseudomonas)(1139);フランシセラ属(Francisella)(4);キサントモナス属(Xanthomonas)(229);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)(50);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)(4)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0141】
「グラム(−)プロテオバクテリア亜群2」の例示的な宿主細胞種としては、以下の細菌(その例示的な菌株のATCC又は他の寄託番号を括弧内に示す):アシドモナス・メタノリカ(Acidomonas methanolica)(ATCC43581);アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)(ATCC15973);グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)(ATCC19357);ブレブンディモナス・ディミヌタ(Brevundimonas diminuta)(ATCC11568);ベイジェリンキア・インディカ(Beijerinckia indica)(ATCC9039及びATCC19361);デルキシア・グモーサ(Derxia gummosa)(ATCC15994);ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)(ATCC23456)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)(ATCC23448);アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(ATCC23308)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)(ATCC19358)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)(ATCC11325);ケラトバクター・ヘインツィ(Chelatobacter heintzii)(ATCC29600);エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)(ATCC33212);リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)(ATCC10004);シノリゾビウム・フレディ(Sinorhizobium fredii)(ATCC35423);ブラストモナス・ナタトリア(Blastomonas natatoria)(ATCC35951);スフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphingomonas paucimobilis)(ATCC29837);アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)(ATCC8750);ボルデテラ・パータシス(Bordetella pertussis)(ATCC9797);バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)(ATCC25416);ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii)(ATCC27511);アシドボラックス・ファシリス(Acidovorax facilis)(ATCC11228);ヒドロゲノファーガ・フラバ(Hydrogenophaga flava)(ATCC33667);ズーグレア・ラミゲラ(Zoogloea ramigera)(ATCC19544);メチロバクター・ルテウス(Methylobacter luteus)(ATCC49878);メチロカルダム・グラシル(Methylocaldum gracile)(NCIMB11912);メチロコッカス・カプスラタス(Methylococcus capsulatus)(ATCC19069);メチロミクロビウム・アギレ(Methylomicrobium agile)(ATCC35068);メチロモナス・メタニカ(Methylomonas methanica)(ATCC35067);メチロサルシナ・フィブラタ(Methylosarcina fibrata)(ATCC700909);メチロスファエラ・ハンソニイ(Methylosphaera hansonii)(ACAM549);アゾモナス・アギリス(Azomonas agilis)(ATCC7494);アゾリゾフィルス・パスパリ(Azorhizophilus paspali)(ATCC23833);アゾトバクター・クロオコッカム(Azotobacter chroococcum)(ATCC9043);セルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)(UQM2601);オリゲラ・ウレトラリス(Oligella urethralis)(ATCC17960);シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC10145)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(ATCC35858);フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)(ATCC6223);ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(ATCC13637);キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)(ATCC33913);及びオセアニモナス・ドウドロフィイ(Oceanimonas doudoroffii)(ATCC27123)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
別の実施形態では、宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群3」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群3」は、以下の属:ブレブンディモナス属(Brevundimonas);アグロバクテリウム属(Agrobacterium);リゾビウム属(Rhizobium);シノリゾビウム属(Sinorhizobium);ブラストモナス属(Blastomonas);スフィンゴモナス属(Sphingomonas);アルカリゲネス属(Alcaligenes);バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);アシドボラクス属(Acidovorax);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga);メチロバクター属(Methylobacter);メチロカルダム属(Methylocaldum);メチロコッカス属(Methylococcus);メチロミクロビウム属(Methylomicrobium);メチロモナス属(Methylomonas);メチロサルシナ属(Methylosarcina);メチロスファエラ属(Methylosphaera);アゾモナス属(Azomonas);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus);アゾトバクター属(Azotobacter);セルビブリオ属(Cellvibrio);オリゲラ属(Oligella);シュードモナス属(Pseudomonas);テレディニバクター属(Teredinibacter);フランシセラ属(Francisella);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0143】
別の実施形態では、宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群4」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群4」は、以下の属:ブレブンディモナス属(Brevundimonas);ブラストモナス属(Blastomonas);スフィンゴモナス属(Sphingomonas);バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);アシドボラクス属(Acidovorax);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga);メチロバクター属(Methylobacter);メチロカルダム属(Methylocaldum);メチロコッカス属(Methylococcus);メチロミクロビウム属(Methylomicrobium);メチロモナス属(Methylomonas);メチロサルシナ属(Methylosarcina);メチロスファエラ属(Methylosphaera);アゾモナス属(Azomonas);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus);アゾトバクター属(Azotobacter);セルビブリオ属(Cellvibrio);オリゲラ属(Oligella);シュードモナス属(Pseudomonas);テレディニバクター属(Teredinibacter);フランシセラ属(Francisella);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0144】
1つの実施形態では、宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群5」から選択される。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群5」は、以下の属:メチロバクター属(Methylobacter);メチロカルダム属(Methylocaldum);メチロコッカス属(Methylococcus);メチロミクロビウム属(Methylomicrobium);メチロモナス属(Methylomonas);メチロサルシナ属(Methylosarcina);メチロスファエラ属(Methylosphaera);アゾモナス属(Azomonas);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus);アゾトバクター属(Azotobacter);セルビブリオ属(Cellvibrio);オリゲラ属(Oligella);シュードモナス属(Pseudomonas);テレディニバクター属(Teredinibacter);フランシセラ属(Francisella);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0145】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群6」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群6」は、以下の属:ブレブンディモナス属(Brevundimonas);ブラストモナス属(Blastomonas);スフィンゴモナス属(Sphingomonas);バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);アシドボラクス属(Acidovorax);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga);アゾモナス属(Azomonas);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus);アゾトバクター属(Azotobacter);セルビブリオ属(Cellvibrio);オリゲラ属(Oligella);シュードモナス属(Pseudomonas);テレディニバクター属(Teredinibacter);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0146】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群7」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群7」は、以下の属:アゾモナス属(Azomonas);アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus);アゾトバクター属(Azotobacter);セルビブリオ属(Cellvibrio);オリゲラ属(Oligella);シュードモナス属(Pseudomonas);テレディニバクター属(Teredinibacter);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0147】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群8」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群8」は、以下の属:ブレブンディモナス属(Brevundimonas);ブラストモナス属(Blastomonas);スフィンゴモナス属(Sphingomonas);バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);アシドボラクス属(Acidovorax);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga);シュードモナス属(Pseudomonas);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);キサントモナス属(Xanthomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0148】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群9」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群9」は、以下の属:ブレブンディモナス属(Brevundimonas);バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);アシドボラクス属(Acidovorax);ヒドロゲノファガ属(Hydrogenophaga);シュードモナス属(Pseudomonas);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);及びオセアニモナス属(Oceanimonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0149】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群10」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群10」は、以下の属:バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);シュードモナス属(Pseudomonas);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);及びキサントモナス属(Xanthomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0150】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群11」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群11」は、属:シュードモナス属(Pseudomonas);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);及びキサントモナス属(Xanthomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0151】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群12」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群12」は、以下の属:バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);シュードモナス属(Pseudomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群13」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群13」は、以下の属:バークホルデリア属(Burkholderia);ラルストニア属(Ralstonia);シュードモナス属(Pseudomonas);及びキサントモナス属(Xanthomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群14」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群14」は、以下の属:シュードモナス属(Pseudomonas)及びキサントモナス属(Xanthomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群15」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群15」は、シュードモナス属(Pseudomonas)のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0152】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群16」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群16」は、以下のシュードモナス(Pseudomonas)種(例示的な菌株のATCC又は他の寄託番号を括弧内に示す):シュードモナス・アビエタニフィラ(Pseudomonas abietaniphila)(ATCC700689);シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC10145);シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)(ATCC14909);シュードモナス・アンギリセプチカ(Pseudomonas anguilliseptica)(ATCC33660);シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)(ATCC13674);シュードモナス・フラベッセンス(Pseudomonas flavescens)(ATCC51555);シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)(ATCC25411);シュードモナス・ニトロレデュセンス(Pseudomonas nitroreducens)(ATCC33634);シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)(ATCC8062);シュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes)(ATCC17440);シュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)(ATCC14235);シュードモナス・ストラミネア(Pseudomonas straminea)(ATCC33636);シュードモナス・アガリシ(Pseudomonas agarici)(ATCC25941);シュードモナス・アルカリフィラ(Pseudomonas alcaliphila);シュードモナス・アルギノボラ(Pseudomonas alginovora);シュードモナス・アンデルソニイ(Pseudomonas andersonii);シュードモナス・アスプレニイ(Pseudomonas asplenii)(ATCC23835);シュードモナス・アゼライカ(Pseudomonas azelaica)(ATCC27162);シュードモナス・ベイジェリンキイ(Pseudomonas beijerinckii)(ATCC19372);シュードモナス・ボレアリス(Pseudomonas borealis);シュードモナス・ボレオポリス(Pseudomonas boreopolis)(ATCC33662);シュードモナス・ブラッシカセアルム(Pseudomonas brassicacearum);シュードモナス・ブタノボラ(Pseudomonas butanovora)(ATCC43655);シュードモナス・セルロサ(Pseudomonas cellulosa)(ATCC55703);シュードモナス・アウランティアカ(Pseudomonas aurantiaca)(ATCC33663);シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)(ATCC9446、ATCC13985、ATCC17418、ATCC17461);シュードモナス・フラギ(Pseudomonas fragi)(ATCC4973);シュードモナス・ルンデンシス(Pseudomonas lundensis)(ATCC49968);シュードモナス・タエトロレンス(Pseudomonas taetrolens)(ATCC4683);シュードモナス・シシコラ(Pseudomonas cissicola)(ATCC33616);シュードモナス・コロナファシエンス(Pseudomonas coronafaciens);シュードモナス・ディテルペニフィラ(Pseudomonas diterpeniphila);シュードモナス・エロンガータ(Pseudomonas elongata)(ATCC10144);シュードモナス・フレクテンス(Pseudomonas flectens)(ATCC12775);シュードモナス・アゾトフォルマンス(Pseudomonas azotoformans);シュードモナス・ブレンネリ(Pseudomonas brenneri);シュードモナス・セドレラ(Pseudomonas cedrella);シュードモナス・コルガータ(Pseudomonas corrugata)(ATCC29736);シュードモナス・エクストレモリエンタリス(Pseudomonas extremorientalis);シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(ATCC35858);シュードモナス・ゲサルディ(Pseudomonas gessardii);シュードモナス・リバネンシス(Pseudomonas libanensis);シュードモナス・マンデリイ(Pseudomonas mandelii)(ATCC700871);シュードモナス・マルギナリス(Pseudomonas marginalis)(ATCC10844);シュードモナス・ミグラエ(Pseudomonas migulae);シュードモナス・ムシドレンス(Pseudomonas mucidolens)(ATCC4685);シュードモナス・オリエンタリス(Pseudomonas orientalis);シュードモナス・ロデシア(Pseudomonas rhodesiae);シュードモナス・シンキサンサ(Pseudomonas synxantha)(ATCC9890);シュードモナス・トラシイ(Pseudomonas tolaasii)(ATCC33618);シュードモナス・ベロニイ(Pseudomonas veronii)(ATCC700474);シュードモナス・フレデリクスベルゲンシス(Pseudomonas frederiksbergensis);シュードモナス・ゲニクラタ(Pseudomonas geniculata)(ATCC19374);シュードモナス・ジンゲリ(Pseudomonas gingeri);シュードモナス・グラミニス(Pseudomonas graminis);シュードモナス・グリモンティ(Pseudomonas grimontii);シュードモナス・ハロデニトリフィカンス(Pseudomonas halodenitrificans);シュードモナス・ハロフィラ(Pseudomonas halophila);シュードモナス・ヒビシコラ(Pseudomonas hibiscicola)(ATCC19867);シュードモナス・ハティエンシス(Pseudomonas huttiensis)(ATCC14670);シュードモナス・ヒドロゲノボラ(Pseudomonas hydrogenovora);シュードモナス・ジェセニイ(Pseudomonas jessenii)(ATCC700870);シュードモナス・キロネンシス(Pseudomonas kilonensis);シュードモナス・ランセオラタ(Pseudomonas lanceolata)(ATCC14669);シュードモナス・リニ(Pseudomonas lini);シュードモナス・マルギナタ(Pseudomonas marginata)(ATCC25417);シュードモナス・メフィティカ(Pseudomonas mephitica)(ATCC33665);シュードモナス・デニトリフィカンス(Pseudomonas denitrificans)(ATCC19244);シュードモナス・ペルツシノゲナ(Pseudomonas pertucinogena)(ATCC190);シュードモナス・ピクトラム(Pseudomonas pictorum)(ATCC23328);シュードモナス・サイクロフィラ(Pseudomonas psychrophila);シュードモナス・フルバ(Pseudomonas fulva)(ATCC31418);シュードモナス・モンテイリ(Pseudomonas monteilii)(ATCC700476);シュードモナス・モッセリ(Pseudomonas mosselii);シュードモナス・オリジハビタンス(Pseudomonas oryzihabitans)(ATCC43272);シュードモナス・プレコグロシシダ(Pseudomonas plecoglossicida)(ATCC700383);シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)(ATCC12633);シュードモナス・レアクタンス(Pseudomonas reactans);シュードモナス・スピノサ(Pseudomonas spinosa)(ATCC14606);シュードモナス・バレアリカ(Pseudomonas balearica);シュードモナス・ルテオラ(Pseudomonas luteola)(ATCC43273);シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)(ATCC17588);シュードモナス・アミグダリ(Pseudomonas amygdali)(ATCC33614);シュードモナス・アベルラナエ(Pseudomonas avellanae)(ATCC700331);シュードモナス・カリカパパヤエ(Pseudomonas caricapapayae)(ATCC33615);シュードモナス・チコリ(Pseudomonas cichorii)(ATCC10857);シュードモナス・フィクセレクタエ(Pseudomonas ficuserectae)(ATCC35104);シュードモナス・フスコバギナエ(Pseudomonas fuscovaginae);シュードモナス・メリアエ(Pseudomonas meliae)(ATCC33050);シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)(ATCC19310);シュードモナス・ビリジフラバ(Pseudomonas viridiflava)(ATCC13223);シュードモナス・サーモカルボキシドボランス(Pseudomonas thermocarboxydovorans)(ATCC35961);シュードモナス・サーモトレランス(Pseudomonas thermotolerans);シュードモナス・チベルバレンシス(Pseudomonas thivervalensis);シュードモナス・バンコウベレンシス(Pseudomonas vancouverensis)(ATCC700688);シュードモナス・ウイスコンシネンシス(Pseudomonas wisconsinensis);及びシュードモナス・キシアメネンシス(Pseudomonas xiamenensis)のプロテオバクテリア群として定義される。
【0153】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群17」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群17」は、例えば、以下のシュードモナス(Pseudomonas)種:シュードモナス・アゾトフォルマンス(Pseudomonas azotoformans);シュードモナス・ブレンネリ(Pseudomonas brenneri);シュードモナス・セドレラ(Pseudomonas cedrella);シュードモナス・コルガータ(Pseudomonas corrugata);シュードモナス・エクストレモリエンタリス(Pseudomonas extremorienialis);シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens);シュードモナス・ゲサルディ(Pseudomonas gessardii);シュードモナス・リバネンシス(Pseudomonas libanensis);シュードモナス・マンデリイ(Pseudomonas mandelii);シュードモナス・マルギナリス(Pseudomonas marginalis);シュードモナス・ミグラエ(Pseudomonas migulae);シュードモナス・ムシドレンス(Pseudomonas mucidolens);シュードモナス・オリエンタリス(Pseudomonas orientalis);シュードモナス・ロデシア(Pseudomonas rhodesiae);シュードモナス・シンキサンサ(Pseudomonas synxantha);シュードモナス・トラシイ(Pseudomonas tolaasii);及びシュードモナス・ベロニイ(Pseudomonas veronii)に属するものを含む「蛍光シュードモナス(fluorescent Pseudomonads)」として当分野で公知のプロテオバクテリアの群として定義される。
【0154】
この実施形態では、宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群18」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群18」は、例えば、以下(例示的な菌株のATCC又は他の寄託番号を括弧内に示す):次亜種1又は次亜種Iとも呼ばれるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型A(ATCC13525);次亜種2又は次亜種IIとも呼ばれるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型B(ATCC17816);次亜種3又は次亜種IIIとも呼ばれるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型C(ATCC17400);次亜種4又は次亜種IVとも呼ばれるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型F(ATCC12983);次亜種5又は次亜種Vとも呼ばれるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型G(ATCC17518);シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)次亜種VI;シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)Pf0−1;シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)Pf−5(ATCCBAA−477);シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)SBW25;及びシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)亜種セルローサ(cellulosa)(NCIMB10462)に属するものを含むシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)種のすべての亜種、変種、菌株及び他の亜種単位の群と定義される。
【0155】
宿主細胞は、「グラム(−)プロテオバクテリア亜群19」から選択され得る。「グラム(−)プロテオバクテリア亜群19」は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)生物型Aのすべての菌株の群として定義される。この生物型の特定の菌株は、P.フルオレッセンス(fluorescens)MB101株(Wilcoxに対する米国特許第5,169,760号を参照のこと)及びその誘導体である。その誘導体の例は、MB101染色体asd(アスパラギン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子)遺伝子座に、天然の大腸菌(E.coli)PlacI−lacI−lacZYA構築物(すなわち、PlacZが欠失したもの)を挿入することによって構築されたP.フルオレッセンス(fluorescens)MB214株である。
【0156】
本発明において使用され得るさらなるP.フルオレッセンス(fluorescens)株としては、以下のATCC名称を有する、シュードモナス・フルオレッセンス・ミグラ(Pseudomonas fluorescens Migula)及びシュードモナス・フルオレッセンス・ロイトキトク(Pseudomonas fluorescens Loitokitok)が挙げられる。
【化19】

【0157】
VI.シュードモナス(Pseudomonads)における可溶性組織化ウイルス様粒子のインビボ発現
1つの態様において、本発明は、宿主細胞において組織化された可溶性組換えウイルス様粒子をインビボ生産するための方法を提供し、その方法は:
(a)宿主細胞を提供すること;
(b)親水性最適化CP−ペプチド融合物をコードする単離された核酸を提供すること;
(c)その宿主細胞において、単離された核酸を発現させること(ここで、その細胞における発現は、親水性最適化CP−融合ペプチドを可溶性ウイルス様粒子にインビボにおいて組織化する);及び
(d)そのウイルス様粒子を単離すること
を包含する。
【0158】
1つの実施形態では、本方法は:e)組換えポリペプチドをキャプシドタンパク質から分離するために融合ペプチド産物を切断することをさらに包含し得る。本発明の1つの実施形態では、宿主細胞は、シュードモナス(Pseudomonad)細胞であり、特定の実施形態では、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である。1つの実施形態では、単離されたウイルス様粒子は、ワクチンストラテジーにおいて、ヒト又は動物に投与され得る。切断可能な連結配列は、ウイルスキャプシドタンパク質と組換えポリペプチドとの間に含められ得る。そのような配列を切断することができる薬剤の例としては、化学試薬、例えば酸(HCl、ギ酸)、CNBr、ヒドロキシルアミン(アスパラギン−グリシン用)、2−ニトロ−5−チオシアンベンゾエート、O−ヨードソベンゾエート及び酵素の薬剤、例えばエンドペプチダーゼ、エンドプロテアーゼ、トリプシン、クロストリパイン(clostripain)及びブドウ球菌性プロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
別の実施形態では、異なるタンパク質又はペプチド、例えばシャペロンタンパク質を発現するように設計されている第2の核酸が、可溶性融合ペプチドをコードする核酸と同時に発現され得る。
【0160】
本発明に有用な細菌宿主細胞、キャプシドタンパク質及び組換えポリペプチドは、上で述べた。
【0161】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも0.1g/Lのタンパク質を可溶性VLPの形態で生産する。別の実施形態では、本方法は、0.1〜10g/Lのタンパク質を可溶性VLPの形態で生産する。副実施形態(subembodiments)では、本方法は、少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0又は2.0超、例えば2.1、2.2、2.3、2.4、2.5又はそれ以上のg/Lのタンパク質を可溶性VLPの形態で生産する。1つの実施形態では、生産される全組換えタンパク質は、少なくとも1.0又は少なくとも2.0g/Lである。いくつかの実施形態では、生産されるVLPタンパク質の量は、生産される全組換えタンパク質の少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%又はそれ以上である。
【0162】
副実施形態では、生産される全可溶性VLPは、少なくとも約2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、15.0、20.0又は50.0g/Lであり得る。いくつかの実施形態では、可溶性組織化VLPとして生産されるVLPの量は、生産される全組換えタンパク質の少なくとも約5%、約10%、約15%、約20%、約25%又はそれ以上である。
【0163】
他の実施形態では、本方法は、全細胞タンパク質(tcp)の5、10、15、20、25、30、40又は50、55、60、65、70又は75%として組換えタンパク質を生産する。「パーセント全細胞タンパク質」は、細胞タンパク質総計のパーセンテージとしての、宿主細胞におけるタンパク質又はペプチドの量である。そのパーセント全細胞タンパク質の測定法は、当分野で周知である。
【0164】
特定の実施形態では、宿主細胞は、無機塩類培地中で増殖される(すなわち、約4℃以上約55℃以下の温度範囲内で)とき、少なくとも1%tcpという組換えペプチド、ポリペプチド、タンパク質又はそれらのフラグメントの発現レベル、及び少なくとも40g/Lの細胞密度を有し得る。特定の実施形態では、発現系は、少なくとも10リットルの発酵スケールの無機塩類培地中で増殖される(すなわち、約4℃以上約55℃以下の温度範囲内で)とき、少なくとも5%tcpという組換えタンパク質のペプチド発現レベル、及び少なくとも40g/Lの細胞密度を有し得る。
【0165】
発現レベル
本発明の方法は、宿主細胞において可溶性VLPの生産を最適に増加させる。あるいは、その生産の増加は、生産されるタンパク質1グラムあたり又は宿主タンパク質1グラムあたりの活性なタンパク質又はペプチドのレベルを上昇させ得る。生産の増加はまた、組換えタンパク質1グラムあたり又は宿主細胞タンパク質1グラムあたりの、生産される回収可能なタンパク質又はペプチドのレベルの上昇であり得る。生産の増加はまた、タンパク質の全レベルの上昇と、活性レベル又は可溶性レベルの上昇との任意の組み合わせであり得る。
【0166】
組換えタンパク質の発現の改善は、VLP内に被包されるタンパク質の発現を介するものであり得る。ある一定の実施形態では、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170又は少なくとも180コピーの目的のタンパク質又はペプチドが、各VLPにおいて発現され得る。VLPは生産されて、宿主細胞の細胞質、ペリプラズム又は細胞外培地から回収することができる。
【0167】
当該タンパク質又はペプチド又はウイルスキャプシドの配列はまた、1つ又はそれ以上の標的配列又は精製を補助する配列も含み得る。これらは、親和性タグ化され得、キャプシドタンパク質のVLPへの組織化を指示する標的配列でもあり得る。
【0168】
細胞増殖
シュードモナス(Pseudomonas)宿主細胞を含む細菌宿主細胞の上記ベクターによる形質転換は、当分野で公知の任意の形質転換の方法を用いて行われ得、細菌宿主細胞は、インタクトな細胞又はプロトプラスト(すなわち、細胞質体を含む)として形質転換され得る。例示的な形質転換の方法としては、ポレーション(poration)方法、例えば、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、細菌の接合及び二価陽イオン処理、例えば、塩化カルシウム処理若しくはCaCl/Mg2+処理、又は当分野において周知の他の方法が挙げられる。
【0169】
本明細書中で使用されるとき、用語「発酵」には、文字通りの発酵が用いられる実施形態と、他の非発酵性培養様式が用いられる実施形態との両方の実施形態が包含される。発酵は、任意のスケールで行われ得る。1つの実施形態では、発酵培地は、富栄養培地、最少培地及び無機塩類培地から選択され得る。別の実施形態では、最少培地又は無機塩類培地のいずれかが選択される。
【0170】
無機塩類培地は、無機塩類及び炭素供給源、例えば、グルコース、スクロース又はグリセロールからなる。無機塩類培地の例としては、例えば、M9培地、シュードモナス(Pseudomonas)培地(ATCC179)、Davis and Mingioli培地(B.D. Davis and E.S.Mingioli (1950)J. Bad. 60:17-28を参照のこと)が挙げられる。無機塩類培地を調製するために使用される無機塩類としては、例えば、リン酸カリウム、硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウム、硫酸マグネシウム又は塩化マグネシウム、並びに微量無機質、例えば、塩化カルシウム、ホウ酸カルシウム並びに鉄、銅、マンガン及び亜鉛の硫化物から選択されるものが挙げられる。有機性窒素供給源、例えばペプトン、トリプトン、アミノ酸又は酵母抽出物は、無機塩類培地に包含されない。代わりに、無機窒素供給源が使用され、これは、例えば、アンモニウム塩、アンモニア水溶液及び気体のアンモニアから選択され得る。1つの無機塩類培地は、炭素供給源としてグルコースを含む。無機塩類培地との比較において、最少培地は、無機塩類及び炭素供給源も含み得るが、例えば、低レベルのアミノ酸、ビタミン、ペプトン又は他の成分が補充され得るが、これらは、まさに最小レベルで加えられる。
【0171】
高細胞密度の培養は、バッチ法として開始し得、その後、2相流加培養が続き得る。バッチ部分において無限に増殖させた後、バイオマス濃度が数倍に増加し得る3倍加時間にわたって特定の低増殖速度で増殖を制御することができる。そのような培養手順のさらなる詳細は、D. Riesenberg, V. Schulz, W.A. Knorre, H.D. Pohl, D. Korz, E.A. Sanders, A. Ross, and W.D. Deckwer (1991)「High cell density cultivation of Escherichia coli at controlled specific growth rate」 J.Biotechnol. 20(1) 17-27に記載されている。
【0172】
本発明の発現系は、任意の発酵形式で培養され得る。例えば、バッチ、流加培養、半連続的発酵及び連続的発酵の様式が、本明細書中で用いられ得る。
【0173】
本発明の発現系は、任意のスケール(すなわち、容積)の発酵におけるトランス遺伝子発現に有用である。したがって、例えば、マイクロリットルスケール、センチリットルスケール及びデシリットルスケールの発酵容積が用いられ得;1リットルスケール及びそれよりも大きい発酵容積が使用され得る。1つの実施形態では、発酵容積は、1リットル又は1リットル超であり得る。別の実施形態では、発酵容積は、5リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、50リットル、75リットル、100リットル、200リットル、500リットル、1,000リットル、2,000リットル、5,000リットル、10,000リットル若しくは50,000リットル又はそれらより大きい容積であり得る。
【0174】
本発明では、形質転換された宿主細胞の増殖、培養及び/又は発酵は、宿主細胞の生存が可能な温度範囲内、例えば約4℃以上約55℃以下の範囲内の温度で行われる。したがって、例えば、用語「増殖」(及び「増殖する(grow)」、「増殖する(growing)」)、「培養する」(及び「培養」)及び「発酵」(及び「発酵する(ferment)」、「発酵する(fermenting)」)は、本発明の宿主細胞に関して本明細書中で使用されるとき、本質的に、約4℃以上約55℃以下の温度範囲内での「増殖」、「培養する」及び「発酵」を意味する。さらに「増殖」は、活発な細胞の分裂及び/又は肥大の生物学的状態と非分裂細胞及び/又は非肥大化細胞が代謝的に維持される生物学的状態との両方を指し示すために使用され、用語「増殖」の後者の使用は、用語「維持」と同義である。
【0175】
目的のタンパク質又はペプチドの単離
ある一定の実施形態では、本発明は、可溶性ウイルスキャプシドタンパク質との連結及び同時発現によって発現中にタンパク質又はペプチドを保護することにより、目的のタンパク質又はペプチドの回収を改善するための方法を提供する。ある一定の実施形態では、可溶性ウイルスキャプシド融合物は、細胞可溶化物から容易に分離され得る可溶性VLPをインビボにおいて形成する。
【0176】
ペリプラズムから組換えタンパク質を放出させるために、当分野で公知の任意の適当な方法を用いることができる。そのような方法の例としては、浸透圧ショック、ニワトリ卵白(HEW)−リゾチーム/エチレンジアミン四酢酸(EDTA)処理及びHEW−リゾチーム/浸透圧ショック処理の組み合わせが挙げられる。適当な手順は、浸透圧安定化培地中での最初の破壊、それに続く非安定化培地中の選択的放出を含み得る。これらの培地の組成(pH、保護剤)及び使用される破壊方法(クロロホルム、HEW−リゾチーム、EDTA、超音波処理)は、報告された特定の手順によって異なる。
【0177】
細胞質から組換えタンパク質を可溶性タンパク質又は屈折性粒子として回収するための方法は、機械的破壊による細菌細胞の分解を包含し得る。機械的破壊は、典型的には、液体の懸濁液中での局所キャビテーションの生成、硬質ビーズとの高速撹拌、超音波処理又は細胞懸濁液の粉砕を含む。
【0178】
HEW−リゾチームは、細胞壁のペプチドグリカン骨格を加水分解するように生化学的に作用する。これらの方法の多くの様々な変法が、多岐にわたる発現系において用いられており、当分野で公知である。
【0179】
本発明のタンパク質は、当分野で周知の標準的な手法によって実質的な純度に単離及び精製され得、その手法としては、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィ、ニッケルクロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、レクチンクロマトグラフィ、分取電気泳動、界面活性剤可溶化、カラムクロマトグラフィのような物質による選択的沈殿、免疫精製法などが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、確立された分子接着特性を有するタンパク質は、リガンドに可逆的に融合され得る。そのタンパク質は、適切なリガンドを用いて、精製カラムに選択的に吸着され、そして、比較的純粋な形態でカラムから遊離され得る。そして、融合タンパク質は、酵素活性によって取り出される。さらに、タンパク質は、イムノアフィニティーカラム又はNi−NTAカラムを用いて精製され得る。
【0180】
発現されたタンパク質の検出は、当分野で公知の方法によって達成され得、その検出としては、例えば、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング法又は免疫沈降が挙げられる。
【0181】
組換えタンパク質の分子量を用いることにより、様々なポアサイズの膜(例えば、Amicon又はMillipore膜)による限外濾過を用いて、より大きいサイズ及びより小さいサイズのタンパク質から組換えタンパク質が単離され得る。第1工程として、タンパク質混合物を、目的のタンパク質の分子量よりも低分子量のカットオフを有するポアサイズの膜で限外濾過する。次いで、限外濾過の貯留液(retentate)を目的のタンパク質の分子量よりも大きい分子カットオフの膜で限外濾過する。その組換えタンパク質は、膜を通過して濾液に入る。次いで、その濾液をクロマトグラフィに供する。
【0182】
組換えタンパク質はまた、リガンドに対するそのサイズ、正味の表面電荷、疎水性及び親和性に基づいて、他のタンパク質から分離され得る。さらに、タンパク質に対して惹起された抗体を、カラムマトリックスに抱合し、そのタンパク質を免疫精製することができる。これらの方法のすべてが、当分野で周知である。クロマトグラフィの手法が、任意のスケールで、及び多くの異なる製造者(例えば、Pharmacia Biotech)製の装置を用いて、行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0183】
活性なタンパク質又はペプチドの解析
活性なタンパク質は、その配列が由来する天然のタンパク質又はペプチドの活性の少なくとも20%、30%又は40%、少なくとも50%、60%又は70%又は少なくとも80%、90%又は95%という特定の活性を有し得る。さらに、基質特異性(kcat/K)は、必要に応じて、天然のタンパク質又はペプチドと実質的に類似している。典型的には、kcat/Kは、天然のタンパク質又はペプチドの少なくとも30%、40%若しくは50%;又は少なくとも60%、70%、80%又は90%であり得る。タンパク質及びペプチドの活性及び基質特異性(kcat/K)をアッセイし、その測定値を数量化する方法は、当業者に周知である。
【0184】
本発明に従って生産される組換えタンパク質又はペプチドの活性は、当分野で公知の任意のタンパク質特異的な従来の若しくは標準的なインビトロアッセイ又はインビボアッセイによって測定され得る。シュードモナス(Pseudomonas)が産生する組換えタンパク質又はペプチドの活性を、対応する天然のタンパク質の活性と比較することにより、その組換えタンパク質が、同じ又は同様の生理学的条件下で、天然のタンパク質又はペプチドにおいて通常観察される活性と実質的に類似又は等価な活性を示すか否かが判定され得る。
【0185】
組換えタンパク質の活性は、事前に確立されている天然のタンパク質又はペプチドの標準的な活性と比較され得る。あるいは、組換えタンパク質又はペプチドの活性は、天然のタンパク質又はペプチドとの、同時か、又は実質的に同時の比較アッセイにおいて測定され得る。例えば、インビトロアッセイを使用することにより、組換えタンパク質又はペプチドと標的との任意の検出可能な相互作用、例えば、発現される酵素と基質との相互作用、発現されるホルモンとホルモン受容体との相互作用、及び発現される抗体と抗原との相互作用を測定することができる。そのような検出としては、ゲル電気泳動法及び/又はゲル排除法、リン酸化能力、抗体特異性アッセイ、例えばELISAアッセイなどによって測定されるような、比色定量の変化、増殖の変化、細胞死、細胞反発(cell repelling)、放射能の変化、溶解性の変化、分子量の変化の測定が挙げられ得る。さらに、インビボアッセイとしては、天然のタンパク質又はペプチドの生理学的影響、例えば、体重増加、電解質均衡の変化、凝血時間の変化、血餅溶解の変化及び抗原反応の誘導と比較して、シュードモナス(Pseudomonas)が産生するタンパク質又はペプチドの生理学的影響を検出するアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
天然のタンパク質又はペプチドとの比較解析を可能にする、シュードモナス(Pseudomonas)が生産する組換えタンパク質又はペプチドの活性状態がアッセイ可能である限り、一般に、任意のインビトロアッセイ又はインビボアッセイを使用することにより、そのような活性な性質を測定することができる。あるいは、本発明において生産されるタンパク質又はペプチドは、タンパク質又はペプチドと、通常そのタンパク質又はペプチドと相互作用する分子、例えば、天然のタンパク質が通常相互作用する基質又はシグナル経路の成分との相互作用を刺激する能力又は阻害する能力についてアッセイされ得る。そのようなアッセイは、典型的には、タンパク質又はペプチドが標的分子と相互作用し、そしてそのタンパク質と標的分子との相互作用の生化学的な結果を検出することを可能にする条件下において、そのタンパク質を基質分子と混合するステップを包含し得る。
【実施例1】
【0187】
実施例1:シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)クローン化におけるコドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質の発現用の発現プラスミドのクローニング:
コドン最適化及び親水性(hybrophobicity)最適化されたCCMV CPヌクレオチド配列を設計した(配列番号3)。SpeI制限酵素認識部位、リボソーム結合部位、CP ORF及びXhoI制限酵素認識部位を含むCCMV−CPインサート(配列番号3)を、SpeI及びXhoIを用いてシャトルプラスミド(DNA2.0,Menlo Park,CA)から切り取る。そのインサートを1%アガロースゲルにおいてゲル精製し、ベクターpDow1169(pKK223−3(PL−Pharmacia)由来のRSF1010起点、pyrF、tacプロモーター及びrrnBT1T2ターミネーターを有する中程度のコピープラスミド)にライゲートし、それをSpeI、XhoIで消化し、アルカリホスファターゼ(New England Biolabs)で処理することにより、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)におけるCCMV CP発現用の発現プラスミド(配列番号23)を作製する。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin 6クロマトグラフィカラムによる精製後に、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換する。その形質転換体(tranformants)を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート上に置く。そのインサートの存在は、シングルコロニーから単離されたプラスミドDNAの制限酵素消化(restriction digest)及び配列決定によって確かめられる。
【0188】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)における発現用の、SpeI、XhoI部位に挿入されたCCMV CPを有するベクターpDow1169の核酸配列(配列番号23):
【化20−1】

【化20−2】

【化20−3】

【化20−4】

【化20−5】

【化20−6】

【化20−7】

【0189】
タンパク質発現:
単一の形質転換体を50mlのM9グルコース培地に接種し、一晩増殖させる。200mlの振盪フラスコ培地に接種するために、3.0〜5.0OD600のP.フルオレッセンス(fluorescens)培養物を使用する。振盪フラスコ培養物を、30℃において300rpmで振盪しながら一晩インキュベートする。15.0〜20.0OD600の一晩培養物を300μM イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導する。
【実施例2】
【0190】
実施例2:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質のループへの制限酵素認識部位の導入
Quikchange II−XL(Stratagene,TX)を製造者のプロトコルに従って用いて、部位特異的突然変異誘発反応を行う。コドンが最適化されたCCMV−CP(配列番号23)を有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミドは、鋳型として機能する。導入された制限酵素認識部位を有する、得られたプラスミドを、Micro Bio−spin6による精製後に、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換する。実施例1に記載したようにタンパク質発現を行う。
【化21】

【実施例3】
【0191】
実施例3:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質の129表面ループに融合されたインフルエンザワクチンM2eペプチドの、制限酵素消化に基づいたクローニング及び発現
ペプチド合成:
以下に詳述される温度サイクリングプログラムを用いて、以下に記載されるDNAオリゴヌクレオチドを重複させることによって上記インサートを合成する:
【表5】

【0192】
PCR産物をQiaquick(登録商標)PCR精製キット(Qiagen)で精製し、XbaI(NEB)で消化し、そしてQiaquick(登録商標)キットで再度精製した後、129ループ(実施例2からのもの)内にXbaI制限酵素認識部位を含む、XbaIで制限酵素消化されたCCMV CP P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクターに、T4 DNAリガーゼ(NEB)を用いてライゲートする。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後に、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換する。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置く。そのプレートを30℃で48時間インキュベートする。そのインサートの存在は、制限酵素消化及び配列決定によって確かめられる。実施例1に記載したようにタンパク質発現を行う。
【化22】

【実施例4】
【0193】
実施例4:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質の129表面ループに融合されたインフルエンザワクチンM2eペプチドの、SOE(重複伸長によるスプライシング)に基づいたクローニング及び発現
ステップ1:コドン最適化CCMV−CPを有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミド(配列番号23)をPCR鋳型として使用する。反応1(図10を参照のこと)は、プライマーCoop−CCMV−F及びPCP−CCMV129−SOE−Rプライマーを使用する。反応2は、プライマーCoop−CCMV−R及びPCP−CCMV129−SOE−Fを使用する。PCRは、上に記載した温度サイクリングプロトコルに従って行われる。
ステップ2:反応1及び2からの産物をPCR鋳型として使用する。Coop−CCMV−F及びCoop−CCMV−Rプライマーを使用することにより、最終的なPCR産物を増幅する。
【0194】
そして、最終的なPCR産物をSpeI及びXhoIで消化し、P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクターpDow1169のSpeI及びXhoIにサブクローニングする。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株に形質転換する。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置く。そのプレートを30℃で48時間インキュベートする。そのインサートの存在は、制限酵素消化及び配列決定によって確かめられる。実施例1に記載したようにタンパク質発現を行う。
【化23】

【実施例5】
【0195】
実施例5:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質における二重表面ループ63及び129におけるインフルエンザワクチンM2e−1ペプチドの、制限酵素消化に基づいたクローニング及び発現
クローニング:
平滑切断制限酵素認識部位AfeIを、コドン最適化CCMVキャプシドタンパク質遺伝子を有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミドの表面ループ63に、実施例2及び3に記載したような129表面ループにおいて融合された単量体M2e−1とともに導入する。AfeI制限酵素認識部位を、プライマーCCMV−AfeI−63−F(配列番号24)及びCCMV−AfeI−63−R(配列番号25)を用いて導入する。M2e−1をPCRにより合成する。平滑末端のM2e−1DNAフラグメントを合成するプライマーは、以下である。
【化24】

【0196】
記載したようにPCR合成を行うが、平滑末端を作製するためにTaqポリメラーゼの代わりにPfu Turboポリメラーゼを用いて行う。次いで、M2e−1PCRフラグメントをDNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントで処理することにより、平滑末端M2e−1DNAインサートを得る。次いで、そのインサートを、表面ループ63内のAfeI制限酵素認識部位を有するCCMV CP発現プラスミドに、AfeIで制限した後、ライゲートする。得られたライゲーション産物を、Micro Bio−spin6で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換する。その二重インサートの存在及び完全性は、制限酵素消化及び配列決定によって確かめられる。実施例1に記載したようにタンパク質発現を行う。
【実施例6】
【0197】
実施例6:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質に融合された炭疽ワクチンペプチドPA1の、SOEに基づいたクローニング及び発現
【化25】

ステップ1:コドン最適化CCMV−CP(配列番号23)を有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミドをPCR鋳型として使用した。Coop−CCMV−F及びPA1−129−SOE−Rプライマーを反応1において使用した。Coop CCMV−R及びPA1−129−SOE−Fプライマーを反応2において使用した。上に記載した温度サイクリングプロトコルに従ってPCRを行った。
ステップ2;反応1及び2からのPCR産物をこの反応のためのPCR鋳型として使用した。Coop−CCMV−F及びCoop−CCMV−Rプライマーを使用して、最終的なPCR産物を増幅した。
【0198】
そして、最終的なPCR産物をSpeI及びXhoIで消化し、P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクターpDow1169のSpeI及びXhoIにサブクローニングした。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株に形質転換した。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置いた。そのプレートを30℃で48時間インキュベートした。そのインサートの存在を、制限酵素消化及び配列決定によって確かめた。タンパク質発現を、上に記載したように行った。P.フルオレッセンス(fluorescens)における、CCMVキャプシドタンパク質に融合された可溶性炭疽ワクチンペプチドPA1の発現を図9に示す。
【実施例7】
【0199】
実施例7:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質に融合された炭疽ワクチンペプチドPA1の、制限酵素消化に基づいたクローニング及び発現
【化26】

上に記載したクローニング手法を用い、プライマーPA1−129−XbaI−F及びPA1−129−XbaI−Rを用いるPCRによってPA1 DNAインサートを合成する。そのPCR産物をQiaquick PCR精製キット(Qiagen)で精製し、XbaI(NEB)で消化し、そしてQiaquickキットで再度精製した後、129ループ(実施例2からのもの)内にXbaI制限酵素認識部位を含む、XbaIで制限酵素消化されたCCMV CP P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクターに、T4 DNAリガーゼ(NEB)を用いてライゲートする。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換する。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置く。そのプレートを30℃で48時間インキュベートする。そのインサートの存在は、制限酵素消化及び配列決定によって確かめられる。実施例1に記載したようにタンパク質発現を行う。
【化27】

【実施例8】
【0200】
実施例8:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質に融合された炭疽ワクチンペプチドPA4の、制限酵素消化に基づいたクローニング及び発現
【化28】

上に記載したクローニング手法を用い、プライマーPA4−129−XbaI−F及びPA4−129−XbaI−Rを用いるPCRによってPA4 DNAインサートを合成する。上に記載したようにタンパク質発現を行う。
【化29】

【実施例9】
【0201】
実施例9:コドン最適化及び親水性最適化されたCCMVキャプシドタンパク質に融合された炭疽ワクチンペプチドPA4の、SOEに基づいたクローニング及び発現
【化30】

ステップ1:コドンが最適化されたCCMV−CP(配列番号23)を有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミドをPCR鋳型として使用した。Coop−CCMV−F及びPA4−129−SOE−Rプライマーを反応1において使用した。Coop CCMV−R及びPA4−129−SOE−Fプライマーを反応2において使用した。上に記載した温度サイクリングプロトコルに従ってPCRを行った。
ステップ2:反応1及び2からのPCR産物をこの反応のためのPCR鋳型として使用した。Coop−CCMV−F及びCoop−CCMV−Rプライマーを使用して、最終的なPCR産物を増幅した。
【0202】
そして、最終的なPCR産物をSpeI及びXhoIで消化し、P.フルオレッセンス(fluorescens)発現ベクターpDow1169のSpeI及びXhoIにサブクローニングした。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株に形質転換した。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置いた。そのプレートを30℃で48時間インキュベートした。そのインサートの存在を、制限酵素消化及び配列決定によって確かめた。タンパク質発現を、実施例1に記載したように行った。
【実施例10】
【0203】
実施例10:P.フルオレッセンス(fluorescens)における、コドンが最適化されておらず親水性最適化されたCCMVコートタンパク質の発現
【化31】

上記プライマーを用いるCCMV RNA3プラスミド(pCC3)からのPCRにより、CCMVコートタンパク質を増幅した。以下のプロトコルを用いてPCRを行った:
【表6】

【0204】
PCR産物をQiaquickPCR精製キット(Qiagen)で精製し、SpeI及びXhoI(NEB)で消化し、そして再度精製した後、XbaIで制限酵素消化されたCCMV CP発現ベクターに、T4 DNAリガーゼ(NEB)を用いてライゲートした。ライゲーション産物を、Micro Bio−spin6クロマトグラフィカラム(Biorad)で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株に形質転換した。その形質転換体を、LB培地中30℃で2時間振盪した後、M9グルコースプレート(Teknova)上に置いた。そのプレートを30℃で48時間インキュベートした。そのインサートの存在を、制限酵素消化及び配列決定によって確かめた。タンパク質発現を、実施例1に記載したように行った。
【0205】
親水性最適化CCMVコートタンパク質は、ほぼ可溶性であり(図5)、それは、親水性最適化されていないCCMVコートタンパク質の発現(図4)と全く対照的であった。親水性最適化されていないCCMV CP発現プラスミドを図1に示す。可溶性の親水性最適化CCMVコートタンパク質をPEG沈殿及びスクロース密度勾配によって精製し(図6を参照のこと)、電子顕微鏡によって像を取得した(図7を参照のこと)。
【実施例11】
【0206】
実施例11:P.フルオレッセンス(fluorescens)におけるコドンが最適化されていない可溶性CCMV−PA1の発現
CCMV129−PA1は、PA1インサートに隣接するBamHI制限酵素認識部位(強調している部分)を有する:
【化32】

【0207】
この構築物は、ほぼ不溶性のCCMV−PA1タンパク質をもたらした(図8)。
【化33】

上記プライマーを用いる部位特異的突然変異誘発によってBamHI部位を除去した。Quikchange II−XL(Stratagene,TX)を製造者のプロトコルに従って使用して、部位特異的突然変異誘発反応を行った。コドンが最適化されていないCCMV−PA1を有するP.フルオレッセンス(fluorescens)発現プラスミドは、鋳型として機能した。得られたプラスミドを、Micro Bio−spin6で精製した後、エレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株(ΔpyrF RXF01414(lsc)::lacIq1)に形質転換した。欠失を配列決定により確かめた。次いで、そのプラスミドは、以下のプライマーを用いる3’BamHI欠失のための鋳型として機能した。
【化34】

【0208】
得られたプラスミドを、上に記載したようにP.フルオレッセンス(fuorescens)DC454に形質転換した。欠失を配列決定により確かめた。
【0209】
タンパク質発現:
単一の形質転換体を50mlのM9グルコース培地に接種し、一晩増殖させた。3.0〜5.0OD600のP.フルオレッセンス(fluorescensf)培養物を使用して、200mlのDow専売振盪フラスコ培地に接種した。振盪フラスコ培養フラスコを、30℃において300rpmで振盪しながら一晩インキュベートした。15.0〜20.0OD600の一晩培養物を300μM イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導した。誘導の24時間後に培養物を回収した。可溶性CCMV−PA1コートタンパク質の発現を図9に示す。
【実施例12】
【0210】
実施例12:P.フルオレッセンス(fluorescens)におけるコドンが最適化されていない可溶性CCMV−PA4の発現
CCMV129−PA4は、PA4インサートに隣接するBamHI制限酵素認識部位(強調している部分)を有する:
【化35】

【0211】
この構築物は、ほぼ不溶性のCCMV−PA4タンパク質をもたらした。親水性を増大させるために、以下のプライマーを用いる部位特異的突然変異誘発によってBamHI部位を除去した。
【化36】

Quikchange II−XL(Stratagene,TX)を製造者のプロトコルに従って使用し、コドンが最適化されていないPA4を有するCCMVを鋳型として用いて、部位特異的突然変異誘発反応を行った。5’BamHI制限酵素認識部位が欠失した得られたプラスミドを精製後にエレクトロポレーションによってP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454株に形質転換し、次いで、それは、以下のプライマーを用いる3’BamHI欠失のための鋳型として機能した。
【化37】

【0212】
得られたプラスミドを上に記載したようにP.フルオレッセンス(fluorescens)DC454に形質転換した。欠失を配列決定により確かめた。タンパク質発現を実施例1に記載したように行った。親水性最適化CCMV−PA4コートタンパク質は、ほぼ可溶性だった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主細胞において、可溶性組織化組換えウイルス様粒子をインビボ生産するための方法であって:
宿主細胞を提供すること;
親水性最適化コートタンパク質−ペプチド融合物をコードする、単離された核酸を提供すること;
前記宿主細胞において前記単離された核酸を発現させることであって、ここで、前記細胞における前記発現は、前記親水性最適化CP−融合ペプチドの、可溶性ウイルス様粒子へのインビボ組織化をもたらすこと;及び
前記ウイルス様粒子を単離すること
を含む、方法。
【請求項2】
親水性最適化コートタンパク質−ペプチド融合物をコードする単離された核酸を提供することが、インビトロにおいて:
少なくとも1つの抗原ペプチドインサートを含む少なくとも1つの第1ウイルスキャプシド融合ペプチド;と
少なくとも1つの抗原ペプチドインサートを含む少なくとも1つの第2ウイルスキャプシド融合ペプチド
とを混合することを含み、ここで、前記少なくとも1つの第2ウイルスキャプシド融合ペプチドは、前記第1ウイルスキャプシド融合ペプチド中に存在しない少なくとも1つの抗原ペプチドインサートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2ウイルスキャプシド融合ペプチドのウイルスキャプシドが、二十面体ウイルスのアミノ酸配列に由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記二十面体ウイルスが、ササゲクロロティックモトルウイルスである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記親水性最適化コートタンパク質−ペプチドが、二十面体ウイルスのアミノ酸配列に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二十面体ウイルスが、ササゲクロロティックモトルウイルスである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記親水性最適化コートタンパク質−ペプチドが、配列番号1に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
親水性最適化コートタンパク質−ペプチド融合物をコードする、単離された核酸を提供することが、前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位に、改変されたアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸が、前記アミノ酸の除去によって改変される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
63位及び129位の挿入部位において除去される前記アミノ酸が、アルギニン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン及びロイシンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コートタンパク質が、ササゲクロロティックモトルウイルスコートタンパク質を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸が、部位特異的突然変異誘発によって改変される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする前記単離された核酸が、オーバーラップ伸長法に基づいた技術によるスプライシングを用いて改変される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸が、低親水性のアミノ酸をコードするコドンを、高親水性値を有するアミノ酸で置換することによって改変される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記融合ペプチド生成物を切断することにより、前記キャプシドタンパク質から組換えポリペプチドを分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記宿主細胞が、細菌宿主細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記宿主細胞が、ガンマプロテオバクテリア(Gamma Proteobacterial)宿主である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞が、シュードモナス(Pseudomonad)細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞が、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
宿主細胞において、可溶性組織化組換えウイルス様粒子をインビボ生産するための方法であって:
シュードモナス(Pseudomonas)宿主細胞を提供すること;
親水性最適化CP−融合ペプチドを形成するために、ササゲクロロティックモトルウイルス(CCMV)コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位に、改変されたアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸を提供すること;
前記シュードモナス(Pseudomonas)宿主細胞において前記単離された核酸を発現させることであって、ここで、前記細胞における前記発現は、前記親水性最適化CP−融合ペプチドの、可溶性ウイルス様粒子へのインビボ組織化をもたらすこと;及び
前記ウイルス様粒子を単離すること
を含む、方法。
【請求項21】
前記宿主細胞が、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする前記単離された核酸が、部位特異的突然変異誘発によって改変される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする前記単離された核酸が、オーバーラップ伸長法に基づいた技術によるスプライシングを用いて改変される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位にアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする前記単離された核酸が、前記アミノ酸の除去を介して改変される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法に従って作製された、可溶性組織化組換えウイルス様粒子(VLP)を含む、シュードモナス(Pseudomonad)細胞。
【請求項26】
請求項1に記載の方法に従って作製された、可溶性組織化組換えウイルス様粒子。
【請求項27】
コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位に、改変されたアミノ酸を有するコートタンパク質ペプチドをコードする単離された核酸を含む、ウイルス様粒子。
【請求項28】
前記アミノ酸配列が、二十面体ウイルスのアミノ酸配列由来である、請求項27に記載のウイルス様粒子。
【請求項29】
前記二十面体ウイルスが、ササゲクロロティックモトルウイルスである、請求項28に記載のウイルス様粒子。
【請求項30】
前記単離された核酸が、コートタンパク質構築物の63位及び129位の挿入部位におけるアミノ酸が除去されるコートタンパク質ペプチドを含む、請求項27に記載のウイルス様粒子。
【請求項31】
63位及び129位の挿入部位において除去される前記アミノ酸が、アルギニン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン及びロイシンを含む、請求項30に記載のウイルス様粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−524508(P2010−524508A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506546(P2010−506546)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/061683
【国際公開番号】WO2009/014782
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】