説明

可燃性長尺体貫通部の防火処理部材及び防火処理方法

【課題】防火性能をより向上させた可燃性長尺体貫通部の防火処理部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る防火処理部材は、円筒状に組み合わされるプラスチック製の半割円筒部材3と、この半割円筒部材3の内周に取り付けられた熱膨張性耐火材シート5と、半割円筒部材3の軸線方向の一端側に取り付けられてフランジ状に組み合わされる金属製の半割フランジ部材7とを備えている。半割フランジ部材は防火区画体への固定部であるビス穴39を有している。半割円筒部材3の軸線方向の一端側の外周には突縁9が形成され、半割フランジ部材7の内周部には前記突縁9を抱持する抱持片33が複数形成されており、抱持片33で突縁9を抱持することにより、半割フランジ部材7が半割円筒部材3の軸線方向の一端側に着脱可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線、ケーブルやプラスチック管などの可燃性長尺体が、建築物の壁や床などの防火区画体を貫通する部分の防火処理部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の防火処理部材としては、円筒状に組み合わされるプラスチック製の半割円筒部の一端に半割フランジ部を一体に形成し、前記半割円筒部材の内周に熱膨張性耐火材シートを取り付けたものが公知である(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−341649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の防火処理部材には次のような問題がある。すなわち、半割円筒部、半割フランジ部とも熱で溶融・燃焼するプラスチック製であり、防火区画体の穴に挿入するだけの取付け方式であるため、火災により熱膨張性耐火材シートが熱膨張すると、その膨張圧力により、膨張した耐火物(炭化物)や膨張前の耐火材シートの一部が穴の外に押し出されて落下するおそれがあり、防火性能の低下が懸念される。
【0005】
また、防火区画体の穴が大きく、厚さが薄い場合には、火災時に熱膨張性耐火材シートが十分に膨張するまでの間に、煙や炎が穴を通り抜けてしまうおそれもある。
【0006】
さらに、防火区画体の表面に凹凸がある場合には、フランジ部が防火区画体の表面から浮いてしまい、両者間に隙間ができるため、この場合も熱膨張性耐火材シートの膨張前に煙や炎が穴を通り抜けてしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、防火性能をより向上させた可燃性長尺体貫通部の防火処理部材と、それを用いた防火処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る可燃性長尺体貫通部の防火処理部材は、円筒状に組み合わされるプラスチック製の半割円筒部材と、この半割円筒部材の内周に取り付けられた熱膨張性耐火材シートと、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側に取り付けられてフランジ状に組み合わされる金属製の半割フランジ部材とを備え、前記半割フランジ部材は防火区画体への固定部を有していることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る防火処理部材において、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側の外周には突縁が形成され、前記半割フランジ部材の内周部には前記突縁を抱持する抱持片が複数形成されており、前記抱持片で前記突縁を抱持することにより、半割フランジ部材が半割円筒部材の軸線方向の一端側に取り付けられるようになっていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る防火処理部材において、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側の内周には、前記突縁の軸線方向の先端縁より引っ込んだ位置に、内向きにパテ受け板が形成され、このパテ受け板と前記突縁の内周面とで耐熱パテを収容するパテ受け凹部が形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る防火処理部材において、前記半割フランジ部材の外周部は、防火区画体側に向けて折り曲げられていることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る防火処理部材において、前記半割円筒部材の防火区画体への固定部は、半割フランジ部材をフランジ状に組み合わせたときに周方向の両端部の互いに重ね合わされる位置に形成されたビス孔であることが好ましい。
【0013】
前記ビス孔は、前記半割フランジ部材の径方向の幅の中央よりも外側に配置されていることによって、防火区画体に防火処理部材を安定して固定することができる。
【0014】
また、本発明に係る可燃性長尺体貫通部の防火処理方法は、防火区画体に形成された穴を、可燃性長尺体が貫通する部分の防火処理方法である場合には、軸線方向の一端側にパテ受け凹部が形成されたプラスチック製半割円筒部材の内周に熱膨張性耐火材シートを取り付けると共に、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側に金属製半割フランジ部材を周方向から挿入し、回転させながら取り付けてなる防火処理部材を、二つ筒状に組み合わせて前記可燃性長尺体を包囲し、筒状に組み合わされた半割円筒部材を前記防火区画体の穴に挿入すると共に、半割フランジ部材を防火区画体に固定した後、前記可燃性長尺体の周りのパテ受け凹部に耐熱パテを詰めることを特徴とするものである。
ここで、金属製半割フランジ部材を回しながら取り付ける構造とすることで、半割円筒部材と金属製半割フランジ部材の接続性が良く、容易に取り外しができない構造となり、強度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係る可燃性長尺体貫通部の防火処理方法は、防火区画体を貫通した状態で当該防火区画体に固定された金属管を、可燃性長尺体が貫通する部分の防火処理方法である場合には、軸線方向の一端側にパテ受け凹部が形成されたプラスチック製半割円筒部材の内周に熱膨張性耐火材シートを取り付けてなる防火処理部材を、二つ筒状に組み合わせて前記可燃性長尺体を包囲し、筒状に組み合わされた半割円筒部材を前記パテ受け凹部が外端側に位置するように前記金属管の端部に挿入した後、前記可燃性長尺体の周りのパテ受け凹部に耐熱パテを詰めることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る防火処理部材を使用すると、火災が発生した場合には、その熱でプラスチック製の半割円筒部材が溶融・燃焼し、熱膨張性耐火材シートが熱膨張を阻害されることなく膨張して耐火材(炭化物)となって穴内の空隙を塞ぎ、一方、金属製の半割フランジ部材は防火区画体に固定されていて溶融・燃焼することがないので、熱膨張性耐火材シートの膨張圧力によって熱膨張した耐火材や熱膨張前の耐火材シートの一部が穴の外に押し出されるのを抑制することができる。したがって安定した耐火性能を確保することができる。なお、半割フランジ部材の材質は鉄又は鋼であることが望ましい。
【0017】
また、半割円筒部材の端部外周に突縁を形成し、この突縁を半割フランジ部材の内周部に形成した抱持片で抱持する構成とすれば、半割フランジ部材を半割円筒部材の一方の端部に簡単に着脱可能に取り付けることができる。
【0018】
また、半割円筒部材の軸線方向の一端側にパテ受け凹部を形成しておき、設置後に、可燃性長尺体の周りのパテ受け凹部に耐熱パテを詰めるようにすれば、熱膨張性耐火材シートが熱膨張する前に、炎や煙が通り抜けるのを防止することができ、防火性能をより向上させることができる。
【0019】
また、パテ受け板は、カッターナイフで切り取れる程度の厚さにしておけば、可燃性長尺体の量や布設状況に応じて、パテ受け板の形を容易に修正することができる。
【0020】
また、半割フランジ部材の外周部を、防火区画体側に向けて折り曲げておけば、防火区画体の表面に凸凹がある場合でも、半割フランジ部材の外周部が防火区画体の表面に当接しやすくなるので、これによっても熱膨張性耐火材シートが熱膨張する前に、炎や煙が通り抜けるのを防止することができると共に、熱膨張した耐火材が膨張圧力により穴内から外部に押し出されるのを防止することができる。
【0021】
また、半割フランジ部材を半割円筒部材に対し着脱可能にしておけば、防火区画体に固定された金属管を可燃性長尺体が貫通する部分では、半割フランジ部材を使用せずに、防火処理を行えばよいので、金属管用の防火処理部材を別に用意する必要がなく、工事の準備が簡単になると共に、工事を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明に係る可燃性長尺体貫通部の防火処理部材の一実施形態を示す。防火処理部材1は、二つ1組で使用するもので、それぞれ、円筒状に組み合わされるプラスチック製の半割円筒部材3と、この半割円筒部材3の内周に取り付けられた熱膨張性耐火材シート5と、前記半割円筒部材3の軸線方向の一端側に取り付けられてフランジ状に組み合わされる金属製の半割フランジ部材7とから構成されている。
【0023】
半割円筒部材3の軸線方向の一端側の外周には、図2に示すように、断面三角形の突縁9が周方向に連続して形成されている。この突縁9は半割フランジ部材7を取り付ける部分である。また、半割円筒部材3の軸線方向の一端側の内周には、前記突縁9の軸線方向の先端縁より少し引っ込んだ位置に、内向きにパテ受け板11が形成されている。このパテ受け板11と前記突縁9の内周面とは、半割円筒部材3の一端側にパテ受け凹部13を形成している。パテ受け板11は、カッターナイフで切り取れる程度に薄く形成されている。これは、パテ受け板11の内周縁の輪郭を、可燃性長尺体全体の断面外形などに合わせて、施工現場で修正できるようにするためである。
【0024】
また、半割円筒部材3の軸線方向の他端側の内周には、内向きに半円壁15が形成されている。この半円壁15は、半割円筒部材3の内周面及び前記パテ受け板11と共に、熱膨張性耐火材シート5の収容凹部17を形成している。熱膨張性耐火材シート5は平坦なシートであるが、図3のように、半円形に湾曲させた状態で前記収容凹部17に収容される。半円壁15及びパテ受け板11には、熱膨張性耐火材シート5を収容凹部17内に安定に保持するための押さえ片19が形成されている。また、半割円筒部材3には、熱膨張性耐火材シート5が半割円筒部材3の外周側へも熱膨張できるように複数の開口21が形成されている。図4は、半割円筒部材3の収容凹部17に熱膨張性耐火材シート5を収容して状態を示す。
【0025】
さらに、半割円筒部材3の周方向の一端側には係止突起23及びガイド片25が形成され、他端側には係止凹部27及びガイド溝29が形成されている。これらの係止突起23と係止凹部27、ガイド片25とガイド溝29は、二つの半割円筒部材3を円筒状に組み合わせるときの結合手段である。また、半割円筒部材3の外周面の周方向の中央部には、半割円筒部材3の軸線方向の他端側から一端側に行くに従い徐々に高さが高くなるテーパービード31が形成されている。このテーパービード31は、半割円筒部材3を半割フランジ部材7と分離した状態で使用するときの、抜け止め部となる部分である。
【0026】
一方、半割フランジ部材7の内周部には、図5に示すように、半割円筒部材3の突縁9を抱持する抱持片33が、周方向に適当な間隔をおいて複数(図示の例では二つ)形成されている。半割円筒部材3の一端側に半割フランジ部材7を図1のように取り付けるには、半割円筒部材3の突縁9を、図5(C)のように抱持片33内に周方向から挿入して、半割円筒部材3と半割フランジ部材7を相対的に周方向に回転させればよい。取外しも同様に行えばよいので、半割フランジ部材7の半割円筒部材3への着脱は極めて簡単である。
【0027】
また、半割フランジ部材7の外周部35は、図5(B)に示すように裏側(防火区画体側)に向けて折り曲げられている。このようにすれば、防火区画体の表面の凹凸があっても、それにほとんど影響されずに、半割フランジ部材7の外周縁だけを確実に防火区画体の表面に当接させることができる。このため、熱膨張性耐火材シートが熱膨張する前に、炎や煙が防火区画体の穴を通り抜けるのを防止することができる。
【0028】
また、半割フランジ部材7の周方向の幅は、取り付ける際の強度を保つため、ある程度以上の長さが必要となる。例えば、防火区画体の穴の開口径がφ100mmである場合、半割フランジ部材7の径方向の幅は、強度を保つためには、25mm以上にすることが望ましい。
【0029】
また、半割フランジ部材7の周方向の一端側には、二つの半割フランジ部材7を円形フランジ状に組み合わせたときに、相手方の半割フランジ部材に重ね合さるラップ片37が突設されている。さらに、このラップ片37と、相手方の半割フランジ部材のラップ片37が重ね合わされる位置には、ビス孔39が形成されている。円形フランジ状に組み合わされた二つの半割フランジ部材7は、このビス穴39に通したビスで一括して防火区画体に固定される(後述)。
【0030】
また、半割フランジ部材7の周方向の他端側には、二つの半割フランジ部材7を円形フランジ状に組み合わせたときに、ラップ片37の干渉を避ける逃げ部41と、相手方の周方向の端面に突き当たる凸部43が形成されている。このようにすると、二つの半割フランジ部材7を円形フランジ状に組み合わせたときのガタツキを防止することができる。
【0031】
以上のように構成された、半割円筒部材3と、熱膨張性耐火材シート5と、半割フランジ部材7は、半割円筒部材3の内周に熱膨張性耐火材シート5を取り付け、半割円筒部材3の軸線方向の一端側に半割フランジ部材7を取り付けることで、図1に示すような防火処理部材1を構成する。
【0032】
次に、図1の防火処理部材1を用いた、可燃性長尺体貫通部の防火処理方法を、図6〜図10を参照して説明する。まず図6に示すように、建築物の壁などの防火区画体45に形成された穴47を可燃性長尺体(電線・ケーブルやプラスチック製電線管など)49が貫通する部分で、可燃性長尺体49の両側に防火処理部材1を配置する。次に二つの半割円筒部材3を、前記係止突起23と係止凹部27を結合させることにより、図7のように円筒状に組み合わせ、可燃性長尺体49を包囲する。これにより、半割フランジ部材7も円形フランジ状に組み合わされた状態となる。このあと、円筒状に組み合わされた半割円筒部材3を穴47に挿入し、半割フランジ部材7の外周縁を防火処理部材45の表面に当接させる。
【0033】
次に図8に示すように半割フランジ部材7のビス穴39にビス51を挿入し、防火区画体45にねじ込んで、二つの半割フランジ部材7を一括して防火区画体45に固定する。このあと、半割円筒部材3の端部に露出しているパテ受け凹部13に、図9に示すように耐熱パテ53を詰め込み、可燃性長尺体49の周りの隙間を塞ぐ。
【0034】
以上の工程を経て、図10に示す防火処理構造が完成する。この防火処理構造は、火災が発生した場合、その熱でプラスチック製の半割円筒部材3が溶融・燃焼し、熱膨張性耐火材シート5が熱膨張を阻害されることなく膨張して耐火材(炭化物)となって穴47内の空隙を塞ぎ、一方、金属製の半割フランジ部材7は防火区画体45に固定されていて溶融・燃焼することがないので、熱膨張性耐火材シート5の膨張圧力によって熱膨張した耐火材や熱膨張前の耐火材シートの一部が穴47の外に押し出されるのを抑制する。また耐熱パテ53は、熱膨張性耐火材シート5が熱膨張する前に、炎や煙が穴47を通り抜けるのを防止する。したがって安定した耐火性能を確保することができる。
【0035】
図11は、図1の防火処理部材1を用いた、可燃性長尺体貫通部の防火処理方法の他の実施形態を示す。この実施形態は、防火区画体45を貫通する金属管55が当該防火区画体45に固定されており、この金属管45を可燃性長尺体49が貫通する部分の防火処理方法である。この方法では、図1の半割フランジ部材7を取り外した状態の半割円筒部材3を使用する。すなわち、図4に示すように、軸線方向の一端側にパテ受け凹部13が形成されたプラスチック製半割円筒部材3の内周に熱膨張性耐火材シート5を取り付けたものを防火処理部材として使用する。
【0036】
まず、内周面に熱膨張性耐火材シート5を取り付けた半割円筒部材3を二つ筒状に組み合わせて可燃性長尺体49を包囲し、筒状に組み合わされた半割円筒部材3を、前記パテ受け凹部13が外端側に位置するように金属管55の端部に挿入する。金属管55の端部には予め、管端による損傷防止用のブッシング57が取り付けられており、このブッシング57の金属管端面部の内径は金属管55の内径より若干小さく設定されている。半割円筒部材3の外周面に形成されたテーパービード31(図1、図2参照)は、このブッシング57の金属管端面部にきつく押し込まれ、半割円筒部材3の抜け止めとして機能する。このあと、可燃性長尺体49の周りのパテ受け凹部13に耐熱パテ53を詰めれば、図11のような防火処理構造が完成する。
【0037】
既設の建築物の中には、図6に示すように防火区画体45に形成された穴47を可燃性長尺体49が貫通する部分と、図11に示すように防火区画体45に貫通固定された金属管55を可燃性長尺体45が貫通する部分とが混在していることが多い。上記2種類の貫通部は防火処理の施工形態が全く異なるため、従来は、既設の建築物の改修工事を行う場合、2種類の防火処理部材を持ち込む必要があり、工事準備に手間がかかったが、本発明に係る防火処理部材は、上記2種類の可燃性長尺体貫通部に対応できるため、工事の合理化を図ることができる。
【0038】
なお、図11の実施形態では、金属管55の両端部に防火処理を施す場合を示したが、金属管の一方の端部のみに防火処理を施す構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る可燃性長尺体貫通部の防火処理部材の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の防火処理部材の半割円筒部材を示す、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は背面図、(D)は平面図、(E)は底面図。
【図3】図1の防火処理部材の熱膨張性耐火材シートを示す、(A)は正面図、(B)は左側面図。
【図4】図2の半割円筒部材に図3の熱膨張性耐火材シートを組み込んだ状態を示す左側面図。
【図5】図1の防火処理部材の半割フランジ部材を示す、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は半割フランジ部材の抱持片で半割円筒部材の突縁を抱持した状態を示す断面図。
【図6】図1の防火処理部材を用いた防火処理方法の最初の段階を示す斜視図。
【図7】同じく次の段階を示す斜視図。
【図8】同じくその次の段階を示す斜視図。
【図9】同じくその次の段階を示す斜視図。
【図10】図1の防火処理部材を用いた防火処理構造の一実施形態を示す断面図。
【図11】図1の防火処理部材を用いた防火処理構造の他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0040】
1:可燃性長尺体貫通部の防火処理部材
3:半割円筒部材
5:熱膨張性耐火材シート
7:半割フランジ部材
9:突縁
11:パテ受け板
13:パテ受け凹部
15:半円壁
17:熱膨張性耐火材シート収容凹部
31:テーパースロープ
33:抱持片
35:外周部
37:ラップ片
39:ビス穴
45:防火区画体
47:穴
49:可燃性長尺体
51:ビス
53:耐熱パテ
55:金属管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に組み合わされるプラスチック製の半割円筒部材と、この半割円筒部材の内周に取り付けられた熱膨張性耐火材シートと、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側に取り付けられてフランジ状に組み合わされる金属製の半割フランジ部材とを備え、前記半割フランジ部材は防火区画体への固定部を有していることを特徴とする可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項2】
半割円筒部材の軸線方向の一端側の外周には突縁が形成され、半割フランジ部材の内周部には前記突縁を抱持する抱持片が複数形成されており、前記抱持片で前記突縁を抱持することにより、半割フランジ部材が半割円筒部材の軸線方向の一端側に取り付けられるようになっていることを特徴とする請求項1記載の可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項3】
半割円筒部材の軸線方向の一端側の内周には、前記突縁の軸線方向の先端縁より引っ込んだ位置に、内向きにパテ受け板が形成され、このパテ受け板と前記突縁の内周面とで耐熱パテを収容するパテ受け凹部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項4】
半割フランジ部材の外周部は、防火区画体側に向けて折り曲げられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項5】
半割円筒部材の防火区画体への固定部は、半割フランジ部材をフランジ状に組み合わせたときに周方向の両端部の互いに重ね合わされる位置に形成されたビス孔であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項6】
前記ビス孔は、前記半割フランジ部材の径方向の幅の中央よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の可燃性長尺体貫通部の防火処理部材。
【請求項7】
防火区画体に形成された穴を、可燃性長尺体が貫通する部分の防火処理方法であって、軸線方向の一端側にパテ受け凹部が形成されたプラスチック製半割円筒部材の内周に熱膨張性耐火材シートを取り付けると共に、前記半割円筒部材の軸線方向の一端側に金属製半割フランジ部材を周方向から挿入し、回転させながら取り付けてなる防火処理部材を、二つ筒状に組み合わせて前記可燃性長尺体を包囲し、筒状に組み合わされた半割円筒部材を前記防火区画体の穴に挿入すると共に、半割フランジ部材を防火区画体に固定した後、前記可燃性長尺体の周りのパテ受け凹部に耐熱パテを詰めることを特徴とする可燃性長尺体貫通部の防火処理方法。
【請求項8】
防火区画体を貫通した状態で当該防火区画体に固定された金属管を、可燃性長尺体が貫通する部分の防火処理方法であって、軸線方向の一端側にパテ受け凹部が形成されたプラスチック製半割円筒部材の内周に熱膨張性耐火材シートを取り付けてなる防火処理部材を、二つ筒状に組み合わせて前記可燃性長尺体を包囲し、筒状に組み合わされた半割円筒部材を前記パテ受け凹部が外端側に位置するように前記金属管の端部に挿入した後、前記可燃性長尺体の周りのパテ受け凹部に耐熱パテを詰めることを特徴とする可燃性長尺体貫通部の防火処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−112138(P2009−112138A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282856(P2007−282856)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000165996)株式会社古河テクノマテリアル (23)
【Fターム(参考)】