説明

可視光光励起下でのラジカル重合性樹脂の不粘着性表面光硬化方法

光開始剤とアクリル化シロキサンとを含む添加剤組成物を使用したある特定の薄層エチレン性不飽和系を光硬化し、350nmを超える波長で層に照射するための方法を開示する。例えば、添加剤組成物は、少なくとも1つのビスアシルホスフィンオキシドまたはモノアシルホスフィンオキシドおよび少なくとも1つのアクリル化シロキサンを含み、発光ダイオード(LED)等の可視光源を使用して硬化され得る。本プロセスは、10mil(=0.254mm)以下の厚さの不粘着性膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
長波長UVまたは可視光で活性な少なくとも1つの光開始剤、例えばモノアシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド等と、反応性シロキサン誘導体、例えばアクリル化シロキサン等との組み合わせを、エチレン性不飽和種、例えば不飽和ポリエステル樹脂またはアクリレートモノマー等、ならびに任意選択で結合剤ポリマーおよび他の成分に組み込み、次いでその製剤を光に暴露することにより、薄片を光硬化して不粘着性薄膜を生成するための方法が、本発明により提供される。可視光または長波長UV光(すなわち390nmを超える波長の光)等の低エネルギー光は、低強度で便利に使用される。本発明の方法は、様々な基材上に不粘着性の薄膜コーティングを生成するために使用され得る。
【0002】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/234145−A号は、アシルホスフィンオキシド光開始剤を使用して、発光ダイオード(LED)光源によりある特定の厚い層のエチレン性不飽和系を光硬化するためのプロセスを開示している。米国特許出願公開第2005/234145−A号のプロセスは、例えば、アクリレート系の厚いコーティング、厚いゲルコート、厚い複数層複合材または厚い接着剤層の製造に有用である。厚いコーティングは、約10mil[=約0.25mm]、例えば10mil超から約30mil[=約0.76mm]までである。
【0003】
しかしながら、薄片、例えば約10mil[=約0.25mm]未満の膜つまりコーティングの光硬化には問題がある。雰囲気中に存在する酸素がコーティングの表面で光励起により生成される反応種をクエンチする酸素阻害が、不粘着性表面の形成において問題であると認識されている。薄いコーティングは、概して、酸素阻害の効果を増大し得る表面として考えることができる。
【0004】
この制限において、望ましくない過度の表面粘着性が見られるため、米国特許出願公開第2005/234145−A号のプロセスは、薄片硬化を完全に満足させることはない。そこで使用されているモノ−およびビスアシル−ホスフィンオキシドは、優れた全硬化能で知られているが、表面硬化能は限られているか、または低い。確かに、ゲルコートは、良好な全硬化を有する必要があることを主な理由として、ビスアシル−ホスフィンオキシド(BAPO)を好ましい光開始剤として使用するように製剤化されるが、粘着性表面(または不完全表面硬化)を有し、ゲルコートはラミネートに結合してしまう。
【0005】
また、現在では、LEDアレイ機器により生成されるような可視光または長波長UV光(395nm)は、酸素除去雰囲気を伴わない限り、標準的UV硬化性コーティング製剤の薄片硬化(2〜10mil厚[0.05〜0.25mm])には使用されない。酸素除去は、低い光束および薄片硬化条件下で見られる阻害効果を排除するために必要である。
【0006】
本発明は、薄膜、例えば厚さ10mil[0.25mm]未満の膜、または厚さ0.20mmもしくは0.15mm未満の膜を光硬化するための方法を提供する。添加剤組成物、例えば、モノアシルホスフィンオキシドおよび/またはビスアシルホスフィンオキシドならびにアクリル化シロキサンは、LEDまたは他の可視光源を使用した迅速な完全硬化を可能にする。したがって、この能力は、費用を要する酸素除去の使用を排除し、ベンゾフェノンおよび/またはアミンの使用等、当技術分野において現在実践されている他の方法よりも効果的である。添加剤組成物は、様々な光硬化性の系に容易に込みこまれ、優れた耐久性、良好な表面特性(高い耐溶剤性、高い光沢、高い硬度および平滑性)、ならびに基材への優れた接着性を提供する。本発明は、低光度可視光暴露での表面粘着性を克服することにより、可視光硬化機器を使用した、例えばインク、コーティング、および接着剤の硬化に特に有用である。
【0007】
本発明の実践において、広範囲の光源を使用することができるが、省エネルギーを提供すると共に、高エネルギーUV光により引き起こされる膜または基材への損傷の可能性を防止する、390nm以上の波長を有する低強度の光源、例えば可視光を使用して、良好な結果が達成される。例えば、本発明の方法は、約395nmを中心とした近可視/可視発光を有するLEDアレイ、または蛍光灯からの可視光を使用した、不飽和ポリエステルを含む膜形成製剤の硬化に非常に効果的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主題は、エチレン性不飽和重合性化合物を含む組成物を硬化させ、0.1milから10mil(=0.002mmから0.25mm)の不粘着性薄膜を調製するためのプロセスであって、
1)
(a) エチレン性不飽和重合性化合物と、
(b) 硬化膜固体の重量を基準として、0.1重量パーセントから4重量パーセントの、少なくとも1つの光開始剤であって、
(c) 硬化膜固体の重量を基準として、0.5重量パーセントから3重量パーセントの、少なくとも1つのアクリル化シロキサンと、を含む組成物を調製することと、
2)そのように得られた組成物に、約350nmから約600nmの波長を含む光を照射することと、を含むプロセスである。
【0009】
光開始剤(b)は、例えば、アシルホスフィンオキシド光開始剤であり、アクリル化シロキサン(c)は、例えば、単官能性アクリレートシロキサンである。
【0010】
上記組成物の照射は、例えば、約350nmから約600nm、例えば約375nmから約500nm、例えば約390nmから約450nmの波長を含む光、例えば蛍光灯からの可視光または発光ダイオード源からの照射等で行われる。
【0011】
本発明のプロセスにより得られる膜は、約0.1mil[0.002mm]から約10mil[0.25mm]、例えば約0.5mil[0.013mm]から約10mil[0.25mm]、例えば約1mil[0.025mm]から約5mil[0.13mm];または、例えば0.002mmから0.20mm、例えば0.002mmから0.15mm、例えば0.013mmから0.20mm、0.013mmから0.15mm、例えば0.025mmから0.13mmの厚さ(硬化後)を有する。
【0012】
上記組成物の光開始剤(b)は、約350nmを超える光の波長で活性な光開始剤であり、例えば、光開始剤は、約390nmを超える光の波長で活性であり、例えば、光開始剤は、可視光の波長で活性である。そのような光開始剤は、モノアシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシド、赤方偏移フェニルグリオキシレート、赤方偏移ベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントンならびにアルファアミノケトンを含む。
【0013】
有利には、上記組成物は、少なくとも1つのモノアシルホスフィンオキシド光開始剤または少なくとも1つのビスアシルホスフィン光開始剤を含む。モノアシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシド光開始剤の混合物もまた、光開始剤(b)として有利に使用される。複数のモノアシルホスフィンオキシド光開始剤または一つのビスアシルホスフィン光開始剤を使用することができる。
【0014】
また、有利には、モノアシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシド光開始剤と、α−ヒドロキシケトン光開始剤との混合物が、光開始剤(b)として使用される。
【0015】
同様に、モノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシドおよびα−ヒドロキシケトン光開始剤の混合物が、光開始剤(b)として使用される。
【0016】
したがって、本発明の主題は、光開始剤(b)が、少なくとも1つのモノ−アシルホスフィンオキシドおよび/または少なくとも1つのビス−アシルホスフィン光開始剤ならびに少なくとも1つのα−ヒドロキシケトン光開始剤を含む光開始剤の混合物である、上述のプロセスである。
【0017】
本発明のアクリル化シロキサン(c)は、例えば、スリップ剤または平滑剤として頻繁に使用される既知の市販の製品である。単官能性および多官能性アクリル化シロキサンが知られており、使用することができる。例えば、市販の材料EFKA(登録商標)3883は、本発明のプロセスにおいて有用な単官能性アクリレートシロキサンである。EFKA(登録商標)製品は、Ciba Inc.から提供されている。しかしながら、他の市販の製品、例えば、Byk Inc.からBYKの商品名で提供されているスリップ剤または平滑剤もまた、使用することができる。
【0018】
モノアシルホスフィンオキシド光開始剤およびビスアシルホスフィン光開始剤もまた市販されている。モノアシルホスフィンオキシド光開始剤とビスアシルホスフィン光開始剤との混合物も市販されており、またモノ−またはビスアシルホスフィンオキシドと他のクラスの光開始剤の化合物との混合物も市販されている。
【0019】
さらに、モノアシルホスフィンオキシド光開始剤およびビスアシルホスフィン光開始剤の調製は、当業者に知られており、例えば、米国特許第4298738号または国際公開第00/32612号に開示されている。
【0020】
本発明の「添加剤パッケージ」または「添加剤組成物」は、少なくとも1つの光開始剤(b)と少なくとも1つのアクリル化シロキサン(c)との組み合わせである。例えば、添加剤組成物は、比が約1:9から約9:1の(アシルホスフィンオキシド)光開始剤(b)および(反応性)アクリル化シロキサン(c)から構成され得る。
【0021】
本発明の主題はまた、光開始剤(b)が、(i)モノ−アシルホスフィンオキシドまたは(ii)ビス−アシルホスフィンオキシドまたは(iii)少なくとも1つのモノ−アシルホスフィンオキシドもしくはビス−アシルホスフィンオキシドを含有する光開始剤の混合物を含み、少なくとも1つのアクリル化シロキサン(c)が、モノ−アクリル化シロキサンであり、光開始剤(b)とアクリル化シロキサン(c)の比が、3:1から1:1である、上記のプロセスである。
【0022】
「アシルホスフィンオキシド光開始剤」という用語は、本発明の文脈において、モノアシルホスフィンオキシド光開始剤およびビスアシルホスフィンオキシド光開始剤の両方を表す。
【0023】
市販の材料で構成される添加剤組成物の例には、光開始剤として3部のIRGACURE(登録商標)2100およびアクリル化シロキサンとして1部のEFKA(登録商標)3883、2部のIRGACURE(登録商標)819および1部のEFKA(登録商標)3883が含まれる。
【0024】
IRGACURE(登録商標)2100および/またはIRGACURE(登録商標)819は、可視光活性光開始剤を含有する、光退色性アシルホスフィンオキシド光開始剤である。(IRGACUREおよびEFKAは、Ciba Inc.の商品名である。)
【0025】
アシルホスフィンオキシド光開始剤は、例えば、米国特許第4324744号、米国特許第4737593号、米国特許第5942290号、米国特許第5534559号、米国特許第6020528号、米国特許第6486228号および米国特許第6486226号に開示されており、これらの関連した開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0026】
ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式I
【0027】
【化1】

【0028】
(式中、
50は、C1−C12アルキル、シクロヘキシル、あるいは、非置換または1個から4個のハロゲン、C1−C8アルキル、SR10もしくはN(R11)(R12)で置換されたフェニルであり、
10、R11およびR12は、それぞれ互いに独立して、水素、C1−C24アルキル、C2−C24アルケニル、C3−C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、または、非連続的なO原子により1回もしくは複数回中断された、非置換またはOHおよび/もしくはSHで置換されたC2−C20アルキルであり、あるいは、R11およびR12は、それらが結合するN原子と共に、OもしくはS原子またはNR13を含有してもよい5員もしくは6員環を形成し、
13は、水素、フェニル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキル、あるいは、OまたはSにより1回もしくは複数回中断された、非置換またはOHおよび/もしくはSHで置換されたC2−C12アルキルであり、
51およびR52は、それぞれ互いに独立して、C1−C8アルキルまたはC1−C8アルコキシであり、
53は、水素またはC1−C8アルキルであり、
54は、水素またはメチルである)の光開始剤である。
【0029】
例えば、R50は、C2−C10アルキル、シクロヘキシル、あるいは、非置換または1個から4個のC1−C4アルキル、ClもしくはBrで置換されたフェニルである。
別の実施形態は、R50が、C3−C8アルキル、シクロヘキシル、あるいは、非置換またはC1−C4アルキルにより2−位、3−位、4−位もしくは2,5−位で置換されたフェニルである場合である。
【0030】
例えば、R50は、C4−C12アルキルまたはシクロヘキシルであり、R51およびR52は、それぞれ互いに独立して、C1−C8アルキルまたはC1−C8アルコキシであり、R53は、水素またはC1−C8アルキルである。
【0031】
例えば、R51およびR52は、C1−C4アルキルまたはC1−C4アルコキシであり、R53は、水素またはC1−C4アルキルである。
【0032】
別の実施形態は、R51およびR52が、メチルまたはメトキシであり、R53が、水素またはメチルである場合である。
【0033】
例えば、R51、R52およびR53は、メチルである。
【0034】
別の実施形態は、R51、R52およびR53が、メチルであり、R54が水素である場合である。
【0035】
別の実施形態は、R50がC3−C8アルキルである場合である。
【0036】
例えば、R51およびR52は、メトキシであり、R53およびR54は、水素であり、R50は、イソオクチルである。
【0037】
例えば、R50は、イソブチルである。
【0038】
例えば、R50は、フェニルである。
【0039】
本発明のビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(CAS#162881−26−7)またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ビスペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシドである。
【0040】
モノアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式II
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、
1およびR2は、互いに独立して、C1−C12アルキル、ベンジル、非置換またはハロゲン、C1−C8アルキルおよび/もしくはC1−C8アルコキシにより1回から4回置換されたフェニル、あるいはシクロヘキシルであり、あるいは、R1は、−OR4であり、
3は、非置換またはC1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオおよび/もしくはハロゲンにより1回から4回置換されたフェニルであり、
4は、C1−C8アルキル、フェニルまたはベンジルである)の光開始剤である。
【0043】
例えば、R1は、−OR4またはフェニルである。
【0044】
例えば、R2は、非置換またはハロゲン、C1−C8アルキルおよび/もしくはC1−C8アルコキシにより1回から4回置換されたフェニルである。
【0045】
例えば、R3は、非置換またはC1−C8アルキルで1回から4回置換されたフェニルである。
【0046】
例えば、R1およびR2は、両方ともフェニルである。
【0047】
例えば、本発明のモノアシルホスフィンオキシドは、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434−11−7)または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(CAS#127090−72−6)である。
【0048】
本発明のプロセスは、さらなる光開始剤、例えば式III
【0049】
【化3】

【0050】
(式中、
11およびR12は、互いに独立して、水素、C1−C6アルキル、フェニル、C1−C6アルコキシ、
OSiR16(R172または−O(CH2CH2O)q−C1−C6アルキルであり、あるいは、
11およびR12は、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成し、
qは、1から20の数であり、
13は、OHであり、
14は、水素、C1−C18アルキル、C1−C12ヒドロキシアルキル、C1−C18アルコキシ、−OCH2CH2−OR15、−CH=CH2、−C(CH3)=CH2であるか、または
【0051】
【化4】

であり、
xは、0または1であり、
nは、2から10の数であり、
15は、水素、−COCH=CH2または−COC(CH3)=CH2であり、
16およびR17は、互いに独立して、C1−C8アルキルまたはフェニルであり、
3およびG4は、互いに独立して、ポリマー構造の末端基、好ましくは水素またはメチルである)のα−ヒドロキシケトン光開始剤を使用し得る。
【0052】
興味あるα−ヒドロキシケトン光開始剤は、R11およびR12が、互いに独立して、水素、C1−C6アルキルまたはフェニルであるか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成し、R13が、OHであり、R14が、水素、C1−C12アルキル、C1-12アルコキシ、−OCH2CH2OR15、−C(CH3)=CH2であるか、または、
【0053】
【化5】

であるものである。
【0054】
例えば、α−ヒドロキシケトン光開始剤として好適なのは、R11およびR12が、互いに独立して、メチルまたはエチルであるか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している炭素原子と共に、シクロヘキシル環を形成し、R13が、OHであり、R14が、水素、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシまたは−OCH2CH2OHであるα−ヒドロキシケトン光開始剤である。
【0055】
また、R14が、
【0056】
【化6】

である化合物もまた興味深い。
【0057】
さらに、式I(式中、R14は、
【0058】
【化7】

である)のオリゴマーα−ヒドロキシケトン光開始剤が興味深い。
【0059】
例えば、好適なα−ヒドロキシケトン光開始剤は、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−ドデシルフェニル)プロパノン、
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパノンである。
【0060】
本発明のα−ヒドロキシケトン光開始剤は、例えば、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンである。
【0061】
直鎖または分岐鎖アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、イソオクチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルまたはドデシルである。同様に、アルコキシまたはアルキルチオは、同じ直鎖または分岐鎖のものである。
【0062】
好適な光開始剤ブレンド(PIブレンド)は、例えば、米国特許第6020528号および2003年8月29日出願の米国特許出願公開第60/498,848号に記載されており、この特許および特許出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明のPI(光開始剤)ブレンドは、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(CAS#162881−26−7)および2,4,6,−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434−11−7)の、重量比約1:11、1:10、1:9、1:8または1:7の混合物である。
【0064】
別の特に好適なPIブレンドは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6,−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(CAS#7473−98−5)の、例えば重量比約3:1:15または3:1:16または4:1:15または4:1:16の混合物である。
【0065】
別の好適なPIブレンドは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの、例えば重量比約1:3、1:4または1:5の混合物である。
【0066】
本発明による別の好適な光開始剤(b)または(d)は、例えば、他のモノ−またはビスアシルホスフィンオキシド、例えばジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシドまたはビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド;α−ヒドロキシケトン、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン;α−アミノケトン、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(4−メチルベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンまたは2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[3,4−ジメトキシフェニル]−1−ブタノン;ベンゾフェノン、例えばベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル2−ベンゾイルベンゾエート、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニル−ベンゾフェノンまたは3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン;ケタール化合物、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニル−エタノン;およびモノマー性またはダイマー性フェニルグリオキシル酸エステル、例えばメチルフェニルグリオキシル酸エステル、5,5’−オキソジ(エチレンオキシジカルボニルフェニル)または1,2−(ベンゾイルカルボキシ)エタンである。
【0067】
本発明による他の好適な光開始剤は、アシルホスフィンオキシド光開始剤を含む、または含まない、例えば、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第6596445号または米国特許出願公開第2004−0170924−A号に記載のようなオキシムエステルである。好適なオキシムエステル光開始剤は、例えば、
【0068】
【化8】

である。
【0069】
アシルホスフィンオキシド光開始剤を含む、または含まない、本発明による好適な光開始剤の別のクラスは、例えば、参照によりその開示が本明細書組み込まれる米国特許第6048660号に記載のようなフェニルグリオキシレート等である。例えば、式
【0070】
【化9】

【0071】
(式中、
90は、C1−C4アルキル、特にメチルであるか、または
【0072】
【化10】

であり、
Yは、C1−C12アルキレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシレンにより1回もしくは複数回中断されたC2−C40アルキレン、O、S、またはNR30であり、R30は、水素、C1−C12アルキルまたはフェニルであり、好ましくは、YはCH2CH2−O−CH2CH2である)のフェニルグリオキサレートである。
【0073】
組成物中の所与の量の光開始剤は、光開始剤(b)および任意選択の光開始剤(d)の両方を指し、換言すると、すべての光開始剤の合計を指す。
【0074】
好適な光開始剤は市販されており、特にCiba Inc.からIRGACURE(登録商標)、DAROCUR(登録商標)の商品名で、またはLamberti SAからESACURE(登録商標)の商品名で提供されている。
【0075】
本発明の光硬化薄膜は、例えば、コーティングまたは接着剤、例えば、金属、プラスチック、木材、複合材料またはガラス用のコーティングである。
【0076】
薄いコーティングは、約10mil[=約0.25mm]未満、例えば約0.1milから約10mil[=約0.76mm]である。該コーティングは、例えば、約9mil[0.23mm]、8mil[0.2mm]、7mil[0.18mm]、6mil[0.15mm]、5mil[0.13mm]、4mil[0.1mm]、3mil[0.075mm]、2mil[0.05mm]または1mil[0.025mm]未満である。
【0077】
本発明の接着剤は、例えば、積層用、構造感応性または感圧性接着剤、例えば感圧性ホットメルト接着剤において使用される。
【0078】
前記接着剤は、ホットメルト接着剤であっても、また同様に水系接着剤または溶剤系接着剤であってもよい。特に好適なのは、感圧性接着剤、例えばUV硬化性ホットメルト感圧性接着剤である。前記接着剤は、例えば、少なくとも1つのゴム成分、粘着付与剤としての少なくとも1つの樹脂成分、および少なくとも1つの油成分を、例えば重量比30:50:20で含む。好適な粘着付与剤は、天然または合成樹脂である。当業者は、好適な対応化合物および好適な油成分またはゴムを認識している。
【0079】
光重合を促進するために、アミン、例えばトリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、エチルp−ジメチルアミノベンゾエートまたはミヒラー・ケトン等を添加することが可能である。アミンの作用は、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンの添加により強化することができる。酸素スカベンジャーとして使用可能なアミンの例は、欧州特許第339841−A号に記載のような置換N,N−ジアルキルアニリンである。さらなる促進剤、共開始剤および自己酸化剤は、例えば欧州特許出願公開第438123−A号および英国許出願公開第2180358−A号に記載のような、チオール、チオエーテル、ジスルフィドおよびホスフィンである。
【0080】
また、光重合は、スペクトル感度を偏移させるまたは広げる感光剤の添加により促進され得る。これらは、特に、芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体および3−アシルクマリン誘導体、さらに3−(アロイルメチレン)チアゾリン、さらにエオシン、ローダミンおよびエリトロシン染料である。
【0081】
硬化手順は、特に、染色された(例えば二酸化チタンで)組成物により、さらに、温熱条件下でフリーラジカルを形成する成分、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエン等のアゾ化合物、または、米国特許第4753817号に記載のように、過酸化水素またはペルオキシカーボネート、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド等のペルオキシ化物等を添加することにより、補助され得る。
【0082】
また、新規な組成物は、例えば成分(d)として、光還元性染料、例えばキサンテン、ベンゾキサンテン、ベンゾチオキサンテン、チアジン、ピロニン、ポルフィリンもしくはアクリジン染料、および/または、放射線により開裂可能なトリハロメチル化合物を含み得る。同様の組成物は、例えば、米国特許第5229253号に記載されている。
【0083】
本発明における硬化に使用される光源は、源から放出された光が350nmを超える波長を有する光を含有する限り、UV硬化において一般に使用される既知の光源、例えばUVランプ、高強度可視光源、レーザ、蛍光ランプ、LEDアレイ等であってもよい。
【0084】
本発明の具体的一実施形態において、低強度の可視光または近可視光、すなわち370nm以上または390nm以上の波長を有する光が使用される。
【0085】
本発明の一実施形態は、可視光を含む光を放出する蛍光灯またはLED光源を使用する。具体的一実施形態は、LED光源を使用する。
【0086】
本発明によるLED光源は、低い熱で動作する。例えば、LED光源は、約390nmプラスまたはマイナス30nm、約250mW/cm2で動作する。これらのLED光源は、低い熱、例えば、大気圧下での樹脂中の揮発性物質の沸点(bp)未満、例えばスチレンのbp未満で動作する。
【0087】
発光ダイオード光源は、例えば歯科用途に使用されている。例えば、米国特許出願公開第2002−113217−A号、米国特許出願公開第2002−115037−A号、および米国特許出願公開第2001−046652−A号、カナダ特許第2332190号、日本国特許出願公開第2000−271155−A号、米国特許第6200134号および米国特許第6159005号、欧州特許第780104号、欧州特許第780103号、米国特許第5316473号および米国特許第6007965号に記載されている。上記特許出願および特許の関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
エチレン性不飽和重合性化合物(a)は、1個または複数のオレフィン二重結合を含有し得る。それらは、低分子(モノマー性)または高分子(オリゴマー性またはポリマー性)化合物であってもよい。具体的実施形態において、不飽和重合性化合物は、不飽和ポリエステルモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む。
【0089】
好ましくは、エチレン性不飽和重合性化合物(a)は、少なくとも1つのアクリレートモノマー、オリゴマー、プレポリマーもしくは樹脂、または少なくとも1つの不飽和ポリエステル樹脂を含む。
【0090】
1個の二重結合を含有するモノマーの典型例は、アルキルまたはヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレート、例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシルおよび2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ならびにメチルおよびエチルメタクリレートである。これらのモノマーのさらなる例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等のビニルエステル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンである。
【0091】
複数の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレートまたはトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。高分子量(オリゴマー性)多価不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエーテル、アクリル化ポリウレタンおよびアクリル化ポリエステルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、通常マレイン酸、フタル酸および1つもしくは複数のジオールから調製され、約500を超える分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。この種の不飽和オリゴマーは、プレポリマーとしても知られる。
【0092】
不飽和化合物の典型例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオールまたはポリエポキシドとのエステル、およびエチレン性不飽和基を鎖中もしくは側基中に含有するポリマーであり、不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタンならびにこれらのコポリマー、ポリブタジエンおよびブタジエンコポリマー、ポリイソプレンおよびイソプレンコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル基を含有するポリマーおよびコポリマー、さらに1つまたは複数のそのようなポリマーの混合物を含む。
【0093】
不飽和カルボン酸の実例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、リノレン酸またはオレイン酸等の不飽和脂肪酸である。
【0094】
好適なポリオールは、芳香族、脂肪族および脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールは、典型的には、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ならびにノボラックおよびクレゾールである。ポリエポキシドは、前述のポリオールに基づく、例えば芳香族ポリオールおよびエピクロロヒドリンに基づくポリエポキシドである。さらなる好適なポリオールは、ポリマー鎖または側基内にヒドロキシル基を含有するポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールおよびそのコポリマー、またはヒドロキシアルキルポリメタクリレートもしくはそのコポリマーである。他の好適なポリオールは、ヒドロキシル末端基を保有するオリゴエステルである。
【0095】
脂肪族および脂環式ポリオールの実例は、例えば2個から12個の炭素原子を含有するアルキレンジオールであり、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、例えば200から1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびソルビトールを含む。
【0096】
ポリオールは、異なる不飽和カルボン酸で部分的または完全にエステル化されていてもよく、この場合、部分エステルの遊離ヒドロキシル基は、改質、例えばエーテル化、または他のカルボン酸とエステル化されていてもよい。
【0097】
エステルの実例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール改質トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールジ−およびトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200から1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、ならびにこれらの混合物である。多官能性モノマーおよびオリゴマーは、例えば、UCB Chemicals、Smyrna、GeorgiaおよびSartomer、Exton、Pennsylvaniaから入手可能である。
【0098】
好適なエチレン性不飽和重合性化合物はまた、例えば2個から6個、例えば2個から4個のアミノ基を含有する芳香族、脂環式および脂肪族ポリアミンの、同一または異なる不飽和カルボン酸のアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−または1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−または1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−へキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ビス(β−アミノエチル)エーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ビス(β−アミノエトキシ)エタンまたはビス(β−アミノプロポキシ)エタンである。他の好適なポリアミンは、追加のアミノ基を側鎖に含有し得るポリマーおよびコポリマー、ならびにアミノ末端基を含有するオリゴアミドである。
【0099】
そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート、N−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0100】
好適な不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、典型的には、マレイン酸およびジオールまたはジアミンから得られる。マレイン酸は、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸またはクロロマレイン酸等の他のジカルボン酸で部分的に置換され得る。ポリエステルの反応性を制御し、架橋密度、ひいては生成物特性に影響を与えるために、不飽和ジカルボン酸に加えて、異なる量の飽和ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸またはアジピン酸等を使用することができる。不飽和ポリエステルは、スチレン等のエチレン性不飽和コモノマーと共に使用することができる。ポリエステルおよびポリアミドはまた、ジカルボン酸およびエチレン性不飽和ジオールまたはジアミンから、特に典型的には6個から20個の炭素原子を含有する長鎖を有するものから得ることができる。ポリウレタンは、典型的には、飽和または不飽和ジイソシアネートならびに不飽和および飽和ジオールから得られるものである。
【0101】
好適なポリエステルアクリレートまたはアクリル化ポリエステルは、オリゴマー、典型的にはエポキシド、ウレタン、ポリエーテルまたはポリエステルを、ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリレートと反応させることにより得られる。
【0102】
ポリブタジエンおよびポリイソプレン、ならびにそれらのコポリマーが知られている。好適なコモノマーは、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキサン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレンまたは塩化ビニル等のオレフィンを含む。側鎖中に(メタ)アクリレート基を含有するポリマーもまた知られている。それらは、典型的には、ノボラックに基づくエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物、ポリビニルアルコールのホモ−もしくはコポリマーまたはその(メタ)アクリル酸でエステル化されたヒドロキシアルキル誘導体、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−およびコポリマーであってもよい。
【0103】
モノマーは、例えば、アルキル−もしくはヒドロキシアルキルアクリレートもしくはメタクリレート、スチレン、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレートまたはビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートもしくはテトラアクリレート、例えばアクリレート、スチレン、ヘキサメチレングリコールもしくはビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパンまたはトリメチロールプロパントリアクリレートである。
【0104】
オリゴマー性多価不飽和化合物は、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸および1個または複数のジオールから調製され、典型的には約500から3000の分子量を有する、ポリエステルアクリレートまたは不飽和ポリエステル樹脂である。
【0105】
不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0106】
光重合性化合物は、単独で、または任意の所望の混合物として使用される。ポリオール(メタ)アクリレートの混合物を使用するのが好適である。
【0107】
また、不飽和光重合性化合物に結合剤が添加されてもよい。結合剤の添加は、光重合性化合物が液体または粘性物質である場合特に有用である。結合剤の量は、全組成物を基準として5〜95重量パーセント、例えば10〜90重量パーセント、例えば40〜90重量パーセントであってもよい。結合剤の選択は、使用分野に依存し、かつ水系および有機溶媒系における組成物の開発能力、基材への接着性、ならびに酸素に対する感受性等の使用分野のための所望の特性に依存する。
【0108】
好適な結合剤は、典型的には、約5,000から2,000,000、例えば10,000から1,000,000の分子量を有するポリマーである。実例は、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)を含む、アクリレートおよびメタクリレートのホモ−およびコポリマー;セルロースエステルおよびエーテル、例えば酢酸セルロース、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマル、環化ゴム、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタムおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)等のポリマー、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)およびポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)等のポリエステルである。
【0109】
不飽和化合物はまた、非光重合性膜形成成分と混合して使用することができる。これらの成分は、物理的に乾燥するポリマーまたは有機溶媒中のその溶液、例えばニトロセルロースまたはセルロースアセトブチレートであってもよい。光重合性不飽和モノマーは、フリーラジカルイオン性硬化性ブレンド、例えばフリーラジカルカチオン性硬化性ブレンドであってもよい。また、粉体塗装、ラミネート、ある特定の接着剤およびコンフォーマルコーティングにおいて使用されるような、熱および光誘引効果サイクルの両方を受ける系が重要である。
【0110】
追加的にさらなる不飽和モノマーを含有するプレポリマーと多価不飽和モノマーとの混合物が好適である。この場合、プレポリマーが主に膜の特性を決定し、前記プレポリマーを変えることにより、当業者は、硬化膜の特性に影響を与えることができる。多価不飽和モノマーは、膜を不溶性とする架橋剤として機能する。単不飽和モノマーは、反応性希釈剤の助けにより溶媒を用いる必要なく粘度が低減される反応性希釈剤として機能する。さらに、硬化組成物の特性、例えば硬化速度、架橋密度および表面特性等は、モノマーの選択に依存する。
【0111】
不飽和ポリエステル樹脂は、通常、単不飽和モノマー、例えばスチレンと共に、2成分系で使用される。
【0112】
好適なプロセスは、エチレン性不飽和重合性化合物が、少なくとも1つのオリゴマー性化合物および少なくとも1つのモノマーの混合物であるプロセスである。
【0113】
興味深いプロセスは、エチレン性不飽和重合性化合物が、1)不飽和ポリエステル、特にマレイン酸、フマル酸および/もしくはフタル酸、ならびに1つまたは複数のジオールから調製され、500から3,000の分子量を有するものと、2)アクリレート、メタクリレートもしくはスチレンまたはこれらの組合せとの混合物であるプロセスである。
【0114】
本発明の一実施形態において、エチレン性不飽和重合性化合物は、1)不飽和ポリエステルの混合物、あるいは、2)アクリレートもしくはメタクリレートまたはこれらの組合せの混合物である。
【0115】
光重合性混合物は、光開始剤に加えて様々な添加剤を含有し得る。これらの例は、時期尚早の重合を防止することを意図する熱抑制剤であり、その例は、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトールまたは立体障害フェノール、例えば2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾールである。暗所での保存寿命は、例えば、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅もしくはオクチル酸銅等の銅化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルもしくは亜リン酸トリベンジル等のリン化合物、テトラメチルアンモニウムクロリドもしくはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム化合物、またはN−ジエチル−ヒドロキシルアミン等のヒドロキシルアミン誘導体を使用することにより増加させることができる。重合中に周囲の酸素を排除したままとするために、パラフィンまたは同様のワックス様物質を添加することができるが、これらは、そのポリマーに対する低い溶解度のために、重合の開始時に表面に移動し、空気の進入を防止する透明表面層を形成する。同様に、酸素障壁層を施すことができる。添加することができる光安定剤は、UV吸収剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルアミドまたはヒドロキシフェニル−s−トリアジン型の周知の市販のUV吸収剤である。立体障害アミン光安定剤(HALS)の使用の有無に関わらず、個々のそのような化合物、またはそれらの混合物を使用することができる。立体障害アミンは、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンに基づく。
【0116】
UV吸収剤および立体障害アミンは、例えば以下の通りである。
【0117】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、例えば、既知の市販のヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾールおよび米国特許第3004896号;米国特許第3055896号;米国特許第3072585号;米国特許第3074910号;米国特許第3189615号;米国特許第3218332号;米国特許第3230194号;米国特許第4127586号;米国特許第4226763号;米国特許第4275004号;米国特許第4278589号;米国特許第4315848号;米国特許第4347180号;米国特許第4383863号;米国特許第4675352号;米国特許第4681905号、米国特許第4853471号;米国特許第5268450号;米国特許第5278314号;米国特許第5280124号;米国特許第5319091号;米国特許第5410071号;米国特許第5436349号;米国特許第5516914号;米国特許第5554760号;米国特許第5563242号;米国特許第5574166号;米国特許第5607987号、米国特許第5977219号および米国特許第6166218号に記載のベンゾトリアゾール、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−sec−ブチル−5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ビス−α−クミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−(ω−ヒドロキシ−オクタ−(エチレンオキシ)カルボニル−エチル)−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニル)エチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ドデシル化2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス(4−t−オクチル−(6−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−オクチル−5−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミル−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、メチル3−(5−トリフルオロメチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−ブチルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールおよび5−フェニルスルホニル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール。
【0118】
2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシおよび2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
置換および非置換安息香酸のエステル、例えば4−tert−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
アクリレートおよびマロネート、例えばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−桂皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチル−インドリン、Sanduvor(登録商標)PR25、ジメチルp−メトキシベンジリデンマロネート(CAS#7443−25−6)、およびSanduvor(登録商標)PR31、ジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)p−メトキシベンジリデンマロネート(CAS#147783−69−5)。
【0119】
立体障害アミン安定剤、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アリル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖または環式縮合物、トリス(2,2,−6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの直鎖または環式縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−および4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンおよび4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合生成物(CAS#136504−96−6);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ[4,5]−デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタン、N,N’−ビス−ホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、4−メトキシ−メチレン−マロン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、無水マレイン酸−α−オレフィン−コポリマーと2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノ−ピペリジンまたは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物。
【0120】
立体障害アミンはまた、米国特許第5980783号に記載の化合物のうちの1つであってもよい。立体障害アミンはまた、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、米国特許第6046304号および米国特許第6297299号に記載の化合物のうちの1つであってもよい。
【0121】
N原子上でヒドロキシ置換アルコキシ基により置換された立体障害アミン、例えば、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オクタデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−ヘキサデカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシl−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとt−アミルアルコールからの炭素基との反応生成物、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラ−メチルピペリジン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、ビス(1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)グルタレートおよび2,4−ビス{N−[1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル]−N−ブチルアミノ}−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン等の化合物。
【0122】
オキサミド、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキサニリドおよびその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−およびp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物ならびにo−およびp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物。
【0123】
トリス−アリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、例えば、既知の市販のトリス−アリール−o−ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、ならびに米国特許第3843371号;米国特許第4619956号;米国特許第4740542号;米国特許第5096489号;米国特許第5106891号;米国特許第5298067号;米国特許第5300414号;米国特許第5354794号;米国特許第5461151号;米国特許第5476937号;米国特許第5489503号;米国特許第5543518号;米国特許第5556973号;米国特許第5597854号;米国特許第5681955号;米国特許第5726309号;米国特許第5736597号;米国特許第5942626号;米国特許第5959008号;米国特許第5998116号;米国特許第6013704号;米国特許第6060543号;米国特許第6187919号;米国特許第6242598号および米国特許第6468958号に記載のトリアジン、例えば4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、Cyasorb(登録商標)1164(Cytec Corp)、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(4−ビフェニルイル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルエチリデンオキシ−フェニル)−s−トリアジン、2−フェニル−4−[2−ヒドロキシ−4−(3−sec−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−sec−アミルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−n−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ジ−n−ブチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ*−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン(*は、オクチルオキシ、ノニルオキシおよびデシルオキシ基を指す)、メチレンビス−{2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−s−トリアジン}、3:5’、5:5’および3:3’位で5:4:1比で架橋されたメチレン架橋二量体混合物、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシカルボニルイソプロピリデンオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−5−α−クミルフェニル)−s−トリアジン、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,6−ビス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−s−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−sec−ブチルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−s−トリアジン、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジンと4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジンとの混合物、TINUVIN(登録商標)400(Ciba Corp.)、4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−4−(3−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)−フェニル)−s−トリアジンならびに4,6−ジフェニル−2−(4−ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−s−トリアジン。
【0124】
他の従来の添加剤は、意図される用途に依存して、蛍光増白剤、充填剤、顔料、染料、湿潤剤または平滑補助剤である。コーティングはまた、例えば米国特許第5013768号に記載のような、ガラスマイクロビーズまたは粉末ガラス繊維を含有し得る。
【0125】
また、本発明の主題は、照射される組成物が、少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物(a)、少なくとも1つの光開始剤(b)および少なくとも1つのアクリル化シロキサン(c)に加えて、さらなる光開始剤、共開始剤、染料、顔料、および熱可塑性または熱硬化性樹脂系膜形成結合剤から選択される、少なくとも1つの追加成分(d)を含む、上述のプロセスである。
【0126】
添加剤組成物、すなわち光開始剤およびアクリル化シロキサンは、標準的方法を用いて、エチレン性不飽和化合物を含む製剤に添加される。例えば、添加剤組成物の成分は、撹拌、ブレンド、配合、乾燥混合、溶解、懸濁、ミリング等により、単独または一緒に製剤に添加される。添加剤組成物の成分は、未加工で、または、例えば、溶媒および/もしくは他の添加剤、モノマー、樹脂架橋剤等との混合物として添加され得る。
【0127】
本発明の薄膜がコーティングまたは接着剤である場合、エチレン性不飽和重合性化合物、光開始剤およびアクリル化シロキサンを含む混合物は、照射前に、既知の塗布技術を用いて基材に塗布される。
【0128】
基材のコーティングは、液体組成物、溶液または懸濁液を基材に塗布することにより行うことができる。溶媒の選択および濃度は、主に、組成物の種類およびコーティング技術に依存する。溶媒は不活性であるべきであり、すなわち、成分と化学反応を生じるべきではなく、また、コーティング後、乾燥の過程で再び除去され得るべきである。好適な溶媒の例は、ケトン、エーテルおよびエステル、例えばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチルおよびエチル3−エトキシプロピオネートである。溶液または懸濁液は、既知のコーティング技術を用いて、例えばスピンコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、はけ塗り、噴霧、特に静電噴霧、およびリバースロールコーティングにより、基材に均一に塗布される。また、一時的な柔軟支持体に感光層を塗布し、次いで、積層によりその層を転写することにより、最終基材、例えば銅張回路基板をコーティングすることが可能である。
【0129】
コーティング組成物はまた、粉末コーティングの場合のように固体であってもよく、この場合標準的な粉末コーティング塗布技術を使用して塗布される。
【実施例】
【0130】
以下の実施例において本発明をさらに説明する。別段の指定がない限り、部およびパーセンテージは、全製剤の重量に基づいた重量基準である。
【0131】
実施例において、以下の光開始剤を使用する。
PI−1 ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
PI−2 2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン
【0132】
アクリル化シロキサン成分(c)として、以下を使用する。
SI−1 溶媒としての酢酸ブチル/イソブタノール中の不飽和末端基を有するポリシロキサン改質ポリマー(活性成分69〜71%)、EFKA(登録商標)3883、Ciba Inc.製。
【0133】
実施例1:
以下の表1に示されるようなPI−1またはPI−2およびその他の添加剤を含有する、UPES樹脂(INTERPLASTIC SIL 83 BA 2310樹脂)コーティング製剤を調製し、ドローダウンバーを用い電着スチールパネルに塗布して、厚さ約10mil(すなわち約0.25mm)の湿潤コーティングを作製する。次いで、Clearstone Tech LEDを用いて、アレイ395nm、距離:2インチ[=5.08cm]、出力:100%でコーティングを硬化させる。硬化膜は、厚さ約5mil(すなわち、約0.13mm)であり、乾燥硬化のレベルを表に報告する。最も完全に硬化した不粘着系は、2重量%PI1および1重量%SI1を使用して得られ、8分間で硬化する。
【0134】
【表1】

【0135】
実施例2
コーティング製剤は、粘度を制御するためにスチレン希釈剤を添加した不飽和ポリエステルオリゴマーからなる。スチレンは、全製剤の重量を基準として35重量%で存在する。他の成分は、ルチルTiO2(15重量%)および光開始剤としてPI−1(2重量%)およびアクリル化シロキサンとして1%のSI−1である。この混合物をガラス基板上にドローダウンし、ガラス状固体状態まで硬化させる。LED源は、380nmから400nmの狭い出力、250mW/cm2のCW出力を有する。ランプ距離は、試料の上方約12mmである。膜厚は、約2mil[=0.05mm]である。
【0136】
実施例3
二官能性エポキシアクリレート、ならびに、全製剤の重量を基準として、光開始剤として2重量%のPI−1、およびアクリル化シロキサンとして1%のSI−1を用い、薄いアクリレートコーティング製剤を調製する(1mil[=0.0254mm])。
390nmを中心とした、240mW/cm2でのLED光源を使用して、各製剤に対し優れた硬化が達成される。
【0137】
実施例2および3における光開始剤を、ビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドおよび2,4,6,−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(CAS#84434−11−7)の、重量比約1:9の混合物;または、ビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6,−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの、重量比約3.5:1.0:15.5の混合物;または、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドおよび2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの、重量比約1:4の混合物と置き換えると、優良な結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和重合性化合物を含む組成物を硬化させ、0.1milから10mil(=0.002mmから0.254mm)の不粘着性薄膜を調製するためのプロセスであって、
(a)エチレン性不飽和重合性化合物と、
(b)硬化膜固体の重量を基準として、0.1重量パーセントから4重量パーセントの、少なくとも1つの光開始剤であって、
前記光開始剤(b)は、少なくとも1つのモノアシルホスフィンオキシド光開始剤および/または少なくとも1つのビスアシル−ホスフィン光開始剤を含む光開始剤の混合物であるか、あるいは、
前記光開始剤(b)は、少なくとも1つのモノアシルホスフィンオキシドおよび/または少なくとも1つのビスアシルホスフィン光開始剤ならびに少なくとも1つのα−ヒドロキシケトン光開始剤を含む光開始剤の混合物である、少なくとも1つの光開始剤と、
(c)硬化膜固体の重量を基準として、0.5重量パーセントから3重量パーセントの、少なくとも1つのアクリル化シロキサンと、を含む組成物を調製することと、
そのように得られた組成物に、約350nmから約600nmの波長を含む光を有する発光ダイオードからの光を照射することと、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記組成物は、375nmから500nm、特に390nmから450nmの波長を有する光を含む光で照射される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記光開始剤(b)および前記アクリル化シロキサン(c)は、1:9の比から9:1の比で存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記光開始剤(b)は、(i)モノアシルホスフィンオキシドまたは(ii)ビスアシルホスフィンオキシドまたは(iii)少なくとも1つのモノアシルホスフィンオキシドもしくはビスアシルホスフィンオキシドを含有する光開始剤の混合物を含み、前記少なくとも1つのアクリル化シロキサン(c)は、モノ−アクリル化シロキサンであり、前記光開始剤(b)と前記アクリル化シロキサン(c)の比は、3:1から1:1である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和重合性化合物(a)は、少なくとも1つのアクリレートモノマー、オリゴマー、プレポリマーもしくは樹脂、または少なくとも1つの不飽和ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
照射される前記組成物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物(a)、少なくとも1つの光開始剤(b)および少なくとも1つのアクリル化シロキサン(c)に加えて、さらなる光開始剤、共開始剤、染料、顔料、および熱可塑性または熱硬化性樹脂系膜形成結合剤から選択される、少なくとも1つの追加成分(d)を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式I
【化1】

(式中、
50は、C1−C12アルキル、シクロヘキシル、もしくは、非置換または1個から4個のハロゲン、C1−C8アルキルSR10もしくはN(R11)(R11)で置換されたフェニルであり、
10、R11およびR12は、それぞれ互いに独立して、水素、C1−C24アルキル、C2−C24アルケニル、C3−C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、または、非連続的なO原子により1回もしくは複数回中断された、非置換またはOHおよび/もしくはSHで置換されたC2−C20アルキルであり、あるいは、
11およびR12は、それらが結合するN原子と共に、OもしくはS原子またはNR13を含有してもよい5員または6員環を形成し、
13は、水素、フェニル、C1−C12アルコキシ、C1−C12アルキル、あるいは、OまたはSにより1回もしくは複数回中断された、非置換またはOHおよび/もしくはSHで置換されたC2−C12アルキルであり、
51およびR52は、それぞれ互いに独立して、C1−C8アルキルまたはC1−C8アルコキシであり、
53は、水素またはC1−C8アルキルであり、
54は、水素またはメチルである)の光開始剤である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記モノアシルホスフィンオキシド光開始剤は、式II
【化2】

(式中、
1およびR2は、互いに独立して、C1−C12アルキル、ベンジル、非置換またはハロゲン、C1-8アルキルおよび/もしくはC1-8アルコキシにより1回から4回置換されたフェニル、あるいはシクロヘキシルであり、あるいは、
1は、-OR4であり、
3は、非置換またはC1-8アルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオおよび/もしくはハロゲンにより1回から4回置換されたフェニルであり、
4は、C1−C8アルキル、フェニルまたはベンジルである)の光開始剤である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記発光ダイオード源の出力は、390nmプラスまたはマイナス30nmを中心とする、請求項1に記載のプロセス。

【公表番号】特表2011−522937(P2011−522937A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512929(P2011−512929)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056498
【国際公開番号】WO2009/150060
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】