可視光反応型光触媒を含む溶剤型塗料およびそれを用いた積層構造体および冷凍装置

【課題】例えば室内に設置された冷蔵庫などの冷凍装置の扉表面や外箱表面に光触媒層を形成しておけば付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できる上、防汚性および撥油性などに優れる光触媒層を形成するための塗料、それを用いた積層構造体およびその積層構造体を用いて扉表面や外箱表面の少なくとも1部に光触媒層を形成した冷蔵庫の提供。
【解決手段】可視光反応型光触媒をフッ素系樹脂を含む有機溶剤に有効量配合した溶剤型塗料を用い、基材11表面あるいは基材11表面に形成されたデザイン樹脂層2の上に光触媒層3が積層されている積層構造体1および積層構造体1を用い光触媒層3が可視光が供給される外部に面するように外箱24および扉27および引出扉前面板28、29、30の少なくとも1部に形成されるように構成した冷蔵庫20により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光反応型光触媒を含む溶剤型塗料およびそれを用いた積層構造体および冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板などの基材の表面にフッ素系樹脂をコートすることにより防汚性および撥油性などを付与する技術が知られている。しかし、フッ素系樹脂をコートすることにより油などの汚れの付着性を低減させることはできるが、フッ素系樹脂自体にはセルフクリーニング作用がないため、フッ素系樹脂をコートした基材の表面に付着した汚れは拭き取るなどの作業が必要となる。またフッ素系樹脂コートは油類に対する親和力が小さいため、油類が付着した場合には表面に浮き上がり、フッ素系樹脂コート以外の一般の塗料コートの場合に比較して、外観が悪化する問題があった。
【0003】
油類や指紋などが冷蔵庫などの冷凍装置の扉表面や外箱表面に付着して汚くなるので、酸化チタンなどの光触媒の薄膜をこれらの表面に形成して、光触媒の作用により、有機物を分解して表面の汚染を防止する提案が多くなされている。
【0004】
しかし、光触媒コートの場合は、油類の分解効果はあるものの、油類に対する親和力が大きいため、油類が光触媒コートに強固に付着してしまい、光触媒の作用による油類の分解が困難になるという問題があった。
【0005】
そこで、鋼板などの基材の表面にフッ素系樹脂をコートし、その上に酸化チタンなどの光触媒の薄膜を形成することが提案されたが、光触媒層がフッ素系樹脂コートを覆ってしまうため、フッ素系樹脂コートの防汚性や撥油性などの機能が発現されないという問題が発生した。
【0006】
また、従来一般的に使用されるアナターゼ型酸化チタンなどの光触媒は、紫外線領域の特定の波長(約380nmよりも短波長)の光を吸収することにより優れた光触媒活性を示し、この光触媒作用に由来する強力な酸化作用により有機物などを酸化分解するなどの作用を発揮するものであるため、室内などでこの効果を利用する場合は、紫外線量が非常に少ないため、紫外線ランプや紫外線LEDなどを用いた特別な光源が必要であった。
【0007】
図4に、光触媒を用いて最外層に光触媒層を形成した従来の積層構造体の断面の1例(例えば、特許文献1参照)を示す。
従来の積層構造体10は、鋼板などの基材11の表面に顔料や染料などを配合したり、文字や模様などを形成したデザイン樹脂層12を密着して形成し、このデザイン樹脂層12の上に光触媒の酸化作用により侵されない金属粒子や酸化物微粒子などのフィラー13が添加された光触媒作用により侵されない材料の中間層14が形成されており、そしてこの中間層14の上に、無機系バインダーなどに光触媒微粒子を分散させた分散液をスプレーするなどしてコーテイングして光触媒層15を形成して構成されている。
【0008】
中間層14は光触媒層15に照射される紫外線を吸収することによって発揮される光触媒作用に由来する強力な酸化作用によりデザイン樹脂層12が劣化するのを防止するためのものである。
しかし、中間層14を形成するとデザイン樹脂層12の劣化は防止できるものの、デザイン樹脂層12が中間層14で覆われてしまうため、デザイン樹脂層12のデザイン性などの各種特性が失われる問題がある上、工数増加によりコストアップになる問題があった。
【0009】
一方、可視光領域でも優れた光触媒活性を示す可視光反応型光触媒が提案されている。例えばRFスパッタリング法を用いた窒素ドープによるもの(特許文献2参照)、イオン注入を用いた二酸化チタンへの遷移金属元素(Cr、V、Feなど)ドープによるもの(特許文献3参照)、表面から内部へと陽イオンを含有させた半導体を還元処理して得られるもの(特許文献4参照)、チタンアルコキシドと希土類元素化合物と、有機溶剤とを含む溶液を加水分解させ、得られたゾルを300℃以上で熱処理して得られる、チタン酸化物に希土類元素がドープされたもの(特許文献5参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2001−199001号公報
【特許文献2】特開2001−205094号公報
【特許文献3】特開平9−262482号公報
【特許文献4】特開2000−237598号公報
【特許文献5】特開2005−74376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の目的は、従来の問題を解決し、従来のようにデザイン樹脂層12を中間層14で覆わなくてもよい上、紫外線量が非常に少ない室内などで使用しても優れた光触媒活性を示すので、例えば室内に設置された冷蔵庫などの冷凍装置の扉表面や外箱表面に光触媒層を形成しておけば、紫外線ランプや紫外線LEDなどの特別な光源を設置しなくても、付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できるセルフクリーニング効果を有する上、防汚性および撥油性などを備えた光触媒層を形成するための塗料を提供することであり、
本発明の第2の目的は、その塗料を用いて光触媒層を形成した積層構造体であって、エアコン、洗濯機、電子レンジ、空気清浄機、クリーナ、冷蔵庫などの各種の2次製品を作れる安価な積層構造体を提供することであり、
本発明の第3の目的は、その積層構造体を用いて扉表面や外箱表面の少なくとも1部に光触媒層を形成した冷蔵庫などの安価な冷凍装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解消するための本発明の請求項1記載の発明は、可視光反応型光触媒をフッ素系樹脂を含む有機溶剤に有効量配合したことを特徴とする可視光反応型光触媒を含む溶剤型塗料である。
【0012】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶剤型塗料において、前記可視光反応型光触媒を1〜20質量%含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3記載の発明は、基材からなる層と、基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に請求項1あるいは請求項2記載の溶剤型塗料を用いて形成された光触媒層とが積層されていることを特徴とする積層構造体である。
【0014】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項3記載の積層構造体を用い光触媒層が可視光が供給される外部に面するように外箱および扉の少なくとも1部に形成されるように構成したことを特徴とする冷凍装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載の発明は、可視光反応型光触媒をフッ素系樹脂を含む有機溶剤に有効量配合したことを特徴とする可視光反応型光触媒を含む溶剤型塗料であり、
貯蔵性や塗装性や経済性に優れ、公知の塗装法により基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に、あるいは冷蔵庫などの各種の2次製品表面に光触媒層を形成することができ、形成された光触媒層は紫外線量が非常に少ない室内などで使用しても、可視光領域でも優れた光触媒活性を示すので、例えば室内に設置された冷蔵庫などの冷凍装置の扉表面や外箱表面に光触媒層を形成しておけば、紫外線ランプや紫外線LEDなどの特別な光源を設置しなくても、付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できるセルフクリーニング効果を有する上、従来のようにデザイン樹脂層を設ける場合でも中間層で覆わなくてもよく、また防汚性および撥油性などにも優れているという、顕著な効果を奏する。
【0016】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶剤型塗料において、前記可視光反応型光触媒を1〜20質量%含むことを特徴とするものであり、
前記可視光反応型光触媒の配合量を特定の範囲内としたので確実に優れた光触媒活性を発揮させて付着した油類や指紋などを確実に分解して汚染を防止できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
【0017】
本発明の請求項3記載の発明は、基材からなる層と、基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に請求項1あるいは請求項2記載の溶剤型塗料を用いて形成された光触媒層とが積層されていることを特徴とする積層構造体であり、
この積層構造体を利用してエアコン、洗濯機、電子レンジ、空気清浄機、クリーナ、冷蔵庫などの各種の2次製品を作ったり、組み立てたりすることができ、そして積層構造体自体や2次製品が例え紫外線量が非常に少ない室内に設置されても、2次製品の表面に形成された光触媒層の優れた光触媒活性を利用して、紫外線ランプや紫外線LEDなどの特別な光源を設置しなくても、付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できるセルフクリーニング効果を有する上、従来のようにデザイン樹脂層を設ける場合でも中間層で覆わなくてもよく、また防汚性および撥油性などにも優れているという、顕著な効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項3記載の積層構造体を用い光触媒層が可視光が供給される外部に面するように外箱および扉の少なくとも1部に形成されるように構成したことを特徴とする冷凍装置であり、
例え紫外線量が非常に少ない室内に設置されても、その表面に形成された光触媒層の優れた光触媒活性を利用して、紫外線ランプや紫外線LEDなどの特別な光源を設置しなくても、付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できるセルフクリーニング効果を有する上、従来のようにデザイン樹脂層を設ける場合でも中間層で覆わなくてもよく、また防汚性および撥油性などにも優れているという、顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の積層構造体の1例の断面の形態を説明する説明図である。
図2は本発明の積層構造体の他の例の断面の形態を説明する説明図である。
図1に示したように、本発明の積層構造体1は、鋼板などの基材11の表面に公知の方法を用いて顔料や染料などを配合したり、文字や模様などを形成したデザイン樹脂層2が密着して形成されており、そしてこのデザイン樹脂層2の上に所定量の可視光反応型光触媒4とフッ素系樹脂5とを含む溶剤型塗料を用いて公知の方法により塗装、コーテイングした後、乾燥するなどして溶剤を除いて形成された光触媒層3が積層されて構成されている。
【0020】
図2に示したように、本発明の他の積層構造体1(A)は、鋼板などの基材11の表面に所定量の可視光反応型光触媒4とバインダー樹脂5とを含む溶剤型塗料を用いて公知の方法により塗装、コーテイングした後、乾燥するなどして溶剤を除いて形成された光触媒層3が積層されて構成されている。
【0021】
本発明の積層構造体1、1(A)は例え紫外線量が非常に少ない室内に設置されても、光触媒層3中の可視光反応型光触媒4が可視光領域でも優れた光触媒活性を示すので、表面に付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止でき、優れたセルフクリーニング効果を有する上、フッ素系樹脂の効果により防汚性および撥油性などにも優れている。
【0022】
図3は本発明の積層構造体1、1(A)を用い光触媒層3が可視光が供給される外部に面するように外箱の外表面および扉の外表面に形成された冷蔵庫の1例の断面の形態を説明する説明図である。
図3において20は家庭用冷蔵庫である。この家庭用冷蔵庫20は、上から冷蔵室R(冷蔵温度帯エリア)、野菜室冷蔵室V(冷蔵温度帯エリア)、冷凍室(冷凍温度帯エリア)Fの順で配置されている。この冷蔵庫20は、少なくとも圧縮器、凝縮器、蒸発器からなる冷凍サイクルを有するものであり、蒸発器(エバ)を冷蔵温度帯エリア冷却用の冷蔵用の蒸発器21と、冷凍温度帯エリア冷却用の冷凍用の蒸発器22の2つを有し、2エバ・タイプと呼ばれるものである。
【0023】
庫内には複数の棚23を有して被冷却物を収納可能にしている。
24は外箱、25は内箱であり、26はこの両者(24、25)間に発泡充填された断熱材である。
【0024】
27は家庭用冷蔵庫20の前面に備えられた冷蔵室用の開閉自在な回転扉であり、片側に設けた回転軸を中心に開閉する。28は野菜室冷蔵室Vの引出扉前面板であり、29および30は冷凍室Fの引出扉前面板である。31は冷蔵庫内の空気を循環させる風路であり、34は冷凍室内の空気を循環させる風路である。この風路31中に冷蔵室用の蒸発器21および冷蔵庫内の空気を循環させるファン32が設置されており、風路34中に冷凍室用の蒸発器22および冷凍室内の空気を循環させるファン33が設置されており、風路31を通って蒸発器21おで冷却された冷気をファン32を介して冷蔵室へ吐出させ、風路34を通って蒸発器22で冷却された冷気をファン33を介して冷凍室へ吐出させるようになっている。
【0025】
そして本発明の家庭用冷蔵庫20の外箱24の天面および図示しない両側面、回転扉27の外表面、野菜室冷蔵室Vの引出扉前面板28の外表面、冷凍室Fの引出扉前面板29および引出扉前面板30の外表面には、図1に示した本発明の積層構造体1あるいは図2に示した本発明の積層構造体1(A)を用いて光触媒層3が可視光が供給される外部に面するように形成されている。
【0026】
本発明の家庭用冷蔵庫20は、紫外線ランプや紫外線LEDなどを用いた特別な光源を設置せずに、例え紫外線量が非常に少ない室内に設置されても、外箱24の天面および図示しない両側面、回転扉27の外表面、野菜室冷蔵室Vの引出扉前面板28の外表面、冷凍室Fの引出扉前面板29および引出扉前面板30の外表面に形成された光触媒層3の優れた光触媒活性を利用してこれらの表面に付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止できるセルフクリーンニング効果を有する上、フッ素系樹脂の効果により防汚性および撥油性などに優れている。図1に示した本発明の積層構造体1を用いた場合、デザイン樹脂層2が劣化しないのでデザイン性などの各種特性を維持できる。
【0027】
本発明で用いる可視光反応型光触媒としては、前記のような公知の可視光反応型光触媒を用いることができる。
可視光反応型光触媒の一部を活性炭、シリカゲル、ゼオライトなどから選ばれる1種と置き換えることも可能である。
【0028】
本発明で用いるフッ素系樹脂は、具体的には例えば、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP樹脂)、4フッ化エチレン・パーフロロアルコキシ共重合体(PFA樹脂)、エチレン・テトラフロロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリテトラフロロエチレン重合体(PTFE樹脂)あるいはこれらの組み合わせなどを例示することができる。中でも光触媒層を形成した時、約400〜800nmの領域の可視光の透過率が高く、透明性に優れたフッ素系樹脂は好ましく使用できる。
【0029】
本発明の溶剤型塗料が可視光反応型光触媒を1〜20質量%含むと、確実に優れた光触媒活性を発揮させて付着した油類や指紋などを確実に分解して汚染を防止できるので好ましい。
配合量が1質量%未満では、確実に優れた光触媒活性を発揮できない恐れがあり、20質量%を超えると光触媒活性が強過ぎてデザイン樹脂層2の劣化を抑制したり、防止したりできない恐れがあり、いずれも好ましくない。
【0030】
本発明で用いる有機溶剤としては、フッ素系樹脂を良く分散ないし溶解できる溶剤が好ましく、具体的には、例えば、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセルロースアセテートなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤、ケトン類とブチルセルロースアセテートなどのソルベッソ類、これらの2種以上の組み合わせなどを挙げることができる。
有機溶剤の使用量は特に限定されないが、例えば有機溶剤50〜70質量部に対して前記フッ素系樹脂50〜30質量部を用いる例を挙げることができる。
【0031】
本発明の溶剤型塗料に、光触媒層の光触媒の光触媒活性を損なわない範囲で他の添加剤を配合することができる。他の添加剤としては、具体的には、例えば、表面調整剤、乳化剤、分散剤、増粘剤など通常塗料用添加剤として知られている添加剤を挙げることができる。
【0032】
本発明で用いる基材の材質としては、具体的には、例えば、鋼、アルミニウム、ステンレス、チタン、各種合金などの金属、ガラス、セラミックスなどの無機質材料、各種木質材料、各種プラスチックなどを挙げることができる。基材の形状や形態は板状や波板状などでもよく、あるいは扉、外箱、引出扉前面板などの各種2次製品の形状や形態に合わせて成形されたものなどいずれでもよく、特に限定されるものではない。
鋼板の例としては、例えば、表面に酸洗い、リン酸処理、ブラスト処理などの下地処理が予め施された鋼板を挙げることができる。
これらは表面に必要に応じてポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系などのプライマーを塗装し、硬化乾燥させた厚さ約0.5〜30μm程度の塗膜を形成したおくこともできる。
【0033】
基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に本発明の溶剤型塗料を用いて光触媒層を形成するには、例えば、ディップ塗装、ハケ塗装、ロール塗装、エアスプレー、エアレススプレー、静電スプレー、シャワーコートなど通常行われている公知の方法を用いることができる。
【0034】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、あるいは範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【実施例】
【0035】
以下本発明を実施例および比較例により、具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1)
冷蔵庫の扉表面(材質:SUS430、板厚み0.45mmの鋼板)上にデザイン樹脂層を設け、その上に、公知の塗装法により下記組成の本発明の溶剤型塗料を用いて光触媒層を形成した。
組成: 質量部
透明樹脂;熱硬化型フッ素変性ポリエステル系樹脂 25
可視光反応型光触媒;窒素ドープ型光触媒 5
有機溶剤;ブチルセルロースアセテート/イソポロン 20/50
分散剤;アミノ酸系分散剤 0.05
この冷蔵庫の扉表面の光触媒層は防汚性および撥油性などに優れており油などの汚れの付着性を低減させた。そして室内に設置して長期に使用すると、扉表面の光触媒層上に指紋などが付着したが、光触媒活性により分解された。
光触媒層の透明樹脂やデザイン樹脂層の樹脂にチョーキングなどの劣化の発生については、透明樹脂として熱硬化型フッ素変性ポリエステル系樹脂を用いる替わりに熱硬化型ポリエステル系樹脂を用いた場合に比較して、熱硬化型フッ素変性ポリエステル系樹脂を用いると劣化が発生し難く、チョーキング発生時間が約5倍長かった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の溶剤型塗料は、貯蔵性や塗装性や経済性に優れ、公知の塗装法により基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に、あるいは冷蔵庫などの各種の2次製品表面に光触媒層を形成することができ、形成された光触媒層は紫外線量が非常に少ない室内などで使用しても、可視光領域でも優れた光触媒活性を示すので、例えば室内に設置された冷蔵庫などの冷凍装置の扉表面や外箱表面に光触媒層を形成しておけば、紫外線ランプや紫外線LEDなどの特別な光源を設置しなくても、付着した油類や指紋などを容易に分解して汚染を防止でき、優れたセルフクリーニング効果を有する上、従来のようにデザイン樹脂層を設ける場合でも中間層で覆わなくてもよく、また防汚性および撥油性などにも優れているという、顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の積層構造体の1例の断面の形態を示す説明図である。
【図2】本発明の積層構造体の他の例の断面の形態を示す説明図である。
【図3】本発明の冷蔵庫の1例の断面の形態を示す説明図である。
【図4】従来の積層構造体の断面の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1、1(A) 積層構造体
2 デザイン樹脂層
3 光触媒層
4 可視光反応型光触媒
5 フッ素系樹脂
11 基材
20 家庭用冷蔵庫
24 外箱
27 回転扉
28 野菜室冷蔵室Vの引出扉前面板
29、30 冷凍室Fの引出扉前面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光反応型光触媒をフッ素系樹脂を含む有機溶剤に有効量配合したことを特徴とする可視光反応型光触媒を含む溶剤型塗料。
【請求項2】
前記可視光反応型光触媒を1〜20質量%含むことを特徴とする請求項1記載の溶剤型塗料。
【請求項3】
基材からなる層と、基材表面あるいは基材表面に形成されたデザイン樹脂層の上に請求項1あるいは請求項2記載の溶剤型塗料を用いて形成された光触媒層とが積層されていることを特徴とする積層構造体。
【請求項4】
請求項3記載の積層構造体を用い光触媒層が可視光が供給される外部に面するように外箱および扉の少なくとも1部に形成されるように構成したことを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−146041(P2007−146041A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344015(P2005−344015)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】