可視光応答型光触媒合成法、光触媒材料、光触媒塗料及び光触媒体
【課題】本発明は、光触媒性能を大幅に向上しえる酸化タングステン可視光応答型光触媒合成法及び光触媒体を得ることを課題とする。
【解決手段】金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【解決手段】金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化タングステンを主成分とする可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒材料、可視光応答型光触媒塗料及び可視光応答型光触媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光触媒材料としては主に酸化チタンが使用されている。酸化チタン光触媒は、防汚,消臭等応用製品が広く使用されているが、紫外線によって励起する性質を有しているので、紫外線が少ない屋内用途では十分な光触媒性能が得られないという問題がある。その対策として、いわゆる可視光応答型光触媒が盛んに研究開発されている。具体的には、酸化チタンに窒素をドープしたタイプや酸化チタンに白金を担持したタイプが開発されている。しかし、このタイプの光触媒は、主な励起光の波長範囲が400〜410nmであるため、屋内の照明の光では光触媒性能が不足している。
【0003】
また、可視光応答型光触媒として酸化タングステンや酸化鉄が検討されている。酸化タングステンはバンドギャップが2.5eVで色が黄色で、建材等に応用する場合有利な材料である。また、有害性が少なく、比較的安価な材料である。なお、酸化タングステンの可視光による光触媒効果は、反応性スパッター法で作成した膜で認められている(特許文献1あるいは非特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−152130号公報
【非特許文献1】「光触媒」、エヌ,ティー,エス社、2005年5月27日発行、p676)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化タングステンは常温大気中で三酸化タングステンが安定であるが,この三酸化タングステンは結晶構造が複雑で変化しやすい特徴を持つ。通常、パラタングステンアンモニウムやメタンタングステン酸アンモニウム,タングステン酸から作成した三酸化タングステンは単斜晶系であるが、粉を処理する際の応力によって容易に結晶構造が変化し三斜晶系に変化してしまう(J.Solid State Chemistry 143,2432(1999))。光触媒は光により励起された電子と正孔が表面まで移動する必要があり、結晶内に再結合センターとなる欠陥が少なく、粒子を小さくする必要がある。
【0005】
従来、酸化タングステン粉で十分な光触媒効果が得られなかった理由は、粉の前処理での加工時に部分的に結晶変化が発生して異なる結晶が混在し、この境界が電子と正孔の再結合を起こす欠陥になっているためと考えられる。市販されているWO3微粒子は粒子が1〜100μmと大きく、WO3光触媒粉末を塗料化するにあたり、ボールミルやビーズミルで分散処理を行なう必要がある。しかし、分散処理を行なう際に触媒活性が減少し活性の高い塗料が得られなくなる等の問題もある。
本発明は、こうした問題点を解消するためになされたもので、光触媒性能を大幅に向上しえる可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒体及び可視光応答型光触媒塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法(第1の発明)は、金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする。
(2) 請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法は、上記(1)において、金属タングステンを昇華または燃焼させて発生した酸化タングステン微粒子ヒュームを回収することを特徴とする
(3) 請求項3記載の可視光応答型光触媒合成法は、上記(2)において、酸化タングステン微粒子ヒュームを、600〜1000℃の酸化雰囲気電気炉を通過させることを特徴とする。
(4) 請求項4記載の可視光応答型光触媒材料は、XRD分析の測定により、(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を備えていることを特徴とする。
【0007】
(5) 請求項5記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(4)において、前記酸化タングステン微粒子には、立方晶系の結晶構造の粒子がその他の結晶構造の粒子よりも多く含まれていることを特徴とする。
(6) 請求項6記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(4)または(5)において、酸化タングステン微粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μm以下であることを特徴とする。但し、好ましい平均粒子径は0.01〜0.05μmである。ここで、平均粒子径が0.01μm未満であると微粒子の分散性が低下して塗料化が困難となり、0.1μmを超えると微粒子表面で発生する光触媒反応が低下するので、好ましくない。
【0008】
(7) 請求項7記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(6)において、立方晶系の結晶構造を少なくとも含むことを特徴とする。
(8) 請求項8記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(7)において、立方晶系の結晶構造の粒子の他に、単斜晶系及び三斜晶系の結晶構造の粒子の少なくともいずれかの粒子を含むことを特徴とする。
(9) 請求項9記載の可視光応答型光触塗料は、上記(4)乃至(8)のいずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を純水に分散してなることを特徴とする。ここで、酸化タングステンはアルカリ性の溶液に溶解する性質を有しているので、安定化した塗料とするために中性の分散媒体として純水を用いている。
【0009】
(10) 請求項10記載の可視光応答型光触塗料は、上記(9)において、前記光触媒材料を40〜120kHzの超音波で分散処理してなることを特徴とする。但し、超音波出力条件や時間条件により異なるが、好ましくは60〜100kHzの周波数が好ましい。ここで、周波数が40kHz未満では凝集していた微粒子を効率良く分散処理することができず、120kHzは市販の製品の限界の周波数である。
(11) 請求項11記載の可視光応答型光触塗料は、上記(4)乃至(8)いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を含み、かつAl,Zr,Siのいずれかの金属酸化物バインダーまたはAl−Siの複合酸化物バインダーを前記可視光応答型光触媒媒体に対して1〜10質量%含むことを特徴とする。ここで、バインダーが1質量%未満では塗膜としての強度が十分でなく、10質量%を超えると光触媒活性が弱くなる。
【0010】
(12) 請求項12記載の可視光応答型光触媒体は、上記(9)乃至(11)いずれか一記載の可視応答型光触媒塗料が塗布されて光触媒膜が形成されていることを特徴とする。本発明の光触媒体としては、前記光触媒塗料を基体表面に塗布して光触媒膜が形成された構成のものが挙げられる。ここで、光触媒体としては、例えば蛍光ランプ等の管球製品、窓ガラス,鏡,タイル等の建材、衛生用品、空調機器や脱臭器のフィルター部品、光学機器等が挙げられるが、適用可能な用途、カテゴリーはこれらに限られるものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属タングステンを昇華または燃焼させる等によって得られた酸化タングステンをXRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することにより、光触媒性能を大幅に向上しえる酸化タングステン可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒体及び可視光応答型光触媒塗料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の具体的な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。図中の符番1は、金属タングステンワイヤー2を送り出すタングステンワイヤースプール(以下、スプールと呼ぶ)を示す。金属タングステンワイヤー2は、ガスバーナ3により加熱、燃焼されて酸化タングステン微粒子のヒューム4となる。このヒューム4は、回収装置としての電気集塵機5に設けられたヒューム吸引管6により回収される。ヒューム吸引管6の一部は、電気炉7内に配置されている。
【0013】
まず、金属タングステンワイヤーを、バーナーにより1000〜1700℃程度で短時間(1cmあたり5〜15秒)加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子のヒュームが大気に放出される。発生したヒュームには立方晶系と三斜晶系と単斜晶系の3種類以上が混在し、三斜晶系リッチの0.07〜0.1μmの超微粒子が含まれている。次に、このヒュームを電気集塵機により採取し、WO3微粒子を得る。つづいて、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるため、600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に前記ヒュームを導入し、短時間で熱処理を行い、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。
【0014】
上記第1の実施形態によれば、立方晶系の結晶構造の微粒子がその他の結晶構造の微粒子よりも多く含まれる光触媒性能に優れた酸化タングステン可視光応答型光触媒体を得ることができる。なお、WO3微粒子のヒュームを電気集塵法によって回収する場合には、HEPAフィルタ等を用いて回収する場合に比べて、フィルタの目詰まりやフィルタ成分の混入がないので、純度の高い微粒子を容易に回収することができ、また回収装置の吸引条件、速度、量の調節が容易になり、安定した活性を持った所望のWO3超微粒子を得ることができる。
【0015】
図2は、アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。図中の符番8は、容量3000ccの測定容器を示し、内部に光触媒粉(質量:0.1g)入り時計皿9が配置され、その下部にファン10が配置されている。また、測定容器8の上部には、光源11としての白色LED(NSPW500BS使用)が配置されている。測定容器8には、測定器としてのマルチガスモニタ12が配管13を介して接続されている。なお、導入ガスとしては、アセトアルデヒド10ppmが用いられる。
【0016】
図2の測定装置を用いて、三酸化タングステン微粒子についてアセトアルデヒドガスの分解試験を行ったところ、図3に示す特性図が得られた。図3中の線aは単斜晶系リッチの酸化タングステン微粒子光触媒の場合、線bは上記実施形態に係る立方晶形リッチの酸化タングステン微粒子光触媒の場合、線cは光触媒を測定容器に配置していない場合を示す。
【0017】
また、上記第1の実施形態に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、XRD(X線回折:X−ray diffraction)分析を行なったところ、図4の(A)に示すようなチャートが得られた。ここで、図4の(A)はXRD分析に基づく測定結果のチャートであり、強度(CPS)と角度2θ(度)との関係を示している。図4の(B)は単斜晶系のデータ、図4の(C)は立方晶系のデータを夫々示す。図4より、(200)面のピーク強度が矢印Xのようにもっとも強く出ることがわかる。
【0018】
なお、(200)面のピーク強度がもっとも強く出ていることは、バーナーによる昇華温度を種々変えて強度特性を測定した図5の特性図からも明らかであった。図5において、線aは市販のWO3微粒子のXRDチャートを、線bはヒューム回収後の加熱なしのWO3微粒子のXRDチャートを示す。図5により、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるための加熱温度を600〜1000℃に変化されたが、いずれにおいても(200)面でピーク強度がもっとも強く出ていることが明らかであり、可視光の照射によって光触媒活性が認められた。
【0019】
(第2の実施形態)
まず、金属タングステンワイヤーを、バーナーにより1000〜1700℃程度で短時間(1cmあたり5〜15秒)加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子のヒュームが大気に放出される。発生したヒュームには立方晶系と三斜晶系と単斜晶系の3種類以上が混在し、三斜晶系リッチの0.03〜0.1μmの超微粒子が含まれている。次に、このヒュームを電気集塵機により採取し、WO3微粒子を得る。つづいて、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるため、600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に前記ヒュームを導入し、短時間で熱処理を行い、高活性のWO3微粒子を合成する。
【0020】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。なお、酸化タングステンの微粒子をより進めると、10〜20nmの粒子径まで進行するが、この超微粒子化されたものは立方晶系の構造である。また、さらなる微粒子化により光触媒粉体の比表面積が向上し光触媒分解活性も向上する。
【0021】
(第3の実施形態)
第2の実施形態で合成されたWO3微粒子を純水に混合させ、金属酸化物バインダーとしてのZrO2を固形成分としてWO3微粒子に対し約10〜20質量%添加した後、例えば周波数100kHzの超音波で分散処理を行い、可視光応答型光触媒塗料を得た。
第3の実施形態によれば、特定の周波数の超音波で分散処理を行うことにより、凝集していたWO3微粒子を効率よく分散することができる。事実、時間を同じにして周波数を100kHz,60kHzと異ならせたときの分散状況を調べたところ、図6に示す結果が得られた。図6より超音波の周波数により分散状況も変化していることが分かる。特に、周波数の高い方は周波数の低い方に比べて分散状況がより良くなることが明らかである。なお、超音波による分散処理と比較する意味で物理的分散処理による試験も行ったが、物理的分散処理では高活性な状態から悪くなる方へ変化することが確認できた。
【0022】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る光触媒粉体は、次のようにして作成した。
まず、パラタングステンアンモニウム塩(APT)ビーズミルや遊星ミル等で粉砕し、遠心分離により分級した。次に、この微粒子を大気中で400〜600℃で熱処理することにより、平均粒径0.01〜0.1μmで、三酸化タングステン微粒子からなる光触媒粉体が精製できる。本実施形態では、大気中約500℃で熱処理することにより、平均粒径0.05μmのXRDによる分析で(002)面と(100)面との強いピークを有する三酸化タングステン微粒子を得ることができた。なお、前記熱処理によって若干結晶成長して粒度が大きくなることが判明した。
【0023】
即ち、WO3光触媒微粒子(平均粒子径:0.01〜0.1μm)のXRDデータを調べたところ、例えば図7の(A),(B)に示すような特性図が得られた。図7の(A)は、十分に熱処理を行っていない点を除いては、本実施形態と同様の方法で合成したものであり、所定の角度2θ(度)の近辺で単斜晶(002)面と単斜晶(200)面が高いピーク強度を有している。図7の(B)は本実施形態のWO3光触媒微粒子であり、図7の(A)と同様な角度2θの近辺で単斜晶(002)面の高いピーク強度と、この面より更に高いピーク強度の立方晶(100)面のピーク強度を有している。
【0024】
また、種々のサンプルを用意して、立方晶(100)面と単斜晶(002)面の強度比の異なるWO3微粒子光触媒のガス分解活性を比較したところ、図8に示す特性図が得られた。図8より、立方晶(100)面の強度比が強くなると、1時間後のアセトアルデヒドガス分解活性が向上することが明らかである。
【0025】
第4の実施形態では、可視光応答型光触媒体が、平均粒子径が0.01〜0.1μmのWO3微粒子であるとともに、立方晶系と単斜晶系のWO3微粒子を含み、かつ立方晶(100)面の強度比が単斜晶(002)面の強度比より強い構成とすることにより、高いアセトアルデヒドガス分解活性を得ることができる。
【0026】
(第5の実施形態)
図9は、光触媒微粒子を製造する製造装置を示す。この製造装置は、スプレードライヤー本体Aと、気体液体混合部Bと、加圧空気導入部Cと、溶液導入部Dと、粒体回収部Eとから構成されている。図中の符番21は、上部に分配器22を備えた乾燥チャンバーを示す。ここで、分配器22は、乾燥チャンバー21を200℃に加熱するためのエアー導入口の働きをする。乾燥チャンバー21には、噴霧ノズル23、及び電磁弁24を介装した配管25aが分配器22を貫通するように配置されている。前記配管25aは、水溶液を加圧し、霧化させるだけのエアー導入口の働きをする。前記乾燥チャンバー21の上部には、配管25bにより給気されるようになっている。前記配管25bは、水溶液とエアーを加熱するための熱風給気口の働きをする。前記配管25aは、途中でニードル弁26を介装した配管25cに分岐されている。
【0027】
前記配管25cは、噴霧ノズル23の上部と連結されている。噴霧ノズル23の上部には、試料27をポンプ28により噴霧ノズル23内に供給するチューブ29が接続されている。噴霧ノズル23内に供給される試料27の量は、ポンプ28により適宜調節できるようになっている。前記乾燥チャンバー21の側部には、噴霧ノズル23から霧状噴霧された生成物を取り出すサイクロン30が連結されている。更に、サイクロン30には、光触媒微粒子を収集する生成物容器31と、排気のためのアスピレータ32が接続されている。
【0028】
前記乾燥チャンバー21の入口側、出口側には図示しない温度センサーが配置され、乾燥チャンバー21へ供給する空気の温度、サイクロン30に送られる光触媒微粒子の雰囲気温度が夫々測定されるようになっている。また、配管25c内に供給される空気は、噴霧ノズル23の上部側でチューブ29内に供給される試料27と混合され、噴霧ノズル23の下部から霧状に噴出される。
【0029】
次に、図9の製造装置を用いて光触媒微粒子を製造する場合について説明する。
まず、例えば4質量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液(試料)を、加圧空気とともに図9の噴霧ノズル23内に送り、200℃熱風雰囲気中で噴霧ノズル23の先端からスプレーして粒径1〜10μmに噴霧させ、粒状原料を生成する。この際、配管25aから噴霧ノズル23の先端付近に加圧空気を送り、噴霧ノズル23から噴霧される光触媒微粒子に酸素を供給する。水溶液の濃度が4質量%であれば、40〜400nmのパラタングステン酸アンモニウムの粒状原料が得られる。次に、乾燥チャンバー21内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なって、前記原料を強制的に乾燥して再結晶化させる。これにより三酸化タングステン微粒子を主成分とし、該微粒子の平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下であり、結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン光触媒微粒子を形成する。つづいて、アスピレータ32で乾燥チャンバー21内の排気を行いながら、乾燥チャンバー21内の光触媒微粒子をサイクロン30より生成物容器31内に収集する。
【0030】
第5の実施形態によれば、配管25aから噴霧ノズル23の先端付近に加圧空気を送って、光触媒微粒子に酸素を供給することにより、酸素欠陥の少ないWO3結晶光触媒微粒子を得ることができる。また、乾燥チャンバー21内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なうことにより、第4の実施形態のようにXRD分析で(001)面と(200)面とに強いピークを有する単斜晶、立方晶複合形のWO3光触媒微粒子を得ることができる。
【0031】
(第6の実施形態)
本実施形態の微粒子は、市販のパラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶化して得られた原料を大気中高温で1分加熱焼成することにより製造された三酸化タングステン微粒子である。
本実施形態のWO3光触媒微粒子についても、加熱、焼成条件を調整することによって、第4の実施形態のようにXRD分析で(001)面と(200)面とに強いピークを有する単斜晶、立方晶複合形のWO3光触媒微粒子に合成することができる。
【0032】
(第7の実施形態)
図10は本発明に係る光触媒体としての蛍光ランプの構成を模式的に示す断面図であり、図10(A)は切欠断面を含む断面図、図10(B)は前記蛍光ランプの一構成である光触媒膜の模式的な断面図を示す。
図中の符番40は光触媒体としての蛍光ランプを示し、蛍光ランプ本体50と、この蛍光ランプ本体50の表面に形成された光触媒膜60とから構成されている。前記蛍光ランプ本体50は、透光性放電容器51と、蛍光体層52と、一対の電極53,53と、図示しない放電媒体と、口金54からなる。
【0033】
前記透光性放電容器51は、細長いガラスバルブ51a及び一対のフレアステム51bによって構成されている。前記ガラスバルブ51aはソーダライムガラスからなる。前記フレアステム51bは、排気管と、フレアと、内部導入線と、外部導入線を備えている。前記排気管は、透光性放電容器51の内外を連通して、透光性放電容器51の内部を排気し、かつ、放電媒体を封入するのに用いられる。そして、排気管は、放電媒体を封入した後に封止される。前記フレアは、ガラスバルブ51aの両端に封着されて透光性放電容器51を形成している。
【0034】
前記蛍光体層52は、3波長発光形蛍光体からなり、透光性放電容器51の内面に形成されている。一対の電極53,53は、透光性放電容器51の両端内部において、離間対向する一対の内部導入線の先端部間に継線されている。また、電極53は、タングステンのコイルフィラメントと、コイルフィラメントに被着された電子放射性物質からなる。
【0035】
前記放電媒体は、水銀及びアルゴンからなり、透光性放電容器51の内部に封入されている。水銀は、その適量が排気管を経由して封入される。前記口金54は、口金本体54aと一対の口金ピン54b,54bからなる。口金本体54aは、キャップ状をなしていて、透光性放電容器51の両端部に接着されている。一対の口金ピン54b,54bは、口金本体54aに互いに絶縁関係に支持されているとともに、それぞれ外部導入線に接続している。
【0036】
前記光触媒膜60は、三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)を主成分とした光触媒塗料からなる膜であり、その膜厚は約0.5〜3μmである。前記三酸化タングステン微粒子は、塗装完了後でも上記実施形態の結晶構造を維持している。前記光触媒膜60は、光触媒微粒子61とアルミナ微粒子、シリカ微粒子またはジルコニア微粒子等の紫外線または可視光の透過特性のよいバインダー52とから形成されている。前記光触媒微粒子51は、三酸化タングステン微粒子51aと、この三酸化タングステン微粒子51aの表面に添着された炭酸カルシウム微粒子51bから構成されている。なお、バインダー52は、三酸化タングステン微粒子51aに対して10〜50質量%の範囲で添加される。また、バインダー52にアクリル変性シリコンやシリコーン系樹脂を用いると、20〜200℃で硬化する光触媒膜にすることができる。また、炭酸カルシウム微粒子51bはNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)を吸着する物質として機能するものであり、NOxやSOxによる三酸化タングステン微粒子51aの劣化抑制が必要なければ、炭酸カルシウム微粒子51bの添着は必須ではない。
【0037】
図11は発明に係る光触媒体としての脱臭ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、図11(A)は前記脱臭ユニットの概略的な斜視図、図11(B)は図11(A)の概略的な側面図を示す。なお、図11(B)では、便宜上、三酸化タングステン微粒子を図示していない。
図中の符番61は光触媒体としての脱臭ユニットを示し、上下の平坦なメッシュ状の第1・第2のフィルター62a,62bとこれらのフィルター62a,62b間に配置された断面波板状の第3のフィルター63とを備えている。前記各フィルター62a,62b,63には、本発明による三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)64が担持されている。前記第2のフィルター62bの下側には、複数のGaN青色発光ダイオード65が配置されている。なお、このダイオード65の代わりに青色光で励起される蛍光体を使用した白色発光ダイオードを配置してもよい。こうした構成の脱臭ユニットにおいて、空気が第1・第2のフィルター62a,62間の第3のフィルター63を例えば左側から右側へ通過する際、空気が各フィルターに担持された三酸化微粒子に触れることにより脱臭が行われる。
【0038】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明に係る酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。
【図2】図2はアセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。
【図3】図3は本発明の実施形態による酸化タングステン膜のアセトアルデヒドガス分解効果を示す。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、XRD分析を行なった場合のXRDチャートを示す。
【図5】図5は本発明に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、バーナーによる加熱温度を種々変更してXRD分析を行なった場合のXRDチャートを示す。
【図6】図6は第3の実施形態に係るWO3微粒子の周波数を100kHz,60kHzと異ならせたときの分散状況の特性図を示す。
【図7】図7は異なる結晶面を有するWO3微粒子光触媒のXRDデータの特性図を示す。
【図8】図8は第4の実施形態に係るWO3微粒子の立方晶(100)面:単斜晶(002)面強度比と1時間後のアセトアルデヒドガス分解率との関係の特性図を示す。
【図9】図9は本発明に係る光触媒微粒子を形成するための製造装置の概略図を示す。
【図10】図10は本発明に係る光触媒体としての蛍光ランプの模式的な説明図を示す。
【図11】図11は本発明に係る光触媒体としての脱臭ユニットの概略説明図を示す。
【符号の説明】
【0040】
1…測定容器、2…光触媒入り時計皿、4…光源、5…マルチガスモニタ、40…蛍光ランプ、41…透光性放電容器、42…蛍光体層、43…電極、50…蛍光ランプ本体、51…光触媒微粒子、51a…三酸化タングステン、51b…炭酸かカルシウム微粒子、52…バインダー、60…光触媒膜、61…脱臭ユニット、62a,62b,63…フィルター、64…三酸化タングステン微粒子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化タングステンを主成分とする可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒材料、可視光応答型光触媒塗料及び可視光応答型光触媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光触媒材料としては主に酸化チタンが使用されている。酸化チタン光触媒は、防汚,消臭等応用製品が広く使用されているが、紫外線によって励起する性質を有しているので、紫外線が少ない屋内用途では十分な光触媒性能が得られないという問題がある。その対策として、いわゆる可視光応答型光触媒が盛んに研究開発されている。具体的には、酸化チタンに窒素をドープしたタイプや酸化チタンに白金を担持したタイプが開発されている。しかし、このタイプの光触媒は、主な励起光の波長範囲が400〜410nmであるため、屋内の照明の光では光触媒性能が不足している。
【0003】
また、可視光応答型光触媒として酸化タングステンや酸化鉄が検討されている。酸化タングステンはバンドギャップが2.5eVで色が黄色で、建材等に応用する場合有利な材料である。また、有害性が少なく、比較的安価な材料である。なお、酸化タングステンの可視光による光触媒効果は、反応性スパッター法で作成した膜で認められている(特許文献1あるいは非特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−152130号公報
【非特許文献1】「光触媒」、エヌ,ティー,エス社、2005年5月27日発行、p676)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化タングステンは常温大気中で三酸化タングステンが安定であるが,この三酸化タングステンは結晶構造が複雑で変化しやすい特徴を持つ。通常、パラタングステンアンモニウムやメタンタングステン酸アンモニウム,タングステン酸から作成した三酸化タングステンは単斜晶系であるが、粉を処理する際の応力によって容易に結晶構造が変化し三斜晶系に変化してしまう(J.Solid State Chemistry 143,2432(1999))。光触媒は光により励起された電子と正孔が表面まで移動する必要があり、結晶内に再結合センターとなる欠陥が少なく、粒子を小さくする必要がある。
【0005】
従来、酸化タングステン粉で十分な光触媒効果が得られなかった理由は、粉の前処理での加工時に部分的に結晶変化が発生して異なる結晶が混在し、この境界が電子と正孔の再結合を起こす欠陥になっているためと考えられる。市販されているWO3微粒子は粒子が1〜100μmと大きく、WO3光触媒粉末を塗料化するにあたり、ボールミルやビーズミルで分散処理を行なう必要がある。しかし、分散処理を行なう際に触媒活性が減少し活性の高い塗料が得られなくなる等の問題もある。
本発明は、こうした問題点を解消するためになされたもので、光触媒性能を大幅に向上しえる可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒体及び可視光応答型光触媒塗料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法(第1の発明)は、金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする。
(2) 請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法は、上記(1)において、金属タングステンを昇華または燃焼させて発生した酸化タングステン微粒子ヒュームを回収することを特徴とする
(3) 請求項3記載の可視光応答型光触媒合成法は、上記(2)において、酸化タングステン微粒子ヒュームを、600〜1000℃の酸化雰囲気電気炉を通過させることを特徴とする。
(4) 請求項4記載の可視光応答型光触媒材料は、XRD分析の測定により、(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を備えていることを特徴とする。
【0007】
(5) 請求項5記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(4)において、前記酸化タングステン微粒子には、立方晶系の結晶構造の粒子がその他の結晶構造の粒子よりも多く含まれていることを特徴とする。
(6) 請求項6記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(4)または(5)において、酸化タングステン微粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μm以下であることを特徴とする。但し、好ましい平均粒子径は0.01〜0.05μmである。ここで、平均粒子径が0.01μm未満であると微粒子の分散性が低下して塗料化が困難となり、0.1μmを超えると微粒子表面で発生する光触媒反応が低下するので、好ましくない。
【0008】
(7) 請求項7記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(6)において、立方晶系の結晶構造を少なくとも含むことを特徴とする。
(8) 請求項8記載の可視光応答型光触媒材料は、上記(7)において、立方晶系の結晶構造の粒子の他に、単斜晶系及び三斜晶系の結晶構造の粒子の少なくともいずれかの粒子を含むことを特徴とする。
(9) 請求項9記載の可視光応答型光触塗料は、上記(4)乃至(8)のいずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を純水に分散してなることを特徴とする。ここで、酸化タングステンはアルカリ性の溶液に溶解する性質を有しているので、安定化した塗料とするために中性の分散媒体として純水を用いている。
【0009】
(10) 請求項10記載の可視光応答型光触塗料は、上記(9)において、前記光触媒材料を40〜120kHzの超音波で分散処理してなることを特徴とする。但し、超音波出力条件や時間条件により異なるが、好ましくは60〜100kHzの周波数が好ましい。ここで、周波数が40kHz未満では凝集していた微粒子を効率良く分散処理することができず、120kHzは市販の製品の限界の周波数である。
(11) 請求項11記載の可視光応答型光触塗料は、上記(4)乃至(8)いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を含み、かつAl,Zr,Siのいずれかの金属酸化物バインダーまたはAl−Siの複合酸化物バインダーを前記可視光応答型光触媒媒体に対して1〜10質量%含むことを特徴とする。ここで、バインダーが1質量%未満では塗膜としての強度が十分でなく、10質量%を超えると光触媒活性が弱くなる。
【0010】
(12) 請求項12記載の可視光応答型光触媒体は、上記(9)乃至(11)いずれか一記載の可視応答型光触媒塗料が塗布されて光触媒膜が形成されていることを特徴とする。本発明の光触媒体としては、前記光触媒塗料を基体表面に塗布して光触媒膜が形成された構成のものが挙げられる。ここで、光触媒体としては、例えば蛍光ランプ等の管球製品、窓ガラス,鏡,タイル等の建材、衛生用品、空調機器や脱臭器のフィルター部品、光学機器等が挙げられるが、適用可能な用途、カテゴリーはこれらに限られるものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属タングステンを昇華または燃焼させる等によって得られた酸化タングステンをXRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することにより、光触媒性能を大幅に向上しえる酸化タングステン可視光応答型光触媒合成法、可視光応答型光触媒体及び可視光応答型光触媒塗料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の具体的な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。図中の符番1は、金属タングステンワイヤー2を送り出すタングステンワイヤースプール(以下、スプールと呼ぶ)を示す。金属タングステンワイヤー2は、ガスバーナ3により加熱、燃焼されて酸化タングステン微粒子のヒューム4となる。このヒューム4は、回収装置としての電気集塵機5に設けられたヒューム吸引管6により回収される。ヒューム吸引管6の一部は、電気炉7内に配置されている。
【0013】
まず、金属タングステンワイヤーを、バーナーにより1000〜1700℃程度で短時間(1cmあたり5〜15秒)加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子のヒュームが大気に放出される。発生したヒュームには立方晶系と三斜晶系と単斜晶系の3種類以上が混在し、三斜晶系リッチの0.07〜0.1μmの超微粒子が含まれている。次に、このヒュームを電気集塵機により採取し、WO3微粒子を得る。つづいて、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるため、600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に前記ヒュームを導入し、短時間で熱処理を行い、高活性の酸化タングステン微粒子を合成する。
【0014】
上記第1の実施形態によれば、立方晶系の結晶構造の微粒子がその他の結晶構造の微粒子よりも多く含まれる光触媒性能に優れた酸化タングステン可視光応答型光触媒体を得ることができる。なお、WO3微粒子のヒュームを電気集塵法によって回収する場合には、HEPAフィルタ等を用いて回収する場合に比べて、フィルタの目詰まりやフィルタ成分の混入がないので、純度の高い微粒子を容易に回収することができ、また回収装置の吸引条件、速度、量の調節が容易になり、安定した活性を持った所望のWO3超微粒子を得ることができる。
【0015】
図2は、アセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。図中の符番8は、容量3000ccの測定容器を示し、内部に光触媒粉(質量:0.1g)入り時計皿9が配置され、その下部にファン10が配置されている。また、測定容器8の上部には、光源11としての白色LED(NSPW500BS使用)が配置されている。測定容器8には、測定器としてのマルチガスモニタ12が配管13を介して接続されている。なお、導入ガスとしては、アセトアルデヒド10ppmが用いられる。
【0016】
図2の測定装置を用いて、三酸化タングステン微粒子についてアセトアルデヒドガスの分解試験を行ったところ、図3に示す特性図が得られた。図3中の線aは単斜晶系リッチの酸化タングステン微粒子光触媒の場合、線bは上記実施形態に係る立方晶形リッチの酸化タングステン微粒子光触媒の場合、線cは光触媒を測定容器に配置していない場合を示す。
【0017】
また、上記第1の実施形態に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、XRD(X線回折:X−ray diffraction)分析を行なったところ、図4の(A)に示すようなチャートが得られた。ここで、図4の(A)はXRD分析に基づく測定結果のチャートであり、強度(CPS)と角度2θ(度)との関係を示している。図4の(B)は単斜晶系のデータ、図4の(C)は立方晶系のデータを夫々示す。図4より、(200)面のピーク強度が矢印Xのようにもっとも強く出ることがわかる。
【0018】
なお、(200)面のピーク強度がもっとも強く出ていることは、バーナーによる昇華温度を種々変えて強度特性を測定した図5の特性図からも明らかであった。図5において、線aは市販のWO3微粒子のXRDチャートを、線bはヒューム回収後の加熱なしのWO3微粒子のXRDチャートを示す。図5により、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるための加熱温度を600〜1000℃に変化されたが、いずれにおいても(200)面でピーク強度がもっとも強く出ていることが明らかであり、可視光の照射によって光触媒活性が認められた。
【0019】
(第2の実施形態)
まず、金属タングステンワイヤーを、バーナーにより1000〜1700℃程度で短時間(1cmあたり5〜15秒)加熱する。これにより金属タングステンが燃焼することで昇華し、急激に酸化されることによって三酸化タングステン(WO3)微粒子のヒュームが大気に放出される。発生したヒュームには立方晶系と三斜晶系と単斜晶系の3種類以上が混在し、三斜晶系リッチの0.03〜0.1μmの超微粒子が含まれている。次に、このヒュームを電気集塵機により採取し、WO3微粒子を得る。つづいて、WO3微粒子の結晶粒子成長を抑え結晶構造を三斜晶系から立方晶系や単斜晶系へ転移させるため、600〜1000℃の酸化雰囲気の電気炉内に前記ヒュームを導入し、短時間で熱処理を行い、高活性のWO3微粒子を合成する。
【0020】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が得られる。なお、酸化タングステンの微粒子をより進めると、10〜20nmの粒子径まで進行するが、この超微粒子化されたものは立方晶系の構造である。また、さらなる微粒子化により光触媒粉体の比表面積が向上し光触媒分解活性も向上する。
【0021】
(第3の実施形態)
第2の実施形態で合成されたWO3微粒子を純水に混合させ、金属酸化物バインダーとしてのZrO2を固形成分としてWO3微粒子に対し約10〜20質量%添加した後、例えば周波数100kHzの超音波で分散処理を行い、可視光応答型光触媒塗料を得た。
第3の実施形態によれば、特定の周波数の超音波で分散処理を行うことにより、凝集していたWO3微粒子を効率よく分散することができる。事実、時間を同じにして周波数を100kHz,60kHzと異ならせたときの分散状況を調べたところ、図6に示す結果が得られた。図6より超音波の周波数により分散状況も変化していることが分かる。特に、周波数の高い方は周波数の低い方に比べて分散状況がより良くなることが明らかである。なお、超音波による分散処理と比較する意味で物理的分散処理による試験も行ったが、物理的分散処理では高活性な状態から悪くなる方へ変化することが確認できた。
【0022】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る光触媒粉体は、次のようにして作成した。
まず、パラタングステンアンモニウム塩(APT)ビーズミルや遊星ミル等で粉砕し、遠心分離により分級した。次に、この微粒子を大気中で400〜600℃で熱処理することにより、平均粒径0.01〜0.1μmで、三酸化タングステン微粒子からなる光触媒粉体が精製できる。本実施形態では、大気中約500℃で熱処理することにより、平均粒径0.05μmのXRDによる分析で(002)面と(100)面との強いピークを有する三酸化タングステン微粒子を得ることができた。なお、前記熱処理によって若干結晶成長して粒度が大きくなることが判明した。
【0023】
即ち、WO3光触媒微粒子(平均粒子径:0.01〜0.1μm)のXRDデータを調べたところ、例えば図7の(A),(B)に示すような特性図が得られた。図7の(A)は、十分に熱処理を行っていない点を除いては、本実施形態と同様の方法で合成したものであり、所定の角度2θ(度)の近辺で単斜晶(002)面と単斜晶(200)面が高いピーク強度を有している。図7の(B)は本実施形態のWO3光触媒微粒子であり、図7の(A)と同様な角度2θの近辺で単斜晶(002)面の高いピーク強度と、この面より更に高いピーク強度の立方晶(100)面のピーク強度を有している。
【0024】
また、種々のサンプルを用意して、立方晶(100)面と単斜晶(002)面の強度比の異なるWO3微粒子光触媒のガス分解活性を比較したところ、図8に示す特性図が得られた。図8より、立方晶(100)面の強度比が強くなると、1時間後のアセトアルデヒドガス分解活性が向上することが明らかである。
【0025】
第4の実施形態では、可視光応答型光触媒体が、平均粒子径が0.01〜0.1μmのWO3微粒子であるとともに、立方晶系と単斜晶系のWO3微粒子を含み、かつ立方晶(100)面の強度比が単斜晶(002)面の強度比より強い構成とすることにより、高いアセトアルデヒドガス分解活性を得ることができる。
【0026】
(第5の実施形態)
図9は、光触媒微粒子を製造する製造装置を示す。この製造装置は、スプレードライヤー本体Aと、気体液体混合部Bと、加圧空気導入部Cと、溶液導入部Dと、粒体回収部Eとから構成されている。図中の符番21は、上部に分配器22を備えた乾燥チャンバーを示す。ここで、分配器22は、乾燥チャンバー21を200℃に加熱するためのエアー導入口の働きをする。乾燥チャンバー21には、噴霧ノズル23、及び電磁弁24を介装した配管25aが分配器22を貫通するように配置されている。前記配管25aは、水溶液を加圧し、霧化させるだけのエアー導入口の働きをする。前記乾燥チャンバー21の上部には、配管25bにより給気されるようになっている。前記配管25bは、水溶液とエアーを加熱するための熱風給気口の働きをする。前記配管25aは、途中でニードル弁26を介装した配管25cに分岐されている。
【0027】
前記配管25cは、噴霧ノズル23の上部と連結されている。噴霧ノズル23の上部には、試料27をポンプ28により噴霧ノズル23内に供給するチューブ29が接続されている。噴霧ノズル23内に供給される試料27の量は、ポンプ28により適宜調節できるようになっている。前記乾燥チャンバー21の側部には、噴霧ノズル23から霧状噴霧された生成物を取り出すサイクロン30が連結されている。更に、サイクロン30には、光触媒微粒子を収集する生成物容器31と、排気のためのアスピレータ32が接続されている。
【0028】
前記乾燥チャンバー21の入口側、出口側には図示しない温度センサーが配置され、乾燥チャンバー21へ供給する空気の温度、サイクロン30に送られる光触媒微粒子の雰囲気温度が夫々測定されるようになっている。また、配管25c内に供給される空気は、噴霧ノズル23の上部側でチューブ29内に供給される試料27と混合され、噴霧ノズル23の下部から霧状に噴出される。
【0029】
次に、図9の製造装置を用いて光触媒微粒子を製造する場合について説明する。
まず、例えば4質量%のパラタングステン酸アンモニウム水溶液(試料)を、加圧空気とともに図9の噴霧ノズル23内に送り、200℃熱風雰囲気中で噴霧ノズル23の先端からスプレーして粒径1〜10μmに噴霧させ、粒状原料を生成する。この際、配管25aから噴霧ノズル23の先端付近に加圧空気を送り、噴霧ノズル23から噴霧される光触媒微粒子に酸素を供給する。水溶液の濃度が4質量%であれば、40〜400nmのパラタングステン酸アンモニウムの粒状原料が得られる。次に、乾燥チャンバー21内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なって、前記原料を強制的に乾燥して再結晶化させる。これにより三酸化タングステン微粒子を主成分とし、該微粒子の平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下であり、結晶構造が単斜晶系の三酸化タングステン光触媒微粒子を形成する。つづいて、アスピレータ32で乾燥チャンバー21内の排気を行いながら、乾燥チャンバー21内の光触媒微粒子をサイクロン30より生成物容器31内に収集する。
【0030】
第5の実施形態によれば、配管25aから噴霧ノズル23の先端付近に加圧空気を送って、光触媒微粒子に酸素を供給することにより、酸素欠陥の少ないWO3結晶光触媒微粒子を得ることができる。また、乾燥チャンバー21内で800℃、1〜10分間の条件で急加熱短時間の熱処理を行なうことにより、第4の実施形態のようにXRD分析で(001)面と(200)面とに強いピークを有する単斜晶、立方晶複合形のWO3光触媒微粒子を得ることができる。
【0031】
(第6の実施形態)
本実施形態の微粒子は、市販のパラタングステン酸アンモニウムを水系溶媒に溶解させた後、再結晶化して得られた原料を大気中高温で1分加熱焼成することにより製造された三酸化タングステン微粒子である。
本実施形態のWO3光触媒微粒子についても、加熱、焼成条件を調整することによって、第4の実施形態のようにXRD分析で(001)面と(200)面とに強いピークを有する単斜晶、立方晶複合形のWO3光触媒微粒子に合成することができる。
【0032】
(第7の実施形態)
図10は本発明に係る光触媒体としての蛍光ランプの構成を模式的に示す断面図であり、図10(A)は切欠断面を含む断面図、図10(B)は前記蛍光ランプの一構成である光触媒膜の模式的な断面図を示す。
図中の符番40は光触媒体としての蛍光ランプを示し、蛍光ランプ本体50と、この蛍光ランプ本体50の表面に形成された光触媒膜60とから構成されている。前記蛍光ランプ本体50は、透光性放電容器51と、蛍光体層52と、一対の電極53,53と、図示しない放電媒体と、口金54からなる。
【0033】
前記透光性放電容器51は、細長いガラスバルブ51a及び一対のフレアステム51bによって構成されている。前記ガラスバルブ51aはソーダライムガラスからなる。前記フレアステム51bは、排気管と、フレアと、内部導入線と、外部導入線を備えている。前記排気管は、透光性放電容器51の内外を連通して、透光性放電容器51の内部を排気し、かつ、放電媒体を封入するのに用いられる。そして、排気管は、放電媒体を封入した後に封止される。前記フレアは、ガラスバルブ51aの両端に封着されて透光性放電容器51を形成している。
【0034】
前記蛍光体層52は、3波長発光形蛍光体からなり、透光性放電容器51の内面に形成されている。一対の電極53,53は、透光性放電容器51の両端内部において、離間対向する一対の内部導入線の先端部間に継線されている。また、電極53は、タングステンのコイルフィラメントと、コイルフィラメントに被着された電子放射性物質からなる。
【0035】
前記放電媒体は、水銀及びアルゴンからなり、透光性放電容器51の内部に封入されている。水銀は、その適量が排気管を経由して封入される。前記口金54は、口金本体54aと一対の口金ピン54b,54bからなる。口金本体54aは、キャップ状をなしていて、透光性放電容器51の両端部に接着されている。一対の口金ピン54b,54bは、口金本体54aに互いに絶縁関係に支持されているとともに、それぞれ外部導入線に接続している。
【0036】
前記光触媒膜60は、三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)を主成分とした光触媒塗料からなる膜であり、その膜厚は約0.5〜3μmである。前記三酸化タングステン微粒子は、塗装完了後でも上記実施形態の結晶構造を維持している。前記光触媒膜60は、光触媒微粒子61とアルミナ微粒子、シリカ微粒子またはジルコニア微粒子等の紫外線または可視光の透過特性のよいバインダー52とから形成されている。前記光触媒微粒子51は、三酸化タングステン微粒子51aと、この三酸化タングステン微粒子51aの表面に添着された炭酸カルシウム微粒子51bから構成されている。なお、バインダー52は、三酸化タングステン微粒子51aに対して10〜50質量%の範囲で添加される。また、バインダー52にアクリル変性シリコンやシリコーン系樹脂を用いると、20〜200℃で硬化する光触媒膜にすることができる。また、炭酸カルシウム微粒子51bはNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)を吸着する物質として機能するものであり、NOxやSOxによる三酸化タングステン微粒子51aの劣化抑制が必要なければ、炭酸カルシウム微粒子51bの添着は必須ではない。
【0037】
図11は発明に係る光触媒体としての脱臭ユニットの構成を模式的に示す説明図であり、図11(A)は前記脱臭ユニットの概略的な斜視図、図11(B)は図11(A)の概略的な側面図を示す。なお、図11(B)では、便宜上、三酸化タングステン微粒子を図示していない。
図中の符番61は光触媒体としての脱臭ユニットを示し、上下の平坦なメッシュ状の第1・第2のフィルター62a,62bとこれらのフィルター62a,62b間に配置された断面波板状の第3のフィルター63とを備えている。前記各フィルター62a,62b,63には、本発明による三酸化タングステン微粒子(平均粒径:0.1μm)64が担持されている。前記第2のフィルター62bの下側には、複数のGaN青色発光ダイオード65が配置されている。なお、このダイオード65の代わりに青色光で励起される蛍光体を使用した白色発光ダイオードを配置してもよい。こうした構成の脱臭ユニットにおいて、空気が第1・第2のフィルター62a,62間の第3のフィルター63を例えば左側から右側へ通過する際、空気が各フィルターに担持された三酸化微粒子に触れることにより脱臭が行われる。
【0038】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は本発明に係る酸化タングステンを合成する装置の概略図を示す。
【図2】図2はアセトアルデヒドガス分解試験の測定装置の概略図を示す。
【図3】図3は本発明の実施形態による酸化タングステン膜のアセトアルデヒドガス分解効果を示す。
【図4】図4は本発明の実施形態に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、XRD分析を行なった場合のXRDチャートを示す。
【図5】図5は本発明に係る酸化タングステン微粒子光触媒について、バーナーによる加熱温度を種々変更してXRD分析を行なった場合のXRDチャートを示す。
【図6】図6は第3の実施形態に係るWO3微粒子の周波数を100kHz,60kHzと異ならせたときの分散状況の特性図を示す。
【図7】図7は異なる結晶面を有するWO3微粒子光触媒のXRDデータの特性図を示す。
【図8】図8は第4の実施形態に係るWO3微粒子の立方晶(100)面:単斜晶(002)面強度比と1時間後のアセトアルデヒドガス分解率との関係の特性図を示す。
【図9】図9は本発明に係る光触媒微粒子を形成するための製造装置の概略図を示す。
【図10】図10は本発明に係る光触媒体としての蛍光ランプの模式的な説明図を示す。
【図11】図11は本発明に係る光触媒体としての脱臭ユニットの概略説明図を示す。
【符号の説明】
【0040】
1…測定容器、2…光触媒入り時計皿、4…光源、5…マルチガスモニタ、40…蛍光ランプ、41…透光性放電容器、42…蛍光体層、43…電極、50…蛍光ランプ本体、51…光触媒微粒子、51a…三酸化タングステン、51b…炭酸かカルシウム微粒子、52…バインダー、60…光触媒膜、61…脱臭ユニット、62a,62b,63…フィルター、64…三酸化タングステン微粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【請求項2】
金属タングステンを昇華または燃焼させて発生した酸化タングステン微粒子ヒュームを回収することを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項3】
酸化タングステン微粒子ヒュームを、600〜1000℃の酸化雰囲気電気炉を通過させることを特徴とする請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項4】
XRD分析の測定により、(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を備えていることを特徴とする可視光応答型光触媒材料。
【請求項5】
前記酸化タングステン微粒子には、立方晶系の結晶構造の粒子がその他の結晶構造の粒子よりも多く含まれていることを特徴とする請求項4記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項6】
酸化タングステン微粒子の平均粒子径は0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項4または5記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項7】
立方晶系の結晶構造の粒子を少なくとも含むことを特徴とする請求項6記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項8】
立方晶系の結晶構造の粒子の他に、単斜晶系及び三斜晶系の結晶構造の粒子の少なくともいずれかの粒子を含むことを特徴とする請求項7記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項9】
請求項4乃至8いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を純水に分散してなることを特徴とする可視光応答型光触媒塗料。
【請求項10】
前記光触媒材料を40〜120kHzの超音波で分散処理してなることを特徴とする請求項9記載の可視光応答型光触媒塗料。
【請求項11】
請求項4乃至8いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を含み、かつAl,Zr,Siのいずれかの金属酸化物バインダーまたはAl−Siの複合酸化物バインダーを前記可視光応答型光触媒媒体に対して1〜10質量%含むことを特徴とする可視光応答型光触媒塗料。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれか一記載の可視応答型光触媒塗料が塗布されて光触媒膜が形成されていることを特徴とする可視光応答型光触媒体。
【請求項1】
金属タングステンを昇華または燃焼させ、XRD分析によって(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を合成することを特徴とする可視光応答型光触媒合成法。
【請求項2】
金属タングステンを昇華または燃焼させて発生した酸化タングステン微粒子ヒュームを回収することを特徴とする請求項1記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項3】
酸化タングステン微粒子ヒュームを、600〜1000℃の酸化雰囲気電気炉を通過させることを特徴とする請求項2記載の可視光応答型光触媒合成法。
【請求項4】
XRD分析の測定により、(200)面のピーク強度がもっとも強く出る結晶構造を有する酸化タングステン微粒子を備えていることを特徴とする可視光応答型光触媒材料。
【請求項5】
前記酸化タングステン微粒子には、立方晶系の結晶構造の粒子がその他の結晶構造の粒子よりも多く含まれていることを特徴とする請求項4記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項6】
酸化タングステン微粒子の平均粒子径は0.01〜0.1μmであることを特徴とする請求項4または5記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項7】
立方晶系の結晶構造の粒子を少なくとも含むことを特徴とする請求項6記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項8】
立方晶系の結晶構造の粒子の他に、単斜晶系及び三斜晶系の結晶構造の粒子の少なくともいずれかの粒子を含むことを特徴とする請求項7記載の可視光応答型光触媒材料。
【請求項9】
請求項4乃至8いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を純水に分散してなることを特徴とする可視光応答型光触媒塗料。
【請求項10】
前記光触媒材料を40〜120kHzの超音波で分散処理してなることを特徴とする請求項9記載の可視光応答型光触媒塗料。
【請求項11】
請求項4乃至8いずれか一記載の可視光応答型光触媒材料を含み、かつAl,Zr,Siのいずれかの金属酸化物バインダーまたはAl−Siの複合酸化物バインダーを前記可視光応答型光触媒媒体に対して1〜10質量%含むことを特徴とする可視光応答型光触媒塗料。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれか一記載の可視応答型光触媒塗料が塗布されて光触媒膜が形成されていることを特徴とする可視光応答型光触媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−264758(P2008−264758A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184488(P2007−184488)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]