説明

可視光硬化システム、放射線への暴露によって硬化性組成物を硬化するために設計されたシステムに暴露された個人の健康上の危険性を低下する方法、基材と可視光硬化組成物を接合する方法

本発明は、可視光硬化システム、放射線硬化システムに暴露される個人の健康上の危険性を低下する方法、基材と可視光硬化組成物とを接合する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光硬化システム、放射線への暴露によって硬化性組成物を硬化するために設計されたシステムに暴露された個人の健康上の危険性を低下するための方法、基材と可視光硬化組成物を接合する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国労働省、職業安全衛生管理局[U.S.Department of Labor’s Occupational Safety and Health Administration(「OSHA」)]によれば、非イオン化放射線は、光速で移動して振動する電磁場をもたらす一連のエネルギー波である。非イオン化放射線としては、紫外線、可視光、赤外線、マイクロ波、高周波と推定されるものが挙げられ、そして非常に低周波領域は、通常操作しているUV、可視及びIR周波数を引き起こす。UV放射は高い光エネルギー範囲を有するが、通常は過剰な暴露によってすぐには症状が出ないので、特に有害である。
【0003】
米国保健人的資源省、疾病対策予防センター、国立労働安全衛生研究所[U.S.Department of Health and Human Resources’ Center for Disease Control and Prevention’s National Institute of Occupational Safety and Health(「NIOSH」)]によれば、UV放射線への過度の暴露は、暴露された皮膚のしゃく熱を生じ、目に重篤な影響を及ぼす可能性がある。眼暴露は、特に、過度に暴露したことが直ちに明らかにならないがために危険である。長期間に亘る無防備の暴露は、視力の部分的な喪失、皮膚老化の加速、皮膚癌の危険性の増大につながる。
【0004】
不幸にも、UV放射線暴露に対するOSHA標準は存在していない。それにもかかわらず、NIOSHは、200から400nmのスペクトル領域でのUV光に対して、特に、例えば、覆いつきガラス隔壁のような保護具がなく、目及び皮膚への直接の暴露に関しては制限することを勧告している。
【0005】
レーザーで発生した放射線(UV、IR又は可視スペクトルのいずれも)は別として、可視光放射線への暴露に対しては、OSHA又はNIOSHからの勧告は存在しない。また、OSHA標準はレーザーへの暴露に対して存在しないが、これらの取扱いは、米国保健人的資源省、食品医薬品局、放射医学局によって規制されている(連邦規則集21巻、1040)。
【0006】
従って、UV放射線を利用するには、作業者などへの暴露を制限するために多くの予防措置を必要とする。UV放射線を発生する放射線発生源とは違って、可視光放射線を発生する放射線発生源(レーザーは別として)に関しては、他の放射線と同じような安全、保健への懸念が伴っていない。
【0007】
従って、可視光硬化システムを設計、開発及び提供して、作業者及びその他の人に付随する安全及び/又は保健への危険性もなく、光硬化性組成物を使う製造物組立の実施及び監視を可能にすることは有利であろう。
【0008】
光硬化性組成物を使うために1つの可能な可視光発生源は、発光ダイオード(「LED」)デバイスであり、この内の一部が有機発光ダイオードデバイスである。
LEDは、電気的に順方向にバイアスをかけられたときに非干渉性の狭いスペクトル光を放射する半導体デバイスである。この効果は、エレクトロルミネセンスの形態である。発光の色は、使われる半導体物質の化学組成に依存し、近紫外線、可視光又は赤外線でありうる。
【0009】
LEDの放出層物質が有機化合物である場合、有機発光ダイオード(「OLED」)として公知である。半導体として機能するためには、有機発光物質は、共役pi結合を有していなければならない。放出物質は、結晶相又はポリマーの小さな有機分子でありうる。ポリマー材料は、柔軟性であることも可能であり、こうしたLEDはPLED又はFLEDとして公知である。通常のLEDと比較して、OLEDは軽く、及びポリマーLEDは柔軟性であるという付加的な優位性を有することができる。
【発明の開示】
【0010】
(発明の概要)
1つの態様において、本発明は、放射線硬化性組成物を硬化する環境に暴露される個人の健康上の危険性を低下するための方法を提供する。この方法は:電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供し、放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し、及び少なくとも1つの基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、放射線硬化性組成物を硬化する。注目される健康上の危険性は、紅斑、光角膜炎、及びこれらの組合せである。
【0011】
他の態様において、本発明は、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する、2つ以上の基材を接合する方法を提供する。この方法は、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供し、放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し、及び少なくとも1つの基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、放射線硬化性組成物を硬化する。
【0012】
この方法において、前記硬化された放射線硬化性組成物は、ポリカーボネートから構成される少なくとも1つの基材上で、1,000psiより大きい剪断接着強度を明らかに示す。さらに、硬化された放射線硬化性組成物は、実質的に、着色を示さない。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する物質から構成される、2つ以上の基材を共に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露して硬化することができる放射線硬化性組成物を使って接合するためのシステムを提供する。このシステムは、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射するための発生源、
放射線硬化性組成物をディスペンスするための供給源、
放射線硬化性組成物が少なくとも1つの基材上にディスペンスされる設備、及び
放射線硬化性組成物を塗布する少なくとも1つの基材が、放射発生源から発生される電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露される設備、を含む。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、可視光硬化性組成物を提供する。この組成物は、
A)1)50%より多いウレタンアクリレートと50%より少ないトリプロピレングリコールジアクリレートの組合せたものを含む脂肪族ウレタントリアクリレート、
2)(a)末端不飽和イソシアネート含有ポリウレタンオリゴマーと(b)アルコキシル化多価アルコールとの反応生成物を含む多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを含む脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー、又は
3)3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、の1つ以上を含むウレタンアクリレート成分、
B)ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、N,N’−ジメチルアクリルアミド、エトキシエトキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの2つ以上の組合せを含む反応性希釈剤、及び
C)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露することでトリガーされる光開始剤、
を含む。
【0015】
硬化された放射線硬化性組成物は、少なくとも1つ基材がポリカーボネートから構成される、2つの基材を共に接合するとき、1,000psiより大きい、例えば、2,000psiより大きい、好ましくは、3,000psiより大きい剪断接着強度を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
上で述べたように、本発明は、様々な態様において、放射線硬化性組成物を硬化する環境でのある特定の健康上の危険性を低下する方法、基材を接合する方法、可視光放射線硬化システム、及び可視光硬化性組成物を提供する。
【0017】
例えば、第1の態様では、本発明は、放射線硬化性組成物を硬化する環境に暴露された個人の健康上の危険性を低下する方法を提供する。上で述べられたこの方法は、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し、
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供し、
放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し、及び
(d)少なくとも1つの基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、放射線硬化性組成物を硬化する。注目される健康上の危険性は、紅斑、光角膜炎、及びこれらの組合せである。
【0018】
第2の態様において、本発明は、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する、2つ以上の基材を接合する方法を提供する。この方法は、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し、
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供し、
(c)放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し、及び
(d)少なくとも1つの基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、放射線硬化性組成物を硬化する。
【0019】
好ましくは、この方法で形成される硬化された放射線硬化性組成物は、少なくとも1つの基材がポリカーボネートから構成される、2つの基材を共に接合するとき、1,000psiより大きい、例えば、2,000psiより大きい、例えば、3,500psiより大きい剪断接着強度を示す。
【0020】
好ましくは、この方法で形成される硬化された放射線硬化性組成物は、実質的に着色を示さない。これは、無色の基材と共に接合される場合、色が、特に、目視で容易に分かる黄色であると色は使用者から欠点と見なされるからである。しかしながら、例えば、検出目的、又は組成物を硬化した時期を決定するために(もし、硬化によってある色から別の色に変化、硬化によって無色から着色、又は硬化によって色が消失すれば)ある特定の色が付いた組成物が、又は着色度合が望ましくないと言っているわけではない。
【0021】
第3の態様において、本発明は、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する物質から構成される、2つ以上の基材を共に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露して硬化することができる放射線硬化性組成物を使って、接合するためのシステムを提供する。このシステムは、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射するための発生源、
放射線硬化性組成物を分配するための供給源、
放射線硬化性組成物が少なくとも1つの基材上に分散される設備、及び
(d)放射線硬化性組成物が塗布された少なくとも1つの基材が、放射線発生源から発生される電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露される設備、を含む。
【0022】
図1を参照して、前記システムを5段階について考えることができるのが分かる。図1で標識Aの第1段階では、基材Aは組立て用に配置されている。図1で標識Bの第2段階では、本発明の組成物10を基材Aの受入れ面上にディスペンサー12から分配する。図1で標識Cの第3段階では、組成物10が2つの基材の間に挟まれるように基材Bを基材Aと接触させる。次ぎに、図1で標識Dの第4段階では、放射線が反射鏡16が付随した放射線発生源14から放射され、UVフィルター18を通してフィルターされる。基材Bに向かって送られた、フィルターを通った放射線20は、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけ含んでいる。最終的に、図1で標識Eの第5段階では、放射線20への暴露の後、組立品22が形成される。
【0023】
図1で基材Bは、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に対して、実質的に、透過性でなければならない。一方、基材Aは、基材Bと特性が同じであっても又は異なっていてもよい。
【0024】
放射線発生源は、400nm未満の放射線を除去するために装備(フィルターランプと標的組成物の間に配置された、UV吸収又はUV反射フィルターとして作用できる波長標的光学的フィルター、又は可視光だけの反射器のような)されたメタルハライド又は水銀系ランプ(例えば、水銀アーク、メタルハライド、ハロゲン及び蛍光ランプ)、400nmを超える放射線を放射するLED又は400nmを超える放射線を放射するOLEDであってもよい。
【0025】
適切なフィルターを装備して、電磁スペクトルの可視光の範囲を超えた放射線の放射が起こらないようにすると、可視光発生源である水銀系ランプは、例えば、可視光だけを放射し、従って、この光は、硬化性組成物を硬化するのに利用できる唯一の放射線となる。このようなフィルターを装備することができる、さらなる放射線の発生源としては、アークランプ、例えば、内容は参照することにより全体が本明細書中に組み入れられる米国特許第6,520,663号(Holmesら)及び同第6,881,964号(Holmes)に開示されているものが挙げられる。他の通常入手できる水銀系ランプとしては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、水銀蒸気ランプ、及び無電極のマイクロ波ランプが挙げられる。適切なフィルターが装備されうる市販のランプ組立品の例としては、LOCTITE商標ZETA7420[Henkel社(Rocky Hill、CT)から入手できる]が挙げられる。LOCTITE商標ZETA7420は、ガラスフィルターを有し、短及び中間波長ランプ放射を減少する。この組立品は、可視光の青及び緑領域の光を放射することができる。
【0026】
LEDベースの光発生デバイスは、電力供給源に連結した少なくとも1つのLEDを含み、このデバイスは、硬化する組成物に高い出力の光を供給する。このLEDは、結晶性構造の成分であり、適切な電流で励起されるときに光を生み出す。ダイオードの特定組成を変化させることで、異なったスペクトル範囲の光を生み出す。この特性のデバイスについては、国際特許公開第WO2004/011848A2及び国際特許出願第PCT/US2005/016900(これらは、全体として明示的に本明細書中に参照することにより組み込まれる)に記載されている。この目的で入手できる市販品は、LOCTITE商標7700LED[Henkel社(Rocky Hill、CT)]である。
【0027】
さらに、また、OLEDベースデバイスを採用して、硬化性組成物を硬化するのに必要な可視光エネルギーを発生させることができる。OLEDは、ポリマーベースの成分であり、適切な電流で励起されるときに光を生み出す。ポリマーの特定組成を変化させることで、異なったスペクトル範囲の光を生み出す。
【0028】
第4の態様において、本発明は、可視光硬化性組成物を提供する。この組成物は、
A)1)50%より多いウレタンアクリレートと50%より少ないトリプロピレングリコールジアクリレートの組合せたものを含む脂肪族ウレタントリアクリレート[この例としては、Cognis社から市販品として入手可能である商品名PHOTOMER6019(このウレタンアクリレートはイソホロンジイソシアネート及びプロピレングリコールから製造されると考えられる)]、
2)(a)末端不飽和イソシアネート含有ポリウレタンオリゴマーをと(b)アルコキシル化多価アルコールとの反応生成物を含む多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを含む脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー[例えば、米国特許第5,578,693号に開示、クレームされているものであり、この例としては、Bomar Specialties社から市販品として入手可能である商品名Bomar582E(エチル及び/又はブチルエーテル主鎖を有し、エトキシエトキシエチルアクリレート中で水素化メチレンジアニリンジイソシアネートから製造されると考えられる)]、及び
3)3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー[例えば、ポリエーテル主鎖を有する3官能ウレタン アクリレートオリゴマー、より好ましくは、脂肪族ポリエーテルウレタントリアクリレートであり、この具体例は、Bomar Specialties社から市販品として入手可能である商品名BR990(ヒドロキシ官能化され、ヘキサメチレンジイソシアネート及びカプロラクトンアクリレートから製造されると考えられる)]
の1つ以上を含むウレタンアクリレート成分、
B)ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、エトキシエトキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの2つ以上の組合せを含む反応性希釈剤、並びに
C)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露することで引起こされる光開始剤、
を含む。
【0029】
記載の硬化された放射線硬化性組成物は、少なくとも1つの基材がポリカーボネートから構成される、2つの基材を共に接合するとき、1,000psiより大きい、例えば、2,000psiより大きい、好ましくは、3,000psiより大きい剪断接着強度を示す。
【0030】
可視光硬化性組成物のウレタンアクリレート成分を、ヒドロキシ含有化合物及びイソシアネート含有化合物から製造される脂肪族ウレタントリアクリレート、脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー又は3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーの少なくとも1つ、好ましくは、2つから製造する。このヒドロキシ含有化合物は、例えば、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)ブタン、3,3−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)ペンタン、 , ’−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2環式及び3環式ジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)スルホン、4,4’−オキシジフェノール及び4,8−ビス(2−ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンから選択されるポリオールでなければならない。
【0031】
あるいは、アルコキシル化多価アルコールを使って多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを製造することができる。これらのアルコキシル化多価アルコールを、種々のポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択することができる。例えば、ポリエーテルポリオールを、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、コポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンエーテル)ジオール、ポリ(エチレン)エーテルグリコール、ポリ(1,2−プロピレン)エーテルポリオール、ポリ(1,2−又は1,3−ブチレン)エーテルグリコール、プロポキシル化トリメチロールプロパン及びエトキシル化グリセロールから選択することができる。そして、ポリエステルポリオールを、ジ−、トリ−、又はテトラヒドロキシ末端停止ポリエステル、ジカルボン酸又はこれらの無水物とジ−、トリ−、又はテトラ−アルコールとの重縮合反応によって製造されるポリエステルポリオール、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールイソフタレート)、ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,4−ブタンジオールイソフタレート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペートイソフタレート)、ポリ(エチレングリコールアジペート)、ポリ(エチレングリコールプロピレングリコールアジペート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールアジペート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールアジペートイソフタレート)、ポリ(エチレングリコールブチレングリコールアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールネオペンチルアジペート)及びポリ(1,6−ヘキサンジオールネオペンチルイソフタレート)から選択することができる。
【0032】
ヒドロキシル含有化合物は、また、選択されたヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート及びヒドロキシル官能性ビニルエーテルでありうる。このヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートを、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートから選択することができる。そして、ヒドロキシル官能性ビニルエーテルを、エチレングリコールモノビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルから選択することができる。
【0033】
イソシアネート含有化合物は、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキシレンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、2,6−ジエチル−p−フェニレンジイソシアネート及び3,5−ジエチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンであってもよい。
【0034】
1つの態様において、多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを含む脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマーは、当量が80から200の少なくとも1つのジイソシアネート、当量が100から2,000の少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つのヒドロキシアクリレート又はヒドロキシビニルエーテル、及び当量が32から200の少なくとも1つのアルコキシル化多価アルコールから製造される。
【0035】
本発明の組成物で使われるウレタンアクリレート成分の量は、約20から約70重量%、例えば、約30から約50重量%、好ましくは、約35から約45重量%でなければならない。使うとすれば、反応性希釈剤のヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートは、約5から約15重量%の量で存在する。同様に、使うとすれば、反応性希釈剤のジメチルアクリルアミドは、約20から約25重量%の量で存在する。
【0036】
開始剤シナジストを、N−メチル−ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ブトキシ)エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート及びアクリレート化アミンから選択することができる。この光開始剤シナジストを、約5から約30重量%、例えば、約10から約25重量%、好ましくは、約15から約25重量%の量で使用することができる。
【0037】
組成物は、さらに、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
【0038】
組成物は、さらに、蛍光剤を含んでいてもよい。
【0039】
可視光に対して反応して硬化を開始及び誘発することができる光開始剤であって、着色度が低く、ポリカーボネート基材上でブロック剪断強度が2,000psiより大きく、及び可視光に暴露した後、30秒間又はこれ以下の時間で粘着性がないような本発明で使用するのに適切なものとしては、ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤が挙げられる。例えば、米国特許第5,399,770号(Leppard)は、光開始剤のような機能の化合物群を開示及びクレームしている。従って、’770号特許の開示は、全体を明示的に参照して本明細書中に組み込いれる。特に好ましい’770号特許に包含されている光開始剤としては、Ciba Specialty Chemical社から入手できる商品名IRGACURE819である。IRGACURE819は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドである。
【0040】
他の可視光硬化光開始剤を、上記ビスアシルホスフィンオキシド光開始剤の代わりに用いることができる。しかしながら、このような他の光開始剤を使うことは、着色度が低いこと、ポリカーボネート基材上のブロック剪断強度が2,000psiより大きいこと、及び可視光に暴露した後、30秒間又はこれ以下の時間で粘着性でないことという好ましい物理的特性の1つ以上との妥協を要するように思われる。例えば、カンファキノンパーオキシエステル開始剤;9−フルオレンカルボン酸パーオキシエステル;dl−カンファキノン;IRGACURE784DC(置換チタノセンをベースとする光開始剤);色素及び電子ドナーを含んでいる2成分開始剤;色素、電子ドナー及び酸化剤を含んでいる3成分開始剤;並びにこれらの組合せが挙げられる。これらの可視光開始剤をビスアシルホスフィンオキシド光開始剤と併用して、好ましい効果を達成することができる。
【0041】
2成分開始剤に関して、適切な色素の非限定的な例としては、カンファキノン、5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、ローズベンガル、リボフラビン、エオシンY、ベンジル、フルオロン色素、ベンジル誘導体、ケトクマリン、アクリジン色素、ベンゾフラビン及びこれらの組合せが挙げられる。適切な電子ドナーの非限定的な例としては、メチルジエタノールアミン、ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチル4−ジメチルアミノベンゾエート及びこれらの組合せが挙げられる。
【0042】
3成分開始剤に関して、上記の2つの成分に加えて第3の成分である適切な酸化剤の非限定的な例としては、ビス(トリクロロメチル)トリアジン、オニウム塩及びこれらの組合せが挙げられる。オニウム塩の具体例としては、スルフォニウム及びヨードニウム塩が挙げられる。
【0043】
他の適切な可視光開始剤システムとしては、下記の特許又は文献に開示されたものが挙げられ、各々は、その全体が参照されることにより本明細書中に組み込まれる。本明細書中に参考文献として組み込まれる米国特許第4,505,793号(Tamotoら)は、3−ケト置換クマリン化合物及び活性ハロゲノ化合物の組合せを含む光重合開始剤を開示している。多くの典型的な化合物が開示されている。このような光重合開始剤は、約180nmから600nmの範囲にある波長の光への暴露で硬化する。本明細書中に参考文献として組み込まれる米国特許第4,258,123号(Nagashimaら)は、化学光での照射によってフリーラジカルを発生する感光性樹脂組成物を開示している。このような成分としては、そこにさらに十分に記載されている様々なトリアジン化合物が挙げられる。
【0044】
欧州特許公開第EP 0 369 645A1は、トリハロメチル置換−s−トリアジン、約300から1000nmの範囲の放射線を吸収できる増感化合物及び電子ドナーを含む3成分型の光開始剤システムを開示している。典型的な増感化合物は開示されており、ケトン;クマリン色素;キサンテン色素;3H−キサンテン−3−オン色素;アクリジン色素;チアゾール色素;チアジン色素;オキサジン色素;アジン色素;アミノケトン色素;メタン及びポリメチン色素;ポルフィリン;芳香族多環式炭化水素;p−置換アミノスチリルケトン化合物;アミノトリアリールメタン;メロシアニン;スクアリリウム色素;及びピリジニウム色素が挙げられる。また、典型的なドナーは開示されており、アミン;アミド;エーテル;尿素;フェロセン;スルフィン酸及びこれらの塩;フェロシアニド塩;アスコルビン酸及びこの塩;ジチオカルバミン酸及びこの塩;キサンテートの塩;エチレンジアミン四酢酸の塩;及びテトラヒドロフェニルボロン酸の塩が挙げられる。このような開始剤は、UV及び可視光のいずれにも敏感である。
【0045】
欧州特許公開第EP 0 563 925A1は、約250から1000nmの範囲の放射線を吸収できる増感化合物及び2−アリール−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンを含む光重合開始剤を開示している。開示されている典型的な増感化合物としては、例えば、シアニン、メロシアニン、クマリン、ケトクマリン、(チオ)キサンテン、アクリジン、チアゾール、チアジン、オキサジン、アジン、アミノケトン、スクアリリウム、ピリジニウム、(チア)ピリリウム、ポルフィリン、トリアリールメタン、(ポリ)メタン、アミノスチリル化合物及び芳香族多環式炭化水素のような色素が挙げられる。これらの光重合開始剤は、UV及び可視光に敏感である。
【0046】
参照して明示的に本明細書中に組み込まれる米国特許第5,395,862号(Neckersら)は、UV及び可視光に敏感なフルオロン光開始剤を開示している。また、このようなフルオロン光開始剤システムは共開始剤を含み、これは励起フルオロン種から電子を受け入れることができる。典型的な共開始剤は開示されており、オニウム塩、ニトロハロメタン及びジアゾスルフォンが挙げられる。参照して本明細書中に組み込まれる米国特許第5,451,343号(Neckersら)は、350nmより大きい波長の光を吸収する開始剤としてフルオロン及びピロニン−Y誘導体を開示している。参照して本明細書中に組み込まれる米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)は、UV及び可視光で硬化する3成分(3液型)の光開始剤システムを開示している。この3成分のシステムは、アリールヨードニウム塩、増感化合物及び電子ドナーを含む。典型的なヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩が挙げられる。3部分のシステムで使われる典型的な増感剤及び電子ドナーは、また、開示されている。さらに、この増感剤は300から1,000nmの範囲の光を吸収することができる。
【0047】
任意に、光開始剤シナジストを、例えば、ベンゾフェノンのようなアシルケトン光開始剤と連係して共開始剤として採用する。適切な光開始剤シナジストとしては、例えば、N−メチル−ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ブトキシ)エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート及び市販のEBECRYL P104、EBECRYL P105、及びEBECRYL 7100としてUCB Radcure Chemical社(Smyrna、GA)から、又は市販のCN371、CN373、CN384、又はCN386としてSartomer社(Exton、PA)から入手可能な反応性アミンアクリレートが挙げられる。Sartomer社は、CN373を反応性アミンアクリレート共開始剤として記載しており、例えば、ベンゾフェノン又はイソプロピルチオキサントン(ITX)のような水素引抜き光開始剤と組み合わせて使うことでラジカル重合を促進することができる。CN373は表面硬化速度を速め、UV硬化性コーティング及びインクにおいて酸素阻害を克服する助けになる。Sartomer社は、CN371、CN384及びCN386を2官能性アミンアクリレート共開始剤として記載しており、例えば、ベンゾフェノンのような光増感剤と連係して使われるとき、UV光での迅速な硬化を促進する。付加的な優位点は、プレス面と硬化膜中の両方における臭いの低下、及びブルームの低下である。
【0048】
ある実施形態において、本発明の組成物は、例えば、CN983(2官能ポリエステル系樹脂)、CN934(3官能ポリエーテル系樹脂)及びCN971(3官能ポリエーテル系樹脂)(すべてSartomer社から商業的に入手可能);PHOTOMER5430(4官能ポリエステル系樹脂)、PHOTOMER6010(2官能脂肪族ウレタン樹脂)及びPHOTOMER6623(6官能脂肪族ウレタン樹脂)(すべてCognis社から商業的に入手可能);並びにBR374(2官能ポリエーテル系樹脂)及びBR571(2官能脂肪族ウレタン樹脂)(すべてBomar Specialties社から商業的に入手可能)のような追加の樹脂を含んでいてもよい。
【0049】
本発明の組成物は、電磁スペクトルの可視光の範囲、即ち、約400から700nm、好ましくは、約400から500nmの放射線に暴露することで硬化する。放射時間は、通常、60秒未満、好ましくは、10秒又はこれ以下で、硬化生成物の表面の粘着性を無くし、1,000psiを超えるポリカーボネート基材への接着力及び実質的な無着色を達成する。
【0050】
また、本発明は、第5の態様において、放射線硬化性組成物の使用を提供する。この使用は、
(a)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し;
(b)少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に前記放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供し;
(c)前記放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し;及び
(d)前記放射線硬化性組成物を硬化するために少なくとも1つの基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露する、
ことを含んでいる。
【0051】
電磁スペクトルの放射線に暴露することによって硬化された放射線硬化性組成物を製造する方法において、放射線硬化性組成物の使用は、放射線硬化性組成物が硬化する環境に暴露された個人の健康上の危険性を低下するためである。この健康上の危険性は、紅斑、光角膜炎、及びこれらの組合せから選択される。
【実施例】
【0052】
<実施例1>
この実施例では、数種の光開始剤を、開始剤以外は同様に比較できる試料配合方法で評価した。下記の試料を表1に記載の成分から製造し、DAC400FVZ高速ミキサーで混合した。
【0053】
【表1】

【0054】
3つの主要な技術を使って、得られた試料のキャラクタリゼーションを行なった:表面タック(粘着)性、ブロック剪断接着力及び色。
【0055】
表面タック性を、タックなしを5とする1から5のスケールで評価した。評価の記載は、以下のとおりである:
1.完全に硬化されていない、
2.ゲル状の塊;未硬化表面、
3.硬化された塊;触ったとき、グローブ上に残留物が残り、典型的には、シリコンカーバイド(「SiC」)粒子を振りかけたとき、すべてが残る、
4.表面上には残物はないが、粘着性を感じ、典型的には、50から60%のSiCが残る、
5.表面は乾燥しており、粘着性がなく、10%未満のSiCが残る。
【0056】
ブロック剪断接着力(又は剪断接着強度)をポリカーボネート試料片(1×1×1/4インチ)を用いて測定した。試料片を、誘導ギャップもなく、1/2インチ(1.27cm)重なりで組立てた。従って、接着領域は約0.5インチ(3.26cm)であった。ポリカーボネートブロック剪断試料片を組立て、発生源と試料の間の距離10mm、LEDにより発生した500mW/cm強度の470nmで硬化した。得られたブロック剪断接着力を、本明細書中に参照して組み込まれるASTMD4501「ブロック剪断方法による硬い基材間の接着接合の剪断強度」に従って20kNロードセルを用いて測定した。接着強度を、接合を破壊するのに必要な圧縮力のポンド/in単位で測定した。結果を下の表2に示す。
【0057】
着色の観点から、硬化試料をガラス顕微鏡スライドの間の厚さ約0.02in.(0.0508cm)で製造した。硬化試料の各々を定性的に評価して、LOCTITE3105として知られているUV硬化性アクリレートベースの製品に関して着色を比較及び対比した。LOCTITE3105は本質的には無色と考えられ、従って、評価スケールでは「5」である。
【0058】
【表2】

*表面粘着(タック)性:5.0=完全に乾燥、粘着性なし、3.0=最小限の粘着性、まだ許容でき、1.0=非常に粘着性/液体表面。LEDによる500mW/cm強度の465nmで硬化した試料片。
**LEDによる500mW/cm強度の470nmで硬化したポリカーボネートブロック剪断試料片。
***色評価:5.0=完全に無色、3.0=未だ許容できる最大限の色。
【0059】
これらの結果は、評価に選んだ4種の光開始剤の表面粘着性、ポリカーボネート基材に関して1,000psiより大きい剪断強度及び、実質的に、無色の各々の均衡を達成するために、IRGACURE819がこのような結果を提供することを示している。
【0060】
<実施例2>
この実施例では、数種の光開始剤シナジストを、シナジスト以外は同様に比較できる試料配合方法で評価した。次の試料を表3に記載の成分から製造し、DAC400FVZ高速ミキサーで混合した。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例1のように、ポリカーボネート基材に対する表面粘着性、ブロック剪断強度、色を、下の表4に示すような結果でもって評価した。
【0063】
【表4】

*表面粘着(タック)性:5.0=完全に乾燥及び粘着性なし、3.0=最小限の粘着性、まだ許容でき、1.0=非常に粘着性/液体表面。LEDによる500mW/cm強度の465nmで硬化した試料片。
**LEDによる500mW/cm強度の470nmで硬化したポリカーボネートブロック剪断試料片。
***色評価:5.0=完全に無色、3.0=未だ許容できる最大限の色。
【0064】
これらの結果は、評価に選んだ4種の光開始剤の表面粘着性、ポリカーボネート基材に関して1,000psiより大きい剪断強度及び実質的に、無色の各々の均衡を達成するために、EBECRYL7100及びCN384がこのような結果を提供し、EBECRYL7100が、ポリカーボネート基材に関して4,000psiを超える剪断接着強度を提供することを示す。
【0065】
<実施例3>
この実施例では、数種の反応性希釈剤を、希釈剤以外は同様に比較できる試料配合方法で評価した。次の試料を表5に記載の成分から製造し、DAC400FVZ高速ミキサーで混合した。
【0066】
【表5】

【0067】
実施例1のように、ポリカーボネート基材に対する表面粘着(タック)性、ブロック剪断強度、色を、下の表6に示すような結果でもって評価した。
【0068】
【表6】

*表面粘着(タック)性:5.0=完全に乾燥及び粘着性なし、3.0=最小限の粘着性、まだ許容でき、1.0=非常に粘着性/液体表面。LEDによる500mW/cm強度の465nmで10秒間硬化した試料片。
*1表面粘着性:10秒間、LOCTITE7420(UV遮蔽されたメタルハライド光)@65mW/cm強度で硬化された試料片。
**LEDによる500mW/cm強度の470nmで硬化されたポリカーボネートブロック剪断試料片。
***色評価:5.0=完全に無色、3.0=未だ許容できる最大限の色。
【0069】
これらの結果は、評価に選んだ6種の反応性希釈剤の表面粘着性、ポリカーボネート基材上で1,000psiより大きい剪断強度及び実質的に、無色(即ち、3以上の色評価)の各々の均衡を達成するために、ジメチルアクリルアミド、エトキシエトキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートが、各々がポリカーボネート基材に関して3,500psiを超える剪断接着強度を提供するというような結果を提供することを示す。
【0070】
<実施例4>
この実施例では、表7に記載の成分から2つの試料を製造し、DAC400FVZ高速ミキサーで混合した。試料Mを配合し、粘度が200cPs、試料Nの粘度が4,000cPsであることを決定した。
【0071】
【表7】

*2,5−ビス(5’−t−ブチル−2−ベンゾキサゾールー2−イル)チオフェン
【0072】
ここで、引張り剪断及びブロック剪断接着強度を記載した基材上の試料M及びNに対して評価した。どの場合にも、ポリカーボネート基材(ただ1つを使用した場合)が被爆を受ける組立品の第1の表面であるように可視光を組立品に照射した。
【0073】
【表8】

* PEBAX6333は、弾性記憶、低温特性、伸長及び35から72の範囲のショアD硬度を有するナイロンとしてのZeusの商標名である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に透過する物質から構成されている、2つ以上の基材を共に接合するためのシステムを図で説明するため略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化性組成物が電磁スペクトルの照射に暴露されて硬化されている環境に暴露された個人の健康上の危険性を低下する方法であって、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供するステップ、
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に前記放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供するステップ、
前記放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布するステップ、及び
少なくとも1つの前記基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、前記放射線硬化性組成物を硬化するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する、2つ以上の基材を接合する方法であって、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供するステップ、
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に前記放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の基材を提供するステップ、
前記放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布するステップ、及び
少なくとも1つの前記基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露し、前記放射線硬化性組成物を硬化するステップ、
を含む方法。
【請求項3】
少なくとも1つの基材がポリカーボネートから構成される2つの前記基材を約0.5inの接合面積で共に接着したとき、硬化された前記放射線硬化性組成物が、1,000psiより大きい剪断接着強度を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
硬化された前記放射線硬化性組成物が、実質的に、着色を示さない、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過する物質から構成される、2つ以上の前記基材を、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露して硬化することができる放射線硬化性組成物を使って、共に接合するためのシステムであって、
電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射するための発生源、
放射線硬化性組成物をディスペンスするための供給源、
前記放射線硬化性組成物が少なくとも1つの基材上にディスペンスされる設備、及び
前記放射線硬化性組成物が塗布された少なくとも1つの前記基材が、前記放射線発生源から発生される電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露される設備、
を含むシステム。
【請求項6】
放射線発生源が、400nm未満の放射線を除去するために装備された水銀又は金属ハロゲン化物系ランプである、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
放射線発生源が、400nmを超える放射線を放射するLEDである、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
放射線発生源が、400nmを超える放射線を放射するOLEDである、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
可視光硬化性組成物であって、
A)1)50%より多いウレタンアクリレートと50%より少ないトリプロピレングリコールジアクリレートの組合せたものを含む脂肪族ウレタントリアクリレート、
2)(a)末端不飽和イソシアネート含有ポリウレタンオリゴマーと(b)アルコキシル化多価アルコールとの反応生成物を含む多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを含む脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー、及び
3)3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、
の1つ以上を含むウレタンアクリレート成分、
B)ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、エトキシエトキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの2つ以上の組合せを含む反応性希釈剤、
C)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露することでトリガーされる光開始剤、並びに
D)光開始剤シナジスト、
を含む組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの基材がポリカーボネートから構成される2つの前記基材を約0.5inの接合面積で共に接着したとき、硬化された前記放射線硬化性組成物が1,000psiより大きい剪断接着強度を示す、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
脂肪族ウレタントリアクリレート、脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー又は3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーが、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、エトキシル化ビスフェノールA、プロポキシル化ビスフェノールA、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)ブタン、3,3−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)ペンタン、 , ’−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2環式及び3環式ジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,2−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)スルホン、4,4’−オキシジフェノール及び4,8−ビス(2−ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンからなる群より選択されるポリオールから製造する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
反応性希釈剤であるヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが存在するとき、約5から約15重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
反応性希釈剤であるジメチルアクリルアミドが存在するとき、これが約20から約 25重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
光シナジストが、N−メチル−ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ブトキシ)エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート及びアクリレート化アミンからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
さらに、シランカップリング剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
さらに、蛍光剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを製造するために用いられるアルコキシル化多価アルコールが、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
ポリエーテルポリオールが、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、コポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド)ジオール、ポリ(テトラメチレンエーテル)ジオール、ポリ(エチレン)エーテルグリコール、ポリ(1,2−プロピレン)エーテルポリオール、ポリ(1,2−又は1,3−ブチレン)エーテルグリコール、プロポキシル化トリメチロールプロパン及びエトキシル化グリセロールからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項19】
ポリエステルポリオールが、ジ−、トリ−、又はテトラヒドロキシ末端停止ポリエステル、ジカルボン酸又はこれらの無水物とジ−、トリ−、又はテトラ−アルコールとの重縮合反応によって製造されるポリエステルポリオール、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールイソフタレート)、ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,4−ブタンジオールイソフタレート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペートイソフタレート)、ポリ(エチレングリコールアジペート)、ポリ(エチレングリコールプロピレングリコールアジペート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールアジペート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールアジペートイソフタレート)、ポリ(エチレングリコールブチレングリコールアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンジオールネオペンチルアジペート)及びポリ(1,6−ヘキサンジオールネオペンチルイソフタレート)からなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを製造するために使われる末端不飽和イソシアネート含有ポリウレタンオリゴマーが、ポリイソシアネートと、不飽和基を有するポリオール及びヒドロキシル官能性化合物との反応から製造される、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを製造するために使われる前記ポリイソシアネートが、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロへキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキシレンジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、2,6−ジエチル−p−フェニレンジイソシアネート及び3,5−ジエチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項22】
多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを製造するために使われる不飽和基を有するヒドロキシル官能性化合物が、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート及びヒドロキシル官能性ビニルエーテルから選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項23】
ヒドロキシル置換(メタ)アクリレートが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項24】
ヒドロキシル官能性ビニルエーテルが、エチレングリコールモノビニルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項25】
放射線硬化性組成物の使用であって、
電磁スペクトルの放射線に暴露することによって硬化した放射線硬化性組成物を製造する方法において、前記放射線硬化性組成物が硬化されている環境に暴露された個人の、紅斑、光角膜炎、及びこれらの組合せからなる群より選択される健康上の危険性を低下するために、
(a)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけに暴露することで硬化することができる放射線硬化性組成物を提供し、
(b)少なくとも1つの基材が、実質的に、電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線を透過し、少なくとも1つの基材に前記放射線硬化性組成物を塗布できる、2つ以上の前記基材を提供し、
(c)前記放射線硬化性組成物を少なくとも1つの前記基材に塗布し、
(d)少なくとも1つの前記基材に塗布された前記放射線硬化性組成物を電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線だけを放射する発生源に60秒間又はこれ以下で暴露して前記放射線硬化性組成物を硬化する、
ことを含む使用。
【請求項26】
可視光硬化性組成物が、
A)1)50%より多いウレタンアクリレートと50%より少ないトリプロピレングリコールジアクリレートの組合せたものを含む脂肪族ウレタントリアクリレート、
2)(a)末端不飽和イソシアネート含有ポリウレタンオリゴマーと(b)アルコキシル化多価アルコールとの反応生成物を含む多官能末端不飽和ウレタンオリゴマーを含む脂肪族ポリエーテルウレタンオリゴマー、及び
3)3官能脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、の1つ以上を含むウレタンアクリレート成分、
B)ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、エトキシエトキシエチルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの2つ以上の組合せを含む反応性希釈剤、
C)電磁スペクトルの可視光の範囲の放射線に暴露することで引起こされる光開始剤、並びに
D)光開始剤シナジスト、
を含む、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
健康上の危険性が、紅斑、光角膜炎、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−519827(P2009−519827A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547332(P2008−547332)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/047756
【国際公開番号】WO2007/078851
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】