説明

可逆熱変色性着せ替え玩具

【課題】 着せ替え玩具に熱変色性を付与して色変化を楽しむことができ、意外性、装飾性に優れた可逆熱変色性着せ替え玩具を提供する。
【解決手段】 基板2と、基板上に貼着又は磁着する人体像を形成した人形シート3と、前記人形シート上に貼着又は磁着する衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像を形成した物品シート4とからなる着せ替え玩具であって、前記物品シート表面に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層41を設けてなる可逆熱変色性着せ替え玩具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性着せ替え玩具に関する。更に詳細には、人体像を形成したシートに、衣服の像を形成したシートを重ね合わせて着せ替えを行う可逆熱変色性着せ替え玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来人体の全体像を形成した人形シートと、前記人形シート上に貼着する衣類等の像を形成したシートとからなる着せ替え玩具が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51−98690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記着せ替え玩具に熱変色性を付与して色変化を楽しむことのできる可逆熱変色性着せ替え玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基板と、基板上に貼着又は磁着する人体像を形成した人形シートと、前記人形シート上に貼着又は磁着する衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像を形成した物品シートとからなる着せ替え玩具であって、前記物品シート表面に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性着せ替え玩具を要件とする。
更には、前記基板上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなること、前記可逆熱変色性着せ替え玩具が摩擦体を備えてなること等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、着せ替え玩具に熱変色性を付与して色変化を楽しむことができ、意外性、装飾性に優れた可逆熱変色性着せ替え玩具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に用いられる加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【図2】本発明に用いられる色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【図3】本発明に用いられる加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【図4】本発明の可逆熱変色性着せ替え玩具の使用状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記着せ替え玩具は、基板と、基板上に貼着又は磁着する人体像を形成した人形シートと、前記人形シート上に貼着又は磁着する衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像を形成した物品シートとからなる。
基板は、人体像を形成した人形シートを磁着する構成であって、基材の材質は磁性を有していれば特に限定されるものではなく、鉄、コバルト、ニッケル、マグネタイト、マンガンフェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、バリウムフェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト、マンガン亜鉛フェライト、マグネシウム亜鉛フェライト、タングステン等が挙げられる。
前記基板の形状は特に限定されるものではなく、正方形、長方形、三角形等の多角形、円形、楕円形が挙げられる。なお、多角形の場合、安全性を高めるために頂点の鋭角部を面取りしたり、曲面状とすることが好ましい。
前記基材表面には、直接又は紙等の印刷層を介して風景や家の内面図等の印刷像を形成する。また、前記印刷像の少なくとも一部に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けて温度変化により色変化させたり、フォトクロミック材料を含む光変色層を設けて光により色変化させることもできる。
前記基板は単数の他、形状や印刷像の異なる複数の基板から構成されていてもよい。
更に、前記基板には、持ち運び性能を向上させるために直接或いは別部材により把持部を設けることもできる。
【0009】
前記人形シートは、磁性体を人型の板状に形成したり、粉状磁性体をゴムや樹脂中に分散して人型のシート状、人型の板状に形成し、直接又は紙等の印刷層を介して人体像を形成する。
また、人体像を形成したシートに粉状磁性体を分散した塗布液を塗布して磁性層を設けたものを用いることもできる。
更に、粉状磁性体をゴムや樹脂中に分散して表面が凹凸状の人体像を形成した成形体を人形シートとして用いることもできる。
前記印刷層としては、織物、編物、組物、不織布等の布帛、紙、合成紙、プラスチックフィルム等を用いることができる。
【0010】
前記物品シートは、磁性体を衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の形の板状に形成したり、粉状磁性体をゴムや樹脂中に分散して衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の形の板状に形成し、直接又は紙等の印刷層を介して衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の像を形成する。
また、前記衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の像を形成したシートに粉状磁性体を分散した塗布液を塗布して磁性層を設けたものを用いることもできる。
更に、粉状磁性体をゴムや樹脂中に分散して表面が凹凸状の衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の像を形成した成形体を物品シートとして用いることもできる。
前記印刷層としては、織物、編物、組物、不織布等の布帛、紙、合成紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0011】
前記物品シートの衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像上には、可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設ける。
前記可逆熱変色性材料としては、AgHgIやCuHgI等の無機材料、液晶、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む加熱消色型、或いは、加熱発色型の可逆熱変色性材料が用いられる。
そのうち、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体との三成分を含む可逆熱変色性材料について説明する。
【0012】
前記可逆熱変色性材料は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包させた有色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を適用できる(図1参照)。
【0013】
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物も適用できる(図2参照)。
【0014】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0015】
以下に可逆熱色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について化合物を例示する。
本発明の(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン等を挙げることができる。
【0016】
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2−エチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0017】
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記(ハ)成分としては、色濃度−温度曲線に関し、温度Tが20〜35℃、好ましくは25〜35℃の範囲となる化合物が好適に用いられる。
前記化合物を以下に例示する。
アルコール類としては、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール等が挙げられる。
【0018】
エステル類としては、カプリル酸ステアリル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0019】
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル等が挙げられる。
【0020】
更には、特公平4−17154号公報に開示したカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0021】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデルシ、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
【0022】
ケトン類としては、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0023】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用することもできる(図3参照)。
【0024】
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
【0025】
前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
ここで、前記マイクロカプセル顔料中に非熱変色性の染料や顔料を配合して、有色(1)から有色(2)への互変的色変化を呈する構成となすこともできる。
前記マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、平均粒子径0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μmの範囲が実用性を満たす。
なお、粒子径、粒度分布の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出する。
【0026】
前記可逆熱変色層は、バインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに可逆熱変色性材料を分散させた印刷インキ又は塗料を用いて、スクリーン印刷、グラビヤ印刷等の印刷手段或いはスプレー塗装等の手段により形成される。
【0027】
一方、基板が人体像を形成した人形シートを貼着する構成の場合、基材の材質は特に限定されるものではなく、紙、合成紙、布帛、不織布、合成皮革、レザー、ゴム、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属、これらの組み合わせからなる材質を挙げることができ、好ましくは、合成紙、プラスチックが用いられる。
前記基板の形状は特に限定されるものではなく、前記と同様の形状が挙げられる。
前記基材表面には、前記と同様に印刷像を形成することが好ましい。
また、前記基板は単数の他、形状や印刷像の異なる複数の基板から構成されていてもよい。
更に、前記基板には、持ち運び性能を向上させるために直接或いは別部材により把持部を設けることもできる。
【0028】
前記人形シートは、紙、合成紙、布帛、不織布、合成皮革、レザー、ゴム、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属、これらの組み合わせからなる材質を人型の板状、シート状に形成したり、板状、シート状に形成し、直接又は紙等の印刷層を介して人体像を形成する。
【0029】
前記人形シートの裏面には、再剥離性を有する粘着樹脂層を設けてなる。
前記再剥離性を有する粘着樹脂成分としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、合成ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等があり、更に、カルボン酸変性熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
【0030】
また、耐熱性、耐薬品性等の面から粘着性樹脂成分は架橋することが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート、エポキシ樹脂、ジアルデヒド、酸無水物、アミン、イミダゾール、アゾ化合物、シラン化合物、金属キレート、有機金属、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン、アジリジン、オキサゾリン、重合開始剤とオリゴマー、硫黄化合物等が挙げられる。
【0031】
更に、前記粘着樹脂成分(再剥離性を有する)として、熱可塑性エラストマーと可塑剤とからなる自己粘着性組成物を適用することができる。
前記組成物では、熱可塑性エラストマー成分が可塑剤成分により可塑化されて凝集力が低下し、自己粘着性が増強するように組み合わせて選択される。尚、「自己粘着性」とは、実質的にこの組成物からなる粘着剤層を形成したシートが自重による圧力によって被着面に対して粘着性を示す特性をいう。
【0032】
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレンモノマーのブロックとゴムモノマーのブロックから成るブロックセグメントで構成されているものを挙げることができる。上記のゴムモノマーとは天然ゴム及び一般に合成ゴムと言われるポリマーを構成するモノマーであり、ゴムモノマーのブロックには、例えば、ポリイソプレンブロック、ポリブチレンブロック、ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック等が挙げられる。かかる熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリスチレン−ポリブチレン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン(SEPS)、ポリスチレン−ポリイソプレン(SI)、ポリスチレン−ポリブチレン(SB)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)等を挙げることができる。
【0033】
前記可塑剤は、エラストマーに添加して自己粘着性を付与するのに効果的なものが選択されるが、使用する熱可塑性エラストマー成分がポリスチレン相とゴム相とを有する場合は、ゴム相に対する親和性が高くポリスチレン相に対する親和性が低い高分子量の化合物が好ましく、具体例としては、ナフテンオイル及び/又はパラフィンオイルが挙げられる。
【0034】
前記物品シートは、紙、合成紙、布帛、不織布、合成皮革、レザー、ゴム、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属、これらの組み合わせからなる材質を衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の形の板状に形成し、直接又は紙等の印刷層を介して衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の像を形成する。
更に、樹脂組成物により表面が凹凸状の衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄の像を形成した成形体を物品シートとして用いることもできる。
前記印刷層としては、織物、編物、組物、不織布等の布帛、紙、合成紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0035】
前記物品シートの衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像上には、前記と同様の可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設ける。
【0036】
前記人形シートの裏面には、前記人形シートと同様の再剥離性を有する粘着樹脂層を設けてなる。
【0037】
本発明の可逆熱変色性着せ替え玩具は、基板と、人形シートと、衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる物品シートとから構成されるものであり、具体的な使用方法としては、基板上の任意の位置に人形シートを磁着又は貼着し、前記人形シート上の適宜箇所に物品シートを磁着又は貼着して着せ替えを行うものである。
前記物品シートは、予め可逆熱変色層を変色させた状態で人形シートに磁着又は貼着する他、人形シートに磁着又は貼着した後、可逆熱変色層を変色させることもできる。
可逆変色層を変色させる方法としては、指による擦過や加熱具又は冷却具の適用が挙げられる。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦体が用いられる。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
なお、人形シートに磁着又は貼着した物品シートは、前記摩擦体を用いて擦っても、人形シート上の磁着又は貼着した箇所から移動し難いため、遊戯性を満足させることができ、簡便且つ低価格な変色具として利用できる。
前記摩擦体は、可逆熱変色性着せ替え玩具と組み合わせて可逆熱変色性着せ替え玩具セットを得ることもでき、携帯性に優れる。
冷却具としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の部は質量部である。
実施例1(図4参照)
基板の作製
鉄板(200mm×300mm)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて風景と家の絵柄を印刷して基板2を得た。
【0039】
人形シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて下着姿の人間の絵柄人形シート3を得た。
【0040】
物品シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いてズボン、スカート、上着、コート、靴下、靴、傘、鞄、帽子の各絵柄を印刷し、更にその上面に、(イ)成分として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1′(3′H)イソベンゾフラン]−3′−オン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、青色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として{4−[2,6−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)ピリジン−4−イル]フェニル}ジメチルアミン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、黄色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキを用いて可逆熱変色層41を形成し、裁断して物品シート4を得た。
【0041】
摩擦体の作製
プラスチック製の円筒部材の一端に、SEBS樹脂製の摩擦部材を装着して摩擦体を得た。
【0042】
前記基板と、人形シートと、物品シート、摩擦体とからなる可逆熱変色性着せ替え玩具1を得た。
前記基板上の適宜箇所に人形シートを磁着し、その上面にスカート、コート、上着、靴下、靴、傘、鞄、帽子の物品シートを磁着して着せ替え遊戯を行った。
更に、前記摩擦体を用いて、人形シート上の物品シートを摩擦すると、摩擦熱により物品が変色して異なる様相を視認することができた。
前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0043】
実施例2
基板の作製
プラスチック板(200mm×300mm)上に、印刷インキを用いて家と庭の絵柄を印刷して基板を得た。
【0044】
人形シートの作製
裏面に粘着層を設けた厚さ2mmの軟質樹脂シート上に、印刷インキを用いて下着姿の人間の絵柄を印刷した後、裁断して人形シートを得た。
【0045】
物品シートの作製
裏面に粘着層を設けた厚さ2mmの軟質樹脂シート上に、印刷インキを用いてズボン、スカート、上着、コート、靴下、靴、帽子の各絵柄を印刷し、更にその上面に、(イ)成分として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1′(3′H)イソベンゾフラン]−3′−オン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、青色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として{4−[2,6−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)ピリジン−4−イル]フェニル}ジメチルアミン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、黄色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキを用いて可逆熱変色層を形成し、裁断して物品シートを得た。
【0046】
摩擦体の作製
SEBS樹脂を成形して直方体の摩擦体を得た。
【0047】
前記基板と、人形シートと、物品シート、摩擦体とからなる可逆熱変色性着せ替え玩具を得た。
前記基板上の適宜箇所に人形シートを貼着し、その上面にズボン、上着、靴下、靴、傘、鞄、帽子の物品シートを貼着して着せ替え遊戯を行った。
更に、前記摩擦体を用いて、人形シート上の物品シートを摩擦すると、摩擦熱により物品が変色して異なる様相を視認することができた。
前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0048】
実施例3
基板の作製
鉄板(150mm×200mm)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて風景の絵柄を印刷した。
次いで、前記風景の絵柄上に、(イ)成分として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1′(3′H)イソベンゾフラン]−3′−オン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、青色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として{4−[2,6−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)ピリジン−4−イル]フェニル}ジメチルアミン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、黄色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキを用いて、可逆熱変色層を形成して基板を得た。
【0049】
人形シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて下着姿の人間の絵柄を印刷した後、裁断して人形シートを得た。
【0050】
物品シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いてズボン、スカート、上着、コート、靴下、靴、傘の各絵柄を印刷し、更にその上面に、前記可逆熱変色性インキを用いて可逆熱変色層を形成し、裁断して物品シートを得た。
【0051】
摩擦体の作製
プラスチック製の円筒部材の一端に、SEBS樹脂製の摩擦部材を装着して摩擦体を得た。
【0052】
前記基板と、人形シートと、物品シート、摩擦体とからなる可逆熱変色性着せ替え玩具を得た。
前記基板上の適宜箇所に人形シートを磁着し、その上面にスカート、上着、靴下、靴、傘、鞄、帽子の物品シートを磁着して着せ替え遊戯を行った。
更に、前記摩擦体を用いて、人形シート上の物品シートを摩擦すると、摩擦熱により物品が変色して異なる様相を視認することができた。
また、前記摩擦体を用いて、基板表面の風景の絵柄を摩擦すると、摩擦熱により風景が変色して異なる様相を視認することができた。

前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【0053】
実施例4
基板の作製
鉄板(200mm×300mm)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて家の絵柄を印刷して基板を得た。
これとは別に、鉄板(200mm×300mm)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて部屋の絵柄を印刷して基板を得た。
【0054】
人形シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いて下着姿の人間の絵柄を印刷した後、裁断して複数の人形シートを得た。
【0055】
物品シートの作製
厚さ1mmのマグネットシート(磁化された磁性体をゴムに分散して成形したゴム磁石)上に、白色合成紙を接着剤により貼着し、その上面に印刷インキを用いてズボン、スカート、上着、コート、靴下、靴、傘、鞄、帽子の各絵柄を印刷し、更にその上面に、(イ)成分として9−エチル(3−メチルブチル)アミノ−スピロ[12H−ベンゾ(a)キサンテン−12,1′(3′H)イソベンゾフラン]−3′−オン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、赤色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、青色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキと、(イ)成分として{4−[2,6−ビス(2,4−ジエトキシフェニル)ピリジン−4−イル]フェニル}ジメチルアミン1.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてステアリン酸シクロヘキシルメチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(t:15℃、t:21℃、t:33℃、t:39℃、ΔH:18℃、平均粒子径:5.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.8:1.0、黄色から無色に色変化する)を含む可逆熱変色性印刷インキを用いて可逆熱変色層を形成し、裁断して物品シートを得た。
【0056】
摩擦体の作製
プラスチック製の円筒部材の一端に、SEBS樹脂製の摩擦部材を装着して摩擦体を得た。
【0057】
前記基板と、人形シートと、物品シート、摩擦体とからなる可逆熱変色性着せ替え玩具を得た。
前記家の絵柄を印刷した基板上の適宜箇所に人形シートを磁着し、その上面にスカート、コート、上着、靴下、靴、傘、鞄、帽子の物品シートを磁着して着せ替え遊戯を行った。
更に、前記摩擦体を用いて、人形シート上の物品シートを摩擦すると、摩擦熱により物品が変色して異なる様相を視認することができた。
次いで、前記部屋の絵柄を印刷した基板上の適宜箇所に複数の人形シートを磁着し、その上面にズボン、スカート、上着、靴下の物品シートを磁着して着せ替え遊戯を行った。
更に、前記摩擦体を用いて、人形シート上の物品シートを摩擦すると、摩擦熱により物品が変色して異なる様相を視認することができた。
前記様相変化は繰り返し行うことができた。
【符号の説明】
【0058】
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 可逆熱変色性着せ替え玩具
2 基板
3 人形シート
4 物品シート
41 可逆熱変色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に貼着又は磁着する人体像を形成した人形シートと、前記人形シート上に貼着又は磁着する衣類、靴、帽子、カツラ、アクセサリー、鞄から選ばれる像を形成した物品シートとからなる着せ替え玩具であって、前記物品シート表面に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる可逆熱変色性着せ替え玩具。
【請求項2】
前記基板上に可逆熱変色性材料を含む可逆熱変色層を設けてなる請求項1記載の可逆熱変色性着せ替え玩具。
【請求項3】
前記可逆熱変色性着せ替え玩具が摩擦体を備えてなる請求項1又は2記載の可逆熱変色性着せ替え玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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