説明

可逆的なハロゲン化水素の捕捉及び放出を組み込んだ領域反応器

炭化水素原料を高級炭化水素に転換する改良された方法及び領域反応器が提供される。反応器の第一のゾーンはハロゲン化水素(HX)を放出することができる物質及び炭素−炭素カップリング触媒を含み、第二のゾーンは最初は空であるか又はハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒を含み、かつ第三のゾーンは炭素−炭素カップリング触媒及びHXを捕捉することができる物質を含む。空気又は酸素は第一のゾーンに導入され、原料は第二のゾーンに導入され、また第三のゾーンで生成物が生産される。反応時に生産されたHXは、ゾーン1及び3で可逆的に捕捉され放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素原料を高級炭化水素に転換する、方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,525,230号明細書は、アルカンをアルコール及び/又はエーテルに転換する方法、並びに、第一のゾーン、第二のゾーン及び第三のゾーンを区画形成する中空で分離されていない内部で構成される領域反応器を開示する。第一の実施態様において、空気又は酸素は、臭素を提供する第一のゾーンで金属臭化物(metal bromide)と反応し、臭素は、臭化アルキルを形成する第二のゾーンでアルカンと反応し、該臭化アルキルは、対応する生成物を形成する第三のゾーンで金属酸化物と反応する。第三のゾーンからの金属臭化物は、容器を通じて第一のゾーンに輸送され、第一のゾーンからの金属酸化物は、第三のゾーンへ再利用される。該第一の実施態様とは異なる第二の実施態様は、金属酸化物が、容器を通じて第一のゾーンから第三のゾーンに輸送され、金属臭化物が第三のゾーンから第一のゾーンへ再利用されるものである。第三の実施態様において、容器を通じたガスの流れを逆にして、金属酸化物を金属臭化物に転換し、及び、金属臭化物を金属酸化物に転換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,525,230号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、炭化水素原料を1以上の高級炭化水素に転換する、改良された領域反応器及び方法を提供する。第一の実施態様において、改良された領域反応器は第一のゾーン、第二のゾーン及び第三のゾーンを有する容器を含み、該第一のゾーンがハロゲン化水素(HX)を放出することができる物質及び炭素−炭素カップリング触媒を含み、該第二のゾーンが最初は空である(雰囲気以外)か、又はハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒(oxyhalogenation catalyst)を含み、かつ該第三のゾーンが炭素−炭素カップリング触媒及びHXを捕捉することができる物質を含む。該第一のゾーン、第二のゾーン及び第三のゾーンの各々を通じて、ガスを流すことができる。ガス入口及び/又は出口が、ガス状炭化水素原料の導入のためのゾーン2の入口を含む、第一のゾーン、第二のゾーン及び第三のゾーンの各々に提供されるのが好ましい。
【0005】
本発明の他の局面において、炭化水素原料を高級炭化水素に転換する改良された方法は、空気又は酸素の存在下で、HXを放出することができる物質を加熱することによりHXを形成すること;任意に、炭素−炭素カップリング触媒をデコーキング(decoking)すること;空気又は酸素の存在下で、炭化水素原料をHXと反応させることにより、ハロゲン化アルキルを形成すること;炭素−炭素カップリング触媒の存在下で、該ハロゲン化アルキルを反応させることにより、高級炭化水素及びHX(コークスは望ましくない)を形成すること;及び、HXを捕捉することができる物質とHXを反応させることにより、HXを捕捉することを含む。該方法は、代替的なHX放出及び捕捉、並びに、該カップリング触媒のコークス化及びデコーキングと共に、複数回繰り返されるのが好ましい。ある実施態様において、HXは、部分的にハロゲン化されたオレフィン又はポリオレフィンを脱ハロゲン化水素化(dehydrohalogenating)することにより放出され、オレフィン又はポリオレフィンをハロゲン化水素化(hydrohalogenating)することにより捕捉される。
【0006】
本発明のこれらの及び他の局面並びに特徴は、添付の図面に照らして考慮する場合、より明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の一実施態様による領域反応器の概略図である。
【図1B】本発明の一実施態様による領域反応器の概略図である。
【図2】本発明の別の実施態様による改良された領域反応器のゾーン2の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、炭化水素原料を1以上の有用な生成物(すなわち、“高級炭化水素”)に転換する、方法、及び、改良された領域反応器を提供する。一般に、該方法は、空気又は酸素中のHXを放出することができる物質を加熱することにより、第一の流れ又は大量のハロゲン化水素(HX)を形成すること;炭化水素原料と、空気又は酸素中のHXの第一の流れを反応させることにより、ハロゲン化アルキルを形成すること;第二の炭素−炭素カップリング触媒の存在下で、ハロゲン化アルキルを反応させることにより、高級炭化水素、及び、第二の流れ又は大量のHXを形成すること;及び、HXを捕捉することができる物質とHXを反応させることにより、HXの第二の流れを捕捉することを含む。
【0009】
改良された領域反応器の一実施態様の一般的特徴及び運転モードは、図1A及び1Bに概略的に表わされている。一般に中空容器形態である領域反応器10は、2つのサブゾーン1A及び1Bに更に細分される第一のゾーン1、第二のゾーン2、及び、3A及び3Bに更に細分される第三のゾーン3を有する。
【0010】
先ず、以下に記載されるように、ゾーン1Aは、HXを放出することができる物質を含む。ゾーン1Bは、炭素間結合形成、及び高級炭化水素の生成を触媒する、炭素−炭素カップリング触媒を含む。理論により拘束されないが、分子間を介して(恐らく、ハロゲン化アルキル分子のメタセシス反応のような分子内であっても)、炭素間結合形成が進行すると考えられている。また、図においては、ゾーン1Bの触媒は、以下に記載されるように、コークスで被覆され及び/又は含浸される。しかしながら、反応器が運転開始のためにロードされる場合は、コークスは存在しない。ゾーン2は、空であるか、又は、ハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒、又は、カタロ反応剤(cataloreactant)を含む。また、ゾーン3Bは、炭素−炭素カップリング触媒を含み、また、ゾーン3Aは、HXを捕捉することができる物質を含む。
【0011】
反応器の左端の第一の開口又は入口4は、空気又は酸素を容器に導入させることができる。反応器の中間の第二の開口又は入口5は、ガス状炭化水素原料を導入させることができ、また、容器の右端の第三の開口又は入口6は、生成物を回収させることができる。また、それぞれのゾーン及びサブゾーンは、隣接するゾーンへガスを流れさせる境界7で合流する。ある実施態様において、容器は、分離された内部を有し、隣接するゾーン及びサブゾーンは、互いに物理的に分離されない。他の実施態様において、隣接するゾーン及びサブゾーンは、遮蔽体、又は、ガスを、あるゾーン若しくはサブゾーンから次のゾーンへ流れさせる少なくとも1つの開口を有する壁若しくは他の仕切りによって、分離される。さまざまな加熱器及び/又は冷却器(図示しない)は、各ゾーン及びサブゾーンで温度制御を促進するために、容器に、直接又は間接的に熱的に連結される。
【0012】
図1Aに示すように、先ず、反応器は、ガス入口4を通じてゾーン1Aに導入される空気又は酸素と共に、左から右に作動し、そこに該物質を含ませて、ガス状のHXを放出させる。ゾーン1Aからの加熱空気又は酸素及びHXは、ゾーン1Bに移動し、炭素−炭素カップリング触媒と接触する。該空気又は酸素は、予め触媒中に又は触媒上に堆積され、COに転換するコークスと反応させる。また、過剰な空気又は酸素の存在下では、形成されたCOもCOに転換される。
【0013】
ゾーン2においては、ガス状の炭化水素原料が、第二のガス入口5を通じて容器に導入され、空気又は酸素(好ましくは、ハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒若しくはカタロ反応剤)の存在下で、HXと反応させることができる。これにより、存在するHXと共に、ゾーン3Bへ輸送される1以上のハロゲン化アルキル(RX)及び蒸気を形成させる。そこで、ハロゲン化アルキルは、炭素−炭素カップリング触媒の存在下で反応し、高級炭化水素及びHXに転換される。また、該反応は、一般に、コーティングとして炭素−炭素カップリング触媒上に、及び/又は、触媒の格子間ボイド(interstitial void)内に堆積されたコークス粒子と共に、コークスを形成させる。その後、形成されたHXは、ゾーン3AでHXを捕捉することができる物質と反応させる。ガス状炭化水素生成物、CO、残存空気(又は、その酸素を使い果たした成分)、水、及び可能性のある他の種は、第三の開口6によって反応器容器から運ばれ、回収され、分離され、精製され、さらに反応され、及び/又は他の方法で処理され得る。
【0014】
図1Bは、右から左に逆方向での運転が可能な状態の領域反応器を示す。反応器10は、依然として、ゾーン1〜3、並びにサブゾーン1A、1B、3B及び3Aを含むが、空気又は酸素が加熱される場合(反応器が順方向で運転された場合には、ハロゲン化水素化される)、ゾーン3A中の物質は、HXを放出することができる。同様に、ゾーン3B中の触媒は、コークスで被覆され及び/又は含浸されるが、ゾーン1B中の触媒には、コークスがほとんど又は(理想的には)まったくない。ゾーン1A中の物質は、HXと反応し、HXを捕捉及び保存する状態にある。空気又は酸素は、第三の入口6を通じてゾーン3Aに導入され、そこに含まれた物質がHXを放出させ、空気又は酸素と共にゾーン3Bに流入させる。該空気又は酸素は、炭素−炭素カップリング触媒上に堆積されたコークスを酸化させる。HX及び空気又は酸素は、ゾーン2の下流に運ばれ、炭化水素原料と反応させ、ゾーン1Bに移動するハロゲン化アルキル及び蒸気を形成する。ハロゲン化アルキルは、炭素−炭素カップリング触媒の存在下で、ゾーン1Bにおいて反応し、炭化水素生成物、HX、及び、(触媒上及び/又は触媒中に堆積された)コークスを形成する。その後、HX、CO、空気又はその成分、蒸気、及び可能性のある他のガスは、ゾーン1Aに移動し、HXは、そこに含まれる物質と反応し、該物質によって捕捉される。生成物及び残留ガスは、第一の開口4を通じて排出される。反応器は、再度順方向で運転される状態である。順方向及び逆方向間で循環させることにより、反応器は、連続的に操作することができる。
【0015】
代替的な実施態様において、ガス状反応体の流れは、常に同じ方向を維持し、また、反応ゾーンは不動である。但し、固体は、連続的に再生される。ゾーン1A内に含まれたハロゲン化物が消費されると、固体は、そのゾーンから一定速度で回収され、ゾーン3Aへ輸送される。同様に、完全に再生された固体は、ゾーン3Aから常に回収され、ゾーン1Aに輸送される。ゾーン1Aと3Aの間の固体の輸送は、重力、空気の輸送、他の機械的手段(例えば、コンベヤー)、又は、方法の組み合わせにより促進される。同様の方法で、ゾーン1Bの再生炭素−炭素カップリング触媒は、連続的に回収され、ゾーン3Bに輸送される。また、コークス化された炭素−炭素カップリング触媒は、再生のために、ゾーン3Bからゾーン1Bまで輸送される。該カップリング触媒の輸送は、重力、空気の輸送、他の機械的手段、又は、方法の組み合わせにより促進される。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられるように、化合物、触媒又は他の物質に関する単数又は複数の使用は、特に示さない限り、特定の分子数又は数の物質を意図するものでなく、さまざまな型の物質の特定の数を意図するものでもない。例えば、“高級炭化水素”は、主に1つの若しくは正確には1つの化合物(例えば、イソオクタンの数)、又は、2以上のさまざまな化合物(例えば、ブタン、ベンゼン、プロピレン等)を含む。同様に、“オレフィン”とは、単一のオレフィンの数、又は、2以上の異なるオレフィンをいい、“ゼオライト”とは、1以上の異なるゼオライトの数をいうといったものなどである。
【0017】
本発明の実施においては、多くの炭化水素原料が用いられることを意図するものである。非限定的な例は、1以上の低級アルカン及び/又はオレフィン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン)、天然ガス、及び、炭化水素の他の混合物を含む。最も好ましい実施態様においては、原料は、事実上主に脂肪族である。特定の精油工程は、メタンを添加又は添加せずに使用することができる、低級炭化水素流れ(いわゆる、“低級端”、一般にC1−C3炭化水素の混合物)を生成する。一般に、原料は、ガスとして反応器に導入される。
【0018】
領域反応器の生成物(1以上の“高級炭化水素”)は、原料、炭素−炭素カップリング触媒、及び、反応器条件、例えば、ガス流速(反応器滞留時間に影響する)、温度、及び圧力、に依存する。本明細書中で用いられる用語“高級炭化水素”とは、炭化水素原料の1以上の成分よりも高い炭素数(分子当たりの多い炭素原子数)、及び/又は、高い結合次数を有する炭化水素をいう。例えば、原料が純粋なメタン(炭素数1、結合次数1)である場合、生成する高級炭化水素は、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、大きなアルカン及びオレフィン、可能性のあるアルキン、及び/又は芳香族化合物である。原料が純粋なエタン(炭素数1、結合次数1)である場合、生成する高級炭化水素は、プロパン(炭素数3、結合次数1)、エチレン(炭素数2、結合次数2)等である。原料が天然ガス(一般には、非常に少量のエタン、プロパン及びブタン、並びに、ペンタン、ヘキサン等の少量の長鎖炭化水素と共に、低級炭化水素の混合物、主にはメタン)である場合、生成する高級炭化水素は、1以上のC2、又は高級アルカン(例えば、エタン、プロパン、ブタン、C5+炭化水素、及び他の軽質ナフサ)、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等)、及び/又は、芳香族炭化水素を含む。
【0019】
特定の分類の高級炭化水素が特に望ましく、“ガソリンレンジ”炭化水素(例えば、オレフィン成分及び/又は芳香族成分と共に、又は、なしで、C4−C12アルカン、より好ましくはC5−C10アルカン)を含む。高い芳香族含量で低いベンゼン含量のC5+アルカンが、ガソリン又はガソリン添加物として特に望ましい。他の望ましい生成物は、芳香族化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン(特に、p−キシレン)、メシチレン等、特に、低いベンゼン含量の芳香族生成物を含む。ある実施態様において、生成物は、主に、ベンゼン、又はベンゼンリッチの芳香族からなる。他の実施態様において、生成物は、主に、トルエン、又はトルエンリッチの芳香族からなる。ある実施態様において、生成物の芳香族含量は、固体反応器への非芳香族成分の再利用により豊富になる。飽和脂肪族化合物の場合には、カップリング触媒の存在下で、炭素−炭素カップリングの前に再臭素化を生じるが、オレフィン化合物が(本明細書で記載されるように、カップリング触媒の存在下で)直接的にカップリングされる可能性がある。
【0020】
代表的なハロゲン化水素(HX)は、臭化水素(HBr)及び塩化水素(HCl)を含む。また、フッ化水素(HF)及びヨウ化水素(HI)を使用することができるが、同等の結果を必要とはしないことが意図される。フッ素に関連する幾つかの問題は、HF(例えば、ヘリウム、窒素又は他の希釈剤によって運ばれたHFガス)の希釈された流れの使用により解決することができると思われる。しかしながら、フッ素−炭素結合の強さにより、フッ化アルキルが結合し高級炭化水素を形成するのに非常に強力な反応条件を必要とすることが予想される。同様に、HI(特定のヨード反応の吸熱性等)に関連する問題は、非常に高い温度及び/又は圧力で、ハロゲン化反応及び/又はカップリング反応を行うことにより、解消することができると思われる。HBr又はHClの使用が好ましく、HBrが最も好ましい。
【0021】
多くの物質は、HX(特に、HCl及びHBr)を可逆的に捕捉及び放出することができる。第一の例としては、そのような物質は、中鎖乃至長鎖オレフィン、すなわち分子当たり10〜100、好ましくは15〜80、より好ましくは20〜50個の炭素原子を有するオレフィン、を含む。一般に、そのようなオレフィンは、分子当たり1より多い炭素−炭素二重結合を有する。非限定的な具体例は、1−ドデセン、1,12−ドデカジエン、及び1−エイコサンを含む。不飽和オレフィンは、部分的にハロゲン化されたオレフィン又はアルカンを形成するためにHXと付加反応させ、これによって、“HXを反応的に捕捉する”。該物質を加熱する場合、物質は、HXを放出し、オレフィンに戻る。
【0022】
第二の例としては、不飽和有機高分子は、HXを捕捉して、部分的にハロゲン化された有機高分子を形成し、HXを放出することができる。非限定的な例は、ポリアセチレン、部分的に脱水素化されているポリエチレン、部分的に脱水素化されているポリプロピレン、及び、その混合物を含む。ポリエチレン及びポリプロピレンは、当業者に周知の方法、例えば、脱ハロゲン化水素化(dehydrohalogenation)の前のハロゲン化、に従って脱水素化することができる。ポリブタジエンは、HXの捕捉及びその後の放出で用いることができる不飽和有機高分子の他の例である。
【0023】
オレフィン及び不飽和有機高分子は、HXと反応させて部分的にハロゲン化された化合物を形成することによりHXを捕捉する。該反応は、空気又は酸素の存在下で、該物質を加熱することにより逆転することができる。次の式が基本的なスキームの非限定的な例である。
【0024】
【化1】

【0025】
ある実施態様において、不飽和物質は、シリカ、チタニア、又は、類似する耐熱性で、無機質であり、一般に不活性な物質等の支持体に担持される。一例として、シリカペレットは、ペレットとポリエチレンを組み合わせて、ポリエチレンのガラス転移温度より高い温度に混合物を加熱し、その後、ハロゲンをペレットに添加し、かつ、紫外線に該組み合わせを暴露してポリマーをハロゲン化することにより、ポリエチレンで被覆される。
【0026】
ゾーン2では、ハロゲン化アルキルは、炭化水素原料とHX及びO(オキシハロゲン化)を反応させ、及び/又は、ハロゲン化アルキルとX(ハロゲン化)を反応させることにより形成される。紫外線及び/又は熱は、反応を促進することができる。好ましい実施態様において、反応は、ハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒、又は、カタロ反応剤の存在下で行う。非限定的な例は、酸化銅(CuO)等の金属酸化物、及び、CuCl、CuBr等の金属ハロゲン化物などを含む。触媒の混合物を用いることができる。触媒物質を担持することができる、又は担持することができない。
【0027】
図1において、触媒は、ゾーン2の全体にわたって存在する。図2に示す代替的な実施態様においては、ハロゲン化触媒及び/又はオキシハロゲン化触媒は、ゾーン2の下流及び上流領域8に封鎖され、中央域9は空のままである。
【0028】
ゾーン1B及び3Bにおいては、炭素−炭素カップリング触媒は、高級炭化水素へのハロゲン化アルキルの転換を促進するために利用される。本明細書中で用いられる用語“炭素−炭素カップリング触媒”とは、炭素間結合形成を触媒することができる物質をいい、機械論的レベルにおいては反応中に推定上加わるが、この工程では消費されない“真の”触媒、及び、反応の過程で化学的に転換されるが、再生反応により元の形態に戻ることができる“カタロ反応剤”を含む。例えば、カタロ反応剤の酸素原子は、炭素−炭素カップリング反応時にハロゲン原子に置換され、その後の最初に転換されたカタロ反応剤物質における空気又は酸素の通過によるもの等の再生ステップで(酸素で置換されるハロゲンにより)再生される。また、炭素−炭素カップリング触媒とは、“オリゴマー化触媒”、又は、単純に“カップリング触媒”のことをいう。
【0029】
カップリング触媒の非限定的な例は、非晶質アルミノケイ酸(非晶質固体酸)、タングステン/ジルコニア超酸、硫酸化ジルコニア、SAPO−34等のアルミノリン酸塩及びそのフレームワーク置換類縁体(framework−substituted analogue)(例えば、Ni、Mnで置換された)、ZSM−5等のゼオライト及びそのイオン交換された類縁体、フレームワーク置換ZSM−5(Ti、Fe、Ti+Fe、B又はGaで置換された)、並びに、他のミクロ多孔質体を含む。該触媒は、天然又は合成であり、ドープされる又はドープされず、担持される又は担持されない。
【0030】
室温で液体の炭化水素を生産するための好ましい触媒は、SiO/Al比が300:1未満で、好ましくは100:1未満で、最も好ましくは30:1以下である、イオン交換されたZSM−5を含む。好ましい交換イオンの非限定的な例は、Ag、Ba、Bi、Ca、Fe、Li、Mg、Sr、K、Na、Rb、Mn、Co、Ni、Cu、Ru、Pb、Pd、Pt、及びCeのイオンを含む。これらのイオンは、純粋な塩類又は塩類の混合物として交換することができる。ドープされたゼオライトの調製、及び、炭素−炭素カップリング触媒としてのそれらの使用は、米国特許出願公開公報第2005/0171393A1号の第4〜5頁に記載されている(それらの全体において本明細書中に引用により組み込まれる)。
【0031】
ゼオライトは、Zeolyst International社(Valley Forge,PA)を含むさまざまなソースから利用可能である。具体例は、ドープされたZSM−5及びドープされたモルデナイト(例えば、カルシウム及び/又はマグネシウムがドーパントである)を含む。本発明のある実施態様において、30のSiO/Al比を有するMn交換ZSM−5ゼオライトは、カップリング触媒として使用される。特定の工程条件下では、調整された選択性を有する液化炭化水素生成物を生産することができる。
【0032】
生成物分布は、ゼオライト又は他の触媒の特性の変更による高い芳香族含量、低い芳香族含量、ガソリン等級物質(gasoline grade material)によって変更することができる。孔径及び酸度が重要であると考えられる。酸度は、生成物の鎖長及び官能性を制御するのに用い、また、孔径は、鎖長及び官能性を制御することができる。特定の孔径を有するゼオライトは、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、m−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、スチレン、直鎖アルキルベンゼン、及び/又は他の芳香族生成物を選択的に生産することができる。また、孔径は、非芳香族生成物の形成に影響すると考えられる。
【0033】
本発明のさまざまな局面において、空気又は酸素は、例えば、デコーキング、オキシハロゲン化、HX放出、カタロ反応剤再生等の所定の結果を達成するために使用される。本明細書の文脈における用語“空気又は酸素”は、多くの酸素系又は酸素含有ガス流れを含むことが理解される。非限定的な例は、通常の空気、純酸素ガス(O)、少量の他のガス状成分を含む酸素ガス、搬送ガス(例えばヘリウム)中の酸素ガスの希釈された流れ、酸素濃縮空気等を含む。
【0034】
HXの捕捉及び放出、触媒デコーキング、ハロゲン化及び/又はオキシハロゲン化、並びに、生成物の形成のさまざまなステップを促進するために、原料の量、触媒、ガス流速及び所望の生成物を考慮して、反応器のさまざまなゾーンは、適切な圧力及び温度で操作される。ある実施態様において、反応器は、大気圧より僅かに高い圧力で操作される。ゾーン1A又は3Aは、0〜500℃、好ましくは100〜400℃、より好ましくは200〜300℃の温度に加熱され、HXの放出を促進する。ゾーン3A又は1Aは、僅かに低い温度、例えば、0〜400℃、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜250℃、に加熱され、HXの捕捉を促進する。カップリング触媒のデコーキングは、高い温度、例えば約500℃、でゾーン1B又は3Bを加熱することで促進される。炭化水素原料のハロゲン化及び/又はオキシハロゲン化は、ゾーン2で発生し、150〜600℃、好ましくは400〜600℃、より好ましくは450〜515℃の温度に加熱される。生成物形成(炭素−炭素カップリング)は、150〜600℃、好ましくは275〜425℃、の温度にゾーン3B又は1Bを加熱することで促進される。
【0035】
本発明を実施するための多くの代替的な実施態様がある。例えば、3つのゾーンを区画形成する単一の容器の代わりに、領域反応器は、3つの独立した容器、それぞれ分離ゾーン1、2又は3を区画形成する、を有する。他の例としては、特定の反応器の設計が、改善された伝熱の可能性を提供する。したがって、反応器は、一連の小さなチューブ(6インチ未満の内径、より好ましくは2〜4インチ)で構成することができる。第三の例としては、インライン構造(in−line configuration)の代わりに、チューブを平行に配列し、該チューブを適切な熱伝導流体が循環する非常に大きな容器で包囲することができる。あるいは、チューブの束は、それらの表面において冷却及び/又は加熱を促進するように、空気又は別の不活性ガスを案内することができる。
【0036】
ある応用においては、生成物形成(メタセシス)ゾーン(ゾーン1B又は3B)に入る前に、ゾーン2からの出口を冷却する必要がある場合、予冷器を使用することができる。ある実施態様において、予冷器は、チューブの空冷式管束、又は、適切な熱伝導流体がチューブ周囲に循環するシェルで包囲されたチューブを有する。予冷器の使用は、メタセシスゾーンでの必要な反応器容積を減少させることが可能である。メタセシスの熱除去の必要性は、反応器の設計に非常に影響を及ぼす場合がある。
【0037】
他の代替は、反応器自体の内部の不活性熱キャリアを使用することである。例えば、過剰なアルカン原料は、熱を消耗するために導入することができ、それによって、反応器を、チューブ−シェル配置に代わり、充填層構造とすることができる。内部熱キャリアの使用においては、反応器が断熱的に操作されることを可能にすべきである。また、反応生成物流れから容易に分離することができる不活性流れは、この構造で熱キャリアとして使用することができる。断熱の充填層スキームが、反応器のコストを有意に下げることができることが期待される。
【0038】
本発明の更なる別の実施態様においては、領域反応器は、ガソリンレンジ炭化水素の生産を促進する、ZSM−5ゼオライト又は他の物質が充填されたポスト反応器床(post−reactor bed)と組み合わせて使用される。例えば、領域反応器は、ガソリンレンジ炭化水素への低級オレフィンのカップリングを促進するためにゼオライト床に供給される、低級オレフィンを形成するために使用することができる。
【0039】
領域反応器の寿命を延長するために、多くの構成材料を使用してもよい。非限定的な例は、ハステロイ合金、アルミニウム及びクロムリッチ金属合金、チタン、ジルコニウム、タンタル及びニッケル地金、それらの合金、シリカ、アルミナ及びジルコニア被覆金属、並びに、炭化ケイ素等の熱伝導性セラミック物質を含む。また、反応器容器は、絶縁、耐食材料、例えば、アルミナ、シリカおよびジルコニア、から製造され、耐食材料でそれぞれ整列されるが、ポリテトラフルオロエチレン等の耐熱性材料である必要はない。ある条件下においては、容器は、上述の熱伝導性材料から製造されたタイプのパイプを通過する熱伝導流体によって提供される、加熱及び/又は冷却により、等温で操作することができる。あるいは、反応器は、断熱的に操作することができる。
【実施例】
【0040】
次のものは、本発明の非限定的な例である。
【0041】
[HBrを放出及び捕捉することができる物質の調製]
【0042】
(試薬A及びB)
高表面積(>300m/g)のシリカペレットは、ペレットとポリエチレンを組み合わせて、ポリエチレンのガラス転移温度より高い温度に加熱することにより、ポリエチレンで被覆された。臭素をペレットに加え、該組み合わせを紫外線に暴露して、ポリマーの臭素化を行った。原料の半分を分離し225℃で加熱して、HBrを放出させて、HBrを捕捉することができる物質である試薬Aを形成することができた。他の原料の半分である、試薬Bを、HBrを放出することができる物質としての使用のために保持した。
【0043】
(試薬C及びD)
吸着剤の形成:高表面積(>300m/g)のシリカペレットは、ペレットとポリエチレンを組み合わせて、ポリエチレンのガラス転移温度より高い温度に加熱することにより、ポリエチレンで被覆された。塩素をペレットに加え、該組み合わせを紫外線に暴露して、ポリマーの塩素化を行った。原料の半分を分離し225℃で加熱して、HClを放出させた。他の原料の半分を、HCl含有吸着剤としての使用のために保持した。
【0044】
[実施例1]
次の物質を、図1に示す領域反応器にロードした。
ゾーン1A:試薬B
ゾーン1B:ZSM−5カップリング触媒
ゾーン2 :酸化銅触媒
ゾーン3B:ZSM−5カップリング触媒
ゾーン3A:試薬A
ステップ1において、空気を225℃の温度でゾーン1Aに通し、試薬Bを試薬Aに転換し、HBrを放出した。ゾーン1Aからの空気及びHBrを500℃の温度で最初にゾーン1Bに通し(その後の運転で、カップリング触媒が再生(デコーキング)する)、次いで、400℃で天然ガスを酸化臭素化する(oxybrominate)ゾーン2に通した。ゾーン2の生成物が400℃でゾーン3Bのカップリング触媒を通過して、高級炭化水素及びHBrが生成した。ゾーン3Aにおいて、150℃の温度で、HBrが試薬A(試薬Bに転換された)によって捕捉された。
ステップ2において、空気を225℃の温度でゾーン3Aに通し、試薬Bを試薬Aに転換し、HBrを放出した。ゾーン3Aからの空気及びHBrを500℃の温度でゾーン3Bに通し、カップリング触媒が再生(デコーキング)した。ゾーン2において、400℃で天然ガスを酸化臭素化した。ゾーン2の生成物が400℃でゾーン1Bのカップリング触媒を通過して、高級炭化水素及びHBrが生成した。ゾーン1Aにおいて、150℃の温度で、HBrが試薬A(試薬Bに転換された)によって捕捉された。
【0045】
[実施例2]
実施例1の炭化水素生成物を350〜450℃の温度でZSM−5触媒に通過させて、生成物の平均分子量を変化させた。
【0046】
[実施例3]
実施例1の操作に従ったが、ZSM−5の代わりに、酸化タングステン及びジルコニアの混合物(WZA)を炭素−炭素カップリング触媒として用いた。
【0047】
[実施例4]
実施例3の炭化水素生成物を350〜450℃の温度でZSM−5触媒に通過させて、生成物の平均分子量を変化させた。
【0048】
[実施例5]
次の物質を、図1に示す領域反応器にロードした。
ゾーン1A:試薬D
ゾーン1B:ZSM−5カップリング触媒
ゾーン2 :酸化銅触媒
ゾーン3B:ZSM−5カップリング触媒
ゾーン3A:試薬C
ステップ1において、空気を225℃の温度でゾーン1Aに通し、試薬Dを試薬Cに転換し、HClを放出した。ゾーンAからの空気及びHClを500℃の温度でゾーン1Bに通し(その後の運転で、カップリング触媒が再生(デコーキング)する)、次いで、400℃で天然ガスを酸化臭素化するゾーン2に通した。ゾーン2の生成物が400℃でゾーン3Bのカップリング触媒を通過して、高級炭化水素及びHClが生成した。ゾーン3Aにおいて、150℃の温度で、HClが試薬C(試薬Dに転換された)によって捕捉された。
ステップ2において、空気を225℃の温度でゾーン3Aに通し、試薬Dを試薬Cに転換し、HClを放出した。ゾーン3Aからの空気及びHClを500℃の温度でゾーン3Bに通し、カップリング触媒が再生(デコーキング)した。ゾーン2において、400℃で天然ガスを酸化臭素化した。ゾーン2の生成物が400℃でゾーン1Bのカップリング触媒を通過して、高級炭化水素及びHClが生成した。ゾーン1Aにおいて、150℃の温度で、HClが試薬C(試薬Dに転換された)によって捕捉された。
【0049】
[実施例6]
実施例5の炭化水素生成物を350〜450℃の温度でZSM−5触媒に通過させて、生成物の平均分子量を変化させた。
【0050】
[実施例7]
実施例5の操作に従ったが、ZSM−5の代わりに、酸化タングステン及びジルコニアの混合物(WZA)を炭素−炭素カップリング触媒として用いた。
【0051】
[実施例8]
実施例7の炭化水素生成物を350〜450℃の温度でZSM−5触媒に通過させて、生成物の平均分子量を変化させた。
【0052】
本発明は、さまざまな実施態様、図及び実施例に関し記載されたが、これらに限定されるものではない。当業者は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される本発明から外れることなしに、本発明を多くの方法で改良することが可能であることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素原料を1以上の生成物に転換するための反応器において、
該反応器は該反応器において複数のゾーンを区画形成する1以上の中空容器を含み、
第一のゾーンがハロゲン化水素を放出することができる物質、及びカップリング触媒を含み、第二のゾーンが該第一のゾーンに連結し、かつ第三のゾーンが該第二のゾーンに連結し、炭素−炭素カップリング触媒、及びハロゲン化水素を捕捉することができる物質を含む、
反応器。
【請求項2】
前記反応器が単一の容器を有し、前記第一のゾーンが該容器の第一の端部に位置し、前記第二のゾーンが該容器の中間に位置し、前記第三のゾーンが該容器の第二の端部に位置し、かつガスが第一のゾーンから第二のゾーン、及び第二のゾーンから第三のゾーンへ流れる、請求項1記載の反応器。
【請求項3】
前記第一のゾーンが第一の容器に位置し、前記第二のゾーンが第二の容器に位置し、前記第三のゾーンが第三の容器に位置し、かつガスが第一のゾーンから第二のゾーン、及び第二のゾーンから第三のゾーンへ流れる、請求項1記載の反応器。
【請求項4】
前記ハロゲン化水素を放出することができる物質が前記第一のゾーンの第一のサブゾーンに位置し、前記炭素−炭素カップリング触媒が前記第一のゾーンの第二のサブゾーンに位置し、前記カップリング触媒が前記第三のゾーンの第一のサブゾーンに位置し、かつ前記ハロゲン化水素を捕捉することができる物質が前記第三のゾーンの第二のサブゾーンに位置する、請求項1記載の反応器。
【請求項5】
前記ハロゲン化水素を放出することができる物質が部分的にハロゲン化されたオレフィンを含む、請求項1記載の反応器。
【請求項6】
前記部分的にハロゲン化されたオレフィンが分子当たり10〜100個の炭素原子を有する、請求項5記載の反応器。
【請求項7】
前記部分的にハロゲン化されたオレフィンが分子当たり15〜80個の炭素原子を有する、請求項5記載の反応器。
【請求項8】
前記部分的にハロゲン化されたオレフィンが分子当たり20〜50個の炭素原子を有する、請求項5記載の反応器。
【請求項9】
前記部分的にハロゲン化されたオレフィンが部分的にハロゲン化された1−ドデセン、1,12−ドデカジエン、及び/又は1−エイコサンを含む、請求項5記載の反応器。
【請求項10】
前記ハロゲン化水素を放出することができる物質が部分的にハロゲン化された有機高分子を含む、請求項5記載の反応器。
【請求項11】
前記有機高分子が部分的にハロゲン化されたポリアセチレン、部分的に脱水素化されている及び部分的にハロゲン化されているポリエチレン、部分的に脱水素化されている及び部分的にハロゲン化されているポリプロピレン、及びその混合物からなる群より選択される、請求項10記載の反応器。
【請求項12】
前記部分的にハロゲン化された有機高分子が部分的にハロゲン化されたポリブタジエンを含む、請求項10記載の反応器。
【請求項13】
前記ハロゲン化水素を捕捉することができる物質が分子当たり10〜100個の炭素原子を有するオレフィンを含む、請求項1記載の反応器。
【請求項14】
前記オレフィンが分子当たり15〜80個の炭素原子を有するオレフィンを有する、請求項13記載の反応器。
【請求項15】
前記オレフィンが分子当たり20〜50個の炭素原子を有するオレフィンを有する、請求項13記載の反応器。
【請求項16】
前記ハロゲン化水素を捕捉することができる物質が不飽和有機高分子を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項17】
前記不飽和有機高分子がポリアセチレン、部分的に脱水素化されているポリエチレン、部分的に脱水素化されているポリプロピレン、及びその混合物からなる群より選択される、請求項16記載の反応器。
【請求項18】
前記不飽和有機高分子がポリブタジエンを含む、請求項16記載の反応器。
【請求項19】
前記第二のゾーンがハロゲン化及び/又はオキシハロゲン化触媒を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項20】
前記ハロゲン化及び/又はオキシハロゲン化触媒が酸化銅を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項21】
前記ハロゲン化及び/又はオキシハロゲン化触媒がハロゲン化銅を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項22】
前記ハロゲン化銅が臭化銅又は塩化銅を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項23】
前記カップリング触媒がミクロ多孔質体を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項24】
前記ミクロ多孔質体が担持された又は担持されていないゼオライトを含む、請求項23記載の反応器。
【請求項25】
前記ゼオライトがドープされたゼオライトを含む、請求項24記載の反応器。
【請求項26】
前記ゼオライトがZSM−5型ゼオライトを含む、請求項24記載の反応器。
【請求項27】
すべての3つのゾーンが単一の中空容器に位置し、かつ隣接するゾーンが少なくとも一つの開口を有する仕切りによって分離されている、請求項1記載の反応器。
【請求項28】
前記仕切りが遮蔽体を含む、請求項1記載の反応器。
【請求項29】
炭化水素原料を1以上の高級炭化水素に転換するための反応器において、
該反応器は第一のゾーン、第二のゾーン、及び第三のゾーンを有する中空容器を含み、
該第一のゾーンが部分的にハロゲン化されたオレフィン及び/又は部分的にハロゲン化された不飽和有機高分子、及びZSM−5ゼオライトを含み、該第二のゾーンが該第一のゾーンに連結し金属酸化物を含み、かつ該第三のゾーンが該第二のゾーンに連結し、ミクロ多孔質カップリング触媒、中鎖乃至長鎖オレフィン、及び/又は不飽和有機高分子を含む、
反応器。
【請求項30】
前記金属酸化物が酸化銅を含む、請求項29記載の反応器。
【請求項31】
前記ミクロ多孔質カップリング触媒がZSM−5ゼオライトを含む、請求項29記載の反応器。
【請求項32】
前記部分的にハロゲン化されたオレフィン及び/又は部分的にハロゲン化された不飽和有機高分子が前記第一のゾーンの第一のサブゾーンに位置し、前記ZSM−5ゼオライトが前記第一のゾーンの第二のサブゾーンに位置し、前記ミクロ多孔質カップリング触媒が前記第三のゾーンの第一のサブゾーンに位置し、かつ前記中鎖乃至長鎖オレフィン及び/又は不飽和有機高分子が前記第三のゾーンの第二のサブゾーンに位置する、請求項29記載の反応器。
【請求項33】
炭化水素原料を高級炭化水素に転換する方法であって、
空気又は酸素中のハロゲン化水素(HX)を放出することができる物質を加熱することにより、HXの第一の流れを形成すること;
炭化水素原料と空気又は酸素中の該HXの第一の流れとを反応させることにより、ハロゲン化アルキルを形成すること;
第二の炭素−炭素カップリング触媒の存在下で該ハロゲン化アルキルを反応させることにより、高級炭化水素及びHXの第二の流れを形成すること;及び、
HXを捕捉することができる物質と該HXの第二の流れとを反応させることにより、該HXの第二の流れを捕捉することを含む、
方法。
【請求項34】
前記第一のカップリング触媒及び第二のカップリング触媒をデコーキングすることを更に含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記HXを放出することができる物質が部分的にハロゲン化されたオレフィンを含む、請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記オレフィンが分子当たり10〜100個の炭素原子を有する、請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記HXを放出することができる物質が部分的にハロゲン化された有機高分子を含む、請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記部分的にハロゲン化された有機高分子が部分的にハロゲン化されたポリアセチレン、ポリブタジエン、部分的に脱水素化されている及び部分的にハロゲン化されているポリエチレン、部分的に脱水素化されている及び部分的にハロゲン化されているポリプロピレン、及びその混合物からなる群より選択される、請求項33記載の方法。
【請求項39】
前記HXを捕捉することができる物質が分子当たり10〜100個の炭素原子を有するオレフィンを含む、請求項33記載の方法。
【請求項40】
前記HXを捕捉することができる物質が不飽和有機高分子を含む、請求項33記載の方法。
【請求項41】
前記有機高分子がポリアセチレン、ポリブタジエン、部分的に脱水素化されているポリエチレン、部分的に脱水素化されているポリプロピレン、及びその混合物からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
炭化水素原料を高級炭化水素に転換する方法であって、
(a)空気又は酸素中のハロゲン化水素(HX)を放出することができる物質を加熱することにより、HX及びHXを捕捉することができる物質を形成するステップ;
(b)炭化水素原料と空気又は酸素中のステップ(a)で形成されたHXとを反応させることにより、ハロゲン化アルキルを形成するステップ;
(c)カップリング触媒の存在下で該ハロゲン化アルキルを反応させることにより、高級炭化水素及び付加的なHXを形成するステップ;及び、
(d)HXを捕捉することができる物質でステップ(c)で形成されたHXを反応的に捕捉することにより、HXを放出することができる物質を形成するステップを含む、
方法。
【請求項43】
前記カップリング触媒をコークス化及びデコーキングすることを更に含む、請求項42記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−528054(P2010−528054A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509588(P2010−509588)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/064922
【国際公開番号】WO2008/148113
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(506015362)ジーアールティー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】