説明

可食性積層フィルムおよびその製造方法

【課題】より短時間で崩壊し、口腔内が粘ついて不快感を与えることがない、すなわち、口溶け性に優れ、嚥下が容易で、薬理活性成分を含有させるのに有利な可食性積層フィルム、及びこの可食性積層フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】同一又は相異なる複数の可食性フィルム1a、1bの層が直接又はその他の層を介して積層されてなる可食性積層フィルム100であって、前記複数の可食性フィルム1a、1bの層の少なくとも一層が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルム12の内部に、水溶性微粒子11が分散状態で存在する可食性フィルム(A)からなることを特徴とする可食性積層フィルム、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口溶け性に優れ、嚥下が容易で、薬理活性成分を含有させるのに有利な可食性積層フィルム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品や医薬品等の包装材や担体等として可食性フィルムが用いられるようになってきている。例えば、香料等を含有させた口中清涼フィルムや消臭成分等を含有させた口臭予防フィルムとして可食性フィルムが使用されている。
【0003】
従来、かかる可食性フィルムとしてオブラートが知られている。これは、α化デンプンを薄膜状にしたものであり、薬を服用する際における補助製品として使用されているものである。また、セルロース系の高分子物質等を用いた速溶性フィルム状製剤が特許文献1に開示されている。
しかしながら、従来の可食性フィルムを服用した場合には、口腔内において可食性フィルムが崩壊するまでに時間を要し、口腔内が粘ついて不快感を与える場合があった。
【0004】
また、薬理活性成分を含有させたフィルム状製剤についても開発が行われている。
しかしながら、薬理活性成分を含有させたフィルム状製剤を製造する場合、成膜時にかかる熱が薬理活性成分にダメージを与える場合があった。
さらに、このフィルム状製剤においては、主薬と助薬を含む配合剤等のように、1製剤に2種以上の薬理活性成分を配合する場合があるが、2種以上の薬理活性成分同士が反応してしまい、経時的安定性に欠ける場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−43450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、より短時間で崩壊し、口腔内が粘ついて不快感を与えることがない、すなわち、口溶け性に優れ、嚥下が容易で、薬理活性成分を含有させるのに有利な可食性積層フィルム、及びこの可食性積層フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、同一又は相異なる複数の可食性フィルムの層が直接又はその他の層を介して積層されてなる可食性積層フィルムであって、前記複数の可食性フィルムの層の少なくとも一層が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルム(A)からなる可食性積層フィルムは、口溶け性に優れ、嚥下が容易で、薬理活性成分を含有させるのに有利であることを見出した。また、この可食性積層フィルムは、前記複数の可食性フィルム(少なくとも一層は可食性フィルム(A)である。)を直接又はその他の層を介して重ね合わせ、ヒートシールすることにより、簡便に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(9)の可食性積層フィルムが提供される。
(1)同一又は相異なる複数の可食性フィルムの層が直接又はその他の層を介して積層されてなる可食性積層フィルムであって、前記複数の可食性フィルムの層の少なくとも一層が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルム(A)からなることを特徴とする可食性積層フィルム。
(2)前記可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有することを特徴とする(1)に記載の可食性積層フィルム。
(3)前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤であって、該フィルム形成剤の5質量%水溶液の37℃における粘度が、1000〜100000mPa・sであるものを含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の可食性積層フィルム。
【0009】
(4)前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、5質量%水溶液の37℃における粘度が10mPa・s以下である水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
(5)前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、マルトデキストリンおよびマンニトールのいずれか一方又は両方の水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
(6)前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在するものであって、前記水溶性微粒子の配合割合が、フィルム全体に対して、35〜70質量%である可食性フィルムであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【0010】
(7)前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在するものであって、前記フィルム形成剤の配合割合が、フィルム全体に対して、25〜60質量%である可食性フィルムであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
(8)前記可食性フィルム(A)が、さらに薬理活性成分を含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
(9)前記可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有し、該2層以上の可食性フィルム(A)からなる層のそれぞれが、同一又は相異なる薬理活性成分を含有することを特徴とする(8)に記載の可食性積層フィルム。
【0011】
本発明の第2によれば、下記(10)の可食性積層フィルムの製造方法が提供される。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の可食性積層フィルムを製造する方法であって、少なくとも前記可食性フィルム(A)を含む、同一又は相異なる複数の可食性フィルム同士を重ね合わせ、温度60〜200℃、圧力0.1〜5MPaでヒートシールする工程を有することを特徴とする可食性積層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の可食性積層フィルムは口溶け性に優れるため、嚥下が容易であり、服用に際し、口腔内が粘ついて不快感を与えることがない。
本発明の可食性積層フィルムにおいては、積層する可食性フィルムの厚みや枚数を調整することにより、所望の厚みのフィルムとすることができる。
本発明の可食性積層フィルムは、薬理活性成分を多く含有させたい場合であっても、製造時に薬理活性成分に多量の熱量をかける必要がないため、薬理活性成分にダメージを与えることがない。
また、本発明の可食性積層フィルムは、2種以上の互いに異なる薬理活性成分を、接触させることなく含有することができるため、薬理活性成分の安定性を維持することができる。
【0013】
本発明の可食性積層フィルムの製造方法によれば、本発明の可食性積層フィルムを簡便かつ効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の可食性積層フィルムの構造断面図である。
【図2】本発明の可食性積層フィルムの構造断面図である。
【図3】本発明の可食性積層フィルムの構造断面図である。
【図4】本発明の可食性積層フィルムの製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、1)可食性積層フィルム、及び、2)可食性積層フィルムの製造方法に項分けして詳細に説明する。
【0016】
1)可食性積層フィルム
本発明の可食性積層フィルムは、同一又は相異なる複数の可食性フィルムの層が直接又はその他の層を介して積層されてなる可食性積層フィルムであって、前記複数の可食性フィルムの層の少なくとも一層が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルム(A)からなることを特徴とする。
【0017】
本発明の可食性積層フィルムは、前記可食性フィルム(A)を少なくとも1層有する可食性の積層フィルムであれば特に制約はない。例えば、可食性フィルム(A)と、少なくとも1層の、可食性フィルム(A)以外の他の可食性フィルムとが、直接又はその他の層を介して積層された積層フィルムであっても、2以上の可食性フィルム(A)が直接又はその他の層を介して積層された積層フィルムであってもよい。
【0018】
(可食性フィルム(A))
本発明に用いる可食性フィルム(A)は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在した構造を有する。
ここで、「分散状態で存在」とは、水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が微粒子状で存在することを意味する。
【0019】
水溶性フィルムは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含むフィルム形成剤を含有する材料から形成されたフィルムである。
【0020】
ヒドロキシプロピルセルロースは、セルロースに酸化プロピレンを反応させて得られるヒドロキシエーテルであり、2005年に食品添加物として指定されたものである。
ヒドロキシプロピルセルロースは、市販されているものをそのまま使用することができる。
【0021】
フィルム形成剤中におけるヒドロキシプロピルセルロースの含有割合は、フィルム形成剤全体に対して、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
【0022】
前記フィルム形成剤には、ヒドロキシプロピルセルロース以外に、他の可食性高分子を含有していてもよい。
【0023】
他の可食性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース−ナトリウム(CMC−Na)、ポリビニールアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギン酸−Na等が挙げられる。
これらの他の可食性高分子は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
また、フィルム形成剤の5質量%水溶液の37℃における粘度は、1000〜100000mPa・sであることが好ましい。
さらには、前記フィルム形成剤は、可食性フィルム全体に対して、25〜60質量%含有することが好ましい。フィルム形成剤の含有量をこのような範囲にすることにより、薄いフィルムであっても取り扱い時に破れたりしない十分な強度を持たせることができる。
【0025】
水溶性微粒子としては、常温において固体でかつ体温付近の温度で水に溶解するものであれば特に制限はないが、水溶性微粒子の5質量%水溶液の37℃における粘度が、10mPa・s以下であるものが好ましい。
なお、本明細書において粘度とは、JIS K7117−1の4.1(ブルックフィールド形回転粘度計)に準拠して測定されたものである。
【0026】
また、水溶性微粒子は、後述する製造方法により可食性フィルムを製膜するために、炭素数2〜4の脂肪族アルコール系溶媒に不溶性であることが好ましい。
【0027】
この水溶性微粒子を構成する材料としては、例えば、マルトデキストリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、デオキシリトール、スクラロース、シュークロース、マルチトール、ラクトース、ラクチトール等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、マルトデキストリンおよびマンニトールのいずれか一方を含むものが好ましく、口溶け性に優れ、後味が良いことからマルトデキストリンを含むものがより好ましく、マルトデキストリンおよびマンニトールの両方を含むものが特に好ましい。
【0028】
この水溶性微粒子の平均粒径は、コールカウンター法による測定で、通常1〜300μmであり、好ましくは5〜50μmである。
また、水溶性微粒子は、可食性フィルム全体に対して、35〜70質量%含有することが好ましい。これにより、口溶け性に優れる可食性フィルムを得ることができる。
【0029】
可食性フィルム(A)は可塑剤を含有していてもよい。可塑剤を添加することにより、可食性フィルムの口溶け性及びヒートシール性をさらに向上させることができる。
【0030】
用いる可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール、トリアセチレン、ポリソルベート80等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
可食性フィルム(A)が可塑剤を含む場合、その含有量は、可食性フィルム(A)全体に対して1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
【0032】
また、可食性フィルム(A)は、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等の甘味料;香料;酸化チタン、各種色素等の着色剤;繊維;薬理活性成分;等(以下、これらをまとめて「他の添加剤」という。)を含有していてもよい。
【0033】
これらの中でも、可食性フィルム(A)は、他の添加剤として、薬理活性成分を含有するのが好ましい。
薬理活性成分としては、特に限定されず、例えば、アルプラゾラム、フルジアゼパム、ロラゼパム、エチゾラム、ブロチゾラム等のマイナートランキライザー;酒石酸ゾルピデム等の入眠剤;カベルコリン、塩酸メチキセン等の抗パーキンソン剤;塩酸ドネペジル等のアルツハイマー型痴呆治療剤;コルヒチン等の痛風治療剤;塩酸クレンブテロール、硫酸サルブタモール、臭化水素酸フェノテロール、塩酸プロカテロール等の気管支拡張剤;ラベプラゾールNa、ファモチジン、ラフチジン、ランソプラゾール、オメプラゾール、テプレノン等の消化性潰瘍治療剤;ボグリボース等の糖尿病用剤;塩酸インデノロール、塩酸ブフェトロール等の不整脈用剤;マレイン酸エナラプリル、塩酸キナプリル、シラザプリル、ニフェジピン、フェロジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ヒドララジン等の降圧剤;シンバスタチン等の高脂血症用剤;塩酸チアミン、酢酸ヒドロキソコバラミン等のビタミン剤;タクロリムス水和物等の免疫抑制剤;アトピー性皮膚治療剤;エチニルエストラジオール・メチルエストレノロン等のホルモン剤;塩酸ロメリジン等の片頭痛治療剤;酒石酸イフェンプロジル等の鎮うん剤;クロペラスチン、塩酸クロフェダノール等の鎮咳剤;塩酸ロペラミド等の止瀉剤;ピコスルファートNa等の下剤;塩酸アザセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ラモセトロン等の制吐剤;メキタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;塩酸セチリジン、フマル酸エメダスチン等の抗アレルギー剤;塩酸エチルモルヒネ、塩酸モルヒネ等のアヘンアルカロイド系鎮痛鎮咳剤;塩化セチルピリジニウム等の殺菌剤;アモキシシリン、アンピシリン、クラリスロマイシン、セフジニル等の抗生物質;グリチルリチン酸二カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム等の抗炎症剤;ユビキノン(コエンザイムQ10)、カロチノイド系化合物、α−リポ酸、カルニチン、テアニン、クエン酸、ビタミンB群、ビタミンE、油溶性ビタミンC誘導体、ビタミンD類、パントテン酸類、ニコチン酸類、葉酸、ビオチン等のビタミン類;ドロマイト、天然カルシウム、ヘム鉄、ミネラル酵母、海藻粉末などのミネラル類;カテキン;フラクトオリゴ糖;などが挙げられる。
【0034】
可食性フィルム(A)が他の添加剤を含有する場合、前記他の添加剤の配合量は、可食性フィルム(A)に対して、通常0.001〜40質量%、好ましくは0.01〜10質量%程度である。
【0035】
可食性フィルム(A)は、保持基材上に、可食性フィルム(A)用組成物を塗布し、得られた塗膜を乾燥して成膜することにより得ることができる。
【0036】
可食性フィルム(A)用組成物は、例えば、炭素数2〜4の脂肪族アルコール系溶媒(以下、「脂肪族アルコール系溶媒」という。)に、該脂肪族アルコール系溶媒に難溶性又は不溶性である水溶性微粒子を分散させた液に、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤、及び、所望により、可塑剤、他の添加剤を添加し、混合することにより得ることができる。
【0037】
炭素数2〜4の脂肪族アルコール系溶媒としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられ、エタノールが特に好ましい。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
フィルム形成剤の添加量は、フィルム形成剤が、用いる脂肪族アルコール系溶媒に完全に溶解する量以下の量であれば特に制限されない。フィルム形成剤の添加量は、脂肪族アルコール系溶媒100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは10〜30質量部である。
【0039】
また、水溶性微粒子の添加量は、水溶性微粒子が、水溶性フィルムの内部に分散状態で存在できる量の範囲内であれば、特に限定されない。
【0040】
一般的に、水溶性微粒子の添加量を多くすれば、口腔内における可食性フィルムの崩壊時間を短くでき、水溶性微粒子の添加量を少なくすれば、口腔内における可食性フィルムの崩壊時間を長くすることができる。
水溶性微粒子の添加量は、脂肪族アルコール系溶媒100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは10〜30質量部である。
【0041】
用いる保持基材としては、可食性フィルム(A)を担持することができるものであれば、特に制限されない。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルム;グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等の紙類;等および、これらのプラスチックフィルム等に必要に応じてシリコーン系剥離剤等で剥離処理したものが挙げられる。
用いる保持基材の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは5〜50μmである。
【0042】
可食性フィルム(A)用組成物を保持基材上に塗工する方法としては、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケーター等の公知の塗工装置を用いて塗布する方法が挙げられる。
可食性フィルム(A)用組成物の塗布量は、乾燥後において、10〜100g/m、好ましくは20〜60g/mとなる量である。
【0043】
可食性フィルム(A)用組成物の塗膜を形成後、溶媒を乾燥除去して可食性フィルム(A)を形成することができる。
溶媒を乾燥除去するときの温度は、通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃である。
乾燥時間は、通常数十秒から数分間である。
【0044】
可食性フィルム(A)の厚さは、特に限定されないが、通常20〜400μm、好ましくは30〜150μmである。
なお、後述するように、用いた保持基材は適宜剥離される。
【0045】
(他の可食性フィルムの層)
可食性フィルム(A)以外の他の可食性フィルムとしては、従来公知の可食性フィルムを用いることができる。例えば、構成成分として、ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリ酢酸ビニル;ポリ酢酸ビニルフタレート;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;アクリル酸及びそのエステル;メタクリル酸及びそのエステル;キサンタンガム;カラギーナン;アルギン酸;等を用いたものが挙げられる。
【0046】
本発明の可食性積層フィルムにおいて、積層される可食性フィルムの数は特に制約されず、各層の厚さ、用いるフィルムの種類、用途等に応じて適宜決定される。通常2〜5である。
【0047】
(その他の層)
複数の可食性フィルムの層は、その他の層を介して積層されてもよい。
その他の層としては、接着剤層が挙げられる。接着剤層は可食性フィルムの層間に設けられ、可食性フィルム同士を接着する役割を果たす。
【0048】
接着剤層の形成材料としては、可食性の接着剤であれば、特に限定されない。例えば、溶媒を含んだ状態で用いることによって接着性を示す接着剤、加熱によって接着性を示す(すなわち熱融着可能な)接着剤等が挙げられる。これらの接着剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
溶媒を含んだ状態で用いることによって接着性を示す接着剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸又はその薬学的に許容される非毒性塩;アクリル酸共重合体又はその薬学的に許容される塩;カルボキシメチルセルロース及びナトリウム塩等の親水性セルロース誘導体;プルラン、ポビドン、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、トラガント、アルギン酸、アラビアゴム、酸性多糖類又はその誘導体若しくはその薬学的に許容される塩;等が挙げられる。
【0050】
熱融着可能な接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン等のホモポリマー;酢酸ビニルとビニルピロリドンとのコポリマー;等が挙げられる。
【0051】
接着剤層は、接着剤層形成用組成物を、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、アプリケーター等の公知の塗工装置を用いて塗布、又は公知の噴霧装置を用いて噴霧することにより、可食性フィルム上に接着剤層形成用組成物の塗膜を形成したのち、溶媒を乾燥除去することにより形成することができる。
【0052】
前記接着剤層形成用組成物は、接着剤、溶媒、所望により添加剤を混合・撹拌して調製することができる。
【0053】
用いる添加剤としては、可塑剤等が挙げられる。可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン及びソルビトール、グリセリントリアセテート、フタル酸ジエチル及びクエン酸トリエチル、ラウリル酸、ショ糖、ソルビトール等が挙げられる。
【0054】
用いる溶媒としては、溶質の種類に応じて適宜選択することができ、その具体例としては、精製水、エタノール等が挙げられる。
溶媒の使用量は、用いる接着剤の種類等にもよるが、通常、接着剤1質量部に対して、1〜10質量部、好ましくは2〜5質量部である。
【0055】
接着剤層形成用組成物の塗膜の乾燥温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜90℃である。乾燥時間は通常1〜15分間、好ましくは1〜10分間である。
形成される接着剤層の坪量は、通常、1〜50g/m、好ましくは10〜30g/mである。
【0056】
本発明の可食性積層フィルムにおいては、本発明の効果がより顕著に得られるため、可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有するものが好ましく、可食性フィルム(A)を直接2層以上積層してなるものがより好ましい。
【0057】
本発明の可食性積層フィルムの大きさ(横幅など)は、特に制約はなく、取り扱い容易性、製造容易性、用途等に応じて適宜決定される。
本発明の可食性積層フィルムの厚さは、特に限定されないが、通常30μm〜3mm、好ましくは、40μm〜500μmである。
【0058】
本発明の可食性積層フィルムの例を、図1〜図3(構造断面図)に示す。
図1の可食性積層フィルム100は、2層の可食性フィルム(A)からなり、図2の可食性積層フィルム110は、3層の可食性フィルム(A)からなるものである。図3の可食性フィルム120は、可食性フィルム(A)の層−接着剤層−他の可食性フィルムの層−接着剤層−可食性フィルム(A)の層からなるものである。
【0059】
図1〜3において、1a、1b、1cは可食性フィルム(A)、2は他の可食性フィルム、3a、3bは接着剤層、11は水溶性微粒子、12は水溶性フィルムをそれぞれ表す。
【0060】
図1〜3の可食性積層フィルム100、110、120においては、可食性フィルム1a、1b、1cは、互いに同じ組成を有するものであっても、互いに異なるものであってもよい。
例えば、可食性積層フィルム110において、可食性フィルム1a、1bは薬理活性成分等の他の添加剤を含まない層であって、可食性フィルム1cは薬理活性成分を含む層であってもよい。
【0061】
本発明の可食性積層フィルムにおいては、可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有し、該2層以上の可食性フィルム(A)からなる層のそれぞれが、同一又は相異なる薬理活性成分を含有するものが好ましい。
【0062】
すなわち、
(1)可食性フィルム(A)の層が2層以上直接に積層された構造を有し、該2層以上の可食性フィルム(A)の層のそれぞれが、同一の薬理活性成分を含有する可食性積層フィルム(a1)、又は、
(2)可食性フィルム(A)の層が2層以上直接に積層された構造を有し、該2層以上の可食性フィルム(A)の層のそれぞれが、互いに異なる薬理活性成分を含有する可食性積層フィルム(a2)、であるのが、以下に示す利点を有するため好ましい。
【0063】
可食性積層フィルム(a1)は、次のような利点を有する。
例えば、薬理活性成分を含有する可食性フィルム(A)を製造する場合、前述のとおり、溶媒、水溶性微粒子、フィルム形成剤及び薬理活性成分等からなる組成物を保持基材に塗布した後、溶媒を除去するために塗布膜を加熱乾燥する必要がある。薬理活性成分の必要投与量(α)が多い場合には、薬理活性成分の量に合わせて他の成分も増えるため、形成される塗布膜は厚くなる。そうなると加熱乾燥にかかる熱量が増え(例えば、加熱乾燥時間が長くなる)、薬理活性成分が分解等するなど、ダメージを受けるおそれが生じる。しかしながら、可食性積層フィルム(a1)は、まず、薬理活性成分を少量ずつ添加して厚みの薄い可食性フィルムを作製し、このものを薬理活性成分の総量が必要投与量(α)となるように複数枚積層して製造される。例えば、薬理活性成分の必要投与量(α)=β×3であるとすると、薬理活性成分をβ量含む可食性フィルムを3枚製造し、それらを積層して可食性積層フィルム(a1)を製造すればよい。よって、各一枚の可食性フィルムを製造する際にかかる熱量(加熱乾燥時間)は、一度に厚いフィルムを作成する場合に比べて少なくてすむため、結果として薬理活性成分に与えるダメージを軽減することができる。
【0064】
可食性積層フィルム(a2)は、以下の利点を有する。
例えば、製剤には、主薬と助薬を含む配合剤のように、相補的・相乗的に作用しあう2種以上の異なる薬理活性成分を同時に配合する必要がある場合がある。
このような主薬と助薬を含む配合剤としては、例えば、ランソプラゾール、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンの組み合わせによるヘリコバクター・ピロリの除菌薬;解熱剤、鎮咳剤、殺菌剤、抗炎症剤および抗ヒスタミン剤などの組み合わせによる複合感冒薬;などが挙げられる。
【0065】
このような主薬と助薬を含む配合製剤は、可食性積層フィルム(a2)の形態によれば、主薬を含む可食性フィルム(A)と、助薬を含む可食性フィルム(A)を別個に作製し、これらを積層することにより、簡便に製造することができる。
【0066】
また、同一の層に、2種以上の互いに異なる薬理活性成分を配合すると、該薬理活性成分同士が反応してしまい経時的安定性に欠ける場合がある。
可食性積層フィルム(a2)の形態によれば、異なる薬理活性成分が異なる層に分別されて含有されるため、配合剤の効果と薬理活性成分の安定性の両方が得られる利点がある。
【0067】
本発明の可食性積層フィルムは、口溶け性に優れるため、水なしでも口腔内の唾液で短時間に崩壊し、嚥下物の嚥下を容易にする。また、嚥下を行った後も口腔内が粘つくことがなく快適である。
【0068】
本発明の可食性積層フィルムの製造方法としては、特に制約はない。例えば、(i)可食性フィルム(A)を含む複数枚の可食性フィルムを重ね、ヒートシールして張り合わせた後、適当なサイズに裁断して製造する方法、(ii)可食性フィルム(A)を含む複数枚の可食性フィルムを、順次、可食性の接着剤を用いて貼り合わせた後、適当なサイズに裁断して製造する方法、等が挙げられる。
これらの中でも、用いる可食性フィルム(A)がヒートシール性に優れるため、(i)の方法が好ましく、なかでも、後述する本発明の製造方法が特に好ましい。
【0069】
2)可食性積層フィルムの製造方法
本発明の可食性積層フィルムの製造方法は、上述した本発明の可食性積層フィルムを製造する方法であって、少なくとも前記可食性フィルム(A)を含む、同一又は相異なる複数の可食性フィルム同士を重ね合わせ、温度60〜200℃、好ましくは80〜150℃、圧力0.1〜5MPa、好ましくは0.3〜1MPaで,ヒートシールする工程を有することを特徴とする。このようなヒートシール法によれば、複数の可食性フィルム同士がより短時間で、より簡便かつ強固にシールされる。
【0070】
例えば、可食性フィルム(A)からなる層を2層有する本発明の可食性積層フィルムは、具体的には、図4に示すように製造することができる。
先ず、前述のようにして、保持基材4a上に可食性フィルム(1a)、及び保持基材4b上に可食性フィルム(1b)を形成し、積層体130、131を用意する(図4(a))。
次に、積層体130、131を、可食性フィルム(1a)と可食性フィルム(1b)側を内側にして重ね合わせ、ヒートシールすることで、積層体140を得る(図4(b))。
保持基材4a、4bを剥離すれば、本発明の可食性積層フィルムを得ることができる。
保持基材が両最外フィルム面に付された積層体140は、保持基材が保護フィルムとしての機能を有するため、運搬、保管に有利である。なお、ヒートシールは、保持基材が付いた状態で行ってもよいし、保持基材を剥離してから行ってもよい。
【実施例】
【0071】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらにより何ら制限されるものではない。
【0072】
(製造例1) 可食性フィルムAの製造
適量のエタノールに、薬理活性成分としてのグリチルリチン酸二カリウム8.2質量部(和光純薬工業社製)と水溶性微粒子としてのマルトデキストリン(商品名:アミコールNo10、日澱化學社製)60.1質量部を、ホモジナイザーを用いて攪拌しながらゆっくりと添加して分散させた。次に、フィルム形成剤としてのヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC、日本曹達社製)25.7質量部と、可塑剤としてのグリセリン6質量部とを攪拌しながらゆっくりと添加して溶解させ、可食性フィルム形成用組成物Aを得た。
【0073】
次いで、得られた可食性フィルム形成用組成物Aを、乾燥後の塗布量が40g/mとなるようにギャップを調製したアプリケーターを用いて、保持基材のポリエチレンテレフタレートフィルム(SP−PET381031、リンテック社製)上に展延塗布し、80℃で5分間乾燥後、保持基材を剥離除去することにより、可食性フィルムAを得た。
【0074】
(製造例2〜4) 可食性フィルムB〜Dの製造
製造例1において、各材料の種類、含有量を下記第1表に示すように変更した以外は、製造例1と同様にして可食性フィルムB〜Dを得た。
【0075】
(製造例5) 可食性フィルムEの製造
製造例1において、可食性フィルム形成用組成物として、適量の精製水に、ヒドロキシプロピルセルロース94質量部と可塑剤としてのグリセリン6質量部とを攪拌しながらゆっくりと添加して溶解して得られたものを用いた以外は、製造例1と同様にして可食性フィルムEを得た。
【0076】
下記第1表中、各記号は次の意味を表す。
AA:グリチルリチン酸二カリウム
BB:塩化セリルピリジニウム
CC:d−クロルフェニラミンマレイン酸塩
DD:アズレンスルホン酸ナトリウム
De:マルトデキストリン(粒径:35μm、5質量%水溶液の37℃における粘度:1未満)
Ma:マンニトール(粒径:30μm、5質量%水溶液の37℃における粘度:1未満)
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース(5質量%水溶液の37℃における粘度:5500mPa/s)
G:グリセリン
【0077】
【表1】

【0078】
(実施例1)
得られた可食性フィルムAを2枚用意し、一方の可食性フィルムAに、もう一方の可食性フィルムAを上から重ねて、可食性フィルム同士を、温度120℃、圧力0.5MPaの条件でヒートシールして可食性積層フィルム1を得た。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル1とした。
【0079】
(実施例2)
得られた可食性フィルムAとBを用意し、可食性フィルムAに、可食性フィルムBを上から重ねて、可食性フィルムAとBを、温度120℃、圧力0.5MPaの条件でヒートシールして可食性積層フィルム2を得た。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル2とした。
【0080】
(実施例3)
得られた可食性フィルムAとCを用意し、可食性フィルムAに、可食性フィルムCを上から重ねて、可食性フィルムAとCを、温度120℃、圧力0.5MPaの条件でヒートシールして可食性積層フィルム3を得た。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル3とした。
【0081】
(実施例4)
得られた可食性フィルムAとDを用意し、可食性フィルムAに、可食性フィルムDを上から重ねて、可食性フィルムAとDを、温度120℃、圧力0.5MPaの条件でヒートシールして可食性積層フィルム4を得た。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル4とした。
【0082】
(実施例5)
得られた可食性フィルムAとBとCを用意し、可食性フィルムAに、可食性フィルムB、さらに可食性フィルムCを上から重ねて、可食性フィルムAとBとCを、温度120℃、圧力0.5MPaの条件でヒートシールして可食性積層フィルム5を得た。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル5とした。
【0083】
(比較例1)
可食性フィルムEをそのまま比較例1の可食性フィルム6とした。このものを、14.3mm×21.4mmの長方形に裁断して試験用サンプル6とした。
【0084】
実施例1〜5で得た試験用サンプル1〜5及び比較例1の試験用サンプル6を用いて、以下の評価試験を行った。
【0085】
(1)口腔内崩壊時間の測定
実施例1〜5の試験用サンプル1〜5及び比較例1の試験用サンプル6(以下、「試験用サンプル等」という。)を、それぞれ水なしで口腔内に含ませ、試験用サンプル等が口腔内の唾液で崩壊するまでの時間を測定した。試験は3回行い、その平均値を算出した。
【0086】
(2)口溶け性の評価試験
実施例1〜5及び比較例1の試験用サンプル等を水なしで口腔内に含ませ、試験用サンプル等が口腔内で唾液により崩壊した後、嚥下を行った後の口の中の感覚を、下記の4段階の基準で評価した。
【0087】
◎:口腔内がさっぱりとしていた。
○:口腔内がはじめは粘ついたがすぐにさっぱりとした。
△:口腔内がやや粘つく感じがした。
×:口腔内が粘ついて感触が悪かった。
評価結果を第2表に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
第2表より、実施例1〜5の可食性積層フィルム1〜5(試験用サンプル1〜5)は、比較例1の可食性フィルム(試験用サンプル6)に比して、口腔内崩壊時間が短く、口溶け性に優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0090】
1a、1b、1c・・・可食性フィルム(A)
2・・・その他の可食性フィルム
3a、3b・・・接着剤層
4a、4b・・・保持基材
11・・・水溶性微粒子
12・・・水溶性フィルム
100、110、120・・・可食性積層フィルム
130、131、132・・・積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一又は相異なる複数の可食性フィルムの層が直接又はその他の層を介して積層されてなる可食性積層フィルムであって、前記複数の可食性フィルムの層の少なくとも一層が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルム(A)からなることを特徴とする可食性積層フィルム。
【請求項2】
前記可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有することを特徴とする請求項1に記載の可食性積層フィルム
【請求項3】
前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤であって、該フィルム形成剤の5質量%水溶液の37℃における粘度が、1000〜100000mPa・sであるものを含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の可食性積層フィルム。
【請求項4】
前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、5質量%水溶液の37℃における粘度が10mPa・s以下である水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【請求項5】
前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、マルトデキストリンおよびマンニトールのいずれか一方又は両方の水溶性微粒子が分散状態で存在する可食性フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【請求項6】
前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在するものであって、前記水溶性微粒子の配合割合が、フィルム全体に対して、35〜70質量%である可食性フィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【請求項7】
前記可食性フィルム(A)が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むフィルム形成剤を含有する材料から形成された水溶性フィルムの内部に、水溶性微粒子が分散状態で存在するものであって、前記フィルム形成剤の配合割合が、フィルム全体に対して、25〜60質量%である可食性フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【請求項8】
前記可食性フィルム(A)が、さらに薬理活性成分を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の可食性積層フィルム。
【請求項9】
前記可食性フィルム(A)からなる層を2層以上有し、該2層以上の可食性フィルム(A)からなる層のそれぞれが、同一又は相異なる薬理活性成分を含有することを特徴とする請求項8に記載の可食性積層フィルム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の可食性積層フィルムを製造する方法であって、少なくとも前記可食性フィルム(A)を含む、同一又は相異なる複数の可食性フィルム同士を重ね合わせ、温度60〜200℃、圧力0.1〜5MPaでヒートシールする工程を有することを特徴とする可食性積層フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−25581(P2011−25581A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175083(P2009−175083)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】