台所用清掃具
【課題】 コスト安で耐久性に富む環境に優しい台所用清掃具を提供すること。
【解決手段】 合成繊維モノフィラメント糸2’をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなる。
【解決手段】 合成繊維モノフィラメント糸2’をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば食器、ガスコンロ、食卓等の汚れを拭きとったり磨いたりするたわし、雑巾、布巾などの台所用清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の台所用清掃具として、例えば自然素材等の糸、例えばケナフ(Kenaf )の糸を用いて平編してなる布巾がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−246995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記台所用清掃具は、清掃効果を大にするためケナフの糸に巻縮加工を施した糸、いわゆる、クリンプ糸を使っていることから、加工にコストが嵩むとともに、磨耗による劣化が速く耐久性に劣るという課題がある。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、コスト安で耐久性に富む環境に優しい台所用清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の台所用清掃具は、合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
この発明において、合成繊維とは、化学的に合成した高分子物質を溶融、紡糸して作った繊維を意味し、好ましいものとしてポリエチレン(PE)、ポリエステル、ナイロン、ビニロン等を挙げることができ、特に、前記ポリエチレンのモノフィラメント糸(請求項2)は、使い捨ての台所用清掃具をゴミとして燃やしてもダイオキシンが発生しない点で、地球環境、自然に優しいエコロジー素材として有用である。
【0008】
この発明において、合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とするとは、原反(供給)ロールから巻き出されたギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸を、噛み合っている一対のギアの間に挿入し、一対のギアで合成繊維モノフィラメント糸に賦形して合成繊維モノフィラメント糸に凹凸形状が、その流れ方向に交互に形成されることを意味する。
【0009】
この際、前記凹凸形状として、図1に示すように、ギア加工後の合成繊維モノフィラメント糸2には、エッジEを有する偏平な部分Aと偏平でない部分Bとが流れ方向(矢印Dで示す方向)に隣接して交互に形成されており、前記エッジEによって生み出されるこすり感(ざらざら感)によって汚れ等を効率良くかきおとすことができる。
【0010】
この発明では、
(1)筒編したものを裏目が表となるように裏返してなる台所用清掃具(請求項3)、
(2)筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる台所用清掃具(請求項4)、
(3)筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる台所用清掃具(請求項5)、
(4) 筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる台所用清掃具(請求項6)が好ましく、
さらには、たわし、布巾に兼用可能に構成されている台所用清掃具(請求項7)がより好ましい。
【0011】
この発明において、編成とは、例えば平編やタック編、あるいは、これらの組み合わせ、さらには、筒編(丸編)をも含み、
また、編成してなる台所用清掃具として、
例えば平編やタック編により、あるいは、これらの組み合わせより得られる例えば平面視矩形の、例えば布巾、雑巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編(丸編)したものを裏目が表となるように裏返してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる、例えばたわしとして使用可能な台所用清掃具等を好ましいものとして挙げることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ケナフのような自然素材の糸に比べて強度的に強い合成繊維モノフィラメント糸を使用しているので、磨耗による劣化が遅い耐久性を有する台所用清掃具を提供することができる。
【0013】
また、この発明によれば、編成または織成する合成繊維モノフィラメント糸として、ギア加工により凹凸形状としたものを使用することから、同じように清掃効果を大にするための形状を糸に施しても、巻縮加工に比べてコスト安に加工することができ、その結果、安価に大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態で用いる合成繊維モノフィラメント糸のギア加工の状態を示す構成説明図である。
【図2】(A)は、上記実施形態で用いる混糸を示す図である。(B)は、上記実施形態で用いる混糸を筒編することにより得られる長尺の開口体を示す図である。
【図3】上記実施形態のベースとなる開口部材を示す斜視図である。
【図4】上記実施形態の作り方を説明するための斜視図である。
【図5】上記実施形態を示す構成説明図である。
【図6】この発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図7】上記第2の実施形態を示す構成説明図である。
【図8】上記第2の実施形態を示す構成説明図である。
【図9】この発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図10】上記第3の実施形態を示す構成説明図である。
【図11】この発明の第4の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図5は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に例えばケナフまたはバンブー等の自然素材よりなる糸を巻き付けてなる混糸を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口を有する開口部材を形成し、この開口部材を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなるこの発明の第1の実施形態を示す。
【0016】
図1〜図5において、台所用清掃具1は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2にその表面2a全体をカバーしうる程度に例えばケナフまたはバンブー等の自然素材よりなる糸(以下、単に自然素材の糸という)3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4より構成されており、台所用清掃具1のベースとなる開口部材8は、混糸4を筒編することにより得られる長尺の開口体6を適宜の長さに切断してなるものである。
【0017】
前記ケナフはアオイ科(ハイビスカス)属の一年草で、二酸化炭素の吸収が普通の植物よりも高く、地球温暖化防止に貢献しうるとともに、焼却処分してもダイオキシン等の有害な物質は出ないといった地球環境、自然に優しいエコロジー素材であり、
また、前記バンブーは、ケナフと同じエコロジー素材であり、亜熱帯地方のみに生育する竹の一種であり、その再生セルロースからレーヨン繊維が得られる一方、
ヒノキから得られるヒノキレーヨンも自然素材として挙げることができ、これは、抗菌・防臭効果に優れるとともに、悪臭の原因となる細菌の増殖を抑える機能を備えており、さらに、自然素材よりなる糸として、麻糸、綿糸等を挙げることができる。
【0018】
前記ギア加工においては、供給ロール(図示せず)から巻き出されたギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸2’を、所定の温度に加熱された状態で噛み合っている一対のギア7,7(図1参照)の間に挿入し、これら一対のギア7,7で合成繊維モノフィラメント糸2’に賦形してその流れ方向(D方向)に凹凸形状が交互に形成された合成繊維モノフィラメント糸2を得ることができる。
【0019】
すなわち、ギア加工後の合成繊維モノフィラメント糸2には前記凹凸形状としてエッジEを有する偏平な部分Aと偏平でない部分Bが交互に形成されており、偏平な部分Aの前記エッジEによって汚れ等を効率良くかきおとすことが可能となるといった清掃効果を奏する。
【0020】
この実施形態では、ギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸2’として、アルカリに強く、加工性に優れ、耐光性があり、摩擦に強く、電気絶縁性が良好で、かつ難染性を有するポリエチレン(PE)繊維を使っており、具体的には、50(デニール)〜150(デニール)のモノフィラメント高密度ポリエチレン(HDPE)を使っており、これは、規則正しい構造をしていて、結晶化度が高く、引っ張りに強く不透明で、水洗いに強いタイプのものであり、また、熱を加え続けたときに繊維の酸化が進むことにより劣化するのを防止するため酸化防止剤がHDPEが100に対して例えば0.15の割合で織り込まれており、さらに、HDPEが100に対して例えば0.29の割合で耐候剤が織り込まれている。
【0021】
そして、使用される台所用清掃具1は、以下のようにして得られる。
【0022】
前記混糸4を用いて筒編(丸編)することにより得られた図2に示す長尺の開口体6(図2参照)を例えば平面視矩形の偏平な状態にし、これを、開口体6の長手方向(両矢印Tで示す方向)に略直角な方向に適宜の長さ間隔Sで切断して図3に示すような、両端開口8aおよび8bを有する開口部材8を得るが、この際、ほつれ防止のため開口部材8の両端開口8aおよび8bの環状の周縁はそれぞれ縫合される。
【0023】
図3において、9,10はそれぞれ縫合された端部であり、図3においては、開口部材8は長辺Sを有する平面視矩形の偏平な状態となっている。
【0024】
続いて、前記開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して(図4参照)図5に示すように四重になるように重ね合わせることにより、片手が挿通可能な挿通穴Hが形成された台所用清掃具1を得る。
【0025】
すなわち、台所用清掃具1は、筒編したもの(開口体6)を適当な長さSに切断してなる開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒Qと外筒Pよりなる二重の筒状体(P,Q)に形成してある。
【0026】
この実施形態では、図3の状態の例えば開口8a側から一方の端部9を含む部分Pを両手を使って矢印Fで示す方向に折り返しながら、その折り返し部C(図4参照)を前記開口部材8の長辺Sのほぼ半分位置までもっていき、最終的に端部9,10間を重ね合わせることにより、折り返し部Cを介して他方の端部10を含む部分(前記内筒)Qを一方の端部9を含む部分(前記外筒)Pの内側に重ねた状態で位置させてなる四層構造の台所用清掃具1を得る。
【0027】
而して、台所用清掃具1の挿通穴Hに片手を差し込みながら、一方の端部9を含む部分P、すなわち、前記外筒Pを介して例えば食器やテーブル上の汚れを拭きとることができるが、合成繊維モノフィラメント糸2は凹凸形状を有するとともに、表目よりも裏目の方が清掃効果に寄与するザラザラ感が大であることの相乗効果により、また、台所用清掃具1を構成する混糸4は、自然素材の糸3を含むので吸水性を有することにより、台所用清掃具1の布巾としての清掃効果をさらに大にすることが可能である。また、この実施形態では、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレンのモノフィラメント糸)2にその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸3の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸2の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0028】
また、台所用清掃具1においては、台所用清掃具1を裏返すことにより新しく形成される挿通穴に片手を差し込みながら、今度は他方の端部10を含む部分Qを介しても清掃することができるという利便性を有する。
【0029】
なお、この実施形態では、ほつれ防止のため開口部材8の両端開口8aおよび8bの環状の周縁をそれぞれ縫合したものを示したが、この発明では、開口部材8のいずれの両端開口8aおよび8bの環状の周縁も縫合しない状態で、開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成した後に両端開口8aおよび8bを一体に縫合して閉止する構成を採用してもよい。
【0030】
図6〜8は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材よりなる糸を巻き付けてなる混糸を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口を有する開口部材を形成し、この開口部材を裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなるこの発明の第2の実施形態を示す。図6〜8において、図1〜図5に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0031】
図6〜8において、台所用清掃具1’は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2に図2(A)に示すようにその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4よりなり、片手差し込み口12を有する手袋状(ミット状)に構成されており、台所用清掃具1’のベースとなる開口部材(図示せず)は、混糸4を筒編することにより得られる図2に示す長尺の開口体6を適宜の長さに切断してなるものである。
【0032】
そして、使用される台所用清掃具1’(図6,7参照)は、以下のようにして得られる。
【0033】
まず、筒編(丸編)により得られた長尺の開口体6(図2参照)を例えば平面視矩形の偏平な状態にし、これを適宜の長さに切断するときに、この実施形態では、図3で示した実施形態とは異なる手法を採用している。
【0034】
すなわち、この実施形態では、例えば、図2,3を用いて説明すれば、例えば一方の開口8bを、図2に示すように開口体6のT方向に略直角な方向に切断することにより形成するのではなく、差し込まれる片手の少なくとも指先をフィットさせて清掃動作し易いように手袋形状(ミット形状)に形成するためアール形状を持たせた状態で切断することにより形成する一方、他方の開口8aは、図3に示すのと同じように、開口体6のT方向に略直角な方向に切断することにより形成して開口部材(図示せず)を得、その後、この開口部材を裏目が表となるように裏返している。
【0035】
この際、図6,7に示すように、ほつれ防止のため、得られた前記開口部材(図示せず)の他方の開口8aの環状の周縁は縫合されて片手差し込み口12の入口12aを形成する端部9とする一方、アール形状を持たせた一方の開口8bを縫合により閉止することにより台所用清掃具1’を得ることができる。
【0036】
10’は、一方の開口8bの閉止部である。
【0037】
而して、台所用清掃具1’の片手差し込み口12に片手を差し込みながら、例えば食器やテーブル上の汚れを拭きとることができるが、合成繊維モノフィラメント糸2は凹凸形状を有するとともに、表目よりも裏目の方が清掃効果に寄与するザラザラ感が大であることの相乗効果により、また、台所用清掃具1’を構成する混糸4は、自然素材の糸3を含むので吸水性を有することにより、台所用清掃具1’の布巾としての清掃効果をさらに大にすることが可能である。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0038】
また、この台所用清掃具1’においては、台所用清掃具1’を図8に示すように、裏返すことにより表目により清掃することができ、表目と裏目の両方を使用できるという利便性を有する。
【0039】
なお、この実施形態においては、一方の開口8bをアール形状を持たせた状態で切断することにより形成し、閉止部10’を得るのに例えばオーバーミシンにより縫製生地カットする手法を採用するのが好ましい。
【0040】
図9,10は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に図2(A)に示すようにその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口8a,8bを有する開口部材8を形成し、これを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の柔軟性を有する芯材15を収納した状態で両端開口8a,8bを閉止(二方縫い)してなるこの発明の第3の実施形態を示す。図9,10において、図1〜図8に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0041】
図9,10において、1’’は得られたほぼ直方体形状の台所用清掃具であり、16および17はそれぞれ、開口8aおよび8bの閉止部である。
【0042】
この台所用清掃具1’’は、スポンジ等の柔軟性を有する芯材15を含むので、形状の変化もあって清掃対象物に対して当たりが良好である上、保湿性も良好であることから、たわしとして使用することができる。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0043】
図11は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に図2(A)に示すようにその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を例えば平編とタック編の組み合わせを用いて平面視矩形形状の矩形体19に編成してなるこの発明の第4の実施形態を示す。図11において、図1〜図10に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0044】
図11において、1’’’は矩形体19よりなる台所用清掃具であり、布巾、あるいは雑巾として使用可能である。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0045】
なお、上記第4の実施形態で得られた矩形体19の表目に矩形体19のほぼ半分の面積を占有するスポンジ等の芯材15を載置した状態で矩形体19のほぼ中央位置で折り返して矩形体19の三つの開放端を閉止してある(三方縫い)構成の台所用清掃具としてのたわしもこの発明に含むことができる。
【0046】
なお、この発明では、長尺の開口体6を適宜の長さに切断して得られる開口部材を裏目が表となるように裏返してなるものも含まれ、例えば開口部材を図3に示したような長辺Sを有する平面視矩形の偏平な状態とし、これを何重にも折り返して複数構造を有する台所用清掃具としてのたわしとして使用され得る。
【0047】
なお、上記各実施形態では、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2に図2(A)に示すようにその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を用いたが、ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸2と自然素材よりなる糸3を引きそろえて(並行にして)編成(例えば平編、タック編のいずれか、または、これらの組み合わせ、あるいは、筒編)する構成を採用してもよく、また、ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸2だけで編成する構成を採用してもよく、さらには、前記混糸4と、自然素材よりなる糸3を引きそろえて(並行にして)編成する構成を採用してもよく、これらの場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られるとともに、水分吸収率の低い(水を吸いにくい)特性を台所用清掃具に付与する必要がある場合には、例えばポリウレタン系弾性繊維を裏地として設けてもよく、この発明では、目的に応じて種々の糸を適宜付与することができる一方、合成繊維モノフィラメント糸2に対する自然素材よりなる糸3の割合を調整することにより、吸水性能を適宜コントロールすることができ、たわしとして用いる場合や布巾、雑巾として用いる場合、あるいは、たわし、布巾に兼用可能に用いる場合に使い分けることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 台所用清掃具
2 ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸
2’ ギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸
3 自然素材よりなる糸
6 開口体
7,7 一対のギア
8a,8b 開口
9,10 端部
P 外筒
Q 内筒
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば食器、ガスコンロ、食卓等の汚れを拭きとったり磨いたりするたわし、雑巾、布巾などの台所用清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の台所用清掃具として、例えば自然素材等の糸、例えばケナフ(Kenaf )の糸を用いて平編してなる布巾がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−246995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記台所用清掃具は、清掃効果を大にするためケナフの糸に巻縮加工を施した糸、いわゆる、クリンプ糸を使っていることから、加工にコストが嵩むとともに、磨耗による劣化が速く耐久性に劣るという課題がある。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、コスト安で耐久性に富む環境に優しい台所用清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の台所用清掃具は、合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
この発明において、合成繊維とは、化学的に合成した高分子物質を溶融、紡糸して作った繊維を意味し、好ましいものとしてポリエチレン(PE)、ポリエステル、ナイロン、ビニロン等を挙げることができ、特に、前記ポリエチレンのモノフィラメント糸(請求項2)は、使い捨ての台所用清掃具をゴミとして燃やしてもダイオキシンが発生しない点で、地球環境、自然に優しいエコロジー素材として有用である。
【0008】
この発明において、合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とするとは、原反(供給)ロールから巻き出されたギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸を、噛み合っている一対のギアの間に挿入し、一対のギアで合成繊維モノフィラメント糸に賦形して合成繊維モノフィラメント糸に凹凸形状が、その流れ方向に交互に形成されることを意味する。
【0009】
この際、前記凹凸形状として、図1に示すように、ギア加工後の合成繊維モノフィラメント糸2には、エッジEを有する偏平な部分Aと偏平でない部分Bとが流れ方向(矢印Dで示す方向)に隣接して交互に形成されており、前記エッジEによって生み出されるこすり感(ざらざら感)によって汚れ等を効率良くかきおとすことができる。
【0010】
この発明では、
(1)筒編したものを裏目が表となるように裏返してなる台所用清掃具(請求項3)、
(2)筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる台所用清掃具(請求項4)、
(3)筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる台所用清掃具(請求項5)、
(4) 筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる台所用清掃具(請求項6)が好ましく、
さらには、たわし、布巾に兼用可能に構成されている台所用清掃具(請求項7)がより好ましい。
【0011】
この発明において、編成とは、例えば平編やタック編、あるいは、これらの組み合わせ、さらには、筒編(丸編)をも含み、
また、編成してなる台所用清掃具として、
例えば平編やタック編により、あるいは、これらの組み合わせより得られる例えば平面視矩形の、例えば布巾、雑巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編(丸編)したものを裏目が表となるように裏返してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる、例えばたわし、布巾として使用可能な台所用清掃具、
例えば筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる、例えばたわしとして使用可能な台所用清掃具等を好ましいものとして挙げることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ケナフのような自然素材の糸に比べて強度的に強い合成繊維モノフィラメント糸を使用しているので、磨耗による劣化が遅い耐久性を有する台所用清掃具を提供することができる。
【0013】
また、この発明によれば、編成または織成する合成繊維モノフィラメント糸として、ギア加工により凹凸形状としたものを使用することから、同じように清掃効果を大にするための形状を糸に施しても、巻縮加工に比べてコスト安に加工することができ、その結果、安価に大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態で用いる合成繊維モノフィラメント糸のギア加工の状態を示す構成説明図である。
【図2】(A)は、上記実施形態で用いる混糸を示す図である。(B)は、上記実施形態で用いる混糸を筒編することにより得られる長尺の開口体を示す図である。
【図3】上記実施形態のベースとなる開口部材を示す斜視図である。
【図4】上記実施形態の作り方を説明するための斜視図である。
【図5】上記実施形態を示す構成説明図である。
【図6】この発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図7】上記第2の実施形態を示す構成説明図である。
【図8】上記第2の実施形態を示す構成説明図である。
【図9】この発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図10】上記第3の実施形態を示す構成説明図である。
【図11】この発明の第4の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図5は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に例えばケナフまたはバンブー等の自然素材よりなる糸を巻き付けてなる混糸を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口を有する開口部材を形成し、この開口部材を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなるこの発明の第1の実施形態を示す。
【0016】
図1〜図5において、台所用清掃具1は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2にその表面2a全体をカバーしうる程度に例えばケナフまたはバンブー等の自然素材よりなる糸(以下、単に自然素材の糸という)3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4より構成されており、台所用清掃具1のベースとなる開口部材8は、混糸4を筒編することにより得られる長尺の開口体6を適宜の長さに切断してなるものである。
【0017】
前記ケナフはアオイ科(ハイビスカス)属の一年草で、二酸化炭素の吸収が普通の植物よりも高く、地球温暖化防止に貢献しうるとともに、焼却処分してもダイオキシン等の有害な物質は出ないといった地球環境、自然に優しいエコロジー素材であり、
また、前記バンブーは、ケナフと同じエコロジー素材であり、亜熱帯地方のみに生育する竹の一種であり、その再生セルロースからレーヨン繊維が得られる一方、
ヒノキから得られるヒノキレーヨンも自然素材として挙げることができ、これは、抗菌・防臭効果に優れるとともに、悪臭の原因となる細菌の増殖を抑える機能を備えており、さらに、自然素材よりなる糸として、麻糸、綿糸等を挙げることができる。
【0018】
前記ギア加工においては、供給ロール(図示せず)から巻き出されたギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸2’を、所定の温度に加熱された状態で噛み合っている一対のギア7,7(図1参照)の間に挿入し、これら一対のギア7,7で合成繊維モノフィラメント糸2’に賦形してその流れ方向(D方向)に凹凸形状が交互に形成された合成繊維モノフィラメント糸2を得ることができる。
【0019】
すなわち、ギア加工後の合成繊維モノフィラメント糸2には前記凹凸形状としてエッジEを有する偏平な部分Aと偏平でない部分Bが交互に形成されており、偏平な部分Aの前記エッジEによって汚れ等を効率良くかきおとすことが可能となるといった清掃効果を奏する。
【0020】
この実施形態では、ギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸2’として、アルカリに強く、加工性に優れ、耐光性があり、摩擦に強く、電気絶縁性が良好で、かつ難染性を有するポリエチレン(PE)繊維を使っており、具体的には、50(デニール)〜150(デニール)のモノフィラメント高密度ポリエチレン(HDPE)を使っており、これは、規則正しい構造をしていて、結晶化度が高く、引っ張りに強く不透明で、水洗いに強いタイプのものであり、また、熱を加え続けたときに繊維の酸化が進むことにより劣化するのを防止するため酸化防止剤がHDPEが100に対して例えば0.15の割合で織り込まれており、さらに、HDPEが100に対して例えば0.29の割合で耐候剤が織り込まれている。
【0021】
そして、使用される台所用清掃具1は、以下のようにして得られる。
【0022】
前記混糸4を用いて筒編(丸編)することにより得られた図2に示す長尺の開口体6(図2参照)を例えば平面視矩形の偏平な状態にし、これを、開口体6の長手方向(両矢印Tで示す方向)に略直角な方向に適宜の長さ間隔Sで切断して図3に示すような、両端開口8aおよび8bを有する開口部材8を得るが、この際、ほつれ防止のため開口部材8の両端開口8aおよび8bの環状の周縁はそれぞれ縫合される。
【0023】
図3において、9,10はそれぞれ縫合された端部であり、図3においては、開口部材8は長辺Sを有する平面視矩形の偏平な状態となっている。
【0024】
続いて、前記開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して(図4参照)図5に示すように四重になるように重ね合わせることにより、片手が挿通可能な挿通穴Hが形成された台所用清掃具1を得る。
【0025】
すなわち、台所用清掃具1は、筒編したもの(開口体6)を適当な長さSに切断してなる開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒Qと外筒Pよりなる二重の筒状体(P,Q)に形成してある。
【0026】
この実施形態では、図3の状態の例えば開口8a側から一方の端部9を含む部分Pを両手を使って矢印Fで示す方向に折り返しながら、その折り返し部C(図4参照)を前記開口部材8の長辺Sのほぼ半分位置までもっていき、最終的に端部9,10間を重ね合わせることにより、折り返し部Cを介して他方の端部10を含む部分(前記内筒)Qを一方の端部9を含む部分(前記外筒)Pの内側に重ねた状態で位置させてなる四層構造の台所用清掃具1を得る。
【0027】
而して、台所用清掃具1の挿通穴Hに片手を差し込みながら、一方の端部9を含む部分P、すなわち、前記外筒Pを介して例えば食器やテーブル上の汚れを拭きとることができるが、合成繊維モノフィラメント糸2は凹凸形状を有するとともに、表目よりも裏目の方が清掃効果に寄与するザラザラ感が大であることの相乗効果により、また、台所用清掃具1を構成する混糸4は、自然素材の糸3を含むので吸水性を有することにより、台所用清掃具1の布巾としての清掃効果をさらに大にすることが可能である。また、この実施形態では、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレンのモノフィラメント糸)2にその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸3の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸2の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0028】
また、台所用清掃具1においては、台所用清掃具1を裏返すことにより新しく形成される挿通穴に片手を差し込みながら、今度は他方の端部10を含む部分Qを介しても清掃することができるという利便性を有する。
【0029】
なお、この実施形態では、ほつれ防止のため開口部材8の両端開口8aおよび8bの環状の周縁をそれぞれ縫合したものを示したが、この発明では、開口部材8のいずれの両端開口8aおよび8bの環状の周縁も縫合しない状態で、開口部材8を裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成した後に両端開口8aおよび8bを一体に縫合して閉止する構成を採用してもよい。
【0030】
図6〜8は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材よりなる糸を巻き付けてなる混糸を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口を有する開口部材を形成し、この開口部材を裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなるこの発明の第2の実施形態を示す。図6〜8において、図1〜図5に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0031】
図6〜8において、台所用清掃具1’は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2に図2(A)に示すようにその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4よりなり、片手差し込み口12を有する手袋状(ミット状)に構成されており、台所用清掃具1’のベースとなる開口部材(図示せず)は、混糸4を筒編することにより得られる図2に示す長尺の開口体6を適宜の長さに切断してなるものである。
【0032】
そして、使用される台所用清掃具1’(図6,7参照)は、以下のようにして得られる。
【0033】
まず、筒編(丸編)により得られた長尺の開口体6(図2参照)を例えば平面視矩形の偏平な状態にし、これを適宜の長さに切断するときに、この実施形態では、図3で示した実施形態とは異なる手法を採用している。
【0034】
すなわち、この実施形態では、例えば、図2,3を用いて説明すれば、例えば一方の開口8bを、図2に示すように開口体6のT方向に略直角な方向に切断することにより形成するのではなく、差し込まれる片手の少なくとも指先をフィットさせて清掃動作し易いように手袋形状(ミット形状)に形成するためアール形状を持たせた状態で切断することにより形成する一方、他方の開口8aは、図3に示すのと同じように、開口体6のT方向に略直角な方向に切断することにより形成して開口部材(図示せず)を得、その後、この開口部材を裏目が表となるように裏返している。
【0035】
この際、図6,7に示すように、ほつれ防止のため、得られた前記開口部材(図示せず)の他方の開口8aの環状の周縁は縫合されて片手差し込み口12の入口12aを形成する端部9とする一方、アール形状を持たせた一方の開口8bを縫合により閉止することにより台所用清掃具1’を得ることができる。
【0036】
10’は、一方の開口8bの閉止部である。
【0037】
而して、台所用清掃具1’の片手差し込み口12に片手を差し込みながら、例えば食器やテーブル上の汚れを拭きとることができるが、合成繊維モノフィラメント糸2は凹凸形状を有するとともに、表目よりも裏目の方が清掃効果に寄与するザラザラ感が大であることの相乗効果により、また、台所用清掃具1’を構成する混糸4は、自然素材の糸3を含むので吸水性を有することにより、台所用清掃具1’の布巾としての清掃効果をさらに大にすることが可能である。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0038】
また、この台所用清掃具1’においては、台所用清掃具1’を図8に示すように、裏返すことにより表目により清掃することができ、表目と裏目の両方を使用できるという利便性を有する。
【0039】
なお、この実施形態においては、一方の開口8bをアール形状を持たせた状態で切断することにより形成し、閉止部10’を得るのに例えばオーバーミシンにより縫製生地カットする手法を採用するのが好ましい。
【0040】
図9,10は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に図2(A)に示すようにその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を筒編(丸編)し、得られた長尺の開口体を適宜の長さに切断して両端開口8a,8bを有する開口部材8を形成し、これを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の柔軟性を有する芯材15を収納した状態で両端開口8a,8bを閉止(二方縫い)してなるこの発明の第3の実施形態を示す。図9,10において、図1〜図8に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0041】
図9,10において、1’’は得られたほぼ直方体形状の台所用清掃具であり、16および17はそれぞれ、開口8aおよび8bの閉止部である。
【0042】
この台所用清掃具1’’は、スポンジ等の柔軟性を有する芯材15を含むので、形状の変化もあって清掃対象物に対して当たりが良好である上、保湿性も良好であることから、たわしとして使用することができる。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0043】
図11は、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸に図2(A)に示すようにその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を例えば平編とタック編の組み合わせを用いて平面視矩形形状の矩形体19に編成してなるこの発明の第4の実施形態を示す。図11において、図1〜図10に示した符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0044】
図11において、1’’’は矩形体19よりなる台所用清掃具であり、布巾、あるいは雑巾として使用可能である。また、この実施形態でも、合成繊維モノフィラメント糸(ポリエチレン糸)にその表面全体をカバーしうる程度に自然素材の糸を巻き付けており、混糸4に用いる自然素材の糸の割合を混糸4に用いる合成繊維モノフィラメント糸の割合よりも大にできることから、吸水性を良好にできる。
【0045】
なお、上記第4の実施形態で得られた矩形体19の表目に矩形体19のほぼ半分の面積を占有するスポンジ等の芯材15を載置した状態で矩形体19のほぼ中央位置で折り返して矩形体19の三つの開放端を閉止してある(三方縫い)構成の台所用清掃具としてのたわしもこの発明に含むことができる。
【0046】
なお、この発明では、長尺の開口体6を適宜の長さに切断して得られる開口部材を裏目が表となるように裏返してなるものも含まれ、例えば開口部材を図3に示したような長辺Sを有する平面視矩形の偏平な状態とし、これを何重にも折り返して複数構造を有する台所用清掃具としてのたわしとして使用され得る。
【0047】
なお、上記各実施形態では、ギア加工により得られた合成繊維モノフィラメント糸2に図2(A)に示すようにその表面2a全体をカバーしうる程度に自然素材の糸3を巻き付けて(カバーリングして)なる混糸4を用いたが、ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸2と自然素材よりなる糸3を引きそろえて(並行にして)編成(例えば平編、タック編のいずれか、または、これらの組み合わせ、あるいは、筒編)する構成を採用してもよく、また、ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸2だけで編成する構成を採用してもよく、さらには、前記混糸4と、自然素材よりなる糸3を引きそろえて(並行にして)編成する構成を採用してもよく、これらの場合でも、上記実施形態と同様の効果が得られるとともに、水分吸収率の低い(水を吸いにくい)特性を台所用清掃具に付与する必要がある場合には、例えばポリウレタン系弾性繊維を裏地として設けてもよく、この発明では、目的に応じて種々の糸を適宜付与することができる一方、合成繊維モノフィラメント糸2に対する自然素材よりなる糸3の割合を調整することにより、吸水性能を適宜コントロールすることができ、たわしとして用いる場合や布巾、雑巾として用いる場合、あるいは、たわし、布巾に兼用可能に用いる場合に使い分けることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 台所用清掃具
2 ギア加工が施された合成繊維モノフィラメント糸
2’ ギア加工前の合成繊維モノフィラメント糸
3 自然素材よりなる糸
6 開口体
7,7 一対のギア
8a,8b 開口
9,10 端部
P 外筒
Q 内筒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなることを特徴とする台所用清掃具。
【請求項2】
合成繊維モノフィラメント糸がポリエチレンのモノフィラメント糸である請求項1に記載の台所用清掃具。
【請求項3】
筒編したものを裏目が表となるように裏返してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項4】
筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項5】
筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項6】
筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項7】
たわし、布巾に兼用可能に構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の台所用清掃具。
【請求項1】
合成繊維モノフィラメント糸をギア加工により凹凸形状とし、これを編成または織成してなることを特徴とする台所用清掃具。
【請求項2】
合成繊維モノフィラメント糸がポリエチレンのモノフィラメント糸である請求項1に記載の台所用清掃具。
【請求項3】
筒編したものを裏目が表となるように裏返してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項4】
筒編したものを裏目が表となるように裏返して一方の開口を閉止してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項5】
筒編したものを裏目が表となるように、ほぼ中央位置で折り返して内筒と外筒よりなる二重の筒状体に形成してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項6】
筒編したものを裏目が表となるように裏返した後に内側にスポンジ等の芯材を収納した状態で両端を閉止してなる請求項1または2に記載の台所用清掃具。
【請求項7】
たわし、布巾に兼用可能に構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の台所用清掃具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−269006(P2010−269006A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124221(P2009−124221)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(593215726)タツミセンイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(593215726)タツミセンイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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